説明

軟質ポリウレタンフォームおよびその製造方法

【課題】
無応変軟質ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】
有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)、を反応発泡、硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、上記有機ポリイソシアネート成分(A)が、モノオールと脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート基含有有機ポリイソシアネート組成物(A1)と、水酸基を2つ以上含む水酸基含有化合物と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート基含有有機ポリイソシアネート組成物(A2)と、脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとポリオール成分(a1)とを反応させることにより得られる有機ポリイソシアネート化合物(A3)、との混合物を用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幅広い用途に用いられている軟質ポリウレタンフォームにおいて、太陽光等の光に暴露しても長期に渡ってフォームの変色が少ない軟質ポリウレタンフォーム、特に肩パット、ブラパッド等の衣料品、ナプキン、紙おむつ等のサニタリー用品、化粧パフ等の化粧品用、靴、寝具、フレームラミ、家具等に適した軟質ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軟質ポリウレタンフォームは、柔軟性と弾力性等の優れた性能により、クッション
等車両や家具、ブラパッドや肩パッド等の衣料用途等、幅広く使用されている。ブラパッドや肩パッド等の製法としては、軟質ポリウレタンフォームを所望の形状にカットして最終製品とする方法や、シート状にカットした後に型内で加熱させて最終形状とする方法がある。これに用いる原料イソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のポリイソシアネートが使用されている。しかし、芳香族ポリイソシアネートを用いて得られるポリウレタンフォームは、太陽光線等によって容易に変色するという問題がある。ポリウレタンフォームが変色、特に黄変する原因は、紫外線によりベンゼン環のキノイド化によるものと考えられ、このような黄変を防止する手段として、芳香族ポリイソシアネートに代えて脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートを使用した軟質ポリウレタンフォームが提案されている。
【0003】
しかし、これらの提案においては、加熱成形性に優れた無黄変の軟質ポリウレタンフォームを得られるものではなかった。
【0004】
例えば特許文献1には、脂肪族又は脂環式のポリイソシアネートに対し、カルボン酸金属触媒を使用する技術が記載されており、特許文献2には、イソシアネートとしてNCOが芳香族環に直接結合していないポリイソシアネートを使用してポリウレタンの色安定性が得られることが開示されている。
【0005】
しかし、これらの提案において、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートを用いてポリウレタンフォームを製造しようとする場合、反応のバランス調整が難しく部分的な反応の不均一性、硬化と発泡のアンバランス等により荒いセル、陥没が発生する、又は独立気泡状態を有する部分により変形する等といったことがある。
【0006】
また、最近では特許文献3のように、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネ
ート(IPDI)を用い、触媒としてスズ系の触媒と3級アミン触媒であるジメチルアミ
ノエチルエーテル及び/又はトリエチレンジアミンを併用することを特徴とする軟質ポリ
ウレタンフォームの製造方法が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献4のように,脂肪族ポリイソシアネートからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を用いてフォームを成型する先行技術が示されている。
【0008】
しかし、これらの提案において得られる軟質ポリウレタンフォームでは、実用的なキュア性に劣るものであり、十分な加熱成形性を満たすものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭50−64389号公報
【特許文献2】特開昭52−128997号公報
【特許文献3】特開平10−36543号公報
【特許文献4】特開2005−48038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の欠点であった加熱成形性が優れた無黄変の軟質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述の課題を解決し、優れた耐変色性を有し、かつ加熱成形性を備えた軟質ポリウレタンフォーム用組成物を提供するために鋭意検討の結果、見出されたものである。
【0012】
すなわち本発明は、以下の(1)〜(15)に示されるものである。
(1) 有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)、を反応発泡、硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、
上記有機ポリイソシアネート成分(A)が、モノオールと脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート基含有有機ポリイソシアネート組成物(A1)と、水酸基を2つ以上含む水酸基含有化合物と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート基含有有機ポリイソシアネート組成物(A2)と、脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとポリオール成分(a1)とを反応させることにより得られる有機ポリイソシアネート化合物(A3)、との混合物を用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(2) 前記の有機ポリイソシアネート(A3)の比率が、(A1)と(A2)の総量に対して、(A3)/((A1)と(A2)の総量)=15/85〜60/40である前記(1)に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(3) 前記の有機ポリイソシアネート(A)が、20質量%以下の脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートモノマーを含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(4) 前記の有機ポリイソシアネート(A1)と(A2)の比率が、(A1)/(A2)=20/80〜80/20である前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(5) 有機ポリイソシアネート(A)に脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートモノマーを含有することを特徴とする前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(6) 有機ポリイソシアネート(A)に脂肪族系及び/又は脂環族系トリマーを含有することを特徴とする前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(7) 前記のポリオール(B)の公称平均官能基数が2〜6、数平均分子量が50〜20,000のポリオール(B)からなることを特徴とする前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(8) 前記のイソシアネート(A)およびポリオール(B)のどちらか一方または両方に、ヒンダードアミン系光安定剤を添加して使用する前記(1)から(7)のいずれか1つに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(9) 前記触媒(C)として、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7とスタナスオクテートを用いることを特徴とする前記(1)から(8)のいずれか1つに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(10) 前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームを使用する衣料品用成型品。
(11) 前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームを使用するサニタリー用成型品。
(12) 前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームを使用する化粧用成型品。
(13) 前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームを使用する靴用成型品。
【発明の効果】
【0013】
本発明による製造方法によって、これまでの課題であった紫外線、NOx及び熱に対して
優れた耐変色性を備えた均一なセル構造を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。更に本発明によって得られる軟質ポリウレタンフォームは、ブラパッド、衣料や靴のインナー等の用途で重要な物性とされる圧縮残留歪や加熱成形性が非常に良く,これらの用途に適している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を更に詳細に説明する。本発明に使用される有機ポリイソシアネート(A)は、モノオールと脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物(A1)と、水酸基を2つ以上含む水酸基含有化合物と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物(A2)と、脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとポリオール成分(a1)との反応により得られる有機ポリイソシアネート化合物(A3)を使用する。(A3)は、粘度と物性の面から、脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとポリオール成分(a1)を、R(イソシアネート基のモル数/水酸基のモル数)が2〜7の範囲で反応させて得ることが好ましい。また、必要に応じて、その他にイソシアヌレート基含有イソシアネート等の有機イソシアネートを使用することも可能である。有機ポリイソシアネート(A3)の含有量としては、加熱成形性や軟質フォームの硬度の面で、(A1)と(A2)の総量に対して、(A3)/((A1)と(A2)の総量)=15/85〜60/40であることが好ましい。なお、(A1)、(A2)、(A3)は必要に応じて薄膜蒸留により、フリーの脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートモノマーを除去することもできる。
【0015】
モノオールと脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート
変性有機ポリイソシアネート組成物(A1)と、水酸基を2つ以上含む水酸基含有化合物と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物(A2)の比率は、(A1)/(A2)=20/80〜80/20であることが好ましい。(A1)の比率が上限以下では、硬度、成形性の面で、また、(A1)の比率が下限以上では、イソシアネートの粘度、フォームの成形性の面でより良好となる。
【0016】
アロファネート組成物に使用する水酸基含有化合物は、アルコール性水酸基含有化合物で
あり、水酸基が1つのモノオールおよび水酸基を2つ以上含む水酸基含有化合物がある。
具体的には下記のものが挙げられる。
低分子量脂肪族水酸基含有化合物:
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタ
ノール、ヘキサノール及びヘプタノール、アリルアルコール、2−エチルヘキサノール、
炭素原子数10〜20の脂肪族アルコール、エタンジオール、1,2−プロパンジオール
、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘ
キサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プ
ロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1
,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,1
0−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、2−メチレン−1,3−プロパンジオ
ール、グリセロール、ブタントリオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−
プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリトリトール、エチレングリコールモノアルキル−もしくは−
アリールエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコール
、トリエチレングリコール並びにテトラエチレングリコール等。
脂環式水酸基含有化合物:
シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシ
クロヘキサノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、メントール、ボルネオー
ル及びイソボルネオール、2−ヒドロキシデカリン、1,2−シクロヘキサンジオール、
1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,4−ジヒドロ
キシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、1,4−ビス−ヒドロキシメチル
シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−メタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2−メチル−2,4−ビス(4−ヒドロキシ
シクロヘキシル)−ペンタン、フルフリル及びテトラヒドロ−フルフリルアルコール、ビ
ス−ヒドロキシメチルノルボルナン並びにジヒドロキシメチル−トリシクロデカン等。
高分子ポリオール:
ポリチオエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール。また、特に公知の1〜6個の水酸基を有するポリエーテルポリオールも使用することができる。なお、本発明では、アルコール性水酸基含有化合物は、有機ポリイソシアネート(A)の粘度やポリオール(B)に対する相溶性等を考慮すると、少なくとも炭素数1〜40の水酸基含有化合物を含むことが好ましい。
【0017】
アロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を製造する出発材料として使用するジ
イソシアネートは、脂肪族系或いは脂環族系のものであれば特に制限するものではない。
脂肪族ジイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リ
ジンジイソシアネート(LDI)、ブテンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート類が、また脂環族ジイソシアネートの例として、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシレンジイソシアネート(水添XDI)シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等のジイソシアネート類がある。なお、芳香環を有するがイソシアネート基が直接芳香環に結合していないキシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)も脂肪族ジイソシアネートに属するものとして本発明で使用することができる。本発明においてはHDIを使用することが粘度や加熱成形性の面から好適である。
【0018】
アルコール性水酸基含有化合物と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからな
るアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を製造する際に用いる触媒としては
、すでに公知となっているいずれの塩基性化合物も使用し得る。本発明において適してい
る触媒は、カルボン酸、例えば炭酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸及び任意に置換した安息
香酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、及び酸化アルカリ土類金属の塩である。特にカ
ルボン酸ジルコニウム、カルボン酸ジルコニルの塩が反応性、副生成物の抑制の点で最も
適している。その他の触媒としては、第三アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、1,4−ジアザビシクロ−オクタ
ン、1,5−ジアザビシクロ−ノネン、テトラメチルブタンジアミン、テトラメチルプロ
パンジアミン及びビス−N−ジメチルアミノエチルエーテルである。ナトリウムフェノラ
ートのようなフェノラート、及びナトリウムメチラートのようなアルコラートも適当な触
媒である。窒素を含む芳香族化合物、例えばピリジン、モノC1〜C4−アルキルピリジン
、ジメチルピリジン、N−ジメチルアミノ−ピリジン、ジエチルピリジン及びトリメチル
ピリジンも使用し得る。
【0019】
脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとポリオール成分(a1)との反応により得られる有機ポリイソシアネート化合物(A3)は,フリーの脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートモノマーを含むが、薄膜蒸留を行い、当該フリーモノマーを除いて使用することも可能である。また,さらにフリーの脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートモノマーを後から添加することも可能である。有機ポリイソシアネート化合物(A3)中のフリーモノマー量は、成形性,スコーチの観点から(A3)に対して20質量%以下が好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
【0020】
有機ポリイソシアネート化合物(A3)に使用可能なポリオール成分(a1)については,以下に挙げられる。
エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、2−メチレン−1,3−プロパンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、3,3−ジメチロールヘプタン、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアリールエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール並びにテトラエチレングリコールの1種又は2種以上の混合物である。また,通常の軟質ポリウレタンフォームに使用されるような以下に記載するポリオール(B)も用いることができる。
【0021】
これらのポリオール成分(a1)として好ましいのは、フォームの加熱成形性の点から公称平均官能基数が2〜4、数平均分子量が76〜8,000である。また、フォームの硬さが発現しやすい点から、数平均分子量が500以下のジオールおよび/又はトリオールがさらに好ましく、貯蔵安定性の面で、側鎖を有する主鎖の炭素数が2〜6のジオールおよび/またはトリオールが最も好ましい。
【0022】
本発明に使用するポリオール(B)は、公称平均官能基数が2〜6、数平均分子量が50
〜10,000であるものであり、通常の軟質ポリウレタンフォームに使用されるポリエ
ーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールを用いることができる。具体的には、単量体のポリオールとして、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、エチレンジアミン、ソルビトール等のほか、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールを開始剤としてエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)又はその両方を付加重合したポリエーテルポリオール、又は上記ポリオール中でアクリロニトリルやビニルモノマー等とラジカル重合して得られるポリマーポリオール、アミン/イソシアネートの反応による分散ウレアを含む変性ポリエーテルポリオール、メラミン変性ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール等である。また、ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸とエチレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等との縮合ポリエステルポリオール等が使用できる。その他、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、含燐ポリオール、ポリエステルエーテルポリオール等が使用できる。
【0023】
これらのポリオールの中でも、公称平均官能基数が2〜6であって数平均分子量が50〜10,000の末端1級及び/又は2級の水酸基を含むポリエーテルポリオール又はこれらの変性ポリエーテルポリオール、公称平均官能基数2〜6であって当量200〜2,000の縮合又は重合ポリエステルポリオール、当量200〜6,000のポリテトラメチレンエーテルポリオール、当量200〜2,000のポリカーボネートジオールが好ましい。これらは、用途に応じて選択すればよく、また2種以上を混合して使用することもできる。
【0024】
本発明で使用する触媒(C)は、特に制限はなく、本発明ではポリウレタンフォームの製
造に通常使用されている、アミン触媒、金属触媒、アミジノ基を有するアミン及びその
誘導体等が使用できる。アミン触媒としては、トリエチレンジアミン、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、ジメチルエチルエチルエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、トリエチルアミン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、メチルモルフォリン、エチルモルフォリン、ジエタノールアミン、テトラメチルヘキサメチメチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、テトラメチルエチレンジアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−ρ−トリアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジメチルアミノヘキサノール、メチルヒドロキシルピペラジン等が例示できる。また、アミジノ基を有するアミン及びその誘導体としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が好ましく用いられる。ジアザビシクロアルカン類としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以降、DBUとも略記する)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が例示できる。その他、弱酸のアルカリ金属塩、三量化触媒等も使用できる。金属触媒としては、スタナスオクテート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、その他の通常ポリウレタンフォームに使用されるスズ系触媒が例示できる。
【0025】
上記の触媒において、本発明では、反応性のバランス、セルの均一性を良好に保ち、独立気泡性が低い安定な発泡体を得るためには、DBU及び/又はスタナスオクテートを用いることが最も適している。
【0026】
本発明で使用する発泡剤(D)としては、通常ウレタン発泡に用いられる公知の発泡剤を使用することができる。例えば、物理的発泡剤としては、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素化合物、HCFC−141b、HCFC−123、HCFC−22、HFC−245fa、HFC−365mfc、HFC−134a等のいわゆる代替フロンを含むハロゲン化炭化水素等を挙げることができ、化学的発泡剤としては、水、有機酸等を挙げることができる。またガスローディング装置を用いて原液中に空気、窒素ガス、炭酸ガス等を混入溶解させて用いることもできる。これら発泡剤は、2種以上併用して用いることもでき、その使用量は、ポリオールの1〜50質量%が適当である。
【0027】
本発明で使用する整泡剤(E)としては、L−5309、L−5366、L−5420、L−6202B(モメンティブ製)、F−242T、F−303、F−703(信越化学工業製)、SH−192、SH−193、PRX−607、SRX−280A、SF−2914、F−122、SF−2962(東レダウシリコーン製)、B−8300、B−4113LF(エボニック製)、DC−5169、DC−193(エアープロダクツ製)等の軟質、硬質或いはHR用ポリウレタンフォームに用いられる整泡剤を使用することができる。
【0028】
本発明には、必要に応じて従来公知の他の添加剤も使用できる。例えば、酸化防止剤又は紫外線吸収剤を配合することによって本発明の特徴である優れた耐変色性を一層向上させることができる。具体的には、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノール系の紫外線吸収剤等がある。
また、これ以外にも、公知の難燃剤、界面活性剤、スコーチ防止剤,着色剤、導電剤、絶縁剤、発光剤、抗菌剤、芳香剤等を添加することもできる。
【0029】
これらの原料物質を用いて、本発明の軟質ポリウレタンフォームを製造するには、従来からの製造方法をそのまま適用することができる。すなわち、一般的には、ポリイソシアネート、ポリオール、触媒、発泡剤、及びその他の添加剤を撹拌混合した後、混合物を型枠や底紙を敷いたコンベア上に注入して、反応、発泡、及び硬化を行わせることができる。あるいは、別々の容器に保管又は調製しておいたポリイソシアネート、ポリオール、触媒、及びその他の添加剤をひとつのミキシングヘッドに不活性ガスを混入しながら投入し、均質になるよう混合し、所定のモールド等に注型して型内で加熱成型して加熱硬化させる方法もある。
【0030】
このときのイソシアネートインデックス(イソシアネート基/活性水素基×100)は5
0〜150が好ましく、特に好ましくは60〜120の範囲である。インデックスが低す
ぎる場合は、フォーム表面ベタツキ感が生じやすい。また、インデックスが高すぎる場
合は、発泡しない場合や、陥没して柔軟なフォームが得られない場合がある。
【0031】
型枠を用いる場合、均一に硬化させ、かつ十分な発泡倍率を得るために、型枠は30〜80℃の範囲で調節されていることが望ましいが、表皮との一体成型の場合などはその必要が無い。脱型時間は短い方が生産効率の面から好ましく、本発明では注入後3〜8分間で脱型できるが、不良率削減のために生産設備の条件に適した脱型時間を任意に設定することもできる。脱型性を良くするために型枠に離型剤を塗布することも可能である。脱型後の製品はそのままでも使用できるが、従来公知の方法で圧縮又は減圧下でセルを破壊し、製品の外観、寸法を安定化させることもできる。
【実施例】
【0032】
以下、更に、本発明の具体的実施例について述べるが、勿論本実施例のみによって本発明が限定されることはない。
【0033】
〔アロファネート変性ポリイソシアネート(A1)の合成1〕
合成例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を950g、ブタノールを50g仕込み、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。反応生成物をFT−IRにて分析したところ、水酸基は消失していた。次にオクチル酸ジルコニールを0.1g仕込み、90℃にて3時間反応させた。反応生成物をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は消失していた。次いで、JP−508(城北化学製)を0.11g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は40.14%であった。この反応生成物を140℃・40Paにて薄膜蒸留を行い、イソシアネート含量が18.6%、25℃の粘度が91mPa・s、遊離のヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.1%、色数が20APHAの「アロファネート変性ポリイソシアネート−1」を得た。「アロファネート変性ポリイソシアネート−1」をFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基はその存在が認められず、アロファネート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基は痕跡程度認められた。
【0034】
〔アロファネート変性ポリイソシアネート(A2)の合成2〕
合成例2
合成例1と同様の方法で,ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を950g、1,3−ブタンジオールを50g仕込み、反応後,「アロファネート変性ポリイソシアネート−2」(イソシアネート含量20.2%、25℃の粘度2,460mPa・s、遊離ヘキサメチレンジイソシアネート0.1%、色数20APHA)を得た。
【0035】
〔イソシアヌレート基含有イソシアネートの合成〕
合成例3
温度計、撹拌機および窒素ガス導入管を備えた1,000mlの蓋付きガラス製四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート 997g、1,3−ブタンジオール2gを仕込み、窒素パージした後、撹拌しながら50℃に昇温し、フェノール1g、触媒(イソ酪酸カリウム0.2g加えた。50℃で1.5時間反応させた。そして,直ちに65℃にて反応を行い,目標のNCO含量に到達した地点で,停止剤であるリン酸を0.1g仕込み、1時間停止反応を行なった。次に130℃、40Paの条件下で薄膜蒸留して遊離
HDIを除去した。このようにして得られたイソシアネート「イソシアヌレート基含有イソシアネート−1」は、淡黄色液体でNCO含量23.2%、粘度1180(mpa・ at 25℃)であった。
【0036】
[イソシアネート基末端プレポリマー(A3)の合成1]
調整例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を500g、1,2−プロパンジオールを70gを仕込み、80℃で2時間ウレタン化反応を行い、イソシアネート基末端プレポリマー「PRE−1」(NCO含量29.9%、25℃の粘度352mPa・s)を得た。
【0037】
[イソシアネート基末端プレポリマー(A3)の合成2]
調整例2
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を500g、1,3−ブタンジオールを82gを仕込み、80℃で2時間ウレタン化反応を行い、イソシアネート基末端プレポリマー「PRE−2」(NCO含量29.6%、25℃の粘度332mPa・s)を得た。
【0038】
[イソシアネート基末端プレポリマー(A3)の合成3]
調整例3
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を500g、1,3−ブタンジオールを59gを仕込み、80℃で2時間ウレタン化反応を行い、イソシアネート基末端プレポリマー「PRE−3」(NCO含量34.5%、25℃の粘度254mPa・s)を得た。
【0039】
[イソシアネート基末端プレポリマー(A3)の合成4〜14、16]
調整例4〜14、16
合成例3と同様にして、表1の配合例に従ってイソシアネート基末端プレポリマー「PRE−4〜14、16」を得た。NCO含有量、粘度およびフリーHDIも併せて表1に記載する。
【0040】
[イソシアネート基末端プレポリマー(A3)の合成15]
調整例15
調整例3で得られた「PRE−3」を、薄膜蒸留することにより、遊離のヘキサメチレンジイソシアネートを除去して、フリーHDIの含有量が0.1%であるイソシアネート基末端プレポリマー「PRE−15」を得た。NCO含量は17.5%であり、25℃では固体であるが75℃での粘度は70mPa・sであった(表1中の*1)。
【0041】
【表1】

【0042】
<有機ポリイソシアネート(A)の調整>
調整例20
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの容器に、アロファネ
ート変性ポリイソシアネート−1を15g、アロファネート変性ポリイソシアネート−2を40g、PRE−1を45g、HALS(チヌビン765)を0.8g仕込み、25℃で1時間撹拌混合した。得られた有機ポリイソシアネートは、NCO含有量が24.3%、粘度が625mPa(25℃)であった。以下、当該イソシアネートを「NCO−4」とする。
【0043】
<有機ポリイソシアネート(A)の調整>
調整例17〜19、21〜43
上記と同様の方法で、表2〜5の配合比に従って、有機ポリイソシアネート「NCO−1〜3」と「NCO−5〜27」を得た。NCO含有量と粘度も併せて表2〜5に記載する。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
(ポリオールプレミックスの調整)
調整例44〜47
表6に記載の各原料を仕込み,25℃で1時間混合攪拌してポリオールプレミックス「
B−1」〜「B−4」を得た。
【0049】
【表6】

【0050】
以下に使用した原料を記載する。
<イソシアネート成分>
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業社製
<ポリオール成分>
1,2−プロパンジオール
1,3−ブタンジオール
3,3−ジメチロールヘプタン(DMH)
DPG:ジプロピレングリコール、公称官能基数2、OH価 836
ポリオールA:PPG、公称官能基数2、OH価 560
ポリオールB:PPG、公称官能基数2、OH価 280
ポリオールC:PPG、公称官能基数3、OH価 280
ポリオールD:PPG、公称官能基数3、OH価 56
ポリオールE:PPG、公称官能基数3、OH価 150
ポリオールF:PPG、公称官能基数2、OH価 112
TMP:トリメチロールプロパン、三菱ガス化学社製
<触媒>
CAT1:TOYOCAT ET(アミン触媒,東ソー製)
CAT2:DBU(アミン触媒,サンアプロ製)
CAT3:DABCO T−9(金属触媒,エアープロダクツ製)
<その他添加剤>
HALS:チヌビン765(ヒンダードアミン系光安定剤,BASF製)
添加剤1:Color stabilizer CS-22(リン系酸化防止剤,モメンティブ製)
整泡剤1:SH−192(シリコン系整泡剤,ダウコーニング製)
【0051】
実施例1〜23、比較例1〜3、参考例1
(軟質ポリウレタンスラブフォームの製造)
有機ポリイソシアネート(イソシアネート成分)「NCO−1〜NCO−23」と、上
記のポリオールプレミックス「B1〜B4」とを用いて以下のようにして軟質ポリウレタ
ンフォームを調製した。すなわち、表7〜9に示す割合で各ポリイソシアネート組成物
とポリオールプレミックスを、温度25±2℃に温調して、ポリマーエンジニアリング社
製低圧発泡機で攪拌後、約4,000gを500mm×500mm×500mmサイズの箱に吐出し、軟質ポリウレタンフォームを得た後、各評価項目の実施を行った。表7〜9に結果を示す。なお、表7〜9中、INDEXはイソシアネート基とポリオールプレミックス中の水酸基のモル比を、配合比はイソシアネート成分とポリオールプレミックスの質量部数をそれぞれ示す。
【0052】
【表7】

【0053】
【表8】

【0054】
【表9】

【0055】
実施例24〜26
(軟質ポリウレタンモールドフォームの製造)
有機ポリイソシアネート(イソシアネート成分)「NCO−25、26」と、上記のポリオールプレミックス「B3、B4」とを用いて以下のようにして軟質ポリウレタンフォームを調製した。すなわち、表10に示す割合で各ポリイソシアネート組成物とポリオールプレミックスを、温度25±2℃に温調して,日本キャノン社高圧発泡機で攪拌後,300mm×300mm×50mmサイズの箱(型温60℃)に約200g吐出し,10分後に脱型し,軟質ポリウレタンフォームを得た後、各評価項目の実施を行った。表10に結果を示す。なお、表10中、INDEXはイソシアネート基とポリオールプレミックス中の水酸基のモル比を、配合比はイソシアネート成分とポリオールプレミックスの質量部数をそれぞれ示す。
【0056】
【表10】

【0057】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、フォームの密度は使用する有機ポリイソシアネートの種類や水等の配合比率により高低は見られたが、フォーム製造時の反応性は実用上、特に問題とならない範囲であった。また、製造時及び養生期間での作業環境は良好であり、HDI等有機ポリイソシアネートに由来する不快な刺激臭等は感じられなかった。
【0058】
<成形性評価方法>
セトリング(%)={(ライズタイム時のフォーム高さ)―(ライズタイムから2分後の
高さ)}÷(ライズタイム時のフォーム高さ)×100より求められる値が5%以下のもの
を○とし、セトリングの値が5%〜15%のものを△とし、セトリングが15%以上のもの並びにシュリンク底上がりなどの異常があったものを×とする。
【0059】
<密度・25%ILD(N/314cm2)の測定方法>
密度はJIS K7222, 25%ILDはJIS−K6400−2に準ずる。
【0060】
<10分後の表面キュア性試験方法>
発泡開始から10分経過した時点で,フォームの表面にベタツキがないか確認し,ベタツキ
がある場合は×とする。表面にベタツキがなく,手で押し込んだときに手跡が残らなけれ
ば○、手跡が残るものを×とする。
【0061】
<スコーチの評価方法>
フォームを50cm×50cm×50cmのサイズで発泡し,翌日,フォームカットする。中心部が変色していなければ,○とする。
【0062】
<外観の評価方法>
成型後のフォームのコア部分を切り出し、セル状態が細かく,ピンホールなどが確認できないものを○とし、ピンホールやセルサイズがまばらなものを×とした。
【0063】
<耐候性試験>
スガ試験機製スーパーウェザーメーター(180W/m2,300〜400nm,光フィ
ルター石英/#275、ブラックパネル温度63℃)で180時間行った。
外観については,表面の劣化がほとんどないものを○とし,若干劣化したものを△,非常
に劣化したものを×とした。
物性保持率については引張強度保持率が80%以上のものを○とする。
黄変性はミノルタ製色彩色差計CR−310を使用し,YI値を測定した。YI値の差(
ΔYI=試験終了後のYI値−試験前のYI値)が10以下のものを○とした。
【0064】
<機械物性>
引張強度については、JIS K6400−5に基づき測定を行った。
引張強度保持率(%)
=(試験終了後の引張強度−試験前の引張強度)/試験前の引張強度×100
【0065】
<圧縮残留歪>
JIS−6400−4に準じ、(50%圧縮、22時間、70℃)サンプルサイズは、10mm×10mm×10mm、n=4で行った。計算式は以下のものを用いて算出した。
Cs=(t0−t1)/(t0ーt2)×100
Cs:圧縮残留歪(%)
t0:試験片の元の厚さ(mm)
t1:試験片を圧縮板から取り出し,30分後の厚さ(mm)
t2:スペーサーの厚さ(mm)
【0066】
<加熱成形性試験>
190℃70秒での加熱成形性は、フォームを100mm×100mm×10mmにカットし,それを熱プレス(190℃)で70秒プレスして,その時のフォームの状態について評価を行なった。
5:フォームが完全に潰れて厚みが2mm以下になっており、元の形に戻らないもの
4:フォームが溶融して厚みが2mm以上5mm未満になっており、元の形に戻らないもの
3:フォームが溶融して厚みが5mm以上10mm未満のもの
2:フォームの表面が少し溶融しているが、厚みの変化がほとんどないもの
1:フォームが溶融せず圧縮前の状態に戻るもの
【0067】
比較例1の場合、セトリング(%)(フォームの高さが最大に達した後、沈みが発生する。その沈む割合を示す値)が大きくなり、成形性に問題が生じた。また、10分後のキュアが悪くなるなどの問題も生じた。
比較例2では、独泡になるといった成形性に問題があり、底上がり(成型時のフォーム底部にガスがたまり,フォーム底部が持ち上がってしまう状態)に問題が生じた。
比較例3では、ライズタイムに達し、ガスが抜けた際、フォームが陥没する。
【0068】
実施例にあげたものについては、スラブ成型したものは外観、耐候性、黄変性,190℃における加熱成形性について良好な結果を得られた。
モールド成型したものについては,外観,耐候性,黄変性,10分後の脱型について,特良好な結果を得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)、を反応発泡、硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、
上記有機ポリイソシアネート成分(A)が、モノオールと脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート基含有有機ポリイソシアネート組成物(A1)と、水酸基を2つ以上含む水酸基含有化合物と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート基含有有機ポリイソシアネート組成物(A2)と、脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとポリオール成分(a1)とを反応させることにより得られる有機ポリイソシアネート化合物(A3)、との混合物を用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
前記の有機ポリイソシアネート(A3)の比率が、(A1)と(A2)の総量に対して、(A3)/((A1)と(A2)の総量)=15/85〜60/40である請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
前記の有機ポリイソシアネート(A1)と(A2)の比率が、(A1)/(A2)=20/80〜80/20である請求項1又は2項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
有機ポリイソシアネート(A)に脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートモノマーを含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームを使用する衣料品用成型品。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームを使用するサニタリー用成型品。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームを使用する化粧用成型品。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームを使用する靴用成型品。

【公開番号】特開2012−224712(P2012−224712A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92279(P2011−92279)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】