説明

ねじ付き接続部

第1及び第2の管状コンポーネントを含むねじ付き接続部(1)であって、第1コンポーネントが、遠心面と、その外周面に設けられたねじ領域(5)とを含む雄型端部を含み;第2コンポーネントが、遠心面と、その内周面に設けられたねじ領域(4)とを含む雌型端部を含み;当該雄型端部のねじ領域(5)は、前記雌型端部のねじ領域(4)にねじ込まれ;ねじ領域(4、5)は各々前記遠心面から幅が広がった雄型及び雌型のねじ山(40、50)を含み;当該前記ねじ山はその径方向寸法の少なくとも部分にわたって負角であるロードフランク(43、53)とスタビングフランク(44、54)とを含み、前記雄型のねじ山の頂部(51)と前記雌型のねじ山の谷底部(42)との間及び/又は前記雌型のねじ山の頂部(41)と前記雄型のねじ山の谷底部(52)との間に接続された状態で存在する径方向の間隙があり、前記雄型及び雌型のねじ山のスタビングフランク(44、54)の間に接続された状態で存在する軸方向の間隙があり;並びに、前記雄型端部及び/又は雌型端部の前記遠心面は、対応する隣接面に対して軸方向に接合接触される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に炭化水素坑井の掘削又は作業に用いられる管状コンポーネントのための緊密な接続部の分野に関する。当該接続部は掘削又は作業中に高い圧縮応力及び引張応力を受けるが壊れてはならない。
【背景技術】
【0002】
当該接続部は、軸方向の引張応力又は圧縮応力、内部又は外部の流体圧力、曲げ応力又はねじり応力すらも受けるが、それらは組み合わされてもよく、変動しうる強度を伴う。応力及び現場での厳しい使用条件にもかかわらず、緊密性は継続されなければならない。ねじ付き接続部は、特に摩耗により性能劣化せずに何度か組立及び分解ができなければならない。分解しても当該管状コンポーネントは他の使用条件で再利用することができる。
【0003】
張力を受けると、ジャンプアウトという現象が起きて、1つのねじ山から他のねじ山へ伝播し、接続部が分解するリスクが生じる。この現象は内圧が高いと促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4822081号明細書
【特許文献2】米国特許第5462315号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2002/27363号明細書
【特許文献4】欧州特許出願第1046179号明細書
【特許文献5】欧州特許出願第1302623号明細書
【特許文献6】特開2002−081584号公報
【特許文献7】欧州特許第0488912号明細書
【特許文献8】米国特許第3870351号明細書
【特許文献9】国際公開第2007/017082号パンフレット
【特許文献10】米国特許第4611838号明細書
【特許文献11】米国特許第6047797号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は引張挙動に関して改良された接続部を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ねじ付き接続部は、第1及び第2の管状コンポーネントを含む。第1の管状コンポーネントは、ねじ領域、封止面及び軸方向隣接面を含む外周面が設けられた雄型端部を含む。第2の管状コンポーネントは、軸方向接合肩部、封止面及びねじ領域を含む内周面が設けられた雌型端部を含む。当該雄型端部のねじ領域は、各封止面が干渉接触し、各隣接面が接触するように、当該雌型端部のねじ領域にねじ込まれている。当該ねじ領域には谷底部、頂部、スタビングフランク及びロードフランクを含むねじ山が設けられ、接続された状態で、ねじ山の谷底部と頂部との間に存在する軸方向の間隙とスタビングフランク間に存在する径方向の間隙がある。当該ねじ山の軸方向の寸法は変化する。当該ロードフランク及びスタビングフランクは径方向寸法の少なくとも一部にわたり負角である。
【0007】
「ねじ込み」との用語は、ねじ領域の相互係合を伴う、1のコンポーネントの他のコンポーネントに対する相対的回転及び並進移動の操作を意味する。「接続」又は「組立」という用語は、ねじ込み後に、相対的回転及び並進を行い、2つのコンポーネント間に所定の組立トルクをもたらす操作を意味する。フランクの角度は、当谷底部と接続する湾曲部のレベルでフランクのベースを通過する径方向の面に対して時計回りの方向で測定される。
【0008】
本発明のさらなる特徴及び効果は以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、第1のねじ付き接続部を長手方向断面で概略的に示す。
【0010】
図2は、第2のねじ付き接続部を長手方向断面で概略的に示す。
【0011】
図3は、接続部のねじ領域を長手方向片側断面で概略的に示す。
【0012】
図4は、接続部のねじ領域の詳細を概略的に示す。
【0013】
図5は、雄型部分の一方の端部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面は、本発明を完成させるのに役立つだけではなく、必要に応じてその定義に寄与するであろう。
【0015】
接続部を改良するために、出願人は、API規格を超える高品質の接続部という優れた接続部を開発した。随意に封止面をねじ領域に隣接して設けることができ、当該面は、これらのコンポーネントをねじ込む際に干渉接触する。
【0016】
当該ねじ領域は、雄型及び雌型の管状コンポーネントの各々の端部に設けられている。雌型管状コンポーネントの管は、非常に長くすることができるか又は対照的に、短いカップリング型とすることができる。したがって、高圧流体(液体又はガス)に対する緊密性は当該封止面を径方向に相互に干渉接触させることによって生じる。径方向の干渉接触の強度は雄型及び雌型のねじ領域の軸方向の相対的な位置決めの関数であり、前記相対的な位置決めはそれぞれ雄型及び雌型の端部に設けられた隣接面の接触によって決まる。
【0017】
相対的な位置決めは隣接面の接触に起因する。隣接面は接続部の内面に設けられている。雄型端部は、外周面に、当該接続部の回転軸に対して径方向に配向する隣接面内で終わる端部によってそれ自体が延長されている封止面によって延長されたねじ領域を含む。雌型端部は、その内周面に、当該接続部の回転軸に対して径方向に配向する隣接面内で終わる端部によってそれ自体が延長されている封止面によって延長されたねじ領域を含む。したがって、当該接続部には二重隣接面がある。他の接続部は、ねじ領域の径方向外部又は内部に単一の隣接面がある。
【0018】
本出願人は、特に、直径が300mm以上、より具体的には、375mm以上の直径が長いねじ付き接続部に注目した。このような接続部は、場合によっては、強い引張荷重及び圧縮荷重を受ける。したがって、当該接続部が張力を受けて圧縮された時でも性能が良好であることが望ましい。引張荷重が過剰な場合、ねじ山は、接続部の2つのコンポーネントを分解する離脱現象により互いに分離しうる。その結果、技術的及び費用の面で特に不都合でありうる。ねじ切り部にテーパ状母線がある場合は特に、ねじ山のジャンプアウトが接続部を完全に損壊させることになりかねない。
【0019】
特許文献1は、石油探査管に用いられる雄型及び雌型の接続部用のねじ切りについて記載する。ねじ山は、肩部と端面とが接触した場合にフランク間を接続する自動ロック型である。隣接面は異なる角度でテーパ状になっている。ねじ山はまた、径方向で自動固定式である。その種の自動ロック及び自動固定式のねじ付き接続部は組立トルクが高くなければならないが、大口径管では達成が難しい。ねじ切りの自由体積は非常に小さく、ねじ込みにより高圧下で潤滑油が流れ出て、漏れてしまうかもしれない。ねじ山に対する隣接面の軸方向位置は、産業許容性のために不安定であり、封止面の位置決めが十分でなく、その後漏れが生じうる。ねじ込み操作の終期は、ねじ込み中に正方向の接合がないため、トルク上限を判断してどうにか検知することができる。接合は最終的な組立中に達成される。過剰なねじ込みトルクは、封止面の塑性を変形し、それにより、接続部のシールに悪影響を及ぼしうる。
【0020】
特許文献2はねじ切りの2つの部分の間に中央シールがある管状接続部を記載する。ねじ山のロードフランクは組立後に相互に接触する。その欠点は上記タイプと実質的に同じである。
【0021】
特許文献3、特許文献4及び特許文献5は組立後のねじ山フランクの接触を想定する。
【0022】
特許文献6はフック協働を伴うねじ山プロファイルを開示する。当該フックは、引張荷重及び径方向の変位荷重を全て支持するが、反復周期性の力でねじ山を損傷させうる。引張荷重は狭い表面積を介して伝達されるため、低位にしておかなければならない。スタビングフランクは急傾斜しており、圧縮強度に悪影響を及ぼす。ねじ山の頂部と谷部との間の干渉のため、ねじ込みトルクは高くなければならない。
【0023】
本出願人は、ねじ込みトルクが低くても、ねじ山の位置に無関係にジャンプアウトの危険性を大幅に低減し、支持面を的確に位置決めでき、潤滑油用の十分なスペースがある接続部を開発した。ねじ切りには可変ねじ山幅がある。接続状態、すなわち、組立後、スタビングフランク間に軸方向の間隙が存在し、ねじ山の谷底部と頂部との間に径方向の間隙が存在する。ねじ山のロードフランクは負角である。ねじ山のスタビングフランクは正角である。隣接面により封止面の位置決めを的確に行える。
【0024】
図1からわかるように、ねじ付き管状接続部1は雌型端部2及び雄型端部3を含む。雌型端部2及び/又は雄型端部3は、数メートル、例えば、10〜15メートル程度の長さの管の一部でありうる。一般的には雌型の一方の端部は、カップリング、換言すれば、各々2つの雄型端部(T&C接続部として知られるねじ込み及び結合接続部)を含む非常に長い2つの管を接続することができる短管の端部を構成することができる。カップリングは、2つの雌型端部を設けてよい。変形例では、管が非常に長い場合、1の雄型端部と1の雌型端部(一体ねじ付き接続部)とを設けてよい。接続部1は、工業大量生産型である。
【0025】
接続部1は、炭化水素坑井用のケーシングストリング若しくはチュービングストリング又は同坑井用のワークオーバーライザー若しくはドリルパイプストリングを構成するのに用いてよい。
【0026】
管は、例えば、機械的応力のレベル、当該管の内部又は外部の流体の腐食性等の使用条件により熱処理又は冷間加工される、異なる種類の非合金、低合金又は高合金鋼又は鉄合金又は非鉄合金でも製造してよい。また、保護層で被覆された低腐食性鋼管、例えば、腐食耐性合金又は合成材料をも用いることもできる。
【0027】
ねじ付き雌型端部2は雌型ねじ領域4を含む。雌型ねじ領域4は0.5°〜3°、好ましくは、1°〜2°の範囲の半角でテーパ状である。雌型ねじ領域4は雌型構成要素2の内側に設けられている。雄型端部3は前記雄型端部3の外周面に設けられた雄型ねじ領域5を含む。雄型ねじ領域5は雌型ねじ切り部4と結合する。雄型ねじ領域5には雌型ねじ領域4のテーパに実質的に等しいテーパがある。雌型端部2は、ねじ領域4及び5に関して隣接面7及び8の反対側に、当該接続部の軸20に実質的に垂直な遠心面6を含む。「遠心面」という用語は、連続又は不連続のねじ領域と、雄型又は雌型の当該構成要素の自由端部との間にある面を意味する。遠心面は自由端部に設けてよい。この場合、遠心面6は端部である。
【0028】
雌型ねじ領域4は端面6の近傍まで及ぶ。接続状態で、端面6は、雄型端部3の実質的に径方向のいずれの任意の面、特に肩部から、例えば、少なくとも0.1mm離れている。
【0029】
雄型端部3の遠心面は環状面であり、この場合、テーパ状である。当該遠心面は雌型端部2と雄型端部3との間の相対的な軸方向運動を制限することができる軸方向隣接面7を構成する。隣接面7は隣接面8も形成する雌型端部2の肩部に接触し、この場合、テーパ状である。隣接面7は、径方向面に対して、45°の角度まで放射状に又は傾斜してもよい。図1に示す実施例では、その角度は、15°〜25°程度である。
【0030】
雌型端部は、ねじ領域4と隣接面8との間に、実質的にテーパ状の面12と、場合によっては凹部10とを含む(図5を参照)。凹部10は、実質的に円筒形の面14と、ねじ領域4と実質的にテーパ状の面12との間に設けられた回転面18とを含んでよい。実質的にテーパ状の面12は隣接面8に隣接する。ねじ込み時にねじ領域4、5間から潤滑油が吐出される際、凹部10は潤滑油用のリザーバとして作用してよい。図1からわかるように、実質的に円筒形の面14に隣接するねじ領域4の少なくとも1の中空部は、接続状態では空であり、余剰潤滑油の収集に関与する。回転面18は、実質的に円筒形の面14を隣接面8に接続する。隣接面8は、特許文献7のテーパ形状、特許文献8あるいは特許文献9のドーナツ形状若しくは特許文献10の多段形状であって、特許文献11の隆起部があるか又はこれらの形状の組合せであってよい。当該明細書は読者に参照される。
【0031】
雄型端部3は、ねじ領域5を越えて隣接面7まで軸方向に延長するリップ部9を含む。リップ部9の外側は、実質的にテーパ状の面13を含むが、その長軸方向は雌型端部2の実質的にテーパ状の回転面12の軸方向よりわずかに長い。回転面13の部分と回転面12の部分は、図示されている接続部1の接続位置で相互に径方向に干渉接触する。封止面を形成する回転面12及び13は、当該接続部の内側と外側との間の流体が動くことを妨げることができる。当該封止面のテーパの角度は、1°〜45°、好ましくは、3°〜20°、例えば、6°であってよい。当該封止面のテーパの角度は当該ねじ領域のテーパの角度よりも大きくてよい。当該接続部は、接続状態で、回転面12及び13により形成された封止領域の位置決めが正確であることを担保する軸方向隣接面を含む。
【0032】
図2の実施形態は、雌型端部2の隣接面7と、雄型端部3の隣接面8とが、当該接続部の径方向外側に設けられている以外は上記の実施形態と同様である。隣接面7及び8は、雌型ねじ領域4及び雄型ねじ領域5と、接続部1の外側面との間に設けられている。雌型端部2は、隣接面8に隣接する封止面12と隣接面8の遠位側の封止面14とを含む。封止面14は、雌型ねじ領域4と雌型端部2の穴との間に設けられている。封止面14は実質的にテーパ状で、例えば1°〜45°の角度である。封止面12はドーム状で環状で、例えば、軸方向断面が円弧である。
【0033】
雄型端部3は、隣接面7に隣接する封止面13と隣接面7の遠位側の封止面15とを含む。封止面13は接続状態又は組立において封止面12と密に接触する。封止面15は、雄型ねじ領域5と雄型端部3の穴との間に設けられている。封止面15は実質的にテーパ状で、例えば1°〜45°の角度である。封止面15の角度は封止面14の角度より小さい。封止面15は接続状態又は組立において封止面14と密に接触する。
【0034】
雄型端部3のリップ部9は、封止面15と雄型端部3との間に延長する実質的に径方向の端面17を含む。端面17の径方向寸法は管の直径により0.5mm〜16mmであってよく、管自体の直径は最大で550mm、好ましくは300mm以上、より好ましくは、350mmであってよい。接続状態では、端面17は、雌型端部2の実質的に径方向のいずれの面からも、例えば少なくとも0.1mm離れている。当該接続部は、接続状態で、一面は封止面12及び13、他面は封止面14及び15で形成される2つの封止領域の位置決めが正確となるような軸方向隣接面を含む。
【0035】
上記2つの実施形態に相当する図3及び図4からわかるように、雌型ねじ領域4は、頂部に隣接する軸方向長がベース部に隣接する軸方向長よりも長いねじ山40を含む。雄型ねじ領域5は、頂部に隣接する軸方向長がベース部に隣接する軸方向長よりも長いねじ山50を含む。一方のねじ山のスタビングフランクの傾斜角度は時計回りに正であり、その角度は当該接続部の軸に垂直な径方向の平面に対して測定される。ねじ山のロードフランクの傾斜角度は時計回りに負であり、当該接続部の軸に垂直な径方向の平面に対してなす角度である。1の実施形態において、ねじ山40、50には蟻継ぎ状の側面がある。あるいは、ロードフランクの傾斜角度はスタビングフランクの傾斜角度とは異なる。雌型ねじ領域4のスタビングフランクの傾斜角度は雄型ねじ領域5のスタビングフランクの傾斜角度と実質的に等しい。雌型ねじ領域4のロードフランクの傾斜角度は雄型ねじ領域5のロードフランクの傾斜角度と実質的に等しい。
【0036】
ねじ山40、50は、頂部41、51と谷底部42、52とスタビングフランク44、54とを含む。当該フランクと頂部との間及び当該フランクと谷底部との間には接続湾曲部が設けられている。頂部41、51及び谷底部42、52の幅は、当該管の軸に沿った対応するねじ山の位置の関数として変化する。前記幅Lは、次のように表すことができる。
L=L+Ax
この場合、L及びAは定数であり、xは、当該軸に沿った位置である。当該幅は接続部1の軸に平行に測定される。頂部41、51及び谷底部42、52の直径は、当該ねじ切り部のテーパにより当該管の軸に沿った対応するねじ山の位置の関数として変化する。ねじ山40、50の頂部41、51及び谷底部42、52は、当該ねじ付き接続部の軸に平行である。これにより、機械加工及びねじ込み中の係合が容易になる。
【0037】
雄型ねじ領域5には第1の部分があってもよく、当該第1の部分の歯幅は雄型端部の端面に最も近い歯の幅に対応する値から前記端面から最も遠い歯の幅に対応する値へ増加するものの、雌型ねじ領域4の歯幅は雌型端部の端面から最も遠い歯の幅に対応する値から前記端面にもっとも近い歯の幅に対応する値に減少し、位置ねじ領域4、5がねじ込み時に協働してスタビングフランク間に軸方向の間隙をおく。
【0038】
雄型端部の端面に最も近い歯の幅と雌型端部の端面から最も遠い歯の幅との比は0.1〜0.8の範囲であってよい。
【0039】
(組立後の)接続状態では雌型ねじ領域4のねじ山40の頂部41と雄型ねじ領域5のねじ山50の谷底部52との間に径方向の間隙がある。当該径方向の間隙は、0.05mm〜0.5mm程度である。接続状態での径方向の間隙の選定は所望量の潤滑油及び機械加工公差により導かれてよい。機械加工品質が高ければ間隙は0.15mm以下が望ましい。接続状態ではねじ山40の谷底部42とねじ山50の頂部51との間に、図4に見られる径方向の間隙が存在する。当該径方向の間隙は0.05mm〜0.5mm程度である。
【0040】
(組立後の)接続状態では、雌型ねじ領域4のねじ山40及び雄型ねじ領域5のねじ山50の各スタビングフランク44、54間に図4に見られる軸方向の間隙がある。軸方向の間隙は0.002mm〜1mm程度である。接続状態での軸方向の間隙の選定は所望量の潤滑油、フランクの角度及び機械加工公差により導かれてよい。高品質の機械加工が行われ、フランクの角度が5°以下の絶対値である場合、間隙は0.05mm以下が望ましい。ロードフランク43及び53は組立後の干渉負荷を吸収する。
【0041】
雌型ねじ領域4のねじ山40のロードフランク43は、内圧の存在又は不存在下で、特に張力を受けて当該接続部の弾性が変形した場合、雄型ねじ領域5のねじ山50の対応する傾斜したロードフランク53に干渉するために径方向の平面に対して傾斜する。この干渉はねじ切り部間の連係を維持するために径方向である。当該ねじ切り部は径方向の保持フックを相互に形成する。ロードフランク43の傾斜は、−1°〜−15°の範囲である。−1°を超えると径方向の保持効果が低くなる。−15°を下回ると圧縮強度が影響を受けうる。好適範囲は−3°〜−5°である。雄型ねじ領域5のねじ山50のロードフランク53の傾斜は同様の主として好適な範囲で設けられている。ロードフランク53の傾斜はロードフランク43の傾斜と等しくてよく、又は、例えば約3°異なってもよい。
【0042】
雌型ねじ領域4のねじ山40のスタビングフランク44は、内圧の存在又は不存在下で、特に張力を受けて当該接続部の弾性が変形した場合、雄型ねじ領域5のねじ山50の対応する傾斜したスタビングフランク54に干渉するために径方向の平面に対して傾斜する。この干渉はねじ切り部間の連係を維持するために径方向である。当該ねじ切り部は径方向の保持フックを相互に形成する。スタビングフランク44の傾斜は1°〜15°の範囲である。1°を下回ると径方向の保持効果が低くなる。15°を超えると圧縮強度が影響を受けうる。好適範囲は3°〜5°である。雄型ねじ領域5のねじ山50のスタビングフランク54の傾斜は同様の主として好適な範囲で設けられている。スタビングフランク54の傾斜はスタビングフランク44の傾斜と等しくてよく又は例えば約3°異なってもよい。
【0043】
スタビングフランク44の傾斜は、ロードフランク43の傾斜と等しくてよく、又は、例えば約3°異なってもよい。スタビングフランク54の傾斜は、ロードフランク53の傾斜と等しくてよく、又は、例えば約3°異なっていてもよい。
【0044】
接続湾曲部は0.005mm〜3mmの範囲であってよい。当該接続湾曲部はロードフランク下部の応力の集中を低減し、すなわち、当該接続部の疲労挙動を改善する。
【0045】
雌型ねじ領域4及び雄型ねじ領域5は、多条ねじ、好ましくは、二条ねじを構成してよい。これによりねじ込みがより速くなる。
【0046】
フランクには蟻継ぎ状の側面があってよい。当該蟻継ぎ状のねじ山の形状は、ベースからねじ山の頂部へ徐々に軸方向の幅が狭まるねじ山と比較して、接続した場合に径方向の剛性が増す。
【0047】
フランクには台形状の側面があってよい。スタビングフランク間の軸方向の間隙は0.002mm〜1mmの範囲、好ましくは0.05mm〜0.5mmの範囲であってよい。
【0048】
径方向の間隙は第1コンポーネントのねじ谷底部及び/又は第1コンポーネントのねじ頂部に設けてよい。径方向の間隙は0.05mm〜0.5mmの範囲、好ましくは0.05mm〜0.15mmの範囲であってよい。
【0049】
ロードフランクは−1°〜−15°、好ましくは−3°〜−5°の角度であってよい。スタビングフランクは1°〜15°の範囲、好ましくは、3°〜5°の範囲の角度であってよい。ロードフランクの角度はスタビングフランクとは異なってよい。
【0050】
相互接触時の隣接面は、径方向の面に対して0°〜45°の範囲、好ましくは5°〜20°の範囲の角度であってよい。
【0051】
ねじ領域は、例えば、二条ねじ等の多条ねじを構成してよい。
【0052】
雄型端部は、その遠心面とねじ領域(5)との間に、当該雌型端部に設けられた対応する封止面と協働する金属/金属封止面を含んでよい。
【0053】
雌型端部は、その遠心面とねじ領域(6)との間に、当該雄型端部に設けられた対応する封止面と協働する金属/金属封止面を含んでよい。
【0054】
ねじ領域には4%〜15%の範囲の傾斜があるテーパ母線があってよい。
【0055】
本発明は単に例示であり、上記の接続部及び管の実施例に限定されないが、本明細書と共に提出された請求の範囲の文脈から当業者が想定できるいかなる変形例をも包含する。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の管状コンポーネントを含むねじ付き接続部(1)であって、第1コンポーネントが、遠心面と、その外周面に設けられたねじ領域(5)とを含む雄型端部を含み;第2コンポーネントが、遠心面と、その内周面に設けられたねじ領域(4)とを含む雌型端部を含み;前記雄型端部のねじ領域(5)は、前記雌型端部のねじ領域(4)にねじ込まれ;ねじ領域(4、5)は各々前記遠心面から幅が広がった雄型及び雌型のねじ山(40、50)を含み;前記ねじ山はその径方向寸法の少なくとも部分にわたって負角であるロードフランク(43、53)とスタビングフランク(44、54)とを含み、前記雄型のねじ山の頂部(51)と前記雌型のねじ山の谷底部(42)との間及び/又は前記雌型のねじ山の頂部(41)と前記雄型のねじ山の谷底部(52)との間に接続された状態で存在する径方向の間隙があり、前記雄型及び雌型のねじ山のスタビングフランク(44、54)の間に接続された状態で存在する軸方向の間隙があり;並びに、前記雄型端部及び/又は雌型端部の前記遠心面は、対応する隣接面に対して軸方向に接合接触される;ことを特徴とする、前記ねじ付き接続部。
【請求項2】
スタビングフランク(44、54)間の前記軸方向の間隙は、0.002mm〜1mm、好ましくは、0.05mm〜0.5mmの範囲にある、請求項1記載のねじ付き接続部。
【請求項3】
前記径方向の間隙は雄型ねじ領域(5)の前記ねじ山の谷底部に設けられる、請求項1又は2記載のねじ付き接続部。
【請求項4】
前記径方向の間隙は雄型ねじ領域(5)の前記ねじ山の頂部に設けられる、請求項1〜3のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項5】
前記径方向の間隙は、0.05mm〜0.5mm、好ましくは、0.05mm〜0.15mmの範囲にある、請求項1〜4のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項6】
ロードフランク(43、53)の角度は、−1°〜−15°、好ましくは、−3°〜−5°の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項7】
スタビングフランク(44、54)の角度は、1°〜15°、好ましくは、3°〜5°の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項8】
ロードフランク(43、53)の角度は、スタビングフランク(44、54)とは異なる、請求項1〜7のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項9】
前記雄型端部の遠心面は、前記雌型端部の対応する隣接面と軸方向に接合接触する、請求項1〜8のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項10】
前記雌型端部の遠心面は、前記雄型端部の対応する隣接面と軸方向に接合接触する、請求項1〜9のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項11】
相互に接触する隣接面(7、8)の角度は、径方向の平面に対して0°〜45°、好ましくは、5°〜20°の範囲である、請求項1〜10のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項12】
前記雄型端部は、その遠心面とねじ領域(5)との間に、前記雌型端部に設けられた対応する封止面と協働する金属/金属封止面を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項13】
前記雌型端部は、その遠心面とそのねじ領域(6)との間に、前記雄型端部に設けられた対応する封止面と協働する金属/金属封止面を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項14】
ねじ領域(4、5)は、多条ねじタイプ、好ましくは、二条ねじである、請求項1〜13のいずれか1項記載のねじ付き接続部。
【請求項15】
前記ねじ領域は4%〜15%の範囲で傾斜するテーパ母線がある、請求項1〜14のいずれか1項記載のねじ付き接続部。



【公表番号】特表2013−511672(P2013−511672A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539218(P2012−539218)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006823
【国際公開番号】WO2011/060894
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504255249)ヴァルレック・マンネスマン・オイル・アンド・ガス・フランス (30)
【氏名又は名称原語表記】VALLOUREC MANNESMANN OIL & GAS FRANCE
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】