説明

Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、および第3成分の共沸および共沸様組成物

共沸もしくは共沸様組成物が開示される。本共沸もしくは共沸様組成物は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分の混合物である。第3成分がシクロペンタン、メタノール、ジメトキシメタン、ギ酸メチルまたはパーフルオロエチルイソプロピルケトンである組成物がまた開示される。かかる共沸もしくは共沸様組成物を発泡剤として使用することによる熱可塑性または熱硬化性発泡体の製造方法もまた開示される。かかる共沸もしくは共沸様組成物を使用することによる冷却を行う方法もまた開示される。かかる共沸もしくは共沸様組成物を溶媒として使用する方法もまた開示される。かかる共沸もしくは共沸様組成物を使用することによるエアゾール製品の製造方法もまた開示される。かかる共沸もしくは共沸様組成物を熱媒として使用する方法もまた開示される。かかる共沸もしくは共沸様組成物を使用することによる消火または鎮火方法もまた開示される。かかる共沸もしくは共沸様組成物を誘電体として使用する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に援用される2009年6月26日出願の米国特許出願第 号、参照により本明細書に援用される2009年6月26日出願の米仮国特許出願第61/220,673号、参照により本明細書に援用される2009年6月26日出願の米国仮特許出願第61/220,676号、参照により本明細書に援用される2009年7月15日出願の米国仮特許出願第61/220,680号、および参照により本明細書に援用される2009年7月15日出願の米国仮特許出願第61/225,627号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、および第3成分の共沸もしくは共沸様組成物であって、トランス−1,2−ジクロロエチレン、および第3成分が、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸もしくは共沸様組成物を形成するのに有効な量で存在する組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの産業は、オゾン破壊性のクロロフルオロカーボン(CFC)およびハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の代替品を見いだすために過去数十年間取り組んできた。CFCおよびHCFCは、エアゾール噴射剤、冷媒、クリーニング剤、熱可塑性および熱硬化性発泡体用の膨張剤、熱媒、ガス状誘電体、消火剤および鎮火剤、動力サイクル作動流体、重合媒体、微粒子除去流体、キャリア流体、バフ研磨剤、および置換乾燥剤としてのそれらの使用をはじめとする、多種多様な用途に用いられてきた。これらの用途が広い化合物の代替品の探究で、多くの産業がハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用に乗り出してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HFCは、成層圏オゾンの破壊に関与しないが、それらが「温室効果」に関与するために、すなわち、それらが地球温暖化に関与するために懸念されている。それらが地球温暖化に関与するため、HFCは監視下に置かれ、それらの広範囲に及ぶ使用もまた将来制限される可能性がある。このように、成層圏オゾンの破壊に関与せず、かつ、低い地球温暖化係数(GWP)もまた有する組成物が必要とされている。1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(CF3CH=CHCF3、FO−1336mzz)などの、特定のハイドロフルオロオレフィンは両方の目標を達成すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、(a)Z−FO−1336mzz、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン(E−ClCH=CHCl、トランス−1,2−DCE)および(c)第3成分から本質的になる共沸もしくは共沸様組成物であって、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分が、Z−FO−1336mzzと共沸もしくは共沸混合物様混合物を形成するのに有効な量で存在する組成物を提供する。
【0006】
本発明の一実施形態では、本組成物の第3成分は、シクロペンタン、メタノール、パーフルオロエチルイソプロピルケトン、ジメトキシメタン(DMM)、またはギ酸メチルである。
【0007】
本開示はまた、これらの共沸もしくは共沸様組成物を、発泡剤、冷媒、溶媒、エアゾール噴射剤、熱媒、消火剤、鎮火剤または誘電体として使用する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
多くの用途で、純粋な単一成分または共沸もしくは共沸混合物様混合物の使用が望ましい。例えば、発泡剤組成物(発泡体膨張剤または発泡体膨張組成物としても知られる)が純粋な単一成分または共沸もしくは共沸混合物様混合物でないとき、組成が発泡体形成プロセスでのその適用の間に変わる可能性がある。かかる組成の変化は、加工にひどい悪影響を及ぼすかまたはその適用で不十分な性能をもたらし得る。また、冷凍用途では、冷媒は、シャフトシール、ホース連結部、ハンダ付け接合部および破壊ラインでの漏洩によって運転中にしばしば失われる。加えて、冷媒は、冷凍設備の保全手順中に大気に放出される場合がある。冷媒が純粋な単一成分または共沸もしくは共沸様組成物でない場合、冷媒組成は、冷凍設備から大気に漏洩するかまたは排出するときに変化する可能性がある。冷媒組成の変化により、冷媒が引火性になるかまたは不十分な冷凍性能を有するようになる。従って、これらのおよび他の用途において共沸もしくは共沸混合物様混合物、例えば、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(Z−CF3CH=CHCF3、Z−FO−1336mzz、cis−FO−1336mzz)を含有する共沸もしくは共沸混合物様混合物を使用することが必要とされている。
【0009】
以下に記載される実施形態の詳細を取り上げる前に、幾つかの用語が定義されるかまたは明確にされる。
【0010】
FO−1336mzzは、2つの立体配置異性体、EまたはZの1つとして存在してもよい。FO−1336mzzは、本明細書で用いるところでは、異性体、Z−FO−1336mzzまたはE−FO−1336mzz、ならびにかかる異性体の任意の組み合わせまたは混合物を意味する。
【0011】
本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含まれる(includes)」、「をはじめとする(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、もしくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストされないか、またはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有である他の要素を含んでもよい。さらに、相反する記載がない限り、「または」は、包含的な「または」を意味し、そして排他的な「または」を意味しない。例えば、条件AまたはBは、次のいずれか1つで満たされる:Aは真であり(または存在し)かつBは偽である(存在しない)、Aは偽であり(または存在せず)かつBは真である(または存在する)、およびAおよびBの両方とも真である(または存在する)。
【0012】
同様に、単数形(「a」または「an」)の使用は、本明細書に記載される要素および成分を記載するために採用される。これは、便宜上および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、そして単数はまた、それが複数ではないことを意味することが明確でない限り複数を包含する。
【0013】
特に明確にされない限り、本明細書に用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは等価の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。本明細書に言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、特に節が言及されない限り、全体が参照により援用される。矛盾が生じた場合には、定義をはじめとして、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は例示的であるにすぎず、限定的であることを意図されない。
【0014】
Z−FO−1336mzzは公知の化合物であり、その製造方法は、例えば、全体が参照により本明細書によって援用される米国特許出願公開第2008/0269532号明細書に開示されている。
【0015】
本出願には、(a)Z−FO−1336mzz、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および(c)第3成分から本質的になる三元共沸もしくは共沸様組成物であって、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分が、Z−FO−1336mzzと共沸もしくは共沸混合物様混合物を形成するのに有効な量で存在する組成物が含まれる。例としては、第3成分が、シクロペンタン、メタノール、ジメトキシメタン、ギ酸メチルまたはパーフルオロエチルイソプロピルケトンである組成物が挙げられる。
【0016】
有効な量とは、Z−FO−1336mzzと組み合わせられたときに、共沸もしくは共沸混合物様混合物の形成をもたらす量を意味する。この定義には、共沸もしくは共沸様組成物が異なる圧力で、しかし可能性がある異なる沸点で存在し続ける限り、その量が組成物に加えられる圧力に依存して変わってもよい、各成分の量が含まれる。それ故、有効な量には、重量またはモル百分率で表され得る、本明細書に記載されるもの以外の温度または圧力で共沸もしくは共沸様組成物を形成する本発明の組成物の各成分の量が含まれる。
【0017】
当該技術分野で認められているように、共沸組成物は、2つ以上の異なる成分の混合剤であり、それは、所与の圧力下で液体形態にあるとき、実質的に一定の温度で沸騰し、沸騰中の全体液体組成と本質的に同一である蒸気組成を提供するであろう(例えば、M.F.Doherty and M.F.Malone、Conceptual Design of Distillation Systems、McGraw−Hill(New York)、2001年、185〜186、351〜359頁を参照されたい)。定沸点組成物は、一定圧力でのニート成分の沸点と比べて、それらが混合物の最高沸点か最低沸点かのどちらかを示すので、共沸として特徴付けられる、すなわち、最高または最低沸点が、組成物中の成分のモル分率の関数として、所与の圧力での組成物沸点のプロットにおいて観察される。共沸組成物はまた、一定温度でのニート成分の蒸気圧と比べて、混合物の蒸気圧における最高または最低によって特徴付けられる、すなわち、最高または最低蒸気圧が、組成物中の成分のモル分率の関数として、所与の温度での組成物蒸気圧のプロットにおいて観察される。
【0018】
従って、共沸組成物の本質的な特徴は、所与の圧力で、液体組成物の沸点が固定されていること、かつ、沸騰中の組成物の上方の蒸気の組成が本質的に、沸騰中の全体液体組成物の組成である(すなわち、液体組成物の成分の分留が全く起こらない)ことである。共沸組成物が異なる圧力で沸騰にかけられるときに、共沸組成物の各成分の沸点および重量百分率の両方が変わる場合があることもまた当該技術分野で認められている。従って、共沸組成物は、成分間に存在する特有の関係の観点からまたは成分の組成範囲の観点から、または指定圧力での固定沸点によって特徴付けられる組成物の各成分の正確な重量百分率の観点から定義されてもよい。
【0019】
本発明の目的のためには、共沸様組成物は、共沸組成物のように挙動する(すなわち、定沸点特性または沸騰もしくは蒸発時に分留しない傾向を有する)組成物を意味する。それ故に、沸騰もしくは蒸発中に、気液組成は、それらが仮に変化する場合でも、最小限の程度または無視できる程度しか変化しない。これは、沸騰もしくは蒸発中に、気液組成がかなりの程度変化する非共沸様組成物と対比されるべきである。
【0020】
共沸様組成物はまた、組成物中の成分のモル分率の関数として所与の圧力での組成物沸点のプロットにおける最高または最低沸点に隣接するエリアによって特徴付けることができる。それ故に、共沸様組成物の別の特性は、所与の圧力での組成物の沸点が実質的に不変である、様々な割合で個々の成分を含有する様々な組成物が存在することである。
【0021】
共沸様組成物はまた、組成物中の成分のモル分率の関数として、所与の温度での組成物蒸気圧のプロットにおける最高または最低蒸気圧に隣接するエリアによって特徴付けることができる。それ故に、共沸様組成物の別の特性は、所与の温度での組成物の蒸気圧が実質的に不変である、様々な割合で個々の成分を含有する様々な組成物が存在することである。
【0022】
さらに、共沸様組成物は、実質的に圧力差なしの露点圧力および沸点圧力を示す。すなわち、所与の温度での露点圧力と沸点圧力との差は小さな値であろう。
【0023】
Z−FO−1336mzz、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよびシクロペンタンは三元共沸もしくは共沸様組成物を形成することが実験によって見いだされた。共沸組成物は、約58重量パーセントのZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、約22重量パーセントのトランス−1,2−ジクロロエチレン、および約20重量パーセントのシクロペンタンから本質的になる。それは、ほぼ大気圧(14.7psia)で約29℃の沸点を有する。共沸様組成物は、約34〜約70重量パーセントのZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、約13〜約27重量パーセントのトランス−1,2−ジクロロエチレン、および約2〜約53重量パーセントのシクロペンタンから本質的になる。それは、約14.7psiaの圧力で約29℃〜約30℃の沸点を有する。
【0024】
Z−FO−1336mzz、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよびパーフルオロエチルイソプロピルケトンは三元共沸もしくは共沸様組成物を形成することが実験によって見いだされた。共沸組成物は、ほぼ大気圧(14.7psia)で約30℃の沸点を有する。共沸様組成物は、約36〜約72重量パーセントのZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、約14〜約28重量パーセントのトランス−1,2−ジクロロエチレン、および約1〜約50重量パーセントのパーフルオロエチルイソプロピルケトンから本質的になり、約14.7psia圧力で約30℃の沸点を有する。
【0025】
Z−FO−1336mzz、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよびメタノールは三元共沸もしくは共沸様組成物を形成することが実験によって見いだされた。共沸組成物は、約70重量パーセントのZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、約27重量パーセントのトランス−1,2−ジクロロエチレン、および約3重量パーセントのメタノールから本質的になる。それは、ほぼ大気圧(14.7psia)で約29℃の沸点を有する。共沸様組成物は、約60〜約72重量パーセントのZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、約23〜約28重量パーセントのトランス−1,2−ジクロロエチレン、および約1〜約16重量パーセントのメタノールから本質的になる。それは、約14.7psiaの圧力で約29℃〜約31℃の沸点を有する。
【0026】
Z−FO−1336mzz、ギ酸メチルおよびトランス−1,2−ジクロロエチレンは三元共沸様組成物を形成することが実験によって見いだされた。共沸様組成物は、約18〜約60重量パーセントのZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、約17〜約64重量パーセントのギ酸メチル、および約18〜約23重量パーセントのトランス−1,2−ジクロロエチレンから本質的になる。それは、約14.7psia圧力で約31℃の沸点を有する。
【0027】
Z−FO−1336mzz、ジメトキシメタンおよびトランス−1,2−ジクロロエチレンは三元共沸様組成物を形成することが実験によって見いだされた。共沸様組成物は、約1〜約47重量パーセントのZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、約35〜約99重量パーセントのジメトキシメタン、および約1〜約18重量パーセントのトランス−1,2−ジクロロエチレンから本質的になる。それは、約14.7psia圧力で約41℃の沸点を有する。
【0028】
本発明の共沸もしくは共沸様組成物は、所望の量の混合または配合をはじめとする任意の従来の方法によって調製することができる。本発明の一実施形態では、共沸もしくは共沸様組成物は、所望の成分量を秤量し、その後適切な容器でそれらを組み合わせることによって調製することができる。
【0029】
本発明の共沸もしくは共沸様組成物は、エアゾール噴射剤、冷媒、溶媒、クリーニング剤、熱可塑性および熱硬化性発泡体用の発泡剤(発泡体膨張剤)、熱媒、ガス状誘電体、消火剤および鎮火剤、動力サイクル作動流体、重合媒体、微粒子除去流体、キャリア流体、バフ研磨剤、および置換乾燥剤としてのそれらの使用をはじめとする、広範囲の用途に使用することができる。
【0030】
本発明の一実施形態は、熱可塑性または熱硬化性発泡体の製造方法を提供する。本方法は、共沸もしくは共沸様組成物を発泡剤として使用する工程を含み、ここで、前記共沸もしくは共沸様組成物は、(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および(c)第3成分から本質的になり、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸もしくは共沸様配合を形成するのに有効な量で存在する。
【0031】
本発明の別の実施形態は、冷却を行うための方法を提供する。本方法は、共沸もしくは共沸様組成物を凝縮させる工程と、その後冷却されるべき本体の近くで前記共沸もしくは共沸様組成物を蒸発させる工程とを含み、ここで、前記共沸もしくは共沸様組成物は、(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および(c)第3成分から本質的になり、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸もしくは共沸様配合を形成するのに有効な量で存在する。
【0032】
本発明の別の実施形態は、共沸もしくは共沸様組成物を溶媒として使用する方法であって、前記共沸もしくは共沸様組成物が、(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および(c)第3成分から本質的になり、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分が、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸もしくは共沸混合物様配合を形成するのに有効な量で存在する方法を提供する。
【0033】
本発明の別の実施形態は、エアゾール製品の製造方法を提供する。本方法は、共沸もしくは共沸様組成物を噴射剤として使用する工程を含み、ここで、前記共沸もしくは共沸様組成物は、(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および(c)第3成分から本質的になり、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸もしくは共沸様配合を形成するのに有効な量で存在する。
【0034】
本発明の別の実施形態は、共沸もしくは共沸様組成物を熱媒として使用する方法であって、前記共沸もしくは共沸様組成物が、(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および(c)第3成分から本質的になり、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分が、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸もしくは共沸様配合を形成するのに有効な量で存在する方法を提供する。
【0035】
本発明の別の実施形態は、消火または鎮火方法を提供する。本方法は、共沸もしくは共沸様組成物を消火剤または鎮火剤として使用する工程を含み、ここで、前記共沸もしくは共沸様組成物は、(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および(c)第3成分から本質的になり、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸もしくは共沸様配合を形成するのに有効な量で存在する。
【0036】
本発明の別の実施形態は、共沸もしくは共沸様組成物を誘電体として使用する方法であって、前記共沸もしくは共沸様組成物が、(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および(c)第3成分から本質的になり、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび第3成分が、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸もしくは共沸様配合を形成するのに有効な量で存在する方法を提供する。
【0037】
多くの態様および実施形態が上に説明されてきたが、例示的であるにすぎず、限定的ではない。本明細書を読むと、当業者は、その他の態様および実施形態が本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを十分理解する。
【実施例】
【0038】
本明細書に記載される概念は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない、以下の実施例においてさらに説明される。実施例においては特に明記しない限り、全ての百分率は重量による。
【0039】
実施例1−シクロペンタン
実施例1は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよびシクロペンタンによって形成される共沸もしくは共沸様組成物の存在を実証する。温度計を備えたエブリオメータに、20.0グラムの混合物(72.1重量%のZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンおよび27.9重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレン)を装入し、次にシクロペンタンを測定増量して加えた。約14.7psiaで、得られた三元混合物の沸点温度を測定し、記録した(表1を参照されたい)。シクロペンタンをZ−FO−1336mzz/トランス−1,2−DCE混合物に加えたときに温度低下が観察され、三元最低沸騰共沸混合物が形成されたことを示唆した。ほぼ大気圧(14.7psia)で、三元共沸組成物は約20重量パーセントのシクロペンタン、約58重量パーセントのZ−FO−1336mzzおよび約22重量パーセントのトランス−1,2−DCEを有し、約29℃の沸点を有することが分かった。約2〜約53重量パーセントのシクロペンタンで、得られた三元混合物の沸点は約1℃以下だけ変化した。これらの組成物はそれ故に、この範囲にわたって共沸混合物様特性を示した。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例2−ギ酸メチル
実施例2は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、ギ酸メチルおよびトランス−1,2−ジクロロエチレンによって形成される共沸様組成物の存在を実証する。温度計を備えたエブリオメータに、20.0グラムの混合物(72.1重量%のZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンおよび27.9重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレン)を装入し、次にギ酸メチルを測定増量して加えた。約14.7psiaで、得られた三元混合物の沸点温度を測定し、記録した(表2を参照されたい)。約17〜約64重量パーセントのギ酸メチルで、得られた三元混合物の沸点は不変であった。本組成物はそれ故に、この範囲にわたって共沸混合物様特性を示す。
【0042】
【表2】

【0043】
実施例3−メタノール
実施例3は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよびメタノールによって形成される共沸もしくは共沸様組成物の存在を実証する。温度計を備えたエブリオメータに、20.0グラムの混合物(72.1重量%のZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンおよび27.9重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレン)を装入し、次にメタノールを測定増量して加えた。約14.7psiaで、得られた三元混合物の沸点温度を測定し、記録した(表3を参照されたい)。メタノールをZ−FO−1336mzz/トランス−1,2−DCE混合物に加えたときに温度低下が観察され、三元最低沸騰共沸混合物が形成されたことを示唆した。ほぼ大気圧(14.7psia)で、三元共沸組成物は約3重量パーセントのメタノール、約70重量パーセントのZ−FO−1336mzzおよび約27重量パーセントのトランス−1,2−DCEを有し、約29℃の沸点を有することが分かった。約1〜約16重量パーセントのメタノールで、得られた三元混合物の沸点は約2℃以下だけ変化した。これらの組成物はそれ故に、この範囲にわたって共沸混合物様特性を示した。
【0044】
【表3】

【0045】
実施例4−パーフルオロエチルイソプロピルケトン
実施例4は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(Z−FO−1336mzz)、トランス−1,2−ジクロロエチレン(トランス−1,2−DCE)およびパーフルオロエチルイソプロピルケトン(F−エチルイソプロピルケトン)によって形成される共沸もしくは共沸様組成物の存在を実証する。温度計を備えたエブリオメータに、20.0グラムの混合物(72.1重量%のZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンおよび27.9重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレン)を装入し、次にパーフルオロエチルイソプロピルケトンを測定増量して加えた。約14.7psiaで、得られた三元混合物の沸点温度を測定し、記録した(表1を参照されたい)。約1〜約50重量パーセントのパーフルオロエチルイソプロピルケトンで、得られた三元混合物の沸点は約1℃以下だけ変化した。これらの組成物はそれ故に、この範囲にわたって共沸混合物様特性を示した。
【0046】
【表4】

【0047】
実施例5−DMM
実施例5は、Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(Z−FO−1336mzz)、ジメトキシメタン(DMM)およびトランス−1,2−ジクロロエチレン(トランス−1,2−DCE)によって形成される共沸様組成物の存在を実証する。温度計を備えたエブリオメータに、20.0グラムの混合物(72.1重量%のZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンおよび27.9重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレン)を装入し、次にジメトキシメタンを測定増量して加えた。約14.7psiaで、得られた三元混合物の沸点温度を測定し、記録した(表5を参照されたい)。約35〜約99重量パーセントのジメトキシメタンで、得られた三元混合物の沸点は約2℃未満だけ変化した。本組成物はそれ故に、この範囲にわたって共沸混合物様特性を示した。
【0048】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、
(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および
(c)第3成分
から本質的になる共沸組成物であって、前記トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび前記第3成分が、前記Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸配合を形成するのに有効な量で存在する組成物。
【請求項2】
前記組成物の前記第3成分が、シクロペンタン、メタノール、またはパーフルオロエチルイソプロピルケトンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(i)前記第3成分がシクロペンタンであり、約14.7psiaの圧力で約29℃の沸点を有する、
(i)前記第3成分がパーフルオロエチルイソプロピルケトンであり、約14.7psiaの圧力で約30℃の沸点を有する、または
(iii)前記第3成分がメタノールであり、約14.7psiaの圧力で約29℃の沸点を有する、
請求項2に記載の共沸組成物。
【請求項4】
(a)Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、
(b)トランス−1,2−ジクロロエチレン、および
(c)第3成分
から本質的になる共沸様組成物であって、前記トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび前記第3成分が、前記Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンと共沸様配合を形成するのに有効な量で存在する組成物。
【請求項5】
前記第3成分が、シクロペンタン、メタノール、ジメトキシメタン、ギ酸メチルまたはパーフルオロエチルイソプロピルケトンである、請求項3に記載の共沸様組成物。
【請求項6】
前記第3成分が、
(i)約2〜約53重量パーセントのシクロペンタンであり、前記Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンが約34〜約70重量パーセントであり、前記トランス−1,2−ジクロロエチレンが約13〜約27重量パーセントである、
(ii)約17〜約64重量パーセントのギ酸メチルであり、前記Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンが約18〜約60重量パーセントであり、前記トランス−1,2−ジクロロエチレンが約18〜約23重量パーセントである、
(iii)約1〜約16重量パーセントのメタノールであり、前記Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンが約60〜約72重量パーセントであり、前記トランス−1,2−ジクロロエチレンが約23〜約28重量パーセントである、
(iv)約1〜約50重量パーセントのパーフルオロエチルイソプロピルケトンであり、前記Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンが約36〜約72重量パーセントであり、前記トランス−1,2−ジクロロエチレンが約14〜約28重量パーセントである、または
(v)約35〜約99重量パーセントのジメトキシメタンであり、前記Z−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンが約1〜約47重量パーセントであり、前記トランス−1,2−ジクロロエチレンが約1〜約18重量パーセントである
請求項5に記載の共沸様組成物。
【請求項7】
エアゾール噴射剤、冷媒、溶媒、クリーニング剤、熱可塑性または熱硬化性発泡体用の発泡体膨張剤、熱媒、ガス状誘電体、消火剤および鎮火剤、動力サイクル作動流体、重合媒体、微粒子除去流体、キャリア流体、バフ研磨剤、または置換乾燥剤である、請求項4に記載の共沸様組成物。
【請求項8】
エアゾール噴射剤、冷媒、溶媒、クリーニング剤、熱可塑性または熱硬化性発泡体用の発泡体膨張剤、熱媒、ガス状誘電体、消火剤および鎮火剤、動力サイクル作動流体、重合媒体、微粒子除去流体、キャリア流体、バフ研磨剤、または置換乾燥剤である、請求項1に記載の共沸組成物。

【公表番号】特表2012−531495(P2012−531495A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517821(P2012−517821)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/040154
【国際公開番号】WO2010/151864
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】