説明

アクチュエータ及びこれを用いた電動歯ブラシ

【課題】電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現すること。
【解決手段】固定体110は、マグネット150において極の異なる磁極面にそれぞれ所定間隔を空けて対向する内壁面を有するアウターヨーク140を有する。マグネット150において極の異なる磁極面と、極の異なる磁極面のそれぞれと対向するアウターヨーク140の内壁面との間に、マグネット150を周回するコイル122が配置され、このコイル122は可動体120として固定体110に取り付けられる弾性部材130を介して可動自在に支持される。コイル122に、交流供給部180から、可動体120の共振周波数に略等しい周波数の交流が供給されることによって、可動体120は往復回転運動を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシ或いは電動音波歯ブラシ等に用いられるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動音波歯ブラシを含む電動歯ブラシでは、往復直線運動により、歯と歯茎の境界部分に斜め(約45度の角度)に当てて左右に振動するバス磨き用の歯ブラシと、軸回りの所定角度範囲で往復(正逆)回転運動して、歯茎から歯に向かって回転させるように動くローリング磨き用の歯ブラシが知られている。
【0003】
これら歯ブラシの駆動には、通常の軸回り回転を行う回転式DCモータの回転を、運動方向変換機構を介して直線往復運動又は往復回転運動する構造が多く用いられている。また、この構造以外にも、リニア駆動アクチュエータにより歯ブラシを往復直線運動する構造又は、アクチュエータの振動によって駆動源とは別体の共振振動機構を共振させて歯ブラシを往復回転運動する構造が知られている。
【0004】
リニア駆動アクチュエータにより歯ブラシを往復直線運動させる構造は、特許文献1に示すように、リニア駆動アクチュエータによって、歯ブラシ部に直結する出力軸の軸方向の往復振動を直接発生させてバス磨きを実現している。この構造では、運動変換機構による動力ロスがなく、また高速な振動を行わせることができるものとなっている。
【0005】
また、アクチュエータと、駆動源とは別体の共振振動機構とを有する構造は、特許文献2に示すように、電磁石及び永久磁石を備える駆動手段によって、レバーアームを備える共振振動機構を励振して、歯ブラシ部に同軸で直結するレバーアームを首振り運動させてローリング磨きを実現している。
【特許文献1】特開2002−078310号公報
【特許文献2】特許第3243529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電動歯ブラシでは、ローリング磨きを実現できるとともに、ローリング磨き用歯ブラシを駆動させる駆動部分が収容される柄の部分を極力細くしたいため、歯ブラシの駆動部分の小型化が望まれている。
【0007】
しかしながら、通常の軸回り回転するモータを用いローリング磨きを実現するためには、モータとは別に当該モータの回転を往復回転運動に変換するための運動方向変換機構が必要となる。また、特許文献1のようリニア駆動アクチュエータを用いローリング磨きを実現するためには、リニア駆動アクチュエータとは別にトルク発生機構(駆動源)が必要となる。
【0008】
また、特許文献2に示す構造では、駆動源とともに、駆動源とは別の共振振動機構が必要となる。
【0009】
したがって、従来の構造では、モータ或いはリニア駆動アクチュエータを電動歯ブラシの駆動源としてみた場合、駆動源に加えて、駆動源とは別の運動方向変換機構又はトルク発生機構又は共振振動機構の配置スペースを確保する必要があるので、歯ブラシの小型化には困難であるという問題がある。
【0010】
さらに、歯ブラシの駆動部分として、モータなどのアクチュエータとは別体の運動方向変換機構といった駆動伝達機構を備える場合、駆動伝達機構では、騒音発生の恐れ及び伝達される動力ロスの発生による効率悪化の恐れがあり、これらの対策も考慮する必要がある。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現できる、小型化のアクチュエータ及び電動歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のアクチュエータは、永久磁石及び前記永久磁石において極の異なる磁極面にそれぞれ所定間隔を空けて対向する内壁面を有するアウターヨークを有する固定体と、前記極の異なる磁極面と、前記極の異なる磁極面のそれぞれと対向する前記内壁面との間に配置され前記永久磁石を周回するコイルを有し、前記固定体に取り付けられる弾性支持部を介して可動自在に支持される可動体と、前記可動体の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部とを備える構成を採る。
【0013】
本発明の電動歯ブラシは、上記構成のアクチュエータと、前記アクチュエータの出力軸に、当該出力軸と同一軸心上で連結され、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部とを有する構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく達成できるので、小型化のアクチュエータ及び電動歯ブラシを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ100を示す斜視図であり、図2は、同アクチュエータ100においてアウターヨークを外した状態を示す斜視図である。また、図3は、同アクチュエータの要部分解斜視図である。
【0017】
図1〜図3に示すアクチュエータ100は、固定体110と、可動体120(図2参照)と、固定体110に可動体120を可動自在に支持する弾性部材(弾性支持部)130(図2参照)と、交流供給部180(図3参照)とを有する。
【0018】
図1に示すように、アクチュエータ100では、弾性部材130を介して固定体110に支持される可動体120(図2参照)の可動によって、可動体120の出力軸である回転往復伝達シャフト(以下、「シャフト」という)125が、所定の角度範囲内で正逆方向(図1の矢印方向)に回転し、回転往復振動として外部に出力する。
【0019】
図3に示すように、固定体110は、基台(ベースプレート)112と、支持壁部114、116と、アウターヨーク140と、非磁性体(スペーサ)160を介してアウターヨーク140に取り付けられるマグネット150と、を有する。
【0020】
固定体110では、基台112は、シャフト125の延在方向に沿って長い矩形板状をなし、ここでは非磁性体により形成されている。基台112の表面中央部の上方には、可動体120のコイル122が配置され、このコイル122を覆うように、断面U字状(コ字状も含む)のアウターヨーク140が基台112に取り付けられている。
【0021】
また、基台112の長手方向で離間する端辺部から支持壁部114、116が立設されている。
【0022】
支持壁部114、116は、可動体120のシャフト125、126が挿通する開口部114a、116aを有する。開口部114aにシャフト126が挿通され、開口部116aにシャフト125が挿通されている。
【0023】
また、支持壁部114、116は、弾性部材130を介して可動体120を可動自在に支持している。つまり、支持壁部114、116は、シャフト125、126を開口部114a、116aに挿通させた状態で、弾性部材130を介して、可動体120を可動自在に保持している。通常状態では、可動体120は、支持壁部114、116と弾性部材130とによって略水平方向(基台112と略平行)に保持される。なお、開口部114a、116aには、シャフト125、126は、遊びが有る状態で挿通されてもよい。なお、弾性部材130の説明は後述する。
【0024】
これら支持壁部114、116の間に、アウターヨーク140が、可動体120の本体部分を覆うように配設されている。
【0025】
アウターヨーク140は、ここでは、断面略コ字状をなし、板状の磁性体を折曲することで形成されている。アウターヨーク140は、矩形板状のヨーク中央部141と、ヨーク中央部141の両側辺部からそれぞれ垂下され、互いに対向する側壁部142、143とを有する。ここでは、アウターヨーク140は、基台112に、可動体120のコイル122及びコイル保持部124を覆うように取り付けられ、基台112によって両側壁部142、143の先端部が閉塞されている、
【0026】
アウターヨーク140は、内側に配置される可動体120のコイル122と、アウターヨーク140のヨーク中央部141に取り付けられるマグネット150とともに磁気回路を構成する。
【0027】
図4は、アクチュエータ100における要部構成を示す概略断面図である。
【0028】
マグネット(永久磁石)150は、図4に示すように、アウターヨーク140のヨーク中央部141における裏面の中央部分に、アウターヨーク140の対向する側壁部142、143間にそれぞれエアギャップGが形成されるように、非磁性体160を介して取り付けられている。
【0029】
マグネット150は、ヨーク中央部141から非磁性体160を介して垂下するように設けられ、側壁部142、143のそれぞれの内壁面に対して、互いに異なる磁極を対向させている。
【0030】
ここでは、マグネット150のS極側(S磁極面150a)が、アウターヨーク140の側壁部142の内壁面に対向し、N極(N磁極面150b)側が、アウターヨーク140の側壁部143の内壁面に対向している。
【0031】
また、マグネット150は、アウターヨーク140の延在方向の長さに対応した長さを有する直方体であり、外形が同形状の非磁性体160を介してヨーク中央部141に、当該ヨーク中央部141の延在方向に沿って取り付けられている。
【0032】
これにより、マグネット150は、アウターヨーク140の長手方向の長さと同様の長さを有し、対向する側壁部142、143の内壁面の全面に対して、異なる磁極の面をそれぞれ対向させた状態でヨーク中央部141に配設されている。
【0033】
マグネット150とアウターヨーク140の側壁部142、143との間のエアギャップGには、マグネット150の両側壁面(磁極面)150a、150b、側壁部142、143の内壁面及びヨーク中央部141の裏面とのそれぞれから離間して、可動体120のコイル122が配置されている。
【0034】
コイル122は、ここでは、ボイスコイルであり、マグネット150の周囲を囲むように巻回されている。具体的には、コイル122は、エアギャップ内で、マグネット150と側壁部142、143との対向方向と直交する方向に巻回されている。コイル122には、図3及び図4に示すように交流供給部180から交流電源(交流電圧)が供給される。
【0035】
このコイル122は、コイル保持部124に載置されることによって保持されており、コイル保持部124は弾性部材130を介して固定体110により支持されている。
【0036】
ここではコイル保持部124は、図2及び図3に示すように、側面視コ字状に形成され、コイル122が載置された底板部124aと、底板部124aの長手方向(シャフト125の延在方向)で離間する端部から立設する前壁部124b及び後壁部124cとを有する。
【0037】
このコイル保持部124は、ここでは非磁性体で構成されており、前壁部124bには、シャフト125が直交して取り付けられ、後壁部124cには、シャフト126がシャフト125と同軸心上に位置するように取り付けられている。つまり、シャフト125は、マグネット150の異なる磁極面150a、150b(図4参照)と略平行に、マグネット150の略中心に沿って配置されている。
【0038】
このようにコイル122は、コイル保持部124、シャフト125、126とともに、支持壁部114、116により可動自在に支持された可動体120を構成している。
【0039】
弾性部材130は、支持壁部114、116の対向領域において、可動体120を、左右前後方向に変位自在に支持して、可動体120を、マグネット150及びシャフト125のねじり方向に支持している。
【0040】
ここでは、弾性部材130は、支持壁部114、116どうしで対向する面の上端部分において略水平に、対向方向に突出して設けられた板状のジグザグバネからなる。つまり、弾性部材130は、一端部から他端部側に向かって細帯状の金属板が一方の幅方向に延びて他方の幅方向に折り返すことを繰り返してジグザグに形成されており、弾性部材130自体は一端部と他端部とを固定するとねじり方向に伸縮自在となっている。
【0041】
このように構成された弾性部材130を介して、可動体120は、基台112とアウターヨーク140とで囲まれる領域内において、固定体110の支持壁部114、116のそれぞれに、シャフト125、126の軸を中心にねじり方向に可動自在に支持されている。
【0042】
なお、可動体120のシャフト125は、図1及び図2に示すように、アウターヨーク140の延在方向と同方向で支持壁部116から外方に突出するように設けられている。
すなわち、シャフト125は、アクチュエータ100において、マグネット150と側壁部142、143とが対向する方向と略直交する方向に突出して設けられている。
【0043】
このようにシャフト125は、コイル保持部124の前壁部124bに固定されることによって、可動体120の重心を通る軸線上に位置するように、可動体120に取り付けられた状態となっている。これによりシャフト125は、可動体120の本体を構成するコイル122及びコイル保持部124とともに回転往復振動し、その振動を外部に伝達することができる。
【0044】
なお、アクチュエータ100が電動歯ブラシに用いられる場合、シャフト125には、シャフト125と同一軸心上で、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結される。これにより歯ブラシ部はシャフト125と同様の運動、ここでは回転往復振動であるローリングを行うこととなる。
【0045】
本実施の形態のアクチュエータ100では、可動体120のイナーシャJ、ねじり方向のバネ定数kspとした場合、可動体120は、固定体110に対して、下記式(1)によって算出される共振周波数で振動する。
【0046】
【数1】

本実施の形態のアクチュエータ100は、交流供給部180によって、コイル122に可動体120の共振周波数fと略等しい周波数の交流を供給する。これにより、可動体120を効率良く駆動させることができる。
【0047】
図4に示すように、固定体110及び可動体120では、アウターヨーク140、マグネット150及びコイル122が、磁気回路を形成する。
【0048】
ここでは、アクチュエータ100は、マグネット150から発生した磁束(白抜き矢印で示す)が、コイル122が配置されるエアギャップ、アウターヨーク140の側壁部143、ヨーク中央部141、側壁部142、反対側のエアギャップを順に通り、マグネット150の対極へと繋がる磁気回路を有する。
【0049】
本アクチュエータ100における可動体120は、弾性部材130を介して固定体110により支持されるバネマス系構造で支持されており、コイル122に可動体120の共振周波数fに等しい周波数の交流が供給されると、可動体120は共振状態で駆動される。このとき発生する回転往復振動が、可動体120のシャフト125に伝達される。
【0050】
アクチュエータ100は、下記式(2)で示す運動方程式及び下記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
【0051】
【数2】

【0052】
【数3】

すなわち、アクチュエータ100における慣性モーメント、回転角度、トルク定数、電流、バネ定数、減衰係数、負荷トルクなどは、式(2)を満たす範囲内で適宜変更でき、電圧、抵抗、インダクタンス、逆起電力乗数は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0053】
次に、アクチュエータ100の具体的な動作について説明する。
【0054】
図5は、本実施の形態1に係るアクチュエータ100の動作を説明するための模式図である。なお、図5(a)では白抜き矢印でマグネット150による磁束の流れを示しているが、図5(b)〜図5(d)では同様の流れであるため、図示省略している。また、図5(a)ではコイル122に交流電圧を供給する交流供給部180を図示しているが、図5(b)〜図5(d)では、図5(a)と同様に図示されるため、省略している。
【0055】
コイル122に交流供給部180から交流が供給されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル122には、図中矢印F1、F2、F3、F4で示す推力が発生する。これにより、基台112及び支持壁部114、116に弾性部材130を介して可動自在に取り付けられた可動体120には、回転重心を軸中心とした回転力が発生する。
【0056】
アクチュエータ100の1周期分の動作について説明する。
【0057】
図5(a)に示す向きでコイル122に電流が流れる(この方向を順方向電流と呼ぶ)と、マグネット150のN極面150bに対向するコイル122の部分122bには、上向き(アウターヨーク140側の方向)に推力F1が発生する。一方、マグネット150のS極面150aに対向するコイル122の部分122aには、下向き(基台112側の方向)に推力F2が発生する。
【0058】
これにより、固定体110の基台112から立ち上がる支持壁部114、116(図2及び図3参照)に弾性部材130を介して支持された、コイル122を有する可動体120に回転する力が発生する。可動体120は、コイル122の推力F1、F2によって、図4(b)に示す位置となるように反時計回りに可動する。
【0059】
図5(b)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性部材130(図2及び図3参照)の復元力により矢印R1、R2の反力が発生する。図5(b)に示す状態から図5(d)に示す状態までは、コイル122に図5(a)とは逆方向の電流が供給される。これにより、可動体120は、図5(b)の状態から図5(c)の状態までは、矢印R1、R2で示す反力と、矢印F3、F4で示す推力とによって、固定体110に対して時計回りに回転する。また、可動体120は、図5(c)の状態から図5(d)の状態までは、矢印F3、F4で示す推力によって、固定体110に対して時計回りに回転する。
【0060】
図5(d)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性部材130の復元力により矢印R3、R4の反力が発生する。図5(d)に示す状態から図5(a)に示す状態を経て図5(b)に示す状態までは、コイル122に順方向電流が供給される。これにより、可動体120は、図5(d)の状態から図5(a)の状態までは、矢印R3、R4で示す反力と、矢印F1、F2で示す推力とによって、固定体110に対して反時計回りに回転する。
【0061】
また、可動体120は、図5(a)の状態から図5(b)の状態までは、矢印F1、F2で示す推力によって、固定体110に対して反時計回りに回転する。なお、可動体120は、マグネット150を中心に往復回転振動を行うが、弾性部材130の反力を用いることなく、推力F1〜F4によって、図5に示す示した動作と同様の動作を行うこともできる。
【0062】
次に、図5に示す各状態で可動体120のコイル122に供給される交流電流について簡単に説明する。
【0063】
図6は、本実施の形態のアクチュエータにおいて交流供給部180から可動体120のコイル122に供給される交流の周期を示す図である。
【0064】
コイルに流れる交流は、図6(a)に示すように周波数fのパルス波でもよいし、図6(b)に示すように周波数fの正弦波でもよい。
【0065】
図5(a)の状態では、図6に示す時点t1の順方向の電流が供給され、図5(b)の状態では図6の時点t2で示すように電流の向きが切り替えられ、図5(c)の状態では、図6に示す時点t3の逆方向の電流が供給される。また、図5(d)の状態では、図6の時点t4で示すように電流の向きが切り替えられて、図5(d)の状態では、図6に示す時点t5順方向の電流が供給される。これが1周期分の動作であり、このような動作が繰り返されることで、可動体120は、図5(a)から図5(d)に示す変位動作を繰り返すことによって、回転往復振動する。
【0066】
アクチュエータ100では、可動体120は、回転往復運動つまり回転往復振動を行い、この回転往復振動はシャフト125を介して外部に出力される。シャフト125に、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結されている場合、歯ブラシ部は回転往復振動してローリング磨きを行うことができる。
【0067】
このようにアクチュエータ100は、式(2)、(3)を満たし、式(1)で示す共振周波数を用いた共振現象により駆動する。これにより、アクチュエータ100では、定常状態において消費される電力は負荷トルクによる損失及び摩擦などによる損失だけとなり、低消費電力で駆動、つまり、可動体120を低消費電力で回転往復振動させることができる。以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ100では、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現して小型化を図ることができ、更に、往復回転運動を低消費電力で実現することができる。
【0068】
また、アクチュエータ100では、可動体120は、ボイスコイルであるコイル122を用いて駆動するため、磁気吸引力ディテント力が発生せず、制御性に優れる。具体的には、可動体120の停止時の位置は、弾性部材130の復元力によって中心位置に保持されるため、駆動停止時において、電力を損失することがない。
【0069】
また、可動体120は、アウターヨーク140を含まずに、コイル122およびコイル保持部124により構成している。このため、可動体120の慣性モーメントの大きさは外形に依存せずコイル122の形状に依存して決定することができる。コイル122の配置はアウターヨーク140の内側にあるため、イナーシャを上昇させる要因になりにくい。よって、アクチュエータ100の外形の変更における慣性モーメントの上昇が小さくなるため、設計上の制約がなくなり、アクチュエータ100自体の設計自由度を向上させることができる。
【0070】
なお、アクチュエータ100を有する電動歯ブラシでも上述した同様の効果を得ることができ、電動歯ブラシ自体の小型化も図ることができる。
【0071】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るアクチュエータは、図1〜図6に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100の構成において、非磁性体である基台112に代えて、磁性体の基台を用いたものである。よって、その他の構成は、アクチュエータ100と同様の構成であり同符号を付して説明は省略する。
【0072】
図7は、本発明の実施の形態2に係るアクチュエータ100Aにおける要部構成を示す概略断面図である。なお、図7では、マグネット150による磁気回路の磁束の流れを白矢印で示す。
【0073】
アクチュエータ100Aでは、実施の形態1に対応するアクチュエータ100の構成において、基台112を磁性体の基台112Aにして、コイル122を備える可動体120を磁性体によって囲む構成とする。なお、アウターヨーク140及び基台112Aにより囲まれるコイル122の内側には、アクチュエータ100の構成と同様に、所定間隔を空けて、アウターヨーク140に取り付けられたマグネット150が、コイル122の周回方向と交差する方向に磁極面を向けて配置されている。これら磁極面は、アウターヨーク140の側壁部142、143とでコイルを挟むように配置されている。この構成によって、アクチュエータ100Aでは、アクチュエータ100と比較して、マグネット150による磁束の経路が、固定体110において2つ形成される。
【0074】
すなわち、アクチュエータ100Aの磁気回路では、図7に示すように、マグネット150から発生した磁束(白抜き矢印で示す)が、コイル122が配置されるエアギャップ、アウターヨーク140の側壁部143からヨーク中央部141と、ヨーク中央部141とは反対側の基台112Aとをそれぞれ通って、側壁部142から反対側のエアギャップを順に通って、マグネット150の対極へと繋がる。なお、アクチュエータ100Aにおける可動体120の動作はアクチュエータ100と同様であるため説明は省略する。
【0075】
これにより、アクチュエータ100Aでは、アクチュエータ100と同様に、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現することができる。加えて、アクチュエータ100Aでは、磁気回路における磁気飽和が緩和されることによって、コイル122に交流供給部180から交流電圧を供給した際に発生する可動体120の推力を上昇させることができる。
【0076】
本実施の形態2のアクチュエータ100Aでは、実施の形態1におけるアクチュエータ100の構成と比較して、コイル122が発生する可動体120を可動させるトルクを、約1.05倍上昇させることができる。
【0077】
また、本実施の形態2では、可動体120を可動自在に収容した固定体110の外周部分、つまり、マグネット150を含む磁気回路が、磁性体であるアウターヨーク140と磁性体である基台112Aとによって構成される。
【0078】
つまり、アクチュエータ100Aの外表面を磁性体によって形成するため、アクチュエータ100Aにおいて、基台112A、アウターヨーク140、マグネット150及びコイル122を含む磁気回路の漏れ磁束を抑制することができる。
【0079】
(実施の形態3)
図8は、本発明に係る実施の形態3に係るアクチュエータ100Bの構成を示す図であり、アクチュエータ100Bにおいてアウターヨーク140を基台112Bから外した状態を示す斜視図、図9は、同アクチュエータの分解斜視図である。なお、このアクチュエータ100Bは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0080】
本実施の形態3のアクチュエータは、実施の形態1に係るアクチュエータ100の構成において、マグネット150をアウターヨーク140から外して、基台112側に非磁性体(スペーサ)を介して固定し、且つ、可動体120を上下逆にして、固定体110に、ねじり方向に回転往復振動可能に取り付けたものである。
【0081】
具体的には、アクチュエータ100Bは、固定体110Bと、可動体120Bと、固定体110Bに可動体120Bを、可動体120Bのシャフト125を中心にねじり方向に可動自在に支持する弾性部材130と、交流供給部180(図9及び図10参照)とを有する。
【0082】
固定体110Bは、図8及び図9に示すように、基台(ベースプレート)112Bと、基台112B上に非磁性体(スペーサ)の凸部160Bを介して取り付けられたマグネット150と、マグネット150を覆うように基台112Bに取り付けられるU字型のアウターヨーク140と、を有する。
【0083】
固定体110Bでは、矩形板状の基台112Bは非磁性体により形成され、表面中央部に上方に突出して形成された非磁性体の凸部160Bを介してマグネット150が取り付けられている。
【0084】
なお、マグネット150は、異なる磁極面と、アウターヨーク140の対向する側壁部142、143との間にそれぞれエアギャップが形成されるように、非磁性体の凸部160B上に取り付けられている。ここでは、マグネット150の磁極面は、上記各実施の形態のマグネット150と同様に、シャフト125と直交する方向で離間し、アウターヨーク140の側壁部142、143と対向する面としている。
【0085】
凸部160Bは、基台112Bに一体的に形成されており、マグネット150と同外形を有する。ここでは、凸部160Bは、マグネット150とともに基台112Bの長手方向に沿って延在する直方体をなしている。凸部160Bは、載置されるマグネット150を基台112Bから離間させることによって、マグネット150の周囲に位置する可動体120Bのコイル122がマグネット150を中心に往復回転可能な領域を確保している。
【0086】
このように、基台112Bから突出する凸部160B上に取り付けられたマグネット150に、エアギャップを介して、コイル122及びコイル保持部124Bの上面部124dが被さるように、可動体120Bは固定体110Bに配置されている。
【0087】
可動体120Bは、アウターヨーク140の対向する内壁面とマグネット150との間に形成されるエアギャップに配置され、且つ、マグネット150を周回するコイル122と、コイル122を保持するコイル保持部124Bとにより構成されている。
【0088】
コイル122は、コイル保持部124Bにおいて、長手方向で離間する端部から前壁部124b及び後壁部124cが垂下された上面部124dの裏面に取り付けられている。
【0089】
コイル保持部124Bは、固定体110Bの支持壁部114、116に、弾性部材130を介して、コイル122の軸方向と直交して設けられたシャフト125、126を中心にねじり方向に可動自在に取り付けられている。なお、弾性部材130は、支持壁部114、116にインサート成形によって一体的に取り付けられている。
【0090】
なお、コイル122には、実施の形態1のアクチュエータ100及び実施の形態2のアクチュエータ100Aと同様に、交流電圧の供給を行う交流供給部180によって、振周波数に略等しい周波数の交流が入力される。これにより固定体110Bに弾性部材130によって、シャフト125のねじり方向に可動自在に支持された可動体120Bは、固定体110B内においてコイル122による推力によって回転往復振動を行う。
【0091】
図10は、本発明の実施の形態3に係るアクチュエータ100Bの動作を説明する模式図である。なお、図10(a)では白抜き矢印でマグネット150による磁気回路の磁束の流れを示しているが、図10(b)〜図10(d)では同様の流れであるため、図示省略している。また、図10(a)ではコイル122に交流電圧を供給する交流供給部180を図示しているが、図10(b)〜図10(d)では、図10(a)と同様に図示されるため、省略している。
【0092】
アクチュエータ100Bは、図10(a)に示すように、マグネット150から発生した磁束(白抜き矢印で示す)が、コイル122が配置されるエアギャップG、アウターヨーク140の側壁部143、ヨーク中央部141、側壁部142、反対側のエアギャップを順に通り、マグネット150の対極へと繋がる磁気回路を有する。
【0093】
アクチュエータ100Bでは、コイル122に交流供給部180から交流が供給されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル122には、図中矢印F1、F2、F3、F4で示す推力が発生する。これにより、コイル122には、回転重心であるシャフト125を軸中心とした回転力が発生し、可動体120は、図5で示すアクチュエータ100のコイル122と同様に、図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)の動作を繰り返し、回転往復振動する。
【0094】
このようにアクチュエータ100Bでは、非磁性体の基台112Bに一体的に形成された凸部160Bに直接マグネット150を配置するため、実施の形態1のアクチュエータ100と比較して、別体の非磁性体を用いることがなく、部品点数が減少させることができコスト面で有利となる。
【0095】
また、組立の際に、平板状の基台112Bに、基台112Bの表面から突出する凸部160B上にマグネット150を取り付けるため、U字型アウターヨーク140において窪む内側にマグネット150を取り付ける場合と比較して、位置決めや取り付け作業を容易に行うことができる。なお、アクチュエータ100Bでは、アクチュエータ100と比較して、マグネット150の配置構造が異なるが、磁気回路構成は同様であり、実施の形態1のアクチュエータ100と同様の作用効果を得ることができる。特に、アクチュエータ00Bによれば、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現することができる。
【0096】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係るアクチュエータ100Cの要部構成を示す図であり、アクチュエータ100Cにおける固定体及び可動体の構成を示す概略断面図である。なお、図11では、アクチュエータ100Cにおける磁束の流れを白矢印で示している。
【0097】
実施の形態4に係るアクチュエータ100Cは、図8及び図9に示すアクチュエータ100Bにおいて非磁性体の基台112Bを磁性体の基台112Cに代えた構成を有し、その他の構成は同様である。
【0098】
すなわち、アクチュエータ100Cでは、磁性体である矩形板状の基台112Cにおける表面の略中央部に、非磁性体(スペーサ)160Cを介して、マグネット150が、水平方向に異なる磁極を離間させて取り付けられている。マグネット150を覆うように、U字状のアウターヨーク140が、基台112Cに取り付けられている。アウターヨーク140の両側壁部142、143の内壁面142a、143aは、マグネット150の異なる磁極(S磁極面150a、N磁極面150b)とエアギャップGを介して対向して配置されている。
【0099】
エアギャップG内には、マグネット150を周回するコイル122が配置され、このコイル122は、コイル保持部124Bに保持される。ここでは、コイル保持部124Bは、実施の形態3と同様に、支持壁部114、116(図9参照)の開口部114a、116aに、シャフト125、126を回動自在に挿入し、且つ弾性部材130を介して可動自在に支持されている。つまり、可動体120Cは、固定体110Cにシャフト125(図示省略)を中心としてねじる方向に往復回転振動自在に取り付けられている。
【0100】
このように構成されたアクチュエータ100Cでは、マグネット150から流れる磁束は固定体110において2つの経路をとる。
【0101】
すなわち、アクチュエータ100Cでは、マグネット150から発生した磁束(白抜き矢印で示す)は、N磁極面150bからコイル122が配置されるエアギャップを通ってアウターヨーク140の側壁部143から基台112Cと、基台112C側とは反対方向のアウターヨーク140のヨーク中央部141とを通って側壁部142に至る。そして、側壁部142から、エアギャップを通って、マグネット150の対極であるS磁極面150aへと繋がる。なお、コイル122には、アクチュエータ100Bと同様に、交流電圧の供給を行う交流供給部180によって、振周波数に略等しい周波数の交流が入力される。これにより固定体110Cに、弾性部材130(図9参照)によって、シャフト125(図9参照)のねじり方向に可動自在に支持された可動体120Cは、コイル122が発生する推力によって、固定体110C内で、回転往復振動を行う。このアクチュエータ100Cにおける可動体120Cの回転往復振動は、アクチュエータ100と同様であるため説明は省略する。
【0102】
よって、アクチュエータ100Cの磁気回路では、アクチュエータ100Bと同様の作用効果に加えて、実施の形態2のアクチュエータ100Aと同様の効果を得ることができる。特に、アクチュエータ100Cでは、磁気飽和が緩和されることによって、コイル122に交流供給部180から交流電圧を供給した際に発生する可動体120Cの推力を上昇させることができる。
【0103】
また、可動体120Cを可動自在に収容した固定体110Cの外周部分、つまり、マグネット150を含む磁気回路が、磁性体であるアウターヨーク140と磁性体である基台112Cとによって構成されている。つまり、アクチュエータ100Cの外表面を磁性体によって形成するため、アクチュエータ100Cにおいて、基台112C、アウターヨーク140、マグネット150及びコイル122を含む磁気回路の漏れ磁束を抑制することができる。
【0104】
(実施の形態5)
図12は、本発明の実施の形態5に係るアクチュエータ100Dを示す斜視図であり、図13は、同アクチュエータ100Dの要部分解斜視図である。なお、このアクチュエータ100Dは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
実施の形態5に係るアクチュエータ100Dは、図1に示すアクチュエータ100において、シャフト125、126が、軸受190を介して固定体110の支持壁部114、116に挿通させて回転自在に軸支された構成であり、その他の構成は同様である。
【0106】
すなわち、アクチュエータ100Dは、図12及び図13に示すように、可動体120が備えるシャフト125は、支持壁部116の開口部116aに取り付けられた軸受190に回動自在に挿通されている。このシャフト125は、可動体120の可動運動を伝達して出力するとともに、可動体120を固定体110に軸支させる軸部として機能している。
【0107】
また、可動体120においてシャフト125と同一軸線上に配置され、シャフト125と逆方向に突出するシャフト126は、支持壁部114の開口部114aに取り付けられた軸受190に回動自在に挿通されている。
【0108】
このため、アクチュエータ100Dでは、コイル122に交流供給部180から交流が供給された際に、コイル122を備える可動体120は、固定体110に対してシャフト125の軸心を中心に安定して回転往復振動することとなる。
【0109】
このようにアクチュエータ100Dでは、可動体120は、軸受190に挿通されるシャフト125、126を介して、支持壁部114、116に回転方向及び軸方向に自由度を有する状態で回動自在に軸支されている。また、可動体120は、弾性部材130を介して、軸方向への移動を拘束された状態で支持壁部114、116に支持されている。つまり、可動体120は、支持壁部114、116に、シャフト125、126及び軸受190を用いた支軸構造と、弾性部材130を介して回転方向に自由度を確保した状態で固定体110に支持された構造となっており、耐衝撃性に優れた構造となっている。
【0110】
よって、アクチュエータ100Dでは、アクチュエータ100と同様の作用効果を得ることができるともに、シャフト125、126の回転軸心を固定して安定して回転往復運動することができるとともに、アクチュエータ自体の耐衝撃性を向上させることができる。
【0111】
なお、本実施の形態では、アクチュエータ100Dは、実施の形態1に係るアクチュエータ100における支持壁部114、116に軸受190を設けて、可動体120のシャフト125、126を回動自在に支持する構成としたが、これに限らず、実施の形態2〜4のアクチュエータ100A、100B、100Cの構成において同様の適用箇所に適用できることは勿論である。
【0112】
(実施の形態6)
図14は、本発明の実施の形態6に係るアクチュエータ100Eの分解斜視図であり、図15は、同アクチュエータ100Eに用いられる粘弾性部材としてのエラストマーを示す図である。なお、図14に示すアクチュエータ100Eは、図1から図4に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100において、弾性部材130の構成を替えた構造であり、その他の構成は同様の構成である。よって、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0113】
アクチュエータ100Eでは、アクチュエータ100の構成において、ジグザグバネである弾性部材130に替えて自身の減衰が大きい粘弾性体、ここではエラストマー197を用いている。
【0114】
エラストマー197は、図15に示すように、シャフト125、126と挿通する挿通口198を備えた中央部197aと、中央部197aからシャフト126及びシャフト125の軸心と直交する方向に突出するアーム部197bとを備える。エラストマー197は粘弾性体であるため、中央部197aとアーム部197bとを互いに弾性変形させて変位させることができる。
【0115】
エラストマー197は、支持壁部116、114とコイル保持部124における前壁部124b及び後壁部124cとの間に配置され、バネとして機能する。エラストマー197は、アーム部197bの延在方向でずれた位置に形成された孔部198a、198bに、支持壁部116、114と前後壁部124b、124cの突起が嵌入されている。
【0116】
なお、図14では、エラストマー197の孔部198a、198bに嵌入される突起のうち、支持壁部114に形成された突起114c及び前壁部124bに形成された突起125fのみを示す。図示しないが、支持壁部114の突起114cと同様の突起が支持壁部116に形成され、前壁部124bの突起125fと同様の突起が後壁部124cにも形成されている。ここでは、エラストマー197のアーム部197bにおいて、中央部197aに近い位置の孔部198aに前後壁部124b、124cの突起が圧入により嵌合されている。また、中央部197aよりも遠い位置の孔部198bに支持壁部116、114の突起が圧入により嵌合されている。
【0117】
アクチュエータ100Eによれば、実施の形態1の特性を有し、アクチュエータ100と同様の作用効果を得ることができる。加えて、アクチュエータ100Eでは、エラストマー197は、支持壁部116、114とコイル保持部124における前壁部124b及び後壁部124cとの間に配置して、支持壁部116、114と前壁部124b及び後壁部124cの突起(図13では114c、125fのみ示す)を孔部198a、198bに圧入するだけで、両部材に取り付けられる。これにより、ジグザグバネ、板バネ等の金属バネを用いた場合と異なり、ネジによる締結、接着又はインサート成形などの煩雑な取り付け工程を必要とすることなく、エラストマー197を可動体120と固定体110の間に挟みこむだけで、バネとして機能させることができ、アクチュエータ100C自体の組立性の向上を図ることができる。
【0118】
なお、アクチュエータ100Eは、実施の形態1に係るアクチュエータ100の弾性部材130に代えて、エラストマー197を用いて、可動体120を固定体110に、シャフト125、126の軸を中心としたねじり方向に可動自在に支持する構成としたが、これに限らず、アクチュエータ100A、100B、100Cにおいて同様の適用箇所に適用できることは勿論である。
【0119】
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明に係るアクチュエータは、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく小型化を実現できる効果を有し、電動歯ブラシ等に用いられる往復回転振動させるアクチュエータとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータを示す斜視図
【図2】同アクチュエータにおいてアウターヨークを外した状態を示す斜視図
【図3】同アクチュエータの要部分解斜視図
【図4】同アクチュエータにおける要部構成を示す概略断面図
【図5】同アクチュエータの動作を説明するための模式図
【図6】同アクチュエータにおいて交流供給部からコイルに供給される交流の周期を示す図
【図7】本発明の実施の形態2に係るアクチュエータにおける要部構成を示す概略断面図
【図8】本発明に係る実施の形態3に係るアクチュエータの構成を示す図
【図9】同アクチュエータの分解斜視図
【図10】同アクチュエータの動作を説明する模式図
【図11】本発明の実施の形態4に係るアクチュエータの要部構成を示す概略断面図
【図12】本発明の実施の形態5に係るアクチュエータを示す斜視図
【図13】同アクチュエータの要部分解斜視図
【図14】本発明の実施の形態6に係るアクチュエータの要部分解斜視図
【図15】同アクチュエータに用いられる粘弾性部材であるエラストマーを示す図
【符号の説明】
【0122】
100、100A、100B、100C、100D、100E アクチュエータ
110、110A、110B、110C 固定体
112、112A、112B、112C 基台
114、116 支持壁部
120、120B、120C 可動体
122 コイル
124、124B コイル保持部
124b 前壁部
124c 後壁部
125、126 シャフト
130 弾性部材
140 アウターヨーク
141 ヨーク中央部
142、143 側壁部
150 マグネット
150a、150b 磁極面
160、160C 非磁性体
160B 凸部
180 交流供給部
190 軸受
197 エラストマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石及び前記永久磁石において極の異なる磁極面にそれぞれ所定間隔を空けて対向する内壁面を有するアウターヨークを有する固定体と、
前記極の異なる磁極面と、前記極の異なる磁極面のそれぞれと対向する前記内壁面との間に配置され前記永久磁石を周回するコイルを有し、前記固定体に取り付けられる弾性支持部を介して可動自在に支持される可動体と、
前記可動体の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部と、
を備える、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記永久磁石は、前記アウターヨークに非磁性体を介して取り付けられている、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記可動体は、前記永久磁石の異なる磁極面と略平行に、前記永久磁石の略中心に沿って配置される出力軸を備え、前記弾性支持部によって前記出力軸を中心にねじる方向に可動自在に支持されている、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記アウターヨークは下方に開口する断面U字形状をなし、
前記固定体は、上方に前記可動体が離間して配置された磁性体の基台を有し、
前記アウターヨークは、前記基台に、前記可動体を覆うように取り付けられ、前記基台によって前記対向する内壁面を備える両側壁部の先端部が閉塞されている、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記マグネットは、前記基台に非磁性体のスペーサを介して取り付けられている、
請求項4記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記固定体は、上方に前記可動体が離間して配置された非磁性体の基台を有し、
前記アウターヨークは、下方に開口する断面U字形状をなし、前記可動体を覆うように前記基台に取り付けられ、
前記マグネットは、前記基台に取り付けられている、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記可動体は、前記固定体に、前記出力軸を中心に回転自在に軸支されている、
請求項3記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記弾性支持部は、前記固定体と、前記可動体とに介設され、前記固定体と前記可動体との間で変形自在な粘弾性体である、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項9】
請求項3記載のアクチュエータと、
前記アクチュエータの出力軸に、当該出力軸と同一軸心上で連結され、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部と、
を有する、
電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−104717(P2010−104717A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282360(P2008−282360)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】