説明

めっき装置およびめっき方法

【課題】高電流を流すことが可能であって、さらに、多孔体の内部にまで充分にめっきすることが可能でありながら、給電部のメンテナンス性が優れためっき装置およびめっき方法を提供する。
【解決手段】導電性が付与された長尺帯を、連続して電気めっきするめっき装置であって、めっき液が収容されためっき槽と、めっき液に少なくとも一部分が浸漬されている回転ドラムと、めっき槽内において回転ドラムと所定の間隔を設けて配置されているアノードと、回転手段により全体がループ状に回転し下方部分が回転ドラムを押圧した状態で回転ドラムとアノードとの間を通過するように回転している金属ベルトと、長尺帯を回転ドラムと金属ベルトに押圧させた状態で搬送する搬送手段と、給電部および電源部とが備えられており、金属ベルトは外周側に突起状電極が設けられており、給電部から金属ベルトに給電するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性が付与された長尺帯、特に全属多孔体を製造する際に使用されるめっき装置および前記めっき装置を用いためっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池の電極、各種フイルター、触媒の担体等に、連通気孔を有する三次元網状構造の金属多孔体を使用することが盛んに行われている。
【0003】
このような金属多孔体は、一般に、発泡ウレタン等の連通気孔を有する三次元網状構造の多孔質樹脂支持体に導電性を付与した後、金属を電気めっきし、その後、多孔質樹脂を熱処理により分解、除去することにより作製される(例えば特許文献1)。
【0004】
上記の電気めっきは、従来、図3に示すめっき装置を用いて行われていた。図3は従来のめっき装置の概略を模式的に示した図であり、図3において、31はめっき装置であり、32はロール、33はアノード、34はめっき槽、35はめっき槽34に収容されためっき液である。
【0005】
また、Wはワーク(導電性が付与された多孔質樹脂支持体)であり、図示しない巻出ロールから繰出されたワークは矢印の方向に搬送され、めっき液35を通過中にめっきされた後、図示しない巻取ロールに巻取られる。なお、電流は、整流器を介して、アノード33およびロール32に供給される(単純ロール給電)。
【0006】
このようなめっき装置31は簡便であるという利点を有しているものの、給電部であるロール32が液外に設けられており、ワークにおける給電部とめっき部とが離れることにより、両者間の電気抵抗が大きくなるため、高電流を流すことができず、めっき速度を速くすることが困難であるという問題があった。
【0007】
即ち、ロール32に供給された電流は、ワークWの長手方向に流れるが、長手方向の抵抗は厚み方向の抵抗に比べて大きいため、高電流を流すためには電圧を上げる必要がある。しかし、電圧を上げた場合には、めっき液の耐電圧値を超え、めっき液の分解が始まる恐れがあるため、高電流を流すことができず、めっき速度を速くすることが難しい。
【0008】
また、めっきによる金属の析出は、ワークWの表面から優先的に行われるため、特にワークが厚くなった場合、多孔体であるワークWの内部まで充分にめっきして、金属を析出させることが難しい。
【0009】
そこで、このような従来のめっき装置における問題点を解決するために、図4に示す改良型のめっき装置が開発されている。図4は、この改良型めっき装置の概略を模式的に示した図であり、図4において、41はめっき装置であり、42は突起電極ドラム、42aは突起電極ドラム42上に形成された突起、43はアノード、44はめっき槽、45はめっき槽44に収容されためっき液である。
【0010】
そして、突起電極ドラム42は、その下部がめっき液45に浸漬されて、ワークWの搬送速度と同じ速度で回転する。このとき、電流は、整流器を介して、アノード43および突起電極ドラム42に供給される(突起電極ドラム給電)。
【0011】
このめっき装置41においては、突起電極ドラム42に供給された電流は、ワークWの厚み方向に流れるが、厚み方向の抵抗は充分に小さく無視することができるため、前記した従来のめっき装置の場合と異なり、発熱やめっき液の分解を起こすことなく、高電流を流すことが可能となる。
【0012】
また、めっき中、突起42aが多孔体であるワークWの小孔に入り込み、突起42aの周囲でめっきが行われるため、ワークWの内部まで充分にめっきすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第2628600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記の改良型のめっき装置の場合、突起電極ドラム42がめっき液45内に浸漬されているため、突起電極ドラム42の表面にも金属が析出して、突起42aが太くなり、時間が経過するに従って、ワークWの小孔に入りこまなくなる。そこで、突起電極ドラム42の表面に析出した金属をバイトなどにより削り落とすことが行われるが、削りかすがワークW上やめっき液45に落ち込み、めっき品質を損ねる恐れがある。
【0015】
また、ニッケルめっきの場合には、めっき雰囲気は開放系で問題がないものの、アルミめっきの場合は、雰囲気中の水分がめっき性状に大きく影響するため、例えば、露点−40℃程度の乾燥雰囲気で行う必要がある。このため、めっき装置は、前記雰囲気のグローブボックス内に設けられる。この結果、突起電極ドラム42のメンテナンスは一層困難となり、「ロールtoロール」でのアルミめっきは、現状実現していない。
【0016】
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み、高電流を流すことが可能であって、さらに、多孔体の内部にまで充分にめっきすることが可能でありながら、給電部のメンテナンス性が優れためっき装置および前記めっき装置を用いためっき方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、鋭意検討の結果、以下に示す請求項の発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、各請求項の発明について説明する。
【0018】
請求項1に記載の発明は、
導電性が付与された長尺帯を、連続して電気めっきするめっき装置であって、
めっき液が収容されためっき槽と、
前記めっき液に、少なくとも一部分が浸漬されている回転ドラムと、
前記めっき槽内において、前記回転ドラムの下方に前記回転ドラムと所定の間隔を設けて、対向して配置されているアノードと、
回転手段により、全体がループ状に回転し、下方部分が前記回転ドラムを押圧した状態で、前記回転ドラムと前記アノードとの間を通過するように回転し、上方部分が前記めっき槽の外部で支持されて回転している金属ベルトと、
前記長尺帯を、前記回転ドラムと前記金属ベルトに押圧させた状態で、長手方向に搬送する搬送手段と、
前記めっき槽の外部に設けられた給電部および電源部と
が備えられており、
前記金属ベルトは、外周側に、所定の間隔で突起状電極が設けられており、
前記給電部から前記金属ベルトに給電することにより、前記長尺帯に、連続的に、電気めっきを施すように構成されている
ことを特徴とするめっき装置である。
【0019】
本請求項の発明においては、金属ベルトを、液槽内に浸漬された下方部分を除いて、めっき槽の外部に支持して、ループ状に回転させている。この結果、めっき液内に浸漬されている金属ベルトの表面に金属が析出して突起が太くなった場合であっても、析出した金属の削り落としに際し、削りかすのワーク上やめっき液への落ち込みを抑制することができる。
【0020】
そして、前記したアルミめっきの場合のように、乾燥雰囲気のグローブボックス内にめっき装置を設ける必要がある場合であっても、金属ベルトの一部をグローブボックス外に配置することが可能となるため、容易にメンテナンスを行うことができ、上記と同様に、メンテナンスに伴い発生した削りかすのワーク上やめっき液への落ち込みを抑制することができる。この結果、従来は困難であった「ロールtoロール」でのアルミめっきも可能となる。
【0021】
また、本請求項の発明においては、長尺帯をカソードである金属ベルトに押圧させた状態で電気めっきを施すように構成されている。このため、給電部は、従来の単純ロール給電の場合と同様に、めっき槽の外部にありながら、前記した改良型のめっき装置と同様に、抵抗が充分に小さなワークの厚み方向に電流を流すことができ、高電流を流すことが可能となる(電極搬送給電)。
【0022】
さらに、長尺帯が連通孔を有する多孔体の場合には、めっき中、金属ベルトに設けられた突起状電極が、多孔体であるワークの小孔に充分に入り込み、突起の周囲でめっきが行われるため、改良型のめっき装置と同様に、ワークの内部まで充分にめっきすることができる。
【0023】
このように、本請求項の発明によれば、高電流を流すことが可能であって、さらに、多孔体の内部にまで充分にめっきすることが可能でありながら、ワークへの給電部である金属ベルトのメンテナンス性が優れためっき装置を提供することができる。
【0024】
なお、金属ベルトとして網目状の金属シートを用い、網目状の骨格を切断し、切断された骨格を引き起こすことにより、容易に、突起状電極を形成することができる。
【0025】
請求項2に記載の発明は、
前記長尺帯が、連通孔を有する長尺帯状の多孔体であることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置である。
【0026】
前記したように、長尺帯が連通孔を有する長尺帯状の多孔体である場合、突起状電極がワークの小孔に充分に入り込み、突起の周囲でめっきが行われるため、ワークの内部まで充分にめっきすることができる。
【0027】
請求項3に記載の発明は、
前記金属ベルトが、アルミニウム製のシートからなる金属ベルトであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のめっき装置である。
【0028】
アルミニウム製のシートからなる金属ベルトを用いた場合、アルミニウム製シートの表面には不動態酸化膜が形成され、この不動態酸化膜上にめっきにより形成された金属膜は剥離されやすいため、メンテナンスがより容易となり好ましい。
【0029】
請求項4に記載の発明は、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のめっき装置を用いて、連通孔を有し導電性が付与された長尺帯に連続して電気めっきを施すことを特徴とするめっき方法である。
【0030】
前記のめっき装置を用いることにより、前記したように、高電流を流すことが可能であって、さらに、長尺帯が多孔体の場合、多孔体の内部にまで充分にめっきすることが可能でありながら、給電部のメンテナンスを容易に行うことができる。このため、高い生産性の下で、高品質のめっきを行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、高電流を流すことが可能であって、さらに、多孔体の内部にまで充分にめっきすることが可能でありながら、給電部のメンテナンス性が優れためっき装置およびめっき方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態におけるめっき装置の概要を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるめっき装置に用いられる金属ベルトを説明する図である。
【図3】従来のめっき装置の概要を模式的に示す図である。
【図4】従来の改良型のめっき装置の概要を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0034】
1.めっき装置
初めに、本実施の形態におけるめっき装置について説明する。図1は、本実施の形態におけるめっき装置の概要を模式的に示す断面図である。図1において、1はめっき装置、11はカソードとなる金属ベルト、11aは金属ベルト11の外周側に設けられた突起状電極、12は回転ドラム、13はアノード、14はめっき槽、15はめっき槽14に収容されためっき液、16は金属ベルト11を支持して矢印イで示す方向に回転させる金属ベルト駆動用ロール、17はワーク(多孔体)Wを長手方向に搬送するワーク搬送用ロール、18は金属ベルト駆動用ロールを兼ねた給電部である。なお、給電部18およびアノード13へ、整流器を介して、電源部より電流が供給される。
【0035】
(1)回転ドラム
図1に示すように、回転ドラム12の少なくとも一部は、めっき液15に浸漬されている。そして、めっき液15中において、回転ドラム12は、金属ベルト11およびワークWにより押圧された状態にある。
【0036】
(2)アノード
アノード13は、めっき液15に浸漬されて、回転ドラム12の下方に、回転ドラム12と対向して配置されており、めっき時、ワークWとアノード13が接触せずに、ほぼ一定の間隔を保つことができるように、湾曲形状で、回転ドラム12と適当な間隔を隔てて配置されている。
【0037】
(3)金属ベルト
金属ベルト11は、2本の金属ベルト駆動用ロール16、金属ベルト駆動用ロールを兼ねた給電部18および回転ドラム12に支持されて、矢印イで示す方向に回転するように配置されており、給電部18から給電されることにより、カソードとして働く。
【0038】
ここで、2本の金属ベルト駆動用ロール16と金属ベルト駆動用ロールを兼ねた給電部18とは、めっき槽の外部に設けることができるため、金属ベルト11の上方部分をめっき槽の外部に位置させることができる。この結果、めっき液15中で金属ベルト11の外周側に析出した金属の削り取り作業を、めっき槽の外部で行うことが可能となり、削りかすがワークW上やめっき液15に落ちることもない。アルミめっきの場合のように、乾燥雰囲気のグローブボックス内にめっき装置を設ける必要がある場合も同様に、金属ベルト11の上方部分をグローブボックスの外部に位置させることができ、メンテナンス作業をグローブボックスの外部で行うことが可能となり、削りかすがワークW上やめっき液15に落ちることもない。
【0039】
金属ベルト11としては、一般的には、ワークにめっきする金属と同じ材質の金属ベルトを用いることが好ましい。なお、アルミニウム製のシートからなる金属ベルトを用いた場合、前記したように、アルミニウム製シートの表面には不動態酸化膜が形成され、この不動態酸化膜上にめっきにより形成された金属膜は剥離されやすいため、メンテナンスがより容易となり好ましい。
【0040】
そして、金属ベルト11の外周側には、突起状電極11aが所定の間隔を設けて配置されている。このため、回転ドラム12に押圧させた状態で、めっき液15中をワークWと共に移動する際、突起状電極11aを多孔体であるワークWの小孔に充分に入り込ませることができる。そして、突起状電極11aの周囲でめっきが行われるため、ワークWの内部まで充分にめっきすることができる。
【0041】
突起状電極11aを備えた金属ベルト11の一例を図2に示す。図2は、本実施の形態におけるめっき装置に用いられる金属ベルトを説明する図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A矢視図である。なお、図2(a)では、金属ベルト11の一部拡大図、および、1点鎖線で囲んだ部分をさらに拡大した図が示されている。
【0042】
図2(a)に示すように、金属ベルト11としては、エキスパンドメタル等の網目状の金属シートからなる金属ベルトが好ましく用いられる。このとき、金属ベルト11には、図2(b)に示すように、直径d、高さhの突起状電極11aが、所定のピッチPで設けられている。この突起状電極11aは、図2(a)の左側に示すように、網目状の骨格の一部を切断した後、図2(c)に示すように、切断された骨格を引き起こすことにより形成される。
【0043】
なお、突起状電極11aの間隔(ピッチP)および高さhは、ワークWの厚みや多孔度等に応じて適宜設定される。また、突起状電極11aのサイズとしては、一般的に、直径dとしては500μm、高さhとしては1mm程度が好ましく、またピッチPとしては2.5cm程度が好ましいことを、本発明者は実験により確認している。即ち、直径500μm、高さ1mm程度の突起状電極11aは、突起状電極11aを中心とする直径2.5cm程度の範囲でめっきを成長させていることが確認されている。
【0044】
(4)ワーク搬送用ロール
ワーク搬送用ロール17は、回転ドラム12の左右に設けられており、巻出ロール(図示せず)から繰出された長尺のワークWを矢印ロに示す長手方向に搬送する。このとき、左側のワーク搬送用ロール17を通過したワークWは、金属ベルト11と共に、回転ドラム12に押圧させた状態でめっき液15中を移動し、めっきを施されて、右側のワーク搬送用ロール17を経由して、巻取りロール(図示せず)に巻取られる。
【0045】
2.めっき方法
次に、上記のめっき装置を用いためっき方法について説明する。
【0046】
まず、巻出ロールから長尺のワークWを繰出し、ワーク搬送用ロール17を通過した時点で、回転する金属ベルト11と重ね合わせる。重ね合わされたワークWと金属ベルト11は、そのまま、めっき液15中に送られ、回転ドラム12に押圧させた状態でめっき液15中を移動する。
【0047】
このとき、給電部18から金属ベルト11へ供給された電流が、ワークWの厚み方向に流れ、ワークWの表面にめっきが施されると共に、突起状電極11aへ供給された電流により、突起多孔体内部にも充分にめっきが施される。このように、電流を抵抗が小さなワークWの厚み方向に流すため、高電流を流すことが可能となり、めっき速度を向上させることができる。
【0048】
めっきが施されたワークWと金属ベルト11は、めっき液15を出た後、給電部18、ワーク搬送用ロール17に至って、重ね合わせが解放されて、ワークWは巻取りロールに巻取られ、一方、金属ベルト11は上方に移動する。
【0049】
上方に移動した金属ベルト11は、めっき槽の外部で、その表面に析出した金属を削り取られて、メンテナンスされる。このように、メンテナンスはめっき槽の外部での作業であるため、容易にメンテナンスを行うことができ、また削りかすなどがめっき液15やワークWの表面に落ちることがない。グローブボックス内にめっき装置を設ける必要がある場合も同様であり、メンテナンスがグローブボックスの外部での作業となるため、容易にメンテナンスを行うことができ、また削りかすなどがめっき液15やワークWの表面に落ちることがない。
【実施例】
【0050】
以下、多孔体として、連通気孔を有する三次元網状構造のウレタン樹脂多孔体を用い、Alめっきを施す場合を例に挙げ、本発明をより具体的に説明する。
【0051】
1.ワークの準備
先ず、幅1m、厚み0.14mm、多孔度96%、孔径500μmのウレタン樹脂多孔体に、カーボン塗布法を用いてカーボン粒子をウレタン表面に被覆することにより導電性を付与して、電気めっき用のワークを作製した。
【0052】
2.めっき
以下に示すめっき装置を用い、以下に示すめっき条件でめっきを行った。
【0053】
(1)めっき装置
図1に示しためっき装置であって、以下の構成のめっき装置を用いた。
回転ドラム :ドラム径1m
金属ベルト 材質 :Alエキスパンドメタル
幅 :1.5m
長さ :全長30m(グローブボックス外部における長さ:20m)
突起状電極 :高さ1mm、径500μm、ピッチ25mm
【0054】
(2)めっき条件
めっき液の組成 :AlCl3/EMIC=2mol/1mol
通電電流 :1300A
線速 :700mm/分
めっき付着量 :10g/m
ワークの浸漬長さ :2.5m
【0055】
3.評価
本実施例により、1300Aという高電流の下、700mm/分という高速めっきが可能であることが確認された。また、断面SEM(走査型顕微鏡)観察によりワークの厚み方向におけるめっき状況を調べた結果、ワークの内部まで充分にめっきされており、ワークの厚み方向におけるめっきの均一性が良好であることが確認された。
【0056】
また、めっき中、金属ベルトに析出した金属の除去は、グローブボックスの外部で容易に行うことができた。
【0057】
なお、その後、メッキ処理されたウレタン樹脂多孔体を加熱処理することにより、樹脂成分を熱分解、除去し、金属のみからなる金属多孔体を作製した。
【0058】
このように、本実施の形態によれば、高電流の下で高速めっきが可能であって、さらに、多孔体の内部にまで充分にめっきすることが可能でありながら、ワークへの給電部である金属ベルトのメンテナンス性が優れためっき装置およびめっき方法を提供することができることが分かる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0060】
1、31、41 めっき装置
11 金属ベルト
11a 突起状電極
12 回転ドラム
13、33、43 アノード
14、34、44 めっき槽
15、35、45 めっき液
16 金属ベルト駆動用ロール
17 ワーク搬送用ロール
18 給電部
32 ロール
42 突起電極ドラム
42a 突起
d 突起状電極の直径
h 突起状電極の高さ
P 突起状電極のピッチ
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性が付与された長尺帯を、連続して電気めっきするめっき装置であって、
めっき液が収容されためっき槽と、
前記めっき液に、少なくとも一部分が浸漬されている回転ドラムと、
前記めっき槽内において、前記回転ドラムの下方に前記回転ドラムと所定の間隔を設けて、対向して配置されているアノードと、
回転手段により、全体がループ状に回転し、下方部分が前記回転ドラムを押圧した状態で、前記回転ドラムと前記アノードとの間を通過するように回転し、上方部分が前記めっき槽の外部で支持されて回転している金属ベルトと、
前記長尺帯を、前記回転ドラムと前記金属ベルトに押圧させた状態で、長手方向に搬送する搬送手段と、
前記めっき槽の外部に設けられた給電部および電源部と
が備えられており、
前記金属ベルトは、外周側に、所定の間隔で突起状電極が設けられており、
前記給電部から前記金属ベルトに給電することにより、前記長尺帯に、連続的に、電気めっきを施すように構成されている
ことを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
前記長尺帯が、連通孔を有する長尺帯状の多孔体であることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記金属ベルトが、アルミニウム製のシートからなる金属ベルトであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のめっき装置を用いて、連通孔を有し導電性が付与された長尺帯に連続して電気めっきを施すことを特徴とするめっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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