説明

せん断補強構造、せん断補強方法およびせん断補強用複合カプセル

【課題】簡易かつ高品質に、既存のコンクリート構造物のせん断力の補強と曲げ靭性性能を付与することを可能とするせん断補強構造と、せん断補強方法およびこれらに好適に使用されるせん断補強用複合カプセルを提供する。
【解決手段】既設の鉄筋コンクリート構造物である側壁20と、この側壁20に形成された補強部材挿入孔21の内部に配設されて一体に固定されたせん断補強用複合カプセル10とを備えるせん断補強構造であって、せん断補強用複合カプセル10が、柱状に形成されたセメント系混合材料の硬化体11と、この硬化体11に内装されたせん断補強部材12とからなり、せん断補強部材12は、線材12aと、線材12aの両端に形成された定着部材12b,12bとにより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート造の構造物のせん断補強構造、せん断補強方法およびこれに使用するせん断補強用複合カプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の鉄筋コンクリート構造物の中には、大きな地震力を受けた場合に、せん断破壊に至る可能性が高いものがある。特に、阪神大震災以前に設計及び施工された地下鉄、上下水道浄化施設などの各種施設において、その構造物躯体を構成する鉄筋コンクリート造のボックスカルバートや鉄筋コンクリート造の地中埋設構造物の壁やスラブ、橋梁の壁式橋脚などは、せん断鉄筋が配筋されていない場合が多く、レベル2地震動に対するせん断耐力の不足や曲げモーメントによる靱性性能の不足が各種の耐震診断の結果から明らかになっており、速やかに耐震補強を行う必要性が指摘されている。
近年、このような鉄筋コンクリート構造物について、せん断破壊が生じることのないように、補強を行う場合がある。
【0003】
これらの鉄筋コンクリート構造物は、機能の特性上、地中に埋設されている場合がほとんどであり、施工後に補強する際には、構造物躯体の側壁や底版を外面側から補強することができず、内面側からのみその補強を行わざるを得ない。ここで、本明細書において「外面」とは、鉄筋コンクリート構造物の面材又は版材の地山に面している側の面をいい、「内面」とは、同面材又は版材の外面に対向する面で、地山に面していない側の面をいう。
【0004】
従来、これらの鉄筋コンクリート構造物の補強方法としては、鉄筋コンクリート構造物の面に沿って主鉄筋及び配力鉄筋を配筋して、コンクリートを打設する増厚工法や、鉄筋コンクリート構造物の周囲に鋼板を巻き立て、鉄筋コンクリート構造物と鋼板との隙間にモルタルや樹脂等の充填材を充填する鋼板巻き立て工法等が採用されていた。
【0005】
しかし、これらの工法では、補強後に面材や版材の厚さが増大して、躯体の内空断面が減少してしまう等、各種の不都合が生じてしまう(例えば、上下水道浄化施設の場合には、貯水能力や処理能力が減少してしまい、また地下鉄の場合には、建築限界を満足しなくなるため、使用不能となってしまう場合が生じる)。さらに、増厚工法は、主鉄筋が増加することから、せん断耐力が向上する一方で、曲げ耐力も増加することから、補強後においてせん断先行破壊型を曲げ先行破壊型に移行させるという要請を実現するのが困難であった。
【0006】
さらに、補強鉄筋や鋼板等の補強部材の搬入や組み立てに大掛かりな揚重機械を必要とし、地下構造物内や橋梁等の限られた空間では、これらの揚重機械の制約があり施工が困難な場合があった。また、供用中の道路トンネル内や鉄道トンネル内のせん断補強では、その交通量や列車運行の制約により、夜間の限られた時間帯内での急速施工の要求に対して、前記従来の補強方法では施工ができない場合があった。
【0007】
そこで、前記問題点を解決するために、既存の鉄筋コンクリート構造物に対するせん断補強方法として、鉄筋コンクリート構造物の面材または版材の部材厚方向に挿入孔を穿孔し、この挿入孔にせん断補強鉄筋を配置し、グラウト材を充填する場合がある。しかし、このせん断補強方法においてせん断補強鉄筋として先端が直棒状のものを使用すると、新設の鉄筋コンクリート構造物の施工時に配設される、端部にフックを有するせん断補強鉄筋と比較して定着性能が劣り、補強の効果が限定されてしまう。
【0008】
そのため、本出願人は、図6に示すように、せん断補強鉄筋111の両端に定着部材112,112が固定されたせん断補強部材110を鉄筋コンクリート構造物120に形成された補強部材挿入孔121に配設して充填材130を介して一体化することで、定着性に優れていてせん断補強効果を高めるせん断補強構造100を開示し実用化に至っている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−105808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記せん断補強構造100を構築する場合に、充填材130の挿入孔への充填を、せん断補強部材120を補強部材挿入孔121に挿入した後に行う場合は、せん断補強部材110と補強部材挿入孔121との間の狭い空間への充填作業となるため、充填が不完全となることが無いように、慎重に行う必要があり、作業効率が悪くなる場合があった。
一方、補強部材挿入孔121に充填材130を充填した後に、せん断補強部材110を挿入する場合には、定着部材112の背面に空気を巻き込むことがないように、慎重かつゆっくり、せん断補強部材110を挿入する必要がある。そのため、作業に手間がかかるという問題点を有する場合があった。
【0010】
また、現地での充填材130の充填作業や充填材130の養生により、工期の短縮化の妨げになる場合があった。
【0011】
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、簡易かつ高品質に、既存のコンクリート構造物のせん断力の補強と曲げ靭性性能を付与することを可能とするせん断補強構造と、せん断補強方法およびこれらに好適に使用されるせん断補強用複合カプセルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、既設の鉄筋コンクリート構造物と、この鉄筋コンクリート構造物に形成された補強部材挿入孔の内部に配設されて一体に固定されたせん断補強用複合カプセルと、を備えるせん断補強構造であって、前記せん断補強用複合カプセルが、柱状に形成されたセメント系混合材料の硬化体と、前記硬化体の内部に配設されたせん断補強部材とからなることを特徴としている。
【0013】
かかるせん断補強構造は、せん断補強部材が内部に配設されたせん断補強用複合カプセルを、既存の鉄筋コンクリート構造物の内部に配設するため、鉄筋コンクリート構造物にせん断耐力が向上する。また、せん断補強混合カプセルは、予めセメント系混合材料とせん断補強部材とが一体に形成されているため、鉄筋コンクリート構造物への配置の際に、補強部材挿入孔への充填材やグラウト等の充填を要することなく、簡易に行うことが可能である。そのため、工期の短縮化を図ることが可能である。
【0014】
また、本発明のせん断補強構造は、せん断補強部材と鉄筋コンクリート構造物のコンクリートとの一体化がなされているため、面外のせん断力が発生した場合に発生する斜め引張り応力に対して、せん断補強部材と鉄筋コンクリート構造物とが一体となって抵抗する。従って、既設の鉄筋コンクリート構造物のせん断耐力を向上させ、地震等による破壊形態を脆性的な破壊から靱性的な破壊へ移行させることができる。
【0015】
また、本発明のせん断補強構造によれば、鉄筋コンクリート構造物のコンクリート厚さを増加させることなく、直接的にせん断補強部材(せん断補強用複合カプセル)を構造体(面材または版材)の内部に埋設することにより、せん断耐力と靱性性能の増大を効率的に実現できることから、補強後に躯体の内空断面が減少してしまうといった不都合が生じることを防止することができる。加えて、主鉄筋を増加させることがないため、曲げ耐力を増加させることなく、面外せん断耐力を向上させることができる。そのため、レベル2地震時において、せん断先行破壊型の可能性がある鉄筋コンクリート構造物を曲げ先行破壊型に移行することができる。
【0016】
ここで、本発明による補強の対象となる構造物は、せん断補強が必要となる構造物であり、既設である各種の鉄筋コンクリート造の構造物に適用可能である。また、現場打ちされたものでもよいし、工場などにおいてプレキャストされたものでもよい。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート構造物のせん断補強方法であって、前記既設の鉄筋コンクリート構造物の一面側から他面側に向けて、補強部材挿入孔を形成する工程と、前記補強部材挿入孔に接着剤を注入する工程と、柱状に形成されたセメント系混合材料の硬化体と前記硬化体の内部に配設されたせん断補強部材とからなるせん断補強用複合カプセルを、前記既設の鉄筋コンクリート構造物の一面側から前記補強部材挿入孔に挿入する工程と、を備えることを特徴としている。
【0018】
かかるせん断補強方法によれば、せん断補強部材を予め内部に配設したせん断補強用複合カプセルを接着剤が注入された補強部材挿入孔に挿入するのみで、鉄筋コンクリート構造物にせん断補強部材が配設される。そのため、充填材の充填および養生を省略し、施工に要する手間と時間を短縮することを可能としている。
【0019】
前記せん断補強方法において、前記せん断補強用複合カプセルを、周方向に回転させながら前記補強部材挿入孔に挿入すれば、接着剤が、せん断補強用複合カプセルと補強部材挿入孔との隙間全体に行きわたるため、好適である。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、柱状に形成されたセメント系混合材料の硬化体と、前記硬化体の内部に配設されたせん断補強部材と、を備えることを特徴としている。
【0021】
かかるせん断補強用複合カプセルによれば、既設の鉄筋コンクリート構造物に形成された挿入孔に挿入して、接着剤を介して一体化するのみでこの鉄筋コンクリート構造物のせん断耐力を向上させることが可能となり、好適である。また、従来、充填材の充填や養生に要した手間や時間を省き、工事期間の短縮化を可能としている。また、空気を巻き込むこと等がなく、高品質なせん断補強構造を構成することを可能としている。
【0022】
また、前記せん断補強用複合カプセルの前記硬化体の表面に、溝が形成されていれば、接着剤によるせん断補強用複合カプセルと挿入孔との接着性能(付着強度)が向上するので、補強効果がより一層向上する。
【0023】
前記せん断補強用複合カプセルにおいて、前記セメント系混合材料が、グラウト材またはモルタルであれば、せん断補強部材と鉄筋コンクリート構造物との一体化により、補強効果が向上するため、好適である。
また、前記セメント系混合材料が、セメント系マトリックスに繊維が混合された繊維補強混合材料であれば、せん断補強用複合カプセル自体の剛性が高く、補強効果がより向上し、好適である。
【0024】
前記せん断補強用複合カプセルにおいて、前記せん断補強部材が、線材と、前記線材の両端部に形成されて該線材の直径よりも大きな幅を有する定着部材とから構成されていてもよい。さらに、前記定着部材が、線材の直径よりも大きな幅を有したナットやプレート状の部材により構成されていてもよい。また、前記線材が鉄筋からなり、前記定着部材が、前記線材の端部を熱した状態で軸方向に打撃あるいはプレスすることで、前記線材の直径に対して120%乃至130%の幅に形成された突起部であってもよい。
【0025】
また、せん断補強部材において、線材であるせん断補強鉄筋の基端部及び先端部に、当該せん断補強鉄筋より断面形状が大きい定着部材が設けられていれば、当該せん断補強部材の定着効果を高めることができるとともに、せん断補強鉄筋の引張抵抗と定着部材の内側のコンクリートに発生する圧縮応力により、より効果的にせん断耐力の向上と靱性性能の向上を図ることができる。ここで、線材は異形鉄筋や丸鋼鉄筋に限定されるものではなく、炭素線材、鋼棒、PC鋼より線等、あらゆる線材が適用可能である。
【0026】
また、セメント系混合材料として、セメントと、ポゾラン質微粉末と珪石の粉末と、シリカヒュームと粒径が3mm以下の硅砂と、粒径が3mm以下の砂と、高性能減水剤に水を単位水量(出来上がりコンクリート容積1mあたり)として175〜180kg(水セメント比が20〜22%程度)と、を混合して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが8mm〜16mmの鋼繊維を、セメント系マトリックスの容積に対して1%以上混入してなる繊維補強セメント系混合材料を使用すれば、剛性の高い定着効果を実現する。
【発明の効果】
【0027】
本発明のせん断補強構造、せん断補強方法およびせん断補強用複合カプセルによれば、既設の鉄筋コンクリート構造物について、簡易かつ高品質に、所定のせん断耐力を発現するとともに高い靱性性能を付与することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の補強方法の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下は、地中の地盤に埋設された既設の鉄筋コンクリート構造物の側壁をせん断補強する場合について説明を行う。なお、以下の説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るせん断補強構造を示す断面図である。図2は、本実施形態のせん断補強用複合カプセルを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)はせん断補強部材の詳細を示す斜視図である。図3(a)〜(c)は、せん断補強用複合カプセルの変形例を示す斜視図である。図4(a)〜(e)は、せん断補強部材の定着部材の変形例を示す斜視図である。図5(a)〜(d)は、本実施形態に係るせん断補強方法の各施工段階を示す断面図である。
【0030】
本実施形態に係るせん断補強構造1は、図1に示すように、既設の鉄筋コンクリート構造物の側壁20と、この側壁20に形成された補強部材挿入孔21の内部に配設されて一体に固定されたせん断補強用複合カプセル10とを備えている。
【0031】
側壁20は、所定の間隔により主鉄筋22および配力鉄筋23が配設された鉄筋コンクリート造の部材である。そして、補強部材挿入孔21は、この側壁20の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、穿孔時に主鉄筋22及び配力鉄筋23に損傷を与えることの無いように、横間隔は主鉄筋22と、縦間隔は配力鉄筋23と同間隔で両鉄筋の略中央に形成されている。
なお、本実施形態では、地中の地盤に埋設された既設の鉄筋コンクリート構造物の側壁を補強する場合について説明したが、補強を行う既設の鉄筋コンクリート構造物の構造体は側壁等の面材に限定されるものではなく、例えば床版や天井版等の版材であってもよい。
【0032】
補強部材挿入孔21は、図1に示すように、側壁20の内面側の面から穿孔することにより形成されている。この補強部材挿入孔21の深さは、外面側(地山G側)側の主鉄筋22および配力鉄筋23の近傍まで形成されている。
なお、補強部材挿入孔21の深さは限定されるものではなく、適宜設定すればよいことはいうまでもない。例えば、外面側の主鉄筋22の位置よりも深く形成し、せん断補強部材12の先端側の定着部材が主鉄筋22と同等の被りを確保できるように構成してもよい。
【0033】
補強部材挿入孔21は、断面円形に形成されており、その直径は、せん断補強用複合カプセル10との間に、補強部材挿入孔21とせん断補強用複合カプセル10との一体化に使用する接着剤の充填が可能な程度に、わずかな隙間が形成されるように構成されている。
なお、補強部材挿入孔21の断面形状は円形に限定されるものではなく、せん断補強用複合カプセル10の断面形状に応じて適宜設定してもよいことはいうまでもない。
【0034】
せん断補強用複合カプセル10は、図1および図2に示すように、円柱状に形成されたセメント系混合材料の硬化体11と、この硬化体11の内部に配設されたせん断補強部材12とが、予め一体に構成されている。なお、本実施形態では、硬化体11を円柱状に形成するものとしたが、硬化体11の形状は、柱状であれば限定されるものではなく、例えば、四角柱やその他多角注に形成されていてもよい。
【0035】
硬化体11(せん断補強用複合カプセル10)の長さは、補強部材挿入孔21の深さと略同等であって、せん断補強部材12の全長よりも長く形成されており、せん断補強用複合カプセル10を補強部材挿入孔21に配置した状態で、せん断補強用複合カプセル10の基端面(内面側表面)が側壁20の内面側の表面と面一となるように構成されている。なお、硬化体11の長さは限定されるものではなく、例えば、補強部材挿入孔21の深さよりも短くてもよい。
また、硬化体11は、直径がせん断補強部材12の定着部材12bの幅よりも大きく形成されており、せん断補強部材12を完全に覆った状態で形成されている。
【0036】
本実施形態では、硬化体11を構成するセメント系混合材料として、セメント系マトリックスに繊維が混合された繊維補強混合材料を使用することで、硬化体11自体が高い引張強度と引張靱性を有する構成とする。これにより、せん断補強用複合カプセルが、より高い引張強度を発現する構成となる。
【0037】
本実施形態に係る繊維補強混合材料には、セメントと、ポゾラン質微粉末と珪石の粉末と、シリカヒュームと粒径が3mm以下の硅砂と、粒径が3mm以下の砂と、高性能減水剤に水を単位水量(出来上がりコンクリート容積1mあたり)として175〜180kg(水セメント比が20〜22%程度)と、を混合して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが8mm〜16mmの鋼繊維を、セメント系マトリックスの容積に対して1%以上混入してなる繊維補強セメント系混合材料が使用されている。なお、鋼繊維としては、引張降伏強度が2600〜2800N/mmのものを使用する。この繊維補強混合材料は、φ5×10cm供試体の圧縮強度150〜220MPa、引張強度8〜20MPa、4×4×16cm供試体の曲げ強度25〜45MPa、弾性係数35〜55GPaの特性を有している。
【0038】
なお、本実施形態では、硬化体11を構成するセメント系混合材料として、繊維補強混合材料を使用するものとしたが、せん断補強部材12と補強部材挿入孔21との一体化のみを目的とする場合には、セメント系混合材料としてグラウト材やモルタル(圧縮強度60N/mm)等を使用してもよい。
【0039】
本実施形態に係る硬化体11は、図2(a)に示すように、外周面(表面)に周方向に沿って形成された複数(本実施形態では3つ)の溝11a,11a,11aを備えており、接着剤30によるせん断補強用複合カプセル10と補強部材挿入孔21との接合性の向上を図る。なお、溝11aの数や形状は限定されないことはいうまでもない。例えば、図3(a)に示すように、硬化体11の外周面に形成される溝11aとして、硬化体11の軸方向に沿って複数(図3(a)では6本)の溝11a,11a,…を形成してもよい。また、図3(b)に示すように、交差する2本の螺旋状の溝11a,11aを形成してもよい。なお、図示は省略するが、螺旋状の溝11aが1本形成されていてもよいし、さらに、図3(c)に示す硬化体11のように、複数のくぼみ(小孔)11bが形成されている等、硬化体11の外周面に、溝ではなく、凹凸が形成されていても、同様の効果を得ることが可能である。
【0040】
せん断補強部材12は、図2(b)及び(c)に示すように、線材12aと、この線材12aの両端に形成された定着部材12bとにより構成されている。
【0041】
本実施形態では、線材12aとして、異形鉄筋を使用するものとする。なお、線材12aを構成する材料は異形鉄筋に限定されないことはいうまでもなく、例えば、ネジ鉄筋、鋼棒、PC鋼より線、炭素線材等を使用してもよい。
【0042】
せん断補強部材12の全長は、せん断補強用複合カプセル10の全長よりも短く形成されており、定着部材12bの幅はせん断補強用複合カプセル10(硬化体11)の外径よりも小さく形成されている。つまり、せん断補強部材12が、硬化体11により完全に覆われた状態でせん断補強用複合カプセル10が形成されている。なお、本実施形態では、せん断補強部材12の全長が、側壁の厚さ方向に対する主鉄筋22同士の間隔と同程度となるように構成しているが、せん断補強部材12の長さはこれに限定されるものではない。
【0043】
定着部材12bは、図2(c)に示すように、線材12aの直径よりも大きな幅を有する鋼製のプレート状の部材により構成されている。
【0044】
定着部材12bは、厚さが第一せん断補強鉄筋22の直径の30%〜120%、幅が線材12aの鉄筋径の200%〜300%程度の四角形状の鋼製プレートからなり、線材12aの両端部に一体に固定されている。定着部材12bの線材12aへの固定は、摩擦圧接機械を用いて、固定した線材12aに回転させた鋼製プレートを押し付けることにより、回転する鋼製プレートに所定の圧力で摩擦熱を発生させて、鋼製プレートを線材12aに溶着(摩擦圧接A)させることにより簡易に行うことができる。
ここで、線材12aと定着部材12bとの接合方法は、摩擦圧接Aに限定されるものではなく、ガス圧接接合、アーク溶接接合等、その一体化が可能であればよい。なお、定着部材12bの「幅」は、定着部材12bの形状が矩形、多角形であれば対角線長、円形であれば直径、楕円形であれば長辺長、に統一するものとする。
【0045】
定着部材12bの構成や形状寸法等は前記のものに限定されるものではなく、円形、楕円形、多角形等でもよく、適宜設定すればよいことはいうまでもない。
例えば、図4(a)に示すように、線材12aとしてネジ筋鉄筋を用いて、先端部にロックナットをねじ込み、線材12aとロックナットとのがたつきを取り除くためにダブルナットとするか、ナット内部の隙間にエポキシ樹脂のような充填材を注入する方法のいずれかにより、定着部材12bとして、厚さが線材12aの鉄筋径の150%〜250%、長さが線材12aの鉄筋径の100%〜250%となるように構成してもよい。
【0046】
また、図4(b)に示すように、鉄筋である線材12aの先端を熱した状態で軸方向に打撃あるいはプレスすることで、線材12aの鉄筋径の120%〜130%の幅に形成された突部を定着部材12bとしてもよい。
【0047】
また、図4(c)に示すように、軟鋼やアルミニウム合金などの比較的加工しやすい金属製材料を用い、厚さが線材12aの鉄筋径の15%〜40%、長さが線材12aの鉄筋径の100%〜250%の形状を有する円筒体を準備し、これを、線材12aの先端部にかぶせ、この周りを半分の円環を2つあわせたグリッパを用いて周囲から押しつぶすことにより、あるいは、鉄筋のスクイズ・ジョイントに用いるような円筒体を絞り込む(スクイズする)ようにして、円筒体を塑性変形させて線材12aと一体にすることにより定着部材12bを構成してもよい。
【0048】
また、図4(d)に示す定着部材12bのように、厚さが線材12aの鉄筋径の30%〜80%、幅が線材12aの鉄筋径の140%〜200%の円形鋼製プレートを線材12aの先端部に摩擦圧接Aすることにより製造してもよい。また、図4(e)に示すように、厚さが線材12aの鉄筋径の30%〜80%、幅が線材12aの鉄筋径の140%〜200%の楕円形(小判型や円の側部を切り落としたような形状も含む)鋼製プレートを摩擦圧接Aなどにより線材12aの先端に固定して、定着部材12bを構成してもよい。
【0049】
なお、せん断補強部材12の両端に形成される定着部材12b,12bは、想定される側壁20に作用するせん断力に対して十分な耐力を発現することが可能であれば、必ずしも同形状に形成される必要はない。つまり、補強を行う側壁20の配筋状態、コンクリート強度、壁厚などの要因にあわせて自由設定すればよい。
また、想定される側壁20に作用する応力に応じて、せん断補強用複合カプセル10の配置や、位置に応じて異なる形状寸法のせん断補強部材12が配置されたせん断補強用複合カプセル10を配置してもよい。
【0050】
ここで、本実施形態に係るせん断補強用複合カプセル10は、工場等において予め製造されるものであって、一定の品質が確保された状態で製造されている。
また、本実施形態では、せん断補強部材12は、図1に示すように、せん断補強用複合カプセル10を補強部材挿入孔21に配置した状態で、側壁20の内面側に配置されている。つまり、せん断補強部材12の内面側の定着部材12bは、側壁20の内面側の主鉄筋22よりも内面側に配置されて、せん断補強部材12の外面側の定着部材12bは、側壁20の外面側の配力鉄筋よりも内面側に配置されている。なお、せん断補強部材12の配置は、前記のものに限定されないことはいうまでもなく、例えば、両端の定着部材12b,12bが、それぞれ側壁20の主鉄筋22と同等の被りを確保できるように配置してもよい。
【0051】
次に、図面を介して本実施形態に係る側壁20のせん断補強方法について説明する。
本実施形態に係るせん断補強方法は、
(1)側壁20の一面側から他面側に向けて、補強部材挿入孔21を穿孔する穿孔工程と、
(2)補強部材挿入孔21に接着剤30を注入する注入工程と、
(3)せん断補強用複合カプセル10を、側壁20の一面側から補強部材挿入孔21に挿入する挿入工程と、からなる。
【0052】
<穿孔工程>
穿孔工程は、側壁20に、この側壁20の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、主鉄筋及び配力鉄筋に損傷を与えることの無いように、横間隔は主鉄筋と、縦間隔は配力鉄筋と同間隔で両鉄筋の中央に補強部材挿入孔21を穿孔する工程である。
【0053】
補強部材挿入孔21の穿孔は、側壁20の内面側(一面側)から外面側(他面側)方向であって側壁W面に略垂直な方向に、インパクト・ドリルやロータリーハンマ・ドリル、コア・ドリルなどの穿孔手段を用いて、外面側の主鉄筋22の位置の深さまで行なう(図5(a)参照)。補強部材挿入孔21は、やや下向きの傾斜を有して穿孔されており、孔径は、図1および図2(b)に示すように、せん断補強用複合カプセル10の外径に若干の余裕を見込んだ値に形成されている。
【0054】
ここで、補強部材挿入孔21がやや下向きの傾斜を有して形成される理由は、接着剤30の注入時およびせん断補強用複合カプセル10の挿入時において、補強部材挿入孔21の内部の空気を排出しやすくするためであり、このようにすることにより、接着剤30の充填をより完全に行うことができるようになる。なお、接着剤30の充填を完全に行うことが可能であれば、補強部材挿入孔21は、必ずしもやや下向きの傾斜を有して穿孔される必要はない。
【0055】
補強部材挿入孔10の穿孔が終了したら、孔内に堆積した穿孔に伴ない発生したコンクリート粉を除去する。
【0056】
<注入工程>
注入工程は、図5(b)に示すように、側壁20に形成された補強部材挿入孔21に、補強部材挿入孔21の壁面とせん断補強用複合カプセル10との一体化を行う接着剤30を注入する工程である。
【0057】
接着剤30の補強部材挿入孔21への注入は、補強部材挿入孔21に空気が滞留することが内容に、図示しない注入管等を介して圧入することにより、補強部材挿入孔21の孔底(外面側の先端)から行うものとする。この時、注入される接着剤30の量は、少なくともせん断補強用複合カプセル10を補強部材挿入孔21に配置された状態で、せん断補強用複合カプセル10と補強部材挿入孔21との隙間が接着剤30により完全に充填される量とする。
【0058】
なお、本実施形態では、接着剤30として、モルタル状のエポキシ系接着剤を使用するものとするが、接着剤30を構成する材料は、コンクリート部材同士の一体化を可能とする材料であれば限定されるものではなく、適宜公知の接着剤の中から選択して使用すればよい。例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等も使用可能である。
【0059】
<挿入工程>
挿入工程は、図5(c)に示すように、注入工程において接着剤30が注入された補強部材挿入孔21に、接着剤30が硬化する前に、せん断補強用複合カプセル10を挿入する工程である。
【0060】
せん断補強用複合カプセル10の補強部材挿入孔21への挿入は、せん断補強用複合カプセル10を周方向に回転(中心軸まわりに回転)させながら挿入することで、接着剤30が、せん断補強用複合カプセル10と補強部材挿入孔21との隙間全体に行きわたるようにする。
【0061】
そして、せん断補強用複合カプセル10が、補強部材挿入孔21に配置されることにより、せん断補強構造1が構成されて、側壁20に作用するせん断力に対する補強がなされる。
【0062】
なお、せん断補強構造1の構築において、注入工程と挿入工程とを逆にして、補強部材挿入孔21へせん断補強用複合カプセル10を挿入してから、接着剤30をせん断補強用複合カプセル10と補強部材挿入孔21との隙間に注入してもよい。この場合において、接着剤30の注入は、チューブ等を介して、隙間に完全に充填されるように行わなければならない。
【0063】
以上、本実施形態に係るせん断補強構造1によれば、せん断耐力が不足している既設の鉄筋コンクリート構造物(側壁20)に対して、適切な位置にせん断補強部材12を配置するため、せん断耐力が向上し、曲げ靱性性能が付与されるため、好適である。
【0064】
また、せん断補強構造1によると、せん断耐力と靱性性能の増大を効率的に実現できる。しかも、既設の鉄筋コンクリート構造物(側壁20)のコンクリート厚さを増加させることなく、直接的にせん断補強部材12が側壁20に埋設されているため、従来の鉄筋コンクリート増厚工法等のように、補強後に内空断面が減少してしまうといった不都合が生じることを防止することができる。加えて、主鉄筋22を増加させることがないことから、曲げ耐力を増加させることなく、面外せん断耐力を向上させることができるので、せん断先行破壊型の可能性がある鉄筋コンクリート構造物を曲げ先行破壊型に移行することができる。
【0065】
そして、このせん断補強部材12の配置は、側壁(既設の鉄筋コンクリート構造物)20に形成された補強部材挿入孔21に、せん断補強部材12が予め内部に配設されたせん断補強用複合カプセル10を挿入して接着剤を介して一体化するのみで完了するため、簡易かつ高品質に行われる。
【0066】
このせん断補強用複合カプセル10は、工場などにおいて予めせん断補強部材12が内部に配設された状態で高品質に製造されているため、施工誤差などが生じることがなく、せん断補強構造1が一定の品質を維持することが可能である。
【0067】
また、せん断補強部材12と側壁20との一体化について、従来は、充填材の充填および充填材の養生が工期短縮の妨げになっていたが、本発明のせん断補強方法によれば、予めせん断補強用複合カプセル10にせん断補強部材12が内部に配設された状態で、これを接着剤30が注入された補強部材挿入孔21に挿入するのみで完了するため、工期の大幅な短縮が可能である。故に、供用中の既設鉄筋コンクリート構造物について、供用を休止する期間を短縮することが可能となる。また、従来のように、充填材を取り扱うことにより現場が汚れることがない。また、施工の手間を省き、工期の短縮が可能なため、費用の削減も可能となる。
【0068】
また、本発明のせん断補強用複合カプセル10は、その外周面に溝11aが形成されているため、接着剤30の隙間への充填が容易となるとともに、溝11aが係止部となって、せん断補強用複合カプセル10と補強部材挿入孔21との一体化がより強固になされる。
【0069】
また、線材12aの両端部に設けられている定着部材12b,12bは、充分な定着効果が発揮するとともに、面外せん断力が発生すると線材12に引張力が作用するために、定着部材12b同士の間に支圧力が働き、定着部材12b同士の間のコンクリートである硬化体11には圧縮応力場が形成されるため、せん断に対して内部コンクリート自身のせん断抵抗力が増大して効果的なせん断補強となる。
【0070】
また、補強部材挿入孔21は、せん断補強用複合カプセル10と接着剤30により外部と遮断されるので、補強後の耐久性の観点で劣化の抑制を期待できる。
【0071】
また、地震時に発生する曲げモーメントの分布に応じてせん断補強部材12の内面側の定着部材12bの形状を選択することにより、靱性性能を発揮する合理的な構造を構築することにより、経済的な構成に補強することが可能となる。
【0072】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、補強対象である既設の鉄筋コンクリート構造物は、鉄筋コンクリート造であればよく、現場打ち鉄筋コンクリート構造体や、プレキャストコンクリート構造体等その種類は問わないとともに、補強を行う部位についても限定されず、面材や版材等にも適用可能である。
また、補強部材の挿入間隔、挿入数、挿入位置等は、前記実施形態に限られず、適宜に定めることができる。
【0073】
また、せん断補強部材に形成された定着部材の形状は、補強対象である鉄筋コンクリート構造物に作用する応力に応じて、適宜設定されることはいうまでもない。
また、前記実施形態では、両端に形成された定着部材が同一である構成としたが、各定着部材が同一である必要がないことはいうまでもない。
また、定着部材の形状寸法は、前記のものに限定されるものではない。
【0074】
また、硬化体を構成する骨材及びポゾラン系反応粒子の配合は、前記実施の形態で記載したものに限定されるものではなく、骨材は、最大粒径が3mm以下、ポゾラン系反応粒子は、粒子径が0.01〜15μmの範囲内であればよい。
また、セメント系混合材料にシリカヒュームを混合する構成としたが、必ずしもシリカヒュームを混入する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】最良の実施の形態に係るせん断補強構造を示す断面図である。
【図2】最良の実施の形態に係るせん断補強用複合カプセルを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)はせん断補強部材の詳細を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は、せん断補強用複合カプセルの変形例を示す斜視図である。
【図4】(a)〜(g)は、せん断補強部材の定着部材の変形例を示す斜視図である。
【図5】(a)〜(d)は、本実施形態に係るせん断補強方法の各施工段階を示す断面図である。
【図6】従来のせん断補強構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 せん断補強構造
10 せん断補強用複合カプセル
11 硬化体
11a 溝
12 せん断補強部材
12a 線材
12b 定着部材
20 側壁(鉄筋コンクリート構造物)
21 補強部材挿入孔
30 接着剤
G 地山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の鉄筋コンクリート構造物と、この鉄筋コンクリート構造物に形成された補強部材挿入孔の内部に配設されて一体に固定されたせん断補強用複合カプセルと、を備えるせん断補強構造であって、
前記せん断補強用複合カプセルが、柱状に形成されたセメント系混合材料の硬化体と、前記硬化体の内部に配設されたせん断補強部材とからなることを特徴とする、せん断補強構造。
【請求項2】
せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート構造物のせん断補強方法であって、
前記既設の鉄筋コンクリート構造物の一面側から他面側に向けて、補強部材挿入孔を形成する工程と、
前記補強部材挿入孔に接着剤を注入する工程と、
柱状に形成されたセメント系混合材料の硬化体と前記硬化体の内部に配設されたせん断補強部材とからなるせん断補強用複合カプセルを、前記既設の鉄筋コンクリート構造物の一面側から前記補強部材挿入孔に挿入する工程と、を備えることを特徴とする、せん断補強方法。
【請求項3】
前記せん断補強用複合カプセルを前記補強部材挿入孔に挿入する工程において、
該せん断補強用複合カプセルを周方向に回転させながら挿入することを特徴とする、請求項2に記載のせん断補強方法。
【請求項4】
柱状に形成されたセメント系混合材料の硬化体と、前記硬化体の内部に配設されたせん断補強部材と、を備えることを特徴とする、せん断補強用複合カプセル。
【請求項5】
前記硬化体の表面に溝が形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のせん断補強用複合カプセル。
【請求項6】
前記セメント系混合材料が、グラウト材またはモルタルであることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載のせん断補強用複合カプセル。
【請求項7】
前記セメント系混合材料が、セメント系マトリックスに繊維が混合された繊維補強混合材料であることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載のせん断補強用複合カプセル。
【請求項8】
前記せん断補強部材が、線材と、前記線材の両端部に形成されて該線材の直径よりも大きな幅寸法を有する定着部材とからなることを特徴とする、請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のせん断補強用複合カプセル。
【請求項9】
前記定着部材が、プレート状の部材であることを特徴とする、請求項8に記載のせん断補強用複合カプセル。
【請求項10】
前記定着部材が、ナットであることを特徴とする、請求項8に記載のせん断補強用複合カプセル。
【請求項11】
前記線材が鉄筋からなり、
前記定着部材が、前記線材の端部を熱した状態で軸方向に打撃あるいはプレスすることで、前記線材の直径に対して120%乃至130%の幅に形成された突起部であることを特徴とする、請求項8に記載のせん断補強用複合カプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−14053(P2008−14053A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187512(P2006−187512)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】