説明

α−アミラーゼ−FSM系メソ孔多孔体複合体

【課題】種々の澱粉原料に対し、効率的な澱粉の加水分解の実現に寄与し、酵素の回収、再利用、連続利用が容易となるアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を提供する。
【解決手段】アミラーゼをFSM系メソ多孔体へ固定化させた構造を有し、固定化されたアミラーゼが澱粉の加水分解を触媒する酵素活性を有していることからなるアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体、FSM系メソ多孔体に、アミラーゼを吸着、保持させて固定化することからなるアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法、及び該複合体を用いた澱粉の加水分解物の製造方法。
【効果】酵素を高集積化して固定化した、アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体、その製造方法、及び該複合体を用いた澱粉加水分解プロセスを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FSM系メソ多孔体とα−アミラーゼ等の複合体に関するものであり、更に詳しくは、FSM系メソ多孔体を合成後、表面を未処理のままでFSM系メソ多孔体へのα−アミラーゼ等(以下、α−アミラーゼと記載する。)の吸着現象を酵素の固定化法として利用したアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体、その製造方法及びその用途に関するものである。
【0002】
本発明は、表面を未処理のFSM系メソ多孔体へのα−アミラーゼの吸着現象を酵素の固定化法として利用し、FSM系メソ多孔体の細孔内もしくは表面にα−アミラーゼを安定に固定して、かつその酵素の機能を発揮させることを可能とするアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体、その製造方法、及びその機能性部材としての用途に関する新技術を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
一般に、酵素を用いた生化学品、食品製造の技術分野においては、従来、酵素を水に溶解させて操作することが多い。この操作法では、タンパク質である酵素の溶解度に限界があり、ある一定濃度以上の酵素が存在すると凝集を起こし、活性を失うことがしばしば見られる。一方、酵素反応を用いた反応系では、酵素の存在量が多いほど、反応速度、ひいては生成物の生産速度が高められることが予想される。
【0004】
その一方で、FSM系メソ多孔体は、2〜50nmの直径の細孔を有することを特徴としており、その細孔内部への酵素の導入、固定が可能である。したがって、FSM系メソ多孔体は、数nmから十数nmの大きさを有する酵素、すなわち、タンパク質の吸着、固定に対して、有効な表面を多く有している有望な担体材料と見なすことができる。
【0005】
このFSM系メソ多孔体を、酵素の固定化のための担体として用いた場合、高密度に存在する酵素の凝集を防ぐことと、活性を有する酵素を高集積化させることが可能になることが期待される。このことが可能になれば、酵素を用いた反応系において、溶液状態においては凝集を起こしてしまう量を越えて、多量の酵素を存在させることが可能になると考えられる。
【0006】
担体に酵素を固定化して用いることは、従前より多くの技術分野で行われてきたことであるが、その目的は、酵素の分離、及び再利用に関するものがほとんどである。例えば、従来の酵素を用いた生化学品、食品製造の技術分野においては、酵素を水に溶解させて用いることが多いが、その場合、生成物と酵素の分離操作が必要不可欠であり、また、分離された酵素は、廃棄されることが一般的である。この酵素の分離工程を省く目的で、酵素を担体に固定化して用いるための酵素の固定化技術が盛んに開発されている。
【0007】
従来、酵素の固定化法としては、例えば、樹脂ビーズ等に直接固定化する方法、ポリマーの被覆によりマイクロカプセル化する方法、酵素タンパク質表面を修飾して安定化させる表面修飾法等が提案されている。しかしながら、これらの方法は、酵素が固定化担体の表面上に固定されているだけで、酵素の高集積化や固定化による酵素機能の向上を目指したものではない。
【0008】
酵素の再利用を目的とした酵素の固定化も種々検討されている。この場合も、分離工程の排除を目的とした方法と、大きな差はなく、各種担体表面への単純な固定を行っているものが多い。高分子発泡体に固定化する方法も利用されており、この場合は、発泡体を圧縮することにより、生成物を含む溶液を分離すること等が行われている。
【0009】
酵素の固定化法の開発により、酵素を用いた生産プロセスにおいて、反応後の酵素の分離回収やその再利用が可能となり、生産プロセスの効率化に貢献していることは事実である。しかし、これまで、酵素の固定化により、酵素の高集積化や酵素機能そのものの向上を目的とした検討は、十分には行われていないのが実情である。
【0010】
このような状況下で、本発明者らは、酵素の固定化により酵素の高集積化や酵素機能そのものを向上させることを目的として、FSM系メソ多孔体へのタンパク質の吸着・固定化現象を研究し、この過程で、酵素、すなわち、タンパク質のFSM系メソ多孔体の細孔内への固定や、タンパク質の熱安定性や有機溶媒耐性の向上についての知見を見出し、FSM系メソ多孔体複合体を用いたタンパク質の機能賦活方法を開発するに至った(特許文献1、及び非特許文献1)。
【0011】
シリカ系メソ多孔体としては、一般に、MCM、FSM、SBAタイプ等の材料系が知られている。これらのシリカ系メソ多孔体は、2〜50nmの直径の細孔を有することを特徴としている。酵素、すなわち、タンパク質は、通常、数nmから十数nmの大きさを有していることが多く、シリカ系メソ多孔体の有する細孔径と同程度の大きさの分布を有している。
【0012】
このことから、酵素−シリカ系メソ多孔体複合体においては、その細孔内に酵素を固定化することも、また、集積化することも可能であると考えられる。α−アミラーゼは、澱粉等を加水分解して糖類を生成する酵素であり、食品製造の技術分野において、産業上重要な酵素である。そのため、当該技術分野においては、α−アミラーゼ−シリカ系メソ多孔体複合体における、該酵素の固定化による機能賦活方法の開発・確立が強く望まれていた。
【0013】
シリカ系メソ多孔体のうち、MCM、及びSBAタイプのシリカ系メソ多孔体に種々の酵素を固定化しようとする試みには、いくつかの報告がある(非特許文献2、3,4)。これらの報告では、シリカ系メソ多孔体と酵素との相互作用、すなわち、吸着作用が弱く、容易に酵素の脱離を起こすことが示されている。
【0014】
この問題を解決するために、MCM、及びSBAタイプのシリカ系メソ多孔体の表面に処理を施し、α−アミラーゼとの結合を形成する官能基をシリカ系メソ多孔体の表面に形成させる方法が報告されている(非特許文献5)。しかしながら、ここで用いられている表面処理の方法は、極めて煩雑で、効率の悪いものであり、また、価格的にも利点が少ないものである。
【0015】
【特許文献1】特開2007−51076号公報
【非特許文献1】ChemBioChem,Vol.8(2007)6685−6674
【非特許文献2】J.Mol.Catal.B 2(1996)115−126
【非特許文献3】J.Mol.Catal.B 10(2000)453−469
【非特許文献4】J.Mol.Catal.B 22(2003)119−133
【非特許文献5】Micropor.Mesopor.Mater.77(2005)67−77
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このような状況下において、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、FSM系メソ多孔体へのα−アミラーゼの吸着現象を酵素の固定化法として利用した、α−アミラーゼとFSM系メソ多孔体の複合体を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、FSM系メソ多孔体にα−アミラーゼ−を吸着・固定化させ、その酵素を固定化させることができること、すなわち、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の形成を確認し、更に、このα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を用いて、酵素反応の特性評価を行い、固定化された酵素が所定の活性を有していること、を見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
本発明は、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を提供すること、及び、澱粉の加水分解を行う際に、酵素の分離・回収を容易にし、繰り返し使用も可能とすると共に、基質を連続的に供給することで澱粉の加水分解を連続的に進行させることができる、一般性及び普遍性が高く、かつ簡単・簡略な操作による上記α−アミラーゼ−FSMメソ多孔体複合体の酵素反応を利用した澱粉の加水分解技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)アミラーゼとFSM系メソ多孔体の複合体であって、アミラーゼをFSM系メソ多孔体へ固定化させた構造を有し、固定化されたアミラーゼが澱粉の加水分解を触媒する酵素活性を有していることを特徴とするアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
(2)α−アミラーゼをFSM系メソ多孔体に固定化させた、前記(1)に記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
(3)FSM系メソ多孔体が、カネマイトを原料として合成されたメソ多孔体である、前記(1)又は(2)に記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
(4)FSM系メソ多孔体が、カネマイトを原料として合成されたメソ多孔体であり、合成後、特段の処理を施すことなく固定化担体として用いたものである、前記(1)から(3)のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
(5)FSM系メソ多孔体が、2〜50nmの直径の細孔を有する、前記(1)から(4)のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
(6)FSM系メソ多孔体が、0.1〜3.5ml/gの全細孔体積を有する、前記(1)から(5)のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
(7)FSM系メソ多孔体が、200〜1500mの比表面積を有する、前記(1)から(6)のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
(8)FSM系メソ多孔体の中心細孔径を変えることにより、固定化されるアミラーゼの量及び活性を制御した、前記(1)から(7)のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
(9)FSM系メソ多孔体に、アミラーゼを吸着、保持させて固定化することを特徴とするアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法。
(10)アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体にアミラーゼを吸着、保持、固定化させる操作を繰り返すことにより、固定化量を制御もしくは増大させる、前記(9)に記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法。
(11)FSM系メソ多孔体に、アミラーゼを固定化させることにより、アミラーゼの酵素としての繰り返し使用を可能にする、前記(9)又は(10)に記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法。
(12)アミラーゼを、FSM系メソ孔体上、及び細孔内に安定に吸着、保持させる、前記(9)から(11)のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法。
(13)前記(1)から(8)のいずれかに記載のアミラーゼ−FSMメソ多孔体複合体を用いて澱粉の加水分解反応を行うことを特徴とする澱粉の加水分解物の製造方法。
【0019】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、アミラーゼとFSM系メソ多孔体の複合体であって、アミラーゼをFSM系メソ多孔体へ固定化させた構造を有し、固定化されたアミラーゼが澱粉の加水分解を触媒する酵素活性を有していることを特徴とするものである。本発明では、α−アミラーゼをFSM系メソ多孔体に固定化させたこと、FSM系メソ多孔体が、カネマイトを原料として合成されたメソ多孔体であること、FSM系メソ多孔体が、カネマイトを原料として合成されたメソ多孔体であり、合成後、特段の処理を施すことなく固定化担体として用いたものであること、を好ましい実施の態様としている。
【0020】
また、本発明では、FSM系メソ多孔体が、2〜50nmの直径の細孔を有すること、FSM系メソ多孔体が、0.1〜3.5ml/gの全細孔体積を有すること、FSM系メソ多孔体が、200〜1500mの比表面積を有すること、FSM系メソ多孔体の中心細孔径を変えることにより、固定化されるアミラーゼの量及び活性を制御したこと、を好ましい実施の態様としている。
【0021】
更に、本発明は、上記のアミラーゼ−FSMメソ多孔体複合体を用いて澱粉の加水分解反応を行う方法の点に特徴を有するものである。本発明では、上記構成を採用することで酵素の高集積化と酵素機能の向上化を図ることが可能となり、それにより、反応系中に高濃度に酵素を存在させることが可能となり、酵素濃度が高くても、酵素の凝集を生じさせることなく、酵素反応を進行させることができ、しかも酵素の回収を容易に実施することが可能となる。
【0022】
本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を構成するシリカ系メソ多孔体複合体は、FSMタイプのメソ多孔体を用いることを特徴とする。一般に、シリカ系メソ多孔体としては、MCM、FSM、SBAタイプ等の材料系が知られているが、これらの材料系は、その作製法の違いにより分類されたものであり、基本的構造は、類似したものである。
【0023】
MCMやFSMタイプの合成では、カチオン性界面活性剤を用いて形成されるミセルを鋳型として、メソ多孔体が合成されている。但し、FSMタイプは、層状化合物であるカネマイトを原料として用いることに特徴がある。一方、SBAでは、中性の非イオン性界面活性剤のブロックコポリマーを用いて形成されるミセルを鋳型としている。このような複数のタイプのシリカ系メソ多孔体複合体が、一応、澱粉の加水分解を行う酵素の固定用担体として想定される。
【0024】
しかしながら、α−アミラーゼ−シリカ系メソ多孔体複合体を構成するシリカ系メソ多孔体のα−アミラーゼに対する固定化の機能・能力は、シリカ系メソ多孔体複合体と酵素の間の吸着で発揮され、この場合、シリカ系メソ多孔体複合体の表面と酵素との間の親和性が重要となる。本発明によるα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体におけるFSM系メソ多孔体は、それのみが層状化合物であるカネマイトを原料として作製されており、他のタイプのシリカ系メソ多孔体と異なる表面及び細孔内表面を有していると考えられる。
【0025】
したがって、FSMタイプのメソ多孔体は、α−アミラーゼとの親和性などの特性が他のタイプと異なることが想定される。本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体では、FSM系メソ多孔体の構造・特性を持つものであれば、基本的には、全て該機能・能力を有しており、全て使用することが可能であって、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を構成するFSM系メソ多孔体複合体として、その製造方法や性状が特段に限定されるものではない。
【0026】
本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体を構成する元素は、一般には、ケイ素と酸素であるが、ケイ素の一部が他の元素に置換したFSM系メソ多孔体も、酵素の固定化機能を有する。FSM系メソ多孔体を構成するケイ素と置換可能な元素の典型としては、例えば、アルミニウム、ホウ素、燐、ガリウム、ニオブ、チタン、錫、鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛、クロム、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム等を挙げることができる。
【0027】
しかし、ケイ素と置換可能な元素は、これらに留まるものではなく、基本的に、FSM系メソ多孔体の構造を破壊しないものであればいずれでも良い。また、その置換量に関しても、FSM系メソ多孔体の構造を破壊しない量であれば、置換量は、いかなる量でもかまわず、該置換FSM系メソ多孔体も、酵素固定用の担体として使用することができる。
【0028】
本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を構成するFSM系メソ多孔体は、いずれも熱安定性、化学安定性に優れており、しかも環境に対する負荷が低い物質であることから、本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体は、例えば、生化学品製造、医薬品製造にとって極めて有用であり、その場合の産業的効果は、計り知れないものがある。
【0029】
FSM系メソ多孔体は、一般には数nm〜数十nmの細孔径を有するが、その細孔径は、FSM系メソ多孔体の合成条件により制御可能である。例えば、固定化すべき酵素が5nmの大きさを有していた場合、その酵素の大きさに相応した細孔径を有するFSM系メソ多孔体を酵素固定用担体として用いる選択肢があり、その場合には、酵素の固定量が増加したり、酵素の安定性が向上することが予想される。
【0030】
このような状況を踏まえ、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を構成する際には、FSM系メソ多孔体の細孔径を制御することが不可欠である。本発明では、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を構成する上で、FSM系メソ多孔体の細孔径を制御することで、好適なα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を構築することが可能となる。
【0031】
本発明のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の酵素には、澱粉の加水分解を行う酵素として、好適にはα−アミラーゼが用いられるが、本発明は、類似の酵素活性を有するβ−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、オリゴ−1,6−グルコシダーゼ、アミロ−1,6−グルコシダーゼ等のアミラーゼ系に同様に適用することも可能であり、基本的には、澱粉の加水分解を行える酵素であれば、どのような種に由来するものでも良く、ここに例示した酵素類に限定されるものではない。
【0032】
本発明では、いずれの酵素を用いた場合であっても、アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を構成する上で、FSM系メソ多孔体複合体の細孔径を制御すること、FSM系メソ多孔体複合体の表面上の官能基を制御すること、選択された酵素に対して、酵素−FSM系メソ多孔体複合体を構成する上での好適な処理を適宜施すこと、が可能である。
【0033】
本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体においては、カネマイトを原料として合成したFSM系メソ多孔体に対し、特段の表面処理を施すことなく、洗浄の操作のみを行ったものが用いられる。α−アミラーゼを該FSM系メソ多孔体に固定する操作は、α−アミラーゼを溶解した溶液中に該FSM系メソ多孔体を浸漬・混合する操作のみにより行うことが可能であり、該方法は、極めて簡便な方法であり、該方法では、FSM系メソ多孔体に対する表面処理等は不要である。
【0034】
本発明により、表面が未処理のFSM系メソ多孔体を用いて、該多孔体へのα−アミラーゼの吸着現象を酵素の固定化法として利用し、FSM系メソ多孔体の細孔内もしくは表面にα−アミラーゼを安定に固定して、その酵素の機能を発揮させることを可能とするα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を提供することができる。該α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体は、極めて簡便な方法で作製が可能であると共に、FSM系メソ多孔体の合成時にその条件を制御して細孔径を制御できる。本発明は、α−アミラーゼを固定化したα−アミラーゼ−FSMメソ多孔体複合体を作製し、提供することを可能とする。
【0035】
本発明は、例えば、酵素を利用した生化学品、食品製造の技術分野において、酵素の安定性や耐久性、生産速度の向上等に寄与すること、連続的生産手法を可能とすること、生産物からの酵素の分離工程を排除すること、その工程を従来技術に比べて大幅に効率化、簡略化すること、等を可能とする、新しい酵素利用技術を提供するものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)α−アミラーゼを固定化した固定化酵素として利用することができるα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を提供することができ、本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を用いることで、多種多様な澱粉原料を対象とした酵素反応により、糖類を高効率で生産することが可能となる。
(2)FSM系メソ多孔体は、酵素の導入可能な細孔径を有する細孔を有していることから、酵素の吸着可能な表面が大きく、大量の酵素を固定することができ、繰り返して酵素の固定化を施すことにより、より多量な酵素を固定化する酵素の高集積化が可能である。
(3)本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を用いることで、高集積化された酵素を反応系中に存在させることができ、また、固定化により高集積化された酵素を利用することで、酵素の凝集を避けることができるため、酵素を溶液に溶解した状態よりも高濃度に反応系中に存在させることが可能となり、それにより、酵素反応をより効率的に進めることが可能となる。
(4)本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体では、FSM系メソ孔多孔体に酵素が固定化されていることにより、酵素の回収が容易であり、酵素の繰り返し使用が可能であり、基質を連続的にα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体と接触、流通させ、連続的な酵素反応を実施することが可能である。
(5)本発明は、環境に負荷の少ない材料系で構成されていること、該原材料は、入手しやすいこと、合成後、未処理のFSM系メソ多孔体を用いることで、酵素反応に好適なα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を簡便に、容易に作製することができること、等の利点を有する。
(6)FSM系メソ多孔体は、その作製条件の制御により、FSM系メソ多孔体の中心細孔径を変えることが可能であり、それにより、固定化される酵素の量や活性を制御することができるため、酵素反応に好適なFSM系メソ多孔体を適宜選択することができる。
(7)本発明のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体は、FSM系メソ多孔体の中心細孔径を変えることにより、固定化される酵素の安定性や耐久性を向上させることができるため、酵素反応をより効率的に進行させることができる。
(8)上記の利点を組み合わせることにより、新規の澱粉の加水分解プロセスを構築し、提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら制約を受けるものではない。以下の実施例では、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の合成法について説明するが、本発明は、同様に、他の全てのアミラーゼ系に適用することが可能であり、以下の実施例によって限定・制限されるものではない。
【実施例】
【0038】
(FSM系メソ多孔体の合成)
はじめに、FSM系メソ多孔体の作製法を示す。カチオン性界面活性剤である塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムを主成分とし、エチルアルコールの混合物である界面活性剤(アーカード)10gを、超純水125gに混合し、70℃で30分間、撹拌混合した。この撹拌混合には、ホモミキサーを用いた。別途、カネマイト6.67gを、超純水130.83gと混合し、70℃で撹拌混合した。この場合、細孔径を制御する目的で、膨張剤として、トリイソプロピルベンゼンを適宜添加することができる。この撹拌混合には、マグネチックスターラーを用いた。
【0039】
それぞれの溶液の所定の撹拌時間を経た後、両者を混合し、更に、70℃で2時間、ホモミキサーを用いて撹拌混合した。この撹拌混合の後、2規定の塩酸を約1時間かけて滴下し、溶液の状態をpH8.5とした。pHが8.5となった後、更に、3時間、撹拌混合した。この溶液を吸引濾過した後、分離された固形物を70℃の温水に再分散し、また、濾過を繰り返した。この操作を3回繰り返した後、固形物を60℃で24時間、乾燥した。更に、空気気流中にて550℃で6時間焼成することにより、各種細孔径を有するFSM系メソ多孔体複合体を得た。
【0040】
上記手法により合成されたFSM系メソ多孔体について、粉末X線回折法、走査電子顕微鏡法、透過電子顕微鏡法及び窒素吸着等温線の測定法を適用した。粉末X線回折法は、Bruker製AXS D8−ADVANCE Vario−1を用いて実施した。得られたX線回折パターンより、上記手法により作製されたFSM系メソ多孔体複合体は、2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有していることが分かった。また、回折ピーク位置の解析から、合成時膨張剤を用いなかった場合のFSM系メソ多孔体に比較して、膨張剤を用いた場合の方が細孔径が大きくなっていることが確認できた。
【0041】
走査電子顕微鏡による観察から、合成されたFSM系メソ多孔体は、不定形顆粒状の形態として観察された。透過電子顕微鏡による観察からは、合成時膨張剤を用いなかった場合のFSM系メソ多孔体では、4nm径の細孔が分布していることが確認された。膨張剤として、トリイソプロピルベンゼンを7.5g添加した場合のFSM系メソ多孔体の場合には、7.5nmの細孔が分布していることが確認され、また、膨張剤としてトリイソプロピルベンゼンを14g添加したFSM系メソ多孔体では、9nmの細孔が分布していることが確認された。
【0042】
窒素吸着等温線の測定は、Quantachrome社製Autosorbにより行った。その結果を図1に示す。図1の左側が吸着等温線を示し、右側が細孔径分布を示している。膨張剤の添加量に依存して、異なる吸着等温線が得られた。合成時膨張剤を用いなかった場合のFSM系メソ多孔体では、4nm径の細孔による鋭いピークが確認された。膨張剤として、トリイソピルベンゼンを7.5g及び14g添加した場合のFSM系メソ多孔体の場合には、それぞれ7.5nm,9nmにピークを持つ、細孔の分布が確認された。
【0043】
以下、合成時膨張剤を用いなかった場合の4nm径に細孔径分布のピークを持つFSM系メソ多孔体をFSM−4、膨張剤として、トリイソピルベンゼンを7.5g添加して合成した7.5nm径に細孔径分布のピークを持つFSM系メソ多孔体をFSM−7.5、同じく膨張剤として、トリイソピルベンゼンを14g添加して合成した9nm径に細孔径分布のピークを持つFSM系メソ多孔体をFSM−9、と記載する。
【0044】
(α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の作製)
次に、作製されたFSM系メソ多孔体を、酵素の固定化用担体として用い、Bacillus Iicheniformis由来のα−アミラーゼの固定化を行った。1.5mlマイクロチューブに、FSM系メソ多孔体を10mg入れ、そこに、50mM MOPS(pH7)と50mM NaCl、α−アミラーゼ 2mgを含む溶液を加え、撹拌した後、遠心によりFSM系メソ多孔体複合体を沈降させることで、酵素の吸着・固定を行った。この操作の際、上清に残ったα−アミラーゼを定量することで、吸着固定化されたα−アミラーゼを定量した。
【0045】
これらの手法を用いることで、α−アミラーゼの最大吸着量を算出した。これらの結果を図2に示す。FSM−7.5の場合、その酵素固定量は、FSM−7.5 10mgに対して、α−アミラーゼが2.8mg程度、FSM−9の場合は、FSM−9 10mgに対して、5.5mg程度、吸着・固定されることが分かった。
【0046】
酵素吸着・固定化後のα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体について、窒素吸着等温線の測定を行った。その結果を図3に示す。α−アミラーゼが固定化されていない場合に比較して、メソ孔領域の窒素吸着量が減少していることが分かる。細孔分布を確認すると、やはりメソ孔領域の分布の減少が認められる。このことは、FSM系メソ多孔体複合体のメソ孔内にα−アミラーゼが固定化されていることを示しており、α−アミラーゼは、FSM系メソ多孔体複合体の表面のみならず、その細孔内にも導入され、固定化されていることが分かる。
【0047】
(α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の酵素活性測定)
次に、可溶性の澱粉を分解する酵素反応をモデル反応として、酵素として、α−アミラーゼを用いたα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の酵素活性評価を行った。可溶性澱粉は、アミロース20〜25%+アミロペクチン75〜80%により構成されているが、このうち、α−アミラーゼは、アミロースを加水分解する。
【0048】
酵素反応を実施後、ヨウ素を加えると、このヨウ素は、グルコース残基40個以上のアミロースに結合し、青色を呈する。この反応は、ヨウ素澱粉反応としてよく知られているものである。このヨウ素の呈色(青紫色)を吸光度655nmで測定し、残存しているアミロースの量を算出することから、分解されたアミロース量を見積もり、α−アミラーゼの酵素活性として評価した。具体的な測定手順は、以下のようになる。
【0049】
まず、検量線の作成とその濃度範囲内に試料がなるように希釈の操作を行う。
1.検量線用未固定化のアミラーゼ5,7.5,10,20μg/mlの各濃度を用意する。
2.固定化・洗浄したアミラーゼを、5〜10μg/mlになるように希釈する。
【0050】
次に、酵素による澱粉の加水分解反応を行わせる。
3.上記1.2.のアミラーゼを含む溶液4μlに、基質(可溶性デンプン)200μlを添加する。
4.5分間、37℃で反応させる。
5.5分間、3000rpmで遠心する。
6.上清を採取し、反応停止液(ヨウ素)200μlを添加する。
7.655nmで吸光度測定し、濃度を算出する。
【0051】
図4に、溶液中に溶解させたα−アミラーゼの全活性(図中freeと表記)と、FSM−7.5に吸着・固定されたα−アミラーゼの全活性、比活性を示す。freeのα−アミラーゼに対し、固定化されたα−アミラーゼの全活性、比活性が低い値になるのは、α−アミラーゼの分子の周囲が一部囲まれていることから、当然のこととして理解される。しかしながら、FSM−7.5の場合、吸着・固定されているα−アミラーゼの量が増加するにしたがって、全活性も増加しており、また、α−アミラーゼの固定化量が増加しても、比活性はほぼ一定の値を示している。これは、α−アミラーゼがFSM−7.5に吸着・固定されても、各α−アミラーゼの分子は、所定の活性を有していることを示しており、その固定化量が増加しても、凝集などにより失活していないことを示している。
【0052】
このことから、澱粉の加水分解のための反応系において、FSM系メソ多孔体複合体に固定化されたα−アミラーゼを共存させることにより、その溶解度を超えた量のα−アミラーゼを反応系内に存在させることが可能であることが分かる。このことは、言うまでもなく、反応速度、すなわち、澱粉の加水分解速度の向上に寄与するものであり、また、反応生成物からも容易に酵素を回収できることを示すものである。
【0053】
α−アミラーゼを酵素としたα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を用いて、その再利用を行った。測定手順は、以下のようになる。まず、検量線の作成とその濃度範囲内に試料がなるように希釈の操作を行う。
1.検量線用未固定化のアミラーゼ5,7.5,10,20μg/mlの各濃度を用意する。
2.固定化・洗浄したアミラーゼを5〜10μg/mlになるように希釈する。
【0054】
次に、酵素による澱粉の加水分解反応を行わせる。
3.上記1.2.のアミラーゼを含む溶液4μlに、基質(可溶性デンプン)200μlを添加する。
4.5分間、37℃で反応させる。
5.5分間、3000rpmで遠心する。
6.上清を採取し、反応停止液(ヨウ素)200μlを添加する。
7.655nmで吸光度測定し、濃度を算出する。
【0055】
この後、再度、酵素反応を行うため、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の洗浄の操作を行う。
8.上記6.の沈殿(α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体)に、リン酸緩衝液1mlを加え、振盪・撹拌する。
9.5分間、3000rpmで遠心する。
10.上清を除去し、7.8.を3回繰り返す。
【0056】
この後、2回目の酵素反応を行わせる。
11.洗浄の終わった沈殿(α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体)に、基質(可溶性デンプン)200μlを添加する。
12.よく撹拌・混合し、5分間、37℃で反応させる。
13.5分間、3000rpmで遠心する。
14.上清を採取し、反応停止液(ヨウ素)200μlを添加する。
15.655nmで吸光度測定し、濃度を算出する。
【0057】
3回目以降の反応の評価は、洗浄操作以降を繰り返して行った。図5に、その結果を示す。この場合には、FSM−7.5 10mgに対して、2mg/mlの濃度のα−アミラーゼを1ml混合し、α−アミラーゼを固定化させた試料を用いている。繰り返し活性の測定を行うことにより、少しずつではあるが、活性の低下が認められる。しかしながら、繰り返し測定による、急激な活性の低下は認められなかった。これらの繰り返し測定では、α−アミラーゼの脱離は確認されておらず、また、酵素が失活する要因も見あたらないため、反応基質の澱粉の残留などが影響している可能性が高い。
【0058】
これらの結果は、FSM系メソ多孔体に固定化されたα−アミラーゼ、すなわち、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体は、繰り返し使用が可能であること、酵素の回収が容易であること、酵素の高集積化により反応を効率的に進行させることが可能であること、を明確に示している。α−アミラーゼが固定化されたFSM系メソ多孔体複合体を、更に固定し、そこに、澱粉溶液を流すような装置を構成すれば、連続的な酵素反応の実施が可能である。
【0059】
α−アミラーゼを反応用の適切なバッファーなどの溶液に溶解させた場合、10mg/mlの濃度において、酵素の沈澱、すなわち、未溶解分が確認されることが多々ある。一般に、酵素、すなわち、タンパク質の溶解度には、限界があり、それを越えると凝集という現象を起こす。α−アミラーゼの場合も例外ではなく、10mg/ml以上の濃度にすると、結果として、凝集が始まり、凝集を起こした酵素は、活性を示さなくなる。
【0060】
一方で、FSM系メソ多孔体複合体に固定化されたα−アミラーゼの場合、上記の限界値を超えた量を反応系内に存在させることができる。すなわち、先に示したFSM−7.5 10mgに対して、α−アミラーゼが2.8mg程度、吸着・固定されたα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を、1mlの反応基質、すなわち、澱粉の溶解した溶液中に40mg分散させた場合、この反応系においては、溶液1mlにα−アミラーゼが2.8×40/10=11.2mg、活性を有した状態で存在していることが理解できる。
【0061】
FSM系メソ多孔体複合体に固定化されたα−アミラーゼを用いて、澱粉の加水分解反応を繰り返し実施した。α−アミラーゼを溶液に溶解した場合には、変性凝集させることで、分離・回収することが一般的であり、酵素の失活を避けることができず、再利用は不可能である。一方、FSM系メソ多孔体複合体に固定化されたα−アミラーゼの場合には、遠心分離や濾過等の方法により、容易に回収化可能であり、更に、再利用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上詳述したように、本発明は、FSM系メソ多孔体とα−アミラーゼの複合体に係るものであり、本発明により、FSM系メソ多孔体を合成後、表面を未処理のままでFSM系メソ多孔体へのα−アミラーゼ等の吸着現象を酵素の固定化法として利用したアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体、その製造方法及びその用途を提供することができる。本発明では、澱粉の加水分解に際し、原料澱粉の性状や特性に応じて好適なアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体を選択することができる。そのため、酵素の回収が容易であり、繰り返し使用も可能となる他、更には、基質を連続的にα−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体と接触して流通させる連続的な酵素反応の実施も可能である。また、本発明によれば、固定化により高集積化された酵素を利用することで、酵素の凝集を避けることができるため、酵素を溶液に溶解した状態よりも高濃度に反応系中に存在させることが可能となり、酵素反応をより効率的に進めることに寄与できる。本発明は、例えば、多種多様な澱粉原料から、高集積化された酵素を作用させた状態で良質な加水分解物を効率的に製造する新規の澱粉加水分解プロセス・システムを構築し、提供することを可能にするものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、FSM系メソ多孔体の窒素吸着等温線と細孔分布を示す。
【図2】図2は、FSM系メソ多孔体へのα−アミラーゼの吸着等温線を示す。
【図3】図3は、α−アミラーゼを固定化前後のFSM系メソ多孔体の窒素吸着等温線と細孔分布を示す。
【図4】図4は、FSM系メソ多孔体に固定化されたα−アミラーゼの全活性及び比活性を示す。
【図5】図5は、α−アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の繰り返し活性測定の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミラーゼとFSM系メソ多孔体の複合体であって、アミラーゼをFSM系メソ多孔体へ固定化させた構造を有し、固定化されたアミラーゼが澱粉の加水分解を触媒する酵素活性を有していることを特徴とするアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
【請求項2】
α−アミラーゼをFSM系メソ多孔体に固定化させた、請求項1に記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
【請求項3】
FSM系メソ多孔体が、カネマイトを原料として合成されたメソ多孔体である、請求項1又は2に記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
【請求項4】
FSM系メソ多孔体が、カネマイトを原料として合成されたメソ多孔体であり、合成後、特段の処理を施すことなく固定化担体として用いたものである、請求項1から3のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
【請求項5】
FSM系メソ多孔体が、2〜50nmの直径の細孔を有する、請求項1から4のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
【請求項6】
FSM系メソ多孔体が、0.1〜3.5ml/gの全細孔体積を有する、請求項1から5のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
【請求項7】
FSM系メソ多孔体が、200〜1500mの比表面積を有する、請求項1から6のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
【請求項8】
FSM系メソ多孔体の中心細孔径を変えることにより、固定化されるアミラーゼの量及び活性を制御した、請求項1から7のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体。
【請求項9】
FSM系メソ多孔体に、アミラーゼを吸着、保持させて固定化することを特徴とするアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法。
【請求項10】
アミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体にアミラーゼを吸着、保持、固定化させる操作を繰り返すことにより、固定化量を制御もしくは増大させる、請求項9に記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法。
【請求項11】
FSM系メソ多孔体に、アミラーゼを固定化させることにより、アミラーゼの酵素としての繰り返し使用を可能にする、請求項9又は10に記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法。
【請求項12】
アミラーゼを、FSM系メソ孔体上、及び細孔内に安定に吸着、保持させる、請求項9から11のいずれかに記載のアミラーゼ−FSM系メソ多孔体複合体の製造方法。
【請求項13】
請求項1から8のいずれかに記載のアミラーゼ−FSMメソ多孔体複合体を用いて澱粉の加水分解反応を行うことを特徴とする澱粉の加水分解物の製造方法。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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