ひだ付き構造を利用したフィルター装置および方法
【課題】気体流の流れ、例えば空気の流れから粒子状物質を取り除く(濾過する)ための装置を提供する。
【解決手段】フィルタ装置は、ファインファイバの成膜で処理された、通常はひだ付きのバリア媒体を含む。媒体は、高温(140°Fよりも高い)システムで特に有利である。そのようなシステムは、エンジン・システムおよび流体圧縮器システムを含むことができる。フィルタ装置は、管状のラジアル・シールエレメント、管状のアクシアル・シールエレメント、順方向に流れるエアクリーナ、逆流エアクリーナ、およびパネル・フィルタの形をとることができる。
【解決手段】フィルタ装置は、ファインファイバの成膜で処理された、通常はひだ付きのバリア媒体を含む。媒体は、高温(140°Fよりも高い)システムで特に有利である。そのようなシステムは、エンジン・システムおよび流体圧縮器システムを含むことができる。フィルタ装置は、管状のラジアル・シールエレメント、管状のアクシアル・シールエレメント、順方向に流れるエアクリーナ、逆流エアクリーナ、およびパネル・フィルタの形をとることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、フィルタ装置およびフィルター方法に関する。より詳細には、本発明は、気体流の流れ、例えば空気の流れから粒子状物質を取り除く(濾過する)ための装置に関する。また本発明は、気体流の流れから粒子状物質を望ましい状態で除去するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、米国内の企業であり米国に居所を有するDonaldson Company,Inc.の名義で、米国を除く全ての国を指定国として2001年8月10日にPCT国際特許出願として出願されたものであり、かつ2000年9月5日出願の米国出願第60/230,138号および2001年5月31日出願の米国出願第09/871,582号に基づく優先権を主張するものである。
【0003】
本発明は、本発明の譲受人であるミネソタ州ミネアポリスのDonaldson Company Inc.が現在開発中のものである。この開示内容は、米国特許:B2 4,720,292;意匠416,308;第5,613,992号;第4,020,783号;および第5,112,372号に一部関連して継続的に技術開発されたものに関する。前述の文章で明らかにされた特許のそれぞれも、ミネソタ州ミネアポリスのDonaldson,Inc.が所有するものであり、それぞれの完全な開示を参照により本明細書に組み込む。
【0004】
本発明は、熱、湿度、反応性物質、および機械的応力に対する環境安定性を高めた状態で製造することができるポリマー材料およびファイバにも関する。そのような材料は、安定性および強度が高められたマイクロファイバやナノファイバ材料などのファインファイバを形成する際に使用することができる。ファイバのサイズが小さくなるにつれ、材料の残存性が徐々に大きい問題になりつつある。そのようなファインファイバは様々な適用例で有用である。ある適用例では、このファインファイバ技術を使用してフィルタ構造を作製することができる。記述される技法は、フィルタ媒体(メディア:media/medium)中に1つまたは複数のファインファイバ層を有する構造に関する。構造、組成物およびファイバのサイズは、性質および残存性の組合せに対して選択される。
【0005】
(発明の背景)
気体の流れは、その中にしばしば粒子状物質を含む。多くの場合、気体流の流れから粒子状物質の一部または全てを除去することが、必要不可欠である。例えば、モータ作動式車両または発電機器用エンジンへの空気吸入の流れ、ガスタービンに向けられた気体の流れ、および様々な燃焼炉への空気の流れは、しばしば粒子状物質を含む。粒子状物質は、動作機器にかなりの損傷を与える可能性がある。微粒子は、エンジン、タービン、炉、またはその他の機器の上流で、気体流から除去することが好ましい。
【0006】
その他の場合、生成ガスまたは排出ガスは、例えば、粉砕、化学的処理、焼結、塗装を含めたプロセスによって発生する粒子状物質を含有する可能性がある。そのような気体を、様々な下流機器を通しかつ/または大気中に向けることができ、またはそのようにすべき前に、これらの流れから粒子状物質を十分に除去することが重要である。
【0007】
本発明は、構造内のフィルタエレメント、および改善されたフィルタ技術に関する。また本発明は、ファイバ、マイクロファイバ、ナノファイバ、ファイバ・ウェブ、繊維状マット、膜やコーティング、被膜などの透過性構造の形成を含んだ様々な関連する適用例で使用することが可能な、性質が改善されたポリマー組成物に関する。本発明のポリマー材料は、湿度、熱、空気流、化学物質、および機械的応力または衝撃によるフィルター構造および方法への悪影響に対する耐性を、様々な物理的形状または形態をとるポリマー材料に与えることが可能な物理的性質を有する組成物である。
【0008】
不織布ファインファイバフィルタ媒体(メディア:media/medium)の形成には、ガラス繊維、金属、セラミックス、および広範囲にわたるポリマー組成物を含む様々な材料が使用されている。直径が小さいマイクロファイバおよびナノファイバの製造には、様々な技法が使用されている。ある方法は、材料を、溶融材料として、または後で蒸発させる溶液中に溶かした状態で、微細な毛細管(キャピラリ)または開口に通すことを含む。ファイバは、ナイロンなど合成繊維の製造に一般的な「紡糸口金」を使用することによって形成することもできる。静電紡糸も知られている。そのような技法は、皮下針、ノズル、キャピラリ、または可動エミッタの使用を含む。これらの構造によれば、後で高電圧静電場によって収集ゾーンに引き付けられるポリマー溶液が得られる。材料がエミッタから引き離され、静電ゾーン内で加速するにつれ、ファイバは非常に細くなり、溶媒蒸発によってファイバ構造に形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
フィルタ媒体にはより厳しい用途が考えられるので、37.8℃(100°F)から121.1℃(250°F)、最高148.9℃(300°F)までの高温、10%〜90%、最高100%RHまでの高湿度、気体と液体の両方が高流量で、ミクロンおよびサブミクロンの微粒子(約0.01ミクロンから10ミクロンを超える範囲)を濾過し、研磨性および非研磨性で反応性および非反応性の微粒子を流体の流れから除去するという過酷な条件に耐えられるように、著しく改善された材料が必要である。
【0010】
したがって、高温・高湿度で流量が大きく前記ミクロンおよびサブミクロンの粒状物質を含む流れを濾過するために、改善された性質をもたらすポリマー材料、ミクロファイバおよびナノファイバ材料とフィルタ構造が、非常に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の概要)
本明細書では、エアクリーナ装置の設計および適用に関する一般的な技法が提供される。この技法は、好ましいフィルタエレメントの設計、ならびに好ましい適用およびフィルター方法を含む。
【0012】
一般に好ましい適用例は、バリア媒体、典型的にはひだ(pleat)付き媒体とファインファイバとをエア・フィルタ内で有利に利用することに関する。
【0013】
フィルタ媒体は、少なくともマイクロファイバまたはナノファイバ・ウェブ層を基体材料と組み合わせたものを、機械的に安定なフィルタ構造内に含む。これらの層は一緒になって、気体や液体などの流体がフィルタ媒体を通過する場合に最小の流動限界で、粒子捕捉度の高い優れたフィルター効率を提供する。基体は、内層の上流、下流、または内部の流体の流れの中に位置決めすることができる。様々な産業において近年では、かなりの関心が、濾過のためにフィルタ媒体を使用することに向けられており、すなわち気体などの流体、またはある特定の場合には液体などの流体から、望ましくない粒子を除去することに関心が向けられている。一般的なフィルタープロセスでは、空気の流れまたはその他の気体状の流れを含めた流体から、あるいは作動液や潤滑油、燃料、水の流れ、その他の流体などの液体の流れから、微粒子を除去する。そのようなフィルタープロセスでは、マイクロファイバおよび基体材料の機械的な強度、化学的物理的な安定性を必要とする。フィルタ媒体は、広範囲にわたる温度条件、湿度、機械的振動および衝撃、流体の流れに含まれる反応性および非反応性、研磨性または非研磨性の微粒子に曝される可能性がある。さらに、フィルタ媒体は、このフィルタ媒体を逆圧パルスに曝すという自己清浄能力(流体の流れが短時間逆向きになって、微粒子の表面コーティングを除去する)、またはフィルタ媒体の表面から、包含される微粒子を除去することが可能なその他のクリーニング機構を、しばしば必要とする。そのような逆クリーニングは大幅な改善をもたらすことができ、(すなわち)パルス・クリーニング後の圧力低下を小さくすることができる。一般に、粒子捕捉効率はパルス・クリーニング後に改善されないが、パルス・クリーニングによって圧力低下が小さくなり、フィルター動作のためのエネルギーが節約される。そのようなフィルタは、しばしば保守のため取り外して水性または非水性のクリーニング用組成物でクリーニングすることができる。このような媒体は、ファインファイバを紡糸し、次いでマイクロファイバの層、ウェブ、または格子状ウェブを多孔質基体上に形成することによって、しばしば製造される。紡糸プロセスでは、ファイバが、ファイバ同士の間で物理的な結合を形成し、層を絡み合った状態にしまたは一体化させて、層にファイバ・マットを固定することができる。次いでそのような材料を基体に結合させて、カートリッジや平らなディスク、キャニスタ、パネル、バッグ、ポーチなどの所望のフィルタ態様に作製することができる。そのような構造内では、媒体を実質的にひだ状にし、ロール状にし、または別の方法で支持構造上に位置決めすることができる。
【0014】
本明細書で述べるフィルタ装置は、機器用エンクロージャ、車両客室(キャビン)の換気装置、キャビン用エア・フィルタ、オンロードおよびオフロード用エンジン、圧縮器などの工業設備、およびその他関連する適用例も含めた広く様々な適用例で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のファインファイバを生成するための、典型的な静電エミッタ駆動装置を示す図である。
【図2】ファインファイバをフィルタ基体上に導入し、さらに図1に示されるファインファイバ形成技術に導くのに使用される装置を示す図である。
【図3】小さい粒子状物質、すなわち2および5ミクロンの粒子状物質と比較した、支持材料の典型的な内部構造を示す図および本発明のファインファイバ材料を示す別の図である。
【図4】、
【図5】、
【図6】、
【図7】、
【図8】、
【図9】、
【図10】、
【図11】実施例13に関する分析ESCAスペクトルを示す図である。
【図12】実施例5から得られた本発明の0.23および0.45マイクロファイバ材料の安定性を示す図である。
【図13】、
【図14】、
【図15】、
【図16】非変性ナイロンコポリマー溶媒可溶性ポリアミドと比較した場合の、実施例5および6の材料の、改善された温度および湿度安定性を示す図である。
【図17】、
【図18】、
【図19】、
【図19A】熱処理してから添加剤に結合させた2つのコポリマー、ナイロンホモポリマーとナイロンコポリマーのブレンドが、2つの別個のポリマー材料の区別可能な特徴を示さずに、架橋しまたは別の方法で化学的に接合された単一相であることがわかる、単一成分材料を形成することを示す図である。
【図20】吸気システムを備えたエンジンとエアクリーナを内部に有するシステムの概略図である。
【図21】第1フィルタエレメントおよびそこに取り付けられた安全フィルタエレメントの概略断面図であり、その両方が、図20に示されるようなエンジン・システムと共に使用される空気流チューブに取り付けられている状態を示す図である。
【図22】図21に示される第1フィルタエレメントの破断側面図である。
【図23】図21に示されるエンド・キャップおよび第1フィルタエレメントのシール部分の拡大概略破断断面図である。
【図24】図21に示される安全エレメントの破断側面図である。
【図25】図20に示されるエンジン・システムと共に利用することができる別のエアクリーナの側面図である。
【図26】図25に示されるハウジングおよび第1フィルタエレメントを含むエアクリーナの概略分解側面図である。
【図27】図25の線8−8に沿って得られたエアクリーナ・ハウジング内に動作可能に設置された第1フィルタエレメントの拡大断面図である。
【図28】図25の線9−9に沿って得られたエアクリーナ・ハウジング内に動作可能に設置された第1フィルタエレメントの別の部分の拡大断面図である。
【図29】図20に示されるエンジン・システムと共に利用することが可能な別のエアクリーナの側面を、一部破断し一部断面で表した図である。
【図30】図20に示されるエンジン・システムと共に利用することが可能な別のエアクリーナの、一部断面で表した破断側面図である。
【図31】図30に示されるエアクリーナの一部破断端面図である。
【図32】図20に示されるエンジン・システムと共に使用することが可能なパネル・フィルタエレメントの側面図である。
【図33】図32に示されるパネル・フィルタの平面図である。
【図34】吸気システムを備えた流体圧縮器および第1フィルタエレメントを内部に有するシステムの概略図である。
【図35】エア・フィルタ装置を一部破断した状態で示す平面図である。
【図36】図37のエア・フィルタ装置で利用されるフィルタ・アセンブリ(Vパック)の斜視図である。
【図37】図36の線20−20に沿って得られたフィルタ・アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.マイクロファイバまたはファインファイバのポリマー材料
本発明は、改善されたポリマー材料を提供する。このポリマーは、その物理的化学的安定性が改善されている。直径が200ナノメートル〜10ミクロンのポリマー・ファインファイバ(マイクロファイバおよびナノファイバ)は、有用な製品形態に作製することができる(例えば基体上に形成される場合)。ナノファイバは、直径が200ナノメートル未満、すなわち0.2ミクロン未満のファイバである。マイクロファイバは、直径が0.2ミクロンよりも大きいが10ミクロン以下のファイバである。このファインファイバは、改善された多層のミクロフィルター媒体構造の形に形成することができる。本発明のファインファイバ層は、ランダム分布したファインファイバを含み、これらが結合することにより格子状ネットを形成することができる。
【0017】
フィルター性能は、主として、微粒子の通過をファインファイバが妨害する結果得られる。剛性、強度、ひだ性という構造上の性質は、ファインファイバが接着する基体によって得られる。ファインファイバが絡み合った状態の網状組織は、重要な特徴として、マイクロファイバまたはナノファイバの形をとったファインファイバと、そのファイバ間にある比較的小さい開口、オリフィス、またはスペースを有する。そのようなファイバ間のスペースは、典型的な場合、約0.01ミクロンから約25ミクロンに及び、またはしばしば約0.1ミクロンから約10ミクロンに及ぶ。
【0018】
フィルタ製品は、基体上に形成されたファインファイバ層を含む。合成、天然の供給源から得られたファイバ(例えばポリエステル層およびセルロース層)は細く、基体として適切に選択されるものである。このファインファイバは、ファインファイバに基体を加えたフィルタ媒体全体の厚さを、1ミクロン未満の厚さだけ増大させる。使用中、フィルタは、流入する微粒子がファインファイバ層を通過するのを防ぐことができ、捕捉された粒子による表面負荷が大きくなる。ダストまたはその他の流入する微粒子を含む粒子は、ファインファイバ表面にダスト・ケーキを素早く形成し、微粒子を除去する初期効率および全体効率を高いレベルに維持する。粒径が約0.01〜約1ミクロンの比較的微細な汚染物質の場合であっても、ファインファイバを含むフィルタ媒体のダスト容量は非常に高い。
【0019】
本明細書に開示するポリマー材料は、熱、湿度、高流量、逆パルス・クリーニング、動作上の摩耗、サブミクロン微粒子、使用中のフィルタのクリーニング、およびその他の厳しい条件による望ましくない影響に対する耐性が大幅に改善されている。改善されたマイクロファイバおよびナノファイバの性能は、これらマイクロファイバおよびナノファイバを形成するポリマー材料の性質を改善した結果得られたものである。さらに、本発明の改善されたポリマー材料を使用する本発明のフィルタ媒体は、より高い効率、より低い流量制限、研磨性微粒子の存在下での高耐久力(応力に関連しまたは環境に関連したもの)、ばらばらのファイバまたはフィブリルがない滑らかな外面を含めたいくつかの有利な特徴を提供する。フィルタ材料の全体構造は、全体的により薄い媒体を提供し、単位体積当たりの媒体面積が改善され、媒体を通過する速度が低下し、媒体効率が向上し、流量制限が低下する。ファインファイバはポリマー材料またはポリマーと添加剤とから製造できる。本発明の好ましい一形態は、第1のポリマーと、これとは異なる第2のポリマー(ポリマーのタイプ、分子量、または物理的性質が異なる)であって、高温で調製されまたは処理されたものを含むポリマー・ブレンドである。ポリマー・ブレンドは、反応させて単一の化学種に形成することができ、またはアニール・プロセスによって物理的に結合(combined)させ、それによってブレンド済みの組成物にすることができる。アニールとは、結晶化度や応力緩和、配向などの、物理的変化を意味する。示差走査熱量計分析によって単一のポリマー材料であることが明らかにされるように、好ましい材料を化学的に反応させて単一のポリマー種にする。そのような材料は、好ましい添加剤材料と合わせた場合、疎油性、疎水性、または高温多湿の厳しい動作条件に接触させたときにその他の関連する改善された安定性をもたらす添加剤の表面コーティングを、マイクロファイバの表面に形成することができる。このクラスの材料のファインファイバは、直径が約0.01から5ミクロンでよい。そのようなマイクロファイバは、部分的にポリマー表面に溶解しまたはポリマー表面とアロイ状態になり、あるいはその両方の状態になる、添加剤材料の別個の層または添加剤材料の外部コーティングを含んだ滑らかな表面を有することができる。ブレンド・ポリマー系で使用される好ましい材料には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン(6−66−610)コポリマー、およびその他の直線状の、一般に脂肪族のナイロン組成物が含まれる。好ましいナイロンコポリマー樹脂(SVP−651)の分子量を、末端基滴定により分析した(J.E.WalzおよびG.B.Taylor、determination of the molecular weight of nylon、Anal.Chem.Vol.19、Number 7、第448〜450ページ(1947))。数平均分子量(Mn)は、21,500から24,800の間であった。組成物を、3成分ナイロン、すなわちナイロン6が約45%、ナイロン66が約20%、ナイロン610が約25%の溶融温度の状態図によって評価した(第286ページ、Nylon Plastics Handbook、Melvin Kohan編、Hanser Publisher、New York(1995))。報告されたSVP651樹脂の物理的性質は、以下の通りである。
【0020】
【表1】
【0021】
そのようなポリマー系には、加水分解の程度が87〜99.9+%のポリビニルアルコールを使用することができる。これらは物理的または化学的薬剤によって架橋していることが好ましい。またこれらPVOHポリマーは、相当な量の疎油性および疎水性の添加材料に架橋して結合していることが最も好ましい。
【0022】
本発明の別の好ましい形態は、ファイバの寿命または動作上の性質が改善されるよう、添加剤組成物に結合した単一のポリマー材料を含む。本発明のこの態様に有用な好ましいポリマーには、凝集ポリマーと、ナイロン・ポリマー、ナイロン・ポリマーなどの添加剤ポリマー、ポリ塩化ビニリデンポリマー、ポリフッ化ビニリデンポリマー、ポリビニルアルコールポリマーの両方が含まれ、特に、疎油性および疎水性が高い添加剤と合わせた場合にはこれら列挙された材料が含まれ、添加剤材料がファインファイバの表面をコーティングして形成されているマイクロファイバまたはナノファイバを得ることができる。この場合も、同様のナイロン、同様のポリ塩化ビニルポリマーのブレンド、ポリ塩化ビニリデンポリマーのブレンドが、本発明では有用である。さらに、異なるポリマーのポリマー・ブレンドまたはアロイも本発明により企図される。この点に関しては、相溶性あるポリマーの混合物が、本発明のマイクロファイバ材料を形成する際に有用である。フッ素系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、低分子量樹脂(例えば)分子量が約3000未満の第3級ブチルフェノール樹脂などの添加剤組成物を使用することができる。この樹脂は、メチレン架橋基が存在しない状態でフェノール核同士がオリゴマー結合していることを特徴とする。ヒドロキシル基および第3ブチル基の位置は、その環の周りにランダムに位置決めすることができる。フェノール核同士の結合は常にヒドロキシル基の隣で生じ、ランダムではない。同様に、ポリマー材料は、ビスフェノールAから形成されたアルコール可溶性の非直線状ポリマー樹脂と組み合わせることができる。そのような材料は、アルキレン基やメチレン基などのいかなる架橋基も存在しない状態で芳香族環と芳香族環を直接結び付けるオリゴマー結合を使用して形成される点が、上述の第3級ブチルフェノール樹脂と同様である。
【0023】
本発明の特に好ましい材料は、寸法が約0.001〜10ミクロンのマイクロファイバ材料を含む。好ましいファイバのサイズは、0.05ミクロン〜0.5ミクロンの範囲である。最終用途およびパルス・クリーナまたはクリーニングの選択肢に応じ、ファイバは、0.01〜2ミクロンのファイバ、0.005〜5ミクロンのファイバ、または0.1〜10ミクロンのファイバから選択することができる。そのような好ましいサイズのファイバは、優れたフィルタ機能をもたらし、逆パルス・クリーニングおよびその他の態様を容易にする。本発明の非常に好ましいポリマー系は、セルロース系基体に接触したときに、その基体にしっかりと結合して逆パルス・クリーニングおよびその他の機械的応力による層剥離に耐えることができるようその基体に十分な強度で接着するような、接着特性を有する。そのような形態では、ポリマー材料は、フィルタ構造上で逆方向であること以外は典型的なフィルター条件に実質上等しいパルス・クリーン入力を受けながら、基体に取着されたままでなければならない。そのような接着は、ファイバが基体に接触するときのファイバ形成時の溶媒効果により、または基体上のファイバを熱または圧力で後処理することにより、行うことができる。しかしポリマー特性は、水素結合のような特定の化学的相互作用、Tgよりも高くまたは低い温度で生じるポリマーと基体との接触、添加剤を含むポリマー形成などの接着性を決定する際に、重要な役割を果たすと考えられる。接着時に溶媒または水蒸気で可塑化したポリマーは、接着性を増大させることができる。
【0024】
本発明の重要な態様は、フィルタ構造に形成されたそのようなマイクロファイバまたはナノファイバ材料を有効利用できることである。そのような構造では、本発明のファインファイバ材料をフィルタ基体上に形成して接着させる。スパン・ボンデッド・ファブリック、合成繊維の不織布、セルロース系、合成、およびガラス繊維のブレンドから作製された不織布、ガラス不織および織布、押し出されかつ穴があけられた材料のようなプラスチック・スクリーン、有機ポリマーのUFおよびMF膜など、天然繊維および合成繊維の基体を使用することができる。流れの中に懸濁しまたは混入した微粒子をその流れから除去するため、シート状基体またはセルロース系不織ウェブを、空気の流れまたは液体の流れを含めた流体の流れの中に配置されるフィルタ構造に形成することができる。フィルタ材料の形状および構造は、設計技術者いかんによる。形成後のフィルタエレメントの1つの重要なパラメータは、熱、湿度、またはその両方の影響に対する抵抗性である。本発明のフィルタ媒体の一態様は、長時間にわたる温水への浸漬に耐えられるかどうか、試験をすることである。浸漬試験は、ファインファイバが高温多湿の条件に耐えられるかどうか、また、強力なクリーニング用界面活性剤および強アルカリ性材料をかなりの割合で含有する可能性のある水溶液中でのフィルタエレメントのクリーニングに耐えられるかどうかに関し、価値ある情報を提供することができる。本発明のファインファイバ材料は、活性フィルタ構成エレメントとして基体の表面に形成されたファインファイバを少なくとも50%保ちながら、温水への浸漬に耐えられることが好ましい。少なくとも50%のファインファイバが保たれることによって、フィルター能力を失うことなく、または背圧を増大させることなく、十分なファイバ効率を維持することができる。少なくとも75%保たれることが、最も好ましい。
【0025】
本発明のマイクロファイバまたはナノファイバを含有する層を構成するファインファイバは、ファイバでよく、直径は約0.001〜10ミクロン、好ましくは0.05〜0.5ミクロンでよい。典型的なファインファイバフィルター層の厚さはファイバ直径の約1〜100倍に及び、その坪量は約0.01〜240μg・cm−2に及ぶ。
【0026】
空気や気体の流れなどの流体の流れは、その内部にしばしば粒子状物質を含有する。粒子状物質の一部または全ては、流体の流れから除去する必要がある。例えば、モータ作動式車両の客室(キャビン)への吸気流、コンピュータ・ディスク・ドライブ内の空気、HVACの空気、フィルタ・バッグ、バリア用布地、織布を使用したクリーン・ルームの換気および施工、モータ作動式車両用エンジンまたは発電装置への空気、ガスタービンに向けられた気体の流れ、様々な燃焼炉への空気の流れは、その内部にしばしば粒子状物質を含んでいる。キャビンのエア・フィルタの場合、乗客が快適であるように、かつ/または美的な観点から、粒子状物質を除去することが望ましい。エンジン、ガスタービン、および燃焼炉への空気および気体の吸入流に関しては、微粒子によって、関係する様々な機構の内部の仕組みにかなりの損傷が生じる可能性があるので、粒子状物質を除去する必要がある。その他の場合、工業プロセスまたはエンジンからの生成ガスまたは排ガスは、その内部に粒子状物質を含有する可能性がある。そのようなガスは、様々な下流装置を通して大気中に排出することができ、または排出すべきであるが、その前に、これらの流れから粒子状物質を実質上除去することが望ましいと考えられる。
【0027】
エア・フィルタ設計の基本原理および問題のいくつかの一般的な理解は、以下のタイプのフィルタ媒体、すなわち表面負荷媒体と深さ媒体を考えることによって、理解することができる。これらのタイプの媒体のそれぞれは十分に研究されており、それぞれ広く利用されている。これらに関するある特定の原理が、例えば米国特許第5,082,476号、第5,238,474号、および第5,364,456号に記載されている。これら3つの特許の完全な開示を、参照により本明細書に組み込む。
【0028】
フィルタの「寿命」は、一般に、フィルタを横切る選択された限界の圧力低下によって定められる。フィルタを横切る圧力増大は、その適用例またはデザインに応じて定められたレベルでの寿命を規定する。この圧力増大は負荷がかかることによって生じるので、システムの効率が等しい場合、より長い寿命であることは一般により高い能力に直接関連する。効率とは、媒体が微粒子を通過させるのではなくて捕捉する傾向をいう。一般に、気体流の流れから微粒子を除去する際のフィルタ媒体の効率が高いほど、概してフィルタ媒体はより素早く「寿命」圧力差に近付くことになる(他の変数は一定に保たれると仮定する)。本願で、「フィルタ目的のため変化しない」という文言は、選択された適用例に必要とされるように、流体の流れから微粒子を除去するのに十分な効率が維持されることを指す。
【0029】
ポリマー材料は、不織布および織布、ファイバおよびマイクロファイバに作製されてきた。ポリマー材料は、製品の安定性に必要とされる物理的な性質を提供する。これらの材料は、日光、湿度、高温、またはその他のネガティブな環境上の影響のもと、その寸法が大幅に変化してはならず、分子量が低下してはならず、可撓性が低下してはならず、あるいは応力亀裂または物理的劣化が生じてはならない。本発明は、環境内の光などの電磁放射線の入射、熱、湿度、およびその他の物理的な問題に直面した場合に物理的性質を維持することができる、改善されたポリマー材料に関する。
【0030】
本発明のポリマー組成物に使用することができるポリマー材料には、付加重合体(付加ポリマー)材料と縮合重合体(縮合ポリマー)の材料の両方が含まれ、例えばポリオレフィンやポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー、およびこれらの混合などが含まれる。これらの一般的なクラスに包含される好ましい材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート(およびその他のアクリル樹脂)、ポリスチレン、およびこれらのコポリマー(ABAタイプのブロックコポリマーを含む)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、様々な程度に加水分解した(87%〜99.5%)ポリビニルアルコールであって、架橋した形および架橋していない形のものが含まれる。好ましい付加重合体は、ガラス状になる傾向がある(Tgが室温よりも高い)。これは、ポリ塩化ビニルおよびポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリマーの組成物またはアロイの場合に生じ、ポリフッ化ビニリデンおよびポリビニルアルコール材料の場合には結晶化度が低くなる。ポリアミド縮合重合体の1つのクラスは、ナイロン材料である。「ナイロン」という用語は、全ての長鎖合成ポリアミドの総称である。一般にナイロンという呼称には、出発材料がC6ジアミンおよびC6の2価の酸であることを示すナイロン6,6のように、一連の番号が含まれる(第1の桁はC6ジアミンを示し、第2の桁はC6ジカルボン酸を示す)。別のナイロンは、少量の水の存在下でε−(C6)カプロラクタム(または他のC6〜12ラクタム)を縮重合することによって作製することができる。この反応によって、直線状ポリアミドであるナイロン6(環状ラクタムから形成され、ε−アミノカプロン酸とも呼ばれる)が形成される。さらに、ナイロンコポリマーも考えられる。コポリマーは、様々なジアミン化合物、様々な2価の酸の化合物、および様々な環状ラクタム構造を反応混合物で結合させ、次いでポリアミド構造中にランダムに位置決めされたモノマー材料でナイロンを形成することによって、作製することができる。例えばナイロン6,6−6,10の材料は、ヘキサメチレンジアミンと、C6およびC10の2価の酸のブレンドから製造されたナイロンである。ナイロン6−6,6−6,10は、ε−アミノカプロン酸と、ヘキサメチレンジアミンと、C6およびC10の2価の酸の材料のブレンドから製造されたナイロンである。
【0031】
ブロックコポリマーは、本発明のプロセスにおいても有用である。そのようなコポリマーでは、物質を膨潤させる溶媒の選択が重要である。選択される溶媒は、両方のブロックを溶媒に溶解させるようなものである。一例は、ABA(スチレン−EP−スチレン)ポリマーまたはAB(スチレン−EP)ポリマーを塩化メチレン溶媒に溶解させたものである。1つの成分が溶媒に溶解しない場合、ゲルが形成される。そのようなブロックコポリマーの例として、Kraton(登録商標)タイプのスチレン−b−ブタジエン、スチレン−b−水素化ブタジエン(エチレンプロピレン)、Pebax(登録商標)タイプのe−カプロラクタム−b−エチレンオキシド、Sympatex(登録商標)のポリエステル−b−エチレンオキシド、エチレンオキシドとイソシアネートのポリウレタンがある。
【0032】
付加重合体、例えばポリフッ化ビニリデンやシンジオタクチックポリスチレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルと、非晶質付加重合体、例えばポリ(アクリロニトリル)と、そのアクリル酸およびメタクリレートとのコポリマー、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、およびその様々なコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、およびその様々なコポリマーは、低圧および低温で可溶であるので、比較的容易に溶液紡糸することができる。しかし、ポリエチレンやポリプロピレンのような高度に結晶化したポリマーは、それらを溶液紡糸する場合には高温高圧の溶媒を必要とする。したがって、ポリエチレンおよびポリプロピレンの溶液紡糸は非常に困難である。電界溶液紡糸(electrostatic solution spining)は、ナノファイバおよびマイクロファイバを作製する一方法である。
【0033】
本発明者等は、ポリマー混合物、アロイ形態中に、または架橋した化学結合構造中に2種以上のポリマー材料を含むポリマー組成物を形成することの相当な利点も見出した。本発明者等は、そのようなポリマー組成物がポリマーの属性を変えることによって物理的性質を改善すると考え、例えば、ポリマー鎖の柔軟性または鎖の移動性が改善され、全体的な分子量が増加し、ポリマー材料の網状組織の形成により強化されると考えている。
【0034】
この概念の一実施形態では、有益な性質を得るために、2つの関連するポリマー材料をブレンドすることができる。例えば、高分子量のポリ塩化ビニルを低分子量のポリ塩化ビニルとブレンドすることができる。同様に、高分子量のナイロン材料を低分子量のナイロン材料とブレンドすることができる。さらに、一般的なポリマーの種類の中でも異なる種類のものをブレンドすることができる。例えば高分子量のスチレン材料を、低分子量の耐衝撃性(high impact)ポリスチレンとブレンドすることができる。ナイロン6の材料は、ナイロン6;6,6;6,10コポリマーなどのナイロンコポリマーとブレンドすることができる。さらに、87%が加水分解したポリビニルアルコールのように、加水分解の程度が低いポリビニルアルコールは、加水分解の程度が98%から99.9%の間、またはそれ以上の、完全にまたは高度に加水分解したポリビニルアルコールとブレンドすることができる。混合物中のこれらの材料の全ては、適切な架橋機構を使用して架橋することができる。ナイロンは、アミド結合中の窒素原子と反応する架橋剤を使用して、架橋することができる。ポリビニルアルコール材料は、モノアルデヒドなど、例えばホルムアルデヒドや、尿素、メラミンホルムアルデヒド樹脂およびその類似体、ホウ酸、およびその他の無機化合物、ジアルデヒド、2価の酸、ウレタン、エポキシ、およびその他の既知の架橋剤など、ヒドロキシル反応性材料を使用して架橋することができる。架橋技術は十分に知られており理解されている現象であって、架橋試薬が反応してポリマー鎖同士の間に共有結合を形成し、それによって、分子量、耐薬品性、全体強度、機械的劣化に対する抵抗力が大幅に改善されるものである。
【0035】
本発明者等は、添加された材料が、ファインファイバの形をとるポリマー材料の性質を著しく改善することを見出した。熱、湿度、衝撃、機械的応力の影響、およびその他の負の環境の影響に対する抵抗力は、添加された材料を存在させることによって著しく改善することができる。本発明者等は、本発明のマイクロファイバ材料を加工しながら、添加された材料が疎油性および疎水性を改善することができ、材料の化学的安定性の改善を助けることができるようになることを見出した。本発明者等は、これら疎油性および疎水性の添加剤が保護層コーティング、融蝕性表面を形成し、またはその表面から若干の深さまで浸透してポリマー材料の性質を改善するので、これらの添加剤を存在させることによって、マイクロファイバの形をとる本発明のファインファイバの性質が改善されると考えている。本発明者等は、これらの材料の重要な特徴は、非常に疎水性の高い基であって好ましくは疎油性も有することができる疎水基が存在することであると考える。疎水性が非常に高い基には、フルオロカーボン基、疎水性炭化水素界面活性剤またはブロック、および実質上の炭化水素オリゴマー組成物が含まれる。これらの材料は、一般にポリマーとの物理的な結合または会合が得られるように、ポリマー材料に対して相溶性の傾向がある分子の一部を有する組成物に製造されるが、疎水性または疎油性が非常に高い基は、添加剤がポリマーと会合する結果、その表面に保護表面層を形成し、またはポリマー表面層とのアロイまたは混合物を形成するようになる。添加剤は、ファイバ上で合計1重量%〜25重量%の量で使用することができる。添加剤のレベルが10%の0.2ミクロンのファイバでは、添加剤が表面に向かって移行した場合、表面の厚さが50Å程度になるよう計算される。移行は、バルク材料中で疎油性または疎水性の基が非相溶性であることにより生じると考えられる。50Åの厚さは、保護コーティングに妥当な厚さであると考えられる。直径0.005ミクロンのファイバでは、50Åの厚さは20質量%に相当する。厚さ2ミクロンのファイバでは、50Åの厚さは2質量%に相当する。添加剤材料は、約2〜25重量%の量で使用されることが好ましい。有用な表面の厚さは、10Å〜150Åの範囲でよい。
【0036】
本発明のポリマー材料と組み合わせて使用することができるオリゴマー添加剤には、フッ素系化学物質、非イオン性界面活性剤、および低分子量の樹脂またはオリゴマーを含む、分子量が約500〜約5000、好ましくは約500〜約3000のオリゴマーが含まれる。本発明で有用なフッ素系有機(fluoro−organic)湿潤剤は、式
Rf−G
で表される有機分子であり、ただしRfはフルオロ脂肪族ラジカルであり、Gは、カチオン基、アニオン基、非イオン性基、または両性基など、少なくとも1個の親水基を含有する基である。非イオン性材料が好ましい。Rfは、少なくとも2個の炭素原子を含有する、フッ素化した1価の脂肪族有機ラジカルである。これは、飽和パーフルオロ脂肪族の1価の有機ラジカルであることが好ましい。しかし、水素原子または塩素原子を、骨格鎖上に置換基として存在させることができる。多数の炭素原子を含有するラジカルは十分に機能することができるが、大きいラジカルの場合、通常は骨格鎖が短い場合に可能であるよりもフッ素を十分に利用できないので、約20個以下の炭素原子を含有することが好ましい。Rfは、炭素原子を約2〜8個含有することが好ましい。
【0037】
本発明で使用されるフッ素系有機剤に使用可能なカチオン基には、アミンまたは第4級アンモニウムカチオン基であって、酸素を含まず(例えば−NH2)または酸素を含有する(例えばアミンオキシド)ことができるものが含まれる。そのようなアミンおよび第4級アンモニウムカチオン親水基は、式−NH2、−(NH3)X、−(NH(R2)2)X、−(NH(R2)3)X、または−N(R2)2→Oで表すことができ、ただしxは、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、重硫酸塩、またはカルボキシレートなどのアニオン性対イオンであり、R2はHまたはC1〜18アルキル基であり、各R2は他のR2基と同じかまたは異なるものにすることができる。R2はHまたはC1〜16アルキル基であり、Xはハロゲン化物、水酸化物、または重硫酸塩であることが好ましい。
【0038】
本発明で使用されるフッ素系有機湿潤剤に使用可能なアニオン基には、イオン化によってアニオンラジカルになることができる基が含まれる。アニオン基は、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−PO3HM、−OPO3M2、または−OPO3HMなどの式を有することができ、ただしMはH、金属イオン、(NR14)+、または(SR14)+であり、各R1は独立にH、あるいは置換されまたは置換されていないC1〜C6アルキルである。Mは、Na+またはK+であることが好ましい。本発明で使用されるフッ素系有機湿潤剤の好ましいアニオン基は、式−COOMまたは−SO3Mを有する。アニオン性のフッ素系有機湿潤剤の基は、一般に、エチレン不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸モノマーであってそこにフルオロカーボン側基が結合しているモノマーから製造されるアニオン性ポリマー材料を含む。そのような材料には、3M社から得られるFC−430およびFC−431と呼ばれる界面活性剤が含まれる。
【0039】
本発明で使用されるフッ素系有機湿潤剤に使用可能な両性基には、上記定義された少なくとも1個のカチオン基と、上記定義された少なくとも1個のアニオン基を含有する基が含まれる。
【0040】
本発明で使用されるフッ素系有機湿潤剤に使用可能な非イオン性基には、親水性であるが農業で通常使用されるpH条件下ではイオン化しない基が含まれる。非イオン性基は、−O(CH2CH2)xOHであってxが1より大きいものや、−SO2NH2、−SO2NHCH2CH2OH、−SO2N(CH2CH2H)2、−CONH2、−CONHCH2CH2OH、または−CON(CH2CH2OH)2などの式を有するものでよい。そのような材料の例には、以下の構造の材料が含まれる。
【0041】
F(CF2CF2)n−CH2CH2O−(CH2CH2O)m−H
ただしnは2〜8であり、mは0〜20である。
【0042】
その他のフッ素系有機湿潤剤には、例えば米国特許第2,764,602号、第2,764,603号、第3,147,064号、および第4,069,158号に記載されているカチオン性フルオロケミカルが含まれる。そのような両性フッ素系有機湿潤剤には、例えば米国特許第2,764,602号、第4,042,522号、第4,069,158号、第4,069,244号、第4,090,967号、第4,161,590号、および第4,161,602号に記載されている両性フルオロケミカルが含まれる。そのようなアニオン性フッ素系有機湿潤剤には、例えば米国特許第2,803,656号、第3,255,131号、第3,450,755号、および第4,090,967号に記載されているアニオン性フルオロケミカルが含まれる。
【0043】
そのような材料の例には、duPont Zonyl FSNおよびduPont Zonyl FSO非イオン性界面活性剤がある。本発明のポリマーに使用することができる添加剤の別の態様には、一般構造が
CF3(CX2)n−アクリレート
であり、ただしXが独立して−Fまたは−CF3、nが1〜7である、3MのScotchgard材料などの低分子量フルオロカーボンアクリレート材料が含まれる。
【0044】
さらに、低級アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、ノニルフェノールエトキシレートなどを含む非イオン性炭化水素界面活性剤も、本発明の添加剤材料として使用することができる。このような材料の例には、Triton X−100およびTriton N−101が含まれる。
【0045】
本発明の組成物の添加剤材料として使用するのに役立つ材料は、第3級ブチルフェノールオリゴマーである。そのような材料は、分子量が比較的低い芳香族フェノール樹脂になる傾向がある。そのような樹脂は、酵素酸化カップリングによって調製されたフェノールポリマーである。メチレン架橋が存在しないと、独自の化学的物理的な安定性が得られる。これらのフェノール樹脂は、様々なアミンおよびエポキシと架橋することができ、様々なポリマー材料に対して相溶性がある。これらの材料は一般に、フェノール基および芳香族基を有するメチレン架橋基が存在しない繰返しモチーフのフェノール材料を特徴とする、以下の構造式によって例示される。
【0046】
【化1】
【0047】
上式で、nは2〜20である。これらフェノール材料の例には、Enzo−BPA、Enzo−BPA/フェノール、Enzo−TBP、Enzo−COP、およびその他関連するフェノール類が含まれ、これらはオハイオ州ColumbusのEnzymol International Inc.から得られた。
【0048】
極めて広く様々な繊維状フィルタ媒体が種々の用途のため存在することを理解されたい。本発明で述べる耐久性あるナノファイバおよびマイクロファイバは、媒体のいずれかに付加することができる。本発明で述べるファイバは、これら既存の媒体のファイバ構成エレメントの代わりに使用することもでき、その直径が小さいので性能が改善されるという利点が得られ(効率が高まり、かつ/または圧力低下が減少する)、それと共に耐久性がより向上したことが示される。
【0049】
ポリマーナノファイバおよびマイクロファイバが知られているが、これらは表面積と体積の比が非常に大きいので、機械的応力に対して脆弱であり、また化学的劣化を受け易く、そのためこれらファイバの用途には非常に制約があった。本発明で述べるファイバは、これらの制約に対処するものであり、したがって非常に広く様々なフィルター、織物、膜、およびその他多様な適用例で使用可能になる。
【0050】
(図面の詳細な説明)
このユニットのマイクロファイバまたはナノファイバは、静電紡糸プロセスによって形成することができる。ファイバの形成に適切な装置を図1に示す。この装置は、ファインファイバ形成ポリマー溶液が入っているリザーバ80と、ポンプ81と、ポリマー溶液が送出される回転式放出装置またはエミッタ40を含む。エミッタ40は一般に、回転ユニオン41と、複数のオフセット・ホール44を含む回転部分42と、前面部分および回転ユニオンを接続するシャフト43とからなる。回転ユニオン41によって、ポリマー溶液は、中空シャフト43を通して前面部分42に導入される。ホール44は、前面部分42の周辺の周りに間隔を空けて配置されている。あるいは、回転部分42を、リザーバ80およびポンプ81によって供給されたポリマーのリザーバに浸漬することができる。次いで回転部分42はリザーバからポリマー溶液を得、その部分が電場内で回転するにつれ、溶液の小滴が静電場によって、以下に論じる収集媒体70に向けて加速される。
【0051】
エミッタ40に面するように、しかしそこから間隔を空けて、略平面グリッド60が配置されており、その表面には収集媒体70(すなわち基体または結合基体)が位置決めされている。空気は、このグリッドを通して引き込むことができる。収集媒体70は、グリッド60の両端に隣接して位置決めされたローラ71および72の周りを通過する。エミッタ40とグリッド60の間では、適切な静電圧電源61と、それぞれがグリッド60およびエミッタ40に接続される接続62および63とによって、高圧静電電位が維持される。
【0052】
使用中、ポリマー溶液は、リザーバ80から回転ユニオン41またはリザーバに送出される。前面部分42は回転するが、このとき液体はホール44から出ていき、またはリザーバから引き上げられ、エミッタの外縁からグリッド60上に位置決めされている収集媒体70に向かって移動する。具体的には、グリッド60とエミッタ40との間の静電電位によって材料に電荷が与えられ、そこから液体が細いファイバとして放出されてグリッド60に向かって引き出される。溶融状態のポリマーの場合、溶媒は、ファイバがグリッド60に飛ばされる間にファイバから蒸発する。ファインファイバは、グリッド60で最初に出会った基体ファイバに結合する。静電場の強度は、エミッタから収集気体70へと加速されるにつれて、ポリマー材料が確実に得られるように選択されるが、この加速は、材料を非常に細いマイクロファイバまたはナノファイバ構造にするのに十分なものである。収集媒体の前進速度を速め、または遅くすることによって、放出されたファイバを形成媒体上に多かれ少なかれ成膜させることができ、それによって、その媒体上に成膜した各層の厚さを制御することが可能になる。回転部分42は、様々な有益な位置を有することができる。回転部分42は、回転平面内に、すなわちその平面が収集媒体70の表面に垂直になるように、または任意のどのような角度でも位置決めされるように、回転平面内に配置することができる。回転媒体は、平行な向きに平行に、またはその向きからわずかにずれた状態で、位置決めすることができる。
【0053】
図2は、シート状基体または媒体上にファインファイバ層を形成するためのプロセスおよび装置の概略図である。図2で、シート状基体は、ステーション20で巻き解かれる。次いでシート状基体20aをスプライシング・ステーション21に向け、そこで複数の長さの基体を、連続動作のためにスプライスすることができる。連続した長さのシート状基体を、図1の紡糸技術を含むファインファイバ技術ステーション22に向け、そこで紡糸装置によりファインファイバを形成し、そのファインファイバを、シート状基体上のフィルター層に重ねる。形成ゾーン22内でファインファイバ層をシート状基体上に形成した後、ファインファイバ層および基体を、熱処理ステーション23に向け、適切な処理を行う。次いでシート状の基体およびファインファイバ層を、効率モニタ24で試験し(プロセスおよびモニタに関しては、本明細書に参照により特別に組み込んだ米国特許第5,203,201号を参照)、必要に応じてニップ・ステーション25でニップ処理する。次いでシート状基体およびファインファイバ層を適切な巻きステーションに送り、そこで適切なスピンドルに巻き付けて、さらに処理26および27を行う。
【0054】
図3は、典型的なセルロース媒体の細孔径および典型的なファインファイバ構造での細孔径に対する、直径が約2ミクロンと約5ミクロンの典型的なダスト粒子の関係を示す、走査電子顕微鏡写真である。図3Aでは、典型的な粒子径よりもかなり大きく示されている細孔径を有するセルロース媒体33中に、2ミクロン粒子31および5ミクロン粒子32があることを示している。これとは全く対照的に、図3Bでは、2ミクロン粒子はファイバ・ウェブ35のファイバ間の典型的な開口にほぼ等しいかそれよりも大きく見えるが、5ミクロン粒子32は、ファインファイバ・ウェブ35の開口のいずれよりも大きく見える。
【0055】
本発明者等は、格納または最終用途への輸送におけるフィルタが極端な環境条件に曝される可能性があることを見出した。サウジアラビアの砂漠でのフィルタは、65.6℃(150°F)以上ほどに高い温度に曝さらされる可能性がある。インドネシアまたは米国の湾岸に設置されたフィルタは、90%RHを超える高い湿度および37.8℃(100°F)という温度に曝される可能性がある。または、それらのフィルタは雨に曝される可能性がある。本発明者等は、自動車やトラック、バス、トラクタなどの移動機器および建設用機器のフード下で使用されるフィルタが、高温(82℃〜137.8℃(180°F〜280°F))、高相対湿度、およびその他の化学的環境に曝される可能性があることを見出した。正常に動作する場合、フィルタ温度は一般に周囲温度である。この温度条件は、機器またはエンジンが異常に動作し、あるいは最大出力でまたは最大出力付近で使用され、次いで停止させる場合に最も過酷である。本発明者等は、過酷な条件下でのマイクロファイバ系の残存性を評価する試験方法を開発した。フィルタ媒体サンプルを温水(60℃(140°F))中に5分間浸し、または高湿、高温、および空気流に曝す。
【0056】
B.エアクリーナの設計に関する一般的原理
本明細書で、「エアクリーナ」という用語は、空気流の流れから粒子状物質が除去されるように機能するシステムを指すのに使用される。「エア・フィルタ」という用語は、内部に微粒子を含む空気をフィルタ媒体に通すことによって除去を行うシステムを指す。「フィルタ媒体」または「媒体」という用語は、内部を空気が通過し、それに伴って媒体中または媒体上に粒子が堆積する(deposite)材料または材料の集合体を指す。「表面負荷媒体」または「バリア媒体」という用語は、空気が媒体を通過するときに、粒子状物質が、媒体の深さ方向に入り込んで堆積するのとは対照的に、主に媒体の表面に堆積してフィルタ・ケーキを形成するシステムを指す。
【0057】
「フィルタエレメント」という用語は、内部にフィルタ媒体を含むエアクリーナの一部を指すものである。一般にフィルタエレメントは、取外し可能かつ交換可能な、すなわち保守可能なエアクリーナの一部として設計される。すなわちフィルタ媒体はフィルタエレメントによって支持され、エアクリーナの残りの部分から分離可能であり、その結果、目詰まりしまたは部分的に目詰まりしたフィルタエレメントを取り外して、新しい、またはクリーニング済みのフィルタエレメントに交換することにより、定期的にエアクリーナを元の状態に戻すことができるようになる。エアクリーナは、取外しおよび交換を手で行うことができるように設計することが好ましい。「目詰まりした」という用語またはその変形例は、十分な時間稼動した結果、かなりの量の捕捉粒子または微粒子を上部に含有するエアクリーナ、例えば重量が少なくとも5%増加したエアクリーナを意味するものである。多くの場合、フィルタエレメントは、正常動作中そこに詰まった微粒子が原因となって、当初の重量の2倍かまたは3倍(またはそれ以上)にその重量が増加する。本発明のフィルタの基体上に形成されたファインファイバ層は、フィルター性能とファイバ位置の両方に関し、実質上均一であるべきである。実質上均一である、とは、ファイバが基体を十分にコーティングし、その結果、コーティングされた基体全体にわたって少なくともいくらか測定可能なフィルター効率を有することを意味する。ファイバの付加量を広く様々にすることによって、適切な濾過を行うことができる。したがってファインファイバ層は、ファイバコーティング範囲、坪量、層の厚さ、またはその他のファイバ付加量測定値を様々に変えることができ、それでも本発明の範囲内に十分包含される。ファインファイバの付加量が比較的少ない場合であっても、フィルタ構造全体の効率を高めることができる。
【0058】
本明細書で、ある場合には、「オンロード」エレメントおよび「オフロード」エレメントと言う。一般に、オンロードとオフロードでのエレメント設計および使用に関する典型的な相違は、「安全エレメント」が存在するかどうかに関係する。より具体的には、多くの場合、オフロード・フィルタエレメントは安全エレメントに関連して利用される。順方向流動装置の場合、安全エレメントは一般に、使用中に「第1」エレメントの内部に位置決めされた円筒形エレメントである。この場合、かつ同様の場合、「第1」という用語は、正常な使用において粒子収集の大部分を行うエレメントを指すものとする。このエレメントは一般に、安全エレメントが含まれる場合にはより「上流の」エレメントになる。本明細書で「エレメント」という用語を使用するとき、安全エレメントが含まれる場合には第1エレメントを指している。安全エレメントは、一般に「安全」という用語を使用することによって、特別に述べられる。
【0059】
フィルタの技術分野で、エレメントは、それが「軽量」、「中量」、または「重量」級の適用例に向けて構成されているかどうかに関してしばしば言及される。オンロードの場合、関連する車両の作動マイル数の点から見ると、その仕様は一般に、エレメントの最小期待寿命に関する。典型的な軽量向け適用例またはエレメントは、少なくとも32,180km(20,000マイル)、典型的な場合には少なくとも48,270km(30,000マイル)、効果的に作動するよう構成され配置される。中量エレメントは、一般に、平均で少なくとも64,360km(40,000マイル)、典型的な場合には少なくとも80,450km(50,000マイル)作動するよう構成され配置されるものである。重量エレメントは、少なくとも約144,810km(約90,000マイル)、典型的な場合には160,900km(100,000)マイル以上作動するよう構成され配置されるエレメントである。当然ながら、特徴付けは流動的である。例えば128,720km(80,000マイル)用に設計されたエレメントは、場合によっては重量エレメントとして分類することができる。
【0060】
オフロードエレメントも一般に、軽量、中量、または重量エレメントとして特徴付けられる。しかしオフデューティ仕様の場合、その定義は一般に、フィルタエレメント変更前の、期待使用時間に関する。一般に、オフロードで使用される軽量エレメントは、交換することなく少なくとも約90時間、典型的な場合には少なくとも100時間の期待動作時間に関して構成され配置されるエレメントであり、中量エレメントは一般に、交換することなく少なくとも約225時間、典型的な場合には少なくとも250時間、野外で作動させるために構成され配置され、重量エレメントは一般に、交換することなく少なくとも約450時間、典型的な場合には少なくとも500時間、野外で使用されるよう構成され配置されるエレメントである。この場合も、流動的である。
【0061】
一般に、エアクリーナ・システムの性能に関する仕様は、関係するエンジンの相手先商標による製造会社(OEM)、および/または関係するトラックまたはその他の機器のOEMの好みによって作成される。広く様々な仕様を含むことができるが、その主なものの1つは以下の通りである。
【0062】
1.エンジン吸気要求(定格流量)
2.初期制限
3.初期効率
4.平均または全体の動作制限
5.全体効率
6.フィルタ耐用寿命
エンジン吸気要求は、エンジン・サイズ、すなわち最大、完全、または「レートされた(定格)(rated)」負荷での排気量およびrpmの関数である。一般にこれは、排気量と定格rpmとの積であり、体積効率によって、またターボ効率やダクト効率などを反映するファクタによって修正されたものである。一般にこれは、定格動作中または完全負荷がかけられている間にエンジンまたはその他の関係するシステムによって必要とされる、単位時間当たりの空気の体積の測定値である。吸気要求はrpmに応じて様々に変わるが、吸気要件は、多くの典型的なトラック用エンジンの場合、定格rpm、しばしば1800rpmまたは2100rpmで定義される。本明細書でこのことは、「定格空気流」として、または同様の用語によって特徴付けられる。フィルタは、エンジン出力が約2〜8HPである小型エンジンの吸気適用例からの、0.028〜0.085m3/分(1〜3cfm(HP当たり約0.028m3/分(約1cfm))程度の少ない空気流に曝すことができる。大型エンジンは、1.42〜2.833/分(50〜100cfm)、しばしば2.83〜22.64m3/分(100〜800cfm)という吸入空気流を消費する。一般にフィルタは、故障することなく少なくとも定格量以上の流れが可能になるように、レートされなければならない。その他の適用例では一般に、本明細書で特徴付けられる原理は、例えば約1.42m3/分(約50立方フィート/分(cfm)から283m3/分(10,000cfm)までの範囲内のものも含め、広範囲に及ぶ定格または要求量で動作するよう指定されたシステムと共に使用される、エアクリーナ装置に適用することができる。そのような機器には、例えば、自動車用エンジン、ピックアップ・トラックおよびスポーツ・ユーティリティ・ビークル用エンジン、小型トラックおよび配達車両用エンジン、バス、長距離輸送用トラック、農業用機器(例えばトラクタ)、建設用機器、採掘用機器、船舶用エンジン、様々な発電機用エンジン、また、ある場合には、ガスタービンおよび空気圧縮器が含まれる。
【0063】
エアクリーナの全体効率は、一般に、使用中にエアクリーナに入りかつエアクリーナに保持される、「フィルター可能」な固形分の量を反映する。これは典型的な場合、正常使用中にエアクリーナに入ってエアクリーナにより保持される固形分の、重量パーセンテージで表される。これは、SAE規格を使用することによって多くのシステムに関し評価されかつ報告されているが、その技法は一般に、米国特許第5,423,892号の第25欄、第60行から第26欄、第59行、第27欄第1〜40行に特徴付けられている。使用される典型的な規格はSAE J726であり、参照により本明細書に組み込む。
【0064】
効率に関しては、エンジン製造業者および/または機器製造業者の仕様書は多くの場合様々になり、全体的な動作に関する効率要求(SAE J726または実地試験に基づき)は、しばしば99.5%以上、典型的な場合には99.8%以上に設定される。空気流要求量が14.15m3/分(500cfm)以上の典型的な車両エンジンでは、全体平均が99.8%以上の仕様が珍しくない。
【0065】
初期効率は、フィルタが最初に稼動し始めたときの測定可能な効率である。米国特許第5,423,892号の第27欄、第1〜40行で述べたように、特に従来のひだ付きペーパ(バリア・タイプまたは表面負荷)フィルタの場合、初期効率は、一般に使用中の全体平均効率よりもかなり低い。これは、動作中のそのようなフィルタの表面に「ダスト・ケーキ」または汚染物質が蓄積し、それによってフィルタの効率が高まるからである。初期効率も、エンジン製造業者および/または車両製造業者によってしばしば指定される。空気流需要量が14.15m3/分(500cfm)以上の典型的な車両エンジンでは、98%以上(典型的な場合には98.5%以上)の仕様が一般的である。
【0066】
制約は、動作中のエアクリーナまたはエアクリーナ・システムを横切る圧力差である。この制約の原因として、空気が通り抜けるフィルタ媒体、空気が通り抜けるダクト・サイズ、また、構造上の特徴であって、空気がエアクリーナを通ってエンジンに入るときに空気がそこに向かいまたはその周りを通る、構造上の特徴がある。エアクリーナに関し、初期制約限界は、しばしば仕様の一部であり、エンジン製造業者および/または機器製造業者が要求するものである。この初期制約は、清浄なエア・フィルタを内部に備えるシステムが稼動し始めてかなりの負荷が生じる前に、エアクリーナを横切る測定される圧力差と考えられる。典型的な場合、任意の所与のシステムに関する仕様には、最大初期制約要件がある。
【0067】
一般に、エンジンおよび機器製造業者は、エアクリーナ効率が最大制約までの仕様を備えた機器を設計する。米国特許第5,423,892号第2欄第19〜29行、および第6欄第47行、第7欄第3行に報告されるように、制限制約は、典型的なトラック用エンジンの場合、水中で約50.8〜76.2cm(約20〜30インチ)、しばしば水中で約63.5cm(約25インチ)の圧力低下であり、自動車用内燃機関の場合、水中で約50.8〜63.5cm(約20〜25インチ)であり、ガスタービンの場合、典型的には水中で約約12.7cm(5インチ)であり、工業用換気システムの場合、典型的には水中で約7.62cm(約3インチ)の圧力低下である。
【0068】
一般に、前述のセクションで特徴付けられた仕様のタイプに適合するようシステムを開発するためのエアクリーナの設計に関する主要な変数のいくつかは、以下の通りである。
【0069】
1.フィルタ媒体のタイプ、幾何形状、および効率
2.エアクリーナの形状および構造
3.フィルタエレメントのサイズ
例えば、従来のセルロースフィルタ媒体または同様の媒体は、一般に「バリア」フィルタである。一例はペーパ媒体である。一般に、そのような媒体の動作は表面負荷によるものであり、すなわち空気が媒体を通りぬけるときに媒体の表面がバリアまたは篩として働くことによるものであり、粒子状物質がそこを通過するのを妨げる。そのうち、ダスト・ケーキが媒体の表面に蓄積し、媒体効率が高まる。一般に、ファイバ構造の「耐密性」または「多孔性」がシステムの効率を、特に初期効率を決定する。そのうち、フィルタ・ケーキが効率に影響を与える(効率を高める)。
【0070】
一般にそのような媒体は、しばしばその透過性によって定義されまたは指定される。媒体の透過性試験は、米国特許第5,672,399号の第19欄第27〜39行において一般に特徴付けられている。一般に、記載されている材料、媒体、または複合体の平らなシート全体にわたって1.27cm(0.50インチ)の水の制約を引き起こすような媒体の面速度(空気)が必要とされる。本明細書で使用される透過性は、例えばメリーランド州ゲイダースバーグのFrazier Precision Instrument Co.,Inc.から入手可能なフレージャー透過性テスタを使用して、参照により本明細書に組み込むASTM D737に準拠したフレージャー透過性試験によって、または若干類似の試験によって評価する。
【0071】
Donaldson Company製の、定格空気流ファイバが14.15m3/分(500cfm)以上であるトラック用の多くのタイプのエンジン・フィルタに使用されるセルロース・ファイバの透過性は、透過性が約4.57m/分(約15fpm)未満、典型的な場合には約3.96m/分(約13fpm)の媒体である。一般にエンジンフィルタの市場では、そのような機器の場合、透過性の値が約7.62m/分(約25fpm)未満、典型的な場合には3.05〜7.62m/分(10〜25fpm)の範囲内のどれかである様々なバリア媒体(ひだ付き媒体)が、様々なエレメントの製造業者によって広く利用されている。
【0072】
媒体の幾何形状に関し、一般にバリア・フィルタの場合に好ましい幾何形状は、典型的にはひだ付きの円筒形パターンである。そのような円筒形パターンは、製造が比較的簡単明瞭であり、従来のフィルタ製造技法を使用し、保守が比較的容易であるので、一般に好ましい。表面負荷媒体にひだを付けることによって、所与の体積内に位置決めされた表面積が増大する。一般に、そのような媒体の位置決めに関する主なパラメータは、ひだの深さと、典型的な場合にはひだ付き媒体シリンダの内径に沿った2.54cm(1インチ)当たりのひだの数として測定されるひだの密度と、円筒形の長さまたはひだの長さである。一般に、媒体のひだの深さ、ひだの長さ、およびひだの密度の選択に関する主要なファクタは、特にバリア装置の場合、任意の所与の適用例または状況に必要な全表面積である。
【0073】
効率に関し、その原理は、含まれる媒体のタイプに応じて様々である。例えば、セルロース・ファイバまたは同様のバリア媒体は一般に、総合的な多孔性または透過性を変えることによって、効率に対して変化する。米国特許第5,423,892号および第5,672,399号で述べるように、バリア媒体の効率は、場合によっては媒体に油を塗ることによって、またその他の場合には、媒体の表面に比較的微細なファイバ、すなわち典型的には5ミクロン未満のファイバであって、たいていの場合にはサブミクロン・サイズ(平均)のファイバの成膜を、媒体の表面に付着させることによって変更することができる。繊維状の深さ媒体構成、例えば米国特許第5,423、892号で述べるようなドライ・レイド繊維状媒体に関しては、効率に関する変数として、媒体の中実性パーセント、関係する構成内に媒体がどの程度圧縮されたか、全体の厚さまたは深さ、およびファイバ・サイズが含まれる。
【0074】
現在市場に出ている多くのエンジン・エアクリーナ装置の場合、エレメントとハウジングとをシールする一般的な2種類のシール装置のうち、少なくとも一方が使用されている。これらの1つはラジアル(半径方向:radially)シール装置である。ラジアル・シール(半径方向シール)装置の様々な構成が知られており、(1)ミネソタ州ミネアポリスのDonaldson CompanyからDonaldson商標RadialSeal(登録商標)として入手可能な形のものであって、一般に、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許0329659B1に記載され特徴付けられているもの、(2)MannおよびHummelによるドイツ特許第4,241,586号、および1994年5月8日公開の対応(英語)公開南アフリカ文書第93/09129号であって、参照により本明細書に組み込まれるものに記載されているタイプ、および(3)参照により本明細書に組み込まれるFleetguardによる米国特許第5,556,440号、第10欄第53〜67行および図26に特徴付けられているタイプが含まれる。一般に、ラジアル・シール装置では、シールは、エレメントがシールされるチューブを中心として半径方向に向けられた力により形成される。
【0075】
シール装置の別の一般的なタイプは、一般に「アクシアル(軸方向:axial)」と呼ばれる。アクシアル(軸方向)・システムは、例えば米国特許第3,078,650号、第3,448,928号、第4,20,783号、第4,647,373号、および第5,562,746号に示されており、そのそれぞれを参照により本明細書に組み込む。一般に、そのような装置でのシール力は、円筒形エア・フィルタエレメントの長軸に沿った方向に向けられるが、この力は、エア・フィルタの端面と、エア・フィルタが内部に位置決めされるハウジングの表面との間のガスケットの圧縮によって得られ、このときシールは、空気流アパーチャまたはチューブを中心とした円周方向に向けられた状態(またはそのアパーチャまたはチューブに外接する状態)になる。
【0076】
C.典型的なシステム;エンジン吸気口
図20に、システムの概略を120で一般的に示す。システム20は、システムのタイプの一例であり、本明細書で述べるエアクリーナの装置および構造が使用可能である。図20には、何らかの定格空気流要求量が規定されたエンジン122を有する車両などの機器121が、概略的に示されている。機器121には、バス、長距離輸送用トラック、オフロード車両、トラクタ、またはモータ・ボートなどの船舶の適用例を含めることができる。エンジン122は、空気、燃料の混合物を使用することによって、機器121に動力を供給する。図20は、空気流が吸気領域123からエンジン122内に引き込まれる状態を示す。任意選択のターボ124が想像線で示されており、任意選択でエンジン122への吸気を増大させる。エンジン122およびターボ124の上流には、媒体126を有するエアクリーナ125がある。一般に、動作中、空気は矢印127に沿ってエアクリーナ125に引き込まれ、媒体126に入る。そこでは、空気から粒子および汚染物質が除去される。清浄になった空気は矢印128に沿って下流に流れ、吸気口123に入る。そこから空気はエンジン122に流入し、機器121に動力を供給する。
【0077】
エンジン・システムでは、エンジンの動作中、かつ動力の設定、負荷、外部周囲温度、およびその他の変数の条件に応じて、フード下の温度は一般に少なくとも26.7℃〜48.9℃(80°F〜120°F)であり、しばしば60℃〜104.4℃(140°F〜220°F)の範囲内である。正常動作の場合、フィルタはしばしば周囲温度近くになるが、空気流が少ない期間、またはその他の非標準的な動作期間中は、温度が104.4℃(220°F)以上に達する可能性がある。そのような温度は、フィルタエレメントの動作効率に悪影響を及ぼす可能性がある。排ガス規制によってエンジン排気の制限が強化され、さらに温度を上昇させることになる。以下に述べるように、フィルタ媒体を、バリア媒体と少なくとも単一の「ファインファイバ」層、場合によっては複数の「ファインファイバ」層との複合体の形に構成することによって、フィルタエレメントの性能(特に動作効率)を、そのような媒体複合体で構成されていない従来技術のフィルタエレメントよりも向上させることができる。
【0078】
D.エアクリーナの例
次に図21〜24を参照すると、第1フィルタエレメント132および安全エレメント134を含む、エアクリーナ130の第1の実施形態が示されている。図21〜24に示される特定の実施形態では、エアクリーナ130は、半径方向に向けられたシールを用いてシールするよう構成されたエアクリーナのタイプである。
【0079】
まず第1エレメント132を見ると、図22は、第1エレメント132の側面図を示している。図示される第1エレメント132は、対向する第1および第2のエンド(端部)・キャップ136、138と、外部支持チューブまたはライナ140と、空気を濾過するための媒体142とを含んでいる。媒体142は、対向する第1および第2端部143、144を有する。媒体142の第1端部143では、第1のエンド・キャップ136が媒体142に固定され、同様に、媒体142の第2端部144は第2のエンド・キャップ138に固定されている。典型的な装置の場合、第1および第2のエンド・キャップ136、138は、ポリウレタン・フォームなどの圧縮性材料から成形される。そのような装置では、ポリウレタン・フォーム中に媒体を注封し、その後ポリウレタン材料を硬化することによって、媒体142を第1および第2のエンド・キャップ136、138に結合させる。第1および第2のエンド・キャップ136、138に関するある材料の例について、以下にさらに述べる。
【0080】
好ましい装置では、媒体142はひだ付き構造146を含む。「ひだ付き構造」とは、媒体142が、通常は媒体142に関して均一に分布された一連のまたは複数の折り目またはひだを有することを意味する。
【0081】
次に図21を参照すると、ひだ付き構造146が好ましくはチューブの形をとり、好ましくは円筒形で、開放フィルタ内部148を画定することがわかる。第1フィルタエレメント132は、エアクリーナ出口チューブ152と共にシール150を形成し、それによって、空気が媒体142を迂回して直接出口チューブを通って流出するのを阻止する。
【0082】
ここで、第1フィルタエレメント132の動作の一般的な原理を理解することができる。一般に、濾過される空気は媒体142を通って外部環境から開放内部148へと流れる。媒体142は、空気の流れから粒子状物質を除去するよう動作する。そこから空気は安全エレメント134を通って、安全エレメントの開放内部154へと流れる。次いで清浄な空気は、出口チューブ152により形成されたフロー・コンジット156を通ってエアクリーナ130を出る。第1フィルタエレメント132と出口チューブ152との間のシール150は、濾過されていない空気が媒体142を迂回して直接フロー・コンジット156内を流れるのを防止する。安全エレメント134と出口チューブ152との間のシール158は、空気が安全エレメント134を迂回するのを防止する。これについて以下にさらに述べる。
【0083】
次に図23を参照すると、シール150を得るために、第1のエンド・キャップ136に関して好ましい形状が利用される。特に、エンド・キャップ136は、軸方向部分160と半径方向部分162を含む。半径方向部分162はエンド・キャップ開口164に外接しているが、これは開放フィルタ内部148に対して空気流を介し連通しているものである。半径方向部分162は、シール部分166としても機能する。シール部分166は、これを手の圧力(34.5kg(76ポンド)未満)で締め付けて媒体142のほうに撓めることができるように、圧縮性材料から作製される。シール部分166は、エンド・キャップの軸方向部分160から内部148に向かってその厚さが増大するステップ付き構造168の形をとることが好ましい。特に、ステップ付き構造168は、断面の厚さが増大する3つのステップ169、170、171を含む。このステップ付き構造168により、第1エレメント132を出口チューブ152に取り付けるときに、第1エレメント132がより容易に出口チューブ152に嵌め込まれるようになる。適正に取り付けることにより、シール部分166は、出口チューブ152と共にシール150を、特にラジアル・シール172を形成する。ラジアル・シール172は、出口チューブ152と内部支持チューブまたはライナ174との間にあってそれらに接するシール部分66の圧縮によって形成される。内部支持ライナ174は、第1および第2のエンド・キャップ136、138の間に延在し、通常はそれらの内部に注封されて、そこに結合する。内部支持チューブ174は、通常は、外部ライナ140と同様に構成される。したがって、このチューブは多孔質で通気性があり、エキスパンデッド・メタルから構成することができる。
【0084】
ラジアル・シール162は、米国特許第4,720,292号B2に詳細に記載されており、参照により本明細書に組み込む。
【0085】
第2のエンド・キャップ138は、図22および23に示される実施形態では閉じたエンド・キャップである。「閉じた」という用語は、第2のエンド・キャップ138が全体にわたって中実であり、流体がその内部を流れるアパーチャを画定しないことを意味する。
【0086】
シール部分166、好ましくは第1のエンド・キャップ136全体は、圧縮性材料、好ましくはポリウレタン、より好ましくはポリウレタン・フォーム(発泡ポリウレタン)によって形成される。ある使用可能な実施形態では、その材料は、成形したそのままの状態での密度が16.38cm3(1立方インチ)当たり6.36〜9.99kg(14〜22ポンド)のポリウレタン・フォームを含む。ラジアル・シール172を適正に機能させるには、第1エレメント132を出口チューブ152に取り付けるときに、シール部分166をかなり圧縮させる必要がある。多くの好ましい構造では、シール部分の最も厚い部分171において、その厚さの約15%から40%の間(しばしば約20〜33%)で圧縮され、そのようにすることによって、エレメント132に約36.32kg(約80ポンド)以下、好ましくは34.05kg(75ポンド)以下、一般には22.7〜31.78kg(50〜70ポンド)の力を手で加えて取り付けることにより得られたシールであっても、強力で堅固なシールを得ることができる。シール部分166に使用可能な材料は、米国特許第5,613,992号に記載されており、参照により本明細書に組み込む。
【0087】
次に図22および媒体142を見ると、上述のように、エンジン・システム120に使用する場合のエアクリーナ130は、26.7℃〜104.4℃(80°Fから220°F)程度の温度にかけられる可能性がある。媒体142は、従来技術のエアクリーナに比べて全体効率が高まるように設計することができる。一般に、媒体142は、基体上にファインファイバが成膜した複合体として構成される。図示される特定の実施形態では、基体180は、ひだ付き構造146に構成される。多くのエンジン・システム120で、基体180は、ペーパ媒体またはセルロースを含む。
【0088】
基体180に関して特に好ましい特徴は、透過性であることである。エンジン・システム120と共に利用される実施形態では、そこにいかなる処理もせずまたはそこにファインファイバを成膜させる前のその透過度が、1分当たり少なくとも2.44m(8フィート)、典型的にかつ好ましくは、1分当たり少なくとも約3.66m(約12フィート)、最も好ましくは、1分当たり4.27m(14フィート)から1分当たり91.44m(300フィート)の範囲内であるペーパ媒体が好ましい。セルロール媒体では、その坪量が22.7〜36.32kg(50〜80ポンド)/27.87m2(300フィート2)で厚さが0.025〜0.046cm(0.010〜0.018インチ)のものを使用することが好ましい。
【0089】
媒体複合体は、エンジン・システム120の高温条件下での効率を高めるため、ファインファイバの処理、成膜、またはコーティングを含む。
【0090】
次に図24を見ると、安全エレメント134が示されている。安全エレメント134は、対向する第1および第2のエンド・キャップ190、192と、外部支持チューブまたはライナ194と、第1のエンド・キャップ190と第2のエンド・キャップ192との間に延在してそれらに結合する媒体196とを含む。媒体196は、開放内部154を画定する管状または円筒形状のひだ付き構造198として示されている。
【0091】
第1のエンド・キャップ190は、開放エンド・キャップとして構成され、このキャップは、開放内部154に気体流を介して連通する空気流コンジット102を画定する。第2のエンド・キャップ192は、中実な、または閉じたエンド・キャップとして示されている。安全エレメント134は、任意選択で、第1および第2のエンド・キャップ190、192の間、また媒体196と開放内部154との間に延在する、内部支持チューブまたはライナを含んでよい。
【0092】
第1のエンド・キャップ190はその上部に、軟質の圧縮可能な材料で作製されたリング104であって、出口チューブ152内に嵌め込まれて使用中にチューブ152の内面106に接した状態でシールするよう構成され配置されたリング104を含む。安全エレメント134は、取り付けられたときに第1エレメント132の下に嵌合するよう寸法決めされ構成されることが好ましい(図21参照)。リング104は、シール部分166に関して既に述べたように、それと同じポリウレタン・フォームで構成されることが好ましい。ラジアル・シール108は、媒体196と出口チューブ152の間のリング104の材料の圧縮によって形成される。
【0093】
多くの好ましい装置で、媒体96は、セルロース基体およびファインファイバ層を含んだ複合体を含む。ひだ付き構造98のセルロース基体をファインファイバで処理するによって、動作温度が26.7℃(80°F)から60℃(140°F)よりも高いエンジン・システム120などの環境で利用するときに、制約を過度に増やすことなく動作効率を高めまたは耐用寿命を延ばす助けをする。
【0094】
次に、図25〜28の実施形態に注目されたい。図25〜28には、エンジン・システム120と共に使用可能な別のエアクリーナ115が示されている。セクションHで述べた好ましい媒体装置を除いて、エアクリーナ115の一般的な構造および幾何形状が米国特許第5,613,992号に記載されており、本明細書に参照により組み込む。
【0095】
エアクリーナ115は、一般に「逆フロー」エアクリーナと呼ばれるタイプである。「逆フロー」という用語は、濾過される空気が一般にフィルタエレメントの内部に入り、そのエレメントを通して外側に向かって流れ、エアクリーナのハウジングとエレメントとの間のボリューム内に入り、次いでエンジン吸気口123内に向けられることを意味する。
【0096】
図25では、エアクリーナ115を側面図によって示している。エアクリーナ115は、ハウジング116を含む。ハウジング116は、一般に、吸気フード118とカン120を含む。カン120は、出口チューブ122を含む。出口チューブ122は、アパーチャを画定し、清浄化された空気をハウジング116から吸気領域23に向ける。
【0097】
図26に、エアクリーナ115の分解組立て図を示す。フィルタエレメント124は、ハウジング116から取り外した状態が示されている。フィルタエレメント124は、対向する第1および第2のエンド・キャップ126、128と、第1および第2のエンド・キャップ126、128の間に延在する外部ライナ130と、やはり第1および第2のエンド・キャップ126、128の間に延在する内部ライナ132(図27)と、媒体134(図27)とを含む。一般に、フィルタエレメント124はハウジング116から取外し可能であり交換可能である。図26に、ファスナ136、138を示す。図26を参照すると、吸気フード118は、ファスナ136、138を切り離すことによってカン120から取り外すことができることがわかる。吸気フード118をカン120から取り外すと、フィルタエレメント124に触れることができるようになる。次いでフィルタエレメント124を掴んでカン120から取り外すことが可能である。次いで交換フィルタエレメントを取り付けて、エアクリーナ115を一新することができる。
【0098】
好ましい実施形態において、媒体134は管状の形、通常は円筒形の、ひだ付き構造140の形をとる。ひだ付き構造140は、開放フィルタ内部142を画定する(図27および28)。媒体は、高温(60℃(140°F)よりも高い)条件に合わせて作製することが好ましい。
【0099】
次に図27および28を参照すると、フィルタエレメント124がカン120内にどのようにシールされるかがわかる。図27では、第1のエンド・キャップ126が、圧縮性で可撓性のシール部分144を含む。シール部分144は、エンド・キャップ126の半径方向内側の部分にある。空気入口フード118をエレメント124上に取り付けるとき、フード118の入口チューブ146がシール部分144に押し付けられ、エンド・キャップ126の材料が内部ライナ132に対して圧縮される。このため、入口チューブ146と内部ライナ142の間にラジアル・シール148が形成される。実際に、ラジアル・シール148が形成される構造および手法は、図21〜23の実施形態のシール部分66とラジアル・シール72に類似している。シール部分144は、シール部分66に関して既に述べたものと同じポリウレタン・フォームから構成されることが好ましい。
【0100】
図28には、外部ライナ130とカン120の壁部152との間にかつそれらに接するように別のラジアル・シール150を形成する、底部エンド・キャップ128が示されている。この場合、ラジアル・シール150は外側に向けられ、安全エレメント34がラジアル・シール108を形成する手法に若干類似する。図26では、エンド・キャップ128が、シール部分156に沿ってステップ付き構造154を含むことがわかるが、これはエンド・キャップ128の外部ラジアル部分に対応するものである。シール部分156は、フィルタエレメント124を動作可能にカン120および壁部152内に取り付けるときに、撓んで圧縮される。特に、シール部分156は、外部ライナ130と壁部152の間でかつそれらに接して圧縮し、その結果、ラジアル・シール150が形成される。好ましいエンド・キャップ材料には、シール部分144およびシール部分66に関して既に述べたものと同じポリウレタン・フォームが含まれる。
【0101】
図28では、第2のエンド・キャップ128がアパーチャ158を画定することもわかる。アパーチャ158は、中心に位置付けられることが好ましい。アパーチャ158によって、フィルタ内部142に収集される水分の排水が可能になる。エンド・キャップ128は、内部ライナ132から中心アパーチャ158まで傾斜を付けることによって、漏斗状の面160を形成する。この漏斗状の面160は、収集された水分をアパーチャ158に向けてフィルタエレメント124の外部に出すのに役立つ。定期的に、栓162をカン120から取り外して、皿部164内に収集された水分を排水することができる。
【0102】
次に図29に注意を向けると、エアクリーナ170の別の実施形態が示されている。エアクリーナ170は、エンジン・システム20で使用可能である。構造および幾何形状は、一般に、米国特許第4,020,783号に記載されており、これを参照により本明細書に組み込む。
【0103】
エアクリーナ170は、一般にアクシアル・シール・エアクリーナと呼ばれるタイプのものである。エアクリーナ170は、本体174および取外し可能なカバー176を有するハウジング172を含む。カバー176は、クランプ装置178を緩めることによって、本体174から選択的に取り外すことができる。この結果、取外し可能で交換可能なフィルタエレメント180を露出させ、そのエレメントに触れることができるようになる。本体174は、側面または接線方向の入口チューブ182と、出口チューブ184を含む。エンジン吸気口23に流れる前に清浄化される汚れた空気は、入口チューブ182内を流れ、フィルタエレメント180を通って、出口チューブ184から出る。
【0104】
フィルタエレメント180は、第1および第2のエンド・キャップ186、188と、第1および第2のエンド・キャップ186、188の間に延在する内部および外部ライナ190、192と、第1および第2のエンド・キャップ186、188に結合された媒体194を含む。
【0105】
媒体194は、管状、好ましくは円筒形のひだ付き構造196として示されている。ひだ付き構造196の媒体用の特定の材料は、エンジン・システム20などの高温環境での動作に対応できるよう作製される。
【0106】
この実施形態で、第1および第2のエンド・キャップ186、188は板金で構成される。第1のエンド・キャップ186は、軸方向に向いたシール部材198を支持する。エアクリーナ170は、ボルト204および蝶ナット206を含んだヨーク構造202を含む。蝶ナット206はボルト204を中心として回転することができ、軸方向に向いた力を、本体174の端部壁208とシール部材198との間に引き起こして、第1のエンド・キャップ186と本体174の壁部208との間にかつそれらに接した状態でアクシアル・シール210を形成することができる。
【0107】
エアクリーナ170は、その内部に動作可能に取り付けられた安全エレメント212も含む。ハウジング172のその他の特徴は、入口チューブ182を通して吸入された空気を逸らすために、バッフル部材214を含む。
【0108】
動作中、濾過される空気は入口チューブ182内を流れ、バッフル部材214によって逸らされて、ハウジング172内に渦を巻きながら流入する。渦動作によって、より重い塵粒が重力によって底部カバー176に降下する。次いで清浄化される空気は媒体194内を流れ、開放フィルタ内部216内に入る。次いで空気は安全エレメント212内を流れ、多孔質ヨーク構造202内を流れ、その後、出口チューブ184を通って最終的には外に出て行く。次いで清浄化された空気は、エンジン122の吸気口123などの吸気口に向けられる。
【0109】
図30および31には、エンジン・システム120に使用可能な別のエアクリーナ220が示されている。エアクリーナ220の構造および幾何形状は、米国特許第5,112,372号および米国特許第4,350,509号に記載されており、これらを本明細書に参照により組み込む。
【0110】
エアクリーナ220は、好ましくはフィルタエレメント224に一体化したハウジング222を含む。したがってフィルタエレメント224は、ハウジング222に一体化した第1および第2のエンド・キャップ226、228を含む。フィルタエレメント224は、第1および第2のエンド・キャップ226、228に固定されてそれらの間に延在する媒体230を含む。媒体230は、管状、好ましくは円筒形の、ひだ付き構造232であって、開放フィルタ内部234を画定するものを含む。ひだ付き構造232は、高温適用例に特に適合された、以下に述べるような媒体配合物から作製することが好ましい。
【0111】
エアクリーナ220は、開放内部234内に向いた共鳴器236も含む。
【0112】
図31は、エアクリーナ220の端面図である。エアクリーナ220に吸気供給源を設けるため、少なくとも1つのアパーチャがエンド・キャップ226、228の一方に形成されている。図31に示される特定のものには、複数のアパーチャ238が第1のエンド・キャップ226によって画定され、その結果、空気がエアクリーナ220に入って、ハウジングの壁部242と媒体230との間のボリューム240を占有するようになる。
【0113】
出口チューブ244は第1のエンド・キャップ226から突出し、清浄化された空気はエアクリーナ220から出ることが可能になる。
【0114】
動作中、濾過される空気はアパーチャ238を通ってエアクリーナ220に入り、ボリューム240に流入する。次いで空気はひだ付き構造232内を流れ、開放フィルタ内部234に流入する。音は共鳴器236によって減衰され、清浄化された空気は出口チューブ244を通ってエアクリーナ220から出る。そこから空気は、システム20の吸気領域23などの吸気口に向かう。
【0115】
フィルタエレメントの別の実施形態を、図32および33に示す。この実施形態では、フィルタエレメント250はパネル・フィルタ252の形をとる。パネル・フィルタエレメント252は、ひだ付き構造256の形の媒体254含む。図32および33を見てわかるように、ひだ付き構造256は、一般に、複数のひだ258を備えたフラット・パネルを形成する。
【0116】
パネル・フィルタ構造252は、共同するハウジングと共にシールを形成するために、外周ガスケット部材260を有する。
【0117】
媒体254は、エンジン・システム20など高温条件下での動作用に特に開発された媒体構造を含む。特に開発された媒体254を備えたパネル・フィルタエレメント252も、流体圧縮器などのシステムで使用可能である。
【0118】
E.典型的なシステム;流体圧縮器
図34に、流体圧縮器を265で概略的に示す。流体圧縮器265は、フィルタエレメント270を備えたエアクリーナ268を含む。1つの使用可能なフィルタエレメント270は、パネル・フィルタ構造252である(図32および33)。流体圧縮器265は、シリンダ276を介して従来の手法によりピストン部材を駆動させるための、クランクシャフト274およびピストン連接棒を包封する、フレーム272を含む。シリンダ276の最上部と圧縮器のヘッド280との間には、弁板278が挟まれている。一般に圧縮器265は、当業者に周知の往復ピストン・タイプの圧縮器である。圧縮される空気は、矢印282で示される方向で圧縮器265に入る。空気はエアクリーナ268内を流れ、そこでフィルタエレメント270によって微粒子が除去される。次いで清浄化された空気はヘッド280に流入し、圧縮器265が作動して空気を圧縮する。
【0119】
圧縮器265は、高温環境(60℃(140°F)よりも高い)でときどき使用される。
【0120】
F.典型的な媒体サイズ
本明細書で述べるフィルタエレメントでは、それぞれがひだ付き構造を含むことが好ましい。これらのタイプの適用例では、ひだの長さは少なくとも15.24cm(6インチ)、127cm(50インチ)以下であり、20.3〜101.6cm(8〜40インチ)でよい。ひだの深さは、通常、少なくとも1.27cm(0.5インチ)、30.48cm(12インチ)以下であり、2.54〜15.24cm(1〜6インチ)でよい。
【0121】
管状構造の場合、ひだ付き構造の外径は、通常、少なくとも10.16cm(4インチ)、127cm(50インチ)以下であり、典型的には15.24〜76.2cm(6〜30インチ)でよい。
【0122】
パネル・フィルタ構造の場合、通常は少なくともひだが40個、200個以下のひだであり、典型的には50〜100個のひだである。
【0123】
G.典型的なシステム;ガスタービンを備えたタンク
図35、36、および37に、Mlタンク・フィルタを示す。Mlタンクはガスタービンによって動力が供給される。タービン・エンジンは、一般に、装甲板の下に位置付けられる。ガスタービン・エンジンは、作動させるのに大量の周囲空気を必要とする。周囲空気は、その内部に存在する粒子状物質を除去するために、ガスタービン・エンジンに向けられる前に濾過されるべきである。タンクは、タービン・エンジン用に空気を取り込むための吸気口を含む。タンクは、装甲板の下にエアクリーナを含む。タンクは、エアクリーナから粒子状物質を排気するための掃気用出口も含む。
【0124】
H.タンク用エアクリーナの実施例
図35、36、および37には、タンクで使用可能な一例であるエアクリーナ330が示されている。エアクリーナ330は、フィルタ・ハウジング334内に位置決めされた複数のフィルタエレメント332を含む。図示される特定の装置の場合、各フィルタエレメント332は、V字形媒体336を含む。図示されるものでは、ハウジング334は、使用中および組立て中に、その内部に3つのV字形媒体336が動作可能に受容されるよう寸法決めされるが、これらのパックは並行して、しかし間隔を空けた状態で配置されるものである。
【0125】
セクションHで以下に述べる好ましい媒体の開発品を除き、エアクリーナ330は、タンク用のシステムと共に米国特許第5,575,826号に記載されており、これを本明細書に参照により組み込む。さらに、以下のセクションHで論じる好ましい媒体の開発品以外に、V字形媒体336のそれぞれが米国特許第4,364,751号に記載されており、これを参照により本明細書に組み込む。
【0126】
図35、36、および37を参照すると、各媒体336は、エンド・キャップ340、341を備えたフレーム338を含む。図示される実施形態では、各V字形媒体336が2つのパネル342、343を含み、これらはV字形の形状に配置されて、それらの間に内部チャネルまたはスペース345が位置決めされた状態になっている。利用される装置の場合、各内部スペース345は、内部バッフル346、347によって3つの区画に分割されている。
【0127】
パネル342、343は、それぞれがひだ付きフィルタ媒体348によって塞がれている。ひだ付き媒体348は、ファインファイバで処理されたセルロース媒体を含む。このタイプの媒体は、タンクが曝されるような高温環境でのエアクリーナ330の効率を高める助けをする。
【0128】
図35、36、および37では、フィルタ・ハウジング334が、入口350および出口352を含んでいる。3つの媒体336のそれぞれは、ハウジング334内で、並行に配置されていることがわかる。仕切り354は、汚れた空気側356と清浄な空気側357とを分離するための面であって、そこに媒体336のそれぞれがシールされる面を提供する。特に、媒体336のそれぞれは、仕切り354に対して圧縮されるガスケット358を含み、空気流が、汚れた側356から媒体348を迂回して清浄な側357に直接流入するのを阻止する助けをする。仕切り354は、清浄化した空気がボリュームまたはスペース345から清浄な空気の側357に流れることができるように、空気流アパーチャ360を含む。
【0129】
V字形媒体336の動作は、一般に以下の通りである。空気が、ハウジング334の入口352を通してエアクリーナ330に入る。空気はパネル342、343に入り、内部スペース345に向けられる。粒子状物質はパネル342、343の外面(内部スペース345には接していないパネルの側面または表面)に残り、または蓄積されつつあるフィルタ・ケーキ上に残る。濾過された空気が内部ボリューム345を満たし、この空気がポートまたはアパーチャ360内を流れて、清浄な空気の側357に流入する。そこから、空気は出口352を通って外に流出し、ガスタービンに向けられる。
【0130】
エアクリーナ330は、クリーニング用のパルス・ジェット・システムも含む。一般にそのようなシステムは、フィルタパネル342、343を通して逆方向に向けられた、選択された空気ジェット・パルスを提供する。本明細書で逆方向とは、周囲空気をフィルター中に、パルス・ジェットが正常な空気流(すなわち濾過される空気流)とは反対の方向に向いていることを意味する。図示される装置の場合、この方向は、スペース345内に向けられて、最終的には空気をパネル342、343に通した後にひだ付き媒体348の表面から外側へと向けるパルス・ジェットと同じ方向と考えられる。
【0131】
図35では、パルス・ジェット・クリーニング・システムが、スタンド・パイプ362に接続された3つの弁360を含むが、これらは、圧縮された空気に対して空気流を介して連絡しているものである。弁360のそれぞれはディフューザ・ノズル364に接続するが、これらのノズルは、チャンバまたはスペース345の中心に向けられるように位置決めされている。
【0132】
定期的に、パルス・ジェット弁360の全てまたは選択された1つを開いて、空気パルスまたは空気ジェットを、V字形媒体336の内部スペース345の関連部分に放出することができる。このジェット・パルスによって、埃や塵などがパネル342、343の外に勢い良く流されるようになる。粒子状物質は、そこから勢い良く流されるパネルをじかに取り巻く領域に、分散するようになる。
【0133】
I.好ましい媒体の開発
本明細書で述べるフィルタエレメントのそれぞれに関し、媒体は、少なくとも部分的に不織布ファイバ層で処理され、またはコーティングされ、または覆われた基体を含んだ媒体複合体を含む。
【0134】
本発明の、マイクロファイバまたはナノファイバを含んだ層を構成するファインファイバは、ファイバでよく、またその直径は、約0.001〜10ミクロン、好ましくは0.05〜0.5ミクロンでよい。ある特定の適用例では、ファイバは、0.001〜2ミクロン、0.01〜5ミクロン、さらに0.05〜10ミクロンに寸法決めすることができる。典型的なファインファイバフィルター層の厚さは、坪量が約0.01〜240マイクログラム/cm2のファイバ直径の約1〜100倍の範囲に及ぶ。
【0135】
空気や気体の流れなどの流体の流れは、しばしばその内部に粒子状物質を含む。流体の流れから粒子状物質の一部または全てを除去することが必要である。例えば、モータ作動式車両のキャビンへの吸気流、コンピュータ・ディスク・ドライブ内の空気、HVAC空気、クリーン・ルームの換気、さらに、フィルタ・バッグ、バリア用ファブリック、織布を使用した適用例、モータ作動式車両用エンジンまたは発電機器への空気、ガスタービンに向けられた気体の流れ、様々な燃焼炉への空気の流れは、しばしばその内部に粒子状物質を含む。キャビンのエア・フィルタの場合、乗客が快適であるように、かつ/または美的な観点から、粒子状物質を除去することが望ましい。エンジン、ガスタービン・および燃焼炉への空気および気体を取り込む流れに関しては、微粒子によって相当なダメージが、関係する様々な機構の内部の仕組みに生じる可能性があるので、粒子状物質を除去することが望ましい。その他の場合では、工業プロセスまたはエンジンからの生成気体または排出気体が、その内部に粒子状物質を含有する可能性がある。そのような気体を様々な下流機器を通して大気に放出させることができ、または放出させるべきであるその前に、これらの流れから粒子状物質を実質上除去することが望ましいと考えられる。
【0136】
エア・フィルタ設計の基本的な原理および問題のいくつかの一般的な意味解釈は、以下のタイプのフィルタ媒体を考慮することによって、すなわち表面負荷媒体、および深さ媒体を考慮することによって、理解することができる。これらのタイプの媒体はいずれも十分に研究されており、それぞれ広く利用されている。それらに関するある特定の原理は、例えば米国特許第5,082,476号、第5,238,474号、および第5,364,456号に記載されている。これら3つの特許の完全な開示を参照により本明細書に組み込む。
【0137】
フィルタの「寿命」は、典型的な場合、フィルタを横切る選択された限界圧力低下によって定められる。フィルタを横切る圧力の増大が、その適用例または設計用として定められたレベルでの寿命を定める。この圧力の増大は負荷の結果なので、効率が等しいシステムの場合には、容量が大きくなるほどそれに伴って直接寿命が長くなる。効率は、微粒子を通過させるのではなく微粒子を捕捉する媒体の傾向である。典型的な場合、気体流の流れから微粒子を除去するときにフィルタ媒体が効率的であるほど、一般にフィルタ媒体はより速く「寿命」圧力差に近付くことが明らかである(その他の変数が一定に保たれると仮定する)。
【0138】
ペーパ・フィルタエレメントは、広く使用されている形の表面負荷媒体である。一般にペーパエレメントは、粒子状物質を含んだ気体の流れを横断するように配向させたセルロース、合成、またはその他のファイバの稠密マットを含む。ペーパは一般に、気体流を透過させるように構成され、また、十分微細な細孔径および適切な多孔率を有するようにも構成されて、選択されたサイズよりも大きい粒子がその細孔内を通過することができないように構成されている。気体(流体)がフィルタ・ペーパを通過するとき、フィルタ・ペーパの上流側は、拡散および妨害によって、選択されたサイズの粒子が気体(流体)の流れから捕捉され、保持されるように動作する。粒子は、フィルタ・ペーパの上流側にダスト・ケーキとして収集される。時間と共に、ダスト・ケーキもフィルタとして動作しはじめ、効率が高まる。これは、時として「シーズニング」と呼ばれ、すなわち初期効率よりも効率が高くなることをいう。
【0139】
上述のような単純なフィルタ設計には、少なくとも2つのタイプの問題が生じる。第1に、比較的単純な欠陥、すなわちペーパの破れが生じて、システムの故障に繋がる。第2に、粒子状物質が、薄いダスト・ケーキまたは層としてフィルタの上流側に急速に蓄積され、圧力低下を増大させる。ペーパ・フィルタなど、表面負荷フィルタ・システムの「寿命」を延ばすために、様々な方法が利用されている。1つの方法は、気体流の流れに直面する媒体の表面積が、平らでひだの無い構造に比べて増大するように、媒体をひだ付き構造にすることである。これはフィルタの寿命を延ばすが、それでもかなり限りのあるものである。そのため表面負荷媒体は、主に、フィルタ媒体を通る速度が比較的遅い適用例、一般には1分当たり約6.1〜9.14m(約20〜30フィート)以下であり、典型的には1分当たり約3.05m(約10フィート)程度以下である適用例に、その用途を見出した。本明細書で「速度」という用語は、媒体を通る平均速度である(すなわち媒体面積当たりの流量)。
【0140】
一般に、空気の流速がひだ付きペーパ媒体を通して増大するにつれ、フィルタ寿命は速度の二乗に比例して短くなる。したがって、ひだ付きペーパの表面負荷フィルタ・システムを、相当な空気流を必要とするシステム用の微粒子フィルタとして使用する場合、フィルタ媒体は比較的大きい表面積を持つことが必要である。例えば、長距離輸送用ディーゼル・トラックの典型的な円筒形ひだ付きペーパ・フィルタエレメントは、その直径が約22.86〜38.1cm(約9〜15インチ)、長さが30.48〜60.96cm(12〜24インチ)、ひだの深さが約2.54〜5.08cm(約1〜2インチ)である。したがって媒体のフィルター表面積(片側)は、典型的な場合、約2.78〜27.87m2(30〜300平方フィート)である。
【0141】
特に比較的高い流量を伴う多くの適用例では、時には一般に「深さ」媒体と呼ばれる代替のタイプのフィルタ媒体を使用する。典型的な深さ媒体は、比較的厚く絡まった繊維状材料を含む。深さ媒体は、一般に、その多孔率、密度、または固形分パーセントという用語によって定義される。例えば中実度2〜3%の媒体は、全体積の約2〜3%が繊維状材料(固形分)を含み、残りは空気または気体のスペースとなるように配置されたファイバの、深さ媒体マットと考えられる。
【0142】
深さ媒体を定義するための別の有用なパラメータは、ファイバ直径である。中実度パーセントが一定に保たれるがファイバ直径(サイズ)が小さくなる場合、細孔径またはファイバ間スペースは小さくなり、すなわちフィルタはより効率的になり、より効果的により小さい粒子を捕捉することになる。
【0143】
典型的な従来の深さ媒体フィルタは、深く、比較的一定の(または均一な)密度の媒体であり、すなわち、深さ媒体の中実度がその厚み全体を通して実質上一定に保たれる系である。本明細書で「実質上一定」とは、密度のばらつきが、たとえあるとしても媒体の深さ全体を通して比較的ごくわずかであることが見出されることを意味する。そのようなばらつきは、例えば、内部にフィルタ媒体が位置決めされている容器によって、外部係合面がわずかに圧縮されることにより生じる可能性がある。
【0144】
勾配密度深さ媒体装置が開発されている。そのような装置のいくつかは、例えば米国特許第4,082,476号、第5,238,474号、および第5,364,456号に記載されている。一般に、深さ媒体装置は、実質上その体積または深さ全体にわたって粒子状物質が「詰め込まれる(loading)」ように設計することができる。したがってそのような装置は、フィルタがその寿命に達したときに、表面負荷システムに比べてより大量の粒子状物質が詰め込まれるよう設計することができる。しかし、一般にそのような装置の場合、相当な詰込みが生じるようにするには、中実度が比較的低い媒体が望まれるので、効率が犠牲になっていた。十分な効率およびより長い寿命が得られるように、上述の特許に記載されているような勾配密度システムを設計した。ある場合には、表面負荷媒体を、そのような装置で「研磨」フィルタとして利用する。
【0145】
本発明によるフィルタ媒体構造は、第1の面を有する透過性の粗製繊維媒体または基体の第1の層を含む。ファインファイバ媒体の第1の層は、透過性の粗製繊維媒体の第1の層の、第1の面に固定される。透過性の粗製繊維状材料の第1の層は、平均直径が少なくとも10ミクロン、典型的にかつ好ましくは約12(または14)〜30ミクロンのファイバを含むことが好ましい。また、透過性の粗製繊維状材料の第1の層は、坪量が約200グラム/メートル2、好ましくは約0.50〜150g/m2、最も好ましくは少なくとも8g/m2の媒体を含むことが好ましい。透過性の粗製繊維状媒体の第1の層は、厚さが少なくとも0.00127cm(0.0005インチ)(12ミクロン)、典型的には厚さが0.00152〜0.051cm(0.0006〜0.02インチ)(15〜500ミクロン)、好ましくは厚さが約0.00254〜0.076cm(約0.001〜0.030インチ)(25〜800ミクロン)であることが好ましい。
【0146】
好ましい装置では、透過性の粗製繊維状材料の第1の層は、残りの構造とは別にフレージャー透過性試験によって評価した場合、透過度が少なくとも1メートル/分、典型的にかつ好ましくは約2〜900メートル/分であることを示す材料を含む。本明細書で効率について述べる場合、それは他に特に指定しない限り、本明細書で述べたようにASTM−1215−89に従って、0.78μの単分散ポリスチレン球状粒子を用いて20fpm(6.1メートル/分)で測定した場合の効率を意味するものである。
【0147】
透過性の粗製繊維媒体層の第1の面に固定されたファインファイバ材料層は、ナノファイバおよびマイクロファバ媒体の層であって、ファイバの平均ファイバ直径が約2〜10ミクロン以下、一般にかつ好ましくは約5ミクロン以下、典型的にかつ好ましくは、直径が0.5ミクロンより小さく約0.05〜0.5ミクロンの範囲内の少なくともいくつかのファイバの層であることが好ましい。また、透過性の粗製繊維状材料の第1の層の第1の面に固定されたファインファイバ材料の第1の層は、全体の厚さが約30ミクロン以下であることが好ましく、より好ましくは20ミクロン以下、最も好ましくは約10ミクロン以下であり、典型的にかつ好ましくはその厚さが、層のファインファイバ平均直径の約1〜8倍の範囲(より好ましくは5倍以下)である。
【0148】
本発明によるある特定の好ましい装置は、フィルタ構造全体において一般的に定義されたフィルタ媒体を含む。そのような用途に向けたいくつかの好ましい装置は、円筒形のひだ付きの構成に配置された媒体を含み、そのひだは、ほぼ長手方向に延在し、すなわち円筒形パターンの縦軸と同じ方向に延びている。そのような装置では、従来のフィルタと同様に、媒体をエンド・キャップに埋め込むことができる。そのような装置は、典型的な従来の目的で、望むなら上流ライナおよび下流ライナを含んでよい。
【0149】
いくつかの適用例では、全体的なフィルター性能または寿命を改善するために、本発明による媒体を、その他のタイプの媒体、例えば従来の媒体と併せて使用することができる。例えば、本発明による媒体を従来の媒体に積層することができ、スタック状の装置で利用することができ、あるいは、従来の媒体の1つまたは複数の領域を含んだ媒体構造に組み込むことができる(一体化フィーチャ)。これは、良好な負荷を目的として、そのような媒体の上流で使用することができ、かつ/または高効率研磨フィルタとして、従来の媒体の下流で使用することができる。
【0150】
本発明によるある特定の装置も、液体フィルタ・システム、すなわち濾過される粒子状物質が液体に含まれるフィルタ・システムで利用することができる。また、本発明によるある特定の装置は、ミスト・コレクタ、例えば空気から微細なミストを取り除く(濾過する)ための装置で使用することができる。
【0151】
本発明によれば、濾過をするための方法が提供される。この方法は、一般に、濾過を行うのに有利になるように、既述の媒体を利用することを含む。以下の記述および実施例からわかるように、本発明による媒体は、比較的効率的なシステムで比較的長い寿命が有利に得られるように、特に構成され組み立てられる。
【0152】
様々なフィルタ設計が、フィルタ材料と共に使用されるフィルタ構造の様々な態様を開示し請求する特許に示されている。Engel他の米国特許第4,720,292号は、略円筒形フィルタエレメント設計を有するフィルタ・アセンブリ用のラジアル・シール設計を開示しているが、このフィルタエレメントは、円筒形の半径方向内側に向いた面を有する比較的軟らかいゴム状のエンド・キャップによって、シールされる。Kahlbaugh他の米国特許第5,082,476号は、ひだ付き構成エレメントが本発明のマイクロファイバ材料に結合されたフォーム基体を含む深さ媒体を使用するフィルタ設計を開示する。Stifelman他の米国特許第5,104,537号は、液体媒体を濾過するのに有用なフィルタ構造に関する。液体は、フィルタ・ハウジング内に閉じ込められ、フィルタの外部を通過して内部環状コアに入り、次いで構造内に戻って有効利用される。そのようなフィルタは、作動液を濾過するのに非常に有用である。Engel他の米国特許第5,613,992号は、典型的なディーゼル・エンジン吸気フィルタ構造を示す。この構造は、混入水分を含有しても含有しなくてもよいハウジングの外面から空気を得る。空気はフィルタを通過し、一方、水分はハウジングの底部に移動して、ハウジングから排出することができる。Gillingham他の米国特許第5,820,646号はZフィルタ構造を開示するが、この構造は、適正なフィルター性能を得るために、「Z」形通路のフィルタ媒体の少なくとも1つの層に流体の流れを通す必要がある、プラグされた通路を含んだ特定のひだ付きフィルタ設計を使用するものである。ひだ付きZ形態様に形成されたフィルタ媒体は、本発明のファインファイバ媒体を含むことができる。Glen他の米国特許第5,853,442号は、本発明のファインファイバ構造を含むことができるフィルタエレメントを有するバッグ・ハウス構造を開示する。Berkhoel他の米国特許第5,954,849号は、加工中の製品が環境内の空気に著しいダスト負荷を発生させた後、典型的な場合にはダスト負荷が大きい空気を処理して空気の流れからダストを取り除く(濾過する)のに有用な、集塵器構造を示す。最後に、Gillinghamの米国意匠特許第425,189号は、Zフィルタ設計を使用したパネル・フィルタを開示する。
【0153】
本発明のポリマー材料、マイクロファイバおよびナノファイバの両方を含む本発明のファインファイバ材料、そして本発明のファインファイバ材料で作製された有用なフィルタ構造の構成の様々な態様に関する前述の概略的な説明により、本発明の作用に関する概略的な技術的原理が理解されよう。以下に述べる特定の例示的な材料は、本発明のファインファイバ材料の形成に使用することができる材料の例であり、以下の材料は、最良の形態であることを開示する。これらの例示的な材料を、以下の特徴およびプロセス条件を念頭において製造した。直径が10ミクロン未満という小さいファイバの電界紡糸は、ポリマー・ジェットを非常に微細なフィラメントに延伸するための引張り力として働く強電場からの静電力を使用して行われる。電界紡糸プロセスではポリマー・メルトを使用することができるが、1ミクロンよりも小さいファイバは、ポリマー溶液から最も良く作製される。ポリマー塊が下に引っ張られてより小さい直径になるにつれ、溶媒が蒸発し、それがファイバ・サイズの縮小に寄与する。溶媒の選択は、いくつかの理由で極めて重要である。溶媒の乾燥が速すぎると、ファイバは平らに、かつ直径が大きくなりがちである。溶媒の乾燥が遅すぎると、溶媒は、形成されたファイバを再び溶解することになる。したがって、乾燥速度とファイバ形成とを一致させることが極めて重要である。生成速度が速いと、大量の排気流が可燃性雰囲気を妨げる助けをし、火災の危険性が減少する。可燃性ではない溶媒が有用である。生成環境では、処理用機器を時折クリーニングする必要がある。安全な低毒性溶媒では、作業者が有害な化学物質に曝されるのを最小限に抑えられる。静電紡糸は、エミッタ当たりの流量1.5ml/分、目標距離20.32cm(8インチ)、エミッタ電圧88kV、エミッタrpm200、および相対湿度45%で行うことができる。
【0154】
ポリマー系の選択は、所与の適用例にとって重要である。パルス・クリーニングの適用例の場合、極めて薄いマイクロファイバ層は、圧力損失を最小限に抑えるのを助けることができ、粒子の捕捉および放出のための外面を提供することができる。直径が2ミクロン未満、好ましくは直径が0.3ミクロン未満の薄いファイバ層が好ましい。マイクロファイバまたはナノファイバと、このマイクロファイバまたはナノファイバが成膜している基体とが良好に接着することが重要である。フィルタを、基体と、マイクロファイバおよびナノファイバの薄い層との複合体で作製する場合、そのような複合体は、自己清浄式適用例での優れたフィルタ媒体を作製する。逆パルスにより表面をクリーニングすることによって、フィルタ媒体は繰返し新しい状態に戻る。基体に対する接着力が不十分なファインファイバは、表面に大きい力がかかると、フィルタの内部から基体を通ってマイクロファイバに達する逆パルスによって層剥離する。したがって、マイクロファイバ間の良好な凝集と、基体ファイバと電界紡糸ファイバとの接着は、首尾良く使用するために極めて重要である。
【0155】
上述の要件を満たす製品は、種々のポリマー材料から作製されたファイバを使用することによって得ることができる。接着性が良好な小さいファイバは、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールのようなポリマーと、ナイロン6やナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン6,10などの様々なナイロンを含むポリマーおよびコポリマーと、これらのコポリマーから作製することができる。優れたファイバは、PVDFから作製することができるが、十分に小さいファイバ直径にするには塩素化溶媒が必要である。ナイロン6、ナイロン66、およびナイロン6,10は、電界紡糸することができる。しかし、ギ酸やm−クレゾール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールなどの溶媒は、取扱いが難しく、または非常に高価である。好ましい溶媒には、その毒性が低いことから、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、およびN−メチルピロリドンが含まれる。そのような溶媒系に対して相溶性を有するポリマーについて、広く評価した。本発明者等は、PVC、PVDC、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、PMMA、PVDFから作製されたファイバが、構造上の性質を得るために追加の接着手段を必要とすることを見出した。また本発明者等は、ポリマーが水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メタノール、およびこれらの混合物に溶解して首尾良くファイバに形成される場合、そのファイバは、基体に対して優れた接着性を有し、それによって、自己清浄式適用例での優れたフィルタ媒体が作製されることを見出した。逆エア・パルスまたはツイストを介した自己清浄は、フィルタ媒体を非常に高いダスト濃度で使用する場合に有用である。アルコール可溶性ポリアミドおよびポリ(ビニルアルコール)から得られたファイバは、そのような適用例において首尾良く使用されてきた。アルコール可溶性ポリアミドの例には、HenkelのMacromelt 6238、6239、および6900と、duPontのElvamide 8061および8063と、Shakespeare Monofilament CompanyのSVP 637および651が含まれる。アルコール可溶性ポリアミドの別の群は、タイプ8ナイロン、アルコキシアルキル変性ナイロン66(参照、第447ページ、Nylon Plastics handbook、Melvin Kohan編、Hanser Publisher、New York、1995)である。ポリ(ビニルアルコール)の例には、(株)クラレ(日本)のPVA−217、224と、Air Prodicts and Chemical CompanyのVinol 540が含まれる。
【0156】
(実験)
以下の材料を、以下の電界紡糸プロセス条件を使用して生成した。
【0157】
以下の材料を、回転エミッタ・システムまたはキャピラリ・ニードル・システムを使用して紡糸した。いずれも実質上同じ繊維性材料を生成することがわかった。
【0158】
流量は、エミッタ当たり1.5mil/分、目標距離20.32cm(8インチ)、エミッタ電圧88kV、相対湿度45%、回転エミッタ35rpmであった。
【0159】
実施例1:
ファイバのサイズの効果
ファインファイバ・サンプルをナイロン6、66、610のコポリマーから調製し、ナイロンコポリマー樹脂(SVP−651)の分子量について、末端基滴定により分析をした(J.E.WalzおよびG.B.Taylor、determination of the molecular weight of nylon、Anal.Chem.Vol.19、Number 7、第448〜450ページ(1947))。数平均分子量は、21,500から24,800の間であった。組成物は、3成分ナイロン、すなわちナイロン6 約45%、ナイロン66 約20%、およびナイロン610 約25%の溶融温度の状態図によって推定した(第286ページ、Nylon Plastics Handbook、Melvin Kohan編、Hanser Publisher、New York(1995))。報告されたSVP 651樹脂の物理的性質は、以下の通りであり、
【0160】
【表2】
【0161】
直径0.23ミクロンおよび0.45ミクロンのファイバが生成された。サンプルを室温の水に浸し、空気乾燥し、その効率を測定した。図12のグラフからわかるように、ファイバが大きいほど劣化にかかる時間は長く、劣化のレベルは低かった。ある特定に理論に拘泥するものではないが、表面/体積の比がより大きい、より小さいファイバが、環境の作用に起因して劣化し易くなるようである。しかし、より大きいファイバは効率的なフィルタ媒体を形成しない。
【0162】
実施例2:
ナイロン・ファイバとフェノール樹脂およびエポキシ樹脂との架橋
ファイバの耐薬品性を改善するため、ナイロン・ファイバの化学的架橋を試みた。既述のコポリアミド(ナイロン6、66、610)を、Georgia Pacific 5137であるフェノール樹脂と混合し、紡糸してファイバにした。ナイロン:フェノール樹脂の比、およびそのブレンドの溶融温度を以下に示す。
【0163】
【表3】
【0164】
このブレンドからは、比較可能なファイバを生成することができた。50:50のブレンドは、熱を介して繊維性構造が破壊されたので架橋することができなかった。65:35のブレンドを90℃よりも低い温度で12時間加熱することにより、得られたファイバの耐薬品性が改善され、その結果、アルコールに溶解しにくくなった。ポリアミドとエポキシ樹脂、例えばShellのEpon 828やEpi―Rez510などとのブレンドを使用することができる。
【0165】
実施例3:
フッ素系添加剤(Scotchgard(登録商標))撥水剤による表面改質 3M社のアルコール混和性Scotchgard(登録商標)FC−430および431をポリアミドに添加した後、紡糸した。添加量は固形分10%であった。Scotchgardの添加は、ファイバ形成を妨げなかった。THCベンチでは、Scotchgard状の高分子量撥水剤による仕上げによって、耐水性が改善されなかったことを示す。Scotchgardを添加したサンプルを、製造業者から示されるように、148.9℃(300°F)で10分間加熱した。
【0166】
実施例4:
カップリング剤による改質
ポリマー・フィルムを、Kenrich Petrochemicals,Inc.のチタニウム系カップリング剤と共にポリアミドから成膜した。このカップリング剤には、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(KRTTS)、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ジオクチル)フォスファトチタネート(LICA12)、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリ(N−エチレンジアミノ)エチルジルコネート(NZ44)が含まれる。成膜フィルムを沸騰水に浸した。カップリング剤を含まない対照サンプルはその強度をすぐに失ったが、カップリング剤を添加したサンプルは、その形を最長10分間維持した。これらのカップリング剤を添加したサンプルを紡糸してファイバにした(0.2ミクロンファイバ)。
【0167】
実施例5:
低分子量p−tert−ブチルフェノールポリマーによる改質
分子量が400〜1100の範囲のp−tert−ブチルフェノールのオリゴマーを、オハイオ州コロンバスのEnzymol Internationalから購入した。これら低分子量ポリマーを、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコールに溶解した。これらのポリマーを既述のコポリアミドに添加し、悪い結果をもたらすことなく0.2ミクロンのファイバに電界紡糸した。一部のポリマーおよび添加剤は電界紡糸プロセスを妨げる。実施例2で述べた従来のフェノール樹脂とは異なり、本発明者等は、この群のポリマーがファイバ形成プロセスを妨害しないことを見出した。
【0168】
本発明者等は、グラフに見られるように、この群の添加剤が、ファインファイバを湿潤環境から守ることを見出した。図13〜16は、オリゴマーが、60℃(140°F)および100%の相対湿度で非常に良好な保護をもたらすことを示し、その性能は、71.1℃(160°F)で非常に良くないことを示している。この添加剤を、使用されるポリマーの5%から15%の量で添加した。本発明者等は、それらの添加剤が、ファイバが60℃(140°F)で高い湿度に曝されるのを等しく効果的に防止することを見出した。また本発明者等は、ファイバを短時間150℃に曝すことによって、性能が高められることを見出した。
【0169】
表1は、添加量10%のポリアミド・ファイバの、温度および時間暴露の影響を示す。
【0170】
【表4】
【0171】
これは驚くべき結果であった。この種類の添加剤に関しては、耐水性の劇的な向上が見られた。この群の添加剤がどのように働くかを理解するため、ファインファイバ・マットをESCAと呼ばれる表面分析技法で分析した。表1に示される添加量10%のサンプルを、ミネソタ大学でESCAを用いて分析したが、その結果を表2に示す。
【0172】
【表5】
【0173】
初めに、添加剤の表面濃度がバルク濃度の2倍よりも高いことを見出したことは理屈に合わないと思われた。しかし本発明者等は、このことを、添加剤の分子量によって説明することができると考える。約600という添加剤の分子量は、主体となるファイバ形成ポリマーの分子量よりも非常に小さい。添加剤はサイズがより小さいので、蒸発する溶媒分子に合わせて移動することができる。したがって、添加剤の表面濃度をより高くすることができる。さらに処理することによって、保護添加剤の表面濃度が増大する。しかし、10分間、150℃に曝すと、濃度は増大しなかった。これは、長鎖ポリマーが動き回るための時間があるので、コポリアミドとオリゴマー分子の2成分混合が生じていることを示すと考えられる。この分析により教示されることは、後処理の時間および温度を適正に選択することによって性能を高めることができるが、暴露が長すぎると悪影響が生じる可能性がある、ということである。
【0174】
さらに、飛行時間SIMSと呼ばれる技法を使用して、このような添加剤を含んだマイクロファイバの表面について試験をした。この技法は、対象物に電子を衝突させることを含み、その表面から何が来るかを観察する。添加剤を含まないサンプルは、電子を衝突させると有機窒素種が取れることを示す。これは、ポリアミド種が取れることを示している。また、ナトリウムやシリコーンなど、少量の不純物が存在することも示している。熱処理をしない、添加剤を含むサンプル(表面の添加剤濃度23%)は、大部分を占める種がt−ブチル断片であることを示し、小さいがはっきりとしたポリアミドのピークが観察される。また、質量差148amuで高い質量ピークも観察され、これはt−ブチルフェノールに相当する。150℃で10分間処理したサンプル(ESCA分析による表面添加剤濃度50%)の場合、検査によって、その大部分をt−ブチル断片が占め、存在するとしても、ポリアミドを示す非常に小さいピークが示されるだけである。これは、t−ブチルフェノールおよびそのポリマー全体に関連するピークを示していない。またこれは、C2H3O断片に関連するピークも示している。
【0175】
飛行時間SIMS分析は、剥き出しのポリアミド・ファイバが、イオン衝撃によって、露出したポリマー鎖から破断した窒素断片を放出し、表面に汚染物質が生じることを示している。熱処理をしない添加剤はコーティングが不完全であることを示すが、これは、添加剤が表面の一部を覆わないことを示している。t−ブチルオリゴマーは、表面上に緩く組織化される。イオン・ビームがその表面にぶつかると、分子全体が不安定なt−ブチル断片と共に取れる可能性がある。熱処理した添加剤は、表面の完全なコーティングを促進させる。さらに分子は、t−ブチルや、あるいはCH=CH−OHなど、不安定な断片のみが外れて、t−ブチルフェノールの分子全体は外れないように、緊密に配置される。ESCAと飛行時間SIMSは、表面の異なる深さを見る。ESCAは、100オングストロームまでのより深い面を見るが、飛行時間SIMSは、10オングストロームの深さだけを見る。これらの分析は一致する。
【0176】
実施例6:
表面コーティングされたインターポリマーの開発
コーティングおよび接着剤の適用例に向けた可溶性および架橋可能な樹脂を調製するために、初めにタイプ8ナイロンを開発した。このタイプのポリマーは、酸の存在下、ポリマー66とホルムアルデヒドおよびアルコールとの反応によって形成する(参考文献 Cairns,T.L.;Foster,H.D.;Larcher,A.W.;Schneider,A.K.;Schereiber,R.S. J.Am.Chem.Soc.1949、71、651)。このタイプのポリマーは、電界紡糸することができ、架橋することができる。しかし、このポリマーからのファイバ形成はコポリアミドよりも劣り、架橋しにくくなる可能性がある。
【0177】
タイプ8ナイロンを調製するため、37.85リットル(10ガロン)の高圧反応器に以下の比で投入した。
【0178】
【表6】
【0179】
次いで反応器に窒素を流し、加圧下で、少なくとも135℃に加熱した。所望の温度に達したら、少量の酸を触媒として添加した。酸性触媒には、トリフルオロ酢酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、リン酸、クエン酸、およびこれらの混合物が含まれる。Nafion(登録商標)ポリマーも触媒として使用することができる。触媒を添加した後、反応を最長30分間進行させる。粘性の均質ポリマー溶液をこの段階で形成する。指定された反応時間が経過した後、高圧容器の内容物を、メタノール、水、水酸化アンモニウムや水酸化ナトリウムなどの塩基が入っている浴に移して、反応を抑止する。溶液を十分に急冷した後、その溶液を脱イオン水中に沈殿させる。綿毛状のポリマー顆粒が形成される。次いでポリマー顆粒を遠心分離し、真空乾燥する。このポリマーは、水が様々な割合で含まれるメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびこれらの混合物に溶解する。これらは異なるアルコールのブレンドにも溶解する。
【0180】
このように形成されたアルコキシアルキル変性タイプ8ポリアミドは、エタノール/水の混合物に溶解する。ポリマー溶液は、Barrisの米国特許第4,650,516号に記載した手法で電界紡糸される。ポリマー溶液の粘度は、時間と共に増大する傾向がある。ポリマーの粘度は、ファイバのサイズを決定する際に大きな影響を与えることが、一般に知られている。そのため、商用規模の連続生産において、そのプロセスを制御することが困難である。さらに、同じ条件下で、タイプ8ポリアミドはコポリアミドほど効率的にマイクロファイバを形成しない。しかし、トルエンスルホン酸や無水マレイン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クエン酸、アスコルビン酸などの酸性触媒を添加して溶液を調製し、ファイバ形成後にファイバ・マットを慎重に熱処理する場合、得られるファイバは非常に良好な耐薬品性を有する(図13)。架橋段階中は、繊維性構造が破壊されないように注意を払わなければならない。
【0181】
本発明者等は、タイプ8ポリアミド(ポリマーB)とアルコール可溶性コポリアミドとをブレンドする場合に驚くべき結果を見出した。アルコキシアルキル変性ポリアミド66 30重量%を、SVP 637または651(ポリマーA)、Elvamide 8061などのアルコール可溶性コポリアミドに代えることによって、相乗効果があることを見出した。ブレンドのファイバ形成は、いずれかの成分単独の場合よりも効率的である。エタノールに浸漬し、フィルター効率を測定することによって、98%よりも良好なフィルター効率が保持されることが示され、THCベンチ試験では、タイプ8ポリアミド単独の場合に匹敵する結果を示す。このタイプのブレンドは、効率的なファイバ形成およびコポリアミドの優れたフィルター特性の利点を、架橋したタイプ8ポリアミドの優れた耐薬品性の利点と共に得ることができることを示す。アルコール浸漬試験は、非架橋性コポリアミドが架橋に寄与してフィルター効率98%が維持されることを、強く示している。
【0182】
ポリマーAおよびBのブレンドのDSC(図17〜19a参照)は、250℃に加熱された後、ポリマーA単独でのDSCと区別できなくなっており、(完全に架橋された状態で)明確な溶融温度を示さない。このことは、ポリマーAおよびBのブレンドが、ポリマーBがポリマーAと架橋したことによって、完全に一体化されたポリマーになっていることを強く示している。これは、完全に新しい種類のポリアミドである。
【0183】
同様に、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(ブチレンテレフタレート)とのメルトブレンドは、同様の性質を持つ。どちらかの成分の溶融温度よりも高い温度で溶融処理を行う間、エステル基の交換が引き起こされ、PETとPBTのインターポリマーが形成される。さらに、本発明者等の架橋温度はいずれかの単一成分よりも低い。そのような基の交換がこの低い温度で生じるとは予想され難い。したがって本発明者等は、タイプAとタイプBのポリアミドの溶液ブレンドと、いずれかの成分の融点よりも低い温度での架橋によって、新しい種類のポリアミドを見出したと考える。
【0184】
本発明者等は、t−ブチルフェノールオリゴマー(添加剤7)10重量%を添加し、架橋温度に必要な温度で熱処理した場合、さらに良好な結果が得られることを見出した。本発明者等は、t−ブチルフェノールオリゴマーのヒドロキシル官能基が、タイプ8ナイロンの官能基との反応に寄与する可能性があると理論付けた。本発明者等が見出したことは、この成分系では、ファイバ形成が良好であり、高温高湿に対する耐性が改善され、ファインファイバ層の表面に疎水性がもたらされるということである。
【0185】
ポリマーAとポリマーBの混合物サンプル(サンプル6A)、ポリマーA、ポリマーB、および添加剤の混合物サンプル(サンプル6B)を調製した。次いで電界紡糸プロセスによってファイバを形成し、ファイバ・マットを148.9℃(300°F)に10分間暴露し、ESCA表面分析によって表面組成を評価した。
【0186】
表はサンプル6Aおよび6BのESCA分析を示す。
【0187】
【表7】
【0188】
ESCAは、水素濃度以外の表面組成に関する情報を提供する。ESCAは、炭素、窒素、および酸素に関する情報を提供する。添加剤7は窒素を含有しないので、窒素濃度を比較することによって、窒素含有ポリアミドと窒素を含有しない添加剤との比を推定することができる。追加の定量的情報は、535eVから527eVの間の結合エネルギーのO 1s スペクトルを試験することによって、入手可能である。C=O結合は、531eV付近の結合エネルギーを有し、C−O結合は、533eV付近の結合エネルギーを有する。これら2つのピークのピーク高さを比較することによって、ポリアミドの相対的な濃度を推定することができ、大部分を占めるのがC=O基であり、追加としてC−O基だけ存在する。ポリマーBは変性によりC−O結合を有し、架橋すると、C−O濃度は低下することになる。ESCAはそのような反応が実際に生じたことを確認し、C−O結合が相対的に減少したこを示している(図4は、熱処理していないポリマーAとポリマーBの混合ファイバに関し、図5は、ポリマーAとポリマーBの熱処理済み混合ファイバに関する)。添加剤7の分子が表面に存在する場合、C−O結合がより多いと予想することができる。これは実際に、図6および7に見られるようなケースである(図6は、ポリマーA、ポリマーB、および添加剤7の紡糸状態の混合ファイバに関する。図7は、ポリマーA、ポリマーB、および添加剤7の熱処理済み混合ファイバに関する)。図6は、実施例7に関してC−O結合の濃度が増大することを示す。これらの調査結果は、図8から図11までのXPS多重スペクトルに基づく表面濃度に一致している。
【0189】
t−ブチルオリゴマー分子はファインファイバの表面に向かって移行し、約50Åの疎水性コーティングを形成することが明らかである。タイプ8ナイロンは−CH2OHや−CH2OCH3などの官能基を有し、これらは本発明者等が、t−ブチルフェノールの−OH基と反応すると予想したものである。このため本発明者等は、より少ないオリゴマー分子がファイバ表面に見られると予想した。本発明者等は、自らの仮説が正しくなく、インターポリマーの表面に薄いコーティングがあることを見出した。
【0190】
サンプル6A、6Bおよびセクション5で述べたサンプルの繰返しを、71.1℃(160°F)、100%RHのTHCベンチにかけた。前述のセクションでは、サンプルを60℃(140°F)および100%RHに暴露した。このような条件下、t−ブチルフェノールは、ターポリマーコポリアミドが劣化するのを防止した。しかし、100%RFで温度が71.1℃(160°F)まで上昇すると、t−ブチルフェノールオリゴマーは、下に在るターポリマーコポリアミドファイバを十分に保護することができない。これらのサンプルについて、71.1℃(160°F)、100%RHで比較した。
【0191】
【表8】
【0192】
表は、サンプル6Bが、高温高湿への暴露を防止するのに役立つことを示している。
【0193】
より著しい相違は、ファイバ・マット上の水滴に曝したときに見られる。DI水の小滴をサンプル6Aの表面に置くと、その水滴はすぐファイバ・マット全体に広がり、基体ペーパまで濡らす。一方サンプル6Bの表面に水滴を置くと、水滴はビーズを形成し、マット表面上に広がらない。p−t−ブチルフェノールのオリゴマーを添加することによって、サンプル16の表面が疎水性になるよう改質した。このタイプの製品は、水滴がサンプル6Bのファインファイバの表層を通り抜けないので、ウォータ・ミスト・エリミネータとして使用することができる。
【0194】
サンプル6A、6Bおよびセクション5の繰返しサンプルを、温度を154.4℃(310°F)に設定した炉内に置いた。表は、サンプル6Aおよび6Bの両方が無傷のままであり、セクション5のサンプルはひどい損傷を受けたことを示している。
【0195】
【表9】
【0196】
ポリマーAのみにオリゴマーを添加すると、ファインファイバ層の耐熱性が向上するが、添加剤7を添加した場合には、高温暴露に対してはっきりした効果がない。
【0197】
ターポリマーコポリアミド、アルコキシアルキル変性ナイロン66、およびt−ブチルフェノールのオリゴマーの混合物は、ターポリマーコポリアミドとt−ブチルフェノールオリゴマーの混合物、またはターポリマーコポリアミドとアルコキシアルキル変性ナイロン66の混合物よりも、製造の際の生産性を改善した状態で過酷な環境下のファインファイバを助けるのにより優れた製品を提供することが、明らかに示された。これら2成分の混合物も、単一成分系より改善されている。
【0198】
実施例7:
ポリアミドとビスフェノールAポリマーの相溶性ブレンド
新しい種類のポリマーは、フェノール環の酸化カップリングによって調製することができる(Pecora,A;Cyrus,W. 米国特許第4,900,671号(1990)およびPecora,A;Cyrus,W.;Johnson,M. 米国特許第5,153,298号(1992))。特に興味深いのは、Enzymol Corp.から販売されているBisphenol A(ビスフェノールA)で作製したポリマーである。大豆ペルオキシダーゼの触媒作用によるビスフェノールAの酸化は、ビスフェノールAの2つの−OH基のどちらの側からも開始することができる。直線状の、ビスフェノールAをベースとしたポリカーボネートとは異なり、このタイプのビスフェノールAポリマーは、高度に枝分かれしたポリマーを形成する。このポリマーは高度に枝分かれする性質を持つので、ポリマー・ブレンドの粘度を低くすることができる。
【0199】
本発明者等は、このタイプのビスフェノールAポリマーとポリアミドを溶液ブレンドできることを見出した。ナイロンに関して報告されたハンセンの溶解度パラメータは、18.6である(第317ページ、Handbook of Solubility Parameters and other cohesion parameters、A.Barton編、CRC Press、Boca Raton Florida、1985)。溶解度パラメータを計算する場合(第61ページ、Handbook of Solubility Parameters)、計算された溶解度パラメータは28.0である。溶解パラメータに差があるので、双方が互いに対して混和性であると予想することができない。しかし本発明者等は、双方が完全に混和性を有し、予期しない性質をもたらすことを見出した。
【0200】
エタノール溶液中に、分子量3,000のビスフェノールAとコポリアミドが50:50のブレンドを形成した。溶液中の全濃度は10%であった。コポリアミド単独では、ファイバ直径が0.2ミクロンになった。ブレンドの場合、約1ミクロンのファイバの厚い層になった。分子量7,000のビスフェノールAは、コポリアミドと共にあるときには安定でなく、沈殿する傾向がある。
【0201】
50:50のブレンドのDSCは、溶融温度が不十分であることを示す。コポリアミドの溶融温度は約150℃であり、ビスフェノールA樹脂はTgが約100のガラス状ポリマーである。このブレンドは、明確な溶融が不十分であることを示す。ファイバ・マットを100℃に暴露すると、ファイバ・マットは消失する。このブレンドは、上限使用温度があまり高くなく、圧力低下が低い必要がある場合に、優れたフィルタ媒体を作製すると考えられる。このポリマー系は、妥当な手法で架橋することができなかった。
【0202】
実施例8:
ビスフェノールAの、ブレンドにおける溶媒および固体としての2重の役割
ビスフェノールAポリマー・ブレンドの驚くべき特徴とは、溶液の形態の場合にはビスフェノールAポリマーが溶媒のように振る舞い、固体の形態ではそのポリマーが固体として機能することである。本発明者等は、ビスフェノールAポリマーの2重の役割が、全く固有のものであることを見出した。
【0203】
下記の配合を行った。
【0204】
【表10】
【0205】
このブレンドの粘度は、ブルックフィールド粘度計によれば0.326mPa・s(32.6センチポアズ)であった。全ポリマー濃度は19.2%であった。19.2%でのポリマーBの粘度は2mPa・s(200センチポアズ)を超える。同様の溶媒中、12%ポリマーB単独での粘度は、約0.6mPa・s(約60センチポアズ)である。これは、溶液全体の粘度が予想よりも低いので、ビスフェノールA樹脂が溶媒のように振る舞う明らかな例である。得られるファイバの直径は0.157ミクロンであった。ポリマーBのみがファイバの配合に寄与したなら、予想されるファイバのサイズは0.1ミクロン未満になる。言い換えれば、ポリマーCがファイバの配合に寄与したのである。このように、成分が劇的な2重の役割をする、他のどのようなケースも知られていない。サンプルをエタノールに浸漬した後、フィルター効率およびファイバ・サイズを測定した。アルコール浸漬後、85.6%というフィルター効率が保持され、ファイバ・サイズに変化はなかった。これは、ポリマーCが、ポリマー固体のように架橋動作に寄与したことを示している。
【0206】
別のポリマー溶液を以下の手法で調製した。
【0207】
【表11】
【0208】
このブレンドの粘度は0.902mPa・s(90.2センチポアズ)であった。これは、固体24%の場合、非常に低い粘度である。これは、ポリマーCが、溶液中では溶媒のように振る舞うことも示している。しかし、電界紡糸を行ってファイバにする場合、ファイバ直径は0.438ミクロンになる。ポリマーB単独の15%溶液は、約0.2ミクロンのファイバを生成すると考えられる。最終の状態では、ポリマーCが寄与することによってファイバ・サイズが大きくなる。やはりこの例でも、このタイプの枝分かれポリマーが溶液中では溶媒として働き、最終の状態では固体として働くことを示している。エタノール溶液に浸漬した後、77.9%というフィルター効率が保持され、ファイバ・サイズに変化はなかった。
【0209】
実施例9:
架橋されたポリアミド/ビスフェノールAポリマー・ブレンドの開発
樹脂、アルコール、および水を合わせ、60℃で2時間撹拌することによって、3つの異なるサンプルを調製した。溶液を室温に冷却し、触媒を溶液に添加して、その混合物をさらに15分間撹拌した。その後、溶液の粘度を測定し、紡糸してファイバにした。
【0210】
下記の表はこれらの例を示す。
【0211】
【表12】
【0212】
本発明者等は、このブレンドがファイバを効率的に生成し、ポリマーA配合に比べてファイバの質量が約50%多くなることを見出した。さらに、得られるポリマー・マイクロファイバは、耐薬品性がより高いファイバを生成する。アルコール浸漬後、本質的に架橋可能なポリマーが固体組成物のわずか44%であっても、これらのファイバから作製されたフィルタは90%よりも高いフィルター効率を維持し、ファイバ直径に変化はなかった。このコポリアミド、アルコキシアルキル変性ナイロン66、およびビスフェノールAの3成分ポリマー組成物は、優れたファイバを形成する、化学的に耐久力のある材料を生成する。
【0213】
実施例10:
ナイロン66とナイロン46の、アルコキシアルキル変性コポリマー
10ガロン高圧反応器で以下の反応を行い、得られたポリマーについて分析した。反応温度に達した後、触媒を添加して15分間反応させた。その後、ポリマー溶液を急冷し、沈殿させ、洗浄して乾燥させた。
【0214】
【表13】
【0215】
ナイロン46およびナイロン66で形成したポリマーのDSCは、変性ナイロン46の溶融温度(241℃)または変性ナイロン66の溶融温度(210℃)よりも低い、ブロードな単一の溶融温度を示す。これは、反応中に、両方の成分がポリマー鎖に沿ってランダムに分布することを示す。したがって、アルコキシアルキル変性により、ナイロン46とナイロン66のランダムコポリマーが得られたと考えられる。これらのポリマーはアルコールに溶解し、また、アルコールと水の混合物に溶解する。
【0216】
【表14】
【0217】
両方とも結晶化度が高く、共通のアルコールに溶解しない。出所:Modern Plastics Encyclopedia 1998。
【0218】
実施例11:
コポリアミドとアルコキシ変性ナイロン46/66コポリマーのインターポリマーの開発、および電界紡糸ファイバの形成
実験10Bおよび10Dのサンプルを、上述の方法によってファイバに作製した。アルコキシアルキル変性ナイロン46/66(ポリマーD)のみを首尾良く電界紡糸した。ポリマーDとポリマーAをブレンドすることによって、下記の表に見られるようにポリマーDの架橋性を犠牲にすることなく、より効率的にファイバを形成することができ、より大きいファイバを作製することができるという追加の利益を得ることができる。
【0219】
【表15】
【0220】
ファイバ質量比を、(ファイバの全長×断面積)によって計算した。保持効率保持は、フィルタ・サンプルをエタノールに浸漬して測定した。ファイバ・サイズは、アルコール浸漬によって変化しなかった。
【0221】
実施例12:
架橋電界紡糸PVA
PVA粉末を、Aldrich Chemicalsから購入した。この粉末を、水、またはエタノールと水が50/50の混合物に溶解した。これらを架橋剤およびトルエンスルホン酸触媒と混合して、電界紡糸した。得られたファイバ・マットを150℃の炉内で10分間架橋し、その後、THCベンチにかけた。
【0222】
【表16】
【0223】
実施例13
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(0.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例1のファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は63.7%であった。100%相対湿度で60℃(140°F)の空気に1時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は36.5%であった。100%相対湿度で60℃(140°F)の空気に1時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は39.7%であった。記述した数式を使用すると、1時間暴露した後に保持されるファインファイバ層の効率は13%であり、保持される有効なファインファイバの数は11%であった。
【0224】
実施例14
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(0.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例5のファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は96.0%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は35.3%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は68.0%であった。記述した数式を使用すると、3時間暴露した後に保持されるのファインファイバ層の効率は58%であり、保持される有効なファインファイバの数は29%であった。
【0225】
実施例15
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(0.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例6で述べたポリマーAとポリマーBのブレンドのファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は92.9%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は35.3%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は86.0%であった。記述した数式を使用すると、3時間暴露した後に保持されるのファインファイバ層の効率は96%であり、保持される有効なファインファイバの数は89%であった。
【0226】
実施例16
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(00.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例6で述べたポリマーA、ポリマーB、t−ブチルフェノールオリゴマーのファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は90.4%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は35.3%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は87.3%であった。記述した数式を使用すると、3時間暴露した後に保持されるファインファイバ層の効率は97%であり、保持される有効なファインファイバの数は92%であった。
【0227】
実施例17
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(0.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例12で架橋したPVAとポリアクリル酸のファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は92.9%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に2時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は35.3%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に2時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は83.1%であった。記述した数式を使用すると、2時間暴露した後に保持されるファインファイバ層の効率は89%であり、保持される有効なファインファイバの数は76%であった。
【0228】
実施例18
以下のフィルタ媒体を、実施例1〜17で述べた方法により作製した。
【0229】
【表17】
【0230】
【表18】
【0231】
【表19】
【0232】
媒体は、平らな、波形の、ひだ付きの、波形かつひだ付きの状態で、フラットシート、ひだ付きフラット・パネル、ひだ付きラウンド・フィルタ、およびZeeフィルタに使用した。
【0233】
試験方法
温水浸漬試験
構造内に有効かつ機能的に保持されるファインファイバの数を測定する際の、フィルター効率の使用には、SEM評価などその他の可能な方法に勝るいくつかの利点がある。
【0234】
フィルター測定では、SEM顕微鏡写真に見られるわずかな面積(通常、0.0064cm2(0.0001平方インチ)未満)よりも良好な平均を得る、数平方インチの媒体を評価する。
【0235】
フィルター測定では、構造内で機能的であり続けるファイバの数を定量する。変化した構造内にそのまま残されるが凝集しまたは別の態様で存在するこれらのファイバは、その測定された有効性および機能性に関してのみ含まれる。
【0236】
それにもかかわらず、フィルター効率が容易に測定されない繊維性構造では、残されたファイバのパーセントを測定するためにその他の方法を使用することができ、50%保持基準に照らして評価することができる。
【0237】
説明:この試験は、フィルタ媒体の防湿性を加速的に示すものである。この試験は、LEFS試験ベンチを使用して、水中に浸漬したときのフィルタ媒体性能の変化を測定する。水温は、極めて重要なパラメータであり、検査中の媒体の残存性履歴、試験時間を最小限に抑えたいという要望、媒体のタイプを識別する試験能力に基づいて選択される。典型的な水温は、21.1℃(70°F)、60℃(140°F)、または71.1℃(160°F)である。
【0238】
手順:
直径10.16cm(4インチ)のサンプルを媒体から切り取る。6.1m/分(20FPM)で動作するLEFS(LEFS試験の説明に関しては、ASTM規格F1215−89参照)ベンチで、0.8μmラテックス球を試験用汚染物質として使用して、試験片の粒子捕捉効率を計算する。次いでサンプルを、蒸留水中に5分間沈める(典型的な場合、60℃(140°F))。次いでサンプルを乾燥ラック上に置き、室温で乾燥させる(典型的な場合、一晩)。サンプルが乾燥したら、初期計算を行った場合と同じ条件を使用して、LEFSベンチ上で効率を再試験する。
【0239】
ファインファイバを含まないファインファイバ基体に関し、前のステップを繰り返す。
【0240】
上述の情報から、ファインファイバのみに起因する効率成分と、水による損傷に起因する効率損失を、計算することができる。ファインファイバによる損失効率が決定されると、保持される効率の量を計算することができる。
【0241】
計算:
ファインファイバ層の効率:
Ei=初期複合体効率;
Es=初期基体効率;
Fe=ファインファイバ層
Fe=1−EXP(Ln(1−Ei)−Ln(1−Ex))
保持されるファインファイバ層効率:
Fi=初期ファインファイバ層効率;
Fx=浸漬後のファインファイバ層効率;
Fr=保持されるファインファイバ
Fr=Fx/Fi
有効な機能性を備えた状態で保持されるファインファイバのパーセンテージも、
%=log(1−Fx)/log(1−Fi)
によって計算することができる。
【0242】
合格/不合格基準:>50%効率保持
ほとんどの工業用パルス・クリーニング・フィルタへの適用例において、フィルタは、少なくとも50%のファインファイバ効率が保持される場合、十分に機能すると考えられる。
【0243】
THCベンチ(温度、湿度)
説明:このベンチの目的は、動的流動条件下での高温高湿の影響に対するファインファイバ媒体の抵抗力を評価することである。試験は、工業用フィルターの適用例、ガスタービン吸気口の適用例、または高荷重エンジンの空気取入れ環境の極端な作動条件をシミュレートすることを目的とする。間隔をおいて、サンプルを取り出し、乾燥させ、LEFS試験を行う。このシステムはたいていの場合、高温高湿条件を刺激するために使用されるが、温/冷乾燥状態を刺激するためにも使用することができる。
【0244】
温度 −35〜198.8℃(−31〜390°F)
湿度 0〜100%RH(100%RHの場合に最高温度は71.1℃(160°F)であり、この条件での最長連続所要時間は16時間である)
流量 0.3048〜10.67m/分(1〜35FPM)
手順:
直径10.16cm(4インチ)のサンプルを媒体から切り取る。
【0245】
6.1m/分(20FPM)で動作するLEFSベンチで、0.8μmラテックス球を試験用汚染物質として使用して、試験片の粒子捕捉効率を計算する。次いでサンプルを、THC媒体チャックに挿入する。試験時間は、試験条件に応じて数分から数日にすることができる。次いでサンプルを乾燥ラック上に置き、室温で乾燥させる(典型的な場合、一晩)。サンプルが乾燥したら、初期計算を行った場合と同じ条件を使用して、LEFSベンチ上で効率を再試験する。ファインファイバを含まないファインファイバ基体に関し、前のステップを繰り返す。上述の情報から、ファインファイバのみに起因する効率成分と、アルコールによる損傷に起因する効率損失を、計算することができる。ファインファイバによる損失効率が決定されると、保持される効率の量を計算することができる。
【0246】
合格/不合格基準:>50%効率保持
ほとんどの工業用パルス・クリーニング・フィルタへの適用例において、フィルタは、少なくとも50%のファインファイバ効率が保持される場合、十分に機能すると考えられる。
【0247】
アルコール(エタノール)浸漬試験
説明:この試験は、室温のエタノールに浸漬したときのフィルタ媒体性能の変化を測定するために、LEFS試験ベンチを使用する。
【0248】
手順:
直径10.16cm(4インチ)のサンプルを媒体から切り取る。6.1m/分(20FPM)で動作するLEFSベンチで、0.8μmラテックス球を試験用汚染物質として使用して、試験片の粒子捕捉効率を計算する。次いでサンプルを、アルコール中に1分間沈める。
【0249】
次いでサンプルを乾燥ラック上に置き、室温で乾燥させる(典型的な場合、一晩)。サンプルが乾燥したら、初期計算を行った場合と同じ条件を使用して、LEFSベンチ上で効率を再試験する。ファインファイバを含まないファインファイバ基体に関し、前のステップを繰り返す。上述の情報から、ファインファイバのみに起因する効率成分と、アルコールによる損傷に起因する効率損失を、計算することができる。ファインファイバによる損失効率が決定されると、保持される効率の量を計算することができる。
【0250】
合格/不合格基準:>50%効率保持
上述の仕様、実施例、およびデータは、本発明を説明するものである。しかし、開示された本発明に関し、多くの変形例および実施形態を提示することができる。本発明は、上述の特許請求の範囲において具体化される。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、フィルタ装置およびフィルター方法に関する。より詳細には、本発明は、気体流の流れ、例えば空気の流れから粒子状物質を取り除く(濾過する)ための装置に関する。また本発明は、気体流の流れから粒子状物質を望ましい状態で除去するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、米国内の企業であり米国に居所を有するDonaldson Company,Inc.の名義で、米国を除く全ての国を指定国として2001年8月10日にPCT国際特許出願として出願されたものであり、かつ2000年9月5日出願の米国出願第60/230,138号および2001年5月31日出願の米国出願第09/871,582号に基づく優先権を主張するものである。
【0003】
本発明は、本発明の譲受人であるミネソタ州ミネアポリスのDonaldson Company Inc.が現在開発中のものである。この開示内容は、米国特許:B2 4,720,292;意匠416,308;第5,613,992号;第4,020,783号;および第5,112,372号に一部関連して継続的に技術開発されたものに関する。前述の文章で明らかにされた特許のそれぞれも、ミネソタ州ミネアポリスのDonaldson,Inc.が所有するものであり、それぞれの完全な開示を参照により本明細書に組み込む。
【0004】
本発明は、熱、湿度、反応性物質、および機械的応力に対する環境安定性を高めた状態で製造することができるポリマー材料およびファイバにも関する。そのような材料は、安定性および強度が高められたマイクロファイバやナノファイバ材料などのファインファイバを形成する際に使用することができる。ファイバのサイズが小さくなるにつれ、材料の残存性が徐々に大きい問題になりつつある。そのようなファインファイバは様々な適用例で有用である。ある適用例では、このファインファイバ技術を使用してフィルタ構造を作製することができる。記述される技法は、フィルタ媒体(メディア:media/medium)中に1つまたは複数のファインファイバ層を有する構造に関する。構造、組成物およびファイバのサイズは、性質および残存性の組合せに対して選択される。
【0005】
(発明の背景)
気体の流れは、その中にしばしば粒子状物質を含む。多くの場合、気体流の流れから粒子状物質の一部または全てを除去することが、必要不可欠である。例えば、モータ作動式車両または発電機器用エンジンへの空気吸入の流れ、ガスタービンに向けられた気体の流れ、および様々な燃焼炉への空気の流れは、しばしば粒子状物質を含む。粒子状物質は、動作機器にかなりの損傷を与える可能性がある。微粒子は、エンジン、タービン、炉、またはその他の機器の上流で、気体流から除去することが好ましい。
【0006】
その他の場合、生成ガスまたは排出ガスは、例えば、粉砕、化学的処理、焼結、塗装を含めたプロセスによって発生する粒子状物質を含有する可能性がある。そのような気体を、様々な下流機器を通しかつ/または大気中に向けることができ、またはそのようにすべき前に、これらの流れから粒子状物質を十分に除去することが重要である。
【0007】
本発明は、構造内のフィルタエレメント、および改善されたフィルタ技術に関する。また本発明は、ファイバ、マイクロファイバ、ナノファイバ、ファイバ・ウェブ、繊維状マット、膜やコーティング、被膜などの透過性構造の形成を含んだ様々な関連する適用例で使用することが可能な、性質が改善されたポリマー組成物に関する。本発明のポリマー材料は、湿度、熱、空気流、化学物質、および機械的応力または衝撃によるフィルター構造および方法への悪影響に対する耐性を、様々な物理的形状または形態をとるポリマー材料に与えることが可能な物理的性質を有する組成物である。
【0008】
不織布ファインファイバフィルタ媒体(メディア:media/medium)の形成には、ガラス繊維、金属、セラミックス、および広範囲にわたるポリマー組成物を含む様々な材料が使用されている。直径が小さいマイクロファイバおよびナノファイバの製造には、様々な技法が使用されている。ある方法は、材料を、溶融材料として、または後で蒸発させる溶液中に溶かした状態で、微細な毛細管(キャピラリ)または開口に通すことを含む。ファイバは、ナイロンなど合成繊維の製造に一般的な「紡糸口金」を使用することによって形成することもできる。静電紡糸も知られている。そのような技法は、皮下針、ノズル、キャピラリ、または可動エミッタの使用を含む。これらの構造によれば、後で高電圧静電場によって収集ゾーンに引き付けられるポリマー溶液が得られる。材料がエミッタから引き離され、静電ゾーン内で加速するにつれ、ファイバは非常に細くなり、溶媒蒸発によってファイバ構造に形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
フィルタ媒体にはより厳しい用途が考えられるので、37.8℃(100°F)から121.1℃(250°F)、最高148.9℃(300°F)までの高温、10%〜90%、最高100%RHまでの高湿度、気体と液体の両方が高流量で、ミクロンおよびサブミクロンの微粒子(約0.01ミクロンから10ミクロンを超える範囲)を濾過し、研磨性および非研磨性で反応性および非反応性の微粒子を流体の流れから除去するという過酷な条件に耐えられるように、著しく改善された材料が必要である。
【0010】
したがって、高温・高湿度で流量が大きく前記ミクロンおよびサブミクロンの粒状物質を含む流れを濾過するために、改善された性質をもたらすポリマー材料、ミクロファイバおよびナノファイバ材料とフィルタ構造が、非常に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の概要)
本明細書では、エアクリーナ装置の設計および適用に関する一般的な技法が提供される。この技法は、好ましいフィルタエレメントの設計、ならびに好ましい適用およびフィルター方法を含む。
【0012】
一般に好ましい適用例は、バリア媒体、典型的にはひだ(pleat)付き媒体とファインファイバとをエア・フィルタ内で有利に利用することに関する。
【0013】
フィルタ媒体は、少なくともマイクロファイバまたはナノファイバ・ウェブ層を基体材料と組み合わせたものを、機械的に安定なフィルタ構造内に含む。これらの層は一緒になって、気体や液体などの流体がフィルタ媒体を通過する場合に最小の流動限界で、粒子捕捉度の高い優れたフィルター効率を提供する。基体は、内層の上流、下流、または内部の流体の流れの中に位置決めすることができる。様々な産業において近年では、かなりの関心が、濾過のためにフィルタ媒体を使用することに向けられており、すなわち気体などの流体、またはある特定の場合には液体などの流体から、望ましくない粒子を除去することに関心が向けられている。一般的なフィルタープロセスでは、空気の流れまたはその他の気体状の流れを含めた流体から、あるいは作動液や潤滑油、燃料、水の流れ、その他の流体などの液体の流れから、微粒子を除去する。そのようなフィルタープロセスでは、マイクロファイバおよび基体材料の機械的な強度、化学的物理的な安定性を必要とする。フィルタ媒体は、広範囲にわたる温度条件、湿度、機械的振動および衝撃、流体の流れに含まれる反応性および非反応性、研磨性または非研磨性の微粒子に曝される可能性がある。さらに、フィルタ媒体は、このフィルタ媒体を逆圧パルスに曝すという自己清浄能力(流体の流れが短時間逆向きになって、微粒子の表面コーティングを除去する)、またはフィルタ媒体の表面から、包含される微粒子を除去することが可能なその他のクリーニング機構を、しばしば必要とする。そのような逆クリーニングは大幅な改善をもたらすことができ、(すなわち)パルス・クリーニング後の圧力低下を小さくすることができる。一般に、粒子捕捉効率はパルス・クリーニング後に改善されないが、パルス・クリーニングによって圧力低下が小さくなり、フィルター動作のためのエネルギーが節約される。そのようなフィルタは、しばしば保守のため取り外して水性または非水性のクリーニング用組成物でクリーニングすることができる。このような媒体は、ファインファイバを紡糸し、次いでマイクロファイバの層、ウェブ、または格子状ウェブを多孔質基体上に形成することによって、しばしば製造される。紡糸プロセスでは、ファイバが、ファイバ同士の間で物理的な結合を形成し、層を絡み合った状態にしまたは一体化させて、層にファイバ・マットを固定することができる。次いでそのような材料を基体に結合させて、カートリッジや平らなディスク、キャニスタ、パネル、バッグ、ポーチなどの所望のフィルタ態様に作製することができる。そのような構造内では、媒体を実質的にひだ状にし、ロール状にし、または別の方法で支持構造上に位置決めすることができる。
【0014】
本明細書で述べるフィルタ装置は、機器用エンクロージャ、車両客室(キャビン)の換気装置、キャビン用エア・フィルタ、オンロードおよびオフロード用エンジン、圧縮器などの工業設備、およびその他関連する適用例も含めた広く様々な適用例で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のファインファイバを生成するための、典型的な静電エミッタ駆動装置を示す図である。
【図2】ファインファイバをフィルタ基体上に導入し、さらに図1に示されるファインファイバ形成技術に導くのに使用される装置を示す図である。
【図3】小さい粒子状物質、すなわち2および5ミクロンの粒子状物質と比較した、支持材料の典型的な内部構造を示す図および本発明のファインファイバ材料を示す別の図である。
【図4】、
【図5】、
【図6】、
【図7】、
【図8】、
【図9】、
【図10】、
【図11】実施例13に関する分析ESCAスペクトルを示す図である。
【図12】実施例5から得られた本発明の0.23および0.45マイクロファイバ材料の安定性を示す図である。
【図13】、
【図14】、
【図15】、
【図16】非変性ナイロンコポリマー溶媒可溶性ポリアミドと比較した場合の、実施例5および6の材料の、改善された温度および湿度安定性を示す図である。
【図17】、
【図18】、
【図19】、
【図19A】熱処理してから添加剤に結合させた2つのコポリマー、ナイロンホモポリマーとナイロンコポリマーのブレンドが、2つの別個のポリマー材料の区別可能な特徴を示さずに、架橋しまたは別の方法で化学的に接合された単一相であることがわかる、単一成分材料を形成することを示す図である。
【図20】吸気システムを備えたエンジンとエアクリーナを内部に有するシステムの概略図である。
【図21】第1フィルタエレメントおよびそこに取り付けられた安全フィルタエレメントの概略断面図であり、その両方が、図20に示されるようなエンジン・システムと共に使用される空気流チューブに取り付けられている状態を示す図である。
【図22】図21に示される第1フィルタエレメントの破断側面図である。
【図23】図21に示されるエンド・キャップおよび第1フィルタエレメントのシール部分の拡大概略破断断面図である。
【図24】図21に示される安全エレメントの破断側面図である。
【図25】図20に示されるエンジン・システムと共に利用することができる別のエアクリーナの側面図である。
【図26】図25に示されるハウジングおよび第1フィルタエレメントを含むエアクリーナの概略分解側面図である。
【図27】図25の線8−8に沿って得られたエアクリーナ・ハウジング内に動作可能に設置された第1フィルタエレメントの拡大断面図である。
【図28】図25の線9−9に沿って得られたエアクリーナ・ハウジング内に動作可能に設置された第1フィルタエレメントの別の部分の拡大断面図である。
【図29】図20に示されるエンジン・システムと共に利用することが可能な別のエアクリーナの側面を、一部破断し一部断面で表した図である。
【図30】図20に示されるエンジン・システムと共に利用することが可能な別のエアクリーナの、一部断面で表した破断側面図である。
【図31】図30に示されるエアクリーナの一部破断端面図である。
【図32】図20に示されるエンジン・システムと共に使用することが可能なパネル・フィルタエレメントの側面図である。
【図33】図32に示されるパネル・フィルタの平面図である。
【図34】吸気システムを備えた流体圧縮器および第1フィルタエレメントを内部に有するシステムの概略図である。
【図35】エア・フィルタ装置を一部破断した状態で示す平面図である。
【図36】図37のエア・フィルタ装置で利用されるフィルタ・アセンブリ(Vパック)の斜視図である。
【図37】図36の線20−20に沿って得られたフィルタ・アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.マイクロファイバまたはファインファイバのポリマー材料
本発明は、改善されたポリマー材料を提供する。このポリマーは、その物理的化学的安定性が改善されている。直径が200ナノメートル〜10ミクロンのポリマー・ファインファイバ(マイクロファイバおよびナノファイバ)は、有用な製品形態に作製することができる(例えば基体上に形成される場合)。ナノファイバは、直径が200ナノメートル未満、すなわち0.2ミクロン未満のファイバである。マイクロファイバは、直径が0.2ミクロンよりも大きいが10ミクロン以下のファイバである。このファインファイバは、改善された多層のミクロフィルター媒体構造の形に形成することができる。本発明のファインファイバ層は、ランダム分布したファインファイバを含み、これらが結合することにより格子状ネットを形成することができる。
【0017】
フィルター性能は、主として、微粒子の通過をファインファイバが妨害する結果得られる。剛性、強度、ひだ性という構造上の性質は、ファインファイバが接着する基体によって得られる。ファインファイバが絡み合った状態の網状組織は、重要な特徴として、マイクロファイバまたはナノファイバの形をとったファインファイバと、そのファイバ間にある比較的小さい開口、オリフィス、またはスペースを有する。そのようなファイバ間のスペースは、典型的な場合、約0.01ミクロンから約25ミクロンに及び、またはしばしば約0.1ミクロンから約10ミクロンに及ぶ。
【0018】
フィルタ製品は、基体上に形成されたファインファイバ層を含む。合成、天然の供給源から得られたファイバ(例えばポリエステル層およびセルロース層)は細く、基体として適切に選択されるものである。このファインファイバは、ファインファイバに基体を加えたフィルタ媒体全体の厚さを、1ミクロン未満の厚さだけ増大させる。使用中、フィルタは、流入する微粒子がファインファイバ層を通過するのを防ぐことができ、捕捉された粒子による表面負荷が大きくなる。ダストまたはその他の流入する微粒子を含む粒子は、ファインファイバ表面にダスト・ケーキを素早く形成し、微粒子を除去する初期効率および全体効率を高いレベルに維持する。粒径が約0.01〜約1ミクロンの比較的微細な汚染物質の場合であっても、ファインファイバを含むフィルタ媒体のダスト容量は非常に高い。
【0019】
本明細書に開示するポリマー材料は、熱、湿度、高流量、逆パルス・クリーニング、動作上の摩耗、サブミクロン微粒子、使用中のフィルタのクリーニング、およびその他の厳しい条件による望ましくない影響に対する耐性が大幅に改善されている。改善されたマイクロファイバおよびナノファイバの性能は、これらマイクロファイバおよびナノファイバを形成するポリマー材料の性質を改善した結果得られたものである。さらに、本発明の改善されたポリマー材料を使用する本発明のフィルタ媒体は、より高い効率、より低い流量制限、研磨性微粒子の存在下での高耐久力(応力に関連しまたは環境に関連したもの)、ばらばらのファイバまたはフィブリルがない滑らかな外面を含めたいくつかの有利な特徴を提供する。フィルタ材料の全体構造は、全体的により薄い媒体を提供し、単位体積当たりの媒体面積が改善され、媒体を通過する速度が低下し、媒体効率が向上し、流量制限が低下する。ファインファイバはポリマー材料またはポリマーと添加剤とから製造できる。本発明の好ましい一形態は、第1のポリマーと、これとは異なる第2のポリマー(ポリマーのタイプ、分子量、または物理的性質が異なる)であって、高温で調製されまたは処理されたものを含むポリマー・ブレンドである。ポリマー・ブレンドは、反応させて単一の化学種に形成することができ、またはアニール・プロセスによって物理的に結合(combined)させ、それによってブレンド済みの組成物にすることができる。アニールとは、結晶化度や応力緩和、配向などの、物理的変化を意味する。示差走査熱量計分析によって単一のポリマー材料であることが明らかにされるように、好ましい材料を化学的に反応させて単一のポリマー種にする。そのような材料は、好ましい添加剤材料と合わせた場合、疎油性、疎水性、または高温多湿の厳しい動作条件に接触させたときにその他の関連する改善された安定性をもたらす添加剤の表面コーティングを、マイクロファイバの表面に形成することができる。このクラスの材料のファインファイバは、直径が約0.01から5ミクロンでよい。そのようなマイクロファイバは、部分的にポリマー表面に溶解しまたはポリマー表面とアロイ状態になり、あるいはその両方の状態になる、添加剤材料の別個の層または添加剤材料の外部コーティングを含んだ滑らかな表面を有することができる。ブレンド・ポリマー系で使用される好ましい材料には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン(6−66−610)コポリマー、およびその他の直線状の、一般に脂肪族のナイロン組成物が含まれる。好ましいナイロンコポリマー樹脂(SVP−651)の分子量を、末端基滴定により分析した(J.E.WalzおよびG.B.Taylor、determination of the molecular weight of nylon、Anal.Chem.Vol.19、Number 7、第448〜450ページ(1947))。数平均分子量(Mn)は、21,500から24,800の間であった。組成物を、3成分ナイロン、すなわちナイロン6が約45%、ナイロン66が約20%、ナイロン610が約25%の溶融温度の状態図によって評価した(第286ページ、Nylon Plastics Handbook、Melvin Kohan編、Hanser Publisher、New York(1995))。報告されたSVP651樹脂の物理的性質は、以下の通りである。
【0020】
【表1】
【0021】
そのようなポリマー系には、加水分解の程度が87〜99.9+%のポリビニルアルコールを使用することができる。これらは物理的または化学的薬剤によって架橋していることが好ましい。またこれらPVOHポリマーは、相当な量の疎油性および疎水性の添加材料に架橋して結合していることが最も好ましい。
【0022】
本発明の別の好ましい形態は、ファイバの寿命または動作上の性質が改善されるよう、添加剤組成物に結合した単一のポリマー材料を含む。本発明のこの態様に有用な好ましいポリマーには、凝集ポリマーと、ナイロン・ポリマー、ナイロン・ポリマーなどの添加剤ポリマー、ポリ塩化ビニリデンポリマー、ポリフッ化ビニリデンポリマー、ポリビニルアルコールポリマーの両方が含まれ、特に、疎油性および疎水性が高い添加剤と合わせた場合にはこれら列挙された材料が含まれ、添加剤材料がファインファイバの表面をコーティングして形成されているマイクロファイバまたはナノファイバを得ることができる。この場合も、同様のナイロン、同様のポリ塩化ビニルポリマーのブレンド、ポリ塩化ビニリデンポリマーのブレンドが、本発明では有用である。さらに、異なるポリマーのポリマー・ブレンドまたはアロイも本発明により企図される。この点に関しては、相溶性あるポリマーの混合物が、本発明のマイクロファイバ材料を形成する際に有用である。フッ素系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、低分子量樹脂(例えば)分子量が約3000未満の第3級ブチルフェノール樹脂などの添加剤組成物を使用することができる。この樹脂は、メチレン架橋基が存在しない状態でフェノール核同士がオリゴマー結合していることを特徴とする。ヒドロキシル基および第3ブチル基の位置は、その環の周りにランダムに位置決めすることができる。フェノール核同士の結合は常にヒドロキシル基の隣で生じ、ランダムではない。同様に、ポリマー材料は、ビスフェノールAから形成されたアルコール可溶性の非直線状ポリマー樹脂と組み合わせることができる。そのような材料は、アルキレン基やメチレン基などのいかなる架橋基も存在しない状態で芳香族環と芳香族環を直接結び付けるオリゴマー結合を使用して形成される点が、上述の第3級ブチルフェノール樹脂と同様である。
【0023】
本発明の特に好ましい材料は、寸法が約0.001〜10ミクロンのマイクロファイバ材料を含む。好ましいファイバのサイズは、0.05ミクロン〜0.5ミクロンの範囲である。最終用途およびパルス・クリーナまたはクリーニングの選択肢に応じ、ファイバは、0.01〜2ミクロンのファイバ、0.005〜5ミクロンのファイバ、または0.1〜10ミクロンのファイバから選択することができる。そのような好ましいサイズのファイバは、優れたフィルタ機能をもたらし、逆パルス・クリーニングおよびその他の態様を容易にする。本発明の非常に好ましいポリマー系は、セルロース系基体に接触したときに、その基体にしっかりと結合して逆パルス・クリーニングおよびその他の機械的応力による層剥離に耐えることができるようその基体に十分な強度で接着するような、接着特性を有する。そのような形態では、ポリマー材料は、フィルタ構造上で逆方向であること以外は典型的なフィルター条件に実質上等しいパルス・クリーン入力を受けながら、基体に取着されたままでなければならない。そのような接着は、ファイバが基体に接触するときのファイバ形成時の溶媒効果により、または基体上のファイバを熱または圧力で後処理することにより、行うことができる。しかしポリマー特性は、水素結合のような特定の化学的相互作用、Tgよりも高くまたは低い温度で生じるポリマーと基体との接触、添加剤を含むポリマー形成などの接着性を決定する際に、重要な役割を果たすと考えられる。接着時に溶媒または水蒸気で可塑化したポリマーは、接着性を増大させることができる。
【0024】
本発明の重要な態様は、フィルタ構造に形成されたそのようなマイクロファイバまたはナノファイバ材料を有効利用できることである。そのような構造では、本発明のファインファイバ材料をフィルタ基体上に形成して接着させる。スパン・ボンデッド・ファブリック、合成繊維の不織布、セルロース系、合成、およびガラス繊維のブレンドから作製された不織布、ガラス不織および織布、押し出されかつ穴があけられた材料のようなプラスチック・スクリーン、有機ポリマーのUFおよびMF膜など、天然繊維および合成繊維の基体を使用することができる。流れの中に懸濁しまたは混入した微粒子をその流れから除去するため、シート状基体またはセルロース系不織ウェブを、空気の流れまたは液体の流れを含めた流体の流れの中に配置されるフィルタ構造に形成することができる。フィルタ材料の形状および構造は、設計技術者いかんによる。形成後のフィルタエレメントの1つの重要なパラメータは、熱、湿度、またはその両方の影響に対する抵抗性である。本発明のフィルタ媒体の一態様は、長時間にわたる温水への浸漬に耐えられるかどうか、試験をすることである。浸漬試験は、ファインファイバが高温多湿の条件に耐えられるかどうか、また、強力なクリーニング用界面活性剤および強アルカリ性材料をかなりの割合で含有する可能性のある水溶液中でのフィルタエレメントのクリーニングに耐えられるかどうかに関し、価値ある情報を提供することができる。本発明のファインファイバ材料は、活性フィルタ構成エレメントとして基体の表面に形成されたファインファイバを少なくとも50%保ちながら、温水への浸漬に耐えられることが好ましい。少なくとも50%のファインファイバが保たれることによって、フィルター能力を失うことなく、または背圧を増大させることなく、十分なファイバ効率を維持することができる。少なくとも75%保たれることが、最も好ましい。
【0025】
本発明のマイクロファイバまたはナノファイバを含有する層を構成するファインファイバは、ファイバでよく、直径は約0.001〜10ミクロン、好ましくは0.05〜0.5ミクロンでよい。典型的なファインファイバフィルター層の厚さはファイバ直径の約1〜100倍に及び、その坪量は約0.01〜240μg・cm−2に及ぶ。
【0026】
空気や気体の流れなどの流体の流れは、その内部にしばしば粒子状物質を含有する。粒子状物質の一部または全ては、流体の流れから除去する必要がある。例えば、モータ作動式車両の客室(キャビン)への吸気流、コンピュータ・ディスク・ドライブ内の空気、HVACの空気、フィルタ・バッグ、バリア用布地、織布を使用したクリーン・ルームの換気および施工、モータ作動式車両用エンジンまたは発電装置への空気、ガスタービンに向けられた気体の流れ、様々な燃焼炉への空気の流れは、その内部にしばしば粒子状物質を含んでいる。キャビンのエア・フィルタの場合、乗客が快適であるように、かつ/または美的な観点から、粒子状物質を除去することが望ましい。エンジン、ガスタービン、および燃焼炉への空気および気体の吸入流に関しては、微粒子によって、関係する様々な機構の内部の仕組みにかなりの損傷が生じる可能性があるので、粒子状物質を除去する必要がある。その他の場合、工業プロセスまたはエンジンからの生成ガスまたは排ガスは、その内部に粒子状物質を含有する可能性がある。そのようなガスは、様々な下流装置を通して大気中に排出することができ、または排出すべきであるが、その前に、これらの流れから粒子状物質を実質上除去することが望ましいと考えられる。
【0027】
エア・フィルタ設計の基本原理および問題のいくつかの一般的な理解は、以下のタイプのフィルタ媒体、すなわち表面負荷媒体と深さ媒体を考えることによって、理解することができる。これらのタイプの媒体のそれぞれは十分に研究されており、それぞれ広く利用されている。これらに関するある特定の原理が、例えば米国特許第5,082,476号、第5,238,474号、および第5,364,456号に記載されている。これら3つの特許の完全な開示を、参照により本明細書に組み込む。
【0028】
フィルタの「寿命」は、一般に、フィルタを横切る選択された限界の圧力低下によって定められる。フィルタを横切る圧力増大は、その適用例またはデザインに応じて定められたレベルでの寿命を規定する。この圧力増大は負荷がかかることによって生じるので、システムの効率が等しい場合、より長い寿命であることは一般により高い能力に直接関連する。効率とは、媒体が微粒子を通過させるのではなくて捕捉する傾向をいう。一般に、気体流の流れから微粒子を除去する際のフィルタ媒体の効率が高いほど、概してフィルタ媒体はより素早く「寿命」圧力差に近付くことになる(他の変数は一定に保たれると仮定する)。本願で、「フィルタ目的のため変化しない」という文言は、選択された適用例に必要とされるように、流体の流れから微粒子を除去するのに十分な効率が維持されることを指す。
【0029】
ポリマー材料は、不織布および織布、ファイバおよびマイクロファイバに作製されてきた。ポリマー材料は、製品の安定性に必要とされる物理的な性質を提供する。これらの材料は、日光、湿度、高温、またはその他のネガティブな環境上の影響のもと、その寸法が大幅に変化してはならず、分子量が低下してはならず、可撓性が低下してはならず、あるいは応力亀裂または物理的劣化が生じてはならない。本発明は、環境内の光などの電磁放射線の入射、熱、湿度、およびその他の物理的な問題に直面した場合に物理的性質を維持することができる、改善されたポリマー材料に関する。
【0030】
本発明のポリマー組成物に使用することができるポリマー材料には、付加重合体(付加ポリマー)材料と縮合重合体(縮合ポリマー)の材料の両方が含まれ、例えばポリオレフィンやポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー、およびこれらの混合などが含まれる。これらの一般的なクラスに包含される好ましい材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート(およびその他のアクリル樹脂)、ポリスチレン、およびこれらのコポリマー(ABAタイプのブロックコポリマーを含む)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、様々な程度に加水分解した(87%〜99.5%)ポリビニルアルコールであって、架橋した形および架橋していない形のものが含まれる。好ましい付加重合体は、ガラス状になる傾向がある(Tgが室温よりも高い)。これは、ポリ塩化ビニルおよびポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリマーの組成物またはアロイの場合に生じ、ポリフッ化ビニリデンおよびポリビニルアルコール材料の場合には結晶化度が低くなる。ポリアミド縮合重合体の1つのクラスは、ナイロン材料である。「ナイロン」という用語は、全ての長鎖合成ポリアミドの総称である。一般にナイロンという呼称には、出発材料がC6ジアミンおよびC6の2価の酸であることを示すナイロン6,6のように、一連の番号が含まれる(第1の桁はC6ジアミンを示し、第2の桁はC6ジカルボン酸を示す)。別のナイロンは、少量の水の存在下でε−(C6)カプロラクタム(または他のC6〜12ラクタム)を縮重合することによって作製することができる。この反応によって、直線状ポリアミドであるナイロン6(環状ラクタムから形成され、ε−アミノカプロン酸とも呼ばれる)が形成される。さらに、ナイロンコポリマーも考えられる。コポリマーは、様々なジアミン化合物、様々な2価の酸の化合物、および様々な環状ラクタム構造を反応混合物で結合させ、次いでポリアミド構造中にランダムに位置決めされたモノマー材料でナイロンを形成することによって、作製することができる。例えばナイロン6,6−6,10の材料は、ヘキサメチレンジアミンと、C6およびC10の2価の酸のブレンドから製造されたナイロンである。ナイロン6−6,6−6,10は、ε−アミノカプロン酸と、ヘキサメチレンジアミンと、C6およびC10の2価の酸の材料のブレンドから製造されたナイロンである。
【0031】
ブロックコポリマーは、本発明のプロセスにおいても有用である。そのようなコポリマーでは、物質を膨潤させる溶媒の選択が重要である。選択される溶媒は、両方のブロックを溶媒に溶解させるようなものである。一例は、ABA(スチレン−EP−スチレン)ポリマーまたはAB(スチレン−EP)ポリマーを塩化メチレン溶媒に溶解させたものである。1つの成分が溶媒に溶解しない場合、ゲルが形成される。そのようなブロックコポリマーの例として、Kraton(登録商標)タイプのスチレン−b−ブタジエン、スチレン−b−水素化ブタジエン(エチレンプロピレン)、Pebax(登録商標)タイプのe−カプロラクタム−b−エチレンオキシド、Sympatex(登録商標)のポリエステル−b−エチレンオキシド、エチレンオキシドとイソシアネートのポリウレタンがある。
【0032】
付加重合体、例えばポリフッ化ビニリデンやシンジオタクチックポリスチレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルと、非晶質付加重合体、例えばポリ(アクリロニトリル)と、そのアクリル酸およびメタクリレートとのコポリマー、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、およびその様々なコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、およびその様々なコポリマーは、低圧および低温で可溶であるので、比較的容易に溶液紡糸することができる。しかし、ポリエチレンやポリプロピレンのような高度に結晶化したポリマーは、それらを溶液紡糸する場合には高温高圧の溶媒を必要とする。したがって、ポリエチレンおよびポリプロピレンの溶液紡糸は非常に困難である。電界溶液紡糸(electrostatic solution spining)は、ナノファイバおよびマイクロファイバを作製する一方法である。
【0033】
本発明者等は、ポリマー混合物、アロイ形態中に、または架橋した化学結合構造中に2種以上のポリマー材料を含むポリマー組成物を形成することの相当な利点も見出した。本発明者等は、そのようなポリマー組成物がポリマーの属性を変えることによって物理的性質を改善すると考え、例えば、ポリマー鎖の柔軟性または鎖の移動性が改善され、全体的な分子量が増加し、ポリマー材料の網状組織の形成により強化されると考えている。
【0034】
この概念の一実施形態では、有益な性質を得るために、2つの関連するポリマー材料をブレンドすることができる。例えば、高分子量のポリ塩化ビニルを低分子量のポリ塩化ビニルとブレンドすることができる。同様に、高分子量のナイロン材料を低分子量のナイロン材料とブレンドすることができる。さらに、一般的なポリマーの種類の中でも異なる種類のものをブレンドすることができる。例えば高分子量のスチレン材料を、低分子量の耐衝撃性(high impact)ポリスチレンとブレンドすることができる。ナイロン6の材料は、ナイロン6;6,6;6,10コポリマーなどのナイロンコポリマーとブレンドすることができる。さらに、87%が加水分解したポリビニルアルコールのように、加水分解の程度が低いポリビニルアルコールは、加水分解の程度が98%から99.9%の間、またはそれ以上の、完全にまたは高度に加水分解したポリビニルアルコールとブレンドすることができる。混合物中のこれらの材料の全ては、適切な架橋機構を使用して架橋することができる。ナイロンは、アミド結合中の窒素原子と反応する架橋剤を使用して、架橋することができる。ポリビニルアルコール材料は、モノアルデヒドなど、例えばホルムアルデヒドや、尿素、メラミンホルムアルデヒド樹脂およびその類似体、ホウ酸、およびその他の無機化合物、ジアルデヒド、2価の酸、ウレタン、エポキシ、およびその他の既知の架橋剤など、ヒドロキシル反応性材料を使用して架橋することができる。架橋技術は十分に知られており理解されている現象であって、架橋試薬が反応してポリマー鎖同士の間に共有結合を形成し、それによって、分子量、耐薬品性、全体強度、機械的劣化に対する抵抗力が大幅に改善されるものである。
【0035】
本発明者等は、添加された材料が、ファインファイバの形をとるポリマー材料の性質を著しく改善することを見出した。熱、湿度、衝撃、機械的応力の影響、およびその他の負の環境の影響に対する抵抗力は、添加された材料を存在させることによって著しく改善することができる。本発明者等は、本発明のマイクロファイバ材料を加工しながら、添加された材料が疎油性および疎水性を改善することができ、材料の化学的安定性の改善を助けることができるようになることを見出した。本発明者等は、これら疎油性および疎水性の添加剤が保護層コーティング、融蝕性表面を形成し、またはその表面から若干の深さまで浸透してポリマー材料の性質を改善するので、これらの添加剤を存在させることによって、マイクロファイバの形をとる本発明のファインファイバの性質が改善されると考えている。本発明者等は、これらの材料の重要な特徴は、非常に疎水性の高い基であって好ましくは疎油性も有することができる疎水基が存在することであると考える。疎水性が非常に高い基には、フルオロカーボン基、疎水性炭化水素界面活性剤またはブロック、および実質上の炭化水素オリゴマー組成物が含まれる。これらの材料は、一般にポリマーとの物理的な結合または会合が得られるように、ポリマー材料に対して相溶性の傾向がある分子の一部を有する組成物に製造されるが、疎水性または疎油性が非常に高い基は、添加剤がポリマーと会合する結果、その表面に保護表面層を形成し、またはポリマー表面層とのアロイまたは混合物を形成するようになる。添加剤は、ファイバ上で合計1重量%〜25重量%の量で使用することができる。添加剤のレベルが10%の0.2ミクロンのファイバでは、添加剤が表面に向かって移行した場合、表面の厚さが50Å程度になるよう計算される。移行は、バルク材料中で疎油性または疎水性の基が非相溶性であることにより生じると考えられる。50Åの厚さは、保護コーティングに妥当な厚さであると考えられる。直径0.005ミクロンのファイバでは、50Åの厚さは20質量%に相当する。厚さ2ミクロンのファイバでは、50Åの厚さは2質量%に相当する。添加剤材料は、約2〜25重量%の量で使用されることが好ましい。有用な表面の厚さは、10Å〜150Åの範囲でよい。
【0036】
本発明のポリマー材料と組み合わせて使用することができるオリゴマー添加剤には、フッ素系化学物質、非イオン性界面活性剤、および低分子量の樹脂またはオリゴマーを含む、分子量が約500〜約5000、好ましくは約500〜約3000のオリゴマーが含まれる。本発明で有用なフッ素系有機(fluoro−organic)湿潤剤は、式
Rf−G
で表される有機分子であり、ただしRfはフルオロ脂肪族ラジカルであり、Gは、カチオン基、アニオン基、非イオン性基、または両性基など、少なくとも1個の親水基を含有する基である。非イオン性材料が好ましい。Rfは、少なくとも2個の炭素原子を含有する、フッ素化した1価の脂肪族有機ラジカルである。これは、飽和パーフルオロ脂肪族の1価の有機ラジカルであることが好ましい。しかし、水素原子または塩素原子を、骨格鎖上に置換基として存在させることができる。多数の炭素原子を含有するラジカルは十分に機能することができるが、大きいラジカルの場合、通常は骨格鎖が短い場合に可能であるよりもフッ素を十分に利用できないので、約20個以下の炭素原子を含有することが好ましい。Rfは、炭素原子を約2〜8個含有することが好ましい。
【0037】
本発明で使用されるフッ素系有機剤に使用可能なカチオン基には、アミンまたは第4級アンモニウムカチオン基であって、酸素を含まず(例えば−NH2)または酸素を含有する(例えばアミンオキシド)ことができるものが含まれる。そのようなアミンおよび第4級アンモニウムカチオン親水基は、式−NH2、−(NH3)X、−(NH(R2)2)X、−(NH(R2)3)X、または−N(R2)2→Oで表すことができ、ただしxは、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、重硫酸塩、またはカルボキシレートなどのアニオン性対イオンであり、R2はHまたはC1〜18アルキル基であり、各R2は他のR2基と同じかまたは異なるものにすることができる。R2はHまたはC1〜16アルキル基であり、Xはハロゲン化物、水酸化物、または重硫酸塩であることが好ましい。
【0038】
本発明で使用されるフッ素系有機湿潤剤に使用可能なアニオン基には、イオン化によってアニオンラジカルになることができる基が含まれる。アニオン基は、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−PO3HM、−OPO3M2、または−OPO3HMなどの式を有することができ、ただしMはH、金属イオン、(NR14)+、または(SR14)+であり、各R1は独立にH、あるいは置換されまたは置換されていないC1〜C6アルキルである。Mは、Na+またはK+であることが好ましい。本発明で使用されるフッ素系有機湿潤剤の好ましいアニオン基は、式−COOMまたは−SO3Mを有する。アニオン性のフッ素系有機湿潤剤の基は、一般に、エチレン不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸モノマーであってそこにフルオロカーボン側基が結合しているモノマーから製造されるアニオン性ポリマー材料を含む。そのような材料には、3M社から得られるFC−430およびFC−431と呼ばれる界面活性剤が含まれる。
【0039】
本発明で使用されるフッ素系有機湿潤剤に使用可能な両性基には、上記定義された少なくとも1個のカチオン基と、上記定義された少なくとも1個のアニオン基を含有する基が含まれる。
【0040】
本発明で使用されるフッ素系有機湿潤剤に使用可能な非イオン性基には、親水性であるが農業で通常使用されるpH条件下ではイオン化しない基が含まれる。非イオン性基は、−O(CH2CH2)xOHであってxが1より大きいものや、−SO2NH2、−SO2NHCH2CH2OH、−SO2N(CH2CH2H)2、−CONH2、−CONHCH2CH2OH、または−CON(CH2CH2OH)2などの式を有するものでよい。そのような材料の例には、以下の構造の材料が含まれる。
【0041】
F(CF2CF2)n−CH2CH2O−(CH2CH2O)m−H
ただしnは2〜8であり、mは0〜20である。
【0042】
その他のフッ素系有機湿潤剤には、例えば米国特許第2,764,602号、第2,764,603号、第3,147,064号、および第4,069,158号に記載されているカチオン性フルオロケミカルが含まれる。そのような両性フッ素系有機湿潤剤には、例えば米国特許第2,764,602号、第4,042,522号、第4,069,158号、第4,069,244号、第4,090,967号、第4,161,590号、および第4,161,602号に記載されている両性フルオロケミカルが含まれる。そのようなアニオン性フッ素系有機湿潤剤には、例えば米国特許第2,803,656号、第3,255,131号、第3,450,755号、および第4,090,967号に記載されているアニオン性フルオロケミカルが含まれる。
【0043】
そのような材料の例には、duPont Zonyl FSNおよびduPont Zonyl FSO非イオン性界面活性剤がある。本発明のポリマーに使用することができる添加剤の別の態様には、一般構造が
CF3(CX2)n−アクリレート
であり、ただしXが独立して−Fまたは−CF3、nが1〜7である、3MのScotchgard材料などの低分子量フルオロカーボンアクリレート材料が含まれる。
【0044】
さらに、低級アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、ノニルフェノールエトキシレートなどを含む非イオン性炭化水素界面活性剤も、本発明の添加剤材料として使用することができる。このような材料の例には、Triton X−100およびTriton N−101が含まれる。
【0045】
本発明の組成物の添加剤材料として使用するのに役立つ材料は、第3級ブチルフェノールオリゴマーである。そのような材料は、分子量が比較的低い芳香族フェノール樹脂になる傾向がある。そのような樹脂は、酵素酸化カップリングによって調製されたフェノールポリマーである。メチレン架橋が存在しないと、独自の化学的物理的な安定性が得られる。これらのフェノール樹脂は、様々なアミンおよびエポキシと架橋することができ、様々なポリマー材料に対して相溶性がある。これらの材料は一般に、フェノール基および芳香族基を有するメチレン架橋基が存在しない繰返しモチーフのフェノール材料を特徴とする、以下の構造式によって例示される。
【0046】
【化1】
【0047】
上式で、nは2〜20である。これらフェノール材料の例には、Enzo−BPA、Enzo−BPA/フェノール、Enzo−TBP、Enzo−COP、およびその他関連するフェノール類が含まれ、これらはオハイオ州ColumbusのEnzymol International Inc.から得られた。
【0048】
極めて広く様々な繊維状フィルタ媒体が種々の用途のため存在することを理解されたい。本発明で述べる耐久性あるナノファイバおよびマイクロファイバは、媒体のいずれかに付加することができる。本発明で述べるファイバは、これら既存の媒体のファイバ構成エレメントの代わりに使用することもでき、その直径が小さいので性能が改善されるという利点が得られ(効率が高まり、かつ/または圧力低下が減少する)、それと共に耐久性がより向上したことが示される。
【0049】
ポリマーナノファイバおよびマイクロファイバが知られているが、これらは表面積と体積の比が非常に大きいので、機械的応力に対して脆弱であり、また化学的劣化を受け易く、そのためこれらファイバの用途には非常に制約があった。本発明で述べるファイバは、これらの制約に対処するものであり、したがって非常に広く様々なフィルター、織物、膜、およびその他多様な適用例で使用可能になる。
【0050】
(図面の詳細な説明)
このユニットのマイクロファイバまたはナノファイバは、静電紡糸プロセスによって形成することができる。ファイバの形成に適切な装置を図1に示す。この装置は、ファインファイバ形成ポリマー溶液が入っているリザーバ80と、ポンプ81と、ポリマー溶液が送出される回転式放出装置またはエミッタ40を含む。エミッタ40は一般に、回転ユニオン41と、複数のオフセット・ホール44を含む回転部分42と、前面部分および回転ユニオンを接続するシャフト43とからなる。回転ユニオン41によって、ポリマー溶液は、中空シャフト43を通して前面部分42に導入される。ホール44は、前面部分42の周辺の周りに間隔を空けて配置されている。あるいは、回転部分42を、リザーバ80およびポンプ81によって供給されたポリマーのリザーバに浸漬することができる。次いで回転部分42はリザーバからポリマー溶液を得、その部分が電場内で回転するにつれ、溶液の小滴が静電場によって、以下に論じる収集媒体70に向けて加速される。
【0051】
エミッタ40に面するように、しかしそこから間隔を空けて、略平面グリッド60が配置されており、その表面には収集媒体70(すなわち基体または結合基体)が位置決めされている。空気は、このグリッドを通して引き込むことができる。収集媒体70は、グリッド60の両端に隣接して位置決めされたローラ71および72の周りを通過する。エミッタ40とグリッド60の間では、適切な静電圧電源61と、それぞれがグリッド60およびエミッタ40に接続される接続62および63とによって、高圧静電電位が維持される。
【0052】
使用中、ポリマー溶液は、リザーバ80から回転ユニオン41またはリザーバに送出される。前面部分42は回転するが、このとき液体はホール44から出ていき、またはリザーバから引き上げられ、エミッタの外縁からグリッド60上に位置決めされている収集媒体70に向かって移動する。具体的には、グリッド60とエミッタ40との間の静電電位によって材料に電荷が与えられ、そこから液体が細いファイバとして放出されてグリッド60に向かって引き出される。溶融状態のポリマーの場合、溶媒は、ファイバがグリッド60に飛ばされる間にファイバから蒸発する。ファインファイバは、グリッド60で最初に出会った基体ファイバに結合する。静電場の強度は、エミッタから収集気体70へと加速されるにつれて、ポリマー材料が確実に得られるように選択されるが、この加速は、材料を非常に細いマイクロファイバまたはナノファイバ構造にするのに十分なものである。収集媒体の前進速度を速め、または遅くすることによって、放出されたファイバを形成媒体上に多かれ少なかれ成膜させることができ、それによって、その媒体上に成膜した各層の厚さを制御することが可能になる。回転部分42は、様々な有益な位置を有することができる。回転部分42は、回転平面内に、すなわちその平面が収集媒体70の表面に垂直になるように、または任意のどのような角度でも位置決めされるように、回転平面内に配置することができる。回転媒体は、平行な向きに平行に、またはその向きからわずかにずれた状態で、位置決めすることができる。
【0053】
図2は、シート状基体または媒体上にファインファイバ層を形成するためのプロセスおよび装置の概略図である。図2で、シート状基体は、ステーション20で巻き解かれる。次いでシート状基体20aをスプライシング・ステーション21に向け、そこで複数の長さの基体を、連続動作のためにスプライスすることができる。連続した長さのシート状基体を、図1の紡糸技術を含むファインファイバ技術ステーション22に向け、そこで紡糸装置によりファインファイバを形成し、そのファインファイバを、シート状基体上のフィルター層に重ねる。形成ゾーン22内でファインファイバ層をシート状基体上に形成した後、ファインファイバ層および基体を、熱処理ステーション23に向け、適切な処理を行う。次いでシート状の基体およびファインファイバ層を、効率モニタ24で試験し(プロセスおよびモニタに関しては、本明細書に参照により特別に組み込んだ米国特許第5,203,201号を参照)、必要に応じてニップ・ステーション25でニップ処理する。次いでシート状基体およびファインファイバ層を適切な巻きステーションに送り、そこで適切なスピンドルに巻き付けて、さらに処理26および27を行う。
【0054】
図3は、典型的なセルロース媒体の細孔径および典型的なファインファイバ構造での細孔径に対する、直径が約2ミクロンと約5ミクロンの典型的なダスト粒子の関係を示す、走査電子顕微鏡写真である。図3Aでは、典型的な粒子径よりもかなり大きく示されている細孔径を有するセルロース媒体33中に、2ミクロン粒子31および5ミクロン粒子32があることを示している。これとは全く対照的に、図3Bでは、2ミクロン粒子はファイバ・ウェブ35のファイバ間の典型的な開口にほぼ等しいかそれよりも大きく見えるが、5ミクロン粒子32は、ファインファイバ・ウェブ35の開口のいずれよりも大きく見える。
【0055】
本発明者等は、格納または最終用途への輸送におけるフィルタが極端な環境条件に曝される可能性があることを見出した。サウジアラビアの砂漠でのフィルタは、65.6℃(150°F)以上ほどに高い温度に曝さらされる可能性がある。インドネシアまたは米国の湾岸に設置されたフィルタは、90%RHを超える高い湿度および37.8℃(100°F)という温度に曝される可能性がある。または、それらのフィルタは雨に曝される可能性がある。本発明者等は、自動車やトラック、バス、トラクタなどの移動機器および建設用機器のフード下で使用されるフィルタが、高温(82℃〜137.8℃(180°F〜280°F))、高相対湿度、およびその他の化学的環境に曝される可能性があることを見出した。正常に動作する場合、フィルタ温度は一般に周囲温度である。この温度条件は、機器またはエンジンが異常に動作し、あるいは最大出力でまたは最大出力付近で使用され、次いで停止させる場合に最も過酷である。本発明者等は、過酷な条件下でのマイクロファイバ系の残存性を評価する試験方法を開発した。フィルタ媒体サンプルを温水(60℃(140°F))中に5分間浸し、または高湿、高温、および空気流に曝す。
【0056】
B.エアクリーナの設計に関する一般的原理
本明細書で、「エアクリーナ」という用語は、空気流の流れから粒子状物質が除去されるように機能するシステムを指すのに使用される。「エア・フィルタ」という用語は、内部に微粒子を含む空気をフィルタ媒体に通すことによって除去を行うシステムを指す。「フィルタ媒体」または「媒体」という用語は、内部を空気が通過し、それに伴って媒体中または媒体上に粒子が堆積する(deposite)材料または材料の集合体を指す。「表面負荷媒体」または「バリア媒体」という用語は、空気が媒体を通過するときに、粒子状物質が、媒体の深さ方向に入り込んで堆積するのとは対照的に、主に媒体の表面に堆積してフィルタ・ケーキを形成するシステムを指す。
【0057】
「フィルタエレメント」という用語は、内部にフィルタ媒体を含むエアクリーナの一部を指すものである。一般にフィルタエレメントは、取外し可能かつ交換可能な、すなわち保守可能なエアクリーナの一部として設計される。すなわちフィルタ媒体はフィルタエレメントによって支持され、エアクリーナの残りの部分から分離可能であり、その結果、目詰まりしまたは部分的に目詰まりしたフィルタエレメントを取り外して、新しい、またはクリーニング済みのフィルタエレメントに交換することにより、定期的にエアクリーナを元の状態に戻すことができるようになる。エアクリーナは、取外しおよび交換を手で行うことができるように設計することが好ましい。「目詰まりした」という用語またはその変形例は、十分な時間稼動した結果、かなりの量の捕捉粒子または微粒子を上部に含有するエアクリーナ、例えば重量が少なくとも5%増加したエアクリーナを意味するものである。多くの場合、フィルタエレメントは、正常動作中そこに詰まった微粒子が原因となって、当初の重量の2倍かまたは3倍(またはそれ以上)にその重量が増加する。本発明のフィルタの基体上に形成されたファインファイバ層は、フィルター性能とファイバ位置の両方に関し、実質上均一であるべきである。実質上均一である、とは、ファイバが基体を十分にコーティングし、その結果、コーティングされた基体全体にわたって少なくともいくらか測定可能なフィルター効率を有することを意味する。ファイバの付加量を広く様々にすることによって、適切な濾過を行うことができる。したがってファインファイバ層は、ファイバコーティング範囲、坪量、層の厚さ、またはその他のファイバ付加量測定値を様々に変えることができ、それでも本発明の範囲内に十分包含される。ファインファイバの付加量が比較的少ない場合であっても、フィルタ構造全体の効率を高めることができる。
【0058】
本明細書で、ある場合には、「オンロード」エレメントおよび「オフロード」エレメントと言う。一般に、オンロードとオフロードでのエレメント設計および使用に関する典型的な相違は、「安全エレメント」が存在するかどうかに関係する。より具体的には、多くの場合、オフロード・フィルタエレメントは安全エレメントに関連して利用される。順方向流動装置の場合、安全エレメントは一般に、使用中に「第1」エレメントの内部に位置決めされた円筒形エレメントである。この場合、かつ同様の場合、「第1」という用語は、正常な使用において粒子収集の大部分を行うエレメントを指すものとする。このエレメントは一般に、安全エレメントが含まれる場合にはより「上流の」エレメントになる。本明細書で「エレメント」という用語を使用するとき、安全エレメントが含まれる場合には第1エレメントを指している。安全エレメントは、一般に「安全」という用語を使用することによって、特別に述べられる。
【0059】
フィルタの技術分野で、エレメントは、それが「軽量」、「中量」、または「重量」級の適用例に向けて構成されているかどうかに関してしばしば言及される。オンロードの場合、関連する車両の作動マイル数の点から見ると、その仕様は一般に、エレメントの最小期待寿命に関する。典型的な軽量向け適用例またはエレメントは、少なくとも32,180km(20,000マイル)、典型的な場合には少なくとも48,270km(30,000マイル)、効果的に作動するよう構成され配置される。中量エレメントは、一般に、平均で少なくとも64,360km(40,000マイル)、典型的な場合には少なくとも80,450km(50,000マイル)作動するよう構成され配置されるものである。重量エレメントは、少なくとも約144,810km(約90,000マイル)、典型的な場合には160,900km(100,000)マイル以上作動するよう構成され配置されるエレメントである。当然ながら、特徴付けは流動的である。例えば128,720km(80,000マイル)用に設計されたエレメントは、場合によっては重量エレメントとして分類することができる。
【0060】
オフロードエレメントも一般に、軽量、中量、または重量エレメントとして特徴付けられる。しかしオフデューティ仕様の場合、その定義は一般に、フィルタエレメント変更前の、期待使用時間に関する。一般に、オフロードで使用される軽量エレメントは、交換することなく少なくとも約90時間、典型的な場合には少なくとも100時間の期待動作時間に関して構成され配置されるエレメントであり、中量エレメントは一般に、交換することなく少なくとも約225時間、典型的な場合には少なくとも250時間、野外で作動させるために構成され配置され、重量エレメントは一般に、交換することなく少なくとも約450時間、典型的な場合には少なくとも500時間、野外で使用されるよう構成され配置されるエレメントである。この場合も、流動的である。
【0061】
一般に、エアクリーナ・システムの性能に関する仕様は、関係するエンジンの相手先商標による製造会社(OEM)、および/または関係するトラックまたはその他の機器のOEMの好みによって作成される。広く様々な仕様を含むことができるが、その主なものの1つは以下の通りである。
【0062】
1.エンジン吸気要求(定格流量)
2.初期制限
3.初期効率
4.平均または全体の動作制限
5.全体効率
6.フィルタ耐用寿命
エンジン吸気要求は、エンジン・サイズ、すなわち最大、完全、または「レートされた(定格)(rated)」負荷での排気量およびrpmの関数である。一般にこれは、排気量と定格rpmとの積であり、体積効率によって、またターボ効率やダクト効率などを反映するファクタによって修正されたものである。一般にこれは、定格動作中または完全負荷がかけられている間にエンジンまたはその他の関係するシステムによって必要とされる、単位時間当たりの空気の体積の測定値である。吸気要求はrpmに応じて様々に変わるが、吸気要件は、多くの典型的なトラック用エンジンの場合、定格rpm、しばしば1800rpmまたは2100rpmで定義される。本明細書でこのことは、「定格空気流」として、または同様の用語によって特徴付けられる。フィルタは、エンジン出力が約2〜8HPである小型エンジンの吸気適用例からの、0.028〜0.085m3/分(1〜3cfm(HP当たり約0.028m3/分(約1cfm))程度の少ない空気流に曝すことができる。大型エンジンは、1.42〜2.833/分(50〜100cfm)、しばしば2.83〜22.64m3/分(100〜800cfm)という吸入空気流を消費する。一般にフィルタは、故障することなく少なくとも定格量以上の流れが可能になるように、レートされなければならない。その他の適用例では一般に、本明細書で特徴付けられる原理は、例えば約1.42m3/分(約50立方フィート/分(cfm)から283m3/分(10,000cfm)までの範囲内のものも含め、広範囲に及ぶ定格または要求量で動作するよう指定されたシステムと共に使用される、エアクリーナ装置に適用することができる。そのような機器には、例えば、自動車用エンジン、ピックアップ・トラックおよびスポーツ・ユーティリティ・ビークル用エンジン、小型トラックおよび配達車両用エンジン、バス、長距離輸送用トラック、農業用機器(例えばトラクタ)、建設用機器、採掘用機器、船舶用エンジン、様々な発電機用エンジン、また、ある場合には、ガスタービンおよび空気圧縮器が含まれる。
【0063】
エアクリーナの全体効率は、一般に、使用中にエアクリーナに入りかつエアクリーナに保持される、「フィルター可能」な固形分の量を反映する。これは典型的な場合、正常使用中にエアクリーナに入ってエアクリーナにより保持される固形分の、重量パーセンテージで表される。これは、SAE規格を使用することによって多くのシステムに関し評価されかつ報告されているが、その技法は一般に、米国特許第5,423,892号の第25欄、第60行から第26欄、第59行、第27欄第1〜40行に特徴付けられている。使用される典型的な規格はSAE J726であり、参照により本明細書に組み込む。
【0064】
効率に関しては、エンジン製造業者および/または機器製造業者の仕様書は多くの場合様々になり、全体的な動作に関する効率要求(SAE J726または実地試験に基づき)は、しばしば99.5%以上、典型的な場合には99.8%以上に設定される。空気流要求量が14.15m3/分(500cfm)以上の典型的な車両エンジンでは、全体平均が99.8%以上の仕様が珍しくない。
【0065】
初期効率は、フィルタが最初に稼動し始めたときの測定可能な効率である。米国特許第5,423,892号の第27欄、第1〜40行で述べたように、特に従来のひだ付きペーパ(バリア・タイプまたは表面負荷)フィルタの場合、初期効率は、一般に使用中の全体平均効率よりもかなり低い。これは、動作中のそのようなフィルタの表面に「ダスト・ケーキ」または汚染物質が蓄積し、それによってフィルタの効率が高まるからである。初期効率も、エンジン製造業者および/または車両製造業者によってしばしば指定される。空気流需要量が14.15m3/分(500cfm)以上の典型的な車両エンジンでは、98%以上(典型的な場合には98.5%以上)の仕様が一般的である。
【0066】
制約は、動作中のエアクリーナまたはエアクリーナ・システムを横切る圧力差である。この制約の原因として、空気が通り抜けるフィルタ媒体、空気が通り抜けるダクト・サイズ、また、構造上の特徴であって、空気がエアクリーナを通ってエンジンに入るときに空気がそこに向かいまたはその周りを通る、構造上の特徴がある。エアクリーナに関し、初期制約限界は、しばしば仕様の一部であり、エンジン製造業者および/または機器製造業者が要求するものである。この初期制約は、清浄なエア・フィルタを内部に備えるシステムが稼動し始めてかなりの負荷が生じる前に、エアクリーナを横切る測定される圧力差と考えられる。典型的な場合、任意の所与のシステムに関する仕様には、最大初期制約要件がある。
【0067】
一般に、エンジンおよび機器製造業者は、エアクリーナ効率が最大制約までの仕様を備えた機器を設計する。米国特許第5,423,892号第2欄第19〜29行、および第6欄第47行、第7欄第3行に報告されるように、制限制約は、典型的なトラック用エンジンの場合、水中で約50.8〜76.2cm(約20〜30インチ)、しばしば水中で約63.5cm(約25インチ)の圧力低下であり、自動車用内燃機関の場合、水中で約50.8〜63.5cm(約20〜25インチ)であり、ガスタービンの場合、典型的には水中で約約12.7cm(5インチ)であり、工業用換気システムの場合、典型的には水中で約7.62cm(約3インチ)の圧力低下である。
【0068】
一般に、前述のセクションで特徴付けられた仕様のタイプに適合するようシステムを開発するためのエアクリーナの設計に関する主要な変数のいくつかは、以下の通りである。
【0069】
1.フィルタ媒体のタイプ、幾何形状、および効率
2.エアクリーナの形状および構造
3.フィルタエレメントのサイズ
例えば、従来のセルロースフィルタ媒体または同様の媒体は、一般に「バリア」フィルタである。一例はペーパ媒体である。一般に、そのような媒体の動作は表面負荷によるものであり、すなわち空気が媒体を通りぬけるときに媒体の表面がバリアまたは篩として働くことによるものであり、粒子状物質がそこを通過するのを妨げる。そのうち、ダスト・ケーキが媒体の表面に蓄積し、媒体効率が高まる。一般に、ファイバ構造の「耐密性」または「多孔性」がシステムの効率を、特に初期効率を決定する。そのうち、フィルタ・ケーキが効率に影響を与える(効率を高める)。
【0070】
一般にそのような媒体は、しばしばその透過性によって定義されまたは指定される。媒体の透過性試験は、米国特許第5,672,399号の第19欄第27〜39行において一般に特徴付けられている。一般に、記載されている材料、媒体、または複合体の平らなシート全体にわたって1.27cm(0.50インチ)の水の制約を引き起こすような媒体の面速度(空気)が必要とされる。本明細書で使用される透過性は、例えばメリーランド州ゲイダースバーグのFrazier Precision Instrument Co.,Inc.から入手可能なフレージャー透過性テスタを使用して、参照により本明細書に組み込むASTM D737に準拠したフレージャー透過性試験によって、または若干類似の試験によって評価する。
【0071】
Donaldson Company製の、定格空気流ファイバが14.15m3/分(500cfm)以上であるトラック用の多くのタイプのエンジン・フィルタに使用されるセルロース・ファイバの透過性は、透過性が約4.57m/分(約15fpm)未満、典型的な場合には約3.96m/分(約13fpm)の媒体である。一般にエンジンフィルタの市場では、そのような機器の場合、透過性の値が約7.62m/分(約25fpm)未満、典型的な場合には3.05〜7.62m/分(10〜25fpm)の範囲内のどれかである様々なバリア媒体(ひだ付き媒体)が、様々なエレメントの製造業者によって広く利用されている。
【0072】
媒体の幾何形状に関し、一般にバリア・フィルタの場合に好ましい幾何形状は、典型的にはひだ付きの円筒形パターンである。そのような円筒形パターンは、製造が比較的簡単明瞭であり、従来のフィルタ製造技法を使用し、保守が比較的容易であるので、一般に好ましい。表面負荷媒体にひだを付けることによって、所与の体積内に位置決めされた表面積が増大する。一般に、そのような媒体の位置決めに関する主なパラメータは、ひだの深さと、典型的な場合にはひだ付き媒体シリンダの内径に沿った2.54cm(1インチ)当たりのひだの数として測定されるひだの密度と、円筒形の長さまたはひだの長さである。一般に、媒体のひだの深さ、ひだの長さ、およびひだの密度の選択に関する主要なファクタは、特にバリア装置の場合、任意の所与の適用例または状況に必要な全表面積である。
【0073】
効率に関し、その原理は、含まれる媒体のタイプに応じて様々である。例えば、セルロース・ファイバまたは同様のバリア媒体は一般に、総合的な多孔性または透過性を変えることによって、効率に対して変化する。米国特許第5,423,892号および第5,672,399号で述べるように、バリア媒体の効率は、場合によっては媒体に油を塗ることによって、またその他の場合には、媒体の表面に比較的微細なファイバ、すなわち典型的には5ミクロン未満のファイバであって、たいていの場合にはサブミクロン・サイズ(平均)のファイバの成膜を、媒体の表面に付着させることによって変更することができる。繊維状の深さ媒体構成、例えば米国特許第5,423、892号で述べるようなドライ・レイド繊維状媒体に関しては、効率に関する変数として、媒体の中実性パーセント、関係する構成内に媒体がどの程度圧縮されたか、全体の厚さまたは深さ、およびファイバ・サイズが含まれる。
【0074】
現在市場に出ている多くのエンジン・エアクリーナ装置の場合、エレメントとハウジングとをシールする一般的な2種類のシール装置のうち、少なくとも一方が使用されている。これらの1つはラジアル(半径方向:radially)シール装置である。ラジアル・シール(半径方向シール)装置の様々な構成が知られており、(1)ミネソタ州ミネアポリスのDonaldson CompanyからDonaldson商標RadialSeal(登録商標)として入手可能な形のものであって、一般に、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許0329659B1に記載され特徴付けられているもの、(2)MannおよびHummelによるドイツ特許第4,241,586号、および1994年5月8日公開の対応(英語)公開南アフリカ文書第93/09129号であって、参照により本明細書に組み込まれるものに記載されているタイプ、および(3)参照により本明細書に組み込まれるFleetguardによる米国特許第5,556,440号、第10欄第53〜67行および図26に特徴付けられているタイプが含まれる。一般に、ラジアル・シール装置では、シールは、エレメントがシールされるチューブを中心として半径方向に向けられた力により形成される。
【0075】
シール装置の別の一般的なタイプは、一般に「アクシアル(軸方向:axial)」と呼ばれる。アクシアル(軸方向)・システムは、例えば米国特許第3,078,650号、第3,448,928号、第4,20,783号、第4,647,373号、および第5,562,746号に示されており、そのそれぞれを参照により本明細書に組み込む。一般に、そのような装置でのシール力は、円筒形エア・フィルタエレメントの長軸に沿った方向に向けられるが、この力は、エア・フィルタの端面と、エア・フィルタが内部に位置決めされるハウジングの表面との間のガスケットの圧縮によって得られ、このときシールは、空気流アパーチャまたはチューブを中心とした円周方向に向けられた状態(またはそのアパーチャまたはチューブに外接する状態)になる。
【0076】
C.典型的なシステム;エンジン吸気口
図20に、システムの概略を120で一般的に示す。システム20は、システムのタイプの一例であり、本明細書で述べるエアクリーナの装置および構造が使用可能である。図20には、何らかの定格空気流要求量が規定されたエンジン122を有する車両などの機器121が、概略的に示されている。機器121には、バス、長距離輸送用トラック、オフロード車両、トラクタ、またはモータ・ボートなどの船舶の適用例を含めることができる。エンジン122は、空気、燃料の混合物を使用することによって、機器121に動力を供給する。図20は、空気流が吸気領域123からエンジン122内に引き込まれる状態を示す。任意選択のターボ124が想像線で示されており、任意選択でエンジン122への吸気を増大させる。エンジン122およびターボ124の上流には、媒体126を有するエアクリーナ125がある。一般に、動作中、空気は矢印127に沿ってエアクリーナ125に引き込まれ、媒体126に入る。そこでは、空気から粒子および汚染物質が除去される。清浄になった空気は矢印128に沿って下流に流れ、吸気口123に入る。そこから空気はエンジン122に流入し、機器121に動力を供給する。
【0077】
エンジン・システムでは、エンジンの動作中、かつ動力の設定、負荷、外部周囲温度、およびその他の変数の条件に応じて、フード下の温度は一般に少なくとも26.7℃〜48.9℃(80°F〜120°F)であり、しばしば60℃〜104.4℃(140°F〜220°F)の範囲内である。正常動作の場合、フィルタはしばしば周囲温度近くになるが、空気流が少ない期間、またはその他の非標準的な動作期間中は、温度が104.4℃(220°F)以上に達する可能性がある。そのような温度は、フィルタエレメントの動作効率に悪影響を及ぼす可能性がある。排ガス規制によってエンジン排気の制限が強化され、さらに温度を上昇させることになる。以下に述べるように、フィルタ媒体を、バリア媒体と少なくとも単一の「ファインファイバ」層、場合によっては複数の「ファインファイバ」層との複合体の形に構成することによって、フィルタエレメントの性能(特に動作効率)を、そのような媒体複合体で構成されていない従来技術のフィルタエレメントよりも向上させることができる。
【0078】
D.エアクリーナの例
次に図21〜24を参照すると、第1フィルタエレメント132および安全エレメント134を含む、エアクリーナ130の第1の実施形態が示されている。図21〜24に示される特定の実施形態では、エアクリーナ130は、半径方向に向けられたシールを用いてシールするよう構成されたエアクリーナのタイプである。
【0079】
まず第1エレメント132を見ると、図22は、第1エレメント132の側面図を示している。図示される第1エレメント132は、対向する第1および第2のエンド(端部)・キャップ136、138と、外部支持チューブまたはライナ140と、空気を濾過するための媒体142とを含んでいる。媒体142は、対向する第1および第2端部143、144を有する。媒体142の第1端部143では、第1のエンド・キャップ136が媒体142に固定され、同様に、媒体142の第2端部144は第2のエンド・キャップ138に固定されている。典型的な装置の場合、第1および第2のエンド・キャップ136、138は、ポリウレタン・フォームなどの圧縮性材料から成形される。そのような装置では、ポリウレタン・フォーム中に媒体を注封し、その後ポリウレタン材料を硬化することによって、媒体142を第1および第2のエンド・キャップ136、138に結合させる。第1および第2のエンド・キャップ136、138に関するある材料の例について、以下にさらに述べる。
【0080】
好ましい装置では、媒体142はひだ付き構造146を含む。「ひだ付き構造」とは、媒体142が、通常は媒体142に関して均一に分布された一連のまたは複数の折り目またはひだを有することを意味する。
【0081】
次に図21を参照すると、ひだ付き構造146が好ましくはチューブの形をとり、好ましくは円筒形で、開放フィルタ内部148を画定することがわかる。第1フィルタエレメント132は、エアクリーナ出口チューブ152と共にシール150を形成し、それによって、空気が媒体142を迂回して直接出口チューブを通って流出するのを阻止する。
【0082】
ここで、第1フィルタエレメント132の動作の一般的な原理を理解することができる。一般に、濾過される空気は媒体142を通って外部環境から開放内部148へと流れる。媒体142は、空気の流れから粒子状物質を除去するよう動作する。そこから空気は安全エレメント134を通って、安全エレメントの開放内部154へと流れる。次いで清浄な空気は、出口チューブ152により形成されたフロー・コンジット156を通ってエアクリーナ130を出る。第1フィルタエレメント132と出口チューブ152との間のシール150は、濾過されていない空気が媒体142を迂回して直接フロー・コンジット156内を流れるのを防止する。安全エレメント134と出口チューブ152との間のシール158は、空気が安全エレメント134を迂回するのを防止する。これについて以下にさらに述べる。
【0083】
次に図23を参照すると、シール150を得るために、第1のエンド・キャップ136に関して好ましい形状が利用される。特に、エンド・キャップ136は、軸方向部分160と半径方向部分162を含む。半径方向部分162はエンド・キャップ開口164に外接しているが、これは開放フィルタ内部148に対して空気流を介し連通しているものである。半径方向部分162は、シール部分166としても機能する。シール部分166は、これを手の圧力(34.5kg(76ポンド)未満)で締め付けて媒体142のほうに撓めることができるように、圧縮性材料から作製される。シール部分166は、エンド・キャップの軸方向部分160から内部148に向かってその厚さが増大するステップ付き構造168の形をとることが好ましい。特に、ステップ付き構造168は、断面の厚さが増大する3つのステップ169、170、171を含む。このステップ付き構造168により、第1エレメント132を出口チューブ152に取り付けるときに、第1エレメント132がより容易に出口チューブ152に嵌め込まれるようになる。適正に取り付けることにより、シール部分166は、出口チューブ152と共にシール150を、特にラジアル・シール172を形成する。ラジアル・シール172は、出口チューブ152と内部支持チューブまたはライナ174との間にあってそれらに接するシール部分66の圧縮によって形成される。内部支持ライナ174は、第1および第2のエンド・キャップ136、138の間に延在し、通常はそれらの内部に注封されて、そこに結合する。内部支持チューブ174は、通常は、外部ライナ140と同様に構成される。したがって、このチューブは多孔質で通気性があり、エキスパンデッド・メタルから構成することができる。
【0084】
ラジアル・シール162は、米国特許第4,720,292号B2に詳細に記載されており、参照により本明細書に組み込む。
【0085】
第2のエンド・キャップ138は、図22および23に示される実施形態では閉じたエンド・キャップである。「閉じた」という用語は、第2のエンド・キャップ138が全体にわたって中実であり、流体がその内部を流れるアパーチャを画定しないことを意味する。
【0086】
シール部分166、好ましくは第1のエンド・キャップ136全体は、圧縮性材料、好ましくはポリウレタン、より好ましくはポリウレタン・フォーム(発泡ポリウレタン)によって形成される。ある使用可能な実施形態では、その材料は、成形したそのままの状態での密度が16.38cm3(1立方インチ)当たり6.36〜9.99kg(14〜22ポンド)のポリウレタン・フォームを含む。ラジアル・シール172を適正に機能させるには、第1エレメント132を出口チューブ152に取り付けるときに、シール部分166をかなり圧縮させる必要がある。多くの好ましい構造では、シール部分の最も厚い部分171において、その厚さの約15%から40%の間(しばしば約20〜33%)で圧縮され、そのようにすることによって、エレメント132に約36.32kg(約80ポンド)以下、好ましくは34.05kg(75ポンド)以下、一般には22.7〜31.78kg(50〜70ポンド)の力を手で加えて取り付けることにより得られたシールであっても、強力で堅固なシールを得ることができる。シール部分166に使用可能な材料は、米国特許第5,613,992号に記載されており、参照により本明細書に組み込む。
【0087】
次に図22および媒体142を見ると、上述のように、エンジン・システム120に使用する場合のエアクリーナ130は、26.7℃〜104.4℃(80°Fから220°F)程度の温度にかけられる可能性がある。媒体142は、従来技術のエアクリーナに比べて全体効率が高まるように設計することができる。一般に、媒体142は、基体上にファインファイバが成膜した複合体として構成される。図示される特定の実施形態では、基体180は、ひだ付き構造146に構成される。多くのエンジン・システム120で、基体180は、ペーパ媒体またはセルロースを含む。
【0088】
基体180に関して特に好ましい特徴は、透過性であることである。エンジン・システム120と共に利用される実施形態では、そこにいかなる処理もせずまたはそこにファインファイバを成膜させる前のその透過度が、1分当たり少なくとも2.44m(8フィート)、典型的にかつ好ましくは、1分当たり少なくとも約3.66m(約12フィート)、最も好ましくは、1分当たり4.27m(14フィート)から1分当たり91.44m(300フィート)の範囲内であるペーパ媒体が好ましい。セルロール媒体では、その坪量が22.7〜36.32kg(50〜80ポンド)/27.87m2(300フィート2)で厚さが0.025〜0.046cm(0.010〜0.018インチ)のものを使用することが好ましい。
【0089】
媒体複合体は、エンジン・システム120の高温条件下での効率を高めるため、ファインファイバの処理、成膜、またはコーティングを含む。
【0090】
次に図24を見ると、安全エレメント134が示されている。安全エレメント134は、対向する第1および第2のエンド・キャップ190、192と、外部支持チューブまたはライナ194と、第1のエンド・キャップ190と第2のエンド・キャップ192との間に延在してそれらに結合する媒体196とを含む。媒体196は、開放内部154を画定する管状または円筒形状のひだ付き構造198として示されている。
【0091】
第1のエンド・キャップ190は、開放エンド・キャップとして構成され、このキャップは、開放内部154に気体流を介して連通する空気流コンジット102を画定する。第2のエンド・キャップ192は、中実な、または閉じたエンド・キャップとして示されている。安全エレメント134は、任意選択で、第1および第2のエンド・キャップ190、192の間、また媒体196と開放内部154との間に延在する、内部支持チューブまたはライナを含んでよい。
【0092】
第1のエンド・キャップ190はその上部に、軟質の圧縮可能な材料で作製されたリング104であって、出口チューブ152内に嵌め込まれて使用中にチューブ152の内面106に接した状態でシールするよう構成され配置されたリング104を含む。安全エレメント134は、取り付けられたときに第1エレメント132の下に嵌合するよう寸法決めされ構成されることが好ましい(図21参照)。リング104は、シール部分166に関して既に述べたように、それと同じポリウレタン・フォームで構成されることが好ましい。ラジアル・シール108は、媒体196と出口チューブ152の間のリング104の材料の圧縮によって形成される。
【0093】
多くの好ましい装置で、媒体96は、セルロース基体およびファインファイバ層を含んだ複合体を含む。ひだ付き構造98のセルロース基体をファインファイバで処理するによって、動作温度が26.7℃(80°F)から60℃(140°F)よりも高いエンジン・システム120などの環境で利用するときに、制約を過度に増やすことなく動作効率を高めまたは耐用寿命を延ばす助けをする。
【0094】
次に、図25〜28の実施形態に注目されたい。図25〜28には、エンジン・システム120と共に使用可能な別のエアクリーナ115が示されている。セクションHで述べた好ましい媒体装置を除いて、エアクリーナ115の一般的な構造および幾何形状が米国特許第5,613,992号に記載されており、本明細書に参照により組み込む。
【0095】
エアクリーナ115は、一般に「逆フロー」エアクリーナと呼ばれるタイプである。「逆フロー」という用語は、濾過される空気が一般にフィルタエレメントの内部に入り、そのエレメントを通して外側に向かって流れ、エアクリーナのハウジングとエレメントとの間のボリューム内に入り、次いでエンジン吸気口123内に向けられることを意味する。
【0096】
図25では、エアクリーナ115を側面図によって示している。エアクリーナ115は、ハウジング116を含む。ハウジング116は、一般に、吸気フード118とカン120を含む。カン120は、出口チューブ122を含む。出口チューブ122は、アパーチャを画定し、清浄化された空気をハウジング116から吸気領域23に向ける。
【0097】
図26に、エアクリーナ115の分解組立て図を示す。フィルタエレメント124は、ハウジング116から取り外した状態が示されている。フィルタエレメント124は、対向する第1および第2のエンド・キャップ126、128と、第1および第2のエンド・キャップ126、128の間に延在する外部ライナ130と、やはり第1および第2のエンド・キャップ126、128の間に延在する内部ライナ132(図27)と、媒体134(図27)とを含む。一般に、フィルタエレメント124はハウジング116から取外し可能であり交換可能である。図26に、ファスナ136、138を示す。図26を参照すると、吸気フード118は、ファスナ136、138を切り離すことによってカン120から取り外すことができることがわかる。吸気フード118をカン120から取り外すと、フィルタエレメント124に触れることができるようになる。次いでフィルタエレメント124を掴んでカン120から取り外すことが可能である。次いで交換フィルタエレメントを取り付けて、エアクリーナ115を一新することができる。
【0098】
好ましい実施形態において、媒体134は管状の形、通常は円筒形の、ひだ付き構造140の形をとる。ひだ付き構造140は、開放フィルタ内部142を画定する(図27および28)。媒体は、高温(60℃(140°F)よりも高い)条件に合わせて作製することが好ましい。
【0099】
次に図27および28を参照すると、フィルタエレメント124がカン120内にどのようにシールされるかがわかる。図27では、第1のエンド・キャップ126が、圧縮性で可撓性のシール部分144を含む。シール部分144は、エンド・キャップ126の半径方向内側の部分にある。空気入口フード118をエレメント124上に取り付けるとき、フード118の入口チューブ146がシール部分144に押し付けられ、エンド・キャップ126の材料が内部ライナ132に対して圧縮される。このため、入口チューブ146と内部ライナ142の間にラジアル・シール148が形成される。実際に、ラジアル・シール148が形成される構造および手法は、図21〜23の実施形態のシール部分66とラジアル・シール72に類似している。シール部分144は、シール部分66に関して既に述べたものと同じポリウレタン・フォームから構成されることが好ましい。
【0100】
図28には、外部ライナ130とカン120の壁部152との間にかつそれらに接するように別のラジアル・シール150を形成する、底部エンド・キャップ128が示されている。この場合、ラジアル・シール150は外側に向けられ、安全エレメント34がラジアル・シール108を形成する手法に若干類似する。図26では、エンド・キャップ128が、シール部分156に沿ってステップ付き構造154を含むことがわかるが、これはエンド・キャップ128の外部ラジアル部分に対応するものである。シール部分156は、フィルタエレメント124を動作可能にカン120および壁部152内に取り付けるときに、撓んで圧縮される。特に、シール部分156は、外部ライナ130と壁部152の間でかつそれらに接して圧縮し、その結果、ラジアル・シール150が形成される。好ましいエンド・キャップ材料には、シール部分144およびシール部分66に関して既に述べたものと同じポリウレタン・フォームが含まれる。
【0101】
図28では、第2のエンド・キャップ128がアパーチャ158を画定することもわかる。アパーチャ158は、中心に位置付けられることが好ましい。アパーチャ158によって、フィルタ内部142に収集される水分の排水が可能になる。エンド・キャップ128は、内部ライナ132から中心アパーチャ158まで傾斜を付けることによって、漏斗状の面160を形成する。この漏斗状の面160は、収集された水分をアパーチャ158に向けてフィルタエレメント124の外部に出すのに役立つ。定期的に、栓162をカン120から取り外して、皿部164内に収集された水分を排水することができる。
【0102】
次に図29に注意を向けると、エアクリーナ170の別の実施形態が示されている。エアクリーナ170は、エンジン・システム20で使用可能である。構造および幾何形状は、一般に、米国特許第4,020,783号に記載されており、これを参照により本明細書に組み込む。
【0103】
エアクリーナ170は、一般にアクシアル・シール・エアクリーナと呼ばれるタイプのものである。エアクリーナ170は、本体174および取外し可能なカバー176を有するハウジング172を含む。カバー176は、クランプ装置178を緩めることによって、本体174から選択的に取り外すことができる。この結果、取外し可能で交換可能なフィルタエレメント180を露出させ、そのエレメントに触れることができるようになる。本体174は、側面または接線方向の入口チューブ182と、出口チューブ184を含む。エンジン吸気口23に流れる前に清浄化される汚れた空気は、入口チューブ182内を流れ、フィルタエレメント180を通って、出口チューブ184から出る。
【0104】
フィルタエレメント180は、第1および第2のエンド・キャップ186、188と、第1および第2のエンド・キャップ186、188の間に延在する内部および外部ライナ190、192と、第1および第2のエンド・キャップ186、188に結合された媒体194を含む。
【0105】
媒体194は、管状、好ましくは円筒形のひだ付き構造196として示されている。ひだ付き構造196の媒体用の特定の材料は、エンジン・システム20などの高温環境での動作に対応できるよう作製される。
【0106】
この実施形態で、第1および第2のエンド・キャップ186、188は板金で構成される。第1のエンド・キャップ186は、軸方向に向いたシール部材198を支持する。エアクリーナ170は、ボルト204および蝶ナット206を含んだヨーク構造202を含む。蝶ナット206はボルト204を中心として回転することができ、軸方向に向いた力を、本体174の端部壁208とシール部材198との間に引き起こして、第1のエンド・キャップ186と本体174の壁部208との間にかつそれらに接した状態でアクシアル・シール210を形成することができる。
【0107】
エアクリーナ170は、その内部に動作可能に取り付けられた安全エレメント212も含む。ハウジング172のその他の特徴は、入口チューブ182を通して吸入された空気を逸らすために、バッフル部材214を含む。
【0108】
動作中、濾過される空気は入口チューブ182内を流れ、バッフル部材214によって逸らされて、ハウジング172内に渦を巻きながら流入する。渦動作によって、より重い塵粒が重力によって底部カバー176に降下する。次いで清浄化される空気は媒体194内を流れ、開放フィルタ内部216内に入る。次いで空気は安全エレメント212内を流れ、多孔質ヨーク構造202内を流れ、その後、出口チューブ184を通って最終的には外に出て行く。次いで清浄化された空気は、エンジン122の吸気口123などの吸気口に向けられる。
【0109】
図30および31には、エンジン・システム120に使用可能な別のエアクリーナ220が示されている。エアクリーナ220の構造および幾何形状は、米国特許第5,112,372号および米国特許第4,350,509号に記載されており、これらを本明細書に参照により組み込む。
【0110】
エアクリーナ220は、好ましくはフィルタエレメント224に一体化したハウジング222を含む。したがってフィルタエレメント224は、ハウジング222に一体化した第1および第2のエンド・キャップ226、228を含む。フィルタエレメント224は、第1および第2のエンド・キャップ226、228に固定されてそれらの間に延在する媒体230を含む。媒体230は、管状、好ましくは円筒形の、ひだ付き構造232であって、開放フィルタ内部234を画定するものを含む。ひだ付き構造232は、高温適用例に特に適合された、以下に述べるような媒体配合物から作製することが好ましい。
【0111】
エアクリーナ220は、開放内部234内に向いた共鳴器236も含む。
【0112】
図31は、エアクリーナ220の端面図である。エアクリーナ220に吸気供給源を設けるため、少なくとも1つのアパーチャがエンド・キャップ226、228の一方に形成されている。図31に示される特定のものには、複数のアパーチャ238が第1のエンド・キャップ226によって画定され、その結果、空気がエアクリーナ220に入って、ハウジングの壁部242と媒体230との間のボリューム240を占有するようになる。
【0113】
出口チューブ244は第1のエンド・キャップ226から突出し、清浄化された空気はエアクリーナ220から出ることが可能になる。
【0114】
動作中、濾過される空気はアパーチャ238を通ってエアクリーナ220に入り、ボリューム240に流入する。次いで空気はひだ付き構造232内を流れ、開放フィルタ内部234に流入する。音は共鳴器236によって減衰され、清浄化された空気は出口チューブ244を通ってエアクリーナ220から出る。そこから空気は、システム20の吸気領域23などの吸気口に向かう。
【0115】
フィルタエレメントの別の実施形態を、図32および33に示す。この実施形態では、フィルタエレメント250はパネル・フィルタ252の形をとる。パネル・フィルタエレメント252は、ひだ付き構造256の形の媒体254含む。図32および33を見てわかるように、ひだ付き構造256は、一般に、複数のひだ258を備えたフラット・パネルを形成する。
【0116】
パネル・フィルタ構造252は、共同するハウジングと共にシールを形成するために、外周ガスケット部材260を有する。
【0117】
媒体254は、エンジン・システム20など高温条件下での動作用に特に開発された媒体構造を含む。特に開発された媒体254を備えたパネル・フィルタエレメント252も、流体圧縮器などのシステムで使用可能である。
【0118】
E.典型的なシステム;流体圧縮器
図34に、流体圧縮器を265で概略的に示す。流体圧縮器265は、フィルタエレメント270を備えたエアクリーナ268を含む。1つの使用可能なフィルタエレメント270は、パネル・フィルタ構造252である(図32および33)。流体圧縮器265は、シリンダ276を介して従来の手法によりピストン部材を駆動させるための、クランクシャフト274およびピストン連接棒を包封する、フレーム272を含む。シリンダ276の最上部と圧縮器のヘッド280との間には、弁板278が挟まれている。一般に圧縮器265は、当業者に周知の往復ピストン・タイプの圧縮器である。圧縮される空気は、矢印282で示される方向で圧縮器265に入る。空気はエアクリーナ268内を流れ、そこでフィルタエレメント270によって微粒子が除去される。次いで清浄化された空気はヘッド280に流入し、圧縮器265が作動して空気を圧縮する。
【0119】
圧縮器265は、高温環境(60℃(140°F)よりも高い)でときどき使用される。
【0120】
F.典型的な媒体サイズ
本明細書で述べるフィルタエレメントでは、それぞれがひだ付き構造を含むことが好ましい。これらのタイプの適用例では、ひだの長さは少なくとも15.24cm(6インチ)、127cm(50インチ)以下であり、20.3〜101.6cm(8〜40インチ)でよい。ひだの深さは、通常、少なくとも1.27cm(0.5インチ)、30.48cm(12インチ)以下であり、2.54〜15.24cm(1〜6インチ)でよい。
【0121】
管状構造の場合、ひだ付き構造の外径は、通常、少なくとも10.16cm(4インチ)、127cm(50インチ)以下であり、典型的には15.24〜76.2cm(6〜30インチ)でよい。
【0122】
パネル・フィルタ構造の場合、通常は少なくともひだが40個、200個以下のひだであり、典型的には50〜100個のひだである。
【0123】
G.典型的なシステム;ガスタービンを備えたタンク
図35、36、および37に、Mlタンク・フィルタを示す。Mlタンクはガスタービンによって動力が供給される。タービン・エンジンは、一般に、装甲板の下に位置付けられる。ガスタービン・エンジンは、作動させるのに大量の周囲空気を必要とする。周囲空気は、その内部に存在する粒子状物質を除去するために、ガスタービン・エンジンに向けられる前に濾過されるべきである。タンクは、タービン・エンジン用に空気を取り込むための吸気口を含む。タンクは、装甲板の下にエアクリーナを含む。タンクは、エアクリーナから粒子状物質を排気するための掃気用出口も含む。
【0124】
H.タンク用エアクリーナの実施例
図35、36、および37には、タンクで使用可能な一例であるエアクリーナ330が示されている。エアクリーナ330は、フィルタ・ハウジング334内に位置決めされた複数のフィルタエレメント332を含む。図示される特定の装置の場合、各フィルタエレメント332は、V字形媒体336を含む。図示されるものでは、ハウジング334は、使用中および組立て中に、その内部に3つのV字形媒体336が動作可能に受容されるよう寸法決めされるが、これらのパックは並行して、しかし間隔を空けた状態で配置されるものである。
【0125】
セクションHで以下に述べる好ましい媒体の開発品を除き、エアクリーナ330は、タンク用のシステムと共に米国特許第5,575,826号に記載されており、これを本明細書に参照により組み込む。さらに、以下のセクションHで論じる好ましい媒体の開発品以外に、V字形媒体336のそれぞれが米国特許第4,364,751号に記載されており、これを参照により本明細書に組み込む。
【0126】
図35、36、および37を参照すると、各媒体336は、エンド・キャップ340、341を備えたフレーム338を含む。図示される実施形態では、各V字形媒体336が2つのパネル342、343を含み、これらはV字形の形状に配置されて、それらの間に内部チャネルまたはスペース345が位置決めされた状態になっている。利用される装置の場合、各内部スペース345は、内部バッフル346、347によって3つの区画に分割されている。
【0127】
パネル342、343は、それぞれがひだ付きフィルタ媒体348によって塞がれている。ひだ付き媒体348は、ファインファイバで処理されたセルロース媒体を含む。このタイプの媒体は、タンクが曝されるような高温環境でのエアクリーナ330の効率を高める助けをする。
【0128】
図35、36、および37では、フィルタ・ハウジング334が、入口350および出口352を含んでいる。3つの媒体336のそれぞれは、ハウジング334内で、並行に配置されていることがわかる。仕切り354は、汚れた空気側356と清浄な空気側357とを分離するための面であって、そこに媒体336のそれぞれがシールされる面を提供する。特に、媒体336のそれぞれは、仕切り354に対して圧縮されるガスケット358を含み、空気流が、汚れた側356から媒体348を迂回して清浄な側357に直接流入するのを阻止する助けをする。仕切り354は、清浄化した空気がボリュームまたはスペース345から清浄な空気の側357に流れることができるように、空気流アパーチャ360を含む。
【0129】
V字形媒体336の動作は、一般に以下の通りである。空気が、ハウジング334の入口352を通してエアクリーナ330に入る。空気はパネル342、343に入り、内部スペース345に向けられる。粒子状物質はパネル342、343の外面(内部スペース345には接していないパネルの側面または表面)に残り、または蓄積されつつあるフィルタ・ケーキ上に残る。濾過された空気が内部ボリューム345を満たし、この空気がポートまたはアパーチャ360内を流れて、清浄な空気の側357に流入する。そこから、空気は出口352を通って外に流出し、ガスタービンに向けられる。
【0130】
エアクリーナ330は、クリーニング用のパルス・ジェット・システムも含む。一般にそのようなシステムは、フィルタパネル342、343を通して逆方向に向けられた、選択された空気ジェット・パルスを提供する。本明細書で逆方向とは、周囲空気をフィルター中に、パルス・ジェットが正常な空気流(すなわち濾過される空気流)とは反対の方向に向いていることを意味する。図示される装置の場合、この方向は、スペース345内に向けられて、最終的には空気をパネル342、343に通した後にひだ付き媒体348の表面から外側へと向けるパルス・ジェットと同じ方向と考えられる。
【0131】
図35では、パルス・ジェット・クリーニング・システムが、スタンド・パイプ362に接続された3つの弁360を含むが、これらは、圧縮された空気に対して空気流を介して連絡しているものである。弁360のそれぞれはディフューザ・ノズル364に接続するが、これらのノズルは、チャンバまたはスペース345の中心に向けられるように位置決めされている。
【0132】
定期的に、パルス・ジェット弁360の全てまたは選択された1つを開いて、空気パルスまたは空気ジェットを、V字形媒体336の内部スペース345の関連部分に放出することができる。このジェット・パルスによって、埃や塵などがパネル342、343の外に勢い良く流されるようになる。粒子状物質は、そこから勢い良く流されるパネルをじかに取り巻く領域に、分散するようになる。
【0133】
I.好ましい媒体の開発
本明細書で述べるフィルタエレメントのそれぞれに関し、媒体は、少なくとも部分的に不織布ファイバ層で処理され、またはコーティングされ、または覆われた基体を含んだ媒体複合体を含む。
【0134】
本発明の、マイクロファイバまたはナノファイバを含んだ層を構成するファインファイバは、ファイバでよく、またその直径は、約0.001〜10ミクロン、好ましくは0.05〜0.5ミクロンでよい。ある特定の適用例では、ファイバは、0.001〜2ミクロン、0.01〜5ミクロン、さらに0.05〜10ミクロンに寸法決めすることができる。典型的なファインファイバフィルター層の厚さは、坪量が約0.01〜240マイクログラム/cm2のファイバ直径の約1〜100倍の範囲に及ぶ。
【0135】
空気や気体の流れなどの流体の流れは、しばしばその内部に粒子状物質を含む。流体の流れから粒子状物質の一部または全てを除去することが必要である。例えば、モータ作動式車両のキャビンへの吸気流、コンピュータ・ディスク・ドライブ内の空気、HVAC空気、クリーン・ルームの換気、さらに、フィルタ・バッグ、バリア用ファブリック、織布を使用した適用例、モータ作動式車両用エンジンまたは発電機器への空気、ガスタービンに向けられた気体の流れ、様々な燃焼炉への空気の流れは、しばしばその内部に粒子状物質を含む。キャビンのエア・フィルタの場合、乗客が快適であるように、かつ/または美的な観点から、粒子状物質を除去することが望ましい。エンジン、ガスタービン・および燃焼炉への空気および気体を取り込む流れに関しては、微粒子によって相当なダメージが、関係する様々な機構の内部の仕組みに生じる可能性があるので、粒子状物質を除去することが望ましい。その他の場合では、工業プロセスまたはエンジンからの生成気体または排出気体が、その内部に粒子状物質を含有する可能性がある。そのような気体を様々な下流機器を通して大気に放出させることができ、または放出させるべきであるその前に、これらの流れから粒子状物質を実質上除去することが望ましいと考えられる。
【0136】
エア・フィルタ設計の基本的な原理および問題のいくつかの一般的な意味解釈は、以下のタイプのフィルタ媒体を考慮することによって、すなわち表面負荷媒体、および深さ媒体を考慮することによって、理解することができる。これらのタイプの媒体はいずれも十分に研究されており、それぞれ広く利用されている。それらに関するある特定の原理は、例えば米国特許第5,082,476号、第5,238,474号、および第5,364,456号に記載されている。これら3つの特許の完全な開示を参照により本明細書に組み込む。
【0137】
フィルタの「寿命」は、典型的な場合、フィルタを横切る選択された限界圧力低下によって定められる。フィルタを横切る圧力の増大が、その適用例または設計用として定められたレベルでの寿命を定める。この圧力の増大は負荷の結果なので、効率が等しいシステムの場合には、容量が大きくなるほどそれに伴って直接寿命が長くなる。効率は、微粒子を通過させるのではなく微粒子を捕捉する媒体の傾向である。典型的な場合、気体流の流れから微粒子を除去するときにフィルタ媒体が効率的であるほど、一般にフィルタ媒体はより速く「寿命」圧力差に近付くことが明らかである(その他の変数が一定に保たれると仮定する)。
【0138】
ペーパ・フィルタエレメントは、広く使用されている形の表面負荷媒体である。一般にペーパエレメントは、粒子状物質を含んだ気体の流れを横断するように配向させたセルロース、合成、またはその他のファイバの稠密マットを含む。ペーパは一般に、気体流を透過させるように構成され、また、十分微細な細孔径および適切な多孔率を有するようにも構成されて、選択されたサイズよりも大きい粒子がその細孔内を通過することができないように構成されている。気体(流体)がフィルタ・ペーパを通過するとき、フィルタ・ペーパの上流側は、拡散および妨害によって、選択されたサイズの粒子が気体(流体)の流れから捕捉され、保持されるように動作する。粒子は、フィルタ・ペーパの上流側にダスト・ケーキとして収集される。時間と共に、ダスト・ケーキもフィルタとして動作しはじめ、効率が高まる。これは、時として「シーズニング」と呼ばれ、すなわち初期効率よりも効率が高くなることをいう。
【0139】
上述のような単純なフィルタ設計には、少なくとも2つのタイプの問題が生じる。第1に、比較的単純な欠陥、すなわちペーパの破れが生じて、システムの故障に繋がる。第2に、粒子状物質が、薄いダスト・ケーキまたは層としてフィルタの上流側に急速に蓄積され、圧力低下を増大させる。ペーパ・フィルタなど、表面負荷フィルタ・システムの「寿命」を延ばすために、様々な方法が利用されている。1つの方法は、気体流の流れに直面する媒体の表面積が、平らでひだの無い構造に比べて増大するように、媒体をひだ付き構造にすることである。これはフィルタの寿命を延ばすが、それでもかなり限りのあるものである。そのため表面負荷媒体は、主に、フィルタ媒体を通る速度が比較的遅い適用例、一般には1分当たり約6.1〜9.14m(約20〜30フィート)以下であり、典型的には1分当たり約3.05m(約10フィート)程度以下である適用例に、その用途を見出した。本明細書で「速度」という用語は、媒体を通る平均速度である(すなわち媒体面積当たりの流量)。
【0140】
一般に、空気の流速がひだ付きペーパ媒体を通して増大するにつれ、フィルタ寿命は速度の二乗に比例して短くなる。したがって、ひだ付きペーパの表面負荷フィルタ・システムを、相当な空気流を必要とするシステム用の微粒子フィルタとして使用する場合、フィルタ媒体は比較的大きい表面積を持つことが必要である。例えば、長距離輸送用ディーゼル・トラックの典型的な円筒形ひだ付きペーパ・フィルタエレメントは、その直径が約22.86〜38.1cm(約9〜15インチ)、長さが30.48〜60.96cm(12〜24インチ)、ひだの深さが約2.54〜5.08cm(約1〜2インチ)である。したがって媒体のフィルター表面積(片側)は、典型的な場合、約2.78〜27.87m2(30〜300平方フィート)である。
【0141】
特に比較的高い流量を伴う多くの適用例では、時には一般に「深さ」媒体と呼ばれる代替のタイプのフィルタ媒体を使用する。典型的な深さ媒体は、比較的厚く絡まった繊維状材料を含む。深さ媒体は、一般に、その多孔率、密度、または固形分パーセントという用語によって定義される。例えば中実度2〜3%の媒体は、全体積の約2〜3%が繊維状材料(固形分)を含み、残りは空気または気体のスペースとなるように配置されたファイバの、深さ媒体マットと考えられる。
【0142】
深さ媒体を定義するための別の有用なパラメータは、ファイバ直径である。中実度パーセントが一定に保たれるがファイバ直径(サイズ)が小さくなる場合、細孔径またはファイバ間スペースは小さくなり、すなわちフィルタはより効率的になり、より効果的により小さい粒子を捕捉することになる。
【0143】
典型的な従来の深さ媒体フィルタは、深く、比較的一定の(または均一な)密度の媒体であり、すなわち、深さ媒体の中実度がその厚み全体を通して実質上一定に保たれる系である。本明細書で「実質上一定」とは、密度のばらつきが、たとえあるとしても媒体の深さ全体を通して比較的ごくわずかであることが見出されることを意味する。そのようなばらつきは、例えば、内部にフィルタ媒体が位置決めされている容器によって、外部係合面がわずかに圧縮されることにより生じる可能性がある。
【0144】
勾配密度深さ媒体装置が開発されている。そのような装置のいくつかは、例えば米国特許第4,082,476号、第5,238,474号、および第5,364,456号に記載されている。一般に、深さ媒体装置は、実質上その体積または深さ全体にわたって粒子状物質が「詰め込まれる(loading)」ように設計することができる。したがってそのような装置は、フィルタがその寿命に達したときに、表面負荷システムに比べてより大量の粒子状物質が詰め込まれるよう設計することができる。しかし、一般にそのような装置の場合、相当な詰込みが生じるようにするには、中実度が比較的低い媒体が望まれるので、効率が犠牲になっていた。十分な効率およびより長い寿命が得られるように、上述の特許に記載されているような勾配密度システムを設計した。ある場合には、表面負荷媒体を、そのような装置で「研磨」フィルタとして利用する。
【0145】
本発明によるフィルタ媒体構造は、第1の面を有する透過性の粗製繊維媒体または基体の第1の層を含む。ファインファイバ媒体の第1の層は、透過性の粗製繊維媒体の第1の層の、第1の面に固定される。透過性の粗製繊維状材料の第1の層は、平均直径が少なくとも10ミクロン、典型的にかつ好ましくは約12(または14)〜30ミクロンのファイバを含むことが好ましい。また、透過性の粗製繊維状材料の第1の層は、坪量が約200グラム/メートル2、好ましくは約0.50〜150g/m2、最も好ましくは少なくとも8g/m2の媒体を含むことが好ましい。透過性の粗製繊維状媒体の第1の層は、厚さが少なくとも0.00127cm(0.0005インチ)(12ミクロン)、典型的には厚さが0.00152〜0.051cm(0.0006〜0.02インチ)(15〜500ミクロン)、好ましくは厚さが約0.00254〜0.076cm(約0.001〜0.030インチ)(25〜800ミクロン)であることが好ましい。
【0146】
好ましい装置では、透過性の粗製繊維状材料の第1の層は、残りの構造とは別にフレージャー透過性試験によって評価した場合、透過度が少なくとも1メートル/分、典型的にかつ好ましくは約2〜900メートル/分であることを示す材料を含む。本明細書で効率について述べる場合、それは他に特に指定しない限り、本明細書で述べたようにASTM−1215−89に従って、0.78μの単分散ポリスチレン球状粒子を用いて20fpm(6.1メートル/分)で測定した場合の効率を意味するものである。
【0147】
透過性の粗製繊維媒体層の第1の面に固定されたファインファイバ材料層は、ナノファイバおよびマイクロファバ媒体の層であって、ファイバの平均ファイバ直径が約2〜10ミクロン以下、一般にかつ好ましくは約5ミクロン以下、典型的にかつ好ましくは、直径が0.5ミクロンより小さく約0.05〜0.5ミクロンの範囲内の少なくともいくつかのファイバの層であることが好ましい。また、透過性の粗製繊維状材料の第1の層の第1の面に固定されたファインファイバ材料の第1の層は、全体の厚さが約30ミクロン以下であることが好ましく、より好ましくは20ミクロン以下、最も好ましくは約10ミクロン以下であり、典型的にかつ好ましくはその厚さが、層のファインファイバ平均直径の約1〜8倍の範囲(より好ましくは5倍以下)である。
【0148】
本発明によるある特定の好ましい装置は、フィルタ構造全体において一般的に定義されたフィルタ媒体を含む。そのような用途に向けたいくつかの好ましい装置は、円筒形のひだ付きの構成に配置された媒体を含み、そのひだは、ほぼ長手方向に延在し、すなわち円筒形パターンの縦軸と同じ方向に延びている。そのような装置では、従来のフィルタと同様に、媒体をエンド・キャップに埋め込むことができる。そのような装置は、典型的な従来の目的で、望むなら上流ライナおよび下流ライナを含んでよい。
【0149】
いくつかの適用例では、全体的なフィルター性能または寿命を改善するために、本発明による媒体を、その他のタイプの媒体、例えば従来の媒体と併せて使用することができる。例えば、本発明による媒体を従来の媒体に積層することができ、スタック状の装置で利用することができ、あるいは、従来の媒体の1つまたは複数の領域を含んだ媒体構造に組み込むことができる(一体化フィーチャ)。これは、良好な負荷を目的として、そのような媒体の上流で使用することができ、かつ/または高効率研磨フィルタとして、従来の媒体の下流で使用することができる。
【0150】
本発明によるある特定の装置も、液体フィルタ・システム、すなわち濾過される粒子状物質が液体に含まれるフィルタ・システムで利用することができる。また、本発明によるある特定の装置は、ミスト・コレクタ、例えば空気から微細なミストを取り除く(濾過する)ための装置で使用することができる。
【0151】
本発明によれば、濾過をするための方法が提供される。この方法は、一般に、濾過を行うのに有利になるように、既述の媒体を利用することを含む。以下の記述および実施例からわかるように、本発明による媒体は、比較的効率的なシステムで比較的長い寿命が有利に得られるように、特に構成され組み立てられる。
【0152】
様々なフィルタ設計が、フィルタ材料と共に使用されるフィルタ構造の様々な態様を開示し請求する特許に示されている。Engel他の米国特許第4,720,292号は、略円筒形フィルタエレメント設計を有するフィルタ・アセンブリ用のラジアル・シール設計を開示しているが、このフィルタエレメントは、円筒形の半径方向内側に向いた面を有する比較的軟らかいゴム状のエンド・キャップによって、シールされる。Kahlbaugh他の米国特許第5,082,476号は、ひだ付き構成エレメントが本発明のマイクロファイバ材料に結合されたフォーム基体を含む深さ媒体を使用するフィルタ設計を開示する。Stifelman他の米国特許第5,104,537号は、液体媒体を濾過するのに有用なフィルタ構造に関する。液体は、フィルタ・ハウジング内に閉じ込められ、フィルタの外部を通過して内部環状コアに入り、次いで構造内に戻って有効利用される。そのようなフィルタは、作動液を濾過するのに非常に有用である。Engel他の米国特許第5,613,992号は、典型的なディーゼル・エンジン吸気フィルタ構造を示す。この構造は、混入水分を含有しても含有しなくてもよいハウジングの外面から空気を得る。空気はフィルタを通過し、一方、水分はハウジングの底部に移動して、ハウジングから排出することができる。Gillingham他の米国特許第5,820,646号はZフィルタ構造を開示するが、この構造は、適正なフィルター性能を得るために、「Z」形通路のフィルタ媒体の少なくとも1つの層に流体の流れを通す必要がある、プラグされた通路を含んだ特定のひだ付きフィルタ設計を使用するものである。ひだ付きZ形態様に形成されたフィルタ媒体は、本発明のファインファイバ媒体を含むことができる。Glen他の米国特許第5,853,442号は、本発明のファインファイバ構造を含むことができるフィルタエレメントを有するバッグ・ハウス構造を開示する。Berkhoel他の米国特許第5,954,849号は、加工中の製品が環境内の空気に著しいダスト負荷を発生させた後、典型的な場合にはダスト負荷が大きい空気を処理して空気の流れからダストを取り除く(濾過する)のに有用な、集塵器構造を示す。最後に、Gillinghamの米国意匠特許第425,189号は、Zフィルタ設計を使用したパネル・フィルタを開示する。
【0153】
本発明のポリマー材料、マイクロファイバおよびナノファイバの両方を含む本発明のファインファイバ材料、そして本発明のファインファイバ材料で作製された有用なフィルタ構造の構成の様々な態様に関する前述の概略的な説明により、本発明の作用に関する概略的な技術的原理が理解されよう。以下に述べる特定の例示的な材料は、本発明のファインファイバ材料の形成に使用することができる材料の例であり、以下の材料は、最良の形態であることを開示する。これらの例示的な材料を、以下の特徴およびプロセス条件を念頭において製造した。直径が10ミクロン未満という小さいファイバの電界紡糸は、ポリマー・ジェットを非常に微細なフィラメントに延伸するための引張り力として働く強電場からの静電力を使用して行われる。電界紡糸プロセスではポリマー・メルトを使用することができるが、1ミクロンよりも小さいファイバは、ポリマー溶液から最も良く作製される。ポリマー塊が下に引っ張られてより小さい直径になるにつれ、溶媒が蒸発し、それがファイバ・サイズの縮小に寄与する。溶媒の選択は、いくつかの理由で極めて重要である。溶媒の乾燥が速すぎると、ファイバは平らに、かつ直径が大きくなりがちである。溶媒の乾燥が遅すぎると、溶媒は、形成されたファイバを再び溶解することになる。したがって、乾燥速度とファイバ形成とを一致させることが極めて重要である。生成速度が速いと、大量の排気流が可燃性雰囲気を妨げる助けをし、火災の危険性が減少する。可燃性ではない溶媒が有用である。生成環境では、処理用機器を時折クリーニングする必要がある。安全な低毒性溶媒では、作業者が有害な化学物質に曝されるのを最小限に抑えられる。静電紡糸は、エミッタ当たりの流量1.5ml/分、目標距離20.32cm(8インチ)、エミッタ電圧88kV、エミッタrpm200、および相対湿度45%で行うことができる。
【0154】
ポリマー系の選択は、所与の適用例にとって重要である。パルス・クリーニングの適用例の場合、極めて薄いマイクロファイバ層は、圧力損失を最小限に抑えるのを助けることができ、粒子の捕捉および放出のための外面を提供することができる。直径が2ミクロン未満、好ましくは直径が0.3ミクロン未満の薄いファイバ層が好ましい。マイクロファイバまたはナノファイバと、このマイクロファイバまたはナノファイバが成膜している基体とが良好に接着することが重要である。フィルタを、基体と、マイクロファイバおよびナノファイバの薄い層との複合体で作製する場合、そのような複合体は、自己清浄式適用例での優れたフィルタ媒体を作製する。逆パルスにより表面をクリーニングすることによって、フィルタ媒体は繰返し新しい状態に戻る。基体に対する接着力が不十分なファインファイバは、表面に大きい力がかかると、フィルタの内部から基体を通ってマイクロファイバに達する逆パルスによって層剥離する。したがって、マイクロファイバ間の良好な凝集と、基体ファイバと電界紡糸ファイバとの接着は、首尾良く使用するために極めて重要である。
【0155】
上述の要件を満たす製品は、種々のポリマー材料から作製されたファイバを使用することによって得ることができる。接着性が良好な小さいファイバは、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールのようなポリマーと、ナイロン6やナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン6,10などの様々なナイロンを含むポリマーおよびコポリマーと、これらのコポリマーから作製することができる。優れたファイバは、PVDFから作製することができるが、十分に小さいファイバ直径にするには塩素化溶媒が必要である。ナイロン6、ナイロン66、およびナイロン6,10は、電界紡糸することができる。しかし、ギ酸やm−クレゾール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールなどの溶媒は、取扱いが難しく、または非常に高価である。好ましい溶媒には、その毒性が低いことから、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、およびN−メチルピロリドンが含まれる。そのような溶媒系に対して相溶性を有するポリマーについて、広く評価した。本発明者等は、PVC、PVDC、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、PMMA、PVDFから作製されたファイバが、構造上の性質を得るために追加の接着手段を必要とすることを見出した。また本発明者等は、ポリマーが水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メタノール、およびこれらの混合物に溶解して首尾良くファイバに形成される場合、そのファイバは、基体に対して優れた接着性を有し、それによって、自己清浄式適用例での優れたフィルタ媒体が作製されることを見出した。逆エア・パルスまたはツイストを介した自己清浄は、フィルタ媒体を非常に高いダスト濃度で使用する場合に有用である。アルコール可溶性ポリアミドおよびポリ(ビニルアルコール)から得られたファイバは、そのような適用例において首尾良く使用されてきた。アルコール可溶性ポリアミドの例には、HenkelのMacromelt 6238、6239、および6900と、duPontのElvamide 8061および8063と、Shakespeare Monofilament CompanyのSVP 637および651が含まれる。アルコール可溶性ポリアミドの別の群は、タイプ8ナイロン、アルコキシアルキル変性ナイロン66(参照、第447ページ、Nylon Plastics handbook、Melvin Kohan編、Hanser Publisher、New York、1995)である。ポリ(ビニルアルコール)の例には、(株)クラレ(日本)のPVA−217、224と、Air Prodicts and Chemical CompanyのVinol 540が含まれる。
【0156】
(実験)
以下の材料を、以下の電界紡糸プロセス条件を使用して生成した。
【0157】
以下の材料を、回転エミッタ・システムまたはキャピラリ・ニードル・システムを使用して紡糸した。いずれも実質上同じ繊維性材料を生成することがわかった。
【0158】
流量は、エミッタ当たり1.5mil/分、目標距離20.32cm(8インチ)、エミッタ電圧88kV、相対湿度45%、回転エミッタ35rpmであった。
【0159】
実施例1:
ファイバのサイズの効果
ファインファイバ・サンプルをナイロン6、66、610のコポリマーから調製し、ナイロンコポリマー樹脂(SVP−651)の分子量について、末端基滴定により分析をした(J.E.WalzおよびG.B.Taylor、determination of the molecular weight of nylon、Anal.Chem.Vol.19、Number 7、第448〜450ページ(1947))。数平均分子量は、21,500から24,800の間であった。組成物は、3成分ナイロン、すなわちナイロン6 約45%、ナイロン66 約20%、およびナイロン610 約25%の溶融温度の状態図によって推定した(第286ページ、Nylon Plastics Handbook、Melvin Kohan編、Hanser Publisher、New York(1995))。報告されたSVP 651樹脂の物理的性質は、以下の通りであり、
【0160】
【表2】
【0161】
直径0.23ミクロンおよび0.45ミクロンのファイバが生成された。サンプルを室温の水に浸し、空気乾燥し、その効率を測定した。図12のグラフからわかるように、ファイバが大きいほど劣化にかかる時間は長く、劣化のレベルは低かった。ある特定に理論に拘泥するものではないが、表面/体積の比がより大きい、より小さいファイバが、環境の作用に起因して劣化し易くなるようである。しかし、より大きいファイバは効率的なフィルタ媒体を形成しない。
【0162】
実施例2:
ナイロン・ファイバとフェノール樹脂およびエポキシ樹脂との架橋
ファイバの耐薬品性を改善するため、ナイロン・ファイバの化学的架橋を試みた。既述のコポリアミド(ナイロン6、66、610)を、Georgia Pacific 5137であるフェノール樹脂と混合し、紡糸してファイバにした。ナイロン:フェノール樹脂の比、およびそのブレンドの溶融温度を以下に示す。
【0163】
【表3】
【0164】
このブレンドからは、比較可能なファイバを生成することができた。50:50のブレンドは、熱を介して繊維性構造が破壊されたので架橋することができなかった。65:35のブレンドを90℃よりも低い温度で12時間加熱することにより、得られたファイバの耐薬品性が改善され、その結果、アルコールに溶解しにくくなった。ポリアミドとエポキシ樹脂、例えばShellのEpon 828やEpi―Rez510などとのブレンドを使用することができる。
【0165】
実施例3:
フッ素系添加剤(Scotchgard(登録商標))撥水剤による表面改質 3M社のアルコール混和性Scotchgard(登録商標)FC−430および431をポリアミドに添加した後、紡糸した。添加量は固形分10%であった。Scotchgardの添加は、ファイバ形成を妨げなかった。THCベンチでは、Scotchgard状の高分子量撥水剤による仕上げによって、耐水性が改善されなかったことを示す。Scotchgardを添加したサンプルを、製造業者から示されるように、148.9℃(300°F)で10分間加熱した。
【0166】
実施例4:
カップリング剤による改質
ポリマー・フィルムを、Kenrich Petrochemicals,Inc.のチタニウム系カップリング剤と共にポリアミドから成膜した。このカップリング剤には、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(KRTTS)、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ジオクチル)フォスファトチタネート(LICA12)、ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリ(N−エチレンジアミノ)エチルジルコネート(NZ44)が含まれる。成膜フィルムを沸騰水に浸した。カップリング剤を含まない対照サンプルはその強度をすぐに失ったが、カップリング剤を添加したサンプルは、その形を最長10分間維持した。これらのカップリング剤を添加したサンプルを紡糸してファイバにした(0.2ミクロンファイバ)。
【0167】
実施例5:
低分子量p−tert−ブチルフェノールポリマーによる改質
分子量が400〜1100の範囲のp−tert−ブチルフェノールのオリゴマーを、オハイオ州コロンバスのEnzymol Internationalから購入した。これら低分子量ポリマーを、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコールに溶解した。これらのポリマーを既述のコポリアミドに添加し、悪い結果をもたらすことなく0.2ミクロンのファイバに電界紡糸した。一部のポリマーおよび添加剤は電界紡糸プロセスを妨げる。実施例2で述べた従来のフェノール樹脂とは異なり、本発明者等は、この群のポリマーがファイバ形成プロセスを妨害しないことを見出した。
【0168】
本発明者等は、グラフに見られるように、この群の添加剤が、ファインファイバを湿潤環境から守ることを見出した。図13〜16は、オリゴマーが、60℃(140°F)および100%の相対湿度で非常に良好な保護をもたらすことを示し、その性能は、71.1℃(160°F)で非常に良くないことを示している。この添加剤を、使用されるポリマーの5%から15%の量で添加した。本発明者等は、それらの添加剤が、ファイバが60℃(140°F)で高い湿度に曝されるのを等しく効果的に防止することを見出した。また本発明者等は、ファイバを短時間150℃に曝すことによって、性能が高められることを見出した。
【0169】
表1は、添加量10%のポリアミド・ファイバの、温度および時間暴露の影響を示す。
【0170】
【表4】
【0171】
これは驚くべき結果であった。この種類の添加剤に関しては、耐水性の劇的な向上が見られた。この群の添加剤がどのように働くかを理解するため、ファインファイバ・マットをESCAと呼ばれる表面分析技法で分析した。表1に示される添加量10%のサンプルを、ミネソタ大学でESCAを用いて分析したが、その結果を表2に示す。
【0172】
【表5】
【0173】
初めに、添加剤の表面濃度がバルク濃度の2倍よりも高いことを見出したことは理屈に合わないと思われた。しかし本発明者等は、このことを、添加剤の分子量によって説明することができると考える。約600という添加剤の分子量は、主体となるファイバ形成ポリマーの分子量よりも非常に小さい。添加剤はサイズがより小さいので、蒸発する溶媒分子に合わせて移動することができる。したがって、添加剤の表面濃度をより高くすることができる。さらに処理することによって、保護添加剤の表面濃度が増大する。しかし、10分間、150℃に曝すと、濃度は増大しなかった。これは、長鎖ポリマーが動き回るための時間があるので、コポリアミドとオリゴマー分子の2成分混合が生じていることを示すと考えられる。この分析により教示されることは、後処理の時間および温度を適正に選択することによって性能を高めることができるが、暴露が長すぎると悪影響が生じる可能性がある、ということである。
【0174】
さらに、飛行時間SIMSと呼ばれる技法を使用して、このような添加剤を含んだマイクロファイバの表面について試験をした。この技法は、対象物に電子を衝突させることを含み、その表面から何が来るかを観察する。添加剤を含まないサンプルは、電子を衝突させると有機窒素種が取れることを示す。これは、ポリアミド種が取れることを示している。また、ナトリウムやシリコーンなど、少量の不純物が存在することも示している。熱処理をしない、添加剤を含むサンプル(表面の添加剤濃度23%)は、大部分を占める種がt−ブチル断片であることを示し、小さいがはっきりとしたポリアミドのピークが観察される。また、質量差148amuで高い質量ピークも観察され、これはt−ブチルフェノールに相当する。150℃で10分間処理したサンプル(ESCA分析による表面添加剤濃度50%)の場合、検査によって、その大部分をt−ブチル断片が占め、存在するとしても、ポリアミドを示す非常に小さいピークが示されるだけである。これは、t−ブチルフェノールおよびそのポリマー全体に関連するピークを示していない。またこれは、C2H3O断片に関連するピークも示している。
【0175】
飛行時間SIMS分析は、剥き出しのポリアミド・ファイバが、イオン衝撃によって、露出したポリマー鎖から破断した窒素断片を放出し、表面に汚染物質が生じることを示している。熱処理をしない添加剤はコーティングが不完全であることを示すが、これは、添加剤が表面の一部を覆わないことを示している。t−ブチルオリゴマーは、表面上に緩く組織化される。イオン・ビームがその表面にぶつかると、分子全体が不安定なt−ブチル断片と共に取れる可能性がある。熱処理した添加剤は、表面の完全なコーティングを促進させる。さらに分子は、t−ブチルや、あるいはCH=CH−OHなど、不安定な断片のみが外れて、t−ブチルフェノールの分子全体は外れないように、緊密に配置される。ESCAと飛行時間SIMSは、表面の異なる深さを見る。ESCAは、100オングストロームまでのより深い面を見るが、飛行時間SIMSは、10オングストロームの深さだけを見る。これらの分析は一致する。
【0176】
実施例6:
表面コーティングされたインターポリマーの開発
コーティングおよび接着剤の適用例に向けた可溶性および架橋可能な樹脂を調製するために、初めにタイプ8ナイロンを開発した。このタイプのポリマーは、酸の存在下、ポリマー66とホルムアルデヒドおよびアルコールとの反応によって形成する(参考文献 Cairns,T.L.;Foster,H.D.;Larcher,A.W.;Schneider,A.K.;Schereiber,R.S. J.Am.Chem.Soc.1949、71、651)。このタイプのポリマーは、電界紡糸することができ、架橋することができる。しかし、このポリマーからのファイバ形成はコポリアミドよりも劣り、架橋しにくくなる可能性がある。
【0177】
タイプ8ナイロンを調製するため、37.85リットル(10ガロン)の高圧反応器に以下の比で投入した。
【0178】
【表6】
【0179】
次いで反応器に窒素を流し、加圧下で、少なくとも135℃に加熱した。所望の温度に達したら、少量の酸を触媒として添加した。酸性触媒には、トリフルオロ酢酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、リン酸、クエン酸、およびこれらの混合物が含まれる。Nafion(登録商標)ポリマーも触媒として使用することができる。触媒を添加した後、反応を最長30分間進行させる。粘性の均質ポリマー溶液をこの段階で形成する。指定された反応時間が経過した後、高圧容器の内容物を、メタノール、水、水酸化アンモニウムや水酸化ナトリウムなどの塩基が入っている浴に移して、反応を抑止する。溶液を十分に急冷した後、その溶液を脱イオン水中に沈殿させる。綿毛状のポリマー顆粒が形成される。次いでポリマー顆粒を遠心分離し、真空乾燥する。このポリマーは、水が様々な割合で含まれるメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびこれらの混合物に溶解する。これらは異なるアルコールのブレンドにも溶解する。
【0180】
このように形成されたアルコキシアルキル変性タイプ8ポリアミドは、エタノール/水の混合物に溶解する。ポリマー溶液は、Barrisの米国特許第4,650,516号に記載した手法で電界紡糸される。ポリマー溶液の粘度は、時間と共に増大する傾向がある。ポリマーの粘度は、ファイバのサイズを決定する際に大きな影響を与えることが、一般に知られている。そのため、商用規模の連続生産において、そのプロセスを制御することが困難である。さらに、同じ条件下で、タイプ8ポリアミドはコポリアミドほど効率的にマイクロファイバを形成しない。しかし、トルエンスルホン酸や無水マレイン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クエン酸、アスコルビン酸などの酸性触媒を添加して溶液を調製し、ファイバ形成後にファイバ・マットを慎重に熱処理する場合、得られるファイバは非常に良好な耐薬品性を有する(図13)。架橋段階中は、繊維性構造が破壊されないように注意を払わなければならない。
【0181】
本発明者等は、タイプ8ポリアミド(ポリマーB)とアルコール可溶性コポリアミドとをブレンドする場合に驚くべき結果を見出した。アルコキシアルキル変性ポリアミド66 30重量%を、SVP 637または651(ポリマーA)、Elvamide 8061などのアルコール可溶性コポリアミドに代えることによって、相乗効果があることを見出した。ブレンドのファイバ形成は、いずれかの成分単独の場合よりも効率的である。エタノールに浸漬し、フィルター効率を測定することによって、98%よりも良好なフィルター効率が保持されることが示され、THCベンチ試験では、タイプ8ポリアミド単独の場合に匹敵する結果を示す。このタイプのブレンドは、効率的なファイバ形成およびコポリアミドの優れたフィルター特性の利点を、架橋したタイプ8ポリアミドの優れた耐薬品性の利点と共に得ることができることを示す。アルコール浸漬試験は、非架橋性コポリアミドが架橋に寄与してフィルター効率98%が維持されることを、強く示している。
【0182】
ポリマーAおよびBのブレンドのDSC(図17〜19a参照)は、250℃に加熱された後、ポリマーA単独でのDSCと区別できなくなっており、(完全に架橋された状態で)明確な溶融温度を示さない。このことは、ポリマーAおよびBのブレンドが、ポリマーBがポリマーAと架橋したことによって、完全に一体化されたポリマーになっていることを強く示している。これは、完全に新しい種類のポリアミドである。
【0183】
同様に、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(ブチレンテレフタレート)とのメルトブレンドは、同様の性質を持つ。どちらかの成分の溶融温度よりも高い温度で溶融処理を行う間、エステル基の交換が引き起こされ、PETとPBTのインターポリマーが形成される。さらに、本発明者等の架橋温度はいずれかの単一成分よりも低い。そのような基の交換がこの低い温度で生じるとは予想され難い。したがって本発明者等は、タイプAとタイプBのポリアミドの溶液ブレンドと、いずれかの成分の融点よりも低い温度での架橋によって、新しい種類のポリアミドを見出したと考える。
【0184】
本発明者等は、t−ブチルフェノールオリゴマー(添加剤7)10重量%を添加し、架橋温度に必要な温度で熱処理した場合、さらに良好な結果が得られることを見出した。本発明者等は、t−ブチルフェノールオリゴマーのヒドロキシル官能基が、タイプ8ナイロンの官能基との反応に寄与する可能性があると理論付けた。本発明者等が見出したことは、この成分系では、ファイバ形成が良好であり、高温高湿に対する耐性が改善され、ファインファイバ層の表面に疎水性がもたらされるということである。
【0185】
ポリマーAとポリマーBの混合物サンプル(サンプル6A)、ポリマーA、ポリマーB、および添加剤の混合物サンプル(サンプル6B)を調製した。次いで電界紡糸プロセスによってファイバを形成し、ファイバ・マットを148.9℃(300°F)に10分間暴露し、ESCA表面分析によって表面組成を評価した。
【0186】
表はサンプル6Aおよび6BのESCA分析を示す。
【0187】
【表7】
【0188】
ESCAは、水素濃度以外の表面組成に関する情報を提供する。ESCAは、炭素、窒素、および酸素に関する情報を提供する。添加剤7は窒素を含有しないので、窒素濃度を比較することによって、窒素含有ポリアミドと窒素を含有しない添加剤との比を推定することができる。追加の定量的情報は、535eVから527eVの間の結合エネルギーのO 1s スペクトルを試験することによって、入手可能である。C=O結合は、531eV付近の結合エネルギーを有し、C−O結合は、533eV付近の結合エネルギーを有する。これら2つのピークのピーク高さを比較することによって、ポリアミドの相対的な濃度を推定することができ、大部分を占めるのがC=O基であり、追加としてC−O基だけ存在する。ポリマーBは変性によりC−O結合を有し、架橋すると、C−O濃度は低下することになる。ESCAはそのような反応が実際に生じたことを確認し、C−O結合が相対的に減少したこを示している(図4は、熱処理していないポリマーAとポリマーBの混合ファイバに関し、図5は、ポリマーAとポリマーBの熱処理済み混合ファイバに関する)。添加剤7の分子が表面に存在する場合、C−O結合がより多いと予想することができる。これは実際に、図6および7に見られるようなケースである(図6は、ポリマーA、ポリマーB、および添加剤7の紡糸状態の混合ファイバに関する。図7は、ポリマーA、ポリマーB、および添加剤7の熱処理済み混合ファイバに関する)。図6は、実施例7に関してC−O結合の濃度が増大することを示す。これらの調査結果は、図8から図11までのXPS多重スペクトルに基づく表面濃度に一致している。
【0189】
t−ブチルオリゴマー分子はファインファイバの表面に向かって移行し、約50Åの疎水性コーティングを形成することが明らかである。タイプ8ナイロンは−CH2OHや−CH2OCH3などの官能基を有し、これらは本発明者等が、t−ブチルフェノールの−OH基と反応すると予想したものである。このため本発明者等は、より少ないオリゴマー分子がファイバ表面に見られると予想した。本発明者等は、自らの仮説が正しくなく、インターポリマーの表面に薄いコーティングがあることを見出した。
【0190】
サンプル6A、6Bおよびセクション5で述べたサンプルの繰返しを、71.1℃(160°F)、100%RHのTHCベンチにかけた。前述のセクションでは、サンプルを60℃(140°F)および100%RHに暴露した。このような条件下、t−ブチルフェノールは、ターポリマーコポリアミドが劣化するのを防止した。しかし、100%RFで温度が71.1℃(160°F)まで上昇すると、t−ブチルフェノールオリゴマーは、下に在るターポリマーコポリアミドファイバを十分に保護することができない。これらのサンプルについて、71.1℃(160°F)、100%RHで比較した。
【0191】
【表8】
【0192】
表は、サンプル6Bが、高温高湿への暴露を防止するのに役立つことを示している。
【0193】
より著しい相違は、ファイバ・マット上の水滴に曝したときに見られる。DI水の小滴をサンプル6Aの表面に置くと、その水滴はすぐファイバ・マット全体に広がり、基体ペーパまで濡らす。一方サンプル6Bの表面に水滴を置くと、水滴はビーズを形成し、マット表面上に広がらない。p−t−ブチルフェノールのオリゴマーを添加することによって、サンプル16の表面が疎水性になるよう改質した。このタイプの製品は、水滴がサンプル6Bのファインファイバの表層を通り抜けないので、ウォータ・ミスト・エリミネータとして使用することができる。
【0194】
サンプル6A、6Bおよびセクション5の繰返しサンプルを、温度を154.4℃(310°F)に設定した炉内に置いた。表は、サンプル6Aおよび6Bの両方が無傷のままであり、セクション5のサンプルはひどい損傷を受けたことを示している。
【0195】
【表9】
【0196】
ポリマーAのみにオリゴマーを添加すると、ファインファイバ層の耐熱性が向上するが、添加剤7を添加した場合には、高温暴露に対してはっきりした効果がない。
【0197】
ターポリマーコポリアミド、アルコキシアルキル変性ナイロン66、およびt−ブチルフェノールのオリゴマーの混合物は、ターポリマーコポリアミドとt−ブチルフェノールオリゴマーの混合物、またはターポリマーコポリアミドとアルコキシアルキル変性ナイロン66の混合物よりも、製造の際の生産性を改善した状態で過酷な環境下のファインファイバを助けるのにより優れた製品を提供することが、明らかに示された。これら2成分の混合物も、単一成分系より改善されている。
【0198】
実施例7:
ポリアミドとビスフェノールAポリマーの相溶性ブレンド
新しい種類のポリマーは、フェノール環の酸化カップリングによって調製することができる(Pecora,A;Cyrus,W. 米国特許第4,900,671号(1990)およびPecora,A;Cyrus,W.;Johnson,M. 米国特許第5,153,298号(1992))。特に興味深いのは、Enzymol Corp.から販売されているBisphenol A(ビスフェノールA)で作製したポリマーである。大豆ペルオキシダーゼの触媒作用によるビスフェノールAの酸化は、ビスフェノールAの2つの−OH基のどちらの側からも開始することができる。直線状の、ビスフェノールAをベースとしたポリカーボネートとは異なり、このタイプのビスフェノールAポリマーは、高度に枝分かれしたポリマーを形成する。このポリマーは高度に枝分かれする性質を持つので、ポリマー・ブレンドの粘度を低くすることができる。
【0199】
本発明者等は、このタイプのビスフェノールAポリマーとポリアミドを溶液ブレンドできることを見出した。ナイロンに関して報告されたハンセンの溶解度パラメータは、18.6である(第317ページ、Handbook of Solubility Parameters and other cohesion parameters、A.Barton編、CRC Press、Boca Raton Florida、1985)。溶解度パラメータを計算する場合(第61ページ、Handbook of Solubility Parameters)、計算された溶解度パラメータは28.0である。溶解パラメータに差があるので、双方が互いに対して混和性であると予想することができない。しかし本発明者等は、双方が完全に混和性を有し、予期しない性質をもたらすことを見出した。
【0200】
エタノール溶液中に、分子量3,000のビスフェノールAとコポリアミドが50:50のブレンドを形成した。溶液中の全濃度は10%であった。コポリアミド単独では、ファイバ直径が0.2ミクロンになった。ブレンドの場合、約1ミクロンのファイバの厚い層になった。分子量7,000のビスフェノールAは、コポリアミドと共にあるときには安定でなく、沈殿する傾向がある。
【0201】
50:50のブレンドのDSCは、溶融温度が不十分であることを示す。コポリアミドの溶融温度は約150℃であり、ビスフェノールA樹脂はTgが約100のガラス状ポリマーである。このブレンドは、明確な溶融が不十分であることを示す。ファイバ・マットを100℃に暴露すると、ファイバ・マットは消失する。このブレンドは、上限使用温度があまり高くなく、圧力低下が低い必要がある場合に、優れたフィルタ媒体を作製すると考えられる。このポリマー系は、妥当な手法で架橋することができなかった。
【0202】
実施例8:
ビスフェノールAの、ブレンドにおける溶媒および固体としての2重の役割
ビスフェノールAポリマー・ブレンドの驚くべき特徴とは、溶液の形態の場合にはビスフェノールAポリマーが溶媒のように振る舞い、固体の形態ではそのポリマーが固体として機能することである。本発明者等は、ビスフェノールAポリマーの2重の役割が、全く固有のものであることを見出した。
【0203】
下記の配合を行った。
【0204】
【表10】
【0205】
このブレンドの粘度は、ブルックフィールド粘度計によれば0.326mPa・s(32.6センチポアズ)であった。全ポリマー濃度は19.2%であった。19.2%でのポリマーBの粘度は2mPa・s(200センチポアズ)を超える。同様の溶媒中、12%ポリマーB単独での粘度は、約0.6mPa・s(約60センチポアズ)である。これは、溶液全体の粘度が予想よりも低いので、ビスフェノールA樹脂が溶媒のように振る舞う明らかな例である。得られるファイバの直径は0.157ミクロンであった。ポリマーBのみがファイバの配合に寄与したなら、予想されるファイバのサイズは0.1ミクロン未満になる。言い換えれば、ポリマーCがファイバの配合に寄与したのである。このように、成分が劇的な2重の役割をする、他のどのようなケースも知られていない。サンプルをエタノールに浸漬した後、フィルター効率およびファイバ・サイズを測定した。アルコール浸漬後、85.6%というフィルター効率が保持され、ファイバ・サイズに変化はなかった。これは、ポリマーCが、ポリマー固体のように架橋動作に寄与したことを示している。
【0206】
別のポリマー溶液を以下の手法で調製した。
【0207】
【表11】
【0208】
このブレンドの粘度は0.902mPa・s(90.2センチポアズ)であった。これは、固体24%の場合、非常に低い粘度である。これは、ポリマーCが、溶液中では溶媒のように振る舞うことも示している。しかし、電界紡糸を行ってファイバにする場合、ファイバ直径は0.438ミクロンになる。ポリマーB単独の15%溶液は、約0.2ミクロンのファイバを生成すると考えられる。最終の状態では、ポリマーCが寄与することによってファイバ・サイズが大きくなる。やはりこの例でも、このタイプの枝分かれポリマーが溶液中では溶媒として働き、最終の状態では固体として働くことを示している。エタノール溶液に浸漬した後、77.9%というフィルター効率が保持され、ファイバ・サイズに変化はなかった。
【0209】
実施例9:
架橋されたポリアミド/ビスフェノールAポリマー・ブレンドの開発
樹脂、アルコール、および水を合わせ、60℃で2時間撹拌することによって、3つの異なるサンプルを調製した。溶液を室温に冷却し、触媒を溶液に添加して、その混合物をさらに15分間撹拌した。その後、溶液の粘度を測定し、紡糸してファイバにした。
【0210】
下記の表はこれらの例を示す。
【0211】
【表12】
【0212】
本発明者等は、このブレンドがファイバを効率的に生成し、ポリマーA配合に比べてファイバの質量が約50%多くなることを見出した。さらに、得られるポリマー・マイクロファイバは、耐薬品性がより高いファイバを生成する。アルコール浸漬後、本質的に架橋可能なポリマーが固体組成物のわずか44%であっても、これらのファイバから作製されたフィルタは90%よりも高いフィルター効率を維持し、ファイバ直径に変化はなかった。このコポリアミド、アルコキシアルキル変性ナイロン66、およびビスフェノールAの3成分ポリマー組成物は、優れたファイバを形成する、化学的に耐久力のある材料を生成する。
【0213】
実施例10:
ナイロン66とナイロン46の、アルコキシアルキル変性コポリマー
10ガロン高圧反応器で以下の反応を行い、得られたポリマーについて分析した。反応温度に達した後、触媒を添加して15分間反応させた。その後、ポリマー溶液を急冷し、沈殿させ、洗浄して乾燥させた。
【0214】
【表13】
【0215】
ナイロン46およびナイロン66で形成したポリマーのDSCは、変性ナイロン46の溶融温度(241℃)または変性ナイロン66の溶融温度(210℃)よりも低い、ブロードな単一の溶融温度を示す。これは、反応中に、両方の成分がポリマー鎖に沿ってランダムに分布することを示す。したがって、アルコキシアルキル変性により、ナイロン46とナイロン66のランダムコポリマーが得られたと考えられる。これらのポリマーはアルコールに溶解し、また、アルコールと水の混合物に溶解する。
【0216】
【表14】
【0217】
両方とも結晶化度が高く、共通のアルコールに溶解しない。出所:Modern Plastics Encyclopedia 1998。
【0218】
実施例11:
コポリアミドとアルコキシ変性ナイロン46/66コポリマーのインターポリマーの開発、および電界紡糸ファイバの形成
実験10Bおよび10Dのサンプルを、上述の方法によってファイバに作製した。アルコキシアルキル変性ナイロン46/66(ポリマーD)のみを首尾良く電界紡糸した。ポリマーDとポリマーAをブレンドすることによって、下記の表に見られるようにポリマーDの架橋性を犠牲にすることなく、より効率的にファイバを形成することができ、より大きいファイバを作製することができるという追加の利益を得ることができる。
【0219】
【表15】
【0220】
ファイバ質量比を、(ファイバの全長×断面積)によって計算した。保持効率保持は、フィルタ・サンプルをエタノールに浸漬して測定した。ファイバ・サイズは、アルコール浸漬によって変化しなかった。
【0221】
実施例12:
架橋電界紡糸PVA
PVA粉末を、Aldrich Chemicalsから購入した。この粉末を、水、またはエタノールと水が50/50の混合物に溶解した。これらを架橋剤およびトルエンスルホン酸触媒と混合して、電界紡糸した。得られたファイバ・マットを150℃の炉内で10分間架橋し、その後、THCベンチにかけた。
【0222】
【表16】
【0223】
実施例13
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(0.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例1のファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は63.7%であった。100%相対湿度で60℃(140°F)の空気に1時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は36.5%であった。100%相対湿度で60℃(140°F)の空気に1時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は39.7%であった。記述した数式を使用すると、1時間暴露した後に保持されるファインファイバ層の効率は13%であり、保持される有効なファインファイバの数は11%であった。
【0224】
実施例14
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(0.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例5のファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は96.0%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は35.3%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は68.0%であった。記述した数式を使用すると、3時間暴露した後に保持されるのファインファイバ層の効率は58%であり、保持される有効なファインファイバの数は29%であった。
【0225】
実施例15
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(0.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例6で述べたポリマーAとポリマーBのブレンドのファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は92.9%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は35.3%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は86.0%であった。記述した数式を使用すると、3時間暴露した後に保持されるのファインファイバ層の効率は96%であり、保持される有効なファインファイバの数は89%であった。
【0226】
実施例16
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(00.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例6で述べたポリマーA、ポリマーB、t−ブチルフェノールオリゴマーのファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は90.4%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は35.3%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に3時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は87.3%であった。記述した数式を使用すると、3時間暴露した後に保持されるファインファイバ層の効率は97%であり、保持される有効なファインファイバの数は92%であった。
【0227】
実施例17
従来のセルロース・エア・フィルタ媒体を基体として使用した。この基体の坪量は、278.7m2(3000平方フィート)当たり30.4kg(67ポンド)であり、フレージャー透過率は、水の圧力低下が1.27cm(0.5インチ)で1分当たり4.88m(16フィート)であり、厚さが0.0254cm(0.012インチ)であり、LEFS効率が41.6%であった。実施例12で架橋したPVAとポリアクリル酸のファインファイバ層を、0.2ミクロンの公称ファイバ直径について述べたプロセスを使用して、表面に付加した。得られた複合体のLEFS効率は92.9%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に2時間暴露した後、基体のみのサンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は35.3%であった。100%相対湿度で71.1℃(160°F)の空気に2時間暴露した後、複合体サンプルを冷却して乾燥した結果、そのLEFS効率は83.1%であった。記述した数式を使用すると、2時間暴露した後に保持されるファインファイバ層の効率は89%であり、保持される有効なファインファイバの数は76%であった。
【0228】
実施例18
以下のフィルタ媒体を、実施例1〜17で述べた方法により作製した。
【0229】
【表17】
【0230】
【表18】
【0231】
【表19】
【0232】
媒体は、平らな、波形の、ひだ付きの、波形かつひだ付きの状態で、フラットシート、ひだ付きフラット・パネル、ひだ付きラウンド・フィルタ、およびZeeフィルタに使用した。
【0233】
試験方法
温水浸漬試験
構造内に有効かつ機能的に保持されるファインファイバの数を測定する際の、フィルター効率の使用には、SEM評価などその他の可能な方法に勝るいくつかの利点がある。
【0234】
フィルター測定では、SEM顕微鏡写真に見られるわずかな面積(通常、0.0064cm2(0.0001平方インチ)未満)よりも良好な平均を得る、数平方インチの媒体を評価する。
【0235】
フィルター測定では、構造内で機能的であり続けるファイバの数を定量する。変化した構造内にそのまま残されるが凝集しまたは別の態様で存在するこれらのファイバは、その測定された有効性および機能性に関してのみ含まれる。
【0236】
それにもかかわらず、フィルター効率が容易に測定されない繊維性構造では、残されたファイバのパーセントを測定するためにその他の方法を使用することができ、50%保持基準に照らして評価することができる。
【0237】
説明:この試験は、フィルタ媒体の防湿性を加速的に示すものである。この試験は、LEFS試験ベンチを使用して、水中に浸漬したときのフィルタ媒体性能の変化を測定する。水温は、極めて重要なパラメータであり、検査中の媒体の残存性履歴、試験時間を最小限に抑えたいという要望、媒体のタイプを識別する試験能力に基づいて選択される。典型的な水温は、21.1℃(70°F)、60℃(140°F)、または71.1℃(160°F)である。
【0238】
手順:
直径10.16cm(4インチ)のサンプルを媒体から切り取る。6.1m/分(20FPM)で動作するLEFS(LEFS試験の説明に関しては、ASTM規格F1215−89参照)ベンチで、0.8μmラテックス球を試験用汚染物質として使用して、試験片の粒子捕捉効率を計算する。次いでサンプルを、蒸留水中に5分間沈める(典型的な場合、60℃(140°F))。次いでサンプルを乾燥ラック上に置き、室温で乾燥させる(典型的な場合、一晩)。サンプルが乾燥したら、初期計算を行った場合と同じ条件を使用して、LEFSベンチ上で効率を再試験する。
【0239】
ファインファイバを含まないファインファイバ基体に関し、前のステップを繰り返す。
【0240】
上述の情報から、ファインファイバのみに起因する効率成分と、水による損傷に起因する効率損失を、計算することができる。ファインファイバによる損失効率が決定されると、保持される効率の量を計算することができる。
【0241】
計算:
ファインファイバ層の効率:
Ei=初期複合体効率;
Es=初期基体効率;
Fe=ファインファイバ層
Fe=1−EXP(Ln(1−Ei)−Ln(1−Ex))
保持されるファインファイバ層効率:
Fi=初期ファインファイバ層効率;
Fx=浸漬後のファインファイバ層効率;
Fr=保持されるファインファイバ
Fr=Fx/Fi
有効な機能性を備えた状態で保持されるファインファイバのパーセンテージも、
%=log(1−Fx)/log(1−Fi)
によって計算することができる。
【0242】
合格/不合格基準:>50%効率保持
ほとんどの工業用パルス・クリーニング・フィルタへの適用例において、フィルタは、少なくとも50%のファインファイバ効率が保持される場合、十分に機能すると考えられる。
【0243】
THCベンチ(温度、湿度)
説明:このベンチの目的は、動的流動条件下での高温高湿の影響に対するファインファイバ媒体の抵抗力を評価することである。試験は、工業用フィルターの適用例、ガスタービン吸気口の適用例、または高荷重エンジンの空気取入れ環境の極端な作動条件をシミュレートすることを目的とする。間隔をおいて、サンプルを取り出し、乾燥させ、LEFS試験を行う。このシステムはたいていの場合、高温高湿条件を刺激するために使用されるが、温/冷乾燥状態を刺激するためにも使用することができる。
【0244】
温度 −35〜198.8℃(−31〜390°F)
湿度 0〜100%RH(100%RHの場合に最高温度は71.1℃(160°F)であり、この条件での最長連続所要時間は16時間である)
流量 0.3048〜10.67m/分(1〜35FPM)
手順:
直径10.16cm(4インチ)のサンプルを媒体から切り取る。
【0245】
6.1m/分(20FPM)で動作するLEFSベンチで、0.8μmラテックス球を試験用汚染物質として使用して、試験片の粒子捕捉効率を計算する。次いでサンプルを、THC媒体チャックに挿入する。試験時間は、試験条件に応じて数分から数日にすることができる。次いでサンプルを乾燥ラック上に置き、室温で乾燥させる(典型的な場合、一晩)。サンプルが乾燥したら、初期計算を行った場合と同じ条件を使用して、LEFSベンチ上で効率を再試験する。ファインファイバを含まないファインファイバ基体に関し、前のステップを繰り返す。上述の情報から、ファインファイバのみに起因する効率成分と、アルコールによる損傷に起因する効率損失を、計算することができる。ファインファイバによる損失効率が決定されると、保持される効率の量を計算することができる。
【0246】
合格/不合格基準:>50%効率保持
ほとんどの工業用パルス・クリーニング・フィルタへの適用例において、フィルタは、少なくとも50%のファインファイバ効率が保持される場合、十分に機能すると考えられる。
【0247】
アルコール(エタノール)浸漬試験
説明:この試験は、室温のエタノールに浸漬したときのフィルタ媒体性能の変化を測定するために、LEFS試験ベンチを使用する。
【0248】
手順:
直径10.16cm(4インチ)のサンプルを媒体から切り取る。6.1m/分(20FPM)で動作するLEFSベンチで、0.8μmラテックス球を試験用汚染物質として使用して、試験片の粒子捕捉効率を計算する。次いでサンプルを、アルコール中に1分間沈める。
【0249】
次いでサンプルを乾燥ラック上に置き、室温で乾燥させる(典型的な場合、一晩)。サンプルが乾燥したら、初期計算を行った場合と同じ条件を使用して、LEFSベンチ上で効率を再試験する。ファインファイバを含まないファインファイバ基体に関し、前のステップを繰り返す。上述の情報から、ファインファイバのみに起因する効率成分と、アルコールによる損傷に起因する効率損失を、計算することができる。ファインファイバによる損失効率が決定されると、保持される効率の量を計算することができる。
【0250】
合格/不合格基準:>50%効率保持
上述の仕様、実施例、およびデータは、本発明を説明するものである。しかし、開示された本発明に関し、多くの変形例および実施形態を提示することができる。本発明は、上述の特許請求の範囲において具体化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタエレメントであって、
(a)前記フィルタエレメントは、媒体を有し、
(i)前記媒体は、媒体複合体の構造体を有し、前記構造体は、第1端部から第2端部まで延びている長さを有する複数のひだを有するシート状基体を含み、
(ii)前記構造体は、管状の形状を有し、かつ対向する第1端部と第2端部とを有する開放内部を画定し、
(iii)前記シート状基体は、少なくとも部分的に層で覆われ、前記層が、60℃(140°F)の空気および相対湿度100%の試験条件に16時間の試験時間だけ試験暴露された後に、ファイバの30%以上がろ過目的のために変化しないで保持されるような約0.01〜0.5ミクロン直径の前記ファイバを含む、ポリマーから形成されるファインファイバを含み、
(b)前記フィルタエレメントは、第1エンド・キャップおよび第2エンド・キャップを有し、
(i)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに固定され、
(ii)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに固定され、
(iii)前記第1エンド・キャプおよび第2のエンド・キャプの少なくとも一方が、半径方向に向いたシール部分を含み、前記半径方向に向いたシール部分が、前記媒体に向かう方向に圧縮可能なポリウレタン材料を含むことを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項2】
前記ポリマーが縮合ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項3】
前記ポリマーが付加ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが、ポリハロゲン化ビニルポリマーを含んだ付加ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項5】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが、ポリハロゲン化ビニリデンポリマーを含む付加ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項6】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリ塩化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項4に記載のフィルタエレメント。
【請求項7】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項5に記載のフィルタエレメント。
【請求項8】
前記ポリマーから形成されるファインファイバがポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項9】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルタエレメント。
【請求項10】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが架橋ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項11】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項10に記載のフィルタエレメント。
【請求項12】
前記架橋されたポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のポリアクリル酸を使用して架橋されていることを特徴とする請求項10に記載のフィルタエレメント。
【請求項13】
前記架橋されたポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して架橋されていることを特徴とする請求項10に記載のフィルタエレメント。
【請求項14】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが、環状ラクタムと、C6〜10ジアミンモノマーまたはC6〜10二酸モノマーとから形成されたコポリマー以外の縮合ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族の特性を有するオリゴマーを含み、前記縮合ポリマーに対して混和性である樹脂系添加剤と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項15】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが、環状ラクタムと、C6〜10ジアミンモノマーまたはC6〜10二酸モノマーとから形成されたコポリマー以外の縮合ポリマーと、分子量が約500〜3000でアルキルフェノール芳香族の特性を有するオリゴマーを含み、前記縮合ポリマーに対して混和性である樹脂系添加剤と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項16】
前記縮合ポリマーが、ナイロン・ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族の特性を有するオリゴマーを含み、前記縮合ポリマーに対して混和性である樹脂系添加剤と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項17】
前記縮合ポリマーがポリアルキレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項18】
前記縮合ポリマーがポリアルキレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項17に記載のフィルタエレメント。
【請求項19】
前記縮合ポリマーがポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項17に記載のフィルタエレメント。
【請求項20】
前記縮合ポリマーが、環状ラクタムか得られた反復単位を有するホモポリマーを含んだナイロン・ポリマーを含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項21】
前記ナイロンコポリマーが第2のナイロン・ポリマーに結合し、前記第2のナイロン・ポリマーの分子量またはモノマー組成が異なっていることを特徴とする請求項16に記載のフィルタエレメント。
【請求項22】
前記ナイロンコポリマーが第2のナイロン・ポリマーに結合し、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項21に記載のフィルタエレメント。
【請求項23】
前記第2のナイロン・ポリマーがナイロンコポリマーを含むことを特徴とする請求項16に記載のフィルタエレメント。
【請求項24】
前記ポリマーを、示差走査熱量計で測定したときに単一相材料であることを示す単一ポリマー組成物が形成されるように処理することを特徴とする請求項21に記載のフィルタエレメント。
【請求項25】
前記コポリマーおよび前記第2のポリマーを熱処理することを特徴とする請求項24に記載のフィルタエレメント。
【請求項26】
前記コポリマーおよび前記第2のポリマーを、前記第1または第2のポリマーの、より低い融点未満の温度まで熱処理することを特徴とする請求項25に記載のフィルタエレメント。
【請求項27】
前記添加剤が、第3級ブチルフェノールを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項28】
前記添加剤が、
【化2】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項27に記載のフィルタエレメント。
【請求項29】
前記樹脂が、ビスフェノールAを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項30】
前記添加剤が、
【化3】
を含むオリゴマーを含むことを特徴とする請求項29に記載のフィルタエレメント。
【請求項31】
前記樹脂が、ジヒドロキシビフェニルを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項32】
前記添加剤が、
【化4】
を含むオリゴマーを含むことを特徴とする請求項31に記載のフィルタエレメント。
【請求項33】
前記添加剤が、樹脂系添加剤とフルオロポリマーのブレンドを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項34】
前記添加剤がフルオロカーボン界面活性剤を含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項35】
前記添加剤が非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項36】
前記縮合ポリマーがポリウレタンポリマーを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項37】
前記縮合ポリマーが、ポリウレタンポリマーとポリアミドポリマーのブレンドを含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項38】
前記縮合ポリマーが、ポリウレタンポリマーとポリアミドポリマーのブレンドを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項39】
前記ポリアミドポリマーがナイロンを含むことを特徴とする請求項38に記載のフィルタエレメント。
【請求項40】
前記ナイロンが、ナイロンホモポリマー、ナイロンコポリマー、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項39に記載のフィルタエレメント。
【請求項41】
前記縮合ポリマーが芳香族ポリアミドを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項42】
前記縮合ポリマーが、ジアミンモノマーとポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)との反応生成物を含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項43】
前記ポリアミドが、ジアミンとポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)との反応生成物を含むことを特徴とする請求項38に記載のフィルタエレメント。
【請求項44】
前記縮合ポリマーがポリベンズイミダゾールを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項45】
縮前記合ポリマーがポリアリーレートを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項46】
前記縮合ポリマーがポリアリーレートとポリアミドを含むことを特徴とする請求項45に記載のフィルタエレメント。
【請求項47】
前記ポリアリーレートポリマーが、ビスフェノールAと混合フタル酸との縮合重合反応生成物を含むことを特徴とする請求項45に記載のフィルタエレメント。
【請求項48】
(a)前記シール部分が、成型されたままの状態の密度が14〜22ポンド/インチ3であるポリウレタン・フォームを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項49】
(a)前記第1のエンド・キャップが、開口中心を画定するリング状の形をとり、かつ前記開口中心に面する内部ラジアル面を含み、
(i)前記シール部分が前記内部ラジアル面を構成することを特徴とする請求項48に記載のフィルタエレメント。
【請求項50】
(a)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナであって、
(i)前記シール部分と前記媒体との間にある前記内部支持ライナを更に含むことを特徴とする請求項49に記載のフィルタエレメント。
【請求項51】
(a)前記第1および第2のエンド・キャップの少なくとも一方が外部ラジアル面を含み、
(i)前記シール部分が前記外部ラジアル面を構成することを特徴とする請求項50に記載のフィルタエレメント。
【請求項52】
(a)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナと、
(b)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する外部支持ライナとをさらに含み、
(i)前記複数のひだのそれぞれのひだの長さが少なくとも6インチであり、ひだの深さが少なくとも1インチであることを特徴とする請求項51に記載のフィルタエレメント。
【請求項53】
エンジン吸入空気流量が少なくとも0.085m3/分(3cfm)のレートであるエンジンを含み、前記エンジン吸入空気を濾過するよう構成されかつ配置されたエアクリーナを有するシステムであって、
前記エアクリーナが、ハウジングと、その内部に動作可能に位置決めされた第1フィルタエレメントとを含み、
前記第1フィルタエレメントが、
(a)第1端部と対向する第2端部とを有し、シート状基体を含む媒体を含み、
(i)前記基体が、前記第1端部から前記第2端部まで延びる長さを有する複数のひだを有し、
(ii)前記基体が、少なくとも部分的に層で覆われ、
(A)前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.01〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性であり、
(b)縮合ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性であり、
(c)これらの混合物と、
からなる群から選択されたポリマー組成物を含むことを特徴とするシステム。
【請求項54】
前記ポリマーが溶液の成分であり、前記溶液が、溶液の大部分を占める水性アルコール溶媒と、前記溶液に対して約3〜30重量%のポリマー組成物とを含み、前記ファイバが微量の溶媒を保持することを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記付加ポリマーが、ポリハロゲン化ビニルポリマー、ポリハロゲン化ビニリデンポリマー、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項56】
前記縮合ポリマーが、環状ラクタムから得られた反復単位を有するホモポリマーを含んだナイロン・ポリマーを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項57】
前記縮合ポリマーが、分子量またはモノマー組成が異なっている第2のナイロンのポリマーに結合されていることを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項58】
前記ポリマーがポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項59】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記ナイロン・ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合され、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項56に記載のシステム。
【請求項61】
前記ポリマーを、示差走査熱量計で測定したときに単一相材料であることを示す単一ポリマー組成物が形成されるように処理することを特徴とする請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記ポリマーがポリ塩化ビニルを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項63】
前記ポリ塩化ビニルが架橋されていることを特徴とする請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記添加剤が、第3級ブチルフェノールを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項65】
前記添加剤が、
【化5】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記添加剤が、ビスフェノールAを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項46に記載のシステム。
【請求項67】
前記添加剤が、
【化6】
を含むことを特徴とする請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記添加剤が、ジヒドロキシ置換ビフェニルを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項69】
前記添加剤が、
【化7】
を含むことを特徴とする請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリ塩化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項55に記載のシステム。
【請求項71】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項55に記載のシステム。
【請求項72】
前記架橋ポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のポリアクリル酸を使用して架橋されていることを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項73】
前記架橋ポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して架橋されていることを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項74】
(a)前記システムが、エンジン吸入空気流量が少なくとも100cfmのレートであるエンジンを含み、
(b)空気流量600cfmまでのレートで評価した場合にH2Oの初期制約が3インチ以下になるように、前記第1フィルターエレメントが寸法決めされ構成されていることを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項75】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有しかつ開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが空気流チューブを含み、前記第1フィルタエレメントが前記空気流チューブに動作可能に取り付けられ、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップおよび第2の対向するエンド・キャップであって、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合され、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合された第1および第2のエンド・キャップと、
(ii)前記第1のエンド・キャップと前記第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナと、
(iii)前記第1のエンド・キャップが半径方向に向いたシール部分であって、
(A)前記半径方向に向いたシール部分が前記開放内部へと内側に向かい、
(B)前記半径方向に向いたシール部分が、前記内部支持ライナと前記空気流チューブとの間で接するように圧縮されてそれによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間に第1のラジアル・シールを形成するポリウレタン・フォーム材料を含む、シール部分と、
をさらに含むことを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項76】
(a)前記第1フィルタエレメントが、前記第1のエンド・キャップと前記第2のエンド・キャップとの間に延在する外部支持ライナをさらに含み、
(b)前記第2のエンド・キャップが中心アパーチャを画定し、
(c)前記第2のエンド・キャップが半径方向外側に向いたシール部分であって、
(i)前記半径方向外側に向いたシール部分が、前記外部支持ライナと前記エアクリーナとの間で接するように圧縮されてそれによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間に第2のラジアル・シールを形成するポリウレタン・フォーム材料を含む、シール部分を含む、
ことを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項77】
(a)前記エアクリーナ・ハウジング内に動作可能に取り付けられた安全エレメントをさらに含み、
前記安全エレメントは、
(i)媒体複合体のひだ付き構造と、
前記安全エレメントのひだ付き構造が複数のひだを含み、
(ii)前記安全エレメントのひだ付き構造が、管状の形を有し、開放内部を画定し、
(iii)安全エレメントの第1のエンド・キャップおよび安全エレメントの第2のエンド・キャップと、
前記安全エレメントのひだ付き構造が、前記安全エレメントの第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップに結合してそれらの間に延在し、
(A)前記安全エレメントの第1のエンド・キャップが、開口を画定するリング状の形であり、
(B)前記安全エレメントの第2のエンド・キャップが閉じており、
(iv)前記安全エレメントの第1のエンド・キャップが半径方向外側に向いたシール部分とを含んでおり、
前記半径方向外側に向いたシール部分が、前記安全エレメントと前記エアクリーナ・ハウジングの空気流チューブとの間にラジアル・シールを形成するよう圧縮可能なポリウレタン材料を含む、
ことを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項78】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有し、開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記ハウジングを前記第1フィルタエレメントに固定するためのヨーク装置を含み、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップと第2の対向する閉じたエンド・キャップとをさらに含み、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合し、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合し、
(C)前記第1のエンド・キャップが軸方向に向いたシール部分を含み、
(d)前記軸方向に向いたシール部分が、前記ヨーク装置によって前記エアクリーナ・ハウジングに押し付けられ、それによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間にアクシアル・シールが形成されることを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項79】
(a)前記第1フィルタエレメントが、前記ひだ付き構造に結合された第1および第2の対向するエンド・キャップを含み、
(i)前記第1のエンド・キャップが、複数の空気入口アパーチャおよび出口チューブを画定し、
(A)前記出口チューブが前記エンジンの吸気コンジットに固定され、
(ii)前記ひだ付き構造が、開放内部を画定する管状の形であり、
(iii)前記第2のエンド・キャップが閉じており、
(iv)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記第1および第2のエンド・キャップから取り外すことができないように固定されていることを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項80】
(a)前記第1フィルタエレメントが、
(i)外周を有するパネル・フィルタ構造と、
(ii)少なくとも40個のひだであって、前記ひだのそれぞれのひだ深さが少なくとも2インチであるひだと、
(iii)前記外周内の面積が少なくとも35平方インチである面積と、
(iv)ポリマー材料を含む、前記外周に沿った外部ガスケット部材とを含むことを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項81】
流体圧縮器を含み、圧縮器吸入空気を濾過するよう構成されかつ配置されているエアクリーナを有するシステムであって、
前記エアクリーナが、ハウジングと、その内部に動作可能に配置されている第1のフィルタエレメントとを含み、
前記第1のフィルタエレメントが、
(a)第1端部と対向する第2端部とを有する媒体を含み、
(i)前記媒体が、媒体複合体のひだ付き構造を含み、前記ひだ付き構造が、前記第1端部から前記第2端部まで延びる長さを有する複数のひだを有し、
(ii)前記媒体複合体が、少なくとも部分的に層で覆われた基体を含み、
(A)前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.01〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性であり、
(b)縮合ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性であり、
(c)これらの混合物と、
からなる群から選択されたポリマー組成物を含むことを特徴とするシステム。
【請求項82】
前記ポリマーが溶液の成分であり、前記溶液が、溶液の大部分を占める水性アルコール溶媒と、前記溶液に対して約3〜30重量%のポリマー組成物とを含み、前記ファイバが微量の溶媒を保持することを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記付加ポリマーが、ポリハロゲン化ビニルポリマー、ポリハロゲン化ビニリデンポリマー、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項84】
前記縮合ポリマーが、環状ラクタムから得られた反復単位を有するホモポリマーを含んだナイロン・ポリマーを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項85】
前記縮合ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合されたナイロンコポリマーを含み、前記第2のナイロン・ポリマーの分子量またはモノマー組成が異なるものであることを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項86】
前記ポリマーがポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項87】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
前記ナイロン・ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合され、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項84に記載のシステム。
【請求項89】
前記ポリマーを、示差走査熱量計で測定したときに単一相材料であることを示す単一ポリマー組成物が形成されるように処理することを特徴とする請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
前記ポリマーがポリ塩化ビニルを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項91】
前記ポリ塩化ビニルが架橋していることを特徴とする請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
前記添加剤が、第3級ブチルフェノールを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項93】
前記添加剤が、
【化8】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項94】
前記添加剤が、ビスフェノールAを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項95】
前記添加剤が、
【化9】
を含むことを特徴とする請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記添加剤が、ジヒドロキシ置換ビフェニルを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項97】
前記添加剤が、
【化10】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記ポリマーが溶液の成分であり、前記溶液が、溶液の大部分を占める水性アルコール溶媒と、前記溶液に対して約3〜30重量%のポリマー組成物とを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項99】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリ塩化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項83に記載のシステム。
【請求項100】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項83に記載のシステム。
【請求項101】
前記架橋ポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のポリアクリル酸を使用して架橋していることを特徴とする請求項87に記載のシステム。
【請求項102】
前記架橋ポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して架橋していることを特徴とする請求項87に記載のシステム。
【請求項103】
(a)前記システムは、エンジン吸入空気流量が少なくとも14.15m3/分(500cfm)以のレートであるエンジンを含み、
(b)前記第1エレメントは、空気流量16.99m3/分(600cfm)までのレートで評価された場合に、圧力低下が水中で7.62cm(3インチ)以下の初期制約となるような大きさに構成されていることを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項104】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有し、かつ開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが空気流チューブを含み、前記第1フィルタエレメントが前記空気流チューブに動作可能に取り付けられ、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップおよび第2の対向するエンド・キャップと、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合され、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合されており、
(ii)前記第1のエンド・キャップと前記第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナと、
(iii)前記第1のエンド・キャップが、半径方向に向いたシール部分と、
(A)前記半径方向に向いたシール部分が前記開放内部へと内側に向かい、
(B)前記半径方向に向いたシール部分が、前記内部支持ライナと前記空気流チューブとの間で接するように圧縮されてそれによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間に第1のラジアル・シールを形成するポリウレタン・フォーム材料を含んでおり、
を更に含むことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項105】
(a)前記第1フィルタエレメントが、前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する外部支持ライナをさらに含み、
(b)前記第2のエンド・キャップが中心アパーチャを画定し、
(c)前記第2のエンド・キャップが、半径方向外側に向いたシール部分を含み、
(i)前記半径方向外側に向いたシール部分が、前記外部支持ライナと前記エアクリーナとの間で接するように圧縮されて、それによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間に第2のラジアル・シールを形成するポリウレタン・フォーム材料を含むことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項106】
(a)前記エアクリーナ・ハウジング内に動作可能に取り付けられた安全エレメントをさらに含み、
前記安全エレメントが、
(i)媒体複合体のひだ付き構造と、
前記安全エレメントのひだ付き構造が複数のひだを含み、
(ii)前記安全エレメントのひだ付き構造が管状の形を有し、開放内部を画定し、
(iii)安全エレメントの第1のエンド・キャップおよび安全エレメントの第2のエンド・キャップと、
前記安全エレメントのひだ付き構造が、前記安全エレメントの第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとに結合してそれらの間に延在しており、
(A)前記安全エレメントの第1のエンド・キャップが、開口を画定するリング状の形をとり、
(B)前記安全エレメントの第2のエンド・キャップが閉じており、
(iv)前記安全エレメントの第1のエンド・キャップが半径方向外側に向いたシール部分と、を含み、
前記半径方向外側に向いたシール部分が、前記安全エレメントと前記エアクリーナ・ハウジングの空気流チューブとの間にラジアル・シールを形成するように圧縮可能なポリウレタン材料を含んでいる、
ことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項107】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有し、開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記ハウジングを前記第1フィルタエレメントに固定するためのヨーク装置を含み、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップと第2の対向する閉じたエンド・キャップとをさらに含み、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合し、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合し、
(C)前記第1のエンド・キャップが軸方向に向いたシール部分を含み、
(d)前記軸方向に向いたシール部分が、前記ヨーク装置によって前記エアクリーナ・ハウジングに押し付けられ、それによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間にアクシアル・シールが形成される、
ことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項108】
(a)前記第1フィルタエレメントが、前記ひだ付き構造に結合された第1および第2の対向するエンド・キャップを含み、
(i)前記第1のエンド・キャップが、複数の空気入口アパーチャおよび出口チューブを画定し、
(A)前記出口チューブが前記エンジンの吸気コンジットに固定され、
(ii)前記ひだ付き構造が開放内部を画定する管状の形であり、
(iii)前記第2のエンド・キャップが閉じており、
(iv)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記第1および第2のエンド・キャップから取り外すことができないように固定されている、
ことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項109】
(a)前記第1フィルタエレメントが、
(i)外周を有するパネル・フィルタ構造と、
(ii)少なくとも40個のひだであって、前記ひだのそれぞれのひだ深さが少なくとも2インチであるひだと、
(iii)前記外周内の面積が少なくとも35平方インチである面積と、
(iv)ポリマー材料を含む、前記外周に沿った外部ガスケット部材と、を含むことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項110】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有し、開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記ハウジングを前記第1フィルタエレメントに固定するためのヨーク装置を含み、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップおよび第2の対向する閉じたエンド・キャップをさらに含み、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合し、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合し、
(C)前記第1のエンド・キャップが軸方向に向いたシール部分を含み、
(D)前記軸方向に向いたシール部分が、前記ヨーク装置によって前記エアクリーナ・ハウジングに押し付けられ、それによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間にアクシアル・シールが形成されることを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項111】
ガスタービン・エンジンにより動力が供給される車両を含み、ガスタービン吸入空気を濾過するよう構成され配置されたエアクリーナを有するシステムであって、
前記エアクリーナが、
(a)第1のフィルタパネルと第2のフィルタパネルとを有する媒体を含み、
(i)前記第1のフィルタパネルと第2のフィルタパネルとのそれぞれが、媒体複合体のひだ付き構造を含み、前記ひだ付き構造が複数のひだを含み、
(ii)前記媒体複合体が、少なくとも部分的に層で覆われた基体を含み、
(A)前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.1〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性であり、
(b)縮合ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性であり、
(c)これらの混合物と、
からなる群から選択されたポリマー組成物を含むことを特徴とするシステム。
【請求項112】
前記付加ポリマーが、ポリハロゲン化ビニルポリマー、ポリハロゲン化ビニリデンポリマー、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項113】
前記縮合ポリマーが、環状ラクタムから得られた反復単位を有するホモポリマーを含んだナイロン・ポリマーを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項114】
前記縮合ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合されたナイロンコポリマーを含み、前記第2のナイロン・ポリマーの分子量またはモノマー組成が異なるものであることを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項115】
前記ポリマーがポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項116】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項115に記載のシステム。
【請求項117】
前記ナイロン・ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合され、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項113に記載のシステム。
【請求項118】
前記ポリマーを、示差走査熱量計で測定したときに単一相材料であることを示す単一ポリマー組成物が形成されるように処理することを特徴とする請求項117に記載のシステム。
【請求項119】
前記ポリマーがポリ塩化ビニルを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項120】
前記ポリ塩化ビニルが架橋されていることを特徴とする請求項119に記載のシステム。
【請求項121】
前記添加剤が、第3級ブチルフェノールを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項122】
前記添加剤が、
【化11】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項121に記載のシステム。
【請求項123】
前記添加剤が、ビスフェノールAを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項124】
前記添加剤が、
【化12】
を含むことを特徴とする請求項123に記載のシステム。
【請求項125】
前記添加剤が、ジヒドロキシ置換ビフェニルを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項126】
前記添加剤が、
【化13】
を含むことを特徴とする請求項125に記載のシステム。
【請求項127】
(a)前記媒体が第1端部および第2端部を含み、
(b)前記第1および第2のフィルタパネルがV字形状に配置され、前記第1のフィルタパネルと第2のフィルタパネルとの間の前記媒体内に清浄な空気のスペースが形成されるように、前記第1端部から前記第2端部まで延びる方向に沿って互いから離れるように配置されることを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項128】
温度が少なくとも140°Fの空気を濾過する方法であって、
(a)前記空気を媒体複合体に通す工程を有し、
(i)前記複合体が、ひだ付き構造のシート状基体を含み、
(ii)前記基体が、少なくとも部分的に層で覆われ、前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.1〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族の特性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性である約2〜25重量%の添加剤と、
(b)縮合ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族の特性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性である約2〜25重量%の添加剤と、
(c)これらの混合物と、からなる群から選択されたポリマー組成物を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項129】
(a)前記空気を媒体に通す工程が、エンジン吸入空気流量が少なくとも3cfmのレートであるエンジンの吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、対向する第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する複数のひだを備えた管状の形を有することを特徴とする請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記空気を媒体に通す工程が、流体圧縮器の吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、少なくとも2インチのひだ深さをそれぞれ有する少なくとも40個のひだを備えたパネル・フィルタであることを特徴とする請求項128に記載の方法。
【請求項131】
(a)前記空気を媒体に通す工程が、ガスタービン動力供給タンクの吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、V字形状に配置された第1および第2のひだ付きフィルタパネルを含むことを特徴とする請求項128に記載の方法。
【請求項132】
(a)媒体であって、
(i)第1端部から第2端部に至る長さを有する複数のひだを有するシート状基体を含む、媒体複合体の構造体を有し、
(ii)前記構造体が、管状の形をとり、対向する前記第1端部と前記第2端部を有する開放内部を画定し、
(iii)前記シート状基体が少なくとも部分的に層で覆われ、
(A)前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.01〜0.5ミクロン直径のポリマー・ファインファイバを含み、前記ファイバが、縮合ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族性を有する樹脂系材料を含む約2〜25重量%の添加剤とを含み、前記添加剤が前記縮合ポリマーに対して混和性であり、前記縮合ポリマーが、環状ラクタムと、C6〜10ジアミンモノマーまたはC6〜10二酸モノマーとから形成されたコポリマー以外のコポリマーを含む媒体と、
(b)第1のエンド・キャップおよび第2のエンド・キャップであって、
(i)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに固定され、
(ii)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに固定され、
(iii)前記第1および第2のエンド・キャプの少なくとも一方が、前記媒体に向かう方向に圧縮可能なポリウレタン材料を含んだシール部分を含む、第1のエンド・キャップおよび第2のエンド・キャップと、
を含むことを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項133】
前記ファイバのポリマーが溶液の成分から形成され、前記溶液が、その大部分を占める水性アルコール溶媒と、前記溶液に対して約3〜30重量%のポリマー組成物とを含み、微量の溶媒が前記ファイバ中に保持されることを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項134】
前記縮合ポリマーがポリアルキレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項135】
前記縮合ポリマーがポリアルキレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項136】
前記縮合ポリマーがポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項135に記載のフィルタエレメント。
【請求項137】
前記縮合ポリマーが第2のナイロン・ポリマーに結合し、前記第2のナイロン・ポリマーの分子量またはモノマー組成が異なることを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項138】
前記縮合コポリマーが第2のナイロン・ポリマーに結合し、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項139】
(a)前記シール部分が、成型されたままの状態の密度が14〜22ポンド/インチ3であるポリウレタン・フォームを含むことを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項140】
(a)前記第1のエンド・キャップが、開口中心を画定するリング状の形をとり、かつ前記開口中心に面する内部ラジアル面を含み、
(i)前記シール部分が前記内部ラジアル面を構成することを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項141】
(a)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナをさらに含み、
(i)前記内部支持ライナは前記シール部分と前記媒体との間にあることを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項142】
(a)前記第1および第2のエンド・キャップの少なくとも一方が外部ラジアル面を含み、
(i)前記シール部分が前記外部ラジアル面を有することを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項143】
(a)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナと、
(b)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する外部支持ライナと、
をさらに含み、
(i)前記複数のひだのそれぞれが、少なくとも6インチひだの長さと少なくとも1インチのひだの深さを有することを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項144】
前記車両が軍用タンクを含むことを特徴とする請求項111に記載のフィルタエレメント。
【請求項145】
前記車両がバスを含むことを特徴とする請求項111に記載のフィルタエレメント。
【請求項146】
任意の動作期間中の温度が少なくとも140°Fである、車両用キャビンの流通空気を濾過するための方法であって、
(a)前記空気を媒体複合体に通す工程を含み、
(i)前記複合体が、ひだ付き構造のシート状基体を含み、
(ii)前記基体が、少なくとも部分的に層で覆われ、前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件に試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.1〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性であり、
(b)縮合ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性であり、
(c)これらの混合物と、
からなる群から選択されたポリマー組成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項147】
(a)前記空気を媒体に通す工程が、エンジン吸入空気流量が少なくとも3cfmのレートであるエンジンの吸気コンジット内に空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、対向する第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する複数のひだを備えた管状の形を有することを特徴とする請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記空気を媒体に通す工程が、流体圧縮器の吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、少なくとも2インチのひだ深さをそれぞれ有する少なくとも40個のひだを備えたパネル・フィルタであることを特徴とする請求項147に記載の方法。
【請求項149】
(a)前記空気を媒体に通す工程が、吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、V字形状に配置された第1および第2のひだ付きフィルタパネルを含むことを特徴とする請求項148に記載の方法。
【請求項1】
フィルタエレメントであって、
(a)前記フィルタエレメントは、媒体を有し、
(i)前記媒体は、媒体複合体の構造体を有し、前記構造体は、第1端部から第2端部まで延びている長さを有する複数のひだを有するシート状基体を含み、
(ii)前記構造体は、管状の形状を有し、かつ対向する第1端部と第2端部とを有する開放内部を画定し、
(iii)前記シート状基体は、少なくとも部分的に層で覆われ、前記層が、60℃(140°F)の空気および相対湿度100%の試験条件に16時間の試験時間だけ試験暴露された後に、ファイバの30%以上がろ過目的のために変化しないで保持されるような約0.01〜0.5ミクロン直径の前記ファイバを含む、ポリマーから形成されるファインファイバを含み、
(b)前記フィルタエレメントは、第1エンド・キャップおよび第2エンド・キャップを有し、
(i)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに固定され、
(ii)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに固定され、
(iii)前記第1エンド・キャプおよび第2のエンド・キャプの少なくとも一方が、半径方向に向いたシール部分を含み、前記半径方向に向いたシール部分が、前記媒体に向かう方向に圧縮可能なポリウレタン材料を含むことを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項2】
前記ポリマーが縮合ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項3】
前記ポリマーが付加ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが、ポリハロゲン化ビニルポリマーを含んだ付加ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項5】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが、ポリハロゲン化ビニリデンポリマーを含む付加ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項6】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリ塩化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項4に記載のフィルタエレメント。
【請求項7】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項5に記載のフィルタエレメント。
【請求項8】
前記ポリマーから形成されるファインファイバがポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項9】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルタエレメント。
【請求項10】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが架橋ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項11】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項10に記載のフィルタエレメント。
【請求項12】
前記架橋されたポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のポリアクリル酸を使用して架橋されていることを特徴とする請求項10に記載のフィルタエレメント。
【請求項13】
前記架橋されたポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して架橋されていることを特徴とする請求項10に記載のフィルタエレメント。
【請求項14】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが、環状ラクタムと、C6〜10ジアミンモノマーまたはC6〜10二酸モノマーとから形成されたコポリマー以外の縮合ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族の特性を有するオリゴマーを含み、前記縮合ポリマーに対して混和性である樹脂系添加剤と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項15】
前記ポリマーから形成されるファインファイバが、環状ラクタムと、C6〜10ジアミンモノマーまたはC6〜10二酸モノマーとから形成されたコポリマー以外の縮合ポリマーと、分子量が約500〜3000でアルキルフェノール芳香族の特性を有するオリゴマーを含み、前記縮合ポリマーに対して混和性である樹脂系添加剤と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項16】
前記縮合ポリマーが、ナイロン・ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族の特性を有するオリゴマーを含み、前記縮合ポリマーに対して混和性である樹脂系添加剤と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項17】
前記縮合ポリマーがポリアルキレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項18】
前記縮合ポリマーがポリアルキレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項17に記載のフィルタエレメント。
【請求項19】
前記縮合ポリマーがポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項17に記載のフィルタエレメント。
【請求項20】
前記縮合ポリマーが、環状ラクタムか得られた反復単位を有するホモポリマーを含んだナイロン・ポリマーを含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項21】
前記ナイロンコポリマーが第2のナイロン・ポリマーに結合し、前記第2のナイロン・ポリマーの分子量またはモノマー組成が異なっていることを特徴とする請求項16に記載のフィルタエレメント。
【請求項22】
前記ナイロンコポリマーが第2のナイロン・ポリマーに結合し、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項21に記載のフィルタエレメント。
【請求項23】
前記第2のナイロン・ポリマーがナイロンコポリマーを含むことを特徴とする請求項16に記載のフィルタエレメント。
【請求項24】
前記ポリマーを、示差走査熱量計で測定したときに単一相材料であることを示す単一ポリマー組成物が形成されるように処理することを特徴とする請求項21に記載のフィルタエレメント。
【請求項25】
前記コポリマーおよび前記第2のポリマーを熱処理することを特徴とする請求項24に記載のフィルタエレメント。
【請求項26】
前記コポリマーおよび前記第2のポリマーを、前記第1または第2のポリマーの、より低い融点未満の温度まで熱処理することを特徴とする請求項25に記載のフィルタエレメント。
【請求項27】
前記添加剤が、第3級ブチルフェノールを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項28】
前記添加剤が、
【化2】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項27に記載のフィルタエレメント。
【請求項29】
前記樹脂が、ビスフェノールAを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項30】
前記添加剤が、
【化3】
を含むオリゴマーを含むことを特徴とする請求項29に記載のフィルタエレメント。
【請求項31】
前記樹脂が、ジヒドロキシビフェニルを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項32】
前記添加剤が、
【化4】
を含むオリゴマーを含むことを特徴とする請求項31に記載のフィルタエレメント。
【請求項33】
前記添加剤が、樹脂系添加剤とフルオロポリマーのブレンドを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項34】
前記添加剤がフルオロカーボン界面活性剤を含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項35】
前記添加剤が非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項36】
前記縮合ポリマーがポリウレタンポリマーを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項37】
前記縮合ポリマーが、ポリウレタンポリマーとポリアミドポリマーのブレンドを含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項38】
前記縮合ポリマーが、ポリウレタンポリマーとポリアミドポリマーのブレンドを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項39】
前記ポリアミドポリマーがナイロンを含むことを特徴とする請求項38に記載のフィルタエレメント。
【請求項40】
前記ナイロンが、ナイロンホモポリマー、ナイロンコポリマー、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項39に記載のフィルタエレメント。
【請求項41】
前記縮合ポリマーが芳香族ポリアミドを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項42】
前記縮合ポリマーが、ジアミンモノマーとポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)との反応生成物を含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項43】
前記ポリアミドが、ジアミンとポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)との反応生成物を含むことを特徴とする請求項38に記載のフィルタエレメント。
【請求項44】
前記縮合ポリマーがポリベンズイミダゾールを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項45】
縮前記合ポリマーがポリアリーレートを含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項46】
前記縮合ポリマーがポリアリーレートとポリアミドを含むことを特徴とする請求項45に記載のフィルタエレメント。
【請求項47】
前記ポリアリーレートポリマーが、ビスフェノールAと混合フタル酸との縮合重合反応生成物を含むことを特徴とする請求項45に記載のフィルタエレメント。
【請求項48】
(a)前記シール部分が、成型されたままの状態の密度が14〜22ポンド/インチ3であるポリウレタン・フォームを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項49】
(a)前記第1のエンド・キャップが、開口中心を画定するリング状の形をとり、かつ前記開口中心に面する内部ラジアル面を含み、
(i)前記シール部分が前記内部ラジアル面を構成することを特徴とする請求項48に記載のフィルタエレメント。
【請求項50】
(a)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナであって、
(i)前記シール部分と前記媒体との間にある前記内部支持ライナを更に含むことを特徴とする請求項49に記載のフィルタエレメント。
【請求項51】
(a)前記第1および第2のエンド・キャップの少なくとも一方が外部ラジアル面を含み、
(i)前記シール部分が前記外部ラジアル面を構成することを特徴とする請求項50に記載のフィルタエレメント。
【請求項52】
(a)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナと、
(b)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する外部支持ライナとをさらに含み、
(i)前記複数のひだのそれぞれのひだの長さが少なくとも6インチであり、ひだの深さが少なくとも1インチであることを特徴とする請求項51に記載のフィルタエレメント。
【請求項53】
エンジン吸入空気流量が少なくとも0.085m3/分(3cfm)のレートであるエンジンを含み、前記エンジン吸入空気を濾過するよう構成されかつ配置されたエアクリーナを有するシステムであって、
前記エアクリーナが、ハウジングと、その内部に動作可能に位置決めされた第1フィルタエレメントとを含み、
前記第1フィルタエレメントが、
(a)第1端部と対向する第2端部とを有し、シート状基体を含む媒体を含み、
(i)前記基体が、前記第1端部から前記第2端部まで延びる長さを有する複数のひだを有し、
(ii)前記基体が、少なくとも部分的に層で覆われ、
(A)前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.01〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性であり、
(b)縮合ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性であり、
(c)これらの混合物と、
からなる群から選択されたポリマー組成物を含むことを特徴とするシステム。
【請求項54】
前記ポリマーが溶液の成分であり、前記溶液が、溶液の大部分を占める水性アルコール溶媒と、前記溶液に対して約3〜30重量%のポリマー組成物とを含み、前記ファイバが微量の溶媒を保持することを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記付加ポリマーが、ポリハロゲン化ビニルポリマー、ポリハロゲン化ビニリデンポリマー、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項56】
前記縮合ポリマーが、環状ラクタムから得られた反復単位を有するホモポリマーを含んだナイロン・ポリマーを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項57】
前記縮合ポリマーが、分子量またはモノマー組成が異なっている第2のナイロンのポリマーに結合されていることを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項58】
前記ポリマーがポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項59】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記ナイロン・ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合され、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項56に記載のシステム。
【請求項61】
前記ポリマーを、示差走査熱量計で測定したときに単一相材料であることを示す単一ポリマー組成物が形成されるように処理することを特徴とする請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記ポリマーがポリ塩化ビニルを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項63】
前記ポリ塩化ビニルが架橋されていることを特徴とする請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記添加剤が、第3級ブチルフェノールを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項65】
前記添加剤が、
【化5】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記添加剤が、ビスフェノールAを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項46に記載のシステム。
【請求項67】
前記添加剤が、
【化6】
を含むことを特徴とする請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記添加剤が、ジヒドロキシ置換ビフェニルを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項69】
前記添加剤が、
【化7】
を含むことを特徴とする請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリ塩化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項55に記載のシステム。
【請求項71】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項55に記載のシステム。
【請求項72】
前記架橋ポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のポリアクリル酸を使用して架橋されていることを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項73】
前記架橋ポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して架橋されていることを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項74】
(a)前記システムが、エンジン吸入空気流量が少なくとも100cfmのレートであるエンジンを含み、
(b)空気流量600cfmまでのレートで評価した場合にH2Oの初期制約が3インチ以下になるように、前記第1フィルターエレメントが寸法決めされ構成されていることを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項75】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有しかつ開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが空気流チューブを含み、前記第1フィルタエレメントが前記空気流チューブに動作可能に取り付けられ、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップおよび第2の対向するエンド・キャップであって、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合され、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合された第1および第2のエンド・キャップと、
(ii)前記第1のエンド・キャップと前記第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナと、
(iii)前記第1のエンド・キャップが半径方向に向いたシール部分であって、
(A)前記半径方向に向いたシール部分が前記開放内部へと内側に向かい、
(B)前記半径方向に向いたシール部分が、前記内部支持ライナと前記空気流チューブとの間で接するように圧縮されてそれによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間に第1のラジアル・シールを形成するポリウレタン・フォーム材料を含む、シール部分と、
をさらに含むことを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項76】
(a)前記第1フィルタエレメントが、前記第1のエンド・キャップと前記第2のエンド・キャップとの間に延在する外部支持ライナをさらに含み、
(b)前記第2のエンド・キャップが中心アパーチャを画定し、
(c)前記第2のエンド・キャップが半径方向外側に向いたシール部分であって、
(i)前記半径方向外側に向いたシール部分が、前記外部支持ライナと前記エアクリーナとの間で接するように圧縮されてそれによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間に第2のラジアル・シールを形成するポリウレタン・フォーム材料を含む、シール部分を含む、
ことを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項77】
(a)前記エアクリーナ・ハウジング内に動作可能に取り付けられた安全エレメントをさらに含み、
前記安全エレメントは、
(i)媒体複合体のひだ付き構造と、
前記安全エレメントのひだ付き構造が複数のひだを含み、
(ii)前記安全エレメントのひだ付き構造が、管状の形を有し、開放内部を画定し、
(iii)安全エレメントの第1のエンド・キャップおよび安全エレメントの第2のエンド・キャップと、
前記安全エレメントのひだ付き構造が、前記安全エレメントの第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップに結合してそれらの間に延在し、
(A)前記安全エレメントの第1のエンド・キャップが、開口を画定するリング状の形であり、
(B)前記安全エレメントの第2のエンド・キャップが閉じており、
(iv)前記安全エレメントの第1のエンド・キャップが半径方向外側に向いたシール部分とを含んでおり、
前記半径方向外側に向いたシール部分が、前記安全エレメントと前記エアクリーナ・ハウジングの空気流チューブとの間にラジアル・シールを形成するよう圧縮可能なポリウレタン材料を含む、
ことを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項78】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有し、開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記ハウジングを前記第1フィルタエレメントに固定するためのヨーク装置を含み、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップと第2の対向する閉じたエンド・キャップとをさらに含み、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合し、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合し、
(C)前記第1のエンド・キャップが軸方向に向いたシール部分を含み、
(d)前記軸方向に向いたシール部分が、前記ヨーク装置によって前記エアクリーナ・ハウジングに押し付けられ、それによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間にアクシアル・シールが形成されることを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項79】
(a)前記第1フィルタエレメントが、前記ひだ付き構造に結合された第1および第2の対向するエンド・キャップを含み、
(i)前記第1のエンド・キャップが、複数の空気入口アパーチャおよび出口チューブを画定し、
(A)前記出口チューブが前記エンジンの吸気コンジットに固定され、
(ii)前記ひだ付き構造が、開放内部を画定する管状の形であり、
(iii)前記第2のエンド・キャップが閉じており、
(iv)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記第1および第2のエンド・キャップから取り外すことができないように固定されていることを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項80】
(a)前記第1フィルタエレメントが、
(i)外周を有するパネル・フィルタ構造と、
(ii)少なくとも40個のひだであって、前記ひだのそれぞれのひだ深さが少なくとも2インチであるひだと、
(iii)前記外周内の面積が少なくとも35平方インチである面積と、
(iv)ポリマー材料を含む、前記外周に沿った外部ガスケット部材とを含むことを特徴とする請求項74に記載のシステム。
【請求項81】
流体圧縮器を含み、圧縮器吸入空気を濾過するよう構成されかつ配置されているエアクリーナを有するシステムであって、
前記エアクリーナが、ハウジングと、その内部に動作可能に配置されている第1のフィルタエレメントとを含み、
前記第1のフィルタエレメントが、
(a)第1端部と対向する第2端部とを有する媒体を含み、
(i)前記媒体が、媒体複合体のひだ付き構造を含み、前記ひだ付き構造が、前記第1端部から前記第2端部まで延びる長さを有する複数のひだを有し、
(ii)前記媒体複合体が、少なくとも部分的に層で覆われた基体を含み、
(A)前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.01〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性であり、
(b)縮合ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性であり、
(c)これらの混合物と、
からなる群から選択されたポリマー組成物を含むことを特徴とするシステム。
【請求項82】
前記ポリマーが溶液の成分であり、前記溶液が、溶液の大部分を占める水性アルコール溶媒と、前記溶液に対して約3〜30重量%のポリマー組成物とを含み、前記ファイバが微量の溶媒を保持することを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記付加ポリマーが、ポリハロゲン化ビニルポリマー、ポリハロゲン化ビニリデンポリマー、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項84】
前記縮合ポリマーが、環状ラクタムから得られた反復単位を有するホモポリマーを含んだナイロン・ポリマーを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項85】
前記縮合ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合されたナイロンコポリマーを含み、前記第2のナイロン・ポリマーの分子量またはモノマー組成が異なるものであることを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項86】
前記ポリマーがポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項87】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
前記ナイロン・ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合され、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項84に記載のシステム。
【請求項89】
前記ポリマーを、示差走査熱量計で測定したときに単一相材料であることを示す単一ポリマー組成物が形成されるように処理することを特徴とする請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
前記ポリマーがポリ塩化ビニルを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項91】
前記ポリ塩化ビニルが架橋していることを特徴とする請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
前記添加剤が、第3級ブチルフェノールを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項93】
前記添加剤が、
【化8】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項94】
前記添加剤が、ビスフェノールAを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項95】
前記添加剤が、
【化9】
を含むことを特徴とする請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記添加剤が、ジヒドロキシ置換ビフェニルを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項97】
前記添加剤が、
【化10】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記ポリマーが溶液の成分であり、前記溶液が、溶液の大部分を占める水性アルコール溶媒と、前記溶液に対して約3〜30重量%のポリマー組成物とを含むことを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項99】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリ塩化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項83に記載のシステム。
【請求項100】
前記ポリハロゲン化ビニリデンがポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項83に記載のシステム。
【請求項101】
前記架橋ポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のポリアクリル酸を使用して架橋していることを特徴とする請求項87に記載のシステム。
【請求項102】
前記架橋ポリビニルアルコールが、分子量が約1000〜3000のメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して架橋していることを特徴とする請求項87に記載のシステム。
【請求項103】
(a)前記システムは、エンジン吸入空気流量が少なくとも14.15m3/分(500cfm)以のレートであるエンジンを含み、
(b)前記第1エレメントは、空気流量16.99m3/分(600cfm)までのレートで評価された場合に、圧力低下が水中で7.62cm(3インチ)以下の初期制約となるような大きさに構成されていることを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項104】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有し、かつ開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが空気流チューブを含み、前記第1フィルタエレメントが前記空気流チューブに動作可能に取り付けられ、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップおよび第2の対向するエンド・キャップと、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合され、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合されており、
(ii)前記第1のエンド・キャップと前記第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナと、
(iii)前記第1のエンド・キャップが、半径方向に向いたシール部分と、
(A)前記半径方向に向いたシール部分が前記開放内部へと内側に向かい、
(B)前記半径方向に向いたシール部分が、前記内部支持ライナと前記空気流チューブとの間で接するように圧縮されてそれによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間に第1のラジアル・シールを形成するポリウレタン・フォーム材料を含んでおり、
を更に含むことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項105】
(a)前記第1フィルタエレメントが、前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する外部支持ライナをさらに含み、
(b)前記第2のエンド・キャップが中心アパーチャを画定し、
(c)前記第2のエンド・キャップが、半径方向外側に向いたシール部分を含み、
(i)前記半径方向外側に向いたシール部分が、前記外部支持ライナと前記エアクリーナとの間で接するように圧縮されて、それによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間に第2のラジアル・シールを形成するポリウレタン・フォーム材料を含むことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項106】
(a)前記エアクリーナ・ハウジング内に動作可能に取り付けられた安全エレメントをさらに含み、
前記安全エレメントが、
(i)媒体複合体のひだ付き構造と、
前記安全エレメントのひだ付き構造が複数のひだを含み、
(ii)前記安全エレメントのひだ付き構造が管状の形を有し、開放内部を画定し、
(iii)安全エレメントの第1のエンド・キャップおよび安全エレメントの第2のエンド・キャップと、
前記安全エレメントのひだ付き構造が、前記安全エレメントの第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとに結合してそれらの間に延在しており、
(A)前記安全エレメントの第1のエンド・キャップが、開口を画定するリング状の形をとり、
(B)前記安全エレメントの第2のエンド・キャップが閉じており、
(iv)前記安全エレメントの第1のエンド・キャップが半径方向外側に向いたシール部分と、を含み、
前記半径方向外側に向いたシール部分が、前記安全エレメントと前記エアクリーナ・ハウジングの空気流チューブとの間にラジアル・シールを形成するように圧縮可能なポリウレタン材料を含んでいる、
ことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項107】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有し、開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記ハウジングを前記第1フィルタエレメントに固定するためのヨーク装置を含み、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップと第2の対向する閉じたエンド・キャップとをさらに含み、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合し、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合し、
(C)前記第1のエンド・キャップが軸方向に向いたシール部分を含み、
(d)前記軸方向に向いたシール部分が、前記ヨーク装置によって前記エアクリーナ・ハウジングに押し付けられ、それによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間にアクシアル・シールが形成される、
ことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項108】
(a)前記第1フィルタエレメントが、前記ひだ付き構造に結合された第1および第2の対向するエンド・キャップを含み、
(i)前記第1のエンド・キャップが、複数の空気入口アパーチャおよび出口チューブを画定し、
(A)前記出口チューブが前記エンジンの吸気コンジットに固定され、
(ii)前記ひだ付き構造が開放内部を画定する管状の形であり、
(iii)前記第2のエンド・キャップが閉じており、
(iv)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記第1および第2のエンド・キャップから取り外すことができないように固定されている、
ことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項109】
(a)前記第1フィルタエレメントが、
(i)外周を有するパネル・フィルタ構造と、
(ii)少なくとも40個のひだであって、前記ひだのそれぞれのひだ深さが少なくとも2インチであるひだと、
(iii)前記外周内の面積が少なくとも35平方インチである面積と、
(iv)ポリマー材料を含む、前記外周に沿った外部ガスケット部材と、を含むことを特徴とする請求項103に記載のシステム。
【請求項110】
(a)前記ひだ付き構造が、管状の形を有し、開放内部を画定し、
(b)前記エアクリーナ・ハウジングが、前記ハウジングを前記第1フィルタエレメントに固定するためのヨーク装置を含み、
(c)前記第1フィルタエレメントが、
(i)第1の開放エンド・キャップおよび第2の対向する閉じたエンド・キャップをさらに含み、
(A)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに結合し、
(B)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに結合し、
(C)前記第1のエンド・キャップが軸方向に向いたシール部分を含み、
(D)前記軸方向に向いたシール部分が、前記ヨーク装置によって前記エアクリーナ・ハウジングに押し付けられ、それによって前記第1フィルタエレメントと前記エアクリーナ・ハウジングとの間にアクシアル・シールが形成されることを特徴とする請求項81に記載のシステム。
【請求項111】
ガスタービン・エンジンにより動力が供給される車両を含み、ガスタービン吸入空気を濾過するよう構成され配置されたエアクリーナを有するシステムであって、
前記エアクリーナが、
(a)第1のフィルタパネルと第2のフィルタパネルとを有する媒体を含み、
(i)前記第1のフィルタパネルと第2のフィルタパネルとのそれぞれが、媒体複合体のひだ付き構造を含み、前記ひだ付き構造が複数のひだを含み、
(ii)前記媒体複合体が、少なくとも部分的に層で覆われた基体を含み、
(A)前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.1〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性であり、
(b)縮合ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性であり、
(c)これらの混合物と、
からなる群から選択されたポリマー組成物を含むことを特徴とするシステム。
【請求項112】
前記付加ポリマーが、ポリハロゲン化ビニルポリマー、ポリハロゲン化ビニリデンポリマー、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項113】
前記縮合ポリマーが、環状ラクタムから得られた反復単位を有するホモポリマーを含んだナイロン・ポリマーを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項114】
前記縮合ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合されたナイロンコポリマーを含み、前記第2のナイロン・ポリマーの分子量またはモノマー組成が異なるものであることを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項115】
前記ポリマーがポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項116】
前記ポリビニルアルコールが、約1〜40重量%の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項115に記載のシステム。
【請求項117】
前記ナイロン・ポリマーが、第2のナイロン・ポリマーに結合され、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項113に記載のシステム。
【請求項118】
前記ポリマーを、示差走査熱量計で測定したときに単一相材料であることを示す単一ポリマー組成物が形成されるように処理することを特徴とする請求項117に記載のシステム。
【請求項119】
前記ポリマーがポリ塩化ビニルを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項120】
前記ポリ塩化ビニルが架橋されていることを特徴とする請求項119に記載のシステム。
【請求項121】
前記添加剤が、第3級ブチルフェノールを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項122】
前記添加剤が、
【化11】
を含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項121に記載のシステム。
【請求項123】
前記添加剤が、ビスフェノールAを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項124】
前記添加剤が、
【化12】
を含むことを特徴とする請求項123に記載のシステム。
【請求項125】
前記添加剤が、ジヒドロキシ置換ビフェニルを含んだオリゴマーを含むことを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項126】
前記添加剤が、
【化13】
を含むことを特徴とする請求項125に記載のシステム。
【請求項127】
(a)前記媒体が第1端部および第2端部を含み、
(b)前記第1および第2のフィルタパネルがV字形状に配置され、前記第1のフィルタパネルと第2のフィルタパネルとの間の前記媒体内に清浄な空気のスペースが形成されるように、前記第1端部から前記第2端部まで延びる方向に沿って互いから離れるように配置されることを特徴とする請求項111に記載のシステム。
【請求項128】
温度が少なくとも140°Fの空気を濾過する方法であって、
(a)前記空気を媒体複合体に通す工程を有し、
(i)前記複合体が、ひだ付き構造のシート状基体を含み、
(ii)前記基体が、少なくとも部分的に層で覆われ、前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.1〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族の特性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性である約2〜25重量%の添加剤と、
(b)縮合ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族の特性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性である約2〜25重量%の添加剤と、
(c)これらの混合物と、からなる群から選択されたポリマー組成物を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項129】
(a)前記空気を媒体に通す工程が、エンジン吸入空気流量が少なくとも3cfmのレートであるエンジンの吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、対向する第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する複数のひだを備えた管状の形を有することを特徴とする請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記空気を媒体に通す工程が、流体圧縮器の吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、少なくとも2インチのひだ深さをそれぞれ有する少なくとも40個のひだを備えたパネル・フィルタであることを特徴とする請求項128に記載の方法。
【請求項131】
(a)前記空気を媒体に通す工程が、ガスタービン動力供給タンクの吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、V字形状に配置された第1および第2のひだ付きフィルタパネルを含むことを特徴とする請求項128に記載の方法。
【請求項132】
(a)媒体であって、
(i)第1端部から第2端部に至る長さを有する複数のひだを有するシート状基体を含む、媒体複合体の構造体を有し、
(ii)前記構造体が、管状の形をとり、対向する前記第1端部と前記第2端部を有する開放内部を画定し、
(iii)前記シート状基体が少なくとも部分的に層で覆われ、
(A)前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件で試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.01〜0.5ミクロン直径のポリマー・ファインファイバを含み、前記ファイバが、縮合ポリマーと、分子量が約500〜3000で芳香族性を有する樹脂系材料を含む約2〜25重量%の添加剤とを含み、前記添加剤が前記縮合ポリマーに対して混和性であり、前記縮合ポリマーが、環状ラクタムと、C6〜10ジアミンモノマーまたはC6〜10二酸モノマーとから形成されたコポリマー以外のコポリマーを含む媒体と、
(b)第1のエンド・キャップおよび第2のエンド・キャップであって、
(i)前記媒体が、前記媒体の前記第1端部で前記第1のエンド・キャップに固定され、
(ii)前記媒体が、前記媒体の前記第2端部で前記第2のエンド・キャップに固定され、
(iii)前記第1および第2のエンド・キャプの少なくとも一方が、前記媒体に向かう方向に圧縮可能なポリウレタン材料を含んだシール部分を含む、第1のエンド・キャップおよび第2のエンド・キャップと、
を含むことを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項133】
前記ファイバのポリマーが溶液の成分から形成され、前記溶液が、その大部分を占める水性アルコール溶媒と、前記溶液に対して約3〜30重量%のポリマー組成物とを含み、微量の溶媒が前記ファイバ中に保持されることを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項134】
前記縮合ポリマーがポリアルキレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項135】
前記縮合ポリマーがポリアルキレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項136】
前記縮合ポリマーがポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項135に記載のフィルタエレメント。
【請求項137】
前記縮合ポリマーが第2のナイロン・ポリマーに結合し、前記第2のナイロン・ポリマーの分子量またはモノマー組成が異なることを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項138】
前記縮合コポリマーが第2のナイロン・ポリマーに結合し、前記第2のナイロン・ポリマーがアルコキシアルキル変性ポリアミドを含むことを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項139】
(a)前記シール部分が、成型されたままの状態の密度が14〜22ポンド/インチ3であるポリウレタン・フォームを含むことを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項140】
(a)前記第1のエンド・キャップが、開口中心を画定するリング状の形をとり、かつ前記開口中心に面する内部ラジアル面を含み、
(i)前記シール部分が前記内部ラジアル面を構成することを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項141】
(a)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナをさらに含み、
(i)前記内部支持ライナは前記シール部分と前記媒体との間にあることを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項142】
(a)前記第1および第2のエンド・キャップの少なくとも一方が外部ラジアル面を含み、
(i)前記シール部分が前記外部ラジアル面を有することを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項143】
(a)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する内部支持ライナと、
(b)前記第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する外部支持ライナと、
をさらに含み、
(i)前記複数のひだのそれぞれが、少なくとも6インチひだの長さと少なくとも1インチのひだの深さを有することを特徴とする請求項132に記載のフィルタエレメント。
【請求項144】
前記車両が軍用タンクを含むことを特徴とする請求項111に記載のフィルタエレメント。
【請求項145】
前記車両がバスを含むことを特徴とする請求項111に記載のフィルタエレメント。
【請求項146】
任意の動作期間中の温度が少なくとも140°Fである、車両用キャビンの流通空気を濾過するための方法であって、
(a)前記空気を媒体複合体に通す工程を含み、
(i)前記複合体が、ひだ付き構造のシート状基体を含み、
(ii)前記基体が、少なくとも部分的に層で覆われ、前記層が、16時間の試験時間中140°Fの空気および相対湿度100%の試験条件に試験暴露された後にファイバの30%よりも多い量をフィルタ目的のために変化しない状態で保っているような、約0.1〜0.5ミクロン直径のファインファイバを含み、
前記ファイバが、
(a)付加ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記ポリマーに対して混和性であり、
(b)縮合ポリマーおよび約2〜25重量%の添加剤と、
前記添加剤は、分子量が約500〜3000で、芳香族性を有する樹脂系材料を含み、かつ前記縮合ポリマーに対して混和性であり、
(c)これらの混合物と、
からなる群から選択されたポリマー組成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項147】
(a)前記空気を媒体に通す工程が、エンジン吸入空気流量が少なくとも3cfmのレートであるエンジンの吸気コンジット内に空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、対向する第1のエンド・キャップと第2のエンド・キャップとの間に延在する複数のひだを備えた管状の形を有することを特徴とする請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記空気を媒体に通す工程が、流体圧縮器の吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、少なくとも2インチのひだ深さをそれぞれ有する少なくとも40個のひだを備えたパネル・フィルタであることを特徴とする請求項147に記載の方法。
【請求項149】
(a)前記空気を媒体に通す工程が、吸気コンジット内に前記空気を向けることを含み、前記ひだ付き構造が、V字形状に配置された第1および第2のひだ付きフィルタパネルを含むことを特徴とする請求項148に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図19A】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図19A】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2012−135765(P2012−135765A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−42331(P2012−42331)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【分割の表示】特願2002−524606(P2002−524606)の分割
【原出願日】平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42331(P2012−42331)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【分割の表示】特願2002−524606(P2002−524606)の分割
【原出願日】平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
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