説明

X線CT装置

【課題】 大幅な性能の低下を来すことがなく、安価な多列型X線CT装置を提供すること。
【解決手段】 被検体8を中心に回転する回転盤と、被検体8へ向けてX線を照射するX線管球1と、被検体8を挟んでX線管球1と対向し被検体8を透過したX線を検出するX線検出器ユニット2と、X線検出器ユニット2からの出力信号を取り出す回転ユニット10と、被検体8を載置する寝台ユニット9と、寝台ユニット9に搭載した被検体8の全周方向にX線管球1からX線を照射して計測されるX線投影データに基づいて被検体8の断層像を作成して断層像を画像表示装置に表示するX線CT装置において,多列型X線検出器ユニット2を構成する多列型X線検出器ブロック14の体軸方向データ出力列の数を、多列型X線検出器ユニット2の中心位置より外側に向かって所定距離のデータ出力列数を密に、中心位置より外側に向かって所定距離から外側に位置するデータ出力列数を粗に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置に係り、特にX線管球およびそれに対向して位置される多列型X線検出器を搭載し一回転で複数断面の計測データを得ることができる多列型X線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のX線を使用して被検体の断層撮影を行うマルチスライス式のX線CT装置にあっては、被検体の体軸を中心に回転する回転盤を有しており、この回転盤に被検体を挟んで対向するようにX線管球と多列型X線検出器が配置されている。
【0003】
また、X線管球から被検体に照射され、この被検体を透過したX線は、多列型X線検出器によって検出される。この多列型X線検出器は、入力されるX線を検出し、検出されたX線を電気信号に変換するもので、検出されたX線強度に応じた多列(例えば、64列)分の電気信号(デジタル画像データ)を、順次画像処理手段へ出力するようになっている。
【0004】
画像処理手段は、X線検出器から出力された電気信号(デジタル画像データ)を入力し、この入力されたデジタル画像データを演算処理して画像を再構成し、被検体の断層画像として記録し、表示手段に断層画像を表示するように構成されている。
【0005】
このような構成のマルチスライス式のX線CT装置の多列型X線検出器にあっては、従来、複数の検出チャンネルを有する検出素子列をスライス方向に複数列(例えば、6列)配した2次元検出器が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
そして、特許文献1は、マルチスライス検出器(多列型X線検出器)の検出素子列数は6列で、スライス方向に沿った関心画像及びスライス厚を指定して調整ができるようになっている。関心画像の指定を行い、関心画像の位置をスライス方向に沿って全体的に横に1列分だけ移動するようになっている。この関心画像の指定結果に基づいて、コリメータ22の開口幅を制御している。
【0007】
マルチスライス検出器上に存在するX線検出素子の大きさ(体軸方向の長さ)や、X線管球から多列型X線検出器ユニットまでの距離によって、計測スライス厚が決まる。
【0008】
近年のX線CT装置においては、計測スライス厚が0.5mm、0.6mm、0.625mm、1.0mm、1.25mmなどのように1.0mm前後の値となっていることが一般的である。また、体軸方向撮像可能範囲は、一度に計測可能な範囲で、これは計測スライス厚に体軸方向データ出力列数を乗算したものに等しくなり、例えば、計測スライス厚が0.625mmである32列マルチスライス検出器を搭載したX線CT装置の体軸方向撮像可能範囲は、0.625mm×32列 = 20mmとなる。
【特許文献1】特開2000−201919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の多列X線CT装置に搭載されているマルチスライス検出器(多列型X線検出器ユニット)は、全てのチャネルにおいて一回転あたりに出力される体軸方向データ出力列数は同数となるよう、同一出力列数である多列型X線検出器ブロックで全視野をカバーするように配置されている。
【0010】
このようなX線CT装置においては、近年、一層の多列化が進み32列、64列X線CT装置やそれ以上の多列X線CT装置が医療施設にて稼動している状況である。このような多列化の進化の状況は、画像診断分野に大きなメリットをもたらしているが、その一方でそれらの装置は、高額となり、一般の医療施設に広く浸透しがたい原因となっているのが現状である。
【0011】
特許文献1の多列X線CT装置においては、例えば、32列や64列のマルチスライス検出器を搭載した場合に、特に、心臓領域でその威力を発揮する。しかし、16列のマルチスライス検出器を搭載した多列X線CT装置においては、心臓領域を除いた全身用のX線CT装置としての性能は、劣るものとはなっていない。
【0012】
したがって、特許文献1のマルチスライス検出器(多列型X線検出器)は、スライス方向に沿った関心画像及びスライス厚を指定して調整ができるようになっている。また、最大の検出素子列数は6列から、減少させたスライス厚を指定することができるようになっていると。32列や64列のマルチスライス検出器を搭載した場合には、従来のX線CT装置と検出素子の配列の粗密は、変わりはない。
【0013】
本発明の目的は、大幅な性能の低下を来すことがなく、安価な多列型X線CT装置を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため本発明は、中央に開口部を有し被検体を中心に回転する回転盤と、回転盤に設置され被検体へ向けてX線を照射するX線管球と、被検体を挟んでX線管球と対向するように回転盤に設置され被検体を透過したX線を検出する多チャネル型かつ多列型のX線検出器ユニットとを備え、回転盤を回転しながら多列型X線検出器ユニットからの出力信号を取り出すことのできる回転ユニットと、回転盤中央の開口部に設置し、被検体を載置する寝台ユニットと、寝台ユニットに搭載した被検体の全周方向にX線管球からX線を照射して計測されるX線投影データに基づいて被検体の断層像を作成して断層像を画像表示装置に表示するX線CT装置において,
多列型X線検出器ユニットを構成する多列型X線検出器ブロックの体軸方向データ出力列の数を、多列型X線検出器ユニットの中心位置より外側に向かって所定距離のデータ出力列数を密に、中心位置より外側に向かって所定距離から外側に位置するデータ出力列数を粗に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、大幅なパフォーマンスの低下をすることなく安価な多列型X線CT装置を提供することができる。
【0016】
より具体的には、
(1)関心視野のサイズに応じて異なる体軸方向データ出力列数となるX線検出器ユニットを搭載することで、性能を大幅に低下させることなく価格を抑えた多列型X線CT装置を医療施設に提供する。
【0017】
(2)関心視野のサイズに応じて異なる体軸方向撮像可能範囲を持つ多列型X線検出器ユニットを搭載することで、循環器領域などの多列CT装置のメリットが大きい関心視野のみでは高い性能を発揮する多列型X線CT装置を医療施設に提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る多列型のX線CT装置においては、心臓の検査に必要なFOV範囲(X線撮影を行う範囲である有効視野範囲)だけに32列X線検出器を搭載し、FOV範囲よりも外側に位置する範囲(心臓領域以外の領域)には、16列のマルチスライス検出器(X線検出器)を搭載することによって、全身用X線CT装置としては、十分な性能を保持したX線CT装置を全てのチャネルに32列のマルチスライス検出器(X線検出器)を搭載するX線CT装置の価格より安価に提供するものである。
【0019】
すなわち、本発明に係る多列型のX線CT装置は、多列型X線検出器ユニットを構成する多列型X線検出器ブロックの体軸方向データ出力列の数が多列型X線検出器ユニットの中心位置より外側に向かって所定距離のデータ出力列数を密で、中心位置より外側に向かって所定距離から外側に位置するデータ出力列数を粗の異なる多列型X線検出器ブロックを同一の多列型X線検出器ユニット内に配置し、例えば、32列や64列など価格の高い多列型X線検出器ブロックの個数を減らし、16列や8列のX線CT装置としては500mmやそれ以上の広い視野をカバーしようとすることで、価格を抑えた多列型X線CT装置を実現するものである。
【0020】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1には、本発明に係るX線CT装置のユニット構成が示されている。
【0022】
図1において、X線CT装置の主要部を構成するガントリを備え、このガントリは、中央部に円形の開口部を有しており、この開口部の中心部には、被検者8を寝かせるための寝台ユニット天板9が設置されている。
【0023】
寝台ユニット天板9は、図示しない水平移動手段及び上下移動手段によって、被検者8の体軸方向及び上下方向への移動が自在となっている。
【0024】
ガントリ内には、被検者8を中心に回転する回転ユニット10が設けられている。この回転ユニット10には、上部にX線管球1が、下部に多列型X線検出器ユニット2が被検者8を挟んで対向するように配置されている。
【0025】
回転体ユニット10の被検者8を挟んだ上部に配置されているX線管球1には、管の内部に陰極と、回転可能に構成された傘形の陽極とが設けられている。このX線管球1は、管の内部の陰極から放出された電子ビームが陽極に衝突することにより、陽極から円錐状のX線を被検者8に向けて発生するようになっている。
【0026】
そして、この陽極から発生したX線は、X線管球1の近傍に設けられたコリメータによって、扇状のX線ビームにコリメートされて、被検者8に照射される。
【0027】
回転ユニット10の被検者8を挟んだ下部に配置されている多列型X線検出器ユニット2は、図2に示す如く、X線管球1の焦点を中心として円弧状に形成されている。この多列型X線検出器ユニット2は、X線管球1から照射されるX線ビームの受光面に、被検者8の体軸方向(図1の表面から裏面に突き抜ける方向)に直交するチャンネル方向に、多数のX線検出素子群(図示せず)が配列されている。
【0028】
さらに、この多列型X線検出器ユニット2のX線ビームの受光面に配列されたX線検出素子群は、被検者8の体軸方向(スライス方向)へ複数列配列された構造となっている。この多列型X線検出器ユニット2は全てのチャネルにて体軸方向分割数すなわち体軸方向データ出力列数は同数であり、図2に図示のように、例えば、4列X線検出器ユニットの場合は、全てのチャネルで体軸方向に4列分のデータを出力するようになっている。
【0029】
このようにしてX線管球1の陽極から円錐状に被検者8に照射されたX線ビームは、被検者8を透過し、多列型X線検出器ユニット2によって検出される。
【0030】
また、回転ユニット10には、多列型X線検出器ユニット2によって検出された被検者8を透過したX線に基づいく複数断面の投影データを増幅するプリアンプ3が設けられている。
【0031】
このプリアンプ3には、データ転送回路13が接続されており、このデータ転送回路13には、画像処理装置12が接続されている。そして、多列型X線検出器ユニット2で検出された被検者8を透過したX線に基づいく複数断面の投影データは、このデータ転送回路13によって、画像処理装置12に送出される。
【0032】
すなわち、X線管球1の陽極から円錐状に被検者8に照射されたX線ビームは、被検者8を透過し、多列型X線検出器ユニット2によって検出され、この多列型X線検出器ユニット2において、被検者8を透過してきたX線の強度に応じて電気信号に変換して、プリアンプ3によって増幅してデジタル画像データとして画像処理装置12に出力する。
【0033】
画像処理装置12は、CPUと、前処理ユニット、再構成ユニット、及び後処理ユニットを含む演算処理装置と、画像処理装置12等の制御プログラムを格納する主メモリと、投影データや画像処理プログラム等を格納する磁気ディスクと、コントローラと、画像表示装置11に表示させる画像データを一次的に格納する表示メモリと、プリアンプ3から投影データを取得する入出力インターフェースと、を備えている。
【0034】
この画像処理装置12においては、多列型X線検出器ユニット2からプリアンプ3を介してから送信されてきたデジタル画像データに基づき、各種補正処理、逆投影演算をすることで被検者8の断層画像を構成するようになっている。
【0035】
多列型X線検出器ユニット2は、多数のX線検出素子群を扇形に配置して構成している。そして、回転ユニット10の中心部における計測データの厚さ、すなわち計測スライス厚は、この多列型X線検出器ユニット2上に存在するX線検出素子の大きさ(体軸方向の長さ、第3図に示す計測厚さ)や、X線管球1から多列型X線検出器ユニット2までの距離によって決定され、近年のX線CT装置では0.5mm、0.6mm、0.625mm、1.0mm、1.25mmなどのように1.0mm前後の値となっている。
【0036】
図1中、4は回転盤部駆動装置で、回転ユニット10の回転盤部の回転の駆動するものである。また、図1中、5はX線制御装置で、線管球1の陽極から円錐状に被検者に照射するX線ビームを制御するものである。また、図1中、6は回転ユニット制御装置で、回転ユニット10を制御するためのものである。さらに、図1中、7は操作コンソールで、データ転送回路13から送信されてくる多列型X線検出器ユニット2で検出された被検者8を透過したX線に基づいく複数断面の投影データを、画像処理装置12において各種補正処理、逆投影演算をすることで被検者8の断層画像を構成し、CRT装置や液晶ディスプレイ装置等により構成する画像表示装置11に表示させる制御を行うものである。
【0037】
図3には、多列型X線CT装置に搭載される多列型X線検出器ユニット2の第1の実施例が示されている。図3は、図1に図示の多列型X線検出器ユニット2のユニット構成の模式図である。
【0038】
図3において、多列型X線CT装置に搭載される多列型X線検出器ユニット2は、多列型X線検出器ブロック14で構成されている。この多列型X線検出器ブロック14は、関心視野Aをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Aと、関心視野Bをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Bとによって構成される。
【0039】
この関心視野Aをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Aは、周辺部よりも体軸方向データ出力列数が多い多列型X線検出器ブロック14を配置し(検出器エリアA)、関心視野Bをカバーするための残りの多列型X線検出器ブロック14Bは、関心視野Aのそれよりも体軸方向データ出力列数が少ない多列型X線検出器ブロック14を配置し(検出器エリアB)ている。
【0040】
このように多列型X線検出器ユニット2全体は、体軸方向データ出力列数を異なって検出する多列型X線検出器ブロック14を配置して構成している。
【0041】
このように、本実施例における多列型X線検出器ユニット2を構成する多列型X線検出器ブロック14の体軸方向データ出力列の数は、多列型X線検出器ユニット2の中心位置より外側に向かって所定距離のデータ出力列数を密に、中心位置より外側に向かって所定距離から外側に位置するデータ出力列数を粗に構成してある。
【0042】
すなわち、関心視野Aをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Aは、例えば、64列とすると、関心視野Bをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Bを、多列型X線検出器ブロック14Aの体軸方向データ出力列の数よりも小さい、例えば、32列、又は,16列とする。
【0043】
また、関心視野Aをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Aは、例えば、32列とすると、関心視野Bをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Bを、多列型X線検出器ブロック14Aはの体軸方向データ出力列の数よりも小さい、例えば、16列、又は,8列とする。
【0044】
本実施例の多列型X線検出器ユニット2を構成する多列型X線検出器ブロック14の関心視野Aをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Aは、心臓領域、頭部領域、小児など関心視野Aで撮影可能な大きさの被写体は関心視野A内の検出器エリアAでスキャンを行う。そして、本実施例の多列型X線検出器ユニット2を構成する多列型X線検出器ブロック14の関心視野Bをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Bは、成人頭部など関心視野Aより大きい被写体は、関心視野B全体で、検出器エリアBも含めた多列型X線検出器ユニット2全体でスキャンを行う。
【0045】
ここで、検出器エリアAが体軸方向データ列数32列、検出器エリアBが体軸方向データ列数16列とした場合を例に採ってみる。検出器エリアAと検出器エリアBの境界付近を拡大した模式図は、図4に示す如き構成となる。なお、図4においては、作図の便宜上、検出器エリアAを8列、検出器エリアBを4列で示してある。
【0046】
図4において、n番のチャネルは、検出器エリアAの左端のチャネルであり、n番のチャネルのデータは、体軸方向32列(作図上は、8列)のデータ出力が存在する。また、n−1番のチャネルは、検出器エリアBの右端のチャネルであり、n−1番のチャネルのデータは、体軸方向16列(作図上は、4列)のデータ出力が存在する。
【0047】
この多列型X線検出器ユニット2の中心位置より外側に向かって形成されるデータ出力列数の密粗は,多列型X線検出器ユニット2の中心位置より外側に向かって所定距離のデータ出力列数を構成する検出器ブロックAと、中心位置より外側に向かって所定距離から外側に位置するデータ出力列数を構成する検出器ブロックBとを、異なる2種類の多列型X線検出器ブロック14を組み合わせて構成してもよい。
【実施例2】
【0048】
図5には、多列型X線CT装置に搭載される多列型X線検出器ユニット2の第2の実施例が示されている。図5は、図1に図示の多列型X線検出器ユニット2のユニット構成の模式図である。
【0049】
本実施例が、図3に図示第1実施例と異なる点は、図3に図示第1実施例が、2つの関心視野(関心視野A,関心視野B)をカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14であるのに対し、本実施例が、3つの関心視野(関心視野C,関心視野D,関心視野E)をカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14である点である。
【0050】
図5において、多列型X線CT装置に搭載される多列型X線検出器ユニット2は、多列型X線検出器ブロック14で構成されている。この多列型X線検出器ブロック14は、関心視野Cをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Cと、関心視野Dをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Dと、関心視野Eをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Eとによって構成される。
【0051】
この関心視野Cをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Cは、周辺部よりも体軸方向データ出力列数が多い多列型X線検出器ブロック14を配置し(検出器エリアC)、関心視野Dをカバーするための残りの多列型X線検出器ブロック14Dは、関心視野Cのそれよりも体軸方向データ出力列数が少ない多列型X線検出器ブロック14を配置し(検出器エリアD)、関心視野Eをカバーするための残りの多列型X線検出器ブロック14Eは、関心視野Cのそれよりも体軸方向データ出力列数が少ない多列型X線検出器ブロック14を配置し(検出器エリアE)ている。
【0052】
このように多列型X線検出器ユニット2全体は、体軸方向データ出力列数を異なって検出する多列型X線検出器ブロック14を配置して構成している。
【0053】
このように、多列型X線検出器ユニット2を構成する多列型X線検出器ブロック14の体軸方向データ出力列の数は、前記多列型X線検出器ユニットの中心位置より外側に向かって第1の距離までのデータ出力列数を第1の列数に、前記中心位置より外側に向かって第1の距離から第2の距離までの位置のデータ出力列数を第2の列数に、前記中心位置より外側に向かって第2の距離から第3の距離までの位置のデータ出力列数を第3の列数にし、前記第1の列数と、前記第2の列数と、前記第3の列数との関係が
第1の列数 > 第2の列数 > 第3の列数
となるように構成してある。
【0054】
すなわち、関心視野Cをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Cは、例えば、64列とすると、関心視野Dをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Dを、多列型X線検出器ブロック14Cの体軸方向データ出力列の数よりも小さい、例えば、32列とし、関心視野Eをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Eを、多列型X線検出器ブロック14Dの体軸方向データ出力列の数よりも小さい、例えば、16列、又は、8列とする。
【0055】
また、関心視野Cをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Cは、例えば、32列とすると、関心視野Dをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Dを、多列型X線検出器ブロック14Cの体軸方向データ出力列の数よりも小さい、例えば、16列とし、関心視野Eをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Eを、多列型X線検出器ブロック14Dの体軸方向データ出力列の数よりも小さい、例えば、8列とする。
【0056】
本実施例の多列型X線検出器ユニット2を構成する多列型X線検出器ブロック14の関心視野Cをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Cは、心臓領域、頭部領域、小児など関心視野Cで撮影可能な大きさの被写体は、関心視野C内の検出器エリアCでスキャンを行う。
【0057】
そして、多列型X線検出器ブロック14の関心視野Dをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Dは、成人頭部など関心視野Cより大きい被写体は、関心視野D内の検出器エリアDでスキャンを行う。
【0058】
さらに、多列型X線検出器ブロック14の関心視野Eをカバーする範囲の多列型X線検出器ブロック14Eは、成人胸部など関心視野Dより大きい被写体は、関心視野C,D全体で、検出器エリアC,Dも含めた多列型X線検出器ユニット2全体でスキャンを行う。
【0059】
ここで、検出器エリアCが体軸方向データ列数64列、検出器エリアDが体軸方向データ列数32列、検出器エリアEが体軸方向データ列数16列とした場合を例に採ってみる。検出器エリアCと検出器エリアDと検出器エリアEの境界付近を拡大した模式図は、図6に示す如き構成となる。
【0060】
なお、図6においては、作図の便宜上、検出器エリアCを8列、検出器エリアDを4列、検出器エリアEを2列で示してある。
【0061】
図6において、n番のチャネルは、検出器エリアCの左端のチャネルであり、n番のチャネルのデータは、体軸方向64列(作図上は、8列)のデータ出力が存在する。また、n−1番のチャネルは、検出器エリアDの右端のチャネルであり、n−1番のチャネルのデータは、体軸方向32列(作図上は、4列)のデータ出力が存在する。
【0062】
さらに、N番のチャネルは、検出器エリアDの左端のチャネルであり、N番のチャネルのデータは、体軸方向32列(作図上は、4列)のデータ出力が存在する。N−1番のチャネルは、検出器エリアEの右端のチャネルであり、N−1番のチャネルのデータは、体軸方向16列(作図上は、2列)のデータ出力が存在する。
【0063】
この多列型X線検出器ユニット2の中心位置より外側に向かって形成されるデータ出力列数の第1の列数(検出器エリアC)と、第2の列数(検出器エリアD)と、第3の列数(検出器エリアE)とは,多列型X線検出器ユニット2の中心位置より外側に向かって第1の距離のデータ出力列数を構成する検出器ブロックCと、中心位置より外側に向かって前記第1の距離から第2の距離までのデータ出力列数を構成する検出器ブロックDと、中心位置より外側に向かって第2の距離から第3の距離までのデータ出力列数を構成する検出器ブロックEとを、異なる3種類の多列型X線検出器ブロックを組み合わせて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るX線CT装置のユニット構成図である。
【図2】図1に図示のX線CT装置のX線検出器ユニットの対軸方向撮像範囲と対軸方向データ出力列数の関係を示す図である。
【図3】図1に図示のX線CT装置に搭載される多列型X線検出器ユニットの第1の実施例を示す斜視図である。
【図4】図3に図示のX線CT装置に搭載される多列型X線検出器ユニットの多列型X線検出器ブロックの構成図である。
【図5】図1に図示のX線CT装置に搭載される多列型X線検出器ユニットの第2の実施例を示す斜視図である。
【図6】図5に図示のX線CT装置に搭載される多列型X線検出器ユニットの多列型X線検出器ブロックの構成図である。
【符号の説明】
【0065】
1……………………………X線管球
2……………………………多列型X線検出器ユニット
3……………………………プリアンプ
4……………………………回転盤部駆動装置
5……………………………X線制御装置
6……………………………回転ユニット制御装置
7……………………………操作コンソール
8……………………………被検者
9……………………………寝台ユニット天板
10…………………………回転ユニット
11…………………………画像表示装置
12…………………………画像処理装置
13…………………………データ転送回路
14…………………………多列型X線検出器ブロック
14A………………………多列型X線検出器ブロック
14B………………………多列型X線検出器ブロック
14C………………………多列型X線検出器ブロック
14D………………………多列型X線検出器ブロック
14E………………………多列型X線検出器ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に開口部を有し被検体を中心に回転する回転盤と、前記回転盤に設置され前記被検体へ向けてX線を照射するX線管球と、前記被検体を挟んで前記X線管球と対向するように前記回転盤に設置され前記被検体を透過したX線を検出する前記被検体の体軸方向と直交する方向に配列される多チャネル型かつ前記被検体の体軸方向に配列される多列型のX線検出器ユニットとを備え、前記回転盤を回転しながら前記多列型X線検出器ユニットからの出力信号を取り出すことのできる回転ユニットと、
前記回転盤中央の開口部に設置し、前記被検体を載置する寝台ユニットと、該寝台ユニットに搭載した前記被検体の全周方向にX線管球からX線を照射して計測されるX線投影データに基づいて前記被検体の断層像を作成して断層像を画像表示装置に表示するX線CT装置において,
前記多列型X線検出器ユニットを構成する多列型X線検出器ブロックの体軸方向データ出力列の数を、前記多列型X線検出器ユニットのチャンネル配列方向における中心位置より端部側に向かって所定距離のデータ出力列数を密に、前記中心位置より端部側に向かって所定距離から端部側に位置するデータ出力列数を粗に構成したことを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
前記多列型X線検出器ユニットのチャンネル配列方向における中心位置より端部側に向かって形成される前記データ出力列数の密粗は,
前記端部側に向かって所定距離のデータ出力列数を構成する検出器ブロックと、前記中心位置より端部側に向かって所定距離から端部側に位置するデータ出力列数を構成する検出器ブロックとを、異なる2種類の多列型X線検出器ブロックを組み合わせて構成したものである請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記多列型X線検出器ユニットを構成する多列型X線検出器ブロックの体軸方向データ出力列の数を、前記多列型X線検出器ユニットのチャンネル方向における中心位置より端部側に向かって第1の距離までのデータ出力列数を第1の列数に、前記中心位置より端部側に向かって第1の距離から第2の距離までの位置のデータ出力列数を第2の列数に、前記中心位置より端部側に向かって第2の距離から第3の距離までの位置のデータ出力列数を第3の列数にし、前記第1の列数と、前記第2の列数と、前記第3の列数との関係が
第1の列数 > 第2の列数 > 第3の列数
の関係になるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記第1の列数と、前記第2の列数と、前記第3の列数とは,
前記多列型X線検出器ユニットの中心位置より端部側に向かって前記第1の距離のデータ出力列数を構成する検出器ブロックと、前記中心位置より外側に向かって前記第1の距離から前記第2の距離までのデータ出力列数を構成する検出器ブロックと、前記中心位置より外側に向かって前記第2の距離から前記第3の距離までのデータ出力列数を構成する検出器ブロックとを、異なる3種類の多列型X線検出器ブロックを組み合わせて構成したものである請求項3に記載のX線CT装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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