説明

トリガー式スプレイヤー

【課題】組み付けが容易であり、且つ液体の吐出性が優れるトリガー式スプレイヤーを提供する。
【解決手段】容器Xに取り付け可能なキャップ部2と、該キャップ部に係合され、液体が流通可能な第1流路R1を有する本体部1と、該第1流路に連通する円筒状のシリンダ部3と、該シリンダ部内に収容され、第1流路から該シリンダ部3内に通じる液体の流路を開閉するFバルブ7aと、シリンダ部内をスライド可能であり、内部に液体が流通可能な第2流路R2を有するピストン部13と、該ピストン部を前後にスライドさせるトリガー部4と、ピストン部内に収容され、シリンダ部3内から第2流路に通じる液体の流路を開閉するSバルブ7bと、該Sバルブにバネ部6を介して連結されたスピンナー部14と、該スピンナー部が取り付けられるノズル部15と、本体部1をカバーするカバー部9と、を備え、シリンダ部3、Fバルブ、ピストン部13、Sバルブ、スピンナー部14及びノズル部15が直線状に配列されているトリガー式スプレイヤー100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式スプレイヤーに関し、より詳しくは、組み付けが容易であり、且つ液体の吐出性が優れるトリガー式スプレイヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に収容された液体を所望の位置に吹き付ける装置として従来、トリガー式スプレイヤーが知られている。
トリガー式スプレイヤーは、トリガーを回動することによって、内蔵されたポンプを加圧、減圧させ、その圧力変化を利用して液体を吐出させる装置であり、近年、蓄圧式のものも含めて多くのタイプが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、トリガー式スプレイヤーは、一般に部品点数が多いので、組み付けに手間がかかるという欠点がある。
それに対し、有頂筒状の装着基部と、縦筒と、射出筒と、シリンダとを一体に形成した蓄圧式のトリガー式液体噴出器が知られている(例えば、特許文献2参照)。かかるトリガー式液体噴出器によれば、有頂筒状の装着基部と、縦筒と、射出筒と、シリンダとが一体となっているので、比較的組付けが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−160573号公報
【特許文献2】特開2009−6288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2記載のトリガー式スプレイヤーは、シリンダが、射出筒と縦筒とのコーナー部分より斜め下方前方に突設されているので、必ずしも組み付けが容易とはいえない。
【0006】
また、上記特許文献1及び2に記載のトリガー式スプレイヤーを含む従来のトリガー式スプレイヤーは、一般に、ポンプが液体を加圧、減圧する方向と、液体を吐出する方向が異なっている。すなわち、ポンプ内で圧縮された液体は、上方に流通した後、屈曲して水平方向に流通し、吐出されている。このため、屈曲することにより流路壁面との摩擦が大きくなり、液体の吐出の勢い(以下「吐出性」という。)に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、組み付けが容易であり、且つ液体の吐出性が優れるトリガー式スプレイヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、Fバルブ(ファーストバルブ)、ピストン部、Sバルブ(セカンドバルブ)、バネ部(バルブスプリング)、スピンナー部及びノズル部に加え、シリンダ部も直線状に配列することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、(1)容器に取り付け可能なキャップ部と、該キャップ部に係合され、液体が流通可能な第1流路を有する本体部と、該第1流路に連通する円筒状のシリンダ部と、該シリンダ部内に収容され、第1流路から該シリンダ部内に通じる液体の流路を開閉するFバルブと、シリンダ部内をスライド可能であり、内部に液体が流通可能な第2流路を有するピストン部と、該ピストン部を前後にスライドさせるトリガー部と、ピストン部内に収容され、シリンダ部内から第2流路に通じる液体の流路を開閉するSバルブと、該Sバルブにバネ部を介して連結されたスピンナー部と、該スピンナー部が取り付けられるノズル部と、本体部をカバーするカバー部と、を備え、シリンダ部、Fバルブ、ピストン部、Sバルブ、スピンナー部及びノズル部が直線状に配列されているトリガー式スプレイヤーに存する。
【0010】
本発明は、(2)シリンダ部が、第1流路及び第2流路よりも径大となっており、内部に液体が貯蓄されるようになっている上記(1)記載のトリガー式スプレイヤーに存する。
【0011】
本発明は、(3)トリガー部が回動可能となるように本体部に枢着されている上記(1)又は(2)に記載のトリガー式スプレイヤーに存する。
【0012】
本発明は、(4)本体部と、シリンダ部とが一体となっている上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のトリガー式スプレイヤーに存する。
【0013】
本発明は、(5)Sバルブと、バネ部と、スピンナー部とが一体となっている上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のトリガー式スプレイヤーに存する。
【0014】
本発明は、(6)カバー部が本体部に係合されており、後方に突出した突出部を備える上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のトリガー式スプレイヤー。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトリガー式スプレイヤーにおいては、シリンダ部、Fバルブ、ピストン部、Sバルブ、バネ部、スピンナー部及びノズル部が直線状に配列されているので、組み付けが容易となる。
また、シリンダ部で液体を加圧、減圧する方向と、液体を吐出する方向が同じになっているので、シリンダ部内で圧縮された液体は、流通の勢いが減衰されることなくノズル部から吐出される。このため、上記トリガー式スプレイヤーは、液体の吐出性が優れるものとなる。
【0016】
本発明のトリガー式スプレイヤーにおいては、シリンダ部が、第1流路及び第2流路よりも径大となっており、内部に液体が貯蓄されるようになっていると、十分な量の液体を貯蓄できるので、十分な量の液体を吐出することが可能となる。
【0017】
本発明のトリガー式スプレイヤーにおいては、トリガー部が回動可能となるように本体部に枢着されている場合、構造がシンプルとなる。
また、該トリガー部の回動に応じてピストン部が前後にスライドするので、液体を吐出させる操作が極めて容易となる。
【0018】
本発明のトリガー式スプレイヤーにおいては、本体部と、シリンダ部とが一体となっている場合、部品点数が減るので、組み付けがより容易となる。
これに加え、Sバルブと、バネ部と、スピンナー部とが一体となっている場合、組み付けがより一層容易となる。
【0019】
本発明のトリガー式スプレイヤーにおいては、カバー部が本体部に係合されている場合、装着が容易であると共に、カバー部により本体部が保護される。
また、カバー部が後方に突出した突出部を備える場合、該突出部に手を引っ掛けることにより、トリガー式スプレイヤーを把持しやすく、且つトリガー部を手前に引きやすい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係るトリガー式スプレイヤーの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの第1部材を示す断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのピストン部を示す断面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの第2部材を示す概略図である。
【図5】図5の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのカバー部の正面図であり、(b)は、(a)のT−T線で切断した断面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの組み付け方法の一部を示す概略図である。
【図7】図7は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーを示す斜視図である。
【図8】図8は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのトリガー部を引いた後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明に係るトリガー式スプレイヤーの一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100は、容器Xに取り付け可能なキャップ部2と、該キャップ部2に係合され、液体が流通可能な第1流路R1を有する本体部1と、該第1流路R1に嵌入されたチューブ部8と、前記第1流路R1に連通する円筒状のシリンダ部3と、該シリンダ部3内に収容され、第1流路R1から該シリンダ部3内に通じる液体の流路を開閉するFバルブ7aと、シリンダ部3内をスライド可能であり、内部に液体が流通可能な第2流路R2を有するピストン部13と、該ピストン部13を前後にスライドさせるトリガー部4と、ピストン部13内に収容され、シリンダ部3内から第2流路R2に通じる液体の流路を開閉するSバルブ7bと、該Sバルブ7bにバネ部6を介して連結されたスピンナー部14と、該スピンナー部14が取り付けられるノズル部15と、本体部1をカバーするカバー部9と、を備える。
【0023】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100においては、Fバルブ7a、シリンダ部3、ピストン部13、Sバルブ7b、バネ部6、スピンナー部14及びノズル部15が直線状に配列されている。このため、組み付けが極めて容易となる。
また、Fバルブ7a、ピストン部13、Sバルブ7b、バネ部6、スピンナー部14及びノズル部15に加え、シリンダ部3が更に直線状に配列されているので、シリンダ部3で液体を加圧、減圧する方向と、液体を吐出する方向が同じになる。このため、シリンダ部3内で圧縮された液体は、流路壁面から受ける摩擦が極力少なくなり、流通の勢いが減衰されることなくノズル部15から吐出される。その結果、上記トリガー式スプレイヤー100は、液体の吐出性が優れるものとなる。
【0024】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100は、本体部1、シリンダ部3及びトリガー部4が一体となった第1部材と、Sバルブ7b、バネ部6及びスピンナー部14が一体となった第2部材とを有する。すなわち、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100は、第1部材と、ピストン部13と、第2部材と、Fバルブ7aと、ノズル部15と、カバー部9とからなる。これにより、トリガー式スプレイヤー100は、部品点数を減らすことができるので、全体の組み付けがより容易となる。なお、第1部材、ピストン部13、第2部材、Fバルブ7a、ノズル部15及びカバー部9の材質は、いずれも、PP、PE等の合成樹脂であり、主として射出成形により製造される。
【0025】
図2は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの第1部材を示す断面図である。
図2に示すように、第1部材50は、本体部1とシリンダ部3とが一体となっており、トリガー部4が回動可能となるように本体部1に枢着されている。
【0026】
本体部1は、内部に液体が流通可能な第1流路R1を有している。
そして、該第1流路R1は、上端が前方に設けられたシリンダ部3に連通している。すなわち、第1流路R1から流入した液体は、第1流路R1の上端を通り、シリンダ部3内に流入し、貯蓄されるようになっている。このとき、シリンダ部3は、十分な量の液体が貯蓄可能となるように第1流路R1及び後述する第2流路R2よりも径大となっている。なお、トリガー式スプレイヤー100において、液体は、一旦、シリンダ部3内に貯蓄されるので、第1流路R1で流路壁面から摩擦を受けたとしても、液体の吐出は影響されない。
【0027】
また、本体部1においては、第1流路R1に平行するように空路S1が設けられており、該空路S1に連通する補助シリンダ部3aがシリンダ部3に並設されている。なお、かかる空路S1及び補助シリンダ部3aの詳細については、後述する。
【0028】
本体部1は、下端に第1係合部1bが設けられており、第1係合部1bの上方に第2係合部1cが設けられている。
そして、本体部1は、第1係合部1bをキャップ部2で押さえ付けることで容器Xの口部に容易に取り付けることができる。すなわち、第1係合部1bを介してキャップ部2に係合可能となっており、また、第2係合部1cを介してカバー部9に係合可能となっている(図1参照)。
【0029】
キャップ部2は、容器Xの口部に着脱可能となっている。すなわち、トリガー式スプレイヤー100は、キャップ部2を介して、市販の容器Xに対して着脱可能となっている。なお、容器Xは、その口部にトリガー式スプレイヤー100のキャップ部2が取り付け可能であれば、形状を問わない。なお、カバー部9の詳細については、後述する。
【0030】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100においては、本体部1の第1流路R1にチューブ部8が嵌入されている(図1参照)。
トリガー式スプレイヤー100においては、チューブ部8の先端が容器X内の液体中に浸漬されており(図示しない)、該チューブ部8から容器X内の液体が本体部1の第1流路R1に導入されるようになっている。
【0031】
トリガー部4は、回動可能となるように本体部の枢着部1aに枢着されている。このため、構造がシンプルである。
また、トリガー部4の回動に応じてピストン部13が前後にスライドするので、液体を吐出させる操作が極めて容易となる。
【0032】
トリガー部4は、板状の弾性板4aを備えており、トリガー部4を矢印A方向(図2参照)に回動させて閉じることにより、該弾性板4aが本体部に当接されるようになっている。
そして、トリガー部4を閉じた状態でトリガー部4を手前に引くと、弾性板4aは屈曲され、トリガー部4を手前に引いた状態から開放すると、屈曲した弾性板4aの復帰力によって、トリガー部4が元の位置に戻るようになっている。
【0033】
本体部1において、シリンダ部3には、第1流路R1からシリンダ部3内への液体の流路を開閉するFバルブ7aが内設されている(図1参照)。これにより、容器X内の液体がシリンダ部3内へ導入される際には、Fバルブ7aが流路を開き、ノズル部15から液体が吐出される場合には、Fバルブ7aが流路を閉じるようになっている。
【0034】
図3は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのピストン部を示す断面図である。
図3に示すように、ピストン部13は、螺合部23aと、該螺合部23aに連続する中腹部23bと、該中腹部23bに連続し、螺合部23a及び中腹部23bよりも径が大きくなった鍔部23cとからなる。
また、ピストン部13は、内部に液体が流通可能な第2流路R2を有している。
【0035】
ピストン部13において、鍔部23cは、シリンダ部3の内面に当接されている。これにより、ピストン部13をスライドさせると、鍔部23cがシリンダ部3の内面を摺動し、シリンダ部3内の液体が加圧又は減圧されることになる。
例えば、シリンダ部3内の液体が加圧された場合、蓄圧された液体がピストン部13内の第2流路R2に流入することになる。
【0036】
ピストン部13は、中腹部23bに枝分かれした補助ピストン部13aを有している。かかる補助ピストン部13aは、上述した補助シリンダ部3a内をスライドするようになっている。
また、補助シリンダ部3a内は、空路S1を介して容器内部に通じている。そして、補助ピストン部13aがスライドすることによって、補助シリンダ部3aに形成された図示しない負圧穴の開閉が行われ、容器内の負圧が解消される。
【0037】
ピストン部13は、螺合部23aにノズル部15が取り付けられる。このとき、ノズル部15は、ノズル口部15aが後述するスピンナー部14に当接するように、ピストン部13の螺合部23aに螺合される(図1参照)。なお、ノズル部15には、スピンナー部14から吐出される液体を、例えば泡状にするフラップが設けられていてもよい。
【0038】
図4は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの第2部材を示す概略図である。
図4に示すように、第2部材60は、Sバルブ7b、バネ部6及びスピンナー部14が直線状に一体となっており、上述したピストン部13の第2流路R2に挿入することにより配置される。
【0039】
第2部材60において、スピンナー部14は、ピストン部13内に固定されており、Sバルブ7bは、バネ部6によって一方(右方)に付勢されている。
そして、例えば、トリガー部4を指で手前に引くことにより、ピストン部13がスライドされ、シリンダ部3内の液体が一定の圧力まで加圧されると、バネ部6が収縮することでSバルブ7bとピストン部13との間が開き、反対にトリガー部4が指から開放されてシリンダ部3内の液体が減圧されると、バネ部6の復帰力によりSバルブ7bとピストン部13との間が閉じるようになっている。すなわち、Sバルブ7bは、ピストン部13内の第2流路R2を塞ぐ弁の働きをする。これにより、トリガー式スプレイヤー100においては、Sバルブ7bによって液体の流通が確実に遮断されるので、液垂れを防止することができる。
【0040】
図5の(a)は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのカバー部の正面図であり、(b)は、(a)のT−T線で切断した断面図である。
図5の(a)に示すように、カバー部9は、内部が中空であり、第1部材50を収容できるようになっている。
また、図5の(b)に示すように、カバー部9には、内側に被係合部9aが設けられており、後方に突出した突出部9bが設けられている。
【0041】
カバー部9は、上述した本体部1に設けられた第2係合部1cに、被係合物9aが係合されることにより、本体部1に取り付けられる。
トリガー式スプレイヤー100においては、カバー部9の装着が容易であり、しかも、カバー部9を備えることにより、本体部1が確実に保護されることになる。
【0042】
トリガー式スプレイヤー100は、カバー部9が、後方に突出した突出部9bを備えるので、該突出部9bに手を引っ掛けることにより、トリガー式スプレイヤー100を把持しやすくなる。
また、トリガー式スプレイヤー100を把持した状態からトリガー部4を手前に引きやすいという利点もある。
【0043】
次に、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100の組み付け方法について説明する。
図6は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーの組み付け方法の一部を示す概略図である。
図6に示すように、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100の組み付け方法においては、まず、第1部材50のシリンダ部3にFバルブ7aを挿入する。
【0044】
次いで、ピストン部13の第2流路R2に第2部材60を挿入し、これを第1部材50の空隙部50aに挿入する。このとき、トリガー部4に設けられた引っ掛け部50bが、ピストン部13の両側に設けられた図示しない凸部に引っ掛けられることで、ピストン部13がトリガー部4に対して位置決めされる。なお、これにより、トリガー部4の回動に基づいて、ピストン部3が前後のスライドするようになる。
【0045】
そして、第1部材50のトリガー部4を回動させて閉じることにより、ピストン部13が、シリンダ部3に圧入される。このとき、ピストン部13の鍔部23cがシリンダ部3内をスライドし、補助ピストン部13aが補助シリンダ部3aン内をスライドするように取り付ける。これにより、ピストン部13は、第1部材50に組み込まれる。
【0046】
そして、ピストン部13の螺合部23aにノズル部15が取り付けられる。
【0047】
その後、キャップ部2及びカバー部9を本体部1に係合し、キャップ部2に容器Xを取り付けることにより、図7に示すトリガー式スプレイヤー100が得られる。
【0048】
このように、上記トリガー式スプレイヤー100の組み付け方法においては、シリンダ部3、Fバルブ7a、ピストン部13、Sバルブ7b、スピンナー部14及びノズル部15が直線状に配列されているので、組み付けが極めて容易となる。
また、組み付け時に、トリガー部4を回動させながらシリンダ部3にピストン部13を圧入するだけで、容易に各部の組み付けを行うことができる。
【0049】
次に、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100の作用について説明する。
図8は、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤーのトリガー部を引いた後の状態を示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100においては、トリガー部4を手前に引くことにより、補助ピストン部13aと共にピストン部13が右方にスライドする。
【0050】
そして、ピストン部13がスライドすると、シリンダ部3内の液体が加圧され、液体に一定の圧力になると、Sバルブ7bが開き、液体がシリンダ部3から第2流路R2を流通してスピンナー部14及びノズル部15を介して左方の外部に吐出されるようになっている。このように、トリガー式スプレイヤー100においては、シリンダ部3で液体を加圧、減圧する方向と、液体を吐出する方向が同じになっている。
【0051】
そして、液体が吐出されると、シリンダ部3内の液体が徐々に減圧され、その後、液体の吐出が停止する。
【0052】
液体の吐出後、トリガー部4を手前に引いた状態から開放すると、本体部1に屈曲された状態で当接された弾性板4aの復帰力によって、トリガー部4が元の位置に戻ると共に、ピストン部13が左方にスライドする。
ピストン部13がスライドすると、シリンダ部3内の空間が負圧となるので、負圧を解消するためにFバルブ7aが流路を開き、容器X内の液体がチューブ部8を通って吸上げられ、シリンダ部3内に液体が充填されることになる。
【0053】
トリガー式スプレイヤー100においては、このような操作が繰り返されることにより、一定量の液体が、ノズル部15から繰り返して吐出されることになる。このように、上記トリガー式スプレイヤー100は、簡単な構造でありながら、効率良く液体の吐出が行われる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100は、本体部1、シリンダ部3及びトリガー部4が一体となった第1部材を有しているが、本体部、シリンダ部及びトリガー部は、それぞれ別体であってもよい。
同様に、トリガー式スプレイヤー100は、Sバルブ7b、バネ部6及びスピンナー部14が一体となった第2部材を有しているが、Sバルブ、バネ部及びスピンナー部は、それぞれ別体であってもよい。
また、Fバルブ7a及び/又はカバー部9が本体部1と一体となっていてもよい。
【0056】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100において、トリガー部4の復帰力を与える弾性板4aは、板状となっているが、コイル状、蛇行状、バネ座金状等であってもよく、また、別体とすることも可能である。
【0057】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100において、第2部材60のバネ部6は、蛇行状となっているが、コイル状、板状、バネ座金状等であってもよい。
【0058】
本実施形態に係るトリガー式スプレイヤー100においては、カバー部9が、後方に突出した突出部9bを備えているが、必ずしも備える必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のトリガー式スプレイヤーは、トリガーを引くことにより、容器内の液を吐出する装置として好適に用いられる。本発明のトリガー式スプレイヤーによれば、組み付けが容易であり、且つ液体の吐出性が優れる。
【符号の説明】
【0060】
1・・・本体部
1a・・・枢着部
1b・・・第1係合部
1c・・・第2係合部
2・・・キャップ部
3・・・シリンダ部
3a・・・補助シリンダ部
4・・・トリガー部
4a・・・弾性板
6・・・バネ部
7a・・・Fバルブ
7b・・・Sバルブ
8・・・チューブ部
9・・・カバー部
9a・・・被係合部
9b・・・突出部
13・・・ピストン部
13a・・・補助ピストン部
14・・・スピンナー部
15・・・ノズル部
15a・・・ノズル口部
23a・・・螺合部
23b・・・中腹部
23c・・・鍔部
50・・・第1部材
60・・・第2部材
100・・・トリガー式スプレイヤー
R1・・・第1流路
R2・・・第2流路
S1・・・空路
X・・・容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付け可能なキャップ部と、
該キャップ部に係合され、液体が流通可能な第1流路を有する本体部と、
該第1流路に連通する円筒状のシリンダ部と、
該シリンダ部内に収容され、前記第1流路から該シリンダ部内に通じる前記液体の流路を開閉するFバルブと、
前記シリンダ部内をスライド可能であり、内部に前記液体が流通可能な第2流路を有するピストン部と、
該ピストン部を前後にスライドさせるトリガー部と、
前記ピストン部内に収容され、前記シリンダ部内から前記第2流路に通じる前記液体の流路を開閉するSバルブと、
該Sバルブにバネ部を介して連結されたスピンナー部と、
該スピンナー部が取り付けられるノズル部と、
前記本体部をカバーするカバー部と、
を備え、
前記シリンダ部、前記Fバルブ、前記ピストン部、前記Sバルブ、前記スピンナー部及び前記ノズル部が直線状に配列されているトリガー式スプレイヤー。
【請求項2】
前記シリンダ部が、前記第1流路及び前記第2流路よりも径大となっており、内部に液体が貯蓄されるようになっている請求項1記載のトリガー式スプレイヤー。
【請求項3】
前記トリガー部が回動可能となるように前記本体部に枢着されている請求項1又は2に記載のトリガー式スプレイヤー。
【請求項4】
前記本体部と、前記シリンダ部とが一体となっている請求項1〜3のいずれか1項に記載のトリガー式スプレイヤー。
【請求項5】
前記Sバルブと、前記バネ部と、前記スピンナー部とが一体となっている請求項1〜4のいずれか1項に記載のトリガー式スプレイヤー。
【請求項6】
前記カバー部が前記本体部に係合されており、後方に突出した突出部を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のトリガー式スプレイヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112365(P2013−112365A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259647(P2011−259647)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(391050961)
【Fターム(参考)】