説明

るつぼ供給機構

【課題】簡単な構成でありながら、るつぼRを破損させること無く供給するとともに、るつぼ設置部33への位置ずれを防止する。
【解決手段】るつぼRを受け取るるつぼ設置部33にるつぼRを案内する案内路32において、その導出口側に、るつぼRの落下速度を低下させるとともに、るつぼRの着地位置の位置ずれを小さくするための絞り構造321を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄鋼や非鉄金属、セラミックスなどの測定試料中に含まれる炭素(C)、窒素(N)、水素(H)、硫黄(S)、酸素(O)等の元素を分析する元素分析装置に関し、特に、るつぼを供給するるつぼ供給機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の元素分析装置は、例えば特許文献1に示すように、上部電極及び下部電極に狭持されたるつぼに測定試料を収容して、電圧を印加することにより、るつぼ内の測定試料を加熱して、それによって生じたガスを分析して前記測定試料の元素を分析している。そして、この元素分析装置では、るつぼを供給するるつぼ供給機構を備え、当該るつぼ供給機構により供給されたるつぼを搬送機構によって下部電極上に搬送するようにしている。
【0003】
従来、るつぼ供給機構は、複数のるつぼを収容するるつぼ収容部からるつぼを案内路を通じて落下させて、案内路の下部に設けられてたるつぼ設置部にるつぼを設置するようにしている。そして、案内路は、るつぼを詰まらせずにスムーズに落下させるため、るつぼの外径よりも大きくしており、アクリルパイプ等の等断面形状の円筒部材により形成されている。つまり案内路の通路断面積は出口に至るまで等しい。
【0004】
しかしながら、このようなものでは、るつぼは落下するに従って落下速度が増大してしまい、るつぼ設置部への着地時に衝撃によってるつぼが破損してしまうという問題がある。
【0005】
また、るつぼの着地位置は、案内路の通路断面積の範囲内においてばらついてしまい、所望の設置位置からずれてしまうという問題がある。さらに、その後搬送機構によって搬送する場合には、搬送機構によるるつぼの把持を確実に行うことができないという問題もある。
【特許文献1】特許2949501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、簡単な構成でありながら、るつぼを破損させること無く供給するとともに、るつぼ設置部への位置ずれを防止することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明にるつぼ供給機構は、るつぼに入れた試料を加熱することにより、当該試料内部に含まれている元素をガス成分として抽出して分析する元素分析装置に用いられるるつぼ供給機構であって、るつぼを所定の加熱位置に搬送するために当該るつぼが設置されるるつぼ設置部と、一端がるつぼを導入するための導入口として開口し、他端が前記るつぼ設置部の上方に開口して、前記るつぼを落下させて前記るつぼ設置部に案内する案内路と、を具備し、前記案内路の導出口側に、その通路断面積を減少させて前記るつぼの通過領域を狭める絞り構造が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、案内路の導出口側に絞り構造を設けるという簡単な構成でありながら、通路断面積を減少させて通過領域を狭めることにより、るつぼが絞り構造に接触して、るつぼの落下速度を低下させることができる。また、導出口側においてるつぼの通過領域が狭められるので、るつぼの設置位置における位置ずれを防止することができる。
【0009】
絞り構造の構成を一層簡単にし、るつぼのスムーズな落下を確保するためには、前記絞り構造が、前記導出口に向かうに従って徐々に窄まるテーパ部を備えることが望ましい。
【0010】
テーパ部により減速されたるつぼを再び加速しにくくし、さらに、るつぼの着地位置を精度良くするためには、前記絞り構造が、前記テーパ部の下流側に連続して設けられ、前記テーパ部の最小径と同径を有する等断面形状の小径部を備えることが望ましい。
【0011】
小径部におけるるつぼの落下速度を調節可能にするためには、前記小径部に設けられ、前記案内路の内部及び外部を連通する空気孔を備えることが望ましい。これならば、空気孔から排出される空気量又は空気孔に導入される空気量を制御することにより、るつぼの落下速度を調節可能にすることができる。
【0012】
前記るつぼ設置部が、前記案内路に接続されて、落下したるつぼを受け取る受取位置と、当該受取位置から鉛直下方に離間した離間位置との間を昇降移動するものである場合に、るつぼ設置部へのるつぼの設置をより一層精度良く行うためには、前記受取位置における前記案内路の出口及び前記るつぼ設置部の位置決めを行う位置決め機構を備え、前記位置決め機構が、前記るつぼ設置部又は前記案内路を形成する部材の一方に設けられた凸部と、前記るつぼ設置部又は前記案内路を形成する部材の他方に設けられ、前記凸部に嵌合する凹部とからなることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、簡単な構成でありながら、るつぼを破損させること無く供給するとともに、るつぼ設置部への位置ずれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本実施形態の元素分析装置100の概略構成図、図2はるつぼ供給機構3の構成を示す模式的断面図、図3は案内管5の正面図である。
【0015】
<装置構成>
本実施形態に係る元素分析装置100は、るつぼR内に収容された金属試料(以下、単に試料とも言う)を加熱し、その際に発生するガス成分を分析することによって、当該試料中に含まれている元素を測定するもので、分析装置本体1と、当該分析装置本体1にるつぼRを搬送するるつぼ搬送機構2と、当該るつぼ搬送機構2に搬送されるるつぼRを供給するるつぼ供給機構3とを備えている。以下それぞれについて説明する。
【0016】
<<分析装置本体1>>
分析装置本体1から説明すると、この分析装置本体1の正面には、図1に示すように、上部電極12及び下部電極11が上下に離間させて設けられており、下部電極11上に、試料を収容したるつぼRを載置できるように構成してある。この図1に示す下部電極11上に載置されたるつぼ位置が加熱位置P1である。なお、図1中、符号13は下部電極11上におけるるつぼの有無を検知する検知センサ(例えば光電センサ)である。また、るつぼRは、上部が開口した円筒状をなす黒鉛を素材としたもので、下端部は先細りのテーパ形状をなしている。なお、るつぼRは、下端部が先細りテーパ形状をなすものの他、下端部の外周に環状凹溝が形成されたものであっても良い。
【0017】
そして分析時は、加熱位置P1に置かれたるつぼRに対して、下部電極11が上方にスライドし、上部電極12との間でるつぼRを挟み込む。この状態で、上部電極12の上方に設けられた試料投入口12Aから、るつぼR内に試料を投入されると、その後、電極11、12間に電流が印加され、るつぼRが発熱して内部の試料が加熱される。加熱された試料から発生したガスは、図示しない分析部に送られて成分が測定され、その結果から、試料に元々含まれていた元素が分析される。
【0018】
例えば、試料中の酸素量を測定する場合には、試料の融解によって反応生成物であるCO(一酸化炭素)を発生させ、COを例えば分析部を構成する非分散形赤外線検出器を用いて測定し、そのCO値に基づいて当該試料中に存在していた酸素量を測定・算出する。その他、反応生成物とそれに応じた分析部を設定することにより、水素窒素などの成分も測定することができる。なお、分析後は、使用したるつぼRは、るつぼ搬送機構2により試料と共に廃棄処分される。
【0019】
<<るつぼ搬送機構2>>
るつぼ搬送機構2は、図1に示すように、後述するるつぼ設置部33に設置されたるつぼRを、分析装置本体1における加熱位置P1まで搬送するものであり、加熱位置P1(下部電極11)に対して進退移動可能なアーム部21と、当該アーム部21を駆動する駆動機構(図示しない)と、アーム部21の先端に取り付けられた一対の把持爪22とを具備するもので、別に設けた制御機器(図示しない)からの指令によって制御される。
【0020】
アーム部21の基端部は、基台101に設けられた駆動機構の回転軸に連結されており、この駆動機構により、アーム部21は、加熱位置P1及び加熱位置P1から離間した退避位置の間を回転して進退移動する。ここで、退避位置は、加熱位置P1に対して、るつぼ設置部33よりも外方に位置している。また、把持爪22は、少なくとも一方が例えば概略くの字形をなすものである。各把持爪22は、基端部においてアーム部21にスライド駆動可能に保持されており、前記制御機器からの指令で把持爪22間の距離を縮めるようにスライドさせることによって、各把持爪22の中央部分間で前記るつぼRの側周面を狭圧把持できるように構成されている。
【0021】
るつぼ搬送機構2の動作について説明すると、るつぼ搬送時において、アーム部2が退避位置から回転移動して、るつぼ設置部33に至る。そして、把持爪21がるつぼ設置部33にあるるつぼRを把持する。その後、再び回転移動して、加熱位置P1に移動し、加熱位置P1(下部電極11上)にるつぼRを載置する。載置後、アーム部2は退避位置に戻る。また分析後は、アーム部21が退避位置から加熱位置P1に移動し、把持爪21が下部電極11上にあるるつぼRを把持し、図示しない廃棄容器に搬送して廃棄する。
【0022】
<<るつぼ供給機構3>>
るつぼ供給機構3は、るつぼ搬送機構2により搬送されるるつぼRを自動的に供給するものであり、特に図2に示すように、複数のるつぼRを収容可能なるつぼ収容部31と、るつぼ収容部31からるつぼRを自重により落下させる案内路32と、案内路32の導出口32b(出口)に設けられ、落下したるつぼRを受け取るるつぼ設置部33と、を備えている。
【0023】
るつぼ収容部31は、複数のるつぼRが並列に載置される傾斜面311と、当該傾斜面311の下方に設けられた排出口312と、傾斜面311の下方に滑下したるつぼRを保持して前記排出口312に移動させるるつぼ排出機構313とを備えている。るつぼ排出機構313としては、例えば、側面にるつぼRを収容する凹部を有し、一軸周りに回転する回転体3131(図1参照)と、当該回転体3131を回転させる駆動部(図示しない)とからなり、前記凹部に収容されたるつぼRを回転することにより、排出口312に移動させるものが考えられる。そして、るつぼ排出機構313により、排出口312上部に移動されたるつぼRは自重により、排出口312から落下して排出される。これならば、るつぼRを並列に収容しているので、るつぼRを可及的に多く収容することができる。またるつぼRの自重を用いて排出するようにしているので排出機構313の構造を簡単にすることができる。
【0024】
案内路32は、るつぼRを略鉛直方向に落下させて、るつぼ設置部33に案内するものであり、図2及び図3に示すように、一端がるつぼRを導入する導入口32aとして開口し、他端がるつぼRを導出する導出口32bとしてるつぼ設置部33の上方に開口している。本実施形態の案内路32は、概略円筒形状をなす案内管5により略鉛直方向に形成されており、案内路32の導入口32aは、るつぼ収容部31の排出口312に連通している。
【0025】
また、案内路32は、るつぼ収容部31から導入されたるつぼRを上下正向きの状態のまま落下させるものであり、るつぼRが落下する際に上下反転しない内径、例えば、るつぼRの最長の対角線の長さ寸法よりも小さい内径である。
【0026】
案内管5の側壁には、排出口312から導入されたるつぼR以外の異物(例えばるつぼRの破片等)を出口(導出口32b)に到達させること無く案内管5の外部に排出するための、例えばスリット状の貫通孔5Aが1又は複数個設けられている(図3において3個)。具体的には、案内管5中、傾斜面311に略垂直に設けられた屈曲部51の側壁下方に貫通孔5Aが設けられている。これにより、破片は自重により貫通孔5Aを通って案内管5外に排出される。また、この貫通孔5Aにより、案内路32におけるるつぼRの詰まりを確認することもできる。
【0027】
さらに、案内路32には、るつぼRの落下速度を低下させる落下速度低減機能及びるつぼ設置部33への設置位置の位置ずれを防止する位置ずれ防止機能を発揮する絞り構造321が設けられている。この絞り構造321は、案内路32の導出口32b側に設けられ、より具体的には、前記落下速度低減機能及び位置ずれ防止機能を発揮する位置に設けられており、本実施形態では、導出口32bに連続するように設けられている。
【0028】
そして、絞り構造321は、案内路32の通路断面積を減少させて、るつぼRの通過領域を狭めるものである。具体的に絞り構造321は、案内路32の出口近傍に設けられ、導出口32bに行くに従って徐々に窄まるテーパ部3211と、当該テーパ部3211の導出口側端部に連続して設けられ、テーパ部3211の最小径と同径を有する等断面形状の小径部3212とを備える。
【0029】
このテーパ部3211の最小径(小径部3212の内径)は、るつぼRの外径よりも若干大きく、るつぼRが自重により通過可能なものである。また、小径部3212は、テーパ部3211の導出口側端部から案内路32の導出口32bに至るまで形成されている。これにより、小径部3212を通過するるつぼRは、るつぼ設置部33に設置される姿勢(つまり、るつぼRの中心軸が略鉛直方向を向く姿勢)のまま落下する。
【0030】
この絞り構造321により、るつぼRは落下する途中でテーパ部3211に接触するとともに、小径部3212の内周面と接触して、その接触抵抗により、案内路32の導出口32bにおけるるつぼRの落下速度は低減される。したがって、るつぼ設置部33に着地する際のるつぼRの破損を防止することができる。また、小径部3212がるつぼRの外径よりも若干大きい内径であり、るつぼ設置部33への着地位置のばらつきを防止して設置位置の位置ずれを防止することができ、精度良く設置することができる。
【0031】
るつぼ設置部33は、図1及び図2に示すように、基台101に設けられたエアシリンダ等からなる昇降機構34の駆動軸341の先端部に設けられている。そして、るつぼ設置部33は、案内路32に接続されて、落下したるつぼRを受け取る受取位置Q1と、当該受取位置Q1から鉛直下方に離間した離間位置であるるつぼ搬送位置Q2との間を昇降移動するものである。
【0032】
具体的にるつぼ設置部33は、図2に示すように、るつぼRを収容可能な凹部331xを有し、るつぼRを受け取るるつぼ受け本体331と、当該るつぼ受け本体331の凹部331x内に設けられた載置突起332とを備えている。
【0033】
るつぼ受け本体331は、概略有底円筒形状をなし、内部を視認可能な透明樹脂から形成されており、その凹部331xの内径は、るつぼRの外径よりも大きい。
【0034】
載置突起332は、概略円柱形状をなすものであり、その直径がるつぼRの開口径よりも若干小さく設定されている。そして、載置突起332は、るつぼ受け本体331の凹部331x内において同軸上に設けられ、るつぼRが上下正向きに設置された場合には、その略水平な上面332aにるつぼRが載置される。一方、載置突起332は、るつぼRが上下逆向きに設置された場合には、るつぼR内に収容される。この構成により、るつぼRを上下正向きに設置した場合と、るつぼRを上下逆向きに設置した場合とで、るつぼ設置部33におけるるつぼRの高さ位置が異なる。
【0035】
また、載置突起332の長さは、用いられる種々のるつぼRにおいて、いずれの深さ寸法よりも長くして、るつぼRのサイズを問わない構造としている。つまり、載置突起332の長さは、上下逆向きに設置した場合に、るつぼRの開口が凹部底面に接触しない長さである。つまり、載置突起332の長さは、上下逆向きに設置した場合に、凹部底面と、るつぼRの開口端面との間に空間が形成されるように設定されている。これにより、るつぼRの破片等の異物が凹部331xに蓄積されている場合であっても、るつぼ受け本体331は、上下逆向きにるつぼRを収容することができる。
【0036】
さらにこのるつぼ供給機構3は、図1及び図2に示すように、るつぼ検知センサ41を備え、前記るつぼ設置部33とともに反転検出機構4を構成する。
【0037】
るつぼ検知センサ41は、載置突起332にるつぼRが上下正向きに設置された場合にのみるつぼRを検出する、光を利用したものである。具体的には、光電センサを用いており、光電センサ41の発光部を出て受光部に到達する光L1の軌道が、るつぼ設置部33に上下正向きに設置されたるつぼRの外周面で反射して受光部に到達するように構成されている。
【0038】
このような構成により、るつぼRを上下正向きに設置した場合には、発光部から出た光L1は、るつぼRの側面により反射されて受光部により受光される。一方、るつぼRを上下逆向きに設置した場合には、発光部から出た光L1は、るつぼRの外側周面により反射されることなく、受光部により受光されない。以上により、るつぼ設置部33にるつぼRが設置されていない場合、設置されていても上下逆向きに設置されている場合には、受光部が光L1を受光しないことから、るつぼRの有無及びるつぼRの反転を検知できる。また、受光部の検知信号は、図示しない報知手段に出力され、警報音等でオペレータに報知するようにしている。なお、るつぼ検知センサ41は、上述した反射型のものに限られず、透過型のものでもよいし、超音波を利用したもの等を用いても構わない。
【0039】
<<位置決め機構6>>
さらに、本実施形態のるつぼ供給機構3は、図2に示すように、案内路32の導出口32bとるつぼ設置部33との位置決めを行う位置決め機構6を備えている。
【0040】
この位置決め機構6は、るつぼ設置部33又は案内管5の一方に設けられた凸部61と、るつぼ設置部33又は案内管5の他方に設けられ、凸部61と嵌合する凹部62と、からなる。そして、凸部61及び凹部62が嵌合した状態において、案内路32の導出口32b近傍に設けられた絞り構造321の中心軸、及びるつぼ受け本体331(載置突起332)の中心軸を一致させる。
【0041】
具体的に本実施形態の凸部61は、先端に行くに従って縮径する先細りテーパ状をなすものであり、るつぼ受け本体331の側周壁上端部に形成されたテーパ部331tにより構成されている。また、凹部62は、先端に行くに従って拡開する拡開テーパ状をなすものであり、案内管5の導出口32bの周囲に形成されたテーパ部5tにより構成されている。
【0042】
そして、るつぼ設置部33が、るつぼ搬送位置Q2から受取位置Q1に移動するにつれて、案内管5のテーパ部5tに、るつぼ受け本体331のテーパ部331tが嵌り位置決めが行われ、るつぼ設置部33が受取位置Q1に到達した状態において、絞り構造321の中心軸、より具体的には小径部3212の中心軸と、るつぼ受け本体331(載置突起332)の中心軸とが一致する。なお、るつぼ受け本体331及び駆動軸341の間にバネなどの弾性体を介在させることにより、昇降機構34としてエアシリンダ等の位置精度に低いアクチュエータを用いることができる。
【0043】
また、るつぼRは絞り構造321の小径部3212と略同軸上に落下するので、るつぼRの中心軸と、るつぼ受け本体331(載置突起332)の中心軸とが略一致することになり、るつぼ設置部33へのるつぼRの設置の位置精度を極めて正確にすることができる。
【0044】
<本実施形態の効果>
【0045】
このように構成した本実施形態に係る元素分析装置100によれば、案内路32の導出口32b側に絞り構造321を設けるという簡単な構成でありながら、通路断面積を減少させて通過領域を狭めることにより、るつぼRが絞り構造321に接触して、るつぼRの落下速度を低下させることができる。また、導出口32b側においてるつぼRの通過領域が狭められるので、るつぼRの着地位置における位置ずれを防止することができ、るつぼ設置部33への設置を精度良く行うことができる。
【0046】
また、絞り構造321がテーパ部3211及び小径部3212から構成することにより、絞り構造321の構成を簡単にし、るつぼRのスムーズな落下を確保するとともに、テーパ部3211により減速されたるつぼRを再び加速しにくくするとともに、るつぼRの着地位置を一層精度良くすることができる。
【0047】
<その他の変形実施形態>
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
【0049】
例えば、前記実施形態の絞り構造は、案内路の導出口側に1つのみ設けられたものであったが、図4に示すように、案内路32’に複数個(図4においては3つ)設けても良い。この場合、最も導出口寄りに設けられる絞り構造321’以外においては、小径部は必要とせず、テーパ部のみでも良い。これならば、るつぼRが各絞り構造321’を通過する毎にその落下速度が低下されるので、るつぼ設置部33への着地時での破損を防止できる他、案内路32’中を落下する際に、案内路32’を形成する案内管5’の内周面に衝突してるつぼRが破損することも防止することができる。
【0050】
また、図5に示すように、絞り構造321’は、案内路32’を形成する案内管5’の内周面に通路方向に延びる複数の突条を例えば放射状に設けても良い。このとき各突条は、概略くさび形状を成すものであり、導出口に行くに従ってその高さが徐々に大きくなる傾斜部321aと、当該傾斜部321aの導出口側端部に連続して設けられ、当該導出口側端部と略同じ高さを有する等高部321bとからなる。
【0051】
さらに、絞り構造は、テーパ面以外に傾斜平面であっても良い。
【0052】
加えて、前記実施形態の絞り構造は、テーパ部及び小径部を備えたものであったが、テーパ部のみを備えるものであっても良い。
【0053】
さらに加えて、前記実施形態のるつぼ供給機構では、るつぼ設置部が昇降移動するものであったが、案内管(案内路)の出口が昇降移動するものであっても良い。
【0054】
その上、図6に示すように、小径部3212に設けられ、案内路32の内部及び外部を連通する空気孔を設けても良い。このとき空気孔は、るつぼRが通過する際の空気逃げとして機能し、るつぼRの落下をスムーズにすることができる。また、空気孔に例えばニードルバルブ等の流量制御器を接続して、空気孔から排出される空気量又は空気孔321Hに導入される空気量を制御すれば、るつぼRの落下速度を調節可能にすることができる。
【0055】
また、前記実施形態の案内路は横断面円形状をなすものであったが、その他、例えば横断面矩形状をなすものであっても良い。
【0056】
また、黒鉛るつぼの他に、セラミックるつぼを用いるものであっても良い。この場合、分析装置本体は高周波加熱炉を備えるものであり、試料中に存在する炭素や硫黄などを分析するものであっても良い。
【0057】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る元素分析装置の模式的構成図。
【図2】同実施形態におけるるつぼ供給機構の構成を示す縦断面図。
【図3】同実施形態における案内管の正面図。
【図4】変形実施形態に係る絞り構造を示す断面図。
【図5】絞り構造の変形例を示す縦断面図及び横断面図。
【図6】絞り構造の変形例を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0059】
100 ・・・元素分析装置
R ・・・るつぼ
P1 ・・・加熱位置
3 ・・・るつぼ供給機構
33 ・・・るつぼ設置部
32 ・・・案内路
321 ・・・絞り構造
3211・・・テーパ部
3212・・・小径部
321H・・・空気孔
Q1 ・・・受取位置
Q2 ・・・離間位置
6・ ・・・位置決め機構
61 ・・・凸部
62 ・・・凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
るつぼに入れた試料を加熱することにより、当該試料内部に含まれている元素をガス成分として抽出して分析する元素分析装置に用いられるるつぼ供給機構であって、
るつぼを所定の加熱位置に搬送するために当該るつぼが設置される、るつぼ設置部と、
一端がるつぼを導入する導入口として開口し、他端がるつぼを導出する導出口として前記るつぼ設置部の上方に開口して、前記るつぼを落下させて前記るつぼ設置部に案内する案内路と、を具備し、
前記案内路の導出口側に、その通路断面積を減少させて前記るつぼの通過領域を狭める絞り構造が設けられている、るつぼ供給機構。
【請求項2】
前記絞り構造が、前記導出口に向かうに従って徐々に窄まるテーパ部を備える請求項1記載のるつぼ供給機構。
【請求項3】
前記絞り構造が、前記テーパ部の下流側に連続して設けられ、前記テーパ部の最小径と同径を有する等断面形状の小径部を備える請求項2記載のるつぼ供給機構。
【請求項4】
前記小径部に設けられ、前記案内路の内部及び外部を連通する空気孔を備える請求項3記載のるつぼ供給機構。
【請求項5】
前記るつぼ設置部が、前記案内路に接近し、落下したるつぼを受け取る受取位置と、当該受取位置から鉛直下方に離間した離間位置との間を昇降移動するものであり、
前記受取位置における前記案内路の出口及び前記るつぼ設置部の位置決めを行う位置決め機構を備え、
前記位置決め機構が、前記るつぼ設置部又は前記案内路を形成する部材の一方に設けられた凸部と、前記るつぼ設置部又は前記案内路を形成する部材の他方に設けられ、前記凸部と嵌合する凹部とからなる請求項1、2、3又は4記載のるつぼ供給機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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