説明

ごみ処理施設のクレーン制御装置とその制御方法並びにガス化溶融システムとその運転方法

【課題】本発明は、搬入ごみを間違えて破砕ごみ投入ホッパへ投入してしまうことがなく、かつ、ガス化溶融システムで不安定な燃焼が発生せずに安定した操業が可能なごみ処理施設のクレーン制御装置とその制御方法並びにガス化溶融システムとその運転方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ごみホッパ投入指令ボタン400bが押されると、ごみホッパ投入指令が受信され、ごみ位置判別部で掴んだごみの位置が搬入ごみ11側の場合は、ごみホッパ投入指令を搬入ごみ投入ホッパ投入指令に変換し、ごみ位置判別部で掴んだごみの位置が破砕ごみ12側の場合は、ごみホッパ投入指令を破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ処理施設のクレーン制御装置とその制御方法並びにガス化溶融システムとその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ処理施設の搬入ごみと破砕ごみが区別されて貯留されたごみピットからクレーンを操作して、クレーン先端のバケットで搬入ごみまたは破砕ごみを掴み、再びクレーンを操作して、バケットで掴んだこれらの搬入ごみ、破砕ごみをそれぞれ搬入ごみ投入ホッパ、破砕ごみ投入ホッパへ投入するクレーン制御技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、破砕ごみ投入ホッパへ投入された破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパの下部を介して破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れ、この破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れた前記破砕ごみを破砕ごみの受け入れ供給装置でガス化炉へ供給し、破砕ごみを熱分解してガスと灰分を生成し、このガス化炉で生成したガスと灰分を溶融炉で燃焼することにより灰分を溶融する構成からなるガス化溶融システムも知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−325057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたクレーン制御技術では、搬入ごみを間違えて破砕ごみ投入ホッパへ投入してしまうという問題点があった。このように、搬入ごみを間違えて破砕ごみ投入ホッパへ投入してしまうと、搬入ごみがガス化炉へ供給されてしまい、ガス化溶融システムにおいて、ガス化炉での生成ガス量の変動による溶融炉での不安定燃焼の発生と、ガス化炉と溶融炉の温度変動という問題が発生し、ガス化溶融システムの安定した操業が阻害されてしまう。
【0005】
本発明の目的は、搬入ごみを間違えて破砕ごみ投入ホッパへ投入してしまうことがなく、かつ、ガス化溶融システムで不安定な燃焼が発生せずに安定した操業が可能なごみ処理施設のクレーン制御装置とその制御方法並びにガス化溶融システムとその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、
ごみ処理施設のクレーン制御装置であって、
搬入ごみと破砕ごみが区別されて貯留されたごみピットからクレーン先端のバケットで掴んだごみの位置を検出するための位置検出手段と、
この位置検出手段で検出されたごみの位置情報に基づき、前記掴んだごみの位置がごみピット内の搬入ごみ側であるのかそれとも破砕ごみ側であるのかを判別するためのごみ位置判別部と、
ホッパへごみを投入する指令(以下、「ごみホッパ投入指令」という)を受信するごみホッパ投入指令受信部と、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記掴んだごみを搬入ごみ投入ホッパへ投入する指令(以下、「搬入ごみ投入ホッパ投入指令」という)に変換し、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記掴んだごみを破砕ごみ投入ホッパへ投入する指令(以下、「破砕ごみ投入ホッパ投入指令」という)に変換するごみホッパ投入指令処理部と、
を有したことを特徴とするごみ処理施設のクレーン制御装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記ごみホッパ投入指令が、搬入ごみ投入ホッパ投入指令又は破砕ごみ投入ホッパ投入指令のいずれかであり、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を無効とし、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を有効とするように構成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、
前記掴んだごみの重量を検知するための重量検知手段が前記クレーンに設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のごみ処理施設のクレーン制御装置のごみホッパ投入指令処理部で、前記ごみホッパ投入指令が前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換されるか、または、前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が有効とされる時に、破砕ごみが破砕ごみ投入ホッパへ投入され、この破砕ごみ投入ホッパへ投入された破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパの下部を介して受け入れる破砕ごみの受け入れ供給装置と、
前記破砕ごみの受け入れ供給装置で供給した前記破砕ごみを熱分解してガスと灰分を生成するガス化炉と、
このガス化炉で生成したガスと灰分を燃焼することにより前記灰分を溶融する溶融炉と、を有したことを特徴とするガス化溶融システムである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、
ごみ処理施設のクレーン制御方法であって、
搬入ごみと破砕ごみが区別されて貯留されたごみピットからクレーン先端のバケットで掴んだごみの位置を検出するための位置検出工程と、
この位置検出工程で検出されたごみの位置情報に基づき、前記掴んだごみの位置がごみピット内の搬入ごみ側であるのかそれとも破砕ごみ側であるのかを判別するためのごみ位置判別工程と、
ごみホッパ投入指令を受信するごみホッパ投入指令受信工程と、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記搬入ごみ投入ホッパ投入指令に変換し、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換するごみホッパ投入指令処理工程と、
を有したことを特徴とするごみ処理施設のクレーン制御方法である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記ごみホッパ投入指令が、搬入ごみ投入ホッパ投入指令又は破砕ごみ投入ホッパ投入指令のいずれかであり、
前記ごみホッパ投入指令受信工程で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別工程で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理工程で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を無効とし、
前記ごみホッパ投入指令受信工程で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別工程で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理工程で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を有効とするように構成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の発明において、
前記掴んだごみの重量を検知するためのごみ重量検知工程を有したことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、
請求項5乃至7のいずれか1項に記載のごみ処理施設のクレーン制御方法のごみホッパ投入指令処理工程で、前記ごみホッパ投入指令が前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換されるか、または、前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が有効とされる時に、破砕ごみが破砕ごみ投入ホッパへ投入され、この破砕ごみ投入ホッパへ投入された破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパの下部を介して破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れる工程と、
前記破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れた前記破砕ごみを前記破砕ごみの受け入れ供給装置でガス化炉へ供給し、前記破砕ごみを熱分解してガスと灰分を生成するガス化工程と、
前記ガス化工程で生成したガスと灰分を溶融炉で燃焼することにより前記灰分を溶融する溶融工程と、を有したことを特徴とするガス化溶融システムの運転方法である。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係るごみ処理施設のクレーン制御装置によれば、
搬入ごみと破砕ごみが区別されて貯留されたごみピットからクレーン先端のバケットで掴んだごみの位置を検出するための位置検出手段と、
この位置検出手段で検出されたごみの位置情報に基づき、前記掴んだごみの位置がごみピット内の搬入ごみ側であるのかそれとも破砕ごみ側であるのかを判別するためのごみ位置判別部と、
ごみホッパ投入指令を受信するごみホッパ投入指令受信部と、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を搬入ごみ投入ホッパ投入指令に変換し、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換するごみホッパ投入指令処理部と、を有しているため、以下のような作用効果を奏する。
1)搬入ごみを間違えて破砕ごみ投入ホッパへ投入してしまうことがないごみ処理施設のクレーン制御装置を実現できる。
2)また、作業者は、1つのごみホッパ投入指令を与える(例えば、操作盤上のボタンを押す)だけで、破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパへ自動的に投入させることができる。
【0015】
また、本発明に係るガス化溶融システムによれば、
ごみ処理施設のクレーン制御装置のごみホッパ投入指令処理部で、前記ごみホッパ投入指令が前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換されるか、または、前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が有効とされる時に、破砕ごみが破砕ごみ投入ホッパへ投入され、この破砕ごみ投入ホッパへ投入された破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパの下部を介して受け入れる破砕ごみの受け入れ供給装置と、
前記破砕ごみの受け入れ供給装置で供給した前記破砕ごみを熱分解してガスと灰分を生成するガス化炉と、
このガス化炉で生成したガスと灰分を燃焼することにより前記灰分を溶融する溶融炉と、を有した構成であり、破砕ごみのみがガス化炉へ供給されるため、不安定な燃焼が発生せずに安定した操業が可能なガス化溶融システムを実現できるという作用効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係るごみ処理施設のクレーン制御方法によれば、
搬入ごみと破砕ごみが区別されて貯留されたごみピットからクレーン先端のバケットで掴んだごみの位置を検出するための位置検出工程と、
この位置検出工程で検出されたごみの位置情報に基づき、前記掴んだごみの位置がごみピット内の搬入ごみ側であるのかそれとも破砕ごみ側であるのかを判別するためのごみ位置判別工程と、
ごみホッパ投入指令を受信するごみホッパ投入指令受信工程と、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記搬入ごみ投入ホッパ投入指令に変換し、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換するごみホッパ投入指令処理工程と、
を有しているため、以下のような作用効果を奏する。
1)搬入ごみを間違えて破砕ごみ投入ホッパへ投入してしまうことがないごみ処理施設のクレーン制御方法を実現できる。
2)また、作業者は、1つのごみホッパ投入指令を与える(例えば、操作盤上のボタンを押す)だけで、破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパへ自動的に投入させることができる。
【0017】
また、本発明に係るガス化溶融システムの運転方法によれば、
ごみ処理施設のクレーン制御方法のごみホッパ投入指令処理工程で、前記ごみホッパ投入指令が前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換されるか、または、前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が有効とされる時に、破砕ごみが破砕ごみ投入ホッパへ投入され、この破砕ごみ投入ホッパへ投入された破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパの下部を介して破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れる工程と、
前記破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れた前記破砕ごみを前記破砕ごみの受け入れ供給装置でガス化炉へ供給し、前記破砕ごみを熱分解してガスと灰分を生成するガス化工程と、
前記ガス化工程で生成したガスと灰分を溶融炉で燃焼することにより前記灰分を溶融する溶融工程と、を有しており、破砕ごみのみがガス化炉へ供給されるため、不安定な燃焼が発生せずに安定した操業が可能なガス化溶融システムの運転方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1のガス化溶融システムを説明する模式図であり、(a)はその全体構成図、(b)はクレーン制御装置を説明するための説明図である。
【図2】(a)は同ガス化溶融システムのごみピットの平面図、(b)はごみピットに対応したバケットの位置情報を説明するための説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2のガス化溶融システムを説明する模式図であり、(a)はその全体構成図、(b)はクレーン制御装置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のガス化溶融システムを説明する模式図であり、(a)はその全体構成図、(b)はクレーン制御装置を説明するための説明図である。図2(a)は同ガス化溶融システムのごみピットの平面図、(b)はごみピットに対応したバケットの位置情報を説明するための説明図である。
【0021】
図1において、10はごみピット、11は搬入ごみ、12は破砕ごみ、13はごみピット10に設けられた仕切り壁、16はプラットフォーム、20はクレーン、21はバケット、22クレーン梁、23は自走式駆動機、31は搬入ごみ投入ホッパ、32は破砕機、61は破砕ごみ投入ホッパ、62は、給塵機、63は供給フィーダ、80はガス化炉、90は溶融炉、92は廃熱ボイラ、100はガス化溶融炉、200はクレーン制御装置、300は操作盤、300aはクレーン始動ボタン、300bは搬入ごみ投入ホッパ投入指令ボタン、300cは破砕ごみ投入ホッパ投入指令ボタン、300dは非常停止ボタンである。
【0022】
図2(a)において、10aは搬入ごみ11が貯留される搬入ごみピット、10bは破砕ごみ12が貯留される破砕ごみピットである。
【0023】
図2(b)において、ごみピット10を上から見た場合のごみピット10の平面位置に対応してバケット21が移動する位置情報(例えば、座標(X,Y)〜座標(X,Y))を重ねて表示したものである。
【0024】
まず、クレーンの動作について説明する。クレーン始動ボタン300aを押し、その信号がクレーン制御装置200内の受信部(図示せず)に送られ、クレーン制御装置200から自走式駆動機23に信号gが送られ、自走式駆動機23を動く。このように自走式駆動機23を動かすことにより、バケット21をごみピット10の平面位置に対応して動かし、ごみピット10に貯留された搬入ごみ11または破砕ごみ12を掴む。このようにバケット21を動かすと、クレーンに設けられた位置検出手段としてのエンコーダ(図示せず)から対応する上記座標(X,Y)〜座標(X,Y)に相当する信号jがクレーン制御装置200に出力される。また、クレーン20に設けられている重量検知手段(例えばロードセル)により、搬入ごみ11または破砕ごみ12の掴み重量を検知し、ごみ掴み重量lがクレーン制御装置200に出力される。この信号j、lに基づき、バケット21で掴んだごみの位置(ごみ掴み重量lが0からある重量になった位置)が搬入ごみ11側であるのかそれとも破砕ごみ12側であるのかをクレーン制御装置200内のごみ位置判別部(図示せず)で判別する。
【0025】
次に、搬入ごみ投入ホッパ投入指令ボタン300bが押されるとごみホッパ投入指令としての搬入ごみ投入ホッパ投入指令がクレーン制御装置200内のごみホッパ投入指令受信部(図示せず)で前記搬入ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、クレーン制御装置200内のごみ位置判別部(図示せず)で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ11側であると判別された場合には、クレーン制御装置200内のごみホッパ投入指令処理部(図示せず)で前記搬入ごみ投入ホッパ投入指令を有効とし、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記搬入ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理部で前記搬入ごみ投入ホッパ投入指令を無効または有効とし、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を無効とし、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を有効とするように構成されている。
【0026】
このように、クレーン制御装置200内では上記のような制御が行なわれるため、搬入ごみ11を間違えて破砕ごみ投入ホッパ61へ投入してしまうことがない。
【0027】
次に、ガス化溶融システムとしてのガス化溶融炉100の運転方法について、説明する。ごみホッパ投入指令処理部で、前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が有効とされる時に、破砕ごみ12が破砕ごみ投入ホッパ61へ投入され、この破砕ごみ投入ホッパ61へ投入された破砕ごみ12を破砕ごみ投入ホッパ61の下部を介して受け入れる破砕ごみの受け入れ供給装置(例えば、給塵機62と供給フィーダ63から構成される)で受け入れ、前記破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れた破砕ごみ12を前記破砕ごみの受け入れ供給装置でガス化炉80へ供給し、破砕ごみ12を熱分解してガスと灰分を生成し、ガス化炉80で生成したガスと灰分を溶融炉90で燃焼することにより前記灰分を溶融するように構成したガス化溶融炉100の運転方法である。
【0028】
このように、破砕ごみ12のみがガス化炉80へ供給されるため、ガス化炉80で発生するガスの量が安定するために、溶融炉90で不完全燃焼が発生せずに安定した燃焼が可能となる結果、ガス化炉80および溶融炉90ともに炉内の温度が安定する。また、溶融された灰分の溶融炉90内での再凝固といったトラブルが発生せずに、安定した操業が長期間連続して継続することができるガス化溶融システムを実現できる。
【0029】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2のガス化溶融システムを説明する模式図であり、(a)はその全体構成図、(b)はクレーン制御装置を説明するための説明図である。本実施の形態において、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の番号を付与して詳細な説明は省略し、異なる部分のみ詳述する。
【0030】
図3において、201はクレーン制御装置、400は操作盤、400aはクレーン始動ボタン、400bはごみホッパ投入指令ボタン、400cは非常停止ボタンである。
【0031】
クレーン始動ボタン400aを押し、その信号がクレーン制御装置201内の受信部(図示せず)に送られ、クレーン制御装置201から自走式駆動機23に信号gが送られ、自走式駆動機23を動く。このように自走式駆動機23を動かすことにより、バケット21をごみピット10の平面位置に対応して動かし、ごみピット10に貯留された搬入ごみ11または破砕ごみ12を掴む。このようにバケット21を動かすと、クレーンに設けられた位置検出手段としてのエンコーダ(図示せず)から対応する上記座標(X,Y)〜座標(X,Y)に相当する信号jがクレーン制御装置201に出力される。また、クレーン20に設けられている重量検知手段(例えばロードセル)により、搬入ごみ11または破砕ごみ12の掴み重量lを検知し、ごみ掴み重量lがクレーン制御装置201に出力される。この信号j、lに基づき、バケット21掴んだごみの位置(ごみ掴み重量lが0からある重量になった位置)が搬入ごみ11側であるのかそれとも破砕ごみ12側であるのかをクレーン制御装置201内のごみ位置判別部(図示せず)で判別する。
【0032】
次に、ごみホッパ投入指令ボタン400bが押されるとごみホッパ投入指令がクレーン制御装置201内のごみホッパ投入指令受信部(図示せず)で受信され、ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が搬入ごみ11側であると判別された場合には、クレーン制御装置201内のごみホッパ投入指令処理部(図示せず)で前記ごみホッパ投入指令を搬入ごみ投入ホッパ投入指令に変換し、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が破砕ごみ12側であると判別された場合には、ごみホッパ投入指令処理部で前記ごみホッパ投入指令を破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換するように構成されている。
【0033】
このように、クレーン制御装置201内では上記のような制御が行なわれるため、搬入ごみ11を間違えて破砕ごみ投入ホッパ61へ投入してしまうことがない。また、作業者は、1つのごみホッパ投入指令ボタン400bを押すだけで、破砕ごみ12を破砕ごみ投入ホッパ61へ自動的に投入させることができる。
【0034】
また、実施の形態1、2のいずれの場合にも、バケット21で掴んだごみの重量を検知するための重量検知手段がクレーン20に設けてあるので、ごみ処理施設としてのごみの処理量を把握することが可能になる。
【符号の説明】
【0035】
10 ごみピット
10a 搬入ごみピット
10b 破砕ごみピット
11 搬入ごみ
12 破砕ごみ
13 仕切り壁
16 プラットフォーム
20 クレーン
21 バケット
22 クレーン梁
23 自走式駆動機
31 搬入ごみ投入ホッパ
32 破砕機
61 破砕ごみ投入ホッパ
62 給塵機
63 供給フィーダ
80 ガス化炉
90 溶融炉
92 廃熱ボイラ
100 ガス化溶融炉
200、201 クレーン制御装置
300、400 操作盤
300a、400a クレーン始動ボタン
300b 搬入ごみ投入ホッパ投入指令ボタン
300c 破砕ごみ投入ホッパ投入指令ボタン
300d、400c 非常停止ボタン
400b ごみホッパ投入指令ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ処理施設のクレーン制御装置であって、
搬入ごみと破砕ごみが区別されて貯留されたごみピットからクレーン先端のバケットで掴んだごみの位置を検出するための位置検出手段と、
この位置検出手段で検出されたごみの位置情報に基づき、前記掴んだごみの位置がごみピット内の搬入ごみ側であるのかそれとも破砕ごみ側であるのかを判別するためのごみ位置判別部と、
ホッパへごみを投入する指令(以下、「ごみホッパ投入指令」という)を受信するごみホッパ投入指令受信部と、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記掴んだごみを搬入ごみ投入ホッパへ投入する指令(以下、「搬入ごみ投入ホッパ投入指令」という)に変換し、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記掴んだごみを破砕ごみ投入ホッパへ投入する指令(以下、「破砕ごみ投入ホッパ投入指令」という)に変換するごみホッパ投入指令処理部と、
を有したことを特徴とするごみ処理施設のクレーン制御装置。
【請求項2】
前記ごみホッパ投入指令が、搬入ごみ投入ホッパ投入指令又は破砕ごみ投入ホッパ投入指令のいずれかであり、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を無効とし、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理部で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を有効とするように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のごみ処理施設のクレーン制御装置。
【請求項3】
前記掴んだごみの重量を検知するための重量検知手段が前記クレーンに設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載のごみ処理施設のクレーン制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のごみ処理施設のクレーン制御装置のごみホッパ投入指令処理部で、前記ごみホッパ投入指令が前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換されるか、または、前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が有効とされる時に、破砕ごみが破砕ごみ投入ホッパへ投入され、この破砕ごみ投入ホッパへ投入された破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパの下部を介して受け入れる破砕ごみの受け入れ供給装置と、
前記破砕ごみの受け入れ供給装置で供給した前記破砕ごみを熱分解してガスと灰分を生成するガス化炉と、
このガス化炉で生成したガスと灰分を燃焼することにより前記灰分を溶融する溶融炉と、を有したことを特徴とするガス化溶融システム。
【請求項5】
ごみ処理施設のクレーン制御方法であって、
搬入ごみと破砕ごみが区別されて貯留されたごみピットからクレーン先端のバケットで掴んだごみの位置を検出するための位置検出工程と、
この位置検出工程で検出されたごみの位置情報に基づき、前記掴んだごみの位置がごみピット内の搬入ごみ側であるのかそれとも破砕ごみ側であるのかを判別するためのごみ位置判別工程と、
ごみホッパ投入指令を受信するごみホッパ投入指令受信工程と、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記搬入ごみ投入ホッパ投入指令に変換し、
前記ごみホッパ投入指令受信部で前記ごみホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別部で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令を前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換するごみホッパ投入指令処理工程と、
を有したことを特徴とするごみ処理施設のクレーン制御方法。
【請求項6】
前記ごみホッパ投入指令が、搬入ごみ投入ホッパ投入指令又は破砕ごみ投入ホッパ投入指令のいずれかであり、
前記ごみホッパ投入指令受信工程で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別工程で前記掴んだごみの位置が前記搬入ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理工程で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を無効とし、
前記ごみホッパ投入指令受信工程で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が受信され、前記ごみ位置判別工程で前記掴んだごみの位置が前記破砕ごみ側であると判別された場合には、前記ごみホッパ投入指令処理工程で前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令を有効とするように構成されたことを特徴とする請求項5に記載のごみ処理施設のクレーン制御方法。
【請求項7】
前記掴んだごみの重量を検知するためのごみ重量検知工程を有したことを特徴とする請求項5または6に記載のごみ処理施設のクレーン制御方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載のごみ処理施設のクレーン制御方法のごみホッパ投入指令処理工程で、前記ごみホッパ投入指令が前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令に変換されるか、または、前記破砕ごみ投入ホッパ投入指令が有効とされる時に、破砕ごみが破砕ごみ投入ホッパへ投入され、この破砕ごみ投入ホッパへ投入された破砕ごみを破砕ごみ投入ホッパの下部を介して破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れる工程と、
前記破砕ごみの受け入れ供給装置で受け入れた前記破砕ごみを前記破砕ごみの受け入れ供給装置でガス化炉へ供給し、前記破砕ごみを熱分解してガスと灰分を生成するガス化工程と、
前記ガス化工程で生成したガスと灰分を溶融炉で燃焼することにより前記灰分を溶融する溶融工程と、を有したことを特徴とするガス化溶融システムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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