説明

アクチュエーター

【課題】体格を小型化でき、部品点数が少なく、構造が簡単で、組付が簡単なアクチュエーターを提供することを課題とする。
【解決手段】アクチュエーター1は、駆動用流体室211と駆動用開口部210とを有する駆動用ハウジング部材21と、駆動用流体室211を封止して駆動用開口部210に固定され、一対の電極220、221と、一対の電極220、221間に介在し一対の電極220、221間の印加電圧が高くなるに従って膜展開方向の伸張量が大きくなる誘電体エラストマー製の伸縮膜222と、を有するダイヤフラム部材22と、を備える。アクチュエーター1は、低電圧状態と高電圧状態とに切り替え可能である。ダイヤフラム部材22を挟む駆動用流体室211の内外の差圧は、室外側よりも室内側の方が低圧になるように設定されており、低電圧状態から高電圧状態に切り替える際、ダイヤフラム部材22は、差圧に応じて、室内側に突出変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばポンプやバルブなどとして用いられるダイヤフラム型のアクチュエーターに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の[図8C]、[図8D]、[図8E]、特許文献2の[図6]には、ダイヤフラム式のアクチュエーターが開示されている。一例として、図8に、特許文献1のアクチュエーターの軸方向断面図を示す。図8(a)は、電源オフの状態を、図8(b)は電源オンの状態を、それぞれ示す。
【0003】
図8に示すように、アクチュエーター100は、第一ハウジング部材101と、第二ハウジング部材102と、フレーム103と、スプリング104と、ダイヤフラム部材105と、駆動用ロッド106と、スプリング用ロッド107と、を備えている。
【0004】
第一ハウジング部材101と第二ハウジング部材102との間には、フレーム103が挟持されている。フレーム103には、ダイヤフラム部材105が張設されている。ダイヤフラム部材105は、図示しない伸縮膜と一対の電極とを備えている。伸縮膜は、誘電体エラストマー製である。一対の電極は、伸縮膜の表裏両面に配置されている。スプリング104は、ダイヤフラム部材105の左面中心を、右方向に付勢している。駆動用ロッド106の左端は、ダイヤフラム部材105の右面中心に連結されている。駆動用ロッド106により、アクチュエーター100から駆動力が取り出される。
【0005】
電源をオフからオンに切り替えると、一対の電極間に電圧が印加される。電圧が印加されると、一対の電極間の静電引力も大きくなる。このため、伸縮膜は膜厚方向(左右方向)から圧縮され、伸縮膜の膜厚は小さくなる。膜厚が小さくなると、その分、伸縮膜は、膜展開方向外側(径方向外側)に伸張しようとする。しかしながら、伸縮膜の外周縁つまりダイヤフラム部材105の外周縁は、フレーム103に固定されている。このため、ダイヤフラム部材105は径方向外側に伸張できず、その分撓みが発生することになる。ここで、上述したようにダイヤフラム部材105は、スプリング104により、右方向に付勢されている。したがって、ダイヤフラム部材105は、スプリング104の付勢力により、撓み分だけ右方向に突出変形する。このため、駆動用ロッド106も、図8(b)に白抜き矢印で示すように、右方向に突出する。
【0006】
このように、特許文献1のアクチュエーター100の場合、スプリング104の付勢力により、駆動力を取り出している。なお、特許文献2のアクチュエーターも、上記特許文献1のアクチュエーター100と同様に、スプリングの付勢力により、駆動力を取り出している。
【特許文献1】特表2006−520180号公報
【特許文献2】特開2001−286162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アクチュエーター100によると、第一ハウジング部材101内部には、当然のことながらスプリング104の設置スペースが必要になる。このため、第一ハウジング部材101の体格延いてはアクチュエーター100の体格が大型化する。
【0008】
また、アクチュエーター100によると、スプリング104は勿論、第一ハウジング部材101の底壁にスプリング104左端を保持するための凹部101aが必要になる。並びに、スプリング104の胴部および右端を保持するため、右端にフランジ部107aを有するスプリング用ロッド107が必要になる。したがって、アクチュエーター100の部品点数が多くなる。また、アクチュエーター100の構造が複雑化する。
【0009】
また、スプリング104を、予め付勢力が蓄積された状態で、第一ハウジング部材101内部に設置する必要がある。このため、上記部品点数の多さ、構造の複雑さとも相俟って、組付作業が繁雑になる。
【0010】
本発明のアクチュエーターは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、体格を小型化でき、部品点数が少なく、構造が簡単で、組付が簡単なアクチュエーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明のアクチュエーターは、駆動用流体が充填される駆動用流体室と、該駆動用流体室に連通する駆動用開口部と、を有する駆動用ハウジング部材と、該駆動用流体室を封止して該駆動用開口部に固定され、一対の電極と、一対の該電極間に介在し一対の該電極間の印加電圧が高くなるに従って膜展開方向の伸張量が大きくなる誘電体エラストマー製の伸縮膜と、を有するダイヤフラム部材と、を備え、一対の該電極間の印加電圧が低い低電圧状態と、一対の該電極間の印加電圧が該低電圧状態よりも高い高電圧状態と、に切り替え可能であって、該ダイヤフラム部材を挟む該駆動用流体室の内外の差圧は、室外側よりも室内側の方が低圧になるように設定されており、該低電圧状態から該高電圧状態に切り替える際、該ダイヤフラム部材は、該差圧に応じて、該室内側に突出変形することを特徴とする(請求項1に対応)。
【0012】
つまり、本発明のアクチュエーターは、駆動用流体室内外の差圧により、駆動力を取り出すものである。本発明のアクチュエーターによると、前出図8のアクチュエーター100のスプリング104のような付勢部材は不要である。このため、駆動用ハウジング部材にスプリング104の設置スペースを確保する必要がない。すなわち、駆動用ハウジング部材は、最低限、ダイヤフラム部材の変形スペースを有していればよい。したがって、駆動用ハウジング部材延いてはアクチュエーターの体格を小型化することができる。
【0013】
また、本発明のアクチュエーターによると、スプリングなどの付勢部材は勿論、当該付勢部材を設置するための部材、部位が不要である。このため、部品点数が少なく、構造が簡単である。また、本発明のアクチュエーターによると、組付作業の際、付勢部材に蓄積する付勢力を考慮する必要がない。このため、組付が簡単である。
【0014】
また、本発明のアクチュエーターによると、誘電体エラストマーの電歪特性を利用して駆動力を取り出している。このため、モーターなどにより駆動力を取り出す場合と比較して、消費電力を小さくすることができる。また、駆動時の騒音を低減することができる。
【0015】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、さらに、作動用流体を吸排する作動用流体室と、該作動用流体室に連通すると共に前記駆動用ハウジングの前記駆動用開口部との間に前記ダイヤフラム部材を挟持する作動用開口部と、該作動用流体室に該作動用流体を吸入する吸入口と、該作動用流体室から該作動用流体を排出する排出口と、を有する作動用ハウジング部材を備え、前記低電圧状態と前記高電圧状態とを切り替えて該ダイヤフラム部材を変形させることにより、該作動用流体室の容積を変化させ該作動用流体を吸排する構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0016】
つまり、本構成は、作動用流体(例えば気体や液体など)を吸排するポンプとして、本発明のアクチュエーターを用いるものである。前出図8のアクチュエーター100の場合、スプリング104はダイヤフラム部材105の左面中心だけを、局所的に右方向に付勢している。すなわち、前出図8(b)に示すように、ダイヤフラム部材105の中心から外周縁までの区間L1は、ダイヤフラム部材105の中心とフレーム103との間で引っ張られて変形しているに過ぎない。このため、区間L1は平面状に変形する。
【0017】
これに対して、本構成によると、ダイヤフラム部材の比較的広い部分が、作動用流体室(高圧)と駆動用流体室(低圧)との間の差圧により、駆動用流体室側に引っ張られている。このため、ダイヤフラム部材は、弧面状に変形する。したがって、本構成によると、作動用流体室の容積変化量が大きくなる。つまり、作動用流体の単位時間あたりの流量が大きくなる。
【0018】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記ダイヤフラム部材の前記室外側の表面は、気体に曝されており、該ダイヤフラム部材は、該気体が前記差圧により該ダイヤフラム部材を透過して前記駆動用流体室に流入し該差圧が小さくなるのを抑制するため、バリヤ層を有する構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0019】
ダイヤフラム部材の伸縮膜は、誘電体エラストマー製である。このため、ダイヤフラム部材の室外側つまり高圧側の表面が気体に曝されている場合、ダイヤフラム部材を透過して、駆動用流体室に当該気体が流入するおそれがある。この点、本構成はバリヤ層を有している。このため、気体がダイヤフラム部材を透過するのを抑制することができる。
【0020】
(4)好ましくは、上記(2)の構成において、前記作動用流体は、導電性を有する液体であり、前記ダイヤフラム部材は、該作動用流体が導通するのを抑制するため、前記作動用流体室側の表面に絶縁層を有する構成とする方がよい(請求項4に対応)。
【0021】
作動用流体が導電性を有する液体の場合、一対の電極間に電圧を印加する際、作動用流体が導通するおそれがある。この点、本構成は絶縁層を有している。このため、作動用流体が導通するのを抑制することができる。
【0022】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記ダイヤフラム部材は、複数の前記伸縮膜が前記電極を介して積層されてなる構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0023】
本構成によると、ダイヤフラム部材が、複数の伸縮膜と電極とを交互に積層させた積層構造を呈している。このため、伸縮膜が積層された分だけ、より大きな荷重を発生させることができる。
【0024】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記電極は、前記伸縮膜の伸縮を規制しないように伸縮可能である構成とする方がよい(請求項6に対応)。
【0025】
電極が伸縮膜の伸縮を規制すると、伸縮膜が充分に変形できないので、所望のストロークを確保しにくくなる。この点、本構成によると、電極は伸縮膜の伸縮を規制しない。すなわち、電極は伸縮膜と一体となって変形する。このため、所望のストロークを確保しやすい。
【0026】
また、アクチュエーターの出力は、ダイヤフラム部材の伸縮力、およびダイヤフラム部材を挟む駆動用流体室の内外の差圧に起因する付勢力により確保されている。電極が伸縮膜の伸縮を規制すると、電極を強制的に伸縮膜と共に伸縮させるのに、伸縮膜の伸縮力および差圧に起因する付勢力の一部が、消費されてしまう。このため、消費分だけ、出力が低下してしまう。この点、本構成によると、電極は伸縮膜の伸縮に応じて伸縮可能である。つまり、電極は伸縮膜と一体となって変形することができる。このため、出力の低下を抑制することができる。
【0027】
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記誘電体エラストマーは、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムから選ばれる一種以上である構成とする方がよい(請求項7に対応)。
【0028】
誘電体エラストマーは、電極間の静電引力に応じて変形するものであれば、その種類が特に限定されるものではない。本構成におけるアクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、およびウレタンゴムは、いずれも誘電性、絶縁破壊性が高いため好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、体格を小型化でき、部品点数が少なく、構造が簡単で、組付が簡単なアクチュエーターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明のアクチュエーターの実施の形態について説明する。
【0031】
<第一実施形態>
本実施形態は、本発明のアクチュエーターをポンプとして具現化したものである。
【0032】
[本実施形態のポンプの構成]
まず、本実施形態のポンプの構成について説明する。図1に、本実施形態のポンプの斜視図を示す。図2に、同ポンプの分解斜視図を示す。図3に、同ポンプの低電圧状態の軸方向(上下方向)断面図を示す。図4に、同ポンプの高電圧状態の軸方向断面図を示す。
【0033】
ポンプ1は、作動用ハウジング部材20と、駆動用ハウジング部材21と、ダイヤフラム部材22と、を備えている。図3、図4に示すように、ポンプ1は熱源用冷却回路Cの一部を構成している。熱源用冷却回路Cには、冷却液が循環している。冷却液は、本発明の作動用流体に含まれる。
【0034】
作動用ハウジング部材20は、ポリアミド製であって、下方に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、作動用ハウジング部材20の下端には、作動用開口部200が配置されている。また、作動用ハウジング部材20の内部には、作動用流体室201が区画されている。また、作動用ハウジング部材20の上底壁には、吸入筒部202および排出筒部203が突設されている。吸入筒部202と排出筒部203とは、上底壁の中心を挟んで、180°対向して配置されている。吸入筒部202および排出筒部203は、共に短軸円筒状を呈している。吸入筒部202先端には、吸入口202aが開設されている。吸入口202aは、熱源用冷却回路Cの吸入側逆止弁V1下流側に接続されている。排出筒部203先端には、排出口203aが開設されている。排出口203aは、熱源用冷却回路Cの排出側逆止弁V2上流側に接続されている。作動用ハウジング部材20の側周壁外面には、リング状のフランジ部204が形成されている。フランジ部204には、上下方向に延びるボルト貫通孔204aが穿設されている。ボルト貫通孔204aは、180°対向して、一対配置されている。
【0035】
駆動用ハウジング部材21は、ポリアミド製であって、上方に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、駆動用ハウジング部材21の上端には、駆動用開口部210が配置されている。駆動用ハウジング部材21と作動用ハウジング部材20とは、駆動用開口部210と作動用開口部200との間にダイヤフラム部材22を挟持した状態で、上下方向に対向して配置されている。駆動用ハウジング部材21の内部には、駆動用流体室211が区画されている。また、駆動用ハウジング部材21の下底壁には、短軸円筒状の減圧用筒部212が突設されている。減圧用筒部212は、減圧弁V3を介して、真空ポンプに接続されている。駆動用ハウジング部材21の側周壁外面には、リング状のフランジ部214が形成されている。フランジ部214には、上下方向に延びるボルト貫通孔214aが穿設されている。ボルト貫通孔214aは、180°対向して、一対配置されている。一対のボルト貫通孔214aは、作動用ハウジング部材20の一対のボルト貫通孔204aと、上下方向に対向して配置されている。これらボルト貫通孔204a、214aには、上方から下方に向かって、ボルト215が貫通している。ボルト215の貫通端(下端)には、ナット216が螺着されている。これらボルト215およびナット216により、駆動用ハウジング部材21のフランジ部214と作動用ハウジング部材20のフランジ部204とは、連結されている。また、駆動用ハウジング部材21の側周壁外面には、リング溝217が凹設されている。リング溝217は、駆動用ハウジング部材21の側周壁外面を一周している。
【0036】
ダイヤフラム部材22は、プラス電極220と、マイナス電極221と、伸縮膜222と、絶縁膜223と、が積層されて形成されている。絶縁膜223は、本発明の絶縁層に含まれる。
【0037】
プラス電極220およびマイナス電極221は、共にシリコンオイルが混合されたカーボンナノチューブ(CNT)製であって、円形膜状を呈している。プラス電極220およびマイナス電極221は、伸縮膜222の伸縮を規制しないように、伸縮膜222と共に変形する。プラス電極220は、スイッチ(図略)を介して、電源(図略)のプラス側に接続されている。マイナス電極221は、電源のマイナス側に接続されている。
【0038】
伸縮膜222は、アクリルゴム製であって、円形膜状を呈している。伸縮膜222は、プラス電極220およびマイナス電極221よりも、若干大径である。伸縮膜222は、プラス電極220とマイナス電極221との間に、介装されている。すなわち、上下方向に隣り合う一対のプラス電極220およびマイナス電極221により、伸縮膜222に電圧が印加される。
【0039】
絶縁膜223は、シリコングリス製の塗膜である。絶縁膜223は、円形膜状を呈している。絶縁膜223は、ダイヤフラム部材22の最上部に配置されている。すなわち、絶縁膜223により、ダイヤフラム部材22を構成する他の部材は、上方から覆われている。
【0040】
ダイヤフラム部材22は、作動用ハウジング部材20の作動用開口部200の口縁と、駆動用ハウジング部材21の駆動用開口部210の口縁と、の間に挟持、固定されている。ダイヤフラム部材22の外周縁は、鋼製のワイヤ224により、リング溝217に固定されている。ダイヤフラム部材22は、外周縁が拡径方向に伸張された延伸状態で配置されている。
【0041】
[本実施形態のポンプの組付方法]
次に、本実施形態のポンプ1の組付方法について簡単に説明する。まず、駆動用ハウジング部材21の駆動用開口部210に、ワイヤ224を用いて、ダイヤフラム部材22を固定する。すなわち、ダイヤフラム部材22により、駆動用流体室211を封止する。なお、この際、ダイヤフラム部材22を、外周縁が拡径方向に伸張された延伸状態で駆動用開口部210に固定する。
【0042】
次いで、ダイヤフラム部材22の上方から、作動用ハウジング部材20を、作動用開口部200が下を向くように配置する。すなわち、作動用ハウジング部材20を伏設する。それから、ボルト215およびナット216により、駆動用ハウジング部材21のフランジ部214と作動用ハウジング部材20のフランジ部204とを、連結する。
【0043】
その後、減圧用筒部212を、減圧弁V3および真空ポンプに連通させる。そして、減圧弁V3を開弁し、真空ポンプにより、駆動用流体室211を所定の圧力になるように減圧する。すなわち、本実施形態における駆動用流体は空気である。ここで、ダイヤフラム部材22を挟む駆動用流体室211外部の気圧は、大気圧である。一方、ダイヤフラム部材22を挟む駆動用流体室211内部の気圧は、負圧である。このため、ダイヤフラム部材22を挟む駆動用流体室211の内外の差圧により、ダイヤフラム部材22は、下方つまり駆動用流体室211側に、突出変形する。駆動用流体室211が所定の圧力になったら、減圧弁V3を閉弁し、駆動用流体室211を封止する。
【0044】
最後に、吸入筒部202の吸入口202aを熱源用冷却回路Cの吸入側逆止弁V1下流側に、排出筒部203の排出口203aを熱源用冷却回路Cの排出側逆止弁V2上流側に、それぞれ接続する。このようにして、本実施形態のポンプ1は組み付けられる。
【0045】
[本実施形態のポンプの動き]
次に、本実施形態のポンプ1の動きについて説明する。低電圧状態においては、スイッチが開成されている。このため、前出図3に示すように、ダイヤフラム部材22の伸縮膜222には、電圧が印加されていない。したがって、ダイヤフラム部材22は、駆動用流体室211側に所定量だけ突出した状態で停止している。
【0046】
スイッチが閉成されると、高電圧状態になり、ダイヤフラム部材22は、膜展開方向に伸張する。しかしながら、ダイヤフラム部材22の外周部は、作動用開口部200と駆動用開口部210との間に、挟持されている。このため、ダイヤフラム部材22は、伸張分に応じて、駆動用流体室211の負圧に引っ張られて、下方に突出する。すなわち、前出図4に示すように、低電圧状態と比較して、ダイヤフラム部材22は、さらに駆動用流体室211側に突出する。ダイヤフラム部材22が下方に突出すると、その分、作動用流体室201の容積が大きくなる。このため、吸入側逆止弁V1が開き(排出側逆止弁V2は閉じている)、吸入口202aを介して、熱源用冷却回路Cから作動用流体室201に、冷却液が流入する。
【0047】
再びスイッチが開成されると、高電圧状態から低電圧状態に切り替わる。このため、ダイヤフラム部材22が、駆動用流体室211の負圧に抗して、上方に復動する。したがって、作動用流体室201の容積が小さくなる。作動用流体室201の容積が小さくなると、排出側逆止弁V2が開き(吸入側逆止弁V1は閉じている)、排出口203aを介して、作動用流体室201から熱源用冷却回路Cに、冷却液が流出する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のポンプ1は、スイッチの開閉を繰り返すことにより、低電圧状態と高電圧状態とを交互に発生させ、冷却液を熱源用冷却回路Cに循環させている。循環する冷却液は、ポンプ1出側で熱源を冷却する。熱源との熱交換で高温になった冷却液は、放熱器で冷却され低温に戻る。低温に戻った冷却液は、ポンプ1に流入し、再びポンプ1出側で熱源を冷却する。このようにして、冷却液は、熱源用冷却回路Cを循環している。
【0049】
[作用効果]
次に、本実施形態のポンプ1の作用効果について説明する。本実施形態のポンプ1によると、前出図8のアクチュエーター100のスプリング104のような付勢部材は不要である。このため、駆動用ハウジング部材21にスプリング104の設置スペースを確保する必要がない。駆動用ハウジング部材21は、最低限ダイヤフラム部材22の変形スペースを有していればよい。したがって、駆動用ハウジング部材21延いてはポンプ1の体格を小型化することができる。
【0050】
また、本実施形態のポンプ1によると、スプリングなどの付勢部材は勿論、当該付勢部材を設置するための部材、部位が不要である。このため、部品点数が少なく、構造が簡単である。また、本実施形態のポンプ1によると、組付作業の際、付勢部材に蓄積する付勢力を考慮する必要がない。このため、組付が簡単である。
【0051】
また、本実施形態のポンプ1によると、アクリルゴムの電歪特性を利用して駆動力を取り出している。このため、モーターなどにより駆動力を取り出す場合と比較して、消費電力を小さくすることができる。また、駆動時の騒音を低減することができる。
【0052】
また、本実施形態のポンプ1によると、ダイヤフラム部材22の比較的広い部分が、作動用流体室201と駆動用流体室211との間の差圧により、駆動用流体室211側に引っ張られている。このため、ダイヤフラム部材22は、前出図3、図4に示すように、あたかも駆動用流体室211側に膨出するように、弧面状に変形する。したがって、本実施形態のポンプ1によると、作動用流体室201の容積変化量が大きくなる。つまり、冷却液の単位時間あたりの流量が大きくなる。
【0053】
また、本実施形態のポンプ1によると、プラス電極220の上面が絶縁膜223により覆われている。すなわち、プラス電極220と作動用流体室201の冷却液とは、絶縁膜223により遮断されている。このため、プラス電極220により冷却液が導通するのを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態のポンプ1によると、ダイヤフラム部材22を挟む駆動用流体室211の内外の差圧を調整することで、作動用流体室201の冷却液の吸入力を調整することができる。例えば、差圧を大きくすることで、吸入力を大きくすることができる。また、差圧を小さくすることで、吸入力を小さくすることができる。
【0055】
また、本実施形態のポンプ1によると、プラス電極220およびマイナス電極221が、伸縮膜222の伸縮を規制しないように伸縮可能である。このため、所望のストロークを確保しやすい。
【0056】
また、ポンプ1の出力は、ダイヤフラム部材22の伸縮力、およびダイヤフラム部材22を挟む駆動用流体室211の内外の差圧に起因する付勢力により確保されている。プラス電極220およびマイナス電極221が伸縮膜222の伸縮を規制すると、プラス電極220およびマイナス電極221を強制的に伸縮膜222と共に伸縮させるのに、伸縮膜222の伸縮力および差圧に起因する付勢力の一部が、消費されてしまう。このため、消費分だけ、出力が低下してしまう。この点、本実施形態のポンプ1によると、プラス電極220およびマイナス電極221は伸縮膜222の伸縮に応じて伸縮可能である。つまり、プラス電極220およびマイナス電極221は伸縮膜222と一体となって変形することができる。このため、出力の低下を抑制することができる。また、伸縮膜222は、アクリルゴム製である。このため、伸縮膜222の誘電性、絶縁破壊性が高い。したがって、低電圧状態と高電圧状態との電位差を大きくすることができる。
【0057】
<第二実施形態>
本実施形態のポンプと第一実施形態のポンプとの相違点は、ダイヤフラム部材の構成のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図5に、本実施形態のポンプのダイヤフラム部材の分解斜視図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。
【0058】
ダイヤフラム部材22は、図5に示すように、合計六枚のプラス電極220と、合計五枚のマイナス電極221と、合計十枚の伸縮膜222と、一枚の絶縁膜223と、が積層されて形成されている。
【0059】
プラス電極220とマイナス電極221と伸縮膜222とは、下方から上方に向かって、プラス電極220→伸縮膜222→マイナス電極221→伸縮膜222→プラス電極220という順番で、積層されている。絶縁膜223は、この積層構造の最上面を覆っている。
【0060】
六枚のプラス電極220は、ダイヤフラム部材22の直径方向一端で束ねられ、スイッチSを介して、電源のプラス側に接続されている。一方、五枚のマイナス電極221は、ダイヤフラム部材22の直径方向他端で束ねられ、電源のマイナス側に接続されている。
【0061】
本実施形態のポンプと第一実施形態のポンプとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のポンプによると、ダイヤフラム部材22に合計十枚の伸縮膜222が積層されている。このため、伸縮膜222が一枚の場合と比較して、より大きな荷重を発生させることができる。したがって、冷却液の排出圧を大きくすることができる。
【0062】
<第三実施形態>
本実施形態のアクチュエーターは、相手側部材を一軸方向に往復動させるために用いられる。本実施形態のアクチュエーターと第一実施形態のポンプとの構成上の相違点は、作動用ハウジング部材の代わりにロッド用ハウジング部材が配置されている点である。また、往復ロッドがダイヤフラム部材に固定されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0063】
[本実施形態のアクチュエーターの構成]
まず、本実施形態のアクチュエーターの構成について説明する。図6に、本実施形態のアクチュエーターの低電圧状態の軸方向(上下方向)断面図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ符号で示す。図7に、同アクチュエーターの高電圧状態の軸方向断面図を示す。なお、図4と対応する部位については同じ符号で示す。
【0064】
本実施形態のアクチュエーター3は、ロッド用ハウジング部材30と、駆動用ハウジング部材21と、ダイヤフラム部材22と、往復ロッド31と、を備えている。ロッド用ハウジング部材30は、ポリアミド製であって、下方に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、ロッド用ハウジング部材30の下端には、ロッド用開口部300が配置されている。また、ロッド用ハウジング部材30の上底壁中心には、ロッド貫通孔301が穿設されている。ロッド用ハウジング部材30の側周壁外面には、リング状のフランジ部304が形成されている。フランジ部304には、上下方向に延びるボルト貫通孔304aが穿設されている。ボルト貫通孔304aは、180°対向して、一対配置されている。
【0065】
ボルト215がボルト貫通孔304a、214aを貫通し、貫通端にナット216が螺着されることにより、駆動用ハウジング部材21のフランジ部214とロッド用ハウジング部材30のフランジ部304とは、連結されている。
【0066】
ダイヤフラム部材22は、プラス電極220と、マイナス電極221と、伸縮膜222と、バリヤ膜225と、が積層されて形成されている。バリヤ膜225は、本発明のバリヤ層に含まれる。
【0067】
バリヤ膜225は、シリコングリス製の塗膜である。バリヤ膜225は、円形膜状を呈している。バリヤ膜225は、ダイヤフラム部材22の最上部に配置されている。すなわち、バリヤ膜225により、ダイヤフラム部材22を構成する他の部材は、上方から覆われている。
【0068】
往復ロッド31は、上下方向に延在する丸棒状を呈している。往復ロッド31は、ロッド貫通孔301を貫通している。往復ロッド31の下端は、バリヤ膜225の上面中心に固定されている。往復ロッド31の上端は、相手側部材に接続されている。往復ロッド31は、ロッド貫通孔301の延在方向、つまり上下方向に往復動可能である。
【0069】
[本実施形態のアクチュエーターの動き]
次に、本実施形態のアクチュエーター3の動きについて説明する。低電圧状態においては、スイッチ(図略)が開成されている。このため、前出図6に示すように、ダイヤフラム部材22の伸縮膜222には、電圧が印加されていない。したがって、ダイヤフラム部材22は、駆動用流体室211側に所定量だけ突出した状態で停止している。
【0070】
スイッチが閉成されると、高電圧状態になり、ダイヤフラム部材22は、膜展開方向に伸張する。しかしながら、ダイヤフラム部材22の外周部は、ロッド用開口部300と駆動用開口部210との間に、挟持されている。このため、ダイヤフラム部材22は、駆動用流体室211の負圧に引っ張られて、下方に突出する。すなわち、前出図7に示すように、低電圧状態と比較して、ダイヤフラム部材22は、さらに駆動用流体室211側に突出する。ダイヤフラム部材22が下方に突出すると、その分、往復ロッド31がロッド用ハウジング部材30内部に没入する。つまり、往復ロッド31が下降する。
【0071】
再びスイッチが開成されると、高電圧状態から低電圧状態に切り替わる。このため、ダイヤフラム部材22が、駆動用流体室211の負圧に抗して、上方に復動する。したがって、往復ロッド31がロッド用ハウジング部材30外部に突出する。つまり、往復ロッド31が上昇する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態のアクチュエーター3は、スイッチの開閉を繰り返すことにより、低電圧状態と高電圧状態とを交互に発生させ、往復ロッド31すなわち相手側部材を上下方向に往復動させている。
【0073】
[作用効果]
次に、本実施形態のアクチュエーター3の作用効果について説明する。本実施形態のアクチュエーター3と第一実施形態のポンプとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のアクチュエーター3によると、ダイヤフラム部材22の最上部にバリヤ膜225が配置されている。このため、ロッド用ハウジング部材30内部の気体が、ダイヤフラム部材22を透過して、駆動用流体室211に流入するのを抑制することができる。したがって、駆動用流体室211の負圧を長時間確保することができる。
【0074】
<その他>
以上、本発明のアクチュエーターの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0075】
第一実施形態においては、作動用ハウジング部材20と駆動用ハウジング部材21とを連結してから、駆動用流体室211の減圧を行った。しかしながら、駆動用流体室211の減圧は、作動用ハウジング部材20と駆動用ハウジング部材21とを連結する前に行ってもよい。また、駆動用流体室211の減圧は、作動用流体室201に冷却液が入っている状態で行ってもよい。
【0076】
また、ダイヤフラム部材22を挟む駆動用流体室211の内外に、常時差圧を設定していなくてもよい。例えば、第一実施形態のポンプ1の場合、車両のイグニッションスイッチのオンに連動して、真空ポンプを起動し駆動用流体室211を所定の負圧まで減圧してもよい。すなわち、少なくともポンプ1駆動時に差圧が設定されていればよい。
【0077】
また、駆動用流体室211の減圧は、真空ポンプのみならず、例えば注射器などにより行ってもよい。また、駆動用流体室211の圧力を定期的にチェックして、許容圧力を超えたら自動的に真空ポンプにより減圧する形態で実施してもよい。
【0078】
また、第一実施形態においては、作動用流体として冷却液を用いたが、水、オイル、燃料など、他の液体を用いてもよい。また、気体を用いてもよい。気体を用いる場合、例えば窒素など伸縮膜222を透過しにくい気体を用いる方がよい。こうすると、駆動用流体室211の圧力が上昇しにくい。
【0079】
また、上記実施形態においては、駆動用流体室211を大気圧よりも低い負圧に設定したが、駆動用流体室211の圧力は、負圧でなくてもよい。ダイヤフラム部材22を駆動用流体室211側に付勢できればよい。
【0080】
また、上記実施形態においては、低電圧状態におけるプラス電極220とマイナス電極221との間の印加電圧を0Vとしたが、印加電圧は0Vでなくてもよい。高電圧状態よりも電圧が低ければよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、作動用ハウジング部材20、駆動用ハウジング部材21、ロッド用ハウジング部材30の材質をポリアミド製としたが、材質は特に限定しない。例えば、他の樹脂製、あるいは金属製としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態においては、ダイヤフラム部材22をワイヤ224を用いて固定したが、クランプリングを用いて固定してもよい。また、接着など他の方法でダイヤフラム部材22を固定してもよい。また、第一実施形態においては、吸入口202a、排出口203aを、各々一つずつ配置したが、吸入口202a、排出口203aの配置数は特に限定しない。
【0083】
また、ダイヤフラム部材22におけるプラス電極220、マイナス電極221、伸縮膜222の積層数も特に限定しない。また、上記実施形態においては、作動用ハウジング部材20と駆動用ハウジング部材21、あるいはロッド用ハウジング部材30と駆動用ハウジング部材21を、ボルト215およびナット216により連結したが、接着、溶着、爪嵌合などにより両部材を連結してもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、プラス電極220およびマイナス電極221を、共にシリコンオイルが混合されたカーボンナノチューブ(CNT)製としたが、プラス電極220およびマイナス電極221の材質も特に限定しない。カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料からなる導電材に、バインダーとしてオイルやエラストマーを混合したペーストまたは塗料を塗布して、プラス電極220やマイナス電極221を形成するとよい。バインダーとなるエラストマーとしては、例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム等の柔軟なものが好適である。また、伸縮膜222の伸縮性をより向上させるため、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の導電性微粉体を、伸縮膜222の表面に直接付着させてプラス電極220やマイナス電極221を形成してもよい。
【0085】
また、絶縁膜223の材質も特に限定しない。伸縮膜222の伸縮に応じて伸縮可能である方が好ましい。例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム等の柔軟なものが好適である。また、絶縁膜223を伸縮膜222と同じ材質にすると、より大きな駆動力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第一実施形態のポンプの斜視図である。
【図2】同ポンプの分解斜視図である。
【図3】同ポンプの低電圧状態の軸方向断面図である。
【図4】同ポンプの高電圧状態の軸方向断面図である。
【図5】第二実施形態のポンプのダイヤフラム部材の分解斜視図である。
【図6】第三実施形態のアクチュエーターの低電圧状態の軸方向断面図である。
【図7】同アクチュエーターの高電圧状態の軸方向断面図である。
【図8】(a)は特許文献1のアクチュエーターの電源オフ状態の軸方向断面図である。(b)は同アクチュエーターの電源オン状態の軸方向断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1:ポンプ(アクチュエーター)。
20:作動用ハウジング部材、21:駆動用ハウジング部材、22:ダイヤフラム部材、200:作動用開口部、201:作動用流体室、202:吸入筒部、202a:吸入口、203:排出筒部、203a:排出口、204:フランジ部、204a:ボルト貫通孔、210:駆動用開口部、211:駆動用流体室、212:減圧用筒部、214:フランジ部、214a:ボルト貫通孔、215:ボルト、216:ナット、217:リング溝、220:プラス電極(電極)、221:マイナス電極(電極)、222:伸縮膜、223:絶縁膜(絶縁層)、224:ワイヤ、225:バリヤ膜(バリヤ層)。
3:アクチュエーター、30:ロッド用ハウジング部材、31:往復ロッド、300:ロッド用開口部、301:ロッド貫通孔、304:フランジ部、304a:ボルト貫通孔。
C:熱源用冷却回路、S:スイッチ、V1:吸入側逆止弁、V2:排出側逆止弁、V3:減圧弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用流体が充填される駆動用流体室と、該駆動用流体室に連通する駆動用開口部と、を有する駆動用ハウジング部材と、
該駆動用流体室を封止して該駆動用開口部に固定され、一対の電極と、一対の該電極間に介在し一対の該電極間の印加電圧が高くなるに従って膜展開方向の伸張量が大きくなる誘電体エラストマー製の伸縮膜と、を有するダイヤフラム部材と、
を備え、
一対の該電極間の印加電圧が低い低電圧状態と、一対の該電極間の印加電圧が該低電圧状態よりも高い高電圧状態と、に切り替え可能であって、
該ダイヤフラム部材を挟む該駆動用流体室の内外の差圧は、室外側よりも室内側の方が低圧になるように設定されており、
該低電圧状態から該高電圧状態に切り替える際、該ダイヤフラム部材は、該差圧に応じて、該室内側に突出変形するアクチュエーター。
【請求項2】
さらに、作動用流体を吸排する作動用流体室と、該作動用流体室に連通すると共に前記駆動用ハウジングの前記駆動用開口部との間に前記ダイヤフラム部材を挟持する作動用開口部と、該作動用流体室に該作動用流体を吸入する吸入口と、該作動用流体室から該作動用流体を排出する排出口と、を有する作動用ハウジング部材を備え、
前記低電圧状態と前記高電圧状態とを切り替えて該ダイヤフラム部材を変形させることにより、該作動用流体室の容積を変化させ該作動用流体を吸排する請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項3】
前記ダイヤフラム部材の前記室外側の表面は、気体に曝されており、
該ダイヤフラム部材は、該気体が前記差圧により該ダイヤフラム部材を透過して前記駆動用流体室に流入し該差圧が小さくなるのを抑制するため、バリヤ層を有する請求項1または請求項2に記載のアクチュエーター。
【請求項4】
前記作動用流体は、導電性を有する液体であり、
前記ダイヤフラム部材は、該作動用流体が導通するのを抑制するため、前記作動用流体室側の表面に絶縁層を有する請求項2に記載のアクチュエーター。
【請求項5】
前記ダイヤフラム部材は、複数の前記伸縮膜が前記電極を介して積層されてなる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のアクチュエーター。
【請求項6】
前記電極は、前記伸縮膜の伸縮を規制しないように伸縮可能である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のアクチュエーター。
【請求項7】
前記誘電体エラストマーは、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のアクチュエーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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