説明

しぼの付いた熱可塑性フィルムの製造法、この方法によるフィルム、このフィルムの製品の製造における用途及びこのようにして製造された製品

【課題】エラストマー性物質から製造されたロールを使用するための多くの欠点を示さず、1対の金属ロールを使用し、かつフィルム又はシートの両面に滅菌に耐えるしぼ付を同時に実施する、両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムを製造する方法を提供する。
【解決手段】実質的に硬度の高い金属からなる2つのしぼ付ロール間に熱可塑性物質を通過させることにより、その両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムの製造法、この方法による熱可塑性フィルム、そのようなフィルムの製品の製造における用途及びこのようにして製造された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性物質から製造された製品は、長年非常に多くの様々な用途に使用されてきた。一般的には、これらの用途の各々の場合において、使用される熱可塑性物質がそれぞれの用途に特に適する所定の表面特性を有することが望ましい。例えば、医療用付属品、特に滅菌を必要とする血液又は溶液用パウチの分野においては、滅菌(121℃において数分)中に平坦な壁部表面がパウチのそれ自体への内部付着性及び隣接パウチ間の付着性を生ずることが公知であり、このことは全く望ましくない。
特にこの問題を克服するために提案された解決策は、パウチを構成するシートにしぼ付することを含む。
熱可塑性シート又はフィルムの連続しぼ付は公知の技術であり、しぼ付ロールと呼ばれるロール及び逆圧ロール又はバッキングロール間に熱い熱可塑性シート又はフィルムを通過させることを含む技術である。しぼ付ロールは、多くの場合金属製であり、そのレリーフ、又はしぼがシート又はフィルムに望ましいレリーフのネガである表面を有する。バッキングロール自体は弾性物質、通常ゴム製であり、多くの場合冷却されていなければならない。バッキングロールは通常しぼ付ロールに100kN/m以下、一般的には5乃至50kN/m程度の線圧を及ぼす。
熱可塑性フィルムの両面のしぼ付はこの技術では満足に実施できない。というのは、第二の面に接触するしぼ付シリンダーを用いる追加のしぼ付工程は第一の面のしぼ付を損なうか、又は完全に除去してしまうからである。
【0003】
この問題の解決策の一は、Solvay & Co.の名前で出願された特許第FR 2 358 255 B1 号において提案された。3本のロール、すなわち第一のしぼ付ロール、ゴムのバッキングロール及び金属製で、第一のしぼ付ロールに対してバッキングロールと同程度の線圧を有する第二のしぼ付ロールを有する装置により平坦な製品の両面にしぼ付を実施する。
別の解決策は、エラストマー性でしぼの付いた物質で製造されたバッキングロールを使用する。しかしこの方法では製品の両面にあまり均等なしぼ付は施せない。
更に、これらの試験的な解決策は常に弾性物質から製造されたバッキングロールの使用を推薦しており、このためその他の欠点を有する。
第一の欠点は、この弾性物質の粒子による製品の汚染の危険であり、これは特にいかなる汚染も許されない医療用途の場合に非常に望ましくない。
第二の欠点は、時間の経過に伴って安定なしぼを提供するのに十分な温度、とりわけ滅菌温度(121℃)のゴム製バッキングロールを用いる作業が不可能なことである。
第三の欠点は、エラストマー性物質から製造されたロールが、ポリオレフィンのようなある種の熱可塑性物質のしぼ付、及び平均分子量の高い、すなわち有意な弾性を有する熱可塑性物質のしぼ付を許容しないということである(前者の場合にはロールの付着性の問題があり、後者の場合には厚さの均等性及びしぼの均等性の問題がある)。
【0004】
第四の欠点は、そのようなバッキングロールがその弾性のために、しぼ付ロールとの距離を調整することにより平坦な製品の最終的な厚さを幅広く変化させることができないということである。
第五の欠点は、そのようなロールを用いて製造されたしぼには時間の関数としての均等性及び安定性が不足しているということである。
最後になるが、弾性物質から製造されたバッキングロールの更なる欠点は、この物質の熱伝導性が低く、再現性のある製品を得るのに必要な因子であるロールの効果的かつ均等な定温制御が妨げられるということである。
第三の解決策は特許願第EP 0 253 260 A1 号に提出されており、前記特許においては2対の金属ロールを含む工程によりポリウレタンシートの両面にしぼが付けられている。シートの第一の面は、第一のしぼ付ロール及び第一の鋼製バッキングロール間を通過させることによりしぼ付される。シートのしぼ付されていない面は、第二工程において第二のしぼ付ロール及び第二の鋼製バッキングロール間にシートを通過させることにより次いでしぼ付される。
従ってこの方法は全部で4個の金属ロールを必要とし、第二のしぼ付は第一のそれより高温で実施されるので、第一の面のしぼ付が第二の面のしぼ付中に必ず損なわれるという追加の欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、エラストマー性物質から製造されたロールを使用するための多くの欠点を示さず、1対の金属ロールを使用し、かつフィルム又はシートの両面に滅菌に耐えるしぼ付を同時に実施する、両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
それゆえ本発明は、2つのしぼ付ロール間に熱可塑性物質を通過させることによりその両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムを製造する方法において、2つのしぼ付ロールが実質的に硬度の高い金属からなることを特徴とする方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
熱可塑性フィルムとは、1種以上の熱可塑性物質を含む、例えばシート又はテープを含むいかなる平坦な製品をも意味する。熱可塑性フィルムは、好ましくは実質的に1種以上の熱可塑性物質を含む。熱可塑性物質は、熱可塑性エラストマー及びそれらの混合物を含む、いかなる熱可塑性ポリマーをも意味する。“ポリマー”という用語はホモポリマー及びコポリマー(特に二成分系又は三成分系のそれ)の両方を意味し、例えばランダム分布を有するコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー等を含む。
特に、熱可塑性フィルムは塩化ビニルポリマー又はポリオレフィンを含みうる。塩化ビニルポリマーの場合に優れた結果が得られた。
塩化ビニルポリマーは、いかなる塩化ビニルホモポリマー、いかなる塩化ビニルコポリマー及びこれらのホモ‐及び/又はコポリマーの混合物をも意味する。
“ポリオレフィン”とは、いかなるオレフィンホモポリマー、2種以上の異なるオレフィンを含むいかなるポリマー及びオレフィンから誘導された単位を50重量%以上含むいかなるポリマー、並びにこれらのホモ‐及び/又はコポリマー相互又は50重量%未満の非オレフィンポリマーとの混合物をも意味する。
【0008】
1種以上の従来の添加剤、高分子又は非高分子の、無機又は有機充填剤、強化物質(例えば繊維)、安定剤、滑剤等を熱可塑性物質に添加しうる。
しぼの付いたフィルムとは、最初は熱い両面のうち少なくとも一方の面を、相補的なレリーフ表面上で成形することによりそのレリーフの変性を受けたフィルムである。連続方法の場合には、相補的なレリーフ表面は一般的にはロールの彫刻表面又はサンドブラストを掛けた表面からなる。特に、しぼの付いたフィルムの荒さは、Ra が0.1μm 以上であるような荒さである(DIN 標準4768―1990年 5月による)。Ra は好ましくは0.5μm 以上である。
フィルムのしぼの配置は均等又は不均等である。均等の配置のしぼは、規則的に変化する表面状態を生ずるしぼである(これらの用語の定義については、ISO 標準 4287/1 ―1984年12月15日を参照されたい)。不均等の配置のしぼは、ランダムな表面状態を生ずる。
“金属”とは、厳密な意味での金属あるいはそれらの通常の添加剤を有する金属合金を意味する。
硬度の高い金属とは、耐表面変形性が高い金属である。特に、ビッカース硬度試験(ASTM標準E 92-82(1987年に再認可された))による硬度は150HV以上である。金属の硬度は好ましくは350HV以上である。
ロールが内部結線又は溝のような種々の付属品を含んでもよいし、例えばクロムメッキ又は窒化のような表面を更に改良する表面処理を受けてもよいということは注目されるべきである。
【0009】
種々の硬度の高い金属が選択可能である。実質的に鋼又は鋳鉄から製造されたロールの場合に非常に良好な結果が得られた。
2つのロールは、共通の又は独立した機構により回転させうる。各ロールは独立した機構により回転させるのが有利である。このことは、一方のロールの回転速度を他方のロールの回転速度に影響を及ぼすことなく調整しうること意味する。いずれの駆動方法も適する。例えば、各ロールを制御速度モーターにより駆動しうる。
本出願人の会社は又、熱媒液の内部循環により少なくとも一方のロールを所望の温度に保持させることが有利であることを見いだした。
熱媒液の内部循環は、いかなる公知の方法によっても成しうる。所望の温度で水が循環する周囲の溝が設けられたロールの場合に非常に満足な結果が得られた。
両方のロールは好ましくは温度に関して調節されており、温度調節は各々のロールに関して異なっていてもよい。更に好ましくは、両方のロールは121℃以上の温度に調節されている。
【0010】
本発明による方法の可能な実施態様においては、熱可塑性物質のロール間の通過は、ストックの形成、すなわち2つのロール間のギャップの上流部分に集められた余分な厚さの熱可塑性物質により成される。圧延においては一般的であるこのストックは、ある種の作業条件において生ずる。それはギャップ内の熱可塑性物質の再循環から得られ、その大きさは特に処理量、相対速度及び2つのロール間の距離、及び熱可塑性物質のレオロジーパラメータに依存する。
ロールは、それら相互の離隔が所望の熱可塑性フィルムの厚さになりうるように設計されている。
ストックの形成は2つのロール間に作用する高圧により生ずる。ロールは典型的には数百kN/m程度、特に400乃至1000kN/mの線圧に耐えなければならない。
ロール間のギャップに熱可塑性物質を供給する装置はいずれの種類でもよい。
好ましい方法によれば、物質は押出機又はゲル化機から直接生じる。この物質は、平坦な製品でも棒状の製品でも等しく十分に導入されうる。後者の場合には、熱可塑性フィルムはしぼ付ロール間の現場で形成される。熱可塑性物質が平坦な製品の形ですでにギャップに導入されている場合には、平坦な製品の幅は最終製品に望まれる幅より小さくても大きくてもよい。
最終的に望ましいフィルムの幅は、例えば供給装置から出てくる熱可塑性物質の速度に対するロールの速度又は供給装置とロールとの距離のようなある種のプロセスパラメータを適合させることにより得られる。熱可塑性フィルムの最終的な厚さに関する限りは、2つのしぼ付ロール間の距離により決定される。
【0011】
本出願人は、本発明による方法は両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムを単一の作業で得ることができるばかりでなく、新規の種類の熱可塑性フィルムを得ることができることを見いだした。
従って、本発明は又、前述の方法により得られる両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムであって、K値が75以上の塩化ビニルポリマー又は平均分子量の高いポリオレフィンを含む熱可塑性フィルムにも関する。
熱可塑性フィルムは好ましくは、実質的にK値が75以上の塩化ビニルポリマー又は平均分子量の高いポリオレフィンを含む
ここ及び以下の記載では、熱可塑性フィルムは好ましくは架橋塩化ビニルポリマーを全く含まない。
塩化ビニルポリマーは75以上のK値(25℃においてシクロヘキサン中、5g/l の濃度で測定)を有する。すなわち平均分子量が高い。
平均分子量の高いポリオレフィンとは、メルトインデックス、すなわちMFIが10.0以下であるポリオレフィンである。特に、MFIは2.16kgの荷重でASTM標準D 1238-90bに従って測定され、g/10min の単位で表される。測定温度は、エチレンポリマー(又は50重量%以上のエチレンを含むポリマー)については190℃であり、プロピレンポリマー(又は50重量%以上のプロピレンを含むポリマー)については230℃である。
ポリオレフィンのMFIは、好ましくは5.0以下であり、更に好ましくは3.0以下である。
【0012】
平均分子量の高い、通常の方法ではしぼ付ができないフィルムを製造する樹脂を使用すると、これらの樹脂から製造されるフィルムの機械的強度が、それより平均分子量の低い樹脂から製造される場合より向上するという利点がある。すなわち、同一の機械的強度を得るためには、熱可塑性フィルムの厚さを減少させることができる。そのような厚さの低下は、生物学的流体用の容器の場合にしばしばそうであるように、ガス透過性の高いことが望ましい製品にこれらのフィルムを使用する場合に特に歓迎される。
本発明は更に、前述の方法により得られる塩化ビニルポリマー又はポリオレフィンを含む、その両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムであって、その両面に均等の配置のしぼを含むことを特徴とする熱可塑性フィルムにも関する。そのようなしぼは、例えば、ロール上で、フライス削り(milling)又は化学的彫刻作業により得られる。
本発明は又、前述の方法により得られるその両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムであって、その両面に一以上の光学的に透明な領域を含むことを特徴とする熱可塑性フィルムにも関する。
光学的に透明な領域とは、フィルムのこの領域を通過する光線が界面において有意に散乱することなく透過する(少なくとも可視線の範囲内で)ような、いずれかの形状の表面の一部を意味する。しかしながら、光学的に透明な領域は、例えば、滅菌中の付着結合が回避されるようなリブ又はレリーフを含みうる。
光学的に透明な領域は、例えば、表面の対応する部分がしぼの代わりに鏡面タイプの仕上げであるようなしぼ付ロールを用いることにより得られる。
【0013】
本発明は更に、前述の方法により得られるその両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムであって、少なくとも一方の同一の面に、均等の配置のしぼを一以上の光学的に透明な領域とともに含むことを特徴とする熱可塑性フィルムにも関する。
本発明による熱可塑性フィルムは好ましくは塩化ビニルポリマーを含む。特に好ましくは、実質的に塩化ビニルポリマーからなる。
本発明による熱可塑性フィルムは特に、例えば、いわゆる製紙及び小さなレザークラフト分野のような多くの用途に有利であるような表面の外観を特徴とする。しかしながら、特に滅菌の見地から、好ましい応用が実施されると思われるのは医療の分野である。
従って、医療用の製品の製造には1種以上の前述の熱可塑性フィルムを使用することが本発明の別の主題である。
医療とは、ヒト又は動物の健康を保持又は再構築する技術に関連したいずれかの用途を意味する。これには、特に手術、薬学又は歯科医術が含まれる。
本発明の最後の主題は、1種以上の前述の熱可塑性フィルムを含む医療用の製品を含む。
本発明による製品はいずれの種類でもよい。例えば、パウチ、包帯、ドローシート(drawsheet) 等でもよい。
好ましくは、実質的に1種以上の前述の熱可塑性フィルムから製造されたパウチである。2種類の本発明による熱可塑性フィルムから製造されたパウチの場合に非常に良好な結果が得られた。
前記パウチは、とりわけ、血液、血清、溶液、生物学的組織又は流体又は栄養剤溶液を含みうる。
【実施例】
【0014】
本発明を以下の実施例により限定することなく更に詳細に記載する。
実施例
本発明によらない実施例1は比較のために提供する。実施例2乃至5は本発明を例示する。
実施例1(参考)
以下の成分を含む組成物から通常の圧延技術により厚さ350μm のフィルムを得た。
K値が71の塩化ビニルポリマー
(懸濁プロセスにより得られた樹脂) 100重量部
可塑剤(主としてジエチルヘキシルフタレート) 50重量部
熱安定剤 2重量部
このフィルムを180℃の温度において、50℃の水の内部循環により加熱された彫刻鋼製ロール(面I、1A型の彫刻、不均等)、及び15℃の水の内部循環により冷却されたゴムロール(面II)間を通過させることにより従来の技術に従ってしぼ付した。しぼ付後のこのロールの表面温度を内部カメラで測定すると約90度であった。
得られたフィルムの荒さを、121℃において30分間オートクレーブ中で水蒸気を用いて滅菌する前及び後に、DIN 標準4768―1990年 5月によるPerthen(登録商標) パーソメーター(perthometer) によりその両面について測定した。
フィルムから得たシートの表面に均等に分布する12個の測定点を用いた。シートの寸法はロールを展開した面積に対応する。ロールの荒さの値も測定した。
各点について3回測定した。測定の平均値を表1に示す。
【0015】
【表1】

a =断面形離隔の絶対値の算術平均。
z =測定領域の5個の隣接単位領域について測定した5個の最大離隔値の算術平均。
max =5個の単位領域に関する最大離隔。
【0016】
実施例2
平坦なダイを具備する押出機により、実施例1と同一の組成物のフィルムを得た。このフィルムを180℃の温度において、180℃の油の内部循環により加熱された彫刻鋼製ロール(面I、1B型の彫刻、不均等、硬度:570HV)、及び165℃の油の内部循環により加熱された第二の彫刻鋼製ロール(面II、2型の彫刻、不均等、硬度:570HV)間を通過させることによりしぼ付した。しぼ付後のこのロールの表面温度を内部カメラで測定すると約165度であった。
実施例1の場合に使用した手順と同一の手順に従って実施した荒さの測定結果を表2に示す。
【0017】
【表2】

【0018】
実施例3
第二のロール(面II)を別の彫刻鋼製ロール(3型の彫刻、不均等、硬度:570HV)に置換すること以外は実施例2を再現させた。
荒さの測定はやはり同一の手順に従って実施した。面Iに関する結果は実施例2の面Iに関する結果に2%以内で対応する。面IIに関する結果を表3に示す。
【0019】
【表3】

【0020】
実施例4
第一のロール(面I)を別の彫刻鋼製ロール(4型の彫刻、不均等ひし形、硬度:570HV)に置換すること以外は実施例2を再現させた。
荒さの測定はやはり同一の手順に従って実施した。面IIに関する結果は実施例2の面IIに関する結果に2%以内で対応する。面Iに関する結果を表4に示す。





【0021】
【表4】

【0022】
実施例5
以下の成分を含む組成物から実施例2乃至4の場合と同一の技術に従って厚さ350μm のフィルムを得た。
K値が93の塩化ビニルポリマー
(懸濁プロセスにより得られた樹脂) 100重量部
可塑剤(主としてジエチルヘキシルフタレート) 60重量部
熱安定剤 1重量部
このフィルムを185℃の温度において、190℃の油の内部循環により加熱された彫刻鋼製ロール(面I、5型の彫刻、不均等、硬度:570HV)、及び170℃の油の内部循環により加熱された第二の彫刻鋼製ロール(面II、2型の彫刻、不均等、硬度:570HV)間を通過させることによりしぼ付した。
得られたフィルムの荒さを先行実施例の手順に従って測定した。結果を表5に示す。
【0023】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのしぼ付ロール間に熱可塑性物質を通過させることによりその両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムを製造する方法において、2つのしぼ付ロールがビッカース硬度試験による硬度が150HV以上である金属からなり、該熱可塑性フィルムが3.0g/10分以下のメルトインデックス(MFI)を有する平均分子量の高いポリオレフィンから選ばれる熱可塑性物質を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
該金属が鋼又は鋳鉄である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記各ロールを独立した機構により回転させる請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記ロールの少なくとも一方を熱媒液の内部循環により所望の温度に保持させる請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により得られポリオレフィンを含む、その両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムにおいて、その両面に均等の配置のしぼを含む熱可塑性フィルム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により得られるその両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムにおいて、その両面に一以上の光学的に透明な領域を含む熱可塑性フィルム。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により得られるその両面にしぼの付いた熱可塑性フィルムにおいて、少なくとも一方の同一の面に、均等の配置のしぼを一以上の光学的に透明な領域とともに含む熱可塑性フィルム。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の少なくとも1種の熱可塑性フィルムの、医療用の製品を製造するための使用。
【請求項9】
請求項5乃至7のいずれかに記載の少なくとも1種の熱可塑性フィルムを含む医療用の製品。
【請求項10】
請求項5乃至7のいずれかに記載の少なくとも1種の熱可塑性フィルムから実質的に製造されたパウチの形の請求項9記載の医療用の製品。

【公開番号】特開2007−45162(P2007−45162A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271046(P2006−271046)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【分割の表示】特願平8−120038の分割
【原出願日】平成8年5月15日(1996.5.15)
【出願人】(506124686)ソルヴェイ インダストリアル フォイルズ マネージメント アンド リサーチ (1)
【Fターム(参考)】