説明

その場で、または反応性の耐衝撃性が改善されたシリコーン−ウレアまたはシリコーン−ウレタン結合を持つ、ゴルフボール用組成物

【課題】本発明は、改善されたシリコーンウレアおよび/またはシリコーンウレタンポリマーを、ゴルフ用具構成部品において使用して、ゴルフクラブと接した際に、改善された耐衝撃性を持つゴルフボール等を提供することを目的とする。
【解決手段】コアとカバーとを含むゴルフボールであって、該ゴルフボールの少なくとも一部が、シリコーンおよびウレア結合、ウレタン結合、またはウレア結合とウレタン結合との組合せを含む、第一の成分;および耐衝撃性ポリマーを含む組成物から形成されたものであることを特徴とする、上記ゴルフボール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互引照)
本特許出願は、現在継続中の、2006年3月13日付で出願された、米国特許出願第11/373,264号の一部継続出願であり、また該米国特許出願は、2004年5月11日付で出願された、米国特許出願第10/843,017号(現米国特許第7,037,217号)の一部継続出願であり、また該米国特許出願は、2002年10月21日付で出願された、米国特許出願第10/277,154号(現米国特許第6,739,987号)の一部継続出願であり、また後者は、2001年10月22日付で出願された、米国仮特許出願第60/348,496号に関する優先権を主張している。これら特許出願の、全開示事項を、参考としてここに組入れる。
本発明は、その場で改善されたシリコーンウレアおよび/またはその場で改善されたシリコーンウレタンポリマーを、ゴルフ用具構成部品において使用して、ゴルフクラブと接した際に、改善された耐衝撃性を持たせることに関連する。本発明は、更にシリコーン-ウレアまたはシリコーン-ウレタン結合を持つ反応性ポリマーアロイおよび耐衝撃性ポリマーおよびオリゴマーにも関連する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボール製造業者等は、感触と性能との間の完全なバランスを達成すべく、絶え間ない試みを行っている。ゴルフボールの物性は、そのコア、あらゆる中間層、およびそのカバーの組合された諸特性によって決定され、これらの諸特性は、更に各層の化学的な組成によって決まる。例えば、カバー層のために使用される特定の組成物は、飛距離を高め、一方で他の組成物は、改善されたスピンを与えることができる。
例えば、バラタから製造されたゴルフボールは、競技者が、特に短いショットに関する、ボールの方向および飛距離を調節するのに十分なスピン速度を達成することを可能とする。しかし、バラタカバーは、容易に損傷を受ける。逆に、イオノマー樹脂から製造したゴルフボールのカバーは、より高い耐久性と全体的な飛距離を与えるが、バラタで被覆されたボールの持つ、スピンおよび感触の点で不足している。また、イオノマーで被覆されたゴルフボールとは違って、ポリウレタンで被覆されたゴルフボールは、バラタで被覆されたゴルフボールの持つソフトな「感触」を持つように処方できるが、ポリウレタン製のゴルフボールカバーは、今日まで、該ゴルフボールカバーのレジリエンスまたは跳ね返りに関して、イオノマーで被覆されたゴルフボールと十分に適合していない。更に、ポリウレタンで被覆されたゴルフボールは、黄変(芳香族成分の使用による)および水分を吸収し易いものとなる可能性がある。塗料および水分遮断層を使用して、ポリウレタンで被覆されたボールにおける該黄変および水分吸収を抑制することができる。
【0003】
最近、ポリウレア材料は、改善されたレジリエンスおよび異なる材料製の層に対する接着性のために、ゴルフボールの層材料として注目されている。更に、ポリウレアを主成分とする組成物は、脂肪族物質から製造されるので、芳香族ポリウレタンで被覆されたゴルフボールの黄変は、典型的には、脂肪族ポリウレタンで被覆されたゴルフボールの問題とはならない。しかし、ポリウレタンと同様に、ポリウレアゴルフボールカバーが、一般的に熱可塑性イオノマーゴルフボールカバーよりも柔軟であるから、反発係数は、イオノマーで被覆されたゴルフボールの値に匹敵するものではない。
更に、従来のポリウレア組成物は、制御不能な反応速度、不均一な混合物、貧弱な接着性、収縮性および最適でない耐薬品性等を包含する、ゴルフ用具における用途に対しては望ましくない、幾つかの特性を持つ。例えば、従来のポリウレア組成物の反応時間は、急速変動性である。即ち、脂肪族イソシアネートおよび脂肪族アミンは反応し、また約5秒間でゲル化することができ、このことは該組成物生成の調節を困難にしている。更に、幾つかの反応が、ポリウレア組成物中で発生して、不均一な混合物の生成をもたらす可能性がある。例えば、第一の反応が、高度に反応性の成分間で起り、その後反応性の低い成分間で起る可能性がある。この不均一特性は、得られる組成物の仕上がり、特性、およびコンシステンシーに影響を与える可能性がある。更に、該アミンとイソシアネートとの間の迅速な反応は、一般的に該ポリウレアが、基質に浸透し、かつ接着するに十分な時間を与えない。
【0004】
シリコーン材料も、かなり高い最終的な伸び率を持つ材料を与える、その固有の能力に基いて、その反発係数および/または耐久性を大幅に高める目的で、ゴルフボールにおいて使用されている。しかし、このような材料の使用は、主としてゴルフボールの内側層に制限されている。例えば、米国特許第6,159,110号は、シリコーンポリマー、シリコーン流体、シリコーンエラストマー、およびシリコーン樹脂を、ゴルフボールの内側層において使用することを開示している。更に、従来のポリウレア材料と同様に、従来のシリコーン材料は、低-中程度の引張強さ等を包含する、望ましからぬ幾つかの特性を有している。更に、ゴルフボールの製造におけるシリコーンエラストマーの使用は、線状または分岐したシリコーン(ポリジメチルシロキサン)(PSX)ホモポリマーが、室温にて粘稠な液体またはロール練り用ガムであることから、共有結合による架橋を必要とする。
【0005】
クロス加硫(cross vulcanization)を行う方法とは無関係に、生成する熱硬化性のシリコーンは、再溶解または再溶融することができず、そのために製造操作後の選択の自由を大幅に低下してしまう。例えば、熱成型、高周波溶接、熱封止および溶媒結合は、公知のシリコーンエラストマーを用いて作業する場合、本質的に利用不可能である。しかし、一旦形成されると、無限のネットワークが、該ポリマーに、そのゴム弾性および特徴的な物理-機械的諸特性を与える。
様々な材料に関する、上で論じた独立の利点および欠点に照らして、個々の材料各々の好ましい特性を、ゴルフボールにおいて使用する組成物に配合することが有利であり、結果として各材料の強度を最大にし、かつその弱点を最小にすることができる。例えば、当分野においては、制御可能な反応速度、均一な特性、および高い耐久性並びに耐衝撃性を持つ、ポリウレアを主成分とするまたはポリウレタンを主成分とする組成物に対する需要がある。本発明は、ポリマーアロイ生成およびブレンド生成を通して、これらの要求を扱うことを意図する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、その場で改善されたシリコーンウレアおよび/またはその場で改善されたシリコーンウレタンポリマーを、ゴルフ用具構成部品において使用して、ゴルフクラブと接した際に、改善された耐衝撃性を持つゴルフボールなどを提供することにある。本発明の目的は、より詳しくはシリコーン-ウレアまたはシリコーン-ウレタン結合を持つ反応性ポリマーアロイおよび耐衝撃性ポリマーおよびオリゴマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コアとカバーとを含むゴルフボールを提供するものであり、該ゴルフボールにおいて、該ゴルフボールの少なくとも一部は、a) シリコーンおよびウレア結合、ウレタン結合、またはウレア結合とウレタン結合との組合せを含む、第一の成分;およびb) 耐衝撃性ポリマーを含む組成物から形成されたものである。一態様において、該耐衝撃性ポリマーは、エチレン-n-ブチルアクリレート-グリシジルアクリレート、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-ブテンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-ヘキセンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-オクテンコポリマー、エチレン-n-ブチルアクリレート-一酸化炭素、酸性コポリマー、化学的に変性されたエチレン-プロピレンゴム、EPDMゴム、ABS、MBS、SEBS-g-MA、またはこれらの任意に組合せを含む。もう一つの態様において、本発明の組成物は、ウレアおよびシリコーン結合からなる。
【0008】
本発明のこの局面において、該第一成分は、イソシアネート、アミンアダクトおよび硬化剤の反応生成物である。もう一つの態様において、該第一成分は、イソシアネート、ヒドロキシアダクトおよび硬化剤の反応生成物である。更に別の態様において、該第一成分は、イソシアネート、アミノ-末端を持つ成分、およびシリコーン-含有成分の反応生成物である。更に別の態様では、該第一成分は、イソシアネート、アミノ-末端を持つ成分、およびシリコーン-含有成分の反応生成物である。
本発明は、またコアとカバーとを含むゴルフボールを提供するものであり、該ゴルフボールにおいて、該カバーは、a) (i) イソシアネートと、(ii) アミノ-末端を持つ成分、ヒドロキシ-末端を持つ成分、またはこれらの組合せの反応生成物を含む第一の成分; b) シリコーンを含む第二の成分;およびc) 耐衝撃性ポリマーを含む、第三の成分を含む組成物から形成されたものである。
【0009】
本発明のこの局面において、該耐衝撃性ポリマーは、エチレン-n-ブチルアクリレート-グリシジルアクリレート、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-ブテンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-ヘキセンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-オクテンコポリマー、エチレン-n-ブチルアクリレート-一酸化炭素、酸性コポリマー、化学的に変性されたエチレン-プロピレンゴム、EPDMゴム、ABS、MBS、SEBS-g-MA、またはこれらの任意に組合せを含む。
一態様において、該第一成分は飽和状態にある。もう一つの態様において、該組成物は、更にアミノ-末端を持つ硬化剤、ヒドロキシ-末端を持つ硬化剤、またはこれらの組合せを含む。
該組成物は、以下の結合からなる:
【0010】
【化1】

【0011】
あるいはまた、該組成物は、以下の結合からなる:
【0012】
【化2】

【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、高い耐衝撃性を与える、その場で改善されたシリコーン-ウレアポリマーおよび/またはシリコーン-ウレタンポリマー組成物の使用に関する。特に、本発明の組成物は、ポリマーアロイを主成分とするものであり得る。ポリマーアロイは、一般的に幾つかの非-類似のポリマー成分を含むものであるから、本発明の組成物は、これら別々のポリマーの有利な諸特性を利用するものであり、一方で該ポリマーのあらゆる欠点を補償もしくは完全に克服し、増強された諸特性を与える材料に到達するものである。
本発明の組成物は、様々なゴルフ用具において使用できる。例えば、ゴルフボールの様々な構造層を、本発明の組成物から製造することができ、また他のゴルフ用具構成部品、例えばクラブヘッドおよびシューズのインサートをも製造できる。更に、本発明の組成物は、被覆並びに医療および自動車用途において使用することも意図されている。
【0014】
本発明の組成物
上で一般的に議論したように、本発明の組成物は、一般的にウレタン結合、ウレア結合、またはウレア結合とウレタン結合との組合せを含むポリマーアロイを主成分とするものである。例えば、本発明の組成物は、芳香族または脂肪族ウレタンまたはウレアセグメントを含む。更に、多くのシリコーンが、低い硬さおよび低いモジュラスの値を有し、従ってシリコーンのポリウレタンまたはポリウレア組成物への配合は、追加の柔軟性をもたらす。該シリコーンは、該ポリマーの骨格と共におよび/または共有結合で結合した末端基またはグラフトとして存在し得る。シリコーンで変性したウレタンまたはウレアは、更に耐衝撃性ポリマーによって変性される。
本発明の組成物を製造するのに使用する各成分を、以下においてさらに詳細に議論する。更に、該組成物を製造するための様々な方法を与える。
【0015】
イソシアネート-ドナー成分
2またはそれ以上、例えば2〜4個のイソシアネート基を持ち、有機基に結合したあらゆるイソシアネートを、本発明のプレポリマーの製造のために使用することができる。本発明において使用するのに適したイソシアネートの一般式は、以下の通りである:
R-(NCO)x
ここでRは、原子価xを持つ任意の有機基である。一態様において、Rは、直鎖または分岐鎖の炭化水素部分、非-環式基、環式基、ヘテロ環式基、芳香族基、フェニル基、ヒドロカルビレン(hydrocarbylene)基、またはこれらの混合物である。例えば、Rは、約6〜約25個の、好ましくは約6〜約12個の炭素原子を持つヒドロカルビレン基であり得る。もう一つの態様において、Rは、置換されたまたは置換されていない基である。例えば、幾つかの場合において、該環式または芳香族基は、2-、3-および/または4-位において、あるいはo-、m-および/またはp-位において、夫々置換されていてもよい。置換基は、ハロゲン原子、一級、二級または三級炭化水素基、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0016】
本特許出願の目的にとって、本発明の組成物の光安定性は、様々な方法で、即ち飽和成分、光安定化剤、白色体質顔料、またはこれらの混合物の使用を通して達成できるので、該プレポリマーにおいて使用するイソシアネートは、飽和、半-飽和、不飽和またはこれらの混合物であり得る。例えば、本発明において使用するイソシアネートは、脂肪族(飽和)、環状脂肪族、芳香族脂肪族(半-飽和)、芳香族(不飽和)、これらの任意の誘導体、および一分子当たり2またはそれ以上のイソシアネート基(NCO)を持つこれら化合物の組合せを含む。ここで使用する用語「飽和」とは、飽和脂肪族および脂環式ポリマー骨格、即ち炭素-炭素二重結合を持たないポリマーを含む組成物を意味する。ここで使用するような、芳香族脂肪族化合物は、芳香族リングを含む化合物であって、該イソシアネート基が、該リングとは直接結合していないものとして理解すべきである。芳香族脂肪族化合物の一例は、テトラメチレンジイソシアネート(TMXDI)である。
該イソシアネートは、有機ポリイソシアネート末端を持つプレポリマー、低遊離イソシアネートプレポリマー、およびこれらの混合物であり得る。該イソシアネート-含有反応性成分は、また任意のイソシアネート官能性モノマー、ダイマー、トリマー、またはこれらのポリマーアダクト、プレポリマー、擬似プレポリマー、またはこれらの混合物を含むことができる。一態様において、トリイソシアネートは、最終的に上記硬化剤によって3-次元架橋をもたらす、プレポリマーを生成するのに使用される。
【0017】
本発明で使用することのできるイソシアネートの例は、2,2'-、2,4'-、および4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート(TODI);トルエンジイソシアネート(TDI)、例えば2,4-トルエンジイソシアネートおよび2,6-トルエンジイソシアネート;ジアニシジンジイソシアネート;ビトリレンジイソシアネート;ナフタレン-1,4-ジイソシアネート;ポリマー状のMDI;カルボジイミド-変性液状4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート;p-フェニレンジイソシアネート(PPDI);m-フェニレンジイソシアネート(MPDI);トリフェニルメタン-4,4'-およびトリフェニルメタン-4,4”-トリイソシアネート;ナフチレン-1,5-ジイソシアネート;2,4'-、4,4'-、および2,2-ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)(ポリマー状のPMDIとしても知られている);MDIとPMDIとの混合物;PMDIとTDIとの混合物;エチレンジイソシアネート;プロピレン-1,2-ジイソシアネート;テトラメチレン-1,2-ジイソシアネート;テトラメチレン-1,3-ジイソシアネート;テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン-1,12-ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート;1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン;イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;2,4'-ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;1,2-、1,3-、および1,4-フェニレンジイソシアネート;2,4,6-トルエントリイソシアネート;任意のポリイソシアネートの三量体化イソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチルキシレンジイソシアネートのトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびこれらの混合物;任意のポリイソシアネートの二量体化ウレトジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、およびこれらの混合物;上記イソシアネートおよびポリイソシアネートから誘導された変性ポリイソシアネート;およびこれらの混合物を包含する、置換および異性化混合物を含むが、これらに限定されない。
【0018】
適当な飽和イソシアネートは、エチレンジイソシアネート;プロピレン-1,2-ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン-1,12-ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート;1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート);イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;2,4'-ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;アセトン-アミノトリメチルシクロヘキサンメタンアミン;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0019】
芳香族脂肪族イソシアネートは、光安定性物質を製造するのに使用することも可能である。このようなイソシアネートの例は、1,2-、1,3-、および1,4-キシレンジイソシアネート;m-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI);p-テトラメチルキシレンジイソシアネート(p-TMXDI);4,4'-ジフェニルプロパンジイソシアネート;ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン;ビス(3-メチル-4-イソシアナトフェニル)メタン;任意のポリイソシアネートの三量体化イソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチルキシレンジイソシアネートのトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびこれらの混合物;任意のポリイソシアネートの二量体化ウレトジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、およびこれらの混合物;上記イソシアネートおよびポリイソシアネートから誘導された変性ポリイソシアネート;およびこれらの混合物を包含する。
【0020】
イソシアネート-反応性成分
以下においてより詳しく論じられるように、アミノ-末端および/またはヒドロキシル-末端を持つ成分を使用して、該イソシアネートにおけるNCO基と、少なくとも部分的に反応させて、ウレア結合、ウレタン結合、またはこれらの組合せを生成することができる。例えば、アミノ-末端を持つ成分とイソシアネートとの間の反応は、ウレア結合を形成し、一方でヒドロキシル-末端を持つ成分とイソシアネートとの間の反応は、ウレタン結合を生成する。
アミノ-末端を持つ成分
当業者が入手できる任意のアミノ-末端を持つ成分が、該イソシアネート-反応性成分として使用するのに適している。このアミノ-末端を持つ成分は、アミノ-末端を持つ炭化水素、アミノ-末端を持つポリエーテル、アミノ-末端を持つポリエステル、アミノ-末端を持つポリカーボネート、アミノ-末端を持つポリカプロラクトン、およびこれらの混合物を含むことができる。該アミノ-末端を持つ成分は、第一アミン(NH2)または第二アミン(NHR)の状態であり得る。該アミノ-末端を持つ成分は、飽和または不飽和状態のものであり得る。一態様において、該アミノ-末端は飽和状態であり得る。
【0021】
本発明において使用する該アミノ-末端を持つ成分の分子量は、約100〜約10,000なる範囲内であり得る。一態様において、該アミノ-末端を持つ成分の分子量は、約500以上、好ましくは約1,000以上、またより一層好ましくは約2,000以上である。もう一つの態様において、該アミノ-末端を持つ成分の分子量は、約8,000以下、好ましくは約4,000以下、およびより好ましくは約3,000以下である。例えば、一態様において、該アミノ-末端を持つ成分の分子量は、約1,000〜約4,000なる範囲内にある。低分子量のポリエーテルアミンは、その高い反応性のために、固体ポリウレアを生成する傾向を持つ可能性があるので、より高い分子量のオリゴマーを、固体の生成を回避するために、使用することができる。
一態様において、該アミノ-末端を持つ化合物は、以下の一般的な構造を有する、アミノ-末端を持つ炭化水素を包含する:
H2N-[CnH2n]x-NH2; H2N-[CnH2n]x-NHR;またはRHN-[CnH2n]x-NHR
ここで、xは、鎖長であり、即ち1以上であり、nは好ましくは約1〜約12なる範囲にあり、またRは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含む任意のアルキル基、フェニル基、環式基、またはこれらの混合物である。
【0022】
該アミノ-末端を持つ化合物は、また以下の一般的な構造を有する、アミノ-末端を持つポリエーテルをも含む:
H2N-[CnH2nO]x-CnH2n-NH2; H2N-[CnH2nO]x-CnH2n-NHR;またはRHN-[CnH2nO]x-CnH2n-NHR
ここで、xは、鎖長であり、即ち1以上であり、nは好ましくは約1〜約12なる範囲にあり、またRは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含む任意のアルキル基、フェニル基、環式基、またはこれらの混合物である。アミノ-末端を持つポリエーテルの一例は、ポリエーテルアミンである。しかし、イソシアネートとアミンとの迅速な反応および多くのウレア生成物の不溶性のために、ジアミンおよびポリエーテルの選択は、ポリウレアプレポリマーを首尾よく生成し得るものに制限されてしまう。一態様において、該ポリエーテル骨格は、テトラメチレン、プロピレン、エチレン、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびこれらの混合物を基本とするものである。
【0023】
適当なポリエーテルアミンは、メチルジエタノールアミン;ポリオキシアルキレンジアミン、例えばポリテトラメチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン、およびポリオキシプロピレンジアミン;ポリ(エチレンオキシドキャップオキシプロピレン)エーテルジアミン;プロピレンオキシドを基本とするトリアミン;トリエチレングリコールジアミン;トリメチロールプロパンを基本とするトリアミン;グリセリンを基本とするトリアミン;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。一態様において、該プレポリマーの製造において使用する、該ポリエーテルアミンは、テキサス州、オースチンの、ハンツマン社(Huntsman Corporation)により製造されている、ジェファミン(JeffamineTM) D2000である。
更に、該アミノ-末端を持つ成分は、以下の一般的な構造を有する、アミノ-末端を持つポリエステルをも含む:
H2N-[R1CO2R2CO2]x-R1-NH2;H2N-[R1CO2R2CO2]x-R1-NHR;またはRHN-[R1CO2R2CO2]x-R1-NHR
ここで、xは、鎖長であり、即ち1以上、好ましくは約1〜約20なる範囲内であり、Rは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含む任意のアルキル基、フェニル基、環式基、またはこれらの混合物であり、R1およびR2は、直鎖または分岐した炭化水素鎖、例えばアルキルまたはアリール鎖である。
【0024】
ポリカプロラクトンおよびポリアミンのコポリマーも、本発明の該イソシアネート反応性成分として使用することができる。これらコポリマーは、ビス(2-アミノエチル)エーテルで開始されるポリカプロラクトン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、ポリオキシエチレンジアミンで開始されるポリカプロラクトン、プロピレンジアミンで開始されるポリカプロラクトン、ポリオキシプロピレンジアミンで開始されるポリカプロラクトン、1,4-ブタンジアミンで開始されるポリカプロラクトン、トリメチロールプロパンを主成分とするトリアミンで開始されるポリカプロラクトン、ネオペンチルジアミンで開始されるポリカプロラクトン、ヘキサンジアミンで開始されるポリカプロラクトン、ポリテトラメチレンエーテルジアミンで開始されるポリカプロラクトン、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。更に、以下の構造を有するポリカプロラクトンポリアミンを、本発明に従って使用することも可能である:
【0025】
【化3】

【0026】
ここで、xは、鎖長であり、即ち1またはそれ以上、好ましくは約1〜約20なる範囲にあり、Rは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基、または環式基の一種であり、またR1は、約1〜約20個の炭素原子を含む、直鎖または分岐した炭化水素鎖である。
【0027】
【化4】

【0028】
ここで、xは、鎖長であり、即ち1またはそれ以上、好ましくは約1〜約20なる範囲にあり、Rは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基、または環式基の一種であり、またR1は、約1〜約20個の炭素原子を含む、直鎖または分岐した炭化水素鎖である。
もう一つの態様において、該アミノ-末端を持つ成分は、以下の一般式の一つで表される、アミノ-末端を持つポリカーボネートであり得る:
【0029】
【化5】

【0030】
ここで、xは、鎖長であり、これは好ましくは約1〜約20なる範囲内にあり、Rは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基、または環式基の一種であり、またR1は、線状炭化水素鎖または有利にはビスフェノールA単位またはその誘導体である。
アミノ-末端を持つポリアミンも、イソシアネート成分と反応させて、ウレア結合を生成することができる。適当なアミノ-末端を持つポリアミンは、以下のような構造を持つものを含むが、これらに限定されない:
【0031】
【化6】

【0032】
ここで、xは、鎖長であり、即ち1またはそれ以上であり、Rは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基、または環式基の一種であり、R1は、約1〜約12個の炭素原子を含む、アルキル基、フェニル基、または環式基であり、またR2は、約1〜約12個の炭素原子を含むアルキル基(直鎖または分岐した)、フェニル基、または環式基である。
追加のアミノ-末端を持つ化合物も、本発明の該プレポリマーの製造において有用であり、その例はポリ(アクリロニトリル-co-ブタジエン);液状またはワックス状固体形状にある、ポリ(1,4-ブタンジオール)ビス(4-アミノベンゾエート);直鎖または分岐したポリエチレンイミン;約500〜約30,000なる範囲の平均分子量を持つ、低および高分子量ポリエチレンイミン;約200〜約5,000なる範囲の平均分子量を持つ、ポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル);約200〜約2,000なる範囲の平均分子量を持つ、ポリテトラヒドロフランビス(3-アミノプロピル)末端を持つもの;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。これら全ては、ウイスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチ(Aldrich)社から入手できる。従って、一態様において、本発明のプレポリマーは、以下の構造式の一つで表される、ポリ(アクリロニトリル-co-ブタジエン)を含む:
【0033】
【化7】

【0034】
ここで、xおよびyは、鎖長であり、即ち約1よりも大きく、Rは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含む任意のアルキル基、フェニル基、環式基、またはこれらの混合物であり、R1は水素原子、メチル基、シアノ基、フェニル基、またはこれらの混合物であり、またR2は水素原子、メチル基、塩素原子、またはこれらの混合物である。一態様において、比:y:xは、約82:18〜約90:10なる範囲にある。換言すれば、該ポリ(アクリロニトリル-co-ブタジエン)は、質量基準で、約10〜約18%のアクリロニトリルを含むことができる。
もう一つの態様において、該プレポリマーは、以下の構造式の一つで表される、ポリ(1,4-ブタンジオール)ビス(4-アミノベンゾエート)を含む:
【0035】
【化8】

【0036】
ここで、xおよびnは、鎖長であり、即ち1またはそれ以上であり、またnは、好ましくは約1〜約12なる範囲にあり、RおよびR1は、直鎖または分岐した炭化水素鎖、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基、環式基、またはこれらの混合物であり、またR2は水素原子、メチル基、またはこれらの混合物である。一態様において、R1はフェニル基であり、R2は水素原子であり、かつnは約2である。
更に別の態様では、該プレポリマーは、以下の構造式の一つで表される、直鎖または分岐したポリエチレンイミンの少なくとも1種を含む:
【0037】
【化9】

【0038】
【化10】

【0039】
ここで、xおよびyは、鎖長であり、即ち約1よりも大きく、Rは、約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含む任意のアルキル基、フェニル基、環式基、またはこれらの混合物であり、またR1は、水素原子、メチル基、またはこれらの混合物である。一態様において、R1は水素原子である。もう一つの態様において、該ポリウレアプレポリマーは、直鎖または分岐したポリエチレンイミンの混合物を含む。
更に別の態様において、本発明の該プレポリマーは、以下の構造式の一つで表される、ポリテトラヒドロフランビス(3-アミノプロピル)末端を持つ化合物を包含する:
【0040】
【化11】

【0041】
ここで、mおよびnは、鎖長であり、即ち1またはそれ以上であり、nは、好ましくは約1〜約12なる範囲にあり、mは好ましくは約1〜約6なる範囲にあり、Rは約1〜約20個、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を含む任意のアルキル基、フェニル基、環式基、またはこれらの混合物の何れか一つであり、またR1およびR2は、水素原子、メチル基、またはこれらの混合物である。一態様において、R1およびR2は、両者共に水素原子であり、またmおよびn両者は、約2である。
【0042】
更に、ジアミンおよびトリアミンを、該イソシアネートと共に使用して、本発明のプレポリマーを製造することが可能である。一態様において、UV安定剤または白色体質顔料を、後処理工程中に配合しようとする場合には、芳香族ジアミンを使用することも可能である。米国特許第5,484,870号は、本発明で使用するのに適した、適当な芳香族ジアミンを与えている。この特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる。例えば、有用な芳香族ポリアミンは、ポリメチレン-ジ-p-アミノベンゾエート、ポリエチレングリコール-ビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール-ジ-p-アミノベンゾエート、ポリプロピレングリコール-ジ-p-アミノベンゾエート、およびこれらの混合物を含む。更に、本発明のプレポリマーの製造において使用することのできるトリアミンは、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、1,4-ジアゾビシクロ(2,2,2)-オクタン、N-メチル-N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、ビス-(N,N-ジエチルアミノエチル)-アジペート、N,N-ジエチルベンジルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-β-フェニルエチルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、および2-メチルイミダゾールを包含する。
疎水性セグメントを主成分とするアミノ-末端を持つ成分を使用することによって、本発明の組成物は、アミノ-末端を持つ親水性セグメントによって形成した組成物よりも、耐水性がより高いものとなり得る。従って、一態様において、該アミノ-末端を持つ化合物は、疎水性骨格、例えば不飽和または飽和炭化水素を主成分とする、アミノ-末端を持つ化合物を含む。アミノ-末端を持つ炭化水素の一例は、アミノ-末端を持つポリブタジエンである。
【0043】
適当なアミノ-末端を持つ化合物の他の非-限定例は、同時-継続中の、2004年7月28日付で出願された米国特許出願第10/900,469号に記載されている。この特許出願の全開示事項を、参考としてここに組入れる。その例は、トリエチレングリコールジアミン;N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン(ジェフリンク(JefflinkTM) 754として、市場から入手できる);ポリオキシアルキレンアミン、例えばポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、およびポリオキシプロピレントリアミン;1,2-、1,3-または1,4-ビス(sec-ブチルアミノ)ベンゼン(ユニリンク(UnilinkTM) 4100として、市場から入手できる);4,4'-ビス(sec-ブチルアミノ)-ジフェニルメタン(ユニリンク(UnilinkTM) 4200として、市場から入手できる);トリメチレングリコール-ジ(p-アミノベンゾエート);トリメチレングリコール-ジ(o-アミノベンゾエート);トリメチレングリコール-ジ(m-アミノベンゾエート);ポリエチレングリコール-ジ(p-アミノベンゾエート);ポリエチレングリコール-ジ(o-アミノベンゾエート);ポリエチレングリコール-ジ(m-アミノベンゾエート);ポリテトラメチレングリコール-ジ(p-アミノベンゾエート);ポリテトラメチレングリコール-ジ(o-アミノベンゾエート);ポリテトラメチレングリコール-ジ(m-アミノベンゾエート);ポリアスパルチックアミン、例えばN,N'-ジエチルマレエート-2-メチル-ペンタメチレンジアミン(デスモフェン(DesmophenTM) NH-1220)として、市場から入手できる)、N,N'-ジエチルマレエートアミノ-ジシクロヘキシルメタン(デスモフェン(DesmophenTM) NH-1420)として、市場から入手できる)、N,N'-ジエチルマレエートアミノ-ジメチルジシクロヘキシルメタン(デスモフェン(DesmophenTM) NH-1520)として、市場から入手できる);芳香族ジアミン、例えば3,5-ジエチル-2,4-トルエンジアミンおよび3,5-ジエチル-2,6-トルエンジアミン(エタキュア(EthacureTM) 100として市場から入手できる)および3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミンおよび3,5-ジメチルチオ-2,6-トルエンジアミン(エタキュア(EthacureTM) 300として市場から入手できる);4,4'-ビス(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン(クリアリンク(ClearlinkTM) 1000として、市場から入手できる)およびそのモノマー;3,3'-ジメチル-4,4'-ビス(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン(クリアリンク(ClearlinkTM) 3000として、市場から入手できる)およびそのモノマー;4,4'-メチレン-ビス(2-クロロアニリン);ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;メチレンジアニリン;m-フェニレンジアミン;ジエチルトルエンジアミン;ジメチルジサイカン(dicykan);およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0044】
ヒドロキシ-末端を持つ成分
ヒドロキシ-末端を持つ成分も、本発明の該イソシアネート-反応性成分として使用するのに適したものである。適当なヒドロキシ-末端を持つ成分は、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素ポリオール、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。該ヒドロキシ-末端を持つ成分は、芳香族または脂肪族(飽和)であり得る。しかし、該ヒドロキシ-末端を持つ成分が、飽和でない場合には、該硬化された組成物は、好ましくは光安定剤を含む。
本発明において使用するための、適当なポリエーテルポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG);ポリテトラメチレンエーテルグリコールと2-メチル-1,4-ブタンジオールとのコポリマー(PTG-L);ポリ(オキシエチレン)グリコール;ポリ(オキシプロピレン)グリコール;エチレンオキシドキャップ(ポリオキシプロピレン)グリコール;ポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)グリコール;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0045】
適当なポリカプロラクトンポリオールは、ジエチレングリコールで開始したポリカプロラクトン;プロピレングリコールで開始したポリカプロラクトン;1,4-ブタンジオールで開始したポリカプロラクトン;トリメチロールプロパンで開始したポリカプロラクトン;ネオペンチルグリコールで開始したポリカプロラクトン;1,6-ヘキサンジオールで開始したポリカプロラクトン;ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG) で開始したポリカプロラクトン;エチレングリコールで開始したポリカプロラクトン;ジプロピレングリコールで開始したポリカプロラクトン;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
適当なポリエステルポリオールは、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンブチレンアジペートグリコール;ポリヘキサメチレンアジペートグリコール;ポリヘキサメチレンブチレンアジペートグリコール;o-フタレート-1,6-ヘキサンジオールポリエステルポリオール;ポリエチレンテレフタレートポリエステルポリオール;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0046】
本発明と共に使用できるポリカーボネートポリオールは、ポリ(フタレートカーボネート)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコール、ビスフェノールAを含むポリカーボネートポリオール、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
炭化水素ポリオールは、ヒドロキシ-末端を持つ液状イソプレンゴム(LIR)、ヒドロキシ-末端を持つポリブタジエンポリオール、ヒドロキシ-末端を持つポリオレフィンポリオール、ヒドロキシ-末端を持つ炭化水素ポリオール、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
本発明に従って使用できる他のポリオールは、グリセロール;ヒマシ油およびその誘導体;ポリテール(Polytail) H;ポリマーリテールHA;クラトン(Kraton)ポリオール;アクリル系ポリオール;カルボン酸、スルホン酸または燐酸根を基本とする、酸官能化されたポリオール;飽和二量体化脂肪酸から転化された、ダイマーアルコール;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
疎水性骨格を基本とするポリオールを用いることにより、本発明のポリウレタン組成物は、疎水性骨格のないポリオールを含む、ポリウレタン組成物よりも高い耐水性を持つことができる。疎水性骨格を基本とするポリオールの幾つかの非-限定例は、炭化水素ポリオール、ヒドロキシ-末端を持つポリブタジエンポリオール、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、およびポリエステルを含む。
【0047】
シリコーン-含有成分
シリコーンを含有する成分も、本発明によるイソシアネート-反応性成分として使用することを意図する。ここで言うシリコーンなる用語は、合成ポリマーおよび:(RnSiO(4-n)/2))m (ここで、nは1〜3であり、またmは2以上である)を表す。シリコーンは、繰返しSi-O骨格を含み、またSi-C結合によって、かなりの割合の該珪素原子に結合した有機基Rを持つ。市販品として入手できるシリコーンにおいて、殆どのRは、メチル、より長いアルキル、フルオロアルキル、フェニル、およびビニル基であるが、Rはまた水素、塩素、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、またはこれらの組合せであってもよい。一般に縮合型の反応により生成される、シリコーンホモポリマー、シリコーンランダムコポリマー、およびシリコーン-有機(ブロック)コポリマーは、本発明での使用を意図している。事実、適当なシリコーンは、直鎖、分岐、および架橋された構造を含むことができる。
該シリコーン-含有成分は、また少なくとも一つのイソシアネート基と反応するための、少なくとも一つの官能基、即ちアミノまたはヒドロキシル基を含むか、あるいは別法では、該イソシアネート-ドナー成分と反応する前に、アミノまたはヒドロキシル基と反応するためのエポキシ基を含む。当業者は、予め含まれていない場合に、所定の官能性をシリコーン成分に付加するための様々な方法を理解するであろう。
1以上のシリコーン単位、即ち:
【0048】
【化12】

【0049】
が、該シリコーン-含有成分中に存在し得る。一態様において、該シリコーン単位は、一般に以下の式で表されるポリシロキサン単位である:
【0050】
【化13】

【0051】
ここで、各Rは、独立に水素原子、無置換または置換アルキル、無置換または置換シクロアルキル、無置換または置換アリール、無置換または置換へテロアリール、無置換または置換アルコキシ、アルキルエステル、アミド、アミノ、シアノ、チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アルデヒド、またはアルキルカルボニルである。
ここで使用する用語「置換または無置換アルキル」とは、任意の置換または無置換の非-環式炭素-含有基を意味する。アルキル基の例は、低級アルキル基、即ちC1-C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびイソプロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル等を含む、これらの異性体);高級アルキル基、即ち7個以上の炭素原子を含むアルキル基(例えば、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等);アルケニル(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノルボルネニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル等);およびアルキニル(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノルボルニニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル等)を包含する。当業者は、本発明の範囲内の直鎖および分岐アルキル基の様々な構成については馴染みがあるであろう。
【0052】
ここで使用する用語「置換(された)」とは、1またはそれ以上の水素原子が、官能基によって置換されている、様々な置換基をも含む基(例えば、1またはそれ以上の官能基を持つ、置換されたアルキル基)、または上で定義した如きアルキル基を意味する。官能基は、ヒドロキシル、アミノ(例えば、R1R2N、ここでR1およびR2は各々独立に、水素原子、アルキル、アリールまたはシクロアルキル基である)、アルコキシ、カルボニル(例えば、エステル、酸、およびその金属誘導体)、スルホキシジル、スルホニル、スルホノイル、アミド、ホスフェート、チオール、シアノ、ニトロ、シリル基およびハロゲン原子(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)を含むが、これらに限定されない。
ここで使用する「シクロアルキル」とは、環式炭素-含有基であり、一つのリング(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル)、または単一の炭素原子において融合した、2以上のリング(スピロリング、例えばシクロペンタンスピロシクロブタン、シクロヘキサンスピロシクロペンタン)または2以上の炭素原子において融合したリング(例えば、アダマンチル、cis-またはtrans-デカリン)等を含むことができる、環状C3-C20基を含むが、これらに限定されない。このようなシクロアルキル基は、また様々な置換基を含むことができ、該置換基の1またはそれ以上の水素原子は、官能基によって置換されている。このような官能基は、上記のもの、および1-28個の炭素原子を持つアルキル基を含む。本発明の環式基は、更に1またはそれ以上のヘテロ原子、例えばO、SまたはNを含むことができる。更に、このようなシクロアルキル基は、1またはそれ以上の二重または三重結合を含むことができ、例えばシクロヘキセニルまたはシクロヘキシニル基であり得、また1またはそれ以上の二重結合を含む非-芳香族シクロアルキル基を含み、例えばシクロプロパジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘプタジエニル等であり得る。
【0053】
ここで使用する「アリール」基とは、共役二重結合系を含む、典型的には4n+2Π(パイ)リング系電子を含む炭化水素リングを含有する、任意の官能基を意味し、ここでnは整数である。このようなアリール基は、置換または無置換の、C6-C24アヌレン、例えばフェニル、アニシル、トルイル、アニリニル、アセトフェノニル、ハロベンジル(例えば、フルオロベンジル、クロロベンジル、ブロモベンジル、1,2-、1,3-および1,4-ハロベンジル)、キシレニル等;多環式ベンゼノイド系芳香族炭化水素、例えばナフチル、アンスラシル、フェナンスラニル、ピレニル等;および非-ベンゼノイド系芳香族炭化水素、例えばアズレニルを包含する。本発明によれば、アリール基は、また1またはそれ以上のO、SまたはN等のヘテロ原子を含む、ヘテロアリールまたはヘテロ環式基、例えばピリミジンまたはチオフェン、ピリジン、ピロール、フラン、およびプリンをも含む。これらアリール基は、また任意数の様々な官能基で置換されていてもよい。
例えば、適当なシリコーン-含有成分は、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチル-ジシロキサン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ポリ(スチレン-ジメチルシロキサン)ジ-ブロックポリマー(PS-PDMS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。PDMSは、以下に示す一般的な構造を持つ:
【0054】
【化14】

【0055】
ここでxは1以上である。一態様において、該シリコーン-含有成分は、トリメチルシロキシ-末端を持つポリジメチルシロキサンを含み、これはシラノール、ビニル、または水素化物の、様々な末端基を持つことができ、また該成分は、該珪素原子上のメチル基の、水素原子、アルキル、フェニル、または有機官能基による置換によって変性することも可能である。
本発明で使用するのに適した、ヒドロキシル末端基を持つシリコーン-含有成分の更なる例は、以下の構造式I(a)で示される:
【0056】
【化15】

【0057】
ここで、xは約1〜約10なる範囲、好ましくは約1〜約5なる範囲、およびより好ましくは1に等しく、yは約10〜約200なる範囲、好ましくは約10〜約50なる範囲、およびより好ましくは15に等しく、またzは、約1〜約2なる範囲、および好ましくは1に等しい。
更に、該シリコーン単位は、一般的には「エポキシ」官能性とも呼ばれる、オキシラン官能性を持つ成分中に組込むことができる。当業者には公知である如く、該オキシラン官能性は、以下の構造を含む、任意の適当な化合物から得ることができる:
【0058】
【化16】

【0059】
本発明による適当なオキシラン官能性樹脂は、グリシドール、例えばグリシジルエーテルおよびグリシジルエステル、環式脂肪族エポキシ樹脂、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。例えば、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、2,2-ビス[4-(2',3'-エポキシプロピル)フェニル]プロパン)、クレジルジグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル;グリシジルグリシデート;2,3-エポキシブチル-3,4-エポキシペンタノエート;3,4-エポキシ-3,4-エポキシヘキシル;3,4-エポキシペンタノエート;ジグリシジルアジペート;ジグリシジルイソフタレート;ジ-(2,3-エポキシブチル)アジペート;ジ-(2,3-エポキシブチル)オキサレート;ジ-(2,3-エポキシヘキシル)サクシネート;ジ-(3,4-エポキシブチル)マレエート;ジ-(2,3-エポキシオクチル)ピメレート;ジ-(2,3-エポキシブチル)フタレート;ジ-(2,3-エポキシオクチル)テトラヒドロフタレート;ジ-(4,5-エポキシドデシル)マレエート;ジ-(2,3-エポキシブチル)テレフタレート;ジ-(2,3-エポキシペンチル)チオジプロピオネート;ジ-(5,6-エポキシテトラデシル)ジフェニルジカルボキシレート;ジ-(3,4-エポキシブチル)スルホニルジブチレート;ジ-(5,6-エポキシペンタデシル)マレエート;ジ-(2,3-エポキシブチル)アゼレート;ジ-(3,4-エポキシブチル)シトレート;ジ-(5,6-エポキシオクチル)シクロヘキサン-1,3-ジカルボキシレート;ジ-(4,5-エポキシオクタデシル)マロネート;トリ-(2,3-エポキシブチル)-1,2,4-ブタントリカルボキシレート;ポリエチレン性不飽和ポリカルボン酸のエポキシ化誘導体;不飽和多価アルコールおよび/または不飽和ポリカルボン酸または無水物群との反応生成物である、エポキシ化ポリエステル;エポキシ化ポリエチレン性不飽和炭化水素;ノボラック樹脂のグリシジルエーテル;およびこれらの混合物を、本発明による該オキシラン官能性物質として使用することを意図している。
特に、該オキシラン官能性は、シリコーン成分と、上で論じたものを包含する、任意のオキシラン官能性成分との反応により達成できる。例えば、本発明によるエポキシ-シリコーンプリカーサは、化学量論的に過剰量のエポキシドと、一般に上記I(a)で表されるシロキサンとを反応させることにより製造できる。得られる構造の非-限定例は、以下の構造式I(b)で示される:
【0060】
【化17】

【0061】
ここで、xは約1〜約10なる範囲、好ましくは約1〜約5なる範囲、およびより好ましくは1に等しく、yは約10〜約200なる範囲、好ましくは約10〜約50なる範囲、およびより好ましくは15に等しく、またzは、約1〜約2なる範囲、および好ましくは1に等しい。当業者は認識するように、上記構造は、単なる本発明で使用するのに有力なプリカーサの代表例に過ぎない。該プリカーサは、様々なオキシラン官能性樹脂とシロキサンとから選択することができる遺贈できる。市販品として入手できるエポキシ-シリコーンプリカーサの例は、OSIスペシャルティーズ(Specialties)から入手できる2810およびワッカーケミカルズ社(Wacker Chemicals Corporation)から入手できるSIKRESTM HP1000を含む。
一旦、エポキシ-シリコーンプリカーサを生成すれば、該エポキシリングを、アミノ-末端を持つ成分と反応させて、アルコールおよびアミンを形成することができる。アミノ-末端を持つ成分とエポキシ官能性を持つプリカーサとの、一般的な反応式は、以下に示す通りである:
【0062】
【化18】

【0063】
ここで、Rは、炭化水素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、またはこれらの組合せであり得る。本発明の目的にとって、この型のイソシアネート-反応性成分を、ここではアミンアダクトと呼ぶ。
更に、任意のヒドロキシル-末端を持つシリコーン-含有成分は、触媒の存在下で、ヒドロキシル-末端を持つ成分と反応して、エーテル結合を生成することができる。本発明の目的にとって、この型のイソシアネート-反応性成分を、ここではエーテルアダクトと呼ぶ。特に、ヒドロキシル-末端を持つシリコーン-含有成分は、酸触媒の存在下で、ヒドロキシル-末端を持つ成分と反応することができ、この反応はエーテルリングを開環して、アルコールを生成し、結果として適当なイソシアネート-含有成分と反応することができる。
典型的には、該シリコーン-含有成分の含有率は、全コポリマーまたはブロックコポリマーの質量を基準として、約1〜約95質量%なる範囲、好ましくは約5〜約50質量%なる範囲、より好ましくは約10〜約40質量%なる範囲、および最も好ましくは約15〜約30質量%なる範囲にある。ここに掲載する全ての範囲の値は互換性があり、新たな範囲を形成することを可能とする。例えば、本発明は、また約1〜約30質量%なる範囲、約5〜約15質量%なる範囲、および約40〜約95質量%なる範囲の、シリコーン-含有成分の含有率を含む。
【0064】
耐衝撃性ポリマーおよびオリゴマー
上で簡単に論じたように、また以下においてより詳しく議論する如く、本発明の該シリコーン-変性ウレタンおよびウレアを、耐衝撃性ポリマーによって更に変性して、ポリマーアロイを製造する。本発明で使用するのに適した耐衝撃性ポリマーは、エチレン-n-ブチルアクリレート/グリシジルアクリレート、エチレン-n-ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート、マレイン酸無水物でグラフトした、エチレン/ブテンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトした、エチレン/ヘキセンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトした、エチレン/オクテンコポリマー、メタロセンを基本とするエチレン/ブテン/マレイン酸無水物、スチレン/エチレン/ブテン/マレイン酸無水物、エチレン-n-ブチルアクリレート/一酸化炭素、酸性コポリマー、化学的に変性されたエチレン/プロピレンゴム、EPDM(即ち、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー)ゴム、ABS(即ち、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、MBS(即ち、メタクリレート/ブタジエン/スチレン)、HIPS(即ち、高耐衝撃性ポリスチレン)、エチレン/酢酸ビニル/マレイン酸無水物、ASA(即ち、アクリレート/スチレン/アクリロニトリル)、ポリフェニレンおよびポリスチレンエーテル、ポリエーテル/スチレン/マレイン酸無水物、α-メチルスチレン/スチレン、およびこれらのブレンドを含むが、これらに限定されない。
【0065】
本発明の組成物の製法
本発明の組成物は、様々な方法で製造することができる。例えば、変性したシリコーンウレタンまたはシリコーンウレアは、ワンショット法を利用して、あるいはプレポリマー法を利用する、多段合成によって製造することができる。本発明の組成物を製造するのに、何れの方法を利用することもできるが、該プレポリマー法は、化学反応の良好な制御性を与え、また結果として、生成する組成物に、より均一な特性を与えることができる。更に、本発明の組成物は、公知の押出法、射出成型法、反応射出成型法、圧縮成型法、注入成型法、またはこれらの組合せを含む、様々な周知法によって、製造することができる。
該ワンショット法は、該イソシアネート、該ヒドロキシル-末端を持つまたはアミノ-末端を持つ化合物(またはこれらの組合せ)、シリコーン-含有成分、および該耐衝撃性ポリマーを、一段階で反応させる。この方法の一変法は、該イソシアネート、該ヒドロキシル-末端を持つまたはアミノ-末端を持つ化合物(またはこれらの組合せ)、およびシリコーン-含有成分を一段階で反応させて、シリコーンウレタンまたはシリコーンウレアを製造し、次いで該シリコーンウレタンまたはシリコーンウレアを該耐衝撃性ポリマーと共に押出して、所定のポリマーアロイを生成する。
【0066】
これに対して、該プレポリマー技術は、該ヒドロキシル-末端を持つまたはアミノ-末端を持つ化合物(またはこれらの組合せ)と、該イソシアネートとの迅速な反応、およびこれに引き続く、該プレポリマーと本発明の該シリコーン-含有成分との間の反応を必要とする。あるいはまた、該シリコーン-含有成分は、アミノ-末端を持つ成分またはヒドロキシル-末端を持つ成分に配合し、該イソシアネートと反応させてプレポリマーを生成する前に、アミンアダクトまたはヒドロキシルアダクトを形成することができる。例えば、アミンアダクトまたはヒドロキシルアダクト(Y)、即ちアミノ-末端を持つシリコーン-含有成分またはヒドロキシル-末端を持つシリコーン-含有成分各々を、更に特定の化学量論的な比において、一般的に以下の反応式で示すように、イソシアネートと反応させる:
【0067】
【化19】

【0068】
ここで、R1は、任意の直鎖または分岐した炭化水素部分、非-環式基、環式基、ヘテロ環式基、芳香族基、フェニル基、ヒドロカルビレン基、またはこれらの混合物であり得、またnは、1〜50なる範囲にある。
本発明の組成物を如何なる型の方法で製造するかとは無関係に、イソシアネート対アミンまたはヒドロキシル基の、1:1なる化学量論比が、完全に硬化された組成物を与える。別法において、化学量論的に過剰量のイソシアネートが、該プレポリマーの生成後に存在する、即ちイソシアネート末端基が依然として存在する場合、次に該プレポリマーを、更に硬化剤と反応させるか、あるいは水分により硬化させる。本発明のこの局面において、追加の硬化剤を使用して、該シリコーン-含有成分との反応後に残されている、あらゆる過剰量のイソシアネート硬化させることができる。適当な硬化剤は、脂肪族、芳香族、または芳香-脂肪族アミノ-末端またはヒドロキシル-末端を持つ硬化剤またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0069】
例えば、アミン硬化剤を、あらゆる過剰量のイソシアネートを硬化するのに使用できる。該アミン硬化剤は、第一アミン、第二アミン、またはこれらの組合せであり得る。事実、この硬化は、ベンゼンリングまたは窒素原子(芳香族硬化剤の場合)上の、嵩高い基を置換し、あるいは少なくとも一つの第一アミノ結合、および少なくとも一つの第二アミノ結合または少なくとも一つの第三アミノ結合(または両者)を含めるように、変性することができる。本発明の変性された硬化剤を生成するのに使用できる、適当なアミノ-末端を持つ硬化剤は、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンおよびその誘導体;1,4-ビス(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4-シクロヘキサン-ビス(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス(メチルアミン)、異性体およびこれらの混合物;ジエチレングリコールビス(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレンジアミン;ジアミノシクロヘキサン、異性体、およびこれらの混合物;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピラミン;ジエチルアミノプロピラミン;イミド-ビス(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;4,4'-メチレン-ビス(2-クロロアニリン);3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン;3,5-ジメチルチオ-2,6-トルエンジアミン;3,5-ジエチルチオ-2,4-トルエンジアミン;3,5-ジエチルチオ-2,6-トルエンジアミン;4,4'-ビス(sec-ブチルアミノ)-ジフェニルメタンおよびその誘導体;1,4-ビス(sec-ブチルアミノ)-ベンゼン;1,2-ビス(sec-ブチルアミノ)-ベンゼン;N,N'−ジアルキルアミノ-ジフェニルメタン;トリメチレングリコール-ジ-p-アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート;4,4'-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチレンアニリン);4,4'-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン);m-フェニレンジアミン;p-フェニレンジアミン;N,N'−ジ-イソプロピル-イソホロンジアミン(ジェフリンク(JefflinkTM) 754としてハンツマン社から市販品として入手できる);ポリオキシプロピレンジアミン;プロピレンオキシドを主成分とするトリアミン;3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0070】
一態様において、本発明の変性された硬化剤は、最大限度の光安定性を付与するために、脂肪族アミン硬化剤に基くものである。従って、上記硬化剤のリストにおいて、本発明による変性に適した脂肪族アミノ-末端を持つ硬化剤は、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン;1,4-ビス(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ビス(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4-シクロヘキサン-ビス(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス(メチルアミン);ジエチレングリコールビス(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレンジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;ジプロピレントリアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピラミン;ジエチルアミノプロピラミン;イミド-ビス(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;トリイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;N,N'-ジイソプロピルイソホロンジアミンおよびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0071】
該変性されたアミノ-末端を持つ硬化剤の分子量は、好ましくは約64以上である。一態様において、該アミン-硬化剤の分子量は、約2,000以下である。もう一つの態様において、該アミノ-末端を持つ硬化剤は、約100〜約1,800なる範囲の分子量を持つ。更に別の態様では、該アミノ-末端を持つ硬化剤の分子量は、約150〜約1,700なる範囲内にある。
適当なヒドロキシル-末端を持つ硬化剤は、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2-メチル-1,3-プロパンジオール;2-メチル-1,4-ブタンジオール;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;1,4-ブタンジオール;2,3-ブタンジオール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール;トリメチロールプロパン;シクロヘキシルジメチロール;トリイソプロパノールアミン;N,N,N',N'-テトラ-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン;ジエチレングリコールビス(アミノプロピル)エーテル;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4-シクロヘキシルジメチロール;1,3-ビス-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3-ビス-{2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG);レゾルシノール-ジ(β-ヒドロキシエチル)エーテルおよびその誘導体;ヒドロキノン-ジ(β-ヒドロキシエチル)エーテルおよびその誘導体;1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3-ビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3-ビス-{2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;N,N-ビス(β-ヒドロキシプロピル)アニリン;2-プロパノール-1,1'-フェニルアミノビス;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0072】
該ヒドロキシル-末端を持つ硬化剤は、少なくとも約50なる分子量を持つことができる。一態様において、該ヒドロキシル-末端を持つ硬化剤の分子量は、約2,000以下である。更に別の態様では、該ヒドロキシル-末端を持つ硬化剤は、約250〜約3,900なる範囲の分子量を持つ。例えば、一態様において、該ヒドロキシル-末端を持つ硬化剤は、PTMEGであり、これは約250〜約3,900なる範囲の分子量を持つ。ここで使用する分子量なる用語は、絶対重量平均分子量であるものと理解すべきであり、また当業者によって理解されている通りである。
【0073】
該生成する組成物の剪断抵抗性を更に改善するために、三官能性硬化剤をも使用して、架橋性の改善を補助することも可能である。このような場合、トリオール、例えばトリメチロールプロパン、またはテトラオール、例えばN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを、本発明の改善された硬化剤に添加することができる。ポリウレタンおよびポリウレアエラストマーの架橋性を改善するための、有用なトリアミン硬化剤は、プロピレンオキシドを主成分とするトリアミン;トリメチロールプロパンを主成分とするトリアミン;グリセリンを主成分とするトリアミン;N,N-ビス{2-[(アミノカルボニル)アミノ]エチル}-ウレア;N,N',N"-トリス(2-アミノエチル)-メタントリアミン;N1-(5-アミノペンチル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;1,1,2-エタントリアミン;N,N',N"-トリス(3-アミノプロピル)-メタントリアミン;N1-(2-アミノエチル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;N1-(10-アミノデシル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;1,9,18-オクタデカントリアミン;4,10,16,22-テトラアザペンタコサン-1,13,25-トリアミン;N1-{3-[[4-[(3-アミノプロピル)アミノ]ブチル]アミノ]プロピル}-1,2,6-ヘキサントリアミン;ジ-9-オクタデセニル-(Z,Z)-1,2,3-プロパントリアミン;1,4,8-オクタントリアミン;1,5,9-ノナントリアミン;1,9,10-オクタデカントリアミン;1,4,7-ヘプタントリアミン;1,5,10-デカントリアミン;1,8,17-ヘプタデカントリアミン;1,2,4-ブタントリアミン;プロパントリアミン;1,3,5-ペンタントリアミン;N1-{3-[[4-[(3-アミノプロピル)アミノ]ブチル]アミノ]プロピル}-1,2,6-ヘキサントリアミン;N1-{4-[(3-アミノプロピル)アミノ]ブチル}-1,2,6-ヘキサントリアミン;2,5-ジメチル-1,4,7-ヘプタントリアミン;N1-(6-アミノヘキシル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;6-エチル-3,9-ジメチル-3,6,9-ウンデカントリアミン;1,5,11-ウンデカントリアミン;1,6,11-ウンデカントリアミン;N,N-ビス(アミノメチル)-メタンジアミン;N,N-ビス(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン;メタントリアミン;N1-(2-アミノエチル)-N2-(3-アミノプロピル)-1,2,5-ペンタントリアミン;N1-(2-アミノエチル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;2,6,11-トリメチル-2,6,11-ドデカントリアミン;1,1,3-プロパントリアミン;6-(アミノメチル)-1,4,9-ノナントリアミン;1,2,6-ヘキサントリアミン;N2-(2-アミノエチル)-1,1,2-エタントリアミン;1,3,6-ヘキサントリアミン;N,N-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン;3-(アミノメチル)-1,2,4-ブタントリアミン;1,1,1-エタントリアミン;N1,N1-ビス(2-アミノエチル)-1,2-プロパンジアミン;1,2,3-プロパントリアミン;2-メチル-1,2,3-プロパントリアミン;およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の組成物の製造に使用した方法とは無関係に、該組成物を製造するのに使用する成分の型は、該プレポリマーまたは任意の中間体または該硬化された組成物が、ポリウレア、ポリウレタン、またはこれらのハイブリッドであると考えられるか否かによって決まる。例えば、イソシアネート-ドナー成分対イソシアネート-反応性成分の化学量論比が、1:1であり、また該イソシアネート-反応性成分が、アミノ基のみを含む場合には、該組成物は、ウレア結合のみを含み、また本発明の目的にとっては、純粋なポリウレアであると考えることができる。他方、イソシアネート-ドナー成分対イソシアネート-反応性成分の化学量論比が、1:1であり、また該イソシアネート-反応性成分が、ヒドロキシル基のみを含む場合には、該組成物は、ウレタン結合のみを含み、また本発明の目的にとっては、純粋なポリウレタンであると考えることができる。
【0075】
あるいはまた、アミノ-末端を持つイソシアネート-反応性成分との反応後に、化学量論的に過剰量のイソシアネートが存在する場合には、該プレポリマーと反応すべき、イソシアネート-反応性成分上のあらゆる残留する官能基は、該組成物が、ウレア結合のみ、ウレタン結合のみ、またはこれらの組合せを含むか否かによってきまる。例えば、該プレポリマーが、イソシアネートと、アミノ-末端を持つシリコーン-含有成分との反応生成物であり、また化学量論的に過剰量のイソシアネートが存在する場合、ヒドロキシル-末端を持つ硬化剤との反応は、ウレアおよびウレタン結合両者を含む、ハイブリッドシリコーンポリウレア-ポリウレタン組成物を与える。あるいはまた、該プレポリマーが、イソシアネートと、ヒドロキシル-末端を持つ成分との反応生成物であり、また更にヒドロキシル-末端を持つシリコーン-含有成分と反応させた場合、該組成物はウレア結合を含まず、ウレタン結合のみを含むので、純粋なシリコーンポリウレタンが得られる。
従って、本発明の目的にとって、純粋なシリコーンウレア組成物は、以下の代表的なウレア結合のみを含有する:
【0076】
【化20】

【0077】
これに対して、純粋なシリコーンウレタン組成物は、以下の代表的なウレタン結合のみを含む:
【0078】
【化21】

【0079】
最後に、ハイブリッドシリコーンウレタン組成物またはウレア組成物は、ウレタンおよびウレア結合両者を含む:
【0080】
【化22】

【0081】
これら試薬は、該反応の進行を可能とする任意の適当な温度において、一緒にすることができる。例えば、該温度は、約0℃〜約82℃(約32°F〜約180°F)なる範囲であり得る。一態様において、該反応温度は、約24℃〜約77℃(約75°F〜約170°F)なる範囲内にある。もう一つの態様において、該反応は、約24℃〜約66℃(約75°F〜約150°F)なる範囲の温度にて起る。該耐衝撃性ポリマーは、該プレポリマー段階、または該プレポリマーの製造後、即ち該シリコーン-含有成分を添加する際(プレポリマーの生成後に添加する場合)に、あるいは該プレポリマーを硬化するか、あるいは全てのイソシアネート基を反応させた後に、添加することができる。
【0082】
シリコーンウレタンの市場で入手できるものの例は、パーシル(PurSilTM)シリコーン-ポリエーテルウレタン、カルボシル(CarboSilTM)シリコーン-ポリカーボネートウレタン、およびハイドロシル(HydrosilTM)シリコーン-ポリエチレンオキシドウレタンを包含する。ワード(Ward)に付与された米国特許第5,863,627号および同第5,530,083号(これら特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる)は、市販品として入手できる製品である、パーシル(PurSilTM)、カルボシル(CarboSilTM)およびハイドロシル(HydrosilTM)の処理方法を詳細に記載している。特に、これら高強度の熱可塑性エラストマーは、多段バルク合成によって製造され、そこで、ポリジメチルシロキサン(PSX)は、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)(PurSil)または脂肪族ヒドロキシル-末端担持ポリカーボネート(CarboSil)を含む、該ポリマーの軟質セグメントに組込まれる。該シリコーン含有率は、0.1%未満から、コポリマーの硬さに依存して、20〜65%なる範囲内であり得る、該ポリマーの全軟質セグメント含有率までの範囲であり得る。該硬質セグメントは、低分子量グリコール連鎖延長剤(ブタンジオール)を含む、芳香族イソシアネート(4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート-ブタンジオール(MDI))からなる。該硬質セグメントは、また脂肪族ジイソシアネートから合成することもできる。該コポリマー鎖は、次いでシリコーン(または他の適当な表面改質末端基(Surface-Modifying End Group (SMEs))、例えば炭化水素、フルオロカーボン、フッ素化ポリエーテル、ポリアルキレンオキシド、様々なスルホンかされた基、およびこれらの組合せ)で終端される。SMEsは、合成中に該基本ポリマーに共有結合された、界面活性オリゴマーである。
パーシル(PurSilTM)およびカルボシル(CarboSilTM)を含む組成物の材料特性を、以下の表に記載する:
【0083】
【表1】

注:%シリコーンは、PTMO軟質セグメントに添加された量である。*:パーシル60は、該全軟質セグメントとしてのシリコーンの60%を占める。
【0084】
表2において、該硬質セグメント合成は、脂肪族ウレタンHDMI-BD(ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアネート)および低分子量グリコール延長剤BDを組込む。
【0085】
【表2】

注:%シリコーンは、PTMO軟質セグメントに添加された量である。
【0086】
表3において、該合成法を実施し、そこでは、ヒドロキシル-末端担持ポリカーボネート(PC)が、該軟質セグメントにおいて、該PSXおよびPTMOと置換されている。これは、カルボシル(CarboSilTM)製品であり、これはパーシル(PurSilTM)と共に公知の押出、射出成型または圧縮成型技術によって製造できる。
【0087】
【表3】

【0088】
上記材料は、熱封止性で、フィラーと容易にブレンドでき、かつ容易に二次成型可能なものである。溶融成型条件は、従来の熱可塑性ポリウレタンと同様である。ポリウレタンは、一般に親水性材料であるから、ペレットは、加工前に、乾燥剤床型の脱水ホッパードライヤー内で乾燥すべきである。その最終的な含水率は、0.01%未満とすべきである。上で議論したように、該耐衝撃性ポリマーは、該工程の任意の段階で添加することができる。
組成物の添加剤
ポリウレタンを主成分とする組成物およびポリウレアを主成分とする組成物において、従来含められていた付随的な材料を、上で議論した任意の段階で、本発明の組成物に添加することができる。例えば、当業者には公知の如く、ポリマーアロイは、一般に数種の非類似のポリマー成分、即ち通常は混合しないはずの化合物を含む。故に、本発明の組成物は、各基本ポリマーの所定の特性を犠牲にすることなく、2種の不混和性のポリマーのブレンドを容易にするための相溶化剤の使用に基く利点を持つことができる。相溶化剤の適当な例は、マレイン酸無水物でグラフトした、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン、アルキルアクリレートまたはメタクリレートのコポリマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0089】
更に、該プレポリマーと該硬化剤との間の反応または別法においては、該シリコーン-含有成分とヒドロキシル-末端担持成分との間の反応を促進する目的で、触媒を使用することができる。適当な触媒は、ビスマス触媒;亜鉛オクトエート;第一錫オクトエート;錫触媒、例えばジブチル錫ジラウレート(エアープローダクツ&ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)により製造されている、ダブコ(DABCOTM) T-12)、ジブチル錫ジアセテート(ダブコ(DABCOTM) T-1)、第一錫オクトエート(ダブコ(DABCOTM) T-9);塩化錫(II)、塩化錫(IV)、ジブチル錫ジメトキシド(ファスカット(FASCATTM)-4211)、ジメチル-ビス[1-オキソンデシル]オキシ]スタネート(フォルメッツ(FORMEZTM) UL-28)、ジ-n-オクチル錫ビス-イソオクチルメルカプトアセテート(フォルメッツ(FORMEZTM) UL-29);アミン触媒、例えばトリエチレンジアミン(ダブコ(DABCOTM) 33-LV)、トリエチルアミン、およびトリブチルアミン;有機酸、例えばオレイン酸および酢酸;遅延触媒、例えばポリカット(POLYCATTM) SA-1、ポリカットSA-2、ポリカットSA-3等、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。一態様において、該触媒は、ジブチル錫ジラウレートである。
【0090】
使用する場合、該触媒は、好ましくは、該反応混合物中の該成分の反応を触媒するに十分な量で添加される。一態様において、該触媒は、該組成物の質量の、約0.001〜約5質量%なる範囲の量で存在する。例えば、錫触媒、例えばジブチル錫ジラウレートを使用する場合、該触媒は、好ましくは約0.005〜約1質量%なる範囲の量で存在する。他の態様では、該触媒は、約0.05質量%以上の量で存在する。別の態様では、該触媒は、約0.5質量%以上の量で存在する。
典型的には、該組成物の全量を基準として、約0〜約0.04質量%なる範囲の、低濃度での錫触媒の使用は、適当な反応速度を達成するために、高い温度の使用を必要とし、これは上記プレポリマーの分解に導く可能性がある。従来よりも高い濃度まで、該触媒の量を高めることにより、匹敵する硬化段階を維持しつつ、加工温度を減じることが可能となる。より高い触媒濃度の使用は、混合速度を減じることをも可能とする。従って、一態様において、該錫触媒は、該組成物を基準として、約0.01〜約0.55質量%なる範囲の量で存在する。もう一つの態様においては、約0.05〜約0.4質量%なる範囲の量の錫触媒が該組成物中に存在する。更に別の態様において、該錫触媒は、約0.1〜約0.25質量%なる範囲の量で存在する。
【0091】
更に、湿潤剤、着色剤、蛍光増白剤、架橋剤、白色体質顔料、例えばTiO2、およびZnO、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、加工助剤、界面活性剤、および他の公知の添加剤を、本発明の組成物中に含めることができる。例えば、湿潤剤は、該顔料をより一層効果的に分散させるために、本発明の変性された硬化剤ブレンドに添加することができる。適当な湿潤剤は、特にバイク-ケムル&クロンプトン社(Byk-Chemle and Crompton Corporation)から入手できる。
酸化防止剤、安定化剤、軟化剤、内部および外部可塑剤を包含する、可塑剤、例えばカプロラクトンまたはカプロラクタム、耐衝撃性改良剤、発泡剤、密度調節用フィラー、および強化材料を、本発明の任意の組成物に添加することができる。当業者は、これら添加物の使用目的、またこれらの目的を満たすために使用すべきその量を認識しているはずである。
例えば、フィラーは、レオロジーおよび混合特性、比重(即ち、密度-改善フィラー)、モジュラス、引裂き強さ、補強等に影響を与えるために、本発明の該ポリウレタンおよびポリウレア組成物に添加することができる。これらのフィラーは、一般に無機フィラーであり、また適当なフィラーは、多数の金属、金属酸化物および塩、例えば酸化亜鉛および酸化錫、並びに硫酸バリウム、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、クレー、タングステン、炭化タングステン、一連のシリカ、リグラインド(典型的には、約30メッシュの粒子に粉砕された、再生コア材料)、高ムーニー粘度ゴムリグラインド、およびこれらの混合物を包含する。
【0092】
故に、本発明の組成物は、当業者には公知である如く、広範囲に及ぶ密度-調節フィラー、例えばセラミックス、ガラス球(中実または中空、および充填または未充填)、および繊維、無機粒子、および金属粒子、例えば金属フレーク、金属粉末、酸化物、およびこれらの誘導体とブレンドすることによって、強化することができる。このようなフィラーの選択は、以下においてより詳細に説明されるように、即ちワンピース、ツーピース、多成分、または糸巻き等の、所望のゴルフボールの型に依存する。一般に、該フィラーは、4g/ccを越える密度を持つ無機フィラーであり、また問題とする層に含まれる該ポリマー成分の全質量に対して、約5〜約65質量%なる範囲の量で存在する。有用なフィラーの例は、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ並びにこれらの他の公知の対応する塩および酸化物を含む。
フィラーは、また該コアの、あるいは特殊なボール、例えば、低スイングスピードの競技者にとって好ましい、低質量をもつボールの少なくとも一つの追加の層の質量を改善するために使用することができる。
【0093】
本発明の組成物は、少なくとも1種の物理的または化学的な発泡(blowing or foaming)剤または水の添加によって、発泡させることができる。発泡ポリマーの使用は、ゴルフボールの設計者が、該ボールの密度または質量分布を調節して、慣性の角運動量(angular moment of inertia)を、また結果として該ボールのスピン速度および性能を調節することを可能とする。発泡材料は、またポリマー材料の使用量の節減により、可能なコスト低下をももたらす。
有用な発泡剤は、有機発泡剤、例えばアゾビスホルムアミド;アゾビスイソブチロニトリル;ジアゾアミノベンゼン;N,N-ジメチル-N,N-ジニトロソ-テレフタルアミド;N,N-ジニトロソペンタメチレン-テトラミン;ベンゼンスルホニル-ヒドラジド;ベンゼン-1,3-ジ-スルホニルヒドラジド;ジフェニルスルホン-3,3-ジスルホニルヒドラジド;4,4'-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド;p-トルエンスルホニルセミカルバジド;バリウムアゾジカルボキシレート;ブチルアミンニトリル;ニトロウレア;トリヒドラジノトリアジン;フェニル-メチルウランタン(uranthan);p-スルホニルヒドラジド;パーオキシド;および無機発泡剤、例えば重炭酸アンモニウムおよび重炭酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。空気、窒素、二酸化炭素等のガスを、射出成型工程中に、該組成物に吹込むことも可能である。
【0094】
更に、本発明の発泡組成物は、その成型工程中またはその前に、該組成物と微小球とをブレンドすることにより、製造することもできる。ポリマー製、セラミックス製、金属およびガラス製の微小球が、本発明において有用であり、またこれらは中実または中空であり得、また充填または未充填であり得る。特に、径約1,000μmまでの微小球が有用である。更に、米国特許第6,386,992号(この特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる)に記載されているように、液体窒素を発泡のために使用すると、本発明において使用するための、高度に均一な発泡組成物を製造することができる。
射出成型または圧縮成型の何れかを使用して、発泡されたポリマー材料を含む層を生成し得る。例えば、本発明の組成物は、熱成型することができ、また結果として圧縮成型することができる。圧縮成型し、グラフトし、メタロセン触媒を用いて得たポリマーブレンド層に関連して、従来のハーフシェル鋳型内で、グラフトし、メタロセン触媒を用いて得たポリマーブレンドを射出成型により、あるいは発泡させ、グラフトし、メタロセン触媒を用いて得たポリマーのシートを、圧縮成型することにより、ハーフシェルを製造できる。該ハーフシェルを、前もって成型した中心またはコア、カバー、またはマントル層の回りに配置し、またこのアセンブリーを、圧縮成型装置に導入し、約121〜204℃(約250〜400°F)なる範囲の温度にて、圧縮成型する。次いで、この成型したボールを、該鋳型内に維持したまま冷却し、該グラフトし、メタロセン触媒を用いて得たポリマーブレンドの層が、変形なしに扱うのに十分に硬くなった際に、該鋳型から取り出す。必要ならば、完全なボールが形成されるまで、追加のコア、マントル、およびカバーを、前に成型した層上に成型により形成する。
【0095】
本発明の組成物は、飽和および不飽和成分両者を含むことができる。また、飽和成分のみの使用は、不飽和成分によって発生する、経時に伴う黄変の問題を回避する上で役立つが、上記組成物の何れかに対する、様々なUV吸収剤および光安定剤の使用は、引張強さ、伸び、および色彩の安定性を維持する上でも役立つ可能性がある。該光安定化成分の使用は、また光劣化による、カバー表面の破壊を防止する上で役立つ可能性がある。
故に、本発明の組成物は、そこに含まれる不飽和成分に起因する重大な黄変を回避するために、少なくとも1種の光安定化成分を含むことができる。光安定化剤の使用は、例えば約15以上の黄色度(ΔY)における差を持つ組成物にとって好ましく、また約12〜約15なる範囲の黄色度における差を持つ組成物に添加することも可能である。ここで使用する光安定化剤は、ヒンダードアミン光安定化剤、紫外線(UV)吸収剤、および酸化防止剤を含むものと理解することができる。
【0096】
適当な光安定化剤は、チヌビン(TINUVINTM) 292、チヌビン328、チヌビン213、チヌビン765、チヌビン770およびチヌビン622を含むが、これらに限定されない。これらのチヌビン製品は、NY州、タリータウン(Tarrytown)のチバスペシャルティーケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手できる。一態様において、該光安定化剤は、UV吸収剤であるチヌビン328であり、これは芳香族化合物に対して有用である。他の態様では、ヒンダードアミン光安定化剤であるチヌビン765を、芳香族または脂肪族化合物と共に使用する。更に、チヌビン292も、本発明の芳香族または脂肪族組成物と共に使用することができる。
上で論じたように、染料並びに蛍光増白剤および蛍光顔料を、本発明によって製造したポリマーを用いて作成したゴルフボールカバーに含めることができる。このような付随的な成分は、その所定の目的を達成し得る任意の量で添加することができる。
【0097】
組成物ブレンド
本発明の組成物は、好ましくは約1〜約100%なる範囲の、本発明の該変性されたシリコーンウレタンまたはウレアを含むが、該組成物は、他の材料とブレンドすることもできる。一態様において、該組成物は、約10〜約90%なる範囲の量、好ましくは約10〜約75%なる範囲の量で、該変性されたシリコーンウレタンまたはウレアを含み、また約90〜約10%なる範囲の量、より好ましくは約90〜約25%なる範囲の量で、以下に論じるような、他のポリマーおよび/または他の材料を含む。ここにおいて特に述べない限り、全ての%は、問題とするゴルフボール層の全組成物の質量を基準とするものである。
本発明の組成物とブレンドするのに適した他のポリマー材料は、注型適正のある熱可塑性樹脂、カチオン性およびアニオン性ウレタンイオノマー、およびウレタンエポキシ樹脂、ポリウレタンイオノマー、ポリウレアイオノマー、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリアミドおよびポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリリン(polyacrylin)、シロキサンおよびエポキシ樹脂またはそのブレンド、およびこれらの混合物を包含する。当業者は、本発明の組成物とこれらポリマー材料とのブレンド法については、十分に認識しているであろう。
【0098】
適当なウレタンイオノマーの例は、米国特許第5,692,974号(この特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる)に記載されている。適当なポリウレタンの他の例は、米国特許第5,334,673号(この特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる)に記載されている。上に列挙したポリウレアイオノマーを製造するのに使用される適当なポリウレアの例は、米国特許第5,484,870号において論じられている。特に、米国特許第5,484,870号に記載のポリウレアは、ポリイソシアネートと、ポリアミン硬化剤とを反応させて、ポリウレアを生成することにより作られ、該ポリウレアは、ポリウレアプレポリマーと硬化剤とから生成される本発明のポリウレアとは区別される。エポキシ基含有硬化剤で硬化された、適当なポリウレタンの例は、米国特許第5,908,358号に記載されている。上記特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる。
【0099】
本発明の変性されたシリコーンウレアおよびウレタンは、また少なくとも一つの高度に中和されたポリマーとのブレンド状態にあってもよい。例えば、プレポリマーを、硬化剤で連鎖延長し、次いで米国特許出願第11/130,243号および同第11/135,288号に記載されているように、高度に中和されたポリマー並びにロジン-変性イオノマーおよび二モード型のイオノマーとブレンド(上記の耐衝撃性ポリマーに加えて)することができる。適当な高度に中和されたポリマーの例は、有機脂肪酸によって高度に中和されている、α,β-不飽和カルボン酸基を含むポリマー、またはその塩を含むが、これらに限定されない。該有機酸は、脂肪族、単官能性(飽和、不飽和、または多重不飽和)有機酸である。これら有機酸の塩も、使用することができる。本発明の有機酸の塩は、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、鈴、またはカルシウム、脂肪酸の塩、特にステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、またはこれらの二量化誘導体を包含する。本発明の該有機酸およびその塩は、比較的非移動性(これらは、周囲温度下では該ポリマーの表面に滲み出すことはない)であり、また不揮発性(これらは、溶融混合に必要とされる温度において、揮発しない)であることが好ましい。該高度に中和されたポリマー(HNP)の酸性部分、典型的にはエチレンを主成分とするイオノマーは、好ましくは約70を越えて、より好ましくは約90%を越えて、また最も好ましくは少なくとも約100%なる比率で中和されている。
【0100】
ゴルフボールの構成
本発明の組成物は、任意の型のボール構成と共に使用することができる。例えば、本発明では、ワンピース、ツーピース、スリーピース、およびフォーピース設計のゴルフボールを含むが、これらに限定されず、更に、該ボールの所定の性能の型に依存して、二重コア、二重カバー、中間層、多重コア、および/または多層カバーを持つゴルフボールをも含む。即ち、本発明の組成物は、ゴルフボールのコア、中間層、および/またはカバーにおいて使用でき、これら各々は、単一層または多重層を含むことができる。ここで使用する用語「多(重)層」とは、少なくとも2つの層を意味する。
本発明において使用できるボール構成の適当な型の、非限定的な例は、米国特許第6,056,842号、同第5,688,191号、同第5,713,801号、同第5,803,831号、同第5,885,172号、同第5,919,100号、同第5,965,669号、同第5,981,654号、同第5,981,658号および同第6,149,535号;並びに公開第US2001/0009310 A1号、同第US2002/0025862号、および同第US2002/0028885号に記載されているものを包含する。これら特許および公開特許出願の全開示事項を、ここに参考として組入れる。
【0101】
ゴルフボールコア層
本発明によって作られるゴルフボールのコアは、中実(固体)、半-固体、中空、流体-充填、または粉末-充填式、ワンピースまたは多成分コアであり得る。上記の如く、該コアは、本発明の組成物を含むように生成される。別法において、該コアは、当業者には公知の、任意の従来の材料から製造することができる。例えば、ゴム、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ポリイソプレン、trans-イソプレン等の熱硬化性材料、並びにイオノマー樹脂、ポリアミドまたはポリエステル等の熱可塑性材料、および熱可塑性並びに熱硬化性ポリウレタンエラストマーを使用して、該コアを製造することができる。
一態様において、該ゴルフボールコアは、基本となるゴム(天然、合成、またはこれらの組合せ)、架橋剤、およびフィラーを含む組成物から製造する。もう一つの態様において、該ゴルフボールコアは、cis-trans触媒、ポリブタジエンを含むレジリエンスポリマー成分、遊離基源、および場合により架橋剤、フィラーまたは両者を含む反応生成物から製造する。様々なポリマーの組合せ、cis-trans触媒、フィラー、架橋剤、および遊離基源、例えば米国特許第6,998,445号(この特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる)に記載されているものを使用して、該反応生成物を作成できる。
ここで使用する用語「コアおよび中心」とは、一般的に、該ゴルフボールの最も内側の成分(構成部品)を表すのに、互換的に使用される。しかし、幾つかの態様において、該用語「中心」とは、多重コア層が存在する場合、即ち中心と外側コア層が存在する場合に使用される。
【0102】
ゴルフボールの中間層
本発明のゴルフボールが、中間層、例えば内側カバー層または外側コア層、即ちゴルフボールの内側コア層と外側カバー層との間に設けられた任意の層を含む場合、この層は、熱硬化性および熱可塑性材料を含む、当業者には公知の任意の材料を含むことができる。一態様において、この中間層は、少なくとも部分的に、本発明の組成物から作成される。
該中間層は、また1種またはそれ以上のホモポリマーまたはコポリマー型の熱硬化性および熱可塑性材料、例えばビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、アクリル樹脂、およびこれらの樹脂と、ポリ塩化ビニル、エラストマー等とのブレンド、オレフィン系熱可塑性ゴム、スチレンとブタジエンとのブロックコポリマー、イソプレンまたはエチレン-ブチレンゴム、コポリ(エーテルアミド)、ポリフェニレンオキシド樹脂またはポリフェニレンオキシド樹脂と高耐衝撃性ポリスチレンとのブレンド、ポリエステル、およびこれらの混合物を含むこともできる。
【0103】
一態様において、該中間層は、ポリマー、例えばエチレン、プロピレン、ブテン-1またはヘキセン-1を主成分とするホモポリマーまたはコポリマーであって、官能性モノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸を含むポリマー、および完全にまたは部分的に中和されたイオノマー樹脂およびそのブレンド、メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマーまたはコポリマー、イミド化された、アミノ基を含有するポリマー、ポリカーボネート、強化されたポリアミド、ポリフェニレンオキシド、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル-ブタジエン、アクリル酸/スチレン/アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、および官能性コモノマーを含有するこれらのコポリマー、並びにこれらのブレンド等を包含する。
例えば、該中間層は、低酸性イオノマー、例えば米国特許第6,506,130号および同第6,503,156号に記載されているもの、高酸性イオノマー、高度に中和されたポリマー、例えば米国特許第6,565,455号および同第6,565,456号に記載されているもの、またはこれらの混合物から製造できる。該中間層は、また米国特許第5,688,191号に記載されているような組成物から製造することも可能である。これら特許および刊行物の全開示事項を、特別に参考としてここに組入れる。
【0104】
もう一つの態様において、該中間層は、少なくとも1種の主としてまたは完全に非-イオノマー性の熱可塑性材料を含む。適当な非-イオノマー性材料は、ポリアミドおよびポリアミドブレンド、グラフト化またはグラフト化されていないメタロセン触媒によるポリオレフィンまたはポリアミド、ポリアミド/イオノマーブレンド、ポリアミド/非-イオノマーブレンド、ポリフェニレンエーテル/イオノマーブレンド、およびこれらの混合物を含む。グラフト化またはグラフト化されていないメタロセン触媒によるポリオレフィンまたはポリアミド、ポリアミド/イオノマーブレンド、ポリアミド/非-イオノマーブレンドは、同時-継続中の米国特許出願公開第2003/0078348号に記載されている(この刊行物の全開示事項を、参考としてここに組入れる)。ポリアミド/非-イオノマーブレンドの他の例は、ポリアミドと、非-メタロセン型の単一サイト触媒を使用して製造した非-イオン性ポリマーとのブレンドである。適当な単一サイト触媒を使用して製造したポリマーの例は、同時-継続中の米国特許第6,476,130号(この刊行物の全開示事項を、参考としてここに組入れる)に記載されている。
【0105】
ゴルフボールカバー
該カバー層は、少なくとも部分的には、少なくとも一つの本発明の組成物から作ることができる。本発明の組成物を、コアまたは中間/内側カバー層に組込む場合、該カバー層は、本発明の組成物から製造することができ、あるいは該カバー層は、該中間層に関連して上の章で論じたような、一種またはそれ以上のホモポリマーまたはコポリマー材料から製造することができる。該カバーは、また少なくとも部分的に、該コアとの関連で上記したような、ポリブタジエン反応生成物から製造することも可能である。
【0106】
層の製法
本発明のゴルフボールは、圧縮成型法、フリップ成型法、射出成型法、格納式ピン射出成型法、反応射出成型(RIM)法、液体射出成型(LIM)法、注入成型法、真空成型法、粉末塗布法、フローコーティング法、回転塗布法、浸漬法、噴霧法等の、様々な適用法を用いて製造できる。従来、圧縮成型法および射出成型法は、熱可塑性物質に対して適用され、一方で、RIM、即ち液体射出成型法、および注入成型法は、熱硬化性物質に対して利用されている。これらのおよび他の製造方法は、米国特許第6,207,784号および同第5,484,870号(これらの特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる)に記載されている。
本発明の組成物を、カバー層に組込む場合、例えば本発明のポリウレアを主成分とするおよびポリウレタンを主成分とする材料は、当分野において周知の様々な技術、例えば噴霧法、圧縮成型法、浸漬法、回転塗布法、注入成型法、またはフローコーティング法を利用して、該内側ボール上に適用することができる。一態様において、本発明の組成物は、注入成型法と圧縮成型法との組合せを使用して、該内側ボール上に適用することができる。
【0107】
本発明のコアは、当業者には公知の任意の適当な方法により製造できる。該コアが、熱硬化性物質で作られる場合には、圧縮成型法が、該コアの製法として特に適した方法である。他方、熱可塑性材料のコアを持つ態様において、該コアは、射出成型することができる。更に、米国特許第6,180,040号および同第6,180,722号は、二重コアを持つゴルフボールの製法を開示している。これらの特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる。
該中間層は、当業者には公知の任意の適当な方法を用いて、製造することもできる。例えば、中間層は、吹込成型法によって製造し、また射出成型法、圧縮成型法、注入成型法、真空成型法、粉末塗布法等によって形成された、ディンプルを持つカバー層で覆うことができる。
【0108】
米国特許第5,733,428号(この特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる)は、ゴルフボールコア上に、ポリウレタンを主成分とするカバーを形成する方法を開示している。この方法は、ゴルフボールカバーとしての、熱硬化性および熱可塑性材料両者の注入成型の利用に関連しており、ここで該カバーは、金型部分に該材料を導入し、かつ混合することによって、該コアの周りに形成されるので、該ポリウレアを主成分とする組成物は、同一の注入成型法を利用して製造することもできる。
同様に、米国特許第5,006,297号および同第5,334,673号両者も、本発明のポリウレアを主成分とするおよびポリウレタンを主成分とする組成物を適用するのに利用することのできる、適当な成型技術を開示している。しかし、本発明の方法は、これら技術の使用に限定されず、当業者には公知の他の方法を利用することも可能である。例えば、該ボールのコアを支持する他の方法を、部分的な真空生成法の代わりに利用することができる。
【0109】
ゴルフボールの後処理
本発明のゴルフボールは、更なる利益を得るために、塗装し、被覆し、または表面処理することができる。更に、商標または他の証印等を、該ボールカバーの外側表面上に、刻印、即ちパッド-印刷し、またこの刻印した外側表面を、次に少なくとも1種の透明コートで処理して、該ボールに光沢のある仕上げを付与し、また該カバー上に刻印した証印を保護することができる。本発明のゴルフボールは、また染料昇華処理に付すことができ、ここでは、少なくとも1種のゴルフボール成分が、該外側表面のある深さまで移動して、証印を形成する、少なくとも1種のインクによる昇華処理に付される。これについては、米国特許第6,935,240号(この特許の全開示事項を、参考としてここに組入れる)に記載されている。
【0110】
ゴルフボールの特性
本発明のゴルフボールの諸特性、例えば硬さ、モジュラス、コア径、中間層の厚み、およびカバー層の厚みは、本発明のゴルフボールの競技特性、例えばスピン、初期速度、および感触に影響を与えることが分かっている。例えば、該中間層の曲げ弾性率および/または引張弾性率は、本発明のゴルフボールの「感触」に影響を与えるものと考えられている。ここにおいて、範囲は相互に入り混じり、即ち一つの範囲の下端部は、他の範囲の上端部と結合できるものと理解すべきである。
成分の大きさ
ゴルフボール成分(構成部品)の大きさ、即ち厚みおよび径は、所定の特性に応じて変えることができる。本発明の目的にとって、任意の層の厚みを使用できる。上で概説した様々な態様の非-限定例を、層の大きさに関連してここに与える。
【0111】
本発明は、任意サイズのゴルフボールに関する。USGAの規格は、競技用ゴルフボールのサイズを、約4.27cm(1.68in)を越える径に制限しているが、レジャーゴルフ競技については任意サイズのゴルフボールが使用できる。ゴルフボールの好ましい径は、約4.27cm〜約4.57cm(約1.68〜約1.8in)なる範囲にある。より好ましい径は、約4.27cm〜約4.47cm(約1.68〜約1.76in)なる範囲にある。約4.27cm〜約4.42cm(約1.68〜約1.74in)なる範囲の径が、最も好ましい。しかし、約4.32cm〜約4.95cm(約1.7〜約1.95in)なる範囲内の任意の径を使用することができる。好ましくは、該コアおよび全中間層の全体としての径は、最終的なボールの全体としての径の約80〜約98%なる範囲にある。
2以上の層を含むことのできる、該コアは、約0.229〜約4.19cm(約0.09〜約1.65in)なる範囲内の径を持つことができる。一態様において、本発明のコアの径は、約3.05〜約4.140cm(約1.2〜約1.630in)なる範囲にある。もう一つの態様において、該コアは、約3.94〜約4.19cm(約1.55〜約1.65in)なる範囲にある。例えば、一態様において、該コアの径は、約3.81〜約4.11cm(約1.5〜約1.62in)なる範囲にある。
該カバーは、典型的に十分な強度、良好な性能特性、および耐久性を与える厚みを持つ。一態様において、該カバーの厚みは、約0.0508〜0.889cm(約0.02〜約0.35in)なる範囲にある。該カバーは、好ましくは約0.0508〜0.305cm(約0.02〜約0.12in)なる範囲、好ましくは約0.254cm(約0.1in)以下である。本発明の組成物を使用して、ゴルフボールの外側カバーを形成する場合、該カバーは、約0.127cm(0.05in)以下、好ましくは約0.0508〜0.127cm(約0.02〜約0.05in)なる範囲、より好ましくは約0.0508〜0.0889cm(約0.02〜約0.035in)なる範囲の厚みを持つ。
【0112】
ゴルフボール中間層に関する厚みの範囲は、中間層を使用した際の、即ち外側コア層、内側カバー層、糸巻き層、水分/蒸気遮断層として使用した際の、多大な可能性の故に大きい。本発明のゴルフボールにおいて使用した場合、該中間層、または内側カバー層は、約0.762cm(約0.3in)以下の厚みを持つことができる。一態様において、該中間層の厚みは、約0.00508〜0.254cm(約0.002〜約0.1in)なる範囲、好ましくは約0.0254cm(約0.01in)以上、およびより好ましくは約0.0508〜0.254cm(約0.02〜約0.1in)なる範囲にある。一態様において、該中間層の厚みは、約0.0229cm(約0.09in)以下、好ましくは約0.152cm(約0.06in)以下である。もう一つの態様において、該中間層の厚みは、約0.127cm(約0.05in)以下、より好ましくは約0.0254〜0.114cm(約0.01〜約0.045in)なる範囲にある。一態様において、該中間層の厚みは、約0.0508〜0.102cm(約0.02〜約0.04in)なる範囲にある。他の態様では、該中間層の厚みは、約0.0635〜0.0889cm(約0.025〜約0.035in)なる範囲にある。更に別の態様では、該中間層の厚みは、約0.089cm(約0.035in)である。更に他の態様では、該内側カバー層は、約0.0762〜0.089cm(約0.03〜約0.035in)なる範囲にある。該中間層および外側カバー層の厚みに関する範囲の様々な組み合わせは、本明細書に記載する他の態様との組合せで使用することができる。
【0113】
好ましくは、該中間層の厚み対該外側カバー層の厚みの比は、約10以下、好ましくは約3以下である。別の態様では、該中間層の厚み対該外側カバー層の厚みの比は、約1以下である。
該コアと該中間層とは、一緒に、約4.27cm(約1.68in)のボールに対して、好ましくは約3.76cm(約1.48in)以上の径を持つ内側ボールを形成する。一態様において、約4.27cm(約1.68in)のボールの該内側ボールは、約3.86cm(約1.52in)以上の径を持つ。もう一つの態様において、約4.27cm(約1.68in)のボールの該内側ボールは、約4.22cm(約1.66in)以下の径を持つ。更に別の態様において、約4.37cm(約1.72in)(またはそれ以上)のボールは、約3.81cm(約1.5in)以上の内側ボール径を持つ。更に他の態様では、約4.37cm(約1.72in)のボールの、内側ボールの径は、約4.32cm(約1.70in)以下である。
硬さ
多くのゴルフボールは、所定の性能特性を獲得するために、様々な硬さ、例えば硬さの勾配を持つ層からなる。本発明は、層間で硬さの勾配を持つゴルフボール、並びに同一の硬さを持つ層を有するこれらゴルフボールを意図している。
【0114】
「材料の硬さ」と「ゴルフボールについて直接測定した硬さ」との間には基本的な差異があることを、特に当業者は理解すべきである。材料の硬さは、ASTM-D2240に示されている手順によって定義されており、また一般には硬さを測定すべき、平坦な「スラブ」または「ボタン」形状にある該材料の硬さを測定することを含む。ゴルフボール(または他の球状の表面)について直接測定した場合の硬さは、全く異なる測定値であり、また結果的に異なる硬さの値をもたらす。この差は、ボールの構成(即ち、コアの型、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球)の径、隣接層の材料組成を包含するがこれらに限定されない、多くの因子のためにもたらされる。これら2つの測定技術は、線形関係を持たず、また結果的に一方の硬さの値は、容易に他方の硬さ値と、相互に関連付けることはできない。また、当業者には公知である如く、材料の物理的および電気的な諸特性に関するテスト結果は、温度および相対湿度による影響を受ける可能性がある。従って、ASTM-D618に規定されている手順Aを使用して、該湿度条件並びに温度条件を標準化し、テスト前およびテスト中に、該材料を、該標準化されたこれら条件下に置く。
【0115】
本発明の該コアは、特定のゴルフボールの構成に依存して様々な硬さを持つことができる。一態様において、該コアの硬さは、形成された球に付き測定した値として、少なくとも約15ショアA、好ましくは少なくとも約30ショアAである。もう一つの態様において、該コアは、約50ショアA〜約90ショアDなる範囲の硬さを持つ。更に別の態様では、該コアの硬さは約80ショアD以下である。好ましくは、該コアは、約30〜約65ショアDなる範囲の硬さを持ち、およびより好ましくは該コアは、約35〜約60ショアDなる範囲の硬さを持つ。
本発明の中間層も、該ボールの特定の構成に依存して、硬さにおける変化を示すことができる。一態様において、該中間層の固さは、約30ショアD以上である。もう一つの態様において、該中間層の固さは、約90ショアD以下、好ましくは約80ショアD以下、およびより好ましくは約70ショアD以下である。更に別の態様では、該中間層の固さは、約50ショアD以上、好ましくは約55ショアD以上である。一態様において、該中間層の固さは、約55ショアD〜約65ショアDなる範囲にある。該中間層の固さは、また約65ショアD以上であってもよい。
【0116】
圧縮(率)
圧縮率値は、測定すべき構成部品の径に依存する。本発明に従って作られるゴルフボールの該コア、またはその一部のアッチ圧縮率は、好ましくは約80未満、より好ましくは約75未満である。ここで使用する用語「アッチ圧縮率」または「圧縮率」とは、アッチ圧縮率ゲージを用いて測定された、較正されたバネの撓みに対する、ある対象または物質の撓みとして定義される。該アッチ圧縮率ゲージは、NJ州、ユニオンシティーのアッチエンジニアリング社(Atti Engineering Corp.)から市販品として入手できる。アッチ圧縮率は、典型的にゴルフボールの圧縮率を測定するために使用される。一態様において、該コアの圧縮率は、約40〜約80なる範囲、好ましくは約50〜約70なる範囲内にある。更に別の態様では、該コアの圧縮率は、好ましくは約50以下、およびより好ましくは約25以下である。
別の低圧縮率の態様では、該コアは、約20未満、より好ましくは約10未満、および最も好ましくは0なる圧縮率を持つ。しかし、当業者には公知の如く、本発明により製造した該コアは、該アッチ圧縮率ゲージの測定値以下であってもよい。
一態様において、好ましくは、本発明のゴルフボールは、約55以上、好ましくは約60〜約120なる範囲のアッチ圧縮率を持つ。もう一つの態様において、本発明のゴルフボールのアッチ圧縮率は、少なくとも約40、好ましくは約50〜120なる範囲、およびより好ましくは約60〜100なる範囲内にある。更に別の態様では、本発明のゴルフボールのアッチ圧縮率は、約75以上、かつ約95以下である。例えば、本発明の好ましいゴルフボールは、約80〜約95なる範囲の圧縮率を持つことができる。
【0117】
初期速度およびCOR
ゴルフボールのCORに関する制限は、USGAにおいて、これまでは存在しなかったが、該ゴルフボールの初期速度は、約76.3±1.53m(250±5フィート/秒(ft/s))を越えることはできない。従って、一態様において、該初期速度は、約74.7m/s(245ft/s)以上かつ約77.8m/s(255ft/s)以上である。もう一つの態様において、該初期速度は、約76.3m/s(250ft/s)以上である。一態様において、該初期速度は、約77.2m/s(253ft/s)〜約77.5m/s(254ft/s)なる範囲にある。更に別の態様では、該初期速度は、約77.8m/s(255ft/s)である。初期速度に関する一般的な規則は、ゴルフボールの製造業者等が、この範囲内に留まることを要求するが、当業者は、本発明のゴルフボールが、この範囲外の初期速度を持つゴルフボールに、容易に変換されることを理解するであろう。
USGAによって提示された、該初期速度の制限の結果として、目標は、該約77.8m/s(255ft/s)という限界を犯すことなしに、CORを最大にすることである。ボールのCORは、外向きのまたは跳ね返り速度対内向きのまたは到達速度の比をとることによって求められる。ワンピース型の中実ゴルフボールにおいて、該CORは、該ボールの、組成および硬さを含む、様々な特性に依存するであろう。与えられた組成に対して、CORは、一般に硬さが大きくなるにつれて、増大する。ツーピース型の中実ゴルフボール、例えばコアおよびカバーにおいて、該カバーの目的の一つは、該コアの値を超える、CORにおける利得を得ることにある。高いCORに対するコアの寄与が大きなものである場合、カバーからの寄与はそれ程必要とされない。同様に、該カバーが該ボールの高いCORに対して実質的に寄与する場合、より小さなコアからの寄与が必要とされる。
【0118】
本発明は、約38.1m/s(125ft/s)なる到達速度において、約0.700〜約0.850なる範囲のCOR値を持つゴルフボールを目的とする。一態様において、該CORは、約0.750以上、好ましくは約0.780以上である。もう一つの態様において、該ボールは、約0.800以上のCORを持つ。更に別の態様では、本発明のゴルフボールの該CORは、約0.800〜約0.815なる範囲内にある。
更に、該内側ボールは、約0.780以上のCORを持つ。一態様において、該CORは、約0.790以上である。
曲げ弾性率
従って、本発明のゴルフボールは、約3.45MPa(約500psi)〜約3445MPa(約500,000psi)なる範囲の曲げ弾性率を持つ、中間層を含むことが好ましい。より好ましくは、該中間層の曲げ弾性率は、約6.89MPa(約1,000psi)〜約1723MPa(約250,000psi)なる範囲内にある。一態様において、該中間層の曲げ弾性率は、約13.8MPa(約2,000psi)〜約1378MPa(約200,000psi)なる範囲内にある。他の態様では、該中間層の曲げ弾性率は、約206.7MPa(約30,000psi)〜約551.2MPa(約80,000psi)なる範囲内にある。該曲げ弾性率は、ASTM D-790-03、プロセデュア(Procedure) Bに記載された手順により測定する。
【0119】
該カバー層の曲げ弾性率は、好ましくは約13.8MPa(約2,000psi)以上、およびより好ましくは約34.45MPa(約5,000psi)以上である。一態様において、該カバー層の曲げ弾性率は、約68.9MPa(約10,000psi)〜約1034MPa(約150,000psi)なる範囲内にある。例えば、該カバー層の曲げ弾性率は、約68.9MPa(約10,000psi)〜約482.3MPa(約70,000psi)なる範囲、約82.7MPa(約12,000psi)〜約413.4MPa(約60,000psi)なる範囲、あるいは約96.5MPa(約14,000psi)〜約344.5MPa(約50,000psi)なる範囲内にある。
水蒸気の透過
本発明の組成物から製造したゴルフボール部分の水蒸気の透過率は、吸収、例えば特定の条件における、一定期間内の質量のゲインおよびサイズのゲインにより、および透過率、例えばASTM E96-00に従って測定される水蒸気透過率(MVTR)によって表すことができる。MVTRとは、特定の温度および湿度差における、単位面積当たりの、かつ単位時間当たりの、所定の厚みをもつ物質内に拡散した、水蒸気の質量を意味する。例えば、100%相対湿度および約22.2℃(72°F)にて、7週間に渡り、ゴルフボール部分の質量変化を追跡することは、ボールが良好な耐水性を持つことを明らかにするのに役立つ。一態様において、本発明のゴルフボール部分は、7週間後に、約0.15g以下の質量ゲインを示した。もう一つの態様において、本発明のゴルフボールは、7週間に渡る保存期間経過後に、約0.13g以下の質量ゲインを示した。更に別の態様では、本発明のゴルフボールの質量ゲインは、7週間後に、約0.09g以下であった。更に別の態様において、該質量ゲインは、7週間後に、約0.06g以下であった。本発明のゴルフボールは、好ましくは7週間に渡る保存期間経過後に、約0.03g以下の質量ゲインを示す。
【0120】
サイズのゲインも、耐水性の指標として利用することができる。即ち、ゴルフボールが、より多くの水分を吸収するほど、該ゴルフボール部分の該最外層背後に封入された水のために、ゴルフボールは、一層大きくなる。従って、本発明のゴルフボールは、好ましくは評価し得るほどのサイズゲインを示さない。一態様において、本発明のゴルフボールの、7週間後のサイズゲインは、約0.00254cm(約0.001in)以下である。
ゴルフボール、あるいはその一部のMVTRは、38℃および90%相対湿度条件下で、約2g/(m2×日)以下、例えば約0.45〜約0.95g/(m2×日)、約0.01〜約0.9g/(m2×日)またはそれ以下であり得る。
【0121】
光安定性
該カバーの光安定性は、黄色度指数における差(ΔYI)、即ち所定の暴露時間後に測定した黄色度と暴露前の黄色度との間の差により定量化できる。一態様において、該ΔYIは、5日間(120時間)の暴露後に、約10以下、好ましくは5日間の暴露後に、約6以下、およびより好ましくは5日間の暴露後に、約4以下である。もう一つの態様において、5日間の暴露後に、約2以下、およびより好ましくは5日間の暴露後に、約1以下である。更に別の態様において、該ΔYIは、8日間(192時間)の暴露後に、約80以下、好ましくは8日間の暴露後に約60以下、およびより好ましくは8日間の暴露後に、約40以下である。更に他の態様では、該ΔYIは、8日間(192時間)の暴露後に、約30以下、好ましくは8日間の暴露後に約28以下、およびより好ましくは8日間の暴露後に、約25以下である。
b彩度ディメンション(Δb*、黄色から青)における差も、また該カバーの光安定性を定量化する方法の一つである。一態様において、該Δb*は、5日間(120時間)の暴露後に、約4以下、好ましくは5日間の暴露後に、約3以下、およびより好ましくは5日間の暴露後に、約2以下である。もう一つの態様において、該Δb*は、5日間の暴露後に、約1以下である。更に別の態様では、該Δb*は、8日間(192時間)の暴露後に、約25以下、好ましくは8日間の暴露後に約20以下、およびより好ましくは8日間の暴露後に、約15以下である。更に別の態様において、該Δb*は、8日間(192時間)の暴露後に、約14以下、好ましくは8日間の暴露後に約13以下、およびより好ましくは8日間の暴露後に、約12以下である。
【実施例】
【0122】
以下の非-限定的な実施例は、本発明の好ましい態様の単なる例示であり、本発明を限定するものと理解すべきではなく、本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲によって規定される。「部」は、特に述べない限り質量部である。
実施例1:本発明の組成物
本発明によるシリコーン骨格を持つアミンアダクトを用いて製造したプレポリマーを、アミノ-末端を持つ硬化剤で硬化して、以下の表4に示すようなカバー組成物を製造した。本発明の処方物中に含まれる該プレポリマーおよび硬化剤両者は、その特性において芳香族-脂肪族性のものである。従来の芳香族プレポリマーおよび芳香族硬化剤を用いた、コントロールカバー処方物は、以下に示すようにして製造した。特に、該コントロール処方物の該プレポリマーおよび硬化剤は、芳香族であり、即ち該成分は、炭素-炭素二重結合および、特にベンゼンリングを含む。従って、本発明の処方物は、本来的に、該コントロール処方物よりも光安定性である。更に、本発明の処方物の剪断速度は、該コントロール処方物の剪断速度よりも高い。
【0123】
【表4】

1:A1は、HDIダイマーとシリコーン骨格を持つアミンアダクトとの、即ちジェファミン(JeffamineTM) D-2000とシリコーンとのアミンアダクトとの反応生成物である。
2:A2は、MDI/PTMEG2000と6%NCOとの反応生成物である。
3:B1は、エタキュア(EthacureTM) 100LCであり、これは、アルブマール(Albemarle)から入手できるジエチルトルエンジアミンである。
4:B2は、エタキュア(EthacureTM) 300であり、これは、アルブマール(Albemarle)から入手できるジ-(メチルチオ)トルエンジアミンである。
5:C1はHCC19584であり、これは、ポリワン(PolyOne)社から入手できる、白色顔料分散液(white dispersion)である。
【0124】
実施例2:本発明の組成物
本発明のアミンアダクトを、HDIダイマーから製造したプレポリマーに対する硬化剤として使用して、カバー組成物(以下の表5に示す)を製造した。従来のプレポリマーおよび硬化剤を使用して、コントロールカバー処方物を、以下に示すように作成した。特に、本発明の処方物に含まれている、該プレポリマーおよび硬化剤は、両者共に、その特性上、芳香族-脂肪族性のものである。該コントロール処方物の該プレポリマーおよび硬化剤は、かなり芳香族性であり、即ちこれら成分は、炭素-炭素二重結合を含み、また特にベンゼンリングを含んでいる。故に、本発明の処方物は、該コントロール処方物に比して、本来的にかなり光安定性が高い。
得られるゴルフボールの諸特性を与え、かつ提示された処方に従って製造した、コントロールゴルフボールと比較した。本発明のゴルフボールおよびコントロールゴルフボールは、両者共にポリブタジエンゴムコアと、熱可塑性内側カバー層とを使用して製造した。以下の表に見られるように、本発明の処方物は、該コントロール処方物によるものと同一の諸特性を持つ、カバーおよびゴルフボールを与えた。
【0125】
【表5】

1:A3は、HDIダイマーとジェファミン(JeffamineTM) D-2000/カプロラクトンのアミン-アルコールとの反応生成物である。
2:A2は、MDI/PTMEG2000と6%遊離NCOとの反応生成物である。
3:B3は、1,4-ブタンジオールジグリシダルエーテルと、ジエチルトルエンジアミンとのアミンアダクト(アルブマール(Albemarle)から入手できる、エタキュア(EthacureTM) 100LC)である。
4:B2は、エタキュア(EthacureTM) 300であり、これは、アルブマール(Albemarle)から入手できるジ-(メチルチオ)トルエンジアミンである。
5:C1はHCC19584であり、これは、ポリワン(PolyOne)社から入手できる、白色顔料分散液(white dispersion)である。
【0126】
実施例3:ゲル化時間
本発明による処方物を、コントロール処方物と比較して、該組成物の、ゲル化時間/硬化速度に及ぼす作用を決定した。本発明1の処方は、ジメチルシロキサンとN,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミンとのアミンアダクトを含み、また本発明2の処方は、ジグリシダルエーテルと、N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミンとのアミンアダクトを含む。以下の表6に示したように、本発明の処方物、即ちアミンアダクトを含有するものは、コントロール処方物と比較して、より緩慢な硬化またはゲル化速度を持つ。
【0127】
【表6】

1:A4は、H12MDI/ジェファミン(JeffamineTM) D-2000と7%デスモジュール(Desmodur) N-3300との反応生成物である。
2:B4は、ジェフリンク(JefflinkTM) 754であり、これは、ハンツマン(Huntsman)社から入手できるN,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミンである。
3:B5は、ジグリシダルエーテルと、ジェフリンク(JefflinkTM) 754とのアミンアダクトである。
4:B6は、ジメチルシロキサンと、ジェフリンク(JefflinkTM) 754とのアミンアダクトである。
5:C1はHCC19584であり、これは、ポリワン(PolyOne)社から入手できる、白色顔料分散液(white dispersion)である。
【0128】
実施例4:本発明の熱可塑性シリコーン-ウレタンコポリマー
不飽和脂肪酸の金属塩、例えば亜鉛ジアクリレートで架橋されている、cis-1,4-ポリブタジエンゴムを含有する従来の中実構造は、コアの生成のために使用できる。このコア構造は、次いで本発明の熱可塑性シリコーン-ウレタンコポリマーを含有するカバー処方物で、ワンショット法またはプレポリマー法を用い、公知の圧縮成型、または射出成型、または注入成型技術によって、被覆することができる。例えば、この方法は、0.05モルのメタンビス(4-フェニルイソシアネート)(MDI)、0.015モルの3-ヒドロキシプロピル末端を持つ、ポリジメチルシロキサン(分子量約1,000)および0.035モルの1,4-ブタンジオール、および適当な触媒とを、必要ならば高温にて密に混合する工程を含むことができる。該カバーは、約0.127〜約0.254cm(約0.05〜0.10in)なる範囲の厚みを持つことができる。
【0129】
本発明のもう一つの実施例において、シリコーン-ポリウレタンのコポリマーは、少なくとも1種の、イオノマーを含む、熱可塑性または熱硬化性ポリマー、およびその酸性ポリマー、例えば高度に中和されたポリマー、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリイソプレン、ブロックコポリ(エーテルまたはエステルアミド)、ブロックコポリ(エーテルまたはエステル-エステル)、ポリスルホン、反応性射出成型可能な熱可塑性または熱硬化性ポリマー、スチレン-ブタジエンのブロックコポリマーおよびその水素添加誘導体、機械的に加硫されたエチレン-プロピレンゴム、ポリビニリデンフルオライド、アクリロニトリル-ブタジエンスチレンコポリマー、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリアミド、ポリブタジエン、およびポリエステルとブレンドされる。
コア、約34.5MPa(50,000psi)を越える曲げ弾性率を持つ内側カバー、および熱可塑性シリコーン-ウレタンコポリマーからなるカバーを含むゴルフボールも、本発明に従って製造できる。該カバーは、約0.0508〜約0.127cm(約0.02〜0.05in)なる範囲の厚みを持つことができ、一態様においては、約68.9MPa(10,000psi)未満の初期モジュラスを持つことができる。もう一つの態様において、該初期モジュラスは、約2.067〜約689MPa(約300〜100,000psi)なる範囲内であり得る。
【0130】
コア、カバー、および熱可塑性シリコーン-ウレタンコポリマーを含むゴルフボールを製造した。該コアは、好ましくは少なくとも約2.54cm(1.0in)なる径を持つ。該中間層は、好ましくは約0.0508〜約0.254cm(約0.02〜0.10in)なる範囲の厚みを持ち、また該カバーは、約0.254cm(約0.1in)未満の厚みを持つ。好ましくは、該カバーは、熱硬化性または熱可塑性材料、例えばポリウレタン、ポリウレア、イオノマー、または他のエラストマーで作られる。該コアの該ポリブタジエンゴム組成物は、少なくとも1種の2.2pphなるハロゲン化された有機硫黄-含有化合物、好ましくは亜鉛ペンタクロロチオフェノールを含む。
表7は、シリコーン-ポリエステルウレタンまたはシリコーン-ポリカーボネートウレタンのコポリマーを含む、数種の実験用ボールカバー組成物を含む、ゴルフボール性能をまとめたものである。この研究のために、約3.94cm(約1.55in)なる径および約81なる圧縮率を持つコアを使用し、約0.089cm(約0.035in)なる厚みを持つケーシング層を、圧縮成型によって、該コアの回りに形成した。該ゴルフボールの反発係数(COR)は、約0.8を越えるものであった。該ゴルフボールの外側カバー層は、約0.0762cm(約0.030in)なる厚みを有し、また格納式ピン射出成型法を利用して、該ケーシング層上に、成型した。
【0131】
【表7】

【0132】
表8は、シリコーン-ウレタンコポリマーの、内側カバー層としての効果をまとめたものである。約3.94cm(約1.550in)なる径、約77なるアッチ圧縮率、および約0.830なるCORを持つコアを、この研究のために使用した。該シリコーン-ウレタン組成物を、射出成型法によって、該コアの回りに成型した。
【0133】
【表8】

【0134】
実施例5:本発明によるゴルフボール
ゴルフボールを、以下の表9に示すような、架橋されたポリブタジエンコアおよび内側カバー層を使用して、本発明に従って製造した。
【0135】
【表9】

【0136】
実施例以外において、あるいは特に述べない限り、全ての数値範囲、量、値および%、例えば材料の量、反応時間および温度、量間の比、分子量に関する値(数平均分子量(Mn)あるいは重量平均分子量(Mw)何れであれ)、および本明細書の以下の部分における他のものは、これらの値、量または範囲に「約」なる用語がわざわざ示されていなくとも、この「約」なる用語が、前に置かれているものとして読むべきである。従って、逆のことが述べてない限り、以下の明細書および添付した特許請求の範囲に示された数値的パラメータは、近似であり、本発明が得ようとしている所定の特性に依存して、変動し得るものである。せめて、各数値的パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数値に照らして、通常の数値的な丸め技術によって、理解すべきである。
【0137】
本発明の広い範囲に渡って設定された数値範囲およびパラメータが近似であるにも拘らず、特定の実施例に示された数値は、出来る限り正確を期して報告されている。しかし、任意の数値は、必然的に各テストの測定値において見られる、標準偏差に起因する、ある種の誤差を本来的に含んでいる。更に、変動する範囲の数値範囲が、ここにおいて示されている場合、列挙したこれらの値の任意の組合せが使用可能であることを意図している。
ここに記載し特許請求した本発明は、ここに記載された特定の態様によって、その範囲が限定されるものではない。というのは、これらの態様は、本発明の幾つかの局面を例示するものであるからである。あらゆる等価な態様は、本発明の範囲内にあるものとする。例えば、本発明の組成物は、またパターのインサート、ゴルフクラブヘッド、およびその部品、ゴルフシューズの部品、およびゴルフバッグの部品等のゴルフ用具においても使用できる。事実、ここに記載し、提示したものに加えて、本発明の様々な改良が、上記説明から、当業者には明らかになるであろう。このような改良も、添付した特許請求の範囲に入るものとする。本明細書において上記した全ての特許および特許出願の、内容全体を、参考として、特にここに組入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとカバーとを含むゴルフボールであって、該ゴルフボールの少なくとも一部が、
シリコーンおよびウレア結合、ウレタン結合、またはウレア結合とウレタン結合との組合せを含む、第一の成分;および
耐衝撃性ポリマー
を含む組成物から形成されたものであることを特徴とする、上記ゴルフボール。
【請求項2】
該耐衝撃性ポリマーが、エチレン-n-ブチルアクリレート-グリシジルアクリレート、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-ブテンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-ヘキセンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-オクテンコポリマー、エチレン-n-ブチルアクリレート-一酸化炭素、酸性コポリマー、化学的に変性されたエチレン-プロピレンゴム、EPDMゴム、ABS、MBS、SEBS-g-MA、またはこれらの任意に組合せを含む、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
該組成物が、ウレアおよびシリコーン結合からなる、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
該第一成分が、イソシアネート、アミンアダクトおよび硬化剤の反応生成物である、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】
該第一成分が、イソシアネート、ヒドロキシアダクトおよび硬化剤の反応生成物である、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
該第一成分が、イソシアネート、アミノ-末端を持つ成分、およびシリコーン-含有成分の反応生成物である、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
該第一成分が、イソシアネート、アミノ-末端を持つ成分、およびシリコーン-含有成分の反応生成物である、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
コアとカバーとを含むゴルフボールであって、該カバーが、
イソシアネートと、アミノ-末端を持つ成分、ヒドロキシ-末端を持つ成分、またはこれらの組合せの反応生成物を含む第一の成分;
シリコーンを含む第二の成分;および
耐衝撃性ポリマーを含む、第三の成分;
を含む組成物から形成されたものであることを特徴とする、上記ゴルフボール。
【請求項9】
該耐衝撃性ポリマーが、エチレン-n-ブチルアクリレート-グリシジルアクリレート、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-ブテンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-ヘキセンコポリマー、マレイン酸無水物でグラフトしたエチレン-オクテンコポリマー、エチレン-n-ブチルアクリレート-一酸化炭素、酸性コポリマー、化学的に変性されたエチレン-プロピレンゴム、EPDMゴム、ABS、MBS、SEBS-g-MA、またはこれらの任意に組合せを含む、請求項8記載のゴルフボール。
【請求項10】
該第一成分が、飽和状態にある、請求項8記載のゴルフボール。
【請求項11】
更に、アミノ-末端を持つ硬化剤、ヒドロキシ-末端を持つ硬化剤、またはこれらの組合せを含む、請求項8記載のゴルフボール。
【請求項12】
該組成物が、以下の結合からなる、請求項8記載のゴルフボール:
【化1】

【請求項13】
該組成物が、以下の結合からなる、請求項8記載のゴルフボール:
【化2】


【公開番号】特開2008−119485(P2008−119485A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−322598(P2007−322598)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】