説明

α−サイアロンを含有する蛍光材料、その製造方法及びその製造装置

【課題】α−サイアロン蛍光材料、その製造方法およびその材料の製造装置を提供する。
【解決手段】α−サイアロンを有する蛍光材料の製造方法は、α−サイアロンの前駆体を提供する工程と、前駆体と点火剤を混合し、反応混合物を得る工程と、点火剤を燃焼させ、反応混合物の反応を誘発して蛍光材料を得る工程と、を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光材料、特にα−サイアロンを有する蛍光材料、その製造装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネと環境保護のニーズの下で、高効率、省エネ、環境保護を満たす「グリーン」照明光源の開発は、現在国内外で必要且つ重要な研究課題である。白光LEDは将来従来の照明器具に取って代わる重要技術となるとされており、白熱電球及び蛍光灯に比較して、LEDは高発光効率(発光効率は1ワット当たり100ルーメン(100lm/W)、潜在的な技術的目標は200lm/W)、低発熱量(熱輻射が少ない)、低消費電力(低電圧、低起動電流)、高い設計自由度(体積が小さく、光色/色温度が変調可能で、指向性光源で、軽薄短小の製品を開発する容易さ)、高い信頼性(長寿命、低起動温度、耐震)、速い応答速度(高い周波数で動作可能)、環境保護(水銀がゼロで、廃棄物処理のコストが低く、壊れにくい)、平面的な実装化などのメリットが挙げられる。
【0003】
現在、酸化物系蛍光粉及び硫化物系蛍光粉の関連特許は発展の限界に来ており、且つ特許技術が一方的に独占されたとの問題があり、また、YAG:Ce3+(YAl12:Ce3+,Yttrium Aluminum Garnet)やTAG:Ce3+(TbAl12:Ce3+,Terbium Aluminum Garnet)などの現在実用化された蛍光粉は不十分な発光効率や低熱安定性などの問題が存在し、硫化物系蛍光粉は毒性や低い化学・熱安定性などの問題が存在している。現在白光LEDは高出力化に伴ない、操作温度が増加し、酸化物系及び硫化物系の蛍光粉の熱安定性が良くないため、蛍光の発光色が変わり、その結果、LEDに色ずれなどの問題が生じる。その一方、窒素酸化物であるα−SiAlONの蛍光材料は無毒性、優れた化学安定・熱安定性、高エネルギー効率、高発光強度及び調整可能な化学組成・発光波長などの多くの利点が挙げられ、このため、LED蛍光材料の次世代材料としての潜在的候補とされている。しかし、現在α−SiAlON系の蛍光材料はその合成が厳しい条件(例えば、高温、高圧、長時間の反応)で行われなければならず、生産しにくく、生産量が少なく、設備及び原料のコストが高いため、α−SiAlON系の蛍光材料の応用の進展が限られている。いくつかの従来の技術を例示してそれらの不十分なところを次の通り説明する。
【0004】
まずは固相法(Solid state method)である。これは窒素酸化物及び窒化物を合成する一種のよく見られる方法であり、通常、反応前駆体を高温に置き、シリル基の窒素酸化物又は窒化物系蛍光粉を合成する場合に、反応物として主にSi3N4が使用され、Si3N4の化学反応性が劣るため、合成時、約1500〜2000℃と非常に高い温度が必要で、他の反応物として金属元素(例えば、Ca、Sr、Ba、Eu)や金属の窒化物(例えば、AlN、Ca3N2、EuN)、金属の酸化物(例えば、Al2O3、CaCO3、SiO2)が挙げられ、これらの原料を均一に混合した後、窒素ガスを保護ガスとして反応物が高温で酸化または分解するのを防止し、圧力が通常0.1〜1.0MPaの範囲であり、反応時間が数時間かかり、且つ通常生成物が後続の粉砕などの工程を経る必要があり、且つ一部の文献において、反応物を冷間静水圧プレスすることにより反応物をインゴットに圧縮したり、熱圧焼結用装置を使用して反応を行ったりする必要があることが示されている。さらに、この方法は高温で長時間焼成するので、粉体に大量の凝集又は焼結などの現象を生じさせて生成物の粒径を大きくし、このとき、粉砕の過程により後処理されると、粉体に結晶の欠陥を生じさせる発光効率を低減し、粉体の粒径も効率的に制御することができず、さらに、設備(例えば、冷間静水圧プレス用設備及び熱圧焼結炉等)が高価であったり使用する窒化物の原料コストが高かったりするなどの欠点がある。
【0005】
次は気体圧縮焼結法(Gas−pressing sintering, GPS)である。これは固相法によく似ており、同様に金属の窒化物などを反応物として使用し、異なるところでは、使用する気体の圧力が高く、1〜10MPaの範囲であり、また、高い反応操作温度が約1800〜2200℃であり、且つ熱圧焼結を使用することなく、高い窒素圧力を利用することにより、反応物と窒素との接触する機会を多くなり、得られる生成物も後続の粉砕などの工程を経る必要がある。前記GPS法では固相法に比べると、フラックスの用量及び反応時間を少なくすることができるというメリットがあり、固相法のような方法では窒化物又は窒素酸化物を高温及び常圧の窒素の下で焼結することができるが、共有結合のために、常圧下の原子移動度が低いため、常圧下で焼結時に多くのフラックス剤を加える必要があり、その結果、構造の強度が劣る。この問題に対し、窒素圧力を上げると、短時間で均一に凝集した蛍光粉体を得られ、また、反応温度が1800℃以上であると、α−Si3N4又はα−SiAlONが分解してSiが生成されやすく、このため、圧力を上げることにより、反応物及び生成物が昇華したり分解したりするという現象の発生を抑制することができるが、前記GPS法では使用する圧力及び温度が非常に高く、設備の建設コストの向上と安全上の不安をもたらすため、工業上の大量生産に適せず、また、生成物が複雑な粉砕工程を経るので、蛍光粉体に大量の欠陥が形成されて、蛍光効率が低下し、且つ使用する窒化物の原料コストが高価であることなどの欠点がある。
【0006】
また別の方法は気体還元および窒化法(Gas−reduction and nitridation method, GRN)である。窒素酸化物系蛍光粉体を合成するこの方法は前述した二法と比較すると有効かつ経済的な方法であり、通常酸化物を反応前駆体として使用し、反応物をアルミナ中或いは石英管中に置き、NH3又はNH3−CH4などの気体を還元剤及び窒素源として通し、反応温度が約1300〜1600℃であればよく、高温下でNH3又はNH3−CH4などの気体が分解してH2及びN2の気体が生成されて酸化物が窒化物に化学的に還元される。前記方法は前述した二種の方法と比較すると、反応温度が約200℃程度下がるという低い反応温度下でα−SiAlONの蛍光粉体を合成することができ、また、反応が通常常圧下で行われ、且つ反応物が通常酸化物であるというメリットがあり、このため、高価な設備や反応原料が要らず、固相法及びGPS法より反応物が安く、且つ通される還元雰囲気が炭素熱還元法の使用による残留炭素という問題を解決することができ、粒径が固相法等より小さく、後粉砕工程が要らないが、この反応が高温下で爆発性NH3−CH4ガスにより行われ、且つ反応が大量生産に対応できず、かなり危険で且つ反応が長時間かかるので、エネルギー消費量が多くなるなどの欠点がある。
【0007】
また別の方法は炭素熱還元法(Carbothermal reduction method, CRN)である。この方法は気体還元および窒化法(GRN法)に類似し、異なるところは炭素粉を還元剤として使用すること及び窒素ガスを窒素源として使用することにある。炭素熱還元法も酸化物を前駆体として使用し、炭素粉と混合された後、高温及び窒素雰囲気に入れて反応させることができ、この反応は高温中で炭素と酸素が反応してCOなどの気体を生成しやすく、且つ窒素が酸素の空隙に入って反応することにより窒化物を形成する。この方法のメリットはGRN法のように、設備及び反応物が安く、反応温度及び圧力が低く、欠点は反応において炭素量を正確に制御する必要があり、過剰炭素が高温でSiCを生成し、且つ未反応の炭素が製品の光学特性を大きく低減して蛍光強度に大きく影響する。強い蛍光強度を達成するために、炭素のない雰囲気で高温熱処理を行うことによって、炭素を除去するステップが必要であり、それによって生産工程が複雑になり、且つ高温熱処理が粒径の増加等の影響をもたらす可能性がある。
【0008】
さらに別の方法は、水熱法(Hydrothermal method)である。この方法は窒素酸化物蛍光粉の合成にまれに応用されるが、酸化物の蛍光粉の合成により多く応用される。本法は使用試薬が通常硝酸化合物であり、溶剤に溶けやすく、必要に応じNaOH等を使用して溶液のpH値を調整する。反応においてまず、溶液を低温(約200℃)で攪拌し、そうすると、反応物から析出物が生成され、この析出物(すなわち前駆体)を水洗い、遠心分離し、濾過し、乾燥させ、そして、窒素雰囲気の高温炉に入れて焼成し、水素を還元雰囲気として通す。この方法のメリットは反応物が溶解及び析出のステップにより均一に混合され、焼成温度が約1000℃で行なわれるため、省エネであり、欠点は全工程が複雑で、且つ水素を使用して還元することがあるので、この方法では安全上の不安があり、且つ製品の結晶相が十分に強くなく、蛍光の発光効率が低い等の欠点があって、改善の余地がある。
【0009】
一般の燃焼合成法(Combustion synthesis)は一般にα−サイアロンセラミック材料を合成するための燃焼合成法であり、反応物は金属や金属酸化物、金属窒化物等であり、均一に混合された後に反応器に入れ、窒素の気圧を2.0〜8.0MPaと極めて高圧にし、その反応物を発火させる。この方法は次のメリットを有する:すなわち、製造工程が単純で、エネルギー消費量が少なく、且つ装置が単純で、大量生産が可能で、コストが低い。しかし、変換率を向上するために、非常に高圧下で反応させる必要があるので、合成のための安全上の危惧があって、工業上の応用にあまり適さない。反応圧力が十分高くないときは、適切でない制御によって生成物の凝集又は発火不能などの現象をもたらす可能性があるため、変換率が低く且つ複雑な粉砕工程が必要であり、また、反応過程における速い温度上昇及び温度降下のため、生成物(粉体の場合)に高濃度の結晶欠陥が含まれる可能性があるので、蛍光粉体の蛍光強度が劣る。
【0010】
そこで、出願人は従来の技術の不十分な点に鑑みて、上述した科学技術、産業上の問題及びニーズの理解に基づき、本案「α−サイアロン蛍光材料及びその製造方法並びに製造装置」を発明した。本発明のα−サイアロン蛍光材料はサイアロンを主な格子とする窒素酸化物蛍光材料であり、高発光強度、優れた熱安定性、簡単な製造工程、低い生産コスト及び高純度の生成物などの特性を有し、上述した従来の手段の不十分な点を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高発光強度、優れた熱安定性を有したα−サイアロン蛍光材料と、製造プロセスが簡単でコストが低いその材料の製造方法と、その材料の製造装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの観点によれば、上記目的を達成するための本発明は、α−サイアロンを有する蛍光材料の製造方法を提供することである。該製造方法は、α−サイアロンの前駆体を提供する工程と、前駆体と点火剤を混合し、反応混合物を得る工程と、点火剤を燃焼させ、反応混合物の反応を誘発して蛍光材料を得る工程と、を備えてなることを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するための本発明の1つの態様は、該製造方法は反応混合物を断熱装置に供給する工程を含み、絶縁性粉体を反応混合物と断熱装置の間に充填する工程を含む。
【0014】
本発明の1つの態様は、前駆体が少なくとも一つの反応インゴットを含み、且つ前駆体と点火剤を混合する工程の期間中において、前記反応インゴットは前記点火剤によって包まれており、前記点火剤を燃焼させる工程は前記反応混合物を加熱することによって行われることである。
【0015】
本発明のまた1つの態様は、前記点火剤はTi/C混合物、Mg/Fe混合物、Al/Fe混合物及びAl/Fe混合物よりなる群から選ばれた少なくとも一つであるか、或いは少なくとも二つ以上の組合せを含むことである。
【0016】
本発明のまた1つの態様は、前記点火剤はMg/Fe混合物を含み、前記Mg/Fe混合物にはMg対Feのモル比が1〜8であることである。
【0017】
本発明のまた1つの態様は、前記前駆体が固体窒素源を含み、前記固体窒素源はNaN、KN及びBaよりなる群から選ばれた少なくとも一つである、或いは少なくとも二つ以上の組合せを含み、前記前駆体はハロゲン化アンモニウム源を含み、前記前駆体は、前記点火剤と混合し合うような複数の反応インゴットを含み、且つ前記点火剤を燃焼させる工程は前記複数の反応インゴットを連続して加熱することによって行われる製造方法である。
【0018】
本発明の1つの観点によれば、α−サイアロンを含有する蛍光材料を提供することである。該蛍光材料は、化学式はM(Si,Al)12(O,N)16:Aであり、Mは陽イオンであり、xはMに対するモル数であり、Aは活性化剤イオンであり、yはAに対するモル数であることを特徴とする。
【0019】
本発明の1つの態様は、前記蛍光材料はさらにナトリウム、塩素及び鉄よりなる群から選ばれた少なくとも一つの元素をさらに含むことを特徴とする蛍光材料であり、前記蛍光材料はまた塩化ナトリウムをさらに含むことを特徴とする蛍光材料である。
【0020】
本発明のまた1つの態様は、前記MはMg、Ca及びYよりなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含み、前記AはEu、Ce、Tb及び希土類元素よりなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含むことを特徴とする蛍光材料である。
【0021】
本発明のさらに1つの観点は、α−サイアロンを有する蛍光材料の製造装置であって、前記蛍光材料を製造するための原料を収容する断熱装置と、前記断熱装置に隣接して配置され、前記蛍光材料を製造するために前記原料を加熱するためのヒーターと、を備えてなることを特徴とする製造装置である。
【0022】
本発明のまた1つの態様は、前記断熱装置と前記ヒーターはチャンバー内に配置されており、前記断熱装置と前記蛍光材料を製造するための前記原料との間にさらに絶縁性粉体が配置されていることを特徴とする製造装置である。
【0023】
本発明のまた1つの態様は、前記絶縁性粉体はセラミックス粉体を含むことを特徴とする製造設備である。
【0024】
本発明の上記の対象および利点は、以下の詳細な説明及び付帯する図面を参酌することによって当業者にはより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による、α−サイアロンを含有する蛍光材料の製造装置の一態様を示す図である。
【図2】本発明による、インゴットと反応インゴットの製造プロセスの一態様を示す図である。
【図3】本発明による断熱装置の構成の一態様を示す図である。
【図4】本発明による、断熱装置に配置されていた反応インゴットを示す図である。
【図5】本発明による、α−サイアロン蛍光材料の成分分析の一態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明のその他の利点及び特徴については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかとなるであろう。下記実施の形態は本発明の技術的手段をより具体的に詳述するためのもので、当然本発明はそれに限定されず、添付クレームの範囲を逸脱しない限り、当業者による単純な設計変更、付加、修飾、及び置換はいずれも本発明の技術的範囲に属する。
【0027】
本発明の各発明者は、窒化物セラミックス粉体(主にAlNとSi)の合成と開発に関する経験、及び燃焼合成上の技術に基づいて、従来方法で窒素酸化物蛍光粉体を合成することによる問題や欠点を改善するために、新たに窒素酸化物蛍光材料、α−サイアロンの新規の合成方法を発明した。この方法は反応物の間の高温下の自動燃焼スプレッド反応によって合成することであり、速い反応、省エネルギー、容易なプロセス、低い合成圧力、簡便な装置、安い原料コスト及び優れた製品性能を有している。
【0028】
本発明によるSiAlON蛍光粉は、化学式がM(Si,Al)12(O,N)16:Aであり、窒化珪素が主格子とし、窒化珪素の珪素―窒素結合がアルミニウム−酸素結合とアルミニウム−窒素結合によって替わられ、主格子の電荷が陽イオンによって中和され、活性化剤がドーピングされてなったものである。その中、Mは陽イオン、Siは珪素、Alはアルミニウム、Oは酸素、Nは窒素、Aは活性化剤イオンである。xはMに対するモル数であり、yはAに対するモル数である。先ず、本発明の装置、一部の製造プロセスを一般的に説明する。主格子の陽イオン(M)はMg、Ca及びYよりなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含み、活性化剤のイオン(A)はEu、Ce、Tb及び希土類元素よりなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む。
【0029】
勿論、陽イオン(M)は他の元素や化合物によって替わられてもよい。表1を参照する。
【0030】
【表1】

【0031】
また、活性化剤のイオン(A)は、他の元素や化合物によって替わられてもよい。表2を参照する。
【0032】
【表2】

【0033】
図1は本発明によるα−サイアロンを含有する蛍光材料の製造装置を示す図である。図1にはチャンバー2が開示されて、気体をチャンバー2から排気すること及び気体をチャンバー2へ導入することが行われるように、チャンバー2には給気口21と排気口20が配置されている。チャンバー2には、チャンバー2内の気体を抜き取り真空にするための真空ポンプ22が配置されている。チャンバー2には、チャンバー2内の気圧を測るための圧力計24と、チャンバー2内の真空度を測るための真空計25が配置されている。さらに、チャンバー2には、温度計(図に示せず)を収容するための温度計ポート23が配置されている。一般的に、温度計ポート23は、熱電対線で作られ、チャンバー2内の熱電対接触部(図に示せず)とチャンバー2外の温度測定装置(図に示せず)とを接続するものである。
【0034】
図1にはさらに、α−サイアロンを含有する蛍光材料を生産する原料を収容する断熱装置1が配置されている。断熱装置1の上方にはヒーター27(通常タングステンコイル)が吊り下げられて、ワイヤー26に接続されて電力をヒーター27へ提供するものである。原料が断熱装置1内に放置されると、ヒーター27で加熱して原料を反応させて、本発明のα−サイアロンを含有する蛍光材料を得ることができる。
【0035】
本発明はさらに、α−サイアロンを含有する蛍光材料の製造方法を提供する。該製造方法は、インゴットを提供する工程と、該インゴットと点火剤を混合し、反応インゴットを得る工程と、該点火剤を燃焼させ、該反応混合物の反応(一般的に、窒化反応)を誘発し、蛍光材料を得る工程と、を備えてなる。インゴット及び反応インゴットの製造について、インゴット及び反応インゴットの製造プロセスを示す図2を参照する。
【0036】
図2には、一般的に粉状を呈するインゴット原料3’が開示されている。インゴット原料3’をインゴット鋳型30に入れて、プレス5で粉状を呈するインゴット原料3’を圧縮して、インゴット3を得る。粉状を呈する点火剤原料4’を用意する。反応インゴット鋳型40に一部の点火剤原料4’を入れて、インゴット3を反応インゴット鋳型40に入れて、さらに反応インゴット鋳型40に点火剤原料4’を補充して、反応インゴット鋳型40内の点火剤原料4’とインゴット3をプレス5で圧縮して、反応インゴット4を得る。図2から見れば、インゴット原料3’と点火剤原料4’を混合するために、好ましくは点火剤原料4’でインゴット3を覆う、ことが分かる。そうすると、図1に示すように、ヒーター27が外から反応インゴット4を加熱するので、点火剤原料4’は容易に加熱されて十分に燃焼することができる、という長所がある。
【0037】
点火剤原料4’でインゴット3を覆うことによる作用を説明する。先ず、点火剤が速やか燃焼して発生した高温は、短時間に十分の熱量を提供して、インゴット内の反応物を分解すること、及び窒素酸化物を生成することに供される。また、点火剤が燃焼して生成した生成物は、構造上密度が高く、窒素ガスの漏出を防ぐことができ、反応インゴット内の固体窒素源からの窒素ガスを保持することで、窒素酸化物を生成することにも役立つ。もう一つの長所は、点火剤が点火して燃焼し続けると、省エネルギーのためにヒーターを切ることができる。さらに、点火剤が密接にインゴットに隣接しているので、その間の熱伝導効率が高く、直接にヒーターを用いることよりも有効である。点火剤は、Ti/C混合物、Mg/Fe混合物、Al/Fe混合物及びAl/Fe混合物よりなる群から選ばれた少なくとも一つである、或いは少なくとも二つ以上の組合せを含む。
【0038】
図3は本発明による断熱装置の構成を示す図である。断熱装置1はベース10を含み、ベース10上に容器11が設置されている。容器11には、反応インゴット4(図1を参照)を収容する内部空間110がある。容器11には、断熱装置1表面の温度を測るための熱電対接触部(図に示せず)を収容する穴12をさらに備えていてもよい。
【0039】
図4は本発明による、断熱装置に設置されている反応インゴットを示す図である。断熱装置1はベース10を含み、ベース10上に容器11が設置されている。容器11には、反応インゴット4を収容する内部空間110がある。各反応インゴット4に多少の寸法上の許容範囲があり、反応インゴット4を内部空間110に入れる際に、反応インゴット4と内部空間110の壁との衝突を防止するために、反応インゴット4と内部空間110の壁との間に隙間があるようにする。その隙間がある場合に、断熱装置1の断熱効果を保つために(つまり、両者間の隙間による空気対流のせいで熱が発散することを防止するために)、反応インゴット4と内部空間110の壁との間にある隙間に、絶縁性粉体6を充填する。絶縁性粉体6は一般的にセラミックス粉体であってもよい。絶縁性粉体6の作用は、放熱を防止することだけでなく、固体窒素源からガス散逸現象を遅らせることもある。従って、転換率を向上し、集塊作用を減少させ、製品の蛍光強度を増加することができる。
【0040】
図5は本発明によるα−サイアロンを含有する蛍光材料の成分分析図である。図5から見れば、製品には塩素とナトリウムがある。よって、塩化ナトリウムがある。
【0041】
総体的に言えば、断熱装置による長所は下記の数点にある。先ず、断熱材料は保温機能を有し、反応インゴットが燃焼された後、内部から散逸した窒素源による熱対流現象を減少させ、且つ熱輻射が直接に外部へ散逸することを減少させることができる。よって、反応温度も従来技術よりさらに上昇でき、高温時間も従来技術よりさらに持続でき、蛍光の強度もさらに向上できる。また、反応温度がより上昇し持続時間がより長くなるので、製品の純度は向上し、製品中の不純物は減少し、洗淨などのステップも不要で、製造プロセスの複雑度を減少させることができる。その上、断熱装置と反応インゴットとの間に粉体があるので、内部から散逸したガスが同伴した粉末はセラミックス粉体によって濾過され、断熱装置のチャンバーの汚染を減少することができる。さらに、隔熱装置の使用のため、点火剤をやや少なく用いれば、断熱装置が不要で所望の反応温度に達することができる。よって、製造コストが減少し、エネルギーの使用効率を向上することができる。
【0042】
上記目的を達成するための本発明は、α−サイアロンを含有する蛍光粉体の製造方法を提供するものである。該製造方法は、α−サイアロンのインゴットを提供する工程と、インゴットと点火剤を混合し、反応インゴットを得る工程と、点火剤を燃焼させ、反応インゴットの窒素化反応を誘発して蛍光材料を得る工程と、を備えてなる。ここで述べた点火剤は上記の点火剤原料4’であり、上記の、外部から燃焼点火剤でインゴット3を覆う方式は良い選択肢である。
【0043】
断熱装置に反応インゴットを配置するステップはここでは繰り返さない。断熱装置には、単一の反応インゴットが配置されるとは限らなく、一つ以上の反応インゴットが配置されてもよい。図2を参照する。反応インゴット鋳型40が十分大きくなると、一部の点火剤原料4’が充填された後、複数のインゴット3を反応インゴット鋳型40内に配置することができ、後のステップは上記と同じである。すると、複数のインゴット3を含む、容積の大きい反応インゴットができる。もちろん、点火剤原料4’によって外部から覆われた反応インゴット4を複数、チャンバー110に(図3を参照)設置してもよく、点火の順序は同時または前後してもよい。点火剤原料は一般的にMgとFeからなる混合物でもよく、好ましくはMg対Feのモル比が1〜8である。
【0044】
前記インゴットはさらに固体窒素源或いはハロゲン化アンモニウム源を含んでいる。ハロゲン化アンモニウムの作用は下記のようにある。(1)自分自身の、分解時の吸熱反応によって、燃焼温度を降下させ、固体含窒素化合物の分解を緩やかにし、固体窒素源が十分に利用されるようにすることができる。(2)ハロゲン化アンモニウムが分解して生成したハロゲンは金属とともにハロゲン化物形態の活性化剤を形成し、その活性化剤の反応によって窒素化物の生成を促進することができる。(3)ハロゲン化アンモニウム、固体含窒素化合物が分解して生成した金属蒸気が反応して塩類を生成して、金属蒸気の散逸を減少させ、製造設備に対する浸食作用を防止することができる。固体窒素源の作用は、下記のようにある。(1)熱分解した後、窒素源を提供する。(2)均一的に反応インゴットに分布した高い窒素含量の密度を持ち、気体窒素源を用いる場合のように極高圧が要せずに、分解して生成した窒素ガスは金属粉末と十分接触させることができる。(3)分解して生成した金属蒸気が目標とする金属の窒化反応の触媒作用を有することができる。(4)ハロゲン化アンモニウムが分解して生成したハロゲンとは反応して塩類を生成して、反応器に対する浸食作用を防止しながら、融剤として高温下の焼結のため流動状態を提供し、反応物イオン同士の間の拡散、反応を容易にすることができる。固体窒素源はNaN、KN及びBaよりなる群から選ばれた少なくとも一つである、或いは少なくとも二つ以上の組合せを含んでもよい。
【0045】
図1を参照する。上記の製造方法はチャンバー2内において行われてもよい。図1に示すように、チャンバー2には断熱装置1が配置されており、断熱装置1は図4に示すようである。このように、より容易に反応の生成範囲及び製造時の各制御パラメーターを有効に制御することができる。
【0046】
本発明に開示した窒化物蛍光粉の合成方法が要する窒素ガスの圧力は以下の要因に関係する:固体含窒素化合物の種類と量、反応インゴットの体積対外部から覆っている点火剤の厚さの比率、燃焼点火剤の種類、粒径および密度、及び断熱装置の有無。α−サイアロン蛍光材料の性質は、反応物の組成、点火剤の組成、反応インゴットの寸法と密度、反応温度、窒素ガスの圧力などのパラメーターによって制御することができる。以下に複数の実施例のよって説明する。しかし乍、以下の実施例は本発明の技術的手段をより具体的に詳述するためのもので、当然本発明はそれに限定されず、添付特許請求の範囲を逸脱しない限り、当業者による単純な設計変更、付加、修飾、及び置換はいずれも本発明の技術的範囲に属する。
【実施例1】
【0047】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:9.2:2:0.4:0:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレスで成形する。MgとFe(即ち、図2に示した点火剤原料4’)を4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレスで成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に絶縁性粉体(一般的に、窒化アルミニウムを含む粉体)を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器(即ち、図1のチャンバー2)に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイル(即ち、図1のヒーター27)に通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで解析され、波長が400nm〜670nmの黄色可視光線を発光する。
【実施例2】
【0048】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレスで成形する。MgとFe(即ち、図2に示した点火剤原料4’)を4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴット4にプレスで成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成に呈しており、PLで解析され、波長が400nm〜680nmの黄色可視光線を発光する。
【実施例3】
【0049】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:6.2:2:0.4:1:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを隔熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmの黄色可視光線を発光する。
【実施例4】
【0050】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:11:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に磨がれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜680nmの黄色可視光線を発光する。
【実施例5】
【0051】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:14:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜700nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例6】
【0052】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:18:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例7】
【0053】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例8】
【0054】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.18のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜680nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例9】
【0055】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.05のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例10】
【0056】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.07のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を填充し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜680nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例11】
【0057】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.09のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜680nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例12】
【0058】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜680nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例13】
【0059】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:9.2:2:0.4:0:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1cm、長さが1cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空を作ってから5気圧程度の窒素ガスを填充する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例14】
【0060】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1cm、長さが1cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を填充し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例15】
【0061】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1cm、長さが1cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、隔熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例16】
【0062】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.03のモール比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレスで形成する。MgとFeを4:1のモール比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレスで形成する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は遂に発生し、約1〜3秒の時間に反応は完成した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで鑑定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例17】
【0063】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから9気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒化反応は遂に発生し、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで分析された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例18】
【0064】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜680nmである黄色い可視光線を発光する。
【実施例19】
【0065】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びCeOを0.8:7.7:2:0.4:0.5:9.936:4.829:0.06のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレスで形成する。該反応インゴットを隔熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を充填し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒素化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄緑色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に砕かれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜650nmである黄緑色の可視光線を発光する。
【実施例20】
【0066】
Ca、Si、Al、Al、Si、NaN、NHCl、及びEuを0.8:7.7:2:0.4:0.5:10:4.829:0.03のモル比で均一的に混合し、直径が1.7cm、長さが1.7cmである円柱状のインゴットにプレス成形する。MgとFeを4:1のモル比で混合し、それでインゴットを完全に覆い、直径が3cm、長さが3cmである円柱状の反応インゴットにプレス成形する。該反応インゴットを断熱装置のチャンバーに配置し、断熱装置と円柱状の反応インゴットとの間の隙間に窒化アルミニウムを含む粉体を填充し、それを円柱状の反応インゴットとともに密封した反応器に配置し、真空にしてから5気圧程度の窒素ガスを充填する。タングステンコイルに通電し円柱状の反応インゴットの上端を加熱し、MgとFeを点火して反応させる。すると、点火剤による燃焼波は下へ伝送し、内部反応物の窒化反応は直ちに起こり、約1〜3秒の時間に反応は完遂した。生成物は淡黄色の粉末状のものになっている。その生成物は簡単に磨がれ、XRDで同定された後、Ca−α−サイアロンの蛍光構成を呈しており、PLで分析され、波長が400nm〜670nmである黄色い可視光線を発光する。
【0067】
本発明は、燃焼合成原理によってα−サイアロンを主体格子としての蛍光粉を合成するものであり、従来の技術と比べて全く異なるものである。本発明は従来の技術と比べて以下に述べるような長所を有している。
【0068】
先ずは極めて迅速な反応である。本発明による方法は燃焼合成原理を用い、反応が加熱点火されるために数秒しか掛からない。点火された後、燃焼合成反応は数十秒以内に完遂する。対照的に、従来技術の方法は、反応が完了するまで高温(1300〜2200℃)下で数時間かかる。よって、本発明による方法は反応が速く、製造速度が速いなどの長所を有している。
【0069】
もう一つの長所は省エネルギーである。本発明による方法は、反応物が発熱燃焼合成反応を行い生成した大量の熱を利用し、反応物を加熱し自己反応をさせるものである。反応が行っている途中で外部からエネルギーを少しも必要とせず、全ての反応過程にはただ反応開始前に本発明の点火剤を燃焼するために外部から提供されたエネルギーを要するだけである。この点火は、反応物のほんの一部を加熱するだけで進行し、一般的に点火にはただ1000ワットの電力で約5秒の加熱だけで十分である(そうしたら、燃焼合成反応が点火され、加熱用の電源はすぐに切断してよい)。対照的に、従来の技術は炉で反応物を高温(例えば、2050℃)になるまで加熱し、且つ反応を完了するために、高温下で数時間保持しなければならない。また、本発明は、熱損失を減少するために断熱装置を用いるので、有効的にエネルギーの使用効率を向上し、燃焼点火剤の用量を減少することができる。従来の技術に比べて、本発明の方法はこのように明らかな省エネルギーの効果を有する。
【0070】
もう一つの長所は単純なプロセスである。本発明による方法は、反応物粉体と活性化剤を構成するイオン源とを適当な割合で充分に混合し、反応物混合粉体を形成し、それは燃焼合成反応のために点火され、製品粉体を得るものであり、本発明の方法は、単一のステップのみを含む。対照的に、従来の技術は反応の完遂のために二つ或いはそれ以上の反応ステップを要する。例えば、水熱法は、数種の反応物を溶液に混合させ加熱し、遠心分離と洗淨と乾燥などのステップを行い、熱処理してから蛍光粉を得る。或いは、固相反応方は、反応物を混合するほか、さらに冷間静水圧プレス又は熱圧力焼結などのステップを用いる必要があり、製品の凝集がかなりあり、粉砕工程を要する。従来技術に比べて、本発明はこうして単純プロセスの重要な利点がある。
【0071】
もう一つの長所は低圧合成である。本発明による方法は新たな燃焼合成方法を用い、従来の燃焼合成方法に比べると、より低い圧力(0.5MPa未満)で行われることができる。よって、設備やガスのコストも大きく削減され、危険性も減少させることができる。
【0072】
もう一つの長所は単純な製造装置である。本発明による方法の用いた燃焼合成設備は構成が単純で、開閉可能な、貝殻形状の密閉空間と、その中に設置された断熱装置とを含み、1000ワット電力の供給能の加熱装置を密閉空間に配置することだけで十分であり、全体の反応は数十秒以内に完了し、とりわけ反応が5気圧で(0.5MPa)上記の低圧合成を行う。よって、本発明に用いた装置は設計が容易で、特別の建造技術を要せず、コストも低い。本発明による断熱装置は、一般的な断熱材料によって製造され、容易に建造されたもので、コストを低減させ、エネルギー使用率をかなり向上させることができる。対照的に、従来の技術による反応器は高窒素圧(例えば、10気圧以上)で反応物を極高温(例えば、1800℃)になるまで加熱し、且つ高温下で数時間維持する必要があるので、この種の装置の設計と製造には、ハイテックの製造技術が要り、コストも高い。よって、従来技術との比較において、本発明は単純な製造装置と低い装置コストの利点を有す。
【0073】
要約すると、本発明は新たな燃焼合成方法を用い、α−サイアロンを主体格子としての蛍光粉体を製造するものであり、燃焼点火剤の加熱、点火を通じて熱を反応物へ提供し反応させ、保温機能を有する断熱装置を用いている。この断熱装置は、反応物から熱量が散逸すること減らし、熱を反応物に集中することができる。よって、反応時間が少なくなり、内部から生成したガスの損失を減少させることができる。よって、転換率が向上し、製品の不純物を減少させ、製造プロセスのステップを少なくさせ、発光強度を向上し、発光波長を上手く調整することができるようになる。また、この反応は反応中に高熱が生成し、活性化剤イオンを速やかに主体格子に拡散させるので、短時間で性能が優れたα−サイアロン蛍光粉体を生成することができる。
【0074】
まとめて言えば、従来の技術に比べると、本発明は省エネルギー、速やかな反応、容易な製造プロセス、簡単な設備、低圧合成などの長所を有している。従来の技術に比べると、本発明は、製造コストが少なくなるという効果を奏することができる。発光ダイオード産業に関連する技術に大いに貢献するものである。
【0075】
上記実施の形態は本発明の技術的手段をより具体的に詳述するためのもので、当然本発明はそれに限定されず、添付クレームの範囲を逸脱しない限り、当業者による単純な設計変更、付加、修飾、及び置換はいずれも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0076】
1 断熱装置
10 ベース
11 容器
110 内部空間
12 穴
2 チャンバー
20 排気口
21 吸気口
22 真空ポンプ
23 温度計ポート
24 圧力計
25 真空計
26 ワイヤー
27 ヒーター
3 インゴット
3’ インゴット原料
30 インゴット鋳型
4 反応インゴット
4’ 点火剤原料
40 反応インゴット鋳型
6 絶縁性粉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−サイアロンを有する蛍光材料の製造方法であって、
α−サイアロンの前駆体を提供する工程と、
前記前駆体と点火剤を混合し、反応混合物を得る工程と、
前記点火剤を燃焼させ、前記反応混合物の反応を誘発して蛍光材料を得る工程とを備えてなることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記反応混合物を断熱装置に配置する工程と、
前記反応混合物と前記断熱装置との間に絶縁性粉体を充填する工程と、
前記反応混合物をチァンバーに配置する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記前駆体は少なくとも一つの反応インゴットを含み、且つ前記前駆体と前記点火剤を混合する工程の期間中において、前記反応インゴットは前記点火剤によって包まれており、
前記点火剤を燃焼させる工程は前記反応混合物を加熱することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記点火剤はTi/C混合物、Mg/Fe混合物、Al/Fe混合物及びAl/Fe混合物よりなる群から選ばれた少なくとも一つであるか、或いは少なくとも二つ以上の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記点火剤はMg/Fe混合物を含み、前記Mg/Fe混合物にはMg対Feのモル比が1〜8であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記前駆体は固体窒素源を含み、前記固体窒素源はNaN、KN及びBaよりなる群から選ばれた少なくとも一つである、或いは少なくとも二つ以上の組合せを含み、
前記前駆体はハロゲン化アンモニウム源を含み、
前記前駆体は、前記点火剤と混合し合うような複数の反応インゴットを含み、且つ前記点火剤を燃焼させる工程は前記複数の反応インゴットを連続して加熱することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
α−サイアロンを含有する蛍光材料であって、
化学式はM(Si,Al)12(O,N)16:Aであり、
Mは陽イオンであり、
xはMの相対モル数であり、
Aは活性化剤イオンであり、
yはAの相対モル数であることを特徴とする蛍光材料。
【請求項8】
前記蛍光材料はさらにナトリウム、塩素及び鉄よりなる群から選ばれた少なくとも一つの元素をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の蛍光材料。
【請求項9】
前記蛍光材料は塩化ナトリウムをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の蛍光材料。
【請求項10】
前記MはMg、Ca及びYよりなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含み、前記AはEu、Ce、Tb及び希土類元素よりなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含むことを特徴とする請求項7に記載の蛍光材料。
【請求項11】
α−サイアロンを有する蛍光材料の製造装置であって、
前記蛍光材料を製造するための原料を収容する断熱装置と、
前記断熱装置に隣接して配置され、前記蛍光材料を製造するために前記原料を加熱するためのヒーターと、を備えてなることを特徴とする製造装置。
【請求項12】
前記断熱装置と前記ヒーターはチャンバー内に配置されており、
前記断熱装置と前記蛍光材料を製造するための前記原料との間にさらに絶縁性粉体が配置されていることを特徴とする請求項11に記載の製造装置。
【請求項13】
前記絶縁性粉体はセラミックス粉体を含むことを特徴とする請求項12に記載の製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−107186(P2012−107186A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91714(P2011−91714)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(511097256)
【Fターム(参考)】