はんだ付け装置およびはんだ付けされた装置の製造方法
【課題】 基板上の各所に配置されたはんだ材を加熱溶融させて回路部品を基板に均一にはんだ付けする。
【解決手段】 はんだ付け装置10には、長手方向の長さLが基板の長さより長く形成された誘導コイル11を備える。誘導コイル11内側の空間は基板を配置するのに十分な大きさを有している。基板を、誘導コイルの内部であり巻き線に平行な平面内で誘導コイル11の略中央に配置した状態で誘導コイルに交流磁場を発生させる。誘導コイル11の内部では磁束が平行に略均一に基板を通過するので、基板上のはんだ材を均一に加熱溶融させることができる。はんだ材を均一に加熱溶融することができるので、基板上の各所に配置された回路部品を基板に均一にはんだ付けすることができる。
【解決手段】 はんだ付け装置10には、長手方向の長さLが基板の長さより長く形成された誘導コイル11を備える。誘導コイル11内側の空間は基板を配置するのに十分な大きさを有している。基板を、誘導コイルの内部であり巻き線に平行な平面内で誘導コイル11の略中央に配置した状態で誘導コイルに交流磁場を発生させる。誘導コイル11の内部では磁束が平行に略均一に基板を通過するので、基板上のはんだ材を均一に加熱溶融させることができる。はんだ材を均一に加熱溶融することができるので、基板上の各所に配置された回路部品を基板に均一にはんだ付けすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱現象を利用することによって回路部品の近傍に配置されているはんだ材を溶融し、溶融したはんだ材で回路部品を基板にはんだ付けする装置に関する。また回路部品が基板にはんだ付けされた装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱現象を利用することによって回路部品の近傍に配置されているはんだ材を溶融し、溶融したはんだ材で回路部品を基板にはんだ付けする装置が開発されている。ここでいう誘導加熱現象は、誘導コイルによって交流電流を通電することによって交流磁場を発生させ、交流磁場内に存在する磁性材或いは導体に交流電流を発生させ、その交流電流によって磁性材を発熱させる現象をいう。以下では単に誘導加熱という。
特許文献1に、誘導加熱を利用するはんだ付け装置が開示されている。このはんだ付け装置では、回路部品とクリームはんだを載置している鉄系配線基板の下側に平面状の誘導コイルを配置する。この誘導コイルに交流電流を通電することによって鉄系回路基板を加熱する。加熱された鉄系回路基板によってクリームはんだが溶融し、回路部品が基板にはんだ付けされる。
特許文献2に、はんだ材を載置している半導体基板の上部に平面状の誘導コイルを配置し、誘導コイルが発生する交流磁場により半導体基板上のはんだ材を加熱溶融させる技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−283915号公報
【特許文献1】特開平7−171677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際の装置では、基板上の様々な位置に回路部品が配置される。回路部品の配置位置に応じてはんだ材も様々な位置に配置される。
はんだ材を加熱溶融して回路部品を基板にはんだ付けするためには、適切な温度管理が必要である。高温になりすぎるとはんだ材の熱がはんだ材に接している回路部品に多く伝熱し、回路部品の性能が低下してしまう可能性がある。低温すぎるとはんだが溶融せず、回路部品を基板に固着させることができない。基板上に分布して配置されているはんだ材を適正に加熱することが重要である。
ところで誘導コイルが発生する磁束は、誘導コイルのN極側から出てS極側へと収束する。誘導コイルのN極側から出た磁束は、誘導コイルの外側では周囲へ広がるように分布し、S極側へと収束する。従って、誘導コイルの外側では、磁束密度の分布が一様でない。
特許文献1の技術では、基板の下側に誘導コイルを配置する。特許文献2の技術では、基板の上方に誘導コイルを配置する。いずれの技術によっても、誘導コイルの外側に広がる磁束を利用して加熱する。特許文献1や特許文献2の技術のように、誘導コイルの外側にはんだ材を配置する構成では、基板あるいははんだ材に対して均一な磁束密度を与えることができない。基板あるいははんだ材を通る磁束密度の分布が不均一であると、交流磁場を加えた際の誘導加熱現象も意図せずに不均一性が生じる。はんだ材を通る磁束密度が高い場所では磁束密度が低い場所よりも、はんだ材が高温に加熱されてしまう。基板上に分布しているはんだ材を均一に加熱することができない。その結果、基板に配置されている回路部品を均一にはんだ付けすることができなくなる。
基板上に分布して配置されているはんだ材を適正な温度に加熱し、基板上に分布している回路部品を均一にはんだ付けすることができる技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
誘導コイルの外側と比較すると、誘導コイルの内側では磁束密度が均一である。本発明では、磁束密度が比較的均一な誘導コイルの内側に、回路部品とはんだ材と基板を配置する。これによって基板あるいははんだ材に均一な磁束を通すことができる。回路部品とはんだ材と基板を誘導コイルの内側に配置して誘導コイルに交流電流を通電すると、基板上に分布して配置されているはんだ材を均一に加熱することができる。この結果、回路部品を基板に均一にはんだ付けすることができる。
【0006】
本発明のはんだ付け装置は、誘導加熱現象を利用して回路部品の近傍に配置されているはんだ材を溶融して回路部品を基板にはんだ付けする。
本発明のはんだ付け装置は、内側に貫通空間を有する誘導コイルと、基板を貫通空間の横断面の中心近傍に位置させる基板支持部を備えている。誘導コイルの貫通空間は基板よりも長く、その貫通空間の横断面は基板よりも大きく形成されていることを特徴とする。
内側に貫通空間を形成する誘導コイルは単一の誘導コイルでなくともよい。複数の誘導コイルを長手方向に隣接させて配置してもよい。
【0007】
上記構成によれば、誘導コイルの内側を誘導コイルの長手方向に伸びる交流磁場によってはんだ材が加熱される。誘導コイルの長さは基板よりも長く形成されているので、誘導コイルの内側に配置されている基板には磁束が略平行に通る。特に、貫通空間の横断面の中心は、磁束密度が均一化されている。基板よりも長い貫通空間の横断面の中心近傍に基板を配置して交流磁場を発生させると、基板上に分布したはんだ材を均一に加熱することができる。こうして回路部品を基板に均一にはんだ付けすることができる。
【0008】
上記構成はさらに次の効果も奏する。即ち、誘導コイルが発生する磁束は全て誘導コイル内部を通過する。従って誘導コイルが発生する磁束密度は誘導コイル外側よりも誘導コイル内側の方が高くなる。特に、貫通空間の横断面の中心近傍は、磁束密度が高い。磁束密度の高い誘導コイル内側(そのなかでも横断面の中心近傍)に基板を配置することで、効率よく基板を加熱することができる。特許文献1や特許文献2のように誘導コイルの外側に基板を配置するよりも高い加熱効率を得ることができる。
【0009】
誘導コイルは、その長手方向において、巻き線の間隔が変化していてもよい。あるいは長手方向において、貫通空間の横断面の面積が変化していてもよい。
【0010】
基板上の回路部品によっては異なる種類のはんだ材を用いることがある。即ちひとつの基板上で異なる種類のはんだ材が用いられる場合がある。はんだ材はその種類によって、溶融時の適正温度(溶融適正温度)が異なる。夫々のはんだ材の溶融適正温度に合わせて加熱具合を調整しなければならない。
誘導コイルの長手方向に巻き線の間隔が粗である部分と密である部分を備えることによって、意図的に誘導コイル内部の磁束密度を長手方向に変化させることができる。巻き線の間隔が粗の部分では磁束密度を低くすることができ、巻き線の間隔が密の部分では磁束密度を高くすることができる。
同様に誘導コイルの長手方向において、貫通空間の横断面の面積が変化していてもよい。これによっても、意図的に誘導コイル内部の磁束密度を長手方向に変化させることができる。貫通空間の横断面の面積の大きな部分では磁束密度を低くすることができ、貫通空間の横断面の面積の小さな部分では磁束密度を高くすることができる。
上記の技術を活用すると、溶融適正温度が高いはんだ材が配置されている基板部分では磁束密度が高くなるようにするとともに、溶融適正温度が低いはんだ材が配置されている基板部分では磁束密度が低くなるようにできる。溶融適正温度の異なるはんだ材を均一に加熱溶融させることができる。よって溶融適正温度の異なるはんだ材が用いられている基板であっても回路部品を均一にはんだ付けできる。
【0011】
基板支持部は、誘導コイルの外部から貫通空間の横断面の中心近傍を通過するように基板を搬送可能であることが好ましい。
誘導コイルの外で回路部品とはんだ材を配置した基板を基板支持部に取り付けることができる。その状態で基板を貫通空間の横断面の中心近傍まで搬送することができる。
【0012】
貫通空間は、搬送方向の上流から下流に向けて、貫通空間の横断面の面積が漸減していることが好ましい。
ここで「漸減」とは基板の搬送方向に誘導コイルの内側面積が段階的に減少するように構成されている場合を含む。
上記構成によれば、横断面積の大きい場所に基板が搬送された状態では低い磁束密度が基板に流れる。基板を所定温度まで加熱することができる。その後、搬送を進めて横断面積のより小さい場所まで基板を進めた状態にすると、横断面積が大きい位置よりも高い磁束密度が基板に流れる。基板をより高温に加熱することができる。これを順次繰り返すことで基板を徐々に加熱することができる。その際に加熱の度合いは誘導コイル横断面積の大きさで設定される。基板を徐々に加熱するのに誘導コイルに流す電流を制御する必要がなくなる。なお、横断面積が異なる誘導コイルの夫々の位置で基板の搬送を一時停止してから誘導コイルに交流磁場を発生させることも好ましい。
【0013】
本発明はまた、交流磁場に曝されると発熱するサセプタをさらに備えており、そのサセプタを取り付けた基板貫通空間の横断面の中心近傍に位置させることが好ましい。
ここで「サセプタ」とは好ましくは磁性材料で形成されおり、交流磁場に曝されると電流が流れて発熱する部材をいう。
【0014】
通常のはんだ材は磁性が弱いので、誘導加熱現象により加熱するには強力な交流磁場を必要とする。そこでサセプタを基板に取り付ける。サセプタは磁性材料を成分としているため、直接的にはんだを誘導加熱する場合よりも弱い交流磁場で加熱することができる。サセプタは誘導コイル内の均一の磁場により均一に加熱される。均一に加熱されたサセプタにより基板上に分布するはんだ材を均一に加熱溶融することができる。サセプタを利用すると、少ないエネルギで、回路部品を均一にはんだ付けできる。
【0015】
サセプタは、基板に取り付ける面に垂直な方向の厚さが、前記面内で変化していることが好ましい。
はんだ材の種類によっては溶融させるための適正温度まで昇温させる時間(昇温時間)の適正値(昇温適正時間)も異なる場合がある。昇温適正時間の長いはんだ材が配置されている場所ではサセプタの厚さを厚くする。サセプタは、通過する磁束密度が同じであっても断面積の大きい部分は断面積の小さい部分よりも昇温に要する時間が長くなる。はんだ材の昇温適正時間に合わせてサセプタの厚さを調整することによって、夫々のはんだ材に適した昇温適正時間を実現することができる。異なるはんだ材が用いられている基板であっても回路部品を均一にはんだ付けすることができる。
【0016】
サセプタは、サセプタを取り付ける基板の面積より小さい面積であることが好ましい。換言すれば、サセプタは、基板に一様に接触するのではなく、基板に接触する部分と接触しない部分を有することが好ましい。
基板上の回路部品の配置によっては、回路部品が密集している場所とそうでない場所、極端には回路部品が配置されていない場所が存在する場合がある。回路部品の配置に応じてはんだ材も偏在することになる。はんだ材が配置されていない場所は基板を加熱しないほうがよい。加熱箇所を少なくできれば、基板全体の温度上昇を抑えることができる。そのような場合には、加熱する必要のない場所にはサセプタが基板に接触しないようにサセプタの形状を形成する。即ちサセプタの基板に取り付ける面の面積を基板の面積よりも小さく形成する。これによって不要な場所まで基板を加熱することを防止することができる。
【0017】
本発明はまた、回路部品が基板にはんだ付けされた装置を製造する方法に具現化することができる。この方法は、誘導コイルの内側の貫通空間の横断面の中心近傍に回路部品とはんだ材と基板を配置する工程と、誘導コイルに交流電流を通電する工程を備えている。
本方法によって、回路部品が均一に基板にはんだ付けされた装置を製造することが可能となる。
【0018】
さらに上記方法では、誘導コイルの内側に配置する工程に先立って、基板にサセプタを取り付ける工程を実施することが好ましい。
誘導コイル内での誘導加熱現象によりサセプタを均一に加熱し、その熱量ではんだを溶融させることができる。はんだを誘導加熱作用により直接加熱するよりも少ない電力で回路部品が基板に均一にはんだ付けされた装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基板上に分布するはんだ材を均一に加熱溶融することができる。これによって回路部品を基板に均一にはんだ付けできる。また基板上に溶融適正温度や昇温適正時間の異なるはんだ材が使用されていても夫々のはんだ材を均一に加熱溶融することができる。溶融適正温度や昇温適正時間の異なるはんだ材が使用されていても回路部品を基板に均一にはんだ付けすることができる。
本発明によれば、回路部品が基板に均一にはんだ付けされた装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施例の主要な特徴を列記する。
(第1形態) はんだ材には磁性材が含まれていることが好ましい。はんだ材に磁性材が含まれていれば交流磁場によりはんだ材を加熱することができる。
(第2形態) サセプタは非磁性体の枠型に磁性材を含む部材を埋め込んで形成されたものであることが好ましい。基板の加熱したい部分に合わせて磁性材を含む部材を配置することができる。その一方で磁性材を含む部材を配置していない部分では基板を加熱しないようにすることができる。
【実施例】
【0021】
<実施例1>
図1に本発明に係る一実施例のはんだ付け装置を示す。はんだ付け装置10は、回路部品とはんだ材を載置した基板(回路部品とはんだ材を含めた基板全体をワーク20と称する。図1では回路部品、はんだ材、基板の夫々は図示を省略してある。)を搬送するコンベア14(基板支持部に相当する)と、コンベア14の途中を囲む誘導コイル11と、基板の温度を計測する温度計測器16と、これらを制御するコントローラ18を備える。誘導コイル11は巻き線12によって形成されている。なお図1では理解しやすいように巻き線12は太く描いてある。実際には誘導コイル11は図1よりも細い線で多数回巻いて形成されている。
図1に示すように誘導コイル11の長さLは、ワーク20の長さよりも長く形成されている。また誘導コイル11内側の貫通空間はワーク20を配置するのに十分な大きさに形成されている。
コンベア14は誘導コイル11の内側を貫通するように配置されている。コンベア14によってワーク20が誘導コイル11の貫通空間の内部へ搬送されるとコントローラ18は誘導コイル11に交流電流を通電する。誘導コイル11には通電された交流電流によって交流磁場が発生する。この交流磁場の誘導加熱作用によってワーク20上のはんだ材が加熱溶融される。はんだ材が加熱溶融するとコントローラ18は交流電流の通電を停止する。加熱溶融したはんだ材は温度が下がってワーク20上の回路部品と基板とを固着する。即ちはんだ付けされる。温度計測器16はワーク20が過度に加熱しないようにその温度を監視する。
【0022】
図2に、図1のII−II線に相当する断面を示す。図2にはワーク20の具体的形状も模式的に示してある。回路基板26(以下、基板26と称する)はパレット22を介してコンベア14上に載置されている。基板26の上には、はんだ材30を介して半導体素子やコンデンサや抵抗器などの回路部品28a、28b、28cが載置されている。
回路部品28a、28b、28cは、その回路構成によって基板の様々な位置に配置される。回路部品の配置に応じて回路部品28a、28b、28cを基板26にはんだ付けするためのはんだ材30も基板の様々な位置に配置される。
【0023】
誘導コイル11の巻き線12は略矩形状に巻かれている。ワーク20はコンベア14によって、図2の断面、即ち巻き線12に平行な面内でコイル内部の略中央に配置される。巻き線12に平行な面とは別言すれば誘導コイル11の貫通空間の横断面ということができる。図2ではワーク20は、ワーク20と巻き線12との左右の距離b、dが略同じ距離となるように配置されている。またワーク20と巻き線12との上下の距離a、cが略同じ距離となるように配置されている。換言すれば、ワーク20が上記配置となるようにコンベア14が配置されているということである。このようにワーク20を誘導コイル11の内部であり、誘導コイル11短手方向の面内(即ち巻き線12に平行な面内)で誘導コイル11の略中央に配置する。この場所は、誘導コイル11が発生する磁束密度がほぼ均一な場所である。従って交流磁場がワーク20に均一に作用する。その結果ワーク20の基板26の様々な位置に配置されたはんだ材30を均一に加熱溶融することができる。
【0024】
次に誘導コイル11の内部に配置されたワーク20に発生する誘導加熱作用が均一になることを詳細に説明する。図3は図1のIII−III線に対応する断面図である。図3ではワーク20は誘導コイル11の内部でコンベア14上に載置されている。図3に示す誘導コイル11は、交流電流が印加されたときのある瞬間における電流の方向が示してある。なお、図3では説明を簡単にするため、ワーク20全体が磁性材料であると仮定する。
図3の上方に位置する誘導コイル11の巻き線12には紙面裏側から紙面表側へ電流が流れている。また図3の下方に位置する誘導コイル11の巻き線12には紙面表側から紙面裏側へ電流が流れている。図3の上方に位置する誘導コイル11の巻き線12全体を囲むようにして左回りの向きに磁束100aが発生する。図3の下方に位置する誘導コイル11の巻き線12全体を囲むようにして右回りの向きに磁束100bが発生する。誘導コイル11の内部(貫通空間)では磁束は左から右へと向う方向となる。誘導コイル11の全長Lはワーク20の長さWより十分長いので、ワーク20には磁束が平行に通過する。交流磁場によって誘導コイル11が発生する磁束密度が変化するとワーク20には電磁誘導作用によって渦電流が発生する。その向きは磁束密度の増減を打ち消すように磁束を発生させる向きとなる。例えば誘導コイル11が発生する磁束100a、100bが減少する場合には、図3に示すようにワーク20内には渦電流102が発生する。この場合、渦電流102によってワーク20内には磁束104aおよび104bが発生する。この磁束104a、104bのワーク20内での向きは、誘導コイル11が発生する磁束100a、100bと同じ向きとなる。
【0025】
図3に示すようにワーク20には平行な磁束が通過する。即ちワーク20にはほぼ均一な磁束が通過する。ワーク20に均一な磁束が通過することで、この磁束が変化したときに生じるワーク20内での渦電流も均一となる。上記説明ではワーク20全体を磁性体として説明したが、実際にははんだ材に渦電流が生じる。上記説明の通り、ワーク20全体に均一な磁束が通過するので、誘導コイル11が発生する磁束が変化したときにはんだ材に生じる渦電流も基板上のはんだ材の位置に関わらず均一となる。従って基板上の様々な位置に配置されたはんだ材を均一に加熱溶融させることが可能となる。分布したはんだ材を均一に加熱溶融することができれば回路部品を均一にはんだ付けすることができる。
【0026】
さらに本実施例ではワーク20はコンベア14によって、誘導コイル11の巻き線12に平行な面内(即ちコイル11の貫通空間の横断面内)において誘導コイル11の略中心に配置される。誘導コイル11の中心では磁束密度が最も高い。従って誘導コイル11が発生する磁束を有効にワーク20へ通すことができる。よって効率よくワーク20上のはんだ材を加熱することができる。
なお上記説明は2次元に限定して説明したが3次元に拡張しても同様の説明ができる。
【0027】
基板上の回路部品によっては異なる種類のはんだ材を用いることがある。即ちひとつの基板上で異なる種類のはんだ材が用いられる場合がある。はんだ材はその種類によって溶融させるための適正温度(溶融適正温度)が異なる。夫々のはんだ材の溶融適正温度に合わせて加熱具合を調整しなければならない。
また、基板上の回路部品の配置によっては回路部品が密集している場所とそうでない場所が存在する場合がある。回路部品の配置に応じてはんだ材も基板上に偏在することになる。はんだ材が密集している場所では全てのはんだ材を溶融させるためにより多くの熱量が必要となる。はんだ材が密集していない場所でははんだ材の量に応じて与える熱量を調整しなければならない。
【0028】
そこで次に、基板上に溶融適正温度の異なるはんだ材が用いられている場合や、はんだ材が密に配置された場所と粗に配置された場所がある場合に、夫々の状況に応じた加熱状態を実現するはんだ付け装置の構造について説明する。但し説明は簡単化のため2次元に限定する。
例えばワーク20の端部付近でははんだ材が密に配置され、ワーク20の中央付近でははんだ材が粗に配置されたケースを例とする。この場合には誘導コイル11bの巻き線12bを図4に示すように配置する。即ち、はんだ材が粗に配置されたワーク20の中央付近における巻き線12bの紙面上側と下側との距離e1を、はんだ材が密に配置されたワーク20の端部付近における巻き線12bの紙面上側と下側との距離e2よりも長くなるように巻き線12bを巻く。このように巻き線12bを巻くと、巻き線12bの紙面上側と下側との距離の長い部分(図4にe1で示す部分)では磁束密度は低くなり、巻き線12bの紙面上側と下側との距離の短い部分(図4にe2で示す部分)では磁束密度は高くなる。これにより誘導コイル11bが発生する交流磁場の強さもe1の部分で弱く、e2の部分で強くすることができる。従って交流磁場の変化によって生じるワーク20内の渦電流の強さもe1の部分で弱く、e2の部分で強くすることができる。はんだ材の密集したワーク20の端部付近ではより強く加熱でき、はんだ材の密集していないワーク20の中央付近では弱めに加熱することができる。ワーク20上のはんだ材の配置の粗密に合わせてワーク20に加える熱量の分布を調整することができる。
【0029】
また、例えばワーク20の端部付近でははんだ材が粗に配置され、ワーク20の中央付近でははんだ材が密に配置された場合には、上記とは逆に、はんだ材が密に配置されたワーク20の中央付近における巻き線12bの紙面上側と下側との距離e1を、はんだ材が粗に配置されたワーク20の端部付近における巻き線12bの紙面上側と下側との距離e2よりも短くなるように巻き線12bを巻く。このような巻き線12bの巻き方により、誘導コイル11bの誘導加熱現象によってはんだ材に与えられる熱量は、はんだ材が密に配置されたワーク20の中央付近では大きくすることができ、はんだ材が粗に配置されたワーク20の端部付近では小さくすることができる。ワーク20上のはんだ材の配置の粗密に合わせてワーク20に加える熱量の分布を調整することができる。夫々のはんだ材を均一に加熱溶融させることができる。従って回路部品を均一にはんだ付けすることができる。
上記構成は、溶融適正温度が異なるはんだ材がひとつの基板に用いられた場合にも適用できる。
以上の説明は2次元に限定したが、3次元の場合は、図4に示した巻き線12bの紙面上側と下側との距離の大きい部分e1は、誘導コイル11bの長手方向で巻き線12bに平行な平面内における誘導コイル11bの内側面積を大きくすることに相当する。また図4に示した巻き線12bの紙面上側と下側との距離の短い部分e2は、誘導コイル11bの長手方向で巻き線12bに平行な平面内における誘導コイル11bの内側面積を小さくすることに相当する。換言すれば、誘導コイル11bは、その長手方向において、貫通空間の横断面の面積が変化するように形成することに相当する。
【0030】
同様の効果は誘導コイルの隣接する巻き線の間隔を粗密にすることでも得ることができる。具体的にははんだ材の密集したワーク20の部分では巻き線の間隔を狭め、はんだ材の密集していないワーク20の部分では巻き線の間隔を広くする。このように巻き線の間隔を調整することによってワークに加える熱量をワークの部分に応じて調整することができる。
【0031】
次に図5を用いてワーク20上のはんだ材30(図2参照)を徐々に加熱することのできるはんだ付け装置について説明する。図5でも説明を簡単にするために2次元に限定して説明する。
ワーク20はコンベヤ14によって図5のxで示す方向、即ち紙面左から右へと搬送される。誘導コイル11は11g、11h、11j、11kの4つの部分に分けることができる。誘導コイル11gの部分では上側の巻き線と下側の巻き線との距離はgである。同様に誘導コイル11hの部分では上下の巻き線の間の距離はhである。誘導コイル11jの部分ではその距離はjであり、誘導コイル11kの部分ではその距離はkである。夫々の巻き線の上下間の距離はg>h>j>kという関係になっている。即ちワーク20の進行方向に対して巻き線の上下間の距離が漸減するようになっている。巻き線の上下間の距離が小さいほど、その間を通る磁束密度は大きくなる。従ってワーク20が誘導コイル11gの部分にある状態で交流磁場を発生させる場合よりワーク20が誘導コイル11hの部分にある状態で交流磁場を発生させた場合の方がワーク20上のはんだ材をより高温に加熱できる。同様にワーク20が誘導コイル11jの位置にある状態で交流磁場を発生させればはんだ材をより高温に加熱できる。さらにワーク20が誘導コイル11kの位置にある状態で交流磁場を発生させれば一層はんだ材を高温に加熱できる。このとき各誘導コイル11g、11h、11j、11kには同じ大きさの電流を流せばよい。即ち上記構成によれば、電流の大きさを制御せずともワーク20上のはんだ材を徐々に加熱することが可能となる。上記は2次元で説明したが3次元の場合も同様の説明ができる。3次元の場合には、巻き線の上下間の距離の、g>h>j>kという関係は、巻き線に平行な平面における誘導コイル11の内側面積(即ち誘導コイル11の貫通空間の横断面の面積)がワーク20の搬送方向に対して漸減するように構成することに等しくなる。なお、内側面積の異なる夫々の誘導コイル11g、11h、11j、11kの位置においてワーク20を一時停止させてからワーク20に交流電流を発生させる。その位置での加熱が終了してからコンベア14によって次の誘導コイルの位置へワーク20を移動させる。
【0032】
次にワーク20にサセプタを取り付ける例を説明する。サセプタとは磁性材料を成分としており、誘導加熱作用により加熱される部材をいう。別言すればサセプタとは交流磁場に曝されると電流が流れて発熱する部材をいう。
図6はサセプタを取り付けたワーク20を用いた場合の図1のIII−III線に対応する断面図である。サセプタ50は、図2に示した基板26の下面に取り付けられる。換言すれば、サセプタ50は基板26の回路部品が配置されていない側の面に取り付けられる。そしてサセプタ50がパレット22に載置されてワーク20全体がコンベア14の上に配置される。この状態で誘導コイル11に交流電流を通電すると図3の説明と同様にしてサセプタ50は均一に加熱される。均一に加熱されたサセプタ50から基板26へ均等に熱が伝わる。基板26が均一に加熱されるので、基板26上にはんだ材30が様々な位置に配置されていても、夫々のはんだ材30も均一に加熱される。その結果、基板26上のはんだ材30を均一に溶融させることができる。回路部品28a、28b、28cを基板26上に均一にはんだ付けすることができる。
なおサセプタ50は、はんだ付けが終了した時点で基板26から取り外してもよいし、はんだ材30が溶融した時点で基板26から取り外してもよい。はんだ材30が溶融した後もサセプタ50を基板26に取り付けたままにしておけば高温のサセプタ50によりはんだ材30の温度を徐々に低下させることができる。その一方ではんだ材30が溶融した時点で高温のサセプタ50を取り外せばはんだ材を素早く冷却することができる。いずれの方がよいかははんだ材30を適正に固着する際の適正な冷却時間による。
【0033】
次にサセプタの形状のバリエーションについて説明する。基板26の端部付近に使用されているはんだ材よりも基板26の中央付近に使用されているはんだ材の昇温適正時間が長いケースを例とする。この場合には基板26の中付付近は端部付近よりもゆっくり昇温させる必要がある。
図7に、基板26の中央部をゆっくり昇温することのできるサセプタ50aの形状を示す。図7(A)はサセプタ50aの平面図であり図7(B)はサセプタ50aの側面図である。このサセプタ50aは、図7(B)に示す側面図の上側が基板に取り付けられる面となる。このサセプタ50aは基板の中央部に対応するサセプタ50aの中央部の厚さt2がサセプタ50aの端部の厚さt1より厚く形成されている。即ちサセプタ50aが基板に取り付けられた状態では基板の中央付近ではサセプタ50aの厚さはt2となり基板の端部付近ではサセプタ50aの厚さはt1となる。
サセプタ50aの中央の厚さt2の部分ではサセプタ自身の容量が大きいために厚さt1の端部付近よりもゆっくりと昇温することになる。従って図7の形状のサセプタ50aを基板に取り付けて誘導加熱することで、昇温適正時間の長いはんだ材が配置されている基板の中央部を基板の端部付近よりもゆっくり昇温することができる。夫々のはんだ材の昇温適正時間に合わせて各はんだ材を加熱溶融させることができる。サセプタ50aによって、昇温適正時間の異なるはんだ材が用いられていても回路部品を均一にはんだ付けすることが可能となる。
【0034】
また、はんだ材が基板中央付近の側面側には配置されていない場合には図8に例示する形状のサセプタ50bを用いることができる。図8(A)はサセプタ50bの平面図を示している。図8(B)はサセプタ50bの側面図を示している。このサセプタ50bはその中央部の幅H2が端部の幅H1より短く形成されている。換言すれば、サセプタ50bは、長手方向(紙面の左右方向)の中央部においてその側面がくびれた形状をしている。図8(B)の上側が基板に取り付ける面となる。即ちサセプタ50bの基板に対向する面の面積は基板の面積より小さく形成される。このサセプタ50bを基板に取り付けて誘導加熱する。サセプタ50b自体は均一に加熱されるがサセプタ50bのくびれた部分に位置する基板部分にはサセプタ50bが接触しない。従ってサセプタ50bのくびれた部分に位置する基板部分は加熱されない。基板のはんだ材が配置されていない部分にこのサセプタ50bのくびれた部分を対応させてサセプタ50bを基板に取り付けることによって、はんだ材が配置されていない基板部分を加熱せずに済む。加熱が不要な基板部分を加熱することがないので、基板全体の温度上昇を低減することができる。
【0035】
サセプタが均一な幅と厚さに形成されている場合には、誘導加熱によりサセプタの端部よりも中央部の方が高温となりやすい。そこで図8に示すようにサセプタ50bの中央部の幅H2を端部の幅H1より短くすることにより、サセプタ50b全体の均熱性をより精度よく保つという効果を得ることもできる。
【0036】
また図9には他のサセプタ50cの形状の例の模式的斜視図を示す。このサセプタ50cは、非磁性材で形成されたサセプタ枠60に複数の孔が設けてあり、各孔に磁性材を成分として含むサセプタ小片52が嵌め込まれている。サセプタ枠60に嵌め込むサセプタ小片52を基板の加熱したい部分に対応させて配置することで基板上の加熱したい部分のみに誘導加熱により加熱されたサセプタ小片から熱を伝えることができる。
さらに各サセプタ小片52を異なる厚さにすることも好ましい。また各サセプタ小片52を異なる磁性材を成分とする部材で形成することも好ましい。サセプタ小片52を異なる厚さにすることで、サセプタ小片52ごとに昇温時間を調整することができる。またサセプタ小片52に含まれる磁性材の種類によって、昇温時間の他に同じ交流磁場により到達する温度を異ならせることができる。基板に使用されるはんだ材の種類に応じてサセプタ小片52の厚さや磁性材成分を異ならせることで、はんだ材の種類によらずひとつの基板上のはんだ材を均一に加熱溶融させることができる。即ち、はんだ材の種類によらずひとつの基板上の回路部品を均一にはんだ付けすることができる。
【0037】
さらに図10と図11にサセプタの他の例を示す。
図10に示すサセプタ50dは、サセプタ板54の両面に例えばメッキなどの他種の金属板62を貼着してある。逆に図11に示すサセプタ50eは、他種の金属版62の両面にサセプタ板54を貼着してある。このように異なる種類の金属を貼り合わせることによって、サセプタ50d、50eを均一に加熱することができる。
サセプタの例としてはその他にも基板の形状や基板上のはんだ材の配置に合わせて分割したサセプタを基板に取り付けることも好適である。
【0038】
<実施例2>
次に回路部品が基板にはんだ付けされた装置を製造する方法について説明する。本実施例では回路基板そのものをある機能を有した装置であるとする。
この製造工程ではまず、図1および図2に示したように、回路部品28a、28b、28cとはんだ材30を載置した基板26を、誘導コイル11の内側の貫通空間の横断面の中心近傍に配置する。その後コントローラ18により誘導コイル11に交流電流を通電することによって、誘導コイル11に交流磁場を発生させる。交流磁場により基板26上のはんだ材30が誘導加熱により加熱されて溶融する。はんだ材30が溶融した時点で誘導コイル11への電流の通電を停止する。その後基板26を冷却する。なお、基板26を常温に放置して冷却してもよい。冷却されてはんだ材30が再固化すると、基板26上に回路部品28a、28b、28cがはんだ付けされる。こうして基板に回路部品が均一にはんだ付けされた装置を製造することができる。
なお、図6に示したように、誘導コイル11に交流磁場を発生させる前に基板26にサセプタ50を取り付ける工程を加えることも好適である。また回路基板を製造する際に、図4や図5に示した形状の誘導コイル11を用いてもよい。さらにサセプタを用いる場合には、図7から図9に示した形状のサセプタを用いてもよい。
誘導コイル11が発生する交流磁場によりはんだ材が加熱溶融した後は、はんだが再固化してからサセプタ50を基板26から取り外してもよい。またはんだ材30が溶融した時点でサセプタ50を基板26から取り外してもよい。はんだ材30が溶融した後もサセプタ50を基板26に取り付けたままにしておけば高温のサセプタ50によりはんだ材30の温度を徐々に低下させることができる。その一方ではんだ材30が溶融した時点で高温のサセプタ50を取り外せばはんだ材を素早く冷却することができる。いずれの方がよいかははんだ材30を適正に固着する際の適正な冷却時間による。
【0039】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0040】
例えば実施例で使用するはんだ材には、磁性材を成分として含むはんだ材を用いることも好ましい。はんだ材に磁性材を含ませることによって交流磁場によりはんだ材をより加熱しやすくなる。
また実施例では図2に示すように誘導コイル11の巻き線12に平行な平面での断面形状は略矩形としてある。その他にも誘導コイル11の断面形状を楕円形としてもよい。
また実施例では、基板を貫通空間の横断面の中心近傍に位置させる基板支持部としてコンベアを例としたが、基板支持部は誘導コイルの貫通空間内に配置された台であってもよい。その台は、台の上に基板を載置したときに基板が貫通空間の横断面の中心近傍に位置するように配置する。
また実施例では、コンベアを誘導コイルの外部から貫通空間の横断面の中心近傍を通過するように基板を搬送可能である基板支持部の例としたが、基板支持部としては、基板を上から吊り下げるように支持して搬送可能な装置であってもよい。その場合にも基板支持部は吊り下げた基板が貫通空間の横断面の中心近傍に位置されるように構成する。
【0041】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る実施例のはんだ付け装置の概略図である。
【図2】図1のII−II線に対応する断面図である。
【図3】図1のIII−III線に対応する断面図である。
【図4】誘導コイルの巻き線の巻き方の一例を示す図である。
【図5】誘導コイルの巻き線の巻き方の他の例を示す図である。
【図6】サセプタを用いたときの、図1のIII−III線に対応する断面図である。
【図7】図7(A)はサセプタの形状の一例の平面図である。図7(B)はサセプタの形状の一例の側面図である。
【図8】図8(A)はサセプタの形状の他の例の平面図である。図8(B)はサセプタの形状の他の例の側面図である。
【図9】サセプタの形状の別の例の模式的斜視図である(1)。
【図10】サセプタの形状の別の例の模式的斜視図である(2)。
【図11】サセプタの形状の別の例の模式的斜視図である(3)。
【符号の説明】
【0043】
10:はんだ付け装置
11、11g、11h、11j、11k:誘導コイル
12、12b:巻き線
14:コンベア(基板支持部)
16:温度計測器
18:コントローラ
22:パレット
26:基板
28a、28b、28c:回路部品
30:はんだ材
50、50a、50b、50c、50d、50e:サセプタ
52:サセプタ小片
54:サセプタ板
60:サセプタ枠
62:金属板
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱現象を利用することによって回路部品の近傍に配置されているはんだ材を溶融し、溶融したはんだ材で回路部品を基板にはんだ付けする装置に関する。また回路部品が基板にはんだ付けされた装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱現象を利用することによって回路部品の近傍に配置されているはんだ材を溶融し、溶融したはんだ材で回路部品を基板にはんだ付けする装置が開発されている。ここでいう誘導加熱現象は、誘導コイルによって交流電流を通電することによって交流磁場を発生させ、交流磁場内に存在する磁性材或いは導体に交流電流を発生させ、その交流電流によって磁性材を発熱させる現象をいう。以下では単に誘導加熱という。
特許文献1に、誘導加熱を利用するはんだ付け装置が開示されている。このはんだ付け装置では、回路部品とクリームはんだを載置している鉄系配線基板の下側に平面状の誘導コイルを配置する。この誘導コイルに交流電流を通電することによって鉄系回路基板を加熱する。加熱された鉄系回路基板によってクリームはんだが溶融し、回路部品が基板にはんだ付けされる。
特許文献2に、はんだ材を載置している半導体基板の上部に平面状の誘導コイルを配置し、誘導コイルが発生する交流磁場により半導体基板上のはんだ材を加熱溶融させる技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−283915号公報
【特許文献1】特開平7−171677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際の装置では、基板上の様々な位置に回路部品が配置される。回路部品の配置位置に応じてはんだ材も様々な位置に配置される。
はんだ材を加熱溶融して回路部品を基板にはんだ付けするためには、適切な温度管理が必要である。高温になりすぎるとはんだ材の熱がはんだ材に接している回路部品に多く伝熱し、回路部品の性能が低下してしまう可能性がある。低温すぎるとはんだが溶融せず、回路部品を基板に固着させることができない。基板上に分布して配置されているはんだ材を適正に加熱することが重要である。
ところで誘導コイルが発生する磁束は、誘導コイルのN極側から出てS極側へと収束する。誘導コイルのN極側から出た磁束は、誘導コイルの外側では周囲へ広がるように分布し、S極側へと収束する。従って、誘導コイルの外側では、磁束密度の分布が一様でない。
特許文献1の技術では、基板の下側に誘導コイルを配置する。特許文献2の技術では、基板の上方に誘導コイルを配置する。いずれの技術によっても、誘導コイルの外側に広がる磁束を利用して加熱する。特許文献1や特許文献2の技術のように、誘導コイルの外側にはんだ材を配置する構成では、基板あるいははんだ材に対して均一な磁束密度を与えることができない。基板あるいははんだ材を通る磁束密度の分布が不均一であると、交流磁場を加えた際の誘導加熱現象も意図せずに不均一性が生じる。はんだ材を通る磁束密度が高い場所では磁束密度が低い場所よりも、はんだ材が高温に加熱されてしまう。基板上に分布しているはんだ材を均一に加熱することができない。その結果、基板に配置されている回路部品を均一にはんだ付けすることができなくなる。
基板上に分布して配置されているはんだ材を適正な温度に加熱し、基板上に分布している回路部品を均一にはんだ付けすることができる技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
誘導コイルの外側と比較すると、誘導コイルの内側では磁束密度が均一である。本発明では、磁束密度が比較的均一な誘導コイルの内側に、回路部品とはんだ材と基板を配置する。これによって基板あるいははんだ材に均一な磁束を通すことができる。回路部品とはんだ材と基板を誘導コイルの内側に配置して誘導コイルに交流電流を通電すると、基板上に分布して配置されているはんだ材を均一に加熱することができる。この結果、回路部品を基板に均一にはんだ付けすることができる。
【0006】
本発明のはんだ付け装置は、誘導加熱現象を利用して回路部品の近傍に配置されているはんだ材を溶融して回路部品を基板にはんだ付けする。
本発明のはんだ付け装置は、内側に貫通空間を有する誘導コイルと、基板を貫通空間の横断面の中心近傍に位置させる基板支持部を備えている。誘導コイルの貫通空間は基板よりも長く、その貫通空間の横断面は基板よりも大きく形成されていることを特徴とする。
内側に貫通空間を形成する誘導コイルは単一の誘導コイルでなくともよい。複数の誘導コイルを長手方向に隣接させて配置してもよい。
【0007】
上記構成によれば、誘導コイルの内側を誘導コイルの長手方向に伸びる交流磁場によってはんだ材が加熱される。誘導コイルの長さは基板よりも長く形成されているので、誘導コイルの内側に配置されている基板には磁束が略平行に通る。特に、貫通空間の横断面の中心は、磁束密度が均一化されている。基板よりも長い貫通空間の横断面の中心近傍に基板を配置して交流磁場を発生させると、基板上に分布したはんだ材を均一に加熱することができる。こうして回路部品を基板に均一にはんだ付けすることができる。
【0008】
上記構成はさらに次の効果も奏する。即ち、誘導コイルが発生する磁束は全て誘導コイル内部を通過する。従って誘導コイルが発生する磁束密度は誘導コイル外側よりも誘導コイル内側の方が高くなる。特に、貫通空間の横断面の中心近傍は、磁束密度が高い。磁束密度の高い誘導コイル内側(そのなかでも横断面の中心近傍)に基板を配置することで、効率よく基板を加熱することができる。特許文献1や特許文献2のように誘導コイルの外側に基板を配置するよりも高い加熱効率を得ることができる。
【0009】
誘導コイルは、その長手方向において、巻き線の間隔が変化していてもよい。あるいは長手方向において、貫通空間の横断面の面積が変化していてもよい。
【0010】
基板上の回路部品によっては異なる種類のはんだ材を用いることがある。即ちひとつの基板上で異なる種類のはんだ材が用いられる場合がある。はんだ材はその種類によって、溶融時の適正温度(溶融適正温度)が異なる。夫々のはんだ材の溶融適正温度に合わせて加熱具合を調整しなければならない。
誘導コイルの長手方向に巻き線の間隔が粗である部分と密である部分を備えることによって、意図的に誘導コイル内部の磁束密度を長手方向に変化させることができる。巻き線の間隔が粗の部分では磁束密度を低くすることができ、巻き線の間隔が密の部分では磁束密度を高くすることができる。
同様に誘導コイルの長手方向において、貫通空間の横断面の面積が変化していてもよい。これによっても、意図的に誘導コイル内部の磁束密度を長手方向に変化させることができる。貫通空間の横断面の面積の大きな部分では磁束密度を低くすることができ、貫通空間の横断面の面積の小さな部分では磁束密度を高くすることができる。
上記の技術を活用すると、溶融適正温度が高いはんだ材が配置されている基板部分では磁束密度が高くなるようにするとともに、溶融適正温度が低いはんだ材が配置されている基板部分では磁束密度が低くなるようにできる。溶融適正温度の異なるはんだ材を均一に加熱溶融させることができる。よって溶融適正温度の異なるはんだ材が用いられている基板であっても回路部品を均一にはんだ付けできる。
【0011】
基板支持部は、誘導コイルの外部から貫通空間の横断面の中心近傍を通過するように基板を搬送可能であることが好ましい。
誘導コイルの外で回路部品とはんだ材を配置した基板を基板支持部に取り付けることができる。その状態で基板を貫通空間の横断面の中心近傍まで搬送することができる。
【0012】
貫通空間は、搬送方向の上流から下流に向けて、貫通空間の横断面の面積が漸減していることが好ましい。
ここで「漸減」とは基板の搬送方向に誘導コイルの内側面積が段階的に減少するように構成されている場合を含む。
上記構成によれば、横断面積の大きい場所に基板が搬送された状態では低い磁束密度が基板に流れる。基板を所定温度まで加熱することができる。その後、搬送を進めて横断面積のより小さい場所まで基板を進めた状態にすると、横断面積が大きい位置よりも高い磁束密度が基板に流れる。基板をより高温に加熱することができる。これを順次繰り返すことで基板を徐々に加熱することができる。その際に加熱の度合いは誘導コイル横断面積の大きさで設定される。基板を徐々に加熱するのに誘導コイルに流す電流を制御する必要がなくなる。なお、横断面積が異なる誘導コイルの夫々の位置で基板の搬送を一時停止してから誘導コイルに交流磁場を発生させることも好ましい。
【0013】
本発明はまた、交流磁場に曝されると発熱するサセプタをさらに備えており、そのサセプタを取り付けた基板貫通空間の横断面の中心近傍に位置させることが好ましい。
ここで「サセプタ」とは好ましくは磁性材料で形成されおり、交流磁場に曝されると電流が流れて発熱する部材をいう。
【0014】
通常のはんだ材は磁性が弱いので、誘導加熱現象により加熱するには強力な交流磁場を必要とする。そこでサセプタを基板に取り付ける。サセプタは磁性材料を成分としているため、直接的にはんだを誘導加熱する場合よりも弱い交流磁場で加熱することができる。サセプタは誘導コイル内の均一の磁場により均一に加熱される。均一に加熱されたサセプタにより基板上に分布するはんだ材を均一に加熱溶融することができる。サセプタを利用すると、少ないエネルギで、回路部品を均一にはんだ付けできる。
【0015】
サセプタは、基板に取り付ける面に垂直な方向の厚さが、前記面内で変化していることが好ましい。
はんだ材の種類によっては溶融させるための適正温度まで昇温させる時間(昇温時間)の適正値(昇温適正時間)も異なる場合がある。昇温適正時間の長いはんだ材が配置されている場所ではサセプタの厚さを厚くする。サセプタは、通過する磁束密度が同じであっても断面積の大きい部分は断面積の小さい部分よりも昇温に要する時間が長くなる。はんだ材の昇温適正時間に合わせてサセプタの厚さを調整することによって、夫々のはんだ材に適した昇温適正時間を実現することができる。異なるはんだ材が用いられている基板であっても回路部品を均一にはんだ付けすることができる。
【0016】
サセプタは、サセプタを取り付ける基板の面積より小さい面積であることが好ましい。換言すれば、サセプタは、基板に一様に接触するのではなく、基板に接触する部分と接触しない部分を有することが好ましい。
基板上の回路部品の配置によっては、回路部品が密集している場所とそうでない場所、極端には回路部品が配置されていない場所が存在する場合がある。回路部品の配置に応じてはんだ材も偏在することになる。はんだ材が配置されていない場所は基板を加熱しないほうがよい。加熱箇所を少なくできれば、基板全体の温度上昇を抑えることができる。そのような場合には、加熱する必要のない場所にはサセプタが基板に接触しないようにサセプタの形状を形成する。即ちサセプタの基板に取り付ける面の面積を基板の面積よりも小さく形成する。これによって不要な場所まで基板を加熱することを防止することができる。
【0017】
本発明はまた、回路部品が基板にはんだ付けされた装置を製造する方法に具現化することができる。この方法は、誘導コイルの内側の貫通空間の横断面の中心近傍に回路部品とはんだ材と基板を配置する工程と、誘導コイルに交流電流を通電する工程を備えている。
本方法によって、回路部品が均一に基板にはんだ付けされた装置を製造することが可能となる。
【0018】
さらに上記方法では、誘導コイルの内側に配置する工程に先立って、基板にサセプタを取り付ける工程を実施することが好ましい。
誘導コイル内での誘導加熱現象によりサセプタを均一に加熱し、その熱量ではんだを溶融させることができる。はんだを誘導加熱作用により直接加熱するよりも少ない電力で回路部品が基板に均一にはんだ付けされた装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基板上に分布するはんだ材を均一に加熱溶融することができる。これによって回路部品を基板に均一にはんだ付けできる。また基板上に溶融適正温度や昇温適正時間の異なるはんだ材が使用されていても夫々のはんだ材を均一に加熱溶融することができる。溶融適正温度や昇温適正時間の異なるはんだ材が使用されていても回路部品を基板に均一にはんだ付けすることができる。
本発明によれば、回路部品が基板に均一にはんだ付けされた装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施例の主要な特徴を列記する。
(第1形態) はんだ材には磁性材が含まれていることが好ましい。はんだ材に磁性材が含まれていれば交流磁場によりはんだ材を加熱することができる。
(第2形態) サセプタは非磁性体の枠型に磁性材を含む部材を埋め込んで形成されたものであることが好ましい。基板の加熱したい部分に合わせて磁性材を含む部材を配置することができる。その一方で磁性材を含む部材を配置していない部分では基板を加熱しないようにすることができる。
【実施例】
【0021】
<実施例1>
図1に本発明に係る一実施例のはんだ付け装置を示す。はんだ付け装置10は、回路部品とはんだ材を載置した基板(回路部品とはんだ材を含めた基板全体をワーク20と称する。図1では回路部品、はんだ材、基板の夫々は図示を省略してある。)を搬送するコンベア14(基板支持部に相当する)と、コンベア14の途中を囲む誘導コイル11と、基板の温度を計測する温度計測器16と、これらを制御するコントローラ18を備える。誘導コイル11は巻き線12によって形成されている。なお図1では理解しやすいように巻き線12は太く描いてある。実際には誘導コイル11は図1よりも細い線で多数回巻いて形成されている。
図1に示すように誘導コイル11の長さLは、ワーク20の長さよりも長く形成されている。また誘導コイル11内側の貫通空間はワーク20を配置するのに十分な大きさに形成されている。
コンベア14は誘導コイル11の内側を貫通するように配置されている。コンベア14によってワーク20が誘導コイル11の貫通空間の内部へ搬送されるとコントローラ18は誘導コイル11に交流電流を通電する。誘導コイル11には通電された交流電流によって交流磁場が発生する。この交流磁場の誘導加熱作用によってワーク20上のはんだ材が加熱溶融される。はんだ材が加熱溶融するとコントローラ18は交流電流の通電を停止する。加熱溶融したはんだ材は温度が下がってワーク20上の回路部品と基板とを固着する。即ちはんだ付けされる。温度計測器16はワーク20が過度に加熱しないようにその温度を監視する。
【0022】
図2に、図1のII−II線に相当する断面を示す。図2にはワーク20の具体的形状も模式的に示してある。回路基板26(以下、基板26と称する)はパレット22を介してコンベア14上に載置されている。基板26の上には、はんだ材30を介して半導体素子やコンデンサや抵抗器などの回路部品28a、28b、28cが載置されている。
回路部品28a、28b、28cは、その回路構成によって基板の様々な位置に配置される。回路部品の配置に応じて回路部品28a、28b、28cを基板26にはんだ付けするためのはんだ材30も基板の様々な位置に配置される。
【0023】
誘導コイル11の巻き線12は略矩形状に巻かれている。ワーク20はコンベア14によって、図2の断面、即ち巻き線12に平行な面内でコイル内部の略中央に配置される。巻き線12に平行な面とは別言すれば誘導コイル11の貫通空間の横断面ということができる。図2ではワーク20は、ワーク20と巻き線12との左右の距離b、dが略同じ距離となるように配置されている。またワーク20と巻き線12との上下の距離a、cが略同じ距離となるように配置されている。換言すれば、ワーク20が上記配置となるようにコンベア14が配置されているということである。このようにワーク20を誘導コイル11の内部であり、誘導コイル11短手方向の面内(即ち巻き線12に平行な面内)で誘導コイル11の略中央に配置する。この場所は、誘導コイル11が発生する磁束密度がほぼ均一な場所である。従って交流磁場がワーク20に均一に作用する。その結果ワーク20の基板26の様々な位置に配置されたはんだ材30を均一に加熱溶融することができる。
【0024】
次に誘導コイル11の内部に配置されたワーク20に発生する誘導加熱作用が均一になることを詳細に説明する。図3は図1のIII−III線に対応する断面図である。図3ではワーク20は誘導コイル11の内部でコンベア14上に載置されている。図3に示す誘導コイル11は、交流電流が印加されたときのある瞬間における電流の方向が示してある。なお、図3では説明を簡単にするため、ワーク20全体が磁性材料であると仮定する。
図3の上方に位置する誘導コイル11の巻き線12には紙面裏側から紙面表側へ電流が流れている。また図3の下方に位置する誘導コイル11の巻き線12には紙面表側から紙面裏側へ電流が流れている。図3の上方に位置する誘導コイル11の巻き線12全体を囲むようにして左回りの向きに磁束100aが発生する。図3の下方に位置する誘導コイル11の巻き線12全体を囲むようにして右回りの向きに磁束100bが発生する。誘導コイル11の内部(貫通空間)では磁束は左から右へと向う方向となる。誘導コイル11の全長Lはワーク20の長さWより十分長いので、ワーク20には磁束が平行に通過する。交流磁場によって誘導コイル11が発生する磁束密度が変化するとワーク20には電磁誘導作用によって渦電流が発生する。その向きは磁束密度の増減を打ち消すように磁束を発生させる向きとなる。例えば誘導コイル11が発生する磁束100a、100bが減少する場合には、図3に示すようにワーク20内には渦電流102が発生する。この場合、渦電流102によってワーク20内には磁束104aおよび104bが発生する。この磁束104a、104bのワーク20内での向きは、誘導コイル11が発生する磁束100a、100bと同じ向きとなる。
【0025】
図3に示すようにワーク20には平行な磁束が通過する。即ちワーク20にはほぼ均一な磁束が通過する。ワーク20に均一な磁束が通過することで、この磁束が変化したときに生じるワーク20内での渦電流も均一となる。上記説明ではワーク20全体を磁性体として説明したが、実際にははんだ材に渦電流が生じる。上記説明の通り、ワーク20全体に均一な磁束が通過するので、誘導コイル11が発生する磁束が変化したときにはんだ材に生じる渦電流も基板上のはんだ材の位置に関わらず均一となる。従って基板上の様々な位置に配置されたはんだ材を均一に加熱溶融させることが可能となる。分布したはんだ材を均一に加熱溶融することができれば回路部品を均一にはんだ付けすることができる。
【0026】
さらに本実施例ではワーク20はコンベア14によって、誘導コイル11の巻き線12に平行な面内(即ちコイル11の貫通空間の横断面内)において誘導コイル11の略中心に配置される。誘導コイル11の中心では磁束密度が最も高い。従って誘導コイル11が発生する磁束を有効にワーク20へ通すことができる。よって効率よくワーク20上のはんだ材を加熱することができる。
なお上記説明は2次元に限定して説明したが3次元に拡張しても同様の説明ができる。
【0027】
基板上の回路部品によっては異なる種類のはんだ材を用いることがある。即ちひとつの基板上で異なる種類のはんだ材が用いられる場合がある。はんだ材はその種類によって溶融させるための適正温度(溶融適正温度)が異なる。夫々のはんだ材の溶融適正温度に合わせて加熱具合を調整しなければならない。
また、基板上の回路部品の配置によっては回路部品が密集している場所とそうでない場所が存在する場合がある。回路部品の配置に応じてはんだ材も基板上に偏在することになる。はんだ材が密集している場所では全てのはんだ材を溶融させるためにより多くの熱量が必要となる。はんだ材が密集していない場所でははんだ材の量に応じて与える熱量を調整しなければならない。
【0028】
そこで次に、基板上に溶融適正温度の異なるはんだ材が用いられている場合や、はんだ材が密に配置された場所と粗に配置された場所がある場合に、夫々の状況に応じた加熱状態を実現するはんだ付け装置の構造について説明する。但し説明は簡単化のため2次元に限定する。
例えばワーク20の端部付近でははんだ材が密に配置され、ワーク20の中央付近でははんだ材が粗に配置されたケースを例とする。この場合には誘導コイル11bの巻き線12bを図4に示すように配置する。即ち、はんだ材が粗に配置されたワーク20の中央付近における巻き線12bの紙面上側と下側との距離e1を、はんだ材が密に配置されたワーク20の端部付近における巻き線12bの紙面上側と下側との距離e2よりも長くなるように巻き線12bを巻く。このように巻き線12bを巻くと、巻き線12bの紙面上側と下側との距離の長い部分(図4にe1で示す部分)では磁束密度は低くなり、巻き線12bの紙面上側と下側との距離の短い部分(図4にe2で示す部分)では磁束密度は高くなる。これにより誘導コイル11bが発生する交流磁場の強さもe1の部分で弱く、e2の部分で強くすることができる。従って交流磁場の変化によって生じるワーク20内の渦電流の強さもe1の部分で弱く、e2の部分で強くすることができる。はんだ材の密集したワーク20の端部付近ではより強く加熱でき、はんだ材の密集していないワーク20の中央付近では弱めに加熱することができる。ワーク20上のはんだ材の配置の粗密に合わせてワーク20に加える熱量の分布を調整することができる。
【0029】
また、例えばワーク20の端部付近でははんだ材が粗に配置され、ワーク20の中央付近でははんだ材が密に配置された場合には、上記とは逆に、はんだ材が密に配置されたワーク20の中央付近における巻き線12bの紙面上側と下側との距離e1を、はんだ材が粗に配置されたワーク20の端部付近における巻き線12bの紙面上側と下側との距離e2よりも短くなるように巻き線12bを巻く。このような巻き線12bの巻き方により、誘導コイル11bの誘導加熱現象によってはんだ材に与えられる熱量は、はんだ材が密に配置されたワーク20の中央付近では大きくすることができ、はんだ材が粗に配置されたワーク20の端部付近では小さくすることができる。ワーク20上のはんだ材の配置の粗密に合わせてワーク20に加える熱量の分布を調整することができる。夫々のはんだ材を均一に加熱溶融させることができる。従って回路部品を均一にはんだ付けすることができる。
上記構成は、溶融適正温度が異なるはんだ材がひとつの基板に用いられた場合にも適用できる。
以上の説明は2次元に限定したが、3次元の場合は、図4に示した巻き線12bの紙面上側と下側との距離の大きい部分e1は、誘導コイル11bの長手方向で巻き線12bに平行な平面内における誘導コイル11bの内側面積を大きくすることに相当する。また図4に示した巻き線12bの紙面上側と下側との距離の短い部分e2は、誘導コイル11bの長手方向で巻き線12bに平行な平面内における誘導コイル11bの内側面積を小さくすることに相当する。換言すれば、誘導コイル11bは、その長手方向において、貫通空間の横断面の面積が変化するように形成することに相当する。
【0030】
同様の効果は誘導コイルの隣接する巻き線の間隔を粗密にすることでも得ることができる。具体的にははんだ材の密集したワーク20の部分では巻き線の間隔を狭め、はんだ材の密集していないワーク20の部分では巻き線の間隔を広くする。このように巻き線の間隔を調整することによってワークに加える熱量をワークの部分に応じて調整することができる。
【0031】
次に図5を用いてワーク20上のはんだ材30(図2参照)を徐々に加熱することのできるはんだ付け装置について説明する。図5でも説明を簡単にするために2次元に限定して説明する。
ワーク20はコンベヤ14によって図5のxで示す方向、即ち紙面左から右へと搬送される。誘導コイル11は11g、11h、11j、11kの4つの部分に分けることができる。誘導コイル11gの部分では上側の巻き線と下側の巻き線との距離はgである。同様に誘導コイル11hの部分では上下の巻き線の間の距離はhである。誘導コイル11jの部分ではその距離はjであり、誘導コイル11kの部分ではその距離はkである。夫々の巻き線の上下間の距離はg>h>j>kという関係になっている。即ちワーク20の進行方向に対して巻き線の上下間の距離が漸減するようになっている。巻き線の上下間の距離が小さいほど、その間を通る磁束密度は大きくなる。従ってワーク20が誘導コイル11gの部分にある状態で交流磁場を発生させる場合よりワーク20が誘導コイル11hの部分にある状態で交流磁場を発生させた場合の方がワーク20上のはんだ材をより高温に加熱できる。同様にワーク20が誘導コイル11jの位置にある状態で交流磁場を発生させればはんだ材をより高温に加熱できる。さらにワーク20が誘導コイル11kの位置にある状態で交流磁場を発生させれば一層はんだ材を高温に加熱できる。このとき各誘導コイル11g、11h、11j、11kには同じ大きさの電流を流せばよい。即ち上記構成によれば、電流の大きさを制御せずともワーク20上のはんだ材を徐々に加熱することが可能となる。上記は2次元で説明したが3次元の場合も同様の説明ができる。3次元の場合には、巻き線の上下間の距離の、g>h>j>kという関係は、巻き線に平行な平面における誘導コイル11の内側面積(即ち誘導コイル11の貫通空間の横断面の面積)がワーク20の搬送方向に対して漸減するように構成することに等しくなる。なお、内側面積の異なる夫々の誘導コイル11g、11h、11j、11kの位置においてワーク20を一時停止させてからワーク20に交流電流を発生させる。その位置での加熱が終了してからコンベア14によって次の誘導コイルの位置へワーク20を移動させる。
【0032】
次にワーク20にサセプタを取り付ける例を説明する。サセプタとは磁性材料を成分としており、誘導加熱作用により加熱される部材をいう。別言すればサセプタとは交流磁場に曝されると電流が流れて発熱する部材をいう。
図6はサセプタを取り付けたワーク20を用いた場合の図1のIII−III線に対応する断面図である。サセプタ50は、図2に示した基板26の下面に取り付けられる。換言すれば、サセプタ50は基板26の回路部品が配置されていない側の面に取り付けられる。そしてサセプタ50がパレット22に載置されてワーク20全体がコンベア14の上に配置される。この状態で誘導コイル11に交流電流を通電すると図3の説明と同様にしてサセプタ50は均一に加熱される。均一に加熱されたサセプタ50から基板26へ均等に熱が伝わる。基板26が均一に加熱されるので、基板26上にはんだ材30が様々な位置に配置されていても、夫々のはんだ材30も均一に加熱される。その結果、基板26上のはんだ材30を均一に溶融させることができる。回路部品28a、28b、28cを基板26上に均一にはんだ付けすることができる。
なおサセプタ50は、はんだ付けが終了した時点で基板26から取り外してもよいし、はんだ材30が溶融した時点で基板26から取り外してもよい。はんだ材30が溶融した後もサセプタ50を基板26に取り付けたままにしておけば高温のサセプタ50によりはんだ材30の温度を徐々に低下させることができる。その一方ではんだ材30が溶融した時点で高温のサセプタ50を取り外せばはんだ材を素早く冷却することができる。いずれの方がよいかははんだ材30を適正に固着する際の適正な冷却時間による。
【0033】
次にサセプタの形状のバリエーションについて説明する。基板26の端部付近に使用されているはんだ材よりも基板26の中央付近に使用されているはんだ材の昇温適正時間が長いケースを例とする。この場合には基板26の中付付近は端部付近よりもゆっくり昇温させる必要がある。
図7に、基板26の中央部をゆっくり昇温することのできるサセプタ50aの形状を示す。図7(A)はサセプタ50aの平面図であり図7(B)はサセプタ50aの側面図である。このサセプタ50aは、図7(B)に示す側面図の上側が基板に取り付けられる面となる。このサセプタ50aは基板の中央部に対応するサセプタ50aの中央部の厚さt2がサセプタ50aの端部の厚さt1より厚く形成されている。即ちサセプタ50aが基板に取り付けられた状態では基板の中央付近ではサセプタ50aの厚さはt2となり基板の端部付近ではサセプタ50aの厚さはt1となる。
サセプタ50aの中央の厚さt2の部分ではサセプタ自身の容量が大きいために厚さt1の端部付近よりもゆっくりと昇温することになる。従って図7の形状のサセプタ50aを基板に取り付けて誘導加熱することで、昇温適正時間の長いはんだ材が配置されている基板の中央部を基板の端部付近よりもゆっくり昇温することができる。夫々のはんだ材の昇温適正時間に合わせて各はんだ材を加熱溶融させることができる。サセプタ50aによって、昇温適正時間の異なるはんだ材が用いられていても回路部品を均一にはんだ付けすることが可能となる。
【0034】
また、はんだ材が基板中央付近の側面側には配置されていない場合には図8に例示する形状のサセプタ50bを用いることができる。図8(A)はサセプタ50bの平面図を示している。図8(B)はサセプタ50bの側面図を示している。このサセプタ50bはその中央部の幅H2が端部の幅H1より短く形成されている。換言すれば、サセプタ50bは、長手方向(紙面の左右方向)の中央部においてその側面がくびれた形状をしている。図8(B)の上側が基板に取り付ける面となる。即ちサセプタ50bの基板に対向する面の面積は基板の面積より小さく形成される。このサセプタ50bを基板に取り付けて誘導加熱する。サセプタ50b自体は均一に加熱されるがサセプタ50bのくびれた部分に位置する基板部分にはサセプタ50bが接触しない。従ってサセプタ50bのくびれた部分に位置する基板部分は加熱されない。基板のはんだ材が配置されていない部分にこのサセプタ50bのくびれた部分を対応させてサセプタ50bを基板に取り付けることによって、はんだ材が配置されていない基板部分を加熱せずに済む。加熱が不要な基板部分を加熱することがないので、基板全体の温度上昇を低減することができる。
【0035】
サセプタが均一な幅と厚さに形成されている場合には、誘導加熱によりサセプタの端部よりも中央部の方が高温となりやすい。そこで図8に示すようにサセプタ50bの中央部の幅H2を端部の幅H1より短くすることにより、サセプタ50b全体の均熱性をより精度よく保つという効果を得ることもできる。
【0036】
また図9には他のサセプタ50cの形状の例の模式的斜視図を示す。このサセプタ50cは、非磁性材で形成されたサセプタ枠60に複数の孔が設けてあり、各孔に磁性材を成分として含むサセプタ小片52が嵌め込まれている。サセプタ枠60に嵌め込むサセプタ小片52を基板の加熱したい部分に対応させて配置することで基板上の加熱したい部分のみに誘導加熱により加熱されたサセプタ小片から熱を伝えることができる。
さらに各サセプタ小片52を異なる厚さにすることも好ましい。また各サセプタ小片52を異なる磁性材を成分とする部材で形成することも好ましい。サセプタ小片52を異なる厚さにすることで、サセプタ小片52ごとに昇温時間を調整することができる。またサセプタ小片52に含まれる磁性材の種類によって、昇温時間の他に同じ交流磁場により到達する温度を異ならせることができる。基板に使用されるはんだ材の種類に応じてサセプタ小片52の厚さや磁性材成分を異ならせることで、はんだ材の種類によらずひとつの基板上のはんだ材を均一に加熱溶融させることができる。即ち、はんだ材の種類によらずひとつの基板上の回路部品を均一にはんだ付けすることができる。
【0037】
さらに図10と図11にサセプタの他の例を示す。
図10に示すサセプタ50dは、サセプタ板54の両面に例えばメッキなどの他種の金属板62を貼着してある。逆に図11に示すサセプタ50eは、他種の金属版62の両面にサセプタ板54を貼着してある。このように異なる種類の金属を貼り合わせることによって、サセプタ50d、50eを均一に加熱することができる。
サセプタの例としてはその他にも基板の形状や基板上のはんだ材の配置に合わせて分割したサセプタを基板に取り付けることも好適である。
【0038】
<実施例2>
次に回路部品が基板にはんだ付けされた装置を製造する方法について説明する。本実施例では回路基板そのものをある機能を有した装置であるとする。
この製造工程ではまず、図1および図2に示したように、回路部品28a、28b、28cとはんだ材30を載置した基板26を、誘導コイル11の内側の貫通空間の横断面の中心近傍に配置する。その後コントローラ18により誘導コイル11に交流電流を通電することによって、誘導コイル11に交流磁場を発生させる。交流磁場により基板26上のはんだ材30が誘導加熱により加熱されて溶融する。はんだ材30が溶融した時点で誘導コイル11への電流の通電を停止する。その後基板26を冷却する。なお、基板26を常温に放置して冷却してもよい。冷却されてはんだ材30が再固化すると、基板26上に回路部品28a、28b、28cがはんだ付けされる。こうして基板に回路部品が均一にはんだ付けされた装置を製造することができる。
なお、図6に示したように、誘導コイル11に交流磁場を発生させる前に基板26にサセプタ50を取り付ける工程を加えることも好適である。また回路基板を製造する際に、図4や図5に示した形状の誘導コイル11を用いてもよい。さらにサセプタを用いる場合には、図7から図9に示した形状のサセプタを用いてもよい。
誘導コイル11が発生する交流磁場によりはんだ材が加熱溶融した後は、はんだが再固化してからサセプタ50を基板26から取り外してもよい。またはんだ材30が溶融した時点でサセプタ50を基板26から取り外してもよい。はんだ材30が溶融した後もサセプタ50を基板26に取り付けたままにしておけば高温のサセプタ50によりはんだ材30の温度を徐々に低下させることができる。その一方ではんだ材30が溶融した時点で高温のサセプタ50を取り外せばはんだ材を素早く冷却することができる。いずれの方がよいかははんだ材30を適正に固着する際の適正な冷却時間による。
【0039】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0040】
例えば実施例で使用するはんだ材には、磁性材を成分として含むはんだ材を用いることも好ましい。はんだ材に磁性材を含ませることによって交流磁場によりはんだ材をより加熱しやすくなる。
また実施例では図2に示すように誘導コイル11の巻き線12に平行な平面での断面形状は略矩形としてある。その他にも誘導コイル11の断面形状を楕円形としてもよい。
また実施例では、基板を貫通空間の横断面の中心近傍に位置させる基板支持部としてコンベアを例としたが、基板支持部は誘導コイルの貫通空間内に配置された台であってもよい。その台は、台の上に基板を載置したときに基板が貫通空間の横断面の中心近傍に位置するように配置する。
また実施例では、コンベアを誘導コイルの外部から貫通空間の横断面の中心近傍を通過するように基板を搬送可能である基板支持部の例としたが、基板支持部としては、基板を上から吊り下げるように支持して搬送可能な装置であってもよい。その場合にも基板支持部は吊り下げた基板が貫通空間の横断面の中心近傍に位置されるように構成する。
【0041】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る実施例のはんだ付け装置の概略図である。
【図2】図1のII−II線に対応する断面図である。
【図3】図1のIII−III線に対応する断面図である。
【図4】誘導コイルの巻き線の巻き方の一例を示す図である。
【図5】誘導コイルの巻き線の巻き方の他の例を示す図である。
【図6】サセプタを用いたときの、図1のIII−III線に対応する断面図である。
【図7】図7(A)はサセプタの形状の一例の平面図である。図7(B)はサセプタの形状の一例の側面図である。
【図8】図8(A)はサセプタの形状の他の例の平面図である。図8(B)はサセプタの形状の他の例の側面図である。
【図9】サセプタの形状の別の例の模式的斜視図である(1)。
【図10】サセプタの形状の別の例の模式的斜視図である(2)。
【図11】サセプタの形状の別の例の模式的斜視図である(3)。
【符号の説明】
【0043】
10:はんだ付け装置
11、11g、11h、11j、11k:誘導コイル
12、12b:巻き線
14:コンベア(基板支持部)
16:温度計測器
18:コントローラ
22:パレット
26:基板
28a、28b、28c:回路部品
30:はんだ材
50、50a、50b、50c、50d、50e:サセプタ
52:サセプタ小片
54:サセプタ板
60:サセプタ枠
62:金属板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱現象を利用し、回路部品の近傍に配置されているはんだ材を溶融して回路部品を基板にはんだ付けする装置であり、
内側に貫通空間を有する誘導コイルと、
基板を貫通空間の横断面の中心近傍に位置させる基板支持部を備えており、
その貫通空間は基板よりも長く、その貫通空間の横断面は基板よりも大きく形成されていることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項2】
誘導コイルは、その長手方向において、巻き線の間隔が変化していることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項3】
誘導コイルは、その長手方向において、貫通空間の横断面の面積が変化していることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項4】
前記基板支持部は、誘導コイルの外部から貫通空間の横断面の中心近傍を通過するように基板を搬送可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のはんだ付け装置。
【請求項5】
貫通空間は、搬送方向の上流から下流に向けて、貫通空間の横断面の面積が漸減するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のはんだ付け装置。
【請求項6】
交流磁場に曝されると発熱するサセプタをさらに備えており、
そのサセプタを取り付けた基板を貫通空間の横断面の中心近傍に位置させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のはんだ付け装置。
【請求項7】
サセプタは、基板に取り付ける面に垂直な方向の厚さが、前記面内で変化していることを特徴とする請求項6に記載のはんだ付け装置。
【請求項8】
サセプタは、サセプタを取り付ける基板の面積より小さい面積であることを特徴とする請求項6又は7に記載のはんだ付け装置。
【請求項9】
回路部品が基板にはんだ付けされた装置を製造する方法であり、
誘導コイルの内側の貫通空間の横断面の中心近傍に、回路部品とはんだ材と基板を配置する工程と、
誘導コイルに交流電流を通電する工程と、
を含むことを特徴とする、はんだ付けされた装置の製造方法。
【請求項10】
誘導コイルの内側に配置する工程に先立って、基板にサセプタを取り付ける工程を実施することを特徴とする請求項9に記載のはんだ付けされた装置の製造方法。
【請求項1】
誘導加熱現象を利用し、回路部品の近傍に配置されているはんだ材を溶融して回路部品を基板にはんだ付けする装置であり、
内側に貫通空間を有する誘導コイルと、
基板を貫通空間の横断面の中心近傍に位置させる基板支持部を備えており、
その貫通空間は基板よりも長く、その貫通空間の横断面は基板よりも大きく形成されていることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項2】
誘導コイルは、その長手方向において、巻き線の間隔が変化していることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項3】
誘導コイルは、その長手方向において、貫通空間の横断面の面積が変化していることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項4】
前記基板支持部は、誘導コイルの外部から貫通空間の横断面の中心近傍を通過するように基板を搬送可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のはんだ付け装置。
【請求項5】
貫通空間は、搬送方向の上流から下流に向けて、貫通空間の横断面の面積が漸減するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のはんだ付け装置。
【請求項6】
交流磁場に曝されると発熱するサセプタをさらに備えており、
そのサセプタを取り付けた基板を貫通空間の横断面の中心近傍に位置させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のはんだ付け装置。
【請求項7】
サセプタは、基板に取り付ける面に垂直な方向の厚さが、前記面内で変化していることを特徴とする請求項6に記載のはんだ付け装置。
【請求項8】
サセプタは、サセプタを取り付ける基板の面積より小さい面積であることを特徴とする請求項6又は7に記載のはんだ付け装置。
【請求項9】
回路部品が基板にはんだ付けされた装置を製造する方法であり、
誘導コイルの内側の貫通空間の横断面の中心近傍に、回路部品とはんだ材と基板を配置する工程と、
誘導コイルに交流電流を通電する工程と、
を含むことを特徴とする、はんだ付けされた装置の製造方法。
【請求項10】
誘導コイルの内側に配置する工程に先立って、基板にサセプタを取り付ける工程を実施することを特徴とする請求項9に記載のはんだ付けされた装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−36110(P2007−36110A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220746(P2005−220746)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【出願人】(000232450)日本電熱計器株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【出願人】(000232450)日本電熱計器株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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