説明

めっき方法

【課題】ムラがなくベース金属層との密着性の高いめっき層を容易に形成することができる無電解めっき方法を提供する。
【解決手段】シリコン基板10のベース金属層18に無電解めっきによりめっき層を形成する方法において、酸洗浄したシリコン基板10を、前処理槽210に収容されためっき液から金属成分、及び、安定剤、錯化剤、還元剤等の一あるいは一以上の成分を除去した処理液110に浸漬し前処理を行った後に、無電解めっき槽220にて無電解めっきを行い、めっき層20を得る無電解めっき方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース金属上にめっき層を形成するめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの表面に配線を設けるなど、基板の微細な部分に所定形状の金属層を形成することがある。例えば、ワイヤーボンディングを実装する配線等が挙げられるが、金属層を形成する方法としては、スパッタリング法などが知られている。しかしながら、金属層を比較的厚く形成する場合には、スパッタリング法はコストがかかる、形成した金属層のソリが大きくなるという問題がある。
【0003】
このため、スパッタリング法等によりベース金属層を形成した後、このベース金属層上に無電解めっきによりめっき層を形成することで比較的厚い金属層を形成している。例えば、置換金めっき液により置換金めっき膜を形成し、水洗後さらに還元型無電解めっきを行う方法(例えば特許文献1参照)、銅箔を設け、パラジウムにより銅箔の表面を活性化させ、その上にニッケルめっき層を設け、置換型無電解金めっきにより薄い金めっき層を形成し、最後に自己触媒型無電解めっきを行う方法(例えば特許文献2参照)などが挙げられる。
【0004】
従来のめっき方法では、無電解めっき槽内のめっき液の温度管理や基板の表面のイオン濃度を一定に管理することが非常に困難であり、めっきムラの大きな要因になっていた。このため、このようなめっき方法は、電子デバイス部品のような電気的精度が要求されるものでは実用化されていなかった。
【0005】
また、ワイヤーボンディングを実装する金配線等のような密着性が要求されるものでは、ベースの金属層とめっき層の密着性が不可欠であるが、上述した方法では、ベース金属とめっき層との境界に隙間のようなものが発生したり、異物が析出したりすることで、密着強度が落ちるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平11−21672号公報
【特許文献2】特開2003−129252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、ムラがなくベース金属層との密着性の高いめっき層を容易に形成することができるめっき方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の態様は、ベース金属層上にめっき液を用いて無電解めっきすることによりめっき層を形成するめっき方法において、前記めっき層を形成する前に前記めっき液から金属成分を除去した処理液によって前記ベース金属層の表面に前処理を行うことを特徴とするめっき方法にある。
かかる第1の態様では、めっき液から金属成分を除去した液を処理液として用いるため、処理液がベース金属層表面を荒らす虞がなく、ベース金属層表面に不純物が付着する虞もなく、形成されるめっき層はベース金属層との密着性が高くムラのないめっき層となる。また、めっき液の寿命が長くなる。
【0009】
本発明の第2の態様は、前記処理液が前記めっき液に含まれる安定剤、還元補助剤、錯化剤を含有することを特徴とする第1の態様のめっき方法にある。
かかる第2の態様では、より効果的にベース金属層上に密着性が高くムラのないめっき層を形成することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記処理液に含まれる各成分の安定剤に対する比率が、前記めっき液と同一であることを特徴とする第2の態様のめっき方法にある。
かかる第3の態様では、より効果的にベース金属層上に密着性が高くムラのないめっき層を形成することができる。
【0011】
本発明の第4の態様は、前記処理液は前記めっき液から隠蔽剤をさらに除去したものであることを特徴とする第1〜3の何れかの態様のめっき方法にある。
かかる第4の態様では、より効果的にベース金属層上に密着性が高くムラのないめっき層を形成することができる。
【0012】
本発明の第5の態様は、前記処理液は前記めっき液から還元剤をさらに除去したものであることを特徴とする第1〜4の何れかの態様のめっき方法にある。
かかる第5の態様では、より効果的にベース金属層上に密着性が高くムラのないめっき層を形成することができる。
【0013】
本発明の第6の態様は、前記めっき液が複数種類の錯化剤を含有し、前記処理液は少なくとも1種類の錯化剤を除去したものであることを特徴とする第1〜5の何れかの態様のめっき方法にある。
かかる第6の態様では、より効果的にベース金属層上に密着性が高くムラのないめっき層を形成することができる。
【0014】
本発明の第7の態様は、前記処理液の温度Tと、前記めっき液の温度Tとの差(T−T)が±5℃以内であることを特徴とする第1〜6の何れかの態様のめっき方法にある。
かかる第7の態様では、めっき層の異常析出を防止することができる。
【0015】
本発明の第8の態様は、前記めっき層が金からなることを特徴とする第1〜7の何れかの態様のめっき方法にある。
かかる第8の態様では、ベース金属層上に異常析出が殆ど無くムラのない金めっき層を形成することができる。
【0016】
本発明の第9の態様は、前記ベース金属層が金からなることを特徴とする第1〜8の何れかの態様のめっき方法にある。
かかる第9の態様では、金からなるベース金属層上に異常析出が殆ど無くムラのない金めっき層を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のめっき方法は、ベース金属層上にめっき層を形成するものである。具体的には、めっき液から少なくとも金属成分を除去した処理液によりベース金属層表面を前処理し、めっき液を用いた無電解めっきによりめっき層を形成する。
【0018】
以下、実施形態に基づいて本発明の詳細を説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態のめっき方法により形成した配線の図である。シリコン基板10上に設けられた配線30は、NiCrからなる下地層16と、この上に設けられた金層22とからなる。金層22は、スパッタ金属層18とめっき層20とからなるものである。本実施形態では、下地層16とスパッタ金属層18とが、本発明にかかるベース金属層に該当する。
【0019】
図2及び図3は上記配線の形成工程を示す図である。図2及び図3を用いて、本実施形態のめっき方法を説明する。
【0020】
まず、図2(a)に示すように、シリコン基板10上に、例えばスパッタリング法によって下地層16となる厚さ20nm程度のNiCr層15を形成する。
【0021】
次に、図2(b)に示すように、NiCr層15上に、例えばスパッタリング法によってスパッタ金属層18となる厚さ200nm程度のAu層17を形成する。
【0022】
次に、図2(c)に示すように、形成されたNiCr層15及びAu層17をフォトリソグラフィ法により所定形状にパターニングすることで、下地層16及びスパッタ金属層18を形成する。
【0023】
次に、図3(a)に示すように、酸洗浄槽200に満たされた酸性溶液100に、シリコン基板10を浸漬させて、スパッタ金属層18表面を洗浄する。すなわち、スパッタ金属層18表面に付着した有機物を除去する。酸性溶液100は、スパッタ金属層18表面を洗浄できるものであればよく、例えば、塩酸、硫酸等を挙げることができる。なお、本実施形態では、酸性溶液100として常温の10%硫酸を用いた。この酸性溶液100にシリコン基板10全体を10分間浸漬させた。
【0024】
次に、図3(b)に示すように、シリコン基板10を、水洗することなく、前処理槽210に満たされた処理液110に浸漬させて、図3(a)の工程でシリコン基板10に付着した酸性溶液100を除去すると共に前処理を行う。なお、本実施形態では、処理液110を60℃に保ち、シリコン基板10を5分間浸漬させた。
【0025】
ここで、処理液110について説明する。
無電解めっきで用いられるめっき液120は、安定剤、還元剤、錯化剤、隠蔽剤、還元補助剤及び析出金属である金イオンを含有するものであり、本実施形態では処理液110として、めっき液120から金イオン、隠蔽剤、及び還元剤を除去した液を用いた。すなわち、処理液110は、安定剤、還元補助剤、錯化剤を含有し、これらはめっき液120に含まれる安定剤、還元補助剤、錯化剤と同一の化合物である。
【0026】
このように処理液110は、後の工程で使用するめっき液120から少なくとも金属成分を除いたもの、さらに好ましくは隠蔽剤、還元剤を除去したものであり、他はめっき液120と同一の成分を含有するものである。処理液110は、めっき液120と同一の成分を含有するため、無電解めっきを阻害しないものであるといえる。
【0027】
処理液110は、めっき液120の成分において、使用によって減少していく傾向が強い成分、例えば錯化剤を含有させるのが好ましい。めっき液120の成分の低下を軽減することができるからである。なお、めっき液120が複数種類の錯化剤を含有する場合には、処理液110は少なくとも1種類の錯化剤を除去することが好ましい。処理液110において錯化剤の種類が多すぎると、めっき層20の形成を阻害する虞があるからである。ただし、勿論、めっき層20の形成を阻害する虞がない場合は、処理液110が錯化剤を2種類以上含有してもよい。
【0028】
また、処理液110は、安定剤、還元補助剤を含有するのが好ましい。処理液110の前処理の効果を十分に発揮するためである。
【0029】
処理液110はめっき液120と同一の隠蔽剤、還元剤を含有していてもよいが、含有しないほうが好ましい。これらの成分はめっき液120中で濃度が増大するとめっき特性を阻害しやすい傾向にある成分であるからである。
【0030】
上述したように、処理液110には無電解めっきを阻害する成分が含まれていないため、この処理液110によってスパッタ金属層18表面(ベース金属層表面)の前処理を行うことで、従来のようにスパッタ金属層18の水洗によって表面に酸素等の異物が付着して隙間等の境界が発生するという虞がない。このため、スパッタ金属層18表面(ベース金属層表面)との密着性が高くムラのないめっき層を形成することができる。また、処理液110がスパッタ金属層18表面(ベース金属層表面)を荒らす虞もない。
【0031】
また、処理液110は、複数回使用することが可能である。ただし、使用毎にシリコン基板10に付着した酸性溶液100によりpHが低下するので、所定のpHとなったところで交換する、又は使用毎にpH調整剤によりpHを調整する。
【0032】
一方、処理液110により前処理を行うことで、めっき液120の寿命は長くなる。一般にめっき液120のpHが低くなるとめっきの析出速度が遅くなることが知られており、めっき液120は所定のpHとなったところで交換が必要となるが、本発明のめっき方法ではこの交換までの期間が長くなる。前処理においてシリコン基板10全体がめっき液120と同程度のpHとなるために、めっき液120のpHを著しく低下させる虞がないからである。例えば、スパッタ金属層18表面(ベース金属層表面)の酸洗浄を行った後に、水洗し、無電解めっきを行うという従来のめっき方法では、水洗により酸を除去したつもりでも、シリコン基板10全体のpHは低下しているためにめっき液120のpHの低下を招いていた。これに対し、本発明にかかる前処理においては、処理液110は、酸を除去すると共にシリコン基板10全体のpHをめっき液120のpHの±1以内、好適には同じとすることができ、めっき液120のpHの低下を防止することができる。このため、めっき液120の寿命が長くなる。
【0033】
また、処理液110に含まれる還元補助剤、錯化剤の各成分の安定剤に対する比率が、めっき液120と同一であることが好ましい。より効果的にスパッタ金属層18上に密着性が高くムラのないめっき層20を形成することができるからである。なお、ここでいう還元補助剤、錯化剤の各成分の安定剤に対する比率とは、安定剤と還元補助剤、又は安定剤と錯化剤とのモル比のことである。処理液110が還元剤、隠蔽剤を含有する場合も、還元剤、隠蔽剤の各成分の安定剤に対する比率が、めっき液と同一であることが好ましい。
【0034】
表1に上記で説明した処理液とめっき液との成分比の関係を例示する。なお、めっき液Aの各成分を100としたときのそれぞれの成分比を示した。
【0035】
【表1】

【0036】
無電解めっきの際に表1のめっき液Aを用いる場合は、処理液Aにより前処理を行い、めっき液Bを用いる場合は処理液B、めっき液Cを用いる場合は処理液Cにより前処理を行う。
【0037】
表1において、めっき液Aは、安定剤、2種の錯化剤、還元剤、還元補助剤、隠蔽剤、Auイオンを含有するものであり、このときの処理液Aは、安定剤、1種の錯化剤、還元補助剤を含有する液である。すなわち、処理液Aは、めっき液Aから1種の錯化剤、還元剤、隠蔽剤、Auイオンを除去したものである。
【0038】
めっき液Bは、めっき液Aとは配合が異なる液である。めっき液Bの錯化剤2の割合は、めっき液Aに対して60%であるが、処理液Bの錯化剤2の割合も同様にめっき液Aに対して60%である。そして、処理液Bの錯化剤1と安定剤との比率(60:100)が、めっき液Bの錯化剤1と安定剤との比率(60:100)と同一である。
【0039】
めっき液Cにおいては、錯化剤が2種ではなく1種である。このときの処理液Cは、錯化剤を除去しない液である。すなわち、処理液Cは、めっき液Cから還元剤、隠蔽剤、Auイオンを除去したものである。
【0040】
また、処理液110の温度Tと、めっき液120の温度Tとの差(T−T)は±5℃以内であるのが好ましい。めっき層の異常析出を防止するためである。温度差が大きすぎると、無電解めっきにおいて金属の析出が遅くなり、異常析出が発生しやすくなる。
【0041】
最後に、図3(c)に示すように、無電解めっき槽220に満たされた無電解めっき液120に、シリコン基板10を浸漬させる。本実施形態では、無電解めっき液120を60℃に保ち、シリコン基板10を3時間浸漬させた。めっき液120中の金イオンが還元剤により還元されることで、スパッタ金属層18上に金として析出する。
【0042】
なお、無電解めっき液120の温度Tは、50〜80℃が好ましく、温度がある程度高い方がめっきの析出速度は速くなる。上述したように、処理液110の温度Tと、めっき液120の温度Tとの差(T−T)は±5℃以内であるのが好ましいので、処理液110の温度Tは、45〜85℃が好ましい。
【0043】
無電解めっき液120からシリコン基板10を取り出すと図3(d)のように、スパッタ金属層18上に均一な厚さの金からなる厚さ1μm程度の厚いめっき層20が形成された。なお、図3(d)では便宜上、スパッタ金属層18とめっき層20の境界線を設けたが、実際にはスパッタ金属層18とめっき層20はいずれも金からなり、且つ上述した処理液110で前処理したために境界が観察できないほど一体に形成される。すなわち、下地層16上に厚さ1.2μm程度の厚い金層22が形成された。
【0044】
以上により、シリコン基板10上に下地層16と金層22とからなる配線30が形成される。
【0045】
本発明のめっき方法は、シリコン基板10の表面やスパッタ金属層18の表面を荒らしたり、シリコン基板10に応力をかけることがないため、めっき層20への光学的な特性や電気的特性を阻害するといった特性面への影響を防止して、安定しためっき層20を形成することができる。
【0046】
なお、本発明のめっき方法は、本実施形態に限定されるものではない。
【0047】
本実施形態では、所定形状にパターニングしたベース金属上にめっき層を形成するようにしたが、勿論、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基板一面に設けられたベース金属上にめっき層を形成するようにしてもよい。
【0048】
また、下地層16とめっき層20との密着力を高めるために、下地層16を構成する金属層の材料にNiCrを用いたが、金属層としては、ニッケルクロム(NiCr)の他に、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、あるいはこれらの合金等の卑金属材料が挙げられる。
【0049】
本実施形態では、金からなるスパッタ金属層18上にめっき層20を形成したが、下地層16のみをベース金属層とし、下地層16の上に直接めっき層20を形成することもできる。
【0050】
一方、めっき層20を構成する金属は、本実施形態では金(Au)を用いたが、その他にも例えば、銅(Cu)、錫(Sn)、白金(Pt)等が挙げられる。
【0051】
基板としてシリコン基板10を用いたが、基板はこれに限定されない。
【0052】
本実施形態では、シリコン基板10全体を酸性溶液100、処理液110、無電解めっき液120に浸漬させたが、被めっき部位、すなわちスパッタ金属層18の表面が浸漬していればよい。
【0053】
本実施形態では、めっき層20の形成工程において、スパッタ金属層18の表面を洗浄するために酸洗浄を行ったが、洗浄はアッシングでもよい。また、これらスパッタ金属層18の表面を洗浄する工程を省いてもよい。
【0054】
本発明のめっき方法は、めっき液から少なくとも金属成分を除去した液を処理液とすることで、処理液がベース金属層表面を荒らす虞がなく、ベース金属層表面に不純物が付着する虞もない。このため、ベース金属層表面に異物が付着して、ベース金属層とめっき層との境界に隙間等が発生する虞がなく、密着性が高くムラのないめっき層を形成することができる。
【0055】
本発明のめっき方法は、従来のめっきの形成方法に比べて密着性が上がるため、例えば配線等を形成する際、配線の電気抵抗が下がり、設計マージンが広くなる。このため、高密度実装を実現することが可能となる。
【0056】
また、処理液の含有成分は、めっき液の含有する成分のみからなるものであるため、めっき液とは全く異なる種類の液により前処理するものと比べてコストを削減できるだけでなく、処理液とめっき液を別々の工程で廃水処理する必要もない。すなわち、同経路で廃水処理することが可能であり、廃水処理のコストも削減できる。
【0057】
また、前処理では、特殊な物質や危険物質、環境汚染物質などを使用することがないため、本発明のめっき方法は、環境にやさしく比較的簡便な工程からなる。
【0058】
(実施例1)
上述した図2の工程に従って、シリコン基板10上に、NiCrからなる下地層16を50nm、Auからなるスパッタ金属層18を200nmとなるように形成した。
【0059】
その後、シリコン基板10全体を濃度10%の硫酸に10分間浸漬させて洗浄した。表1に示す処理液Aを60℃とし、シリコン基板10を5分間浸漬させて前処理を行った。最後に、表1に示すめっき液Aを60℃とし、シリコン基板10を3時間浸漬させて取り出し、厚さ1μmのめっき層20を形成することで、配線を形成した。
【0060】
(比較例)
処理液Aによる前処理の代わりに水洗処理を行った以外は実施例1と同様にして配線を形成した。
【0061】
実施例1及び比較例の配線の表面状態を観察した。図4は実施例1のシリコン基板の側面の一部を示す拡大写真である。図5は比較例のシリコン基板の側面の一部を示す拡大写真である。図4に示すように実施例1のスパッタ金属層とめっき層との間に隙間は観察されなかった。これに対し、図5に示す比較例のスパッタ金属層とめっき層との間には隙間が観察された。
【0062】
これより、本発明のめっき方法は、ムラがなくベース金属層との密着性の高いめっき層を形成することができることがわかった。
【0063】
(実施例2)
処理液Aの代わりに処理液B、めっき液Aの代わりにめっき液Bを用いた以外は実施例1と同様にして配線を形成したところ、実施例1と同様にスパッタ金属層と一体的なめっき層が形成できた。
【0064】
(実施例3)
処理液Aの代わりに処理液C、めっき液Aの代わりにめっき液Cを用いた以外は実施例1と同様にして配線を形成したところ、実施例1と同様にスパッタ金属層と一体的なめっき層が形成できた。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態のめっき方法により形成した配線の図である。
【図2】本実施形態に係る配線の形成工程を示す図である。
【図3】本実施形態に係る配線の形成工程を示す図である。
【図4】実施例1のシリコン基板の側面の一部を示す拡大写真である。
【図5】比較例のシリコン基板の側面の一部を示す拡大写真である。
【符号の説明】
【0066】
10 シリコン基板、 16 下地層、 18 スパッタ金属層、 20 めっき層、 22 金層、 30 配線、 100 酸性溶液、 110 処理液、 120 無電解めっき液、 200 酸洗浄槽、 210 前処理槽、 220 無電解めっき槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース金属層上にめっき液を用いて無電解めっきすることによりめっき層を形成するめっき方法において、前記めっき層を形成する前に前記めっき液から金属成分を除去した処理液によって前記ベース金属層の表面に前処理を行うことを特徴とするめっき方法。
【請求項2】
前記処理液が前記めっき液に含まれる安定剤、還元補助剤、錯化剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項3】
前記処理液に含まれる各成分の安定剤に対する比率が、前記めっき液と同一であることを特徴とする請求項2に記載のめっき方法。
【請求項4】
前記処理液は前記めっき液から隠蔽剤をさらに除去したものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のめっき方法。
【請求項5】
前記処理液は前記めっき液から還元剤をさらに除去したものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のめっき方法。
【請求項6】
前記めっき液が複数種類の錯化剤を含有し、前記処理液は少なくとも1種類の錯化剤を除去したものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のめっき方法。
【請求項7】
前記処理液の温度Tと、前記めっき液の温度Tとの差(T−T)が±5℃以内であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のめっき方法。
【請求項8】
前記めっき層が金からなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のめっき方法。
【請求項9】
前記ベース金属層が金からなることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のめっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−254867(P2007−254867A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83587(P2006−83587)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】