説明

はしご昇降装置

【課題】車両上面に積載されているはしごを昇降させる際に、はしごを収納しているベッド部の上方旋回スペースを抑え、手動操作を軽労化できるはしご昇降装置を提供する。
【解決手段】ベッド部2が後方支持ローラ6bに支持されつつ、ガイドローラ2aをガイドフレーム3aにガイドされて車両後方側に所定長さスライドした際に、第1係合部2bと第2係合部5aとが係合するとともに、ガイドローラ2aがガイド解除部3bに位置し、この位置でベッド部2の車両後方側が下方に引かれることにより、リフトアーム5が固定支軸5bを中心にして車両後方側に回動するとともに、スライドアーム6が固定支持ローラ7によって車両後方側が低くなるように傾斜しつつ、車両後方側にスライドし、このスライドアーム6の後方支持ローラ7でベッド部2を支持することによりベッド部2を車両後方側に旋回させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はしご昇降装置に関し、さらに詳しくは、車両の上面に積載されているはしごを降ろす際および元の位置に戻す際に、はしごを収納しているベッド部の上方旋回スペースを抑え、手動操作を軽労化できるはしご昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レスキュー自動車(救助工作車)、消防自動車等の各種作業自動車の中には、上面にはしご(三連はしごやかぎ付きはしご等)を積載している車両がある。車両上面に積載されたはしごは、緊急の際などに車両から降ろされ、現場に運ばれて使用される。従来、車両上面に積載されたはしごを車両から降ろし、使用後に元の位置(車両上面)に戻すため、例えば、図9、10に示すはしご昇降装置13が使用されていた。
【0003】
このはしご昇降装置13は、車両12の上面にベース部15を介して取付けられたガイドフレーム16と、はしご11を収納するベッド部14と、ベッド部14を車両前後方向にスライド可能に支持する固定支持ローラ17とを備えている。ガイドフレーム16は、車両後方側が高くなるように傾斜して延設され、ベッド部14に設けられたガイドローラ14aをスライド可能に保持する。
【0004】
図9に示すように、はしご昇降装置13が車両12の上面に積載された状態では、ベース部15の後端部に設けられたスライドロック18によって、ベッド部14の車両前後方向のスライドがロックされる。スライドロック18によるロックを解除して、ベッド部14を車両後方側にスライドさせると、ガイドローラ14aがガイドフレーム16に沿って車両後方側に移動するとともに、ベッド部14が固定支持ローラ17を中心に上下方向に旋回する。これにより、図10に示すようにベッド部14は車両12の後部で下方移動した状態になり、この状態のベッド部14からはしご11が取り出される。車両12の後部に付属機器12aが突設されている場合には、付属機器12aに干渉しないようにベッド部14を下方移動させる必要がある。はしご11を車両12の上面に戻す場合は、上記の手順と逆の手順を行なう。図10にはベッド部14の移動軌跡を点線で示している。
【0005】
ベッド部14の移動に必要なスペースは、車両12の前後方向のスペースに関しては、車両12を移動させることにより、容易に確保することができるが、車両12の上方向のスペースは現場環境によって制約されることが多い。そのため、ベッド部14の上方旋回スペースを小さくすることが望まれている。ところが、このはしご昇降装置13では、ベッド部14の後方スライド移動と旋回移動とが常に同時に行なわれるため、ベッド部14の上方旋回スペースが大きくなるという問題があった。
【0006】
また、はしご11の取り出しおよび収納作業を容易にするには、ベッド部14を、なるべく地面に近い位置まで下方移動させることが望ましい。そのためには、ベッド部14を車両後方側になるべく大きく突出するようにスライドさせる必要がある。引用文献1のような構造のはしご昇降装置13では、ベッド部14が車両後方側にスライドして長手方向中央部が固定支持ローラ17の位置に達すると、固定支持ローラ17を支点にしてほぼバランスするようになるため、ベッド部14を、この位置の近傍で固定支持ローラ17を中心にして上下方向に旋回させると作業の軽労化を図ることができる。換言すると、1つの固定支持ローラ17を支点にしてバランスしているベッド部14を、さらに車両後方側にスライドさせようとすれば、下方旋回しようとするベッド部14を支えるためにより多くの労力が必要になる。或いは、下方旋回しようとするベッド部14を支えるためにガイドフレーム16に過大な負荷が生じることになる。それ故、このはしご昇降装置13は、軽労化を図りつつ、ベッド部14を、なるべく地面に近い位置まで下方移動させるには不利な構造であった。
【0007】
また、ベッド部14を、より地面に近づけようとして、旋回させた後のベッド部14を、単純に、ベッド部14の下方端方向に移動させる構造にすると、はしご11を車両12の上面に戻す場合に、ベッド部14を上方移動させるために大きな労力が必要になるという問題が生じる。
【0008】
別の構造を採用して、車両用ルーフラックを昇降させる際の手動操作を軽労化する装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置は、前端および後端にローラを有する左右一対の傾動枠を、車両後部の上面に取り付けられた回転軸で連結して、この回転軸を中心に回動するように構成されている。荷台は、これらローラを内包するようにして車両前後方向にスライドする。そして、荷台を車両後方側にスライドさせると、上記回転軸を中心にして上下方向に旋回して車両の後部で下方移動した状態になる。この装置においても、荷台は1つの回転軸を中心にして旋回する構造なので、この回転軸を支点としてバランスする位置を越えて荷台を車両後方側にスライドさせると、下方旋回しようとする荷台を支える労力が必要になる。そこで、この装置では、回転軸を付勢するコイルバネを設けることによって、車両後方側にスライドさせた荷台を支える労力を小さくするようにしている。しかしながら、荷台を円滑に車両後方側にスライドさせるには、ある程度の荷台を支える必要があるため、根本的な解決にはならない。また、荷台を支える労力をより軽減させるためには、コイルバネの付勢力をより強くする必要があり、これに伴ってコイルバネの付勢力を減少させるブレーキ装置も相応する仕様にしなければならず、両者のチューニングが複雑になる。そのため、三連はしご等の重力物を昇降させる装置として実用することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−150018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、車両の上面に積載されているはしごを降ろす際および元の位置に戻す際に、はしごを収納しているベッド部の上方旋回スペースを抑え、手動操作を軽労化できるはしご昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明のはしご昇降装置は、はしごを収納するベッド部と、車両の上面に取付けられて、前記ベッド部をガイドして車両前後方向にスライドさせるベース部と、前記ベッド部を車両後部で上下方向に旋回させる旋回機構を備えたはしご昇降装置であって、前記ベッド部が、先端部に第1係合部を有するとともに、第1係合部よりも後方側にガイドローラを有し、前記ベース部が、前記ガイドローラを車両前後方向にガイドするガイドフレームを有し、このガイドフレームの前後方向の所定位置に前記ガイドローラのガイドを解除するガイド解除部を有し、前記旋回機構が、先端部に第2係合部を有し、後端部を固定支軸に支持されて上下方向に回動可能なリフトアームと、先端部が前記リフトアームの前後方向中途の位置で回動可能に連結され、後端部に前記ベッド部を載置する後方支持ローラを有するスライドアームと、前記スライドアームを載置して車両前後方向にスライド可能に支持する固定支持ローラと、前記リフトアームを、前記固定支軸を中心にして車両前方側に回動させる方向に付勢する付勢手段とを有し、前記ベッド部が、前記後方支持ローラに支持されつつ、前記ガイドローラを前記ガイドフレームにガイドされて車両後方側に所定長さスライドした際に、前記第1係合部と第2係合部とが係合するとともに、前記ガイドローラが前記ガイド解除部に位置し、この位置でベッド部の車両後方側が下方に引かれることにより、前記リフトアームが前記固定支軸を中心にして車両後方側に回動するとともに、前記スライドアームが前記固定支持ローラによって車両後方側が低くなるように傾斜しつつ、車両後方側にスライドし、このスライドアームの後方支持ローラで前記ベッド部を支持することによりベッド部を車両後方側に旋回させる構成にしたことを特徴とするものである。
【0012】
ここで、前記ベッド部が、その全長に対して40%〜70%の長さが前記後方支持ローラを越えて車両後方側にスライドした位置で、前記ガイドローラがガイド解除部に位置するように構成することもできる。前記第1係合部に、係合した第2係合部の外れを防止するストッパを設けることもできる。前記ベッド部の後端部に、ベッド部の車両前後方向のスライドを行なう際に把持する操作ハンドルを下方に延設し、ベッド部が旋回する前の状態で前記操作ハンドルの下方先端と地面との距離を2.0m以下に設定することもできる。前記ベッド部の車両前後方向のスライドをロックするスライドロックのロック操作ロッドを下方に延設し、ベッド部が旋回する前の状態で前記ロック操作ロッドの下方先端と地面との距離を2.0m以下に設定することもできる。前記ベッド部に収納するはしごの重量は、例えば30kg以上である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ベッド部に収納されたはしごを車両の上面から降ろす際には、ベッド部をベース部のガイドフレームに沿ってガイドさせて車両後方側に所定長さスライドさせた後に、旋回機構を用いてベッド部を車両後部で上下に旋回させて下方移動させる。ベッド部を旋回させる際には、第1係合部と第2係合部とを係合させて、リフトアームを引き起こすようにして固定支軸を中心にして車両後方側に回動させて、ベッド部のガイドローラをガイドフレームに設けたガイド解除部を通じてガイドフレームの外部に飛び出させて、ベッド部とベース部とを分離した状態にする。スライドアームは固定支持ローラによって車両後方側が低くなるように傾斜しつつ、車両後方側にスライドして、このスライドアームの後方支持ローラでベッド部を支持することによりベッド部を車両後方側に旋回させる。ベッド部に収納したはしごを車両の上面の元の位置に戻す際には、はしごを降ろす際と逆の手順を行なう。
【0014】
このように、本発明では、ベッド部の車両前後方向のスライドと、旋回を別々の段階で行なうので、はしごを収納しているベッド部の上方旋回スペースを抑えるには有利になる。また、ベッド部を旋回させる際には、固定支持ローラ7上を車両前後方向にスライドするスライドアームに設けた後方支持ローラにベッド部を載置させた状態にするので、ベッド部を車両後方側に大きく突出するようにスライドさせて旋回させることを少ない労力で行なうことができる。これに伴って、ベッド部を地面に近い位置まで下方移動させることができるので、ベッド部からはしごを取り出す作業、ベッド部にはしごを収納する作業の軽労化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】車体の上面に積載されている本発明のはしご昇降装置を例示する側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】はしごを収納したベッド部を例示する平面図である。
【図4】旋回機構を例示する平面図である。
【図5】図1のベッド部を後方にスライドさせた状態を例示する側面図である。
【図6】図5のベッド部を旋回させて下方移動させた状態を例示する側面図である。
【図7】第1係合部の開口部に突出しないような状態になっているストッパを例示する側面図である。
【図8】第1係合部の開口部に突出する状態になっているストッパを例示する側面図である。
【図9】車体の上面に積載されている従来のはしご昇降装置を例示する側面図である。
【図10】図9のベッド部を後方にスライドさせた後、旋回させて下方移動させた状態を例示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のはしご昇降装置を実施形態に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図4に例示する本発明のはしご昇降装置1は、レスキュー自動車(救助工作車)、消防自動車等の各種作業を行なう車両12の上面に積載されているはしご11を使用する際に車両12の上面から降ろし、使用後に車両12の上面の元の位置に戻すために用いるものである。このはしご昇降装置1は、緊急時等のいかなる場合にも故障なく作動するように、手動だけであっても作動するように構成されている。
【0018】
このはしご昇降装置1は、はしご11を収納するベッド部2と、車両12の上面に取付けられるベース部3と、ベッド部2を車両後部で上下方向に旋回させる旋回機構4を備えている。ベース部3はベッド部2をガイドして車両前後方向にスライドさせるように機能する。
【0019】
図3等に例示するように、ベッド部2は主に金属フレームで形成された長方形状のフレーム体である。ベッド部2の先端部の下面にU字状の第1係合部2bが設けられている。第1係合部2bの開口端部下側には、支軸を中心にして上下に回動可能なストッパ2cが設けられている。このストッパ2cは、後述する第2係合部5aが第1係合部2bに係合した際に、第2係合部5aの外れを防止するものである。
【0020】
ベッド部2の第1係合部2bよりも車両後方側の位置にはガイドローラ2aが設けられている。ガイドローラ2aは、一般的な回転フリーローラやこれに類するものであればよく、低摩擦材料が外周面に設けられた棒状体等であってもよい。
【0021】
ベッド部2の後端部には、ベッド部2を車両前後方向にスライドさせる際に把持する操作ハンドル8が下方に延設されている。ベッド部2が旋回する前の状態(図1の状態)で操作ハンドル8の下方先端と地面との距離は例えば、1.6m〜2.0m程度である。作業員が車両12のステップに昇ることなく地上から操作ハンドル8を把持して容易に操作できるようにするには、この距離を1.8m以下に設定することが好ましい。
【0022】
ベッド部2に収納されるはしご11は、例えば、三連はしごやかぎ付きはしごであり、これら複数のはしご11を収容することもある。ベッド部2に収容されるはしごの総重量は、例えば30kg以上100kg以下の範囲である。
【0023】
図4等に例示するように、ベース部3は車両前後方向に延びる2本のガイドフレーム3aを有する長方形状の金属フレーム体である。それぞれのガイドフレーム3aは、ベッド部2に突設されたそれぞれのガイドローラ2aを車両前後方向にガイドする。また、それぞれのガイドフレーム3aは、車両前後方向の所定位置にガイドローラ2aのガイドを解除するガイド解除部3bを有している。
【0024】
例えば、ガイドフレーム3aを断面C字状の中空フレームで形成して、C字状の開口が内側側面に位置するように配置する。このC字状の開口を通じてガイドローラ2aをガイドフレーム3aの中空部に挿入するように構成する。この構成により、ガイドローラ2aがガイドフレーム3aに沿って車両前後方向にガイドされる。ガイド解除部3bは、ガイドフレーム3aの車両前後方向の所定位置において断面C字状の中空フレームの上面を切欠くことにより形成することができる。
【0025】
ベース部3の後端部には、ベッド部2の車両前後方向のスライドをロックするスライドロック10が設けられている。このスライドロック10からはロック操作ロッド10aが下方に延設されている。ベッド部2が旋回する前の状態(図1の状態)でロック操作ロッド10aの下方先端と地面との距離は例えば、1.6m〜2.0m程度である。作業員が車両12のステップに昇ることなく地上からスライドロック10のロックおよびアンロック操作を容易に行なえるようにするには、この距離を1.8m以下に設定することが好ましい。
【0026】
旋回機構4は、リフトアーム5とスライドアーム6と固定支持ローラ7と付勢手段9とを備えている。リフトアーム5の先端部には、棒状の第2係合部5aが設けられている。リフトアーム5は後端部が固定支軸5bに支持されて上下方向に回動可能になっている。固定支軸5bは直接または間接的に車両12に固定されている。
【0027】
スライドアーム6の先端部は、リフトアーム5の前後方向中途の位置で前方支軸6aを介してリフトアーム5に回動可能に連結されている。スライドアーム6の後端部にはベッド部2を載置する後方支持ローラ6bが設けられている。後方支持ローラ6bには、ベッド部2が常に載置された状態になり、ベッド部2を車両前後方向にスライド可能に支持する。尚、リフトアーム5とスライドアーム6とは上下に重なるように配置されているため、図4ではスライドアーム6の一部(上側のフレームの波線部分)を切欠いて、リフトアーム5の構造が明確になるようにしている。
【0028】
固定支持ローラ7は、車両12の上面後端部に直接または間接的に固定されている。固定支持ローラ7には、スライドアーム6が常に載置された状態になり、スライドアーム6を車両前後方向にスライド可能に支持する。
【0029】
付勢手段9は、リフトアーム5を、固定支軸5bを中心にして車両前方側に回動させる方向に付勢する。この実施形態では付勢手段9としてガススプリングが用いられている。ガススプリング9の先端部は、リフトアーム5の前後方向中途の位置に固定された横フレームに、固定支軸9aを介して回動可能に連結されている。ガススプリング9は後端部が固定支軸9bに支持されて上下方向に回動可能になっている。固定支軸9bは直接または間接的に車両12に固定されている。リフトアーム5を、固定支軸5bを中心にして車両前方側に回動させる方向に付勢することができれば、付勢手段9はガススプリングに限定されることはなく、コイルバネ、板バネ、ゴム等の弾性体部材を用いることもできる。
【0030】
次に、はしご昇降装置1の操作方法を説明する。
【0031】
図1に例示するように車両12の上面にはしご11が積載されている状態では、リフトアーム5はガイドフレーム3aよりも下方に位置している。ベッド部2のガイドローラ2aは、ガイドフレーム3aにガイドされる状態になっており、ベッド部2の後方側は後方支持ローラ6bにより支持されている。また、スライドアーム6の後方側は固定支持ローラ7によって支持されている。
【0032】
はしご11を車両12から降ろす際には、まず、ロック操作ロッド10aを手動操作してスライドロック10をアンロック状態にして、ベッド部2が車両前後方向にスライド可能な状態にする。次いで、図5に例示するように、操作ハンドル8を把持して車両後方側に移動させる。この手動操作によって、ベッド部2は後方支持ローラ6bに支持されつつ、ガイドローラ2aをガイドフレーム3aにガイドされて車両後方側にスライドする。
【0033】
ベッド部2が車両後方側に所定長さスライドすると、第1係合部2bに第2係合部5aが進入して両者が係合する。この時に、ガイドローラ2aはガイド解除部3bに位置している。この位置でストッパ2cは、図7に例示するように、ベース部3等に固定されたストッパガイド3cによって、第1係合部2bの開口部に突出しないような状態になっている。
【0034】
この位置から図6に例示するように、ベッド部2の車両後方側が下方に引かれると、リフトアーム5が引き起こされるように固定支軸5bを中心にして車両後方側に回動する。リフトアーム5が引き起こされるように回動すると、ガイドローラ2aはガイド解除部3bを通じてガイドフレーム3aの外部に飛び出すので、ガイドフレーム3aによるガイドから解除されることになる。
【0035】
また、リフトアーム5が引き起こされるように回動することにより、図8に例示するようにストッパ2cはストッパガイド3cから離れて、第1係合部2bの開口部に突出ように支軸を中心にして回動する。これにより、ストッパ2cが機能して第2係合部5aが第1係合部2bから外れなくなる。
【0036】
このリフトアーム5の回動とともに、スライドアーム6は固定支持ローラ7を支点にして車両後方側が低くなるように傾斜しつつ、固定支持ローラ7上を車両後方側にスライドする。ベッド部2は、先端側が第2係合部5aに回動可能に支持され、前後方向中途の位置では傾斜したスライドアーム6の後方支持ローラ6bによって支持される。これにより、ベッド部2は車両後方側に旋回して車両12の後部で下方移動した状態になる。図6にはベッド部2の移動軌跡を点線で示している。
【0037】
この状態のベッド部2からはしご11が取り出される。車両12の後部に付属機器12aが突設されている場合は、リフトアーム5やスライドアーム6の長さや配置、固定支持ローラ7の配置を調整して付属機器12aに干渉しないようにベッド部2を旋回、下方移動させるように設定する。
【0038】
はしご11を車両12の上面に戻す場合は、上記の手順と逆の手順を行なう。尚、ベッド部2が元の位置まで旋回すると、ストッパ2cはストッパガイド3cによって第1係合部2bの開口部を開いた状態にする。そして、ベッド部2がガイドフレーム3aに沿って車両前方側にスライドすることにより、第2係合部5aは第1係合部2bから抜け出し、両者の係合は解除される。
【0039】
このように本発明では、ベッド部2の車両前後方向のスライドと、旋回を別々の段階で行なうので、図10に例示した従来のはしご昇降装置13に比して、図6に示すようにベッド部2の上方旋回スペースを小さくすることができ、ベッド部2の上方旋回スペースを抑えるには有利になる。尚、車両後方側に突出させるベッド部2の長さをより大きくした後、旋回させるようにすると、ベッド部2の旋回高さはより小さくなり、これに伴ってベッド部2の上方旋回スペースがより小さくなる。
【0040】
また、本発明ではベッド部2を旋回させる際には、固定支持ローラ7上を車両前後方向にスライドするスライドアーム6に設けた後方支持ローラ6bにベッド部2を載置させた状態にするので、ベッド部2を車両後方側に大きく突出するようにスライドさせても下方旋回しようとするベッド部2を支えるための労力がほどんど不要になる(労力が少なくて済む)。
【0041】
例えば、ベッド部2が、その全長(前後方向長さ)に対して40%〜70%の長さが後方支持ローラ6bを越えて車両後方側にスライドした位置で、ガイドローラ2aがガイド解除部3bに位置するように構成して、この位置でベッド部2を旋回させるようにする。本発明では、下方旋回しようとするベッド部2を支えるための労力がほどんど不要なので、後方支持ローラ6bを越えて車両後方側にスライドしたベッド部2の上記した長さを、ベッド部2の全長の50%〜70%にしてもよく、好ましくは50%〜60%程度にする。
【0042】
ベッド部2を車両12の上面に戻す際には、ベッド部2を後方支持ローラ6b上を滑らせるように押上げればよく、また、付勢手段9によってリフトアーム5は、固定支軸5bを中心にして車両前方側に回動する方向に付勢されているので、この付勢力がベッド部2を押上げる際の助力になる。そのため、、少ない労力ではしご11(ベッド部2)を車両12の上面の元の位置に戻すことができる。このように本発明では、ベッド部2を車両前後方向にスライドさせ、上下方向に旋回させる手動操作の軽労化を図ることができる。
【0043】
また、ベッド部2を地面に近い位置まで下方移動させることができるので、ベッド部2からはしご11を取り出す作業、ベッド部2にはしご11を収納する作業の軽労化も図ることができる。
【0044】
本発明では、ガイドローラ2aがガイドフレーム3aの外部に飛び出した後は、ベッド部2とベース部3とは完全に分離した状態になる。そして、ベッド部2は、先端側を第2係合部5aによって回動可能に支持されて、後方支持ローラ6bの上に単純に載置している状態になる。したがって、ベッド部2の下方端側を持ち上げることにより、ベッド部2を第2係合部5aを中心にして回動させることもできる。このようにベッド部2とベース部3とは容易に分離できる組合せ構造になっているので、はしご昇降装置1を製造する際に、ベッド部2とベース部3とを組み付ける作業が簡便化される。
【符号の説明】
【0045】
1 はしご昇降装置
2 ベッド部
2a ガイドローラ
2b 第1係合部
2c ストッパ
3 ベース部
3a ガイドフレーム
3b ガイド解除部
3c ストッパガイド
4 旋回機構
5 リフトアーム
5a 第2係合部
5b 固定支軸
6 スライドアーム
6a 前方支軸
6b 後方支持ローラ
7 固定支持ローラ
8 操作ハンドル
9 付勢手段(ガススプリング)
9a 固定支軸
9b 連結軸
10 スライドロック
10a ロック操作ロッド
11 はしご
12 車両
12a 付属機器
13 従来のはしご昇降装置
14 ベッド部
14a ガイドローラ
15 ベース部
16 ガイドフレーム
17 固定支持ローラ
18 スライドロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
はしごを収納するベッド部と、車両の上面に取付けられて、前記ベッド部をガイドして車両前後方向にスライドさせるベース部と、前記ベッド部を車両後部で上下方向に旋回させる旋回機構を備えたはしご昇降装置であって、
前記ベッド部が、先端部に第1係合部を有するとともに、第1係合部よりも後方側にガイドローラを有し、
前記ベース部が、前記ガイドローラを車両前後方向にガイドするガイドフレームを有し、このガイドフレームの前後方向の所定位置に前記ガイドローラのガイドを解除するガイド解除部を有し、
前記旋回機構が、先端部に第2係合部を有し、後端部を固定支軸に支持されて上下方向に回動可能なリフトアームと、先端部が前記リフトアームの前後方向中途の位置で回動可能に連結され、後端部に前記ベッド部を載置する後方支持ローラを有するスライドアームと、前記スライドアームを載置して車両前後方向にスライド可能に支持する固定支持ローラと、前記リフトアームを、前記固定支軸を中心にして車両前方側に回動させる方向に付勢する付勢手段とを有し、
前記ベッド部が、前記後方支持ローラに支持されつつ、前記ガイドローラを前記ガイドフレームにガイドされて車両後方側に所定長さスライドした際に、前記第1係合部と第2係合部とが係合するとともに、前記ガイドローラが前記ガイド解除部に位置し、この位置でベッド部の車両後方側が下方に引かれることにより、前記リフトアームが前記固定支軸を中心にして車両後方側に回動するとともに、前記スライドアームが前記固定支持ローラによって車両後方側が低くなるように傾斜しつつ、車両後方側にスライドし、このスライドアームの後方支持ローラで前記ベッド部を支持することによりベッド部を車両後方側に旋回させる構成にしたはしご昇降装置。
【請求項2】
前記ベッド部が、その全長に対して40%〜70%の長さが前記後方支持ローラを越えて車両後方側にスライドした位置で、前記ガイドローラがガイド解除部に位置するように構成した請求項1に記載のはしご昇降装置。
【請求項3】
前記第1係合部に、係合した第2係合部の外れを防止するストッパを設けた請求項1または2に記載のはしご昇降装置。
【請求項4】
前記ベッド部の後端部に、ベッド部の車両前後方向のスライドを行なう際に把持する操作ハンドルを下方に延設し、ベッド部が旋回する前の状態で前記操作ハンドルの下方先端と地面との距離を2.0m以下に設定した請求項1〜3のいずれかに記載のはしご昇降装置。
【請求項5】
前記ベッド部の車両前後方向のスライドをロックするスライドロックのロック操作ロッドを下方に延設し、ベッド部が旋回する前の状態で前記ロック操作ロッドの下方先端と地面との距離を2.0m以下に設定した請求項1〜4のいずれかに記載のはしご昇降装置。
【請求項6】
前記ベッド部に収納するはしごの重量が30kg以上である請求項1〜5のいずれかに記載のはしご昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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