説明

α−チオエステル化合物の製造方法およびその製造中間体

【課題】 MMP阻害活性を示すベンゾチアジン−3−オン誘導体の製造に用いられる新規な合成中間体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
式(1)


(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表わし、Rはアルキル基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基またはアルキコキシカルボニル基を表す。)
で示される化合物、 および式(1)の化合物を塩基の存在下、式(2)



(式中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表わす)で示される化合物と反応せしめることを特徴とする式(3)



(式中、R、RおよびRは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるα-チオエステル化合物の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬中間体として有用なα-チオエステル化合物の製造方法およびその製造中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害活性を示すベンゾチアジン−3−オン化合物が開示されている(明細書8頁および29頁に記載の式[3]の化合物および85頁の表6に記載の化合物)。
【0003】
【特許文献1】国際公開パンフレット第00/63197号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ベンゾチアジン−3−オン誘導体の製造に用いられるα−チオエステル化合物の製造方法およびその製造に用いられる新規な合成中間体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、
式(1)

【0006】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表わし、
はアルキル基を表し、
は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基またはアルキコキシカルボニル基を表す。)
で示される化合物、および式(1)の化合物を、塩基の存在下、式(2)


【0007】
(式中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表わす)
で示される化合物と反応せしめることを特徴とする式(3)


【0008】
(式中、R、RおよびRは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるα-チオエステル化合物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の式(1)で示される化合物は新規な化合物であり、これを用いることで医薬中間体として有用なα-チオエステル化合物を容易に合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
式(1)の化合物(以下化合物(1)と略記する。)の置換基について説明する。
【0011】
で表されるハロゲン原子としてはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子またはフッ素原子などが挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基およびt−ブチルオキシ基等のC1−4のアルコキシ基が例示される。
【0012】
で表される、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基およびtert−ブチル基等のC1−4のアルキル基が例示される。
【0013】
で表されるアリール基としては例えばフェニル基等が例示される。アリールオキシ基としては例えばフェノキシ基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基のアルコキシ基としては、上記C1−4のアルコキシ基と同様のものが挙げられる。アルコキシ基およびハロゲン原子としては、R1において例示されたものと同様のものがあげられ、アルキル基としては、R2において例示されたものと同じ基が挙げられる。
【0014】
化合物(1)としては、ラセミ化合物の他に、式(4)


【0015】
(式中、R、RおよびRは前記のとおりであり、*で示される炭素原子は不斉炭素原子を表す。)
で示される光学活性化合物を用いてもよい。かかる光学活性化合物を用いることにより光学活性なベンゾチアジン−3−オン誘導体を製造することもできる。
具体的には、以下のような光学活性化合物およびそのラセミ化合物が例示される。
(R)−2−フェニルスルホニルオキシ−5−フェニルペンタン酸メチル、
(R)−2−フェニルスルホニルオキシ−5−フェニルペンタン酸エチル、
(R)−2−フェニルスルホニルオキシ−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、
(R)−2−フェニルスルホニルオキシ−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、
(R)−2−フェニルスルホニルオキシ−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、
(R)−2−フェニルスルホニルオキシ−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0016】
(R)−2−(2−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(2−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(2−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(2−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(2−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(2−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0017】
(R)−2−(3−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(3−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(3−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(3−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(3−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(3−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0018】
(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0019】
(R)−2−(2−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、
(R)−2−(2−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、
(R)−2−(2−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(2−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(2−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(2−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0020】
(R)−2−(3−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、
(R)−2−(3−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、
(R)−2−(3−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(3−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(3−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(3−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0021】
(R)−2−(4−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、
(R)−2−(4−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、
(R)−2−(4−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(4−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(4−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(4−ビフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0022】
(R)−2−(2−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(2−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(2−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(2−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(2−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(2−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0023】
(R)−2−(3−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(3−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(3−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(3−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(3−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(3−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0024】
(R)−2−(4−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(4−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(4−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(4−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(4−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(4−フェノキシフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0025】
(R)−2−(2−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(2−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(2−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(2−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(2−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(2−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0026】
(R)−2−(3−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(3−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(3−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(3−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(3−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(3−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0027】
(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0028】
(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0029】
(R)−2−(3−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(3−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(3−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(3−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(3−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(3−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0030】
(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0031】
(R)−2−(2−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(2−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(2−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(2−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(2−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(2−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0032】
(R)−2−(3−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(3−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(3−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(3−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(3−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(3−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0033】
(R)−2−(4−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(4−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(4−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(4−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(4−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(4−シアノフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0034】
(R)−2−(2−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(2−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(2−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(2−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、
(R)−2−(2−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(2−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0035】
(R)−2−(3−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(3−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(3−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(3−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、(R)−2−(3−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(3−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0036】
(R)−2−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸メチル、(R)−2−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸エチル、(R)−2−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−プロピル、(R)−2−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸イソプロピル、
【0037】
(R)−2−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸n−ブチル、(R)−2−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニルオキシ)−5−フェニルペンタン酸tert−ブチル、
【0038】
(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(2−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(3−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、
(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)]ペンタン酸エチル、(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(2−フルオロフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(3−フルオロフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(4−フルオロフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(2−クロロフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(3−クロロフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(フェニルスルホニルオキシ)−5−(4−クロロフェニル)ペンタン酸エチル、
【0039】
(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−クロロフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−ブロモフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−ブロモフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−ブロモフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル等が挙げられる。
【0040】
かかる化合物(1)は、「非特許文献1」に記載の方法に従って、光学活性な2−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸エステル類を、有機溶媒中または無溶媒で、塩基の存在下、置換フェニルスルホニルハライドもしくは置換フェニルスルホン酸無水物を作用させることで合成できる。
【0041】
【非特許文献1】Bull Chem Soc Jpn., 68,297(1995)
【0042】
光学活性な2−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸エステルは、参考例に示した方法、または特許文献2に記載の方法により合成される。
【0043】
【特許文献2】特開2002−37761号
【0044】
次いで、式(1)の化合物を、塩基の存在下、式(2)の化合物と反応させ式(3)で示されるα-チオエステル化合物を製造する方法について説明する。
式(2)において、Rで表されるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、としては上記Rに関して例示したものと同様のものが挙げられる。
【0045】
式(2)の化合物としては、具体的には、
2−メルカプト−3−メチルニトロベンゼン、2−メルカプト−4−メチルニトロベンゼン、2−メルカプト−5−メチルニトロベンゼン、2−メルカプト−6−メチルニトロベンゼン、
【0046】
2−メルカプト−3−フェニルニトロベンゼン、2−メルカプト−4−フェニルニトロベンゼン、2−メルカプト−5−フェニルニトロベンゼン、2−メルカプト−6−フェニルニトロベンゼン、
【0047】
2−メルカプト−3−メトキシニトロベンゼン、2−メルカプト−4−メトキシニトロベンゼン、2−メルカプト−5−メトキシニトロベンゼン、2−メルカプト−6−メトキシニトロベンゼン、
【0048】
2−メルカプト−3−フェノキシニトロベンゼン、2−メルカプト−4−フェノキシニトロベンゼン、2−メルカプト−5−フェノキシニトロベンゼン、2−メルカプト−6−フェノキシニトロベンゼン、
【0049】
メチル 4−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、メチル 3−メルカプト−2−ニトロベンゾエート、メチル 2−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、メチル 3−メルカプト−4−ニトロベンゾエート、
【0050】
エチル 4−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、エチル 3−メルカプト−2−ニトロベンゾエート、エチル 2−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、エチル 3−メルカプト−4−ニトロベンゾエート、
【0051】
イソプロピル 4−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、イソプロピル 3−メルカプト−2−ニトロベンゾエート、イソプロピル 2−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、イソプロピル 3−メルカプト−4−ニトロベンゾエート、
【0052】
n−プロピル 4−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、n−プロピル 3−メルカプト−2−ニトロベンゾエート、n−プロピル 2−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、n−プロピル 3−メルカプト−4−ニトロベンゾエート、
【0053】
n−ブチル 4−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、n−ブチル 3−メルカプト−2−ニトロベンゾエート、n−ブチル 2−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、n−ブチル 3−メルカプト−4−ニトロベンゾエート、
【0054】
tert−ブチル 4−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、tert−ブチル 3−メルカプト−2−ニトロベンゾエート、tert−ブチル 2−メルカプト−3−ニトロベンゾエート、tert−ブチル 3−メルカプト−4−ニトロベンゾエート等が挙げられる。
【0055】
式(1)の化合物および式(2)の化合物を反応せしめる際に用いる塩基としてはトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、トリブチルアミン、トリn−オクチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラメチルグアニジンなどの窒素原子が三級化された有機塩基が挙げられ、好ましくはトリエチルアミンである。かかる塩基の使用量としては式(1)の化合物1モルに対して通常、0.1から5モルであり、好ましくは1から1.5モルである。
【0056】
式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応は、無溶媒もしくは溶媒中でその両者を接触、混合することにより行なわれ、その混合順序は特に制限されない。式(2)の化合物の使用量としては、それぞれの製造コストおよび収率を考慮して適宜設定すればよく、通常化合物(1)に対して0.5から5モルであり、好ましくは1から1.5モルである。溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチルなどのエステル系溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、ニトロメタン、水等の単独または混合溶媒が挙げられ、好ましくはトルエンである。かかる溶媒の使用量は、化合物(1)1重量部に対して、通常2〜100重量部、好ましくは5〜40重量部である。反応温度は、通常、−78〜100℃であり、好ましくは−10〜30℃である。
【0057】
塩基を作用させたのち、後処理することにより、式(3)のα-チオエステル化合物もしくはその光学活性体を取り出すことができる。
【0058】
例えば、必要に応じて、水および/または水に不溶の有機溶媒を加えて抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、式(3)のα-チオエステル化合物もしくはその光学活性体を取り出すことができる。
【0059】
取り出したα-チオエステル化合物もしくはその光学活性体は、必要により、例えば再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
【0060】
かくして得られる式(3)のα-チオエステル化合物および式(5)


【0061】
(式中、R、RおよびRは前記のとおりであり、*で示される炭素原子は不斉炭素原子を表す。)
の光学活性化合物としては、例えば、下記の光学活性化合物およびそれを含むラセミ化合物が例示される。
(S)−2−(2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸メチル、
(S)−2−(2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸n−プロピル、
(S)−2−(2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸イソプロピル、
(S)−2−(2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸n−ブチル、
(S)−2−(2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸tert−ブチル、
【0062】
(S)−2−(3−メチル−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(4−メチル−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(5−メチル−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(6−メチル−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
【0063】
(S)−2−(3−メトキシ−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(4−メトキシ−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(5−メトキシ−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(6−メトキシ−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
【0064】
(S)−2−(2−ニトロ−3−フェノキシフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(2−ニトロ−4−フェノキシフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(2−ニトロ−5−フェノキシフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(2−ニトロ−6−フェノキシフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
【0065】
(S)−2−(3−シアノ−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(4−シアノ−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(5−シアノ−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
(S)−2−(6−シアノ−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
【0066】
(S)−2−(3−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、(S)−2−(4−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、(S)−2−(5−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、(S)−2−(6−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−ペンタン酸エチル、
【0067】
(S)−2−(3−メチル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(2−メチルフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(4−メチル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(3−メチルフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(5−メチル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(4−メチルフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(6−メチル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(4−メチルフェニル)ペンタン酸エチル、
【0068】
(S)−2−(3−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(2−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(4−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(5−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(3−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(6−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(3−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、
【0069】
(S)−2−(3−メトキシ−2−ニトロフェニルチオ)−5−(2−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(4−メトキシ−2−ニトロフェニルチオ)−5−(3−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(5−メトキシ−2−ニトロフェニルチオ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(6−メトキシ−2−ニトロフェニルチオ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、
【0070】
(S)−2−(2−ニトロ−3−フェノキシフェニルチオ)−5−(2−フェノキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(2−ニトロ−4−フェノキシフェニルチオ)−5−(3−フェノキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(2−ニトロ−5−フェノキシフェニルチオ)−5−(4−フェノキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(2−ニトロ−5−フェノキシフェニルチオ)−5−(4−フェノキシフェニル)ペンタン酸エチル、
【0071】
(S)−2−(2−ニトロ−4−エトキシカルボニルフェニルチオ)−5−(2−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(2−ニトロ−4−エトキシカルボニルフェニルチオ)−5−(3−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル、(S)−2−(2−ニトロ−4−エトキシカルボニルフェニルチオ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸エチル等。
【0072】
α-チオエステル化合物もしくはその光学活性体は、例えば鉄粉もしくは亜鉛末による還元による方法、またはパラジウム等を触媒とする接触還元による方法を適宜選択することにより、ベンゾチアジン化合物の製造に用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
実施例1
(R)−2−ヒドロキシ−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸メチル1.00g(97.5%ee)をトルエン5.0mLに溶解し、氷冷下塩化p−トルエンスルホニル1.00g、トリメチルアミン塩酸塩 40mgを仕込んだ。トリエチルアミン552mgを滴下して150分後、水 5mLを滴下して反応を停止し、有機層を分離した。有機層を水5mLで洗浄し、減圧下溶媒を留去して(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニル)−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸メチルの粗物質を得た。これをトルエンで希釈してトルエン溶液 6.61gを得た。
【0075】
上記(R)−2−(4−メチルフェニルスルホニル)−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸メチルのトルエン溶液6.61gを氷冷下かきまぜながら、エチル−4−メルカプト−3−ニトロベンゾエート1.15gをトルエン7.4mLに溶解したものを滴下した。続いてN−メチルモルホリン510mgを滴下して同温度で92時間保温した。1mol/L塩酸 7mLを仕込み、有機層を分離した。水層をトルエン5mLで2回抽出し、合わせた有機層を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学株式会社製 球状中性シリカゲル、80g、トルエン-酢酸エチル = 5:1)にて精製し、(R)−2−(4−エトキシカルボニル−2−ニトロフェニルチオ)−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸メチルの粗物質 1.30g (収率69.1%、HPLC 純度76.7%)を得た。得られた化合物の光学純度を測定したところ97.0%eeであった。
【0076】
光学純度分析法
カラム:ダイセル化学工業株式会社製 CHIRALPAK AD-H , 4.6mmφ×25cm, 5μm
移動層:n−ヘキサン:イソプロパノール:トリフルオロ酢酸=80:20:0.1
流速:1.0mL/分
【0077】
実施例2
(R)−2−ヒドロキシ−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸30.0g(99.2%ee)をメタノール240mLに溶解し、室温で濃硫酸5.5gを滴下した。1時間加熱還流し、40℃で減圧下濃縮してメタノール193gを留去した。トルエンおよび水それぞれ150gを加えて分液し、水層を分離した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液150gつづいて水150gにて洗浄し、減圧下溶媒を留去して(R)−2−ヒドロキシ−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸メチルの粗物質31.9gを得た。このうち10.5gを次工程にて使用した。
トルエン26mLに溶解して氷冷した後、o−ニトロフェニルスルホニルクロリド11.9gをトルエン26mLに溶解したものを滴下し、さらにトルエン10mLで洗いこんだ。トリエチルアミン5.41gを内温10℃以下に保ちながら滴下して3時間同温度にて保温したのち1mol/L塩酸52.5mLを滴下し、室温へ昇温した。水層を分離し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液52.5mL、水52.5mLの順でそれぞれ1回ずつ洗浄し、減圧下溶媒を留去して(R)−{2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)}−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸メチル23.9gの粗物質を得た。これをトルエンで希釈して全量を76gとした。
エチル−3−ニトロ−4−メルカプトベンゾエートの18%トルエン溶液66gを
氷冷下かきまぜながら、(R)−{2−(2−ニトロフェニルスルホニルオキシ)}−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸メチルの25%トルエン溶液76gを滴下し、続いてトリエチルアミン5.4gを、内温を10℃以下に保ちながら滴下した。90分後、エチル3−ニトロ−4−メルカプトベンゾエートの18%トルエン溶液33g、トリエチルアミン2.7gを追加した。さらに90分後、1mol/L塩酸120mLを滴下し、室温まで昇温してから水層を分離した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液120mLで2回、水120mLで1回洗浄し、減圧下溶媒を留去してメチル−(S)−[2−(2−ニトロ−4−エトキシカルボニルフェニルチオ)]−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸のトルエン溶液68.1gを得た。
還元鉄19.9gを氷酢酸76mLに懸濁させて100℃に加熱し、灰色のスラリーが白濁したことを確認した。ここへ上記メチル−(S)−2−(2−ニトロ−4−エトキシカルボニルフェニルチオ)−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸のトルエン溶液68.1gのうち53.3gを、内温を90〜100℃に保ちながら25分間で滴下した。5時間後、反応液をセライト(10g)上濾過し、80〜90℃のトルエン23mLで2回、45mLで2回洗浄した。濾洗液をあわせたものに1mol/L塩酸96mLを加えて分液し、水層を分離した。有機層を水96mLで2回洗浄し、減圧下共沸にて酢酸を留去しながら濃縮した。さらにトルエン200mLで1回、エタノール200mLで3回共沸して酢酸およびトルエンを留去し、全量を109gとした。精製白鷺0.69gを加えて70℃で1時間かきまぜた。ろ過して濾物を温エタノールで洗浄し、濾洗液をあわせて166gとした。この溶液のうち16.7gを抜き取り、残った149.3g使用して晶析した。
【0078】
内温を70℃に昇温して結晶の完溶を確認し、25℃まで冷却してから1時間保冷し、結晶を析出させた。これを55℃まで再度昇温し、同温度にて1時間保温した。7時間かけて5℃まで冷却し、同温度で約8時間、さらに攪拌を停止して24時間静置した。結晶を濾過して冷エタノール32gで1回、16gで1回洗浄し、40℃で減圧乾燥して
エチル (2S)−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4‐ベンゾチアジン−6−カルボキシラートを、(R)−2−ヒドロキシ−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸より通算収率78.3%で得た。HPLCにて分析したところ化学純度は99.9%であった。原料の(R)−2−ヒドロキシ−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸の光学純度は99.2%であったのに対し、エチル (2S)−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4‐ベンゾチアジン−6−カルボキシラートの光学純度は99.7%eeであった。
H−NMR(CDCl,δ/ppm):1.39(t、3H、J=7.6Hz)、1.6‐1.8(m、2H)、1.8‐2.0(m、2H)、2.55(m、2H)、3.45(dd、1H、5.8&8.8Hz)、3.77(s、3H)、4.40(q、2H、J=7.0Hz)、6.79(d、2H、J=8.6Hz)、7.05(d、2H、J=8.6Hz)、7.35(d、1H、J=8.4Hz)、7.59(d、1H、J=4.0Hz)、7.67(dd、1H、J=4.0&8.4Hz)、8,94(br、1H)
【0079】
実施例3
(R)−2−ヒドロキシ−5−(4―メトキシフェニル)ペンタン酸メチル 500mgをトルエン5gに溶解し、o−ニトロフェニルスルホニルクロライド607mgを加えた。氷冷し、トリメチルアミン塩酸塩24mgを加え、つづいてトリエチルアミン276mgを滴下した。同温度にて1時間30分保温し、30分後、水10g、トルエン5gを加えた。有機層を分離し、水層をトルエン5gで1回抽出した。有機層を合わせて減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30g、最初トルエンのみ、続いてトルエン酢酸エチル20:1)にて精製し、(R)−2−(4−ニトロフェニルスルホニル)オキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸メチル 758mg(収率85%)を淡黄色油状物として得た。
【0080】
H−NMR(CDCl,δ/ppm):1.62−1.75(m、2H)、1.87−1.99(m、2H)、2.50−2.60(m、2H)、3.66(s、3H)、3.76(s、3H)、5.14(t、J=6.2Hz)、6.78(d、2H)、7.03(d、2H)、7.70−7.80(m、3H)、8.10−8.17(m、1H)
【0081】
参考例1
ジエチル−4,4−ジチオビス−3−ニトロベンゾエート24.2gをテトラヒドロフラン81gに懸濁させ、氷冷下かきまぜた。ここへ、水素化ほう素ナトリウム5.1gをテトラヒドロフラン20gに懸濁させたものを4回に分けて仕込んだ。約90分後、3%塩酸194gを滴下してから減圧下溶媒の一部(107g)を留去し、トルエン178gを加えて分液した。水層を分離し、水89gにて洗浄してから減圧下溶媒を留去して共沸脱水した。脱水後、トルエンを加えて全量を132gとし、エチル3−ニトロ−4−メルカプトベンゾエートの18%トルエン溶液132gを得た。
【0082】
参考例2
エチル(2S)− 4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−6−カルボキシレート



【0083】
エチル (2S)-2-[3-(4-メトキシフェニル)プロピル]-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-カルボキシラート(131g、99.4%ee)をDMF(394g)に溶解し、0〜10℃で炭酸セシウム(133g)を加えた。ブロモ酢酸tert−ブチル(100g)を加え、5時間攪拌した。炭酸セシウム(13.3g)、ブロモ酢酸tert−ブチル(10g)を加え、さらに1時間攪拌してから炭酸セシウム(13.3g)およびブロモ酢酸tert-ブチル(10g)を仕込んで攪拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液に氷冷下で注いだ。トルエン(328g)で2回抽出し、あわせた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。溶媒を減圧留去することによって、エチル(2S)− 4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−6−カルボキシレートの粗精製物を得た。これを精製することなく次工程で使用した。

H−NMR (CDCl) δ
1.38(t,J=7.1Hz,3H), 1.49(s,9H), 1.60(m,1H), 1.71(m,1H), 1.75−1.98(m,2H), 2.54(m,2H), 3.48(m,1H), 3.76(s,3H), 4.32−4.41(m,3H), 4.82(m,1H), 6.76−6.80(m,2H), 7.02−7.06(m,2H), 7.40(m,1H), 7.50(m,1H), 7.70(m,1H).
【0084】
参考例3
{(2S)−6−(エトキシカルボニル)−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル}酢酸



【0085】
上記エチル(2S)− 4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−6−カルボキシレート全量を蟻酸470gに溶解し、40℃に昇温した。さらに蟻酸235gを2回追加し、反応終了を確認してから減圧下濃縮した。トルエン1702gを加えて共沸し、残留物にトルエンおよび水を仕込んで分液した。水層を分離し、有機層を水851gで洗浄し、活性炭9gを加えて室温でかきまぜてから濾過した。トルエン693gを減圧下留去し、50℃に昇温してヘプタン1020gを滴下した。50℃以下に冷却し、種晶0.1gを添加した。45℃で1時間保温して結晶を析出させ、5℃以下まで冷却する際にヘプタン170gを添加した。結晶を濾過し、トルエン-ヘプタンの混液170gで洗浄し、{(2S)-6-(エトキシカルボニル)-2-[3-(4-メトキシフェニル)プロピル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-4H-1,4-ベンゾチアジン-4-イル}酢酸(128.1g)を通算収率84.9%で得た。H−NMR (CDCl) δ:1.39(t,J=7.2Hz,3H), 1.60(m,1H), 1.70(m,1H), 1.75−1.93(m,2H), 2.52(m,2H), 3.50(m,1H), 3.77(s,3H), 4.38(q,J=7.2Hz,2H), 4.59(m,1H), 4.92(m,1H), 6.76−6.80(m,2H), 7.00−7.04(m,2H), 7.41(d,J=8.1Hz,1H), 7.55(m,1H), 7.71(m,1H).
【0086】
参考例4
(−)−エチル 4−[2−(ヒドロキシアミノ)−2−オキソエチル]−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]− 3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン6−カルボキシラート


【0087】
{(2S)−6−(エトキシカルボニル)−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル}酢酸(参考例3の化合物)(126g)をTHF(228g)に溶解し、N−メチルモルホリン30gを加え、カルボン酸のN−メチルモルホリン塩の溶液を調製した。クロロギ酸イソブチル(43g)をテトラヒドロフラン228gで希釈したものを0〜5℃で保温し、上記の溶液を滴下して混合酸無水物溶液を調製した。
50%ヒドロキシルアミン水溶液56gをテトラヒドロフラン228gで希釈して0〜5℃に冷却したところに混合酸無水物溶液を滴下し、反応終了を確認してから8%塩化アンモニウム水溶液1770gを加え、トルエン455gを加えて分液した。水層を分離し、有機層を5%重曹水885gで1回、水885gで1回洗浄し、減圧下溶媒を留去した。トルエン569gを加え、60〜65℃に昇温してから種晶0.12gを加えた。結晶析出後5℃まで冷却し、結晶を濾過して冷トルエン223gで洗浄した。減圧下乾燥して(−)−エチル 4−[2−(ヒドロキシアミノ)−2−オキソエチル]−2−[3−(4−メトキシフェニル)プロピル]−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−6−カルボキシラートの粗精製物(103.0g、)を得た。このうち111gをさらにエタノール−水(15重量倍:9重量倍)より再結晶して上記化合物(103.0g、光学純度99.9%ee)を得た。光学純度分析条件は以下のとおりである。〔カラム:AD-H(ダイセル社、CHIRALCEL);検出波長(UV):254nm;流速:1.0ml/min;移動相:n−ヘキサン/イソプロピルアルコ−ル/TFA=80/20/0.1〕
融点:143.5〜144.5℃
[α]20 =−85.3°(c:1.0,CHCl
H−NMR (CDCl) δ:1.40(t,J=7.2Hz,3H), 1.59(m,1H), 1.67(m,1H), 1.77−1.93(m,2H), 2.54(m,2H), 3.47(m,1H), 3.77(s,3H), 4.38(q,J=7.2Hz,2H), 4.51(d,J=16.0Hz,1H), 4.68(d,J=16.0Hz,1H), 6.80(m,2H), 7.04(m,2H), 7.41(d,J=8.0Hz,1H), 7.52(br,1H), 7.73(m,1H), 7.98(br,1H), 9.16(br,1H).
【0088】
参考例5:(2R)−2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸

工程F
塩化アルミニウム(185.6g)に塩化メチレン(300ml)を加え、0℃でアニソール(100ml)を滴下した。無水コハク酸(100g)を5回に分けて加え、室温まで昇温し、3時間攪拌した。反応溶液を4N塩酸水(2L)、酢酸エチル(1L)に氷冷下で加え、析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体として、4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸(160g)を得た。
H−NMR (DMSO−d6) δ
2.56(t,J=6.3Hz,2H), 3.18(t,J=6.3Hz,2H), 3.84(s,3H), 7.02−7.07(m,2H), 7.94−7.98(m,2H), 12.14(brs,1H).
工程G
4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸(40g)を酢酸(100ml)、THF(100ml)の混合溶媒に加え(不溶)、10%パラジウム−カ−ボン(50%−wet)(4g)を加えて水素雰囲気下(0.4MPa)で9時間攪拌した。セライト濾過して触媒を除去し、トルエンを加えて溶媒を減圧留去することによって、4−(4−メトキシフェニル)ブタン酸を定量的に得た。
H−NMR (CDCl) δ
1.89(m,2H), 2.32(t,J=7.3Hz,2H), 2.58(t,J=7.4Hz,2H), 3.73(s,3H), 6.78−6.82(m,2H), 7.03−7.08(m,2H), 10.96(brs,1H).
工程H
4−(4−メトキシフェニル)ブタン酸(200g)をエタノール(400ml)に加え、濃硫酸(4ml)を加えた後、1時間加熱還流した。溶媒をおよそ1/2まで減圧留去し、反応溶液を飽和重曹水に注ぎ、酢酸エチル(1L)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄を、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去することによって、4−(4−メトキシフェニル)ブタン酸エチルエステルを定量的に得た。
H−NMR (CDCl) δ
1.24(t,J=7.1Hz,3H), 1.92(m,2H), 2.30(t,J=7.5Hz,2H), 2.59(t,J=7.4Hz,2H), 3.78(s,3H), 4.13(q,J=7.1Hz,2H), 6.80−6.84(m,2H), 7.07−7.12(m,2H).
工程I
氷冷下、4−(4−メトキシフェニル)ブタン酸エチルエステル(200.1g)、シュウ酸ジエチル(407ml)に、予め調製したNaOEt(184g)のエタノール(940ml)溶液を滴下した。50℃で10時間攪拌し、溶液を氷冷した3N塩酸水(1.8L)に注いだ。酢酸エチル(600mlx3回)で抽出し、溶媒を減圧留去した後に分相してくる褐色の有機層を集めた。有機層から析出してくる結晶を濾別し、ヘキサン/酢酸エチル=10/2で洗浄した。洗浄液と最初の有機層とを合一し、溶媒を減圧留去したものを次工程で使用した。
H−NMR (CDCl3) δ
1.25(t,J=7.1Hz,3H), 1.36(t,J=7.1Hz,3H), 2.16−2.28(m,2H), 2.59−2.67(m,2H), 3.89(s,3H), 4.00(t,J=6.9Hz,1H), 4.19(q,J=7.1Hz,2H), 4.32(q,J=7.1Hz,2H), 6.80−6.84(m,2H), 7.07−7.12(m,2H).
工程J
上記の生成物(403g)を1,4−ジオキサン(675ml)に溶解し、3N塩酸水(1100ml)を加えて、23時間加熱還流した。室温まで冷却し、静置して分相させた有機層と、水層からの酢酸エチル(500ml)抽出液を集め、溶媒を減圧留去した。2N水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH9に調整して析出した固形物を濾取し、水洗した。回収した固体に3N塩酸水を加えpH2に調整した後に沈殿を濾取し、水洗後乾燥させることによって褐色固体として、5−(4−メトキシフェニル)−2−オキソペンタン酸(144.8g)を得た。
H−NMR (CDCl) δ
1.96(m,2H), 2.62(t,J=7.4Hz,2H), 2.93(t,J=7.2Hz,2H), 3.79(s,3H), 6.82−6.86(m,2H), 7.05−7.12(m,2H), 8.02(brs,1H).
参考例6:2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸
【0089】

5−(4−メトキシフェニル)−2−オキソペンタン酸(66.6g)(参考例5の化合物)に水酸化ナトリウム(24.0g)と水(450ml)を加え、水冷した。このスラリーに水素化ホウ素ナトリウム(3.99g)を分割して加えると、反応液は一旦清澄になった。2時間撹拌後、3N塩酸水(300ml)を加え、酢酸エチル(300mlx2回)で抽出した。有機層を水(100mlx3回)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去することによって、2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸(63.4g)の粗生成物を得た。
H−NMR (CDCl) δ:1.67−1.80(m,3H), 1.83−1.90(m,1H), 2.62(m,2H), 3.79(s,3H), 4.28 (m,1H), 6.82(m,2H), 7.10(m,2H).
参考例7
(2R)−2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸
【0090】

参考例6に記載の化合物(2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸)(1.0g)をアセトン(10ml)に溶解後、(+)−トリルエチルアミン(0.6g)を加えて加熱還流して完全に溶解させた。室温で結晶を析出させ、粗結晶を濾取した。得られた粗結晶を再度、アセトン(10ml)に懸濁後、還流から徐冷して得られた結晶を濾取して、(2R)−2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸 の(+)−トリルエチルアミン塩(0.59g、98%e.e.)を得た。得られた白色結晶に、1N塩酸水(20ml)を加えて室温で攪拌し、沈殿を濾取し、乾燥することによって白色固体として、(2R)−2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタン酸(0.36g)を98%e.e.の光学純度で得た。光学純度分析条件は以下のとおりである。〔光学純度分析条件:カラム=OJ−H(ダイセル社、Chiralcel);検出波長(UV)=276nm;流速:1.0ml/min;移動相=n−ヘキサン/エタノ−ル/TFA(90/10/0.2)〕
H−NMR (CDCl) δ:1.66−1.92(m,4H), 2.61(m,1H), 3.78(s,3H), 4.26(m,1H), 6.80−6.85(m,2H), 7.03−7.12(m,2H).
参考例9
エチル (2R)−2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタノアート
【0091】

(2R)−2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタノアート(80%e.e.)を用いて、エタノールを触媒量の濃硫酸の存在下に、約60℃で、反応させエチル 2−ヒドロキシ−5−(4−メトキシフェニル)ペンタノエ−トを定量的に得た(80%e.e.)。光学純度分析条件は以下のとおりである。カラム:AD−H(ダイセル社、Chiralcel)
検出波長(UV):254nm
流速:1.0ml/min
移動相:n−ヘキサン/イソプロピルアルコ−ル=90/10
H−NMR (CDCl) δ
1.28(t,J=7.1Hz,3H), 1.60−1.90(m,4H), 2.50.−2.70(m,2H), 2.76(m,1H), 3.78(s,3H), 4.15−4.23(m,1H), 4.23(q, J=7.1Hz,2H), 6.78−6.84(m,2H), 7.06−7.12(m,2H).


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表わし、Rはアルキル基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基またはアルキコキシカルボニル基を表す。)
で示される化合物。
【請求項2】
式(4)


(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表わし、Rはアルキル基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基またはアルキコキシカルボニル基を表し、*で示される炭素原子は不斉炭素原子を表す。)
で示される光学活性化合物。
【請求項3】
式(1)

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表わし、Rはアルキル基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基またはアルキコキシカルボニル基を表す。)
で示される化合物を、塩基の存在下、式(2)


(式中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表わす)
の化合物と反応せしめることを特徴とする式(3)


(式中、R、RおよびRは上記と同じ意味を表わす。)で示されるα-チオエステル化合物の製造方法。
【請求項4】
式(1)の化合物が式(4)


(式中、R、RおよびRは前記のとおりであり、*で示される炭素原子は不斉炭素原子を表す。)で示される光学活性化合物であり、式(3)の化合物が、式(5)


(式中、R、RおよびRは式(1)において定義したとおりであり、*で示される炭素原子は不斉炭素原子を表す。)の光学活性α-チオエステル化合物である請求項3に記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−45793(P2007−45793A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234320(P2005−234320)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】