説明

アクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム、方法、及びプログラム

【課題】安価なPWE装置を用いたまま、ATM回線やTDM回線をMPLS網に乗り入れ可能なアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム、方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】VLAN網及びMPLS網に接続され、インターワーク機能を有する集約装置と、アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続され、イーサカプセル化機能を有するPWE装置と、で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レガシー系のATM(Asynchronous Transfer Mode)回線やTDM(Time Division Multiplexing)回線をEthernet(イーサネット:登録商標)網やIP(Internet Protocol)網・MPLS(Multi Protocol Label Switching)網といった網に乗せるPWE(Pseudo Wire Emulation)という技術が盛んに行われている。
【0003】
また、キャリア系業者の中で、MPLS網を用いたバックボーンネットワーク技術が求められている。ATM回線やTDM回線をMPLS網に乗せるためには、PWE装置にMPLS機能を持たせる必要があるが、安価なPWE装置には、プロトコルを持たないイーサ機能のみを持つものが多い。MPLSを動作させるためには、多数のプロトコルの動作が必要となり、実装するためには、開発・評価の工数が膨大にかかる。特にアクセス系装置に対しては安価なものが求められるがMPLS機能を実装すると価格的に高くなり、需要を満たすことが難しい。
【0004】
また、プロトコルを持たないイーサ機能のみを持つ安価なPWE装置を用いて、集約装置側でMPLSカプセル化をした場合には、ATMまたはTDMにイーサヘッダとMPLSヘッダとがつくためにATM/TDMoverEtheroverMPLSというパケットフォーマットとなり、イーサヘッダ分オーバーヘッドが多くなり帯域が減らされる。
【0005】
ここで、本発明に関連した、MPLS機能を持たないPWE装置を、MPLS機能を持つPWE装置に置き換えた場合について図5を参照して説明する。
【0006】
図5は、本発明に関連したデータ転送システムの概念図である。
図5において、MPLS機能を有するPWE装置はATMセルやTDMフレームに対してMPLSカプセル化を行い、MPLS網に載せる。
【0007】
ここで、アクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムに関連する技術の一例が特許文献1〜3に記載されている。
特許文献1のATMコンバータは、「多地点にATM装置を、広域イーサネット網を介して接続し、ATM装置間で通信を行うため、ATMセルとEthernetフレームのメディア変換を実行するATMコンバータであって、ATM装置とATMセルのインターフェースを実行するATMインターフェースと、広域イーサネット網とEthernetフレームのインターフェースを実行するEthernetインターフェースと、ATMセルとEthernetフレームのメディア変換を実効制御するメディア変換手段を備えた」ものであり、以下のように動作する。
【0008】
このATMコンバータによれば、ATM装置から供給されるATMセルをEthernetフレームに変換し、Ethernetフレームを広域イーサネット網に送信するとともに、広域イーサネット網から受信したEthernetフレームをATMセルに変換してATM装置に供給することができ、ATM装置相互間でEthernet網を介し、広帯域で安価な通信を実現することができるとしている。
【0009】
特許文献2のMPLS転送方法は、「ラベルスイッチング機能を持つ複数のMPLS(Multi Protocol Label Switching)ルータを備えるMPLSネットワークにおいて、MPLSルータそれぞれが、MPLSネットワークを複数のドメインに分割してドメインごとにLSP(Label Switched Path)を確立し、確立したLSPの情報を記憶部に記録し、MPLSルータのうち、ユーザネットワークからパケットを受信した送信元MPLSエッジルータが、(1)パケットの宛先のエッジルータである宛先MPLSエッジルータを示すラベルと、(2)宛先MPLSエッジルータに到達するまで経由するドメインを示すラベルとをパケットに付与して送信し、ドメインの境界に設置されるMPLSルータであるドメイン境界MPLSルータが、受信したパケットに付与されたラベルを参照して、次の転送先であるドメインへパケットを転送し、宛先MPLSエッジルータを含むドメインのドメイン境界MPLSルータが、受信したパケットに付与されたラベルおよびこのドメイン境界MPLSルータのLSPの情報を参照して、確立したLSPのうち、宛先MPLSエッジルータとの間で確立したLSPを選択し、パケットを転送することを特徴とする。」で構成されており、以下のように動作する。
【0010】
MPLSルータは、MPLSネットワークをドメインに分割し、そのドメインごとにLSPを確立する。また、送信元MPLSエッジルータは、送信するパケットに宛先MPLSエッジルータのラベルと経由すべきドメインのドメインラベルとを付与するので、LSPの切れ目となるドメイン境界MPLSルータは、このラベルに基づき次のドメイン(あるいは宛先MPLSエッジルータ)に接続するLSPへパケットを転送することができるとしている。
【0011】
特許文献3のパケット転送制御方法は、「MPLSを用いるMPLSネットワークと、MPLSプロトコルを用いないネットワークとをインターワークするパケット転送装置におけるパケット転送制御方法であって、MPLSネットワーク内では、OSIモデルのレイヤ3ヘッダの前に付与されるMPLSヘッダ内のラベルによりパケットのスイッチングが行われ、MPLSプロトコルを用いないネットワーク内では、レイヤ3ヘッダの前に付与される、MPLSヘッダとは異なるOSIモデルのレイヤ2ヘッダによりパケットのスイッチングが行われ、MPLSプロトコルを用いないネットワーク内には、レイヤ2ヘッダの識別子により識別される、複数の論理的なネットワークが構成され、パケット転送制御方法は、識別子とラベルとの対応関係をパケット転送装置に設定し、MPLSプロトコルを用いないネットワークからパケットを受信すると、その受信パケットに付与されているレイヤ2ヘッダ内の識別子により、その受信パケットが複数の論理的なネットワークの内、何れのネットワークに属するものかを判断し、対応関係を調べ、対応関係のみに基づいて受信パケットに付与するラベルを決定し、MPLSネットワークからパケットを受信すると、対応関係を調べ、対応関係のみに基づいてMPLSネットワークから受信パケットに付与されているラベルに対応する識別子を決定し、MPLSネットワークから受信パケットを、複数の論理的なネットワークの内、何れのネットワークに送信するかを判断する、ステップを有し、対応関係において識別子とラベルとは1対1に対応している」ものであり、以下のように動作する。
【0012】
このパケット転送制御方法によれば、MPLSネットワークと、MPLSプロトコルを用いないネットワークとをインターワークするパケット転送装置に、MPLSプロトコルを用いないネットワークで使用されるパケットヘッダであって、OSIモデルのレイヤ3の前に付与される、MPLSヘッダとは異なるOSIモデルのレイヤ2に相当するレイヤのヘッダ(以下、「レイヤ2ヘッダ」という。)の情報と、レイヤ3ヘッダの情報との組と、MPLSヘッダの情報との対応関係を示すヘッダ変換情報を設定する。パケット転送装置は、この情報を用いることにより、レイヤ2ヘッダをMPLSヘッダに変換するとしている。
【特許文献1】特開2007−184681号公報
【特許文献2】特開2007−235381号公報
【特許文献3】特開2008−219934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、本発明に関連した、MPLS機能を持たないPWE装置を、MPLS機能を持つPWE装置に置き換えた場合においては、MPLSを動作させるための開発・評価の工数が膨大にかかるために、アクセス系装置に対して、安価なものが求められる需要を満たすことが難しい。
【0014】
そこで、本発明の目的は、安価なPWE装置を用いたまま、ATM回線やTDM回線をMPLS網に乗り入れ可能なアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム、方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のシステムは、VLAN網及びMPLS網に接続され、インターワーク機能を有する集約装置と、アクセス系ネットワーク及び前記VLAN網に接続され、イーサカプセル化機能を有するPWE装置と、で構成されたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第1の方法は、VLAN網及びMPLS網に接続された集約装置側で、前記MPLS網に対して信号の送受信を行い、イーサカプセル化ATMをMPLSカプセル化ATMに、MPLSカプセル化ATMをイーサカプセル化ATMに変換し、前記VLAN網に対して信号の送受信を行い、アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続されたPWE装置側で、前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行い、前記VLAN網に対して信号の送受信を行い、ATMセルを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化ATMをATM系アクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の方法は、VLAN網及びMPLS網に接続された集約装置側で、前記MPLS網に対して信号の送受信を行い、イーサカプセル化TDMをMPLSカプセル化TDMに、MPLSカプセル化TDMをイーサカプセル化TDMに変換し、前記VLAN網に対して信号の送受信を行い、アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続されたPWE装置側で、前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行い、前記VLAN網に対して信号の送受信を行い、TDMフレームを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化TDMをATMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の第1のプログラムは、VLAN網及びMPLS網に接続された集約装置のコンピュータに、MPLSインターフェース部が、前記MPLS網に対して信号の送受信を行う手順、インターワーク機能部が、イーサカプセル化ATMをMPLSカプセル化ATMに、MPLSカプセル化ATMをイーサカプセル化ATMに変換する手順、VLANインターフェース部が、前記VLAN網に対して信号の送受信を行う手順、アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続されたPWE装置のコンピュータに、ATMインターフェース部が、前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行う手順、VLANインターフェース部が、前記VLAN網に対して信号の送受信を行う手順、イーサカプセル化部が、ATMセルを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化ATMをATMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行う手順、を実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明の第2のプログラムは、VLAN網及びMPLS網に接続された集約装置のコンピュータに、MPLSインターフェース部が、前記MPLS網に対して信号の送受信を行う手順、インターワーク機能部が、イーサカプセル化TDMをMPLSカプセル化TDMに、MPLSカプセル化TDMをイーサカプセル化TDMに変換する手順、VLANインターフェース部が、前記VLAN網に対して信号の送受信を行う手順、アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続されたPWE装置のコンピュータに、TDMインターフェース部が、前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行う手順、VLANインターフェース部が、前記VLAN網に対して信号の送受信を行う手順、イーサカプセル化部が、TDMフレームを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化TDMをTDMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行う手順を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、安価なPWE装置を用いたまま、ATM回線やTDM回線をMPLS網に乗り入れ可能なアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム、方法、及びプログラムの提供を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<特 徴>
本発明は、ATM回線、またはTDM回線を、MPLS機能を持たないアクセス系PWE装置を用いてMPLS網に乗せる場合において、VLAN網とMPLS網をインターワークする機能を用いることでMPLS網に載せることが可能なことを特徴としている。
【0022】
また、イーサカプセルされたフレームをそのままMPLSカプセル化を行うのではなく、ATMであれば、イーサヘッダ内のC−TagからMPLSヘッダを取得し、TDMであれば、イーサヘッダ内のECIDからMPLSヘッダを取得し、カプセル化ヘッダ変換を行うため、ATM/TDMoverEtheroverMPLSのパケットとならず、イーサヘッダ分の帯域を有効活用できる。
【0023】
<構 成>
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図2は、本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムの一実施の形態を示す概念図である。図2を参照すると、本発明の一実施の形態として、インターワーク機能を持つ装置の位置づけを示している。
図2に示すようにアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムは、MPLS機能を持たないPWE対応装置9と、インターワーク機能を持つ集約装置10とで構成されている。
【0024】
PWE対応装置9は、アクセス系のネットワーク11と、VLAN網12との間に配置される。PWE対応装置9は、アクセス系のネットワーク11に対して信号の送受信を行うATMインターフェース部13と、VLAN網12に対して信号の送受信を行うVLANインターフェース部14と、ATMセルをVLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化ATM1をATMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行うイーサカプセル化部15とで構成される。
【0025】
集約装置10は、VLAN網12とMPLS網16との間に配置される。集約装置10は、VLAN網12に対して信号の送受信を行うVLANインターフェース部17と、MPLS網16に対して信号の送受信を行うMPLSインターフェース部18と、イーサカプセル化ATM1をMPLSカプセル化ATM2に、MPLSカプセル化ATM2をイーサカプセル化ATM1に変換するインターワーク機能部19とで構成される。
【0026】
図1は、本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムの一実施の形態におけるデータの変換の様子を示す説明図である。
図1を参照すると、本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムに用いられるインターワーク機能部19で行われるフォーマット変換を示している。図1において、イーサカプセル化ATM1とMPLSカプセル化ATM2とでカプセルが構成される。
イーサカプセル化ATM1は、ATMのオリジナルセルからヘッダ誤り制御を除いたATMセル3と、VIDを持つイーサヘッダ部4と、FCS部5とを有する。
イーサヘッダ部4は、宛先MAC(Media Access Control:媒体アクセス制御)アドレス、送信元MACアドレス、S−Tag(Service-Tag)部、C−Tag(Customer-Tag)部7、Type、及びControl Wordで構成される。
【0027】
MPLSカプセル化ATM2は、ATMのオリジナルセルからヘッダ誤り制御を除いたセル3と、MPLSヘッダ部6と、FCS部5とを有する。
MPLSヘッダ部6は、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、Type、Tunnel−LABEL1、VC−LABEL8、及びControl Wordで構成される。
【0028】
<動 作>
次に、VLAN網12とMPLS網16とをインターワークする機能を用いて、ATMセルがMPLS網に乗り入れる動作・MPLSカプセル化ATM2がATMセルにデカプセル化される動作を説明する。
最初にATMセルがMPLSカプセル化される動作について説明を行う。
ATMセルがPWE対応装置9に入力されるとRFC4717に従い、イーサカプセル化ATM1として、VLAN網12に送信される。
イーサカプセル化ATM1は、集約装置10にVLANインターフェース部17を通して入力される。入力された信号は、インターワーク機能部19で、イーサヘッダ部4内のC−Tag部7を見て、MPLSヘッダ部6を取得しカプセル化ヘッダ変換を行われる。MPLSカプセル化ATM2は、MPLSインターフェース部18を通して、MPLS網16に送信される。
【0029】
次に図1に示すMPLSカプセル化ATM2がATMセルにデカプセルされる動作について説明を行う。
MPLSカプセル化ATM-2は、集約装置10のMPLSインターフェース部18から入力される。入力された信号は、インターワーク機能部19で、MPLSヘッダ6内のVC―Label部8を見て、イーサヘッダ部4を取得しカプセル化ヘッダ変換が行われる。イーサヘッダカプセル化ATM1はVLANインターフェース部17を通して、VLAN網12に送信される。イーサカプセル化ATM1はPWE装置9のVLANインターフェース部14に入力され、RFC4717に従い、ATMセルとしてATMインターフェース部13からアクセス系のネットワーク11に送信される。
【0030】
図1において、イーサカプセル化ATM1はVIDを持つイーサヘッダ部4内のC−Tag部7を参照しMPLSヘッダ部6を取得し、MPLSカプセル化ATM2となる。また、MPLSカプセル化ATM2はMPLSヘッダ部6内のVC−Label部8からイーサヘッダ部4を取得し、イーサカプセル化ATM1となる。
【0031】
このようにして、本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムは、ATMセルからMPLSカプセル化ATM2にするのではなく、イーサカプセル化ATM1からヘッダの変換を行っているので、MPLS機能を持たないアクセス系PWE装置で構成されているVLAN網12とMPLS網16とを繋ぐことができる。
【0032】
すなわち、本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムは、MPLS機能を持たないアクセス系PWE対応装置を、MPLS機能を持つアクセス系PWE装置に置き換えるのではなく、従来のVLAN網を使用し集約側にVLAN網とMPLS網をインターワークする機能を持つ装置をいれることで、MPLSを動作させるために必要な多数のプロトコルの動作が必要なくなり、開発・評価の工数が減るため、安価にMPLS網を構築することが可能である。
【0033】
また、本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムは、ATMであればイーサヘッダ内のC−TagからMPLSヘッダを取得し、TDMであればイーサヘッダ内のECIDからMPLSヘッダを取得するために、ATM/TDMoverEtheroverMPLSのパケットとならず、イーサヘッダ分の帯域を有効活用できる。
【0034】
<効 果>
以上説明したように、本発明においては、イーサカプセル化ATM1をVLAN網12とMPLS網16をインターワークする機能を用いてヘッダ変換を行うことが可能なため、MPLS機能を持たないアクセス系PWE対応装置を、MPLS機能を持つアクセス系PWE対応装置に置き換える必要がないため、安価にATM回線をMPLS網に乗り入れることができることである。また、イーサヘッダからMPLSヘッダを取得することで、ATMoverEtheroverMPLSのパケットとならず、イーサヘッダ分の帯域を有効活用できる。
【0035】
<他の実施の形態>
本発明の他の実施の形態として、ATMセルをTDMフレームとして実現することも可能である。
図3は、本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムの他の実施の形態におけるデータの変換の様子を示す説明図である。
図3において、図1のATMセル(誤り制御なし)3はTDMフレーム22に、イーサカプセル化ATM1はイーサカプセル化TDM20に、MPLSカプセル化ATM2はMPLSカプセル化TDM22に置き換えられたものである。
【0036】
すなわち、イーサカプセル化TDM(TDMoE)20は、イーサヘッダ部23、TDMData22及びFCS部24を有する。
イーサカプセル化TDM(TDMoE)20は、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、S−Tag(Service-Tag)部、Type、ECID26、Reserve、及びControlで構成されている。
MPLSヘッダ部25は、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、Type、Tunnel−LABEL1、VC−LABEL27、及びControlで構成されている。
【0037】
図4は、本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムの他の実施の形態を示す概念図である。
図4において、図2のATMインターフェース部13はTDMインターフェース部32に置き換えられたものである。
【0038】
最初にTDMフレームがMPLSカプセル化される動作について説明を行う。
TDMフレームがPWE対応装置28に入力されるとRFC4553・RFC5086に従い、イーサカプセル化TDM20として、VLAN網31に送信される。イーサカプセル化TDM20は集約装置29にVLANインターフェース部36を通して入力される。入力された信号は、インターワーク機能部38で、イーサヘッダ部23内のECID部26を見て、MPLSヘッダ部25を取得しカプセル化ヘッダ変換を行われる。
MPLSカプセル化TDM21は、MPLSインターフェース部37を通して、MPLS網35に送信される。
【0039】
次にMPLSカプセル化TDM21がTDMフレームにデカプセルされる動作について説明を行う。
MPLSカプセル化TDM21は、集約装置29のMPLSインターフェース部37から入力される。入力された信号は、インターワーク機能部38で、MPLSヘッダ部25内のVC−Label部27を見て、イーサヘッダ部23を取得しカプセル化ヘッダ変換が行われる。
イーサヘッダカプセル化TDM20は、VLANインターフェース部36を通して、VLAN網31に送信される。イーサカプセル化TDM20はPWE装置28のVLANインターフェース部33に入力され、RFC4553・RFC5086に従い、TDMフレームとしてTDMインターフェース部32からアクセス系のネットワーク-30に送信される。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態においては、イーサカプセル化TDM20をVLAN網31と、MPLS網35とをインターワークする機能38を用いてヘッダ変換を行うことが可能なため、MPLS機能を持たないアクセス系PWE対応装置を、MPLS機能を持つアクセス系PWE対応装置に置き換える必要がないため、安価にTDM回線をMPLS網に乗り入れることができることである。また、イーサヘッダからMPLSヘッダを取得することで、TDMoverEtheroverMPLSのパケットとならず、イーサヘッダ分の帯域を有効活用できる。
【0041】
<プログラム>
以上で説明した本発明のアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムは、コンピュータで処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0042】
プログラムとしては、例えば、図2に示すシステムにおいて、
VLAN網12及びMPLS網16に接続された集約装置10のコンピュータに、
(1)MPLSインターフェース部18が、MPLS網16に対して信号の送受信を行う手順、
(2)インターワーク機能部19が、イーサカプセル化ATM1をMPLSカプセル化ATM2に、MPLSカプセル化ATM2をイーサカプセル化ATM1に変換する手順、
(3)VLANインターフェース部14が、VLAN網12に対して信号の送受信を行う手順、
(4)アクセス系ネットワーク11及びVLAN網12に接続されたPWE装置9のコンピュータに、
(5)ATMインターフェース部13が、アクセス系ネットワーク11に対して信号の送受信を行う手順、
(6)VLANインターフェース部14が、VLAN網12に対して信号の送受信を行う手順、
(7)イーサカプセル化部15が、ATMセル3をVLAN網12に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化ATM1をATM系アクセス系のATMネットワーク11に乗せるためのデカプセル化を行う手順、
を実行させるプログラムが挙げられる。
【0043】
また、図4に示すシステムにおいて、
VLAN網31及びMPLS網35に接続された集約装置29のコンピュータに、
(a)MPLSインターフェース部37が、MPLS網35に対して信号の送受信を行う手順、
(b)インターワーク機能部38が、イーサカプセル化TDMをMPLSカプセル化TDMに、MPLSカプセル化TDMをイーサカプセル化TDMに変換する手順、
(c)VLANインターフェース部36が、VLAN網31に対して信号の送受信を行う手順、
(d)アクセス系ネットワーク30及びVLAN網31に接続されたPWE装置28のコンピュータに、
(e)TDMインターフェース部32が、アクセス系ネットワーク30に対して信号の送受信を行う手順、
(f)VLANインターフェース部33が、VLAN網31に対して信号の送受信を行う手順、
(g)イーサカプセル化部34が、TDMフレームをVLAN網31に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化TDMをATM系アクセス系のネットワーク30に乗せるためのデカプセル化を行う手順を実行させるプログラムが挙げられる。
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明のアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムを実現することができる。
【0044】
<記憶媒体>
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0045】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムの一実施の形態におけるデータの変換の様子を示す説明図である。
【図2】本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムの一実施の形態を示す概念図である。
【図3】本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムの他の実施の形態におけるデータの変換の様子を示す説明図である。
【図4】本発明にかかるアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システムの他の実施の形態を示す概念図である。
【図5】本発明に関連したデータ転送システムの概念図である。
【符号の説明】
【0047】
1 イーサカプセル化ATM
2 MPLSカプセル化ATM
3 ATMセル
4 イーサヘッダ部
5 FCS部
6 MPLSヘッダ部
7 C−Tag部
8 VC−Label部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VLAN網及びMPLS網に接続され、インターワーク機能を有する集約装置と、アクセス系ネットワーク及び前記VLAN網に接続され、イーサカプセル化機能を有するPWE装置と、で構成されたことを特徴とするアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム。
【請求項2】
前記集約装置は、前記MPLS網に対して信号の送受信を行うMPLSインターフェース部と、イーサカプセル化ATMをMPLSカプセル化ATMに、MPLSカプセル化ATMをイーサカプセル化ATMに変換するインターワーク機能部と、前記VLAN網に対して信号の送受信を行うVLANインターフェース部とを有し、
前記PWE装置は、前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行うATMインターフェース部と、前記VLAN網に対して信号の送受信を行うVLANインターフェース部と、ATMセルを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化ATMをATMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行うイーサカプセル化部とを有することを特徴とする請求項1記載のアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム。
【請求項3】
前記イーサカプセル化ATMは、イーサヘッダ部、ATMセル、及びFCS部を有し、
前記MPLSカプセル化ATMは、MPLSヘッダ部、ATMセル、及びFCS部を有することを特徴とする請求項2記載のアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム。
【請求項4】
前記集約装置は、前記MPLS網に対して信号の送受信を行うMPLSインターフェース部と、イーサカプセル化TDMをMPLSカプセル化TDMに、MPLSカプセル化TDMをイーサカプセル化TDMに変換するインターワーク機能部と、前記VLAN網に対して信号の送受信を行うVLANインターフェース部とを有し、
前記PWE装置は、前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行うTDMインターフェース部と、前記VLAN網に対して信号の送受信を行うVLANインターフェース部と、TDMセルを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化TDMをATMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行うイーサカプセル化部とを有することを特徴とする請求項1記載のアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム。
【請求項5】
前記イーサカプセル化TDMは、イーサヘッダ部、TDMデータ、及びFCS部を有し、
前記MPLSカプセル化TDMは、MPLSヘッダ部、TDMデータ、及びFCS部を有することを特徴とする請求項4記載のアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送システム。
【請求項6】
VLAN網及びMPLS網に接続された集約装置側で、
前記MPLS網に対して信号の送受信を行い、
イーサカプセル化ATMをMPLSカプセル化ATMに、MPLSカプセル化ATMをイーサカプセル化ATMに変換し、
前記VLAN網に対して信号の送受信を行い、
アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続されたPWE装置側で、
前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行い、
前記VLAN網に対して信号の送受信を行い、
ATMセルを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化ATMをATMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行うことを特徴とするアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送方法。
【請求項7】
VLAN網及びMPLS網に接続された集約装置側で、
前記MPLS網に対して信号の送受信を行い、
イーサカプセル化TDMをMPLSカプセル化TDMに、MPLSカプセル化TDMをイーサカプセル化TDMに変換し、
前記VLAN網に対して信号の送受信を行い、
アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続されたPWE装置側で、
前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行い、
前記VLAN網に対して信号の送受信を行い、
TDMフレームを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化TDMをATMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行うことを特徴とするアクセス系ネットワーク−MPLS網間データ転送方法。
【請求項8】
VLAN網及びMPLS網に接続された集約装置のコンピュータに、
MPLSインターフェース部が、前記MPLS網に対して信号の送受信を行う手順、
インターワーク機能部が、イーサカプセル化ATMをMPLSカプセル化ATMに、MPLSカプセル化ATMをイーサカプセル化ATMに変換する手順、
VLANインターフェース部が、前記VLAN網に対して信号の送受信を行う手順、
アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続されたPWE装置のコンピュータに、
ATMインターフェース部が、前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行う手順、
VLANインターフェース部が、前記VLAN網に対して信号の送受信を行う手順、
イーサカプセル化部が、ATMセルを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化ATMをATMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行う手順、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
VLAN網及びMPLS網に接続された集約装置のコンピュータに、
MPLSインターフェース部が、前記MPLS網に対して信号の送受信を行う手順、
インターワーク機能部が、イーサカプセル化TDMをMPLSカプセル化TDMに、MPLSカプセル化TDMをイーサカプセル化TDMに変換する手順、
VLANインターフェース部が、前記VLAN網に対して信号の送受信を行う手順、
アクセス系ネットワーク及びVLAN網に接続されたPWE装置のコンピュータに、
TDMインターフェース部が、前記アクセス系ネットワークに対して信号の送受信を行う手順、
VLANインターフェース部が、前記VLAN網に対して信号の送受信を行う手順、
イーサカプセル化部が、TDMフレームを前記VLAN網に乗せるためのイーサカプセル化、イーサカプセル化TDMをTDMアクセス系のネットワークに乗せるためのデカプセル化を行う手順を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−109936(P2010−109936A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282373(P2008−282373)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】