説明

ねじ供給装置及びねじ充填装置

【課題】 簡単な構成で異なる径のねじに対応可能な一列収容マガジンを有するねじ供給装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 ねじ供給装置は、複数のねじ12を一列に整列して収納するマガジン2と、マガジン2を支持するマガジン台4とを有する。マガジン2は、ねじ12の頭部12aを摺動可能に支持する一対のレール部材24と、レール部材24の間に挟まれて固定されたスペーサ26とを含む。スペーサ26が挟まれることにより形成されたレール部材24の間の溝部にねじ12のねじ部12bが収容さる。レール部材24とスペーサ26とは互いに取り外し可能に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はねじ供給装置に係り、より詳細には、整列したねじをねじ取り出し部に順次供給するねじ供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械組み立て工場における組み立ラインにおいて、ねじ締めにより部品を組み付けたり組み立てたりすることが多く、組み立て工程には多くのねじ締め工程が含まれる。ねじ締め工程では、ねじ締め工程の時間を短縮するために、自動ねじ供給装置が用いられることが多い。
【0003】
自動ねじ供給装置は、一般的に、多数のねじを収容するホッパーと、ホッパーからねじを取り出して整列させながらねじ取り出し部(ドライバでねじを取り上げる場所)まで搬送するねじ搬送部とを有する。ホッパーに収容されたねじは、ホッパーの振動により搬送部の入り口に自動的に移動し、搬送部に一定の姿勢で次々と入って行く。搬送部に入ったねじは、重力あるいは振動により搬送部のねじ通路に沿って移動し、ねじ取り出し部まで搬送される。ねじ取り出し部まで移動してきたねじは、ドライバのビットに吸着されて取り出し部から取り出される。このような自動ねじ供給装置では、ホッパーや搬送部の入り口においてねじの形状や姿勢が原因でねじ詰まりが生じ、ねじの供給が止まってしまうという問題がしばしば生じる。
【0004】
また、ホッパー内のねじを揺動アームですくい上げて搬送部に供給する機構もあるが、揺動アームですくい上げたねじの姿勢はばらばらであり、ねじが絡み合ってうまく整列しないとやはりねじ詰まりが生じ、ねじの供給が止まってしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、ホッパーを用いずに、頭を上に向けた同じ姿勢でマトリクス状に整列した状態で多数のねじを平板状のトレイの穴に収容し、ドライバによる取り出し部に平板状のトレイを配置することで、ドライバでねじを一つ一つ吸着する方法が用いられることがある。この方法は、例えばOリング付きねじのように、ホッパーや搬送部により搬送し難いねじの供給方法として用いられることが多い。
【0006】
しかし、平板状のトレイからねじを一つ一つ取り出すには、取り出す位置がねじの一つ一つで異なってしまい、ねじを取り出し難いという問題がある。また、平板状のトレイの穴にねじを同じ姿勢で充填するための簡単で良い方法が無く、人手でねじをトレイに充填することとなると、製造コストが上昇してしまう。
【0007】
そこで、平板状のトレイではなく、ねじを同じ姿勢で頭を上に向けた状態で一列に収容するカセットが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【特許文献1】特開平8−192371号公報
【特許文献2】実用新案登録第3041627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ねじを一列に収容するカセットは、ねじの頭部を支持することのできる溝を有している。ねじは頭部を支持された状態で一列に整列してカセットの溝に収容される。ねじの頭部の上部にはカバーが設けられ、カセットが傾いてもねじが溝から外れて落ちないようになっている。
【0009】
従来の一列収容カセットにおいて、ねじの頭部を支えながら溝にねじ部を収容するために溝の幅はねじの頭部の直径より小さく、ねじ部の直径より僅かに大きくなっている。したがって、異なる径のねじを供給するためにカセットを交換しなければならないという不都合があった。
【0010】
また、依然としてカセットにねじを充填する良い方法がなく、振動や揺動アームによりねじを整列させて供給するねじ充填装置は機構が複雑で高価であるという問題もあった。
【0011】
そこで、簡単な構成で異なる径のねじに対応可能な一列収容カセット又はマガジンを有するねじ供給装置の開発が望まれている。また、簡単な構成で一列収容カセット又はマガジンにねじを充填することのできるねじ充填装置の開発も望まれている。
【0012】
一般的なねじ供給では、電動ねじ締めドライバのビットを着磁したものでねじを吸着しねじ締め作業を行う。(例えば特開平4−5306に開示されている。)
しかし、非磁性体ねじ供給では、吸引式の電動ねじ締めドライバを用いてねじ吸着を行っている。この場合の供給機からのねじ取り出しをうまく行うものが無かった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するために、複数のねじを一列に整列して収納するマガジンと、該マガジンを支持するマガジン台とを有するねじ供給装置であって、前記マガジンは、前記ねじの頭部を摺動可能に支持する一対のレール部材と、該レール部材の間に挟まれて固定されたスペーサとを含み、該スペーサが挟まれることにより形成された前記レール部材の間の溝部に前記ねじのねじ部が収容され、前記レール部材と前記スペーサとは互いに取り外し可能に固定されているねじ供給装置が提供される。
【0014】
また、ねじ取り出し部を有するねじ供給装置であって、該ねじ取り出し部は、円錐状の内面を有する円錐部と、該円錐部の底部に中心軸に一致する円筒部を有し、円筒部底部に、該ねじの中心軸が前記円錐部の円錐状内面の中心軸に一致するようにねじの頭部に当接するストッパとを有することを特徴とするねじ供給装置が提供される。
【0015】
さらに、ねじ供給装置のマガジンに着脱可能に取り付けられて複数のねじを前記マガジンに充填するねじ充填装置であって、複数のねじを移動可能に収容するトレイと、該トレイの一辺側に設けられ、前記ねじの頭部が横向きに入る案内溝と、前記マガジンと連結する連結部と、前記案内溝に頭部が収容されてトレイ内で整列したねじのねじ部を覆うように取り付けられる蓋とを有するねじ充填装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
上述のねじ供給装置のマガジンは、レール部材の間のスペーサを交換するだけで、異なる径のねじを収容することができる。また、上述のねじ充填装置は、簡単な構成で一列収容マガジンにねじを充填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は一実施形態によるねじ供給装置の斜視図である。図1に示すねじ供給装置は、複数のねじを収容する2本のマガジン2と、マガジン2を傾斜した状態で支持するマガジン台4とを有する。マガジン台4は、マガジン2が取り付けられるテーブル6を有する。テーブル6には、マガジン2の先端が連結されるねじ取り出し部8が固定されている。ねじ取り出し部8の反対側には、マガジン2の端部に係合してマガジンをテーブル6に固定するためのマガジン固定部10が設けられている。
【0019】
2本のマガジン2の各々は、マガジン固定部10の係合を解除することで、テーブル6及びねじ取り出し部8から取り外すことができる。
【0020】
図2はマガジン2の斜視図である。マガジン2は多数のねじ12を一列に整列した状態で収容するマガジン本体20と、マガジン本体20の長手方向の両端に設けられたシャッタ機構22とを有する。シャッタ機構22は、後述のようにマガジン本体20に収容されたねじ12が外に出ないようにねじ12の通路を塞ぐための機構である。
【0021】
図3はマガジン2の断面図である。マガジン本体20は、1対のレール24と、レール24の間に挟まれて固定されたスペーサ26とを有する。さらに、マガジン本体20にはねじ12の頭部12aを部分的に覆うカバー28が設けられる。
【0022】
一対のレール24とスペーサ26とカバー28とは、レール24の間にスペーサ26が挟まれ且つカバー28が片側のレール24の側面に沿って配置された状態で、止めねじ30により締め付けられて互いに固定される。止めねじ30はレール24の長手方向に沿って複数箇所に設けられ、レール24とスペーサ26を強固に固定して一体としてマガジン本体20を形成する。
【0023】
片側のレール24に止めねじ30がねじ込まれるねじ孔が設けられ、スペーサ26、もう一方のレール24及びカバー28に貫通孔が設けられている。止めねじ30を、カバー28、レール24、及びスペーサ26の貫通孔に挿入して、反対側のレール24のねじ孔にねじ込んで締め付けることで、スペーサ26をレール24の間に挟んだ状態で互いに固定することができる。したがって、止めねじ30を緩めて外すことで、レール24とスペーサ26を容易に分離することができる。この際、カバー28も止めねじ30で固定されているので、カバー28も分離することができる。
【0024】
以上のように、一対のレール24の間にスペーサ26を挟んで固定することで、レール24の間にスペーサ26の厚みに等しい幅の溝部32(第1の溝部)が形成される。この溝部32は、ねじ12のねじ部12bを収容する溝となる。
【0025】
ここで、ねじ12が図3に示すようにOリング付きねじの場合、Oリング12cがねじ12の頭部12aの下に組み込まれている。そこで、Oリング12cの逃げ溝として、溝部32より幅の大きい溝部34(第2の溝部)が形成されている。すなわち、Oリング12cが設けられた部分において、幅の大きい溝部34を形成することで、Oリング12cがレール24の内面又は上面(ねじ12の頭部12aが摺動する面)に接触しないようにしている。これにより、ねじ12は溝部32に沿って滑らかに移動することができる。
【0026】
カバー28は一方のレール24の外側から立ち上がって90度折れ曲がり、ねじ12の頭部12aを部分的に覆うような形状となっている。カバー28でねじ12の頭部12aを部分的に覆うことで、マガジン2が傾いたりマガジン2に衝撃が加わったときにねじ12が溝部30から外れて落下することを防止している。また、カバー28がねじ12の頭部12aの全体ではなく部分的に覆うことにより、マガジン2に収容されているねじ12の状態を容易に目視で確認することができ、また、ねじ12に触れて姿勢を直したりすることができる。図3に示す例では、上から見たときにねじ12の頭部12aがほぼ半分だけカバー28により覆われている。
【0027】
カバー28の取り付け位置は上下にずらすことができ、ねじ12の頭部12aの厚みに応じて、カバー28が頭部12aに接触しない程度の距離に調節することができる。
【0028】
以上のような構成のマガジン2によれば、スペーサ26を異なる厚みのものに交換することで、異なるねじ径のねじを収容するマガジンに変更することができる。したがって、各種のねじ径に対応して多数のマガジン2を準備する必要がなくなり、ねじ供給装置のコストを低減することができる。
【0029】
ここで、マガジン本体20の両端に設けられたシャッタ機構22について説明する。図4はシャッタ機構22の拡大斜視図であり、(a)にはシャッタが閉じた状態、(b)にはシャッタが開いた状態が示されている。
【0030】
シャッタ機構22は、シャッタ22aと、シャッタ閉ロックバネ22bと、シャッタピン22cとを有する。シャッタ22aは、カバー28の反対側からレール24の上面上に延在する当接部を有する。この当接部がねじ12を止めるためのシャッタとして機能する。シャッタ22aは、当接部がレール24の上面に接触するかその近傍の位置となる第1の位置(図4(a)に示す位置)と、当接部がカバー28と同じ程度の位置となる第2の位置(図4(b)に示す位置)との間で移動可能にレール24に取り付けられている。したがって、シャッタ22aが第1の位置にあるときは、マガジン2内でレール24の上面で支持されているねじ12はシャッタ22aによって止められ、マガジン2から外れて落ちないようになっている。シャッタ22aを移動して第2の位置とすると、ねじ12の頭部12aはシャッタ22aの当接部に当接せず、当接部の下を通過してマガジン2の外に移動することができる。
【0031】
シャッタ22aには、シャッタ閉ロックバネ22bが押圧されている。シャッタ22aが第1の位置にありシャッタ22aが閉じた状態では、シャッタ閉ロックバネ22bはシャッタ22aの側部に設けられた切り欠きに係合する。これにより、シャッタ22aは第1の位置に保持される。また、シャッタ22aは第1の位置になるようにシャッタ閉ロックバネ22bの一部(図示せず)により常に付勢されている。
【0032】
シャッタ22aが第2の位置に移動するように力を加えると、シャッタ22aは移動しようとするが、その力が弱いときにはシャッタ閉ロックバネ22bの係合が解除されずに、第1の位置から移動することはできない。シャッタ22aに加わる力がある程度大きくなると、シャッタ閉ロックバネ22bが切り欠きに係合している部分が押し上げられ、係合が解除され、シャッタ22aはシャッタ閉ロックバネ22bの付勢力に抗して第2の位置に移動する。
【0033】
このようにシャッタ22aを移動させるためにシャッタピン22cがシャッタ22aに取り付けられている。シャッタピン22cは、レール24を貫通した長孔(図示せず)を貫通してレール24と反対側のレール24との間の空間(溝)に突出している。したがって、レール24の間に突出したシャッタピン22cを押圧することで、シャッタ22を第1の位置(図4の(a))から第2の位置(図4の(b))に移動することができる。シャッタピンへ22cの押圧が無くなると、シャッタ22aはシャッタ閉ロックバネ22bの付勢力により自動的に第1の位置に戻る。通常の状態ではシャッタ22aは第1の位置にあり、マガジン2内のねじ12はシャッタ22の当接部に当接して外に出ないようになっている。シャッタピン22cを押圧してシャッタ22bを開く動作については後述する。
【0034】
ここで、マガジン2にねじ12を充填するためのねじ充填装置40について説明する。図5はねじ充填装置40の平面図であり、図6はねじ充填装置40の側面図である。
【0035】
ねじ充填装置40は、上が開いた箱形のトレイ42を有する。トレイ42の中にトレイ底板44が取り付けられている。トレイ底板44の一辺側にはねじ頭ガイド溝44aが形成されている。トレイ42のねじ頭ガイド溝44aの一端側は開放されており、この部分にトレイ42の外壁から突出した状態でマガジンガイド46が取り付けられている。
【0036】
トレイ42内のトレイ底板44上に多数のねじ12を置いてトレイ42を図9に示す矢印方向に揺動すると、ねじ12は姿勢を変えながらトレイ底板44上を移動する。そして、頭部12aがねじ頭ガイド溝44aの位置まで移動してきたねじ12は、図7及び図8に示すように頭部12aの一部がねじ頭ガイド溝44a内に入り込む。頭部12aの一部がねじ頭ガイド溝44a内に入り込むと、そのねじはトレイ42の揺動では移動しなくなり、ねじ頭ガイド溝44aの延在方向に整列する。
【0037】
図9はトレイ42を開放された部分から見た側面図であり、頭部12aの一部がねじ頭ガイド溝44a内に入り込んだねじ12が示されている。ねじ12をねじ頭ガイド溝44aに沿って移動させると、整列したねじ12をトレイ42の開放された部分から次々とトレイ42の外に出すことができる。
【0038】
図7、図8及び図9に示すように多数のねじ12がねじ頭ガイド溝44aに沿って整列したら、図11に示すようにガイド蓋48をねじ12を覆うようにトレイ42に取り付ける。ガイド蓋48は、整列したねじ12のねじ部だけを覆うような形状の板である。ガイド蓋48は両端がトレイ42内のブロック上に配置される。この状態でガイド蓋48と整列したねじ12のねじ部との間には隙間があり、ねじ12はねじ頭ガイド溝44aに沿って移動可能となっている。図12はガイド蓋48を取り付けた状態のトレイ42の側面図である。
【0039】
図11及び図12に示すようにガイド蓋48をトレイ42に取り付けたら、トレイ42の開放された部分(マガジンの連結部に相当する)にマガジン2を連結する。トレイ42へのマガジン2の連結は、トレイ42から突出して設けられたシャッタ押圧部材としてマガジンガイド46をマガジン2のレール24の間に挿入して係合させることで行なう。
【0040】
図13はマガジンガイド46をレール24の間に挿入する際の動作を示す斜視図である。図13(a)はマガジンガイド46をレール24の間に挿入する前の状態を示し、図13(b)はマガジンガイド46をレール24の間に挿入した後の状態を示す。マガジンガイド46の厚みはレール24の間の距離にほぼ等しくなっており、マガジンガイド46はレール24の間に嵌合して係合するようになっている。
【0041】
ここで、マガジンガイド46がレール24の間に挿入されると、シャッタ機構22のシャッタピン22cがマガジンガイド46により押圧されて上方に移動する。シャッタピンはシャッタ22aに取り付けられているので、シャッタピン22cの移動に伴いシャッタ22cも、シャッタが開いた状態となる第2の位置に移動する。すなわち、マガジン2をねじ充填装置40に取り付けると、自動的にシャッタ22cが開いてねじ12がシャッタ22cの部分を通過できるようになる。
【0042】
マガジン2をねじ充填装置40に取り付けるときは、図14に示すようにねじ充填装置40を縦にしてねじ12の頭部12cが上になった状態で行なうことが好ましい。マガジン2をねじ充填装置40に取り付けたら、マガジン2が下になるようにねじ充填装置40を傾斜させる。上述のようにシャッタ22cは自動的に開いているので、ねじ充填装置40のトレイ42内で整列していたねじ12は、重力でトレイ42内を移動してマガジンの連結部を通過し、マガジン2に充填される。
【0043】
整列したねじ12の全てがマガジン2に移行したら、マガジン2をねじ充填装置から取り外す。このとき、マガジン2のシャッタ22aは自動的に閉じて、ねじ12はマガジン2内に保持される。なお、図14では、マガジン2の一端側にのみシャッタ機構22が設けられている。マガジン2の他端側はねじ12が溝部から出てしまわないようにストッパを設けておけばよい。図2に示すようにシャッタ機構22をマガジン2の両端に設けてもよいが、マガジン2の少なくとも一端側にシャッタ機構22を設けておけば、シャッタ機構22が設けられた側をねじ充填装置40への連結及び図1に示すねじ取り出し部8への連結に用いることができる。
【0044】
次に、ねじ12をドライバのビットで取り出す部分であるねじ取り出し部8について説明する。
【0045】
図1に示すように、ねじ取り出し部8にはマガジン2のシャッタ機構22が設けられた側が連結される。このねじ取り出し部8への連結の際に、上述のねじ充填装置との連結と同じ機構によりシャッタ22aが自動的に開かれて、マガジン2内のねじ12はねじ取り出し部8に移動する。ねじ取り出し部8に移動したねじ12は、最終的にドライバにより吸着分離されるねじ取り出し位置まで移動し、ストッパに当接して停止する。
【0046】
図15はねじ取り出し部8のねじ取り出し位置付近の部分の断面図である。また、図16はねじ取り出し部のねじ取り出し位置付近の部分の斜視図である。ねじ取り出し部8のねじ取り出し位置には、ねじ吸着スリーブガイド50が設けられている。図15に示す例では、電動ねじ締めドライバ60がねじ吸着機構によりねじ12をドライバビット62の先端に吸着して保持する。ねじ吸着機構は、図15に示すようにねじ吸着スリーブ64を有している。ねじ吸着スリーブ64内の空気を吸引することで、ドライバビット62の周囲に吸着力を発生させ、ねじ12をドライバビット62の先端に吸着することができる。ねじ吸着スリーブガイド50は、ドライバビット62の先端がねじ取り出し位置にあるねじ12に位置決めされるように電動ねじ締めドライバ60のねじ吸着スリーブ64を案内するために設けられる。
【0047】
図17はねじ吸着スリーブガイド50の斜視図である。ねじ吸着スリーブガイド50は、ねじ吸着スリーブ64を位置決めするために、ねじ吸着スリーブガイド円錐部52を有している。ねじ吸着スリーブガイド円錐部52は円錐の内面(テーパが付いた円筒の内面)の一部であり、下部に開口の直径がねじ吸着スリーブ64の外径より僅かに大きいねじ吸着スリーブ位置決め円筒部53を有している。ねじ吸着スリーブ位置決め円筒部53が形成する中心軸は、ストッパ54に当接してねじ取り出し位置に位置しているねじ12の中心軸に一致している。また、ねじ吸着スリーブ64内のドライバビット62の中心軸は、ねじ吸着スリーブ64の中心軸に一致している。
【0048】
したがって、図18に示すようにねじ12がねじ取り出し位置に位置している状態で、電動ねじ締めドライバ60のねじ吸着スリーブ64をねじ吸着スリーブガイド円錐部52に当てながら押し下げると、ねじ吸着スリーブ64はねじ吸着スリーブガイド円錐部52により案内されて、ねじ吸着スリーブ位置決め円筒部53にドライバビット62の先端が精度よくねじ12のビット嵌合部に位置決めされる。これにより、ねじ12をドライバビット62の先端に吸着して容易に取り出すことができる。
【0049】
図19はねじ吸着スリーブガイド50の他の実施例を示す。ねじ供給装置66のねじ取り出し部8の先に吸着スリーブガイド50を配置したもので、複雑なねじ分離機構を使わず、安価にねじの分離供給が行える。
【0050】
図1に示すねじ供給装置は、マガジン2を斜めに傾斜させて支持し、重力によりねじ12をねじ取り出し部8に送り込む方法を採用しているが、マガジン2を水平に支持して振動を与えることでねじ12を移動させる方法を採用してもよい。図20はマガジンに振動を与える電動フィーダを用いたねじ供給装置の斜視図である。図20において、マガジン2は電動フィーダ70により水平に支持されており、電動フィーダ70が発生する振動によりマガジン2内のねじはねじ取り出し部8に向けて移動するようになっている。
【0051】
なお、図1及び図20に示すねじ供給装置には、マガジンが2つ取り付けられているが、マガジンは一つあればよい。マガジンを2つとすることで、いずれかのマガジンを取り替えている間にもう一つのマガジンからねじを連続して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】一実施形態によるねじ供給装置の斜視図である。
【図2】マガジンの斜視図である。
【図3】マガジンの断面図である。
【図4】シャッタ機構の拡大斜視図である。
【図5】ねじ充填装置の平面図である。
【図6】ねじ充填装置の側面図である。
【図7】トレイに多数のねじを入れた状態のねじ充填装置の平面図である。
【図8】トレイに多数のねじを入れた状態のねじ充填装置の斜視図である。
【図9】トレイが開放された部分から見たねじ充填装置の側面図である。
【図10】トレイに多数のねじを入れた状態のねじ充填装置の斜視図である。
【図11】トレイにガイド蓋を取り付けた状態のねじ充填装置の斜視図である。
【図12】トレイにガイド蓋を取り付けた状態のねじ充填装置の側面図である。
【図13】マガジンガイドをレールの間に挿入する際の動作を示す斜視図である。
【図14】マガジンをねじ充填装置に連結した状態の斜視図である。
【図15】ねじ取り出し部のねじ取り出し位置付近の部分の断面図である。
【図16】ねじ取り出し部のねじ取り出し位置付近の部分の斜視図である。
【図17】ねじ吸着スリーブガイドの斜視図である。
【図18】ねじが供給された状態のねじ取り出し部の斜視図である。
【図19】ねじ吸着スリーブガイドを有するねじ供給装置の斜視図である。
【図20】電動フィーダを用いたねじ供給装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
2 マガジン
4 マガジン台
6 テーブル
8 ねじ取り出し部
10 マガジン固定部
12 ねじ
20 マガジン本体
22 シャッタ機構
22a シャッタ
22b シャッタ閉トックバネ
22c シャッタピン
24 レール
26 スペーサ
28 カバー
40 ねじ充填装置
42 トレイ
44 トレイ底板
44a ねじ頭ガイド溝
46 マガジンガイド
48 ガイド蓋
50 ねじ吸着スリーブガイド
52 ねじ吸着スリーブ位置決め円錐部
54 ストッパ
70 電動フィーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のねじを一列に整列して収納するマガジンと、
該マガジンを支持するマガジン台と
を有するねじ供給装置であって、
前記マガジンは、前記ねじの頭部を摺動可能に支持する一対のレール部材と、該レール部材の間に挟まれて固定されたスペーサとを含み、該スペーサが挟まれることにより形成された前記レール部材の間の溝部に前記ねじのねじ部が収容され、
前記レール部材と前記スペーサとは互いに取り外し可能に固定されていることを特徴とするねじ供給装置。
【請求項2】
請求項1記載のねじ供給装置であって、
前記マガジンの前記レール部材の間の前記溝部は、前記ねじの頭部が摺動する部分の近傍の幅が大きい2段の溝であることを特徴とするねじ供給装置。
【請求項3】
請求項2記載のねじ供給装置であって、
前記ねじはOリング付きねじであり、
前記溝部は、前記ねじのねじ部が入る第1の溝部と、Oリングが入る第2の溝部とを含むことを特徴とするねじ供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか一項記載のねじ供給装置であって、
前記マガジンは、前記ねじが収容された際に前記ねじの頭部の一部を覆うカバーをさらに有することを特徴とするねじ供給装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のねじ供給装置であって、
前記マガジンの長手方向の一端に設けられ、前記レールに支持されたねじの頭部に当接する第1の位置と、該ねじの頭部に当接しない第2の位置との間で移動可能なシャッタをさらに有することを特徴とするねじ供給装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のねじ供給装置であって、
前記マガジンに着脱可能に取り付けられて複数のねじを前記マガジンに充填するねじ充填装置を更に有し、
該ねじ充填装置は、
複数のねじを移動可能に収容するトレイと、
該トレイの一辺側に設けられ、前記ねじの頭部が横向きに入る案内溝と、
前記マガジンと連結する連結部と、
前記案内溝に頭部が収容されてトレイ内で整列したねじのねじ部を覆うように取り付けられる蓋と
を有することを特徴とするねじ供給装置。
【請求項7】
請求項6記載のねじ供給装置であって、
前記マガジンの長手方向の一端に設けられ、前記レールに支持されたねじの頭部に当接する第1の位置と、該ねじの頭部に当接しない第2の位置との間で移動可能なシャッタをさらに有し、
前記トレイの前記連結部は、前記マガジンが前記トレイに連結されたときに前記シャッタを押圧して前記第2の位置に移動させるシャッタ押圧部材を含むことを特徴とするねじ供給装置。
【請求項8】
ねじ取り出し部を有するねじ供給装置であって、
該ねじ取り出し部は、
円錐状の内面を有する円錐部と、
該円錐部の底部に中心軸に一致する円筒部を有し、円筒部底部に、該ねじの中心軸が前記円錐部の円錐状内面の中心軸に一致するようにねじの頭部に当接するストッパと
を有することを特徴とするねじ供給装置。
【請求項9】
請求項8記載のねじ供給装置であって、
前記ねじ取り出し部において、前記円錐部の一部が切り取られていることを特徴とするねじ供給装置。
【請求項10】
ねじ供給装置のマガジンに着脱可能に取り付けられて複数のねじを前記マガジンに充填するねじ充填装置であって、
複数のねじを移動可能に収容するトレイと、
該トレイの一辺側に設けられ、前記ねじの頭部が横向きに入る案内溝と、
前記マガジンと連結する連結部と、
前記案内溝に頭部が収容されてトレイ内で整列したねじのねじ部を覆うように取り付けられる蓋と
を有することを特徴とするねじ充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−29959(P2010−29959A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192447(P2008−192447)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】