説明

非接触通信端末、非接触通信制限方法及びプログラム

【課題】ユーザーが特別の操作を行わなくてもユーザーの意図に沿うように非接触通信機能を制限することが可能となる非接触通信端末を提供する。
【解決手段】非接触通信端末1は、外部通信装置10と非接触通信を行う非接触通信部2と、予め決められた情報処理を実行可能な状態でない場合に非接触通信部2による非接触通信を制限する非接触通信制限部3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信端末、非接触通信制限方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触通信機能を内蔵し、電子決済機能を有する携帯電話が一般的になってきている。しかし、非接触通信機能では、接触せずに小型の通信リーダーを近づけることによって情報が読み出せるため、個人情報をスキミングされる恐れが生じていた。
例えば、携帯電話では少額決済や改札通行のために外部リーダー/ライターからの通信をトリガーに非接触通信を行っている。これは、クレジットカードなどに内蔵された電源を内蔵しない非接触通信カードでの利用を想定したシステムであり、携帯電話でもこのようなシステムに対応する構成が採用されている。その結果、外部の害意あるリーダー/ライターから意図せぬ情報の読み取りを行われるリスクが生じてしまっていた。そこで、このようなリスクを低減するための技術が開発されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、スキミング防止を必要とする機器の所定位置に電磁波シールドを有したカバーを取り付ける方法が開示されている。特許文献1に記載されている技術では、カバーの開閉が、ユーザーの手によって行われる。そのため構成が簡易である。しかし、この方法ではカバーを粘着により固定するため、粘着力が弱い場合は脱落するおそれがある。また、逆に強い粘着で固定された場合は、購入時の状態に戻すのが困難である。
【0004】
また、特許文献2には、機器の傾きを検出し、水平状態にあることを検出した場合に非接触通信機能をオンにする方法が開示されている。この装置によれば、非接触通信機能の制限が自動的に行われる。しかし、この方法では機器に傾き検出の回路を追加する必要があり、また、かばんの中などで水平状態となってしまった場合はスキミングされる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−117854号公報
【特許文献2】特開2007−265114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に記載されている技術には、非接触通機能を制限するために、シールド用カバーのユーザーによる開閉操作という特別の操作が必要であるという課題があった。他方、特許文献2に記載されている技術では、自動的に非接触通信機能を制限することはできるものの、ユーザーが意図していない場合に非接触通信機能の制限が解除されてしまうことがあるという課題があった。
【0007】
本発明は、以上の課題を解決する非接触通信端末、非接触通信制限方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、本発明の一態様としての非接触通信端末は、外部通信装置と非接触通信を行う非接触通信部と、予め決められた情報処理を実行可能な状態でない場合に前記非接触通信部による非接触通信を制限する制限部と、を備える。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、本発明の一態様としての非接触通信制御方法は、予め決められた情報処理を実行可能な状態であるか否かを判定する判定ステップと、前記予め決められた情報処理を実行可能な状態でないと判定された場合に、外部通信装置と非接触通信を行う非接触通信部による非接触通信を制限する制限ステップと、を備える。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、本発明の一態様としてのプログラムは、コンピュータに、予め決められた情報処理を実行可能な状態であるか否かを判定する判定手順、前記予め決められた情報処理を実行可能な状態でないと判定された場合に、外部通信装置と非接触通信を行う非接触通信部による非接触通信を制限する制限手順を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザーが特別の操作を行わなくてもユーザーの意図に沿うように非接触通信機能を制限することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態としての非接触通信端末1の概要を説明するためのブロック図である。
【図2】図1の非接触通信端末1として利用可能な端末の形態の一例について説明するための斜視図である。
【図3】図1の非接触通信端末1として利用可能な端末の形態の他の例について説明するための斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図4の非接触通信端末101の構成例(閉状態)を模式的に示す側面図である。
【図6】図5の非接触通信端末101の開状態を模式的に示す側面図である。
【図7】図4の非接触通信端末101の他の構成例(閉状態)を模式的に示す側面図である。
【図8】図7の非接触通信端末101の開状態を模式的に示す側面図である。
【図9】図4の非接触通信端末101のさらに他の構成例(閉状態)を模式的に示す側面図である。
【図10】図9の非接触通信端末101の開状態を模式的に示す側面図である。
【図11】図4の非接触通信端末101の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態の外観構成を説明するための模式図である。
【図13】図12の非接触通信端末102の構成を説明するためのブロック図である。
【図14】図12の非接触通信端末102の動作例を説明するための模式図である。
【図15】図12の非接触通信端末102の他の動作例を説明するための模式図である。
【図16】図12の非接触通信端末102の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態の構成を説明するためのブロック図である。
【図18】図17の非接触通信端末103の構成例(閉状態)を模式的に示す側面図である。
【図19】図18の非接触通信端末103の開状態を模式的に示す側面図である。
【図20】図17の非接触通信端末103の他の構成例(閉状態)を模式的に示す側面図である。
【図21】図20の非接触通信端末103の開状態を模式的に示す側面図である。
【図22】図17の非接触通信端末103のさらに他の構成例(閉状態)を模式的に示す側面図である。
【図23】図22の非接触通信端末103の開状態を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[非接触通信端末1の概要]
図1は、本発明に係る非接触通信端末1の概要について説明するための図である。図1に示す通り、本発明に係る非接触通信端末1は、外部通信装置10と非接触通信を行う端末である。非接触通信端末1は、例えば、電話機能を備えた携帯電話端末や、インターネット接続機能を備えた情報処理端末等である。つまり、非接触通信端末1は、非接触通信を実行する通信機能に加えて、電話機能やインターネット接続機能、電子メール送受信機能などを実行するための“予め決められた情報処理”を実行する端末である。
【0014】
この非接触通信端末1は、非接触通信部2と、非接触通信制限部3とを含む。
非接触通信部2は、外部通信装置10と非接触通信を行い、情報の送受信を行う。この非接触通信部2は、外部通信装置10の通信エリア内である場合、この外部通信装置10からの通信開始信号を受信し、これをトリガーとして外部通信装置10と非接触通信を実行する。つまり、非接触通信部2は、外部通信装置10から通信開始信号を受信する以前は、非接触通信を実行しない非接触通信無効状態である。一方、外部通信装置10から通信開始信号を受信した場合、非接触通信部2は、非接触通信を実行する非接触通信有効状態となる。
【0015】
非接触通信制限部3は、非接触通信端末1が予め決められた情報処理を実行可能な状態でない場合に、非接触通信部2による非接触通信を制限する。例えば、非接触通信端末1が電話機能やインターネット接続機能、電子メール機能などを実行できる状態でない場合、非接触通信制限部3は、外部通信装置10のエリア内に非接触通信端末1が存在していたとしても、外部通信装置10と非接触通信端末1との非接触通信を禁止する。
この非接触通信制限部3による非接触通信の制限の方法には、さまざまな方法を適用することができる。
第1、2実施形態では、非接触通信制限部3が電気的に非接触通信部2による非接触通信を制限するように制御する例を用いて本発明に係る非接触通信端末1の一態様について説明する。
また、第3実施形態では、非接触通信制限部3が構造的に非接触通信部2による非接触通信を制限する例を用いて本発明に係る非接触通信端末1の一態様について説明する。
【0016】
また、図2、3を参照して、本実施形態に係る非接触通信端末1として利用可能な端末の形態の一例について説明する。
図2は、折りたたみ式の端末の外観を示す図である。この折りたたみ式の非接触通信端末1は、図2(a)、(b)に示す通り、操作側筐体1αと、表示側筐体1βと、この操作側筐体1αと表示側筐体1βとを保持して連結する連結部1γとを備えている。操作側筐体1αと表示側筐体1βとは、連結部1γによって矢印(回動方向)で示す方向に回動自在に連結されている。ユーザーが手等で操作することでその連結形態が変化する。図2(a)には、非接触通信端末1の内側の操作部5や表示部6が見える状態を示し、この状態を開状態という。
一方、図2(b)には、非接触通信端末1の内側の操作部5や表示部6が見えない状態を示し、この状態を閉状態という。
【0017】
この非接触通信端末1は、開状態において、操作部5を介して電話先の電話番号のダイヤル指示、あるいは、登録されている電話番号に電話をかけることの指示を受け付ける。つまり、非接触通信端末1は、開状態において、非接触通信端末1について予め決められている情報処理として、例えば電話機能を実行可能な状態である。
一方、非接触通信端末1は、閉状態では、電話先を指定する指示等を受け付けることができない。つまり、非接触通信端末1は、閉状態において、非接触通信端末1について予め決められている情報処理として、例えば電話機能を実行可能でない状態である。
【0018】
図3は、スライド式の端末の外観を示す図である。このスライド式の非接触通信端末1は、図3(a)、(b)に示す通り、その形態が変化する。このスライド式の非接触通信端末1は、図3(a)に示す通り、表示部6と操作部5とを備える。この操作部5は、スライド操作によって隠すことができる内側操作部5Aと、スライド操作に関わらず露出したままの外側操作部5Bとを含む。
図3(a)には、非接触通信端末1の内側の内側操作部5Aが見える状態を示し、この状態を開状態という。
一方、図3(b)には、非接触通信端末1の内側の内側操作部5Aが見えない状態を示し、この状態を閉状態という。
この非接触通信端末1は、開状態において、内部操作部5Aを介して電話先の電話番号のダイヤル指示、あるいは、登録されている電話番号に電話をかけることの指示を受け付ける。つまり、非接触通信端末1は、開状態において、非接触通信端末1について予め決められている情報処理として、例えば電話機能を実行可能な状態である。
一方、非接触通信端末1は、外部操作部Bを介しては電話先を指定する指示等を受け付けることができない。つまり、非接触通信端末1は、閉状態において、非接触通信端末1について予め決められている情報処理として、例えば電話機能を実行可能でない状態である。
【0019】
[第1実施形態]
本実施形態に係る非接触通信端末101について説明する。なお、上述の説明と同様の構成については同一の名称を付して詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においては、非接触通信端末101が折りたたみ式の携帯電話端末やスライド式の携帯電話端末である場合の例について、以下、説明する。しかしながら本発明はこれに限られない。
【0020】
図4は、本実施形態に係る非接触通信端末101の構成の一例について説明するための図である。図4に示す通り、非接触通信端末101は、非接触通信部201と、非接触通信制限部301と、開閉検出部401と、操作部501と、表示部601と、表示制御部701と、制御部801と、無線部901と、を含む。図4において、非接触通信端末101が図1の非接触通信端末1に、非接触通信部201が図1の非接触通信部2に、非接触通信制限部301が図1の非接触通信制限部3に、それぞれ対応する構成である。また、図4において、操作部501が図2又は図3の操作部5に、そして、表示部601が図2又は図3の表示部6に、それぞれ対応する構成である。
非接触通信部201は、外部通信装置10(図1参照)の通信エリア内である場合、この外部通信装置10からの通信開始信号を受信し、これをトリガーとして外部通信装置10と非接触通信を実行する。
【0021】
非接触通信制限部301は、開閉検出部401の検出結果に基づき、非接触通信端末101において予め決められた情報処理を実行可能な状態でないと判定した場合、非接触通信部201による非接触通信を制限する。すなわち全部または一部の通信を行えないように制御する。なお、本実施形態において、非接触通信端末101は、予め決められた情報処理として、電話機能を備えており、以下この例について説明する。
この非接触通信制限部301は、例えば、折りたたみ式やスライド式の非接触通信端末101において、開閉検出部401が閉状態を検出した場合、電話機能を実行可能な状態でないと判定する。一方、開閉検出部401が開状態を検出した場合、非接触通信制限部301は、電話機能が実行可能な状態であると判定する。
【0022】
開閉検出部401は、例えば、折りたたみ式やスライド式の非接触通信端末101の形態の変化を検出する。本実施形態において、開閉検出部401は、非接触通信端末101が開状態であるか、あるいは、閉状態であるかを検出する。開閉検出部401は、検出結果を非接触通信制限部301に出力する。
操作部501は、ユーザーから入力される操作指示を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報を出力する。この操作部501は、例えば、押下できる操作ボタンや、タッチパネルに表示された操作画面等を含む。
表示部601は、液晶ディスプレイ等であって、操作内容等を示す画像を表示する。
表示制御部701は、表示部601に表示する表示画面の内容を制御する。
制御部801は、非接触通信端末101を統括的に制御する。
無線部901は、外部の無線基地局等と無線通信を行い、制御部801の制御の下種々の情報を送受信する。
【0023】
図5は、本実施形態に係る非接触通信端末101の側面から見た状態の一例を模式的に示した図である。図5に示す非接触通信端末101は、図2を用いて説明した折りたたみ式の端末であり、かつ、閉状態である。なお、図示においては、説明のために必要な非接触通信端末101の主要な構成のみを示す。
図示の通り、非接触通信端末101において、操作部501の外側に位置される非接触通信部201を備える。この操作部501と表示部601とは、非接触通信端末101の内側で対向する位置に位置されている。
なお、図5及び他の図面において非接触通信部201として示す破線のブロックは、非接触通信部201が有する非接触通信用の信号送受信回路と非接触通信用アンテナとを一体として含む構成を表すものとしている。しかし、非接触通信部201は、非接触通信用の信号送受信回路と非接触通信用アンテナとを分離して含む構成とすることができ、その場合、破線のブロックは非接触通信用アンテナを表すものであるとする。この場合、信号送受信回路は、任意の位置に収納されている。
開閉検出部401は、磁石401aと、ホール素子(磁気センサ)401bとから構成されている。この例では、磁石401aが表示側筐体101βに設けられ、ホール素子401bが操作側筐体101αに設けられている。また、磁石401aはホール素子401b側に向かって磁力線が出るように配置され、ホール素子401bはこの磁石401aからの磁力線を効率よく検知できるように配置されている。図5に示すように、閉状態では、ホール素子401bから磁力線を検知した状態の信号が出力され、開閉検出部401から、閉状態であることを示す信号が出力される。
【0024】
図6は、図5に示した非接触通信端末101の側面から見た状態を模式的に示した図である。図5に示す非接触通信端末101は、開状態である。なお、図示においては、説明のために必要な非接触通信端末101の主要な構成のみを示す。
図示の通り、開状態では、図5に示し閉状態と比較して、磁石401aとホール素子401bとが離れた状態となっている。したがって、ホール素子401bは磁力線を検知した状態の信号を出力せず、開閉検出部401は、開状態であることを示す信号を出力する。
【0025】
図7は、本実施形態に係る非接触通信端末101の他の構成における側面から見た状態を模式的に示した図である。図7に示す非接触通信端末101は、図3を用いて説明したスライド式の端末であり、かつ、閉状態である。なお、図示においては、説明のために必要な非接触通信端末101の主要な構成のみを示す。
図示の通り、非接触通信端末101において、操作部501は、スライド操作によって隠すことができる内側操作部501A(図3の内側操作部5Aに対応する)と、スライド操作に関わらず露出した状態のままの外側操作部501B(図3の外側操作部5Bに対応する)とを含む。また、非接触通信端末101は、表示部601の内側に位置される非接触通信部201を備える。
開閉検出部401は、図5及び図6を参照して説明したものと同様に、磁石401aと、ホール素子401bとから構成されている。この例では、磁石401aが外側操作部501Bの配置された筐体に含まれ、ホール素子401bが内側操作部501Aの配置された筐体に含まれている。また、磁石401aはホール素子401b側に向かって磁力線が出るように配置され、ホール素子401bはこの磁石401aからの磁力線を効率よく検知できるように配置されている。図7に示すように、閉状態では、ホール素子401bから磁力線を検知した状態の信号が出力されるため、開閉検出部401が、閉状態であることを示す信号を出力する。
【0026】
図8は、図7に示した非接触通信端末101の側面から見た状態を模式的に示した図である。図8に示す非接触通信端末101は、開状態である。なお、図示においては、説明のために必要な非接触通信端末101の主要な構成のみを示す。
図示の通り、開状態では、図7に示し閉状態と比較して、磁石401aとホール素子401bとが離れた状態となっている。したがって、ホール素子401bから磁力線を検知した状態の信号は出力されず、開閉検出部401が、開状態であることを示す信号を出力する。
【0027】
図9及び図10は、図7及び図8を参照して説明したスライド式の非接触通信端末101の変形例を模式的に示した図である。図9及ぶ図10に示す非接触通信端末101は、内側操作部501Aを含む筐体の内側操作部501Aの外側に位置される非接触通信部201を備えている。また、図9は閉状態の非接触通信端末101、図10は開状態の非接触通信端末101を示している。
【0028】
次に図11を参照して、図4に示す本実施形態に係る非接触通信端末101の動作について説明する。非接触通信端末101の電源を入れると制御部801が処理を開始する(S101)。制御部801によって処理が開始されると、非接触通信制限部301は、筐体が開状態か、閉状態かを開閉検出部401の出力に基づいて判定する(S102)。筐体開状態の場合、非接触通信制限部301は、非接触通信部201を通信可能な動作状態とし、有効化する(S103)。一方、筐体閉状態の場合、非接触通信制限部301は、非接触通信部201の通信を禁止し、無効化する(S106)。
【0029】
非接触通信部201の有効化/無効化は通信が行われる状態/通信が行われない状態(あるいは少なくとも一部の通信が行われない状態)になればよく、例えば無効化は、非接触通信部201が含む通信アンテナを回路的に切断する方法や、通信制御コントローラを一時または一部停止、電源切断、動作クロック供給停止などといった既知の方法で行うことができる。これによって例えば鞄の中での収納状態(筐体閉状態)から携帯電話を取りだし、明示的に筐体開状態した時に非接触通信が有効となるので、鞄の中でスキミングされることはない。
【0030】
さらに、非接触通信制限部301は、非接触通信部201を有効化した場合(S103)、所定のタイマーをスタートさせる。非接触通信制限部301は、ユーザーが非接触通信を行って一連の通信が完了したかどうかを判定し(S104)、通信継続中の場合は次のS105へと処理を移る。完了した場合は次のS106へと処理を移る。非接触通信制限部301は、通信継続と完了の判定を、通信開始をトリガーにした無通信タイムアウト時間を計測したり、通信を司るアプリケーションソフトから通信完了の通知を受ける既知の方法などで行うことができる。あるいは、非接触通信制限部301は、通信失敗でリトライ処理待ちの場合には完了扱いとしてもよい。
【0031】
非接触通信制限部301は、さらにS103でスタートさせたタイマーを元に、所定の時間が経過したかどうかで、有効化を継続可能か、不可能かを判定する(S105)。所定の時間が経過しておらず継続可能な場合はS102へと処理を移る。所定の時間が経過して継続不可能な場合はS106へと処理を移る。この所定時間はユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0032】
非接触通信制限部301は、S106で非接触通信部201を無効化した場合、S107でユーザーの初期化操作が行われるまで待機する。初期化操作とは、非接触通信制限部301が無効化した非接触通信を、非接触通信制限部301が再び有効化できるようにする操作である。例えば、筐体開状態を筐体閉状態とする操作、操作部501における所定の操作子に対する操作を、S107での初期化操作とすることができる。S107で初期化操作が行われた場合、非接触通信制限部301は、再びS102で筐体が開状態であるか否かを判定する。このS107の処理を設けることで、例えばユーザーが筐体を開状態とした後、非接触通信が継続していないか(S104でNO)又は有効化継続可能時間が経過したか(S105でNO)した場合に非接触通信が無効化されたとき(S106)、筐体開のままでユーザーによって初期化操作がなされないときには(すなわちS107でNOのときには)、非接触通信が有効化されることはない。これにより非接触通信中に通信が完了し、規定の時間を経過するまでを狙ったスキミングや、通信を妨害して再処理時を狙ったスキミングや、メール操作などで筐体開状態にした場合に一時的に端末を持った手を下に降ろすといった端末を目視できない状況で、非接触通信が有効化されてスキミングが行われてしまうことを防止することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、筐体の形態を検知するのに磁石とホール素子とを用いたが、検知できれば他の手段でもよい。また、非接触通信制限部301が非接触通信部201を無効化したが、開閉検知部401が直接非接触通信部201へ通知して無効化してもよいし、筐体の形態を機械的に検知し機械的に回路を切断するなどして非接触通信が無効化されるような構成としてもよい。
【0034】
[第2実施形態]
本実施形態に係る非接触通信端末102について説明する。なお、上述の説明と同様の構成については同一の名称を付して詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においては、非接触通信端末102がいわゆるスマートフォンと呼ばれるタブレット型の携帯電話端末である場合の例について、以下、説明する。しかしながら本発明はこれに限られない。
【0035】
図12は、本実施形態に係る非接触通信端末102の外観構成の一例について説明するための図である。図13は、本実施形態に係る非接触通信端末102の構成の一例について説明するための図である。図13に示す通り、非接触通信端末102は、非接触通信部201と、非接触通信制限部302と、ロック検知部402と、入力部502と、表示部602と、制御部802と、無線部901と、を含む。図4において、非接触通信端末102が図1の非接触通信端末1に、非接触通信部201が図1の非接触通信部2に、そして、非接触通信制限部302が図1の非接触通信制限部3に対応する構成である。また、図12に示す通り、非接触通信端末102は、タッチパネル502aと一体として形成されている液晶ディスプレイ等からなる表示部602を備えている。また、入力部502は、タッチパネル502aと、操作ボタン502b、502c及び502dとを含んでいる。
【0036】
非接触通信制限部302は、ロック検知部402の検出結果に基づき、非接触通信端末102において予め決められた情報処理を実行可能な状態でないと判定した場合、非接触通信部201による非接触通信を制限する。なお、本実施形態において、非接触通信端末102は、予め決められた情報処理として、電話機能を備えており、以下この例について説明する。
この非接触通信制限部302は、例えば、端末ロック機能、操作ロック機能等のロック機能を有する非接触通信端末102において、ロック検知部402が所定のロック機能が動作している状態を検知した場合、電話機能を実行可能な状態でないと判定する。一方、ロック検知部402がロック機能が動作していない状態を検知した場合、非接触通信制限部302は、電話機能が実行可能な状態であると判定する。
【0037】
非接触通信端末102が有するロック機能の動作中(すなわちロック中)は一部機能が制限され、例えば解除方法を知る人以外は制限された機能の利用ができなくなる。ロック機能には、ユーザーが明示的に指示することで動作するもの、システムが用意した所定の手段、例えば無操作時間が所定時間以上経過した場合や、バッテリー消費を抑えるために入力部や表示部の電源を落としたり、端末自体のシステムを一時的に停止(サスペンド)する場合などに動作するもの等がある。本実施形態では、非接触通信部201が有する非接触通信機能以外の、ユーザーが操作可能な機能(つまり画面に表示されずシステムのバックグラウンドで動作するような機能は含まれない)をロックした場合に限定する。ロックする機能は1つまたは複数でもよいし、どの組み合わせにするかはユーザーが設定可能としてもよい。
【0038】
入力部502は、ユーザーから入力される操作指示を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報を出力する。この入力部502は、例えば、押下できる操作ボタン502b〜502dや、タッチパネル502aに表示された操作画面等を含む。
表示部602は、液晶ディスプレイ等であって、操作内容等を示す画像を表示する。
制御部802は、非接触通信端末102を統括的に制御する。
無線部901は、外部の無線基地局等と無線通信を行い、制御部802の制御の下種々の情報を送受信する。
【0039】
ロック検知部402は、例えば、システム(すなわち制御部802で実行されている基本プログラム等)が様々なロックをかけた場合にその状態を管理、もしくは管理している領域を監視することができる構成とすることができる。前者であればシステムのロック状態をその都度、システムがロック/解除すると同時に記録する。また後者では例えばハードウェアとしてロック中に特定I/O(つまり入力/出力)の電圧値などを見ることで実現できる。
【0040】
ここで図14及び図15を参照して、非接触通信端末102が有するロック機能の一例について説明する。まず図14を参照して、入力部502に対する無操作時間が所定時間以上経過した場合に一部の入力部502の操作がロックされる(すなわち受け付けられなくなる)例について説明する。このロック機能では、所定時間経過後(すなわちタイムアウト後)、入力部502の一部を除く操作が禁止される。このロックされた状態で、入力部502に対して何らかの操作が行われた場合、表示部602に暗証番号入力待ちの画面が表示される。そして、予め登録されている暗証番号が入力された場合に入力部502の操作が可能な状態とされる。図14(a)は操作可能な状態の非接触通信端末102の外観を示す。図14(b)は、図14(a)の状態で所定時間以上無操作だった場合に、操作ボタン502b、502c及び502dによる入力と、ロック解除のための暗証番号入力以外の入力とが無効化された入力ロック画面の表示例を示す。図14(c)は、図14(a)と同じ操作可能な状態を示す。
【0041】
次に、図15を参照して、入力部502に対する無操作時間が所定時間以上経過した場合に一部の入力部502の操作がロックされる(すなわち受け付けられなくなる)他の例について説明する。図15(d)は操作可能な状態の非接触通信端末102の外観を示す。図15(e)は、図15(d)の状態で所定時間以上無操作だった場合に、サスペンド状態(あるいは端末ロック状態)で表示部602が表示動作を停止した状態を示している。図15(f)は、図15(d)の状態で、入力部502に対して何らかの操作が行われた場合に、サスペンド状態から復帰するための操作が行われたとして、操作ロック状態の解除を求める画面が表示された操作ロック状態を示している。図15(f)に示す例では、タッチパネル502aに対する所定のスライドボタン502a1の操作以外の操作が無効化されている。図15(g)は、図15(f)の状態で、タッチパネル502aに対して所定のスライドボタン502a1を右にスライドさせる操作が行われた後の図15(d)と同じ操作可能な状態を示している。なお、図15(f)に示した状態では図14(b)と異なり、操作ボタン502b〜502dはロックされていない。また、図15(e)の端末ロック状態では、非接触通信は無効化されている。ただし、図15(g)や図15(f)に示した場合には非接触通信は有効とすることができる。
【0042】
なお、サスペンド復帰操作(図15(e)から図15(f)へ状態を移行させる操作)は、タッチパネル502aに対する操作にほか、スライド式のボタンスイッチや、静電容量式のボタンスイッチに対する操作で行うようにしてもよい。あるいは、操作ボタン502b、502c又は502dを1つ、または複数組み合わせて押すことを条件に、図15(f)の状態に移行するようにしてもよい。このように図15(e)の端末ロック状態では、ロック状態を解除するための一部の操作子のロックが解除された状態を含むものとする。操作ボタン以外のボタン、例えば、電源ボタンであってもよい。
【0043】
次に図13の非接触通信端末102の動作を図16を用いて説明する。非接触通信端末102の電源を入れると制御部802が処理を開始する(S201)。非接触通信制限部302は、ロック中かロック解除中かをロック検知部402の出力に基づいて判定する(S202)。ロック解除中の場合は、非接触通信制限部302は、非接触通信部201を通信可能に有効化する(S203)。一方、ロック中の場合、非接触通信制限部302は、非接触通信部201の通信を禁止し、無効化する(S206)。
【0044】
非接触通信部201の有効化/無効化は通信が行われる状態/通信が行われない状態(あるいは少なくとも一部の通信が行われない状態)になればよく、通信アンテナを回路的に切断する方法や、通信制御コントローラを一時停止、電源切断、動作クロック供給停止などといった既知の方法で行うことができる。これによって例えば所定時間以上無操作だった場合にロックされた後、例えば鞄の中から非接触通信端末102を取りだし、図14に示したように明示的に暗証番号入力を行って入力ロックを解除した場合に非接触通信が有効となるので、鞄の中でスキミングされることはない。
【0045】
さらに、非接触通信制限部302は、非接触通信部201を有効化した場合(S203)、所定のタイマーをスタートさせる。非接触通信制限部302は、ユーザーが非接触通信を行って一連の通信が完了したかどうかを判定し(S204)、通信継続中の場合は次のS205へと処理を移る。完了した場合は次のS206へと処理を移る。非接触通信制限部302は、通信継続と完了の判定を、通信開始をトリガーにした無通信タイムアウト時間を計測したり、通信を司るアプリケーションソフトから通信完了の通知を受ける既知の方法などで行うことができる。あるいは、非接触通信制限部302は、通信失敗でリトライ処理待ちの場合には完了扱いとしてもよい。
【0046】
非接触通信制限部302は、さらにS203でスタートさせたタイマーを元に、所定の時間が経過したかどうかで、有効化を継続可能か、不可能かを判定する(S205)。所定の時間が経過しておらず継続可能な場合はS202へと処理を移る。所定の時間が経過して継続不可能な場合はS206へと処理を移る。この所定時間はユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0047】
非接触通信制限部302は、S206で非接触通信部201を無効化した場合、S207でユーザーの初期化操作が行われるまで待機する。初期化操作とは、非接触通信制限部302によって無効化された非接触通信を、非接触通信制限部302が有効化できるようにする操作である。例えば、操作部502における所定の操作子に対する操作を、S207での初期化操作とすることができる。S207で初期化操作が行われた場合、非接触通信制限部302は、再びS202でロック中かロック解除中かをロック検知部402の出力に基づいて判定する。このS207の処理を設けることで、例えばユーザーがロック状態を解除した後、非接触通信が継続していないか(S204でNO)又は有効化継続可能時間が経過したか(S205でNO)した場合に非接触通信が無効化されたとき(S206)、初期化操作がユーザーによってなされないときには(すなわちS207でNOのときには)、非接触通信が有効化されなくなる。これにより非接触通信中に通信が完了し、規定の時間を経過するまでを狙ったスキミングや、通信を妨害して再処理時を狙ったスキミングや、メール操作などでロック解除状態にした場合に一時的に端末を持った手を下に降ろすといった端末を目視できない状況でのスキミングを防止することができる。
【0048】
なお、S205は所定の無操作時間より短く設定してもいいし、所定の無操作時間でロックする機能と兼用しS203でタイマーはスタートさせず、S205の処理も省略してもよい。
【0049】
なお、本実施形態では、非接触通信端末101の1種類のロック機能の状態を見て非接触通信機能の有効化/無効化を行ったが、端末の形状や、ロック機能の種類に上記のものに限定されない。また、暗証番号入力後にロック機能を解除する例を示したが、端末を振ったり、リズムよく叩いたりしたことを加速度センサで検知し、そのパターンを認識して解除するようにしてもよい。ただし、できれば端末所有者である本人認証ができるようなものが望ましい。また、非接触通信機能の有効/無効設定で(有効/ロック解除後有効/無効)、(有効/ロック解除後一時有効/無効)などの設定を切り替えられるようにしてもよい。
【0050】
[第3実施形態]
本実施形態に係る非接触通信端末103について説明する。なお、上述の説明と同様の構成については同一の名称を付して詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においては、非接触通信端末103が折りたたみ式の携帯電話端末やスライド式の携帯電話端末である場合の例について、以下、説明する。しかしながら本発明はこれに限られない。
【0051】
図17は、本実施形態に係る非接触通信端末103の構成の一例について説明するための図である。図17に示す通り、非接触通信端末103は、非接触通信部201と、非接触通信制限部303と、操作部501と、表示部601と、表示制御部701と、制御部803と、無線部901と、を含む。図17において、非接触通信端末103が図1の非接触通信端末1に、非接触通信部201が図1の非接触通信部2に、そして、非接触通信制限部303が図1の非接触通信制限部3に対応する構成である。また、図17において、操作部501が図2又は図3の操作部5に、そして、表示部601が図2又は図3の表示部6に対応する構成である。
非接触通信部201は、外部通信装置10(図1参照)の通信エリア内である場合、この外部通信装置10からの通信開始信号を受信し、これをトリガーとして外部通信装置10と非接触通信を実行する。
【0052】
非接触通信制限部303は、非接触通信端末1が予め決められた情報処理を実行可能な状態でない場合に、構造的に、非接触通信部2による非接触通信を制限する。本実施形態の非接触通信制限部303は、非接触通信端末103が電話機能等の情報処理を実行可能な状態でない場合に、非接触通信部201と外部通信装置10との非接触通信を遮断する位置に位置されるシールドを有して構成されている。すなわち、本実施形態の非接触通信制限部303は、非接触通信部201と外部通信装置10との非接触通信を遮断するシールドを1又は複数有し、かつ各シールドが非接触通信部201との相対的な位置関係において、少なくとも2つの異なる位置に位置を変化させて置かれるものである。そして、そのシールドが置かれる少なくとも2つの異なる位置の一方は、非接触通信部201と外部通信装置10との非接触通信を遮断する位置であり、他方は、非接触通信部201と外部通信装置10との非接触通信を非遮断する位置である。
【0053】
第3実施形態では、非接触通信制限部3が、非接触通信端末103において予め決められた情報処理を実行可能な状態でない場合に、非接触通信部201と外部通信装置10との非接触通信を遮断するシールドの位置を、非接触通信を遮断する位置に置くことで、非接触通信部201による非接触通信を制限する。なお、本実施形態において、非接触通信端末103は、予め決められた情報処理として、電話機能を備えており、以下この例について説明する。
この非接触通信制限部303は、例えば、折りたたみ式やスライド式の非接触通信端末103において、図2及び図3を用いて説明した閉状態である場合に、電話機能が実行可能な状態ではないとして、非接触通信を遮断するシールドを、非接触通信を遮断する位置に置き、非接触通信部201による非接触通信を制限する。
【0054】
操作部501は、ユーザーから入力される操作指示を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報を出力する。この操作部501は、例えば、押下できる操作ボタンや、タッチパネルに表示された操作画面等を含む。
表示部601は、液晶ディスプレイ等であって、操作内容等を示す画像を表示する。
表示制御部701は、表示部601に表示する表示画面の内容を制御する。
制御部803は、非接触通信端末101を統括的に制御する。
無線部901は、外部の無線基地局等と無線通信を行い、制御部803の制御の下種々の情報を送受信する。
【0055】
図18は、本実施形態に係る非接触通信端末103の側面から見た状態を模式的に示した図である。図18に示す非接触通信端末103は、図2を用いて説明した折りたたみ式の端末であり、かつ、閉状態である。なお、図示においては、説明のために必要な非接触通信端末103の主要な構成のみを示す。
図示の通り、非接触通信端末103において、操作部501の外側に位置される非接触通信部201を備える。この操作部501と表示部601とは、非接触通信端末101の内側で対向する位置に位置されている。
【0056】
図18において、非接触通信制限部303は、シールド303Aとシールド303Bとから構成されている。図18に示す例では、シールド303Aが非接触通信部201に対向する位置で表示部601の外側に位置し、シールド303Bが非接触通信部201に対向する位置で非接触通信部201より外側に位置している。シールド303A及びシールド303Bは、非接触通信部201を電磁波から遮蔽する板状の部材である。シールド303A及び303Bの材料は通信方式によって最適なものを選べばよいが、例えば、磁性体状、導体状の板材から構成することができる。シールド303A及び303Bの材料として導体状の板材を使う場合には、例えば回路基板のグランドなどでも代用できる。シールド303A及び303Bの大きさは、非接触通信機能が使えない程度にあればよく、非接触通信部201を全て覆う必要はない。
【0057】
図18では、非接触通信端末103が閉状態であり、操作側筐体1αの筐体外側と外部通信装置10とが対向し、かつ近接している。この場合、シールド303Bにより非接触通信部201が電磁波から遮蔽されるため、外部通信装置10による情報の読み出しは出来ない。
【0058】
図19は、図18に示した非接触通信端末103の側面から見た状態を模式的に示した図である。図19に示す非接触通信端末103は、開状態であり、かつ、操作側筐体1αの筐体内側(図の下側)と外部通信装置10とが対向し、かつ近接している。図示の通り、開状態では、非接触通信部201と外部通信装置10との間にシールド303Bは存在しない。すなわち、図19に示した非接触通信端末103では、例えばユーザーが非接触通信端末103を操作するため操作部501を露出するように、操作側筐体1αと、表示側筐体1βとが開かれている。そして、操作部501と外部通信装置10とが対向する向きに非接触通信端末103がユーザによって保持されている。このとき、非接触通信部201を電磁波から遮蔽していたシールド303Bが外部通信装置10との間に介在しなくなるため、操作側筐体1αの内側表面を通して外部通信装置10による情報の読み出しが可能となる。
【0059】
図20は、本実施形態に係る非接触通信端末103の他の構成における側面から見た状態を模式的に示した図である。図20に示す非接触通信端末103は、図3を用いて説明したスライド式の端末であり、かつ、閉状態である。なお、図示においては、説明のために必要な非接触通信端末101の主要な構成のみを示す。
図示の通り、非接触通信端末103において、操作部501は、スライド操作によって隠すことができる内側操作部501Aと、スライド操作に関わらず露出した状態のままの外側操作部501Bとを含む。また、非接触通信端末103は、表示部601の内側に位置される非接触通信部201を備える。
【0060】
非接触通信制限部303は、図18及び図19を参照して説明したものと同様の部材で構成された、シールド303Aと、シールド303Bとから構成されている。図20に示す例では、シールド303Aが非接触通信部201に対向する位置で内側操作部501Aと同じ筐体に位置し、シールド303Bが表示部601を含む筐体内で、非接触通信部201に対向する位置で非接触通信部201より外側で表示部601より内側に位置している。
【0061】
図20では、非接触通信端末103が閉状態であり、内側操作部501Aを含む筐体外側と外部通信装置10とが対向し、かつ近接している。この場合、シールド303Aにより非接触通信部201が電磁波から遮蔽されるため、外部通信装置10による情報の読み出しは出来ない。
【0062】
図21は、図20に示した非接触通信端末103の側面から見た状態を模式的に示した図である。図21に示す非接触通信端末103は、開状態であり、かつ、表示部601及び外側操作部501Bを含む筐体内側と外部通信装置10とが対向し、かつ近接している。図示の通り、開状態では、非接触通信部201と外部通信装置10との間にシールド303Aは存在しない。すなわち、図21に示した非接触通信端末103では、例えばユーザーが非接触通信端末103を操作するため内側操作部501Aを露出するように、スライドされている。このとき、非接触通信部201を電磁波から遮蔽していたシールド303Aが移動して、外部通信装置10との間に介在しなくなるため、表示部601及び外側操作部501Bを含む筐体の内側表側から外部通信装置10による情報の読み出しが可能となる。
【0063】
図22及び図23は、図20及び図21を参照して説明したスライド式の非接触通信端末103の変形例を模式的に示した図である。図20及ぶ図21に示す非接触通信端末103は、内側操作部501Aの外側に位置される非接触通信部201を備えている。また、図22は閉状態の非接触通信端末103、図23は開状態の非接触通信端末103を示している。ただし、図22と図23とでは、非接触通信端末103の表裏が入れ替えられた状態で外部通信装置10に対向している。図22に示す例では、シールド303Aが非接触通信部201に対向する位置で内側操作部501A及び非接触通信部201より外側に位置し、シールド303Bが非接触通信部201に対向する位置で外側操作部501Bより内側に位置している。
【0064】
図示の通り、開状態では、非接触通信部201と外部通信装置10との間にシールド303Aもシールド303Bも存在しない。すなわち、図23に示した非接触通信端末103は、例えばユーザーが非接触通信端末103を操作するため内側操作部501Aを露出するために、スライドされている。このとき、非接触通信部201を電磁波から遮蔽していたシールド303Bが移動して、外部通信装置10との間に介在しなくなるため、内側操作部501Aを含む筐体の内側表側から外部通信装置10による情報の読み出しが可能となる。
【0065】
図22では、非接触通信端末103が閉状態であり、内側操作部501Aを含む筐体外側と外部通信装置10とが対向し、かつ近接している。この場合、シールド303Aにより非接触通信部201が電磁波から遮蔽されるため、外部通信装置10による情報の読み出しは出来ない。
【0066】
他方、図23では、非接触通信端末103が開状態であり、かつ、内側操作部501Aを含む筐体内側と外部通信装置10とが対向し、かつ近接している。図示の通り、開状態では、非接触通信部201と外部通信装置10との間にシールド303Aは存在しない。すなわち、図23に示した非接触通信端末103では、例えばユーザーが非接触通信端末103を操作するため内側操作部501Aを露出するように、スライドされている。このとき、非接触通信部201を電磁波から遮蔽していたシールド303Aが移動して、外部通信装置10との間に介在しなくなるため、内側操作部501Aを含む筐体の内側表面を通して外部通信装置10による情報の読み出しが可能となる。
【0067】
以上説明したように、本発明の各実施形態では、非接触通信端末101〜103の操作部501や入力部502が操作できない状態、すなわち、非接触通信端末101〜103における予め決められた情報処理を実行可能な状態でない場合に、非接触通信部201による非接触通信が制限される。また、この構成によれば、ユーザーが、非接触通信端末101〜103における予め決められた情報処理を実行可能な状態とすることで、非接触通信機能の制限を解除することが可能となる。すなわち、ユーザーが、非接触通信端末101〜103における予め決められた情報処理を実行しようとすること(あるいは実行している状態)で、自動的に非接触通信機能の制限を解除することができる。このように、本発明の各実施形態によれば、ユーザーが特別の操作を行わなくてもユーザーの意図に沿うように非接触通信機能を制限することが可能となる。
【0068】
なお、第3実施形態では、図18〜図23に示したように、シールド303A又は303Bと、非接触通信部201とを若干の間を開けて図示したが、通信方式や電磁界強度、シールド特性やアンテナ利得によって密着させて通信可能な場合は密着させてもよいし、逆にシールド303A及び303Bによって通信特性がよくなくなるような場合には十分に間を開けることが望ましい。
【0069】
また第3実施形態では、シールド303A及び303Bの各2個のシールドを非接触通信部201の両面に対向する形で配置しているが、例えば表示部601又は602に電磁波を妨げるような部材が配置されていてそれを通して非接触通信ができない場合には、一方のシールドは配置しなくてもよい。電磁波を妨げるような部材とは液晶表示装置や有機EL(Organic Electro−Luminescence)表示装置などにおける、画面上に配線された画素のON/OFFを電気的に伝える透明電極や、液晶表示装置における液晶材料や、画面の表面または裏面に配置されたタッチパネル装置の導電性フィルムや電極や通信コイルなどが含まれる。
【0070】
また図18〜図21に示した例では、表示部601と非接触通信部201とが、表示部601の垂直方向で重なるよう配置して図示したが、このように配置することで実装密度を高めることが容易となる。ただし、重ならないように配置してもよい。
【0071】
またシールド303A及び303Bを筐体内部に配置しているが、非接触通信部201が通信する筐体面を除く、非接触通信端末103の筐体表面や加飾部品にシールド効果を備えた部品や材料で形成してもよい。例えば、図20に示した例では、シールド303Bを上側にずらした筐体面、シールド303Aを上、もしくは下にずらした筐体面にシールド効果を備えた部材を設けることができる。
【0072】
なお、非接触通信部201の位置は操作部501の外側に配置したが、操作部501の周囲や操作部501を構成するキーシート面に隣接配置したり、操作部501の上面側もしくは操作部501の上に非接触通信部201を配置してもよい。
【0073】
また、第3実施形態では、数字ボタンなどの主に文字を入力するためのボタンを含む操作部501を収納して占有面積が最小となる収納形態にてシールド303Aや303Bによって非接触通信が制限され、他の形態ではシールド303Aや303Bが移動し非接触通信が可能となる例を説明した。しかし、本発明の実施形態は、スライド携帯や折り畳み携帯にのみ限定されず、例えば画面が複雑に摺動し回転する画面回転型の携帯電話にも適用は可能である。
【0074】
また、上述の非接触通信端末は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0075】
また、図4、図13又は図17における各機能部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、これまでに説明した暗証リズムパターン認証処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0076】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0077】
1、101、102、103 非接触通信端末
2、201 非接触通信部
3、301、302、303 非接触通信制限部
5、501 操作部
502 入力部
6、601、602 表示部
10 外部通信装置
401 開閉検出部
402 ロック検知部
701 表示制御部
801、802、803 制御部
901 無線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部通信装置と非接触通信を行う非接触通信部と、
予め決められた情報処理を実行可能な状態でない場合に前記非接触通信部による非接触通信を制限する制限部と、
を備えることを特徴とする非接触通信端末。
【請求項2】
前記非接触通信端末が前記予め決められた情報処理を実行可能な状態であるか否かを判定する判定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信端末。
【請求項3】
前記制限部は、
前記非接触通信端末が前記予め決められた情報処理を実行可能な状態である場合に、前記非接触通信による非接触通信の制限を解除し、非接触通信の制限を解除したときから予め決められた時間内に前記非接触通信部と前記外部通信装置との非接触通信が行われなかった場合、前記非接触通信による非接触通信を再び制限することを特徴とする請求項1または2に記載の非接触通信端末。
【請求項4】
前記予め決められた情報処理の実行内容を指示する操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記制限部は、
前記操作部を介して操作を受け付け可能な状態でない場合に、前記非接触通信による非接触通信を制限することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の非接触通信端末。
【請求項5】
前記制限部は、
前記操作部を介して操作を受け付け可能な状態に前記非接触通信端末の形態が変化した場合、前記予め決められた情報処理を実行可能な状態であると判定することを特徴とする請求項4に記載の非接触通信端末。
【請求項6】
前記制限部は、
前記操作部を介して操作の受け付けを制限するロック状態が解除された場合、前記予め決められた情報処理を実行可能な状態であると判定することを特徴とする請求項4に記載の非接触通信端末。
【請求項7】
前記制限部は、
前記非接触通信端末が前記情報処理を実行可能な状態でない場合に、前記非接触通信部と前記外部通信装置との非接触通信を遮断する位置に位置されるシールドを備えることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信端末。
【請求項8】
予め決められた情報処理を実行可能な状態であるか否かを判定する判定ステップと、
前記予め決められた情報処理を実行可能な状態でないと判定された場合に、外部通信装置と非接触通信を行う非接触通信部による非接触通信を制限する制限ステップと、
を備えることを特徴とする非接触通信制限方法。
【請求項9】
コンピュータに
予め決められた情報処理を実行可能な状態であるか否かを判定する判定手順、
前記予め決められた情報処理を実行可能な状態でないと判定された場合に、外部通信装置と非接触通信を行う非接触通信部による非接触通信を制限する制限手順
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−73291(P2013−73291A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210106(P2011−210106)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】