説明

アクセルペダル用パッド構造体

【課題】簡便かつ軽量な構成で、必要な機能、強度及び耐久性を確保しつつ、意匠性や視認性の向上にも資するに足る量産適合性に優れたアクセルペダル用パッド構造体を提供する。
【解決手段】アクセルペダル用パッド構造体1、30、60、100、130において、ヒンジ部材20、80、120、150は、第1の樹脂材を用いて成型され、車体側に連絡されるベース部と、ヒンジ部材側連結部と、ベース部とヒンジ部材側連結部とを回動自在に連絡するヒンジ部と、を備え、パッド部材10、70、110、140は、第1の樹脂材とは成型後の樹脂硬度が異なる第2の樹脂材を用いて成型され、踏み込み操作をされる部分であるパッド部と、パッド部材側連結部と、を備え、ヒンジ部材側連結部とパッド部材側連結部とは、その一方が他方の少なくとも一部を外方から覆って内部に収容し、機械的係止部24a、84a、114a、144aを画成しながら融着固定部14、74、124、154を画成することにより互いに融着固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダル用パッド構造体に関し、特に、運転者に踏み込み操作をされるパッド部材と、パッド部材を回動自在に車体側に連絡するヒンジ部材と、を備えたアクセルペダル用パッド構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両のアクセルペダル用パッド構造体に対しては、軽量であって、かつ大量生産への適合性が高いエンジニアリングプラスチック等の樹脂材を適用する提案がされてきた。
【0003】
かかる構成においては、アクセルペダル用パッド構造体は、車両の運転者が踏み込み操作をするものであるから、通常操作時における好ましいヒューマンインタフェース性を確保するのみならず、緊急操作時における充分な静的強度や、車両の実用ライフ内の繰り返し操作にも耐え得る充分な耐久性を確保する必要がある。一方で、自動車等の車両は大量生産されるものであるから、生産ラインでの組み付け工数を極力削減することも重要な観点であり、アクセルペダル用パッド構造体を予め可能な限りアッセンブリ化・一体化しておくことも必要である(特許文献1参照)。
【0004】
具体的には、特許文献1においては、アクセルペダルのパッド部におけるパッド、ヒンジ部及びストッパ嵌合部を単一の樹脂材で一体成型し、必要な強度や耐久性を確保しつつ、量産性をも向上した構成が提案されている。
【特許文献1】特開2006−335352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案される構成では、アクセルペダルのパッド部におけるパッド、ヒンジ部及びストッパ嵌合部を単一の樹脂材で一体成型することにより優れた機能性や量産性を実現したものではあるが、近年の多種多様化される車両の設計環境下においては、更なる設計自由度が要求される場合もある。
【0006】
具体的には、本発明者の検討によれば、アクセルペダル用パッド構造体におけるパッド部材は、車両の運転者が直接踏み込み操作をするものであるから、通常操作時においては充分な踏み込み剛性を確保し、かつ緊急操作時を考慮すれば充分な静的強度を確保するという基本的な要求がある。また、近年、かかるパッド部材に対しては、意匠的なアピアランスを向上したり、光源と組み合わせて視認性を向上するという要求もなされる場合があるし、振動低減の見地からパッド部材と車体との間の防振性を向上するというような要求もなされる場合がある。
【0007】
一方で、アクセルペダル用パッド構造体におけるヒンジ部材は、かかるパッド部材を回動自在に車体側に連絡するものであるから弾性材で構成されるが、耐衝撃性を確保しながら反復される回動動作においても充分な耐久性を確保することを要求されると共に、車体側への組み付け性においても充分に簡便かつ確実であることが要求される。また更に、かかるヒンジ部材は、車体側への組み付けられるものであるから、複数種の車種や仕様について共通化して適用できれば、量産上はより好ましく、かかる適用自由度も要求される。そして、かかるパッド部材とヒンジ部材とを一体化した構成であれば、生産ラインでの組み付け工数を削減できるため、アクセルペダル用パッド構造体が、一体成型可能であることも要求される。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、簡便かつ軽量な構成で、必要な機能、強度及び耐久性を確保しつつ、意匠性や視認性、更には防振性の向上に資するに足るような、量産適合性に優れたアクセルペダル用パッド構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成すべく、本発明は、第1の局面において、運転者に踏み込み操作をされるパッド部材と、前記パッド部材を回動自在に車体側に連絡するヒンジ部材と、を備えたアクセルペダル用パッド構造体であって、前記ヒンジ部材は、第1の樹脂材を用いて成型され、前記車体側に連絡されるベース部と、ヒンジ部材側連結部と、前記ベース部と前記ヒンジ部材側連結部とを回動自在に連絡するヒンジ部と、を備え、前記パッド部材は、前記第1の樹脂材とは成型後の樹脂硬度が異なる第2の樹脂材を用いて成型され、前記踏み込み操作をされる部分であるパッド部と、パッド部材側連結部と、を備え、前記ヒンジ部材側連結部と前記パッド部材側連結部とは、その一方が他方の少なくとも一部を外方から覆って内部に収容し、機械的係止部を画成しながら融着固定部を画成することにより互いに融着固定されたアクセルペダル用パッド構造体である。
【0010】
また本発明は、かかる第1の局面に加えて、前記ヒンジ部材側連結部は、突設された複数のボス又は陥設された複数の凹部を有する起立部であり、前記パッド部材側連結部は、前記ヒンジ部材における前記起立部の前記複数のボス又は前記複数の凹部を埋設しながら、前記起立部を外方から覆うように前記起立部に対して融着されて前記パッド部を前記起立部に固定する融着固定部であることを第2の局面とする。
【0011】
また本発明は、かかる第2の局面に加えて、前記パッド部材は、前記ヒンジ部材が成型された後成型され、成型後における前記パッド部材の前記第2の樹脂材の樹脂硬度は、成型後における前記ヒンジ部材の前記第1の樹脂材の樹脂硬度よりも高いことを第3の局面とする。
【0012】
また本発明は、かかる第2又は3の局面に加えて、前記ヒンジ部材における前記起立部の前記複数のボスの端面は、前記パッド部材を成型するための成型金型に対する、前記ヒンジ部材の位置基準として適用自在であることを第4の局面とする。
【0013】
また本発明は、かかる第2から4のいずれかの局面に加えて、前記パッド部材の前記融着固定部は、前記ヒンジ部材の前記起立部側の終端において、前記起立部に対して実質的に直立する壁部を有することを第5の局面とする。
【0014】
また本発明は、かかる第5の局面に加えて、前記パッド部材には、壁部を有するカバー部材が装着自在であり、前記カバー部材の前記壁部は、前記パッド部材における前記融着固定部の前記壁部に外方から当接自在であることを第6の局面とする。
【0015】
また本発明は、かかる第6の局面に加えて、前記パッド部材の前記パッド部には、前記第2の樹脂材を導入するゲートに起因して形成され、前記カバー部材を係止自在な凸部が設けられていることを第7の局面とする。
【0016】
また本発明は、かかる第1の局面に加えて、前記パッド部材側連結部は、複数のボス又は複数の凹部を有する先端部であり、前記ヒンジ部材側連結部は、前記パッド部材における前記先端部の前記複数のボス又は前記複数の凹部を埋設しながら、前記先端部を外方から覆うように前記先端部に対して融着される融着固定部であることを第8の局面とする。
【0017】
また本発明は、かかる第1から8のいずれかの局面に加えて、成型後の前記パッド部材の前記第2の樹脂材は、その透光性が調整自在であることを第9の局面とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の局面によれば、ヒンジ部材が、第1の樹脂材を用いて成型され、車体側に連絡されるベース部と、ヒンジ部材側連結部と、ベース部とヒンジ部材側連結部とを回動自在に連絡するヒンジ部と、を備え、パッド部材は、第1の樹脂材とは成型後の樹脂硬度が異なる第2の樹脂材を用いて成型され、踏み込み操作をされる部分であるパッド部と、パッド部材側連結部と、を備え、ヒンジ部材側連結部とパッド部材側連結部とは、その一方が他方の少なくとも一部を外方から覆って内部に収容し、機械的係止部を画成しながら融着固定部を画成することにより互いに融着固定される構成により、パッド部材においては、基本剛性及基本強度を確保することができるのみならず、より剛性があって意匠性に優れたカバー部材を装着したり、透光性を持たして視認性を向上させるに足る構成とすることができる。更に、ヒンジ部材においては、耐衝撃性や反復される回動動作に対する耐久性を確保することができると共に、車体側への組み付け性も簡便かつ確実にすることができ、また更に、複数種の車種や仕様について共通化して適用できるに足る構成とすることができる。そして、かかるパッド部材とヒンジ部材とは、最適材料を各々適用された上で、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができ、このように一体成型されたアクセルペダル用パッド構造体を確実に得ることができる。
【0019】
本発明の第2の局面によれば、ヒンジ部材側連結部が、突設された複数のボス又は陥設された複数の凹部を有する起立部であり、パッド部材側連結部が、ヒンジ部材における起立部の複数のボス又は複数の凹部を埋設しながら、起立部を外方から覆うように起立部に対して融着されてパッド部を起立部に固定する融着固定部であるという構成により、パッド部材とヒンジ部材とは、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができると共に、ヒンジ部材の起立部がパッド部材の融着固定部で保護されることができる。また、かかるヒンジ部材は、複数種の車種や仕様について共通化して適用できることになる。
【0020】
本発明の第3の局面によれば、成型後におけるパッド部材の第2の樹脂材の樹脂硬度は、成型後におけるヒンジ部材の第1の樹脂材の樹脂硬度よりも高い条件下で、パッド部材が、ヒンジ部材が成型された後成型されるという構成により、ヒンジ部材の物性が確実に安定化した後で、パッド部材を確実にヒンジ部材に融着して成型することができると共に、軟質のヒンジ部材の起立部が硬質のパッド部材の融着固定部で確実に保護されることができる。また、軟質のヒンジ部材の起立部が硬質のパッド部材の融着固定部の内部で挟み込まれるように収容されることにより、パッド部材と車体との間での振動伝達を抑制し、防振性を向上することができる。
【0021】
本発明の第4の局面によれば、ヒンジ部材における起立部の複数のボスの端面は、パッド部材を成型するための成型金型に対する、ヒンジ部材の位置基準として適用自在であるという構成により、予め成型されているヒンジ部材における起立部の複数のボスの端面を成型金型に対する位置決めに使うことができ、形状精度及び特性精度が高いパッド部材を、精度よくヒンジ部材に融着することができる。
【0022】
本発明の第5の局面によれば、パッド部材の融着固定部が、ヒンジ部材の起立部側の終端において、起立部に対して実質的に直立する壁部を有するという構成により、成型金型の冷却流路を、パッド部材の融着固定部とヒンジ部材の起立部との境界部に配置することができて、成型時にかかる境界部から侵出しようとするパッド部材用の樹脂材を確実に冷却してその侵出を抑止することができ、形状精度が高いパッド部材を得ることができる。また、パッド部材の融着固定部の壁部が、テーパ状等ではなく実質的に直立していることにより、パッド部材の成型時に、ヒンジ部材に向かって、パッド部材成型用の溶融状態にある樹脂材を射出する際のいわゆる接着剪断力に対する抗力が増加し得て、パッド部材とヒンジ部材とをより確実に融着固定することができる。
【0023】
本発明の第6の局面によれば、パッド部材に装着されるカバー部材の壁部が、パッド部材における融着固定部の壁部に外方から当接するという構成により、カバー部材が、その壁部で、パッド部材における融着固定部の壁部に位置決めされながら装着され得て、カバー部材を簡便かつ確実に位置決めして装着することができる。
【0024】
本発明の第7の局面によれば、パッド部材のパッド部に、第2の樹脂材を導入するゲートに起因して形成された凸部が設けられているという構成により、かかる凸部でカバー部材を係止することができ、カバー部材を簡便かつ確実に装着することができる。
【0025】
本発明の第8の局面によれば、パッド部材側連結部は、複数のボス又は複数の凹部を有する先端部であり、ヒンジ部材側連結部は、パッド部材における先端部の複数のボス又は複数の凹部を埋設しながら、先端部を外方から覆うように先端部に対して融着される融着固定部であるという構成により、パッド部材とヒンジ部材とは、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができる。
【0026】
本発明の第9の局面によれば、成型後のパッド部材の第2の樹脂材は、その透光性が典型的には0%以上90%以下の範囲内で調整自在であるという構成により、パッド部材自体の背面やパッド部材背後の車室空間に発光ダイオード等の光源を配しておけば、その出射光をパッド部材を介して運転者の眼に入射することが可能となり、パッド部材の存在を運転者により確実に認識させることができる。また、必要に応じて、パッド部材の透光性を0%、つまり非透光性に設定することもできる。また更に、このようにパッド部材を非透光性に設定しても、パッド部材とヒンジ部材とを適宜異なった色に着色することも可能であり、視認性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体につき詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系をなす。
【0028】
まず、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体につき、図1〜6を参照して、詳細に説明する。
【0029】
図1は、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の正面図であり、図2は、図1のX矢視図であり、図3は、図2のY矢視部分拡大図であり、図4は、図1のA−A線による拡大部分断面図である。また、図5は、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体のヒンジ部材の正面図であり、図3と同様の位置関係で示す。また、図6は、図5のB−B線による断面図である。
【0030】
図1及び2に示すように、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体1は、自動車等の車両における車体の車室内に搭載され、運転者に踏み込み操作をされる樹脂製のパッド部材10及びパッド部12を回動自在に車体側に連絡する樹脂製のヒンジ部材20を備える。
【0031】
パッド部材10は、運転者に踏み込み操作をされる部分であるパッド部12と、パッド部12の下方(z軸負方向)に形成された融着固定部14と、を有する。ここに、パッド部12は、x−z平面に平行でy軸方向に厚みを持つ概略平板状の形状を有し、その側面には、後述するカバー部材と係止され得る凸部12aが形成される。かかる融着固定部14が、パッド部材側連結部である。また、パッド部12には、図示を省略するが、パッド部材10に適度な踏み込み反力を与えながらパッド部12に印加される踏力を車両側に伝えるべく、車体側に設けられたアーム部材が連結される。一方で、かかるパッド部12の下方に連続的に形成される融着固定部14は、車体側に組み付けられるヒンジ部材20に対して、融着固定されて一体的に連絡される。なお、パッド部12に印加される踏み込みストローク等の踏力情報を車両側に伝達する構成は、パッド部材10の回動に応じてアーム部材が移動して、踏力情報が車両側に伝達される機械的なものに限らず、パッド部材10の回動角を図示を省略するセンサーで検出し、その出力信号を介して踏力情報が車両側に伝達される電気的なものであってもよい。
【0032】
ヒンジ部材20は、パッド部材10よりも先に単品として成型されるもので、より具体的には、図3から6に示すように、車体の車室下方を画成するフロア部材に設けられた図示を省略する固定部材に嵌装される嵌装部22aが形成されたベース部22と、複数のボス24aが突設して形成された起立部24と、ベース部22と起立部24とを回動自在に連絡するヒンジ部26と、を有する。ここに、起立部24は、x−z平面に平行でy軸方向に厚さを持つ概略平板状の形状であり、起立部24に設けられる複数のボス24aは、図4及び6に示す断面形状において、起立部24の外面からy軸の正方向及び負方向の2方向に向けて突出する概略円柱状の形状を有し、かつ図3及び5に示すように、z軸方向に互いに偏位しながらx軸方向に配列されるような配設パターンを有する。なお、かかる複数のボス24aが突設して形成された起立部24が、ヒンジ部材側連結部である。
【0033】
かかる複数のボス24aが突設されたヒンジ部材20の起立部24には、パッド部材10の融着固定部14が融着されて固定される。具体的には、パッド部材10の融着固定部14は、ヒンジ部材20の起立部24をその外方から覆うように内部に収容しながらヒンジ部材20に対して成型される過程で、パッド部材10の樹脂材が、高温高圧下でボス24aを有する起立部24の周囲に射出されることにより、起立部24の平板状の外面及びそこから突設するボス24aの周囲において密接に融着されて固定される。ここに、かかる射出成型時において、起立部24のボス24aは、融着固定部14に埋設されるが、ボス24aの端面24sの位置は、パッド部材10の融着固定部14の外面14sの成型形状を規定する成型金型に対する位置基準として用いられて、起立部24のボス24aの端面24sとパッド部材10の融着固定部14の外面14sとは、パッド部12の成型後において面一となる。なお、ボス24aの端面24sの位置は、ボス24aの端面24s自体がパッド部材10の成型金型に対するヒンジ部材20の位置基準として用いられ得るものであれば、必ずしもパッド部材10の融着固定部14の外面14sと面一である必要はなく、例えば、かかるボス24aの位置に対応する成型金型の表面に凸部が別途形成されていれば、それに整合してボス24aの端面24sの位置は、融着固定部14の外面14sからは陥設されていてもよく、逆にボス24aの位置に対応する成型金型の内面に凹部が別途形成されていれば、それに整合してボス24aの端面24sの位置は、融着固定部14の外面14sから突設されているものであってもよい。
【0034】
また、パッド部材10の融着固定部14は、かかるヒンジ部材20の起立部24側の終端において、起立部24に対して起立部24の外周を囲って実質的に直立する壁部16を有し、起立部24は、パッド部材10の融着固定部14における壁部16から下方(z軸の負方向)で融着固定部14から露出し、ヒンジ部26へと連なる。つまり、かかるヒンジ部材20の起立部24における露出した部分及びパッド部材10の融着固定部14における壁部16(その近傍を含む)が、ヒンジ部材20の起立部24とパッド部材10の融着固定部14との間における境界部iとなる。なお、パッド部材10の融着固定部14における壁部16が実質的に直立するとは、x−z平面に平行なヒンジ部材20の起立部24の外面に対して、60°以上90°以下の角度θで立設することをいう。
【0035】
このように融着されたパッド部材10の融着固定部14とヒンジ部材20の起立部24とは、互いを剥離するような外力を受けたとしても、そもそもこれらは互いに融着しているため剥離に対して充分な耐力を有するが、起立部24のボス24aが、その端面24sを除き融着固定部14に埋設されるため、融着面積が増大されて剥離に対する耐力がより増強されている。更にこのように、起立部24のボス24aが、融着固定部14に埋設されることにより、特にz軸方向において、パッド部材10の融着固定部14とヒンジ部材20の起立部24とが分離するような外力を受けたとしても、ボス24aの剪断強度は充分に大きいため、ボス24aが機械的な係止部として機能して、分離に対しても耐力が増強されている。
【0036】
また、ヒンジ部材20のヒンジ部26は、ベース部22と起立部24と間に位置する薄肉のくびれ部であり、ベース部22と起立部24とをx軸について回動自在とする。ここに、パッド部材10の融着固定部14とヒンジ部材20の起立部24とは、融着されて固定されているから、かかるヒンジ部26により、パッド部材10のパッド部12が、運転者により踏み込み操作をされると、パッド部材10はヒンジ部材20に対して、つまりヒンジ部材20がそのベース部22に形成された嵌装部22aを介して取り付けられる車体のフロア部材に対して、x軸について回動自在である。
【0037】
次に、以上の構成のアクセルペダル用パッド構造体1のパッド部材10及びヒンジ部材20に用いられる樹脂材につき、詳細に説明する。
【0038】
まず、アクセルペダル用パッド構造体1のヒンジ部材20に用いられる樹脂材としては、ベース部22と起立部24とを回動自在に連絡するヒンジ部26における反復回動性を耐久的に確保し、かつ車体のフロア部材に設けられた固定部材に嵌装される嵌装部22aの簡便かつ確実な装着性を実現する観点から、弾性軟質樹脂材としてポリエステルエラストマ(以下、TPCと呼称する)が好適に用いられる。TPCは、射出成型性にも優れた樹脂材であるが、結晶性の硬い部分(ハードセグメント)と、非晶性の柔らかい部分(ソフトセグメント)と、を併せ持つ準結晶的な分子構造を有するため、かかる分子構造を安定化するため、その成型後は、大気中常温下で24時間程度保持する安定化工程を経ることが必要である。かかる安定化工程を施したTPC成型品、つまりヒンジ部材20は、強度耐久特性が安定化するのみならず、その後のヒンジ部材20に対する異種樹脂材を用いた射出成型において、かかる異種樹脂材との間で良好な融着性を実現する。
【0039】
また、パッド部材10に用いられる樹脂材としては、パッド部材10として機能上要求される剛性や強度を確保でき、かつ弾性軟質樹脂材から成型されるヒンジ部材20との間で融着性を確保した射出成型を自在とする観点から、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと呼称する)やポリカーボネート(以下、PCと呼称する)が好適に用いられ得る。このようにパッド部材10に用いられるPBTやPCといった樹脂材は、機械的強度が高いものであるから、ヒンジ部材20に用いられるTPCといった樹脂材よりも、成型後における硬度が高いものである。ここに、樹脂材の硬度は、JISショアー硬度Aで規定される。
【0040】
ここに、パッド部材10の樹脂材としてPBTを用いる場合には、成型後のパッド部材10の剛性等を増強する観点からは、PBTにガラス繊維成分を成型前に予め、30±5重量%の割合で混合しておくことが、より好ましい。また、ヒンジ部材20の樹脂材との融着性を向上するために、ヒンジ部材20の樹脂材を親和材として所定量含有しておくことも、より好ましい。また更に、PBTは成型後、可視光に対する透光性が0%の非透光性であるが、適宜色素を含有する着色材を成型前に予め混入しておくことにより、所望の色に着色することができ、可視光に対する反射特性を適宜調節自在である。一方で、パッド部材10の樹脂材としてPCを用いる場合には、成型後、可視光に対して最大で90%の透光性を呈することになり、更に適宜色素を含有する着色材を成型前に予め混入しておくことにより、所望の色に着色することもでき、かかる観点からは可視光に対する透光性を適宜調節自在である。但し、このようにPCは、成型後、可視光を透過する透光性を呈するものであるため、透光性を確保する観点からは、非透光性のガラス繊維成分や親和材を混合することは適さないが、透光性が必要ない場合には、これらを分散的に混合することも可能であるし、もちろん透光性を呈するガラス繊維成分や親和材を混合することも可能である。つまり、かかる構成を適宜最適化することにより、可視光に対する透光性が0%以上90%以下の範囲内で、適宜パッド部材10の材料成分を調整自在である。
【0041】
従って、以上の構成によれば、ヒンジ部材は、第1の樹脂材を用いて成型され、車体側に連絡されるベース部と、ヒンジ部材側連結部と、ベース部とヒンジ部材側連結部とを回動自在に連絡するヒンジ部と、を備え、パッド部材は、第1の樹脂材とは成型後の樹脂硬度が異なる第2の樹脂材を用いて成型され、踏み込み操作をされる部分であるパッド部と、パッド部材側連結部と、を備え、パッド部材側連結部がヒンジ部材側連結部の少なくとも一部を外方から覆って内部に収容し、機械的係止部を画成しながら融着固定部を画成することにより互いに融着固定される構成により、パッド部材においては、基本剛性及基本強度を確保することができるのみならず、より剛性があって意匠性に優れたカバー部材を装着したり、透光性を持たして視認性を向上させるに足る構成となる。更に、ヒンジ部材においては、耐衝撃性や反復される回動動作に対する耐久性を確保することができると共に、車体側への組み付け性も簡便かつ確実にすることができ、また更に、複数種の車種や仕様について共通化して適用できるに足る構成となる。そして、かかるパッド部材とヒンジ部材とは、最適材料を各々適用された上で、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができ、このように一体成型されたアクセルペダル用パッド構造体を得ることができる。
【0042】
具体的には、ヒンジ部材側連結部が、突設された複数のボスを有する起立部であり、パッド部材側連結部が、ヒンジ部材における起立部の複数のボスを埋設しながら、起立部を外方から覆うように起立部に対して融着されてパッド部を起立部に固定する融着固定部であるという構成により、パッド部材とヒンジ部材とは、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができると共に、ヒンジ部材の起立部がパッド部材の融着固定部で保護されることができる。また、かかるヒンジ部材は、複数種の車種や仕様について共通化して適用できることになる。
【0043】
また、成型後のパッド部材の第2の樹脂材は、その透光性が0%以上90%以下の範囲内で調整自在であるという構成により、パッド部材自体の背面やパッド部材背後の車室空間に発光ダイオード等の光源を配しておけば、その出射光をパッド部材を介して運転者の眼に入射することが可能となり、パッド部材の存在を運転者により確実に認識させることができる。また、必要に応じて、パッド部材の透光性を0%、つまり非透光性に設定することもできる。また更に、このようにパッド部材を非透光性に設定しても、パッド部材とヒンジ部材とを適宜異なった色に着色することも可能であり、視認性を向上できる。
【0044】
さて、以上の構成のアクセルペダル用パッド構造体に対しては、パッド部の剛性や強度をより増強し得て、かつ意匠的なアピアランスもより向上できるカバー部材が装着可能であるので、かかるカバー部材を装着したアクセルペダル用パッド構造体につき、更に図7及び8をも参照して詳細に説明する。
【0045】
図7は、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体のパッド部材にカバー部材を装着した状態の側面図であり、図2と同様の位置関係で示す。また、図8は、同様にアクセルペダル用パッド構造体のパッド部材にカバー部材を装着した状態の拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【0046】
図7及び8に示すように、かかる構成のアクセルペダル用パッド構造体30には、パッド部材10のパッド部12に対して、それをy軸の正方向に対峙して覆うようにアルミ材等の金属製のカバー部材40が装着されている。具体的には、カバー部材40は、パッド部材10のパッド部12のy軸の負方向側の外面形状に整合する基本形状を有するものであり、更にパッド部材10の融着固定部14における壁部16に対しても形状が整合する壁部42を有する。かかるカバー部材40をパッド部材10のパッド部12に装着するには、まずカバー部材40の壁部42をパッド部材10の融着固定部14における壁部16に対して対向させて当接し、このように対応する壁部16、42同士を面当たり的に位置決めした後、カバー部材40をパッド部12に被せて装着することとなる。またこの際、パッド部材10のパッド部12の側面には、凸部12aが形成されているから、カバー部材40の側部と凸部12aとは係止される。
【0047】
従って、このようにパッド部材に装着されるカバー部材の壁部が、パッド部材における融着固定部の壁部に外方から当接するという構成により、カバー部材が、その壁部で、パッド部材における融着固定部の壁部に位置決めされながら装着され得て、カバー部材を簡便かつ確実に位置決めして装着することができる。
【0048】
また、パッド部材のパッド部に凸部が設けられているという構成により、かかる凸部でカバー部材を係止することができ、カバー部材を簡便かつ確実に装着することができる。
【0049】
次に、以上の構成のアクセルペダル用パッド構造体を製造するための成型方法につき、カバー部材40が装着されていない状態のアクセルペダル用パッド構造体1を例にとり、更に図9をも参照しつつ、詳細に説明する。
【0050】
図9は、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の成型工程を示す拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【0051】
図9に示すように、アクセルペダル用パッド構造体1の成型工程で用いられる射出成型機の射出成型金型50は、一片52及び他片54からなる2ピースの基本構造を有する。成型金型50の一片52内には、図9の紙面と垂直方向に冷却流路52aが形成され、成型金型50の他片54内には、図9の紙面と垂直方向に冷却流路54aが形成されており、かかる一対の冷却流路52a、54a内には、水等の冷却媒体が流通自在である。また、成型金型の一片52及び他片54が、図9で示す射出成型位置に組み付けられた際には、それらの内方には、アクセルペダル用パッド構造体のヒンジ部材20の形状に整合したヒンジ部材用空孔56と、パッド部材10の形状に整合したパッド部材用空孔58と、が協同的に形成される。ここに、パッド部材用空孔58には、パッド部材10の融着固定部14における壁部16の形状に整合する壁部形成部58a、58bが形成されている。
【0052】
以上の構成の射出成型金型50を用いて、アクセルペダル用パッド構造体1を成型するには、まず、別の射出成型金型を用いてヒンジ部材20を射出成型する必要がある。ここに、ヒンジ部材20は、弾性軟質樹脂材として、代表的に準結晶的な分子構造を有するTPCを用いて成型されるため、その分子構造を安定化すべく、成型後、大気中常温下で24時間程度保持する安定化工程を施す。
【0053】
ついで、このようにヒンジ部材20に対して安定化工程を施した後、ヒンジ部材20を、成型金型の一片52及び他片54が協働して形成されるヒンジ部材用空孔56内に設置する。この際、ヒンジ部材20における起立部24の一部やボス24aは、成型金型の一片52及び他片54内が協働して形成されるパッド部材用空孔58内に配置されるが、ボス24aの端面24sは、パッド部材用空孔58の表面に当接しており、ヒンジ部材20における起立部24側もパッド部材用空孔58に対して精度よく位置決めされる。
【0054】
ついで、このようにヒンジ部材20を、成型金型の一片52及び他片54内のヒンジ部材用空孔56及びるパッド部材用空孔58内に設置した後にこれらを組み付け、一対の冷却流路52a、54a内に冷却媒体を流通させる。そして、この状態で、代表的にはPBTやPCといったパッド部材10成型用の硬質樹脂材を、溶融状態で、射出成型金型50のパッド部材用空孔58内に高圧で射出していく。
【0055】
ここで、弾性軟質樹脂材で成型されたヒンジ部材20の樹脂硬度は相対的に低いため、パッド部材用空孔58内に高圧の溶融状態で射出されるパッド部材10成型用の硬質樹脂材は、その成型工程において、成型金型の一片52及び他片54内のパッド部材用空孔58内に配置されたヒンジ部材20の起立部24を押圧していく。ここで、かかる成型工程において、パッド部材10成型用の溶融状態の樹脂材は、出射圧力をP1、P2及びP3の3段階に変化される保圧工程を経る。具体的には、まず1段階目の保圧工程での出射圧力P1は、5MPa程度の相対的な低圧であり、次の2段階目の出射圧力P2は、1段階目の圧力P1よりも10倍以上大きい60MPa程度の相対的な高圧であり、最後の3段階目の出射圧力P3は、1段階目の圧力P1よりも倍以上大きいが、2段階目の圧力P2よりも半分以下である20MPa程度の相対的に中間の圧力である。このように低圧の1段目、高圧の2段目及び中間圧の3段目の保圧工程を経ることにより、溶融状態の樹脂材でヒンジ部材20を過剰に押圧して変形させることなく、溶融状態の樹脂材をパッド部材用空孔58内に過不足なく充填することができる。なお、かかる3段階の保圧工程の各保圧時間は、均等に設定すれば足りる。
【0056】
また、この際、パッド部材用空孔58内に高圧の溶融状態で射出されるパッド部材10成型用の樹脂材は、ヒンジ部材20の起立部24とパッド部材10の融着固定部14との間に位置する境界部iに対応してパッド部材用空孔58に形成された壁部形成部58a、58bおいて、ヒンジ部材20の起立部24を押しのけて、パッド部材用空孔58の外部へ侵出しようとする。しかし、本実施形態においては、かかる境界部iの近傍に配置された一対の冷却流路52a、54a内に冷却媒体が流通しているため、境界部iにおける射出成型金型50の温度が低く維持されており、パッド部材10成型用の樹脂材が、パッド部材用空孔58における境界部i近傍に到達すると、急激に熱を奪われてその温度が低下し、迅速に固化を始める。つまり、パッド部材10の融着固定部14における壁部16の観点から説明すれば、かかる壁部16は、このような冷却作用を発現するように、一対の冷却流路52a、54aを境界部i近傍に配することを可能とし、かつカバー部材40の壁部42を当接されてカバー部材40の位置決めを可能とする構成を有しているといえる。
【0057】
また、併せて、パッド部材10成型用の樹脂材をパッド部材用空孔58内に溶融状態で射出するゲートGは、パッド部材用空孔58に形成された壁部形成部58a、58bからz軸の正方向に離間した位置に設けられる。ここに、パッド部材10成型用の樹脂材をパッド部材用空孔58内に均等に充填する観点からは、ゲートGは、成型後のパッド部材10において、その融着固定部14における壁部16からz軸の正方向に成型後のパッド部材10の全長(z軸方向の長さ)の1/2離間した位置(その近傍を含む)に設けられることが好ましい。このように、ゲートGの位置をz軸の正方向に離間して設けることにより、パッド部材10成型用の樹脂材をパッド部材用空孔58内に均等に充填しながら、その温度をパッド部材用空孔58に形成された壁部形成部58a、58bに向かって、つまり境界部iに向かって下降させることができる。このことは、一対の冷却流路52a、54aの冷却作用を補完して、パッド部材10成型用の樹脂材が、パッド部材用空孔58における境界部iに近づくにつれ、その温度を迅速に低下させて確実に固化させることに寄与するものといえる。なお、パッド部材10成型用の樹脂材の出射圧力が高圧であり、パッド部材用空孔58内への充填性が良好な場合には、その温度をより下降させる観点から、ゲートGを、成型後のパッド部材10の全長の1/2の近傍位置よりも更にz軸の正方向に離間した位置に設けてもよい。
【0058】
そして、このように、パッド部材10成型用の硬質樹脂材が、パッド部材用空孔58における境界部i近傍で迅速に固化されながら、ヒンジ部材20のボス24aを有する起立部24の周囲に射出されていくことにより、起立部24を内部に収容しながら、起立部24の平板状の外面及びそこから突設するボス24aの周囲において密接に融着されて固定される。この際、パッド部材10の融着固定部14においては、ヒンジ部材20における起立部24のボス24aの周囲において機械的に係止される係止部を画成すると共に、ヒンジ部材20における起立部24の平板状の外面及びボス24aの周囲において融着固定部を画成する。また同時に、起立部24のボス24aの端面24sとパッド部材10の融着固定部14の外面14sとは、パッド部材10の成型後において面一となる。
【0059】
ついで、このように、パッド部材10の融着固定部14を、ヒンジ部材20の起立部24の平板状の外面及びそこから突設するボス24aの周囲において密接に融着固定して一体成型した後に、冷却流路52a、54a内の冷却媒体の流通を停止し、成型金型の一片52及び他片54を開いて、アクセルペダル用パッド構造体1を取り出すことになる。この際、ゲートGのアクセルペダル用パッド構造体1側において固化した樹脂の部分が、ニッパ等の切断具で切断され、パッド部材10におけるパッド部12の凸部12aとなる。また、必要に応じてかかるアクセルペダル用パッド構造体に、カバー部材40を装着してもかまわない。
【0060】
従って、このように成型後におけるパッド部材の第2の樹脂材の樹脂硬度は、成型後におけるヒンジ部材の第1の樹脂材の樹脂硬度よりも高い条件下で、パッド部材が、ヒンジ部材が成型された後成型されるという構成により、ヒンジ部材の物性が確実に安定化した後で、パッド部材を確実にヒンジ部材に融着して成型することができると共に、軟質のヒンジ部材の起立部が硬質のパッド部材の融着固定部で確実に保護されることができる。また、軟質のヒンジ部材の起立部が硬質のパッド部材の融着固定部の内部で挟み込まれるように内部に収容されることにより、パッド部材と車体との間での振動伝達を抑制し、防振性を向上することができる。
【0061】
また、ヒンジ部材における起立部の複数のボスの端面は、パッド部材を成型するための成型金型に対する、ヒンジ部材の位置基準として適用自在であるという構成により、予め成型されているヒンジ部材における起立部の複数のボスの端面を成型金型に対する位置決めに使うことができ、形状精度及び特性精度が高いパッド部材を、確実にヒンジ部材に融着することができる。
【0062】
また、パッド部材の融着固定部が、ヒンジ部材の起立部側の終端において、起立部に対して実質的に直立する壁部を有するという構成により、成型金型の冷却流路を、パッド部材の融着固定部とヒンジ部材の起立部との境界部に配置することができて、成型時にかかる境界部から侵出しようとするパッド部材用の樹脂材を確実に冷却してその侵出を抑止することができ、形状精度が高いパッド部材を得ることができる。更に、パッド部材の融着固定部の壁部が、テーパ状等ではなく実質的に直立していることにより、パッド部材の成型時に、ヒンジ部材に向かって、パッド部材成型用の溶融状態にある樹脂材を射出する際のいわゆる接着剪断力に対する抗力が増加し得て、パッド部材とヒンジ部材とをより確実に融着固定することができる。
【0063】
また、パッド部材のパッド部に、第2の樹脂材を導入するゲートに起因して凸部を形成するという構成により、かかる凸部でカバー部材を係止することができ、カバー部材を簡便かつ確実に装着することができる。
【0064】
次に、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の変形例につき、更に図10をも参照して、詳細に説明する。
【0065】
図10は、本変形例におけるアクセルペダル用パッド構造体の拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【0066】
図10に示すように、本変形例におけるアクセルペダル用パッド構造体60においては、前述したアクセルペダル用パッド構造体1に対して、複数のボス24aが突設された起立部24を有するヒンジ部材20の代わりに、複数の凹部84aが陥設された起立部84を有するヒンジ部材80を用いると共に、パッド部材70の融着固定部74には孔74aが形成されていることが主たる相違点であり、残余の構成は原理的に同様である。以下、かかる相違点に着目して、説明をする。
【0067】
具体的には、ヒンジ部材80は、フロア部材に設けられた図示を省略する固定部材に嵌装される嵌装部82aが形成されたベース部82と、複数の凹部84aが陥設された起立部84と、ベース部82と起立部84とを回動自在に連絡するヒンジ部86と、を有する。かかる複数の凹部84aの配設パターン等の配設構成は、前述した複数のボス24aのものと同様に設定される。なお、起立部84の凹部84aは、起立部84の表面から凹んでいる形状全てを包含する意味で用いており、例えば対向する凹部84a同士は連通して貫通孔となっていてもよい。
【0068】
かかる複数の凹部84aが形成されたヒンジ部材80の起立部84には、パッド部材70の融着固定部74が融着されて固定される。具体的には、パッド部材70の融着固定部74は、ヒンジ部材80の起立部84を内部に収容しながら、その外方から覆うようにヒンジ部材80に対して成型される過程で、パッド部材10の樹脂材が、高温高圧下で凹部84aを有する起立部84の周囲に射出されることにより、起立部84の平板状の外面及びそこに形成された凹部84aの周囲において密接に融着されて固定される。ここに、かかる射出成型時において、パッド部材70の融着固定部74に形成される孔74aにおいて露出される起立部84の外面は、成型金型に対する位置基準として用いられる。
【0069】
また、パッド部材70の融着固定部74は、かかるヒンジ部材80の起立部84側の終端において、起立部84に対して起立部84の外周を囲って実質的に直立する壁部76を有し、かかる壁部76(その近傍を含む)及びそこから露出するヒンジ部材80の起立部84が、境界部iとなる。
【0070】
このように融着されたパッド部材70の融着固定部74とヒンジ部材80の起立部84とは、互いを剥離するような外力を受けたとしても、これらは互いに融着しているため剥離に対して充分な耐力を有し、更に起立部84の凹部84aが、融着固定部74に埋没されるため、融着面積が増大されて剥離に対する耐力が増強されている。更にこのように、ヒンジ部材80の起立部84の凹部84aが、パッド部材70の融着固定部74に埋没されることにより、起立部84の凹部84a及びそこに樹脂材が回り込んだ融着固定部74が機械的な係止部として機能して、分離に対しても耐力が増強されている。
【0071】
従って、以上の構成によれば、具体的には、ヒンジ部材側連結部が、陥設された複数の凹部を有する起立部であり、パッド部材側連結部が、ヒンジ部材における起立部の複数の凹部を埋設しながら、起立部を外方から覆うように起立部に対して融着されてパッド部を起立部に固定する融着固定部であるという構成により、パッド部材とヒンジ部材とは、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができると共に、ヒンジ部材の起立部がパッド部材の融着固定部で保護されることができる。また、かかるヒンジ部材は、複数種の車種や仕様について共通化して適用できることになる。
【0072】
次に、以上の本変形例のアクセルペダル用パッド構造体を製造するための成型方法につき、更に図11をも参照しつつ、詳細に説明する。
【0073】
図11は、本変形例の成型工程を示す拡大部分断面図であり、図9と同様の位置関係で示す。
【0074】
図11に示すように、本変形例で用いられる射出成型機の射出成型金型90の一片92内には冷却流路92aが形成され、他片94内には冷却流路94aが形成されており、成型金型の一片92及び他片94が、図11で示す射出成型位置に組み付けられた際には、それらの内方には、アクセルペダル用パッド構造体のヒンジ部材80の形状に整合したヒンジ部材用空孔96と、パッド部材70の形状に整合したパッド部材用空孔98と、が協同的に形成される。ここに、パッド部材用空孔98には、成型金型の一片92から突出する凸部92b、他片94から突出する凸部94b、及びパッド部材70の融着固定部74における壁部76の形状に整合する壁部形成部98a、98bが形成されている。
【0075】
かかる射出成型金型90を用いて、アクセルペダル用パッド構造体60を成型するには、大気中常温下で24時間程度保持する安定化工程を施したヒンジ部材80を、成型金型の一片92及び他片94が協働して形成されるヒンジ部材用空孔96内に設置する。この際、ヒンジ部材80における起立部84の一部は、成型金型の一片92及び他片94内が協働して形成されるパッド部材用空孔98内に配置されるが、成型金型の一片92から突出する凸部92b及び他片94から突出する凸部94bが、ヒンジ部材80の起立部84の外面に当接しており、ヒンジ部材80における起立部84側もパッド部材用空孔98に対して精度よく位置決めされる。
【0076】
そして、このようにヒンジ部材80を、成型金型の一片92及び他片94内のヒンジ部材用空孔96及びるパッド部材用空孔98内に設置した後にこれらを組み付け、一対の冷却流路92a、94a内に冷却媒体を流通させながら、パッド部材70成型用の硬質樹脂材を、溶融状態で、射出成型金型90のゲートからパッド部材用空孔98内に、前述したアクセルペダル用パッド構造体1の場合と同様に3段階の保圧工程下で射出していき、本変形例のアクセルペダル用パッド構造体60を得る。ここで、パッド部材70の融着固定部74においては、ヒンジ部材80における起立部84を内部に収容しながら、その凹部84aの周囲において機械的に係止される係止部を画成すると共に、ヒンジ部材80における起立部84の平板状の外面及び凹部84aの周囲において融着固定部を画成する。また同時に、成型金型の一片92から突出する凸部92b及び他片94から突出する凸部94bが、ヒンジ部材80の起立部84の外面に当接していたため、パッド部材70の融着固定部74には孔74aが形成されて、ここにおいてヒンジ部材80の起立部84の外面は露出される。
【0077】
従って、このように予め成型されているヒンジ部材における起立部の外面を成型金型に対する位置決めに使うことができ、形状精度及び特性精度が高いパッド部材を、確実にヒンジ部材に融着することができる。
【0078】
次に、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の別の変形例につき、更に図12をも参照して、詳細に説明する。
【0079】
図12は、本変形例におけるアクセルペダル用パッド構造体の拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【0080】
図12に示すように、本変形例におけるアクセルペダル用パッド構造体100においては、前述したアクセルペダル用パッド構造体1に対して、パッド部材10の融着固定部14が、ヒンジ部材20の起立部24を内部に収容して、その外方から覆うように融着されて固定される代わりに、ヒンジ部材120の融着固定部124が、パッド部材110の先端部114を内部に収容して、その外方から覆うように融着されて固定されていることが主たる相違点であり、残余の構成は原理的に同様である。以下、かかる相違点に着目して、説明をする。
【0081】
具体的には、パッド部材110は、ヒンジ部材120よりも先に単品として成型されるもので、パッド部材110の先端部114には、複数の凹部114aが、前述した複数のボス24aと同様の配設パターン等の配設構成でもって陥設されている。なお、先端部114の凹部114aは、先端部114の表面から凹んでいる形状全てを包含する意味で用いており、例えば対向する凹部114a同士は連通して貫通孔となっていてもよい。
【0082】
また、ヒンジ部材120は、フロア部材に設けられた図示を省略する固定部材に嵌装される嵌装部122aが形成されたベース部122と、パッド部材110における先端部114に融着固定される融着固定部124と、ベース部122と融着固定部124とを回動自在に連絡するヒンジ部126と、を有する。
【0083】
つまり、かかる複数の凹部114aが陥設されたパッド部材110の先端部114には、ヒンジ部材120の融着固定部124が融着されて固定される。具体的には、ヒンジ部材120の融着固定部124は、パッド部材110の先端部114を内部に収容して、その外方から覆うようにパッド部材110に対して成型される過程で、ヒンジ部材120の軟質樹脂材が、高温高圧下の溶融状態で凹部114aを有する先端部114の周囲に射出されることにより、先端部114の平板状の外面及びそこに陥設された凹部114aの周囲において密接に融着されて固定される。ここに、かかる射出成型時においては、パッド部材110の先端部114に連なるパッド部の外面が、成型金型に対する位置基準として用いられる。
【0084】
このように融着されたヒンジ部材120の融着固定部124とパッド部材110の先端部114とは、互いを剥離するような外力を受けたとしても、これらは互いに融着しているため剥離に対して充分な耐力を有し、更に先端部114の凹部114aが、融着固定部124に埋没されるため、融着面積が増大されて剥離に対する耐力が増強されている。更にこのように、パッド部材110の先端部114の凹部114aが、ヒンジ部材120の融着固定部124に埋没されることにより、先端部114の凹部114a及びそこに樹脂材が回り込んだ融着固定部124が機械的な係止部として機能して、分離に対しても耐力が増強されている。
【0085】
なお、本変形例においては、硬質樹脂材からなるパッド部材110が、ヒンジ部材120よりも先に単品として成型されており、かかるパッド部材110に対して、軟質樹脂材を用いてヒンジ部材120を融着固定する構成であるため、パッド部材110とヒンジ部材120との間に明確な境界部を設けて、かかる境界部を冷却する構成や、成型時の多段階の保圧工程を設ける必要性を低めることができるが、もちろん同様の構成や工程を適用してもかまわない。また、ヒンジ部材120成型用の軟質樹脂材を射出するゲート位置に関しても、ヒンジ部材120の大きさ自体が相対的に小さいため、ヒンジ部材120のパッド部材110側端部から離間する自由度は少ないが、必要に応じて延在する樹脂注入路を設けて、ヒンジ部材120成型用の樹脂材の温度を低めてもかまわない。
【0086】
また、本変形例においては、射出成型時に、パッド部材110の先端部114に連なるパッド部の外面が、成型金型に対する位置基準として用いられたが、かかる構成の代わりに、先端部114にボスを設けたり、成型金型に凸部を設ける等の構成を採用し、かかるボスや、成型金型の凸部に対応する先端部114の外面を位置基準として用いてもよい。
【0087】
従って、以上の構成によれば、ヒンジ部材は、第1の樹脂材を用いて成型され、車体側に連絡されるベース部と、ヒンジ部材側連結部と、ベース部とヒンジ部材側連結部とを回動自在に連絡するヒンジ部と、を備え、パッド部材は、第1の樹脂材とは成型後の樹脂硬度が異なる第2の樹脂材を用いて成型され、踏み込み操作をされる部分であるパッド部と、パッド部材側連結部と、を備え、ヒンジ部材側連結部がパッド部材側連結部の少なくとも一部を外方から覆って内部に収容し、機械的係止部を画成しながら融着固定部を画成することにより互いに融着固定される構成により、パッド部材においては、基本剛性及基本強度を確保することができるのみならず、より剛性があって意匠性に優れたカバー部材を装着したり、透光性を持たして視認性を向上させるに足る構成となる。更に、ヒンジ部材においては、耐衝撃性や反復される回動動作に対する耐久性を確保することができると共に、車体側への組み付け性も簡便かつ確実にすることができ、また更に、複数種の車種や仕様について共通化して適用できるに足る構成となる。そして、かかるパッド部材とヒンジ部材とは、最適材料を各々適用された上で、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができ、このように一体成型されたアクセルペダル用パッド構造体を得ることができる。
【0088】
具体的には、パッド部材側連結部は、複数の凹部を有する先端部であり、ヒンジ部材側連結部は、パッド部材における先端部の複数の凹部を埋設しながら、先端部を外方から覆うように先端部に対して融着される融着固定部であるという構成により、パッド部材とヒンジ部材とは、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができる。
【0089】
最後に、本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の更に別の変形例につき、更に図13をも参照して、詳細に説明する。
【0090】
図13は、本変形例におけるアクセルペダル用パッド構造体の拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【0091】
図13に示すように、本変形例におけるアクセルペダル用パッド構造体130においても、上述した別の変形例のアクセルペダル用パッド構造体100と同様に、前述したアクセルペダル用パッド構造体1に対して、パッド部材10の融着固定部14が、ヒンジ部材20の起立部24を内部に収容して、その外方から覆うように融着されて固定される代わりに、ヒンジ部材150の融着固定部154が、パッド部材140の先端部144を内部に収容して、その外方から覆うように融着されて固定されていることが主たる相違点であり、残余の構成は原理的に同様である。以下、かかる相違点に着目して、説明をする。
【0092】
具体的には、本変形例でも、パッド部材140は、ヒンジ部材150よりも先に単品として成型されるものであるが、パッド部材140の先端部144には、各々が概略円柱状の形状を有する複数のボス144aが、前述した複数のボス24aと同様の配設パターン等の配設構成でもって形成されている。また、ヒンジ部材150は、フロア部材に設けられた図示を省略する固定部材に嵌装される嵌装部152aが形成されたベース部152と、パッド部材140における先端部144に融着固定される融着固定部154と、ベース部152と融着固定部154とを回動自在に連絡するヒンジ部156と、を有する。
【0093】
つまり、かかる複数のボス144aが形成されたパッド部材140の先端部144には、ヒンジ部材150の融着固定部154が融着されて固定される。具体的には、ヒンジ部材150の融着固定部154は、パッド部材140の先端部144を内部に収容して、その外方から覆うようにパッド部材140に対して成型される過程で、ヒンジ部材150の軟質樹脂材が、高温高圧下の溶融状態でボス144aを有する先端部144の周囲に射出されることにより、先端部144の平板状の外面及びそこに形成されたボス144aの周囲において密接に融着されて固定される。
【0094】
このように融着されたヒンジ部材150の融着固定部154とパッド部材140の先端部144とは、互いを剥離するような外力を受けたとしても、これらは互いに融着しているため剥離に対して充分な耐力を有し、先端部144のボス144aが、融着固定部154に埋設されるため、融着面積が増大されて剥離に対する耐力が増強されている。更にこのように、パッド部材140の先端部144のボス114aが、ヒンジ部材150の融着固定部154に埋設されることにより、先端部144のボス144aが機械的な係止部として機能して、分離に対しても耐力が増強されている。
【0095】
なお、本変形例においても、パッド部材140とヒンジ部材150との間に明確な境界部を設けて、かかる境界部を冷却する構成や、成型時の多段階の保圧工程を設ける必要性を低めることができるが、もちろん同様の構成や工程を適用してもかまわない。また、必要に応じて延在するヒンジ部材150成型用の樹脂注入路を設けて、ヒンジ部材150成型用の樹脂材の温度を低めてもかまわない。
【0096】
また、本変形例においても、射出成型時に、パッド部材140の先端部144に連なるパッド部の外面が、成型金型に対する位置基準として用いられたが、かかる構成の代わりに、先端部144にボスを設けたり、成型金型に凸部を設ける等の構成を採用し、かかるボスや、成型金型の凸部に対応する先端部144の外面を位置基準として用いてもよい。
【0097】
従って、以上の構成によれば、具体的には、パッド部材側連結部は、複数のボスを有する先端部であり、ヒンジ部材側連結部は、パッド部材における先端部の複数のボスを埋設しながら、先端部を外方から覆うように先端部に対して融着される融着固定部であるという構成により、パッド部材とヒンジ部材とは、機械的に係止されながら、確実に融着固定されることができる。
【0098】
また、以上の各種の変形例を含む本実施形態においては、ボス及び凹部の一方のみをヒンジ部材及びパッド部材に設ける構成につき説明したが、もちろん、ボス及び凹部の双方を同時にヒンジ部材及びパッド部材に設ける構成を採用してもよい。
【0099】
更に、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明においては、簡便かつ軽量な構成で、必要な機能、強度及び耐久性を確保しつつ、意匠性や視認性の向上にも資するに足る量産適合性に優れたアクセルペダル用パッド構造体を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から車両等に広範に適用され得るものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の正面図である。
【図2】図1のX矢視図である。
【図3】図2のY矢視部分拡大図である。
【図4】図1のA−A線による拡大部分断面図である。
【図5】本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体のヒンジ部材の正面図であり、図3と同様の位置関係で示す。
【図6】図5のB−B線による断面図である。
【図7】本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体のパッド部材にカバー部材を装着した状態の側面図であり、図2と同様の位置関係で示す。
【図8】本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体のパッド部材にカバー部材を装着した状態の拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【図9】本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の成型工程を示す拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【図10】本発明の実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の変形例の拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【図11】本実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の変形例の成型工程を示す拡大部分断面図であり、図9と同様の位置関係で示す。
【図12】本発明の実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の別の変形例の拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【図13】本発明の実施形態におけるアクセルペダル用パッド構造体の別の変形例の拡大部分断面図であり、図4と同様の位置関係で示す。
【符号の説明】
【0102】
1………アクセルペダル用パッド構造体
10……パッド部材
12……パッド部
12a…凸部
14……融着固定部
14s…外面
16……壁部
20……ヒンジ部材
22……ベース部
22a…嵌装部
24……起立部
24a…ボス
24s…端面
26……ヒンジ部
i………境界部
30……アクセルペダル用パッド構造体
40……カバー部材
42……壁部
50……成型金型
52……成型金型の一片
52a…冷却流路
54……成型金型の他片
54a…冷却流路
56……ヒンジ部材用空孔
58……パッド部材用空孔
58a…壁部形成部
58b…壁部形成部
60……アクセルペダル用パッド構造体
70……パッド部材
74……融着固定部
74a…孔
76……壁部
80……ヒンジ部材
82……ベース部
82a…嵌装部
84……起立部
84a…凹部
86……ヒンジ部
90……成型金型
92……成型金型の一片
92a…冷却流路
92b…凸部
94……成型金型の他片
94a…冷却流路
94b…凸部
96……ヒンジ部材用空孔
98……パッド部材用空孔
98a…壁部形成部
98b…壁部形成部
100……アクセルペダル用パッド構造体
110……パッド部材
114……先端部
114a…凹部
120……ヒンジ部材
122……ベース部
122a…嵌装部
124……融着固定部
126……ヒンジ部
130……アクセルペダル用パッド構造体
140……パッド部材
144……先端部
144a…ボス
150……ヒンジ部材
152……ベース部
152a…嵌装部
154……癒着固定部
156……ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者に踏み込み操作をされるパッド部材と、前記パッド部材を回動自在に車体側に連絡するヒンジ部材と、を備えたアクセルペダル用パッド構造体であって、
前記ヒンジ部材は、第1の樹脂材を用いて成型され、前記車体側に連絡されるベース部と、ヒンジ部材側連結部と、前記ベース部と前記ヒンジ部材側連結部とを回動自在に連絡するヒンジ部と、を備え、
前記パッド部材は、前記第1の樹脂材とは成型後の樹脂硬度が異なる第2の樹脂材を用いて成型され、前記踏み込み操作をされる部分であるパッド部と、パッド部材側連結部と、を備え、
前記ヒンジ部材側連結部と前記パッド部材側連結部とは、その一方が他方の少なくとも一部を外方から覆って内部に収容し、機械的係止部を画成しながら融着固定部を画成することにより互いに融着固定されたことを特徴とするアクセルペダル用パッド構造体。
【請求項2】
前記ヒンジ部材側連結部は、突設された複数のボス又は陥設された複数の凹部を有する起立部であり、前記パッド部材側連結部は、前記ヒンジ部材における前記起立部の前記複数のボス又は前記複数の凹部を埋設しながら、前記起立部を外方から覆うように前記起立部に対して融着されて前記パッド部を前記起立部に固定する融着固定部であることを特徴とする請求項1に記載のアクセルペダル用パッド構造体。
【請求項3】
前記パッド部材は、前記ヒンジ部材が成型された後成型され、成型後における前記パッド部材の前記第2の樹脂材の樹脂硬度は、成型後における前記ヒンジ部材の前記第1の樹脂材の樹脂硬度よりも高いことを特徴とする請求項2に記載のアクセルペダル用パッド構造体。
【請求項4】
前記ヒンジ部材における前記起立部の前記複数のボスの端面は、前記パッド部材を成型するための成型金型に対する、前記ヒンジ部材の位置基準として適用自在であることを特徴とする請求項2又は3に記載のアクセルペダル用パッド構造体。
【請求項5】
前記パッド部材の前記融着固定部は、前記ヒンジ部材の前記起立部側の終端において、前記起立部に対して実質的に直立する壁部を有することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のアクセルペダル用パッド構造体。
【請求項6】
前記パッド部材には、壁部を有するカバー部材が装着自在であり、前記カバー部材の前記壁部は、前記パッド部材における前記融着固定部の前記壁部に外方から当接自在であることを特徴とする請求項5に記載のアクセルペダル用パッド構造体。
【請求項7】
前記パッド部材の前記パッド部には、前記第2の樹脂材を導入するゲートに起因して形成され、前記カバー部材を係止自在な凸部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のアクセルペダル用パッド構造体。
【請求項8】
前記パッド部材側連結部は、複数のボス又は複数の凹部を有する先端部であり、前記ヒンジ部材側連結部は、前記パッド部材における前記先端部の前記複数のボス又は前記複数の凹部を埋設しながら、前記先端部を外方から覆うように前記先端部に対して融着される融着固定部であることを特徴とする請求項1に記載のアクセルペダル用パッド構造体。
【請求項9】
成型後の前記パッド部材の前記第2の樹脂材は、その透光性が調整自在であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のアクセルペダル用パッド構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−101966(P2009−101966A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277905(P2007−277905)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(592037790)株式会社エフテック (34)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】