説明

α−フェトプロテインmRNAの検出および定量のための等温増幅に基づくアッセイ

本発明は、α−フェトプロテイン(AFP)mRNAの検出および定量のための等温転写に基づくアッセイを対象とする。本発明はまた、AFP mRNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドならびに増幅産物の検出および定量に使用するためのプローブを対象とする。本発明はまた、AFP mRNAの存在について末梢血の解析することによる、肝細胞癌、その転移および腫瘍の再発の検出を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−フェトプロテイン(AFP)mRNAの検出および定量のための等温転写に基づくアッセイに関する。本発明はまた、AFP mRNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
医学研究の大きな進展にも関わらず、癌は依然として米国での主要な死亡原因の1つである。先進工業国では、約5人に1人が癌で死亡している。肝細胞癌(HCC)は世界で最も一般的な癌の1つである。HCC患者の長期生存のための唯一の希望は、外科的切除または肝臓移植である。Wong らの "Circulating Tumor Cell mRNAs in Peripheral Blood From Hepatocellular Carcinoma Patients Under Radiotherapy, Surgical Resection or Chemotherapy: A Quantitative Evaluation," Cancer Letters, 167: 183-191 (2001)を参照せよ。しかし、少数のHCC患者だけが切除または移植のいずれかによる腫瘍の摘出によって治療され、患者の大多数にとっては、現在の治療は依然として不満足なままであり、その予後は良くない。更に、外見上は切除が成功した患者の半数以上が、後に再発を起こす。Wong ら、上述およびWong らの"Hematogenous Dissemination of Hepatocytes and Tumor Cells After Surgical Resection of Hepatocellular Carcinoma: A Quantitative Analysis," Clinical Cancer Research, 5: 4021-4027 (1999)を参照せよ。
【0003】
α-フェトプロテインは本来胚形成の間に発現する糖タンパク質である。それは主として、消化管、胃、栄養膜、肺および膵臓と同様に、肝臓細胞でも発現する。肝臓が発達し成熟するにつれて、血清中のAFP濃度は減少する。しかし、AFPレベルはいくつかの病態、特にHCCにおいて上昇するようになり得る。Jiangらの"Detection of Alphafetoprotein-expressing Cells in the Blood of Patients with Hepatoma and Hepatitis," British Journal of Cancer, 75(6): 928-933 (1997)を参照せよ。血清AFPレベルの上昇は、そのこと自体、HCCの診断のための高度に特異的かつ感度の良いマーカーとして使用されている。Jiangら、上述を参照せよ。更に、循環血液中で大幅に上昇したAFP mRNAレベルはHCCの再発または転移と関連することが最近発見された。Wongらの"Quantitative Comparison of Alpha-fetoprotein and Albumin mRNA Levels in Hepatocellular Carcinoma/Adenoma, Non-tumor Liver and Blood: Implications in Cancer Detection and Monitoring," Cancer Letters, 156: 141-149 (2000)を参照せよ。
【0004】
HCCの症状発現後の生存はわずか数ヶ月であり、従って、HCCの早期診断のための技術を確立することが重要である。HCC患者は上昇したAFP mRNAレベルを有することが示されているので、AFP mRNAの存在およびレベルを検出するための模範的なアッセイは明らかにHCCの診断および治療に重要である。
【0005】
現在、酵素免疫測定法(ELISA)などの、α-フェトプロテインを検出するために市販されている様々なアッセイがある。しかし、ELISAなどのアッセイには問題がある。例えば、ELISAでは、タンパク質レベルは必ずしもHCCの臨床病期と相関しない。RT-PCRアッセイのような分子生物学的技術もまた開発されている。しかし、このような生物学的技術では、サーマルサイクラーが必要であり、DNAの混入が懸念される。
【0006】
本発明は、RT-PCRアッセイよりもはるかに有利な、等温の核酸配列に基づく増幅(NASBA)の使用を提供する。特に、NASBAは等温増幅法であり、従って、サーマルサイクラーを必要としない。更に、NASBAはRNAに対して特異的であり、従って、DNAの混入の心配がない。
【0007】
加えて、等温転写に基づく増幅法は、基本的に等温であるため、RT-PCRまたは他の増幅法と比較して、実験者による少しの操作しか必要としない。本方法は、精製もしくは部分精製したRNA抽出物に対して、またはin situ増幅により細胞もしくは組織サンプルに対して用いられうる。更に、サンプルがDNAとRNAとの両方を含む場合には、RT-PCRの使用はDNA分解酵素処理の第1段階を必要とし、またはmRNAおよびDNA由来のPCR産物の増幅産物を区別する何らかの方法が必要である。RT-PCRの前にDNA分解酵素処理が採用され得る(Bitschら、J. Infect. Dis. 167: 740-743 (1993); Meyerら、Mol. Cell Probes, 8: 261-271 (1994))が、それは時に、混入したDNAを十分に除去することができない(Bitschら、上述)。
【0008】
AFP mRNAの検出または定量のための等温増幅法は記載されていなかった。従って、当技術分野において、AFP mRNAの存在を検出し、よってHCC、その転移および癌の再発を検出する等温増幅法に対する必要性がある。
【0009】
発明の概要
本発明は、AFP mRNAの検出および定量のための等温転写に基づく増幅アッセイを提供する。特に、本発明は、サンプル中のα-フェトプロテイン(AFP) mRNAの検出または定量の方法を提供し、それは以下のステップ、すなわち
(a)AFP mRNAを含む可能性のあるサンプルを得ること、
(b)サンプルに対して、2つのオリゴヌクレオチドプライマー、配列番号2および配列番号3からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む第1プライマー、ならびに配列番号6および配列番号7からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む第2プライマーを用いて等温転写に基づく増幅を行うこと、
(c)ステップ(b)の増幅産物を検出または定量し、それによって増幅産物の検出または定量がサンプル中のAFP mRNAの存在または量を示すこと
を含む。
【0010】
使用されるサンプルは様々な生体組織もしくは細胞、またはヒトもしくは他の動物由来のin vitroで培養された細胞でありうる。多くの場合、サンプルは末梢血、またはリンパ節から得られた細胞である。好ましくは、サンプルは細胞を含み、RNAはサンプル中の細胞からステップ(b)の前に抽出される。
【0011】
等温転写に基づく増幅は、好ましくは核酸配列に基づく増幅(NASBA)である。更に、第1プライマーはまた、その5'末端に機能しうる形で付加されたRNAポリメラーゼプロモーター配列を含むことが望ましい。RNAポリメラーゼプロモーター配列は、好ましくは配列番号1に記載のT7 RNAポリメラーゼプロモーターである。
【0012】
本方法におけるステップ(c)は、好ましくは配列番号8による配列を含む標識野生型プローブの使用によって行われ、それによって、野生型プローブの増幅産物へのハイブリダイゼーションはサンプル中のAFP mRNAの存在を示す。ステップ(b)の前に既知量の対照RNA Qを添加し、配列番号10の配列を含む標識プローブの使用によってQの増幅産物を検出することは更に望ましく、それによって、サンプル中のAFP mRNA量がQに対するプローブおよび野生型プローブのシグナルの比較によって計算される。
【0013】
あるいは、本方法におけるステップ(c)は、配列番号8による配列を含む標識野生型プローブおよび配列番号9によるキャプチャープローブの使用によって行われ、それによって、野生型プローブの増幅産物へのハイブリダイゼーションはサンプル中のAFP mRNAの存在を示す。
【0014】
本発明はまた、配列番号2、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のオリゴヌクレオチドを提供する。配列番号2、配列番号3、配列番号6および配列番号7は好ましいオリゴヌクレオチドである。
【0015】
加えて本発明は、配列番号2、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、約15〜26ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを提供する。そのオリゴヌクレオチドは、好ましくは配列番号2、配列番号3、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される。より好ましくは、オリゴヌクレオチドは配列番号2および配列番号3からなる群より選択され、オリゴヌクレオチドは更に、その5'末端に機能しうる形で付加されたRNAポリメラーゼプロモーター配列を含む。そのRNAポリメラーゼプロモーター配列は、好ましくは配列番号1に記載のT7 RNAポリメラーゼプロモーターである。
【0016】
更に、本発明は、AFP mRNAの検出または定量のためのオリゴヌクレオチド対を提供する。その対の第1オリゴヌクレオチドは約15〜26ヌクレオチドの長さであり、配列番号2および配列番号3からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。好ましくは、第1オリゴヌクレオチドはその5'末端に機能しうる形で付加されたRNAポリメラーゼプロモーター配列を含み、そのRNAポリメラーゼプロモーター配列は、好ましくは配列番号1に記載のT7 RNAポリメラーゼプロモーターである。その対の第2オリゴヌクレオチドは約15〜26ヌクレオチドの長さであり、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。
【0017】
本発明はまた、サンプル中のAFP mRNAの検出または定量のためのプライマー対を提供する。そのプライマー対は、配列番号2および配列番号3からなる群より選択される第1プライマー、ならびに配列番号6および配列番号7からなる群より選択される第2プライマーを含む。好ましくは、第1プライマーは更に、その5'末端に機能しうる形で付加されたRNAポリメラーゼプロモーター配列を含む。そのRNAポリメラーゼプロモーター配列は、好ましくは配列番号1に記載のT7 RNAポリメラーゼプロモーターである。
【0018】
加えて、本発明は、サンプル中のAFP mRNAの検出または定量のためのキットを提供する。そのキットは、上記で定義したプライマー対、ならびに配列番号8および配列番号10からなる群より選択される少なくとも1つのプローブを含む。キットはまた、配列番号9によるキャプチャープローブを含むことが望ましい。
【0019】
本発明はまた、サンプル中のAFP mRNAの検出または定量のための別のキットを提供する。そのキットはオリゴヌクレオチド対を含む。その対の第1オリゴヌクレオチドは約15〜26ヌクレオチドの長さであり、配列番号2および配列番号3からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。その対の第2オリゴヌクレオチドは約15〜26ヌクレオチドの長さであり、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。
【0020】
サンプル中のAFP mRNAの存在およびレベルは、本発明によって検出または定量され得る。AFP mRNAの存在およびレベルは疾患の進行と相関し、従ってHCCの予後および/または管理に有用な情報である。
【0021】
発明の詳細な説明
等温転写に基づくアッセイは、AFP mRNAの検出および定量のために使用される。等温転写に基づく増幅システムにおける増幅は、3つの酵素活性(逆転写酵素、RNase HおよびRNAポリメラーゼ)の協調的な活性、ならびに標的配列に特異的な(本明細書においてプライマーと呼ばれる)2つのDNAオリゴヌクレオチドによって達成される。等温増幅法はRNA鋳型を用いて開始され、DNAおよびRNAを交互に合成する。RNA鋳型、プライマーおよび逆転写酵素を用いて、RNA/DNAハイブリッドが生成される。そのRNAはRNase H活性によりハイブリッドから分解される。その後、2本鎖DNAが逆転写酵素によって別のプライマーを用いて生成され、その後2本鎖DNAは、RNAポリメラーゼによる大量のRNA合成のための鋳型として用いられる。プライマーの1つは、鋳型に相補的な配列に加えて、RNAポリメラーゼによって使用され得るRNAポリメラーゼプロモーターおよび転写開始部位を生成するために必要な更なる配列を有する。1本鎖RNA産物は、増幅産物を固定化するために使用できる更なるプローブを用いてまたはそれを用いずに、適切に標識されたオリゴヌクレオチドDNAプローブのハイブリダイゼーションによって容易に検出できる。増幅産物の検出は標的分子(RNA)がサンプル中に存在することを示し、特定の量の増幅産物の検出は標的分子が特定の量でサンプル中に存在することを示す。
【0022】
任意の等温転写に基づくアッセイは、本発明のプライマーおよびプローブとともに用いられうる。本発明の等温転写に基づくアッセイは、当業者によって容易に決定され得る条件下で行われる。
【0023】
本発明の好ましい増幅法は、NASBAと呼ばれる等温転写に基づく増幅システムである。NASBA法は米国特許第5,409,818号および5,554,527号に開示され、それぞれは参照により本明細書に組み入れられる。NASBAはT7 RNAポリメラーゼの使用を含み、T7プロモーターを含む鋳型から複数コピーのRNAを転写する。更なるNASBAアッセイはまた、米国特許第6,093,542号および6,121,023号に開示され、それぞれは参照により本明細書に組み入れられる。
【0024】
核酸増幅のための別の技術は、いわゆる転写に基づく増幅システム(TAS)である。TAS法は国際特許出願PCT公開番号WO 88/10315に記載され、参照により本明細書に組み入れられる。転写に基づく増幅技術は通常、2つのオリゴヌクレオチドを用いる標的核酸の処理を含み、その1つは機能的なプロモーターを含む鋳型を生成するためのプロモーター配列を有する。複数コピーのRNAが鋳型から転写され、更なる増幅の基礎としての役割を果たし得る。
【0025】
他の転写に基づく増幅技術は、欧州特許出願第408295号(「EP 408295」)に記載され、参照により本明細書に組み入れられる。EP 408295は主として二酵素転写に基づく増幅法に関する。欧州特許出願第329822号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されたNASBA法などの転写に基づく増幅法は、通常一組のオリゴヌクレオチドとともに使用され、その1つは例えばT7ポリメラーゼなどのDNA依存性RNAポリメラーゼ活性を持つ酵素によって認識されるプロモーター配列を備えている。転写に基づく技術のいくつかの改変が当技術分野において知られている。これらの改変は、例えば保護基を有するオリゴヌクレオチド(プロモーター配列を備えうる)の使用を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、そこから進行する伸長反応を阻害するように保護基で保護されている(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,554,516号を参照)。1以上の「プロモーター・プライマー」(プロモーター配列を備えるオリゴヌクレオチド)が転写に基づく増幅技術に使用されてもよく、任意に、プロモーター配列を備えていない1以上のオリゴヌクレオチドの使用と併用されうる。
【0026】
「オリゴヌクレオチド」という用語は本明細書において用いられる場合、2個以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドからなる分子を指す。このようなオリゴヌクレオチドはプライマーおよびプローブとして使用されうる。
【0027】
当然のことながら、本発明のオリゴヌクレオチドの配列を基にして、オリゴヌクレオチドの類似体もまた調製され得る。このような類似体は「PNA」(通常の核酸のリン酸糖骨格の代わりにペプチド様骨格を持つ分子)などのような代替構造を構成しうる。本発明の配列に相当するこれらの代替構造が同様に本発明の一部であることは明らかである。
【0028】
「プライマー」という用語は本明細書において用いられる場合、天然に生じる(例えば制限断片のような)または合成によって生成されるオリゴヌクレオチドを指し、それは、ヌクレオチドおよびDNA依存性もしくはRNA依存性ポリメラーゼのような核酸重合のための物質の存在下で、適切な条件下(例えば、バッファー、塩、温度およびpH)に置かれた際に、核酸鎖(鋳型もしくは標的配列)に相補的なプライマー伸長産物の合成の開始点として作用できる。プライマーは重合のための物質の存在下で伸長産物の合成を引き起こすために十分な長さでなくてはならない。一般的なプライマーは標的配列に実質的に相補的または相同な少なくとも10ヌクレオチドの長さの配列を有するが、それより多少長いプライマーが好ましい。通常プライマーは約15〜26ヌクレオチドを有するが、特にプライマーが特定のポリメラーゼに対するプロモーター配列のような付加的な配列を含む場合、より長いプライマーもまた使用されうる。
【0029】
通常、一組のプライマーは、ともに増幅産物(プライマーを用いて増幅されるであろう配列)を規定する1つの「上流」(P2)プライマーおよび1つの「下流」(P1)プライマーの、少なくとも2つのプライマーからなる。プライマーの1つは、標的配列にハイブリダイズできる配列に加えて、プロモーター活性を提供する配列を有することが理解される。そのプロモーター配列はプライマー配列の5'末端に機能しうる形で付加される。ほとんどの場合、P1プライマーがプロモーター配列を含むであろう。
【0030】
「プロモーター配列」という用語は、認識した配列に結合し、RNA転写産物を産生する転写過程を開始させる、あるRNAポリメラーゼによって特異的に認識される核酸配列領域を定義する。原則として、その開始配列を認識できる既知の利用可能なポリメラーゼがある、任意のプロモーター配列が使用されうる。既知の有用なプロモーターは、バクテリオファージT3、T7またはSP6などの特定のバクテリオファージRNAポリメラーゼによって認識されるものである。しかし、それらのプライマーとしての機能、例えば伸長反応のための開始点は、既に上述されたように保護基で保護されるかもしれず、または転写に基づく増幅反応のいくつかの実施形態においては欠如しているかもしれない。特に好ましいプロモーター配列はT7 RNAポリメラーゼプロモーターの配列であり、その配列は以下の通りである。
AATTCTAATACGACTCACTATAGGG(配列番号1)
下記の配列番号4および5は、配列番号1として上記に示されたT7プロモーター配列に機能しうる形で連結された特異的な標的プライマーの配列を含む。これはNASBAなどの転写に基づく増幅技術における下流プライマーとしての使用に特に適した配列になる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態は、核酸増幅におけるセットとして使用するための本発明に従った2つのオリゴヌクレオチドの組合せである。増幅反応において、オリゴヌクレオチドの1つは「上流オリゴヌクレオチド」すなわち上流プライマーとして機能し、一方、第2オリゴヌクレオチドは「下流オリゴヌクレオチド」すなわち下流プライマーとして機能しうる。
【0032】
好ましくは、逆転写酵素活性はトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)の逆転写酵素によって提供され、RNAポリメラーゼはT7 RNAポリメラーゼによって提供される。
【0033】
等温転写に基づく増幅法の利点の1つは、PCRなどの他の増幅法と比較して、基本的に等温であることにより実験者による少しの操作しか必要としないことである。しかし、高温段階の欠如は適切なプライマーを見いだすことを多少難しくする(下記参照)。
【0034】
本発明の増幅方法は、核酸を含むサンプルの抽出物、またはin situでの増幅のための全細胞もしくは組織に適用されうる。そのサンプルは、ヒトからの様々な体液、特に血液、血漿、および血清でありうる。サンプルはまた、ヒトからの組織サンプル、例えばリンパ組織でもありうる。
【0035】
本方法が核酸を含むサンプルの抽出物に適用される場合には、そのサンプルは全RNA抽出物(ChomczynskiおよびSacchi, Anal. Biochem., 162: 156 (1987)に記載されたものなど、参照により本明細書に組み入れられる)または「Boom」抽出物(Boomら、J. Clin. Micro., 28: 495-503 (1990)を参照、参照により本明細書に組み入れられる)でありうる。本方法は「Boom抽出物」に適用するのが好ましい。
【0036】
増幅産物は適切に標識されたオリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションによって検出される。標識は、放射性成分、検出可能な酵素、または比色、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光(ECL)シグナルなどの他の任意の検出可能なシグナルを生じることのできる成分を含みうる。ELGA(酵素結合ゲルアッセイ(enzyme-linked gel assay))およびin situハイブリダイゼーションなどの他の解析システムも使用できるが、好ましくは、ブロッティングに基づくハイブリダイゼーション解析および液相ハイブリダイゼーションに基づくECL解析が使用される。
【0037】
本発明の1つの実施形態では、増幅産物はアガロースゲル電気泳動によって分離され、その後ナイロンメンブレンに転写され、標準的な方法を用いて32Pで5'末端標識されたプローブとハイブリダイズされる。その生成物はその後オートラジオグラフィーによって可視化される。本発明の第2の実施形態では、増幅産物はELGAを用いて検出できる。この方法では、増幅反応産物に特異的でありその5'末端にホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)を結合させたプローブを、増幅産物にハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション生成物はその後、ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動によって分離される。熱量酵素反応はゲル中の反応生成物の可視化を可能にする。本発明の第3の実施形態は、電気化学発光反応(すなわちECL)を使用する。この実施形態は、ビオチン・アビジン相互作用を介してストレプトアビジンでコートした磁気ビーズの表面上に固定化された、ビオチン化キャプチャープローブを使用する。このシステムはまた、増幅産物の独立した領域にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチド検出プローブを必要とする。この検出プローブはECLシグナルの発生に関与する物質であるルテニウムで標識される。
【0038】
本発明の定量方法は、抽出過程および増幅アッセイ自体の効率を観察するために、1以上の内部対照を使用してもよい。その検出システムはRomanoら、DNA Technology, 16: 89-103 (1996)、およびVan Gemenら、J. of Virol. Methods, 49:157-168 (1994)に詳細に記載され、それぞれは参照により本明細書に組み入れられる。内部対照についての方法はVan Gemenら、Reviews in Medical Virology, 5: 205-211 (1995)に記載され、参照により本明細書に組み入れられる。
【0039】
本発明の定量アッセイの好ましい実施形態では、既知量のin vitroで転写されたQ RNAをRNA抽出前のサンプルに混入させ、その後サンプル自体と同様の抽出および増幅手順を行う。QプローブはQ増幅産物を検出するために用いられ、野生型プローブはサンプル中のAFP mRNAの増幅産物を検出するために用いられる。Q増幅産物由来のシグナル量をその後、野生型増幅産物由来のシグナル量と比較し、サンプル中に存在するAFP mRNA量を決定する。
【0040】
それはまた、in situ形式でのアッセイに適応させることにも関連し、組織、特にリンパ組織の病理学的研究に有用であろう。本方法がin situでの解析のために固定された標品に対して実施される場合には、本方法は以下のように実施される。サンプルは様々な体液または組織サンプルを含みうる。リンパ組織はin situでの解析に好ましい組織である。その細胞を固定し、その後細胞膜の透過性を最適化するために透過可能にする。固定剤は、アセトンおよびメタノール、エタノール、ホルマリン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドもしくはPermafix.RTM.などの、細胞または組織標品のために当技術分野において通常使用されるものであり、透過化はプロテイナーゼKまたはペプシノーゲンなどのタンパク質分解酵素によって行われる。その後、転写に基づく反応を阻害しうるすべての試薬を除去するために、細胞を洗浄する。透過化は、細胞がすべての必要な増幅反応成分の侵入を可能にするが、標的および増幅産物を細胞内に保持する程度に行われる。更に、NASBA反応を最適化するために、グリセロールまたはDMSOなどの共溶媒が添加されうる。
【0041】
増幅産物の検出は、(例えばビオチンもしくはジゴキシゲニン-UTPによる)直接標識によって、または標識プローブによるin situハイブリダイゼーションによって行われ得る。直接標識法は、取り込まれなかった標識を除去する一方、増幅産物を維持するように条件が最適化され得ることを必要とする。
【0042】
本発明の特に好ましい実施形態では、等温転写に基づく増幅法は特定のRNA抽出技術(「Boom抽出」、Boomら、上述)およびECL検出(電気化学発光)と併せて使用される。そのシステムの利点は、配列レベルのデータを提供できる増幅に基づくアッセイと関連することである。これらの同様の利点のいくつかはRT-PCRに存在する(すなわち、ELISAを越える高い感度、遺伝子配列特異性)が、RNAに対するNASBAにはRT-PCRを越える利点がある。これらは、等温増幅、増幅への逆転写の組み込み、(Boom抽出物による)より幅広い種類の試料の適用、ならびにECL検出の感度およびダイナミックレンジを含む。
【0043】
Boom抽出物はDNAおよびRNAの精製された調製品である。Boom法は、シリカ粒子または珪藻の核酸結合特性に加えて、カオトロピック剤グアニジンチオシアネート(GuSCN)の溶解特性およびヌクレアーゼ不活化特性に基づく。サイズ分画したシリカ粒子の使用によって、共有結合的閉環状、弛緩型(relaxed)環状、直鎖状二本鎖DNA、一本鎖DNA、tRNA、mRNAおよびrRNAを含む核酸がサンプルから1時間以内に精製でき、元の反応容器に回収できる。
【0044】
少量のサンプルを固相の核酸担体およびGuSCNを含む、溶解バッファーを含んでいる反応容器にピペットで分取する。細胞の溶解が起こり、放出された核酸は担体に結合する。担体・核酸複合体は遠心分離によって分離できる。数回の洗浄段階を経て、その後複合体は乾燥される。核酸は最初の反応容器中で水性低塩バッファーに溶出され、増幅反応に使用される。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、20μlの増幅反応は、40 mM Tris pH 8.5; 12 mM MgCl2; 70 mM KCl; 5 mM DTT; 各1 mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP; 各2 mMのATP、CTPおよびUTP; 1.5 mM GTP; 0.5 mM ITP; 15%DMSO; 各0.2μMのオリゴヌクレオチドP1およびP2; 1.5 Mソルビトール; 2.1μg BSA; 0.08ユニットのRNase H; 32ユニットのT7 RNAポリメラーゼ; ならびに6.4ユニットのAMV-RTからなる。その20μlの増幅反応は、5μlの核酸抽出物、10μlのプレミックスおよび5μlの酵素混合物からなる(酵素混合物はボルテックス撹拌してはならない)。核酸サンプルが減少した場合(5μl)には、核酸を添加する際に全容量が15μlに留まるように、それに応じて水の量を増加させる。
【0046】
本方法は以下のように実施され得る。すなわち、
1. プレミックスを混合する。
【0047】
2. 10μlのプレミックスをエッペンドルフチューブ中の5μlの核酸に加える。
【0048】
3. 65℃で5分間インキュベートする。
【0049】
4. 41℃のヒートブロックに移し、5分間インキュベートする。
【0050】
5. 5μlの酵素混合物を加える。
【0051】
6. ボルテックス撹拌せずに混合する。
【0052】
7. 41℃で5分間インキュベートする。
【0053】
8. チューブのふたに冷却による結露がある場合には、それらをスピンダウンしてもよい。
【0054】
9. 41℃で90分間インキュベートする。
【0055】
10. サンプルをスピンダウンし、-20℃で保存する。
【0056】
NASBAアッセイの開発において直面する技術的な課題は、プライマーの選択である。配列データから選択され、プライマーのためのすべての既知の必要条件に合うプライマーが実際には機能しないことはしばしば起こる事例である。更に、ある場合では、プライマーは、in vitroで転写されたRNA、ウイルスストック、または標的遺伝子の非常に高い発現を伴う細胞株などのモデルシステムを用いて開発されたが、それらのプライマーは、標的分子が臨床サンプルのバックグラウンドの中にある場合には、機能しないことが見いだされた。この問題の根底にある正確なメカニズムは理解されていないが、それは、標的分子の二次構造を完全には融解させない、および/または、サンプル中のバックグラウンド核酸へのプライマーの非特異的結合を許容する、NASBA反応のより低い温度に起因して起こると考えられている。臨床サンプルへのNASBAシステムの適用にとって、プライマーがバックグラウンド核酸によって使い果たされずに、標的分子への特異的な結合に利用可能であることが不可欠である。この問題は、低いNASBA温度が鋳型RNAの二次構造を緩めることが出来ないことによって生じ、適切なプライマーのアニーリングをより一層困難にしている。従って、実際のプライマーは経験的研究によってのみ開発することができ、NASBA法の根本的な性質(すなわち低温)は機能的なプライマーセットの正確な予測を妨げる。
【0057】
本発明の方法では、プライマーおよびプローブがAFP mRNAの転写のために設計された。プライマーおよびプローブ配列はこの遺伝子についてのGenbank登録から導かれた(受入番号NM_001134)。全4種類のプライマーが最初に設計、合成され、標的配列に対して4つのプライマーの組合せ(P1A およびP2A (「AA」); P1AおよびP2B (「AB」); P1BおよびP2A (「BA」); ならびにP1BおよびP2B (「BB」))がある。プライマーおよびプローブは下記の表1に記載されている。
【表1】

【0058】
PmはT7 RNAポリメラーゼプロモーター配列(配列番号1)を表し、T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列は配列番号4および5ではイタリック体で示される。Qプローブにおいてイタリック体で示されたヌクレオチドは、野生型プローブに対する置換を示す。
【0059】
本発明は、以下の実施例において更に詳述されるが、これは説明の目的で提示され、いかなる様式によっても本発明を限定することを意図しない。当技術分野においてよく知られている標準的な技術または以下に具体的に記載される技術が用いられる。
【実施例】
【0060】
実施例1
NASBAの初期評価
2つのP1プライマーおよび2つのP2プライマーは、AFP鋳型に対して上記の表1に記載したように設計された。ChomczynskiおよびSacchiの方法によって肝細胞癌細胞株、Hep 3BからRNAが抽出された。考えられる4つのプライマーの組合せ、AA、AB、BAおよびBBは、5 ngの全RNAを用いた標準的なNASBA反応に使用された。
【0061】
増幅は、5μlの核酸抽出物、10μlのプレミックスおよび5μlの酵素混合物を含む20μlの反応で達成された。20μlの増幅反応は、40 mM Tris pH 8.5; 12 mM MgCl2; 70 mM KCl; 5 mM DTT; 各1 mMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP; 各2 mMのATP、CTPおよびUTP; 1.5 mM GTP; 0.5 mM ITP; 15%DMSO; 各0.2μMのオリゴヌクレオチドP1およびP2; 1.5 Mソルビトール; 2.1μg BSA; 0.08ユニットのRNase H; 32ユニットのT7 RNAポリメラーゼ; ならびに6.4ユニットのAMV-RTで構成された。
【0062】
NASBA産物は、キャプチャープローブおよび野生型(WT)検出プローブによるECL検出を用いて検出された。その結果は下記の表2に示される。
【表2】

【0063】
初期解析は、プライマー対AAおよびABはプライマー対BAおよびBBより若干高いECLシグナルを与えるが、4つのプライマーの組合せすべてがNASBA増幅において機能的であることを示した。
【0064】
実施例2
存在するプライマーの組合せの評価における次の段階は、感度を評価することであった。これは、500 pg〜5 fgのHep 3B全RNAの連続希釈法を行うことによって為された。RNAはプライマー対AA、AB、BAまたはBBを用いて増幅され、キャプチャープローブおよびWT検出プローブを用いたECL検出によって検出された。その結果は下記の表3に示される。
【表3】

【0065】
表3での結果は、NASBAに基づく方法において使用される様々なAFPプライマーの組合せがAFP RNAの検出に対して高感度であることを示す。
【0066】
実施例3
次に、AFP NASBAアッセイの感度が測定された。Hep 3B細胞の希釈を行い、Boom法(Boomら、上述を参照)によって抽出した。抽出物は次にプライマー対AA、ABまたはBBを用いて増幅され、その後、増幅産物はキャプチャープローブおよびWT検出プローブを用いたECL検出法によって検出された。その結果は下記の表4に示される。
【表4】

【0067】
表4での結果は、プライマー対すべてがHep 3B細胞の希釈物に同様の感度を呈することを示す。
【0068】
実施例4
次に、AFP NASBAアッセイの特異性が測定された。in vitroで転写したAFP WT RNAを陽性対照として使用し、全血、正常なヒト血漿およびPBMCならびに様々な細胞株を陰性対照として使用した。2つの大腸腺癌細胞株、HT-29およびCOLO 205は、乳癌細胞株MCF-7および前立腺癌細胞株LNCaPと同様に解析された。細胞はBoom法によって抽出され、その後、抽出物はプライマー対ABを用いて増幅された。増幅産物はその後、キャプチャープローブおよびWT検出プローブを用いたECL検出法によって検出された。その結果は下記の表5に示される。
【表5】

【0069】
その結果は、AFP NASBAアッセイがその目的とする標的に特異的であることを示す。具体的には、その結果は、消化管に関連する細胞株においてわずかに陽性であることを示す。通常、二度の陰性アッセイ(キャプチャープローブおよびWTプローブのみ)を各サンプルから差し引き、陽性を確認する。HT-29およびCOLO 205細胞株は陽性についてのこのカットオフポイントを辛うじて越える。
【0070】
実施例5
AFP RNAのための定量アッセイを次のように開発した。AFPのcDNAをクローニングし、in vitro でのRNAの産生に用い、それはその後、紫外分光光度法を用いてコピー数を定量された。クローニングされたAFP RNAは次に、内部対照および定量に使用されるQ型を産生するためにin vitro突然変異誘発を行った。WTまたはQの in vitro RNAはその後希釈され、プライマー対ABもしくはBBを用いて増幅された。その結果は下記の表6に示される。
【0071】
AFPのQ型は、AFP WTを増幅するために使用されるものと同一のプライマー対を用いて増幅できるが、検出プローブの領域での12ヌクレオチドの置換によってAFP WTと異なる。従って、Q RNAはWTプローブとハイブリダイズせず、WT RNAはQプローブとハイブリダイズしない(データは示さない)。
【表6】

【0072】
表6での結果は、アッセイの感度がWTおよびQ RNAの両方に対して約50コピーであることを示す。両方の種類のRNAが同一チューブ内に存在するであろう定量アッセイに使用される前に、増幅効率がWTおよびQ in vitro RNAの両方について単一で同じであることは重要である。
【0073】
定量アッセイのために、既知量のQ RNAがサンプルに混入され、その後サンプルRNAと同様に抽出および増幅を行った。増幅後、その産物は独立にWTプローブおよびQプローブによって検出された。存在するWT RNA量は、QシグナルのWTシグナルに対して得られた比から計算された。このシグナルの比は、既知量のin vitroで転写されたWT RNAを増幅するプライマー対ABを用いたアッセイにおいて検証された。その結果は下記の表7に示される。
【表7】

【0074】
表7での結果は、AFP RNAがNASBA法を用いて定量され得ることを示す。
【0075】
AFP定量NASBAアッセイはまた、細胞内のAFP RNAの定量にも適用された。Hep 3B細胞およびマカクザル肝臓細胞を鋳型として使用した。細胞を10倍希釈し、Boom法によって抽出し、プライマー対ABを用いて増幅した(データは示さない)。
【0076】
本出願の実施例での結果は、本発明のプライマーおよびプローブが、臨床サンプルのバックグラウンドの中にあっても、低いレベルの標的分子を特異的に検出できることを実証する。加えて、プライマーはQ RNAを増幅できるが、一方、QプローブおよびWTプローブはそれらの相互に排他的な目的の標的にハイブリダイズする(図1参照)。従って、本発明で使用されるプライマーは、AFP RNAの検出および定量において予想以上に良好な結果を提供する。
【0077】
本発明の背景を説明するために、および本発明の実施に関する更なる詳細を提供するために本明細書で使用された出版物ならびに他の資料は、あたかも各々が個別に参照により本明細書に組み入れられたかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0078】
従って、現在本発明の好ましい実施形態であると考えられているものが記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他のおよび更なる実施形態が可能であり、本発明の真の範囲内にあるようなすべてのこのような更なる改変および変更を含むことが意図されることを、当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、野生型RNA(ここで、野生型プローブがその相互に排他的な目的の標的にハイブリダイズされる)、およびQ RNA(ここで、Qプローブがその相互に排他的な目的の標的にハイブリダイズされる)の両方を示す。
【配列表】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のα-フェトプロテイン(AFP)mRNAの検出または定量の方法であって、
(a)AFP mRNAを含む可能性のあるサンプルを得ること、
(b)サンプルに対して、2つのオリゴヌクレオチドプライマー、配列番号2および配列番号3からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む第1プライマー、ならびに配列番号6および配列番号7からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む第2プライマーを用いて、等温転写に基づく増幅を行うこと、
(c)ステップ(b)の増幅産物を検出または定量し、それによって増幅産物の検出または定量がサンプル中のAFP mRNAの存在または量を示すこと、
を含む方法。
【請求項2】
増幅産物の検出に配列番号8の配列を含む標識野生型プローブを使用し、それによって野生型プローブの増幅産物へのハイブリダイゼーションがサンプル中のAFP mRNAの存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)の前に既知量の対照RNA Qを添加すること、および配列番号10の配列を含む標識プローブの使用によってQの増幅産物を検出することを更に含み、それによってサンプル中のAFP mRNA量がQに対するプローブおよび野生型プローブのシグナルの比較によって計算される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
増幅産物の検出に更に配列番号9のキャプチャープローブを使用する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルが細胞を含み、RNAがサンプル中の細胞からステップ(b)の前に抽出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1プライマーがその5'末端に機能しうる形で付加されたRNAポリメラーゼプロモーター配列を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記RNAポリメラーゼプロモーター配列が配列番号1に記載のT7 RNAポリメラーゼプロモーターである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
等温転写に基づく増幅が核酸配列に基づく増幅(NASBA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
配列番号2、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10からなる群より選択されるオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが配列番号2、配列番号3、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される、請求項9に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号2、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、約15〜26ヌクレオチドのオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドが配列番号2、配列番号3、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される、請求項11に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
前記オリゴヌクレオチドが配列番号2および配列番号3からなる群より選択され、前記オリゴヌクレオチドがその5'末端に機能しうる形で付加されたRNAポリメラーゼプロモーター配列を更に含む、請求項11に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
前記RNAポリメラーゼプロモーター配列が配列番号1に記載のT7 RNAポリメラーゼプロモーターである、請求項13に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
AFP mRNAの検出または定量のためのオリゴヌクレオチド対であって、前記対の第1オリゴヌクレオチドは約15〜26ヌクレオチドの長さであり、配列番号2および配列番号3からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含み、前記対の第2オリゴヌクレオチドは約15〜26ヌクレオチドの長さであり、配列番号6および配列番号7からなる群より選択される配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、前記オリゴヌクレオチド対。
【請求項16】
前記第1オリゴヌクレオチドがその5'末端に機能しうる形で付加されたRNAポリメラーゼプロモーター配列を更に含む、請求項15に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項17】
前記RNAポリメラーゼプロモーター配列が配列番号1に記載のT7 RNAポリメラーゼプロモーターである、請求項16に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項18】
サンプル中のAFP mRNAの検出または定量のためのプライマー対であって、配列番号2および配列番号3からなる群より選択される第1プライマー、ならびに配列番号6および配列番号7からなる群より選択される第2プライマーを含む、前記プライマー対。
【請求項19】
前記第1プライマーがその5'末端に機能しうる形で付加されたRNAポリメラーゼプロモーター配列を更に含む、請求項18に記載のプライマー対。
【請求項20】
サンプル中のAFP mRNAの検出または定量のためのキットであって、請求項18に記載のプライマー対、ならびに配列番号8および配列番号10からなる群より選択される少なくとも1つのプローブを含む、前記キット。
【請求項21】
配列番号9のキャプチャープローブを更に含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
請求項15のオリゴヌクレオチド対を含む、サンプル中のAFP mRNAの検出または定量のためのキット。

【図1】
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【公表番号】特表2006−512909(P2006−512909A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546797(P2004−546797)
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/031766
【国際公開番号】WO2004/038366
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(502073946)バイオメリュー・インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】bioMerieux, Inc.
【Fターム(参考)】