説明

ω−3食品及びその製造方法

【課題】 ω-3脂肪酸を含む魚油を含む食品において、魚の臭い及び/風味に乏しい食品を提供する。
【解決手段】 ω-3脂肪酸を含む魚油を含む食品に、食品用の酸及び香料添加剤を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚油を含む食品であって、魚の臭い(aroma)及び/又は風味(flavor)のない食品に関する。
【背景技術】
【0002】
魚油は、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びドコサヘキサエン(DHA)のようなポリ不飽和脂肪酸に富む。これらの脂肪酸は、脂肪酸のω-位から三番目の炭素に二重結合を含むので“ω-3脂肪酸”と呼ばれる。
ω-3脂肪酸を含む魚油の消費は、人及び動物において多くのプラスの健康上の効果を提供しうる。例えば、栄養及び医学の専門家は、近年、魚油から誘導されるω-3脂肪酸が心臓の健康に利点を提供し、トリグリセリドの量を低下させ、低密度リポタンパク質の量を低下させ、かつコレステロールを低下させることを認めた。
ω-3脂肪酸を含む魚油を食品に添加する多くの努力が成されてきた。しかしながら、ω-3脂肪酸を含む魚油は本質的に不快な魚の臭い及び風味を有するので、これらの努力は一般的には成功しなかった。更に、多くの食品中の魚油は酸化を受けやすく、その結果魚油中のω-3脂肪酸含量は低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
魚油を含む従来の食品は不快な魚のような臭い及び/風味があるため、多くの人々、特に子供達は有益なω-3脂肪酸の少ない食事をとる。そこで魚油を含むが、魚の臭い及び/風味に乏しい食品を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ω-3脂肪酸を含む魚油、食品用の酸、及び/又は香料添加剤を含む食品であって、食品用の酸及び香料添加剤が油の魚のような臭い及び/又は風味を隠蔽する食品により前述の目的は対処される。
一実施態様においては、魚油をゼラチンシェル内に封入しうる。マイクロカプセル化した魚油を更に、例えば糖及びグルコースシロップのようなその他の成分とともにゼラチン基剤内に分散させ、“グミ”糖菓食品を創成しうる。
別の実施態様においては、食品用の酸はクエン酸であり、魚のような臭い及び/又は風味の全て又は一部を隠蔽しうる。クエン酸は、組成物の質量の約1乃至約4質量%、任意に約2.5%存在しうる。
第三の実施態様においては、香料添加剤はレモン香料添加剤であり、魚のような臭い及び/又は風味の全て又は一部を隠蔽しうる。レモン香料添加剤は、約0.1乃至約2質量%、任意に約0.25%存在しうる。
更なる実施態様においては、香料添加剤はレモネード香料添加剤であり、魚のような臭い及び/又は風味の全て又は一部を隠蔽しうる。レモネード香料添加剤は、約0.5乃至約3.5質量%、任意に約1.15%存在しうる。
第五の実施態様においては、クエン酸、レモン香料添加剤及びレモネード香料添加剤の各々が魚のような臭い及び/又は風味の一部を隠蔽することにより協力して、それらが食品中の魚のような臭い及び/又は風味を全体として隠蔽しうる。
【0005】
食品を製造する方法には、ω-3脂肪酸を含む魚油を提供すること、食品の約1乃至約4質量%のクエン酸を魚油と混合すること、及び食品の約0.1乃至約2質量%のレモン香料を魚油と混合して食品を形成すること、を含む。任意に約0.5乃至約3.5質量%のレモネード香料を魚油と混合してもよい。
本発明の食品は多くの利点を提供する。例えば、第一に、食品は魚のような臭い及び/又は風味なしにω-3脂肪酸を含む魚油を含む。第二に、グミタイプの食品を創成するために糖菓成分と混合する場合には、その食品は子供達に非常に魅力的であり、その結果ω-3脂肪酸を子供達に与えるのが容易になる。第三に、糖菓製品においてマイクロカプセル化した魚油をゼラチン基剤と混合してグミマトリクスを形成する場合には、魚油の総合的な安定性、及びω-3脂肪酸成分の耐酸化性が改良される。第四に、マイクロカプセル化した魚油を用いる場合には、製品が腸の上部でその油を放出しうるので、魚油の逆流(“げっぷがでるような”とも言われる)、又は魚のような呼気、又はあと味のような不快な副作用なしに魚油の効果的な吸収を提供する。
本発明のこれら及びその他の目的、利点及び特徴は、本発明の詳細な記載及び図面を参照することにより更に容易に理解され認められよう。
【0006】
(発明の詳細な説明)
I. 組成物
食品は、魚油、食品用の酸、及び1種以上の香料添加剤を含む。糖菓成分及びビタミンのようなその他の成分は所望に応じて食品に添加しうる。成分については以下に記載する。
本明細書においては食品をグミタイプの食品に関して記載する。しかしながら、それは種々の異なる糖菓製品、栄養補助食品、及び食料品に添加しうる。食品は、食事に必要な量のω-3脂肪酸を提供するために選択された服用量のω-3脂肪酸栄養補助食品として投与しうるので、それにより被験者にω-3脂肪酸の有利な効果を提供しうる。例えば、食品がグミタイプの食品に含まれ、グミタイプの製品が約3gである実施態様においては、そのようなグミタイプの製品4個が約150mgのω-3脂肪酸を提供する。製品の服用量及び分割数は必要に応じて使用しうる。
少量のクエン酸及びレモン香料を食品に使用した場合に、食品の魚のような臭い及び風味が実質的に完全に除去されるという驚くべき予期せぬ結果が得られた。魚油の臭い及び風味が被験者の風味及び味覚の受容体に打撃を与えるのと実質的に同時に、クエン酸及びレモン香料添加剤の少なくとも一方がぴりっとした及び/又はすっぱい風味及びにおいで同じ受容体を圧倒するように作用する。レモネード香料を製品に添加する実施態様においては、この香料添加剤もまた製品の魚のような臭い及び/又は風味を隠蔽しうる。
被験者に製品を投与した後の風味及びにおいに関する現象の一例を図1に示す。図示されているように、縦軸は被験者が直面する風味及び又はにおいを示し、横軸は時間の経過を示す。図からわかるように、食品の魚油から生ずる魚のような風味及び/臭いは時間TA及びTB間で感知しうる。製品のレモン香料及びクエン酸がこの間の魚の風味及び/又は臭いの認識を隠蔽する。例えば、レモン香料が魚の風味及び/又は臭いの第一の部分を隠蔽し、クエン酸が魚の風味及び/又は臭いの認識の別の部分を隠蔽する。
しかしながら、レモン香料添加剤及びクエン酸の隠蔽能力における隙間のために、短い時間(TC)魚の風味及び/又は臭いが感知される場合がある。そのような隙間が存在する場合には、この時間(TC)中の魚を隠蔽するためにレモネード香料添加剤を任意に組成物に添加しうる。このようにして、魚の風味及び/又は臭いは、これらの特徴が被験者に認識されと思われるTAからTBまでの間中隠蔽される。
【0007】
A. 魚油
食品は、例えばω-3脂肪酸を含む魚から調製された油のような1種以上のω-3脂肪酸を一成分として有するいずれかの適する油を、単独又はその他の油又はいずれかのその他の適する成分と組み合わせて含む。例えば、魚から調製された油並びに植物又は動物のようなその他の源からの油を含む組合せ油が適する。魚油は、カツオ、ニシン、カラフトシシャモ、アンチョビー、タラ、ライバー(liver)、サケ、サバ、メンハーデン、サケ科の魚、イワシ、サメ、マグロ及びそれらの混合物を含むいずれかの適する源から製造しうる。
魚油をゼラチンシェルのようなシェル中に封入して魚油マイクロカプセルを形成することも可能である。マイクロカプセルの粒度は、用途に依存して、約0.1乃至約5,000μ、又は約10乃至約1,000μであるか、又はその他の寸法である。当業者は、魚油をマイクロカプセル化するのに使用するゼラチンが一般的には高熱条件下で安定であることを認めるであろう。魚油マイクロカプセルを水で洗浄及び/又は乾燥するとさらさらした粉末が得られる。適する噴霧乾燥、マイクロカプセル化した魚油は、カナダ国ノバスコシア州のOcean Nutrition Canadaから入手しうる。Ocean Nutritionからのそのような魚油粉末は約60%の魚油を含みうる。食品に使用される魚油粉末の量は、約1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%又は50質量%以上、及び約80質量%、60質量%、70質量%、50質量%、40質量%、30質量%、20質量%又は10質量%以下の量が存在しうる。
【0008】
B.食品用の酸
食品は、食品用の酸を含む。この食品用の酸はクエン酸でもよい。しかしながら、例えば、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、又はリン酸のようなその他の適する酸も含みうる。その他の適する食品用の酸には、乳酸とクエン酸の組合せ(46質量%の乳酸及び32質量%の乳酸)が含まれ、イリノイ州LincolshireのPURAC Americaから入手でき、Purac CL 80%(“Purac CL 21/80”)という商標名で市販されている。例えばクエン酸のような食品用の酸は、約1質量%、1.25質量%、1.5質量%、1.75質量%、2質量%又は2.5質量%以上、及び約2.75質量%、3質量%、3.25質量%、3.5質量%、3.75質量%又は4質量%以下の量、任意に約2.5%が存在しうる。
C.香料添加剤
食品は1種以上の香料添加剤を含む。香料添加剤はレモン香料添加剤でもよい。しかしながら、例えば、オレンジ、ライム、パイナップル、グレープフルーツ、シナモン、クローブ及び種々のミントのようなその他の適する香料添加剤も含みうる。適するレモン香料添加剤の一は、インディアナ州インディアナポリスのSensient Flavors, Inc.から入手しうるWONFレモン香料である。レモン香料添加剤は、約0.1質量%以上約2質量%以下、約0.2質量%以上約0.3質量%以下の量、任意に約0.25質量%が存在しうる。レモン香料が約0.2質量%よりずっと少ないある種の用途においては、官能試験において魚の風味が感知され始めうる。また、レモン香料が約0.3質量%よりずっと多いある種の用途においては、官能試験において被験者により香料のやけどが感知され始めうる。
香料添加剤はまたレモネード香料添加剤でもよく、それはレモン香料添加剤の代わりでも、レモン香料添加剤に加えてもよい。適するレモネード香料添加剤の一は、これもまたSensientから入手しうるレモネード香料である。レモネード香料添加剤は、約0.1質量%、0.25質量%、0.5質量%、0.75質量%又は1質量%以上、及び約1.25質量%、1.5質量%、1.75質量%、2質量%、2.5質量%、3質量%、又は3.5質量%以下の量、任意に約1.15%が存在しうる。
【0009】
D.糖菓成分
食品は種々の糖菓成分を含みうる。一実施態様においては、食品は、例えば、キャンディグミウォーム(worm)、グミベア(bear)のようなグミタイプの製品、及びその他のグミタイプの製品に添加しうる。コーンシロップ、スクロースシロップ、グルコースシロップ及びその他の天然及び人口甘味料のような糖菓成分を製品に添加しうる。そのような成分は従来どおりであり、本明細書においては詳細に記載しない。これらの成分は所望に応じて種々の量を使用しうる。
製品のグミタイプのテクスチャーを創成するためには、製品にゼラチンを添加しうる。ゼラチンもまた種々の量を使用しうる。用途によっては、約225乃至約300Bloomを示す架橋ゼラチンが良好な結果を示した。
マイクロカプセル化魚油をグミタイプの製品に添加すると驚くべき予期せぬ結果が発見された。特にグミタイプの製品は、魚油中に存在するω-3脂肪酸がずっと改良された安定性及び耐酸化性を示した。マイクロカプセル化魚油を更に別のゼラチンマトリクスに封入することにより、魚油中の脂肪酸の酸化を防ぐ二重の障壁が提供されるとされている。
E.ビタミン及び追加の成分
食品は、製品の抗酸化作用及び/又はその他の有利な効果を増強するために追加の成分を含みうる。一実施例においては、組成物は、約0.01乃至約5質量%、任意に約0.05質量%存在する、カリフォルニア州レークビューのNutriliteから入手しうるアセロラ濃縮物ブレンド、約0.01乃至約0.3質量%、任意に約0.15質量%存在するアスコルビン酸、約0.01乃至約10質量%、任意に約0.4質量%存在するトコフェロール(例えば、イリノイ州ラグレーンジのCognis Corpから市販されているT90混合トコフェロール及びF1000混合トコフェロールのような混合トコフェロール)を含みうる。その他のビタミン、酸化防止剤及び植物栄養剤は所望に応じて添加しうる。
【0010】
II. 製造方法
代表的なグミタイプの食品に関して、食品を製造する一般的な方法を記載する。一工程において、ゼラチンを水和させる。水和したゼラチンにペクチンを添加する。例えば、コーンシロップ及び水素化グルコースシロップのような糖菓成分を添加する。魚油粉末及びスクロースを予備ブレンドし、次いでこの混合物も添加する。用途によっては、魚油粉末及びスクロースの予備ブレンドが魚油粉末とその他の成分との均質混合を容易にする。
別の工程において、標準直接蒸気噴射調理器具又はジェット調理器具を用い約118℃(245°F)〜約138℃(280°F)に混合した成分を加熱する。一実施態様においては、ジェット調理器具を用いた加熱は製品を高度に脱気するので、その結果より透明なグミタイプの最終製品となることが観察された。
次いで成分を約71℃(160°F)〜約93℃(200°F)に冷却する。レモン香料、及び任意のレモネード香料を添加する。クエン酸は最後に混合物に添加してもよい。用途によっては、クエン酸を最後に添加するとペクチンが硬化して固化したマトリクスを形成するのを容易にすることが発見された。
成分の添加が完了したら、注入可能な物質を、例えばヒトデ、シェル、魚又はクマのような所望の形に形成された凹部を含むでんぷんの型に注入してもよい。物質を低温乾燥室中で約24乃至48時間冷却させる。この冷却中に、でんぷんが任意に物質から水分を吸収しうる。
グミタイプの製品が十分に形成された後、それらをでんぷんから除去して、例えば粘着を防ぐために糖衣をかけたり油を添加したりすることにより更に処理しうる。次いで最終的なグミタイプの製品を包装する。
以下の実施例は本発明を更に例証及び説明するために提供するのであって、いずれの点に関しても限定と解釈されるべきではない。特に指示がなければ、全ての部及び%は質量に基づく。
【実施例1】
【0011】
この実施例においては、表1の成分を含むグミタイプの製品を製造した。その後グミタイプの製品の特性を試験する官能試験を実施する。










【0012】
【表1】

【0013】
方法の一工程において、ゼラチンを82℃(180°F)の水中で水和させる。別の工程において、ペクチンを水和したゼラチンに添加する。コーンシロップ及び水素化グルコースシロップを更に添加する。魚油粉末及びスクロースを予備ブレンドし、この混合物も添加する。
魚油粉末を乾燥させ、ゼラチン内に魚油を封入する。そのようなカプセル化魚油粉末は約60%の魚油及び約40%のゼラチンである。凍結乾燥、エタノールを用いた乾燥又は噴霧乾燥のようないずれかの方法により乾燥させうる。噴霧乾燥技術は、その開示が参考として本明細書に導入されているK. Mastersによる“Spray Drying Handbook”第5版 Longman Scientific Technical U. K. (1991)に開示されている。ゼラチン内への乾燥魚油粉末の封入は、参考として本明細書に導入されている米国特許第4,895,725号に記載されているようにして成しうる。
別の工程で、標準直接蒸気噴射調理器具を用い約129℃(265°F)に混合した成分を加熱する。その後、成分を約93℃(200°F)に冷却する。レモン香料、レモネード香料、トコフェロール、アセロラ濃縮物及びアスコルビン酸を混合物に添加する。
別の工程で、クエン酸/乳酸成分を混合物に添加する。
成分の添加が完了したら、その注入可能な物質を3.2gのアリコートに注ぎ、クマの特徴を表すキャビティを有するでんぷんの型に注入する。物質をそれぞれの型の中で硬化させて半固体のグミのクマを形成させる。適する硬化の後、クマの型を除去し、油を塗布して、包装する。得られたグミのクマは、4個のクマあたり約150mgのω-3脂肪酸を提供する。
前述のようにして製造したグミタイプの製品を、約120人の被験者、具体的には、60人の大人、30人の4〜12歳の子供、及び30人の13〜18歳のティーンエイジャーにより試食させる。被験者には、グミタイプの製品の知覚に関する種々の質問を含むアンケートに記入するように頼む。具体的には、被験者には、色の外観、形の外観、甘味、酸味、すっぱさ、香料の強度、臭いの特性/質、舌ざわり、あと味、魚のような臭いの存在、魚のような風味/あと味の存在、レモン香料の存在、魚の風味のなさ及び舌ざわりのような種々の食品の特性を評価するように頼む。食品の特性の各々は等級で評価する。そのような官能試験の結果は、以下の実施例の最初の官能試験の場合と同様に、食品用の酸及び香料添加剤が実質的に完全に存在する魚油のあらゆる魚のような臭い及び風味を除去することを示すことが期待される。
【実施例2】
【0014】
この実施例においては、表2の成分を含むグミタイプの製品を製造した。グミタイプの製品の風味、臭い、テクスチャー、外観及び色に関する適する試験を実施した。
【0015】
【表2】

【0016】
表2の成分を以下の方法にしたがって混合し、処理した。
一工程において、コーンシロップ、スクロース、グルコースシロップ及び水を一緒にして混合した。別の工程において、得られた混合物を50乃至60秒間約102乃至約108℃に加熱して沸騰させた。ブリックス(果物の糖度の単位)を追跡して約86乃至87となるようにした。加熱したシロップから熱を除去して85℃に冷却した。追加の着色料を前述の成分と混合し、混合物を超音波浴中におき、空気を追放するためにアルミ箔で蓋をした。
別の工程において、ゼラチン及び水を混合して熱水又は沸騰水中におき、約70℃になるまで断続的に混合した。
超音波浴からシロップを取り出し、ゼラチンをゆっくりシロップに添加した。わずかにゲル化するように成分を混合した。内容物が均質に混合されるまで超音波浴中で更に混合を実施した。次いで内容物に蓋をして脱気した。
別の工程において、魚油粉末スラリをバッチに添加した。最後に、香料及びクエン酸混合物を添加する。混合物が再び均質になるまで超音波浴中で更に混合を実施した。
混合物を更に脱気させた。調製した物質をでんぷんの型に入れ、室温で約24時間硬化させた。その後、グミタイプの製品を取り出し、所望に応じて包装した。
前述の製造工程の後、この実施例のグミタイプの製品の安定性を、29℃(85°F)及び40℃(104°F)の促進貯蔵温度及び開放空気条件下で風味、臭い、テクスチャー及び色について試験した。1ヶ月、2ヶ月又は3ヶ月の試験の間、製品の風味、臭い、テクスチャー又は色に有意な劣化はなかった。したがって、試験した食品は、満足な安定性を有すると判断された。
【実施例3】
【0017】
この実施例においては、表1の成分を含むグミタイプの製品を実施例1に記載した方法にしたがって製造した。次いで製品を、臭い、外観、風味、舌ざわり/テクスチャー及び総合的な評価を含む官能特性について85人の被験者により試験した。各特性は、0乃至9の等級(0は“極端に嫌い”、9は“極端に好き”である)で評価した。官能試験の結果は表3に示す。
【0018】
【表3】

【0019】
表3によれば、臭い、外観、風味及び舌ざわりは、一般的には中程度又は非常に好ましかった。このことは、検出しうる魚の臭い及び/又は風味がなく、酸及び香料により生み出された甘み及び酸味のバランスが十分にとれた風味/臭いを示す。
前述の記載は本発明の好ましい実施態様の記載である。特許請求の範囲において定義された本発明の精神及びより幅広い面から逸脱することなく種々の変更及び変化が可能であり、このことは等価なもの原理を含む特許法の原理にしたがって解釈されるべきである。特許請求の範囲及び特定の実施例、又は特に明記したことを除いて、物質の量、反応条件、使用条件等を示す記載の全ての数量は、本発明の最も広い範囲を記載しており“約”という用語がつけられていると理解されるべきである。単数で要素を記載しているが、要素を単数に限定すると考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】魚油の臭い/風味の隠蔽を説明するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に第一のゼラチン内に封入されている1種以上のω-3脂肪酸成分、
1種以上のコーンシロップ、グルコース及びスクロース、
第一のゼラチン内に封入されているω-3脂肪酸成分を包む第二のゼラチン、
食品の約1乃至約4質量%で存在するクエン酸、及び
食品の約0.1乃至約2質量%で存在するレモン香料添加剤、
を含むことを特徴とする食品。
【請求項2】
前記ω-3脂肪酸成分が、食品中に存在する魚油から誘導される請求項1記載の食品。
【請求項3】
前記魚油が、食品の約7乃至約7.5質量%で存在する請求項2記載の食品。
【請求項4】
前記魚油が、食品の約8質量%以下の量で存在する請求項2記載の食品。
【請求項5】
トコフェロールを含む請求項1記載の食品。
【請求項6】
食品の約0.5乃至約1.75質量%で存在するレモネード香料添加剤を含む請求項1記載の食品。
【請求項7】
前記第一のゼラチンが、マイクロカプセルゼラチンである請求項1記載の食品。
【請求項8】
前記第二のゼラチンが、糖菓ゼラチンである請求項1記載の食品。
【請求項9】
前記クエン酸が、食品の約0.2乃至約0.3質量%で存在する請求項1記載の食品。
【請求項10】
前記1種以上のω-3脂肪酸成分が、食品の約4.5質量%で存在する請求項1記載の食品。
【請求項11】
1種以上の魚の風味及び魚の臭いを有する魚油、
1種以上の魚の風味及び魚の臭いを中和する中和剤であって、組成物の約1乃至約4質量%の食品用の酸を含む中和剤、及び
組成物の約0.1乃至約5.5質量%で存在する1種以上の香料添加剤、
を含むことを特徴とする食品。
【請求項12】
前記食品用の酸が、1種以上のクエン酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸及びリン酸である請求項11記載の食品。
【請求項13】
前記1種以上の香料添加剤が、1種以上のレモン香料及びレモネード香料である請求項11記載の食品。
【請求項14】
前記魚油が、第一のゼラチン内にマイクロカプセル化され、マイクロカプセル化魚油及び中和剤が糖菓ゼラチンマトリクス中に懸濁されている請求項11記載の食品。
【請求項15】
1種以上の単糖類、二糖類及び多糖類を含む請求項11記載の食品。
【請求項16】
前記魚油が、第一のゼラチン内にマイクロカプセル化されて魚油マイクロカプセルを形成する請求項11記載の食品。
【請求項17】
前記魚油マイクロカプセルが、第二のゼラチン内に分散されている請求項16記載の食品。
【請求項18】
前記食品用の酸が、食品の約0.2乃至約0.3質量%で存在するクエン酸である請求項11記載の食品。
【請求項19】
前記魚油が、食品の約7乃至約7.5質量%で存在する請求項11記載の食品。
【請求項20】
前記魚油が、食品の約8質量%以下の量で存在する請求項11記載の食品。
【請求項21】
ω-3脂肪酸を含む魚油を提供する工程、
食品の約1乃至約4質量%で存在するクエン酸を前記魚油と混合する工程、
食品の約0.1乃至約2質量%で存在するレモン香料を前記魚油と混合する工程、及び
ゼラチンを1種以上の魚油、クエン酸及びレモン香料と混合して食品を形成する工程、
を含むことを特徴とする食品の製造方法。
【請求項22】
前記魚油をマイクロカプセルゼラチン内に封入し、マイクロカプセル化魚油、クエン酸及びレモン香料を混合して食品を形成する請求項21記載の方法。
【請求項23】
食品の約0.5乃至約3.5質量%のレモネード香料をゼラチンと混合することを含む請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記魚油が、食品の約8質量%以下の量で存在し、前記レモン香料が、食品の約0.2乃至約0.3質量%で存在し、前記クエン酸が、食品の約1乃至約4質量%で存在する請求項21記載の食品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に第一のマイクロカプセルゼラチン内にマイクロカプセル化されている1種以上のω-3脂肪酸成分、
1種以上のコーンシロップ、グルコース及びスクロース、
第一のマイクロカプセルゼラチン内にマイクロカプセル化されているω-3脂肪酸成分を包む第二のゼラチン、
食品の約1乃至約4質量%で存在するクエン酸、及び
食品の約0.1乃至約2質量%で存在するレモン香料添加剤、
を含む食品であって、前記マイクロカプセル化ω-3脂肪酸成分及びクエン酸が、前記第二のゼラチンに懸濁されていることを特徴とする食品。
【請求項2】
前記ω-3脂肪酸成分が、魚油から誘導される請求項1記載の食品。
【請求項3】
前記魚油が、食品の約7乃至約7.5質量%で存在する請求項2記載の食品。
【請求項4】
前記魚油が、食品の約8質量%以下の量で存在する請求項2記載の食品。
【請求項5】
トコフェロールを含む請求項1記載の食品。
【請求項6】
食品の約0.5乃至約1.75質量%で存在するレモネード香料添加剤を含む請求項1記載の食品。
【請求項7】
第二香料添加剤を含む請求項1記載の食品。
【請求項8】
前記第二のゼラチンが、糖菓ゼラチンマトリクスを形成する請求項1記載の食品。
【請求項9】
前記クエン酸が、食品の約0.2乃至約0.3質量%で存在する請求項1記載の食品。
【請求項10】
前記1種以上のω-3脂肪酸成分が、食品の約7乃至約7.5質量%で存在する請求項1記載の食品。
【請求項11】
1種以上の魚の風味及び魚の臭いを有する魚油から由来する1種以上のω-3脂肪酸
1種以上の魚の風味及び魚の臭いを中和する中和剤であって、組成物の約1乃至約4質量%の食品用の酸を含む中和剤、及び
組成物の約0.1乃至約5.5質量%で存在する1種以上の香料添加剤、
を含む食品であって、前記ω-3脂肪酸及び中和剤が、ゼラチンマトリクスに懸濁されてグミタイプ製品を形成することを特徴とする食品。
【請求項12】
前記食品用の酸が、1種以上のクエン酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸及びリン酸である請求項11記載の食品。
【請求項13】
前記1種以上の香料添加剤が、1種以上のレモン香料及びレモネード香料である請求項11記載の食品。
【請求項14】
人工甘味料を含む請求項11記載の食品。
【請求項15】
1種以上の単糖類、二糖類及び多糖類を含む請求項11記載の食品。
【請求項16】
前記魚油が、第一のゼラチン内にマイクロカプセル化されて魚油マイクロカプセルを形成する請求項11記載の食品。
【請求項17】
前記魚油マイクロカプセルが、第二のゼラチン内に分散されている請求項16記載の食品。
【請求項18】
前記食品用の酸が、食品の約0.2乃至約0.3質量%で存在するクエン酸である請求項11記載の食品。
【請求項19】
前記魚油が、食品の約7乃至約7.5質量%で存在する請求項11記載の食品。
【請求項20】
前記魚油が、食品の約8質量%以下の量で存在する請求項11記載の食品。
【請求項21】
マイクロカプセルゼラチン内にマイクロカプセル化ω-3脂肪酸成分を提供する工程、
食品の約1乃至約4質量%で存在するクエン酸をマイクロカプセル化ω-3脂肪酸成分と混合する工程、
食品の約0.1乃至約2質量%で存在するレモン香料をマイクロカプセル化ω-3脂肪酸成分と混合する工程、及び
ゼラチンをマイクロカプセル化ω-3脂肪酸成分、クエン酸及びレモン香料とゼラチンマトリクス中混合してグミタイプ食品を形成する工程、を含むことを特徴とする食品の製造方法。
【請求項22】
前記魚油をマイクロカプセルゼラチン内に封入し、マイクロカプセル化魚油、クエン酸及びレモン香料を混合して食品を形成する請求項21記載の方法。
【請求項23】
食品の約0.5乃至約3.5質量%のレモネード香料をゼラチンと混合することを含む請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記魚油が、食品の約8質量%以下の量で存在し、前記レモン香料が、食品の約0.2乃至約0.3質量%で存在し、前記クエン酸が、食品の約1乃至約4質量%で存在する請求項21記載の食品。

【図1】
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【公開番号】特開2006−115831(P2006−115831A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114897(P2005−114897)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 試験による開示証明書
【出願人】(302070822)アクセス ビジネス グループ インターナショナル リミテッド ライアビリティ カンパニー (122)
【Fターム(参考)】