説明

アクセス装置

医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置は、針と、ダイレータと、医療物品とを含む。針は、先端を有する長尺な針本体とハブとを含むことができ、ハブから針本体が延びる。長尺な針本体は少なくとも1つの側開窓と外径とを含むことができる。ダイレータは、針本体上にスライド可能に配置することができるとともに、ダイレータハブと、ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを含むことができる。ダイレータシャフトは、針の側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓を含むことができる。ダイレータシャフトは、針の外径よりも小さい内径を含むこともできる。医療物品は管状部分とハブとを含むことができる。管状部分は、ダイレータ上に配置できるとともに、ダイレータの側開窓を通じて針の側開窓と連通する空間を医療物品とダイレータとの間に画定することができる。医療物品の少なくとも一部は、空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、その全体が参照することにより本願に明確に組み入れられる米国仮特許出願第61/302,486号(2010年2月8日出願)の35 U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
この発明は、一般に、例えば動脈、静脈、血管、体腔、または、ドレナージ部位などの身体空間内へ医療物品(例えば、カテーテル、カニューレ、シースなど)を導入するおよび/または送出するためのアクセス装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の説明]
カテーテルまたは脈管シースを血管内へ挿入するための好ましい非外科的方法は、患者の血管内へ挿入されるアクセス針を含むセルジンガー技術または改良セルジンガー技術の使用を伴う。ガイドワイヤが針を通じて血管内へ挿入される。針が除去された後、ダイレータおよびシースが組み合わせてあるいは別々にガイドワイヤ上にわたって挿入される。それから、ダイレータおよびシースが一緒にあるいは別々に短い距離で組織を通じて血管内へ挿入され、その後、ダイレータおよびガイドワイヤが除去されて廃棄される。その後、カテーテルまたは他の医療物品がシースを通じて血管内へと所望の場所へ向けて挿入される場合があり、あるいは、シースが血管内に残されるだけの場合もある。
【0004】
多くの脈管アクセス装置が知られている。米国特許第4,241,019号、第4,289,450号、第4,756,230号、第4,978,334号、第5,124,544号、第5,424,410号、第5,312,355号、第5,212,052号、第5,558,132号、第5,885,217号、第6,120,460号、第6,179,823号、第6,210,332号、第6,726,659号、第7,025,746号は、そのような装置の例を開示する。しかしながら、これらの装置は、いずれも、医師および他のヘルスケア提供者が好む使用の容易さおよび安全性を有していない。したがって、使用が容易で安全な脈管アクセス装置、特に、血管が穿刺された時期を明確にかつ即座に示す脈管アクセス装置、および、偶発的な針刺しおよび過剰なワイヤ脈管アクセスに付帯する他のリスクを減らす脈管アクセス装置の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
記載される実施形態は、例えば血管またはドレナージ部位などの患者の身体内の空間へカテーテルまたはシースを送出するのに有用なアクセス装置のための幾つかの特徴を含む。この発明の範囲を限定することなく、この発明のより優れた特徴について簡単に説明する。この説明を考慮すれば、特にこの節と組み合わせて以下の好ましい実施形態の詳細な説明の節を読めば、これらの実施形態の特徴および態様がどのようにして従来のアクセス装置を超える幾つかの利点を与えるのかについて理解できる。
【0006】
一実施形態において、医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置は、針と、ダイレータと、医療物品とを含む。針は、先端を有する長尺な針本体とハブとを含むことができ、ハブから針本体が延びる。長尺な針本体は少なくとも1つの側開窓と外径とを含むことができる。ダイレータは、針本体上にスライド可能に配置することができるとともに、ダイレータハブと、ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを含むことができる。ダイレータシャフトは、針の側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓を含むことができる。また、ダイレータシャフトは、針の外径よりも小さい内径を含むこともできる。医療物品は管状部分とハブとを含むことができる。管状部分は、ダイレータ上に配置できるとともに、ダイレータの側開窓を通じて針の側開窓と連通する空間を医療物品とダイレータとの間に画定することができる。医療物品の少なくとも一部は、空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成できる。
【0007】
他の実施形態において、医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置は、針と、ダイレータと、医療物品とを含むことができる。針は、先端を有する長尺な針本体とハブとを含むことができ、ハブから針本体が延びる。ダイレータは、針本体上にスライド可能に配置することができるとともに、ダイレータハブと、ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを含むことができる。ダイレータシャフトは、針の側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓と、側開窓が貫通する隆起した稜部とを含むことができる。医療物品は管状部分とハブとを含む。管状部分は、ダイレータ上に配置できるとともに、ダイレータの側開窓を通じて針の側開窓と連通する空間を医療物品とダイレータとの間に画定することができる。医療物品の少なくとも一部は、空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成できる。
【0008】
更なる他の実施形態において、医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置は、針と、ダイレータと、医療物品とを含むことができる。針は、先端を有する長尺な針本体とハブとを含むことができ、ハブから針本体が延びる。ダイレータは、針本体上にスライド可能に配置することができるとともに、ダイレータハブと、ダイレータハブから先端へと延びる長尺なダイレータシャフトとを含むことができる。ダイレータシャフトは、針の側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓を含むことができ、また、ダイレータの先端が約30°で先細ることができる。医療物品は管状部分とハブとを含む。管状部分は、ダイレータ上に配置できるとともに、ダイレータの側開窓を通じて針の側開窓と連通する空間を医療物品とダイレータとの間に画定することができる。医療物品の少なくとも一部は、空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成できる。
【0009】
更なる実施形態において、医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置は、針と、ダイレータと、シール部品と、医療物品とを含むことができる。針は、先端を有する長尺な針本体とハブとを含むことができ、ハブから針本体が延びる。ダイレータは、針本体上にスライド可能に配置することができるとともに、ダイレータハブと、ダイレータハブから先端へ延びる長尺なダイレータシャフトとを含むことができる。ダイレータシャフトは、針の側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓を含むことができる。シール部品は、針本体上にスライド可能に配置させることができるとともに、ダイレータハブと針ハブとの間での流体の流れを抑制するためにダイレータと針との間に配置させることができる。医療物品は管状部分とハブとを含む。管状部分は、ダイレータ上に配置できるとともに、ダイレータの側開窓を通じて針の側開窓と連通する空間を医療物品とダイレータとの間に画定することができる。医療物品の少なくとも一部は、空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成できる。
【0010】
他の実施形態では、体腔にアクセスする方法が提供される。中空の孔と、側開窓と、針ハブとを有する針を体腔内へ挿入することができる。側開窓とダイレータハブとを有するダイレータを針上に軸方向に配置することができ、また、医療物品をダイレータ上に軸方向に配置することができる。体液を体腔から前記針の孔を通じて針の側開窓へと引き込むことができる。また、体液を針の側開窓とダイレータの側開窓とを通じてダイレータと医療物品との間の空間内へ引き込むことができる。針ハブとダイレータハブとの間で体液の基端側への移動を抑制することができる。
【0011】
更なる他の実施形態において、医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置は、ガイドワイヤ部分と、針と、ダイレータと、2つのロック機構とを含むことができる。ガイドワイヤ部分は、ガイドワイヤとガイドワイヤハブとを含むことができる。針は、ガイドワイヤ上に配置できるとともに、先端を有する長尺な針本体とハブとを有することができ、ハブから針本体が延びる。ダイレータを針本体上に配置することができ、針およびダイレータは、針の先端がダイレータよりも先端側に位置する第1の位置から針の先端がダイレータ内に位置する第2の位置へと互いに対して移動できる。ダイレータは、ダイレータハブと、ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを含むこともできる。第1のロック機構は、針とダイレータとの間で作用できるとともに、ダイレータから離間されかつ第2の位置にあるときにダイレータに対する針の移動を抑制する部分を含むことができる。第1のロック機構は、移動に対する抵抗を小さくするためにロック機構による係合を伴うことなく第1の位置から第2の位置への針の移動を許容するように構成できる。第2のロック機構は、ダイレータとガイドワイヤとの間で作用できるとともに、ガイドワイヤ上に配置されかつ可逆的なスナップ式グリップを形成するためにガイドワイヤハブと相互に係合するT形状ロック部分を含むことができる。
【0012】
本発明のこれらの態様および他の態様は、添付図面を参照する好ましい実施形態の以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになる。しかしながら、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されない。
【0013】
以下、例示であって本発明を限定しようとするものではない好ましい実施形態の図面を参照して、本明細書中に開示されるアクセス装置のこれらおよび他の特徴、態様、および、利点について説明する。また、図面の全体にわたって、例示された実施形態の同じ構成要素を示すために、同じ参照符号が使用されている。例示された実施形態間の同様の構成要素は、他の実施形態を示すための添え字を伴う同じ参照符号として同様に言及される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明にしたがって構成されるアクセス装置の好ましい実施形態の斜視図であり、針、ダイレータ、および、医療物品と同軸的に位置合わせされる事前に組み込まれたガイドワイヤ部分を示している。
【0015】
【図1B】図1Aに描かれる実施形態の平面図である。
【0016】
【図2A】図1Aの針の平面図であり、先端近傍の開窓を示している。
【0017】
【図2B】図1Aの針の側面図であり、基端近傍のフィンを示している。
【0018】
【図2C】図2Aの2C−2C線に沿う断面図である。
【0019】
【図2D】図2Aの針の一部の拡大平面図であり、開窓を示している。
【0020】
【図2E】図2Aの針の針ハブの拡大平面図である。
【0021】
【図2F】図2Aの針の針ハブの拡大側面図である。
【0022】
【図2G】図2Aの針の針ハブの拡大基端面図である。
【0023】
【図3A】図1Aのダイレータの平面図であり、先端近傍の開窓を示している。また、ダイレータとシースとの間から通気するためのルアー表面の長手方向に配置される溝も示している。
【0024】
【図3B】図3Aの3B−3B線に沿う断面図である。
【0025】
【図3C】図3Aのダイレータの一部の拡大平面図であり、開窓および長手方向チャンネルを示している。
【0026】
【図3D】図3Aのダイレータハブの拡大端面図である。
【0027】
【図3E】対応するネジ山を有するシースに固定するように構成されるロックスピンナットを含むダイレータハブの他の実施形態の斜視図である。
【0028】
【図3F】図3Aの3F−3F線に沿う断面図であり、ルアー表面の周方向にわたって等間隔で離間される溝を示している。
【0029】
【図4A】図1Aのシースの平面図であり、シースの基端に接続されるシースハブを示している。
【0030】
【図4B】図4Aの4B−4B線に沿う断面図である。
【0031】
【図4C】図4Aのシースの拡大端面図である。
【0032】
【図4D】図4Aのシースの基端部の拡大斜視図である。
【0033】
【図5A】図1Aのガイドワイヤ部分の斜視図であり、ガイドワイヤの基端に接続されるガイドワイヤハブを示している。
【0034】
【図5B】図5Aに描かれる実施形態のガイドワイヤ部分の平面図である。
【0035】
【図6A】図1Aのトラックの斜視図である。
【0036】
【図6B】図6Aのトラックの平面図であり、ダイレータに対して針をロックするためのロック機構を示している。
【0037】
【図6C】図6Bのトラックの側面図である。
【0038】
【図6D】図6Bのロック機構の拡大図である。
【0039】
【図6E】事前組み込み状態におけるガイドワイヤ部分をロックする他のロック機構の拡大図である。
【0040】
【図7A】図1Aのアクセス装置の平面図であり、事前組み込み状態でガイドワイヤ部分がトラックにロックされた図6Eのロック機構を示している。
【0041】
【図7B】図7Aのアクセス装置およびロック機構の側面図である。
【0042】
【図7C】図7Aのアクセス装置の断面図であり、トラックのストッパと要素との間に配置されるガイドワイヤハブを示している。
【0043】
【図7D】図7Bのアクセス装置の拡大端面図であり、ガイドワイヤハブの少なくとも一部の周囲でトラックから延びる2つのアームを示している。
【0044】
【図8A】アクセス装置の先端の患者内への挿入を示す図1Aに描かれる実施形態の平面図である。
【0045】
【図8B】患者に隣接するアクセス装置の領域に焦点を合わせる図8Aに描かれる実施形態の拡大図である。
【0046】
【図8C】図8Bに描かれる実施形態の一部の拡大図であり、ダイレータの開口または開窓と位置合わせされる針の開口または開窓を隠れ線で示している。
【0047】
【図8D】図8Cに描かれる実施形態の一部の拡大断面図であり、流体が針の内側からシースとダイレータとの間に形成されるチャンネルへと流れることができるようにダイレータの開口または開窓と位置合わせされる針の開口または開窓を示している。
【0048】
【図8E】0.002インチの隙間高さ幅を有するチャンネルで流体が引き上げられる速度を示すグラフである。
【0049】
【図8F】0.001インチの隙間高さ幅を有するチャンネルで流体が引き上げられる速度を示グラフである。
【0050】
【図8G】0.0005インチの隙間高さ幅を有するチャンネルで流体が引き上げられる速度を示すグラフである。
【0051】
【図8H】ダイレータのチャンネルよりも先端側の領域で切断された図8Cに描かれる実施形態の一部の拡大断面図である。
【0052】
【図8I】針ハブが第1の位置にあるときに針ハブがダイレータハブにロックされる領域に焦点を合わせた図8Aに描かれる実施形態の拡大図である。
【0053】
【図8J】図8Iに描かれる実施形態の断面図である。
【0054】
【図9A】針先端から先端方向に押し進められるガイドワイヤを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。
【0055】
【図9B】針ハブが第1の位置にあるときにガイドワイヤハブが針ハブにロックされる領域に焦点を合わせた図9Aに描かれる実施形態の拡大図である。
【0056】
【図9C】図9Bに描かれる実施形態の断面図である。
【0057】
【図10A】ダイレータおよびシースが図9Aに示される位置から針本体に対して先端側に押し進められている状態を示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。
【0058】
【図10B】針ハブが第2の位置にあるときに針ハブがトラックにロックされる領域に焦点を合わせた図10Aに描かれる実施形態の拡大背面図である。
【0059】
【図11A】ガイドワイヤ、針本体、および、ダイレータのシースからの除去を示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。
【0060】
【図11B】ガイドワイヤ、針本体、および、ダイレータのシースからの除去中にダイレータによって覆われる針先端を示す図11Aに示される実施形態の一部の拡大図である。
【0061】
【図12A】針およびダイレータの位置合わせされた開口または開窓の他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0062】
【図12B】図12Aの13B−13B線に沿う拡大断面図であり、流体が針の内側からシースとダイレータとの間に形成されるチャンネルへと流れることができるようにダイレータの開口または開窓と位置合わせされる針の開口または開窓を示している。
【0063】
【図13A】針およびダイレータの位置合わせされた開口または開窓の他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0064】
【図13B】図13Aの13B−13B線に沿う拡大断面図であり、流体が針の内側からシースとダイレータとの間に形成されるチャンネルへと流れることができるようにダイレータの開口または開窓と位置合わせされる針の開口または開窓を示している。
【0065】
【図14A】ダイレータとシースとの間に形成されるチャンネルの他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0066】
【図14B】図14Aの14B−14B線に沿う断面図であり、シースへと延びるチャンネルの厚さを示している。
【0067】
【図15A】ダイレータとシースとの間に形成されるチャンネルの他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0068】
【図15B】図15Aの15B−15B線に沿う断面図であり、ダイレータおよびシースの両方へと延びるチャンネルの厚さを示している。
【0069】
【図16A】ダイレータとシースとの間に形成されるチャンネルの他の実施形態を示す拡大平面図である。
【0070】
【図16B】図15Aの16B−16B線に沿う断面図であり、ダイレータへと延びるキー溝の形態を成す複数の等間隔で離間されるチャンネルを示している。
【0071】
【図17】アクセス装置の他の実施形態の拡大断面図であり、異なる形状を有するシースとダイレータとの間に形成されるチャンネルを示している。
【0072】
【図18A】アクセス装置の他の実施形態の一部の拡大平面図であり、今度は針とダイレータとの間に形成されるチャンネルの他の実施形態を示している。
【0073】
【図18B】図18Aの実施形態の18B−18Bでとられた拡大断面図である。
【0074】
【図18C】図18Aの実施形態の18C−18Cでとられた拡大断面図である。
【0075】
【図18D】図18Aに描かれる針の一部を形成するように構成される針ハブの拡大斜視図である。
【0076】
【図18E】図18Aのダイレータの平面図である。
【0077】
【図19A】針ハブ、ダイレータハブ、および、挿入体の部分を示すアクセス装置の他の実施形態の拡大断面図である。
【0078】
【図19B】挿入体が完全に挿入されていない、図19Aのアクセス装置の拡大断面図である。
【0079】
【図19C】図19Aのアクセス装置の挿入体の拡大図である。
【0080】
【図20A】ダイレータの他の実施形態の先端部の平面図である。
【0081】
【図20B】開窓が仮想状態の図20Aのダイレータの先端部の断面図である。
【0082】
【図20C】図20Bの20C−20Cでとられたダイレータの断面の拡大図である。
【0083】
【図20D】図20Bの20D−20Dでとられたダイレータの断面の拡大図である。
【0084】
【図20E】内部の特徴が仮想状態の図20Aのダイレータの側面図である。
【0085】
【図21A】針の他の実施形態の側面図である。
【0086】
【図21B】図21Aの針の先端の拡大図である。
【0087】
【図22A】トラックの他の実施形態の斜視図である。
【0088】
【図22B】図22Aのトラックの平面図である。
【0089】
【図22C】図22Aのトラックの側面図である。
【0090】
【図22D】図22Aの22D−22Dでとられたトラックの部分の拡大図である。
【0091】
【図23A】ガイドワイヤハブの他の実施形態の斜視図である。
【0092】
【図23B】図23Aのガイドワイヤハブの下面図である。
【0093】
【図24A】シースの他の実施形態の基端面図である。
【0094】
【図24B】図24Aのシースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本開示は、医療物品(例えば、カテーテルまたはシース)を血管またはドレナージ部位へ送出するためのアクセス装置を提供する。図1Aは、血管(例えば、静脈または動脈)内へ挿入されるように構成される本発明の好ましい実施形態に係るアクセス装置20を示している。以下では、これに関連して(すなわち、脈管アクセスに関して)アクセス装置を説明するが、アクセス装置は、患者の身体内の他の場所(例えば、ドレナージ部位)へアクセスしてその場所に医療物品(例えば、カテーテルまたはシース)を配置するためあるいは他の目的(例えば、膿瘍を排出するため)のために使用することもできる。
【0096】
アクセス装置のこの実施形態は、典型的な一体の管状医療物品を患者内部の身体空間内に配置することに関連して開示される。管状物品は、配置されると、その後、身体空間へアクセスするための他の医療物品(例えば、カテーテル、ガイドワイヤなど)を受けるために使用することができ、および/または、流体を身体空間内へ導入するためあるいは流体を身体空間から除去する(例えば、排液する)ための通路を与えるために使用することができる。図示の実施形態において、管状医療物品は、主に流体を静脈へ送り込むように構成されるシースまたはカテーテルである。しかしながら、本発明の原理は、一体品のシースまたはカテーテルの配置に限定されず、あるいは、シースまたはカテーテルを介した医療物品のその後の挿入に限定されない。むしろ、本開示に照らして、当業者であれば分かるように、本明細書中に開示されるアクセス装置は、他のタイプのシース、流体排出・送出チューブ、および、シングルルーメンまたはマルチルーメンカテーテルを含む1つ以上の他のタイプの医療物品を患者内に直接に配置するあるいは他の医療物品を介して間接的に配置することとの関連でうまく利用することもできる。
【0097】
例えば、これに限定されないが、本明細書中に開示されるアクセス装置は、中心静脈カテーテル、末梢から中心静脈まで挿入されるカテーテル、血液透析カテーテル、外科的ドレナージチューブ、剥離シース、多物品シース、内視鏡、および、外部のあるいは埋め込まれた電子デバイスまたはセンサに接続される配線またはケーブルのための電気導管を直接的にあるいは間接的に配置するように構成することもできる。前述したように、先に挙げられた医療物品は、アクセス装置のダイレータ、針、および、ガイドワイヤを介して患者内に直接に配置されてもよく、あるいは、その後、アクセス装置のダイレータ、針、および、ガイドワイヤを介して患者内に配置された医療物品を介して患者内に配置されてもよい。
【0098】
また、本明細書中に開示される実施形態は、単一の医療物品の同軸挿入に限定されない。例えば、挿入されたシースを介して2つのカテーテルが患者内に挿入されてもよく、あるいは、挿入された第1のカテーテルを介して第2のカテーテルが患者内に挿入されてもよい。また、血管または他の身体空間内への管路を与えることに加えて、ダイレータ、針、および、ガイドワイヤを介して挿入される医療物品は、その後に挿入される医療物品のルーメンに付加されるルーメンを形成することができる。当業者は、本明細書中に開示される装置およびシステムのための更なる用途を見出すこともできる。したがって、(例えば、微小穿刺用途における)シースと関連するアクセス装置の図示および説明は、アクセス装置の1つの想定し得る用途の単なる典型例である。
【0099】
図1Aおよび図1Bはアクセス装置20の好ましい実施形態を示している。アクセス装置20は、針22と、ダイレータ24と、シース26とを備える。図示の実施形態において、アクセス装置はガイドワイヤ部分28およびトラック30も含む。図1Bに最も良く見られるように、ダイレータ24は針22に同軸に装着され、また、シース26はダイレータ24に同軸に装着される。アクセス装置の構成要素の伸縮性は、構成要素をそれらの軸が同軸ではなく略平行に配列される状態で配置することによっても得られる(例えばモノレール型構造)。
【0100】
これらの構成要素はそれぞれ、ルーメン接続具を末端または移行部(すなわち、ハブ)に含むとともに、接続具から延びる長尺構造を含む。したがって、図示の実施形態において、針22は、針ハブ34から先端側へ延びる針本体32を含み、ダイレータ24は、ダイレータハブ38から先端側へ延びるダイレータシャフト36を含み、また、シース26は、シースハブ42から先端側へ延びるシース本体40を含む。ガイドワイヤ部分28は、ガイドワイヤ44を備えるとともに、好ましくはガイドワイヤハブまたはキャップ46を備える。図示の実施形態では、ガイドワイヤハブ46がガイドワイヤ44の基端に配置されるが、他の用途では、ハブ46をガイドワイヤ44の端部間の位置に配置することができる。
【0101】
図2A−2Gは、アクセス装置20の他の構成要素から分離した状態における、アクセス装置の好ましい実施形態にしたがって構成される針22の針本体32および針ハブ34を示す。図2Aおよび図2Bに最も良く見られるように、針ハブ34は針本体32の基端に配置される。針本体32は針22の先端部50の近傍の先端で終端し、また、針ハブ34は針22の基端部52に位置する。
【0102】
針本体32は、円形の一定直径の内孔と、円形の一定直径の外面とを有する長尺な管形状を成す。しかしながら、他の実施形態では、針本体32が他の孔形状および外面形状を有することができる(例えば、楕円の断面形状などであるが、これに限定されない)。針の内部または外部は溝またはチャンネルを含むこともできる。溝またはチャンネルは、針孔内の流体を針22または針22内の特定の構造の周囲であるいは該構造へと(例えば、ガイドワイヤの周囲で)案内してもよい。幾つかの実施形態において、溝またはチャンネルは、針22をダイレータに対して望ましい方向に維持するのに役立ってもよい。
【0103】
針本体32は、目標とする皮下の身体空間にアクセスできる十分に長い長さを有するとともに、過度の外傷を引き起こすことなく身体空間にアクセスする際の挿入力に耐えることができる十分なゲージサイズを有する。多くの用途において、針本体は、3−20cm、より好ましくは3−10cmの長さを有することができる。例えば、成人の胸部内の身体空間(例えば血管)にアクセスするためには、針本体32は、7cm以上の長さを有するのが好ましく、9cm以上の長さを有するのが更に好ましく、9−10cmの長さを有するのが最も好ましい。針のサイズは、微小穿刺用途(末梢IV)においては、18ゲージ以下であるのが好ましく、18−28ゲージであるのが更に好ましく、18−26ゲージであるのが最も好ましい。新生児に対する用途においては、針本体32の長さおよびゲージは、かなり短くかつ小さくなければならず、例えば3−4cmおよび26−28ゲージであることが好ましい。
【0104】
図2Aおよび図2Dに最も良く見られるように、針本体32は、針本体32の先端近傍に少なくとも1つの開窓または開口56を含む。開窓56は、針本体32の壁を貫通して延びており、後述するように、針本体32上で様々な形状および方向を有することができる。また、針本体32は、先端部50に配置される斜端54を有することができる。
【0105】
図2Aおよび図2Bに示されるように、針の斜端の周方向位置と針の開口または開窓56の周方向位置とに位置合わせされる針ハブ34の周囲の周方向位置にフィン58が配置されるのが好ましい。すなわち、フィン58は前記斜端と前記開窓を指している。使用中、医師またはヘルスケア提供者は、斜端が血管内にあって開窓がシースおよび/またはダイレータによって覆われている場合であっても、露出されたフィン58の方向に留意することにより針斜端(および開窓56)の方向を決定できる。例えば、図示の実施形態では、患者から離れるフィン58の方向が、血管内の針先端の斜端上向き方向と一致する。また、図2Cに見られるように、開窓56もフィン58と同じ側にある。
【0106】
また、フィン58は、針ハブ34を操作するための握持領域を与える。例えば、医師またはヘルスケア提供者は、ダイレータ24および/またはシース26に対して針ハブ34を安定させるために人差し指および親指をフィン58の両側に配置することができる。図示の実施形態では、ダイレータ/シースが針上にわたって先端側へスライドすると、針ハブ34が第1の位置121と第2の位置123との間(例えば図6Aに示される部分)でトラック30に沿って相対的にスライドする。挿入ステップ(後述する)を行なうときにフィン58を保持することができる。また、ダイレータハブ38を回転している間にフィン58を使用して針ハブ34を安定させることができる。更に、フィン58は、針ハブ34がトラック30に沿う任意の位置に配置されるときにアクセス装置20を握持するための補助として医師またはヘルスケア提供者により使用され得る。
【0107】
図2Dは、針本体32の側口または開窓56の拡大図である。1つ以上の開窓56は、針本体32の側面を貫通する通路を与える。図2Dに示される開窓56は楕円形状を有する。しかしながら、側口56の形状は、図示の実施形態に限定されず、円形、楕円形、正方形、または、他の形状であってもよい。
【0108】
ここで、特に図2E−2Gを参照すると、針ハブ34は、針ハブ34の基端部および先端部にロック構造を含むことが好ましい。これらのロック構造は、ルアー・ネジタイプまたは他のタイプの接続部であってもよい。
【0109】
針ハブ34の基端部52のロック構造は、医師またはヘルスケア提供者が他の医療物品を針ハブ34の基端に固定できるようにする。例えば、図示の実施形態の針ハブ34は環状フランジまたはリップ63を含む。リップ63は、針ハブ34が対応するルアー・ナットロック機能を有する他の医療物品に取り付くことができるようにするべく螺合される。また、医師またはヘルスケア提供者は、望み通りに他の処置を行なうために、注射器または監視機器を基端のロック構造に取り付けてもよい。また、針ハブ34は、その基端のセプタムおよび/またはサイドポートを、これらの特徴が特定の用途において望ましい場合には含むこともできる。
【0110】
針ハブ34の先端部のロック構造は、針ハブ34が第1の位置121にあるときに例えば医師またはヘルスケア提供者が針ハブ34をダイレータハブ38に対してロックできるようにする。図示の実施形態では、ロック構造が針ハブ34上のラッチ要素66を含む。ラッチ要素66は、針ハブ34をダイレータハブ38に対して解放可能にロックする。ロック構造により、ヘルスケア提供者は、針ハブ34、ダイレータハブ38、または、これらの両方を握持しつつ、針を患者内へ押し進めることができる。
【0111】
以下で更に詳しく説明するように、ガイドワイヤ44は、針ハブ34の中空部62と針本体32とを通じて、穿刺された血管内へ導入される。ガイドワイヤ44は、ヘルスケア提供者がダイレータ24およびシース26を血管内へと案内できるようにする。
【0112】
針ハブ34は、針ハブ34が第1の位置121と第2の位置123との間でトラック30に沿ってスライドできるようにする2つのタング68を備えてもよい。好ましい実施形態では、針ハブ34の2つのタング68が第1の位置121と第2の位置123との間でトラック30と係合されるが、他の実施形態では、針ハブ34が第1の位置121と第2の位置123との間のトラック30の長さの一部にわたってのみトラック30と係合される。トラック30と針ハブ34との間のスライド相互接続は、他の協働構造(例えば、蟻継ぎ接続の対応するピンおよび尾部)を使用して達成することもできる。
【0113】
図3Aは、図1Aに描かれる実施形態のダイレータ24の平面図である。図3Bは、図3Aに描かれる実施形態のダイレータ24の3B−3B線に沿う断面図である。図3Aおよび図3Bに示されるように、図示のダイレータ24は、ダイレータシャフト36と、ダイレータハブ38と、先端領域70と、基端領域72とを備える。図示の実施形態では、ダイレータシャフト36が1つの側口または開窓74を含むが、他の実施形態では、ダイレータシャフト36がそれよりも少ないあるいは多い数の開窓74を含むことができる。例えば、ダイレータシャフト36は、(以下で更に詳しく説明するように)血液フラッシュ室がダイレータ内に配置される場合には開窓74を含まなくてもよい。
【0114】
ダイレータハブ38は1つ以上の通気孔を備えてもよい。図示の実施形態において、ダイレータハブ38の通気孔は溝75によって形成される。また、ダイレータシャフト36は、ダイレータシャフト36の外面に形成される1つ以上の長手方向チャンネルを備えてもよい。図示の実施形態では、チャンネルが開放チャンネルである。開放チャンネルの側壁は稜部76によって形成される。図示の実施形態では、稜部76がシース26との界面を成すほぼ滑らかな弓形の外面を形成するが、他の実施形態では、稜部が他の形状を有することができる(例えば、より著しい尖端を形成できる)。ダイレータシャフト36の開放チャンネルは、シース本体40内に組み付けられると、シース本体40の内径によって閉じられる。
【0115】
図3Cは、図3Aに示される実施形態の一部の拡大平面図である。前述したように、図示のダイレータシャフト36は、1つ以上の側口74と、稜部76間に形成される1つ以上のチャンネルとを備える。側口または開窓74は、ダイレータシャフト36の側面を貫通する流路を与える。側口74の形状は、図示の実施形態に限定されず、円形、楕円形、正方形であってもよく、あるいは、他の形状を有してもよい。図3Cに示される開口または開窓74は楕円形状を有する。
【0116】
図示の実施形態において、ダイレータシャフト36の開口74は、その主軸が針22の楕円開口56の主軸に対して平行でない楕円形状を有する。例えば、針開口56が長手方向に延びてもよく、また、ダイレータ開口74が周方向に延びてもよく、あるいは、逆もまた同様である。すなわち、ダイレータ開口74の長軸が針開口56の長軸に対して略垂直に配置される。以下の更なる実施形態に関連して説明されるように、これらの開口56,76は、製造公差および回転ずれを考慮するべく大きな重なり度合を得ることが好ましい他の形状、サイズ、および、方向を有することができる。このため、一方の開窓は、少なくとも1つの方向の寸法が他方の開窓の同じ方向での寸法よりも大きいことが好ましい。したがって、図示の実施形態において、針開窓56は、ダイレータ開窓74の長手方向寸法よりも長い長手方向寸法を有する。
【0117】
稜部76間に形成されるチャンネルは、開口74よりも先端側のポイントから基端方向に延びる。図示の実施形態の稜部76は、シース内でダイレータシャフト36を釣り合わせるためにダイレータシャフト36に沿ってダイレータシャフト36の両側に配置される。図示の実施形態では、稜部76がそれらの間に2つのチャンネルを形成する。シース内でダイレータを釣り合わせることにより、ダイレータは、シースの内周に対して等しい圧力を加えることができる。
【0118】
ダイレータハブ38は、ダイレータ24の基端領域72および先端領域にロック構造を含んでもよい。各ロック構造は、ルアータイプまたは他のタイプの接続部であってもよい。図示の実施形態において、ダイレータハブ38は、第1のルアー接続部78、第2のルアー接続部80、リップ77、および、ベース79を備える。第1のルアー接続部78は、図2Eに示される針22の針ハブ34に係合する。第2のルアー接続部80は第1のルアー接続部78よりも先端側に配置される。幾つかの実施形態では、第2のルアー接続部80(例えば、雄ルアースリップコネクタ)を図1Aに示されるシース26のシースハブ42(例えば、雌ルアースリップコネクタ)に係合するように構成することができる。また、これらの構成要素の雄−雌ルアースリップコネクタを逆にすることができる。
【0119】
図3Dは、図3Aのダイレータ24の拡大基端面図である。図3Dに最も明確に示されるように、ダイレータハブ38は、針ハブ34が第1の位置121にあるときにダイレータハブ38を針ハブ34に固定するために、図2E−2Fに示される針ハブ34のラッチ要素66と解放可能に係合する開口82を備える。この場合も先と同様に、他の実施形態では、ダイレータハブおよび針ハブ34の雄−雌ルアースリップコネクタを逆にすることができる。
【0120】
ダイレータ24の色は、血液または他の流体とダイレータ24との間のコントラストを高めるように選択されてもよい。例えば血液フラッシュ中、血管内での針の適切な配置を確認するためにダイレータ24とシースとの間で流れる血液が観察される。流体がシースとダイレータ24との間を流れる際の流体の視認性を高めるため、シースをクリアな材料または透明な材料から形成するとともに、ダイレータ24が流体の色に対してコントラストを成す色を有することが好ましい。例えば、ダイレータ24は、赤い血液とのそのコントラストを高めるために白色を有してもよい。流体の色と望まれるコントラストの度合いとに応じて、ダイレータ24の他の色を使用することができる。また、血液フラッシュの領域におけるダイレータの部分だけが、異なる色を有する残りの部分に対してコントラストを成す色を有することができる。チャンネルが針とダイレータ24との間に形成される実施形態において、ダイレータ24は、医師がシースおよびダイレータ24の両方を通じて血液フラッシュを観察できるようにするために、シースと同様のクリアな材料または透明な材料から製造されてもよい。
【0121】
図3Eは、ダイレータハブ38Aの他の実施形態の拡大斜視図である。ダイレータハブ38Aは、ダイレータハブ38Aがスピンナットまたはカラー84を更に含む点を除いて、図3Aに示されるダイレータハブ38と同様である。スピンナット84の基端は、ダイレータハブ38の環状溝73(図3A参照)周りで回転する。スピンナット84は、環状溝73内に配置されると、先端方向に移動することが阻止されるが、ダイレータハブ38Aの周りで自由に回転できる。スピンナット84は、シース26の対応する相互係合要素にロックする相互係合要素を有することができる。図示の実施形態において、スピンナット84は、図1Aに示されるシース26のシースハブ42の雄ネジと螺合する雌ネジを含む。
【0122】
ダイレータ24またはシース26は、空気またはガスがダイレータ24とシース26との間および/または針とダイレータとの間から逃げることができるあるいは通気できるように1つ以上の通路を別々にあるいは一緒に形成してもよい。また、1つ以上の通路は、空気の通過を許容しつつ血液などの液体の流れを抑制するように更に寸法付けられてもよい。1つ以上の通路は、シース26の壁、シースハブ、ダイレータハブ38、ダイレータシャフトの露出部分にあってもよく、および/または、ダイレータ24およびシース26の隣り合う表面間に形成されてもよい。例えば、図3Aは、ダイレータ24およびシース26の隣り合う表面間に形成される長手方向に配置される溝75を示している。そのような通気通路を迷路にすることもできる。隣り合う表面は、シース26とダイレータ24との間にルアースリップ接続部を形成する。
【0123】
図3Fは、図3Aの3F−3F線に沿う断面図であり、ルアースリップ表面の周方向にわたって等しい間隔で離間される溝75を示しているが、等しい間隔で離間される必要はない。溝75は、血液フラッシュが生じるときに空気がダイレータとシースなどの医療物品との間から逃げることができるように寸法付けられる。前述したように、1つ以上の通路は、表面溝75の形態を成す必要はなく、代わりに、開口または通路の形態を成してもよい。
【0124】
図示の実施形態において、1つ以上の通路は、シースとダイレータハブとの間のルアー接続部を空気が通過できるようにする。図示の実施形態では、通路75の先端がルアー接続部の先端側に位置されるとともに、通路75の基端がルアー接続部の基端側に位置される。
【0125】
1つ以上の通路は、血液または他の液体を濾過するように寸法付けられてもよく、あるいは、空気の通過を許容しつつ液体の通過を抑制するフィルタまたは構造を含んでもよい。例えば、シース自体が小開口、孔、または、多孔質材料の形態を成す1つ以上の通路を含んでもよい。1つ以上の通路のサイズと、流体分子および形成される要素(例えば、赤血球)の予期されるサイズとに応じて、シースの1つ以上の小開口、孔、または、多孔質材料は、空気の通過を許容するが血液を保持する多孔質通気孔を形成することができる。
【0126】
ここで、稜部を伴うダイレータを製造する方法について説明する。最初に、1つ以上の長手方向溝またはチャンネルをその外径(OD)にあるいはダイレータの実体内に有する長い管状体を形成するために、押し出しプロセスが使用される。長い管状体は、単一のダイレータの所要の長さを超えており、単一のダイレータの長さよりも数倍長い長さを有することが好ましい。押し出しプロセスでは、ダイレータの内外径と長手方向溝またはチャンネルまたは内部チャンネルの厚さおよび周方向長さとにとって望ましい形状を反映する形状を有する製造金型が使用される。図1−11の例示された実施形態において、長い管状体は、シース内でのダイレータのバランスを高めるために、管状体の両側に2つの長手方向ODチャンネルを含む。しかしながら、単一のチャンネルは、血液フラッシュのための可視的な表示をもたらすことができる。2つのチャンネルは、押し出し管状体の長さに沿って延びることが好ましい。図示の実施形態は、ダイレータとシースとの間に配置される1つ以上のチャンネルを含むが、これに加えてあるいはこれに代えて、1つ以上のチャンネルを、針とダイレータとの間に、ダイレータ内に、および/または、シース内に形成することができる。したがって、幾つかの実施形態では、チャンネル内の流体フラッシュを視覚化するために、ダイレータ24が、部分的にあるいは全体的に、クリアな材料、半透明な材料、透明な材料、または、半不透明な材料から形成される。
【0127】
図示の実施形態に戻って参照すると、押し出し管状体は、単一のダイレータに適した長さにカットされる。好ましい方法では、2つのOD溝が、カットされたダイレータの全長にわたって延びる。
【0128】
その後、先端を再成形するために、カットされたダイレータの端部でチッピングプロセスが使用される。カットされたダイレータの端部は、完成したダイレータの先端の望ましい形状と一致する形状を有する金型/マンドレルに押し込まれる。望ましい形状は、例えばシースの内径に応じて選択される。シースおよびダイレータは、溝付きのダイレータとシースとの間に形成されるチャンネル内での基端方向の血液の流れを促進するために先端の近傍に緊密な嵌合またはシールを形成することが望ましい。ダイレータの先端領域におけるODが先端方向に先細ることが好ましい。
【0129】
金型/マンドレル内にあるときには、先端を金型/マンドレルと適合するべく再成形するために、熱エネルギが先端に加えられる。熱エネルギは、赤外線熱源またはRF熱源からの放射加熱を使用することを含む任意の既知の技術によって加えられてもよい。チッピングプロセスの一環として、ダイレータは、溝がほぼ除去されるように先端領域が再成形される。溝が除去された状態では、ダイレータは、先端の近傍でシースと共に緊密な嵌合またはシールを形成することができる。溝は、シース26の先端がダイレータ上に位置する場所の基端側でダイレータの残りの部分に沿って維持される。ダイ/マンドレルからの除去後、ダイレータの先端が、任意の製造残留物を除去するために必要に応じて洗浄されあるいはカットされてもよい。
【0130】
ダイレータの1つ以上の開窓は、先端領域の近傍および溝またはその近傍でダイレータを貫通してカットされる。各開窓は、ドリルまたはレーザを含む任意の既知の手段によってカットされてもよい。また、開窓のための楕円形状または他の形状を得るために、切断装置がダイレータに対して移動されてもよく、あるいは、逆もまた同様である。
【0131】
ダイレータの先端とは反対側の端部は、ダイレータに対するダイレータハブのオーバーモールド成形を容易にするために口を広げることができる。
【0132】
図4Aは、図1Aに描かれる実施形態のシース26の平面図である。図4Bは、図4Aに描かれる実施形態のシース26の4B−4B線に沿う断面図である。図4Cは、図4Aのシース26の拡大基端面図である。図4Dは、図4Aのシース26のシースハブ42の拡大斜視図である。図4A−4Dに示されるように、シース26は、シース本体40と、シースハブ42と、先端部90と、基端領域92とを備えてもよい。シース本体40は、部分的にあるいは全体的に、クリアな材料、半透明な材料、透明な材料、または、半不透明な材料から形成される。シース本体40は、例えば硫酸バリウムストライプなどの1つ以上の放射線不透過マーカーを含むこともできる。好ましい実施形態において、シースは、本体40の直径方向の両側に配置される2つのそのような放射線不透過ストライプを含む。
【0133】
シース本体40は、カテーテルまたは他の医療物品(例えば、ガイドワイヤ)が血管内に挿入されるべく挿通される一体のシースであってもよい。そのような実施形態において、シース本体40は、カテーテルまたは他の医療物品(例えば、ガイドワイヤ)の挿入のための導管を形成する。シースまたはシースの一部は、導管を形成することに加えて、カテーテルのルーメンに付加するルーメンを形成する。例えば、ダブルルーメンカテーテルをシース本体40に挿通することによってトリプルルーメンカテーテルと同等のものを形成することができ、その場合、シース本体40自体が第3のルーメンを形成する。
【0134】
アクセス装置20を使用した後に血管内に挿入されるべきカテーテルまたは他の医療物品のタイプに応じてシース本体40の一部または全体を除去することが有益な場合がある。例えば、カテーテルまたは他の医療物品が血管内に挿入された後、シース本体40の一部を分離しあるいは剥離して除去することができる。剥離シースは、医師またはヘルスケア提供者がシース本体40の一部または全体を容易に除去できるようにするために、穿孔、鋸歯状部、裂け部、または、他の構造を含むことができ、あるいは、他の材料(例えば、ビスマスを伴うPTFE)を含むことができる。
【0135】
シースハブ42は、ルアースリップ接続部とロック部材94とを含んでもよい。ロック部材94は、対応する構造と嵌め合うあるいは係合するロック構造または取り付け構造を備えてもよい。例えば、ロック部材94は、ダイレータハブ38の第2のルアー接続部80と係合するように構成され得るルアー接続部94であってもよい。
【0136】
シースハブ42は、図4Cおよび図4Dに最も良く見られるように、ダイレータハブ38のロック機構または第2のルアー接続部80がシースハブ42内にほぼ障害なく入ることができるように形成されるのが好ましい。しかしながら、使用時、シースハブ53が望ましい位置でダイレータシャフト36上にわたって配置されると、医師またはヘルスケア提供者は、シースハブ42を押し引きしあるいはねじることができるとともに、場合により、ロック部材94を他の医療物品の対応するコネクタに対して離脱させあるいは係合させることができる。ロック部材94は、例えば、ダイレータハブ38とシースハブ42とが解放可能に連結されるように機械的な嵌合をもたらすルアー接続部、突出する稜部、窪み等であってもよい。図示の実施形態において、シースハブ42のロック部材94はルアー接続部を備える。シースハブ42は、ダイレータハブ38の対応する第2のルアー接続部80と係合するのが好ましい。ロック位置は、ダイレータハブ38をシースハブ42に対して引く、圧搾する、押す、または、ねじることによって係脱できることが好ましい。
【0137】
幾つかの実施形態では、シースハブ42がリップ95を備えることができる。リップ95は、シースハブ42が対応するロック機能を有する他の医療物品に取り付くことができるように螺合できる。
【0138】
シースハブ42は、医師またはヘルスケア提供者がシース26および/またはアクセス装置20を容易に握持しあるいは操作できるように1つ以上の表面特徴を備えることが好ましい。図示の実施形態では、シースハブ42が正方形グリップ96および稜部98を含む。
【0139】
更なる実施形態において、シースハブ42は、シース本体40のアクセス装置20の他の部分からの容易な解放および除去を可能にするために径方向に延びる翼またはハンドル構造を備えてもよい。幾つかの実施形態において、翼は、シースハブ42を壊して外すためのてこの作用をヘルスケア提供者に与えるように寸法付けられる。例えば、シースハブ42は、シースハブ42の半体同士を接続する薄膜を備えてもよい。膜は、ヘルスケア提供者がシースハブ42をアクセス装置から取り外すことを決定するまでシースハブ42の半体同士を結束したまま保つように寸法付けられる。ヘルスケア提供者は、膜を破壊してシースハブ42を取り外し可能な半体へと分離するべく翼を操作する。
【0140】
図5Aは、図1Aに描かれる実施形態のガイドワイヤ部分28の斜視図である。図5Bは、ガイドワイヤハブ46を含むことが好ましい図5Aに描かれるガイドワイヤ部分28の平面図である。ガイドワイヤハブ46は、医師またはヘルスケア提供者がガイドワイヤハブ46および/またはアクセス装置20を容易に握持しあるいは操作できるように1つ以上の表面特徴を備えることができる。図示の実施形態では、ガイドワイヤハブ46が1つ以上の稜部110を備える。事前組み込み状態では、ガイドワイヤハブ46の外面は、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125(例えば、図6Aに示される第3の位置)にあるときにトラック30のロック機構130と係合する。
【0141】
幾つかの実施形態において、ガイドワイヤ44は、引き込まれるときに自己吸引機能を与えるために針本体の内径と緊密な嵌合を形成してもよい。例えば、ガイドワイヤ44の外径は、ガイドワイヤの長さに沿ってあるいはガイドワイヤ44の一部だけに沿って針と緊密な嵌合を形成するように選択されてもよい。
【0142】
幾つかの実施形態において、ガイドワイヤの先端部は、ガイドワイヤの他の部分と比べて小さい直径を有することができる。そのような直径が小さい部分のサイズは、ガイドワイヤが針の先端を越えて押し進められたときであっても流体が針の開窓56へと移動できるように選択することができる。
【0143】
図6Aは、図1Aに描かれる実施形態のトラック30の斜視図である。図6Bは、図6Aに示されるトラック30の平面図である。図6Cは、図6Aに示されるトラック30の側面図である。図6A−6Cに示されるように、図示の実施形態のトラック30は、先端部120と、基端部122と、トラックをダイレータハブ38に接続する先端ロック部材124と、針ハブ34がトラック30に沿って第1の位置121から第2の位置123へとスライドされると針ハブ34の更なる基端および先端への移動を抑制するロック機構128と、ガイドワイヤハブが事前組み込み状態または第3の位置125にあるときにガイドワイヤハブ46がトラック30に取り付くことができるようにするロック機構130とを備える。トラックはポリカーボネート材料から形成されるのが好ましいが、後述するように、他の材料を使用できる。
【0144】
トラック30は、図6Aおよび図6Bに最も明確に示されるように、幅が小さいトラック部分132を更に含んでもよい。小さい幅は、トラック30に対する針ハブの組み付けを容易にする。図示の実施形態は、トラック30の先端部120にリブ133を含む。リブ133は、先端ロック部材124とトラック30の残りの部分との間に更なる構造的補強を与える。
【0145】
図1Aに示されるように、先端ロック部材124は、ダイレータ24に接続するとともに、トラック30がダイレータ24から基端側へ延在できるようにする。例えば、ロック部材124は、ダイレータハブリップ77とダイレータハブベース79との間でダイレータハブ38に接続する2つの湾曲アーム124を備えることができる。ロック部材124は、ダイレータハブ38に対するトラック30の先端方向または基端方向の移動を制限するが、トラック30がダイレータハブ38の周囲で自由に回転できるようにする。
【0146】
図6Dは、図6Bに描かれる実施形態の一部の拡大図である。図示のように、ロック機構128は、第2の位置123の領域でトラックの幅を変えることにより形成される。例えば、図示の実施形態は、幅が先端方向に増大するトラック部分134と、幅が増大するトラック部分134よりも先端側の幅が小さいトラック部分136と、2つのフィンガ要素138とを含む。2つのフィンガ要素138は、トラック部分136の先端からトラック30の基端へ向けて突出して、トラック30の長手方向軸から離れるように広がっている。
【0147】
図6Eは、図6Bに描かれる実施形態の一部の拡大図である。ロック機構130は、ガイドワイヤハブが第3の位置にあるときにガイドワイヤハブの一部とあるいはトラック30の一部と係合するクリップ、締め具、または、他の構造によって形成される。係合構造の一部または全部は、トラック30の一部、ガイドワイヤハブの一部であってもよく、あるいは、トラック30とガイドワイヤハブとの間で分けられてもよい。図示の実施形態において、ロック機構130は、トラック30から延びて、ガイドワイヤハブと係合する。ロック機構130は、トラック30から突出する長方形要素140と、長方形要素140よりも先端側でトラック30から突出する2つのトラックアーム142と、トラックアーム142よりも先端側でトラック30から突出するストッパ144とを備える。
【0148】
図示の実施形態では、針ハブとダイレータとの間のロック機構がダイレータハブの基端側にある。しかしながら、他の実施形態では、ロック機構を他の場所に配置することもできる。例えば、ロック機構がロックヒンジにより連結される2つの回動レバーを含む場合には、ロック機構を針ハブに対して径方向に配置できる。そのような実施形態では、一方のレバーがダイレータに対して回動可能に結合され、他方のレバーが針に対して回動可能に結合される。針ハブがダイレータハブから離れると、レバーは、ヒンジがロックするポイントへ向かって真っ直ぐになる。同様の効果は、ダイレータに対する針ハブの特定のポイントを越える基端方向の移動を制限することにより構成要素同士をロックするテザーによって得ることができる。更なる実施形態では、長尺構造がダイレータ内で針ハブから針本体と平行に延びることができる。針ハブがダイレータから十分な距離にわたって離間されると、ダイレータに対する針の更なる移動を抑制するために、ロック機構の更なる構造(例えば、戻り止め)が長尺構造と係合する。したがって、これらの更なる実施形態により示されるように、針とダイレータとの間で動作するロック機構をダイレータハブに対して様々な位置に配置することができる。
【0149】
図7Aは、ガイドワイヤが事前に組み込まれる図1Aに描かれる実施形態のアクセス装置の拡大平面図である。図7Bは、図7Aに描かれる実施形態の側面図である。図7Cは、図7Aに描かれる実施形態の7C−7C線に沿う断面図である。図7Dは、図7Aのアクセス装置20の基端面図である。この事前組み込み状態では、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125に位置されるときにガイドワイヤハブ46がトラック30にロックされる。この位置では、ガイドワイヤハブ46を長方形要素140とストッパ144との間でトラック30に固定することができる。例えば、ガイドワイヤハブ46は、長方形要素140とストッパ144との間で解放可能にロックできる。また、トラックアーム142は、ガイドワイヤハブ46をトラック30に対して更に固定できる。このロック機構は、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125にあるときにガイドワイヤ44の意図しない回転および少なくとも先端方向の軸方向移動を阻止できる。無論、ヘルスケア提供者は、アクセス装置20を通じたガイドワイヤの先端方向の移動を可能にするためにガイドワイヤハブ46をトラック30から離脱させてもよい。
【0150】
図7A−7Cに示される事前組み込み状態では、針ハブ34が第1の位置121にあるときに針ハブ34がダイレータハブ38にロックされる。ロック位置では、針およびダイレータの開口または開窓が互いに位置決めされあるいは位置合わせされるのが好ましい。針22およびダイレータ24は、ロックされると、少なくとも互いに対する意図しない回転および軸方向移動が抑制される。針34に対するダイレータハブの意図しない回転を防止することにより、開窓または開口はそれらの一般的な位置合わせ状態を維持する。
【0151】
事前組み込み状態では、ダイレータハブ38がシースハブ42に固定される。これは、ダイレータ24とシース26との間の少なくとも意図しない回転および軸方向移動を抑制できる。シースハブ42およびダイレータ24がルアースリップ接続部だけを有する実施形態では、ダイレータ24およびシースハブ42が互いに対して回転する場合がある。
【0152】
図8Aは、アクセス装置20を使用する1つの方法の動作ステップを示す図1Aに描かれる実施形態の平面図である。図8Aは、静脈などの血管148内へ挿入されるアクセス装置20の針本体32を描いている。説明される方法は脈管アクセスであるが、アクセス装置20は、患者の身体内の他の場所にアクセスしてその場所内へとカテーテルまたはシースを配置するため(例えば、膿瘍を排出するため)および他の目的のために使用することもできる。
【0153】
図8Bは、図8Aに示される実施形態の8B−8B線により円形に囲まれる部分の拡大平面図である。図8Cは、図8Bに示される実施形態の8C−8C線により円形に囲まれる部分の拡大平面図である。図8Dは、図8Cに描かれる実施形態の8D−8D線に沿う拡大断面図である。
【0154】
前述したように、針本体32は1つ以上の側口56をその側壁に備える。ダイレータシャフト36は1つ以上の側口74を備える。側口56,74は同じあるいは異なる形状およびアスペクト比を有してもよい。図示の実施形態において、針本体32の側口56は、ダイレータシャフト36の側口74とは異なるアスペクト比を有する。針本体32の側口56は一方向(例えば、針本体32の長手方向軸に対して略平行である)で細長い。ダイレータシャフト36の側口74は異なる方向(例えば、ダイレータシャフト36の周方向に沿う)で細長い。針本体32およびダイレータシャフト36の細長い開口56,74がオフセットされると、血液が針側口56およびダイレータ側口74を通じて流れるように針本体32およびダイレータシャフト36の開口56,74が十分に位置合わせされる可能性が高まる。図8A−Dは、対応する側口の1つの組だけの間の位置合わせを示している。針本体32およびダイレータシャフト36の相対的な方向に応じて他の組の側口を位置合わせするあるいは位置ずれさせることもできる。
【0155】
図示の実施形態において、ダイレータシャフト36は、針本体32とダイレータシャフト36との間で環状空間150を維持するように同軸に位置される。ダイレータシャフト36の内面152は、針本体32の外面154に直接に接触して位置する必要はないが、そのようにすることもできる。この実施形態では、血液またはその成分(または他の体液)がダイレータシャフト36と針本体32との間の環状空間150に流れ込むのを抑制するために、針本体32の外面154とダイレータシャフト36の内面152との間の環状空間150が最小限に抑えられるのが好ましい。この特徴は、血液が複数の外面に晒されるのを最小限に抑えるとともに、汚染、感染、および、凝固の危険を低減し、有益である。
【0156】
図8Aに示されるように、ダイレータシャフト36は、針本体32に配置される1つの側口56の少なくとも一部がダイレータシャフト36の1つの側口74の少なくとも一部と回転方向で位置合わせされるように針本体32に対して同軸に装着される。針本体32およびダイレータシャフト36は、血液が針側口56およびダイレータ側口74を通じて流れるように回転方向の位置合わせを維持するのが好ましい。
【0157】
前述したように、シース本体40は、部分的にあるいは全体的に、クリアな材料、半不透明な材料、半透明な材料、透明な材料から形成されるのが好ましく、それにより、(1)針側口56を通じて、(2)ダイレータ側口74、および、(3)チャンネル156内へと血液が流れるときに、医師またはヘルスケア提供者は血液を見ることができる。幾つかの形態において、チャンネル156は、ダイレータシャフト36とシース本体40との間に形成され、ダイレータシャフト36の1つ以上の稜部76によって画定される。幾つかの形態では、チャンネル156がダイレータシャフト36の壁内に形成され、その場合、ダイレータシャフト36は透明材料を備えるのが好ましい。血液は、針本体32の斜端54が血管148を穿刺したことを医師またはヘルスケア提供者に示す。
【0158】
幾つかの実施形態では、針本体32およびダイレータシャフト36が(いずれも)複数の側口を有してもよく、その場合、これらの側口の一部または全部を回転方向で位置合わせすることができる。
【0159】
チャンネル156は、シース26の長さとほぼ同一の広がりをもつ軸方向長さを有することができる。他の実施形態では、チャンネル156を今しがた説明した長尺チャンネル156よりもかなり小さくすることができる。例えば、チャンネル156をシース26の先端部内、中間部内、および/または、基端部内に配置することができるが、これに限定されない。あるいは、チャンネル156は、シース26の軸方向長さに沿って直線形状、湾曲形状、あるいは、螺旋形状を有することができ、あるいは、複数のそのような形状によって形成することができる。チャンネル156は様々な厚さおよび角度範囲を有してもよい。チャンネル156の厚さは、ほぼゼロ付近から0.010インチまでの範囲をとることができる。チャンネル156は約0.0005〜約0.003インチの厚さを有するのが好ましい。チャンネル156は約0.001〜約0.002インチの厚さを有するのが更に好ましい。チャンネル156は、ダイレータ24の軸周りで約30°〜約210°以上であるが好ましくは360°未満の角度範囲Φを有することができる。より好ましくは、チャンネル156は約60〜150°の角度範囲Φを有する。図示の実施形態では、チャンネル156が120°にわたっている。厚さおよび角度範囲Φは、流体(例えば、全血)がチャンネル156内に入るときにチャンネル156内で生じる毛管作用を最適化するように選択することができるが、体腔内の予期される圧力と液体の粘性とに基づいて更に選択されてもよい。
【0160】
図8E−8Gは、角度範囲が120°、接触角(θ)が5°、および、周方向長さ(H)が60°で0.64mmのときに流体がチャンネル156の表面までどのように急速に引き上げられるのかを示す試験データのグラフである。それぞれのグラフでは、充填長さ(mm)がy軸上にプロットされ、また、時間(秒)がx軸上にプロットされる。試験は、末梢血管で受けられる圧力と同様の流体力学的圧力で行なわれた。図8Eは、0.002インチの隙間高さ幅を有するチャネル156で流体が引き上げられる速度を示し、図8Fは、0.001インチの隙間高さ幅を有するチャネル156で流体が引き上げられる速度を示し、また、図8Gは、0.0005インチの隙間高さ幅を有するチャネル156で流体が引き上げられる速度を示している。図8E−Gに示されるように、流体は、0.0005インチの隙間高さ幅を有するチャネル内で最も高速で引き上げられ、その次に速いのが0.001インチの隙間高さ幅を有するチャネルであり、その次に速いのが0.002インチの隙間高さ幅を有するチャネルである。
【0161】
前述したチャンネル156の形状および結果として生じる毛管作用は、全血とは異なる粘性を有する他の流体(例えば、白血球、膿、尿、血漿)とは対照的に全血と共に使用するために最適化された。しかしながら、チャンネル156の形状は、開示された形状に限定されず、膿などの他の液体を排出するために最適化されてもよい。また、前述したチャンネル156の形状は、血管内の圧力が毛管作用および結果として生じる血液フラッシュを促進させる末梢に位置される血管のために最適化されるとともに、圧力が低い場合がある領域に位置される血管のために最適化された。例えば、身体の胸部領域において、静脈内の予期される圧力は、患者が呼吸するときに末梢に位置される血管内よりも低い場合がある。身体の他の領域内でアクセス装置20を使用するために、血管内または体腔内の予期される圧力を考慮に入れて、異なるサイズのチャンネルが使用されてもよい。
【0162】
また、ダイレータシャフト36の外面160および/またはシース本体40の内面158には、チャンネル156内で毛管作用を促すあるいは高めるための物質をコーティングすることができる。例えば、ダイレータシャフト36の外面160および/またはシース本体40の内面158をコーティングして毛管作用を高めるために親水性物質を使用することができる。他の例では、ダイレータシャフト36の外面160およびシース本体40の内面158をコーティングするために界面活性剤を使用することができる。使用され得る界面活性剤の1つの例は、BASF(商標)から市販されるLutrol 68(商標)であるが、他の界面活性剤を使用することもできる。コーティングされ得る他の表面としては、針本体32の内面、針本体32の外面154、ダイレータシャフト36の内面152、および、ガイドワイヤ44が挙げられる。ダイレータシャフト36の外面160およびシース本体40の内面158を含むこれらの表面には、界面活性剤を個別にあるいは組み合わせてコーティングすることができる。前述した実施形態では、チャンネル156を通じた体液の進行を促すあるいは増進するために、ダイレータシャフト36の外面160およびシース本体40の内面158の両方をコーティングすることが好ましい場合がある。しかしながら、幾つかの実施形態では、これらの2つの表面のうちの一方だけを界面活性剤でコーティングすることが好ましい場合がある。
【0163】
界面活性剤の使用は、針、ダイレータ、または、シースを通じた血液の進行を加速させて促進させることができる。したがって、針が血管またはドレナージ部位に入ったことを術者に示すのに十分な速度で前記部品を通じて血管が依然として移動できるようにしつつ、更に小さい針、ダイレータ、および、シースを使用することができる。特に、殆どの実施形態では、体液が針を通過し、したがって、殆どの実施形態では、界面活性剤を針の内面に塗布することが望ましい可能性がある。
【0164】
同様に、これらの構成要素の1つ以上を親水性材料から形成することができる。また、親水性物質は、患者内へのシース26の挿入を容易にするための潤滑剤として作用するようにシース26の外面に塗布することができる。他の潤滑剤または潤滑コーティングをシース26の外面で使用することができ、あるいは、少なくともシースの外面を滑らかな材料から形成することができる。また、シース26には、アクセス装置20の臨床的な適用を容易にするために、シースから溶出する物質(例えば、ヘパリン)をコーティングあるいは形成することができる。一例において、シース26の外面は、Dow Corningから市販されるDow Corning 360 Medical Fluid, 12,5000 CST(商標)などのシリコンのコーティングを含むことができる。同様に、幾つかの実施形態では、シースに界面活性剤をコーティングすることができる。
【0165】
図8Hは、図8Cに描かれる実施形態の8H−8H線に沿う断面図である。図示のアクセス装置20のこの領域では、シース本体40とダイレータシャフト36との相対的な移動を依然として許容しつつシース本体40とダイレータシャフト36との間の環状空間157を最小限に抑えるようにシース本体40が同軸に位置される。シース本体40の内面158は、ダイレータシャフト36の外面160に直接に接触して位置する必要はないが、そのようにすることもできる。この領域では、血液またはその成分(または他の体液)がダイレータシャフト36の開口74から先端側に流れるのを抑制するために、ダイレータシャフト36の外面160とシース本体40の内面158との間の環状空間157が減少されてもよい。
【0166】
図8Iは、図8Aに示される実施形態の8I−8I線により円形に囲まれる部分の拡大平面図である。図8Jは、図8Iに描かれる実施形態の断面図である。図8Iおよび図8Jは、針ハブが第1の位置121にあるときにダイレータハブ38にロックされる針ハブ34を示している。ダイレータシャフト36は、ダイレータシャフト36の中空部分84を針本体32上にわたって滑らせてダイレータハブ38を針ハブ34に解放可能に固定することにより、針本体32に同軸的に装着されてもよい。ダイレータハブ38の基端86は、針ハブ34と機械的に嵌合して結合するように構成される。
【0167】
ダイレータシャフト36は、ダイレータシャフト36を針本体32に対する同軸位置から装着して解放できるようにあるいはその逆を行なうことができるように針本体32に解放可能に装着されてもよい。このロック機構は、針ハブ34が第1の位置にあるときに少なくとも針22とダイレータ24との間の何らかの意図しない回転および軸方向移動を抑制することができる。図示のように、針ハブ34は、ダイレータハブ38のルアー接続部78にロックするルアー接続部64を有してもよい。また、針ハブ34は、ダイレータハブ38の開口82にロックするラッチ要素66を有してもよい。
【0168】
また、図8Iおよび図8Jは、アクセス装置20が血管148内に挿入されるときにシースハブ42と係合されるダイレータハブ38を示している。好ましくは、シースハブ42の基端86は、ダイレータハブ38と機械的に嵌合するように構成されており、ダイレータハブ38と解放可能に係合される。図示のように、ダイレータハブ38のルアー接続部80は、シースハブのロック部材94と係合できる。結果として生じる摩擦嵌合は、アクセス装置20が血管148内に挿入されるときにダイレータ24とシース26との間の少なくとも何らかの意図しない回転および軸方向移動を抑制できる。
【0169】
図9Aは、アクセス装置20の更なる動作ステップを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。図9Aは、血管148内へと先端方向へ押し進められるアクセス装置20のガイドワイヤ44を描いている。これは、ガイドワイヤハブ46を第3の位置125から先端方向へ押し進めることによって達成できる。その後、ガイドワイヤハブ46は、針ハブ34が第1の位置121にあるときに針ハブ34にロックされる。
【0170】
図9Bは、図9Aに示される実施形態の9B−9B線により円形に囲まれる部分の拡大側面図である。図9Cは、図9Bに描かれる実施形態の断面図である。図9Cは、ガイドワイヤハブ46と針ハブ34との間のロック機構を示している。ガイドワイヤハブ46は、針ハブ34と機械的に嵌合して解放可能にあるいは不可逆的に結合するように構成されるのが好ましい。図示のように、ガイドワイヤハブ46は、ガイドワイヤハブ46の内面に瘤162を含む。ガイドワイヤハブの瘤162は、瘤162が針ハブ46のリップ上のネジ付き溝内に固定されるまでガイドワイヤハブ46を先端方向に押し進めることにより針ハブ34にロックできる。他の実施形態では、ガイドワイヤハブ46が対応するネジ付き要素を介して針ハブ34にロックできる。
【0171】
図10Aは、アクセス装置20の他の動作ステップを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。図10Aは、血管148内へと先端方向に押し進められるダイレータシャフト36およびシース本体40を描いている。これは、ダイレータハブ38を針ハブ34から解放してダイレータ24およびシース26を針ハブ34に対して先端方向にガイドワイヤおよび針に沿って押し進めることにより達成できる。図10Aは、ダイレータ24およびシース26に対する針22およびガイドワイヤ部分28の基端方向の移動を更に示している。針ハブ34は、針ハブ36が第2の位置123に達するときにトラック30にロックする。
【0172】
図10Bは、図10Aに示される実施形態の10B−10B線により円形に囲まれる部分の拡大背面図である。図10Bに描かれるように、針ハブ34は、第2の位置123でロック機構128を介してトラック30にロックする。針ハブタング68は、トラックフィンガ138を越えて基端方向にスライドし、また、タング68は、トラックフィンガ138と幅が増大するトラック部分134との間の所定位置にロック可能である。これは、針ハブ34が第2の位置123にあるときに針本体32の少なくとも先端方向での軸方向移動を阻止し、より好ましくは略不可逆的に防止する。図示の実施形態において、ロック機構128は、針ハブ34が係合されるときに基端方向または先端方向に移動することを不可逆的に防止する。また、針22の先端54は、針ハブ34が第2の位置123にあるときに先端54を覆うべくダイレータ24内に引き込まれる。つまり、このロック機構128は、ダイレータシャフト36が使用中に針本体32上にわたって押し進められると、針本体32の先端部50に配置される斜端54がダイレータシャフト36の先端を越えて押し進められるのを抑制する。このように、ダイレータシャフト36は、針本体32の鋭利な斜端54を覆って、偶発的な針刺しが生じるのを抑制する。
【0173】
図11Aは、アクセス装置20の最終的な動作ステップを示す図1Aに描かれる実施形態の側面図である。図11Aは、シース本体40が血管148内に適切に挿入されたままの状態での血管からのガイドワイヤ44およびダイレータシャフト36の除去を示している。図11Bは、図11Aに示される実施形態の11B−11B線により円形に囲まれる部分の拡大平面図である。図11Bに明確に示されるように、ダイレータシャフト36の先端およびガイドワイヤ44は、偶発的な針刺しが生じるのを抑制するために針本体32の鋭利な斜端54を越えて延びている。
【0174】
前述したように、針本体32およびダイレータシャフト36の開口56,74が異なるアスペクト比を有すると、針側口56およびダイレータ側口74を通じて血液がほぼ障害なく流れるように針本体32およびダイレータシャフト36の開口56,74が位置合わせされる可能性が高まる。
【0175】
以下の実施形態では、1つの実施形態の構造とこれに類似する他の実施形態の構造とが同じ基本的参照符号を共有し、その場合、各実施形態は固有の添え字(32,32A,32Bなど)を含む。図12Aは、図8Bおよび図8Cに示される針本体32およびダイレータシャフト36における開口56,74の他の実施形態の平面図である。図12Bは、図12Aに描かれる実施形態の12B−12B線に沿う拡大断面図である。図12Aおよび図12Bは、楕円開口56Aを有する針本体32Aおよび円形開口74Aを有するダイレータシャフト36Aを描いている。他の実施形態では、針が円形開口を有することができ、ダイレータが楕円開口を有することができる。これらの実施形態は、血液が針側口56Aおよびダイレータ側口74Aを通じて流れるように開口56A,74Aが少なくともほぼ位置合わせされる可能性を高めることができる。
【0176】
図13Aは、図8Bおよび図8Cに示される針本体32およびダイレータシャフト36における開口56,74の他の実施形態の平面図である。図13Bは、図13Aに描かれる実施形態の13B−13B線に沿う拡大断面図である。図13Aおよび図13Bは、円形開口56Bを有する針本体32Bと、針本体32Bの円形開口56Bよりも大きい円形開口74Bを有するダイレータシャフト36Bとを描いている。他の実施形態では、ダイレータの開口を針の開口よりも小さくできる。これらの実施形態も、血液が針側口56Bおよびダイレータ側口74Bを通じて流れるように開口56B,74Bが少なくともほぼ位置合わせされる可能性を高めることができる。
【0177】
前述したように、ダイレータシャフト36は、シース本体40とダイレータシャフト36との間に導管または流路を形成して針本体32の斜端54が血管を適切に穿刺した後に医師またはヘルスケア提供者が血液を見ることができるようにするために、稜部76間に形成される1つ以上のチャンネル156を有してもよく、あるいは、チャンネルは、稜部を伴わずに、様々な想定し得る形態の軸方向の窪みを押し出すことによってあるいはダイレータシャフトまたは本体内に完全に囲繞されたチャンネルを形成することによって形成されてもよい。
【0178】
図14Aは、図8Cに描かれる稜部76の他の実施形態の平面図である。図14Bは、図8Dに描かれる稜部76の他の実施形態の拡大断面図である。図14Aおよび図14Bは、シース本体40Cとダイレータシャフト36Cとの間に少なくとも1つのチャンネル156Cを形成するシース本体40Cの内面158C上の2つの稜部76Cを描いている。
【0179】
図15Aは、図8Cに描かれる稜部76の他の実施形態の平面図である。図15Bは、図8Dに描かれる稜部76の他の実施形態の拡大断面図である。図15Aおよび図15Bは、シース本体40Dとダイレータシャフト36Dとの間にチャンネル156Dを形成するために組み合わさるシース本体40Dの内面158D上の2つの稜部76Dとダイレータシャフト36Dの外面160D上の2つの稜部76Eとを描いている。例えば、所望のチャンネル厚さが約0.001インチである場合には、シース本体40Dの内面158D上の2つの稜部76Dがそれぞれ約0.0005インチの厚さとなることができるとともに、ダイレータシャフト36Dの外面160D上の2つの稜部76Eがそれぞれ約0.0005インチの厚さとなることができる。
【0180】
図16Aは、図8Cに描かれる稜部76の他の実施形態の平面図である。図16Bは、図8Dに描かれる稜部76の他の実施形態の拡大断面図である。図16Aおよび図16Bは、ダイレータシャフト36Eの外面160E上の多くの稜部を描いている。隣り合う稜部間はキー溝76Fである。キー溝76Fは、シース本体40Eとダイレータシャフト36Eとの間に複数のチャンネル156Eを形成する。チャンネル156Eのうちの1つ以上は、同じ角度範囲Φまたは異なる角度範囲Φを有することができる。図示の実施形態では、チャンネル156Eが120°および23°の角度範囲を有する。他の実施形態では、単一の稜部76がダイレータの外面の周囲にその長さに沿って螺旋形を成すことができる。
【0181】
図17は、アクセス装置の他の実施形態の拡大断面図であり、異なる形状を有する医療物品またはシース本体40Fとダイレータシャフト36Fとの間に形成されるチャンネル156Fを示している。図示の実施形態では、ダイレータシャフト36Fの外面が楕円形状を有し、一方、シース本体40Fの内面が円形状を有する。楕円形のダイレータシャフト36Fおよび隣接する円形のシース本体40Fは、シース本体40Fとダイレータシャフト36Fとの間に1つ以上のチャンネルまたは隙間156Fを形成する。無論、シース本体40Fおよびダイレータシャフト36Fの形状は、円形および楕円に限定されず、シース本体40Fおよびダイレータシャフト36Fの隣り合う領域に異なる形状の任意の他の組み合わせを含んでもよい。幾つかの形態では、ダイレータシャフト36Fの外面が楕円形であり、シース本体または医療物品40Fの内面が円形である。幾つかの形態では、ダイレータシャフト36Fの外面が円形であり、医療物品40Fの内面が正方形である。隙間またはチャンネル156Fは、長手方向軸を辿ることができ、長手方向軸に沿って螺旋経路を辿ることができ、長手方向軸に沿って直線経路を辿ることができ、あるいは、アクセス装置に沿って他の経路を辿ることができる。幾つかの形態では、直線経路が長手方向軸と平行である。隙間またはチャンネル156Fの厚さは、隙間またはチャンネル156Fの長さの少なくとも一部に沿って変化し得る。
【0182】
他の形態において、アクセス装置は、針のシャフトとダイレータのシャフトとの間に画定される血液フラッシュバック空間を含む。この形態において、フラッシュバック空間は、大気へと通気することが好ましく、シースとは無関係に通気することが更に好ましい。特に、後述するように、通気通路は、ダイレータを貫通して形成され、針を貫通して形成され、あるいは、ダイレータと針との間に形成される。
【0183】
図18A−18Eは、通気チャンネルが針とダイレータとの間に形成されるアクセス装置のこの形態の実施形態を示す。図18A−18Cに最も良く見られるように、針本体32Gは、1つ以上の開窓56(例えば、図12A−16Aに描かれる開窓のうちのいずれかのような開窓)と、1つ以上の随意的な稜部176(例えば、図示の実施形態には2つの稜部176が示されている)とを含む。稜部176は、針本体32Gの長さに沿って延びる少なくとも1つのチャンネル256の側面を形成する。幾つかの実施形態では、更なる稜部によって更なるチャンネル256を形成することができる。他の実施形態では、突出する稜部を用いて、あるいは、突出する稜部を用いることなく、例えば窪みを用いてあるいは同心隙間を用いて、チャンネル256を形成することができる。同様に、チャンネル256は、(針本体32Gの特徴形態の代わりにあるいは該特徴形態に加えて)突出するあるいは突出しない稜部を用いてダイレータシャフト36Gの内面上に形成することができる。チャンネル256は直線として描かれているが、チャンネルは、アクセス装置の周囲に巻回する螺旋または他の形状などの他のパターンを形成することもできる。また、複数のチャンネルが存在する場合には、それらのチャンネルは、交差する螺旋、平行な螺旋、または、他のパターンを形成することができる。他の実施形態において、針本体32Gとダイレータシャフト36Gとの間の距離(例えば、ダイレータシャフトの内径が針本体の外径を上回る場合)は、一般に、チャンネル256により形成される空間と同様の空間または略環状空間を画定することができる。
【0184】
図18Dに最も良く見られるように、針ハブ34Gは1つ以上の通気溝175を含むことができる。図示のように、通気溝175はルアー接続部65にあるが、他の実施形態において、通気溝は、針本体32Gに位置させることができ、ダイレータシャフト36Gに位置させることができ、針ハブ34Gを貫通することができ、ダイレータハブ38Gを貫通することができ、あるいは、何らかの他の経路をとることができる。通気溝175は、チャンネル256(または、同様の空間)と周囲の大気との間に連通をもたらすことができる。ルアー接続部64は、ダイレータハブ38Gと協働して略液密なシールを形成するように構成することができ、それにより、物質は通気溝175を通じてのみ逃げることができる。通気溝175が径方向に延びない実施形態では、針ハブ34Gの略径方向に延びる側面180をダイレータハブ38Gの対応する面200から十分に離れて位置するように構成することができ、それにより、これらの面間を空気が通気溝175から通ることができる。
【0185】
幾つかの実施形態において、通気溝175は、高い分子サイズ、粘性、または、表面張力を有する体液(例えば、赤血球)の周囲大気への逃げを妨げつつガス(例えば、空気)が周囲大気へと逃げることができるように、断面積が十分に小さい通路を形成することができる。また、幾つかの実施形態では、複数のそのような通路を設けることができ、それにより、小断面の通路であるにもかかわらず、適切な通気を行なうことができる。
【0186】
他の実施形態では、ダイレータハブ38Gおよび針ハブ34Gの2つの対向する表面間に小断面積の通路を設けることができる。例えば、針ハブ34Gの通気溝175の少なくとも一部は、通気溝を完全に閉塞することなくダイレータハブ38Gのほぼ対応した形状を成す通気面を受けるように構成することができる。したがって、針ハブ34Gの表面とダイレータハブ38Gとの間に結果として生じる通路は、空気の流れを許容するが体液の流れを制限する比較的小さい断面積の領域を少なくとも画定する。
【0187】
図示の実施形態では、通気構造が溝175として描かれているが、他の構造が同様の機能を果たすことができる。例えば、針本体32Gとダイレータ本体34Gとの間の単一の小さい空間場所は、血液が小さい空間場所を越えて基端側へ流れるのを抑制しつつ空気の逃げを許容できる。同様に、周囲大気とフラッシュバック空間(針とダイレータとの間の空間)との間に迷路通路を配置することができる。
【0188】
他の実施形態では、通気溝175のうちの1つ以上を少なくとも部分的に多孔質材料により満たすことができ、この多孔質材料は、該材料を通じてガスが流れることを許容するが、体液(例えば、血液)の通過を抑制する。そのような材料は、針ハブ34Gまたはダイレータハブ38Gへとなるように、該材料と前記ハブとが一体を成すべく一体形成することができる。該材料は、通気溝175の任意の部分を構成することができる。他の実施形態では、多孔質材料を通気溝175内へあるいは溝と連通するレセプタクル内へ配置することができる。多孔質材料が溝175内へ配置されると、溝は、多孔質材料を受けるように構成される溝切り欠き185などの受け部を含むことができる。他の実施形態では、通気通路のうちの1つ以上を全体的にそのような多孔質材料により形成することができる。適した多孔質材料としては、孔径が約2.5ミクロンのHDPE、UHMWPE、PP、PTFE、PVDF、EVA、PE、ナイロン、および、PUなどの多孔質ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。更なる実施形態では、細孔容積と孔径との組み合わせを、ガス(空気など)の通過を許容するが体液(血液など)の通過を抑制するように選択できる。
【0189】
更なる実施形態では、通気通路が、針ハブ34Gまたはダイレータハブ38Gのいずれかのみによって画定されるチューブであってもよい。例えば、チャンネル256が針ハブ34Gの開口に通じることができる。この開口は、ガスおよび流体の通過を制御するために前述した特徴のうちのいずれかを含むことができる。したがって、開口は、体液(例えば血液)の通過を抑制しつつ針ハブ34Gを通じた周囲大気へのガス(例えば空気)の逃げを許容できる。他の実施形態では、同様の通気通路が、ダイレータハブ38Gだけによって画定されるチューブであってもよい。本明細書中の開示から明らかなように、様々な通路(例えば、通気溝175、チューブ、多孔質材料など)を使用して、体液(例えば血液)の通過を抑制しつつ周囲大気へのガス(例えば空気)の逃げを許容できる。
【0190】
他の実施形態では、通気通路がダイレータシャフト36G内およびシース本体40内であってもよい。例えば、通気穴または通気材料のパッチをダイレータシャフト36Gおよびシース本体40のそれぞれに設けることができる。幾つかの実施形態では、これらの通気構造が重なり合うことができ、それにより、ガスが一方から他方へと直接に通過できる。他の実施形態では、これらの通気構造を互いからある距離を隔てて位置させることができ、その場合、図18Dと同様のチャンネルまたは溝をダイレータシャフト36Gとシース本体40との間に設けて、通気構造同士を連通させることができる。これらの通気構造は、針本体32Gの開窓56よりも基端側に設けることができる。
【0191】
図示のように、この実施形態のダイレータシャフト36Gは、開窓を有することができず、ほぼ連続し得る。したがって、ダイレータシャフト36Gはチャンネル256(または同様の空間)を径方向で閉じることができる。同様の実施形態では、開窓56を含むそれ以外ではほぼ連続する針32Gと協働するダイレータシャフト36Gの稜部を用いて同じ機能を果たすことができる。ダイレータシャフト36Gは、全体を半透明材料から形成することができ、あるいは、少なくともチャンネル256に隣接する領域を半透明にすることができる。同様にシース本体40を半透明材料から形成することができる。他の実施形態では、材料を単なる半透明ではなく透明にすることができる。更なる実施形態では、材料を一部だけ空間的および時間的の両方で半透明にすることができる。空間的には、ダイレータシャフト36Gおよび/またはシース本体40の材料をチャンネル256の近傍で半透明にすることができ、それにより、例えば血液フラッシュバックの視覚的な確認が可能となる。時間的には、体液の流入時に(例えば、温度変化または分子間相互作用に起因して)材料の視覚的特徴が変化し得る。したがって、材料は、体液の流入時に半透明になることができ、あるいは、他の実施形態では色を変えることができ、あるいは、何らかの他の視覚表示を与えることができる。
【0192】
また、図18A−18Eに描かれるアクセス装置は、前述したように界面活性剤および/または滑らかなコーティングを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、界面活性剤をダイレータシャフト36Gの内面、針32Gの外面、および/または、針の内面に塗布することができる。界面活性剤は、所望の効果に応じて、これらの表面の任意の組み合わせに塗布することができる。例えば、界面活性剤は、針の外面にだけ、ダイレータの内面にだけ、あるいは、針の内面にだけ塗布することができる。他の例として、界面活性剤は、これらの表面の組み合わせに対して、例えばダイレータの内面および針の外面の両方に対して塗布することができる。界面活性剤は、アクセス装置内の空間を通じた体液の通過を容易にし、それにより、フラッシュバックを加速させることができる。他の例として、幾つかの実施形態では、同様のチャンネルをダイレータシャフトとシース本体との間に設けることができるとともに、界面活性剤をシースの内面およびダイレータの外面に供給することができる。更にまた、幾つかの実施形態では、チャンネルをダイレータと針との間およびダイレータとシースとの間の両方に設けることができ、その場合、本明細書中で説明したように、チャンネルはダイレータの開窓を介して連通する。また、前述したように、シースの外面に界面活性剤、滑らかな材料等をコーティングすることができる。
【0193】
他の実施形態において、チャンネル156は、シースの内面の1つの完備した稜部とダイレータの外面の1つの完備した稜部とを有することによって形成することができる。他の実施形態において、シースの内面は、チャンネル156の長さの50%にわたって延びる2つの稜部を有することができ、また、ダイレータの外面は、チャンネル156の残りの50%にわたって延びる2つの稜部を有することができる。
【0194】
更なる他の実施形態では、図19A,19Bに最も良く示されるように、ダイレータハブ438と針ハブ434との間の挿入体451によって少なくとも部分的に通気を行なうことができる。幾つかの実施形態において、挿入体451などの更なる部品は、さもなければ不可能なあるいは経済的でない場合がある特定の望ましい寸法、材料、および、他の設計上の特徴を与えることを容易にし得る。例えば、図18A−18Eに関して前述した実施形態では、ダイレータシャフト436の中間部が(例えば他の実施形態に関して説明したような)針開窓の近傍の針本体432の外径よりもかなり大きい内径を有することが望ましい場合がある。この直径の違いは、体液がこれらの2つの間(例えばチャンネル256内)を開窓から流れることができるようにする空間を形成できる。しかしながら、更に後述するように、幾つかの実施形態では、ダイレータの先端近傍でダイレータシャフト436に更に小さい内径を与えることが望ましい場合もある。更なる実施形態(例えば前述した実施形態)では、ガスの通気を依然として許容しつつ血液などの体液の基端側への流れを抑制するために、より小さい直径も有するダイレータ424の基端部を設けることが望ましい場合がある。前述したように、この通気は、空間、腔、または、チャンネル内への体液の引き込みを容易にし得る。しかしながら、小さい内径をその基端および先端に有しかつ大きい内径を中間部に有するダイレータ424を製造することが難しい場合がある。
【0195】
図19A−19Cに描かれる実施形態は、挿入体451の助けにより通気を行なう。挿入体451は、ダイレータハブ438の基端開口460内に配置することができる。基端開口460は、先の同様の実施形態で説明したように、針ハブ434の先端側に突出する部分461(例えば、針ハブとダイレータハブとの間でルアー接続具を形成する部分)も受けるように構成することができる。幾つかの実施形態では、挿入体451をダイレータハブ434に圧入することができ、一方、他の実施形態では、(ダイレータ424との組み合わせ前に)挿入体を針本体432の方へと緩くスライドさせることができる。
【0196】
図19Cに最も良く描かれるように、挿入体451は、針422(または、本明細書中に記載される他の針)をスライド可能に受けることができる貫通穴452を例えば針本体432に沿って形成する。また、図示のように、挿入体451は、略円形またはドーナッツ形状であってもよく、それにより、ダイレータハブ438内でのその回転方向の位置に自由度をもたせることができる。しかしながら、他の実施形態では、ダイレータハブ438内において挿入体451を回転方向で固定することができる。すなわち、この場合には、非円形の挿入体と、ダイレータハブ438の対応する非円形受け部とを伴う。
【0197】
更にまた、挿入体451は、体液の解放を抑制しつつガスの解放を容易にするために特定の寸法を有することができる。例えば、挿入体の貫通穴452の直径を針本体432の外径よりも僅かだけ大きくし、それにより、ガスの解放を許容するが体液の解放を抑制する空間を形成することができる。図19A,19Bに最も良く示されるように、ガスは、その後、ダイレータハブ438の受け部内で針ハブ434と挿入体451との間の空間に入ることができ、それから、針ハブ434とダイレータハブ438との間に形成される通路462内を周囲大気へ向けて進むことができる。特に、幾つかの実施形態では、ガスの通過を防止してもよいルアー接続部を介して針ハブ434とダイレータハブ438とが接続できるが、更なる機構が2つのハブを取り付けることもできる。例えば、図示の実施形態では、針ハブ434は、ダイレータの張出部471に解放可能に掛止できるフック部470を含むことができる。他の実施形態では、ラッチ要素66および開口82(先の実施形態で説明した)が2つのハブを取り付けることもできる。したがって、さもなければ2つのハブ間にルアー接続を形成し得る構成要素を、ハブ間の接続を損なうことなくガスの逃げを許容できるように十分に離間させることもできる。
【0198】
また、挿入体451の外縁は、体液が流通して逃げるのを少なくとも抑制するシールをダイレータハブとの間に形成するためにダイレータハブ438の受け部とほぼ適合するように形成することができる。幾つかの実施形態では、ダイレータハブ438内のテーパ(前述したように、針とのルアー接続のためにも使用される)が、挿入体451とダイレータハブとの間のシールを促進できる。幾つかの実施形態では、挿入体451の外縁とダイレータハブ438の受け部460との間のシールがガスを透過させなくすることもでき、それにより、前述したようにガスが強制的に貫通穴452に通される。
【0199】
組み付け中、挿入体451がダイレータハブ438に挿入されるときに、挿入体が時として受け部から僅かに角度がずれて入る可能性があり、それにより、挿入体が僅かに食い違って固着される可能性がある。部品のサイズおよび受け部460の深さに起因して、挿入体451が食い違うときを検出することが困難な場合がある。したがって、挿入体451をそのような角度ずれ挿入に関して許容範囲を与えるように構成することができる。例えば、図示のように、貫通穴452は基端側テーパ部453を含むことができる。基端側テーパ部453は、針本体432と挿入体451との間で通気空間を保つのに役立つことができ、この通気空間により、ガスは逃げることができるが、体液の逃げを抑制できる。
【0200】
また、挿入体451は、図19Bに示されるような特定の関連性を有することができる稜部455として描かれる基端側突出部をその基端面に沿って含むこともできる。挿入体451が食い違う場合、挿入体は、図19Bに描かれるように、ダイレータハブ438に完全に入らない場合がある。この場合、挿入体451は針ハブ434と接触し得る。それにより、針ハブ434と挿入体451との間のそのような接触が場合によりシールを形成する可能性があり、そのため、挿入体の貫通穴452を通じたガスの逃げが妨げられる。したがって、幾つかの実施形態では、挿入体が溝456を伴う稜部455を含むこともできる。針ハブ434は、挿入体451の基端の残りと接触する前に稜部455と接触でき、そのため、これらの間で空間が保たれる。また、稜部455は、ハブ434,438間の通路462へ向けてガスが通過するための開口を稜部455に与える1つ以上の溝456を含むことができる。図示の実施形態では、ガスが複数の方向で有利に通過できるようにするために複数の溝を設けることができる。したがって、挿入体451と針ハブ434との間のシール接触が一方側に形成される場合、ガスは他方側で依然として逃げることができる。
【0201】
他の実施形態では、挿入体451の基端側突出部が他の形状を成すことができる。例えば、幾つかの実施形態において、挿入体451は、針ハブ434からの離間を維持するための1つ以上の別個の突出部を有することができる。更なる実施形態において、挿入体454は、針ハブ434との接触にもかかわらずガスの逃げを許容する1つ以上の溝を含むことができる。更にまた、幾つかの実施形態では、挿入体の構造に代えてあるいは挿入体の構造に加えて、同様の構造を針ハブに設けることができる。
【0202】
図20A−20Eは、アクセス装置20の流体フラッシュバック機能を高めるための更なる要素を含むダイレータ24Hの他の実施形態を描いている。1つの更なる要素は、針(例えば、先の図1−7に示される実施形態に関連して説明した針22)と相互に作用する少なくとも1つのワイパまたはシールを含み、針の周囲には、針外面(例えば、図8Dの針外面154)とダイレータ内面(例えば、図8Dのダイレータ内面152)との間に生じる空間を通じた流体取り込みを抑制するようにダイレータ24Hが同軸に配置される。シール機能は、図19A−19Cに描かれる他の要素と共にあるいはそれらの要素とは別個に、アクセス装置20の前述した実施形態のいずれかに組み込むことができる。例えば、シール機能は、より小さい内径を有することができるとともに、図19A−19Cに描かれるダイレータハブ438と関連付けられるダイレータ本体上に存在し得る。図示の実施形態は、単一のシールに関連してこの更なる要素について説明するが、ダイレータは、ダイレータの長さに沿って位置される複数のシールを含むことができる。そのようなシールは、ダイレータの開窓および/または針の開窓の基端側に対して連続して位置させることができる。幾つかの実施形態では、更なるシールをそのような開窓の先端側に位置させることもできるが、図示の実施形態では、ダイレータおよび針の両方の開窓の基端側にシールが描かれている。
【0203】
図20Bおよび図20Cを参照すると、ダイレータ24Hは、ダイレータ24Hの開窓74Hよりも僅かに基端側に位置するシール部250を含む。シール部250は、ダイレータ24Hの内部に狭い領域を形成する内側突出部として描かれる。このシール部250において、ダイレータ24Hは、ダイレータ24Hと針との間の空間をそれぞれがシールの一方側に位置する基端部分と先端部分とに分離するために針(図示せず)と共にシールを形成することができる。1つの起こり得る結果は、流体が針孔からダイレータ24Hとシース(先の図1−7に示される実施形態に関連して説明したシース26)との間の空間へと押し進められるようになっている実施形態では、体液がシール部250を越えて基端側へ流れるのが抑制されるため、ダイレータ24Hと針との間の基端側空間への流体漏れが減少されるという結果である。また、幾つかの実施形態において、シール部250は、針がダイレータ24H内に引き込まれるときに針の先端部の表面から流体(例えば血液)を除去するワイパとしての機能を果たすことができる。
【0204】
シール部250は、三角形(その一例が図20Cに示される)、円形、または、長方形を含む様々な断面形状をとることができる。図20Cに描かれる例示的な実施形態において、シール部250は、好ましくは基端方向で内側に傾斜するテーパ面252によってその一部が形成される略三角形の断面形状を有する。テーパ面252は、シール部250の張出部251と交わる。張出部251はダイレータ24Hの長手方向軸に対して略垂直に位置するが、他の実施形態では、張出部251は、テーパ面252と張出部251との間に形成される角度が鋭角、直角、または、鈍角となり得るように長手方向軸に対して様々な角度で位置することができる。シール部250のテーパ面252は、ダイレータ24Hを通じた針の基端方向の移動を補助することができ有益である。張出部251は、針が通過しているときにシール部250が基端側に撓むことができるようにする。シール部250の内側突出部の寸法は、開窓のポイントにおける針の外面とダイレータの内面との間の直径の差の半分よりも著しく小さくなく、前記直径の差の半分よりも大きいことが更に好ましい。
【0205】
図20Bに更に描かれるように、幾つかの実施形態において、ダイレータ24Hは、シール部250よりも基端側のテーパ262が形成された拡張部260を含むことができる。拡張部260は、ダイレータ24Hと針(あるいは、関連する他の物品)との間の接触および摩擦を減らすことができる。シール部250が体液の基端側への通過を抑制すると、拡張部260内の基端側空間は、シール部250により形成されるシールを横切って体液を全くとまではいかなくても殆ど受けない。また、幾つかの実施形態において、ダイレータ24Hを通過する針または他の物品は、テーパと係合して物品の更なる前進を抑制するために軸方向外側に延びるストッパ部を含むことができる。したがって、拡張部260およびその一致するテーパは、ダイレータ24Hと対応する針または他の物品との間の軸方向移動に対する制限を規定できる。
【0206】
針がダイレータ内に引き込まれてそこでロックされると、針の先端は、幾つかの実施形態ではシール部250の基端側に位置することができ、また、他の実施形態ではシール部250の先端側に位置することができる。いずれの位置においても、シールの基端側において流体が存在しないあるいは減少することにより、ダイレータが患者の身体から引き抜かれた際にダイレータハブを通じて流れる体液の量が少なくなる。
【0207】
シール部250は、当業者に容易に知られる多種多様な方法のうちのいずれかでダイレータに形成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ダイレータが押し出し成形された後のダイレータチッピングプロセス中にシール部250を形成することができる。内側マンドレルには、シール部250の逆像を成す環状溝をカットすることができる。その後、マンドレルがダイレータ内に配置される。ダイレータの先端の材料がチッピングプロセス中に加熱されてその後に所望の外形状へと押圧されると、該材料は、シール部250を形成するためにマンドレルの環状溝に押し込まれる。十分な冷却後、ダイレータを引き抜くことができる。
【0208】
他の実施形態では、シール部が様々な形状を成すことができる。例えば、針は、図20A−20Cに描かれる実施形態の拡張部260の拡大された内径と同様の拡大された外径をその開窓の基端側に形成する拡張外側部を有することができる。したがって、針は、先端部に小さい外径を有するとともに、先端部に大きい外径を有することができる。拡径部は、前述したシール部と同様のシール部を形成するために、ダイレータの内面と係合するあるいは当接する(例えば、テーパ262と当接する)ことができる。幾つかの実施形態において、シール部を形成する針とダイレータとの間の接触は、ダイレータ24Hのテーパ262などの適合テーパと針の同様の外側テーパとの間に形成され得る。他の実施形態において、針とダイレータとの間の接触は、針およびダイレータの長手方向軸と略平行な表面などの他の表面上でなすことができる。
【0209】
図20A,20Bに更に示されるように、ダイレータ24Hは、開窓74Hよりも先端側の部分に内径d1を有することができる。また、図21Bに示される(更に後述する)ように、針(例えば針22J、または、針22などの他の針)は外径d2を有することができる。幾つかの実施形態では、d1をd2よりも小さくすることができ、これは多くの利点を与えることができる。例えば、針上に対するダイレータ24Hの締まり嵌めは、ダイレータ24Hを径方向荷重下または周方向荷重下に置くことができる。この荷重は、ダイレータ24Hの強度を軸方向で高めることができる。強度の増大は、ダイレータを組織(例えば、皮膚、筋肉、および/または、血管壁)に貫通して挿入する際にダイレータの先端の材料の口広がり、圧縮、または、座屈を減少させるようになる。例えば、針およびダイレータ24Hが皮膚を通過する(皮膚切開の使用を伴わない)と、ダイレータは、さもなければダイレータの先端を変形させる場合がある軸力に耐えることができる。幾つかの実施形態では、これにより、ダイレータが結束し、折れ曲がり、巻き重なる可能性があり、その結果、前記結束部分または折れ曲がり部分でダイレータの断面積が増大し、ダイレータとしてのその機能が妨げられる。すなわち、変形されたダイレータは、患者内へ挿入することが非常に困難になる。小さい内径d1を有するダイレータがダイレータの強度を高めることができれば、そのような変形の発生が抑制される。
【0210】
幾つかの実施形態では、ダイレータ24Hの内径d1を該ダイレータが装着される針の外径d2よりも約15%以下だけ小さくすることができる。すなわち、針の外径d2をダイレータ24Hの内径d1よりも約15%大きくすることができる。より好ましい実施形態では、ダイレータ24Hの内径d1が外径d2よりも約10%以下だけ小さい。更に好ましい実施形態では、内径d1が外径d2よりも外径d2の約2%〜5%だけ小さい。特に好ましい実施形態では、ダイレータ24Hの内径d1を該ダイレータが装着される針の外径d2の約97%にすることができる。
【0211】
また、図20Bに描かれるように、より滑らかな拡張をもたらすとともに、ダイレータの先端が患者の身体内への進入時に変形しないようにするために、ダイレータの先端を傾斜させることができる。図示のように、先端は、角度φを成すテーパまたは斜面を両側に有することができる(なお、図示の角度φの対角はφに等しく、したがって、本明細書では、これらの角度が同じであるとして扱われる)。斜端は、組織(例えば、皮膚)通過時にダイレータ24Hに作用する軸力を減らすことができる。幾つかの実施形態では、角度φを約30°にすることができる。他の実施形態では、角度φを約40〜20°にすることができる。この最初の斜面の後において、ダイレータの先端は、図20Dに描かれるように、更に浅い角度で先細ることができる。例えば、幾つかの実施形態において、ダイレータは、その後に、約3°で、あるいは、約3°未満の角度で先細ることができる。
【0212】
また、図20Eに描かれるように、ダイレータ24Hは、開窓74Hが貫通する稜部または突出部264を含むことができる。したがって、稜部264は、ダイレータ上に重なるシースを離間させることができ、それにより、ダイレータ24Hと前記シースとの間の空間内への開窓74Hを通じた任意の流れが促進される。また、図示のように、稜部264を開窓74Hよりも一般に細くすることができる。したがって、稜部264は、流体が稜部の周囲で流れるための空間も残しつつ、シースと接触してシースを離間させることができる。図示のように、稜部264を基端−先端軸方向にほぼ向けることができる。しかしながら、他の実施形態では、稜部264を周方向または別の方向にむけることができる。
【0213】
図21Aおよび図21Bは、針22などの本明細書中に記載される他の針の態様と同様な態様で使用され得る針22Jの更なる実施形態を描いている。針22Jは、音波発生部270を先端に備えることができる。音波発生部は、撮像で使用される波を散乱させる材料を備えることができ、それにより、超音波の下で針の視覚化が容易になる。X線または蛍光の下で視覚化を容易にする放射線不透過部を有する針を使用するなど、他の撮像技術を使用することもできる。エコー輝度は、音波発生部270をサンドブラストで仕上げて表面を粗くすることによって高めることができる。サンドブラスティング後に先端を鋭利にして、針の先端が音波を発生できるようにすることができる。また、エコー輝度は、針自体の内部材料を改質することによって、例えば、粒状不純物を加えることによって高めることもできる。しかしながら、ある場合には、内部材料の改質が針の構造的完全性を受け入れ難いほど損なう場合もある。エコー輝度または同様の撮像適合性により、術者は、超音波などの走査技術を使用して身体内の針の先端を容易に見ることができ有益である。
【0214】
幾つかの実施形態において、音波発生部270を有する針は、開窓56,74、溝75、および/または、界面活性剤を更に欠くことができる。また、音波発生部270を伴う幾つかの実施形態において、アクセス装置はフラッシュバック空間またはフラッシュチャンバを欠くことができる。
【0215】
他の実施形態において、針22Jは、(前述した他の随意的な特徴に加えて)音波発生部270および開窓56の両方を有することができる。また、他の実施形態では、針22Jがコントラスト部280を含むことができる。コントラスト部280は、コントラスト部を取り囲む流体の視認性を高める光学特性を有することができる。例えば、前述したように、幾つかの実施形態では、体液が開窓56を通じてフラッシュバック空間内へ流れ込むことができる。このとき、コントラスト部280をフラッシュバック空間にほぼ隣接して位置させることができ、また、コントラスト部280は、体液に対してコントラストを成す光学特性を有することができる。したがって、フラッシュバック空間内への体液の流入を即座に視認できる。
【0216】
例えば、フラッシュバック空間内に入る流体が血液などの体液である実施形態では、コントラスト部280が、白、緑、青など、血液の色に対してコントラストを成す色を有することができる。更なる実施形態において、例えば反射仕上げあるいはつや消し仕上げの間で選択することにより他の光学特性を変えることができる。他の実施形態において、コントラスト部280は、縞状、格子状、点状を成すことができ、あるいは、光学特性が変化する何らかの他のパターンを有することができる。例えば、コントラスト部280は、針に沿って軸方向におよび/または周方向に向けられる黒と白のストライプを有することができる。異なる光学特性を有するパターンが利用される場合には、コントラスト部280の1つの領域から区別できるが他の領域から区別できない異なる流体に対してコントラスト部280を更に包括的なものにすることができる。
【0217】
様々な光学特性を様々な方法で適用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、コントラスト部280を特定の色、仕上がり、パターン等を有するように塗布することができる。他の実施形態では、コントラスト部280の反射特性をもたらすように針の一部を研磨しあるいは粗面化することができる。更なる他の実施形態では、異なる光学特性を生み出すために、コントラスト部280を異なる材料から形成することができ、あるいは、コントラスト部280の表面に異なる材料を適用することができる。更にまた、幾つかの実施形態では、コントラスト部280を前述した音波発生部270の場合のように音波を発生できるようにすることができる。
【0218】
図21Aに描かれるように、コントラスト部280は、開窓56の直ぐ基端側に位置させることができるとともに、針22Jの全長よりも短い長さにわたって延びることができる。この位置は、一般に、開窓56の直ぐ基端側にあってもよいフラッシュバック空間の始まりに対応し得る。しかしながら、他の実施形態では、フラッシュバック空間およびコントラスト部280のいずれか一方または両方の位置が変化し得る。例えば、幾つかの実施形態において、コントラスト部280は、開窓56を跨って延びることができ、あるいは、開窓からある距離だけオフセットすることができる。更なる実施形態において、コントラスト部280は、針ハブまで延びることができ、あるいは、針本体の全体にわたることができる。図示のように、コントラスト部280は、針全体にわたって周方向に広がることができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、コントラスト部280を、針本体の角度が小さい部分、例えば開窓56の角度範囲に対応する角度範囲を有する角度部分のみに沿って位置させることができる。
【0219】
フラッシュバック空間がダイレータとシースとの間に生じる実施形態において(前述したように)、ダイレータは、コントラスト部280をアクセス装置の外側から見ることができるように、クリアな、半透明な、透明な、または、半不透明な対応する部分を有することができる。この場合、体液などの流体がフラッシュバック空間に入ると、観察者は、コントラスト部280および体液の両方を見ることができる。これは、体液がフラッシュバック空間に入ってコントラスト部280を遮るからである。この場合、流体とコントラスト部280との間の光学特性のコントラストは、流体の流入の視覚的検出を容易にし得る。
【0220】
また、フラッシュバック空間がダイレータとシースとの間に生じるそのような実施形態において、フラッシュバックは、針本体とダイレータ本体との間の空間からの空気の流れを封じ込めるあるいは制限することによって促進させるあるいは加速させることができる。好ましい実施形態において、ダイレータとシースとの間での流体漏れ(例えば、空気の放出)は、ワッシャなどのシール部品を針とダイレータハブとの間に配置することによって減らすことができる。ワッシャは、ダイレータと針との間のそれらの当接するハブで生じ得る任意の流体流れを減少させる。したがって、針とダイレータとの間の空間内への体液(例えば、血液)の流れを抑制する閉じ込められた気柱が、ダイレータと針との間に生じ得る。このようにすると、体液の流れを例えばダイレータの開窓74Hおよびダイレータとシースとの間の空間へとそらすことができる。幾つかの実施形態では、ワッシャがシリコンなどの弾性材料であってもよい。ワッシャは、針に装着できるとともに、平坦なあるいはOリングのような形状を有することができる。
【0221】
この概念を他の実施形態に適用することもできる。例えば、幾つかの実施形態では、フラッシュバック空間を針とダイレータとの間に設けることができる。前述したダイレータとシースとの間のように、針の開窓56を通じて血液または他の流体を受けることができるチャンネルを針とダイレータとの間に形成することができる。そのようなフラッシュバック空間の一例は、参照することによりその全体が本願に組み入れられる2009年3月13日に出願された出願PCT/US2009/037204号の図18B−18Dおよび添付の文書に記載されている。
【0222】
したがって、幾つかの実施形態において、事前に組み付けられたアクセス装置には、随意的に、ガイドワイヤ、ダイレータ、シース、および、関連するハブと共に、開窓を何ら含まずかつ音波を発生できる(しかし、そうである必要はない)針22J(図21A,21Bに描かれている)を設けることができる。また、事前に組み付けられたアクセス装置を事前組み付け状態でパッケージ内に挿入することができる。術者は、アクセス装置を患者内に挿入することができるとともに、超音波、X線、または、何らかの他の撮像技術により体外から見て、針が目標の身体空間に入ると、針の前進を停止させることができる。その後、事前に組み込まれたガイドワイヤが身体空間内へ向けて針を挿通できる。ダイレータを身体空間内へ向けて針上にわたって押し進めることができる。他の実施形態に関して前述したように、針を患者から引き出すことができ、また、シースをダイレータ上にわたって挿入するために更なる措置を講じることができる。
【0223】
幾つかの実施形態において、アクセス装置は、改良されたトラック30Kおよびガイドワイヤハブ46Kを含むこともできる。図示のように、トラック30Kおよびガイドワイヤハブ46Kは、前述したトラックおよびハブとほぼ同様となることができ、同様の態様で動作させることができるとともに、本明細書中で説明した針、ダイレータ、および、シースなどの他の要素と共に同様に使用することができる。例えば、トラック30Kは、一般に、前述した第3の位置125と何らかの類似性を伴う第3の位置125Kを規定できる。図示のように、第3の位置125Kは、ガイドワイヤハブ46Kなどのガイドワイヤハブと対応する部分で係合し得る解放可能な結合機構130Kを含むことができる。結合機構130Kは、トラック30Kから延びるT形状突出部から形成される結合部分290を含むことができる。T形状突出部は、その基部の両側に、結合部分290の先端へとほぼ向けて2つのラッチ凹部を更に含むことができる。
【0224】
対応するガイドワイヤハブ46Kは、結合部分290に解放可能に接続するために結合部分290と対応する構造を有することができる。図示のように、ガイドワイヤハブ46Kは、凹部の形態を成すことができる受け部分296を含むことができる。凹部は、図23Aに最も良く描かれるように、結合部分290と適合するためのT形状断面を基端に有することができる。また、受け部分296の凹部内で、受け部分は、ラッチ突起298で終端し得る2つの爪に沿って結合部分290の基部を受けることができる。ラッチ突起298は、トラック30Kとガイドワイヤハブ46Kとの間で可逆的なスナップ嵌合を形成するために結合部分290のラッチ凹部292と相互に作用することができる。幾つかの実施形態において、爪は曲げ部302(スナップ嵌合を容易にするために例えばスズめっきした材料から形成される)を含むことができる。また、受け部分296は、結合部分290のために爪間に設けられる経路と一直線を成す端凹部300を含むことができ、それにより、ラッチ凹部292とラッチ突起298とが互いに係合すると、結合部分290が端凹部300にも入ることができる。したがって、トラック30Kとハブ46Kとの接続を更に安定させることができる。
【0225】
また、トラック30Kの図示の実施形態では、トラックがグリップ突出部294を含むことができる。グリップ突出部294は、結合部分290の反対側でトラック30Kから下方へ延びることができる。図示のように、グリップ突出部294は把持稜部を伴う略円形を成すことができるが、他の構造および形状も想定し得る。グリップ突出部294は、アクセス装置の操作者がトラック30Kの基端をピストル形式の握り方で保持できるようし得るため有益である。例えば、グリップ突出部294と先端側で接触するために、薬指または中指をグリップ突出部294の周囲に位置させることができる。その後、同じ手の親指を、第3の位置125Kで結合されるガイドワイヤハブ46Kの基端に配置することができる。これにより、親指は、ハブ46Kを結合部分290から外して第3の位置125Kから離間させるために圧力を容易に加えることができる。同様のグリップ突出部を前述したトラック30などの他のトラックに適用することができる。また、同様のグリップ突出部を針などの他の要素に適用することもできる。グリップ突出部を針に適用することにより、例えば、本明細書中に記載されるように針を容易に把持してトラックに沿って移動させることができる。
【0226】
幾つかの更なる実施形態では、前述した先のシースと何らかの類似性を伴う改良されたシース26Lを前述した他の要素と組み合わせることができる。図24Aおよび図24Bに描かれるように、シース26Aを分割可能なシースにすることができる。図示のように、シースハブ42Lは、把持され得る2つ以上のつまみ320を有することができる。この場合、つまみ320を引っ張って、分割可能なシース40Lを分割線330に沿って分割することができる。図示のように、分割線330は、シースハブ42Lおよびシース本体40Lの両方にわたって延びることができる。したがって、分割線330に沿ってシース26Lを分割することにより、シースを2つの半体へと分離できる。シース26Lは、ダイレータ24などの前述した他の要素との係合をシース26と同様の態様で可能にするリップ95を有することもできる。
【0227】
シースハブ42Lは、ハブの先端へ向けて稜部325を更に含むことができる。稜部325はハブ42Lの把持を容易にし得る。また、幾つかの実施形態において、稜部325は、先端を保護するようにシース、ダイレータ、および、針の先端部を越えて延びることができるとともに稜部325に押し付くことができる管状または円筒状のカバーを受けることができる。したがって、稜部325はカバーを所定位置に保持できる。
【0228】
本明細書中に記載される実施形態は従来の生体適合性材料から成る。例えば、針は、セラミック、硬質ポリマー、または、ステンレス鋼やニチノールなどの金属から成ることが好ましい。他の要素は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素重合体および共重合体、例えばペルフルオロ(エチレン−プロピレン)共重合体、ポリウレタン重合体または共重合体などの適した高分子材料から形成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ダイレータをナイロンから形成することができる。
【0229】
前述したように、本アクセス装置は、カテーテルを患者の身体内の他の場所に配置するために使用できる。したがって、例えば、これに限定されないが、アクセス装置を様々なカテーテルとしてあるいは様々なカテーテルと共に使用して、流体を膿瘍から排出することができ、空気を気胸から排出することができ、および、腹膜腔にアクセスすることができる。そのような用途では、針が適切に配置されたときを示すために、体液が観察空間へ流れ込む。
【0230】
特定の好ましい実施形態および実施例との関連で本発明開示してきたが、当業者であれば分かるように、本発明は、具体的に開示された実施形態を超えて他の別の実施形態および/または本発明の使用および明らかな改良並びにその等価物にまで及ぶ。また、本発明の多くの変形を詳しく図示して説明してきたが、この発明の範囲内に入る他の改良がこの開示に基づき当業者に容易に明らかとなる。また、実施形態の特定の特徴および態様の様々な組み合わせあるいは部分的組み合わせがなされてもよいと考えられ、それらも依然として本発明の範囲内に入る。したがって、言うまでもなく、開示された発明の様々な形態を形成するために、開示された実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせることができあるいは互いに置き換えることができる。例えば、図18Dに描かれる針ハブの一般的な形状は、更なる方法では、図2Fに描かれる針ハブとは異なる。しかしながら、これらの一般的な針ハブ形状を図示して説明した実施形態間で置き換えることができる。したがって、本明細書中に開示される本発明の範囲は、前述した特定の開示された実施形態によって限定されるべきではなく、開示および以下の特許請求の範囲の公正な解釈のみよって決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の孔と、側開窓と、針ハブとを備える針を体腔内へ挿入するステップであって、側開窓とダイレータハブとを備えるダイレータが前記針上に軸方向に配置され、医療物品が前記ダイレータ上に軸方向に配置されるステップと、
体液を体腔から前記針の前記孔を通じて前記針の前記側開窓へと引き込むステップと、
体液を前記針の前記側開窓と前記ダイレータの前記側開窓とを通じて前記ダイレータと前記医療物品との間の空間内へ引き込むステップと、
前記針ハブと前記ダイレータハブとの間で体液の基端側への移動を抑制するステップと、
を備える、体腔にアクセスする方法。
【請求項2】
前記医療物品を通じて前記空間内の体液の存在を観察するステップを更に備える請求項1の方法。
【請求項3】
抑制する前記ステップは、前記ダイレータハブよりも基端側の前記針と前記ダイレータとの間の空間をシールすることを含む請求項1の方法。
【請求項4】
前記針の先端が前記ダイレータよりも先端にある第1の位置から前記針の先端が前記ダイレータ内にある第2の位置へと前記針を前記ダイレータに対して基端側に移動させるステップを更に備える請求項1の方法。
【請求項5】
前記第2の位置で前記針を前記ダイレータに対してロックするステップを更に備える請求項1の方法。
【請求項6】
移動させる前記ステップは、前記針をトラックに沿って移動させることを備える請求項1の方法。
【請求項7】
前記針ハブと前記ダイレータハブとの間でガスの通過を許容することにより体液の引き込みを促進するステップを更に備える請求項1の方法。
【請求項8】
ガスの通過は、前記針ハブと前記ダイレータハブとの間の挿入体を通じて少なくとも部分的になされる請求項7の方法。
【請求項9】
前記挿入体が前記ダイレータハブ内へ完全に挿入される請求項8の方法。
【請求項10】
医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置において、
先端を有する長尺な針本体と、先端部を備えるハブとを有し、前記先端部から前記針本体が延び、長尺な前記針本体が少なくとも1つの側開窓を備える、針と、
前記針本体上にスライド可能に配置されるとともに、前記針の前記側開窓と連通する空間をダイレータシャフトと前記針本体との間に画定するダイレータであって、ダイレータハブと、前記ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを備え、前記ダイレータハブが受け部を備え、前記ダイレータシャフトの少なくとも一部が、前記空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成される、ダイレータと、
前記ダイレータの前記受け部内に配置される挿入体であって、前記針本体を挿通して受けるように構成される貫通穴を備え、ガスが通過できるようにするが体液の通過を妨げる通路を前記挿入体と前記針本体との間に形成するために前記貫通穴が前記針本体よりも僅かに大きい、挿入体と、
を備えるアクセス装置。
【請求項11】
前記挿入体は、前記ダイレータの前記受け部の内面とほぼ適合してシールを形成するように成形されて寸法付けられる請求項10のアクセス装置。
【請求項12】
前記挿入体は、前記針ハブと対向する基端面を備えるとともに、前記挿入体と前記針ハブとの間にガスのための通路を保つことができる1つ以上の突出部または溝を備える請求項10のアクセス装置。
【請求項13】
前記針ハブの先端部は、前記挿入体と対向する先端面を備えるとともに、前記挿入体と前記針ハブとの間にガスのための通路を保つように構成される1つ以上の突出部または溝を備える請求項10のアクセス装置。
【請求項14】
管状部分とハブとを備える医療物品を更に備え、前記管状部分が前記ダイレータ上に配置され、前記医療物品の少なくとも一部が、前記空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成される請求項10のアクセス装置。
【請求項15】
前記ダイレータシャフトの先端部が前記針の外径よりも小さい内径を備える請求項10のアクセス装置。
【請求項16】
医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置において、
先端を有する長尺な針本体とハブとを有し、前記ハブから前記針本体が延び、長尺な前記針本体が少なくとも1つの側開窓と外径とを備える、針と、
前記針本体上にスライド可能に配置されるとともに、ダイレータハブと、前記ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを備えるダイレータであって、前記ダイレータシャフトが前記針の前記側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓を備え、前記ダイレータシャフトが前記針の外径よりも小さい内径を備える、ダイレータと、
管状部分とハブとを備える医療物品であって、前記管状部分が、前記ダイレータ上に配置されるとともに、前記ダイレータの前記側開窓を通じて前記針の前記側開窓と連通する空間を前記医療物品と前記ダイレータとの間に画定し、前記医療物品の少なくとも一部が、前記空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成される、医療物品と、
を備えるアクセス装置。
【請求項17】
前記ダイレータの内径が前記針の外径よりも約3%小さい請求項16のアクセス装置。
【請求項18】
前記ダイレータシャフトがナイロンを備える請求項16のアクセス装置。
【請求項19】
医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置において、
先端を有する長尺な針本体とハブとを有し、前記ハブから前記針本体が延びる、針と、
前記針本体上にスライド可能に配置されるとともに、ダイレータハブと、前記ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを備えるダイレータであって、前記ダイレータシャフトが、前記針の側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓と、前記側開窓が貫通する隆起した稜部とを備える、ダイレータと、
管状部分とハブとを備える医療物品であって、前記管状部分が、前記ダイレータ上に配置されるとともに、前記ダイレータの前記側開窓を通じて前記針の前記側開窓と連通する空間を前記医療物品と前記ダイレータとの間に画定し、前記医療物品の少なくとも一部が、前記空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成される、医療物品と、
を備えるアクセス装置。
【請求項20】
前記稜部がほぼ軸方向に向けられる請求項19のアクセス装置。
【請求項21】
前記稜部が前記開窓よりも狭い請求項19または請求項20のいずれかのアクセス装置。
【請求項22】
医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置において、
先端を有する長尺な針本体とハブとを有し、前記ハブから前記針本体が延び、長尺な前記針本体が少なくとも1つの側開窓を備える、針と、
前記針本体上にスライド可能に配置されるとともに、ダイレータハブと、前記ダイレータハブから先端へと延びる長尺なダイレータシャフトとを備えるダイレータであって、前記ダイレータシャフトが前記針の前記側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓を備え、前記ダイレータの先端が約30°で先細る、ダイレータと、
管状部分とハブとを備える医療物品であって、前記管状部分が、前記ダイレータ上に配置されるとともに、前記ダイレータの前記側開窓を通じて前記針の前記側開窓と連通する空間を前記医療物品と前記ダイレータとの間に画定し、前記医療物品の少なくとも一部が、前記空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成される、医療物品と、
を備えるアクセス装置。
【請求項23】
前記ダイレータは、前記30°で先細るテーパよりも基端側に約3°の第2のテーパを有する請求項22のアクセス装置。
【請求項24】
医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置において、
先端を有する長尺な針本体とハブとを有し、前記ハブから前記針本体が延び、長尺な前記針本体が少なくとも1つの側開窓を備える、針と、
前記針本体上にスライド可能に配置されるとともに、ダイレータハブと、前記ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを備えるダイレータであって、前記ダイレータシャフトが前記針の前記側開窓と連通する少なくとも1つの側開窓を備える、ダイレータと、
前記ダイレータハブと前記針ハブとの間での流体の流れを抑制するために前記ダイレータと前記針との間で前記針本体上にスライド可能に配置されるシール部品と、
管状部分とハブとを備える医療物品であって、前記管状部分が、前記ダイレータ上に配置されるとともに、前記ダイレータの前記側開窓を通じて前記針の前記側開窓と連通する空間を前記医療物品と前記ダイレータとの間に画定し、前記医療物品の少なくとも一部が、前記空間内の体液の存在の視覚的な決定を可能にするように構成される、医療物品と、
を備えるアクセス装置。
【請求項25】
前記シール部品がシリコンワッシャを備える請求項24のアクセス装置。
【請求項26】
前記空間が界面活性剤または滑らかなコーティングを備える請求項16ないし請求項25のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項27】
前記開窓が異なるアスペクト比を備える請求項16ないし請求項26のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項28】
前記開窓は、流体が両方の開窓を通じてほぼ障害なく流れることができるように位置合わせされる請求項16ないし請求項27のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項29】
前記開窓のうちの少なくとも一方が楕円開口を形成する請求項16ないし請求項28のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項30】
両方の開窓は、位置合わせされるときに互いに対して略垂直な楕円開口を形成する請求項16ないし請求項29のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項31】
前記針および前記ダイレータは、前記針の先端が前記ダイレータよりも先端側に位置する第1の位置から前記針の先端が前記ダイレータ内に位置する第2の位置へと互いに対して移動できる請求項16ないし請求項30のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項32】
前記第2の位置にあるときに前記ダイレータに対する前記針の移動を抑制するために前記針と前記ダイレータとの間で作用するロック機構を更に備え、前記ロック機構は、移動に対する抵抗を小さくするために該ロック機構による係合を伴うことなく第1の位置から第2の位置への前記針の移動を許容するように構成される請求項31のアクセス装置。
【請求項33】
長尺な支持体が、前記ダイレータハブから離間された位置で、前記ロック機構の第1の部材を保持する請求項32のアクセス装置。
【請求項34】
前記ダイレータハブから基端方向に延びるトラックと、前記ダイレータに対する前記針の基端側への移動を選択的に抑制するために前記トラックと前記針との間に作用可能に配置されるロック機構とを更に備える請求項24のアクセス装置。
【請求項35】
前記針と前記医療物品の外面との間に配置されて、前記ダイレータシャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの長尺なチャンネルを更に備え、前記チャンネルは、前記針の前記開窓と連通するとともに、前記ダイレータの長手方向軸周りに360°未満の角度範囲を有する請求項16ないし請求項34のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項36】
前記ダイレータおよび前記医療物品のうちの少なくとも一方は、前記空間と連通するとともに前記空間からの空気の逃げを許容しかつ前記空間からの体液の逃げを抑制する通気孔を更に備える請求項16ないし請求項35のいずれか1項のアクセス装置。
【請求項37】
医療物品を身体空間内に配置するためのアクセス装置において、
ガイドワイヤとガイドワイヤハブとを備えるガイドワイヤ部分と、
前記ガイドワイヤ上に配置され、先端を有する長尺な針本体とハブとを有し、前記ハブから前記針本体が延びる、針と、
前記針本体上に配置されるダイレータであって、前記針および前記ダイレータが、前記針の先端が前記ダイレータよりも先端側に位置する第1の位置から前記針の先端が前記ダイレータ内に位置する第2の位置へと互いに対して移動でき、前記ダイレータが、ダイレータハブと、前記ダイレータハブから延びる長尺なダイレータシャフトとを含む、ダイレータと、
前記針と前記ダイレータとの間で作用するロック機構であって、前記ダイレータから離間されて、前記第2の位置にあるときに前記ダイレータに対する前記針の移動を抑制する部分を備え、前記ロック機構が、移動に対する抵抗を小さくするためにロック機構による係合を伴うことなく第1の位置から第2の位置への前記針の移動を許容するように構成される、ロック機構と、
前記ダイレータと前記ガイドワイヤとの間で作用する結合機構であって、前記ガイドワイヤ上に配置され、可逆的なスナップ式グリップを形成するために前記ガイドワイヤハブと相互に係合するT形状ロック部分を備える、結合機構と、
を備えるアクセス装置。
【請求項38】
前記ガイドワイヤハブは、前記スナップ式グリップの一部を形成する2つの屈曲可能な爪を備える請求項37のアクセス装置。
【請求項39】
前記ガイドワイヤハブは、前記爪間の経路と一直線を成す端凹部を備える請求項38のアクセス装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【公表番号】特表2013−518686(P2013−518686A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552153(P2012−552153)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2011/024097
【国際公開番号】WO2011/097639
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(507324142)アクセス サイエンティフィック、インク. (7)
【Fターム(参考)】