説明

避難用両袖扉の同時連動シャッター閉鎖装置

【課題】 建築物の内部で火炎が発生した時に空調を区画するシャッターを中心とした左右両側に避難扉を有する袖扉を設け、両側の該袖扉は、連動開放閉鎖し、シャッターを自動的に案内降下して防火防煙と避難を容易とするものである。
【解決手段】 相対する左右の通路となる側壁に避難扉を設けた袖扉を対設する。該袖扉の上部には、左右同時に火煙の受信で作動する扉自動閉鎖装置とリミットスイッチとを装設する。また、該袖扉には、各々の開放先端の縦方向に案内レールを設けると共に、上下にロックを設ける。シャッターケースには、内部に巻取軸と該リミットスイッチと連動するシャッター自動閉鎖装置を連接し、このシャッター自動閉鎖装置には、ブレーキを解除する開閉器を設けた事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋内通路における火炎発生時に空調を区画するシャッターを中心とした左右に設けた避難扉となる袖扉とが同時に連動し、火災時には、左右2ヶ所の避難扉による開放作動によって避難する人々及び消火作業者が敏速、安全容易に通行できるようにした避難用両袖扉の同時連動シャッター閉鎖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の避難扉を有する袖扉は、例えば、シャッターの閉鎖時に側方より引き出すもの、又は、側壁の正面に避難扉が上下のヒンジによって垂直に開閉自在となるものが一般的に知られている。
更に、近年に至り、シャッターの縦方向の片側のみに同寸法の避難扉付の袖扉の回転閉鎖によって、シャッターが降下閉鎖されるものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来で述べた、前者の通路となる開口部はシャッターの降下と共に、側方より袖扉を引き出すものは、固定柱を立設する面倒な手間と、固定柱が通路に残るため空間を邪魔する問題と、避難扉が側壁の上下に設けたヒンジによって垂直に開閉するものでは、避難扉が手動操作のために時間と防火要員が必要であり、且つスラットと袖扉との隙間のために、防煙の役目を果せない問題がある。
また、近年におけるシャッターの一方の縦方向の片側のみに避難扉付の袖扉を有するものでは、避難出入口が1ヶ所のみのために、避難する多くの人達及び運搬物作業の通路としては非常に狭く時間が掛かり、大変に不便である問題がある。
本発明は、従来の技術を解決したもので、シャッターの両縦長と同寸法の避難扉付の両袖扉をシャッターの両側に装設し、火煙等で作動すると同時に両方の袖扉が連動してシャッターを閉鎖するもので、火災発生と同時に建物内の通路等の空間を区画化して、火煙の漏洩を完全に防止し、シャッターの両側の袖扉に設けた2ヶ所の避難扉を使用して、避難が容易に通行できると共に、2ヶ所の避難扉により著しく避難時間が短縮できる。また、シャッターの火災側と非火災側との通行路と通行量が自由調整できる便利な避難用両袖扉の同時連動シャッター閉鎖装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、構造物における左右の相対応する側壁に避難扉を設けた袖扉を対設するものである。
該袖扉と袖扉との中間にシャッターは昇降自由に取り付けられる。
また、該袖扉には、上部に左右同時に火煙の受信して作動する扉自動閉鎖装置を各々装設してある。また、両方の袖扉には、開放先端の縦方向にシャッター両側を案内する案内レールを設けると共に、上下に上部ロックと下部ロックを設けてある。更に、該袖扉閉鎖上部枠には、リミットスイッチと、上方にシャッターケースを配設してある。該シャッターケースには、内部に巻取軸と、該リミットスイッチと連動するシャッター自動閉鎖装置を連接し、そのシャッター自動閉鎖装置には、ブレーキを解除する開閉器を装設してある。
【発明の効果】
【0005】
本発明の避難用両袖扉の同時連動シャッター閉鎖装置によれば、シャッターの両側の2ヶ所に相対する避難扉を設けた袖扉を装設したので、従来のこの種の開閉シャッターの片側のみに避難用の袖扉を設けたものと比較すると、火災時及び非常時の際には、左右に2ヶ所の避難通路が確保されるので、避難時間を著しく短縮できると共に、避難時の混雑を解消する効果と、また、シャッターの両側に設けた袖扉によっては、一方の袖扉を火災側に開放し、他方の袖扉を反対の非火災側にも開放できるので、避難通路が避難用と消火作業用等に自由に選択できると云う便利な効果がある。
更に、火災時には、火煙により扉自動閉鎖装置が受信作動し、左右に案内レールを設けた袖扉は確実に回転閉鎖して上下のロックで閉鎖固定し、同時にシャッター自動閉鎖装置でシャッターを自重降下して全閉できる効果がある。
また、該袖扉の上部に各々設けたリミットスイッチは、袖扉が閉鎖と同時にシャッター収納ケース内のシャッター自動閉鎖装置と連動して開閉器のブレーキを確実に解除する効果と、左右に設けた該袖扉の上部は、天井のスペースとして配管、ダクト等の建築設備の配設が可能となる安全性に優れた効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】 本発明の避難用両袖扉の同時連動シャッター閉鎖装置の一部欠除した正面図である。
【図2】 同じく本発明の図1B−B線の横断平面図である。
【図3】 本発明の両袖扉を側壁の袖扉収納枠に収納した横断平面図である。
【図4】 同じく本発明の袖扉を収納した状態の袖扉収納枠の図1A−A線の側面より見た正面図である。
【図5】 本発明の袖扉の上部ロックを示す一部欠除した側面図である。
【図6】 同じく本発明の一部欠除した上部ロックの正面図である。
【図7】 本発明の案内レール内部の下部分に装着した下部ロックの一部欠除した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、火災が発生すると、先ず最初に上部の火煙により受信する左右の袖扉の上部枠に設けてある扉自動閉鎖装置(13)が火災信号を受信して避難扉(2)の袖扉(1)を作動して回転閉鎖すると、左右の袖扉(1)の上部ロック(11)が作動してシャッター自動閉鎖装置(17)に信号を送り、開閉器(18)のブレーキが解除される。すると、シャッター(3)が左右の袖扉(1)の案内レール(7)を自重降下を始めて全閉鎖する。そして、下部ロック(12)は、該シャッター(3)と座板(19)の重量とばね(28)によってロッド(27)は降下によって下部を固定され、避難者及び消火作業者は、避難扉(2)の自由な開閉によって安全に避難する。
【実施例】
【0008】
本発明の実施例を図面について説明すると、図1に示すものは、避難用両袖扉の同時連動シャッター閉鎖装置の正面図を示し、相対応する側壁(5)(5)の左右の位置に出入口となる避難扉(2)(2)を設けた袖扉(1)(1)を対設する。該袖扉(1)(1)は、まぐさの高さまでの寸法の縦長に形成され、且つ該袖扉(1)(1)の間には、昇降自在なシャッター(3)を装設する。
更に、該袖扉(1)(1)には、上部に火煙の受信で作動する扉自動閉鎖装置(13)を設け、下部には袖扉(1)の専用のヒンジ(10)(10)を設けてある。
また、該袖扉(1)(1)が開放閉鎖する時の先端部に相対向する案内レール(7)(7)と、対応する縦方向の全長にシャッター(3)の両側を降下案内するものである。該案内レール(7)(7)には、上下に上部ロック(11)と下部ロック(12)を装設してある。
そして、該袖扉(1)(1)が開放閉鎖する上部に、リミットスイッチ(8)(8)と連動作動するシャッター収納ケース(15)には、内部に巻取軸(16)と、該リミットスイッチ(8)(8)と連動作動するシャッター自動閉鎖装置(17)とを装設すると共に、ブレーキを解除作動する開閉器(18)も装設してある。なお、符号(19)は、座板を示すものである。
また、相対応する該避難扉(2)(2)には、上下端部に各々ヒンジ(10)(10)を装設してある。
次に、建物の側壁(5)(5)には、該袖扉(1)(1)を収納する袖扉収納枠(6)(6)を取着する。そして、非常時以外の不用時には、該袖扉収納枠(6)(6)の内部に該袖扉(1)(1)は収められている。
【0009】
該上部ロック(11)(11)は、図5と図6に示すように袖扉(1)(1)の上部に取着され、ラッチフレーム(20)の内部にロッド(22)に設けたラッチ(21)を設け、該ロッド(22)の外周には、ばね(23)を巻着し、下端には、つまみ部(24)を各々装設してある。また、ラッチ受け(25)は、上枠に取付けられている。そして、該袖扉(1)(1)のヒンジ(9)(9)の回転閉鎖力で、該ラッチ(21)の斜面が上枠の該ラッチ受け(25)の曲角面に当たり、ばね(23)で瞬時に上下動作で該ラッチ(21)が掛かり、該袖扉(1)(1)は、所定の位置に固定されるものである。また、該つまみ部(24)は、下方に引っ張ることにより、該ラッチ(21)は外れるように装設されている。
更に、図7に示すものは、各々図1に示す案内レール(7)(7)の下部に位置する下部ロック(12)(12)を示したもので、該袖扉(1)(1)の案内レール(7)(7)の溝内の下部に装着される。ロッドガイド(26)、ロッド(27)及び該ロッド(27)の外周にばね(28)を巻着してある。
そして、シャッター(3)が降下し、座板(19)の重量がロッド(27)に掛かると、該ロッド(27)は下方に押圧され、図に示す蓋付の下受凹部(14)に入り、該袖扉(1)(1)は、開放の所定位置で固定される。なお、シャッター(3)が上昇すると、スラットと座板(19)の重量が無くなり、該ロッド(27)は、ばね(33)により可動蓋(31)と共に、上方に押上げられ、表面の化粧板(30)の表面まで自動的に上昇するものである。
【符号の説明】
【0010】
1 袖扉
2 避難扉
3 シャッター
5 側壁
6 袖扉収納枠
7 案内レール
8 リミットスイッチ
9、10 ヒンジ
11 上部ロック
12 下部ロック
13 扉自動閉鎖装置
15 シャッター収納ケース
16 巻取軸
17 シャッター自動閉鎖装置
18 開閉器
19 座板
20 ラッチフレーム
21 ラッチ
22、27 ロッド
23、28、33 ばね
24 つまみ部
25 ラッチ受け
26 ロッドガイド
30 化粧板
31 可動蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する左右の側壁に避難扉を設けた袖扉を対設し、該袖扉の間には、昇降自在なシャッターを装設し、該袖扉には、上部の左右同時に火煙の受信で作動する扉自動閉鎖装置と、リミットスイッチとを装設し、且つ該袖扉には、各々の開放先端の縦方向に案内レールを設けると共に、上下に上部ロックと下部ロックとを各々装設し、天井に設けたシャッター収納ケースには、内部に巻取軸と、該リミットスイッチと連動するシャッター自動閉鎖装置を連接し、該シャッター自動閉鎖装置には、ブレーキを解除する開閉器に連係した事を特徴とする避難用両袖扉の同時連動シャッター閉鎖装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−281130(P2009−281130A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58674(P2009−58674)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3144361号
【原出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000185721)小俣シヤツター工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】