シークワシャー果実および加工品の判別方法
【課題】 シークワシャーとカラマンシーの果実や加工品(特に加熱加工品)を、高精度で且つ容易に判別する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 3'末端が葉緑体DNA上に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと同一塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であるプライマー、;を含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認することを特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法、を提供する。
【解決手段】 3'末端が葉緑体DNA上に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと同一塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であるプライマー、;を含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認することを特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法、を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域に存在するSNP部位及び/又はtrnT-trnL領域に存在するSNP部位の存在をDNAマーカーとして利用して、アリル特異的PCRを行うことを特徴とする、シークワシャーとカラマンシー(果実、加工品)の判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沖縄県特産のカンキツであるシークワシャー(Citrus depressa )は、特有の芳香と食味を有し、沖縄地域の料理や生食用として利用されている。
シークワシャーの果実は、他のカンキツ類と比べてポリメトキシフラボノイド成分であるノビレチン、タンゲレチン等を多量に含有する特徴的なカンキツである。近年、その果汁に豊富に含まれるノビレチンに発癌予防効果が認められ(非特許文献1参照)、果皮を含むペーストの摂取で血糖値の抑制、体脂肪率の減少効果があることが明らかになった。
このため、シークワシャー(果実、加工品)の需要は益々拡大しつつある。
【0003】
しかしながら、現在、シークワシャー原料は大きく不足傾向にある。それに対して、台湾やフィリピン産のカラマンシーが非常に安価で輸入可能である。
このような現状から、カラマンシー果汁入り飲料をシークワシャー果汁原料と不正表示して販売する事例が多発し、公正取引委員会の排除命令による行政処分を行うなど、大きな社会問題となっている。
なお、カラマンシー果実の形態は、シークワシャーに極めて類似するものであり、外見的な判別は極めて困難である。また、一旦搾汁されてしまうと、フラボノイド成分(フロレチン、ポリメトキシフラボノイド類など)の成分分析(非特許文献2参照)を行わない限り、現状では判別することができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Bracke,M.E.(1994), Food Technology, 48, 104
【非特許文献2】Y.,Nogata, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry Vol. 70 (2006) , No. 1 pp.178-192
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、シークワシャーとカラマンシーの果実や加工品(特に加熱加工品)を、高精度で且つ容易に判別する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはこのような状況を鑑み、シークワシャーとカラマンシーの葉緑体DNAを部分解析し、両者の品種識別が可能なSNPの存在を見出した。そして、当該SNPを3'末端に有するプライマー(DNAマーカー)を用いてアリル特異的PCRを行うことにより、極めて高精度で且つ高感度でシークワシャーとカラマンシーを判別できることを見出した。
【0007】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
即ち、請求項1に係る本発明は、以下の(A)又は(B)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認することを特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法に関する。
(A):3'末端が葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと同一塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であり、且つ、当該3'末端から上流に4〜16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方のtrnL-trnF領域の配列と完全一致である。
(B):3'末端が葉緑体DNA上のtrnT-trnL領域に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと一致する塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であり、且つ、当該3'末端から上流に4〜16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方のtrnT-trnL領域の配列と完全一致である。
また、請求項2に係る本発明は、前記プライマーセットにおいて、前記(A)又は(B)の特徴を有するプライマーでない他方のプライマーが、少なくとも3'末端から上流に16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方の配列と完全一致であり、且つ、増幅断片が400bp以下となる位置に設計されたものである、請求項1に記載のシークワシャーとカラマンシーの判別方法に関する。
また、請求項3に係る本発明は、請求項1又は2に記載の前記(A)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認すること、;並びに、請求項1に記載の前記(B)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認すること、;を特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法に関する。
また、請求項4に係る本発明は、前記Aの特徴を有するプライマーを含むプライマーセットが、シークワシャーtrnL-trnF領域を特異的に増幅できる配列番号5及び6からなるプライマーセットであり、;前記Bの特徴を有するプライマーを含むプライマーセットが、カラマンシーtrnT-trnL領域を特異的に増幅できる配列番号7及び8からなるプライマーセットである、;請求項1〜3のいずれかに記載のシークワシャーとカラマンシーの判別方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、葉緑体上の領域をプライマーとして用いたPCR法による検査法であるため、ポリフェノール成分の分析等の複雑な分析を行うことなく、極めて容易な操作のみで、シークワシャーとカラマンシーを高い精度で判別することを可能となる。
また、葉緑体上の短い領域を標的としたPCR法であるため、極めて高感度の検査が可能となる。
これにより、本発明は、従来のポリフェノール成分(フロレチンなど)の簡易検出法では困難であった、原料が混合原料や加熱処理を伴う加工品の場合であっても、高い精度でシークワシャーやカラマンシーを判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】シークワシャーとカラマンシーの果実の外観を比較した写真像図である。
【図2】葉緑体DNA上におけるtrnL-trnF領域とtrnT-trnL領域の模式図である。
【図3】実施例1におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図4】実施例1におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図5】実施例2において、trnL-trnF領域の5'側のアライメント結果を示す図である。
【図6】実施例2において、trnT-trnL領域の5'側のアライメント結果を示す図である。
【図7】実施例3において、3'側末端がSNP部位に相当するプライマーの作成例を示す図である。
【図8】実施例3において、3'側末端がSNP部位に相当するプライマーの作成例を示す図である。
【図9】実施例4におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図10】実施例5におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図11】実施例6におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図12】実施例7におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図13】本発明の検査によって判別可能な原材料表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域、trnT-trnL領域にあるSNP部位の存在をDNAマーカーとして利用して、アリル特異的PCRを行うことを特徴とする、シークワシャーとカラマンシー(果実、加工品)の判別方法に関する。
【0011】
〔判別対象〕
本発明で判別可能なシークワシャーとしては、カンキツ属ミカン区のCitrus depressa に属するものであれば、如何なるものも含まれる。例えば、沖縄産の伊豆味クガニー、大宜味クガニー、勝山クガニー、当山早生、カーアチー、B-41、B-41-H、A-29、石クニブー、B-7、B-20、B-25、フスブター、カービシー、マヤーガー、C-22、;台湾産の台湾産シークワシャー、;などを判別することができる。
本発明で判別可能なカラマンシーとしては、カンキツ属トウキンカン区のCitrus madurensis に属するものであれば、如何なるものも含まれる。例えば、台湾産のカラマンシー、;沖縄産のシキキツ、;など、を判別することができる。
なお、図1に示すように、シークワシャーとカラマンシー果実の形態は、シークワシャーに極めて類似するものであり、外見的な判別は極めて困難である。また、一旦搾汁されてしまうと、フラボノイド成分などの成分分析を行わない限り、現状では判別することができない。
【0012】
〔SNP〕
本発明に用いる葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域、trnT-trnL領域に存在するSNP(Single Nucleotide Polymorphisms:1塩基変異多型)部位とは、図2の模式図で示すように、trnL-trnF領域、trnT-trnL領域に存在するものを指すものであり、シークワシャーとカラマンシーの品種識別が可能な変異部位を指す部位である。
なお、これらの領域は、転移RNA(trn)遺伝子間にあるスペーサー領域(IGS領域)であり、分子進化速度が比較的速い領域である。
【0013】
trnL-trnF領域に存在するSNPとしては、具体的には、図5のアライメントで示すSNPを用いることができる。なお、当該部位は、NCBIに登録されているスイートオレンジ(Citrus sinensis )の葉緑体DNA配列(Accession No: DQ864733)では、51401番目の塩基に相当する部位である。
また、trnT-trnL領域に存在するSNPとしては、具体的には、図6のアライメントで示すSNPを用いることができる。なお、当該部位は、NCBIに登録されているスイートオレンジ(Citrus sinensis)の葉緑体DNA配列(Accession No: DQ864733)では、50268番目の塩基に相当する部位である。
【0014】
〔プライマーセット〕
本発明は、プライマーの3'末端を上記SNP部位になるように設計することで、上記SNP部位をDNAマーカーとして利用するものである。
【0015】
本発明で用いるプライマーセットとしては、2本のプライマーのうちのどちらか一方のプライマーの3'末端が、前記SNPに相当する位置に設計されたものを用いることできる。
なお、当該3'末端の塩基を、シークワシャーと同一の塩基に設計することで、シークワシャーを特異的に検出することが可能となる。
また、カラマンシーと同一の塩基に設計することで、カラマンシーを特異的に検出することが可能となる。
【0016】
また、当該SNP部位に設計するプライマーとしては、当該3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基(シークワシャーともカラマンシーとも異なる塩基)に置換されたものを用いることで、PCRのバックグラウンドを顕著に低減させることが可能となる。
例えば、当該部位がT(チミン)の場合は、T(チミン)以外の塩基であるA(アデニン)、C(シトシン)、G(グアニン)などや、もしくは、I(イノシン)などの特定塩基と結合しない塩基に置換することができる。
【0017】
当該SNP部位に設計するプライマーとしては、5'末端に修飾塩基配列等(鋳型と一致しない配列)を含むものであってもよいが、少なくとも当該3'末端から上流に4〜16個目まで、好ましくは4〜18個目まで、さらに好ましくは4〜20個目までの塩基は、鋳型である標的DNA(シークワシャー及びカラマンシーの両方の配列)と完全一致であることが望ましい。
【0018】
当該プライマーセットのもう一方のプライマーとしては、前記SNP部位に設計するプライマーと組合せて用いた場合に、通常のPCRで増幅しやすい長さ(例えば1.5kbp以下)の断片が得られる位置であれば、如何なる位置に設計することができる。
なお、PCRの検出感度の観点から、短い増幅断片が得られる位置に設計することが望ましい。具体的には、例えば400bp以下、好ましくは300bp以下、さらに好ましくは200bp以下、もっと好ましくは110bp以下で行うことで、高感度検出が求められる加工品の判別にも対応することができる。
なお、もう一方のプライマーとしては、5'末端に修飾塩基配列等(鋳型と一致しない配列)を含むものであってもよいが、少なくとも3'末端から上流に16個目まで、好ましくは18個目まで、さらに好ましくは20個目までの塩基は、鋳型である標的DNA(シークワシャー及びカラマンシーの両方の配列)と完全一致であることが望ましい。
【0019】
当該プライマーセットに用いるプライマーの長さとしては、通常のPCRプライマーの範囲であればよい。例えば通常のプライマーの長さの範囲である16〜50bp程度のものであれば用いることができるが、下限として好ましくは18bp以上、さらに好ましくは20bp以上を挙げることができる。また、上限としては40bp以下、好ましくは35bp以下を挙げることができる。
なお、バックグラウンドを低減させるために、2本のプライマーのTm値がほぼ同じになるように設計することが望ましい。
また、5'末端に検出用の修飾物質(例えばビオチン、DIG、Cy5やCy3などの蛍光物質など)や修飾塩基配列(例えば制限酵素サイトを含む配列など)を付加したものであってもよい。
【0020】
上記条件を満たす当該プライマーセットのうち、シークワシャーを特異的に検出できるものとしては、trnL-trnF領域を特異的に増幅できる「CiDeLF-F(配列番号5)」と「CiDeLF-R(配列番号6)」からなるプライマーセット(増幅断片76bp)を挙げることができる。
また、カラマンシーを特異的に検出できるセットの具体例としては、カラマンシーtrnT-trnL領域を特異的に増幅できる「CiMaTL-F(配列番号7)」と「CiMaTL-R(配列番号8)」からなるプライマーセット(増幅断片105bp)を挙げることができる。
【0021】
〔アリル特異的PCR〕
上記プライマーセットを用いたアリル特異的PCRは、通常のPCR反応によって行うことが可能である。好ましくは、感度が高く且つバックグラウンドが少ない増幅酵素と反応液を用いて行うことが望ましい。例えば、KOD、Ex-Taq、AmpliTaq-Gold、Pfuなどを挙げることができる。
また、アニーリング温度としては、プライマーのTm値やPCR反応液の組成によって変化するものであるので、標的領域の特異的増幅がシークワシャーとカラマンシーで明瞭に区別できる温度を適宜設定することで行うことができる。例えば46〜68℃程度、好ましくは50〜65℃程度で設定することができる。
【0022】
PCR反応後は、アガロースゲル等で電気泳動し、標的配列に相当するサイズの増幅断片の有無を検出することで、極めて容易に品種判別することができる。
核酸検出としては、エチジウムブロマイド染色とUV照射により簡便に行うことができるが、より感度を要する検出の場合、リアルタイムPCR法、サザンハイブリダイゼーション、表面プラズモン共鳴(SPR)法、水晶振動子(QCM)法などを行うことで、より高精度の検出を行うことも可能である。
【0023】
〔判別検査〕
本発明におけるアリル特異的PCRは、上記のように鋳型である標的領域が葉緑体DNA(核DNAに比べてコピー数が大幅に多く増幅しやすい)上にあり、比較的短い配列を標的とする。そのため、加熱処理を伴う加工品のようなDNAの分解や劣化が認められる検査対象に対しても、高い精度で検査を行うことが可能となる。
また、増幅断片のサイズ(プライマーの位置)をより短く設定することで、さらなる高感度化が可能となる。
【0024】
本発明によって判別可能な検査としては、生果に対する直接の判別に加えて、;果汁、ジュース、ジャム、氷菓、アイスクリーム、ゼリーなどの加工品、;に対しても行うことができる。特に、加熱処理などの加工後のものにも行うことが可能である。
これらの検査対象に対するPCRは、検査対象からDNAを抽出してから行うことが感度の点で望ましい。なお、対象によってはダイレクトPCRによって直接PCRを行うことも可能な場合がある。
【0025】
判別検査としては、シークワシャーを特異的に検出できるプライマーセットによる検査、カラマンシーを特異的に検出できるプライマーセットによる検査、のいずれかを行ってもよいが、両方の検査を行うことでより詳細な検査を行うことができる。
例えば、図13に示すように、シークワシャー検出陽性(+)/カラマンシー検出陰性(+)の結果が得られた場合、「原料としてシークワシャーにカラマンシーが混入している」という結果を得ることができる。
なお、混入率等を詳細に知りたい場合、リアルタイムPCR法などによって、鋳型DNA量を定量することで混入率を推定することも可能となる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
【0027】
〔実施例1〕 シークワシャーとカラマンシーの品種判別プライマーセットの作製
(1)trnL-trnF領域およびtrnT-trnL領域の増幅
表1に示す果実試料を凍結乾燥させ、QIAGEN社製のDNeasy Plant Mini kitsにより全DNAを抽出した。
次いで、抽出した全DNAのうち試料1〜9に対して、表2に示すプライマー(Taberlet P. et al. Plant Mol. Biol. 17, 1105-1109, (1991))の組合せを用いて、表3に示す条件によりPCRを行い、trnL-trnF領域およびtrnT-trnL領域の増幅を行った。
得られた各PCR産物は、2%アガロースゲルにて電気泳動した。trnL-trnF領域の増幅結果を図3に、trnT-trnL領域の結果を図4に示す。
なお、図において、レーン1〜7はシークワシャーの試料、レーン8〜9はカラマンシーの試料に対する増幅結果を示す。また、レーンNCはnegative control(鋳型なし)、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0028】
その結果、用いた全てのシークワシャーとカラマンシー(試料1〜9)から、trnL-trnF領域(437bp)とtrnT-trnL領域(1121bp)と認められる増幅が見られた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
〔実施例2〕 塩基配列の決定
上記により得られた各増幅断片について、各増幅プライマーと同じプライマーを用いて、ダイレクトシーケンス法により塩基配列を決定した。そして、得られた各配列とバレンシア(Citrus sinensis)の配列(Accession No: DQ864733)について、アライメントを行った。trnL-trnF領域における5'側のアライメント結果を図5に、trnT-trnL領域における5'側のアライメント結果を図6に示す。
【0033】
その結果、trnL-trnF領域とtrnT-trnL領域の両方において、カラマンシー(試料8,9)に特異的なSNPが存在することが明らかになった。なお、シークワシャーにおける各相同部位はバレンシアと同じ塩基であった。
【0034】
〔実施例3〕 DNAマーカー(プライマーセット)の設計
実施例2のアライメント結果とアリル特異的PCR法(Okayama et al. J. Lab. Clin. Med., 114, 105-113 (1989))に基づいて、シークワシャーとカラマンシーの判別に用いることができるプライマーセットを設計した。
具体的には、表4で示すように、シークワシャーtrnL-trnF領域検出用のプライマーセットとして、CiDeLF-F:配列番号5、CiDeLF-R:配列番号6を設計した。また、カラマンシーtrnT-trnL領域検出用のプライマーセットとして、CiMaTL-F:配列番号7、CiMaTL-R:配列番号8を設計した。
なお、各プライマーセットのforward primer(CiDeLF-F:配列番号5、CiMaTL-F:配列番号7)は、3'末端がSNP部位になる位置に設計し、非特異的増幅を低減するため、3'末端から3番目の位置にミスマッチ塩基を導入した。図7と図8に当該プライマーの作製例を示す。また、図5と図6の各アライメントの下に、forward primer作製部位を示す。
【0035】
【表4】
【0036】
〔実施例4〕 プライマーセットの条件検討
実施例3で設計したシークワシャーtrnL-trnF領域検出用のプライマーセットについて、アリル特異的PCRにおけるアニーリング温度の検討を行った。
上記実施例1で抽出した全DNAのうち、試料2(シークワシャー)もしくは試料9(カラマンシー)のDNAを鋳型として、「CiDeLF-F(配列番号5)」、「CiDeLF-R(配列番号6)」を用いて、表5で示す条件によりPCRを行った。なお、アニーリング温度は、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、もしくは65℃の各温度で行った。
得られた各PCR産物は、2%アガロースゲルにて電気泳動した。結果を図9に示す。
なお、図において、レーン1〜8は、それぞれアニーリング温度58℃(レーン1)、59℃(レーン2)、60℃(レーン3)、61℃(レーン4)、62℃(レーン5)、63℃(レーン6)、64℃(レーン7)、65℃(レーン8)の各温度での増幅結果を示す。また、左側のレーンはシークワシャー(試料2)、右側のレーンはカラマンシー(試料9)カラマンシーに対する増幅結果を示す。また、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0037】
その結果、アニーリング温度58℃〜63℃(レーン1〜6)の条件でシークワシャーに増幅(76bpと認められる増幅)が確認され、61℃(レーン4)で最も明瞭なバンドが確認された。一方、この温度帯でのカラマンシーの増幅は、全く見られなかった。
【0038】
〔実施例5〕 プライマーセットの条件検討
実施例3で設計したカラマンシーtrnT-trnL領域検出用のプライマーセットについて、アリル特異的PCRにおけるアニーリング温度の検討を行った。
PCR反応は、プライマーセットとして「CiMaTL-F(配列番号7)」、「CiMaTL-R(配列番号8)」を用いたこと、及び、アニーリング温度を54.9℃、55.8℃、56.7℃、57.6℃、58.5℃、59.4℃、60.3℃、もしくは61.2℃の各温度で行ったことを除いて、実施例4と同様にして行った。結果を図10に示す。
なお、図において、レーン1〜8は、それぞれアニーリング温度54.9℃(レーン1)、55.8℃(レーン2)、56.7℃(レーン3)、57.6℃(レーン4)、58.5℃(レーン5)、59.4℃(レーン6)、60.3℃(レーン7)、61.2℃(レーン8)の各温度での増幅結果を示す。また、左側のレーンはシークワシャー(試料2)、右側のレーンはカラマンシー(試料9)に対する増幅結果を示す。また、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0039】
その結果、アニーリング温度54.9℃〜59.4℃(レーン1〜6)でカラマンシーに増幅(105bpと認められる増幅)が確認され、54.9℃〜58.5℃(レーン1〜5)で最も明瞭なバンドが確認された。一方、この温度帯では、シークワシャーでの増幅はほとんど見られなかったが、54.9℃(レーン1)の条件では若干だが増幅する可能性が認められた。
【0040】
【表5】
【0041】
〔実施例6〕 品種判別例
実施例3で設計したシークワシャーtrnL-trnF領域を検出するプライマーセットである「CiDeLF-F(配列番号5)」、「CiDeLF-R(配列番号6)」を用いてアリル特異的PCRを行い、シークワシャーとカラマンシーの判別を行った。
PCR反応は、実施例1で抽出した全DNAの試料1〜10に対して、アニーリング温度を61℃(実施例4で特異的増幅が明瞭に得られた条件)で行ったことを除いては、実施例4と同様にして行った。結果を図11に示す。
なお、図において、レーン1〜7,10はシークワシャー、レーン8,9はカラマンシーに対する増幅結果を示す。また、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0042】
その結果、用いたシークワシャー(試料1〜7,10)に対して明瞭な増幅(76bpと認められる増幅)が認められた。一方、カラマンシー(試料8,9)に対する増幅は、全く見られなかった。
このことから、CiDeLF-F(配列番号5)とCiDeLF-R(配列番号6)を用いたアリル特異的PCRにより、シークワシャーとカラマンシーのDNAを明瞭に判別できることが示された。
【0043】
〔実施例7〕 品種判別例
実施例3で設計したカラマンシーtrnT-trnL領域を検出するプライマーセットである「CiMaTL-F(配列番号7)」、「CiMaTL-R(配列番号8)」を用いてアリル特異的PCRを行い、シークワシャーとカラマンシーの判別を行った。
PCR反応は、実施例1で抽出した全DNAの試料1〜10に対して、アニーリング温度を58℃(実施例5で特異的増幅が明瞭に得られた条件)で行ったことを除いては、実施例5と同様にして行った。結果を図12に示す。
なお、図において、レーン1〜7,10はシークワシャー、レーン8,9はカラマンシーに対する増幅結果を示す。また、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0044】
その結果、用いたカラマンシー(試料8,9)に対して明瞭な増幅(105bpと認められる増幅)が認められた。一方、シークワシャー(試料1〜7,10)に対する増幅は、全く見られなかった。
このことから、CiMaTL-F(配列番号7)とCiMaTL-R(配列番号8)を用いたアリル特異的PCRにより、シークワシャーとカラマンシーのDNAを明瞭に判別できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、従来は困難であった、シークワシャー加熱加工品におけるカラマンシーの混入を容易に且つ高い精度で判別することが可能となる。これにより、シークワシャー加工品におけるカラマンシー原料の不正混入を防止することに貢献できることが期待される。
また、本発明の原理は、シークワシャーやカラマンシーに限らず、他の混合果汁製品の判別への応用も期待される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域に存在するSNP部位及び/又はtrnT-trnL領域に存在するSNP部位の存在をDNAマーカーとして利用して、アリル特異的PCRを行うことを特徴とする、シークワシャーとカラマンシー(果実、加工品)の判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沖縄県特産のカンキツであるシークワシャー(Citrus depressa )は、特有の芳香と食味を有し、沖縄地域の料理や生食用として利用されている。
シークワシャーの果実は、他のカンキツ類と比べてポリメトキシフラボノイド成分であるノビレチン、タンゲレチン等を多量に含有する特徴的なカンキツである。近年、その果汁に豊富に含まれるノビレチンに発癌予防効果が認められ(非特許文献1参照)、果皮を含むペーストの摂取で血糖値の抑制、体脂肪率の減少効果があることが明らかになった。
このため、シークワシャー(果実、加工品)の需要は益々拡大しつつある。
【0003】
しかしながら、現在、シークワシャー原料は大きく不足傾向にある。それに対して、台湾やフィリピン産のカラマンシーが非常に安価で輸入可能である。
このような現状から、カラマンシー果汁入り飲料をシークワシャー果汁原料と不正表示して販売する事例が多発し、公正取引委員会の排除命令による行政処分を行うなど、大きな社会問題となっている。
なお、カラマンシー果実の形態は、シークワシャーに極めて類似するものであり、外見的な判別は極めて困難である。また、一旦搾汁されてしまうと、フラボノイド成分(フロレチン、ポリメトキシフラボノイド類など)の成分分析(非特許文献2参照)を行わない限り、現状では判別することができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Bracke,M.E.(1994), Food Technology, 48, 104
【非特許文献2】Y.,Nogata, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry Vol. 70 (2006) , No. 1 pp.178-192
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、シークワシャーとカラマンシーの果実や加工品(特に加熱加工品)を、高精度で且つ容易に判別する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはこのような状況を鑑み、シークワシャーとカラマンシーの葉緑体DNAを部分解析し、両者の品種識別が可能なSNPの存在を見出した。そして、当該SNPを3'末端に有するプライマー(DNAマーカー)を用いてアリル特異的PCRを行うことにより、極めて高精度で且つ高感度でシークワシャーとカラマンシーを判別できることを見出した。
【0007】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
即ち、請求項1に係る本発明は、以下の(A)又は(B)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認することを特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法に関する。
(A):3'末端が葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと同一塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であり、且つ、当該3'末端から上流に4〜16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方のtrnL-trnF領域の配列と完全一致である。
(B):3'末端が葉緑体DNA上のtrnT-trnL領域に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと一致する塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であり、且つ、当該3'末端から上流に4〜16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方のtrnT-trnL領域の配列と完全一致である。
また、請求項2に係る本発明は、前記プライマーセットにおいて、前記(A)又は(B)の特徴を有するプライマーでない他方のプライマーが、少なくとも3'末端から上流に16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方の配列と完全一致であり、且つ、増幅断片が400bp以下となる位置に設計されたものである、請求項1に記載のシークワシャーとカラマンシーの判別方法に関する。
また、請求項3に係る本発明は、請求項1又は2に記載の前記(A)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認すること、;並びに、請求項1に記載の前記(B)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認すること、;を特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法に関する。
また、請求項4に係る本発明は、前記Aの特徴を有するプライマーを含むプライマーセットが、シークワシャーtrnL-trnF領域を特異的に増幅できる配列番号5及び6からなるプライマーセットであり、;前記Bの特徴を有するプライマーを含むプライマーセットが、カラマンシーtrnT-trnL領域を特異的に増幅できる配列番号7及び8からなるプライマーセットである、;請求項1〜3のいずれかに記載のシークワシャーとカラマンシーの判別方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、葉緑体上の領域をプライマーとして用いたPCR法による検査法であるため、ポリフェノール成分の分析等の複雑な分析を行うことなく、極めて容易な操作のみで、シークワシャーとカラマンシーを高い精度で判別することを可能となる。
また、葉緑体上の短い領域を標的としたPCR法であるため、極めて高感度の検査が可能となる。
これにより、本発明は、従来のポリフェノール成分(フロレチンなど)の簡易検出法では困難であった、原料が混合原料や加熱処理を伴う加工品の場合であっても、高い精度でシークワシャーやカラマンシーを判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】シークワシャーとカラマンシーの果実の外観を比較した写真像図である。
【図2】葉緑体DNA上におけるtrnL-trnF領域とtrnT-trnL領域の模式図である。
【図3】実施例1におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図4】実施例1におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図5】実施例2において、trnL-trnF領域の5'側のアライメント結果を示す図である。
【図6】実施例2において、trnT-trnL領域の5'側のアライメント結果を示す図である。
【図7】実施例3において、3'側末端がSNP部位に相当するプライマーの作成例を示す図である。
【図8】実施例3において、3'側末端がSNP部位に相当するプライマーの作成例を示す図である。
【図9】実施例4におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図10】実施例5におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図11】実施例6におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図12】実施例7におけるPCR増幅結果を示す電気泳動図である。
【図13】本発明の検査によって判別可能な原材料表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域、trnT-trnL領域にあるSNP部位の存在をDNAマーカーとして利用して、アリル特異的PCRを行うことを特徴とする、シークワシャーとカラマンシー(果実、加工品)の判別方法に関する。
【0011】
〔判別対象〕
本発明で判別可能なシークワシャーとしては、カンキツ属ミカン区のCitrus depressa に属するものであれば、如何なるものも含まれる。例えば、沖縄産の伊豆味クガニー、大宜味クガニー、勝山クガニー、当山早生、カーアチー、B-41、B-41-H、A-29、石クニブー、B-7、B-20、B-25、フスブター、カービシー、マヤーガー、C-22、;台湾産の台湾産シークワシャー、;などを判別することができる。
本発明で判別可能なカラマンシーとしては、カンキツ属トウキンカン区のCitrus madurensis に属するものであれば、如何なるものも含まれる。例えば、台湾産のカラマンシー、;沖縄産のシキキツ、;など、を判別することができる。
なお、図1に示すように、シークワシャーとカラマンシー果実の形態は、シークワシャーに極めて類似するものであり、外見的な判別は極めて困難である。また、一旦搾汁されてしまうと、フラボノイド成分などの成分分析を行わない限り、現状では判別することができない。
【0012】
〔SNP〕
本発明に用いる葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域、trnT-trnL領域に存在するSNP(Single Nucleotide Polymorphisms:1塩基変異多型)部位とは、図2の模式図で示すように、trnL-trnF領域、trnT-trnL領域に存在するものを指すものであり、シークワシャーとカラマンシーの品種識別が可能な変異部位を指す部位である。
なお、これらの領域は、転移RNA(trn)遺伝子間にあるスペーサー領域(IGS領域)であり、分子進化速度が比較的速い領域である。
【0013】
trnL-trnF領域に存在するSNPとしては、具体的には、図5のアライメントで示すSNPを用いることができる。なお、当該部位は、NCBIに登録されているスイートオレンジ(Citrus sinensis )の葉緑体DNA配列(Accession No: DQ864733)では、51401番目の塩基に相当する部位である。
また、trnT-trnL領域に存在するSNPとしては、具体的には、図6のアライメントで示すSNPを用いることができる。なお、当該部位は、NCBIに登録されているスイートオレンジ(Citrus sinensis)の葉緑体DNA配列(Accession No: DQ864733)では、50268番目の塩基に相当する部位である。
【0014】
〔プライマーセット〕
本発明は、プライマーの3'末端を上記SNP部位になるように設計することで、上記SNP部位をDNAマーカーとして利用するものである。
【0015】
本発明で用いるプライマーセットとしては、2本のプライマーのうちのどちらか一方のプライマーの3'末端が、前記SNPに相当する位置に設計されたものを用いることできる。
なお、当該3'末端の塩基を、シークワシャーと同一の塩基に設計することで、シークワシャーを特異的に検出することが可能となる。
また、カラマンシーと同一の塩基に設計することで、カラマンシーを特異的に検出することが可能となる。
【0016】
また、当該SNP部位に設計するプライマーとしては、当該3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基(シークワシャーともカラマンシーとも異なる塩基)に置換されたものを用いることで、PCRのバックグラウンドを顕著に低減させることが可能となる。
例えば、当該部位がT(チミン)の場合は、T(チミン)以外の塩基であるA(アデニン)、C(シトシン)、G(グアニン)などや、もしくは、I(イノシン)などの特定塩基と結合しない塩基に置換することができる。
【0017】
当該SNP部位に設計するプライマーとしては、5'末端に修飾塩基配列等(鋳型と一致しない配列)を含むものであってもよいが、少なくとも当該3'末端から上流に4〜16個目まで、好ましくは4〜18個目まで、さらに好ましくは4〜20個目までの塩基は、鋳型である標的DNA(シークワシャー及びカラマンシーの両方の配列)と完全一致であることが望ましい。
【0018】
当該プライマーセットのもう一方のプライマーとしては、前記SNP部位に設計するプライマーと組合せて用いた場合に、通常のPCRで増幅しやすい長さ(例えば1.5kbp以下)の断片が得られる位置であれば、如何なる位置に設計することができる。
なお、PCRの検出感度の観点から、短い増幅断片が得られる位置に設計することが望ましい。具体的には、例えば400bp以下、好ましくは300bp以下、さらに好ましくは200bp以下、もっと好ましくは110bp以下で行うことで、高感度検出が求められる加工品の判別にも対応することができる。
なお、もう一方のプライマーとしては、5'末端に修飾塩基配列等(鋳型と一致しない配列)を含むものであってもよいが、少なくとも3'末端から上流に16個目まで、好ましくは18個目まで、さらに好ましくは20個目までの塩基は、鋳型である標的DNA(シークワシャー及びカラマンシーの両方の配列)と完全一致であることが望ましい。
【0019】
当該プライマーセットに用いるプライマーの長さとしては、通常のPCRプライマーの範囲であればよい。例えば通常のプライマーの長さの範囲である16〜50bp程度のものであれば用いることができるが、下限として好ましくは18bp以上、さらに好ましくは20bp以上を挙げることができる。また、上限としては40bp以下、好ましくは35bp以下を挙げることができる。
なお、バックグラウンドを低減させるために、2本のプライマーのTm値がほぼ同じになるように設計することが望ましい。
また、5'末端に検出用の修飾物質(例えばビオチン、DIG、Cy5やCy3などの蛍光物質など)や修飾塩基配列(例えば制限酵素サイトを含む配列など)を付加したものであってもよい。
【0020】
上記条件を満たす当該プライマーセットのうち、シークワシャーを特異的に検出できるものとしては、trnL-trnF領域を特異的に増幅できる「CiDeLF-F(配列番号5)」と「CiDeLF-R(配列番号6)」からなるプライマーセット(増幅断片76bp)を挙げることができる。
また、カラマンシーを特異的に検出できるセットの具体例としては、カラマンシーtrnT-trnL領域を特異的に増幅できる「CiMaTL-F(配列番号7)」と「CiMaTL-R(配列番号8)」からなるプライマーセット(増幅断片105bp)を挙げることができる。
【0021】
〔アリル特異的PCR〕
上記プライマーセットを用いたアリル特異的PCRは、通常のPCR反応によって行うことが可能である。好ましくは、感度が高く且つバックグラウンドが少ない増幅酵素と反応液を用いて行うことが望ましい。例えば、KOD、Ex-Taq、AmpliTaq-Gold、Pfuなどを挙げることができる。
また、アニーリング温度としては、プライマーのTm値やPCR反応液の組成によって変化するものであるので、標的領域の特異的増幅がシークワシャーとカラマンシーで明瞭に区別できる温度を適宜設定することで行うことができる。例えば46〜68℃程度、好ましくは50〜65℃程度で設定することができる。
【0022】
PCR反応後は、アガロースゲル等で電気泳動し、標的配列に相当するサイズの増幅断片の有無を検出することで、極めて容易に品種判別することができる。
核酸検出としては、エチジウムブロマイド染色とUV照射により簡便に行うことができるが、より感度を要する検出の場合、リアルタイムPCR法、サザンハイブリダイゼーション、表面プラズモン共鳴(SPR)法、水晶振動子(QCM)法などを行うことで、より高精度の検出を行うことも可能である。
【0023】
〔判別検査〕
本発明におけるアリル特異的PCRは、上記のように鋳型である標的領域が葉緑体DNA(核DNAに比べてコピー数が大幅に多く増幅しやすい)上にあり、比較的短い配列を標的とする。そのため、加熱処理を伴う加工品のようなDNAの分解や劣化が認められる検査対象に対しても、高い精度で検査を行うことが可能となる。
また、増幅断片のサイズ(プライマーの位置)をより短く設定することで、さらなる高感度化が可能となる。
【0024】
本発明によって判別可能な検査としては、生果に対する直接の判別に加えて、;果汁、ジュース、ジャム、氷菓、アイスクリーム、ゼリーなどの加工品、;に対しても行うことができる。特に、加熱処理などの加工後のものにも行うことが可能である。
これらの検査対象に対するPCRは、検査対象からDNAを抽出してから行うことが感度の点で望ましい。なお、対象によってはダイレクトPCRによって直接PCRを行うことも可能な場合がある。
【0025】
判別検査としては、シークワシャーを特異的に検出できるプライマーセットによる検査、カラマンシーを特異的に検出できるプライマーセットによる検査、のいずれかを行ってもよいが、両方の検査を行うことでより詳細な検査を行うことができる。
例えば、図13に示すように、シークワシャー検出陽性(+)/カラマンシー検出陰性(+)の結果が得られた場合、「原料としてシークワシャーにカラマンシーが混入している」という結果を得ることができる。
なお、混入率等を詳細に知りたい場合、リアルタイムPCR法などによって、鋳型DNA量を定量することで混入率を推定することも可能となる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
【0027】
〔実施例1〕 シークワシャーとカラマンシーの品種判別プライマーセットの作製
(1)trnL-trnF領域およびtrnT-trnL領域の増幅
表1に示す果実試料を凍結乾燥させ、QIAGEN社製のDNeasy Plant Mini kitsにより全DNAを抽出した。
次いで、抽出した全DNAのうち試料1〜9に対して、表2に示すプライマー(Taberlet P. et al. Plant Mol. Biol. 17, 1105-1109, (1991))の組合せを用いて、表3に示す条件によりPCRを行い、trnL-trnF領域およびtrnT-trnL領域の増幅を行った。
得られた各PCR産物は、2%アガロースゲルにて電気泳動した。trnL-trnF領域の増幅結果を図3に、trnT-trnL領域の結果を図4に示す。
なお、図において、レーン1〜7はシークワシャーの試料、レーン8〜9はカラマンシーの試料に対する増幅結果を示す。また、レーンNCはnegative control(鋳型なし)、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0028】
その結果、用いた全てのシークワシャーとカラマンシー(試料1〜9)から、trnL-trnF領域(437bp)とtrnT-trnL領域(1121bp)と認められる増幅が見られた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
〔実施例2〕 塩基配列の決定
上記により得られた各増幅断片について、各増幅プライマーと同じプライマーを用いて、ダイレクトシーケンス法により塩基配列を決定した。そして、得られた各配列とバレンシア(Citrus sinensis)の配列(Accession No: DQ864733)について、アライメントを行った。trnL-trnF領域における5'側のアライメント結果を図5に、trnT-trnL領域における5'側のアライメント結果を図6に示す。
【0033】
その結果、trnL-trnF領域とtrnT-trnL領域の両方において、カラマンシー(試料8,9)に特異的なSNPが存在することが明らかになった。なお、シークワシャーにおける各相同部位はバレンシアと同じ塩基であった。
【0034】
〔実施例3〕 DNAマーカー(プライマーセット)の設計
実施例2のアライメント結果とアリル特異的PCR法(Okayama et al. J. Lab. Clin. Med., 114, 105-113 (1989))に基づいて、シークワシャーとカラマンシーの判別に用いることができるプライマーセットを設計した。
具体的には、表4で示すように、シークワシャーtrnL-trnF領域検出用のプライマーセットとして、CiDeLF-F:配列番号5、CiDeLF-R:配列番号6を設計した。また、カラマンシーtrnT-trnL領域検出用のプライマーセットとして、CiMaTL-F:配列番号7、CiMaTL-R:配列番号8を設計した。
なお、各プライマーセットのforward primer(CiDeLF-F:配列番号5、CiMaTL-F:配列番号7)は、3'末端がSNP部位になる位置に設計し、非特異的増幅を低減するため、3'末端から3番目の位置にミスマッチ塩基を導入した。図7と図8に当該プライマーの作製例を示す。また、図5と図6の各アライメントの下に、forward primer作製部位を示す。
【0035】
【表4】
【0036】
〔実施例4〕 プライマーセットの条件検討
実施例3で設計したシークワシャーtrnL-trnF領域検出用のプライマーセットについて、アリル特異的PCRにおけるアニーリング温度の検討を行った。
上記実施例1で抽出した全DNAのうち、試料2(シークワシャー)もしくは試料9(カラマンシー)のDNAを鋳型として、「CiDeLF-F(配列番号5)」、「CiDeLF-R(配列番号6)」を用いて、表5で示す条件によりPCRを行った。なお、アニーリング温度は、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、もしくは65℃の各温度で行った。
得られた各PCR産物は、2%アガロースゲルにて電気泳動した。結果を図9に示す。
なお、図において、レーン1〜8は、それぞれアニーリング温度58℃(レーン1)、59℃(レーン2)、60℃(レーン3)、61℃(レーン4)、62℃(レーン5)、63℃(レーン6)、64℃(レーン7)、65℃(レーン8)の各温度での増幅結果を示す。また、左側のレーンはシークワシャー(試料2)、右側のレーンはカラマンシー(試料9)カラマンシーに対する増幅結果を示す。また、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0037】
その結果、アニーリング温度58℃〜63℃(レーン1〜6)の条件でシークワシャーに増幅(76bpと認められる増幅)が確認され、61℃(レーン4)で最も明瞭なバンドが確認された。一方、この温度帯でのカラマンシーの増幅は、全く見られなかった。
【0038】
〔実施例5〕 プライマーセットの条件検討
実施例3で設計したカラマンシーtrnT-trnL領域検出用のプライマーセットについて、アリル特異的PCRにおけるアニーリング温度の検討を行った。
PCR反応は、プライマーセットとして「CiMaTL-F(配列番号7)」、「CiMaTL-R(配列番号8)」を用いたこと、及び、アニーリング温度を54.9℃、55.8℃、56.7℃、57.6℃、58.5℃、59.4℃、60.3℃、もしくは61.2℃の各温度で行ったことを除いて、実施例4と同様にして行った。結果を図10に示す。
なお、図において、レーン1〜8は、それぞれアニーリング温度54.9℃(レーン1)、55.8℃(レーン2)、56.7℃(レーン3)、57.6℃(レーン4)、58.5℃(レーン5)、59.4℃(レーン6)、60.3℃(レーン7)、61.2℃(レーン8)の各温度での増幅結果を示す。また、左側のレーンはシークワシャー(試料2)、右側のレーンはカラマンシー(試料9)に対する増幅結果を示す。また、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0039】
その結果、アニーリング温度54.9℃〜59.4℃(レーン1〜6)でカラマンシーに増幅(105bpと認められる増幅)が確認され、54.9℃〜58.5℃(レーン1〜5)で最も明瞭なバンドが確認された。一方、この温度帯では、シークワシャーでの増幅はほとんど見られなかったが、54.9℃(レーン1)の条件では若干だが増幅する可能性が認められた。
【0040】
【表5】
【0041】
〔実施例6〕 品種判別例
実施例3で設計したシークワシャーtrnL-trnF領域を検出するプライマーセットである「CiDeLF-F(配列番号5)」、「CiDeLF-R(配列番号6)」を用いてアリル特異的PCRを行い、シークワシャーとカラマンシーの判別を行った。
PCR反応は、実施例1で抽出した全DNAの試料1〜10に対して、アニーリング温度を61℃(実施例4で特異的増幅が明瞭に得られた条件)で行ったことを除いては、実施例4と同様にして行った。結果を図11に示す。
なお、図において、レーン1〜7,10はシークワシャー、レーン8,9はカラマンシーに対する増幅結果を示す。また、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0042】
その結果、用いたシークワシャー(試料1〜7,10)に対して明瞭な増幅(76bpと認められる増幅)が認められた。一方、カラマンシー(試料8,9)に対する増幅は、全く見られなかった。
このことから、CiDeLF-F(配列番号5)とCiDeLF-R(配列番号6)を用いたアリル特異的PCRにより、シークワシャーとカラマンシーのDNAを明瞭に判別できることが示された。
【0043】
〔実施例7〕 品種判別例
実施例3で設計したカラマンシーtrnT-trnL領域を検出するプライマーセットである「CiMaTL-F(配列番号7)」、「CiMaTL-R(配列番号8)」を用いてアリル特異的PCRを行い、シークワシャーとカラマンシーの判別を行った。
PCR反応は、実施例1で抽出した全DNAの試料1〜10に対して、アニーリング温度を58℃(実施例5で特異的増幅が明瞭に得られた条件)で行ったことを除いては、実施例5と同様にして行った。結果を図12に示す。
なお、図において、レーン1〜7,10はシークワシャー、レーン8,9はカラマンシーに対する増幅結果を示す。また、レーンMは100bpマーカーを示す。
【0044】
その結果、用いたカラマンシー(試料8,9)に対して明瞭な増幅(105bpと認められる増幅)が認められた。一方、シークワシャー(試料1〜7,10)に対する増幅は、全く見られなかった。
このことから、CiMaTL-F(配列番号7)とCiMaTL-R(配列番号8)を用いたアリル特異的PCRにより、シークワシャーとカラマンシーのDNAを明瞭に判別できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、従来は困難であった、シークワシャー加熱加工品におけるカラマンシーの混入を容易に且つ高い精度で判別することが可能となる。これにより、シークワシャー加工品におけるカラマンシー原料の不正混入を防止することに貢献できることが期待される。
また、本発明の原理は、シークワシャーやカラマンシーに限らず、他の混合果汁製品の判別への応用も期待される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)又は(B)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認することを特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法。
(A):3'末端が葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと同一塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であり、且つ、当該3'末端から上流に4〜16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方のtrnL-trnF領域の配列と完全一致である。
(B):3'末端が葉緑体DNA上のtrnT-trnL領域に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと一致する塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であり、且つ、当該3'末端から上流に4〜16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方のtrnT-trnL領域の配列と完全一致である。
【請求項2】
前記プライマーセットにおいて、前記(A)又は(B)の特徴を有するプライマーでない他方のプライマーが、少なくとも3'末端から上流に16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方の配列と完全一致であり、且つ、増幅断片が400bp以下となる位置に設計されたものである、請求項1に記載のシークワシャーとカラマンシーの判別方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記(A)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認すること、;並びに、請求項1に記載の前記(B)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認すること、;を特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法。
【請求項4】
前記Aの特徴を有するプライマーを含むプライマーセットが、シークワシャーtrnL-trnF領域を特異的に増幅できる配列番号5及び6からなるプライマーセットであり、;前記Bの特徴を有するプライマーを含むプライマーセットが、カラマンシーtrnT-trnL領域を特異的に増幅できる配列番号7及び8からなるプライマーセットである、;請求項1〜3のいずれかに記載のシークワシャーとカラマンシーの判別方法。
【請求項1】
以下の(A)又は(B)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認することを特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法。
(A):3'末端が葉緑体DNA上のtrnL-trnF領域に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと同一塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であり、且つ、当該3'末端から上流に4〜16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方のtrnL-trnF領域の配列と完全一致である。
(B):3'末端が葉緑体DNA上のtrnT-trnL領域に存在するシークワシャーとカラマンシーのSNP部位に対応する位置であり、且つ、当該3'末端がシークワシャーもしくはカラマンシーのどちらかのSNPと一致する塩基であり、且つ、前記3'末端から上流に3個目の塩基がミスマッチ塩基であり、且つ、当該3'末端から上流に4〜16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方のtrnT-trnL領域の配列と完全一致である。
【請求項2】
前記プライマーセットにおいて、前記(A)又は(B)の特徴を有するプライマーでない他方のプライマーが、少なくとも3'末端から上流に16個目までの塩基がシークワシャー及びカラマンシーの両方の配列と完全一致であり、且つ、増幅断片が400bp以下となる位置に設計されたものである、請求項1に記載のシークワシャーとカラマンシーの判別方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記(A)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認すること、;並びに、請求項1に記載の前記(B)の特徴を有するプライマーを含むプライマーセットを用いてアリル特異的PCRを行い、標的配列の増幅の有無を確認すること、;を特徴とする、シークワシャーとカラマンシーの判別方法。
【請求項4】
前記Aの特徴を有するプライマーを含むプライマーセットが、シークワシャーtrnL-trnF領域を特異的に増幅できる配列番号5及び6からなるプライマーセットであり、;前記Bの特徴を有するプライマーを含むプライマーセットが、カラマンシーtrnT-trnL領域を特異的に増幅できる配列番号7及び8からなるプライマーセットである、;請求項1〜3のいずれかに記載のシークワシャーとカラマンシーの判別方法。
【図2】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−177113(P2011−177113A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44858(P2010−44858)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 日本食品科学工学会第56回大会講演集 平成21年9月10日発行 編集発行者 芳賀聖一 発行所 日本食品科学工学会第56会大会事務局
【出願人】(300029592)学校法人中村学園 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 日本食品科学工学会第56回大会講演集 平成21年9月10日発行 編集発行者 芳賀聖一 発行所 日本食品科学工学会第56会大会事務局
【出願人】(300029592)学校法人中村学園 (9)
【Fターム(参考)】
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