説明

ごますり器

【課題】ごまを粉砕しながら、ごまの粗さを無段階に調整することができなかった。ごま出口付近に手を近づけることなくごまの粗さを調整できる衛生的なごますり器を提供することを目的とする。
【解決手段】ごまを収納するケースと、前記ケースの中央に配しためねじを備えた筒と、このケースの下方に固定された上臼と、前記上臼の下方に位置しバネで常に前記上臼に接するように上方に付勢されている回転臼と、前記回転臼を収納するとともに、底にすり終えたごまが通過するきり欠き穴を備えた臼室と、前記回転臼を回転させるモータと、前記モータを駆動させる電池と、前記モータ、電池を収納する前記臼室の下方に配設された本体ケースと、前記臼室の下方に位置するごまの排出通路と、前記めねじを備えた筒にかん合するおねじを備えかつ下端が前記回転臼の中央に接したシャフトと、前記筒から上方に突出し前記シャフトと一体となって回転するつまみを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごまを粉砕しながら、粉砕加減を自在に調整することができるごますり器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の粉砕加減を調整できるごますり器においては、粉砕したごまの排出口近傍に下臼と、下臼の上下動を調整するシャフトが一体となり配設されており、本体部とねじかん合しており、シャフトを回転させることにより隙間を調整するものが知られている。従来のごますり器を図7示す。図7において、ごまは、本体701からケース702を分離してケース702に入れる。前記本体701と前記ケース702は、ねじかん合あるいははめ込みとなっている。そして、前記ケース702を一方の手でもち、他方の手で下臼703と一体となっている前記本体701を回転させてごまを粉砕する。粉砕加減を調整する際は、前記本体701を一方の手で持ち、他方の手で前記本体701に形成された排出口710の近傍の中央に配したねじ704にかん合したシャフト705のつまみ709を回転させ、前記シャフト705と一体となった下臼703を上下させて、前記ケース702に固定されている上臼706との隙間を調整していた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭62−64432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ごまは種類により、油分の多少や粒の大きさに違いがある。そのため、上下臼の隙間が一定であってもごまの種類により、粉砕加減が大きく変わる。また、調理の種類によっては1つの料理であっても粗いごまと細かいごまを混ぜて使うことがあり、粉砕加減を自在に調整することが求められている。しかしながら、前記従来のごますり器ではごまの粉砕粗さを調整するには、ごまを粉砕する動作から、手を持ち替えて上下臼の隙間を調整する必要があった。そのため、ごまを粉砕する一連の動作内でごまの粗さを調整することができなかった。また、ごまの粗さを調整するつまみは排出口付近にあって、粗さを調整するには、排出口に手が触れる可能性があり、不衛生であるという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記従来の課題を解決するために、本発明のごますり器は、ごまを収納するケースと、前記ケースの中央に配しためねじを備えた筒と、このケースの下方に固定された上臼と、前記上臼の下方に位置しばねで常に前記上臼に接するように上方に付勢されている回転臼と、前記回転臼を収納するとともに、底にすり終えたごまが通過するきり欠き穴を備えた臼室と、前記回転臼を回転させるモータと、前記モータを駆動させる電池と、前記モータ、電池を収納する前記臼室の下方に配設された本体ケースと、前記臼室の下方に位置するごまの排出通路と、前記めねじを備えた筒にかん合するおねじを備えかつ下端が前記回転臼の中央に接したシャフトと、前記筒から上方に突出し前記シャフトと一体となって回転するつまみから構成するものである。
【0005】
本発明の構成により、前記モータの通電如何にかかわらず、前記つまみを回転させ前記回転臼を上下させ任意の位置で固定する事により前記上臼と前記回転臼の隙間を調整することが可能となる。この際、手元はごま排出口付近にないので、衛生的である。また、スイッチを押しながら、つまみを操作することができるので、ごまを粉砕する一連の動作内で、粉砕具合を確認しながら、任意の粗さを設定できる。
【0006】
また、シャフトとケースの蓋をかん合させることにより、ごまがこぼれる心配のないよ
り使いやすいものとなる。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明は、ごまを粉砕しながら、粗さを任意に調整することができ、しかもごま排出口付近に触れることがない衛生的なごますり器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、シャフトとケースの蓋をかん合させることにより、ごまがこぼれる心配のないより使いやすいものとなる。
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるごますり器の縦断面図、図2は同実施の形態1におけるごますり器の正面図、図5は同実施の形態1におけるごますり器のケース部及び臼室を拡大した図である。図1において、ケース101はごまの収納部であり、その下方にケース101に一体に配置された上臼102を備え、前記ケース101と前記上臼102には貫通穴119が設けられている。また前記ケース101の中央には、めねじ113を備えた筒116とねじにて勘合しているシャフト114を配し、前記シャフト114の上端には、前記筒116から突出したつまみ117が前記シャフト114と一体をなし、前記シャフト114は下端に押さえ面115を有している。また、前記ケース101には、蓋118が着脱自在に設けられているが、前記蓋118は前記つまみ117に連動するようにかん合する。本体ケース107は、上方に臼室105を有し、前記臼室105には、下臼押さえ121とばね103と回転臼104を収納している。前記下臼押さえ121は、前記回転臼104を上部に有し、前記ばね103を間に挟み一体とし、前記下臼押さえ121の周囲には、ブレード122を形成している。前記臼室105の下方には粉砕したごまの通過する切り欠き穴106を配している。そして、前記本体ケース107の下方部にはモータ108と電源である電池(図示せず)とスイッチボタン110を備えており、前記モータの動力をギア120によって前記回転臼104に伝えている。また、前記本体ケース107の一部は前記切り欠き穴106に続いて粉砕したごまを排出口111へ導く排出通路112も兼ねている。
【0011】
以上のように構成されたごますり器について、図1および図2及び図5を用いてその動作を説明する。ケース101に収納されたごまは、貫通穴119を通過して上臼102と回転臼104の隙間に落下する。ここで、スイッチボタン110を押すと電池(図示せず)より電源が供給され、前記モータ108が回転し、ギア120を伝達して、前記回転臼104が回転し、前記固定の上臼102との間でごまが粉砕されて臼室105に落ちる。回転臼104と一体に組み合わされた下臼押さえ121のブレード122により粉砕されたごまは切り欠き穴106を抜けて排出通路112を通過し、排出口111から外へ排出される。ここで、スイッチボタン110を押し続けると、前記回転臼104の上のごまは粉砕されて前記回転臼104の遠心力で排出されると、次々に前記ケース101の前記貫通穴119から新しいごまが前記上臼102と前記回転臼104の間に供給されるしくみとなっている。このとき、前記ケース101の蓋118を回転させるとつまみ116に連動してシャフト114がめねじ113に沿って上下し、前記回転臼104は常にばね103により上方に押し上げられながら追随する。その結果前記上臼102と前記回転臼104の隙間寸法が変わりごまの粉砕粗さが調整される。また、前記蓋118を外して前記つまみ117を手で直接回転させても同様の結果を得るのは、言うまでもない。
【0012】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2におけるごますり器の縦断面図、図4は同実施の形態2に
おけるごますり器の正面図である。図3においてケース401はごまの収納部であり、その下方にケース401に固定された上臼402と、回転臼404とを備えた臼室405があり、前記臼室405の下方には粉砕したごまの通過する切り欠き穴406を配している。また、前記ケース401と前記上臼402には貫通穴419が設けられている。そして、前記臼室405の下方に配設された本体ケース407はモータ408と電源としての電池(図示せず)とスイッチボタン410を備えており、前記本体ケース407の一部は前記切り欠き穴406に続いて粉砕したごまを前記本体ケース407の排出口411へ導く排出通路412も兼ねている。また前記ケース401の側面にはねじ413を備えており、前記本体ケース407は、前記ケース401のねじ413とかん合する。
【0013】
以上のように構成されたごますり器について、図3および図4を用いてその動作を説明する。ケース401に収納されたごまは、貫通穴419を通過して上臼402と回転臼404の隙間に落下する。ここで、スイッチボタン410を押すと電池より電源が供給され、モータ408が回転し、ギア420を伝達して、前記回転臼404が回転し、前記固定の上臼402との間でごまが粉砕されて臼室405に落ちる。ここで、回転臼404と一体に組み合わされた下臼押さえ421のブレード422により粉砕されたごまは切り欠き穴406を抜けて排出通路412を通過し、排出口411から外へ排出される。また、前記スイッチボタン410を押し続けると、前記回転臼404の上のごまは粉砕されて前記回転臼404の遠心力で排出されると、次々に前記ケース401の貫通穴419から新しいごまが前記上臼402と前記回転臼404の間に供給されるしくみとなっている。このとき、前記ケース401を回転させると前記ケース401とともに前記上臼402がねじ413に沿って上下し、前記回転臼404は常に上下位置は変わらない。その結果前記上臼402と前記回転臼404の隙間寸法が変わる。これによりごまの粉砕寸法がかわるので、ごまを粉砕しながら、ごまの粗さが調整される。
【0014】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3におけるごますり器の縦断面図である。ケース601はごまの収納部であり、その下方にケース601に固定された上臼602と、ばね603で常に上方に付勢された回転臼604とを備えた臼室605があり、前記回転臼604の周囲には、ブレード622を形成している。前記臼室605の下方には粉砕したごまの通過する切り欠き穴606を配している。また、前記ケース601と前記上臼602には貫通穴619が設けられている。そして、前記臼室605の下方に配設された本体ケー¥ス607はモータ608と電源としての電池(図示せず)とスイッチボタン(図示せず)を備えており、特に前記スイッチボタンは回転臼604が押し下げられることにより通電状態になるよう配設されている。前記本体ケース607の一部は前記切り欠き穴606に続いて粉砕したごまを前記本体ケース607の排出口611へ導く排出通路612も兼ねている。また前記ケース601の中央には筒616が配設してあり、前記筒616内にかん合しているシャフト614の抜け止めリブ620が前記筒616に配設してある。そして前記シャフト614の下端615は前記回転臼604と接している。また前記シャフト614の上端は、前記ケース601の蓋618を貫通している。
【0015】
以上のように構成されたごますり器について、図6を用いてその動作を説明する。ケース601に収納されたごまは、貫通穴619を通過して上臼602と回転臼604の隙間に落下する。ここで、シャフト614の上端を押すと回転臼604が下がり、スイッチボタン610が押されて導通し、モータ608が回転する。それに伴い、前記回転臼604が回転し、前記固定の上臼602との間でごまが粉砕されて臼室605に落ちて、回転臼604のブレード622により粉砕されたごまは切り欠き穴606を抜けて排出通路612を通過し、排出口611から外へ排出される。ここで、前記シャフト614を押し続けると、前記回転臼604の上のごまは粉砕されて前記回転臼604の遠心力で排出されると、次々に前記ケース601の前記貫通穴619から新しいごまが前記上臼602と前記
回転臼604の間に供給されるしくみとなっている。このとき、前記シャフト614の押し下げ量に追随し、前記回転臼604の押し下げ量が決まるので、前期上臼602と前記回転臼604の隙間寸法が変わる。これによりごまの粉砕寸法がかわるので、ごまの粗さが調整される。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明にかかるごますり器はごまを粉砕しながら、衛生的に粗さを任意に調整することが可能であるため、ごますり器に限らず岩塩、胡椒などのひき器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1におけるごますり器の縦断面図
【図2】同実施の形態1におけるごますり器の正面図
【図3】本発明の実施の形態2におけるごますり器の縦断面図
【図4】同実施の形態2におけるごますり器の正面図
【図5】本実施の形態1におけるごますり器のケース部及び臼室を拡大した図
【図6】本発明の実施の形態3におけるごますり器の縦断面図
【図7】従来のごますり器の全体図
【符号の説明】
【0018】
101、401、601、702 ケース
102、402、602、706 上臼
103、603 ばね
104、404、604、 回転臼
105、405、605 臼室
106、406、606 切り欠き穴
107、407、607 本体ケース
108、408、608 モータ
110、410 スイッチボタン
111、411、611、710 排出口
112、412、612 排出通路
113 めねじ
114、614、705 シャフト
115、615 シャフトの下端
116、616 筒
117、709 つまみ
118、618 蓋
119、419、619 貫通穴
120、420 ギア
121、421 下臼押さえ
122、422、622 ブレード
413、704 ねじ
620 リブ
701 本体
703 下臼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごまを収納するケースと、
前記ケースの中央に配しためねじを備えた筒と、
このケースの下方に固定された上臼と、
前記上臼の下方に位置しばねで常に前記上臼に接するように上方に付勢されている回転臼と、
前記回転臼を収納するとともに、底にすり終えたごまが通過するきり欠き穴を備えた臼室と、
前記回転臼を回転させるモータと、
前記モータを駆動させる電池と、
前記モータ、電池を収納する前記臼室の下方に配設された本体ケースと、
前記臼室の下方に位置するごまの排出通路と、
前記めねじを備えた筒にかん合するおねじを備えかつ下端が前記回転臼の中央に接したシャフトと、
前記筒から上方に突出し前記シャフトと一体となって回転するつまみを有し、
前記モータの通電如何にかかわらず、前記つまみを回転させ前記回転臼を上下させ任意の位置で固定する事により前記上臼と前記回転臼の隙間を調整できることを特徴とするごますり器。
【請求項2】
ごまを収納するケースと、
前記ケースの側面に設けられたねじ部と、
このケースの下方に固定された上臼と、
前記上臼の下方に位置しばねで常に前記上臼に接するように上方に付勢されている回転臼と、
前記回転臼を収納するとともに、底にすり終えたごまが通過するきり欠き穴を備えた臼室と、
前記回転臼を回転させるモータと、
前記モータを駆動させる電池と、
前記モータ、電池を収納する前記臼室の下方に配設された本体ケースと、
前記臼室の下方に位置するごまの排出通路と、
前記臼室に設けられた前記ケースのねじ部に勘合するねじ形状を有し、
前記モータの通電如何にかかわらず、前記ケースを回転させ前記上臼を上下させ任意の位置で固定する事により前記上臼と前記回転臼の隙間を調整できることを特徴とするごますり器。
【請求項3】
ごまを収納するケースと、
前記ケースの中央に配した筒と、
このケースの下方に固定された上臼と、
前記上臼の下方に位置しばねで常に前記上臼に接するように上方に付勢されている回転臼と、
前記回転臼を収納するとともに、底にすり終えたごまが通過する切り欠き穴を備えた臼室と、
前記回転臼が下方へ押し付けられることにより通電状態になるスイッチと、
前記回転臼を回転させるモータと、
前記モータを駆動させる電池と、
前記モータ、電池を収納する前記臼室の下方に配設された本体ケースと、
前記臼室の下方に位置するごまの排出通路と、
前記筒に配設されかつ上端は前記筒より突出するとともに、下端が前記回転臼の中央に接したシャフトとを有し、前記シャフトを押して前記スイッチを通電状態にし、前記モー
タを作動させるとともに、その変位量をかえる事により前記回転臼が下方に移動し、前記固定臼と前記回転臼の隙間を任意調整することを特徴とするごますり器。
【請求項4】
ごまを収納するケースの上方に位置しかつ、つまみとかん合し、前記シャフトの回転と連動する蓋を備えたことを特徴とする請求項1記載のごますり器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−168029(P2008−168029A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5639(P2007−5639)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】