説明

おむつ交換時期報知装置

【課題】おむつの交換時期を正確に報知できると共に、一般家庭の赤ちゃんの布おむつや使い捨て紙おむつに配設して容易に使用できる小型であると共に安価でかつ衛生的なおむつ交換時期報知装置を提供する。
【解決手段】おむつの外側に、便または尿の排泄による水分によっておむつから発散する湿気に感応して湿度を測定する少なくとも1個の湿度センサーを配設し、測定した湿度値と所定値との差及び該測定した湿度値の一定期間の変化分を算出する。前記の差が所定値を超過していた場合及び前記変化分が所定値を上回っていた場合におむつの使用限界と判定し警報信号を出力することによりおむつの交換時期を正確に報知するようにした。また、前記湿度センサーの測定値が一定期間経過後に一定値以下に降下したことを検出して警報信号を解除することによりおむつの交換時期を正確に報知するようにした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつの交換時期を報知するために用いられる交換時期の検知および報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、おむつの交換時期を検知および報知する装置として、例えば特開2003−111797号や特開昭2−72354号公報に開示されているように、おむつの中に排尿を検知するセンサーを配設したり、おむつの外側に空気中の臭気性のガスを検出し排便を検知するセンサーを配設したり、おむつの外側におむつの湿りを検出する感湿素子を配設し所定値以上の湿度を検出することにより尿や便の排泄を検出し報知するようにしたものが提案されている。
【発明が解決しようとしている課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の装置のように、おむつの中に検知センサーを配設するものにあっては検知センサーが排泄の度に排泄物で汚染されてしまった。
【0004】
そのために、一般家庭で広く普及している布おむつや市販の使い捨て型紙おむつの中に検知センサーを配設した場合には、紙おむつを交換する度毎に検知センサーの除菌をするのが望ましく、おむつの交換に手間が掛かり一般家庭の赤ちゃん用にこの種の装置を普及させる上での障害の一因となっているという問題があった。
【0005】
また、排泄に伴って空気中に放出された臭気性ガスを検出するものにあっては、現段階の産業界の技術レベルでは本発明の目的の一つである一般家庭で容易に利用できるような消費電力が少なく、安価な検知センサーを量産することが未だ出来ていない。
【0006】
そのために、装置全体を駆動する電池が大型となってしまい装置全体も大型になり赤ちゃんの体に与えるストレスが大きくなるので使い捨て型の紙おむつに配設するのに不向きなばかりでなく、装置全体の価格が高価となり一般家庭の赤ちゃん用にこの種の装置を普及させる上での障害の一因となっているという問題があった。
【0007】
一方、前記特開昭62−72354号公報に開示された装置では、おむつの外側におむつの湿りを検出する感湿素子を配設し尿や便の排泄や排泄に伴うおむつの湿りを検出し報知するようにしたので、前記のおむつの中に排尿を検知するセンサーを配設するものやおむつの外側に空気中の臭気性のガスを検出し排便を検知するセンサーを配設するものに付随する諸問題は解消しているが、検知センサーが所定値以上の湿度を検出したことにより排便と排尿を検知しているので硬い便と軟らかい便とでは湿度値が大幅に変動する排便の検出にあたっては該所定値を排便検出に適した値に頻繁に設定しなおさないと誤動作や不動作が生じていた。
【0008】
前記の誤動作や不動作を回避するために、赤ちゃんの介護者が前記設定値を設定しなおすことは事実上困難であるので前記装置は誤動作や不動作を頻発することになり一般家庭の赤ちゃん用にこの種の装置を普及させる上での障害要因となる問題が生じていた。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、おむつの交換時期を正確に報知できると共に、一般家庭の赤ちゃんの使い捨て紙おむつや布おむつに配設して容易に使用できる小型で安価かつ衛生的なおむつ交換時期報知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する為になされた請求項1に記載の本発明は、おむつの外側に配設され便または尿の排泄による水分によっておむつから発散する湿気に感応して湿度を測定する少なくとも1個の湿度センサーと、該湿度センサーの測定値を現在から過去に遡る所定期間分を記憶する湿度データメモリと、該湿度データメモリに記憶された湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と、前記湿度センサーの測定値が一定期間上昇を継続することを検出して警報信号を出力する手段とを備えたこと、を特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のおむつ交換時期報知装置において、前記湿度センサーの測定値が所定値を超過した後一定期間下降を継続したことを検出して前記警報信号を停止する手段を備えたこと、を特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載のおむつ交換時期報知装置において、湿度センサーの出力から排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタを備えたこと、を特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、警報信号出力に基づいてブザーなどを駆動して警報する警報器を備えたこと、を特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、警報信号出力を遠隔地に無線伝送する送信機と、遠隔地に配設され該無線伝送された警報信号を受信する受信機と、該受信機が受信した警報信号出力に基づいてブザーなどを駆動して警報する警報器を備えたこと、を特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の本発明は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側に配設する前記湿度センサーと、該湿度センサーが測定した湿度値を遠隔地に無線伝送する送信機を備え、遠隔地に配設する該無線伝送された湿度値の信号を受信する受信機と、該受信機が受信した湿度値に基づいて警報動作する請求項1乃至請求項4の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置の手段を備えること、を特徴としている。
【0016】
請求項7に記載の本発明は、請求項6に記載のおむつ交換時期報知装置において、遠隔地に配設する前記無線伝送された湿度値の信号を受信する受信機が受信した湿度値に対し請求項3に記載した排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタを備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載の本発明は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側に配設する装置は該装置の収容筐から可撓性に富んだケーブルを突き出して前記湿度センサーを着脱可能なように取り付ける手段を備えたこと、及び、請求項5乃至請求項7の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置にあっては、前記可撓性ケーブルに前記送信機の送信用アンテナを併設したこと或いはおむつの外周に腹部に巻きつけるような形に配設したこと、を特徴としている。
【0018】
請求項9に記載の本発明は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側で少なくともおむつの便排泄口付近及び尿排泄口付近に夫々配設する複数個の湿度センサーと、該複数個の湿度センサーの測定値を現在から過去に遡る所定期間分を記憶する湿度データメモリと、該湿度データメモリに記憶された複数個の湿度センサーの測定値を循環的に順次切換えて個々の湿度センサーの測定値の変化分を検出し該変化分が最大である湿度センサーを特定する手段と、該湿度センサーを特定する手段により特定された湿度センサーの出力とおむつへの配設位置情報に基づいて警報動作をする手段を備えたこと、を特徴としている。
【0019】
請求項10に記載の本発明は、請求項9に記載のおむつ交換時期報知装置において、前記湿度センサーを特定する手段が便排泄口付近に配設した湿度センサーを特定した場合に動作する請求項1に記載の湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と前記湿度センサーの測定値が一定期間上昇を継続することを検出して警報信号を出力する手段と、前記湿度センサーを特定する手段が尿排泄口付近に配設した湿度センサーを特定した場合に動作する請求項1に記載の湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と請求項2に記載の前記湿度センサーの測定値が所定値を超過した後一定期間下降を継続したことを検出して前記警報信号を停止する手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の実施形態、及び発明の効果】
【0020】
前記のように構成された請求項1に記載のおむつ交換時期報知装置は、少なくとも1個の湿度センサーを備えており、該湿度センサーはおむつの外側で便や尿の排泄口付近に配設する。本発明装置で使用する湿度センサーは特定の種類に限定する必要はなく市場に広く普及している高分子ポリマー型他数種類の超小型、低価格、高性能ものが使用できる。便や尿が排泄されるとその水分でおむつが濡れおむつから発散される湿気に前記湿度センサーが感応して湿度値を測定する。従って、該湿度センサーが便や尿の排泄の度に汚染されることは無い。
【0021】
請求項1に記載した湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段は、排泄された便や尿がおむつの吸水力以上の水分をおむつに供給した場合に前記湿度センサーの測定値が所定値を超過するように該所定値を選びおむつが使用限界に到達したことを判断して警報信号を出力する。該警報手段は、緩い便や尿により多量の水分が急速におむつに供給された場合のおむつの交換時期の検出に効果的である。
【0022】
一方、比較的硬い便から水分がおむつに供給される場合には便自身の保水力乃至便の固形物内の水分拡散により水分が長い時定数で徐々に供給されるので前記湿度センサーが測定した湿度値は一定期間継続して緩やかに上昇する。こうした便の排泄を検出する為、請求項1に記載の湿度センサーが測定した湿度値が一定期間上昇を継続することを検出して警報信号を出力する手段は、該湿度値が長い時定数で一定期間継続して上昇したことを検出して警報信号を出力する。便の排泄は湿度そのものはおむつの使用限界までは大きくならない場合でもおむつを交換しないと皮膚に炎症を起こしてしまう恐れがあるので必ずおむつを交換しなければならない。該警報手段は、そのような比較的硬い便の排泄を検出しおむつの交換時期を報知するのに効果的に動作する。
こうして、本発明装置は、湿度センサーが測定した湿度の値を所定値と比較しておむつの交換時期を判断する従来公知のもののもつ欠点を克服することが出来た。
【0023】
尿の排泄が起こり湿度センサーの測定値が一度はおむつの使用限界値を超過しても、排泄量がおむつの吸水能力の範囲内であった場合にはおむつの吸水作用が進むに応じて前記湿度センサーの測定値が下降する。請求項2に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項1に記載したおむつ交換時期報知装置において湿度センサーの測定値が所定値を一度超過した後一定期間下降を継続したことを検出して警報信号を停止する手段により、前記の湿度の下降現象が一定期間継続したことを検出して警報信号を停止する。このことにより過剰に警報信号を発出し介護者に余分な作業を強いたりおむつを浪費させるような不都合を阻止する効果が得られる。
以上の説明から明らかなように本発明のおむつ交換時期報知装置によれば、おむつの吸水能力の限界まで排泄があった場合は勿論のこと、おむつの吸水能力の限界までの排泄でなくても便の排泄であって必ずおむつを交換する必要がある場合や、一度はおむつの使用限界まで湿度が上昇してもおむつの吸水作用が進んだことによりおむつの継続使用が可能となった場合、の何れの場合にも適切に報知することが出来るようになったので、介護者が本発明装置を使用することにより育児の緊張緩和に役立つ効果が得られる。
【0024】
請求項3に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項1及び請求項2に記載のおむつ交換時期報知装置において、赤ちゃんが足をばたつかせたり寝返りを打ったりしたことによって湿度センサーに到達する湿気が擾乱を受け湿度の測定値が変動するなど排泄以外の要素による湿度変化分が重畳されるので、これを除去するため該湿度センサーの出力にフィルタを挿入する。
一般に、前記湿度の測定値は便や尿の排泄によるものに比べ変動速度が速いなど異なった特性を持っている。そのため、本発明のおむつ交換時期報知装置はそうした変動分を湿度の測定値から除去するフィルタを備えることによっておむつの交換時期を一層正確に報知できるようにしたものである。
【0025】
請求項4に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項1乃至請求項3の何れかのおむつ交換時期報知装置において、警報判定手段が出力した警報信号に基づいてブザーやLEDなどを駆動して介護者に音や光などでおむつの交換時期の到来を報知する手段を備えたものである。そのことにより介護者は、赤ちゃんの泣声からおむつの交換時期を推測したりおむつを開けておむつの濡れ具合を見るなどする必要が無くなり、特に新生児の時期に介護者が夜間に定期的に睡眠を中断しておむつの状況を確かめるなどの必要が無くなり介護者の健康維持のためにも顕著な効果がある。
【0026】
請求項5に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置の警報判定手段が出力した警報信号を微弱電波を利用するなど適切な無線技術により遠隔地に無線伝送する送信機とこの無線伝送された信号を遠隔地に配設した受信機で受信してブザーなどを駆動しておむつの交換時期を介護者に報知する手段を備えたものである。そうすることによって介護者が赤ちゃんとは襖などを隔てた別の部屋にいてもおむつの交換時期の到来を的確に知ることが出来利便性が一層増大する。
【0027】
請求項6に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置が備える手段のうちから湿度センサーと該湿度センサーが測定した湿度の値を遠隔地に伝送する送信機をおむつに配設するようにした。該送信機は、請求項5に記載の送信機と同様のものである。一方、遠隔地には該送信機から送信される信号を受信する受信機と請求項1乃至請求項3の何れかに記載の湿度センサーを除く全ての手段を配設した。こうすることにより、おむつに配設する部分の装置を小規模にして一層小型化をはかり、赤ちゃんに与える肉体的ストレスを大幅に軽減させて、装着感を一層改善した。
【0028】
請求項7に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項6に記載のおむつ交換時期報知装置の遠隔地に配設する受信機の出力に請求項3に記載のフィルタと同様なフィルタを挿入して前記赤ちゃんの活動や無線伝送データの誤りなどに起因する排泄以外の湿度変化分を除去するようにしたものである。その結果、本発明のおむつ交換時期報知装置によれば、前記請求項1乃至請求項6についての効果で説明してきた効果に加え無線伝送誤りにも強いおむつ交換時期報知装置が実現できる。
【0029】
請求項8に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、何れかの装置をおむつの外側に配設する際に湿度センサーを便或いは尿の検出に好適な位置に湿度センサーを配設しやすいように湿度センサーを取り外し可能な可撓性ケーブルでその他の部分から突き出して接続したものである。
【0030】
また、請求項8に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項5乃至請求項7の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置においては、送信機の送信用アンテナを前記可撓性ケーブルに併設して送信アンテナの形状の安定化と製造方法の合理化をはかったもの、あるいは、おむつの外側に腹部に半周巻きつけるような形で配設し寝返りにより生ずる送信電界の変動を軽減したものである。
【0031】
請求項9に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側で少なくともおむつの便排泄口付近及び尿排泄口付近を含む複数の個所に湿度センサーを広域的に配設して、該複数個の湿度センサーの測定値の変化分が最大である湿度センサーを特定し、該湿度センサーの配設位置が便の排泄口付近のものであれば便の排泄があったとして前記特定した湿度センサーの出力に基づいて警報判定を行い、他方、前記湿度センサーの排泄位置が尿排泄口付近のものであれば尿の排泄があったとして前記特定した湿度センサーの出力に基づいて警報判定を行い警報信号を出力する。こうすることにより、便の排泄による湿度と尿の排泄による湿度が混合し特に便の警報判定に障害となっていたのを大幅に軽減できたので、本発明装置が提供する警報の信頼性を一層高める効果が得られた。
【0032】
請求項10に記載のおむつ交換時期報知装置は、請求項9に記載のおむつ交換時期報知装置において、前記特定された湿度センサーが便の排泄口付近に配設されたものであったときには、該湿度センサーの測定値が所定値を超過するか一定期間上昇を継続することを検出して便の排泄があったと判定し警報信号を出力する。また、特定された湿度センサーが尿の排泄口付近に配設されたものであったときには、該湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して尿の排泄があったと判定し警報信号を出力するが、該湿度センサーの測定値が一度前記所定値を超過した後に一定期間継続して下降したことを検出して前記警報信号を停止する。このように、便に対する湿度センサーの配設位置並びに警報条件と尿に対する湿度センサーの配設位置並びに警報条件を各個に好適なものに選ぶことによりより一層正確なおむつの交換時期を報知できる装置が実現できた。
【実施例】
【0033】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。尚、本発明は、下記の実施例に何ら限定されることなく本発明の技術的範囲に属する限り、種種の形態をとりうることは言うまでもない。
【0034】
(第一実施例)図1は、第一実施例の本発明装置をおむつに配設した場合の説明図である。図2は、第一実施例の構成を示す構成図である。図3(A)はおむつに排泄があった場合に湿度センサーが検出する湿度変化をサンプリングし湿度データメモリに記憶する場合の説明図である。図3(B)は、便や尿など排泄の種類による湿度変化の特徴の説明図である。
【0035】
図1に示すように第一実施例の本発明装置は、本体2と、本体2に着脱可能なように可撓性ケーブル4を介して取り付けられた湿度センサー3を備えている。本体2、湿度センサー3及び可撓性ケーブル4はおむつと接する面にマジックキャッチが取り付けられていてそれをおむつ5の外側に圧接することにより固定する。湿度センサー3のおむつへの取り付け位置は、特に便の検出に関心が高い場合は便の排泄口に接近した位置を選択し、尿の検出に関心が高い場合は尿の排泄口に接近した位置を選択する。
【0036】
図2に示すように、第一実施例は、おむつから発散する湿気に感応して湿度を測定する湿度センサー3と、該湿度センサーに接続されその出力から排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタ21と、該フィルタに接続され現在時点から過去に遡った一定期間の該フィルタ出力を所定間隔でサンプリングし記憶する湿度データメモリ22と、該湿度データメモリと警報判定基準メモリ26に接続され前記湿度データメモリに記憶された湿度値と前記警報判定基準メモリに記憶された第一の所定値に基づいて警報判定し判定結果を警報器27に出力する第一の警報判定手段23と、前記湿度データメモリ22と前記警報判定基準メモリ26に接続され前記湿度データメモリに記憶された湿度値と前記警報判定基準メモリに記憶された第二の所定値に基づいて警報判定し判定結果を警報器27に出力する第二の警報判定手段24と、前記湿度データメモリ22と前記警報判定基準メモリ26に接続され前記湿度データメモリに記憶された湿度値と前記警報判定基準メモリに記憶された第三の所定値に基づいて警報判定し判定結果を警報器27に出力する第三の警報判定手段25と、前記第一の警報判定手段23と前記第二の警報判定手段24及び第三の警報判定手段25の夫々に接続され前記第一の警報判定手段23に第一の所定値前記第二の警報判定手段24に第二の所定値及び第三の警報判定手段25に第三の所定値を夫々送出する警報判定基準メモリ26と、前記第一の警報判定手段23と前記第二の警報判定手段24及び第三の警報判定手段25の夫々に接続され前記第一の警報判定手段23及び前記第二の警報判定手段24から送出される警報信号によりブザーを鳴らし第三の警報判定手段25から送出される警報停止信号により前記ブザーを停止させる警報器27と、で構成されている。こうした構成において湿度センサー3及び警報器27以外の構成要素は好適にはマイクロコントローラやマイクロプロセッサを用いて実現する。こうしたディジタル的に処理する場合について説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されることなく種種の形態をとり得る。
【0037】
次に、このように構成された第一実施例の動作を図2と図3(A)及び図3(B)を用いて以下に説明する。
湿度センサー3の測定値は図3(A)に一般的な一例を示したが、おむつに配設した当初は環境湿度付近或いはそれまでおむつが保管されていた状態に依存した湿度を示すがその後は赤ちゃんの発汗作用により緩やかに上昇する。この期間は、図3(A)において大略データD0からデータDn−4までの期間に相当する。やがて排泄が起こると前記湿度の測定値は一般に数十秒から数分の時定数で上昇するが、上昇のしかたは、おむつの構造や排泄の大きさや排泄物の内容に依存している。図3(B)は種種の排泄の内容により排泄開始後の湿度の変化状況が変わる様子を、特徴を把握しやすくする為に少し誇張して示したものである。図3(B)において、aは多少ゆるめの便や尿が多量に排泄された場合で、排泄直後から湿度が急速に上昇しおむつの吸水能力の限界即ちおむつの交換時期を越える湿度にまで上昇して数10秒から100秒程度でほぼ平衡状態となる。しかし、尿が一気に排泄された場合排泄直後には体温と同じく温められた未だおむつに吸い込まれない水分から湿気が多量に放出され湿度が一度はおむつの交換時期を越える値にまで上昇するが、排出量がおむつの吸水能力の範囲内であったときには一般に5分間程度で尿の温度が下がることと吸水部分の吸水作用が進むことによって湿度がおむつの交換時期を示す値以下に低下する。この様子を示したものが図3(B)のbである。図3(B)のcは、比較的硬い便が排泄された場合の湿度変化の様子を示したもので、硬めの便からおむつへの水分の拡散は便の固形物を通して行われる為一般に5分以上の長い時定数で徐々に行われる。この期間は、図3(A)において大略データDn−4から時間軸一杯までの期間に相当する。本発明は、これら排泄の内容により排泄後の湿度の変化のしかたが異なる点に着目してなされたもので、aとb及びcの夫々の変化に各個に対応した警報判定手段を備えることにより正確なおむつの交換時期の報知を可能にした。また、図3(A)には図示してないが、湿度センサー3の測定値には赤ちゃんの運動など排泄以外の要素による湿度の擾乱が重畳されて現れる。該湿度センサーの測定値はA/D変換されて例えば図3(A)に示すようにサンプリング間隔10秒のディジタル値として測定の順にD0,D1,D2,・・・・Dn−2,Dn−1,Dnとして出力される。ここでDnは現在値である。尚、当該分野の技術者なら前記サンプリング間隔を容易に他の値に変更できその場合も本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
【0038】
前記排泄以外の要素による湿度の擾乱はその変動周期が一般に排泄による湿度変化の時定数より短いという特徴の差異を持っている。前記擾乱はおむつの交換時期の判定を正確に行う上で障害となるので第一実施例ではそれを取り除く為湿度センサー3の出力にフィルタ21を挿入する。該フィルターは、前記の特徴の差異に着目して例えばソフトウエア処理によるローパスフィルタを使用する。以下の説明を簡素化するため、該ローパスフィルタの出力には前記ディジタル化された湿度値D0〜Dnが現れるとする。
【0039】
湿度データメモリ22は、フィルタ21から受け取った湿度のデータ列D0〜Dnについて新たなデータサンプリングが発生し次第順次記憶し過去に遡る300秒間の湿度値即ちDnからDn−30までを記憶する。この記憶する期間は、300秒に限るものではない。
【0040】
第一の警報判定手段23は図3(B)のaに示した内容の排泄に対応するもので、湿度データメモリ22に記憶された湿度値の内DnからDn−3までを警報判定基準メモリ26に記憶されている第一の判定基準である湿度85%と比較し、いずれも85%を超過していたなら警報信号を警報器27に送出しブザーを鳴らす。こうすることにより、おむつの最新の湿度が確実に警報判定基準を超えたことが確かめられ次第迅速に警報することが出来るようになる。第一の警報判定基準である湿度85%はおむつの構造や吸水性能或いはおむつの交換時期に対する介護者の考え方により好適な値を選んでよい。また、警報判定に使用する湿度値はDnからDn−3の4個に限ったものではなく使用する数やサンプリングの時間的位置を他に変更しても本発明の技術思想の範囲内であれば類似の効果が得られ、本発明の範囲に含まれる。前記第一の警報判定手段23の警報判定動作及び警報出力動作は、新たにサンプリングデータDnが更新される10秒毎に出力される。
【0041】
第二の警報判定手段24は図3(B)のcに示した内容の排泄に対応するもので、先ず、湿度データメモリ22に記憶された湿度値の内Dnから過去に遡る100秒毎のデータであるDn−10とDn−20及びDn−30を用いて相互の差分即ち(Dn−Dn−10)と(Dn−10−Dn−20)及び(Dn−20−Dn−30)を算出する。次いで、こうして算出された夫々の差分を個々に警報判定基準メモリ26に記憶されている第二の判定基準である差分1%と比較し、いずれも1%を超過していたなら警報信号を警報器27に送出しブザーを鳴らす。こうすることにより、おむつの湿度が過去300秒間に亘って継続的に上昇したことが確かめられ硬めの便の排泄があった場合でも確実に警報することが出来るようになる。第一の警報判定基準である差分1%についてもおむつの構造や吸水性能或いはおむつの交換時期に対する介護者の考え方により好適な値を選んでよい。また、警報判定に使用する差分算出に使用するデータ間隔は前記の100秒に限ったものではなく他に変更しても湿度が継続的に上昇するという本発明の技術思想の範囲内であれば類似の効果が得られ、本発明の範囲に含まれる。前記第二の警報判定手段24の警報判定動作及び警報出力動作も、新たにサンプリングデータDnが更新される10秒毎に出力される。
【0042】
第三の警報判定手段25は図3(B)のbに示した内容の排泄に対応するもので、湿度データメモリ22に記憶された湿度値の内DnからDn−3までの夫々を各個に警報判定基準メモリ26に記憶されている第三の判定基準である湿度83%と比較しいずれも83%を下回ったら警報停止信号を警報器207に送出し前記第一の警報判定手段23により起動されたブザーを停止させる。こうすることにより、一度はおむつの使用限界を超過した湿度が最新の湿度はおむつを継続使用できる範囲内であることが確かめられ迅速に警報を停止することが出来るようになった。第三の警報判定基準である湿度83%は前記第一の警報判定基準の85%と同様におむつの構造や吸水性能或いはおむつの交換時期に対する介護者の考え方により好適な値を選んでよい。また、警報判定に使用する湿度値はDnからDn−3の4個に限ったものではなく使用する数やサンプリングの時間的位置を他に変更しても一度警報基準を超過した湿度がその後警報基準を下回ったことを検出して警報を停止するという本発明の技術思想の範囲内であれば類似の効果が得られ、本発明の範囲に含まれる。前記第三の警報判定手段25の警報判定動作及び警報停止信号の出力動作は、新たにサンプリングデータDnが更新される10秒毎に出力される。
【0043】
前記第一の警報判定手段23と第二の警報判定手段24及び第三の警報判定手段25は前述のように新たにサンプリングデータDnが更新される10秒毎に警報判定動作を開始するがその順序はどのようであっても差し支えない。また、前記3種類の警報判定手段の他に湿度センサー3の測定値に基づいて排泄を検出しそのときの前記3種類の警報判定手段の判定結果のみを有効とすることも考えられるが、この場合の判定結果も本実施例で述べた10秒毎の判定結果の一時刻に含まれ本発明に含まれる。
【0044】
警報判定基準メモリ26は、これまでの説明で明らかであるが、第一の警報判定手段23が使用する第一の判定基準と、第二の警報判定手段24が使用する第二の判定基準と、第三の警報判定手段25が使用する第三の判定基準を記憶している。
【0045】
警報器27は、第一の警報判定手段23あるいは第二の警報判定手段24が出力する警報信号に基づいてブザーを鳴らし、介護者におむつの交換時期の到来を報知する。このとき、前記第一の警報判定手段が発する出力と第二の警報判定手段が発する出力によりブザーの音色を変えるとかLEDを併用してその色を変えるとかすることによってより詳細な情報を伝えるようにしてもよい。また、警報器27は、第三の警報判定手段25の出力する警報停止信号により第一の警報判定手段23により起動したブザーの動作を停止させる。図2には図示してないが、一度起動されたブザーの動作は第三の警報判定手段25から停止信号が送出されない限り手動によりリセットされるまで動作を継続する。
【0046】
(第二実施例)本実施例は、図1に示した第一の実施例において、湿度センサー3を2個使いとしそれに対応して本体2の構成を変更したもので、図4は、本実施例の発明装置をおむつに配設した場合の説明図である。図5は本実施例の構成を示す構成図である。
【0047】
図4に示すように第二実施例の本発明装置は、本体2に着脱可能なように可撓性ケーブル4を介して取り付けられた2個の湿度センサー31及び32を備えていて、それに対応して本体6は図1の本体3とは構成が異なるがおむつ5への配設のしかたは同様である。湿度センサー31は便の排泄口付近でおむつ外側の少なくとも尿の排泄口に近寄らない位置に配設され、湿度センサー32は尿の排泄口付近でおむつの外側の少なくとも便の排泄口に近寄らない位置に配設される。前記2個の湿度センサーは、可撓性ケーブル4を介して本体6に着脱可能なように接続されている。更に、前記2個の湿度センサーは、図1の場合と同様にマジックキャッチ等によりおむつ5に圧接されている。
【0048】
図5に示すように、第二実施例は、主として便の排泄によりおむつから発散する湿気に感応して湿度を測定する湿度センサー31と、主として尿の配設によりおむつから発散する湿気に感応して湿度を測定する湿度センサー32と、前記湿度センサー31に接続されその出力から排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタ211と、前記湿度センサー32に接続されその出力から排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタ212と、前記フィルタ211に接続され現在時点から過去に遡った一定期間の該フィルタ出力を所定間隔でサンプリングし記憶する湿度データメモリ221と、前記フィルタ212に接続され現在時点から過去に遡った一定期間の該フィルタ出力を所定間隔でサンプリングし記憶する湿度データメモリ222と、前記湿度データメモリ221及び湿度データメモリ222に接続され夫々の湿度データメモリに記憶されているデータに基づいて前記湿度センサー31及び湿度センサー32が測定した湿度の所定期間の変化分を算出しもし湿度センサー31の方の変化分が大きい場合は前記湿度データメモリ221の記憶データを第一の警報判定手段23および第二の警報判定手段24に送給し逆に湿度センサー32の方の変化分が大きい場合は前記湿度データメモリ222の記憶データを第一の警報判定手段23および第三の警報判定手段25に送給する湿度センサー特定手段61と、前記湿度センサー特定手段61と警報判定基準メモリ26に接続され前記湿度センサー特定手段61から送給される前記湿度センサー31乃至湿度センサー32の測定値と前記警報判定基準メモリ26に記憶されている第一の所定値に基づいて警報判定し判定結果を警報器27に出力する第一の警報判定手段23と、前記湿度センサー特定手段61と前記警報判定基準メモリ26に接続され前記湿度センサー特定手段61から送給される前記湿度センサー31乃至湿度センサー32の測定値と前記警報判定基準メモリ61に記憶されている第二の所定値に基づいて警報判定し判定結果を警報器27に出力する第二の警報判定手段24と、前記湿度センサー特定手段61と警報判定基準メモリ26に接続され前記湿度センサー特定手段61から送給される前記湿度センサー31乃至湿度センサー32の測定値と前記警報判定基準メモリ61に記憶されている第三の所定値に基づいて警報判定し警報停止信号を警報器27に出力する第三の警報判定手段25と、前記第一の警報判定手段23と前記第二の警報判定手段24及び第三の警報判定手段25の夫々に接続され前記第一の警報判定手段23に第一の所定値前記第二の警報判定手段24に第二の所定値及び第三の警報判定手段25に第三の所定値を夫々送出する警報判定基準メモリ26と、前記第一の警報判定手段23と前記第二の警報判定手段24及び第三の警報判定手段25の夫々に接続され前記第一の警報判定手段23及び前記第二の警報判定手段24から送出される警報信号によりブザーを鳴らし第三の警報判定手段25から送出される警報停止信号により前記ブザーを停止させる警報器27と、で構成されている。以上に説明した第二実施例の構成において、第一実施例と同一番号の構成要素は、第一実施例と同じ内容の構成要素により構成されていることを意味している。こうした構成において湿度センサー31と湿度センサー32及び警報器27以外の構成要素は好適にはマイクロコントローラやマイクロプロセッサを用いて実現する。本実施例もこのようにディジタル的に処理する場合について説明するが、本発明は本実施例に何ら限定されることなく種種の形態をとり得る。
【0049】
次に、このように構成された第二実施例の動作を図5と図3(A)及び図3(B)を用いて以下に説明する。以下の説明では、説明を簡素化するため前記第一実施例と重複する部分については省略する。
【0050】
フィルタ211の出力には前記湿度センサー31が測定しディジタル化された湿度値D0〜Dnが現れるとする。同様にフィルタ212の出力には前記湿度センサー32が測定しディジタル化された湿度値D0からDnが現れるとする。ここで、2つのD0からDnを区別して表示していないが一般には異なった値を示す。
【0051】
湿度データメモリ221は、前記湿度センサー31が測定した湿度値を現在から過去に遡って300秒間即ちDnからDn−30までを記憶する。同様に湿度データメモリ222は、前記湿度センサー32が測定した湿度値を現在から過去に遡って100秒間即ちDnからDn−10までを記憶する。前記湿度データメモリ221及び湿度データメモリ222に記憶される湿度値は10秒毎に新しい湿度のサンプリングデータが得られ次第更新される。尚、前記湿度データメモリ221及び湿度データメモリ222に記憶される湿度値の個数は夫々DnからDn−30並びにDnからDn−10と限定するものでなく設計段階で適宜按配することが出来る。
【0052】
湿度センサー特定手段61は、先ず、前記湿度センサー31が測定した湿度値の最新の100秒間の変化分と前記湿度センサー32が測定した湿度値の最新の100秒間の変化分との差を求める。そのため、前記湿度データメモリ221に記憶されている湿度データを用いてDn−Dn−10を算出し、同様に前記湿度データメモリ222に記憶されている湿度データを用いてDn−Dn−10を算出し、前者から後者を減算する。この減算結果が正であれば便の排泄があった可能性が高いと判定し湿度データメモリ221に記憶されている湿度データについてDnからDn−3を第一の警報判定手段に送出しDnからDn−30を第二の警報判定手段24に送出する。逆に、前記の減算結果が負のときには尿の排泄があった可能性が高いと判定して湿度データメモリ222に記憶されている湿度データについてDnからDn−3を第一の警報判定手段及び第三の警報判定手段25に送出する。以上に記載した湿度センサー特定手段61の動作は、10秒毎に湿度値の新しいサンプリングデータが得られる度に繰り返される。ここで、前記湿度値の変化分の減算にあたって使用する湿度値は、DnとDn−10に限定するものではなく、また、前記湿度センサー特定手段を経由して第一の警報判定手段23と第二の警報判定手段24並びに第三の警報判定手段25に送給される湿度値は夫々DnからDn−3とDnからDn−30並びにDnからDn−3に限定するものでなく当該技術分野の技術者が設計段階で適宜按排出来る範囲である。
【0053】
第一の警報判定手段23は第一実施例の場合と同じ動作をする。その動作は、湿度データの入力は湿度センサー特定手段61が選択した湿度データメモリ221乃至湿度データメモリ222に記憶された湿度値の内DnからDn−3までを警報判定基準メモリ26に記憶されている第一の判定基準である湿度85%と比較し、いずれも85%を超過していたなら警報信号を警報器27に送出しブザーを鳴らす。第一実施例でも記載したが第一の警報判定基準である湿度85%や警報判定に使用する湿度値の数やサンプリングの時間的位置を他に変更しても本発明の技術思想の範囲内であれば類似の効果が得られ、本発明の範囲に含まれることは言うまでも無い。前記第一の警報判定手段23の警報判定動作及び警報出力動作は、新たにサンプリングデータDnが更新される10秒毎に出力される。
【0054】
第二の警報判定手段24も第一実施例の場合と同じ動作をする。その動作は、湿度データの入力は湿度センサー特定手段61が選択した湿度データメモリ221に記憶された湿度値の内Dnから過去に遡る100秒毎のデータであるDn−10とDn−20及びDn−30を用いて相互の差分即ち(Dn−Dn−10)と(Dn−10−Dn−20)及び(Dn−20−Dn−30)を算出する。次いで、こうして算出された夫々の差分を個々に警報判定基準メモリ26に記憶されている第二の判定基準である差分1%と比較し、いずれも1%を超過していたなら警報信号を警報器27に送出しブザーを鳴らす。こうすることにより、おむつの湿度が過去300秒間に亘って継続的に上昇したことが確かめられ硬めの便の排泄があった場合でも確実に警報することが出来るようになる。第一実施例でも記載したが、第一の警報判定基準である差分1%や、警報判定に使用する差分算出に使用するデータ間隔は他に変更しても湿度が継続的に上昇するという本発明の技術思想の範囲内であれば類似の効果が得られ、本発明の範囲に含まれる。前記第二の警報判定手段24の警報判定動作及び警報出力動作も、新たにサンプリングデータDnが更新される10秒毎に出力される。
【0055】
第三の警報判定手段25も第一実施例の場合と同じ動作をする。その動作は、湿度データの入力は湿度センサー特定手段61が選択した湿度データメモリ222に記憶された湿度値の内DnからDn−3までの夫々を各個に警報判定基準メモリ26に記憶されている第三の判定基準である湿度83%と比較しいずれも83%を下回ったら警報停止信号を警報器207に送出し前記第一の警報判定手段23により起動されたブザーを停止させる。第一実施例でも記載したが第三の警報判定基準である湿度83%や警報判定に使用する湿度値の数やサンプリングの時間的位置を他に変更しても一度警報基準を超過した湿度がその後警報基準を下回ったことを検出して警報を停止するという本発明の技術思想の範囲内であれば類似の効果が得られ、本発明の範囲に含まれる。前記第三の警報判定手段25の警報判定動作及び警報停止信号の出力動作は、新たにサンプリングデータDnが更新される10秒毎に出力される。
【0056】
警報判定基準メモリ26は、前記第一実施例の場合と同じく、第一の警報判定手段23が使用する第一の判定基準と、第二の警報判定手段24が使用する第二の判定基準と、第三の警報判定手段25が使用する第三の判定基準を記憶している。
【0057】
警報器27は、前記第一実施例の場合と同じく、第一の警報判定手段23或いは第二の警報判定手段24が出力する警報信号に基づいてブザーを鳴らし第三の警報判定手段25が出力する警報停止信号でブザーを停止する。また、一度起動されたブザーの動作は第三の警報判定手段25から停止信号が送出されない限り手動によりリセットされるまで動作を継続する。
【0058】
(第三実施例)本実施例は、図1に示した第一の実施例に無線伝送の機能を追加したしたもので、図6(A)及び図6(B)にその構成を示す。
【0059】
第三実施例において、おむつの外側に配設される部分は、図6(A)に示すように、図1の本体2から警報器27を取り除いた演算器200と、該演算器に接続されその警報信号出力を遠隔地に無線送信する送信機7と、該送信機に接続され微弱電波等を送信するアンテナ8a又は8bと、で構成されている。尚、前記送信機7は前記演算器200に隣接して配設され、前記アンテナ8aは可撓性ケーブル4に併設されるが前記アンテナ8bはおむつの外周に腹部に巻きつけるような形に配設されている。
次に遠隔地に配設される部分は、図6(B)に示すように、前記送信機7から送信された警報信号を受信する受信機9と、警報器27と、で構成されている。
【0060】
次に、このように構成された第三の実施例の動作を図6(A)と図6(B)及び図7を用いて以下に説明する。
図7は、本実施例のおむつに配設する部分の構成を詳細に示したもので、送信機7とアンテナ8a及び8bを除いた部分は第一実施例の図2から警報器27を取り除いた部分と完全に一致していてこの部分の動作も同一なので、説明を簡素化するためこの部分を再度説明することは省略する。
【0061】
図7において、第一の警報判定手段23或いは第二の警報判定手段24から警報信号が出力されると、送信機7はアンテナ8aまたは8bを経由して微弱電波等で前記警報信号を遠隔地に送信する。また、第三の警報判定手段25から警報停止信号が出力された場合も同様に送信する。
【0062】
こうして送信された警報信号を遠隔地に配設された図6(B)に示した受信機9が受信しその出力に応じて警報器27がブザー等を動作させて介護者におむつの交換時期が到来したことを報知する。図示してないが受信機9の出力には前記無線送受信の過程で発生したデータ誤り等を排除するフィルタを適宜挿入する。
【0063】
第三実施例の変形として図7の湿度センサー3とその出力を無線送信する送信機9及びアンテナ8a或いは8bのみをおむつの外側に配設して湿度の測定値を遠隔地に送信し、それ以外の構成要素を遠隔地に配設して受信機9が受信した湿度の測定値に基づいておむつの交換時期を報知するようにすることは、当該分野の技術者ならば容易に実施できることなのでここでは詳細説明は省略するが、本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例のおむつへの配設を説明する説明図である。
【図2】第一実施例の構成を示す説明図である。
【図3】おむつの湿度変化と第一実施例の動作の関係を説明する説明図である。
【図4】第二実施例のおむつへの配設を説明する説明図である。
【図5】第二実施例の構成を示す構成図である。
【図6】第三実施例のおむつ及び遠隔地への配設を説明する説明図である。
【図7】第3実施例の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
2・・・第一実施例の本体
3・・・湿度センサー
4・・・可撓ケーブル
5・・・おむつ
6・・・第二実施例の本体
7・・・第三実施例の送信機
8a,8b・・・アンテナ
9・・・第三実施例の受信機
21・・・フィルタ
22・・・湿度データメモリ
23,24,25・・・警報判定手段
26・・・警報判定基準メモリ
27・・・警報器
31,32・・・湿度センサー
61・・・湿度センサー特定手段
200・・・演算器
211,212・・・フィルタ
221,222・・・湿度データメモリ
D0〜Dn・・・湿度のサンプリング値

【特許請求の範囲】
おむつ交換時期報知装置特許申請明細書
〔要約〕おむつの交換時期を正確に報知できると共に、一般家庭の赤ちゃんの布おむつや使い捨て紙おむつに配設して容易に使用できる小型であると共に安価でかつ衛生的なおむつ交換時期報知装置を提供する。
〔解決手段〕おむつの外側に、便または尿の排泄による水分によっておむつから発散する湿気に感応して湿度を測定する少なくとも1個の湿度センサーを配設し、測定した湿度値と所定値との差及び該測定した湿度値の一定期間の変化分を算出する。前記の差が所定値を超過していた場合及び前記変化分が所定値を上回っていた場合におむつの使用限界と判定し警報信号を出力することによりおむつの交換時期を正確に報知するようにした。また、前記湿度センサーの測定値が一定期間経過後に一定値以下に降下したことを検出して警報信号を解除することによりおむつの交換時期を正確に報知するようにした。
〔課題〕
【請求項1】
おむつの外側に配設され便または尿の排泄による水分によっておむつから発散する湿気に感応して湿度を測定する少なくとも1個の湿度センサーと、該湿度センサーの測定値を現在から過去に遡る所定期間分を記憶する湿度データメモリと、該湿度データメモリに記憶された湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と、前記湿度センサーの測定値が一定期間上昇を継続することを検出して警報信号を出力する手段とを備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項2】
請求項1に記載のおむつ交換時期報知装置において、前記湿度センサーの測定値が所定値を超過した後一定期間下降を継続したことを検出して前記警報信号を停止する手段を備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のおむつ交換時期報知装置において、湿度センサーの出力から排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタを備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、警報信号出力に基づいてブザーなどを駆動して警報する警報器を備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、警報信号出力を遠隔地に無線伝送する送信機と、遠隔地に配設され該無線伝送された警報信号を受信する受信機と、該受信機が受信した警報信号出力に基づいてブザーなどを駆動して警報する警報器を備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側に配設する前記湿度センサーと、該湿度センサーが測定した湿度値を遠隔地に無線伝送する送信機を備え、遠隔地に配設する該無線伝送された湿度値の信号を受信する受信機と、該受信機が受信した湿度値に基づいて警報動作する請求項1乃至請求項4の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置の手段を備えること、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項7】
請求項6に記載のおむつ交換時期報知装置において、遠隔地に配設する前記無線伝送された湿度値の信号を受信する受信機が受信した湿度値に対し請求項3に記載した排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタを備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側に配設する装置は該装置の収容筐から可撓性に富んだケーブルを突き出して前記湿度センサーを着脱可能なように取り付ける手段を備えたこと、及び、請求項5乃至請求項7の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置にあっては、前記可撓性ケーブルに前記送信機の送信用アンテナを併設したこと或いはおむつの外周に腹部に巻きつけるような形に配設したこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側で少なくともおむつの便排泄口付近及び尿排泄口付近に夫々配設する複数個の湿度センサーと、該複数個の湿度センサーの測定値を現在から過去に遡る所定期間分を記憶する湿度データメモリと、該湿度データメモリに記憶された複数個の湿度センサーの測定値を循環的に順次切換えて個々の湿度センサーの測定値の変化分を検出し該変化分が最大である湿度センサーを特定する手段と、該湿度センサーを特定する手段により特定された湿度センサーの出力とおむつへの配設位置情報に基づいて警報動作をする手段を備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項10】
請求項9に記載のおむつ交換時期報知装置において、前記湿度センサーを特定する手段が便排泄口付近に配設した湿度センサーを特定した場合に動作する請求項1に記載の湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と前記湿度センサーの測定値が一定期間上昇を継続することを検出して警報信号を出力する手段と、前記湿度センサーを特定する手段が尿排泄口付近に配設した湿度センサーを特定した場合に動作する請求項1に記載の湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と請求項2に記載の前記湿度センサーの測定値が所定値を超過した後一定期間下降を継続したことを検出して前記警報信号を停止する手段と、を備えたことを特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おむつの外側に配設され便または尿の排泄による水分によっておむつから発散する湿気に感応して湿度を測定する少なくとも1個の湿度センサーと、該湿度センサーの測定値を現在から過去に遡る所定期間分を記憶する湿度データメモリと、該湿度データメモリに記憶された湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と、前記湿度センサーの測定値が一定期間上昇を継続することを検出して警報信号を出力する手段とを備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項2】
請求項1に記載のおむつ交換時期報知装置において、前記湿度センサーの測定値が所定値を超過した後一定期間下降を継続したことを検出して前記警報信号を停止する手段を備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のおむつ交換時期報知装置において、湿度センサーの出力から排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタを備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、警報信号出力に基づいてブザーなどを駆動して警報する警報器を備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、警報信号出力を遠隔地に無線伝送する送信機と、遠隔地に配設され該無線伝送された警報信号を受信する受信機と、該受信機が受信した警報信号出力に基づいてブザーなどを駆動して警報する警報器を備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側に配設する前記湿度センサーと、該湿度センサーが測定した湿度値を遠隔地に無線伝送する送信機を備え、遠隔地に配設する該無線伝送された湿度値の信号を受信する受信機と、該受信機が受信した湿度値に基づいて警報動作する請求項1乃至請求項4の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置の手段を備えること、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項7】
請求項6に記載のおむつ交換時期報知装置において、遠隔地に配設する前記無線伝送された湿度値の信号を受信する受信機が受信した湿度値に対し請求項3に記載した排泄以外の要素による湿度変化分を除去するフィルタを備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側に配設する装置は該装置の収容筐から可撓性に富んだケーブルを突き出して前記湿度センサーを着脱可能なように取り付ける手段を備えたこと、及び、請求項5乃至請求項7の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置にあっては、前記可撓性ケーブルに前記送信機の送信用アンテナを併設したこと或いはおむつの外周に腹部に巻きつけるような形に配設したこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のおむつ交換時期報知装置において、おむつの外側で少なくともおむつの便排泄口付近及び尿排泄口付近に夫々配設する複数個の湿度センサーと、該複数個の湿度センサーの測定値を現在から過去に遡る所定期間分を記憶する湿度データメモリと、該湿度データメモリに記憶された複数個の湿度センサーの測定値を循環的に順次切換えて個々の湿度センサーの測定値の変化分を検出し該変化分が最大である湿度センサーを特定する手段と、該湿度センサーを特定する手段により特定された湿度センサーの出力とおむつへの配設位置情報に基づいて警報動作をする手段を備えたこと、を特徴とするおむつ交換時期報知装置。
【請求項10】
請求項9に記載のおむつ交換時期報知装置において、前記湿度センサーを特定する手段が便排泄口付近に配設した湿度センサーを特定した場合に動作する請求項1に記載の湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と前記湿度センサーの測定値が一定期間上昇を継続することを検出して警報信号を出力する手段と、前記湿度センサーを特定する手段が尿排泄口付近に配設した湿度センサーを特定した場合に動作する請求項1に記載の湿度センサーの測定値が所定値を超過したことを検出して警報信号を出力する手段と請求項2に記載の前記湿度センサーの測定値が所定値を超過した後一定期間下降を継続したことを検出して前記警報信号を停止する手段と、を備えたことを特徴とするおむつ交換時期報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−43389(P2006−43389A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256298(P2004−256298)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(504334164)ミーノス電子有限会社 (5)
【Fターム(参考)】