説明

めっき方法

【課題】スルーホールに充填した金属における欠陥を無くすこと。
【解決手段】プリント基板Wに向けてめっき液を噴射する、または気泡を噴射しながら、めっき液から金属qを析出させてスルーホールhを充填する途中の時点において、めっき液の噴射角度を変更する、またはプリント基板Wの姿勢を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解めっき(鍍金)、又は、電気めっきによって、めっき液から析出した金属をプリント基板のスルーホールに充填するめっき方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多層プリント基板には、コア基板の表・裏面に、複数のプリント基板を積層したビルドアップ型のものがある。かかる多層プリント基板の製造においては、前記コア基板にスルーホールを形成すると共に、このスルーホール内面に無電解めっき又は電気めっきを施し、その後、導電性ペースト剤などを充填したうえで、コア基板の表裏面に、プリント基板を積層し、その後、所要の工程を繰り返すことにより、多層プリント基板を製造するようにしている。
【0003】
こうして製造される多層プリント基板において、コア基板はその表裏面にプリント基板が積層されているうえに、前記スルーホールに充填する導電性ペースト剤が、金属以外の他の成分も含有するものであって熱伝導率が低いため、例えば前記スルーホールを流れる電流で発熱した際、その発熱に対する放熱性が低い。
【0004】
そこで、従来から、コア基板のスルーホールには、導電性ペースト剤ではなく、金属をめっきによって充填することにより、その放熱性を向上させるようにすることが行われている。このようにめっきにより金属を充填すると、導電性ペースト剤では充填することができないような小径のスルーホールに対しても、金属を充填することができ、多層プリント基板の集積度を上げることができる。
【0005】
しかしながら、コア基板のスルーホールに金属をめっきによって充填する場合、スルーホールに充填した金属中に、ボイドやシームが発生し易いという課題があった。ここで、ボイドとは、スルーホールの側面からスルーホール軸心に向かって別々に成長する析出金属が軸心付近で一体化する際に、析出金属内部に気泡が残存する現象をいう。また、シームとは、析出金属がスルーホール軸心付近で一体化する際に、不完全に一体化した部分(見た目に縫い目状となることが多い)を残した状態で一体化する現象をいう。かかるボイドやシームは、熱衝撃などにより断線の発生原因となりやすく、スルーホールの電気特性や放熱性を劣化させる原因となる。
【0006】
そこで、めっき液に改良を加えて、ボイドやシームを防止することを試みた技術も提供されているが(例えば特許文献1、2参照)、スルーホールのアスペクト比がさらに高くなる状況下においては、ボイド、シームを精度高く防止するためにはさらなる工夫が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−57177号公報
【特許文献2】特開2005−146343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、スルーホールのアスペクト比がさらに高くなる状況下においても、めっき液から析出した金属をスルーホールに充填するに際して、上記金属中からボイドや、シーム等の欠陥を無くしてめっきすることができる方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる第1のめっき方法は、無電解めっき又は電気めっきにより、プリント基板のスルーホールに金属を充填するめっき方法であって、前記プリント基板に対して非垂直な噴射角度を設定し、前記プリント基板に向けて前記噴射角度でめっき液を噴射し、めっき処理の途中で、前記めっき液の噴射角度を変更することを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる第2のめっき方法は、無電解めっき又は電気めっきにより、プリント基板のスルーホールに金属を充填するめっき方法であって、前記プリント基板に対して非垂直な噴射角度を設定し、前記プリント基板に向けて前記噴射角度でめっき液を噴射し、めっき処理の途中で、前記プリント基板の姿勢を変更する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第3のめっき方法は、無電解めっき又は電気めっきにより、プリント基板のスルーホールに金属を充填するめっき方法であって、前記プリント基板をめっき液に浸漬した状態で、前記プリント基板に向けて気泡を噴射し、めっき処理の途中で、前記プリント基板の姿勢を変更する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明においては、前記プリント基板を垂直または水平方向に搬送しながら、めっき処理を行うことが好ましい。
【0013】
本発明においては、前記めっき液を、前記プリント基板の表裏面それぞれに鏡像〜略鏡像対称に噴射することが好ましい。
【0014】
本発明においては、前記噴射角度を変更する前後のめっき処理時間を同じ〜略同じにすることが好ましい。
【0015】
本発明においては、前記プリント基板の姿勢を変更する前後のめっき処理時間を同じ〜略同じにすることが好ましい。
【0016】
本発明においては、前記めっき液が硫酸銅めっき液であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アスペクト比を高めたスルーホールにも、ボイドやシームのない状態で金属を充填することができる。これにより、プリント基板に精度高く両面配線を形成することが可能となって、プリント基板の集積度が上がる。また、スルーホールに精度高く金属を充填することができるので、プリント基板の放熱性や信頼性も高まる。さらには、スルーホールに対するこのような精度の高い金属充填を、従来のめっき処理時間を短縮させた状態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】実施形態のめっき装置の縦断面図である。
【図3】実施の形態のめっき装置の要部を示す縦断面図である。
【図4】実施の形態のめっき装置のワーク反転部の動作の説明に供する第1の図である。
【図5】実施の形態のめっき装置のワーク反転部の動作の説明に供する第2の図である。
【図6】実施の形態のめっき装置の噴射部の動作の説明に供する図である。
【図7】ワークのスルーホールへのめっき皮膜形成を示す図である。
【図8】実施形態の他のめっき方法を示す図である。
【図9】実施形態のさらに他のめっき方法を示す図である。
【図10】実施形態のさらに他のめっき方法の一実施の形態を示す図である。
【図11】本発明のめっき方法でめっきされたスルーホールの状態を示す図である。
【図12】比較例のめっき方法でめっきされたスルーホールの第1の状態を示す図である。
【図13】比較例のめっき方法でめっきされたスルーホールの第2の状態を示す図である。
【図14】比較例のめっき方法でめっきされたスルーホールの第3の状態を示す図である。
【図15】比較例のめっき方法でめっきされたスルーホールの第4の状態を示す図である。
【図16】本発明のめっき方法と比較例のめっき方法とでめっきされたスルーホールの状態の説明に供する図である。
【図17】本発明のその他の実施形態のめっき装置の構成を示す図である。
【図18】その他の実施形態のめっき装置を用いた板状ワークのめっき方法を説明に供する図である。
【図19】めっき液流と凸状肥大の関係の説明に供する図(その1)である。
【図20】めっき液流と凸状肥大の関係の説明に供する図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係るめっき方法を詳細に説明する。図1〜図3は、当該めっき方法を実施するめっき装置を示す。図1は本発明の一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図、図2は実施形態のめっき装置の縦断面図、図3は実施形態のめっき装置の要部を示す縦断面図である。これらの図において、実施形態のめっき装置は、ガイドレール10〜13と、前処理槽1と、めっき槽2と、回収槽3と、水洗槽4と、アンロード部5と、剥離槽6と、水洗槽7と、ロード部8とを備えており、これらは上記記載順に互いに環状に配置されている。
【0020】
ガイドレール10〜13は、搬送用ハンガ15の搬送路を形成するものである。搬送用ハンガ15は、ガイドレール10〜13に沿って搬送される搬送媒体であって、その下端にプリント基板などの板状ワークWを着脱自在に保持する搬送チャック15aを備えている。ガイドレール10、12は、搬送用ハンガ15に対する板状ワークWの着脱時や、前処理槽1、めっき槽2、回収槽3、水洗槽4内で板状ワークWを引入れ/引出す際に昇降するガイドレールである。ガイドレール11、13は、搬送用ハンガ15をめっき槽2や剥離槽6で搬送する際に案内するガイドレールである。
【0021】
ガイドレール10は、水洗槽7とロード部8と前処理槽1とにわたって設けられている。ガイドレール11は、メッキ槽2に設けられている。ガイドレール12は、回収槽3と水洗槽4とアンロード部5にわたって設けられている。ガイドレール13は、剥離槽6に設けられている。前処理槽1とめっき槽2と回収槽3と水洗槽4とアンロード部5と剥離槽6と水洗槽7とロード部8とは、ガイドレール10〜13に沿って順次配置されており、搬送用ハンガ15に保持されてガイドレール10〜13に沿って搬送される板状ワークWに、以下の処理を順次施す。
【0022】
前処理槽1では、搬送用ハンガ15に保持された板状ワークWにめっき前処理が行われる。めっき槽2では、めっき前処理された板状ワークWにめっき処理が行われる。回収槽3では、めっき処理された板状ワークWにめっき後処理が行われる。水洗槽4では、めっき後処理された板状ワークWが水洗される。アンロード部5では、水洗された板状ワークWが搬送用ハンガ15から取り外される。剥離槽6では、搬送用ハンガ15に付着しためっきが搬送用ハンガ15から除去される。水洗槽7では、めっき剥がしが実施された搬送用ハンガ15が水洗される。ロード部8では、水洗後の搬送用ハンガ15に、次工程でめっき処理される板状ワークWが取り付けられる。
【0023】
ガイドレール10、12では、ガイドレール10、12が図示しない昇降部によって昇降することにより、板状ワークWが各処理槽(前処理槽1、めっき槽2、水洗槽3、回収槽4や剥離槽6等)内に浸漬処理されたうえで各処理槽から回収される。
【0024】
めっき槽2にはめっき液が充填されており、めっき槽2では、無電解めっき又は電気めっきによってめっき液から金属を析出させてプリント基板等の板状ワークWにめっき処理(スルーホール充填処理)が行われる。
【0025】
めっき液としては、板状ワークWにめっき可能な各種のめっき液が適用可能であるが、プリント基板のスルーホールにめっき金属を充填するといった加工処理で実施されるめっき処理においては、めっき液として硫酸銅めっき液を用いるのが好ましい。
【0026】
板状ワークWは、前述したように搬送用ハンガ15にその上端部が保持されてつり下げられる。搬送用ハンガ15が移動することにより、板状ワークWはめっき槽2内を移動する。
【0027】
めっき槽2には、図2〜図4に示すように、めっきする金属イオンを供給するための陽極部20と、板状ワークWに向けてめっき液を噴射するための噴射部21と、気泡発生管68と、ワーク反転部23とが設けられている。
【0028】
陽極部20は、板状ワークWの進行方向に沿って所定間隔をおいて多数設けられる一対の陽極102、104と、めっき槽2に板状ワークWの進行方向に沿って配設された給電レール224とを備えている。給電レール224は、陽極102,104を懸架しており、この状態で陽極102,104に通電する。
【0029】
噴射部21は、めっき液の圧力を均等化するエダクタボックス204と、陽極102、104よりも板状ワークWに近い位置で板状ワークWの両側からめっき液を板状ワークWに向けて噴射するための一対のスパージャ106と、パイプ210および循環ポンプ208とを備えている。
【0030】
循環ポンプ208は、ドレン200またはオーバーフロー槽202から排出されためっき液をろ過フィルタ209でろ過処理した後、パイプ210を通してエダクタボックス204へ返す働きをしている。
【0031】
図3は、噴射部21を示しており、この図において、陽極部20は省略されている。噴射部21は、板状ワークWに対してスパージャ106からめっき液を噴射している。スパージャ106から噴射されためっき液は、ドレン200又はオーバーフロー槽202を介して処理槽本体100から排出され、ろ過フィルタ209によってろ過処理が施された後、循環ポンプ208によりパイプ210を通してエダクタボックス204へ戻され、エダクタボックス204でめっき液の圧力が均等化された後、再びスパージャ106へ戻されて循環している。
【0032】
エダクタボックス204は、処理槽本体100の底面に板状ワークWの進行方向に沿って複数個延設されており、メッキ槽2の底板に対して高さ調節可能にボルト止めされている。エダクタボックス204の側壁には連通孔が設けられており、この連通孔を通して液流通が可能なように、パイプ210が接続されている。
【0033】
スパージャ106は、メッキ槽2内に立設された複数本のノズル管106bを有している。ノズル管106bは、搬送用ハンガ15の進行方向(板状ワークWの進行方向)に沿って等間隔に並列配置されている。ノズル管106bの列は、板状ワークWの進行軌跡を挟んで2列設けられている。
【0034】
各ノズル管106bはエダクタボックス204上に立設され、エダクタボックス204とノズル管106b下端とは液流通が可能に連通孔によって連通している。一方、ノズル管106bの上端は、板状ワークWの進行方向に沿って取付けられたノズル固定部材212に設けられた孔に嵌合しており、これにより、スパージャ106が、めっき液を噴射する際に噴射圧力によって板状ワークWと反対方向に傾斜したり(倒れたり)、振動したりすることを防止している。
【0035】
各ノズル管106bには、めっき液を噴射する噴射ノズル部106aが所定間隔をあけて複数個取付けられている。各ノズル管106bにおいて、噴射ノズル部106aは等間隔に列配置されている。各噴射ノズル部106aは、ノズル本体106cと、ノズル揺動部106dとを備えている。
【0036】
噴射ノズル部106aのノズル本体106cは、ノズル管106bに連通した状態で、ノズル管106bに対して水平方向に沿って揺動可能に取り付けられている。さらにノズル本体106cは、先端にノズル噴射口を有しており、ノズル管106bから供給されるめっき液をノズル噴射口から板状ワークWに向けて噴射可能となっている。
【0037】
めっき液の噴射の広がりは0〜+45°,−45°(好ましくは、0〜+30°,−30°)である。噴射ノズル部106aの噴射ノズル106aにおけるめっき液の噴射角度は、その角度幅の中心角度をいう。ノズル揺動部106dは揺動駆動部(図示省略)を内蔵しており、ノズル管106bそれぞれに設けられている。ノズル揺動部106dは、揺動駆動部を駆使して、ノズル管106bをその軸心周りに所定角度範囲(例えば、−80°〜+80°の角度範囲)内の任意の角度まで揺動させたうえでその任意の角度でノズル管106bを保持可能となっている。ノズル管106bがノズル揺動部106dによって任意の角度まで揺動されてその角度で保持されることで、ノズル本体106cは、ノズル管106b単位でめっき液の噴射角度を変更することが可能となっている。
【0038】
気泡発生管68は、パイプ66からエアの供給を受けて、メッキ槽2内においてエアを上に向けて吐き出す。エアが上昇するのに伴いその周囲のめっき液が上昇して、メッキ槽2内のめっき液が撹拌される。
【0039】
ワーク反転部23は、図4、図5に示すように、ガイドレール12の中途部に少なくとも一つ設けられている。ワーク反転部23は、めっき槽2に設けられたワーク昇降部23aと、垂直軸反転部23bと、反転チャック23cと、水平軸反転部23dとを備えている。ワーク昇降部23aは、ガイドレール11の一部を分離させたうえで、その分離レール11aを残りのガイドレール11に対して昇降させるものである。垂直軸反転部23bは、搬送用ハンガ15の支軸15bに設けられており、垂直方向に沿って垂下配置される支軸15bの下端部を180°にわたってその支軸廻りに往復回転駆動させることで、搬送チャック15aに垂下保持される板状ワークWを左右方向に揺動反転させる。反転チャック23cは、ワーク昇降部23aによる上昇処理で上昇終端に達した板状ワークWを、左右反転処理期間中保持する。水平軸反転部23dは、水平方向に沿う反転チャック23cの支軸に設けられており、反転チャック23cを180°にわたってその支軸廻りに往復回転駆動させることで、反転チャック23cに保持される板状ワークWを上下方向に揺動反転させる。
【0040】
なお、反転チャック23cによって板状ワークWが保持されている期間(上下方向反転処理期間)では、搬送チャック15aは、板状ワークWの保持を解除している。上下方向反転処理期間が完了すると、搬送チャック15aは再び板状ワークWの保持を開始し、それに伴い反転チャック23cは、板状ワークWの保持を解除する。
【0041】
ワーク反転部23による、板状ワークWの反転処理を、図4、図5を参照して説明する。
【0042】
(左右方向反転処理)
図4に示すように、搬送チャック15aが分離レール11aに達すると、搬送チャック15aの搬送が一時停止される。この状態で、ワーク昇降部23aが分離レール11aを上昇させて、ガイドレール11から分離させる。これにより板状ワークWはメッキ槽2から引き上げられる。板状ワークWがメッキ槽2から引き上げられると、垂直軸反転部23bが駆動して板状ワークWを左右方向に揺動反転させる。揺動反転が完了すると、ワーク昇降部23aが分離レール11aを下降させてガイドレール11に連結する。これにより板状ワークWはメッキ槽2に再度浸漬されたうえで、ガイドレール11に沿って搬送されることで、残りのめっき処理が実施される。
【0043】
(上下方向反転処理)
図5に示すように、搬送チャック15aが分離レール11aに達すると、搬送チャック15aの搬送が一時停止される。この状態で、ワーク昇降部23aが分離レール11aを上昇させて、ガイドレール11から分離させる。これにより板状ワークWはメッキ槽2から引き上げられる。板状ワークWがメッキ槽2から引き上げられると、引き上げ位置で待機している反転チャック23cが板状ワークWを把持可能な位置まで水平移動したうえで板状ワークWを把持する。反転チャック23cによるワーク把持が完了すると、搬送チャック15aがワーク把持を一時停止したうえで、ワーク昇降部23aが搬送ハンガ15を再上昇させる。ワーク昇降部23aによるハンガ再上昇が完了すると、水平軸反転部23dが駆動して板状ワークWを上下方向に揺動反転させる。揺動反転が完了すると、ワーク昇降部23aが、搬送チャック15aによりワーク把持が可能となる位置まで搬送ハンガ15を下降させる。この位置に到達すると搬送チャック15aは再度板状ワークWを把持する。搬送チャック15aによるワーク再把持が完了すると反転チャック23cは、ワーク把持を停止したうえで、待機位置まで水平移動する。反転チャック23cが待機位置まで戻ると、ワーク昇降部23aは、分離レール11aを下降させてガイドレール11に連結する。これにより板状ワークWはメッキ槽2に再度浸漬されたうえで、ガイドレール11に沿って搬送されることで、残りのめっき処理が実施される。
【0044】
本実施の形態では、メッキ槽2からめっき手段が構成され、ノズル揺動部106dから噴射角度変更手段が構成され、ワーク反転部23から基板姿勢変更手段が構成される。
【0045】
次に、めっき装置100を用いた板状ワークWのめっき処理について説明する。ここでは、多層プリント基板であるビルドアップ基板を構成するコア基板を板状ワークWとし、このような板状ワークWのスルーホールhに、純粋金属をめっき処理によって充填する(スルーホールをめっき皮膜(例えば、電気銅めっき被膜)で充填する)際に実施されるめっき処理を例にして、本発明の実施例1〜5、比較例1〜8を説明する。
【0046】
なお、スルーホール内に電気銅めっきを行う前に、以下に示す触媒付与処理及び無電解銅めっき処理を行ってもよい。
【0047】
(触媒付与処理)
公知の触媒付与処理を採用することができる。例えば、スズ−パラジウムコロイドによる触媒付与処理、センシダイジング−アクチベーター法による触媒付与処理、アルカリキャタリスト−アクセレレーター法による触媒付与処理などを採用することができる。
【0048】
(無電解銅めっき処理)
公知の無電解銅めっき処理が採用できる。例えばアルカリ性浴、中性浴などを用いることができ、使用される還元剤も特に限定されない。
【0049】
実施例1〜5、比較例1〜8では、ビルドアップ基板のコア材となる、0.4mm厚みのコア基板からなり、直径0.1mmのスルーホールを有する板状ワークWにおいて、スルーホールを金属で充填するために、表面めっき膜厚30μmのめっき層をめっき処理で形成する場合を例にしている。なお、これらの例では、電気めっきによりスルーホールhをめっき金属で充填する構成を例にしているが、無電解めっきによりスルーホールhをめっき金属で充填する構成でもよいのはいうまでもない。
【0050】
各実施例、各比較例は、基板姿勢(垂直/水平)、めっき液の噴射角度(板状ワークWの表面の垂線方向に対して傾斜/平行)、気泡噴射(有り/無し)、めっき液の噴射角度調整(有り/無し)、及び、基板姿勢の調整(上下方向反転有り/左右方向反転有り/反転無し)の諸条件に基づいて、区分けされている。
【0051】
ここで、基板姿勢(垂直)とは、搬送用ハンガ15が垂直姿勢の板状ワークWを保持した状態で、板状ワークWをメッキ槽2内で水平に移動させる搬送形態である。
【0052】
基板姿勢(水平)とは、図10に示す搬送用ローラHが、水平姿勢の板状ワークWをメッキ槽2内で水平に移動させる搬送形態である。
【0053】
めっき液の噴射角度(傾斜)とは、ノズル本体106cから噴射される噴射の噴射角度が板状ワークWの表面の垂線方向に対して傾斜した状態であって、具体的には、板状ワークWの垂線とめっき液噴射方向(噴射中心方向)とによって形成される角度θが、−80°<θ<−30°、または+30°<θ<+80°に含まれる状態をいう。
【0054】
めっき液の噴射角度(平行)とは、θ=0°の状態をいう。
【0055】
気泡噴射とは、気泡発生管68から、メッキ槽2内に気泡を発生させることをいう。
【0056】
めっき液の噴射角度調整とは、ノズル揺動部106dを駆動させて噴射ノズル部106aの噴射角度を所定の角度で変更する処理をめっき処理途中で行うことをいう。
【0057】
基板姿勢の調整とは、ワーク反転部23を駆動させて板状ワークWの姿勢を、上下方向反転または左右方向反転する処理をめっき処理途中で行うことをいう。
【0058】
具体的な条件は、次の通りである。
【0059】
<条件a:本発明の範疇内>
・基板姿勢:垂直
・めっき液の噴射:有り
・めっき液の噴射角度:ワーク表面の垂線に対して+60〜45°または−60〜−45°傾斜
・気泡噴射:無し
・めっき液の噴射角度調整:有り
・噴射角度調整方法:処理時間が1/2経過した時点で図6(a)に示すように、ワーク表面の垂線に対して、図中上側に60〜45°傾斜した状態(−60〜−45°)から、図6(b)に示すように、図中下側に60〜45°傾斜した状態(+60〜+45°)にする。
・基板姿勢の調整:無し
この条件aでは、ワークWに形成されたスルーホール(図示略)に、噴射ノズル部106aからめっき液Pを図6(a)に示すように噴射し、無電解めっき又は電気めっきによって、めっき液Pから前記金属を析出させて前記スルーホールを充填し、前記スルーホールを前記金属で充填する途中の時点において、図6(b)に示すように前記めっき液Pの噴射角度を変更する。より具体的には、図6(a)では、ワークWの両側対称位置に等間隔に配置した複数の噴射ノズル部106aが示されている。両側の噴射ノズル部106aそれぞれからめっき液PをワークWに向けて図中矢印で示すように噴射する。この噴射に際して、めっき液の噴射角度をワークW表面の垂線に対して一方側へ非垂直な噴射角度θ1に設定する。この設定状態で両側の噴射ノズル部106aそれぞれからめっき液Pを噴射する。このめっきの途中で、図6(b)に示すように、両側の噴射ノズル部106aそれぞれからのめっき液Pの噴射角度をワークW表面の垂線に対して他方側へ非垂直な噴射角度θ2に設定する。この設定状態で、両噴射ノズル部106aそれぞれからめっき液Pを噴射する。ここで、前記噴射角度θ1=噴射角度θ2とすることが好ましい。このようにしてワークWの図示略のスルーホールに対してめっき液の噴射角度を変更する。
【0060】
図7(a)はめっき処理前のワークWを拡大して示す。hは、ワークWに形成されたスルーホールである。図6(a)に示す噴射角度θ1でめっき液PをワークWに噴射すると、図7(b)に示すように、スルーホールhの図中上側内面に純粋金属が析出してスルーホールhの中央部で膜厚が厚く全体で凸状となるようにめっき皮膜maが形成される。そして、図6(b)に示す噴射角度θ2でめっき液PをワークWに噴射すると、図7(c)に示すように、スルーホールhの図中下側内面に純粋金属がスルーホールhの中央部で膜厚が厚く全体で凸状となるようにめっき皮膜mbが形成され、めっき皮膜maとmbは繋がってめっき皮膜mcとなる。なお、めっき皮膜ma,mbが上記のように中央部で厚く全体で凸状に膜厚が成長する理由については、後述する。また、噴射角度θ1、θ2の設定やその他により、めっき皮膜maとmbの膜厚等を設定することができる。そして、図7(d)に示すように、その繋がっためっき皮膜mcはスルーホールhの入口に向けて成長し、図7(e)に示すように、スルーホールhは、完全にめっき皮膜mcで充填される。なお、めっき液Pの噴射角度の変更前後におけるめっき処理の時間は、めっき処理条件が同一であれば、全体のめっき処理時間の半分(1/2)〜略半分であることが好ましい。
【0061】
<条件b:本発明の範疇外>
・基板姿勢:垂直
・めっき液の噴射:有り
・めっき液の噴射角度:ワークWの表面の垂線に対して+60〜+45°または−60〜−45°傾斜
・気泡噴射:無し
・めっき液の噴射角度調整:無し
・基板姿勢の調整:無し
<条件c:本発明の範疇外>
・基板姿勢:垂直
・めっき液の噴射:有り
・めっき液の噴射角度:ワーク表面の垂線に対して平行
・気泡噴射:無し
・めっき液の噴射角度調整:無し
・基板姿勢の調整:無し
<条件d:本発明の範疇内>
・基板姿勢:垂直
・めっき液の噴射:有り
・めっき液の噴射角度:ワーク表面の垂線に対して+60〜+45°または−60〜−45°傾斜
・気泡噴射:無し
・めっき液の噴射角度調整:無し
・基板姿勢の調整:有り
・姿勢調整方法:処理時間が1/2経過した時点でワークWを左右方向に反転
この条件dでは、ワークWに向けてめっき液Pを噴射しつつ、無電解めっき又は電気めっきによって、めっき液Pから金属を析出させてワークWのスルーホールを充填する。スルーホールが金属で充填される途中の時点において、ワークWの姿勢を変更する。より具体的には、図8(a)に示すように、ワークWに対してめっき液Pを噴射する噴射角度をワークWの垂線に対して一方側に非垂直な噴射角度θに設定する。この設定の状態で、めっき液Pを噴射する。このとき、ワークWは一端側Waが図中の上側、他端側Wbが図中の下側である。そして、めっきの途中で、めっき液Pの噴射角度θを維持し、この維持した状態で、ワークWの姿勢を図8(b)に示すように一端側Waが図中下側、他端側Wbが図中上側となるように正反対に変更してめっき液Pを噴射する。なお、ワークWの姿勢変更(ワークWの左右方向の反転)前後におけるめっき処理の時間は、めっき処理条件が同一であれば、全体のめっき処理時間の半分(1/2)〜略半分であることが好ましい。
【0062】
<条件e:本発明の範疇内>
・基板姿勢:垂直
・めっき液の噴射:無し
・気泡噴射:有り
・めっき液の噴射角度調整:無し
・基板姿勢の調整:有り
・姿勢調整方法:処理時間が1/2経過した時点でワークを上下方向に反転
この条件eは、図9に示すように、気泡発生管68から、メッキ槽2内において気泡Qを吐き出す。気泡が上昇するのに伴いその周囲のめっき液が上昇して、メッキ槽2内のめっき液が撹拌される。この場合、ワークWの姿勢をめっきの途中で、図8(a)と図8(b)に示すように上下方向に反転する。なお、ワークWの姿勢変更(ワークWの上下方向の反転)前後におけるめっき処理の時間は、めっき処理条件が同一であれば、全体のめっき処理時間の半分(1/2)〜略半分であることが好ましい。
【0063】
<条件f:本発明の範疇外>
・基板姿勢:垂直
・めっき液の噴射:無し
・気泡噴射:有り
・めっき液の噴射角度調整:無し
・基板姿勢の調整:無し
<条件g:本発明の範疇内>
・基板姿勢:水平
・めっき液の噴射:有り
・めっき液の噴射角度:ワーク表面の垂線に対して+60〜+45°または−60〜−45°傾斜
・気泡噴射:無し
・めっき液の噴射角度調整:有り
・噴射角度調整方法:処理時間が1/2経過した時点でワークWに対する噴射ノズル部106の噴射角度θを図6(a)から図6(b)に示すように変更する。
・基板姿勢の調整:無し
この条件gでは、ワークWは図10に示すように水平に搬送される。図10(a)はワークWの平面図、図10(b)は図10(a)のA−A線断面図、図10(c)は図10(a)のB−B線断面図である。Hは搬送ローラ、Rはめっき液噴射パイプである。ワークWを搬送ローラHにより水平方向に搬送しつつ、めっき液Pをめっき液噴射パイプRで図6に示すように噴射角度を変更してワークWに噴射する。なお、めっき液Pの噴射角度の変更前後におけるめっき処理の時間は、めっき処理条件が同一であれば、全体のめっき処理時間の半分(1/2)〜略半分であることが好ましい。
【0064】
<条件h:本発明の範疇内>
・基板姿勢:水平
・めっき液の噴射:有り
・めっき液の噴射角度:ワーク表面の垂線に対して+60〜+45°または−6
0〜−45°傾斜
・気泡噴射:無し
・めっき液の噴射角度調整:無し
・基板姿勢の調整:有り
・姿勢調整方法:処理時間が1/2経過した時点でワークWを左右方向に反転
この条件hでは、ワークWを図10に示すように水平に搬送し、図8に示すようにワークWの姿勢を変更し、めっき液をワークWに噴射する。なお、ワークWの姿勢変更(ワークWの左右方向の反転)前後におけるめっき処理の時間は、めっき処理条件が同一であれば、全体のめっき処理時間の半分(1/2)〜略半分であることが好ましい。
【0065】
<条件i:本発明の範疇外>
・基板姿勢:水平
・めっき液の噴射:有り
・めっき液の噴射角度:ワーク表面の垂線に対して+60〜+45°または−60〜−45°傾斜
・気泡噴射:無し
・めっき液の噴射角度調整:無し
・基板姿勢の調整:無し
上記条件に基づいて実施した各実施例と比較例とを以下に説明する。各実施例と比較例では、めっき処理後のスルーホールhの断面をクロスセクションにより観察した。具体的には、金属顕微鏡によりボイド及びシームの有無やめっき皮膜の析出形状を観察した。
【0066】
(実施例1)
実施例1では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図11に示すように、ボイド/シームのない良好な純粋金属qの充填を行うことができた。
・条件:a
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
(実施例2)
実施例2では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図11に示すように、ボイド/シームのない良好な純粋金属qの充填を行うことができた。
・条件:d
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
(実施例3)
実施例3では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図11に示すように、ボイド/シームのない良好な純粋金属qの充填を行うことができた。
・条件:e
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
(実施例4)
実施例4では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図11に示すように、ボイド/シームのない良好な純粋金属qの充填を行うことができた。
・条件:g
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
(実施例5)
実施例5では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図11に示すように、ボイド/シームのない良好な純粋金属qの充填を行うことができた。
・条件:h
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
(比較例1)
比較例1では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図12に示すように、スルーホールhが十分に純粋金属qで充填されることなくスルーホール開口付近にボイドbと、シームsとが発生した。なお、比較例1では、めっき液の噴射角度の調整は行われておらず、めっき液は、図12に矢印で示す一定方向に沿って流れる。
・条件:b
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
(比較例2)
比較例2では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図13に示すように、スルーホールhに充填した純粋金属qの表面が平坦になることなく窪みkが形成された。
・条件:b
・電流密度(A/dm2):1.0
・めっき所要時間:135min
(比較例3)
比較例3では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図14に示すように、ボイド/シームのない良好な純粋金属qの充填を行うことができたものの、処理時間は180minであって、実施例1〜5の処理時間(90min)の2倍となり、生産性が極端に悪くなった。なお、比較例3では、めっき金属(純粋金属q)の表面膜厚は40μmとなった。
・条件:b
・電流密度(A/dm2):1.0
・めっき所要時間:180min
(比較例4)
比較例4では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図14に示すように、スルーホールhが十分に純粋金属qで充填されることなくスルーホール奥行き方向(基板厚み方向)の中央付近にボイドbとシームsが発生した。
・条件:c
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
(比較例5)
比較例5では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図14に示すように、スルーホールhが十分に純粋金属qで充填されることなくスルーホール奥行き方向(基板厚み方向)の中央付近にボイドbとシームsが発生した。
・条件:c
・電流密度(A/dm2):1.0
・めっき所要時間:135min
(比較例6)
比較例6では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図15に示すように、スルーホールhを純粋金属qで充填することがほとんどできない状態となった。
・条件:c
・電流密度(A/dm2):0.5
・めっき所要時間:270min
(比較例7)
比較例7は、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図12に示すように、スルーホールhが十分に純粋金属qで充填されることなくスルーホール開口付近にボイドbとシームsが発生した。なお、比較例7では、めっき液の噴射角度の調整は行われておらず、めっき液は、図12に矢印で示す一定方向に沿って流れる。
・条件:f
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
(比較例8)
比較例8は、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図12に示すように、スルーホールhが十分に純粋金属qで充填されることなくスルーホール開口付近にボイドbとシームsが発生した。なお、比較例8では、めっき液の噴射角度の調整は行われておらず、めっき液は、図12に矢印で示す一定方向に沿って流れる
・条件:i
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:90min
次に、実施例1〜5と比較例1〜8との相違点を考察した結果を説明する。まず、実施例1〜5について説明する。
【0067】
実施例1では、めっき液の噴射角度の調整(噴射の向きを変える処理)を行うことで、めっき液が拡散されてスルーホールhの奥側まで到達する結果、図16(a)に示すように、板状ワークWに形成されたスルーホールhの図中左右方向の両内壁面ha、hbにおいては、同等にめっき皮膜ma、mbの凸状肥大が生じる。両めっき皮膜ma、mbが共に凸状に湾曲した状態で相手側に向かって成長するため、両めっき皮膜ma、mbの間に形成される隙間rは、開口から最奥部にわたって比較的大きな状態で維持される。隙間rの開口を比較的大きな状態で維持しながら、めっき皮膜ma、mbが成長することで、めっき皮膜ma、mbの成長が完了するまで隙間rの奥にまで十分にめっき液が行き渡ることになる。その結果、スルーホールhは、めっき皮膜ma、mbが一体化してなる純粋金属qで、完全に充填されることになる。
【0068】
スルーホールhのめっき皮膜ma、mbに凸状肥大が生じる理由は次の通りである。すなわち、外部からスルーホールhにめっき液を流し込んでホール内奥部までめっき液を浸透させようとすると、ホール開口部付近ではめっき液の撹拌は活発に生じるものの、ホール内奥部では撹拌が生じにくくなる。
【0069】
一方、一般にめっき液には、めっき皮膜の成長を抑制する抑制剤と、成長を促進する促進剤とが含まれている。抑制剤は分子量が大きく撹拌が不活発な部位には到達しにくい。これに対して促進剤は、抑制剤に比べて分子量が小さく、撹拌が不活発な部位にも到達しやすい。
【0070】
このような抑制剤/促進剤の特性の違いから、スルーホールhにめっき液を流し込んでめっきを行う際には、促進剤はホール内奥部に浸透しやすいものの、抑制剤は、開口部付近に多く存在するがホール内奥部に浸透しにくい。めっき皮膜ma、mbの凸状肥大は、スルーホールhにおける促進剤と抑制剤のこのような偏在が原因となっている。
【0071】
次に、めっき液流と凸状肥大の関係について説明する。図19に示すように、ノズル管106bからめっき液Pを板状ワークWに対して非垂直な(図中上側に傾斜した)噴射角度を設定して噴射すると、板状ワークWの表面近傍には図中上側に向かうめっき液の液流H1が発生する。この液流H1によるスルーホールh内の撹拌は、スルーホールhの内奥部表面の液流方向逆側の部分Wy近傍が最も弱くなる。抑制剤Inは分子量が大きいため、撹拌が弱い部分Wyの近傍へ到達しにくく、部分Wyの近傍への吸着量が少ない。一方、促進剤Acは分子量が小さいため、撹拌が弱い部分Wyの近傍へも容易に到達し、部分Wyの近傍へ吸着する。その結果、部分Wyの近傍は促進剤Acの効果がより強く働き、めっき皮膜が厚くなることにより凸状肥大が生じる。めっき処理の途中でめっき液Pの噴射角度を変えることにより、板状ワークWの表面近傍の液流の方向が変わり、スルーホールh内の撹拌が弱い位置も変化するため、スルーホールhのめっき皮膜ma、mbに凸状肥大が生じる。
【0072】
なお、スルーホールhの奥まで金属イオンを供給するためには、めっき液を十分に撹拌させた状態でスルーホールhの奥側まで到達させるのがよい。
【0073】
そのためには、噴射角度の調整時点を全体のめっき処理時間の中間時点にすることで、めっき液の噴射角度を変更するまでのめっき処理時間と、噴射角度変更後のめっき処理時間とを同じにすることが好ましい。
【0074】
さらには、噴射部21を板状ワークWの表裏面両方に設けたうえで、表裏面それぞれの噴射部21が、板状ワークWの表裏面それぞれに対して、ワーク表面と、ワーク裏面とで鏡像対称にめっき液を噴射するのが好ましい。本実施の形態の噴射部21は、そのようなめっき液噴射を行っている。
【0075】
実施例2では、実施例1と比較して、めっき液の噴射角度調整/基板姿勢の調整で相違し、それ以外は同一である。すなわち、実施例1では、めっき液の噴射角度調整を行っているのに対して、実施例2では、基板姿勢の調整(左右方向に反転)を行っている。実施例2では、基板姿勢の調整を行うことで、スルーホールh内の撹拌が弱い位置が変化するため、実施例1と同様の理由により、スルーホールhは、めっき皮膜ma、mbが一体化してなる純粋金属qで完全に充填されることになる。
【0076】
実施例3では、実施例2と比較して、めっき液の噴射/気泡噴射と、基板姿勢の調整方法とで相違し、それ以外は同一である。すなわち、実施例2では、めっき液の噴射を行うとともに、基板姿勢を左右方向に反転しているのに対して、実施例3では、気泡噴射を行うとともに、基板姿勢を上下方向に反転している。図20に示すように、板状ワークWの表面近傍には、気泡発生管68から吐き出した気泡の影響により、板状ワークWの表面近傍に、めっき槽2の底側から上部開口に向かうめっき液の液流H2が発生する。この液流H2によるスルーホールh内の撹拌により、実施例1と同様の理由から、スルーホールhのめっき皮膜に凸状肥大が生じる。
【0077】
実施例3では、めっき液の撹拌効率を高めるうえで、板状ワークWの基板姿勢を上下方向に反転させている。実施例3では、このようにして基板姿勢の調整を行うことで、実施例2と同様の理由により、スルーホールhは、めっき皮膜ma、mbが一体化してなる純粋金属qで完全に充填されることになる。
【0078】
実施例4では、実施例1と比較して、板状ワークWの搬送姿勢で相違し、それ以外は同一である。すなわち、実施例1では、板状ワークWを垂直姿勢で搬送しているのに対して、実施例4では、板状ワークWを水平姿勢で搬送している。実施例4では、めっき液の噴射角度調整を行うことで、実施例1と同様の理由により、スルーホールhは、めっき皮膜ma、mbが一体化してなる純粋金属qで完全に充填されることになる。
【0079】
実施例5では、実施例4と比較して、めっき液の噴射角度調整/基板姿勢の調整で相違し、それ以外は同一である。すなわち、実施例4では、めっき液の噴射角度調整を行っているのに対して、実施例5では、基板姿勢の調整(左右方向の反転)を行っている。実施例5では、基板姿勢の調整を行うことで、実施例1と同様の理由により、スルーホールhは、めっき皮膜ma、mbが一体化してなる純粋金属qで完全に充填されることになる。
【0080】
次に、実施例1と比較例1との相違点を説明する。実施例1と比較例1とは、噴射角度の調整を行うか否かで相違し、それ以外は同一である。比較例1では、噴射角度の調整を行わないので、図16(b)に示すように、板状ワークWに形成されたスルーホールhの図中左右方向の内壁面ma、mbのうちで、一方の内壁面haにだけ、めっき皮膜maの凸状肥大が生じ、他方の内壁面hbには、凸状肥大がほとんど生じない。
【0081】
一方のめっき皮膜maにのみ凸状に湾曲した状態で他方側のめっき皮膜mbに向かって成長するため、両めっき皮膜ma、mbの間に形成される隙間rの開口幅は、実施例1に比して半分程度の大きさとなる。
【0082】
隙間rの開口幅が狭い状態で、めっき皮膜ma、mbが成長することで、めっき皮膜ma、mbの成長が完了する期間にわたって隙間rの内奥にまで潤沢にめっき液が行き渡りにくくなる。
【0083】
その結果、スルーホールhは、めっき皮膜ma、mbが一体化してなる純粋金属qで完全に充填されることなく、その内部にボイドbや、シームsが形成された。
【0084】
一方、比較例2では、比較例1の結果をみて、比較例1の条件において、電流密度を1.0A/dm2に下げたうえで、めっき所要時間を135minに延ばした。電流密度を1.0A/dm2まで下げたことで促進剤の効果が薄れ、めっきが均一に成長しやすくなったため、スルーホール軸心位置においてはめっきの成長が遅くなる。その結果、めっき所要時間を135minに延ばしたにもかかわらず、純粋金属qの表面が平坦になることなく窪みkが形成された。
【0085】
比較例3では、比較例2の結果をみて、比較例2の条件において、めっき所要時間を180minまでさらに延ばした。これにより、ボイドbやシームsのない純粋金属qの充填を行うことが可能となったが、めっき所要時間が180minと極端に長くなり、実用的とはいえなくなった。
【0086】
比較例4では、比較例1と比較して、めっき液の噴射角度で相違し、それ以外は同一である。すなわち、比較例1では、めっき液の噴射角度はワーク表面の垂線に対して傾斜しているのに対して、比較例4では、ワーク表面の垂線に対して平行である。スルーホールhにめっきを行う際には、一般にスルーホール開口付近が内部に比して電流が流れやすくなるという特性がある。比較例4では、めっきにおけるこの電流密度の特性が作用し、スルーホール開口付近の方が内奥より早くめっきが成長する。その結果、純粋金属qの内奥にボイドbや、シームsが形成された。
【0087】
比較例5では、比較例4の結果をみて、比較例4の条件において、電流密度を1.0A/dm2に下げたうえで、めっき所要時間を135minに延ばした。しかしながら、これでも不十分であって、純粋金属qの内奥にやはりボイドbやシームsが形成された。
【0088】
比較例6では、比較例5の結果をみて、比較例5の条件において、電流密度を0.5A/dm2に下げたうえで、めっき所要時間を180minまでさらに延ばしたが、純粋金属qがスルーホールの形状通りの析出となった。
【0089】
比較例7では、比較例1と比較して、めっき液の噴射/気泡噴射で相違し、それ以外は同一である。すなわち、比較例1では、めっき液を噴射しているのに対して、比較例7では、めっき液を噴射することなく、気泡を噴射している。比較例7では、比較例1と同様の理由により、純粋金属qの同一部位にボイドbやシームsが形成された。
【0090】
比較例8では、比較例1と比較して、板状ワークWの搬送姿勢で相違し、それ以外は同一である。すなわち、比較例1では、板状ワークWを垂直姿勢で搬送しているのに対して、比較例8では、板状ワークWを水平姿勢で搬送している。比較例8では、比較例1と同様の理由により、純粋金属qの同一部位にボイドbやシームsが形成された。
【0091】
なお、上述した実施例1、2、4、5では、めっき液の噴射角度を−60〜−45°または、+60〜+45°に傾斜した方向に設定した。この角度範囲は、スルーホールhの内部にめっき液の層流を最も形成しやすくするために採用した。しかしながら、スルーホールhの内部にめっき液の層流するためには、めっき液の噴射角度調整範囲は、少なくとも、−80〜−30°または、+80〜+30°であればよい。さらには、めっき液の撹拌効率を高めるためには、めっき液の噴射角度を変更する前後において、噴射角度の絶対値を同等にするのがよい。また、めっき処理中、めっき液の噴射角度を上述した角度範囲(−80°〜+80°好ましくは、−60°〜+60°)で常時変更してもよく、その場合であっても、他の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0092】
なお、本発明方法を実施するめっき装置としては、プリント基板に向けてめっき液を噴射しながら、無電解めっき又は電気めっきによって前記めっき液から前記金属を析出させて前記スルーホールを充填するめっき手段と、前記スルーホールを前記金属で充填する途中の時点において、前記めっき液の噴射角度を変更する噴射角度変更手段と、を備えることが好ましい。
【0093】
本発明方法を実施するためのめっき装置としては、前記プリント基板に向けてめっき液を噴射しながら、無電解めっき又は電気めっきによって前記めっき液から前記金属を析出させて前記スルーホールを充填するめっき手段と、前記めっき手段によるめっき液噴射途中で、前記プリント基板の姿勢を変更する基板姿勢変更手段と、を備えることが好ましい。
【0094】
本発明方法を実施するためのめっき装置としては、前記プリント基板をめっき液に浸漬した状態で、前記めっき液内で、前記プリント基板に向けて気泡を噴射させながら、無電解めっき又は電気めっきによって前記めっき液から前記金属を析出させて前記スルーホールを充填するめっき手段と、前記スルーホールを前記金属で充填する途中の時点において、前記プリント基板の姿勢を変更する基板姿勢変更手段と、を備えることが好ましい。
【0095】
本発明は、被めっき物としてプリント基板(プラ・パッケージ基板、半導体パッケージ基板を含む)に配線を形成するための電気銅めっきに適用することができる。
【0096】
(その他の実施形態)
本実施形態では図17に示すめっき装置101を使用し、以下に示す回転処理を行う。本めっき装置101はワーク回転部110を備え、ワーク回転部110は吸着部111と水平軸回転部112を有する。吸着部111は空気吸入口となっており、板状ワークWを吸着する。吸着部111は上側左右に2つ、下側左右に2つの計4つあり、板状ワークWの四隅を吸着する。4つの吸着部111は全て水平軸回転部112に支持され、水平軸回転部112の水平軸を中心に一斉に90度ずつ回転するので、板状ワークWの姿勢を90度ずつ回転させることができる。ワーク回転部110はガイドレール12の中途部に4つ設けられている。本めっき装置101の他の部分は前記実施形態のめっき装置と同様である。
【0097】
(回転処理)
図5に示すように、搬送チャック15aが分離レール11aに達すると、搬送チャック15aの搬送が一時停止される。この状態で、ワーク昇降部23aが分離レール11aを上昇させて、ガイドレール11から分離させる。これにより板状ワークWはメッキ槽2から引き上げられる。板状ワークWがメッキ槽2から引き上げられると、引き上げ位置で待機している吸着部111が板状ワークWを吸着可能な位置まで水平移動したうえで板状ワークWを吸着する。吸着部111によるワーク吸着が完了すると、搬送チャック15aがワーク把持を一時停止したうえで、ワーク昇降部23aが搬送ハンガ15を再上昇させる。ワーク昇降部23aによるハンガ再上昇が完了すると、水平軸回転部112が駆動して板状ワークWを90度回転させる。回転が完了すると、ワーク昇降部23aが、搬送チャック15aによりワーク把持が可能となる位置まで搬送ハンガ15を下降させる。この位置に到達すると搬送チャック15aは再度板状ワークWを把持する。搬送チャック15aによるワーク再把持が完了すると吸着部111は、ワーク吸着を停止したうえで、待機位置まで水平移動する。吸着部111が待機位置まで戻ると、ワーク昇降部23aは、分離レール11aを下降させてガイドレール11に連結する。これにより板状ワークWはメッキ槽2に再度浸漬されたうえで、ガイドレール11に沿って搬送されることで、残りのめっき処理が実施される。
【0098】
次に、めっき装置101を用いるめっき条件と実施例を説明する。
【0099】
<条件j:本発明の範疇内>
・基板姿勢:垂直
・めっき液の噴射:有り
・めっき液の噴射角度:ワーク表面の垂線に対して+60〜+45°または−6 0〜−45°傾斜
・気泡噴射:無し
・めっき液の噴射角度調整:無し
・基板姿勢の調整:有り
・姿勢調整方法:処理時間が1/4経過した時点で板状ワークWを90度回転
この条件jでは、板状ワークWに向けてめっき液Pを噴射しつつ、無電解めっき又は電気めっきによって、めっき液Pから金属を析出させて板状ワークWのスルーホールを充填する。スルーホールが金属で充填される途中の時点において、板状ワークWの姿勢を変更する。より具体的には、図8(a)に示すように、板状ワークWに対してめっき液Pを噴射する噴射角度を板状ワークWの垂線に対して一方側に非垂直な噴射角度θに設定する。この設定の状態で、めっき液Pを噴射する。このとき、図18(a)に示すように、板状ワークWは端部Waが図中上側、端部Wbが図中右側、端部Wcが図中下側、端部Wdが図中左側である。そして、めっきの途中で、めっき液Pの噴射角度θを維持し、この維持した状態で、板状ワークWの姿勢を、ワーク回転部110を使用して、図18(b)に示すように端部Waが図中右側、端部Wbが図中下側、端部Wcが図中左側、端部Wdが図中上側となるように90度回転してめっき液Pを噴射する。その後、めっきの途中で、めっき液Pの噴射角度θを維持し、この維持した状態で、ワークWの姿勢を、ワーク回転部110を使用して、図18(c)に示すように端部Waが図中下側、端部Wbが図中左側、端部Wcが図中上側、端部Wdが図中右側となるように90度回転してめっき液Pを噴射する。その後、めっきの途中で、めっき液Pの噴射角度θを維持し、この維持した状態で、板状ワークWの姿勢を、ワーク回転部110を使用して、図18(d)に示すように端部Waが図中左側、端部Wbが図中上側、端部Wcが図中右側、端部Wdが図中下側となるように90度回転してめっき液Pを噴射する。めっきが終了した後は、板状ワークWの姿勢を、ワーク回転部110を使用して、図18(a)に示すように、端部Waが図中上側、端部Wbが図中右側、端部Wcが図中下側、端部Wdが図中左側となるように90度回転する。なお、板状ワークWの姿勢変更(板状ワークWの回転)前後におけるめっき処理の時間は、めっき処理条件が同一であれば、全体のめっき処理時間の1/4〜略1/4であることが好ましい。
【0100】
(実施例6)
実施例6では、以下の諸条件で板状ワークWのスルーホールhにスルーホールめっき処理を施して純粋金属qを充填した。その結果、図11に示すように、ボイド/シームのない良好な純粋金属qの充填を行うことができた。
・条件:j
・電流密度(A/dm2):1.5
・めっき所要時間:80min
【符号の説明】
【0101】
1 前処理槽
2 めっき槽
2a 基板浸漬部
3 回収槽
4 水洗槽
5 アンロード部
6 剥離槽
7 水洗槽
8 ロード部
10〜13 ガイドレール
11a 分離レール
15 搬送用ハンガ
15a 搬送チャック
15b 支軸
20 陽極部
21 噴射部
22 遮蔽部
23 ワーク反転部
23a ワーク昇降部
23b 垂直軸反転部
23c 反転チャック
23d 水平軸反転部
62 基板ガイド
62a 下部ガイド板
62b 上部ガイド板
62c スリット
62d 整流板
64 噴射ノズル
66 パイプ
68 気泡発生管
100 めっき装置
102、104 陽極
106 スパージャ
106a 噴射ノズル部
106b ノズル管
106c ノズル本体
106d ノズル揺動部
108 下部基板遮蔽板
109 上部基板遮蔽板
110 ワーク回転部
111 吸着部
112 水平軸回転部
200 ドレン
202 オーバーフロー槽
204 エダクタボックス
208 循環ポンプ
209 ろ過フィルタ
210 パイプ
212 ノズル固定部材
224 給電レール
b ボイド
h スルーホール
ha、hb 内壁面
k 窪み
ma、mb めっき皮膜
q 純粋金属
r 隙間
s シーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解めっき又は電気めっきにより、プリント基板のスルーホールに金属を充填するめっき方法であって、前記プリント基板に対して非垂直な噴射角度を設定し、前記プリント基板に向けて前記噴射角度でめっき液を噴射し、めっき処理の途中で、前記めっき液の噴射角度を変更する、ことを特徴とするめっき方法。
【請求項2】
無電解めっき又は電気めっきにより、プリント基板のスルーホールに金属を充填するめっき方法であって、前記プリント基板に対して非垂直な噴射角度を設定し、前記プリント基板に向けて前記噴射角度でめっき液を噴射し、めっき処理の途中で、前記プリント基板の姿勢を変更する、ことを特徴とするめっき方法。
【請求項3】
無電解めっき又は電気めっきにより、プリント基板のスルーホールに金属を充填するめっき方法であって、前記プリント基板をめっき液に浸漬した状態で、前記プリント基板に向けて気泡を噴射し、めっき処理の途中で、前記プリント基板の姿勢を変更する、ことを特徴とするめっき方法。
【請求項4】
前記プリント基板を垂直または水平方向に搬送しながら、めっき処理を行う、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のめっき方法。
【請求項5】
前記めっき液を、前記プリント基板の表裏面それぞれに鏡像〜略鏡像対称に噴射する、ことを特徴とする、請求項1または2に記載のめっき方法。
【請求項6】
前記噴射角度を変更する前後のめっき処理時間を同じ〜略同じにする、ことを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項7】
前記プリント基板の姿勢を変更する前後のめっき処理時間を同じ〜略同じにする、ことを特徴とする請求項2または3に記載のめっき方法。
【請求項8】
前記めっき液が、硫酸銅めっき液である、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のめっき方法。
【請求項9】
プリント基板に対して非垂直な噴射角度を設定し、前記プリント基板に向けて前記噴射角度でめっき液を噴射させながら、無電解めっき又は電気めっきによって前記めっき液から金属を析出させて前記プリント基板のスルーホールを充填するめっき手段と、
めっき処理の途中で、前記めっき液の噴射角度を変更する噴射角度変更手段と、
を備えることを特徴とするめっき装置。
【請求項10】
プリント基板に対して非垂直な噴射角度を設定し、前記プリント基板に向けて前記噴射角度でめっき液を噴射させながら、無電解めっき又は電気めっきによって前記めっき液から金属を析出させて前記プリント基板のスルーホールを充填するめっき手段と、
めっき処理の途中で、前記プリント基板の姿勢を変更する基板姿勢変更手段と、
を備えることを特徴とするめっき装置。
【請求項11】
プリント基板をめっき液に浸漬した状態で、前記めっき液内で、前記プリント基板に向けて気泡を噴射させながら、無電解めっき又は電気めっきによって前記めっき液から金属を析出させて前記プリント基板内のスルーホールを充填するめっき手段と、
前記スルーホールを前記金属で充填する途中の時点において、前記プリント基板の姿勢を変更する基板姿勢変更手段と、
を備えることを特徴とするめっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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