説明

おにぎり製造装置及びおにぎり製造方法

【課題】シート状食材の中心位置に具材を確実に内包させ、型崩れしにくい適度の硬さを有するともに、具材を内包して食感に優れたおむすびなどの食材を供給する。
【解決手段】シート状に形成した食材Rが載置されるコンベアベルト31の幅方向に立設された一対のベルト側端起立用ガイド33、33と、シート状食材の上側が絞り込まれる湾曲部を形成させる左右一対の側面挟圧ローラ34、34と、前記ベルト側端起立用ガイドから開放されたコンベアベルト上の塊状食材を押圧整形する上面整形ローラ35と、を有するように成形装置30を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具材を有するおにぎりの製造装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、おにぎり等の食品では、米飯で梅干しやタラコ等の具材を包んでいる。このような具材を米飯で包み込む作業は、通常、熟練した作業者の手作業によって行われているが、生産性を向上させるために機械化されてきている。
【0003】
例えば、米飯を包むことができるシート材と、該シート材を展張状態と弛め状態とにするシート材展張装置と、シート材の上に載せられた米飯に凹所を形成することができる押し型と、前記シート材が緩んだ状態の時にシート材の開口部をすぼめることができるすぼめ部材と、すぼめ部材によりすぼめられたシート材の外側からシート材につつまれた米飯をにぎることができるにぎり型とを備えた装置がある(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−264966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の装置では、シート材、押し型、にぎり型を用いた米飯の成形操作が同一箇所で行われるため、狭いスペースに複雑な装置構成の配置を必要として生産性やメンテナンス性などに欠ける。また、特許文献1に記載の食品形成方法では、具材をそのおむすび状の中心部に正確に位置付けることが簡単ではなく、具材を覆う米飯の圧密状態や挿入位置にばらつきを生じ易かった。そして、その結果として、米飯が固くほぐれ難い状態で具材が充填されたりして、商品としての形態や食感などを損なう場合があった。
【0006】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、おにぎりの中心位置に具材を確実に内包させ、しかも、型崩れしにくい適度の硬さを有するともに、口中で解れ易く食感に優れたおにぎりを効率的に製造することのできるおにぎり製造装置及びおにぎり製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)前記従来の課題を解決するためになされた本発明のおにぎり製造装置は、シート状に形成した米飯を載置可能であり、搬送方向幅方向に両端側が折り曲げ可能な可撓性部材により形成されたコンベアベルトと、前記コンベアベルトの幅方向に規定間隔を置いて立設された一対のベルト側端起立用ガイドと、前記ベルト側端起立用ガイドによりその両側端が略U字状に起立された前記コンベアベルトの両端側を内側下方に押圧してシート状の前記米飯の上側が絞り込まれる湾曲部を前記コンベアベルト上に形成させる左右一対の側面挟圧ローラと、前記側面挟圧ローラの下流側に設けられ、その両端側が前記ベルト側端起立用ガイドから開放された前記コンベアベルト上の米飯を塊状に押圧整形する上面整形ローラと、を備えることを特徴とする。
【0008】
(2)本発明のおにぎり製造装置は、前記(1)において、前記側面挟圧ローラの上流側に、前記シート状食材に置かれた具材の位置を規制する具材位置規制ローラを設けたことを特徴とする。
【0009】
(3)本発明のおにぎり製造装置は、前記(1)又は(2)において、前記コンベアベルトの幅方向中央裏面にはラックアンドピニオン駆動機構のピニオン部が噛合するラック部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
(4)本発明のおにぎり製造装置は、前記(1)〜(3)において、前記上面整形ローラが駆動モータを介してローラ軸支持部により駆動回転可能に支持され、前記米飯の搬送速度や具材の種別条件に応じてその回転速度や回転軸支持位置を制御するローラ駆動制御機構を備えていることを特徴とする。
【0011】
(5)本発明のおにぎり製造装置は、前記(1)〜(4)において、塊状米飯を押し固めて成形する任意の形状孔を設けた円盤体を有する装置を備えることを特徴とする。
【0012】
(6)本発明のおにぎり製造方法は、具材が中央に配置されたシート状に形成された米飯をベルト搬送しながら丸め込んで前記具材が内包されたおにぎりを製造する方法であって、ベルト搬送幅方向に両端側が折り曲げ可能な可撓性部材により形成されたコンベアベルトにより具材を載置したシート状の米飯を搬送する工程と、前記コンベアベルトの両側端を略U字状に起立させるとともにコンベアベルト両端側を内側下方に押圧してシート状に形成した前記米飯が絞り込まれる湾曲部を形成する工程と、前記コンベアベルト上で絞り込まれて形成された米飯の上部から上面整形ローラを押圧して塊状に整形する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ベルト側端起立用ガイドによりその両側端が略U字状に起立されたコンベアベルトの両端側を内側下方に押圧して、シート状に形成した米飯の上側が絞り込まれる湾曲部を前記コンベアベルト上に形成させた後、前記コンベアベルト上の米飯を上面整形ローラを用いて塊状に押圧整形するので、狭いスペースにも容易に設置でき、シート状に形成した米飯内に具材を確実に内包させ、しかも型崩れしにくく、かつ口中で容易に解れるような食感に優れたおにぎりを供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るおにぎり製造装置が適用されるおにぎり製造機の全体斜視図である。
【図2】同おにぎり製造装置の平面図である。
【図3】同おにぎり製造装置の側面図である。
【図4】同おにぎり製造装置の要部拡大斜視図である。
【図5】同おにぎり製造装置の動作形態を示す模式的側面図である。
【図6】同おにぎり製造方法を示す説明図である。
【図7】同おにぎり製造装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態に係るおにぎり製造装置は、シート状に形成した米飯を載置可能であり、搬送方向幅方向に両端側が折り曲げ可能な可撓性部材により形成されたコンベアベルトと、前記コンベアベルトの幅方向に規定間隔を置いて立設された一対のベルト側端起立用ガイドと、前記ベルト側端起立用ガイドによりその両側端が略U字状に起立された前記コンベアベルトの両端側を内側下方に押圧してシート状の前記米飯の上側が絞り込まれる湾曲部を前記コンベアベルト上に形成させる左右一対の側面挟圧ローラと、前記側面挟圧ローラの下流側に設けられ、その両端側が前記ベルト側端起立用ガイドから開放された前記コンベアベルト上の米飯を塊状に押圧整形する上面整形ローラと、を備えている。
【0016】
かかる構成によって、メンテナンス性に優れ比較的狭いスペースであっても設置することができ、しかも、型崩れしにくく、かつ口に入れたときに容易に解れる優れた食感のおにぎりを供給可能としている。
【0017】
おにぎり製造装置では、パッケージされた市販おにぎりを量産することができ、基台上に枢支されて間欠的に回転する円盤体を有する装置であるおにぎり成形テ−ブルを備えている。そして、このおにぎり成形テ−ブルの周縁部に、所定間隔で穿設された三角形などの水平断面を有するおにぎり成形孔が設けられている。かかるおにぎり成形孔に、おにぎり製造装置を介して具材が内包された米飯を供給して整形し、所定の三角形状のおにぎりが製造されるようになっている。勿論、必ずしも三角形状に限定されるものではなく任意の形状で構わない。かかる成形孔の形状によって適宜形状のおにぎりを成形することができる。
【0018】
コンベアベルトは、搬送方向幅方向に両端側が折り曲げ可能なゴム製もしくは樹脂製などの可撓性部材により形成されるフラットベルト(平ベルト)が適用できる。ベルト駆動方式は、並行する軸間の動力伝導に柔軟な素材でできたベルトを利用するものであり、動力伝導を摩擦に依存するものと、歯形の噛み合いによる形式のものとがある。駆動軸に円筒または円盤状のプーリを取り付け、このプーリの外周にベルトを掛けて動力を伝導する。なお、プーリ駆動方式によらず、コンベアベルト裏面の中央に沿ってラック部を設け、これに噛合するピニオンギアによるラックアンドピニオン駆動方式を適用するようにしてもよい。
【0019】
ベルト側端起立用ガイドは、走行するコンベアベルト上に所定間隔を置いて平行に固定されたベルト案内部であって、コンベアベルトの両側端を押し上げて、ベルト上のシート状の米飯を巻き込むようにして略U字状に湾曲させる作用を有している。
【0020】
側面挟圧ローラは、ベルト側端起立用ガイドの略中央上部に配置されたその頭部が逆円錐状に形成されたローラ部分であり、ベルト側端起立用ガイドによりその両側端が略U字状に起立されたコンベアベルトの両端側を内側下方に押圧して前記シート状の米飯の上側が絞り込まれる湾曲部を前記コンベアベルトに形成させる作用を担うものである。
【0021】
上面整形ローラは、コンベアベルト搬送方向に沿ってそのローラ面が回転可能に設けられ、具材を内包した米飯を塊状に整形するためのローラ状押圧整形部であって、前記側面挟圧ローラの下流側に設けられている。こうして、当初シート状に広げられてコンベアベルトに載置された米飯は、側面挟圧ローラの部分を抜け出て、そのコンベアベルトの両端側が開放された前記コンベアベルト上から上面整形ローラを介して塊状に押圧整形されるのである。
【0022】
また、本実施の形態に係るおにぎり製造装置は、前記側面挟圧ローラの上流側に、シート状に形成された米飯に置かれた具材の位置を規制する具材位置規制ローラを設けることができる。これによって、シート状の米飯に置かれた具材がその中央の規定高さ位置に矯正配置されるので以降の整形工程において、例えば紅鮭などのように板切れ状に提供される具材が米飯部分から露出したり、分散したりするのを効果的に防止でき、パッケージ商品などとして供されるおにぎりなどの食材製品の見栄えや食感を、常時、適正に維持することを可能としている。
【0023】
ところで、上記具材位置規制ローラは、コンベアベルト搬送方向に沿って回転可能に配置された水平方向回動軸を有する具材の押圧用ローラであり、自由回転もしくは駆動用モータを介して強制回転できるように前記側面挟圧ローラの上流側に設けられる。なお、このローラ面の材質としては、金属材もしくはプラスチック材、ゴム材などが適用できる。また、具材位置規制ローラによって押し付けられる具材接触面との滑りを防止するために微小凹凸部などをローラ面に設けるようにしてもよい。
【0024】
本実施の形態に係るおにぎり製造装置は、前記コンベアベルトの幅方向中央裏面にはラックアンドピニオン駆動機構のピニオン部が噛合するラック部を設けることもできる。これによって、プーリ伝動方式などによる摩擦力に依存する問題点を解消して、高トルクを伝導させることができるとともに、精密かつ確実な動作環境を保持させることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0025】
なお、ラックアンドピニオン駆動機構とは、歯車の一種を用いた回転力を直線運動に変換する駆動機構である。ピニオンとよばれる小口径の円形歯車と、平板状に歯切りをしたラックを組み合わせたものが適用され、ピニオンに回転力を加えることによって、コンベアベルト裏面の無端ベルト上に設けられたラックが水平方向に駆動される。
【0026】
本実施の形態に係るおにぎり製造装置は、前記上面整形ローラが駆動モータを介してローラ軸支持部により駆動回転可能に支持され、シート状に形成された米飯の搬送速度や具材、食材種別条件に応じてその回転速度や回転軸支持位置を制御するローラ駆動制御機構を備えている。これによって、上面整形ローラの回転速度や軸支持位置を制御して、具材をシート状の米飯の中心部に位置付けることができる。こうして、具材を覆う米飯の圧密状態を均一かつ適切に維持して、商品としての形態や食感に優れたおにぎりを提供することができる。
【0027】
ローラ駆動制御機構は、例えば、ローラ支持部を介して支持された上面整形ローラを回転駆動させる駆動モータ、ローラ支持部の高さ位置調整モータ、及びこれらに接続する制御部などを備えたものである。制御部は、おにぎり製造装置全体の動作を制御するとともに、当該おにぎり製造装置に設けられた各種センサやキーボードなどの入力デバイスなどを介して取得される米飯の搬送速度や具材種別に応じた各種条件の適切な制御量を判定して制御する機能を担っている。
【0028】
上述のおにぎり製造装置を用いた本実施の形態に係るおにぎり製造方法は、具材が中央に配置されたシート状に形成された米飯をベルト搬送しながら丸め込んで前記具材が内包されたおにぎりを製造する方法であって、ベルト搬送幅方向に両端側が折り曲げ可能な可撓性部材により形成されたコンベアベルトにより具材を載置したシート状の米飯を搬送する工程と、前記コンベアベルトの両側端を略U字状に起立させるとともにコンベアベルト両端側を内側下方に押圧してシート状に形成した前記米飯が絞り込まれる湾曲部を形成する工程と、前記コンベアベルト上で絞り込まれて形成された米飯の上部から上面整形ローラを押圧して塊状に整形する工程と、を有する。これによって、米飯に具材を確実に内包させ、しかも型崩れしにくく、かつ口中で容易に解れる食感のおにぎりを供給できる。
【0029】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳説する。図1は本実施形態に係るおにぎり製造装置の装置構成を示す全体斜視図であり、図2はその平面図であり、図3はその側面図である。
図1〜図3に示すように本実施形態に係るおにぎり製造装置10は、シート状に形成された所定量の米飯Rと、この米飯Rの中央に載置される鮭や梅干しなどの具材Gが準備される食材配置部20と、シート状の米飯Rを具材Gとともにベルト搬送しながら具材Gが内包された塊状米飯Kに成形する成形装置30と、成形装置30から供給される塊状米飯Kをロータリ回転するおにぎり整形型などに水平方向から圧入して整形加工された”三角おにぎり”などの製品おにぎりPをその回転テーブルの基端側から取り出すための食材回転搬送部40とを有している。
【0030】
食材配置部20は、食材である米飯Rを搬送するためのコンベアベルト部21とこのコンベアベルト部21を駆動させるためのベルト駆動部22とを備えている。そして、所定搬送速度で走行駆動されるコンベアベルト部21上に、略矩形シート状に取り置かれた米飯Rが配置された後に、具材Gがそのシート状の米飯Rの略中央位置に置かれた状態で成形装置30に供給される。
【0031】
図4は本実施形態に係る成形装置30の詳細構造を示す斜視図であり、図5はその動作形態を示す模式的側面図である。図示するように、成形装置30は、搬送方向幅方向に両端側が折り曲げ可能なゴム材または樹脂材により形成され多数のプーリ間に張設されて水平走行されるコンベアベルト31と、シート状の米飯Rの略中央に置かれた具材Gが起き上がったりすることがないように、この具材Gをその上方から押圧してその位置を規制するための具材位置規制ローラ32と、コンベアベルト幅方向に規定間隔を置いて立設された一対のベルト側端起立用ガイド33と、略U字状に起立されたコンベアベルト31の両端側を内側下方に押圧してシート状の米飯Rの上側を絞り込む左右一対の側面挟圧ローラ34と、側面挟圧ローラ34の下流側に設けられその両端側が開放されたコンベアベルト31上から、上側が絞り込まれてシート状から塊状となった米飯Rを押圧して塊状米飯Kに形成するための上面整形ローラ35と、を有している。
【0032】
コンベアベルト31は可撓性樹脂シート材によりその一部又は全部が構成され、ベルト幅方向の両側端部が湾曲可能としている。なお、コンベアベルト31の裏面中央には、図示しない電動モータにより駆動されるピニオンギアに噛合してコンベアベルト31を走行させるためのラック部を設けることもできる。これによって、ベルトの撓みによるプーリ36とベルト間の滑りなどを防止して、コンベアベルト制御操作の正確性と確実性を付加することができる。
【0033】
図示しない電動モータなどのベルト駆動部により走行されるコンベアベルト31は、成形装置30の基台本体30aの略中央位置に立設された一対のベルト側端起立用ガイド33、33の間で挟圧されることによって、その両端が引き上げられ下流側に向って次第に略U字状に絞られる。こうして、コンベアベルト31中央に配置されたシート状の米飯Rが具材Gをその中心に内包させるように変形するのである。なお、ベルト側端起立用ガイド33の下流側では、このガイドによりU字状に絞り込まれたコンベアベルト31の上部が再び平板状に次第に開放され、成形装置30の終端側では、具材Gを内包して塊状に形成された米飯Rが取り出し可能に排出される。
【0034】
図6は本実施形態におけるおにぎり製造方法を示す説明図である。前記ベルト側端起立用ガイド33の上流側中央に配される具材位置規制ローラ32は、成形装置30の基台本体30a上に配置された具材位置規制ローラ支持部32aにより自由回転又は強制回転可能に支持され、その回転速度やコンベアベルト31上の保持位置の調整がギア機構などを介して設定可能になっている。こうして、図6(a)に示すように走行するコンベアベルト31上のシート状に形成された米飯Rに置かれた具材Gが、回転する具材位置規制ローラ32とコンベアベルト31との間で押圧されることによって、米飯R上における具材Gの高さが適正位置に矯正されるように設定されている。
【0035】
次に、具材位置規制ローラ32によりその具材位置が規定された米飯Rは、図6(b)に示すように、前記ベルト側端起立用ガイド33、33のそれぞれ上部に固定支持された左右一対の側面挟圧ローラ34、34によりその上部がさらに内側下方に向って絞り込まれる。このとき、具材Gの上方には適宜な空間が形成されるため、具材Gは極めて柔らかく包み込まれることになる。こうして具材Gが略内包された状態の米飯Rがさらに下流側に向けて搬送されるのである。
【0036】
側面挟圧ローラ34、34は、その上頂部が拡径状に形成されて基台本体30aに対して立設され、そのローラ回転軸が垂直方向に設定されている。なお、米飯Rへ添加する具材Gの添加量や種別などに応じてその各ローラ間隔を調整可能とすることもできる。
【0037】
その上部が側面挟圧ローラ34による側面からの絞り込みによって略封じられた米飯Rは、そのベルト両端側が次第に開放されるとともに、図6(c)に示すように、下流側に配された上面整形ローラ35により上部がさらに押圧されて規定高さに整形される。これによって、具材Gを内包した米飯Rが塊状米飯Kとなって排出される。
【0038】
この上面整形ローラ35は、ベルト側端起立用ガイド33の下流側中央にその回転軸が水平方向に配置され、そのローラ面がコンベアベルト31上で走行する塊状米飯Kの上部に接触しながら自由回転又は強制回転できるように基台本体30aに固定された上面整形ローラ支持部35aにより支持されている。こうして、上面整形ローラ35は基台本体30a上における塊状米飯Kの排出側に固定配置された上面整形ローラ支持部35aにより自由回転又は強制回転可能に支持される。そして、前記具材位置規制ローラ32と同様に、上面整形ローラ35の回転速度や、コンベアベルト31上のローラ保持位置の調整が図示しないギア機構などを介して設定可能となっている。
【0039】
食材回転搬送部40には、成形装置30のコンベアベルト31を介して具材Gが内包された塊状米飯Kが供給される。この塊状米飯Kは、コンベアベルト31の走行に伴って成形装置30から水平方向に押し出され、成形装置30に連続する回転テーブル41の開口部から略三角形状に形成された米飯収納部42に圧入される。この米飯収納部42に保持された塊状米飯Kは回転テーブル41の回転とともに整形されるように移動して、基端側の食材取出部43で所定の三角形状に調整された製品おにぎりPが取り出されるようになっている。なお、このような製品おにぎりPとする過程で、回転テーブル41に設けた上方開口から押型などで段階的に押圧してその形状を整えたり、食塩や調味料などを振りかける調味処理を行なったりすることもできる。
【0040】
回転テーブル41は、塊状米飯Kを押し固めて成形する任意の形状孔を設けた円盤体を有する装置であり、図1に示すように、食材回転搬送部40の基台本体40aに装着される円盤で構成されている。そして、この円盤の周縁部に沿って一定間隔を保持して環状に、任意の形状孔としての米飯収納部42が形成されている。ここでは、米飯収納部42を平面視して略三角形状とし、所定量の米飯を収容可能としている。この回転テーブル41の図示しないモータ駆動部が基台本体40aの制御部45により制御されて間歇回転するようにしている。
【0041】
なお、回転テーブル41の下面には、下側支持部材を円盤に重合させて配置しており、この下側支持部材により回転テーブル41に設けた米飯収納部42底部を閉塞している。また、米飯収納部42内の米飯を下方から上方に押し上げるための図示しない押上部材や、米飯を上方から下方に押し下げるための押下部材44を回転テーブル41の表裏面側となる基台本体40aの所要位置に押下部材支持アーム46を介して設けている。こうして、制御部45などの制御系を介して、回転テーブル41の間欠回転や押下部材44の上下動などが互いに連係同期するように制御されている。
【0042】
また、本実施形態に係るおにぎり製造装置10においては、食材配置部20、成形装置30、食材回転搬送部40をそれぞれ駆動させるための電動モータなどを備えた駆動部が図示しない制御部に接続されている。このため、食材配置部20のコンベアベルト部21に配置された以降の米飯Rや具材Gの整形加工操作を、この制御部を介して同期させるようにプログラム制御することが可能である。これによって、”おにぎり”としての食感や外観を適切に維持させつつ、その搬送速度を増加させることを可能として生産性の向上を図ることができる。
【0043】
図7は本実施形態に係るおにぎり製造装置の変形例を示す斜視図である。図示するように本変形例の成形装置30’は、実施例における成形装置30における具材位置規制ローラ32を省略して構成するとともに、上面整形ローラ支持部35aの図示しない電動モータなどを介して回転駆動される上面整形ローラ35の動きを、米飯Rを搬送するコンベアベルト31の走行速度に同期させて強制回転させるようにしたものである。
ここで、上面整形ローラ支持部35aのローラ面は、塊状米飯Kの上面に対して把持力を生じるように凹凸突起状などに形成することができる。これによって、塊状米飯Kを上面整形ローラ35により押圧して整形する動作を精度よく行うことができる。加えて、上面整形ローラ35と走行するコンベアベルト31の動きを同期させるようにしているので、前記ベルト側端起立用ガイド33や側面挟圧ローラ34により周囲から圧密された塊状米飯Kの形態を大きく損なうことなく、基台本体30aの排出端側に向けて塊状米飯Kを搬送することができる。
【0044】
なお、本変形例においてはコンベアベルト31の一部を空気吹き込み可能な網状シートや多孔質シートで形成して、ベルト側端起立用ガイド33、33に設けたエアコンプレッサーなどに連結された空気吹き込み部を介して略U字状の湾曲部内に圧縮空気を吹き込むこともできる。これによって、左右一対の側面挟圧ローラ34、34に囲まれたコンベアベルト31の湾曲部内に充填された米飯Rに空気を効率的に含有させ、さらに食感に優れた”おにぎり”用の塊状米飯Kとする。また、側面挟圧ローラ34、34を透した湾曲部内への空気吹き込みによってコンベアベルト面からの塊状米飯Kの剥離を容易にして生産効率をさらに高めるようにしてもよい。
【0045】
以上説明したように本発明は、上面整形ローラを介してその両側端が略U字状に起立されたコンベアベルトの両端側を内側下方に押圧してコンベアベルト上に湾曲部を形成させる。こうして、シート状食材に具材を内包させるとともに、その両端側が開放されたコンベアベルト上から上面整形ローラを用いて塊状食材を押圧整形することを要旨とするものである。これによって、具材を内包させ食感に優れた塊状食材を型崩れさせることなく効率的に供給することができる。したがって、これに該当するものは本発明の権利範囲に属する。
例えば本実施形態では、側面挟圧ローラの下流側に配置される上面整形ローラを単独で配置する例について説明したが、形状のそれぞれ異なる上面整形ローラを複数配列することによって、塊状食材を型崩れさせることなく段階的に整形するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 おにぎり製造機
20 食材配置部
21 コンベアベルト部
22 ベルト駆動部
30、30’ おにぎり製造装置
30a 基台本体
31 コンベアベルト
32 具材位置規制ローラ
32a 具材位置規制ローラ支持部
33 ベルト側端起立用ガイド
34 側面挟圧ローラ
35 上面整形ローラ
35a 上面整形ローラ支持部
36 プーリ
40 食材回転搬送部
40a 基台本体
41 回転テーブル
42 米飯収納部
43 食材取出部
44 押下部材
45 制御部
46 押下部材支持アーム
R 米飯
G 具材
K 塊状食材
P 製品食材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成した米飯を載置可能であり、搬送方向幅方向に両端側が折り曲げ可能な可撓性部材により形成されたコンベアベルトと、
前記コンベアベルトの幅方向に規定間隔を置いて立設された一対のベルト側端起立用ガイドと、
前記ベルト側端起立用ガイドによりその両側端が略U字状に起立された前記コンベアベルトの両端側を内側下方に押圧してシート状の前記米飯の上側が絞り込まれる湾曲部を前記コンベアベルト上に形成させる左右一対の側面挟圧ローラと、
前記側面挟圧ローラの下流側に設けられ、その両端側が前記ベルト側端起立用ガイドから開放された前記コンベアベルト上の米飯を塊状に押圧整形する上面整形ローラと、
を備えることを特徴とするおにぎり製造装置。
【請求項2】
前記側面挟圧ローラの上流側に、前記シート状食材に置かれた具材の位置を規制する具材位置規制ローラを設けたことを特徴とする請求項1記載のおにぎり製造装置。
【請求項3】
前記コンベアベルトの幅方向中央裏面にはラックアンドピニオン駆動機構のピニオン部が噛合するラック部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のおにぎり製造装置。
【請求項4】
前記上面整形ローラが駆動モータを介してローラ軸支持部により駆動回転可能に支持され、前記米飯の搬送速度や具材の種別条件に応じてその回転速度や回転軸支持位置を制御するローラ駆動制御機構を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のおにぎり製造装置。
【請求項5】
前記塊状米飯を押し固めて成形する任意の形状孔を設けた円盤体を有する装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のおにぎり製造装置。
【請求項6】
具材が中央に配置されたシート状に形成された米飯をベルト搬送しながら丸め込んで前記具材が内包されたおにぎりを製造するおにぎり製造方法であって、
ベルト搬送幅方向に両端側が折り曲げ可能な可撓性部材により形成されたコンベアベルトにより具材を載置したシート状の米飯を搬送する工程と、
前記コンベアベルトの両側端を略U字状に起立させるとともにコンベアベルト両端側を内側下方に押圧してシート状に形成した前記米飯が絞り込まれる湾曲部を形成する工程と、
前記コンベアベルト上で絞り込まれて形成された米飯の上部から上面整形ローラを押圧して塊状に整形する工程と、
を有することを特徴とするおにぎり製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−187564(P2010−187564A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33221(P2009−33221)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000236746)不二精機株式会社 (48)
【Fターム(参考)】