説明

融合蛋白質組成物

エフェクター機能が増強された医薬品として有用な抗体Fc領域の融合蛋白質組成物が求められている。N−グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する抗体Fc領域の融合蛋白質分子からなる組成物であって、N−グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である融合蛋白質組成物、該融合蛋白質組成物を生産する形質転換体、該融合蛋白質組成物の製造方法および該融合蛋白質組成物を含有する医薬を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合性蛋白質とN−グリコシド結合複合型糖鎖を有する抗体Fc領域との融合蛋白質分子からなる医薬融合蛋白質組成物であって、N−グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である融合蛋白質組成物。
【請求項2】
N−グリコシド結合複合型糖鎖が、該糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合していない糖鎖である、請求の範囲1に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項3】
抗体Fc領域がヒト抗体のIgGクラスである、請求の範囲1または2に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項4】
抗体Fc領域がヒト抗体のIgG1クラスである、請求の範囲3に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項5】
抗体融合蛋白質組成物が、ヒト抗体のIgG1クラス重鎖定常領域ドメイン2(CH)を含む請求の範囲4に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項6】
融合蛋白質組成物が、ヒト抗体ヒンジ領域、抗体のIgG1クラス重鎖定常領域ドメイン2(CH)および抗体重鎖定常領域ドメイン3(CH)を含む請求の範囲5に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項7】
結合性蛋白質が、抗体の結合性断片、可溶性受容体およびリガンド蛋白質からなる群から選ばれる蛋白質を少なくとも1つ含む請求の範囲1〜6のいずれか1項に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項8】
抗体の結合性断片が、抗体重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含むポリペプチド鎖を少なくとも1つ含む請求の範囲7に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項9】
抗体重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含むポリペプチド鎖が、一本鎖抗体である請求の範囲8に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項10】
抗体の結合性断片が、一本鎖抗体である請求の範囲7に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項11】
抗体の結合性断片が、二種類の抗体重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含むポリペプチド鎖を含む請求の範囲7に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項12】
抗体重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含むポリペプチド鎖が、一本鎖抗体である請求の範囲11に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項13】
抗体の結合性断片が、二重特異性一本鎖抗体である請求の範囲7に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項14】
可溶性受容体が、可溶型TNF(Tumor necrosis factor)受容体IIである請求の範囲7に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項15】
可溶性受容体が、配列番号64で示されるアミノ酸配列を含む請求の範囲15に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項16】
融合蛋白質が、FERM BP−8499により生産される請求の範囲14または15に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項17】
リガンド蛋白質が、LFA−3(leukocyte Function Antigen−3)である請求の範囲7に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項18】
リガンド蛋白質が、配列番号65で示されるアミノ酸配列を含む請求の範囲16に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項19】
融合蛋白質が、FERM BP−8500により生産される請求の範囲17または18に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項20】
融合蛋白質組成物が、2量体である請求の範囲1〜19のいずれか1項に記載の融合蛋白質組成物。
【請求項21】
請求の範囲1〜20のいずれか1項に記載の融合蛋白質をコードするDNAを宿主細胞に導入して得られる形質転換体。
【請求項22】
宿主細胞が、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素、またはN−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素を失活するようにゲノムが改変された細胞である、請求の範囲21に記載の形質転換体。
【請求項23】
宿主細胞が、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素、またはN−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム上の対立遺伝子のすべてがノックアウトされた細胞である、請求の範囲22に記載の形質転換体。
【請求項24】
細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素が、GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ(GMD)およびGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼ(Fx)からなる群から選ばれる酵素である、請求の範囲22または23に記載の形質転換体。
【請求項25】
GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼが、以下の(a)または(b)から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求の範囲24に記載の形質転換体。
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA;
(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつGDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項26】
GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼが、以下の(a)、(b)および(c)からなる群から選ばれる蛋白質である、請求の範囲24に記載の形質転換体。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつGDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ活性を有する蛋白質;
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつGDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ活性を有する蛋白質。
【請求項27】
GDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼが、以下の(a)または(b)から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求の範囲24に記載の形質転換体。
(a)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA;
(b)配列番号3で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項28】
GDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼが、以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる蛋白質である、請求の範囲24に記載の形質転換体。
(a)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼ活性を有する蛋白質;
(c)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼ活性を有する蛋白質。
【請求項29】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素がα1,6−フコシルトランスフェラーゼである請求の範囲22または23に記載の形質転換体。
【請求項30】
α1,6−フコシルトランスフェラーゼが、以下の(a)〜(d)からなる群から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求の範囲29に記載の形質転換体。
(a)配列番号5で表される塩基配列からなるDNA;
(b)配列番号6で表される塩基配列からなるDNA;
(c)配列番号5で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA;
(d)配列番号6で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項31】
α1,6−フコシルトランスフェラーゼが、以下の(a)〜(f)からなる群から選ばれる蛋白質である、請求の範囲29に記載の形質転換体。
(a)配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(c)配列番号7で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(d)配列番号8で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(e)配列番号7で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(f)配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質。
【請求項32】
宿主細胞が、下記の(a)〜(h)からなる群から選ばれる細胞である請求の範囲21〜31のいずれか1項に記載の形質転換体。
(a)チャイニーズハムスター卵巣組織由来CHO細胞;
(b)ラットミエローマ細胞株YB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞;
(c)マウスミエローマ細胞株NS0細胞;
(d)マウスミエローマ細胞株SP2/0−Ag14細胞;
(e)シリアンハ厶スター腎臓組織由来BHK細胞;
(f)ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞;
(g)胚性幹細胞;
(h)受精卵細胞。
【請求項33】
形質転換体がFERM BP−8499である請求の範囲21〜32のいずれか1項に記載の形質転換体。
【請求項34】
形質転換体がFERM BP−8500である請求の範囲21〜32のいずれか1項に記載の形質転換体。
【請求項35】
請求の範囲21〜34のいずれか1項に記載の形質転換体を培地に培養し、培養物中に融合蛋白質組成物を生成蓄積させ、該抗体組成物を採取し、精製する、請求の範囲1〜20のいずれか1項に記載の融合蛋白質組成物の製造方法。
【請求項36】
請求の範囲35に記載の製造方法により得られる、請求の範囲1〜20のいずれか1項に記載の抗体融合蛋白質組成物。
【請求項37】
請求の範囲1〜20および36のいずれか1項に記載の融合蛋白質組成物を有効成分として含有する医薬。
【請求項38】
請求の範囲1〜20および36のいずれか1項に記載の融合蛋白質組成物を有効成分として含有する医薬が、腫瘍、炎症性疾患または自己免疫疾患の予防薬または治療薬。
【請求項39】
腫瘍が、血液腫瘍または癌である請求の範囲38に記載の疾患の予防薬または治療薬。

【国際公開番号】WO2005/035586
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514675(P2005−514675)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015325
【国際出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】