説明

お茶漬け、雑炊等の加工米飯

【課題】簡単に食することができるものでありながら、副菜の種類、量を多くとることができるとともに、水分や調味料が米飯、副菜に浸透することを防止して米粒の崩れや、食味、食感の悪化を防止する。
【解決手段】 加工米飯1は炊飯した米飯2と、加熱処理された野菜等の副菜(具)3と、煮出した調味料4とは冷却され、冷却後に混ぜ合わせ一体的に成形されて冷凍される。調味料4は冷却されるとゼリー状になり、米飯2、副菜3の周囲を被膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食事に際して、加熱、加水するだけで手間をとらずに食することができる即席のお茶漬け、雑炊等の加工米飯である。
【背景技術】
【0002】
現在、簡単にお茶漬けや、雑炊が食べられるものとしては、水分と米飯と副菜及びそれらを味付けする調味料とを混ぜ合わせたレトルト食品(特許文献1)や、副菜を調味料等と混ぜ合わせたものを乾燥させた乾燥具材(特許文献2)がある。前者のものは、加熱するだけで食するものであり、また、後者のものは、乾燥具材を米飯に載せた後温水を加えて食するものである。ところで、炊飯した米飯や、副菜は水分、特に調味料を含んだ水分とを長い間一緒にしておくと、米粒に水分が浸透して崩れ糊化したり副菜に水分が浸透して食味が悪化するが、前者のものは米飯を水分と一緒になっていることから、このような経時劣化を防止するために、浸漬米に蒸気又加圧蒸気を蒸煮して米粒に水分が浸透するのを防ぐ工夫がされている。また、前者のものは、副菜を水分及び調味料の中に入れておくと、副菜中に水分、調味料が浸透して食味、食感が落ちることから、入れる副菜の種類、量が限られる。
【特許文献1】特開05−219904号公報
【特許文献2】特開11−169140号公報
【0003】
ところで、若者などより体の自由がききにくい御老人は、食事に際してあま手をかけることがおっくうであり、手のかかる料理をすることを敬遠しがちになる。そのため、お茶漬けで食事を済まそうとする場合でも、お茶漬けの中に入れる副菜の種類、量が少なくなりがちになり、栄養不足となりやすい。本発明はこれらの事情と、上記従来技術に鑑みて全く新しいお茶漬け、雑炊等の加工食品を提供しようとするものであり、簡単に食することができるものでありながら、副菜の種類、量を多くとることができるとともに、水分や調味料が米飯、副菜に浸透することを防止して米粒の崩れや、食味、食感の悪化を防止することを目的とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、簡単に食することができるものでありながら、副菜の種類、数を多くすることができ、また、水分や調味料が米飯、副菜に浸透することを防止して米粒の崩れ、食味、食感の悪化等を防止して新鮮な状態で保存してお茶漬け、雑炊を食することができることである。米飯と副菜と調味料とを一体的に冷凍することにより、食するときには、加熱、加水するだけで簡単に食することができるとともに、米飯や副菜への水分、調味料の浸透をなくして新鮮な状態で保存することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、炊飯された米飯と、小片に刻まれて加熱調理された野菜、魚、肉等の副菜と、煮出された調味料とを冷却後混ぜ合わせ一体的に成形して冷凍される構成とした。
また、前記調味料は食するに際して加熱、加水後に溶解するゼリー成分を含んで形成される。
また、前記調味料はおから、小豆、生あんこ、マッシュポテト等のゼリー成分の溶解調整材を含んで形成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の加工米飯によれば、米飯と副菜と調味料とが一体的に成形されているので、手間をとらずに簡単に食することができるものでありながら、調味料は冷凍状態にあることにより、水分や調味成分の米飯、副菜への浸透が防止され米粒の崩れ、食味、食感の悪化等を防止することができるので、種類、量ともに多くの副菜を入れて保存することができるとともに、新鮮な状態で食することができる。
また、調味料がゼリー成分を含んで構成された加工米飯では、冷凍状態にあることと相俟って、より水分や調味成分の米飯、副菜への浸透が防止され米粒の崩れ、食味、食感の悪化等を防止することができるので、種類、量ともにより多くの副菜を入れて保存することができるとともに、より新鮮な状態で食することができる。
また、調味料にゼリー成分の溶解調整材を含んで形成された加工米飯は、加工時にはゼリー成分が塊になることを防止して混ぜやすくすることができる一方、食する時には加水によりすみやかに溶解する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
加工米飯1は円形、三角形等適宜の形状に一体成形されて急速冷凍されている。加工米飯1は炊飯した米飯2と、加熱処理された野菜等の副菜(具)3と、煮出された調味料4とから構成され、それぞれ冷却後に混ぜ合わせて瞬間冷凍される。
【0009】
米飯2はうるち米に適宜大麦(押し麦)、大豆、小豆を混ぜて炊飯され、炊飯後冷却しておく。
【0010】
副菜3は人参、ほうれん草、切干大根、しいたけ等の野菜類、のり、わかめ等の海草類、小女子、小えび等の魚介類、鶏肉、豚肉等の肉類をお茶漬け、雑炊等加工米飯1の種類に応じて調整される。それぞれの副菜3は小片の刻まれた後加熱され、加熱後冷却しておく。
【0011】
調味料4は寒天、ゼラチン等の凝固材によりゼリー状に固めて形成されており、まず、寒天、ゼラチン等の凝固材を出し汁で加熱溶解し、次いでおから、小豆、生あんこ、マッシュポテト等の溶解調整材を加え、さらに醤油、塩、砂糖、うまみ成分等の調味成分を混ぜて加熱し、しかる後冷却しておく。この際、小豆、生あんこ、マッシュポテト等の溶解調整材を加えることにより、混ぜる時には、凝固力の強い凝固材の凝固力が調整でき混ぜやすくすることができる一方で、食する時の加水によりすみやかに溶解する。調味料4は冷却後にゼリー状になる。
【0012】
冷却された上記米飯2、副菜3及び調味料4は混ぜ合わされ、次いで、円形、三角形等適宜形状に一体成形された後、瞬間冷凍される。
【0013】
この冷凍された状態で、ゼリー状の調味料4は米飯2、副菜3の周囲に被膜コーティングした状態で付着しており(図2及び図3参照)、食するに際して加熱、加水すると、はじめて融解して水分、調味成分が米飯2及び副菜3に浸透して味付けする。すなわち、調味料4は冷凍状態であること及びゼリー状になっていることとが相俟って、加熱、加水前は水分、調味成分が米飯2及び副菜3への浸透が防止された状態になっている。
【0014】
上記加工米飯1を食する際は、セロファン等の包装紙とともに電子レンジ等で加熱した後、包装紙を取り除いてお茶碗等の容器にいれお茶等の温水を加えるだけでよい。
【実施例1】
【0015】
上記構成からなる加工米飯1の実施例1(お茶漬け)を下記に示す。
【0016】
米飯2はうるち米5,000g、大麦500gを水7,000gで炊飯した後、冷却される。
【0017】
副菜3は、大豆500g、小豆300g、人参1、000g、ほうれん草1、000g、小女子300g、塩わかめ300g、干しえび350g、切干大根150g、干椎茸200g、青のり300g、黒ごま50gをそれぞれ小片に刻み混ぜ合わせて加熱処理した後、冷却される。
【0018】
調味料4は、椎茸のゆで汁3、000gに、粉末寒天30g、きび砂糖80g、薄口醤油1、500g、粉末かつおだし200g、おから400g、小豆の生あん200g、マッシュポテト100g、黒ごま50gを混ぜあわせ煮立てた後、冷却される。調味料4は冷却されると、寒天成分が凝固してゼリー状になる。
【0019】
上記米飯2、副菜3、調味料4は冷却された後、混ぜ合わされて円形、三角形等適宜の形状に一体的に成形された後、瞬間冷凍されて加工米飯1が完成する。しかる後、セロファン紙等により包装される。本実施例では223個分の加工米飯(お茶漬け)1となる。
【実施例2】
【0020】
実施例2(鳥ぞうすい)を下記に示す。
【0021】
米飯2はうるち米4、500g、大麦500gを水7,000gで炊飯した後、冷却される。
【0022】
副菜3は、鳥むね肉4、000g、人参1、000g、キャベツ1、000g、塩わかめ200g、油揚げ400g、切干大根150g、干椎茸100gをそれぞれ小片に刻み混ぜ合わせて加熱処理した後、冷却される。
【0023】
調味料4は、鳥の茹汁2、000g、干しいたけ茹汁1、000g、粉末寒天30gを合わせ加熱溶解する。次に、おから500g、マッシュポテト100g、鶏がら粉末400g、塩450g、胡椒4gを混ぜあわせ煮立てた後、冷却される。調味料4は冷却されると、寒天成分が凝固してゼリー状になる。
【0024】
上記米飯2、副菜3、調味料4は冷却された後、混ぜ合わされて円形、三角形等適宜の形状に一体的に成形された後、瞬間冷凍されて加工米飯1が完成する。しかる後、セロファン紙等により包装される。本実施例では225個分の加工米飯(雑炊)1となる。
【実施例3】
【0025】
実施例3(味噌ぞうすい)を下記に示す。
【0026】
米飯2はうるち米4,500g、大麦500gを水7,000gで炊飯した後、冷却される。
【0027】
副菜3は、青菜1、000g、岩のり180g、人参1、000g、油揚げ1、000g、切干大根150gをそれぞれ小片に刻み混ぜ合わせて加熱処理した後、冷却される。
【0028】
調味料4は、水2、000gと粉末寒天20gを合わせ加熱溶解する。次に、白味噌1、600g、赤味噌1、500g、おから200g、かつお調味料200gを混ぜあわせ煮立てた後、冷却される。調味料4は冷却されると、寒天成分が凝固してゼリー状になる。
【0029】
上記米飯2、副菜3、調味料4は冷却された後、混ぜ合わされて円形、三角形等適宜の形状に一体的に成形された後、瞬間冷凍されて加工米飯1が完成する。しかる後、セロファン紙等により包装される。本実施例では201個分の加工米飯(味噌雑炊)1となる。
【実施例4】
【0030】
実施例4(カレーぞうすい)を下記に示す。
【0031】
米飯2はうるち米4,500g、大麦500gを水7,000gで炊飯した後、冷却される。
【0032】
副菜3は、人参1、000g、キャベツ4、000g、塩わかめ300g、豚赤みもも肉3、000g、切干大根150gをそれぞれ小片に刻み混ぜ合わせて加熱処理した後、冷却される。
【0033】
調味料4は、豚茹汁3、000g、粉末寒天20gを合わせ加熱溶解する。次に、おから500g、カレー粉300g、太白ごま油30g、牛乳300g、カレールー800gを混ぜあわせ煮立てた後、冷却される。調味料4は冷却されると、寒天成分が凝固してゼリー状になる。
【0034】
上記米飯2、副菜3、調味料4は冷却された後、混ぜ合わされて円形、三角形等適宜の形状に一体的に成形された後、瞬間冷凍されて加工米飯1が完成する。しかる後、セロファン紙により包装される。本実施例では225個分の加工米飯(カレー雑炊)1となる。
【実施例5】
【0035】
実施例5(お茶漬け)を下記に示す。これは軽度の嚥下機能低下者向けの加工米飯1である。
【0036】
米飯2はうるち米7,000gを水9,400gで炊飯した後、冷却される。
【0037】
副菜3は、人参1、000g、ほうれん草1、000g、大根1、000g、塩わかめ200g、青のり200g、半乾小女子200g、干し小えび200g、摺りごま50gをそれぞれ小片に刻み混ぜ合わせて加熱処理した後、冷却される。
【0038】
調味料4は、水1、000g、豆乳2、000g、粉末寒天30gを合わせ加熱溶解する。次に、きび砂糖80g、おから400g、小豆生あん200g、マッシュポテト100g、かつおだし調味料200g、薄口醤油1、500gを混ぜあわせ煮立てた後、冷却される。調味料4は冷却されると、寒天成分が凝固してゼリー状になる。
【0039】
上記米飯2、副菜3、調味料4は冷却された後、混ぜ合わされて円形、三角形等適宜の形状に一体的に成形された後、瞬間冷凍されて加工米飯1が完成する。しかる後、セロファン紙等により包装される。本実施例では200個分の加工米飯(お茶漬け)1となる。
【実施例6】
【0040】
実施例6(鳥ぞうすい)を下記に示す。これも軽度の嚥下機能低下者向けの加工米飯1である。
【0041】
米飯2はうるち米7、000gを水9,400gで炊飯した後、冷却される。
【0042】
副菜3は、鳥ひき肉3、000g、人参1、000g、キャベツ1、000g、大根1、000g、塩わかめ200g、油揚げ200gをそれぞれ小片に刻み混ぜ合わせて加熱処理した後、冷却される。
【0043】
調味料4は、鳥のひき肉煮汁3、000g、粉末寒天30gを合わせ加熱溶解する。次に、おから500g、小豆生あん200g、マッシュポテト100g、鶏がら粉末調味料400gを混ぜあわせ煮立てた後、冷却される。調味料4は冷却されると、寒天成分が凝固してゼリー状になる。
【0044】
上記米飯2、副菜3、調味料4は冷却された後、混ぜ合わされて円形、三角形等適宜の形状に一体的に成形された後、瞬間冷凍されて加工米飯1が完成する。しかる後、セロファン紙等により包装される。本実施例では200個分の加工米飯(鳥雑炊)1となる。
【実施例7】
【0045】
実施例7(味噌ぞうすい)を下記に示す。これも軽度の嚥下機能低下者向けの加工米飯1である。
【0046】
米飯2はうるち米7,000gを水9、400gで炊飯した後、冷却される。
【0047】
副菜3は、ほうれん草1、000g、人参1、000g、油揚げ500g、大根1、000g、青のり200gをそれぞれ小片に刻み混ぜ合わせて加熱処理した後、冷却される。
【0048】
調味料4は、水1、000g、豆乳2、000gと粉末寒天20gを合わせ加熱溶解する。次に、白味噌1、500g、赤味噌1、500g、おから400g、粉末かつお調味料200gを混ぜあわせ煮立てた後、冷却される。調味料4は冷却されると、寒天成分が凝固してゼリー状になる。
【0049】
上記米飯2、副菜3、調味料4は冷却された後、混ぜ合わされて円形、三角形等適宜の形状に一体的に成形された後、瞬間冷凍されて加工米飯1が完成する。しかる後、セロファン紙等により包装される。本実施例では200個分の加工米飯(味噌雑炊)1となる。
【実施例8】
【0050】
実施例8(カレーぞうすい)を下記に示す。これも軽度の嚥下機能低下者向けの加工米飯1である。
【0051】
米飯2はうるち米7,500gを水9,400gで炊飯した後、冷却される。
【0052】
副菜3は、豚ひき肉3、000g、人参1、000g、キャベツ2、000g、塩わかめ200g、豚赤みもも肉3、000g、大根1、000、塩わかめ200gをそれぞれ小片に刻み混ぜ合わせて加熱処理した後、冷却される。
【0053】
調味料4は、豚ひき肉煮汁3、000g、粉末寒天20gを合わせ加熱溶解する。次に、おから400g、カレー粉100g、太白ごま油100g、牛乳1、000g、カレールー800gを混ぜあわせ煮立てた後、冷却される。調味料4は冷却されると、寒天成分が凝固してゼリー状になる。
【0054】
上記米飯2、副菜3、調味料4は冷却された後、混ぜ合わされて円形、三角形等適宜の形状に一体的に成形された後、瞬間冷凍されて加工米飯1が完成する。しかる後、セロファン紙により包装される。本実施例では200個分の加工米飯(カレー雑炊)1となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】加工米飯の全体斜視図である。
【図2】米飯の拡大断面図である。
【図3】副菜の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 加工米飯
2 米飯
3 副菜
4 調味料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯された米飯と、小片に刻まれて加熱調理された野菜、魚、肉等の副菜と、煮出された調味料とを冷却後混ぜ合わせ一体的に成形して冷凍されることを特徴とするお茶漬け、雑炊等の加工米飯。
【請求項2】
前記調味料は食するに際して加熱、加水後に溶解するゼリー成分を含んで形成されることを特徴とする請求項1記載のお茶漬け、雑炊等の加工米飯。
【請求項3】
前記調味料はおから、小豆、生あんこ、マッシュポテト等のゼリー成分の溶解調整材を含んで形成されることを特徴とする請求項2記載のお茶漬け、雑炊等の加工米飯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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