打設装置及び打設方法、並びに、探査装置及び探査方法
【課題】ドレーン部材を埋設するケーシングの打設を行いながら、軟弱地盤中の磁性体の探査を行う。
【解決手段】アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を軟弱地盤に埋設する際に、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部に挿通された状態のケーシング4の組立体11を、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤に打設しながら、ケーシング4の先端部4aが検出範囲内に位置されるように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に設けられ磁気センサ5により、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査することができ、作業性の向上を図ることができる。したがって、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【解決手段】アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を軟弱地盤に埋設する際に、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部に挿通された状態のケーシング4の組立体11を、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤に打設しながら、ケーシング4の先端部4aが検出範囲内に位置されるように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に設けられ磁気センサ5により、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査することができ、作業性の向上を図ることができる。したがって、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を埋設するケーシングを軟弱地盤に打設しながら、軟弱地盤中の危険物等の磁性体を探査する打設装置及び打設方法、並びに、探査装置及び探査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤中の水分や空気を排出することにより軟弱地盤を硬質地盤に改良する地盤改良方法として、大気圧工法がある。
【0003】
具体的に、大気圧工法では、図11に示すように、軟弱地盤100中に鉛直に埋設されたドレーン部材2と、各ドレーン部材2の上端部2bをサンドマット30内に埋め込み、これらを密封シート33で覆う減圧機構16とで構成される地盤改良装置を用いる。このような地盤改良装置を用いる大気圧工法は、密封シート33内を減圧機構16のポンプ31で減圧することで、ドレーン部材2を介して透過された軟弱地盤100中の水分等を減圧機構16により排出して地盤を圧密する。
【0004】
また、他の大気圧工法には、図12に示すように、軟弱地盤100中に鉛直に埋設されたドレーン部材2と、各ドレーン部材2の上端部2bを軟弱地盤100上に設けた水平ドレーン部材34に連結し、この水平ドレーン部材34を排水管35に連通し、サンドマット36内に埋め込み、これらを密封シート37で覆う減圧機構16とで構成される地盤改良装置を用いるものがある。このような地盤改良装置を用いる大気圧工法は、密封シート37内を減圧機構16のポンプ38で減圧することで、ドレーン部材2を介して透過された軟弱地盤100中の水分等を減圧機構16により排出して地盤を圧密する。
【0005】
更に、更なる他の大気圧工法には、図13に示すように、透水部2eと、この透水部2eの上端部に連結部2fを介して連結され、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透水部2gとを有するドレーン部材2と、ドレーン部材2の不透水部2gの上端部と集水管39とを連結し、集水管39と、ポンプに連結された排水管41とを連結する減圧機構16とで構成される地盤改良装置を用いるものがある。このような地盤改良装置を用いた大気圧工法は、排水管41、集水管39及びドレーン部材2の不透水部2gを通して真空ポンプ等の減圧機構16の減圧手段40で減圧することで、ドレーン部材2の透水部2eを介して透過された軟弱地盤100中の水分等を減圧機構16により排出して地盤を圧密する(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
ところで、上記何れの工法においても、ドレーン部材を、軟弱地盤中に所定の深さまで鉛直に埋設する必要がある。更に、ドレーン部材を、軟弱地盤中に複数本、例えば1m間隔に埋設する必要がある。
【0007】
このため、地域によっては、地盤中に存在する不発爆弾や地雷等の危険物が問題となる。更に、軟弱地盤においては、このような不発爆弾や地雷等の危険物の埋没深さが深く、磁気センサを探査者が手で持ち人力でセンサを移動させながら探査を行う、いわゆる水平探査では、探査できないおそれがある。
【0008】
そこで、軟弱地盤においては、ボーリング機によって所定の深さまで探査孔を掘削し、この探査孔内に磁気センサを挿入して、不発爆弾や地雷等の危険物を探査する、いわゆる鉛直探査が行われている。
【0009】
具体的に、この鉛直探査方法としては、まず、探査者が打設機を用いて、非磁性体ステンレス製のケーシングを、所定の深さ(例えば地表面から深さ1m)まで打設する。そして、探査者は、このケーシング内に磁気センサを挿入し、ケーシングの周辺及び孔底から打設方向に対して所定の深さ(例えば孔底から深さ1m、地表面から深さ2m)の磁場の変化を検出して、不発爆弾や地雷等の危険物を探査する。
【0010】
次いで、探査者は、所定の深さ(例えば地表面から深さ2m)まで更にケーシングを打設する。そして、探査者は、ケーシング内に磁気センサを再び挿入し、ケーシングの周辺及び孔底から打設方向に対して所定の深さ(例えば孔底から深さ1m、地表面から深さ3m)の磁場の変化を検出して、不発爆弾や地雷等の危険物を探査する。
【0011】
以後、探査者は、上述した探査孔の掘削と磁気センサによる検出とを、所定の深さ(例えば1m)毎に複数回繰り返し、ドレーン部材を埋設するための所定の深さの探査孔の掘削と、所定の深さ毎の磁気検出を行う必要がある。
【0012】
したがって、上述した鉛直探査方法では、所定の深さのケーシングを打設する毎に、ケーシング内に磁気センサを挿入して磁気探査を行う必要があり、磁気探査が煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−2237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を埋設するケーシングを軟弱地盤に打設しながら、軟弱地盤中の磁性体の探査を行い、作業性の向上を図り、工期を短縮し、経済性に優れている打設装置及び打設方法、並びに、探査装置及び探査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る打設装置は、軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、上記ドレーン部材の先端に連結されるアンカ部材と、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材に対して着脱可能なケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ドレーン部材、上記アンカ部材及び上記ケーシングは、非磁性体であり、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通された状態の上記ケーシングの組立体を、上記アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤に打設しながら、上記磁気センサにより、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査し、上記ケーシングの組立体が上記磁気センサとともに軟弱地盤に所定の深さまで打設された後に、上記ケーシングが、軟弱地盤中から引き抜かれ、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材から離脱される。
【0016】
また、本発明に係る打設方法は、軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、上記ドレーン部材の先端に連結されるアンカ部材と、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材に対して着脱可能なケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ドレーン部材、上記アンカ部材及び上記ケーシングが、非磁性体で形成された打設装置を用いた打設方法において、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通された状態の上記ケーシングの組立体を、上記アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤に打設するステップと、上記磁気センサにより、上記ケーシングの組立体を軟弱地盤に打設しながら、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査するステップと、上記ケーシングの組立体が軟弱地盤に所定の深さまで打設された後に、上記ケーシングを、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材を軟弱地盤中に残して軟弱地盤から引き抜くステップとを有する。
【0017】
また、本発明に係る探査装置は、先端側を挿入端側として軟弱地盤に所定の深さまで打設されるケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ケーシングは、非磁性体であり、上記ケーシングを、先端側を挿入端側として、軟弱地盤に打設しながら、上記磁気センサにより、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する。
【0018】
また、本発明に係る探査方法は、先端側を挿入端側として軟弱地盤に所定の深さまで打設されるケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ケーシングが、非磁性体で形成された探査装置を用いた探査方法において、上記ケーシングを、先端側を挿入端側として、軟弱地盤に打設するステップと、上記磁気センサにより、上記ケーシングを軟弱地盤に打設しながら、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査するステップとを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る打設装置及び打設方法によれば、軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を埋設するケーシングを軟弱地盤に打設しながら、ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるようにケーシング内の先端部の近傍に設けられた磁気センサにより、ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査することができ、作業性の向上を図ることができる。したがって、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【0020】
本発明に係る探査装置及び探査方法によれば、ケーシングを軟弱地盤に打設しながら、ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるようにケーシング内の先端部の近傍に設けられた磁気センサにより、ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査することができ、容易に軟弱地盤中の磁性体を探査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明が適用された打設装置の概略図である。
【図2】本発明が適用された打設装置であり、(A)は縦断面図であり、(B)は横断面図である。
【図3】(A)は、ドレーン部材の平面図であり、(B)は、ドレーン部材の透水部の斜視図である。
【図4】ドレーン部材がアンカ部材に連結された様子を示した斜視図である。
【図5】磁気センサの検出範囲を示した概略図である。
【図6】本発明が適用された打設装置を用いた打設作業及び地盤改良作業を説明するためのフローチャートである。
【図7】ドレーン部材の打設作業の様子を示した概略図である。
【図8】本発明が適用された探査装置の断面図である。
【図9】本発明が適用された探査装置を用いた探査作業を説明するためのフローチャートである。
【図10】探査作業の様子を示した概略図である。
【図11】減圧機構の概略を示した断面図である。
【図12】減圧機構の概略を示した断面図である。
【図13】減圧機構の概略を示した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明が適用された打設装置1及び打設方法について、図面を参照して説明する。
【0023】
本発明が適用された打設装置1は、図1、図2(A)及び図2(B)に示すように、軟弱地盤100中の水分を透過するドレーン部材2と、このドレーン部材2の先端部2aに連結されるアンカ部材3とを備える。
【0024】
また、本発明が適用された打設装置1は、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部4bに挿通され、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2に対して着脱可能なケーシング4と、ケーシング4の先端部4aが検出範囲内に位置されるように、ケーシング4の内部4bの先端部4aの近傍に設けられ、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査する磁気センサ5とを備える。
【0025】
ドレーン部材2は、軟弱地盤100中に埋設されるものであり、図3(A)に示すように、軟弱地盤100中の水分を透過する透水部2eと、この透水部2eの上端部に連結部2fを介して連結され、内部は通水性を有し、周面から通気を遮断させた不透水部2gとから構成されている。この際、ドレーン部材2は、透水部2eの下端部がドレーン部材2の一端部2cとなり、アンカ部材3と連結され、透水部2eの下端部が連結部2fと連結され、不透水部2gの下端部が連結部2fと連結され、不透水部2gの上端部がドレーン部材2の上端部2bとなり、後述する減圧機構16と接続されている。なお、ドレーン部材2は、透水部2eと不透水部2gとを、直接連結するようにしてもよい。
【0026】
ドレーン部材2の不透水部2gは、塩化ビニルなどの不透水材料により円環状に形成されている。不透水部2gは、下端部が軟弱地盤100の地表面101から所定の深さに位置し、上端部が地表面101から所定の長さ臨まれるように配置される。
【0027】
ドレーン部材2の透水部2eは、図3(B)に示すように、リールに巻き付けることができる程度の可撓性と形状保持性を有する芯材7と、芯材7を覆う透水性材料からなるフィルタ8とから構成されている。ドレーン部材2は、断面が略矩形で、フィルタ8と芯材7との隙間により形成される中空部を流入した水分が通水される。
【0028】
ドレーン部材2の透水部2eの芯材7は、長手方向に多数の溝を有し、その溝が軟弱地盤100中の水分の通水路9となる。芯材7は、運搬等の利便性を考慮してリールに巻き付けることができる程度の可撓性を有するとともに、軟弱地盤100への打設後において十分な通水路9を確保するための形状保持性を有する、例えばプラスチック等の樹脂材料から形成される。芯材7は、例えば、塩化ビニル、ポリエチレンなどの材料から形成される。
【0029】
なお、芯材7は、上述に限らず、運搬等の利便性を考慮した可撓性と通水路9となる中空部が確保できる形状保持性を有するものであれば、いかなる材質、形状からなるものであってもよい。また、芯材7は、上述に限らず、生分解性の樹脂材料で形成することにより、環境へ配慮したものとすることができる。
【0030】
ドレーン部材2の透水部2eのフィルタ8は、透水性を有する材料から形成され、芯材7の外周を中空部を残して覆うように形成されている。フィルタ8は、例えば、ポリエステル製の不織布から形成され、軟弱地盤100中の水分を中空部に透過させ、透過した水分を減圧手段31により排出する。また、フィルタ8は、上述に限らず、生分解性の樹脂材料で形成することにより、環境へ配慮したものとすることができる。
【0031】
アンカ部材3は、図4に示すように、本体部3aと、この本体部3aの一主面に形成され、ドレーン部材2の先端部2aに連結される連結部3bとから構成されている。
【0032】
アンカ部材3の本体部3aは、ケーシング4が軟弱地盤100に打設される際の挿入端となるものであり、例えば略矩形板状に形成され、軟弱地盤100に打設できる程度の機械的強度を有するような厚さを有している。
【0033】
ドレーン部材2の先端部2aに連結される連結部3bは、本体部3aの一主面に、略逆U字状に形成されている。この略逆U字状に形成された連結部3bは、ドレーン部材2の長手方向の幅よりやや大きな幅を有し、連結部3bと本体部3aとの間に、ドレーン部材2が連結される連結口3cが形成されている。このような連結口3cを有するアンカ部材3は、ドレーン部材2の一端部2cが、連結口3cを挿通した後に折り返され、このドレーン部材2の一端部2cと連結部3bを挟んで対向するドレーン部材2に、ステイプラ等の締結部材10で締結されることで、ドレーン部材2の先端部2aと連結されている。
【0034】
また、アンカ部材3は、後述する磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査する磁気センサ5の検出に影響を与えないように、非磁性体で形成されている。例えば、アンカ部材3は、非磁性ステンレス鋼で形成されている。
【0035】
なお、本体部3aは、上述に限らず、軟弱地盤100に打設できる程度の機械的強度を有するような厚さを有するものであれば、如何なる形状のものでもよい。また、連結部3bは、上述に限らず、ドレーン部材2と連結することができるものであれば、如何なる形状であってもよい。更に、連結部3bとドレーン部材2とは、上述に限らず、連結することができれば、如何なる連結方法であってもよい。また、アンカ部材3は、磁気センサ5の検出に影響を与えないものであれば、如何なる非磁性体で形成されたものであってもよい。
【0036】
ケーシング4は、図2(A)及び図2(B)に示すように、断面略円形状の筒状に形成されている。また、このように筒状に形成されたケーシング4は、先端部4aが軟弱地盤100の地表面101から所定の深さまで打設された際に、基端部4cが地表面101から所定の長さ臨むような全長を有する。
【0037】
このようなケーシング4の先端部4aは、打設中に軟弱地盤100に対する抵抗を抑えるために、先端側に向かうにつれて次第に縮径されている。また、縮径された先端部4aの断面は、アンカ部材3の本体部3aの主面部より小さく設けられ、更に、アンカ部材3の連結部3bが挿入可能なように、アンカ部材3の連結部3bと略同形で、アンカ部材3の連結部3bよりやや大きな開口4dを有する。
【0038】
このような形状に形成されたケーシング4には、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2が先端部4aの開口4dから内部4bに挿通される。したがって、ケーシング4は、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2が先端部4aの開口4dから内部4bに挿通された状態の組立体11となる。このケーシング4の組立体11が、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤100に打設される。
【0039】
また、ケーシング4は、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2に対して、先端部4a側とは反対側の基端部4c側に移動することで、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2から離脱することができる。すなわち、ケーシング4は、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2に対して着脱可能に設けられている。
【0040】
したがって、ケーシング4の組立体11は、軟弱地盤100中に所定の深さまで打設された後に、ケーシング4を、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を軟弱地盤100中に残して軟弱地盤100から引き抜くことができる。
【0041】
このようなケーシング4は、磁場の変化を検出して磁性体を探査する磁気センサ5の検出に影響を与えないように、非磁性体で形成されている。例えば、ケーシング4は、非磁性ステンレス鋼で形成されている。
【0042】
なお、ケーシング4は、上述に限らず、ケーシング4の先端部4aの外側にアンカ部材3が配置でき、ドレーン部材2を内部4bに挿通することができれば如何なる形状でもよい。また、ケーシング4は、上述に限らず、磁気センサ5の検出に影響を与えないものであれば、如何なる非磁性体で形成されたものであってもよい。
【0043】
磁気センサ5は、図2(A)及び図2(B)に示すように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に配設され、ケーシング4の打設動作による打設方向への移動に伴い、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査する。この磁気センサ5としては、例えば両コイル型磁気傾度計が用いられる。両コイル型磁気傾度計は、2個のコイルを一直線上に一定間隔離し、それぞれのコイルが検出した磁界の強さの差分により、磁場の変化を検出して磁性体を探査する。
【0044】
このような磁気センサ5は、図5に示すように、磁気センサ5の水平方向と鉛直方向の所定の範囲において、磁場の変化を検出することができる。また、磁気センサ5は、ケーシング4の先端部4aと、このケーシング4の先端部4aからケーシング4の打設方向に所定の深さの軟弱地盤100とが、検出範囲12内に位置されるように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に配設されている。したがって、磁気センサ5は、ケーシング4の先端部4aを含めたケーシング4の先端部4aから打設方向に所定の深さの軟弱地盤100の磁場の変化と、ケーシング4の半径方向の磁場の変化とを検出することができ、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出することができる。
【0045】
このような磁気センサ5は、図2(A)及び図2(B)に示すように、ケーシング4の内面に接着材等の固定部材13により接着されて固定されている。また、磁気センサ5のケーブル14は、ケーシング4の内部4bを挿通され、ケーシング4の先端部4aとは反対側の基端部4cの開口4eより地表面101に露出され、地表面101上の例えば打設機6に設けられた後述する制御部15に接続されている。そして、磁気センサ5は、ケーシング4の打設中に検出した磁場の変化の検出結果を、制御部15に出力する。
【0046】
なお、ケーシング4の内部4bに磁気センサ5を保持するブラケット等の保持部材を設け、磁気センサ5は、この保持部材に保持されるようにしてもよい。この際、この保持部材は、非磁性材料で形成され、例えば、非磁性ステンレス鋼で形成される。
【0047】
ケーシング4の組立体11を軟弱地盤100に打設する打設機6は、図1に示すように、ケーシング4の組立体11を支持する支持部6aと、この支持部6aに支持されたケーシング4の組立体11を軟弱地盤100に打設するとともに、ケーシング4を軟弱地盤100中から引き抜く打設機構6bを有する本体部6cとから構成されている。この打設機6の打設機構6bは、例えばフリクションローラ方式により、ケーシング4の組立体11の打設及びケーシング4の引き抜きを行う。
【0048】
また、この打設機6には、磁気センサ5のケーブル14を介して磁気センサ5で検出された検出結果が入力される制御部15が設けられている。この制御部15は、例えばコンピュータ等で構成され、打設機6の全体を制御する。また、制御部15は、磁気センサ5で検出された検出結果を、例えば打設機6の本体部6cに設けられた告知部15aに告知する。このような告知部15aは、例えば表示装置及びスピーカ等からなる。なお、制御部15及び告知部15aは、打設機6に設けられることに限定されるものではなく、打設機6と別に設けるようにしてもよい。
【0049】
このような告知部15aに表示される検出結果は、ケーシング4の先端部4aの周囲、特に、ケーシング4の先端部4aから打設方向に所定の深さの軟弱地盤100の磁場の変化を検出したものであるので、ケーシング4の先端部4aから打設方向に所定の深さの軟弱地盤100中の磁性体を検出することができる。したがって、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合には、打設機構6bの駆動を停止し、ケーシング4の打設動作を磁性体の手前で停止することができる。
【0050】
次に、打設装置1を用いた、ドレーン部材2を軟弱地盤100へ埋設するためのケーシングの打設作業、及びこの打設作業により埋設されたドレーン部材2を用いた地盤改良作業について、図6を用いて説明をする。
【0051】
ステップS1において、ドレーン部材2の透水部2eは、所定の打ち込み長さに切断され、ドレーン部材2の透水部2eの上端部となる一方の端部に連結部2f及び不透水部2gが連結され、ドラム状のリール2dに巻き付けられる。
【0052】
次いで、ステップS2において、ドラム状のリール2dに巻き付けられたドレーン部材2が、例えば打設機6の支持部6aに設置され、ドラム状のリール2dよりドレーン部材2の透水部2eの下端部であるドレーン部材2の一端部2cが引き出される。そして、ドラム状のリール2dより引き出されたドレーン部材2の一端部2cは、ケーシング4の基端部4cの開口4eから挿入され、ケーシング4の内部4bを挿通されて、ケーシング4の先端部4aの開口4dから露出される。そして、図4に示すように、ケーシング4の先端部4aの開口4dから露出されたドレーン部材2の一端部2cは、アンカ部材3の連結口3cに挿通された後に折り返され、このドレーン部材2の一端部2cと連結部3bを挟んで対向されるドレーン部材2にステイプラ等の締結部材10で締結される。したがって、ドレーン部材2の先端部2aは、アンカ部材3と連結される。そして、図2(A)及び図2(B)に示すように、アンカ部材3は、ケーシング4の先端部4aにおいて露出されて配置される。したがって、ケーシング4は、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部4bに挿通された状態の組立体11となる。そして、ケーシング4の組立体11は、図1及び図7(A)に示すように、打設機6の支持部6aに配置される。そして、打設機6は、所定の打設位置に移動される。
【0053】
次に、ステップS3において、ケーシング4の組立体11は、所定の打設位置で、打設機6により、図7(B)に示すように、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤100に打設される。この際、磁気センサ5は、ケーシング4の組立体11の打設動作による打設方向への移動に伴い、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出し、ケーブル14を介して検出結果を制御部15に出力する。そして、制御部15は、検出結果を、例えば打設機6の本体部6cに設けられた告知部15aに告知する。
【0054】
次いで、ステップS4において、制御部15は、検出結果に基づいて、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を判断する。制御部15は、例えばケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化量が予め内部メモリに設定された閾値以上になったときに、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体が存在するものと判断する。制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、図7(C)に示すように、所定の深さまでケーシング4の組立体11を打設し続け、ステップS5に進む。そして、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合には、ステップS6に進み、ステップS6において、打設機構6bの駆動を停止し、ケーシング4の組立体11の打設動作を磁性体の手前で停止する。そして、例えば検出された磁性体が作業者により危険物であると判断された場合には、作業者により除去作業等が行われる。この際、制御部15は、危険物を除去する作業者が危険物の正確な位置を把握するために、フリクションローラの回転数やドレーン部材2が巻き付けられたドラム状のリール2dの回転数やドラム状のリール2dから引き出されたドレーン部材2の長さ等を検出して、除去する危険物の地表面101からの深さ等を検出し、告知部15aに告知するようにしてもよい。
【0055】
次いで、ステップS5において、ケーシング4の組立体11は、打設機6により、図7(D)に示すように、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を残してケーシング4が軟弱地盤100中から引き抜かれる。そして、ケーシング4が打設されたために形成された穴が埋め戻しされる。これにより、図7(E)に示すように、ドレーン部材2は、アンカ部材3が連結された先端部2aが軟弱地盤100の地表面101から所定の深さに位置し、不透水部2gの上端部であるドレーン部材2の上端部2bが地表面101から所定の長さ臨むように埋設される。
【0056】
次いで、ステップS2に戻り、新たなドレーン部材2が巻き付けられたドラム状のリール2dが、打設機6に設置され、新たなドラム状のリール2dよりドレーン部材2の一端部2cが引き出される。そして、ドラム状のリール2dより引き出されたドレーン部材2の一端部2cは、ケーシング4の先端部4aの開口4dから露出される。そして、ケーシング4の先端部4aの開口4dから露出されたドレーン部材2の一端部2cは、新たなアンカ部材3と連結される。そして、ドレーン部材2の先端部2aに連結されたアンカ部材3は、ケーシング4の先端部4aにおいて露出されて配置される。そして、ケーシング4は、再び、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部4bに挿通された状態の組立体11となる。そして、打設機6は、新たな打設位置に移動される。
【0057】
そして、ステップS3において、磁気センサ5は、ケーシング4の組立体11の打設動作による打設方向への移動に伴い、磁場の変化を検出する。そして、ステップS4において、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、所定の深さまでケーシング4の組立体11を打設し続ける。そして、ステップS5において、ケーシング4の組立体11は、打設機6により、ケーシング4が、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を残して軟弱地盤100中から引き抜かれ、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を埋設する。
【0058】
以後、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、ステップS2、ステップS3、ステップS4及びステップS5の工程を順に繰り返し、所定本数まで、ドレーン部材2の埋設が行われる。そして、所定の本数のドレーン部材2が埋設されると、打設装置1を用いた、ドレーン部材2を軟弱地盤100へ埋設するためのケーシングの打設作業は完了する。
【0059】
次に、ステップS7において、打設装置1を用いて埋設された各ドレーン部材2には、図13に示すように、減圧機構16が接続される。この減圧機構16は、まず、打設装置1を用いて埋設された各ドレーン部材2の不透水部2gの上端部であるドレーン部材2の上端部2bが、集水管39と連結される。そして、集水管39は、真空ポンプ等の減圧手段40に連結された排水管41と連結される。このようにして、減圧機構16の接続作業が完了する。そして、このような減圧機構16を埋設された各ドレーン部材2に接続することで、軟弱地盤100は、排水管41、集水管39及びドレーン部材2の不透水部2gを通して真空ポンプ等の減圧手段40で減圧されることで、ドレーン部材2の透水部2eを介して透過された軟弱地盤100中の水分等が排水管41より排出されて、地盤が圧密される。
【0060】
以上のように本発明が適用された打設装置1及び打設方法は、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を軟弱地盤100に埋設する際に、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部に挿通された状態のケーシング4の組立体11を、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤100に打設しながら、ケーシング4の先端部4aが検出範囲12内に位置されるように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に設けられ磁気センサ5により、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査することができ、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を埋設する工程と、軟弱地盤100中の磁性体を探査する工程とを同時に行うことができ、作業性の向上を図ることができる。したがって、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【0061】
また、本発明が適用された打設装置1は、ドレーン部材2、アンカ部材3及びケーシング4が非磁性体であり、磁気センサ5の検出に影響を与えるものではないので、正確に軟弱地盤100中のケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出することができ、正確に軟弱地盤100中の磁性体を探査することができる。
【0062】
なお、ステップS4において、制御部15が、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合、例えば告知部15aのスピーカより警告音を放音したり、告知部15aの表示装置に警告文を表示したり、告知部15aの表示装置又は告知部15aに設けた発光手段を発光したり、若しくはこれらの組み合わせで、作業者に磁性体の存在を告知するようにしてもよい。
【0063】
また、ステップS4において、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を作業者が判断するようにしてもよい。ステップS4において、ケーシング4の先端部4aの周囲に、告知部15aに告知された検出結果に基づいて作業者が磁性体を検出した場合、ステップS6に進み、ステップS6において、打設機構6bの駆動を作業者が停止し、ケーシング4の組立体11の打設動作を停止する。更に、作業者の見落としを防止するために、作業者及び制御部15が、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を判断するようにしてもよい。
【0064】
また、ドレーン部材2は、透水部2eと、不透水部2gとを有するものに限定されるものではなく、透水部2eのみからなるものを用いてもよい。このような透水部2eのみからなるドレーン部材2を用いる場合の減圧機構16は、ステップS7において、図11に示すように、打設装置1を用いて軟弱地盤100中に埋設された各ドレーン部材2の上端部2bが、軟弱地盤100上に敷設されたサンドマット30内に埋め込まれる。この際、真空ポンプ等の減圧手段31と連結された集水フィルタ32もサンドマット30内に埋設される。そして、サンドマット30の表面が、密封シート33で覆われる。このようにして、減圧機構16の接続作業が完了する。このような減圧機構16を埋設された各ドレーン部材2に接続することで、軟弱地盤100は、密封シート33内がサンドマット30内に埋めた集水フィルタ32を通して真空ポンプ等の減圧手段31で減圧され、ドレーン部材2を介して透過された軟弱地盤100中の水分等が減圧機構16により排出されて、地盤の圧密が促進される。
【0065】
また、透水部2eのみからなるドレーン部材2を用いる減圧機構16は、上述したものに限定されるものではない。他の減圧機構16としては、ステップS7において、図12に示すように、打設装置1を用いて軟弱地盤100中に埋設された各ドレーン部材2の上端部2bが、軟弱地盤100上に設けられた水平ドレーン部材34に連結され、この水平ドレーン部材34を排水管35に連通される。そして、各ドレーン部材2の上端部2b及び水平ドレーン部材34は、軟弱地盤100上に敷設されたサンドマット36内に埋め込まれる。そして、サンドマット36の表面が、密封シート37で覆われる。このようにして、減圧機構16の接続作業が完了するようなものでもよい。このような減圧機構16を埋設された各ドレーン部材2に接続することで、軟弱地盤100は、密封シート37内がサンドマット36内に埋めた水平ドレーン部材34を通して真空ポンプ等の減圧手段38で減圧されることで、ドレーン部材2を介して透過された軟弱地盤100中の水分等が排水管35より排出されて、地盤が圧密される。
【0066】
次に、本発明が適用された探査装置20及び探査方法について、図面を参照して説明する。なお、上述した打設装置1と同様の構成を有するものは、同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
本発明が適用された探査装置20は、図8に示すように、先端部4a側を挿入端側として軟弱地盤100に所定の深さまで打設されるケーシング4と、ケーシング4の先端が検出範囲12内に位置されるように、ケーシング4の内部4bの先端部4aの近傍に設けられ、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査する磁気センサ5とを備える。
【0068】
なお、探査装置20は、上記打設装置1と、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を設けない点が異なる。したがって、ケーシング4は、先端部4aに開口4dを有していてもよいが、内部4bに土や水分等が入らないように、先端部4aが先鋭に形成されているのが好ましく、更に、先端部4aの開口4dを覆うようなキャップ部材を設けるようにしてもよい。
【0069】
次に、探査装置20を用いた探査方法について、図9を用いて説明をする。
【0070】
ステップS11において、ケーシング4は、図1及び図10(A)に示すように、打設機6の支持部6aに配置される。そして、打設機6は、所定の打設位置に移動される。
【0071】
次いで、ステップS12において、ケーシング4は、所定の打設位置で、打設機6により、図10(B)に示すように、先端部4a側を挿入端側として、軟弱地盤100に打設される。この際、磁気センサ5は、ケーシング4の打設動作による打設方向への移動に伴い、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出し、ケーブル14を介して検出結果を制御部15に出力する。そして、制御部15は、この検出結果を、例えば打設機6の本体部6cに設けられた告知部15aに告知する。
【0072】
次いで、ステップS13において、制御部15が、検出結果に基づいて、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を判断する。制御部15は、例えばケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化量が予め内部メモリに設定された閾値以上になったときに、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体が存在するものと判断する。そして、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、図10(C)に示すように、所定の深さまでケーシング4を打設し続け、ステップS14に進む。そして、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合には、ステップS15に進み、ステップS15において、打設機構6bの駆動を停止し、ケーシング4の打設動作を磁性体の手前で停止する。そして、例えば検出された磁性体が作業者により危険物であると判断された場合には、作業者により除去作業等が行われる。この際、制御部15は、危険物を除去する作業者が危険物の正確な位置を把握するために、フリクションローラの回転数等を検出して、除去する危険物の地表面101からの深さ等を検出し、告知部15aに告知するようにしてもよい。
【0073】
次いで、ステップS14において、ケーシング4は、打設機6により、図10(D)及び図10(E)に示すように、軟弱地盤100中から引き抜かれる。
【0074】
次いで、ステップS12に戻り、打設機6は、新たな打設位置に移動される。そして、ステップS13において、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、所定の深さまでケーシング4を打設し続ける。以後、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、ステップS12、ステップS13及びステップS14の工程を順に繰り返す。そして、全ての探査箇所において探査が行われると、探査装置20を用いた軟弱地盤100の探査作業は完了する。
【0075】
以上のように本発明が適用された探査装置20及び探査方法は、ケーシング4を、先端部4a側を挿入端側として、軟弱地盤100に打設しながら、ケーシング4の先端部4aが検出範囲内に位置されるように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に設けられた磁気センサ5により、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査することができ、磁気センサ5を挿入するために軟弱地盤100にケーシング4を打設する工程と、軟弱地盤100中の磁性体を探査する工程とを同時に行うことができ、軟弱地盤100中の磁性体の探査作業の作業性の向上を図ることができる。したがって、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【0076】
また、本発明が適用された探査装置20及び探査方法は、ケーシング4が非磁性体であり、磁気センサ5の検出に影響を与えるものではないので、正確に軟弱地盤100中のケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出することができ、正確に軟弱地盤100中の磁性体を探査することができる。
【0077】
なお、ステップS13において、制御部15が、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合、例えば告知部15aのスピーカより警告音を放音したり、告知部15aの表示装置に警告文を表示したり、告知部15aの表示装置又は告知部15aに設けた発光手段を発光したり、若しくはこれらの組み合わせで、作業者に磁性体の存在を告知するようにしてもよい。
【0078】
また、ステップS13において、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を作業者が判断するようにしてもよい。ステップS13において、作業者がケーシング4の先端部4aの周囲に、告知部15aに告知された検出結果に基づいて磁性体を検出した場合、ステップS15に進み、ステップS15において、打設機構6bの駆動を作業者が停止し、ケーシング4の組立体11の打設動作を停止する。更に、作業者の見落としを防止するために、作業者及び制御部15が、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 打設装置、2 ドレーン部材、2a 先端部、2b 上端部、2c 一端部、2d リール、2e 透水部、2f 連結部、2g 不透水部、3 アンカ部材、3a 本体部、3b 連結部、3c 連結口、4 ケーシング、4a 先端部、4b 内部、4c 基端部、4d 開口、4e 開口、5 磁気センサ、6 打設機、6a 支持部、6b 打設機構、6c 本体部、7 芯材、8 フィルタ、9 通水路、10 締結部材、11 組立体、12 検出範囲、13 固定部材、14 ケーブル、15 制御部、15a 告知部、16 減圧機構、20 探査装置、30 サンドマット、31 減圧手段、32 集水フィルタ、33 密封シート、34 水平ドレーン部材、35 排水管、36 サンドマット、37 密封シート、38 減圧手段、39 集水管、40 減圧手段、41 排水管、100 軟弱地盤、101 地表面
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を埋設するケーシングを軟弱地盤に打設しながら、軟弱地盤中の危険物等の磁性体を探査する打設装置及び打設方法、並びに、探査装置及び探査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤中の水分や空気を排出することにより軟弱地盤を硬質地盤に改良する地盤改良方法として、大気圧工法がある。
【0003】
具体的に、大気圧工法では、図11に示すように、軟弱地盤100中に鉛直に埋設されたドレーン部材2と、各ドレーン部材2の上端部2bをサンドマット30内に埋め込み、これらを密封シート33で覆う減圧機構16とで構成される地盤改良装置を用いる。このような地盤改良装置を用いる大気圧工法は、密封シート33内を減圧機構16のポンプ31で減圧することで、ドレーン部材2を介して透過された軟弱地盤100中の水分等を減圧機構16により排出して地盤を圧密する。
【0004】
また、他の大気圧工法には、図12に示すように、軟弱地盤100中に鉛直に埋設されたドレーン部材2と、各ドレーン部材2の上端部2bを軟弱地盤100上に設けた水平ドレーン部材34に連結し、この水平ドレーン部材34を排水管35に連通し、サンドマット36内に埋め込み、これらを密封シート37で覆う減圧機構16とで構成される地盤改良装置を用いるものがある。このような地盤改良装置を用いる大気圧工法は、密封シート37内を減圧機構16のポンプ38で減圧することで、ドレーン部材2を介して透過された軟弱地盤100中の水分等を減圧機構16により排出して地盤を圧密する。
【0005】
更に、更なる他の大気圧工法には、図13に示すように、透水部2eと、この透水部2eの上端部に連結部2fを介して連結され、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透水部2gとを有するドレーン部材2と、ドレーン部材2の不透水部2gの上端部と集水管39とを連結し、集水管39と、ポンプに連結された排水管41とを連結する減圧機構16とで構成される地盤改良装置を用いるものがある。このような地盤改良装置を用いた大気圧工法は、排水管41、集水管39及びドレーン部材2の不透水部2gを通して真空ポンプ等の減圧機構16の減圧手段40で減圧することで、ドレーン部材2の透水部2eを介して透過された軟弱地盤100中の水分等を減圧機構16により排出して地盤を圧密する(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
ところで、上記何れの工法においても、ドレーン部材を、軟弱地盤中に所定の深さまで鉛直に埋設する必要がある。更に、ドレーン部材を、軟弱地盤中に複数本、例えば1m間隔に埋設する必要がある。
【0007】
このため、地域によっては、地盤中に存在する不発爆弾や地雷等の危険物が問題となる。更に、軟弱地盤においては、このような不発爆弾や地雷等の危険物の埋没深さが深く、磁気センサを探査者が手で持ち人力でセンサを移動させながら探査を行う、いわゆる水平探査では、探査できないおそれがある。
【0008】
そこで、軟弱地盤においては、ボーリング機によって所定の深さまで探査孔を掘削し、この探査孔内に磁気センサを挿入して、不発爆弾や地雷等の危険物を探査する、いわゆる鉛直探査が行われている。
【0009】
具体的に、この鉛直探査方法としては、まず、探査者が打設機を用いて、非磁性体ステンレス製のケーシングを、所定の深さ(例えば地表面から深さ1m)まで打設する。そして、探査者は、このケーシング内に磁気センサを挿入し、ケーシングの周辺及び孔底から打設方向に対して所定の深さ(例えば孔底から深さ1m、地表面から深さ2m)の磁場の変化を検出して、不発爆弾や地雷等の危険物を探査する。
【0010】
次いで、探査者は、所定の深さ(例えば地表面から深さ2m)まで更にケーシングを打設する。そして、探査者は、ケーシング内に磁気センサを再び挿入し、ケーシングの周辺及び孔底から打設方向に対して所定の深さ(例えば孔底から深さ1m、地表面から深さ3m)の磁場の変化を検出して、不発爆弾や地雷等の危険物を探査する。
【0011】
以後、探査者は、上述した探査孔の掘削と磁気センサによる検出とを、所定の深さ(例えば1m)毎に複数回繰り返し、ドレーン部材を埋設するための所定の深さの探査孔の掘削と、所定の深さ毎の磁気検出を行う必要がある。
【0012】
したがって、上述した鉛直探査方法では、所定の深さのケーシングを打設する毎に、ケーシング内に磁気センサを挿入して磁気探査を行う必要があり、磁気探査が煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−2237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を埋設するケーシングを軟弱地盤に打設しながら、軟弱地盤中の磁性体の探査を行い、作業性の向上を図り、工期を短縮し、経済性に優れている打設装置及び打設方法、並びに、探査装置及び探査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る打設装置は、軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、上記ドレーン部材の先端に連結されるアンカ部材と、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材に対して着脱可能なケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ドレーン部材、上記アンカ部材及び上記ケーシングは、非磁性体であり、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通された状態の上記ケーシングの組立体を、上記アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤に打設しながら、上記磁気センサにより、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査し、上記ケーシングの組立体が上記磁気センサとともに軟弱地盤に所定の深さまで打設された後に、上記ケーシングが、軟弱地盤中から引き抜かれ、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材から離脱される。
【0016】
また、本発明に係る打設方法は、軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、上記ドレーン部材の先端に連結されるアンカ部材と、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材に対して着脱可能なケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ドレーン部材、上記アンカ部材及び上記ケーシングが、非磁性体で形成された打設装置を用いた打設方法において、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通された状態の上記ケーシングの組立体を、上記アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤に打設するステップと、上記磁気センサにより、上記ケーシングの組立体を軟弱地盤に打設しながら、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査するステップと、上記ケーシングの組立体が軟弱地盤に所定の深さまで打設された後に、上記ケーシングを、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材を軟弱地盤中に残して軟弱地盤から引き抜くステップとを有する。
【0017】
また、本発明に係る探査装置は、先端側を挿入端側として軟弱地盤に所定の深さまで打設されるケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ケーシングは、非磁性体であり、上記ケーシングを、先端側を挿入端側として、軟弱地盤に打設しながら、上記磁気センサにより、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する。
【0018】
また、本発明に係る探査方法は、先端側を挿入端側として軟弱地盤に所定の深さまで打設されるケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ケーシングが、非磁性体で形成された探査装置を用いた探査方法において、上記ケーシングを、先端側を挿入端側として、軟弱地盤に打設するステップと、上記磁気センサにより、上記ケーシングを軟弱地盤に打設しながら、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査するステップとを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る打設装置及び打設方法によれば、軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を埋設するケーシングを軟弱地盤に打設しながら、ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるようにケーシング内の先端部の近傍に設けられた磁気センサにより、ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査することができ、作業性の向上を図ることができる。したがって、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【0020】
本発明に係る探査装置及び探査方法によれば、ケーシングを軟弱地盤に打設しながら、ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるようにケーシング内の先端部の近傍に設けられた磁気センサにより、ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査することができ、容易に軟弱地盤中の磁性体を探査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明が適用された打設装置の概略図である。
【図2】本発明が適用された打設装置であり、(A)は縦断面図であり、(B)は横断面図である。
【図3】(A)は、ドレーン部材の平面図であり、(B)は、ドレーン部材の透水部の斜視図である。
【図4】ドレーン部材がアンカ部材に連結された様子を示した斜視図である。
【図5】磁気センサの検出範囲を示した概略図である。
【図6】本発明が適用された打設装置を用いた打設作業及び地盤改良作業を説明するためのフローチャートである。
【図7】ドレーン部材の打設作業の様子を示した概略図である。
【図8】本発明が適用された探査装置の断面図である。
【図9】本発明が適用された探査装置を用いた探査作業を説明するためのフローチャートである。
【図10】探査作業の様子を示した概略図である。
【図11】減圧機構の概略を示した断面図である。
【図12】減圧機構の概略を示した断面図である。
【図13】減圧機構の概略を示した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明が適用された打設装置1及び打設方法について、図面を参照して説明する。
【0023】
本発明が適用された打設装置1は、図1、図2(A)及び図2(B)に示すように、軟弱地盤100中の水分を透過するドレーン部材2と、このドレーン部材2の先端部2aに連結されるアンカ部材3とを備える。
【0024】
また、本発明が適用された打設装置1は、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部4bに挿通され、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2に対して着脱可能なケーシング4と、ケーシング4の先端部4aが検出範囲内に位置されるように、ケーシング4の内部4bの先端部4aの近傍に設けられ、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査する磁気センサ5とを備える。
【0025】
ドレーン部材2は、軟弱地盤100中に埋設されるものであり、図3(A)に示すように、軟弱地盤100中の水分を透過する透水部2eと、この透水部2eの上端部に連結部2fを介して連結され、内部は通水性を有し、周面から通気を遮断させた不透水部2gとから構成されている。この際、ドレーン部材2は、透水部2eの下端部がドレーン部材2の一端部2cとなり、アンカ部材3と連結され、透水部2eの下端部が連結部2fと連結され、不透水部2gの下端部が連結部2fと連結され、不透水部2gの上端部がドレーン部材2の上端部2bとなり、後述する減圧機構16と接続されている。なお、ドレーン部材2は、透水部2eと不透水部2gとを、直接連結するようにしてもよい。
【0026】
ドレーン部材2の不透水部2gは、塩化ビニルなどの不透水材料により円環状に形成されている。不透水部2gは、下端部が軟弱地盤100の地表面101から所定の深さに位置し、上端部が地表面101から所定の長さ臨まれるように配置される。
【0027】
ドレーン部材2の透水部2eは、図3(B)に示すように、リールに巻き付けることができる程度の可撓性と形状保持性を有する芯材7と、芯材7を覆う透水性材料からなるフィルタ8とから構成されている。ドレーン部材2は、断面が略矩形で、フィルタ8と芯材7との隙間により形成される中空部を流入した水分が通水される。
【0028】
ドレーン部材2の透水部2eの芯材7は、長手方向に多数の溝を有し、その溝が軟弱地盤100中の水分の通水路9となる。芯材7は、運搬等の利便性を考慮してリールに巻き付けることができる程度の可撓性を有するとともに、軟弱地盤100への打設後において十分な通水路9を確保するための形状保持性を有する、例えばプラスチック等の樹脂材料から形成される。芯材7は、例えば、塩化ビニル、ポリエチレンなどの材料から形成される。
【0029】
なお、芯材7は、上述に限らず、運搬等の利便性を考慮した可撓性と通水路9となる中空部が確保できる形状保持性を有するものであれば、いかなる材質、形状からなるものであってもよい。また、芯材7は、上述に限らず、生分解性の樹脂材料で形成することにより、環境へ配慮したものとすることができる。
【0030】
ドレーン部材2の透水部2eのフィルタ8は、透水性を有する材料から形成され、芯材7の外周を中空部を残して覆うように形成されている。フィルタ8は、例えば、ポリエステル製の不織布から形成され、軟弱地盤100中の水分を中空部に透過させ、透過した水分を減圧手段31により排出する。また、フィルタ8は、上述に限らず、生分解性の樹脂材料で形成することにより、環境へ配慮したものとすることができる。
【0031】
アンカ部材3は、図4に示すように、本体部3aと、この本体部3aの一主面に形成され、ドレーン部材2の先端部2aに連結される連結部3bとから構成されている。
【0032】
アンカ部材3の本体部3aは、ケーシング4が軟弱地盤100に打設される際の挿入端となるものであり、例えば略矩形板状に形成され、軟弱地盤100に打設できる程度の機械的強度を有するような厚さを有している。
【0033】
ドレーン部材2の先端部2aに連結される連結部3bは、本体部3aの一主面に、略逆U字状に形成されている。この略逆U字状に形成された連結部3bは、ドレーン部材2の長手方向の幅よりやや大きな幅を有し、連結部3bと本体部3aとの間に、ドレーン部材2が連結される連結口3cが形成されている。このような連結口3cを有するアンカ部材3は、ドレーン部材2の一端部2cが、連結口3cを挿通した後に折り返され、このドレーン部材2の一端部2cと連結部3bを挟んで対向するドレーン部材2に、ステイプラ等の締結部材10で締結されることで、ドレーン部材2の先端部2aと連結されている。
【0034】
また、アンカ部材3は、後述する磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査する磁気センサ5の検出に影響を与えないように、非磁性体で形成されている。例えば、アンカ部材3は、非磁性ステンレス鋼で形成されている。
【0035】
なお、本体部3aは、上述に限らず、軟弱地盤100に打設できる程度の機械的強度を有するような厚さを有するものであれば、如何なる形状のものでもよい。また、連結部3bは、上述に限らず、ドレーン部材2と連結することができるものであれば、如何なる形状であってもよい。更に、連結部3bとドレーン部材2とは、上述に限らず、連結することができれば、如何なる連結方法であってもよい。また、アンカ部材3は、磁気センサ5の検出に影響を与えないものであれば、如何なる非磁性体で形成されたものであってもよい。
【0036】
ケーシング4は、図2(A)及び図2(B)に示すように、断面略円形状の筒状に形成されている。また、このように筒状に形成されたケーシング4は、先端部4aが軟弱地盤100の地表面101から所定の深さまで打設された際に、基端部4cが地表面101から所定の長さ臨むような全長を有する。
【0037】
このようなケーシング4の先端部4aは、打設中に軟弱地盤100に対する抵抗を抑えるために、先端側に向かうにつれて次第に縮径されている。また、縮径された先端部4aの断面は、アンカ部材3の本体部3aの主面部より小さく設けられ、更に、アンカ部材3の連結部3bが挿入可能なように、アンカ部材3の連結部3bと略同形で、アンカ部材3の連結部3bよりやや大きな開口4dを有する。
【0038】
このような形状に形成されたケーシング4には、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2が先端部4aの開口4dから内部4bに挿通される。したがって、ケーシング4は、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2が先端部4aの開口4dから内部4bに挿通された状態の組立体11となる。このケーシング4の組立体11が、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤100に打設される。
【0039】
また、ケーシング4は、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2に対して、先端部4a側とは反対側の基端部4c側に移動することで、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2から離脱することができる。すなわち、ケーシング4は、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2に対して着脱可能に設けられている。
【0040】
したがって、ケーシング4の組立体11は、軟弱地盤100中に所定の深さまで打設された後に、ケーシング4を、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を軟弱地盤100中に残して軟弱地盤100から引き抜くことができる。
【0041】
このようなケーシング4は、磁場の変化を検出して磁性体を探査する磁気センサ5の検出に影響を与えないように、非磁性体で形成されている。例えば、ケーシング4は、非磁性ステンレス鋼で形成されている。
【0042】
なお、ケーシング4は、上述に限らず、ケーシング4の先端部4aの外側にアンカ部材3が配置でき、ドレーン部材2を内部4bに挿通することができれば如何なる形状でもよい。また、ケーシング4は、上述に限らず、磁気センサ5の検出に影響を与えないものであれば、如何なる非磁性体で形成されたものであってもよい。
【0043】
磁気センサ5は、図2(A)及び図2(B)に示すように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に配設され、ケーシング4の打設動作による打設方向への移動に伴い、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査する。この磁気センサ5としては、例えば両コイル型磁気傾度計が用いられる。両コイル型磁気傾度計は、2個のコイルを一直線上に一定間隔離し、それぞれのコイルが検出した磁界の強さの差分により、磁場の変化を検出して磁性体を探査する。
【0044】
このような磁気センサ5は、図5に示すように、磁気センサ5の水平方向と鉛直方向の所定の範囲において、磁場の変化を検出することができる。また、磁気センサ5は、ケーシング4の先端部4aと、このケーシング4の先端部4aからケーシング4の打設方向に所定の深さの軟弱地盤100とが、検出範囲12内に位置されるように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に配設されている。したがって、磁気センサ5は、ケーシング4の先端部4aを含めたケーシング4の先端部4aから打設方向に所定の深さの軟弱地盤100の磁場の変化と、ケーシング4の半径方向の磁場の変化とを検出することができ、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出することができる。
【0045】
このような磁気センサ5は、図2(A)及び図2(B)に示すように、ケーシング4の内面に接着材等の固定部材13により接着されて固定されている。また、磁気センサ5のケーブル14は、ケーシング4の内部4bを挿通され、ケーシング4の先端部4aとは反対側の基端部4cの開口4eより地表面101に露出され、地表面101上の例えば打設機6に設けられた後述する制御部15に接続されている。そして、磁気センサ5は、ケーシング4の打設中に検出した磁場の変化の検出結果を、制御部15に出力する。
【0046】
なお、ケーシング4の内部4bに磁気センサ5を保持するブラケット等の保持部材を設け、磁気センサ5は、この保持部材に保持されるようにしてもよい。この際、この保持部材は、非磁性材料で形成され、例えば、非磁性ステンレス鋼で形成される。
【0047】
ケーシング4の組立体11を軟弱地盤100に打設する打設機6は、図1に示すように、ケーシング4の組立体11を支持する支持部6aと、この支持部6aに支持されたケーシング4の組立体11を軟弱地盤100に打設するとともに、ケーシング4を軟弱地盤100中から引き抜く打設機構6bを有する本体部6cとから構成されている。この打設機6の打設機構6bは、例えばフリクションローラ方式により、ケーシング4の組立体11の打設及びケーシング4の引き抜きを行う。
【0048】
また、この打設機6には、磁気センサ5のケーブル14を介して磁気センサ5で検出された検出結果が入力される制御部15が設けられている。この制御部15は、例えばコンピュータ等で構成され、打設機6の全体を制御する。また、制御部15は、磁気センサ5で検出された検出結果を、例えば打設機6の本体部6cに設けられた告知部15aに告知する。このような告知部15aは、例えば表示装置及びスピーカ等からなる。なお、制御部15及び告知部15aは、打設機6に設けられることに限定されるものではなく、打設機6と別に設けるようにしてもよい。
【0049】
このような告知部15aに表示される検出結果は、ケーシング4の先端部4aの周囲、特に、ケーシング4の先端部4aから打設方向に所定の深さの軟弱地盤100の磁場の変化を検出したものであるので、ケーシング4の先端部4aから打設方向に所定の深さの軟弱地盤100中の磁性体を検出することができる。したがって、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合には、打設機構6bの駆動を停止し、ケーシング4の打設動作を磁性体の手前で停止することができる。
【0050】
次に、打設装置1を用いた、ドレーン部材2を軟弱地盤100へ埋設するためのケーシングの打設作業、及びこの打設作業により埋設されたドレーン部材2を用いた地盤改良作業について、図6を用いて説明をする。
【0051】
ステップS1において、ドレーン部材2の透水部2eは、所定の打ち込み長さに切断され、ドレーン部材2の透水部2eの上端部となる一方の端部に連結部2f及び不透水部2gが連結され、ドラム状のリール2dに巻き付けられる。
【0052】
次いで、ステップS2において、ドラム状のリール2dに巻き付けられたドレーン部材2が、例えば打設機6の支持部6aに設置され、ドラム状のリール2dよりドレーン部材2の透水部2eの下端部であるドレーン部材2の一端部2cが引き出される。そして、ドラム状のリール2dより引き出されたドレーン部材2の一端部2cは、ケーシング4の基端部4cの開口4eから挿入され、ケーシング4の内部4bを挿通されて、ケーシング4の先端部4aの開口4dから露出される。そして、図4に示すように、ケーシング4の先端部4aの開口4dから露出されたドレーン部材2の一端部2cは、アンカ部材3の連結口3cに挿通された後に折り返され、このドレーン部材2の一端部2cと連結部3bを挟んで対向されるドレーン部材2にステイプラ等の締結部材10で締結される。したがって、ドレーン部材2の先端部2aは、アンカ部材3と連結される。そして、図2(A)及び図2(B)に示すように、アンカ部材3は、ケーシング4の先端部4aにおいて露出されて配置される。したがって、ケーシング4は、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部4bに挿通された状態の組立体11となる。そして、ケーシング4の組立体11は、図1及び図7(A)に示すように、打設機6の支持部6aに配置される。そして、打設機6は、所定の打設位置に移動される。
【0053】
次に、ステップS3において、ケーシング4の組立体11は、所定の打設位置で、打設機6により、図7(B)に示すように、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤100に打設される。この際、磁気センサ5は、ケーシング4の組立体11の打設動作による打設方向への移動に伴い、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出し、ケーブル14を介して検出結果を制御部15に出力する。そして、制御部15は、検出結果を、例えば打設機6の本体部6cに設けられた告知部15aに告知する。
【0054】
次いで、ステップS4において、制御部15は、検出結果に基づいて、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を判断する。制御部15は、例えばケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化量が予め内部メモリに設定された閾値以上になったときに、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体が存在するものと判断する。制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、図7(C)に示すように、所定の深さまでケーシング4の組立体11を打設し続け、ステップS5に進む。そして、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合には、ステップS6に進み、ステップS6において、打設機構6bの駆動を停止し、ケーシング4の組立体11の打設動作を磁性体の手前で停止する。そして、例えば検出された磁性体が作業者により危険物であると判断された場合には、作業者により除去作業等が行われる。この際、制御部15は、危険物を除去する作業者が危険物の正確な位置を把握するために、フリクションローラの回転数やドレーン部材2が巻き付けられたドラム状のリール2dの回転数やドラム状のリール2dから引き出されたドレーン部材2の長さ等を検出して、除去する危険物の地表面101からの深さ等を検出し、告知部15aに告知するようにしてもよい。
【0055】
次いで、ステップS5において、ケーシング4の組立体11は、打設機6により、図7(D)に示すように、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を残してケーシング4が軟弱地盤100中から引き抜かれる。そして、ケーシング4が打設されたために形成された穴が埋め戻しされる。これにより、図7(E)に示すように、ドレーン部材2は、アンカ部材3が連結された先端部2aが軟弱地盤100の地表面101から所定の深さに位置し、不透水部2gの上端部であるドレーン部材2の上端部2bが地表面101から所定の長さ臨むように埋設される。
【0056】
次いで、ステップS2に戻り、新たなドレーン部材2が巻き付けられたドラム状のリール2dが、打設機6に設置され、新たなドラム状のリール2dよりドレーン部材2の一端部2cが引き出される。そして、ドラム状のリール2dより引き出されたドレーン部材2の一端部2cは、ケーシング4の先端部4aの開口4dから露出される。そして、ケーシング4の先端部4aの開口4dから露出されたドレーン部材2の一端部2cは、新たなアンカ部材3と連結される。そして、ドレーン部材2の先端部2aに連結されたアンカ部材3は、ケーシング4の先端部4aにおいて露出されて配置される。そして、ケーシング4は、再び、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部4bに挿通された状態の組立体11となる。そして、打設機6は、新たな打設位置に移動される。
【0057】
そして、ステップS3において、磁気センサ5は、ケーシング4の組立体11の打設動作による打設方向への移動に伴い、磁場の変化を検出する。そして、ステップS4において、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、所定の深さまでケーシング4の組立体11を打設し続ける。そして、ステップS5において、ケーシング4の組立体11は、打設機6により、ケーシング4が、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を残して軟弱地盤100中から引き抜かれ、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を埋設する。
【0058】
以後、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、ステップS2、ステップS3、ステップS4及びステップS5の工程を順に繰り返し、所定本数まで、ドレーン部材2の埋設が行われる。そして、所定の本数のドレーン部材2が埋設されると、打設装置1を用いた、ドレーン部材2を軟弱地盤100へ埋設するためのケーシングの打設作業は完了する。
【0059】
次に、ステップS7において、打設装置1を用いて埋設された各ドレーン部材2には、図13に示すように、減圧機構16が接続される。この減圧機構16は、まず、打設装置1を用いて埋設された各ドレーン部材2の不透水部2gの上端部であるドレーン部材2の上端部2bが、集水管39と連結される。そして、集水管39は、真空ポンプ等の減圧手段40に連結された排水管41と連結される。このようにして、減圧機構16の接続作業が完了する。そして、このような減圧機構16を埋設された各ドレーン部材2に接続することで、軟弱地盤100は、排水管41、集水管39及びドレーン部材2の不透水部2gを通して真空ポンプ等の減圧手段40で減圧されることで、ドレーン部材2の透水部2eを介して透過された軟弱地盤100中の水分等が排水管41より排出されて、地盤が圧密される。
【0060】
以上のように本発明が適用された打設装置1及び打設方法は、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を軟弱地盤100に埋設する際に、先端部4aにおいてアンカ部材3が露出されるとともに、ドレーン部材2が内部に挿通された状態のケーシング4の組立体11を、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤100に打設しながら、ケーシング4の先端部4aが検出範囲12内に位置されるように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に設けられ磁気センサ5により、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査することができ、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を埋設する工程と、軟弱地盤100中の磁性体を探査する工程とを同時に行うことができ、作業性の向上を図ることができる。したがって、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【0061】
また、本発明が適用された打設装置1は、ドレーン部材2、アンカ部材3及びケーシング4が非磁性体であり、磁気センサ5の検出に影響を与えるものではないので、正確に軟弱地盤100中のケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出することができ、正確に軟弱地盤100中の磁性体を探査することができる。
【0062】
なお、ステップS4において、制御部15が、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合、例えば告知部15aのスピーカより警告音を放音したり、告知部15aの表示装置に警告文を表示したり、告知部15aの表示装置又は告知部15aに設けた発光手段を発光したり、若しくはこれらの組み合わせで、作業者に磁性体の存在を告知するようにしてもよい。
【0063】
また、ステップS4において、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を作業者が判断するようにしてもよい。ステップS4において、ケーシング4の先端部4aの周囲に、告知部15aに告知された検出結果に基づいて作業者が磁性体を検出した場合、ステップS6に進み、ステップS6において、打設機構6bの駆動を作業者が停止し、ケーシング4の組立体11の打設動作を停止する。更に、作業者の見落としを防止するために、作業者及び制御部15が、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を判断するようにしてもよい。
【0064】
また、ドレーン部材2は、透水部2eと、不透水部2gとを有するものに限定されるものではなく、透水部2eのみからなるものを用いてもよい。このような透水部2eのみからなるドレーン部材2を用いる場合の減圧機構16は、ステップS7において、図11に示すように、打設装置1を用いて軟弱地盤100中に埋設された各ドレーン部材2の上端部2bが、軟弱地盤100上に敷設されたサンドマット30内に埋め込まれる。この際、真空ポンプ等の減圧手段31と連結された集水フィルタ32もサンドマット30内に埋設される。そして、サンドマット30の表面が、密封シート33で覆われる。このようにして、減圧機構16の接続作業が完了する。このような減圧機構16を埋設された各ドレーン部材2に接続することで、軟弱地盤100は、密封シート33内がサンドマット30内に埋めた集水フィルタ32を通して真空ポンプ等の減圧手段31で減圧され、ドレーン部材2を介して透過された軟弱地盤100中の水分等が減圧機構16により排出されて、地盤の圧密が促進される。
【0065】
また、透水部2eのみからなるドレーン部材2を用いる減圧機構16は、上述したものに限定されるものではない。他の減圧機構16としては、ステップS7において、図12に示すように、打設装置1を用いて軟弱地盤100中に埋設された各ドレーン部材2の上端部2bが、軟弱地盤100上に設けられた水平ドレーン部材34に連結され、この水平ドレーン部材34を排水管35に連通される。そして、各ドレーン部材2の上端部2b及び水平ドレーン部材34は、軟弱地盤100上に敷設されたサンドマット36内に埋め込まれる。そして、サンドマット36の表面が、密封シート37で覆われる。このようにして、減圧機構16の接続作業が完了するようなものでもよい。このような減圧機構16を埋設された各ドレーン部材2に接続することで、軟弱地盤100は、密封シート37内がサンドマット36内に埋めた水平ドレーン部材34を通して真空ポンプ等の減圧手段38で減圧されることで、ドレーン部材2を介して透過された軟弱地盤100中の水分等が排水管35より排出されて、地盤が圧密される。
【0066】
次に、本発明が適用された探査装置20及び探査方法について、図面を参照して説明する。なお、上述した打設装置1と同様の構成を有するものは、同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
本発明が適用された探査装置20は、図8に示すように、先端部4a側を挿入端側として軟弱地盤100に所定の深さまで打設されるケーシング4と、ケーシング4の先端が検出範囲12内に位置されるように、ケーシング4の内部4bの先端部4aの近傍に設けられ、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査する磁気センサ5とを備える。
【0068】
なお、探査装置20は、上記打設装置1と、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を設けない点が異なる。したがって、ケーシング4は、先端部4aに開口4dを有していてもよいが、内部4bに土や水分等が入らないように、先端部4aが先鋭に形成されているのが好ましく、更に、先端部4aの開口4dを覆うようなキャップ部材を設けるようにしてもよい。
【0069】
次に、探査装置20を用いた探査方法について、図9を用いて説明をする。
【0070】
ステップS11において、ケーシング4は、図1及び図10(A)に示すように、打設機6の支持部6aに配置される。そして、打設機6は、所定の打設位置に移動される。
【0071】
次いで、ステップS12において、ケーシング4は、所定の打設位置で、打設機6により、図10(B)に示すように、先端部4a側を挿入端側として、軟弱地盤100に打設される。この際、磁気センサ5は、ケーシング4の打設動作による打設方向への移動に伴い、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出し、ケーブル14を介して検出結果を制御部15に出力する。そして、制御部15は、この検出結果を、例えば打設機6の本体部6cに設けられた告知部15aに告知する。
【0072】
次いで、ステップS13において、制御部15が、検出結果に基づいて、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を判断する。制御部15は、例えばケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化量が予め内部メモリに設定された閾値以上になったときに、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体が存在するものと判断する。そして、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、図10(C)に示すように、所定の深さまでケーシング4を打設し続け、ステップS14に進む。そして、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合には、ステップS15に進み、ステップS15において、打設機構6bの駆動を停止し、ケーシング4の打設動作を磁性体の手前で停止する。そして、例えば検出された磁性体が作業者により危険物であると判断された場合には、作業者により除去作業等が行われる。この際、制御部15は、危険物を除去する作業者が危険物の正確な位置を把握するために、フリクションローラの回転数等を検出して、除去する危険物の地表面101からの深さ等を検出し、告知部15aに告知するようにしてもよい。
【0073】
次いで、ステップS14において、ケーシング4は、打設機6により、図10(D)及び図10(E)に示すように、軟弱地盤100中から引き抜かれる。
【0074】
次いで、ステップS12に戻り、打設機6は、新たな打設位置に移動される。そして、ステップS13において、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、所定の深さまでケーシング4を打設し続ける。以後、制御部15がケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出するまでは、ステップS12、ステップS13及びステップS14の工程を順に繰り返す。そして、全ての探査箇所において探査が行われると、探査装置20を用いた軟弱地盤100の探査作業は完了する。
【0075】
以上のように本発明が適用された探査装置20及び探査方法は、ケーシング4を、先端部4a側を挿入端側として、軟弱地盤100に打設しながら、ケーシング4の先端部4aが検出範囲内に位置されるように、ケーシング4内の先端部4aの近傍に設けられた磁気センサ5により、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤100中の磁性体を探査することができ、磁気センサ5を挿入するために軟弱地盤100にケーシング4を打設する工程と、軟弱地盤100中の磁性体を探査する工程とを同時に行うことができ、軟弱地盤100中の磁性体の探査作業の作業性の向上を図ることができる。したがって、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【0076】
また、本発明が適用された探査装置20及び探査方法は、ケーシング4が非磁性体であり、磁気センサ5の検出に影響を与えるものではないので、正確に軟弱地盤100中のケーシング4の先端部4aの周囲の磁場の変化を検出することができ、正確に軟弱地盤100中の磁性体を探査することができる。
【0077】
なお、ステップS13において、制御部15が、ケーシング4の先端部4aの周囲に磁性体を検出した場合、例えば告知部15aのスピーカより警告音を放音したり、告知部15aの表示装置に警告文を表示したり、告知部15aの表示装置又は告知部15aに設けた発光手段を発光したり、若しくはこれらの組み合わせで、作業者に磁性体の存在を告知するようにしてもよい。
【0078】
また、ステップS13において、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を作業者が判断するようにしてもよい。ステップS13において、作業者がケーシング4の先端部4aの周囲に、告知部15aに告知された検出結果に基づいて磁性体を検出した場合、ステップS15に進み、ステップS15において、打設機構6bの駆動を作業者が停止し、ケーシング4の組立体11の打設動作を停止する。更に、作業者の見落としを防止するために、作業者及び制御部15が、ケーシング4の先端部4aの周囲の磁性体の有無を判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 打設装置、2 ドレーン部材、2a 先端部、2b 上端部、2c 一端部、2d リール、2e 透水部、2f 連結部、2g 不透水部、3 アンカ部材、3a 本体部、3b 連結部、3c 連結口、4 ケーシング、4a 先端部、4b 内部、4c 基端部、4d 開口、4e 開口、5 磁気センサ、6 打設機、6a 支持部、6b 打設機構、6c 本体部、7 芯材、8 フィルタ、9 通水路、10 締結部材、11 組立体、12 検出範囲、13 固定部材、14 ケーブル、15 制御部、15a 告知部、16 減圧機構、20 探査装置、30 サンドマット、31 減圧手段、32 集水フィルタ、33 密封シート、34 水平ドレーン部材、35 排水管、36 サンドマット、37 密封シート、38 減圧手段、39 集水管、40 減圧手段、41 排水管、100 軟弱地盤、101 地表面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、
上記ドレーン部材の先端に連結されるアンカ部材と、
先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材に対して着脱可能なケーシングと、
上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、
上記ドレーン部材、上記アンカ部材及び上記ケーシングは、非磁性体であり、
先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通された状態の上記ケーシングの組立体を、上記アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤に打設しながら、上記磁気センサにより、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査し、上記ケーシングの組立体が上記磁気センサとともに軟弱地盤に所定の深さまで打設された後に、上記ケーシングが、軟弱地盤中から引き抜かれ、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材から離脱される打設装置。
【請求項2】
更に、上記磁気センサの検出結果に基づき軟弱地盤中の磁性体の有無を判断する制御部を備え、
上記制御部は、軟弱地盤中に磁性体が存在すると判断したとき、上記ドレーン部材の打設動作を停止する請求項1記載の打設装置。
【請求項3】
軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、上記ドレーン部材の先端に連結されるアンカ部材と、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材に対して着脱可能なケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ドレーン部材、上記アンカ部材及び上記ケーシングが、非磁性体で形成された打設装置を用いた打設方法において、
先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通された状態の上記ケーシングの組立体を、上記アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤に打設するステップと、
上記磁気センサにより、上記ケーシングの組立体を軟弱地盤に打設しながら、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査するステップと、
上記ケーシングの組立体が軟弱地盤に所定の深さまで打設された後に、上記ケーシングを、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材を軟弱地盤中に残して軟弱地盤から引き抜くステップとを有する打設方法。
【請求項4】
先端側を挿入端側として軟弱地盤に所定の深さまで打設されるケーシングと、
上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、
上記ケーシングは、非磁性体であり、
上記ケーシングを、先端側を挿入端側として、軟弱地盤に打設しながら、上記磁気センサにより、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する探査装置。
【請求項5】
先端側を挿入端側として軟弱地盤に所定の深さまで打設されるケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ケーシングが、非磁性体で形成された探査装置を用いた探査方法において、
上記ケーシングを、先端側を挿入端側として、軟弱地盤に打設するステップと、
上記磁気センサにより、上記ケーシングを軟弱地盤に打設しながら、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査するステップとを有する探査方法。
【請求項1】
軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、
上記ドレーン部材の先端に連結されるアンカ部材と、
先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材に対して着脱可能なケーシングと、
上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、
上記ドレーン部材、上記アンカ部材及び上記ケーシングは、非磁性体であり、
先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通された状態の上記ケーシングの組立体を、上記アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤に打設しながら、上記磁気センサにより、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査し、上記ケーシングの組立体が上記磁気センサとともに軟弱地盤に所定の深さまで打設された後に、上記ケーシングが、軟弱地盤中から引き抜かれ、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材から離脱される打設装置。
【請求項2】
更に、上記磁気センサの検出結果に基づき軟弱地盤中の磁性体の有無を判断する制御部を備え、
上記制御部は、軟弱地盤中に磁性体が存在すると判断したとき、上記ドレーン部材の打設動作を停止する請求項1記載の打設装置。
【請求項3】
軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、上記ドレーン部材の先端に連結されるアンカ部材と、先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材に対して着脱可能なケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ドレーン部材、上記アンカ部材及び上記ケーシングが、非磁性体で形成された打設装置を用いた打設方法において、
先端において上記アンカ部材が露出されるとともに、上記ドレーン部材が内部に挿通された状態の上記ケーシングの組立体を、上記アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤に打設するステップと、
上記磁気センサにより、上記ケーシングの組立体を軟弱地盤に打設しながら、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査するステップと、
上記ケーシングの組立体が軟弱地盤に所定の深さまで打設された後に、上記ケーシングを、上記アンカ部材が先端に連結されたドレーン部材を軟弱地盤中に残して軟弱地盤から引き抜くステップとを有する打設方法。
【請求項4】
先端側を挿入端側として軟弱地盤に所定の深さまで打設されるケーシングと、
上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、
上記ケーシングは、非磁性体であり、
上記ケーシングを、先端側を挿入端側として、軟弱地盤に打設しながら、上記磁気センサにより、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する探査装置。
【請求項5】
先端側を挿入端側として軟弱地盤に所定の深さまで打設されるケーシングと、上記ケーシングの先端が検出範囲内に位置されるように、上記ケーシング内の先端の近傍に設けられ、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査する磁気センサとを備え、上記ケーシングが、非磁性体で形成された探査装置を用いた探査方法において、
上記ケーシングを、先端側を挿入端側として、軟弱地盤に打設するステップと、
上記磁気センサにより、上記ケーシングを軟弱地盤に打設しながら、上記ケーシングの先端の周囲の磁場の変化を検出して軟弱地盤中の磁性体を探査するステップとを有する探査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−222937(P2010−222937A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74305(P2009−74305)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000109233)チカミミルテック株式会社 (19)
【出願人】(502080047)キャドテック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000109233)チカミミルテック株式会社 (19)
【出願人】(502080047)キャドテック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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