説明

invivo細胞死を検出するためにmiRNAを使用する方法

遍在的および組織特異的miRNAのレベルを測定することによって、in vivo細胞死を検出する非侵襲的方法を記載する。この方法は、細胞死によって引き起こされるかまたはそれに付随する病状の検出、ならびに異なる化学的もしくは物理的因子、および特異的な胎児性の異常の存在によって誘導される感染性疾患、細胞毒性効果の診断に適用することができる。一実施形態において、本発明は、様々な組織および器官中のin vivo細胞死を評価するために、体液中の細胞、組織および/または器官特異的無細胞miRNAを検出および定量する方法を提供し、ここで、in vivo細胞死が特定組織および/または器官の障害と関係があり、該方法は:(a)対象から体液試料を得ること、および(b)該体液試料をmiRNAの1つまたは複数の特異的配列に関して分析することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2007年8月22日に出願された、米国仮出願第60/965,871号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、体液中の無細胞低分子RNA、特にマイクロRNA(miRNA)配列の単離および検出用の非侵襲的方法を提供する。より具体的には、本発明は、臨床診断および治療モニタリング用に、miRNAレベルに関して尿および他の体液を分析することによる、in vivo細胞死を検出する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
細胞死は、多細胞生物の成長および機能の正常な構成要素である。自然な過程である細胞死は、内的要因によって引き起こされる多数の疾患の病状に関与する。細胞死は、外部の物理的、化学的、または生物学的因子によって引き起こされる疾患も伴う。
【0004】
異なる形態および分子特性を特徴とする、2つの主な型の細胞死、壊死およびアポトーシスが存在する(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。壊死は重度の分子および/または構造損傷に直接起因する壊滅的代謝不全と考えられ、炎症および周囲の細胞に対する二次的損傷をもたらす。アポトーシスは、壊死よりはるかに多く見られる生物学的現象であり、ホルモン、サイトカインなどの特異的シグナルによって、成長または接着因子などの特異的シグナルの不在によって、または完全性の壊滅的消失を引き起こさない分子の損傷によって誘導される可能性がある。アポトーシスは、整然とした特異的なカスケードの分子事象の開始に関与する活性細胞応答の結果である。アポトーシスは、特徴的なクロマチン凝縮および辺縁、核フラグメンテーション、細胞収縮、膜ブレブ形成および酵素によるヌクレオソーム内の核DNAのフラグメンテーションの出現をもたらす(非特許文献7;非特許文献8)。特異的形態によって特徴付けられる他のさらに稀な形の細胞死、例えばいわゆる自己貪食性細胞死も記載されてきている(Bredesenら、Stroke.38巻(補遺2号):652〜660頁(2007年)。
【0005】
細胞死の特異的機構および型と無関係に、死細胞型を検出するための方法は、様々な疾患の診断に重要であり、疾患および治療モニタリングに重要であり、かつ鑑別診断に有用である。さらに、in vivoにおける特異的細胞死を検出することができる方法は、細胞死の予防または誘導を目的とする薬剤の開発、および新たに開発された薬剤の細胞毒性の分析に有用である。
【0006】
血液中または他の体液中の、例えば抗原、酵素および他のタンパク質などの組織特異的マーカーの検出に基づく、疾患関連の過剰な細胞死の診断用の幾つかの臨床試験が存在する。血液中の肝臓特異的酵素の活性の測定は、例えば、肝細胞死を評価するために広く使用されている方法である(Amacherら、Regul Toxicol Pharmacol.Apr;27巻(2号):119〜130頁(1988年);Salaspuroら、Enzyme.37巻:87〜107頁(1987年);Herlong、Hosp.Pract.(Off Ed).29巻(11号):32〜38頁(1994年))。心筋細胞特異的抗原のレベルの評価も、心筋梗塞を診断するために使用されてきている(Mairら、Clin Chem Lab Med.37巻:1077〜1084頁(1999年);Nunesら、Rev Port Cardiol.20巻:785〜788頁(2001年))。しかしながら、幾つかのこのような技法は、有意な、組織特異的結果を与えるための分析用の検出のマーカーおよび方法が知られている疾患に限られている(Oh Sら、Curr Gastroenterol Rep.3巻:12〜18頁(2001年);Rochlingら、Clin Cornerstone.3巻(6号):l〜12頁(2001年))。他の方法は、分析用試料を得るために、疾患状態を有する疑いがある特異的組織の侵襲的生検を必要とする。しかしながら、幾つかの器官および組織、例えば脳の生検は非常に侵襲的であり、しばしば実施するのが困難である。
【0007】
哺乳動物生物における主な型の細胞死であるアポトーシス、すなわちプログラムされた細胞死は、ヌクレオソーム内の核DNAのフラグメンテーションを伴うことはよく知られている。多くの研究室は、このDNAの一部分が血液中に現れることを実証している(Lo Y.M.Ann N Y Acad Sci.945巻:1〜7頁(2001年);Lichtensteinら、Ann N Y Acad Sci.945巻:239〜249頁(2001年);Tabackら、Curr Opin Mol Ther.6巻:273〜278頁(2004年);Bischoffら、Hum Reprod Update.8巻:493〜500頁、(2002年))。経腎DNA(Tr−DNA)と呼ばれるこのフラグメント状DNAは腎臓壁を通過し、尿中で検出することができることも示されている。(Botezatuら、Clin Chem.46巻:1078〜1084頁、(2000年);Suら、J Mol Diagn.6巻:101〜107頁(2004年);Suら、Ann N Y Acad Sci.1022巻:81〜89頁(2004年)。
【0008】
無細胞血漿DNAとTr−DNAは両方共に診断ツールとして使用することができるが、細胞死などの組織特異的事象を評価するとき、それらはかなり限られた手法となる。したがって、特定組織および器官中の死細胞のレベルを検出するその能力のために、非侵襲的であり広範囲の特異的病状の目安を与える分析法は、患者中の様々な疾患の状態または病状を診断およびモニタリングするのに有用である可能性がある。さらに、疾患療法に対する患者の応答性をモニタリングするための手段を与える組織特異的分析法は、療法有効性、および薬剤治療の場合は、薬剤投与に必要とされる最適用量を決定するのに有用である可能性がある。
【0009】
これらの問題に対処するために、本発明は、例えば血清および尿などの体液中の、in vivo細胞死をモニタリングするための診断ツールとしての、マイクロRNA(miRNA)の使用に焦点を当てる。無細胞血漿DNAおよびTr−DNAと異なり、多くのmiRNAは細胞、組織および器官特異的発現プロファイルを示す(Liangら、Genomics、8巻:166頁(2007年);Lukiwら、Neuroreport.18巻:297〜300頁(2007年);Lagos−Quintanaら、Curr Biol.12巻:735〜739頁(2002年);Chenら、Nat Genet.38巻:228〜233頁(2006年);Beuvinkら、J.Nucleic Acids Res.35巻:e52(2007年))。さらに、miRNA細胞および組織特異的プロファイルと異なる病状および腫瘍型の相関関係は実証されている(Visone Rら、Oncogene.26巻:7590〜7595頁(2007年);Nelsonら、Neuropathol Exp Neurol.66巻:461〜468頁(2007年);Negriniら、J Cell Sci.120巻:1833〜1840頁(2007年);Changら、Annu Rev Genomics Hum Genet.8巻:215〜239頁(2007年);Jayら、Cell Biol.26巻:293〜300頁(2007年))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Kerrら、Br.J.Cancer.(1972年)26巻、239〜257頁
【非特許文献2】Umansky、Theor.Biol.(1982年)97巻、591〜602頁
【非特許文献3】Umanskyら、Adv Pharmacol、(1997年)41巻、383〜407頁
【非特許文献4】Ameisen、Cell Death Differ.(2004年)11巻、4〜10頁
【非特許文献5】Lockshinら、Int J Biochem Cell Biol.(2004年)36巻、2405〜19頁
【非特許文献6】G.Kroemerら、Cell Death and Differentiation(2005年)12巻、1463〜1467頁
【非特許文献7】Umanskyら、Biochim Biophys Acta.(1981年)655巻、9〜17頁
【非特許文献8】Arendsら、Am J Pathol.(1990年)136巻、593〜608頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、例えば血清および尿などの体液中の、特異的病状に特徴的な組織特異的miRNAの検出によって、in vivo細胞死を測定するための方法を提供する。体液中のmiRNAの検出に基づく本発明の方法は、診断またはモニタリング試験のさらなる開発に使用される。
【0012】
本発明は、体液から得た無細胞核酸中の特異的miRNA配列のレベルを分析することであって、前記miRNAが身体中で死滅する細胞に由来すること、および得られた分析結果を使用して、患者中の疾患または異常な医学的状態の状況を決定することによって、in vivo細胞死を検出および測定するための新規な方法に関する。
【0013】
本発明の方法は、無細胞核酸のアニオン交換体への吸着およびアニオン交換体からの溶出に基づくものであり、それによって10ヌクレオチドより大きい核酸断片の濃縮および単離を可能にする。具体的には本発明は、(i)体液中のmiRNAの存在、(ii)例えば経腎miRNA(Tr−miRNA)など、それらが腎臓壁を通過したことを意味する、泌尿器系の外側に位置する器官由来のmiRNAの尿中における検出、iii)血清中のmiRNAの検出、(iv)特定細胞、組織および/または器官における細胞死と関係がある病状は前記器官に特異的なmiRNAのレベルの変化を伴うことを実証する。
【0014】
本発明は、様々な組織および器官中のin vivo細胞死を評価するために、体液中の細胞、組織および/または器官特異的無細胞miRNAを検出および定量する方法であって、in vivo細胞死が特定組織および/または器官の障害と関係があり、対象から体液試料を得ること、および前記体液試料をmiRNAの1つまたは複数の特異的配列に関して分析することを含み、前記分析が前記特異的miRNA配列の一部分と実質的に相補的であるプライマーおよび/またはプローブを用いて前記miRNAを検出するステップを含む方法を提供する。本発明の幾つかの実施形態では、過剰または不十分なin vivo細胞死は特定組織の障害と関係がある。
【0015】
本発明の一実施形態では、体液は尿である。別の実施形態では、本発明の尿試料の分析法は、ハイブリダイゼーション、サイクリングプローブ反応(cycling probe reaction)、ポリメラーゼ連鎖反応、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応、単鎖の立体配座多型を分析するためのPCR、およびリガーゼ連鎖反応からなる群から選択される技法を含む。さらに別の実施形態では、前記尿試料中の核酸の分解を低減させる。
【0016】
本発明の方法は、(1つまたは複数の)RNAse阻害剤の添加、熱不活性化によって、またはグアニジン−HCl、グアニジンイソチオシアネート、N−ラウロイルサルコシン、およびドデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択される化合物で前記尿試料を処理することによってヌクレアーゼ活性を阻害することを含む、核酸の分解の低減を含む。本発明の一実施形態では、尿試料は膀胱中に12時間未満保持されている。
【0017】
本発明の一実施形態では、体液は血清である。本発明の方法は、ハイブリダイゼーション、サイクリングプローブ反応、ポリメラーゼ連鎖反応、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応、単鎖の立体配座多型を分析するためのPCR、およびリガーゼ連鎖反応からなる群から選択される技法を含めた血清試料の分析を含む。
【0018】
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、組織または器官中の過剰または不十分な細胞死と関係がある特異的障害の特異的マーカーとして、無細胞miRNAを検出することを含む。場合によっては、前記障害は病原体感染である。前記病原体はウイルスであることが好ましい。前記ウイルスはエプスタインバーウイルスであることがより好ましい。場合によっては、前記障害は、妊娠および/または胎児性またはダウン症候群と関係がある、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病である。
【0019】
本発明は、組織または器官中の過剰または不十分な細胞死と関係がある障害の結果として、対象の泌尿器系以外の領域を含めた異なる器官および組織由来の無細胞miRNAを尿中において検出する方法であって、対象から尿試料を得ること、および前記尿試料をmiRNAの1つまたは複数の特異的配列に関して分析することを含み、前記分析が前記特異的miRNA配列の一部分と実質的に相補的であるプライマーおよび/またはプローブを用いて前記miRNAを検出するステップを含む方法を提供する。
【0020】
本発明の方法は、体液中の特異的無細胞miRNAの定量分析による対象の疾患および/または治療モニタリングの方法であって、対象から体液試料を定期的に得ること、および前記試料を、対象とする細胞、組織または器官中で特異的である/過剰発現されるmiRNAの1つまたは複数の特異的配列に関して分析することを含み、前記分析が前記特異的miRNA配列の一部分と実質的に相補的であるプライマーおよび/またはプローブを用いて前記miRNAを検出するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、体液は尿である。別の実施形態では、体液は血清である。
【0021】
本発明の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面中に例示するように、本発明の実施形態のより特定の記載から明らかとなる。図面は必ずしもスケール表示、強調表示するものではなく、代わりに本発明の原理を例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】Q−Sepharose(商標)を使用した濾過尿から抽出した核酸のポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真の図である。
【図2】EBV由来BART1miRNA特異的RT−PCR産物のポリアクリルアミドゲル分析の写真の図である。
【図3−1】図3A〜3Gは、脳卒中後12および24時間の時間地点での、患者の尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図3−2】図3A〜3Gは、脳卒中後12および24時間の時間地点での、患者の尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図3−3】図3A〜3Gは、脳卒中後12および24時間の時間地点での、患者の尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図3−4】図3A〜3Gは、脳卒中後12および24時間の時間地点での、患者の尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図4】miRNA129および219濃度の変化と脳卒中の結果の間の相関関係を表す略図である。○および□として示した患者は脳卒中後1カ月でその臨床状態が改善し、×で示した患者の臨床状態は脳卒中後1カ月で悪化した。
【図5−1】アルツハイマー病を有する患者と年齢適合対照の無濾過尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図5−2】アルツハイマー病を有する患者と年齢適合対照の無濾過尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図5−3】アルツハイマー病を有する患者と年齢適合対照の無濾過尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図6−1】アルツハイマー病を有する患者と年齢適合対照の濾過尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図6−2】アルツハイマー病を有する患者と年齢適合対照の濾過尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図7−1】アルツハイマー病を有する患者と年齢適合対照の血清試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図7−2】アルツハイマー病を有する患者と年齢適合対照の血清試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図8−1】パーキンソン病を有する患者と年齢適合対照の尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図8−2】パーキンソン病を有する患者と年齢適合対照の尿試料中のmiRNAの標準化濃度のドットプロット図である。
【図9】ダウン症候群である妊婦と正常胎児の尿試料中のmiRNA−9の標準化濃度のドットプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の技術は、低分子RNA、特に経腎miRNA(Tr−miRNA)を含めた特異的マイクロRNA(miRNA)が体液中に存在し、かつそれらの濃度は器官障害または他の病状と関係がある細胞死を反映するという発見に基づく。したがって、対照群のそれより低いかまたは高いレベルでのこれらの核酸配列の存在は、異常または病的状態が、そこから試料を得た患者におそらく存在することを示す。
【0024】
本発明の方法は、それらの固有の非侵襲的性質のため、以前の診断法、検出法およびモニタリング法に優る改善点を与える。
【0025】
本発明の理解を容易にするために、幾つかの用語を以下に定義する:
用語「プライマー」は、プライマー延長が開始される条件下に置かれたとき、合成の開始地点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチド「プライマー」は精製制限断片の消化などと同様に自然に存在する可能性があり、または合成によって生成することができる。
【0026】
鋳型の特異的配列の鎖と「実質的に」相補的であるプライマーを選択する。プライマーは鋳型鎖とハイブリダイズしてプライマー延長が起こるほど十分相補的でなければならない。プライマー配列は鋳型の正確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片を、プライマー配列の残り部分が鎖と実質的に相補的であるプライマーの5’末端と結合させることが可能である。プライマー配列がハイブリダイズし、それによってプライマーの延長産物の合成用の鋳型プライマー複合体を形成するほど鋳型の配列と十分な相補性を有するという条件で、非相補的塩基またはより長い配列をプライマー中に散在させることが可能である。
【0027】
「標的」核酸は、ハイブリダイゼーション、増幅、または分析法の組合せを含めた、核酸配列を分析する任意の他の手段によって評価されるmiRNA配列である。
【0028】
「ハイブリダイゼーション」法は、相補的配列と標的核酸(分析する配列)のアニーリングを含む。互いを発見し塩基対形成の相互作用によってアニーリングする相補的配列を含有する核酸の2ポリマーの能力は、十分理解されている現象である。MarmurおよびLane、Proc.Natl.Acad.Sci.USA46巻:453頁(1960年)ならびにDotyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA46巻:461頁(1960年)による「ハイブリダイゼーション」プロセスの初期の観察は、近代生物学の必須ツールへのこのプロセスの改良に続いている。ハイブリダイゼーションには、スロット、ドットおよびブロットハイブリダイゼーション技法があるが、これらだけには限られない。
【0029】
ハイブリダイゼーションが完全または部分的相補性を示すかどうか決定することは、幾つかの診断用途に重要である。例えば、単に病原体miRNAの有無を検出することが望ましい場合、関連配列が存在するときは、ハイブリダイゼーション法はハイブリダイゼーションを保証することのみが重要であり、部分的に相補的なプローブと完全に相補的なプローブの両方がハイブリダイズする場合は、条件を選択することができる。しかしながら、他の診断用途は、ハイブリダイゼーション法が部分的相補性と完全相補性を区別することを必要とする可能性がある。遺伝的多型の検出を対象とする可能性がある。
【0030】
本明細書で使用する用語「プローブ」は、精製制限断片の消化などと同様に自然に存在しようと、または合成によって生成しようと、プローブ中の少なくとも1つの配列と他の核酸中の配列の相補性またはそれらの再現性のある引力相互作用の他の手段のため、二本鎖構造または別の核酸の配列との他の複合体を形成する、オリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)を指す。プローブは、特定遺伝子配列の検出、同定および単離において有用である。本発明中で使用する任意のプローブは、それが酵素(例えばELISA、および酵素系組織化学的アッセイ)、蛍光、放射活性、および発光系だけには限られないが、これらを含めた任意の検出系中で検出可能であるように、任意の「レポーター分子」で標識されることは企図される。対象とする(すなわち、検出する)オリゴヌクレオチドがレポーター分子で標識されることがさらに企図される。対象とするプローブとオリゴヌクレオチドの両方が標識されることも企図される。本発明が任意の特定の検出系または標識に限られることを意図するものではない。
【0031】
本明細書で使用する用語「miRNA」は、特に特異的タンパク質をコードするmRNAの安定性および翻訳の制御におけるその関与のために、代謝過程の制御において重要な役割を果たす、約18〜23ヌクレオチド長の低分子非コードの一本鎖RNAのサブクラスである。miRNAは、ヘテロクロマチン形成およびゲノム再編成のような、他の重要な過程にも関与する。
【0032】
用語「過剰」および「不十分な」in vivo細胞死は、特定器官または組織中で死滅する細胞の数が、年齢および性適合対照よりそれぞれ多いまたは少ないときの状況を記載する。
【0033】
本明細書で使用する用語「精製」、「浄化」および「滅菌」は、試料からの(1つまたは複数の)汚染物質の除去を指す。
【0034】
本明細書で使用する用語「実質的に精製された」および「実質的に単離された」は、それらの自然環境から除去され、単離または分離され、それらが本来関連していた他の構成要素を、好ましくは60%含まない、より好ましくは75%含まない、および最も好ましくは90%含まない核酸配列を指す。したがって「単離ポリヌクレオチド」は実質的に精製されたポリヌクレオチドである。本発明の方法を実施するために、必要ではないがポリヌクレオチドを実質的に精製することは可能であることは企図される。非精製形の核酸配列を検出するための様々な方法が当技術分野で知られている。
【0035】
本明細書で使用する用語「PCR産物」および「増幅産物」は、2サイクル以上の変性、アニーリングおよび延長のPCRステップが終了した後に生成する化合物の混合物を指す。これらの用語は、1つまたは複数の標的配列の1つまたは複数のセグメントの増幅があった場合を含む。
【0036】
本明細書で使用する用語「尿路」は、身体からの尿の分泌および排泄に関与する器官および導管を指す。
【0037】
本明細書で使用する用語「患者」または「対象」は、治療のレシピエントを指す。哺乳動物および非哺乳動物患者が含まれる。特定の実施形態では、患者は、ヒト、イヌ、ネズミ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、またはヤギなどの哺乳動物である。特定の実施形態では、患者はヒトである。
【0038】
本発明の一実施形態では、検出するmiRNAは、身体中の特定細胞型、組織、または器官に由来し、そこで特異的に発現され、この場合前記miRNAのレベルの変化は、前記組織の急性の病状、例えば心筋細胞の死と関係がある急性心筋梗塞、ニューロンおよびグリア細胞の死と関係がある脳卒中、ウイルスもしくは他の感染によって、または毒性物質の作用によって引き起こされる肝細胞の死と関係がある肝炎または肝硬変、異なる膵臓細胞の死と関係がある急性膵炎、移植器官中の過剰な細胞死と関係がある移植器官の拒絶、様々な器官の外傷性損傷、多数の急性感染、例えば肺および/または他の感染器官中での細胞死と関係がある結核などを示す。
【0039】
本発明の別の実施形態では、検出するmiRNAは、身体中の特定細胞型、組織、または器官に由来し、そこで特異的に発現され、この場合前記miRNAのレベルの変化は、前記組織の慢性の病状、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、神経死によって引き起こされるかまたはそれに付随する前頭側頭型認知症または中枢神経系の他の疾患、心筋細胞の死と関係がある慢性心不全、肺細胞の死と関係がある肺気腫、膵臓β細胞の死と関係がある1型糖尿病、腎細胞の死と関係がある糸球体腎炎、活発に増殖する前癌細胞のアポトーシス死と関係がある前癌状態、不十分な血液供給による広範囲の壊死細胞死と関係がある癌、および慢性的に感染した器官または組織中の細胞死などを示す。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態では、検出するmiRNAは、身体中の特定細胞型、組織、または器官に由来し、そこで特異的に発現され、かつ前記miRNAのレベルの変化は、物理および化学物質の細胞毒性効果、例えば骨髄細胞を殺傷する比較的低用量、胃腸系の上皮細胞の死をもたらす高用量、および脳神経細胞を殺傷するさらに高用量と結び付けた放射線療法、および天然または合成毒性化合物によって誘導される異なる器官および組織中の細胞死と関係がある化学的細胞毒性などを示す。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態では、検出するmiRNAは、身体中の特定細胞型、組織、または器官に由来し、そこで特異的に発現され、かつ疾患の結果の予後に使用することができる。疾患の進行/退行、治療的または外科的介入の成功を示す、それぞれのmiRNAのレベルの変化は、疾患および治療モニタリングに使用する。
【0042】
本発明の別の実施形態では、検出するmiRNAは、移植細胞、組織、または器官に由来し、かつそれらのレベルは拒絶反応の出現および対応する治療を示す。
【0043】
本発明の別の実施形態では、検出するmiRNAは、病原体に由来し、かつ感染診断およびモニタリングに使用する。本発明の特定の実施形態では、病原体はウイルス、例えばエプスタインバーウイルスである。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態では、検出するmiRNAは感染器官の細胞に由来し、かつ診断支援、感染組織損傷の評価、およびさらなる疾患および治療モニタリングに使用することができる。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態では、検出するmiRNAは妊婦の胎児に由来し、胎盤中の栄養膜の過剰な死によって特徴付けられる、例えば子癇前症などの、胎児の状態または病状に特徴的である。さらに別の実施形態では、検出するmiRNAは妊婦の胎児に由来し、例えばダウン症候群および器官発達の遅れならびに過剰または抑制型細胞死を伴う他のトリソミーなどの、胎児の状態または病状に特徴的である。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態では、組織もしくは細胞特異的miRNA単独、またはそれと他のマーカーを組合せたレベルに関する情報を、例えば肝臓癌、腎臓癌、前立腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌および他の知られている癌などの、癌および前癌症状の診断またはモニタリングに使用する。
【0047】
幾つかの実施形態では、細胞および/または組織特異的miRNAのレベルを、血清中の遍在的miRNAのレベル、尿中のアルブミンもしくはクレアチニンのレベル、または他の組織特異的胎児miRNAの標準化用の胎盤特異的miRNAのレベルを使用して標準化する。
【0048】
本発明の一態様では、特異的miRNAを検出するための前記尿試料の分析ステップは、ハイブリダイゼーション、サイクリングプローブ反応、ポリメラーゼ連鎖反応、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応、単鎖の立体配座多型を分析するためのPCR、およびリガーゼ連鎖反応からなる群から選択される技法を含む。
【0049】
本発明の特定の態様では、前記尿試料中の核酸の分解を低減させる。核酸の分解を低減させる方法は、RNAse阻害剤の使用によって、またはグアニジン−HCl、グアニジンイソチオシアネート、N−ラウロイルサルコシン、およびドデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択される化合物で前記尿試料を処理することによってヌクレアーゼ活性を阻害することを含む。本発明の別の態様では、前記尿試料は膀胱中に12時間未満保持されている。
【0050】
本発明の一実施形態では、測定するmiRNA配列は、肺、心臓、肝臓、神経系、脳、血液、腎臓、骨、眼または膵臓だけには限られないが、これらから選択され得る身体中の組織と特に関連がある。
【0051】
分析用に選択する組織は、正常または異常(例えば悪性)であってよい。悪性組織および腫瘍には、癌腫、サルコーマ、メラノーマおよび白血病があり、一般におよびより具体的には、胆道癌、膀胱細胞癌、骨癌、脳およびCNS癌、乳癌、子宮頸癌、絨毛癌、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結合組織癌、皮膚T細胞白血病、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、濾胞性リンパ腫、胃癌、有毛細胞白血病、ホジキンリンパ腫、上皮内新生物、咽頭癌、リンパ腫、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞および非小細胞)、メラノーマ、多発性骨髄腫、神経芽腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、精巣癌、甲状腺癌、および腎臓癌と関係がある悪性組織および腫瘍から選択される。方法を使用して良性腫瘍と悪性腫瘍を区別することができる。
【0052】
このような組織試料を採取することができる対象は、癌を発症するリスクがある対象を含む。癌を発症するリスクがある対象は、癌を発症する高い確率(例えば、一般人内の確率より高い確率)を有する対象である。これらの対象には、例えば、その存在が一般人の可能性より高い癌を発症する可能性と相関関係があることが実証されている遺伝的異常を有する対象、およびタバコ、アスベスト、もしくは他の化学的毒素などの癌誘発物質(すなわち発癌性物質)に曝された対象、または以前に癌の治療を施され外見上寛解状態である対象がある。
【0053】
本発明の方法は、患者の体液からのmiRNAの単離を含む。本発明の一態様では、対象とするmiRNAは、血液、羊水、脳脊髄液、血漿、乳、精液、血清、痰、唾液および尿などの体液中で検出することができる。本発明の一態様では、miRNAを尿中で検出する。別の実施形態では、miRNAを血清中で検出する。
【0054】
本発明のmiRNA単離の本発明の方法は、市販のアニオン交換物質を使用することができる。強または弱アニオン交換体のいずれかを使用することができる。吸着および溶出用に選択した溶液を使用することによって、miRNAを精製、濃縮、および実質的に単離することができる。
【0055】
miRNAとアニオン交換カラム材料の初期結合用に知られているイオン強度で溶液を使用することによって、タンパク質などの他の電気陰性分子(弱く結合した汚染物質)を含めた大部分の水溶性成分はカラムを介して洗浄することができる。溶出用に、理想的には核酸が完全に溶出し得る最小イオン強度に相当するpHに調節するためにバッファーと混合することが可能である、知られている濃度のNaClなどの塩を使用することによって、必要とされるイオン強度に到達させる。核酸より高いストリンジェンシーでアニオン交換樹脂と結合した汚染物質はしたがってカラム内に残る可能性があり、すなわち強く結合した汚染物質は核酸から分離される。
【0056】
好ましい弱交換体は、第一級、第二級、または第三級アミン基(すなわち、プロトン化可能アミン)が交換部位を与える交換体である。強塩基性アニオン交換体は、交換部位として第四級アンモニウム基(すなわち、プロトン化可能ではなく常に正に帯電している)を有する。両方の交換体は、そのそれぞれの吸収および溶出イオン強度および/または分離するmiRNAに関するpHに関して選択される。溶液強度は結合強度より高い。
【0057】
本発明の一態様では、尿から経腎miRNAを単離するための方法を提供し、この方法は、対象由来の尿を与えること、濾過または遠心分離によって尿から細胞および細胞残骸を場合によっては分離すること、EDTAおよびTris−HClを尿に加えること、シリカを含まないアニオン交換樹脂を尿に加えること、混合物をインキュベートすること、尿からアニオン交換媒体を除去すること、および樹脂からmiRNAを溶出することを含む。
【0058】
尿からmiRNAを単離する方法の一実施形態では、それを尿に加えた後のEDTAおよびTris−HClの濃度は10〜100mMの範囲であり、かつ溶液のpHは約8.0と約8.5の間である。
【0059】
さらなる実施形態では、アニオン交換媒体との吸着前に膜を介して、体液を場合によっては事前に濾過する。
【0060】
さらなる実施形態では、アニオン交換媒体は、カチオン性第四級アンモニア基で官能化したセファロース系樹脂である。カチオン性アンモニア基で官能化したセファロース系樹脂の例には、Q−Sepharose(商標)ANX−4 Sepharose(商標)Fast Flow、DEAE−Sepharose(商標)、およびQ−Sepharose−XL(商標)DEAE Sepharose Fast Flow(GE Healthcare)がある。
【0061】
さらなる実施形態では、アニオン交換媒体は、Q−フィルターまたはQ−樹脂などのセファロース系第四級アンモニウムアニオン交換媒体から選択される。
【0062】
本発明のさらなる実施形態では、アニオン交換媒体を個別の担体に固定し、この場合このような担体は、媒体/核タンパク質結合複合体の輸送または保存に使用することができる、カラム、カートリッジまたは携帯型濾過システムである。
【0063】
本発明の別の実施形態では、例えば同じ人間の尿試料中に存在するmiRNA配列の周期解析は、特定器官または組織中の病的過程に関する初期情報を与えることができる。例えば、miRNA122は肝臓中でのみ合成され、その量の増大は肝炎または別の肝臓病変のマーカーとなり得る。アルツハイマー症候群はニューロン中で特異的に発現されるmiRNAの濃度の増大を伴う可能性がある。
【0064】
別の実施形態では、患者の体液試料中の組織特異的miRNAのより詳細なモニタリングは、疾患の重度の推測、および治療努力の有効性の評価に有用であり得る。
【0065】
さらに別の実施形態では、腫瘍特異的突然変異の分析と組合せて、組織特異的miRNAに関するデータは腫瘍局在の決定に役立つ可能性がある。
【0066】
本発明の他の態様は、(1つまたは複数の)特異的miRNAの発現の変化によって引き起こされるかまたはそれらに付随する疾患に関する。記載する技術はこのような型の病状の診断に役立つ。
【0067】
さらに別の実施形態では、本発明の方法の適用例を患者の尿中の合成siRNAの薬物動態のモニタリングに広げて、siRNA薬剤設計の最適化を増進することができる。
【0068】
他に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術および科学用語は、本発明が関係する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載する方法および物質と同等または均等な方法および物質を、本発明を実施する際に使用することができるが、適切な方法および物質を以下に記載する。本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全容を参照によって明確に組み込む。係争の場合に備えて、定義を含めた本明細書を管理する。さらに、本明細書に記載する物質、方法、および実施例は単なる例示的なものであり、制限的であることは意図しない。
【実施例】
【0069】
幾つかの実施例を示して本発明の様々な実施形態をより完全に例示する。これらの実施例は決して、添付の特許請求の範囲中に挙げる本発明の範囲に限られるとして解釈すべきではない。
【0070】
(実施例1)
尿からのmiRNAの抽出:
採尿:これらの実験用に、患者またはボランティア由来の尿検体を滅菌110ml採尿カップ中に回収し、最終濃度10mMと150mMの間、好ましくは50mMまでEDTAをすぐに補充した。検体は−80℃で10〜50mlのアリコート中に保存した。検体回収直後、EDTAを加える前に、尿の任意選択の濾過をStericup(商標)(Millipore、Vacuum Driven Filtration System、0.45μDurapore(商標)フィルター)で実施した。
【0071】
Q結合:50mlチューブ中で、20mLの尿を等体積の50mMのEDTA(pH8.0)および50mMのTris−HCl(pH8.0)で希釈し、次いでそれに1〜2mlのQ−Sepharose(商標)(GE Healthcare;17−0510−10)スラリーを補充し、室温で10〜30分間厳密に混合した。結合した核酸を有する樹脂を、スウィング型ローターを使用して卓上型医療用遠心分離機中において、室温で5分間2000gでの遠心分離によって回収した。全てただし約500μlの上清を吸引によって除去した。樹脂ペレットを残りの上清中に再懸濁し、Micro Bio−Spinクロマトグラフィーカラム(Bio−Rad)または同等物に移し、それは真空の遠心分離によっても操作した。カラム中の樹脂は、500μlの2×SSC(300mMのNaCL/30mMのクエン酸ナトリウム(pH7.0))または匹敵するイオン強度を有するバッファー(例えば、300mMのNaClまたはLiCl)で3回洗浄した。核酸は高いイオン強度(例えば、1MのNaClまたはLiCl)を有するQ−Sepharoseから溶出することができるが、以下に記載する方法はRNAをより良く保つ。
【0072】
Q−Sepharose(商標)およびTRIzol(商標)相分離からの溶出:結合した核酸は500μlのTRIzol(商標)試薬(Invitrogen)でさらに溶出した。TRIzolからの核酸の抽出は製造者の勧告に従い実施した。簡単に言うと、相分離用に、TRIzol溶出液に100μlのクロロホルムを補充し、激しく混合し、3〜5分間室温でインキュベートし、4℃において15分間12,000×gで遠心分離にかけた。相間に接触させるのを避けながら、300μlの上相を新たな遠心分離管に移した。次いで核酸を沈殿させ、あるいはさらに浄化し、かつシリカカラムで脱塩した。
【0073】
核酸の沈殿:核酸の沈殿用に、前に記載した調製物に1μlの20mg/mLグリコーゲン(Roche)および300μlの100%イソプロピルアルコールを補充した。核酸は遠心分離によって回収し、ペレットは200μlの70%エタノールで2回洗浄し、室温で5分間放置して空気乾燥させ、次いで核酸を30μlの0.1mMEDTA/l×RNA Secure(Ambion)中で溶かした。試料は60℃で10分間インキュベートして、任意の残留RNase活性を不活発にした。
【0074】
核酸のシリカカラムでの浄化:シリカカラム(Qiagen PCRクリーンカラムまたは同等物)との結合用に、3体積の96%エタノールをTRIzol上相由来の核酸調製物に加え、かつ室温で3分間のインキュベーション後に、混合物をカラムに充填した。カラムは500μlの2MLiCl/80%エタノールで2回、および500μlの80%エタノールで2回洗浄した。核酸は50μlの0.1mMEDTA/l×RNA Secure(Ambion)で溶出した。試料は60℃で10分間インキュベートして、任意の残留RNase活性を不活発にした。
【0075】
DNaseIおよびRNaseAによる消化:前に記載したプロトコルを用いて尿から抽出した物質の核酸同一性を確認するために、本発明の調製物をDNaseIおよび/またはRNaseAで消化した。DNaseIによる消化は、2単位のRNase遊離DNaseI(NEB)を含有するDNaseI反応バッファー(NEB)中で実施した。RNaseAによる消化は、50ng/mLの煮沸したRNaseAを補充したTEバッファー中で実施した。試料は37℃で60分間インキュベートし、ローディング色素の添加後、試料は5%ポリアクリルアミド1×TBEゲル上での電気泳動にかけ、1/10000希釈SYBR(登録商標)Gold(Invitrogen)で染色した。図1に示すように、単離した物質は低分子量核酸、主にRNAおよびそれらの断片を表す。さらに、(図1参照)、比較用に、Q−樹脂由来の核酸を3MのNaClによって溶出した、レーン2および3、およびTrizol(商標)、レーン4および5。
【0076】
図1では、レーン1および5は、それぞれQ−Sepharoseから高塩濃度およびTriZol溶出で単離した核酸を表す。レーン2および6、3および7、4および8は、それぞれDNAse、RNAse、またはDNAseおよびRNAseを用いた処理後の核酸を表す。
【0077】
さらに、RNAの存在および分子サイズを実証するために、精製核酸のRNAアリコートをDNaseIで消化した、レーン3および5。
【0078】
血清からのRNAの抽出
これらの実験用に、1.2mlのTRIzolLSを0.4mlの血清に加え、混合物は10分間14,000rpmで遠心分離にかけた。上清は2mlのエッペンドルフチューブに移し、0.3mlのクロロホルムを加え、混合物は15秒間振とう処理した。15分間14,000rpmでの遠心分離後に、上清は5mlのチューブに移し、エタノールを70%の最終濃度まで加えた。混合物は真空マニホールド上のQuiagen Quickカラムに充填し、カラムは0.5mlの2MLiCl−80%EtOHで2回、0.5mlの80%エタノール−80mM酢酸ナトリウム(pH5.0)で1回、および最後に0.5mlの95%エタノールで洗浄した。カラムは1.5mlのエッペンドルフチューブにおいて3分間14,000rpmで遠心分離にかけ、かつRNAは40μlのHOで溶出した。
【0079】
(実施例2)
この実施例は、死細胞由来のmiRNAが腎臓壁を通過し、かつ患者の尿中で検出することができることを実証する。
【0080】
尿中のヒトmiRNA分子の検出
この実施例中で分析したマイクロRNA種は、3つの異なる型、すなわち全てまたは多数の組織中で発現される遍在的miRNA、組織特異的miRNA、および発現が特定組織または細胞型において有意に変わるmiRNAに分類することができる。表1によって示すように、20の異なるmiRNAを16の健常ボランティアおよび登録ドナーの尿から得て、市販のmiRNA発現分析キット(ABI)を使用しリアルタイムRT−PCRによって後に検出した。対応する合成miRNAオリゴヌクレオチドは標準として使用した。反応は供給者によって勧告されたように厳密に実施した。
【0081】
【表1】

全3型のmiRNAを尿中RNAの大部分の調製物において検出した。最高コピー数は遍在的miRNAに特徴的であった。しかしながら、組織特異的miRNAまたは特定組織もしくは細胞型で過剰発現されたmiRNAも検出可能であった。死細胞由来のmiRNAの一部分は分解されないが、血流中に出現し、最終的には尿中に排出されることを明らかに実証している。
【0082】
(実施例3)
この実施例は、ヒト上咽頭癌(NPC)細胞由来のmiRNAが患者の腎臓壁を通過することができ、かつリアルタイムRT−PCRによって患者の尿中で検出することができることを実証する。
【0083】
尿中のウイルス由来miRNA
幾つかのウイルスもmiRNAをコードし生成することは知られている。エプスタインバーウイルス(EBV)は上咽頭癌(NPC)の発生に関与するので、本発明の系を使用して、NPC細胞由来のウイルスmiRNAが患者の尿に到達し、そこで検出することができるかどうか調べた。NPC患者由来の尿試料を回収し、本出願の実施例1中に記載した手順に従い保存した。EBV感染は尿中のウイルス特異的DNA配列の検出によって確認した。健常ドナーから回収した尿はEBV特異的DNA配列に陰性であった。2つのEBV特異的miRNA、BART3−3pおよびBART1−3pをこの試験中で分析した:
【0084】
【化1】

逆転写は15μlで実施し、RT反応の10分の1はSigmaからのJumpStartDNAポリメラーゼを使用したPCR増幅に施した。以下のプライマーを500nMの濃度で使用した:
【0085】
【化2】

産物は15%のポリアクリルアミドゲル(PAAG)において分析した。
【0086】
図2によって実証されるように、BART3とBART1miRNA種の両方を、健常ドナー由来の尿試料中ではなく、NPC患者由来の尿中で検出した。これらのデータは、泌尿器系の外側に位置した死細胞由来のmiRNAが尿中で検出することができることを再度示す。図2中では、レーン1はマーカーを表し、レーン2および3は上咽頭癌を有する患者を表し、レーン4および5は対照患者を表し、かつレーン6は陽性対照を表し、それぞれの合成miRNAを表す。
【0087】
(実施例4)
この実施例は、患者の尿中のニューロン特異的miRNAの濃度の測定によって、in vivoで脳卒中によって引き起こされる神経細胞死を記録することができることを実証する。
【0088】
脳卒中の診断
これらの実験用に、脳卒中を有する患者を、脳特異的miRNAまたは脳卒中後に脳内で過剰発現されるmiRNAの、濃度の変化の分析用に調べた。どの脳細胞型およびどの脳領域において、これらのmiRNAが発現されるかは現在知られていないので、9個の異なる脳特異的miRNAを試験した。
【0089】
患者:尿試料を病院の救急治療室で受け入れた患者から回収した。脳卒中の診断は臨床症状に基づいた。尿試料は脳卒中後12および24時間で回収した。対照尿試料は、ただし脳卒中症状がない年齢適合ボランティアによって与えられた。試料を回収し、本出願の実施例1中に記載した手順に従い保存した。
【0090】
miRNA種:尿由来のmiRNAは、実施例1中に記載した手順に従い抽出した。675μlの尿から単離したのと等しい量のRNAに逆転写PCRを施し、かつRT−PCR混合物の1/10に最終リアルタイムPCRを施し、これは製造者によって与えられたプロトコルを使用して実施した。得られたデータは、尿中クレアチニン濃度ごとの再計算によって個々の腎臓濾過率に関して標準化した。これらの実験用に、同じ年齢群由来の健常ドナーから回収した尿試料をベースラインとして使用した。異なるmiRNA種は以下のように示す:
A.hsa−mir−128a
B.hsa−mir−9
C.hsa−mir−127
D.hsa−mir−137
E.hsa−mir−129
F.hsa−mir−219
G.hsa−mir−218 。
【0091】
図3A〜3G中に要約した結果は、脳卒中後、脳細胞死の動態を反映する、幾つかの脳特異的miRNA(128a、129、218、219)のレベルの有意な増大があることを明らかに実証する。
【0092】
(実施例5)
この実施例は、脳卒中後の患者の尿中のmiRNA濃度の動態は、疾患の結果に関する情報を与えることを実証する。
【0093】
脳卒中のモニタリング
この実験用に、脳卒中を有する患者を、脳特異的miRNAの濃度の変化と疾患の発生の間の相関関係の分析用に調べた。
【0094】
患者:尿試料を病院の救急治療室で受け入れた患者から回収した。脳卒中の診断は臨床症状およびMRI分析に基づいた。尿試料は脳卒中後12、24、48時間および1週間で回収した。患者の臨床状態は脳卒中後30日で評価した。対照尿試料は、ただし脳卒中症状がない年齢適合ボランティアによって与えられた。試料を回収し、本出願の実施例1中に記載した手順に従い保存した。
【0095】
miRNA種:尿由来のmiRNAは、実施例1中に記載した手順に従い抽出し、TaqMan miRNAアッセイ(Applied Biosystems)によって分析した。400μlの尿から単離したのと等しい量のRNAに逆転写PCRを施し、かつRT−PCR混合物の1/10に最終リアルタイムPCRを施し、これは製造者によって与えられたプロトコルを使用して実施した。得られたデータは、尿中クレアチニン濃度ごとの再計算によって個々の腎臓濾過率に関して標準化した。これらの実験用に、同じ年齢群由来の健常ドナーから回収した尿試料をベースラインとして使用した。
【0096】
図4AおよびB中に要約した結果は、脳卒中後のTr−miRNA129およびTr−miRNA219の変化の動態は異なる患者において異なり、疾患の発生と相関関係があることを明らかに実証する。患者#3における脳卒中後1週間での神経死の増加は、患者の臨床状態の悪化に相当する。同時に、その経腎ニューロン特異的miRNAが標準化する傾向があった2人の患者は、有意な改善を示した。
【0097】
(実施例6)
アルツハイマー病の診断
アルツハイマー病は、特に皮質および海馬中の、ニューロンの死によって引き起こされる進行性神経疾患である。その診断は神経学的検査および認知症の他の原因の排除に基づき、一方で確定診断は検視解剖でのみ実施することができる。本発明は、アルツハイマー病を特徴付ける過剰な神経死が、患者の尿から単離した特異的脳miRNAのレベルを測定することによって、モニターすることができることを実証する。
【0098】
これらの実験用に、アルツハイマー病と診断された患者を、神経死の結果としての脳特異的または過剰発現miRNAの濃度の変化の分析用に調べた。
【0099】
患者:尿および血清試料は、様々な段階のアルツハイマー病と診断された患者から回収した。対照の尿および血清試料は、ただしアルツハイマー病の症状がない年齢適合ボランティアによって与えられた。試料を回収し、本出願の実施例1中に記載した手順に従い保存した。幾つかの尿試料は実施例1中に記載した回収後に濾過して、細胞および細胞残骸を除去した。
【0100】
miRNA種:尿および血清由来のRNAは、実施例1中に記載した手順に従い抽出した。
【0101】
一組の実験において、750μlの尿から単離したのと等しい量のRNAに逆転写PCRを施し、かつRT−PCR混合物の1/10に最終リアルタイムPCRを施し、これは製造者(Applied Biosystems)によって与えられたプロトコルを使用して実施した。得られたデータは、尿中クレアチニン濃度ごとの再計算によって個々の腎臓濾過率に関して標準化した。図5は、幾つかの脳特異的miRNAの濃度が、アルツハイマー病の患者の尿中で増大することを明らかに実証する。
【0102】
別組の実験において、濾過尿または血清から単離したRNAを分析した。0.6mlの尿または50μlの血清から単離したのと等しい量のRNAに逆転写PCRを施し、かつRT−PCR混合物の1/10に最終リアルタイムPCRを施し、これは製造者(Applied Biosystems)によって与えられたプロトコルを使用して実施した。尿中miRNAに関して得たデータは、尿中クレアチニン濃度ごとの再計算によって個々の腎臓濾過率に関して標準化した。血漿中miRNAに関して得たデータは遍在的miRNA−16ごとに標準化した。図6および7は、幾つかのニューロン特異的miRNAのレベルが、年齢適合対照と比較して、アルツハイマー病患者の濾過尿と血清の両方において高いことを示す。
【0103】
(実施例7)
パーキンソン病
パーキンソン病は、患者の運動能力および話力を悪化させることが多い中枢神経系の変性疾患である。本発明は、パーキンソン病を特徴付けるドーパミン作動性ニューロンの過剰な神経死が、患者の尿から単離した特異的脳miRNAのレベルを測定することによって、モニターすることができることを実証する。
【0104】
これらの実験用に、パーキンソン病と診断された患者を、神経死の結果としての脳特異的miRNAまたは過剰発現miRNAの濃度の変化の分析用に調べた。
【0105】
患者:尿試料は、様々な段階のパーキンソン病と診断された患者から回収した。対照の尿試料は、パーキンソン病の症状がない年齢適合ボランティアによって与えられた。試料を回収し、本出願の実施例1中に記載した手順に従い保存した。
【0106】
miRNA種:これらの実験用に、尿由来のRNAを実施例1中に記載した手順に従い抽出した。750μlの尿から単離したのと等しい量のRNAに逆転写PCRを施し、かつRT−PCR混合物の1/10に最終リアルタイムPCRを施し、これは製造者(Applied Biosystems)によって与えられたプロトコルを使用して実施した。得られたデータは、尿中クレアチニン濃度ごとの再計算によって個々の腎臓濾過率に関して標準化した。図8は、幾つかの脳特異的miRNAの濃度が、パーキンソン病を有する患者の尿中で増大することを実証する。
【0107】
(実施例8)
妊娠関連または胎児疾患の出生前検診
miRNA分子に関する腎臓壁の透過性の主たる発見は、先天性疾患の完全に非侵襲的な出生前診断を実施するための母体尿の使用に関する突破口を開く。このような非侵襲的スクリーニングは以下のように実施することができる。
【0108】
最初に、尿の試料を妊婦患者から集める。望ましい場合、尿試料中のmiRNAを、前に記載した方法を使用して、次いで単離、精製および/または処理して分解を妨げる。次いでmiRNAプロファイリングを定量的PCRまたはmiRNAアレイを使用して実施し、得られたデータを使用して、他の病状に関して前に記載したように異なる胎児性病状を決定する。
【0109】
(実施例9)
ダウン症候群
これらの実験用に、正常胎児を妊娠した女性とダウン症候群胎児を妊娠した女性の間の母体尿中の脳特異的miRNAの濃度の差を調べた。
【0110】
患者:尿試料は、羊水穿刺によってダウン症候群と診断された妊婦から回収した。対照の尿試料は、正常妊娠した年齢適合女性によって与えられた。試料を回収し、本出願の実施例1中に記載した手順に従い保存した。
【0111】
miRNA種:尿由来のmiRNAを実施例1中に記載した手順に従い抽出した。750μlの尿から単離したのと等しい量のRNAに逆転写PCRを施し、かつRT−PCR混合物の1/10に最終リアルタイムPCRを施し、これは製造者によって与えられたプロトコルを使用して実施した。得られたデータは、胎盤特異的miRNA518ごとに標準化した。図9は、それぞれの対照と比較して不十分な細胞死を示す、正常妊娠した女性の尿と比較したダウン症候群胎児を妊娠している女性の尿中の脳特異的miRNA9の低い濃度を実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な組織および器官中のin vivo細胞死を評価するために、体液中の細胞、組織および/または器官特異的無細胞miRNAを検出および定量する方法であって、in vivo細胞死が特定組織および/または器官の障害と関係があり、該方法は:
(a)対象から体液試料を得ること、および
(b)該体液試料をmiRNAの1つまたは複数の特異的配列に関して分析することを含み、該分析が該特異的miRNA配列の一部分と実質的に相補的であるプライマーおよび/またはプローブを用いて該miRNAを検出するステップを含む、方法。
【請求項2】
過剰または不十分なin vivo細胞死が特定組織の障害と関係がある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記体液が尿である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記尿試料の分析ステップが、ハイブリダイゼーション、サイクリングプローブ反応、ポリメラーゼ連鎖反応、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応、単鎖の立体配座多型を分析するためのPCR、およびリガーゼ連鎖反応からなる群から選択される技法を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記尿試料中の核酸の分解を低減させる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
核酸の分解の低減が、(1つまたは複数の)RNAse阻害剤の添加、熱不活性化によって、またはグアニジン−HCl、グアニジンイソチオシアネート、N−ラウロイルサルコシン、およびドデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択される化合物で前記尿試料を処理することによってヌクレアーゼ活性を阻害することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記尿試料が膀胱中に12時間未満保持されている、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記体液が血清である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記血清試料の分析ステップが、ハイブリダイゼーション、サイクリングプローブ反応、ポリメラーゼ連鎖反応、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応、単鎖の立体配座多型を分析するためのPCR、およびリガーゼ連鎖反応からなる群から選択される技法を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記障害が病原体感染である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記病原体がウイルスである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ウイルスがエプスタインバーウイルスである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記障害が脳卒中である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記障害がアルツハイマー病である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記障害がパーキンソン病である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記障害が妊娠および/または胎児の病状と関係がある、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記胎児性障害がダウン症候群である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
組織または器官中の過剰な細胞死と関係がある障害の結果として、対象の泌尿器系以外の領域由来の無細胞miRNAを尿中において検出する方法であって、該方法は:
(a)対象から尿試料を得ること、および
(b)該尿試料をmiRNAの1つまたは複数の特異的配列に関して分析することを含み、該分析が該特異的miRNA配列の一部分と実質的に相補的であるプライマーおよび/またはプローブを用いて該miRNAを検出するステップを含む、方法。
【請求項19】
体液中の特異的無細胞miRNAの定量分析による対象の疾患および/または治療モニタリングの方法であって、該方法は:
(a)対象から体液試料を定期的に得ること、および
(b)該試料を、対象とする細胞、組織または器官中で特異的である/過剰発現されるmiRNAの1つまたは複数の特異的配列に関して分析することを含み、該分析が該特異的miRNA配列の一部分と実質的に相補的であるプライマーおよび/またはプローブを用いて該miRNAを検出するステップを含む、方法。
【請求項20】
前記体液が尿である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記体液が血清である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−536372(P2010−536372A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521887(P2010−521887)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/009991
【国際公開番号】WO2009/025852
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510047270)ゼノミックス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】