説明

つば部を有する配管材の管端カバー具

【課題】本発明は配管材のつば部に装着することが容易で、且つ簡単に脱落することもなく、輸送に便利な管端カバー具の提供を目的とする。
また、つば出し管に予めルーズフランジを装着した場合に、ルーズフランジの固定及び保護も可能な管端カバー具の提供を目的とする。
【解決手段】端部につば部を有する配管材の当該端部に装着する管端カバー具であって、
管端カバー具は管端面側に位置する端面部と、端面部に対向配置した裏面部と、左右及び底部に設けた側面部とで内側に管端部を収納する管端収納室を形成し、裏面部は、管体を側部から収納する管体収納凹部を切り欠き形成し、且つ管体収納凹部の開口寸法は、つば部外径寸法よりも小さくなっていて、端面部は前後方向に折り曲げ可能な折返片を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端部につば部を有する、つば出し管、ラップジョイント及びフレア継手等の各種配管材の端部に装着するカバー具に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管等の配管材の分野においては、端部につば部を形成したつば出し管、ラップジョイント、あるいは端部にフレア加工を施したフレア継手等、つば付きの配管材が広く採用されている。
また、つば出し管の場合に予めルーズフランジを装着したものもある。
この場合、つば出し管を輸送する際には管体にルーズフランジを装着したままの状態になるが、ルーズフランジは管体の外周に沿って、自由に移動できるので、このままでは運搬時の取扱いに不便であるだけでなく、ルーズフランジの接合面にキズが付いたり、つば部が変形したりするトラブルがあった。
特に大口径の管体になると長さも3〜6m有し、ルーズフランジが移動することは運搬に支障をきたす恐れが高い。
そこで、従来はルーズフランジをつば部に寄せることで端部に板材を当て、この板材とともにルーズフランジが動かないようにひも材等を用いて、梱包していた。
このような梱包作業は資材を多く使用し、作業工数も多くかかるだけでなく、運搬時の取扱いが大変であった。
【0003】
特開2004−99139号公報には、筒状体の包装方法を開示するが、つば出し管に適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−99139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は配管材のつば部に装着することが容易で、且つ簡単に脱落することもなく、輸送に便利な管端カバー具の提供を目的とする。
また、つば出し管に予めルーズフランジを装着した場合に、ルーズフランジの固定及び保護も可能な管端カバー具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る管端カバー具は、端部につば部を有する配管材の当該端部に装着する管端カバー具であって、管端カバー具は管端面側に位置する端面部と、端面部に対向配置した裏面部と、左右及び底部に設けた側面部とで内側に管端部を収納する管端収納室を形成し、
裏面部は、管体を側部から収納する管体収納凹部を切り欠き形成し、且つ管体収納凹部の開口寸法は、つば部外径寸法よりも小さくなっていて、端面部は前後方向に折り曲げ可能な折返片を有していることを特徴とする。
ここで、端部につば部を有する配管材と表現したのは、本発明は端部のつば部に装着してこの端部を保護するのが目的であり、端部につば部を有する配管材であれば、例えば、端部につば部を形成したつば出し管、ラップジョイント、あるいは端部にフレア加工を施したフレア継手等、各種配管材に適用できる趣旨である。
本発明に係る管端カバー具は、つば部を保護できるものであれば、特に材質を問わないが、安価で緩衝性の高いものとしては厚紙や段ボール製が好ましい。
【0007】
ここで、配管材に予めルーズフランジを装着してある場合には、管端収納室がつば出し管のつば部側にルーズフランジを引き寄せることで当該つば部とルーズフランジをともに収納可能になっていると、本発明に係る管端カバー具を装着するだけでルーズフランジを固定し、また、つば部を保護できる。
また、折返片は手指を差し入れることができる手掛け孔を有していてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る管端カバー具にあっては、管体等の端部に有するつば部を横方向から管端収納室に押し込むように装着し、折返片を管内に向けて折り曲げるだけで、管端部に容易に管端カバー具を装着でき、折返片が管の内側に入り込んでいるので脱落を防止する。
また、管体の運搬時には折返片が内側に折り曲がることで形成される開口部に手を掛けることができるので運搬も容易である。
【0009】
管端カバー具を取り外すときには折返片を外側に向けて反対に折り返すだけでよい。
【0010】
また、管端収納室にルーズフランジをつば部側に寄せてそのまま本発明に係る管端カバー具を装着すると、つば部の端面は管端カバー具の端面部に当たり、ルーズフランジの管端と反対側の面が管端カバー具の裏面部に当たるので、ルーズフランジの移動を規制するだけでなく、ルーズフランジがキズ付くのを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明に係る管端カバー具を示し、(b)は管端カバー具を管体のつば部に装着した状態を示す。
【図2】(a)は管端カバー具の折返片を折り曲げた状態を示し、(b)は管端カバー具の展開図を示す。
【図3】(a)はルーズフランジを管体に通し装着した状態を示し、(b)はルーズフランジを管体から取り外した状態を示す。
【図4】(a)は管端のつば部にのみ装着する管端カバー具の例を示し、(b)は管体に装着した状態を示す。
【図5】(a)第2の実施例に係る管端カバー具の外観図を示し、(b)は展開図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る管端カバー具をつば出し管に適用した例で以下説明するが、これに限定されない。
図3につば出し管の例を示し、つば出し管は管体1の端部に、外側に折り返したつば部1aを有する。
この種の管体は管体1にルーズフランジ2を装着し、配管接続する一対のつば部の間にガスケット等のシール材を挟み込み、両側から一対のルーズフランジ2でボルトナット締結することで配管接続される。
従って、ルーズフランジ2は中央部に管体2の挿入孔2aと、複数のボルト挿通孔2bを有している。
この種のつば出し管の場合には管体の両端につば部を有するので、つば部の成形前にルーズフランジ2を装着することになるために、このままではルーズフランジ2は管体1の外周に沿って自由に移動することができる。
【0013】
そこで、本発明に係る管端カバー具10は図1及び図2に示すように、管体1のつば部1a側の端面に位置する端面部11と端面部に対向配置された裏面部12とを左右の側面部12a,12aと底部12bとでつないだ箱状になっている。
図1に示すように、裏面部12には開口部側から切り欠いた管体収納凹部Rを有し、この管体収納凹部Rの開口幅寸法Wは管体1の外径が収まればよく、少なくともつば部1aの外径よりも小さくなっている。
また、管体収納室Sの開口厚み寸法Tはつば部1aの厚みとルーズフランジ2の厚みを合計した値に概ね一致させている。
これにより、図1(b)に示すように、ルーズフランジ2をつば部1a側に引き寄せ、管端カバー具10を装着するだけで、ルーズフランジ2をつば部1a側に固定し、ルーズフランジ2の移動を規制し、保護する。
【0014】
端面部11は半円状の切り込み線11eを入れ、折り曲げ部11cを中心に前後に折返し可能な折返片11aを形成してある。
この折返片11aの形状は半円状に限定されないが、管体1の内径が一般的に円形状なのでそれに合せるのがよい。
図1(b)に示すように管端カバー具10をつば部1aに装着し、折返片11aを内側に折り返すことで管端カバー具10が脱落するのを防止し、また開口部から手を入れて運搬できる。
【0015】
つば部1aから管端カバー具10を取り外す場合には、折返片11aに設けた手掛け孔11bに指先を入れ、外側に向けて反対に折り返すことで容易に取り外すことができる。
【0016】
本発明に係る管端カバー具10は、段ボール紙等を用いて展開図を図2(b)に示すように裁断し、折り曲げ線dに沿って端面部11と裏面部12とが対向するように折り曲げ、側面部12aと11dを重ね合せて貼着することで簡単に製作できる。
【0017】
図4及び図5はつば部1a単独で装着する場合の管端カバー具20の例を示す。
この場合には、つば部1aの厚みが薄いので端面部21と裏面部22との間に切り込み線24を入れ、その両側の折り曲げ線dに沿って折り曲げるとよい。
また、側面部はテープ材23等で連結するだけでもよい。
本実施例においても端面部21には切り込み線21eを入れ、折返片21aを形成し、折り曲げ部21cを支点に前後方向に折り返すことができ、折返片21aには手掛け孔21bを設けてある。
また、裏面部22には管体1の外径に合致させ、つば部1aの外径寸法より小さい管体収納凹部Rを有する。
図4(b)に管端カバー具20をつば部1aに装着した状態を示す。
【符号の説明】
【0018】
1 管
2 ルーズフランジ
10 管端カバー具
11 端面部
11a 折返片
12 裏面部
12a 側面部
R 管体収納凹部
S 管端収納室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部につば部を有する配管材の当該端部に装着する管端カバー具であって、
管端カバー具は管端面側に位置する端面部と、端面部に対向配置した裏面部と、左右及び底部に設けた側面部とで内側に管端部を収納する管端収納室を形成し、
裏面部は、管体を側部から収納する管体収納凹部を切り欠き形成し、且つ管体収納凹部の開口寸法は、つば部外径寸法よりも小さくなっていて、
端面部は前後方向に折り曲げ可能な折返片を有していることを特徴とする管端カバー具。
【請求項2】
配管材は予めルーズフランジを装着してあり、
管端収納室は、配管材のつば部側にルーズフランジを引き寄せることで当該つば部とルーズフランジをともに収納可能になっていることを特徴とする請求項1記載の管端カバー具。
【請求項3】
前記折返片は手指を差し入れることができる手掛け孔を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の管端カバー具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−247856(P2010−247856A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98607(P2009−98607)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【特許番号】特許第4338053号(P4338053)
【特許公報発行日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(391033724)シーケー金属株式会社 (32)
【Fターム(参考)】