説明

めっき工程用テープ

【課題】耐熱性が高く、耐薬品性に優れ、繰り返し使用可能なめっき工程用フィルムを提供する。
【解決手段】樹脂組成物からなるめっき工程用テープにおいて、該樹脂組成物を、該樹脂組成物全体を100質量%として、30質量%以上70質量%以下のポリアリールケトン樹脂、および、30質量%以上70質量%以下の非晶性熱可塑性樹脂を含有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物からなる樹脂テープに関し、詳細には、めっき工程において好適に使用することができるめっき工程用テープに関する。
【背景技術】
【0002】
金属コネクタ等をリール状にして、ニッケル(Ni)めっき、パラジウム(Pd)めっき、半田めっき、銅(Cu)めっき、金(Au)めっき等の複数の電解めっき処理を連続で施すことが行われている。その際、リール毎に、製品形状や、めっきの種類、厚みが異なるため、電気制御でめっき条件を都度変更する必要がある。異なるめっき条件の複数のリールを、生産性を高めるために連続して処理する場合には、リール間に絶縁が必要である。このため、リール間を樹脂テープで繋いで、めっき条件を変更させて複数のリールが連続して製造されていた。
【0003】
この樹脂テープには、一連のめっき工程で使用される溶液に対する耐薬品性が必要であると共に、めっき処理後の乾燥工程での耐熱性も必要である。また、製品仕様変更の際に、樹脂テープがめっき浴や、乾燥炉に、ある程度の時間滞留する場合がある。よって、このような場合も想定して、より高いレベルでの耐薬品性、耐熱性が求められる。
【0004】
また、めっき処理液の乾燥を早め、生産性を向上させる目的で、乾燥温度は高温(例えば150℃程度)に設定される。また、実際には乾燥炉内の温度変動があるため、部分的には設定温度以上の温度が樹脂テープにかかる場合もある。さらに、このような温度環境下において、製品使用変更の際(段替えの作業の際)には、一定の負荷(張力)がかかっている。よって、このような条件に耐え、樹脂テープを構成する樹脂が劣化したり、伸びたり、破断したりすることがなく繰り返し使用可能な樹脂テープが求められている。
【0005】
このような要求に対し、従来、耐熱性、耐薬品性を兼ね備えるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を用いた樹脂テープが用いられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる樹脂テープは、耐薬品性は問題ないものの、ガラス転移温度が150℃程度であることから耐熱性に問題があった。例えば、乾燥炉の設定温度が150℃であった場合、乾燥炉内は、部分的に150℃以上になる場合が多く、そういった温度環境下で工程内に滞留した場合、ポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる樹脂テープは、伸びたり破断したりして、繰り返し使用できなくなるという問題が起こっていた。
【0007】
そこで、本発明の課題は、耐熱性が高く、耐薬品性に優れ、繰り返し使用可能なめっき工程用テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアリールケトン樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
【0009】
第1の本発明は、樹脂組成物からなる樹脂テープであって、該樹脂組成物が、該樹脂組成物全体を100質量%として、30質量%以上70質量%以下のポリアリールケトン樹脂、および、30質量%以上70質量%以下の非晶性熱可塑性樹脂を含有するものである、めっき工程用テープである。
【0010】
第1の本発明のめっき工程用テープにおける、動的粘弾性測定による165℃における貯蔵弾性率(E’)は、1GPa以上とすることができる。このように、本発明のめっき工程用テープは耐熱性が高く、炉内の高温環境下においても破断・伸びを生じることなく繰り返し使用することができる。
【0011】
第1の本発明において、ポリアリールケトン樹脂はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であることが好ましい。PEEKを使用することにより、めっき工程用テープの耐熱性、耐薬品性がより優れたものとなる。また、非晶性熱可塑性樹脂はポリエーテルイミドであることが好ましい。ポリエーテルイミドは、ポリエーテルエーテルケトンとの相溶性が高く、めっき工程用テープの耐熱性、耐薬品性がより優れたものとなる。
【0012】
第2の本発明は、第1の本発明のめっき工程用テープを用いためっき方法であって、複数の被めっき材料を前記めっき工程用テープで繋いでめっきを行う工程を備えた、めっき方法である。第2の本発明のめっき方法によると、めっき条件を変更させた複数製品を連続的に製造することができる。また、その際に、被めっき材料同士を繋いでいるめっき工程用テープが耐薬品性、耐熱性に優れ、繰り返し使用できるものであるため、めっき作業中のテープの破断・伸び等の不具合を防ぐことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のめっき工程用テープは、ポリアリールケトン樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とを所定の割合で備えた樹脂組成物からなるため、耐熱性が高く、耐薬品性に優れ、繰り返し使用可能なめっき工程用テープとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のめっき工程用テープは、ポリアリールケトン樹脂および非晶性熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物からなる。
【0015】
<樹脂組成物>
(ポリアリールケトン樹脂)
ポリアリールケトン樹脂は、その構造単位に芳香族環、エーテル結合およびケトン結合を含む熱可塑性樹脂である。
【0016】
ポリアリールケトン樹脂の具体例としては、ポリエーテルケトン(ガラス転移温度(以下、「Tg」という場合がある。):157℃、結晶融解ピーク温度(以下、「Tm」という場合がある。):373℃)、ポリエーテルエーテルケトン(Tg:143℃、Tm:334℃)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(Tg:153℃、Tm:370℃)等を挙げることができる。
【0017】
ポリアリールケトン樹脂としては、耐熱性向上の観点から、結晶性を示し、Tmが260℃以上、特に300℃以上380℃以下のものが好ましい。また、ポリアリールケトン樹脂は、本発明の効果を阻害しない限り、ビフェニル構造、スルホニル基等またはその他の繰り返し単位を含むものであってもよい。
【0018】
上記したポリアリールケトン樹脂の中でも、下記構造式(1)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンを主成分とするポリアリールケトン樹脂が特に好ましく用いられる。ここで「主成分」とは、その含有量が50質量%を超えることを意味する。市販されているポリエーテルエーテルケトンとしては、VICTREX社製の商品名「PEEK151G」(Tg:143℃、Tm:334℃)、「PEEK381G」(Tg:143℃、Tm:334℃)、「PEEK450G」(Tg:143℃、Tm:334℃)等を挙げることができる。なお、ポリアリールケトン系樹脂は、単独でも、または2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0019】
【化1】

【0020】
(非晶性熱可塑性樹脂)
非晶性熱可塑性樹脂としては、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)等が挙げられる。その中でも、ポリアリールケトン樹脂との相溶性を考慮すると、ポリエーテルイミドを用いることが好ましい。具体的には下記構造式(2)または(3)で表される繰り返し単位を有する非晶性ポリエーテルイミド樹脂が挙げられる。
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

【0023】
構造式(2)または(3)で表される繰り返し単位を有する非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、4,4’−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物と、p−フェニレンジアミンまたはm−フェニレンジアミンとの重縮合物として、公知の方法により製造することができる。これらの非晶性ポリエーテルイミド樹脂の市販品としては、ゼネラルエレクトリック社製の商品名「Ultem 1000」(Tg:216℃)、「Ultem 1010」(Tg:216℃)または「Ultem CRS5001」(Tg:226℃)等が挙げられる。中でも、構造式(3)で表される繰り返し単位を有する非晶性ポリエーテルイミド樹脂が特に好ましい。なお、非晶性熱可塑性樹脂は、単独でも、または2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0024】
(混合割合)
本発明のめっき工程用に使用される樹脂テープには、耐薬品性、耐熱性、および乾燥工程等の高温環境下での高弾性率等の特性が要求される。ポリアリールケトン樹脂および非晶性熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物において、ポリアリールケトン樹脂の割合を増加させると耐薬品性は向上するが、ガラス転移温度の低下により、乾燥工程等の高温環境下での剛性に劣りテープが伸びたりする場合がある。また、非晶性熱可塑性樹脂の割合を増加させると耐薬品性や弾性率は劣るが、ガラス転移温度が上昇し、乾燥工程等の高温環境下での剛性に優れる。そこで、本発明のめっき工程用テープを構成する樹脂組成物におけるポリアリールケトン樹脂および非晶性熱可塑性樹脂の混合割合は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、ポリアリールケトン樹脂を30質量%以上70質量%以下、非晶性熱可塑性樹脂を30質量%以上70質量%以下とされる。また、ポリアリールケトン樹脂を40質量%以上60質量%以下、非晶性熱可塑性樹脂を40質量%以上60質量%以下とすることが好ましく、さらには、ポリアリールケトン樹脂を45質量%以上55質量%以下、非晶性熱可塑樹脂を45質量%以上55質量%以下とすることがより好ましい。このような範囲内で混合割合を調製することにより、製造されるめっき工程用テープの耐薬品性を保持しつつ、ガラス転移温度を向上させ、乾燥炉内でテープが滞留した場合においても、テープが伸びたり、破断したりすることがない。
【0025】
図1に、ポリエーテルエーテルケトン単体、ポリエーテルイミド単体、非晶および結晶の樹脂組成物(ポリエーテルエーテルケトン/ポリエーテルイミド=50質量%/50質量%)の弾性率の温度変化を示した。これより、乾燥炉温度範囲(150℃〜170℃程度)において、樹脂組成物が高弾性率を保持していることが分かる。PEEK単体では、乾燥炉温度範囲内での弾性率が低下し好ましくなく、PEI単体では、該温度範囲内の弾性率は高いが、耐薬品性に劣るため好ましくない。
【0026】
本発明のめっき工程用テープを構成する樹脂組成物のガラス転移温度は、150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましく、170℃以上がさらに好ましい。さらに、非晶性熱可塑性樹脂の混合割合を増加させると、耐熱性には優れるが、テープの弾性率が低下する傾向にある。そこで、本発明のテープを構成する樹脂組成物を結晶化処理させることが好ましい。結晶化処理を施すことによって、弾性率を低下させずに、耐熱性を向上させることが可能となる。
【0027】
樹脂組成物には、以下に示す無機充填材や添加剤等を含有させてもよいが、樹脂組成物中における主成分は、上記したポリアリールケトン樹脂、および、非晶性熱可塑性樹脂である。ここでの主成分とは、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、ポリアリールケトン樹脂、および、非晶性熱可塑性樹脂を、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上含有することである。
【0028】
(無機充填材)
樹脂組成物は、無機充填材を含有していても良い。無機充填材としては、特に制限はなく、公知のいかなるものも使用できる。無機充填材としては、例えば、タルク、マイカ、雲母、ガラスフレーク、窒化ホウ素(BN)、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウム、板状シリカ、板状チタン酸カリウム等が挙げられる。これらは1種類を単独で添加してもよく、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
【0029】
(各種添加剤等)
樹脂組成物には、その性質を損なわない程度に、他の樹脂や、上記無機充填材以外の各種添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜配合しても良い。また、本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)各種添加剤をポリアリールケトン樹脂および/または非晶性熱可塑性樹脂等の適当なベース樹脂に高濃度(代表的な含有量としては10質量%〜60質量%)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これに樹脂を混合させて濃度を調整し、ニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法、(b)使用する樹脂に直接各種添加剤をニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法等が挙げられる。上記混合方法の中では、(a)のマスターバッチを作製し、混合する方法が分散性や作業性の点から好ましい。さらに、フィルム(めっき工程用テープ)の表面にはハンドリング性の改良等のために、エンボス加工やコロナ処理等を適宜施しても良い。
【0030】
<めっき工程用テープ>
本発明のめっき工程用テープの厚みは、50〜500μmであることが好ましい。より好ましくは、100〜400μmであり、さらに好ましくは200〜300μmである。かかる範囲であれば、一定の張力下で、高温にさらされても、絶縁テープが破断したり、伸びたりすることを抑制できる。
【0031】
本発明のメッキ工程用テープの製膜方法としては、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではない。中でも、シートの製膜性や安定生産性等の面から、Tダイを用いる押出キャスト法を採用することが好ましい。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね樹脂組成物の融点以上、430℃以下である。
【0032】
また、ポリアリールケトン樹脂として結晶性樹脂を使用した場合、耐熱性を付与するための結晶化処理方法は、特に限定されるものではないが、例えば、押出キャスト時に結晶化させる方法(キャスト結晶化法)、製膜ライン内で、熱処理ロールや熱風炉等により結晶化させる方法(インライン結晶化法)、および、製膜ライン外で、熱風炉や熱プレス等により結晶化させる方法(アウトライン結晶化法)等を挙げることができる。本発明の絶縁テープは、耐熱性を向上する目的で、上記結晶化処理を行うことが好ましいが、ポリエーテルエーテルケトン樹脂からなるテープに比較し、ガラス転移温度が高いため、ポリアリールケトン樹脂が非晶のままでも、めっきテープの用途には十分な耐熱性を有する。
【0033】
<めっき方法>
本発明のめっき方法は、上記しためっき工程用テープにより、複数の被めっき材料を繋いで、めっきを行う工程を備えて構成される。これにより、めっき条件を変更させた複数の製品を連続して製造することができる。被めっき材料としては、めっきを行う金属材料であれば特に限定されないが、本発明では連続してめっき処理するものを対象とするため、金属の長尺材料、例えば、金属リールが挙げられる。めっきとしては、従来から行われている通常のめっきを挙げることができ、例えば、ニッケルめっき、パラジウムめっき、半田めっき、銅めっき、金めっき等が挙げられる。めっきは、複数のめっきを連続して施すものであってもよい。
【0034】
例えば、金属コネクタのリールを被めっき材料とし、ニッケルめっき、パラジウムめっき、金メッキおよび半田めっきを順に施す場合、まず、リールから巻き出された金属コネクタに対して、前処理が行われる。前処理としては、アルカリ脱脂、電解脱脂、活性化等が挙げられる。その後、各めっき処理が順に行われる。そして、後処理として、防錆処理、乾燥、湯洗等が行われ、最後にリールに巻き取られる。
【0035】
このような連続めっき処理において、本発明のめっき工程用テープは、被めっき材料同士を繋ぐために使用される。例えば、製品Aが金属コネクタ(リール1)に対して1μm厚のめっきを施したものであり、製品Bが金属コネクタ(リール2)に対して2μm厚のめっきを施したものである場合、リール1とリール2とを本発明のめっき工程用テープで繋いで、まず、リール1の金属コネクタに対して1μm厚のめっきを施し、リール1の終了後、めっき条件を変更させて、リール2に対して2μm厚のめっきを施すことができる。これにより、複数製品を連続して製造することができる。なお、リール1とリール2とをめっき工程用テープで繋ぐ作業は、あらかじめ行っておいてもよいし、リール1のめっきの終了直前にラインを止めて、リール1とリール2とをめっき工程用テープにより繋いでもよい。
【0036】
上記したように、めっき処理においては、前処理、めっき処理等において複数の薬品に接触するため、耐薬品性が必要である。また、後処理における乾燥では、高温にさらされるため、耐熱性が必要である。さらに、製品仕様変更の際には、めっき工程用テープには一定の負荷がかかる。よって、このような負荷に耐え、伸びたり破断したりせず、繰り返し使用できるものであることが必要である。本発明のめっき工程用テープは、このような要求に応えることができるものである。
【実施例】
【0037】
以下、実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書中に示されるフィルム等についての種々の測定値および評価は以下のようにして求めた。
【0038】
[結晶融解ピーク温度(Tm)]
示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いて、JIS K7121に準じて、試料10mgを加熱速度10℃/分で昇温したときのサーモグラフから求めた。
【0039】
[ガラス転移温度]
示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いて、JIS K7121に準じて、試料10mgを加熱速度10℃/分で昇温したときのサーモグラフから求めた。
【0040】
[動的粘弾性測定]
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティ計測社製)を用いて、振動周波数1Hz、歪0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmの条件下で測定し、165℃の貯蔵弾性率の値を求めた。
【0041】
[耐伸び性評価]
熱処理オーブンにて、165℃環境下で、10mm巾、10cm長さのテープの一方を固定し、他方に49Nの力をかけて引っ張り、60分間放置後のテープの伸びを確認した。
○:テープは伸びず、実用上、繰り返し使用可能であった。
×:テープは伸び、実用上、繰り返し使用に適さなかった。
【0042】
[耐薬品性評価]
銅めっき工程に使用される下記表1に記載の薬品、条件に対して、評価を行った。
○:テープの外観上変化はなかった。
×:テープの外観上変化があった(脆くなった。)。
【0043】
【表1】

【0044】
(実施例1)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK450G、Tm=334℃、Tg=143℃)50質量%と、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(Ultem 1000)50質量%とからなる樹脂混合物を溶融混練し、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度380℃で、厚さ300μmのフィルムを作製した。その評価結果を表2に示す。
【0045】
(実施例2)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK450G、Tm=334℃、Tg=143℃)50質量%と、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(Ultem 1000)50質量%とからなる樹脂混合物を溶融混練し、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度380℃で、厚さ300μmのフィルムを作製し結晶化処理を行った。その評価結果を表2に示す。
【0046】
(実施例3)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK450G、Tm=334℃、Tg=143℃)60質量%と、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(Ultem 1000)40質量%とからなる樹脂混合物を溶融混練し、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度380℃で、厚さ300μmのフィルムを作製した。その評価結果を表2に示す。
【0047】
(実施例4)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK450G、Tm=334℃、Tg=143℃)40質量%と、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(Ultem 1000)60質量%とからなる樹脂混合物を溶融混練し、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度380℃で、厚さ300μmのフィルムを作製した。その評価結果を表2に示す。
【0048】
(比較例1)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK450G、Tm=334℃、Tg143℃)を溶融混練し、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度380℃で、厚さ300μmのフィルムを作製し、結晶化処理を行った。その評価結果を表2に示す。
【0049】
(比較例2)
非晶性ポリエーテルイミド樹脂(Ultem 1000、Tg=216℃)を溶融混練し、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度380℃で、厚さ300μmのフィルムを作製した。その評価結果を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うめっき工程用テープおよびめっき方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】各樹脂の弾性率の温度変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物からなるテープであって、
該樹脂組成物が、該樹脂組成物全体を100質量%として、30質量%以上70質量%以下のポリアリールケトン樹脂、および、30質量%以上70質量%以下の非晶性熱可塑性樹脂を含有するものである、めっき工程用テープ。
【請求項2】
動的粘弾性測定により、165℃における貯蔵弾性率(E’)が1GPa以上である、請求項1に記載のめっき工程用テープ。
【請求項3】
前記ポリアリールケトン樹脂がポリエーテルエーテルケトンである、請求項1または2に記載のめっき工程用テープ。
【請求項4】
前記非晶性熱可塑性樹脂がポリエーテルイミドである、請求項1〜3のいずれかに記載のめっき工程用テープ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のめっき工程用テープを用いためっき方法であって、
複数の被めっき材料を前記めっき工程用テープで繋いでめっきを行う工程を備えた、めっき方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−167280(P2009−167280A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6209(P2008−6209)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】