アクティブタグ装置、及び、それを備えた無線タグシステム
【課題】複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得るアクティブタグ装置を提供する。
【解決手段】アクティブタグ装置200は、複数のアンテナ221、一のアンテナを選択するセレクタ222、選択されたアンテナ221によって信号を受信するLF受信回路224、及び制御部250を備えている。アクティブタグ装置200は、信号を受信する場合に、制御部250の制御により、セレクタ222によるアンテナ221の選択を切換える処理を行い、最初に有効信号が捕捉された時点で切換えを停止する。これにより、受信に用いるアンテナ221を迅速に選択し得る。
【解決手段】アクティブタグ装置200は、複数のアンテナ221、一のアンテナを選択するセレクタ222、選択されたアンテナ221によって信号を受信するLF受信回路224、及び制御部250を備えている。アクティブタグ装置200は、信号を受信する場合に、制御部250の制御により、セレクタ222によるアンテナ221の選択を切換える処理を行い、最初に有効信号が捕捉された時点で切換えを停止する。これにより、受信に用いるアンテナ221を迅速に選択し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを備えたアクティブタグ装置等に関し、特に、受信に用いるアンテナを選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグシステムは、例えば、セキュリティ管理された部屋へのユーザの入室を管理するために用いられる。その無線タグシステムは、質問信号を送信するリーダ装置と、質問信号を受信して応答信号を送信するアクティブタグ装置とを備えている。そして、リーダ装置とアクティブタグ装置との間で上述の信号の送受信を行うことによって認証が行われ、例えば、セキュリティ管理されたドアに設けられた電気錠の解錠などが行われる。
【0003】
アクティブタグ装置には、特許文献1、2に記載されているように、互いに異なる向きに配置された複数の指向性アンテナを備えているものがある。特許文献1に記載のアクティブタグ装置では、複数のアンテナの指向性の違いを利用して、入室時か退室時かを判別可能にしている。特許文献2に記載のアクティブタグ装置は、複数のアンテナのうち、受信強度が最も大きいアンテナを選択して受信を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−009474号公報
【特許文献2】特開2005−316742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のアクティブタグ装置には、複数のアンテナの受信強度を比較するため、アンテナの選択に時間がかかるという問題がある。
上記の課題に鑑み、本発明は、複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得るアクティブタグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るアクティブタグ装置は、複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記受信部は、前記信号の受信強度を検出する受信強度検出部を備え、前記制御部は、前記信号の送信期間内に、前記受信部が各アンテナによって少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換え、かつ、前記受信強度検出部によって検出された受信信号の強度が閾値以上になったことをもって前記有効信号が捕捉されたと判断し、アンテナの切換えを停止する制御を行う、こととしてもよい。
【0008】
さらに、前記信号は、送信データを含むデータ部と、前記データ部の前に送信される前置部とを含み、前記制御部は、前記前置部が送信される期間と同じ長さの期間内に、前記受信部が各アンテナから少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換える制御を行う、こととしてもよい。
【0009】
さらに、前記制御部は、前記アンテナを切換える処理において、前記複数のアンテナを巡回的に選択する処理を行い、かつ、一のアンテナを選択している期間の長さが、前記前置部が送信される期間を前記複数のアンテナの個数に1を加算した数で除した期間以下である、こととしてもよい。
【0010】
さらに、前記信号は、当該アクティブタグ装置と通信を行うリーダ装置によって送信されており、リーダ装置に対して応答信号を送信する送信部を備え、前記制御部は、有効信号が捕捉されて前記受信部によって信号が受信された後、前記送信部を制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信し、かつ、前記セレクタを制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信した後、前記質問信号を受信したアンテナを選択した状態で、前記応答信号を受信したリーダ装置によって送信される通信完了信号を前記受信部によって受信し、かつ、前記通信完了信号が受信された後、前記アンテナを切換える処理を再開させる制御を行う、こととしてもよい。
【0011】
さらに、前記複数のアンテナは、互いに異なる方向で受信効率が最大となる向きに設置されている、こととしてもよい。
本発明に係る無線タグシステムは、質問信号を送信するリーダ装置と、質問信号を受信するアクティブタグ装置とを含む無線タグシステムであって、前記アクティブタグ装置は、複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアクティブタグ装置は、複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る無線タグシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】リーダ装置100の記憶部130に格納されたIDテーブル131と、ICタグ200の記憶部230に格納されたIDテーブル231とを示す図である。
【図3】ICタグ200のLF受信回路224の構成を示すブロック図である。
【図4】質問信号400および応答信号440等を模式的に示す図である。
【図5】切換え受信処理における短期受信処理460x、y、zを模式的に示す図である。
【図6】ICタグ200によって行われるタグ制御処理を示すフローチャートである。
【図7】タグ制御処理における切換え受信処理を示すフローチャートである。
【図8】タグ制御処理における認証処理を示すフローチャートである。
【図9】無線タグシステムが用いられる情報端末操作室500を模式的に示す平面図である。
【図10】変形例1における短期受信処理660を模式的に示す図である。
【図11】変形例1における受信強度の変化を模式的に示す図である。
【図12】変形例2における短期受信処理760を模式的に示す図である。
【図13】その他の例における短期受信処理860を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態および変形例について、図面を参照しながら説明する。
[実施形態]
<<1.無線タグシステムの構成>>
図1は、実施形態に係るICタグ200(アクティブタグ装置)およびリーダ装置100を備えた無線タグシステムの構成を模式的に示すブロック図である。
【0015】
<1.1> リーダ装置
リーダ装置100は、送信系ブロック110、受信系ブロック120、記憶部130、インタフェース140、およびそれらと接続された制御部150とを備えている。
【0016】
送信系ブロック110は、送信用のLF(Low Frequency)アンテナ111と、LF送信回路112とを備えている。LF送信回路112は、制御部150から送られた送信データを変調(例えば、振幅変調(ASK))および増幅し、LFアンテナ111に出力する。LFアンテナ111は、増幅された送信信号をLF帯の電波(例えば、130kHz)に変換して放射する。
【0017】
受信系ブロック120には、受信用のUHF(Ultra High Frequency)アンテナ121と、UHF受信回路122とが設けられている。UHFアンテナ121は、UHF帯の電波を高周波の電気信号(以後、受信信号)に変換し、UHF受信回路122に出力する。UHF受信回路122は、受信信号を増幅および復調し、制御部150に送る。
【0018】
記憶部130は、フラッシュメモリ等の不揮発メモリを備えている。図2(a)に示すように、記憶部130には、識別情報を格納するIDテーブル131が記憶されている。IDテーブル131には、リーダ装置100(自装置)の識別情報であるリーダID、および、通信対象となるICタグ200の識別情報であるタグIDが含まれている。
【0019】
インタフェース140は、外部装置170(後述する施錠装置、電源スイッチ切換え装置等)と接続される。
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read-Only Memory),RAM(Random-Access Memory)等)、バス等からなるコンピュータを備えている。その制御部150は、LF送信回路112、UHF受信回路122等を制御してICタグと通信を行い、通信結果に基づいて、例えば、外部装置170を制御する(後述する電気錠の解錠、情報端末の操作許可等)。
【0020】
<1.2> ICタグ
ICタグ200は、電池を備えたアクティブタグとして構成されている。ICタグ200は、送信系ブロック210、受信系ブロック220、記憶部230、電源部240、およびそれらと接続された制御部250とを備えている。
【0021】
送信系ブロック210には、送信用のUHFアンテナ211と、UHF送信回路212とが設けられている。UHF送信回路212は、制御部250から送られた送信データを変調および増幅し、UHFアンテナ211に出力し、電波を放射させる。
【0022】
受信系ブロック220は、受信用の3つのLFアンテナ221x,y,zと、アンテナを選択するセレクタ222と、LF受信回路224(「受信部」の具体例である)とを備えている。LFアンテナ221は、LF帯の電波を受信信号に変換し、LF受信回路224に出力する。LF受信回路224は、受信信号を増幅および復調し、制御部250に送る。
【0023】
ここで、3つのLFアンテナ221は、それぞれコイルによって構成されており、コイルの中心線が互いに異なる方向に向けて配置されている。すなわち、3つのLFアンテナ221は指向性を有し、互いに異なる方向で受信効率(あるいは放射効率、利得等)が最大となる向きに配置されている。具体的には、図1の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、紙面を裏側から表側に貫く方向をZ軸方向とすると、3つのLFアンテナ221x,y,zのコイルの中心線は、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に平行にされている。これにより、全方向における受信効率を平均化することができる。
【0024】
記憶部230は、フラッシュメモリ等の不揮発メモリを備えている。図2(b)に示すように、記憶部230には、識別情報を格納するIDテーブル231が記憶されている。IDテーブル231には、ICタグ200(自装置)の識別情報であるタグID、および、通信対象となるリーダ装置100の識別情報であるリーダIDが含まれている。
【0025】
電源部240は、電池を備えており、給電路を介して、送信系ブロック210、受信系ブロック220、制御部250等に給電する。
制御部250は、CPU,メモリ(ROM,RAM等)、バス等からなるコンピュータを備えている。その制御部250は、制御プログラムを実行することにより、送信系ブロック210、受信系ブロック220、及び電源部240を制御してリーダ装置100と通信を行う。
【0026】
図3は、LF受信回路224の構成を模式的に示すブロック図である。
LF受信回路224は、受信信号を増幅する増幅回路2241、増幅後の受信信号を復調する復調回路2242、および受信信号の強度を検出する受信強度検出部2243を備えている。
【0027】
増幅回路2241は、受信信号を多段増幅する複数の差動増幅回路を有している。復調回路2242は、増幅回路2241の出力信号を、例えば、振幅変調された信号を復調し、デジタル信号を出力する。受信強度検出部2243は、増幅回路2241から出力される整流信号を電圧信号に変換し、受信強度信号として出力する。なお、受信強度信号は、RSSI(Received Signal Strength Indication)と称することができ、受信強度検出部2243をRSSI回路と称することができる。
【0028】
<1.3> 質問信号、応答信号
図4(a),(b)に、リーダ装置100が送信する質問信号400と、ICタグ200が送信する応答信号(Res)440とを模式的に示す。この図において、左から右へ向かって時間が経過している。また、図4(a)と(b)とでは、時間経過が一致しており、左右方向の位置が同じ場合、互いに同じ時刻になる。なお、図4(a)では、繰り返し送信される複数の質問信号400のうち、2つの質問信号400a,bを示している。
【0029】
質問信号400は、CW(Continuous Wave)部410と、データ部420とからなる。CW部410では、LF帯(例えば、130kHz)の無変調の搬送波のみが一定の振幅で送信される。このCW部410の送信により、ICタグ200は質問信号400の存在を検知することができ、データ部420の受信に備えることができる。
【0030】
データ部420では、送信データに基づいて変調された搬送波が送信される。データ部420には、同期信号部421(図では「sync」)、コマンド部422、CRC(Cyclic Redundancy Check)部423が含まれている。同期信号部421は、受信側でデータ開始位置を認識するための固有識別情報を示す信号である。ICタグ200は、上記同期信号部421を受信しないと、フレーム同期を行うことができず、コマンド部422及びCRC部423の信号を正常に読み取れなくなる。
【0031】
コマンド部422は、ICタグ200に送信する実体的な情報を含む部分であり、例えば、コマンド部422には、リーダID(自装置ID)が含まれる。また、特定のICタグ200に対してAck(Acknowledgement)信号を送信する場合、コマンド部422に特定のICタグ200のタグIDが挿入される。Ack信号とは、ICタグ200が送信した信号を正常に受信できたことを示すものであり、通信完了信号として用いられる。CRC部423は、データの誤り検出のため、巡回冗長検査の結果が設定されている部分である。
【0032】
ここで、CW部410の送信時間はTc(例えば、6msec)、データ部420送信時間はTd(例えば、80msec)である。質問信号400は、所定の時間間隔で送信されており、2つの質問信号400の間には、休止期間Tw(例えば、100msec)が設けられている。このように、質問信号400は、休止期間Twを挟んで間欠的に繰り返し送信される。
【0033】
図4(b)に示す応答信号440は、図示を省略するが、プリアンブル部と、データ部(質問信号400と同様)とを有している。プリアンブル部には、リーダ装置100がビット同期を行うための信号が含まれている。このビット同期用の信号は、例えば、101010・・・というように、所定の信号列が繰り返し並べられている。データ部は、同期信号部、コマンド部、及びCRC部(図示省略)を有している。その応答信号440のコマンド部には、質問信号400を送信したリーダ装置100のリーダIDと、応答信号440を送信したICタグ200のタグIDが含まれている。なお、応答信号440は、UHF帯の搬送波を用いて送信される。
【0034】
<<2.動作>>
<2.1> 概要
まず、ICタグ200の動作の概要を説明する。
【0035】
図4(b)には、ICタグ200の受信状態の変化の例が模式的に示されている。
(i)質問信号400の有無が不明である場合、複数のLFアンテナ(以後、アンテナ)221x、y、zからの一のアンテナの選択をセレクタ222によって切り換えて、順に受信強度を検出する切換え受信処理450が行われる。
【0036】
(ii)次に、いずれかの一のアンテナ221によって質問信号400を受信することで、受信強度が閾値を超えると、アンテナの切換えが停止され、アンテナの選択を固定して受信する固定受信処理451が行われる。
【0037】
(iii)一の質問信号400aを受信した後、次の質問信号400bが送信されるまでの間、LF受信回路(以後、受信回路)224が停止させられ(受信回路停止状態452)、電力消費が低減される。
【0038】
(iv)質問信号400aと質問信号400bとの間の期間には質問信号400の送信が休止される休止期間Twが設けられている。その休止期間Twの長さは記憶部230に記憶されており、休止期間Tw後に受信回路224が起動され、固定受信処理453によって質問信号400bが受信される。なお、アンテナ221は、質問信号400aを受信したものが選択されている。ここで、質問信号400bには、応答信号440を正常に受け付けたことを示すAck信号(タグID等)が含まれている。
【0039】
<2.2> アンテナの切換え間隔について
図5(a)に、アンテナの切換え間隔と、質問信号400の長さとの関係を模式的に示す。なお、切換え受信処理450において、選択されたアンテナ221によって短期的に受信を行う短期受信処理460が行われる。図において、アンテナ221x,y,zが選択された状態で行われる短期受信処理460を、それぞれ記号X,Y,Zで示した。
【0040】
ここで、各短期受信処理460が行われる期間である短期受信期間Taは、CW部410が送信される期間Tcの4分の1以下の長さにされている。これにより、図5(b)に示すように、アンテナ221の切換えタイミングと、CW部410を受信するタイミングとがずれていても、残りの期間内で確実に3回分の短期受信を行うことができる。つまり、CW部410が送信される期間内に、各アンテナ221につき、少なくとも1回ずつ受信を行うことができる。なお、短期受信処理460を行いやすくするため、短期受信期間Taを、期間Tcの20分の1以上の長さにすることができる。
【0041】
図5(b)では、右端の短期受信処理460dで最初に有効信号が捕捉され、その後に固定受信処理451が行われる例を示している。なお、固定受信処理451では、有効信号が捕捉された時点のアンテナ221xが引き続き選択されている。以下、具体的に説明する。
【0042】
中央の短期受信処理460aでは、その処理期間が半ば終了した時点でCW部410が到達している。この場合、上記短期受信処理460aでは、受信強度を検出できず、有効信号を捕捉できないものとする。その後、短期受信処理460b,cでは受信強度が閾値以上にならず、右端の短期受信処理460dで受信強度が閾値以上になり、その後に固定受信処理451が行われる例を示している。なお、短期受信処理460b,cで受信強度が閾値以上になった場合には、その時点から固定受信処理451が行われる。
【0043】
このように、連続する3回分の短期受信処理460のいずれかで有効信号が捕捉されると、その時点からアンテナ221の選択を固定してデータ部420の先頭から受信を行うことができる。なお、図5(b)では、有効信号が捕捉された時点の短期受信処理460dと固定受信処理451とを区画する線が描かれているが、短期受信処理460dと固定受信処理451との間で受信信号が途切れるわけではない。すなわち、短期受信処理460dで有効信号が捕捉された後は、連続的に、固定受信処理451で有効信号が捕捉された時点のアンテナ221によって受信が行われる。
【0044】
前述のように、データ部420の先頭には同期信号部421が送信されており、この同期信号部421を受信することで、コマンド部422等の読み取りが可能である。なお、有効信号が捕捉された直後の同期信号部421を受信できなかった場合は、次の質問信号400の送信を待つこととなる。
【0045】
ところで、前述のように、各短期受信処理460の期間の長さTaは、CW部410が送信される期間内に、各アンテナ221につき、少なくとも1回ずつ受信を行うことができる長さとされている。これにより、上述のように、CW部410の送信期間に有効信号を捕捉したアンテナ221を選択し、CW部410の直後に送信されるデータ部420を受信することができる。この場合は、質問信号400aの送信期間にアンテナ221を選択し、2つ目の質問信号400bを受信する場合と比較して、より早いタイミングで質問信号400を受信できる。また、本実施形態のように、質問信号400が振幅変調されている場合、搬送波が変調されたデータ部420の受信強度に比べて、無変調の搬送波によって構成されるCW部410の受信強度は強いため、検出し易いこともある。
【0046】
<2.3> タグシステムの動作の詳細説明
図6〜図8に、ICタグ200が行う処理をフローチャートに示す。なお、ICタグ200は、制御部250によって、記憶部230に記憶された制御プログラムを実行することにより、送信系ブロック210、受信系ブロック220等の制御を行い、各処理を実施する。
【0047】
<2.3.1>
図6は、メインのフローチャートである。
ステップS11において、初期設定が行われる。この初期設定において、アンテナの初期選択の設定や、各種フラグの初期化等の処理が行われる。この初期設定は、電源投入後、あるいは電池が交換された場合等に実行される。
【0048】
ステップS12の切換え受信処理(図4(b)における切換え受信処理450)では、図5で説明したように、有効信号が捕捉されるまで3つのアンテナ221x,y,zを順次切換えつつ前述の短期受信処理460を繰り返し実行する処理が行われる。なお、切換え受信処理の1回の実行時間が設定時間C(後述する)を超えた場合、切換え受信処理は終了する。このような場合は、近くにリーダ装置100が存在しないものと判断できるからである。なお、詳細は後述する。
【0049】
有効信号が捕捉されたか否かは、後述する「有効信号フラグ」に設定される(図7参照)。
S13の判定により、有効信号フラグが参照され、切換え受信処理において有効信号が捕捉された場合、S14の認証処理が実行される。一方、有効信号が捕捉されない場合は、認証処理は行われない。
【0050】
S14の認証処理は、リーダ装置100と通信することで、認証を行う処理である。この認証処理は、具体的には、ICタグ200とリーダ装置100の間で識別情報を交換し、リーダ装置100に対して当該ICタグ200が応答対象であると認識させる処理である。この認証処理により、リーダ装置100によって当該ICタグ200が応答対象であると認識された場合、所定の結果が得られる。所定の結果は、例えば、後述するように、リーダ装置100の制御によってドア502の電気錠を解錠すること、PC520の操作を許可にすること等である。
【0051】
S15の判定において、上記認証処理において、受信が正常になされていたか否かが判定される。受信が正常になされていたか否かは、上記認証処理において、後述する「通信正常フラグ」に設定される(図8参照)。
【0052】
受信が正常になされていると、ICタグ200がリーダ装置100から完了信号(後述するAck信号)を受信し、上記認証処理は終了する。その後、S16の休止処理が実行され、ICタグ200は省電力状態となる。
【0053】
一方、ICタグ200がリーダ装置100からAck信号(通信完了信号)を受信できなかった場合は、受信が正常になされていないと判断され、再度S11に戻り、切換え受信処理が実行される。
【0054】
ここで、受信が正常になされないのは、例えば、稀ではあるが、ICタグ200の向きや位置の変化により、認証処理の途中で受信強度が低下して受信不良となるといった場合である。このような場合、例えば、ICタグ200が、一旦、有効信号を捕捉した後、リーダ装置100との通信を開始したものの、最終的にリーダ装置100からAck信号を受信できなくなる。
【0055】
なお、後述のように、リーダ装置の有効信号を捕捉したが、ICタグ200の応答対象のリーダ装置ではなかった場合は、受信が正常になされていると判断される。
S16の休止処理では、制御部250によって受信回路224が停止状態にされ、受信回路224による電力消費が低減される。また、この休止処理では、受信回路224の停止後から所定時間Tb(例えば、10秒前後、1分前後)経過後に、制御部250によって受信回路224が作動状態にされ、その後、休止処理が終了する。
休止処理の終了後には、再びS12の処理が行われる。この休止処理により、ICタグ200の電力消費を低減し、電池の寿命を延ばすことができる。
【0056】
<2.3.2> 切換え受信処理(S12)
図7は、S12の切換え受信処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップS21において、タイマによる時間の計測が開始される。
【0057】
S22において、現時点で選択されているアンテナ(例えば、アンテナ221x)によって、短期受信期間Ta(前述のTc/4)の間、受信を行い、受信強度検出部2243によって検出された受信強度を取得する。ここで、受信強度は、短期受信期間Ta内に複数回検出され、複数回分の受信強度の平均値(平均受信強度と称することができる)が取得される。
【0058】
S23の判定処理において、受信強度(正確には、受信強度の平均値である)が閾値以上である場合は、S24において、有効信号が捕捉されたことを示す有効信号フラグがONにされる。一方、受信強度が閾値未満である場合は、S25の判定処理が実行される。
【0059】
上記閾値は、例えば、受信エラーが生じない程度の受信強度の値とすることができる。
S25では、タイマによる計測時間が設定時間Cを超えたか否かが判断される。計測時間が設定時間C以下の場合は、後述するS26において、アンテナ221の切換えが行われた後、再度、受信強度取得等の処理が行われる(S22,23,25)。一方、計測時間が設定時間Cを超えた場合は、S27において有効信号フラグがOFFにされる。この場合、ICタグ200の近くにリーダ装置100が存在しておらず、有効信号を捕捉できない状態であると判断することができるからである。
【0060】
ここで、設定時間Cは、一の質問信号400が送信される期間Te(Tc+Td)と、一の休止期間Twと、一のCW部410が送信される期間Tcと、を合計した期間(2Tc+Td+Tw)の長さ以上にされている。この期間(2Tc+Td+Tw)は、CW部410が少なくとも1回送信されることとなる長さであるので、信号探知期間と呼ぶことができる。また、設定時間Cは、信号探知期間に1つのCW部410が送信される期間(Tc)を加えた期間(3Tc+Td+Tw)以下にされている。
【0061】
上記の時間設定により、ICタグ200の電力消費を低減しつつ、ICタグ200の近辺にリーダ装置100が存在している場合に、迅速に有効信号を捕捉することができる。
ステップS26のアンテナ切換え処理において、制御部250からセレクタ222に切換え指示がなされ、アンテナ221の選択が切換えられる。なお、アンテナ221の選択を切換えることを、単に「アンテナ221の切換え」と表現することがある。
【0062】
アンテナ221の切換えにより、例えば、現時点でアンテナ221xが選択されていた場合は、アンテナ221yが選択される。このS26の切換え処理が1回実行される毎に、アンテナ221の選択が1回切り換えられる。また、有効信号が捕捉されず、S26の処理が複数回実行された場合、アンテナ221x、y、z、x、y、・・・の順序で、巡回的にアンテナ221が繰り返し選択される。なお、S26の切換え処理において、切換え後にどのアンテナ221が選択されたかが、制御部250のメモリに記憶される。
【0063】
S24あるいはS27で有効信号フラグが設定された後、S28においてタイマが停止させられ、「0」にリセットされる。
以上の処理により、質問信号400が送信されている場合に、3つのアンテナ221x,y,zのうち、有効信号を捕捉できるアンテナ221を迅速に選択することができる。
【0064】
<2.3.3> 認証処理
図8は、S14の認証処理の詳細を示すフローチャートである。
認証処理は、切換え受信処理において有効信号が捕捉されたと判定された直後に実行される。そのため、図5(b)に示したように、一の質問信号400のCW部410の送信期間内においてアンテナ221を選択し、そのアンテナ221が選択されたままの状態で固定受信処理451を行い、データ部420を受信することができる。
【0065】
ステップS31において、質問信号400の受信が行われる(固定受信処理451)。受信回路224は、前述の同期信号部421を用いたフレーム同期を行った後、コマンド部422、CRC部423を復調して制御部250に送信する。制御部250では、コマンド部422、CRC部423に含まれるデータが読み取られると、CRC部423のデータに基づいて誤り検出が行われる。誤りが検出されなかった場合は、コマンド部422に含まれるリーダIDが抽出される。
【0066】
なお、S31の処理は、所定時間Dが経過しても質問信号400が受信できない場合(いわゆるタイムアウト)は、処理がS32に進む。このような場合、ICタグ200の応答対象の質問信号400とは異なる形式の質問信号を捕捉したと判断することができる。
【0067】
上記所定時間Dは、2つの質問信号400の送信期間Te(Tc+Td)と休止期間Twとを合わせた期間(2Tc+2Td+Tw)よりも長くされている。また、上記所定時間Dは、3つの質問信号400の送信期間(Tc+Td)と2つの休止期間(Tw)とを合わせた期間(3Tc+3Td+2Tw)よりも短くされている。
【0068】
なお、誤りが検出された場合や、質問信号400が受信できなかった旨が、所定のフラグに設定されるが、図示を省略している。
S32において、質問信号400の受信結果に応じて、次に行われる処理が決定される。
【0069】
(i)質問信号400が応答対象である場合、S33以下の処理が実行される。質問信号400が、応答対象であるのは、コマンド部422から抽出されたリーダIDが、IDテーブル231に格納されているものと一致する場合である。
【0070】
(ii)質問信号400が応答対象でない場合、S33〜S37以下の処理がスキップされ、後述するS38の処理が行われる。なお、質問信号400が応答対象でない場合とは、例えば、前述のように質問信号400が受信できなかった場合や、抽出されたリーダIDと同一のIDがIDテーブル231にない場合である。
【0071】
(iii)上記CRC部423に基づいて誤りが検出された場合は、S33〜S37以下の処理がスキップされ、後述するS39の処理が行われる。
上記(i)の場合、S33において、制御部250によって受信回路224が停止状態にされ、タイマによる休止期間Twの計時が開始される。
【0072】
S34において、制御部250により、送信回路212が作動状態にされ、送信系ブロック210からリーダ装置100にUHF帯の応答信号440が送信される。また、応答信号440の送信後に送信回路212は停止状態にされる。
【0073】
なお、応答信号440は、質問信号400と同様に、同期信号部、コマンド部、CRC部を含んでいる。応答信号440のコマンド部には、ICタグ200の自装置ID(タグID)と、質問信号400から抽出されたリーダIDとが含まれている。
【0074】
ここで、応答信号440を受信したリーダ装置100の動作について簡単に説明する。
リーダ装置100は、リーダIDに基づいて自装置への応答信号であることを判断し、タグIDに基づいて所定の処理(ドア502の解錠、PC520を使用可能にする等)を行うか否かを判断する。具体的には、リーダ装置100は、応答信号440から抽出したリーダIDがIDテーブル131の自装置IDと一致するか否かによって自装置への応答信号であるか否かを判断する。自装置への応答信号である場合、応答信号440から抽出したタグIDがIDテーブル131のいずれかのタグIDと一致するか否かを判断する。
【0075】
タグIDが一致した場合、リーダ装置100は外部装置170(後に示す具体例である電気錠530、接続切換え装置540等)に制御信号を送る。その結果、例えば、ドアのロックが解錠される。
【0076】
また、タグIDが一致した場合、リーダ装置100は通信が正常に完了したことを示す通信完了信号であるAck信号を送信する。ここで、Ack信号は、質問信号400のコマンド部422に、自装置IDと応答信号440から抽出したタグIDとを挿入して生成される。なお、質問信号400は、所定の時間間隔で送信されているので、図4に示したように、応答信号440を受けた後に送信される質問信号400bがAck信号を兼ねることとなる。
【0077】
以上で、リーダ装置100の動作の説明を終了し、認証処理の説明に戻る。
S35の判定により、S33において計測が開始された受信回路224の停止時間が、設定時間W以上であるか否かが判断される。ここで、上記設定時間Wは、前述の2つの質問信号400間の休止期間Twと同程度の値にされる。これにより、リーダ装置100から質問信号400bが送信されない期間に受信回路224を停止し、消費電力を低減することができる。なお、設定時間Wが休止期間Twと同程度の値であると、質問信号400bのCW部410の少なくとも一部が受信されない可能性があるが、同期信号部421を最初から受信できれば問題ない。
【0078】
タイマの計測時間が設定時間W以上になるとS36が実行される。S36において、受信回路224が作動状態にされ、質問信号400bの受信が行われる(図9(b)の固定受信処理453)。また、タイマによる計時が停止されるとともに、タイマが0にリセットされる。なお、前述のS31と同様に、質問信号400bが受信されなくとも、タイムアウトにより、処理がS37に進む。タイムアウトまでの時間は、例えば、前述の所定時間Dとすることができる。
【0079】
ここで、S36において、セレクタ222によって選択されているアンテナ221は、S31において選択されているアンテナ221と同じである。それは、質問信号400aが送信された後、質問信号400bの送信期間が終了するまでの時間は、例えば、0.2秒程度であり、当該選択されているアンテナ221の受信状態は大きく変わらないと考えられるからである。
【0080】
しかしながら、例えば、休止期間Twが比較的長い場合(例えば1秒以上)は、ICタグ200を身に付けたユーザの動きによっては受信状態が変わる可能性がある。このような場合、後述するようにS39の処理によって対処される。
【0081】
S37において、質問信号400bのコマンド部422から抽出されたタグID及びリーダIDが、それぞれ自装置ID、応答信号440に挿入したリーダIDと一致するか否かが判断される。タグID及びリーダIDの両方が一致した場合は、Ack信号が受信されており、S38において、通信が正常に行われていたことを示す通信正常フラグがONにされる。なお、この通信正常フラグは、図6のS15の判定において用いられる。
【0082】
一方、タグID及びリーダIDの両方が一致しない場合は、質問信号400bはAck信号ではないため、S37の判定がNOとなる。よって、通信が正常に行われなかったため、S38において通信正常フラグがOFFにされる。また、ステップ36において所定時間が経過しても質問信号400が受信されなかった場合(いわゆるタイムアウト)は、Ack信号が受信されなかったとして処理される(S37の判定がNOとなる)。
【0083】
S39では、その後にS12の切換え受信処理が行われるように、上記通信正常フラグがOFFにされる。その結果、図6に示したように、通信正常フラグがOFFは、S16の判定により、休止処理を経ずに、即座にS12の切換え受信処理が実行される。そして、再度、有効信号を捕捉し得るアンテナ221が選択された後、認証処理が行われる。
【0084】
最後にS40の終了処理において、受信結果がリセットされ、認証処理の1回の実行が終了する。
<2.3.4.> まとめ
以上に述べた処理により、質問信号400を探知する場合に、CW部410が送信される期間内に受信可能なアンテナ221を選択することが可能になる。つまり、複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得る。
【0085】
その結果、CW部410の後に送信されるデータ部420を最初から受信することができる。よって、質問信号400aの送信期間にアンテナ221を選択し、2つ目の質問信号400bを受信する場合と比較して、より早いタイミングで質問信号400を受信できる。
【0086】
また、認証処理が正常に行われなかった場合でも、即座に切換え受信処理を行うことによって有効信号を捕捉し得るアンテナ221を選択してから、再度認証処理を行うことができる。
【0087】
<3> 無線タグシステムの使用例
図9に、上述の無線タグシステムの使用例を示す。図9は、セキュリティ管理された情報端末の操作室500を示す平面図である。
【0088】
操作室500は、壁501と、ドア502とからなる。操作室500には、机510、椅子511、情報端末たるPC(パーソナルコンピュータ)520、ディスプレイ521、入力装置522等が設置されている。
【0089】
また、操作室500の外壁には、ドア502付近に第1のリーダ装置100aが設けられている。このリーダ装置100aは、ドア502の解錠に用いられ、ドア502の中に埋設された電気錠530と信号線531によって接続されている。
【0090】
上記電気錠530は、ホテルのドアのごとく、ドア502が閉まると自動的に施錠を行う。そして、リーダ装置100aから解錠指令(制御信号)を受けた時に解錠する。また、操作室500の内側からは、ドアノブを回す等の操作によってドア502を開けることができる。
【0091】
このような構成により、所定のICタグ200を所持しているユーザがリーダ装置100aに近づくと、ドア502の解錠が行われてユーザが入室可能になる。
また、操作室500の内壁には、机510の付近に第2のリーダ装置100bが設置されている。このリーダ装置100bは、PC520の使用を許可するために用いられる。机510の上には、接続切換え装置540が設置され、リーダ装置100bと信号線541によって接続されている。また、接続切換え装置540は、ディスプレイ521の電源線、入力装置522、PC520と接続されている。この接続切換え装置540は、リーダ装置100bからの許可信号(制御信号)を受けた場合に、各接続を導通状態にしてPC520の使用を許可する。一方、許可信号がない場合(あるいは許可信号を受けてから所定時間が経過した場合)に各接続を遮断してPC520の使用を禁止する。
【0092】
このような構成により、所定のICタグ200を所持しているユーザが、椅子511に着席している等、リーダ装置100bの近辺に位置している場合に、PC520の使用が許可される。具体的には、ディスプレイ521の表示が行われるとともに、入力装置522によるPC520への入力操作が可能になる。なお、ICタグ200は設定された時間間隔で繰り返しリーダ装置100bと通信を行うことで、PC520の使用時間が延長される。そして、ユーザが操作室500を退室すると、所定時間後に前述の接続が遮断され、PC520の使用が禁止された状態になる。
【0093】
以上に述べたように、ICタグ200とリーダ装置100との通信は、ドア502の解錠のように1回で済む場合もあれば、PC520の使用許可のように繰り返し行われる場合もある。
【0094】
本実施形態のICタグ200は、素早く質問信号400を受信することで、素早くドア502の解錠を行うことができる。また、本実施形態のICタグ200は、リーダ装置100bとの通信処理において、ユーザの姿勢変化等によってアンテナ221の向きが変わった場合に、質問信号400を受信し得るアンテナ221を素早く選択することができる。
【0095】
[変形例1]
上記実施形態において、短期受信処理460の長さが、それぞれCW部410の送信期間Tcの4分の1以下の長さとされていた。それに対して、本変形例では、上記と同様の無線タグシステムにおいて、短期受信処理460の長さを、送信期間Tcの4分の1よりも長くされている。なお、本変形例は、前記実施形態と同様の構成を備えており、以下に異なる部分を中心に説明する。
【0096】
図10に、質問信号400と、短期受信処理660とを模式的に示す。ここで、短期受信処理660の長さである短期受信期間Tsの4倍はCW部410の送信期間Tcよりも長くなっている。
【0097】
図11に、短期受信処理660における受信強度の変化を模式的に示す。この図において、2回分の短期受信処理660を示しており、1回目の短期受信処理660における受信強度661と、2回目の短期受信処理660における受信強度662との間でアンテナの切換えが行われている。
【0098】
本変形例において、受信強度は、受信強度検出部2243の出力の移動平均値を用いている。
移動平均を行う期間Tvは、短期受信期間Tsよりも短く設定されている。なお、移動平均値は、アンテナの切換え後に0にリセットされる。
【0099】
図11の例では、受信強度661は閾値未満であり、受信強度662はTpで示す時点で閾値と等しくなっている。よって、Tpの時点で有効信号が捕捉されたと判断し、それ以後のアンテナの切換えを停止して固定受信が行われる。具体的には、移動平均を行う期間Tv内に設定数のサンプリングを行い、それらの平均値を受信強度とする。また、サンプリングを行う毎に移動平均値を算出し、閾値以上となった時点で、有効信号が捕捉されたと判断する(S23の判定がYESとなる)。
【0100】
このように、本変形例では、短期受信期間Tsの途中であっても、有効信号を捕捉し得る。
ここで、期間Tvの短期受信によって有効信号を捕捉できる場合について、CW部410の送信期間Tc、短期受信期間Ts、及び期間Tvとの関係を次式に示す。
【0101】
2Ts+2Tv≦Tc ・・・(1)
上式は、図10(a)に示したように、一の短期受信期間Ts内に、2回の短期受信期間Tsと、2回の期間Tvとが収まっている。
【0102】
図10(b)は、短期受信処理660とCW部410の送信期間との関係を模式的に示す図である。図10(b)では、CW部410の受信開始時点に選択されていたアンテナ221xからの短期受信処理660aにおいて、受信期間が不足することによって有効信号を捕捉できなかったものとする。また、その後の短期受信処理660b,cでは、アンテナ221の指向性により受信強度が閾値を超えないものとする。
【0103】
このような場合でも、上記式(1)が充足されていれば、CW部410の送信期間Tc内に、再度アンテナ221xが選択され、短期受信処理660dにおいて有効信号が捕捉される。つまり、式(1)を充足させることで、3つのアンテナ221x,y,zによって少なくとも1回ずつの短期受信を行うことができる。
【0104】
なお、短期受信処理660dは、受信強度が閾値以上となった符号665で示す時点で終了する。その後は、前述の認証処理において質問信号400の受信(S31)が行われる。
【0105】
見方を変えると、図10(c)に示すようになる。短期受信処理660の期間Tvの4倍が送信期間Tc未満であれば、上式(1)を満たす範囲で短期受信処理660の長さを増やすことができる。つまり、図10(a)に示す態様は、原理的に図5(a)に示す態様と同様である。
【0106】
なお、期間Tvは、質問信号400の電波強度、リーダ装置100との位置関係(例えば、距離や方向)等の条件を考慮し、閾値以上の受信強度が得られ、正常に受信できる値を予め決定しておくことができる。
【0107】
[変形例2]
前記実施形態では、CW部410の送信期間Tcにおいて質問信号400を受信し得るアンテナ221を選択していたが、質問信号400の送信期間においてアンテナ221を選択してもよい。この場合、質問信号400bの受信が行われる。なお、本変形例は、前記実施形態と同様の構成を備えており、以下に異なる部分を中心に説明する。
【0108】
図12は、短期受信処理660の長さである短期受信期間Tuを、質問信号400の送信期間(Tc+Td)の4分の1以下にした例を模式的に示している。
本変形例において、質問信号400の変調方式をPSK(位相変調),FSK(周波数変調)方式とすることができる。その場合、CW部410と、データ部420とにおける受信強度の違いが少なくなる。
【0109】
[その他]
前記実施形態および変形例では、切換え受信処理において有効信号が捕捉された時点で、アンテナの切換えを停止していた。それに対して、有効信号が捕捉された後もアンテナの切換えを行い、3つのアンテナ221x,y,zの全てで短期受信処理を行うこともできる。これにより、アンテナ221x,y,zのうちの受信強度が最も強いものを選択することが可能になる。この態様は、前記実施形態等と同様の構成を備えており、以下に異なる部分を中心に説明する。
【0110】
図13に、短期受信処理860と、CW部410の送信期間Tcとの関係を模式的に示す。図13の例では、短期受信処理860a,b,cでは有効信号を捕捉できず、短期受信処理860dにおいて有効信号が捕捉されたものとする。その後、短期受信処理860e,fを行い、比較処理870において短期受信処理860d,e,fのうちで受信強度が最も強いときに選択されていたアンテナ221が選択される。よって、受信強度が最も高くなるアンテナ221を選択した状態で、固定受信処理851を行うことができる。
【0111】
この場合、短期受信期間Tmと、CW部410の送信期間Tcとの関係は、次式によって示される。
6Tm+Ty≦Tc ・・・(2)
上記Tyは、比較処理870に要する時間である。なお、Tyは、短期受信期間Tmに比して非常に短い。
【0112】
ここで、短期受信処理860dの後に、短期受信処理860e,fを行うのは、短期受信処理860b,cを行っている際に、既にCW部410が送信されていることを知ることができないためである。
【0113】
上記態様においても、前記変形例2と同様に、式(2)のTcを、質問信号400の送信期間Te(Tc+Td)に代えてもよい。
[補足]
(a)前記実施形態および変形例の説明は本発明の例示にすぎず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。
【0114】
(b)前記実施形態等において、3つのLFアンテナ221x,y,zは、互いに受信効率が最大となる方向の角度差が90度にされていたが、70度以上、あるいは80度以上にすることもできる。この場合も、概ね全方向における受信効率を平均化することができる。
【0115】
3つのLFアンテナ221x,y,zは、コイルの径が互いに同じものであったが、コイルの径が互いに異なるものでもよい。
LFアンテナ221は、ダイポールアンテナ等、ループアンテナ以外のものを用いてもよい。
【0116】
(c)前記実施形態等のS22において、短期受信期間Taにおける受信強度の平均値が取得されていた。これに対して、平均値をとらずに、受信強度が閾値以上になる回数が1回以上(例えば、2回)になった時点で、S24の判定処理がYESとなるようにしてもよい。これにより、素早く判断がなされる。一方、受信強度の平均値を用いる場合、ノイズなどの影響を受けにくくなり、判定の精度が向上する。
【0117】
(d)S22の設定時間C(信号探知期間)は、例えば、2つの質問信号400が送信される期間(2Tc+2Td)と、2回の休止期間(2Tw)と、1つのCW部410が送信される期間(Tc)と、を合わせた期間(3Tc+2Td+2Tw)以上にしてもよい。これにより、ICタグ200の電力消費の増大を抑制しつつ、一回の切換え受信処理において、より確実に質問信号400を捕捉することができる。
【0118】
(e)前記実施形態等のS16の休止処理の期間は一定であった。これに対して、S12の切換え受信処理の結果や、S14の認証処理の結果に応じて、休止処理の期間を変えてもよい。
【0119】
例えば、有効信号が捕捉されなかった場合(S13の判定がNO)の休止期間を長くし、通信が正常に行われた場合(S15の判定がYES)の休止期間を短くする、又は、その逆にすることができる。さらに、認証を行ったリーダ装置100の種類(ドアの解錠用、機器操作の許可用等)によって、休止期間を変えることもできる。
【0120】
(f)前記実施形態等において、リーダ装置100との1回の通信において、ICタグ200は応答信号440を1回だけ送信していた。これに対して、1回の通信において、ICタグ200とリーダ装置100との間で、複数回の信号の授受を行ってもよい。この場合でも、1回の通信において、一のアンテナを選択した状態を保つことができる。
【0121】
(g)前記実施形態等において、質問信号400a,bの送信期間Teは同じ長さにされていたが、異なる長さであってもよい。この場合、設定時間C(信号探知期間)や所定時間Dを、質問信号400a,bのうち長い方の送信期間に基づいて定めることができる。一方、変形例2の場合は、短期受信期間Tuを、質問信号400a,bのうち短い方の送信期間に基づいて定めることができる。
【0122】
(h)前記実施形態等において、質問信号400の変調方式は振幅変調に限られず、位相変調、周波数変調等の方式を用いることができる。
(j)前記実施形態等において、受信強度検出部2243は増幅回路2241から出力される整流信号を用いて受信強度を検出していたが、これに限られない。例えば、受信強度検出部を、増幅前の受信信号を整流する整流回路と、整流された信号(電流)を電圧に変換する変換部とを含むものとしてもよい。
【0123】
(k)図2の例では、IDテーブル131に2つのタグIDが記憶されているが、多数のタグIDをIDテーブル131に記憶することもできる。また、リーダIDとタグIDとを別個のテーブルで管理してもよい。IDテーブル231も同様である。
【0124】
(m)前記実施形態等において、切換え受信処理(図6のS12)は、設定時間C経過しても有効信号が捕捉されなかった場合、休止処理(S16)が行われていた。それに対して、有効信号が捕捉されなくとも、連続的に切換え受信処理を実行することとしてもよい。前記実施形態等において、質問信号400には、低い周波数の電波(LF帯)が用いられており、受信回路224の消費電力は少ないからである。
【0125】
なお、切換え受信処理を休止させない態様では、図7において、S25,S27の処理を省略し、S23の判定がNOとなった場合に、S26を実行することができる。また、図6のS13の処理を省略することができる。
【0126】
(n)前記実施形態等において、切換え受信処理(図6のS12)で受信強度の検出が行われていた。このとき、復調回路2242(図3)を作動させなくともよい。切換え受信処理時に復調回路2242を停止状態にすることで、消費電力を低減し得る。
【0127】
この場合、LF受信回路224は、制御部250からの指令によって、増幅回路2241および受信強度検出部2243とは別個に、復調回路2242の作動と停止を切換えることができるものとすることができる。
【0128】
また、上記の場合、S16の休止処理で制御部250によってLF受信回路224を作動状態にする指令を行うことに代えて、S21(図7)の前または後に、復調回路2242を停止状態にしたまま、増幅回路2241と受信強度検出部2243とを作動状態にさせる指令を送ることができる。
【0129】
さらに、切換え受信処理において復調回路2242が停止状態にされている場合、S31の質問信号受信処理(図8)において、あるいはその前に、制御部250からLF受信回路224に、復調回路2242を作動状態にさせる指令を送ることができる。
【0130】
(p)前記実施形態等において、ICタグ200のIDテーブル231は、自装置のタグIDと、リーダ装置100のリーダIDとを含んでいたが、リーダIDを含まないものとしてもよい。すなわち、ICタグ200の記憶部230にリーダIDが記憶されていなくともよい。
【0131】
この場合、ICタグ200が送信する応答信号440を、自装置のタグIDを含み、リーダIDを含まないものとすることができる。
(q)前記実施形態等において、リーダ装置100の記憶部130にタグIDを含むIDテーブル131が記憶されるとともに、リーダ装置100は外部装置170への指令を行っていた。それに対して、無線タグシステムに、タグIDを管理するサーバと、外部装置170(電気錠530、接続切換え装置540等)への指令を行うゲートユニットとを設けてもよい。なお、ゲートユニットは、例えば、LAN(Local Area Network)を介してリーダ装置に接続することができる。また、サーバとゲートユニットとを、例えば、LANを介して接続することができる。
【0132】
ゲートユニットは、リーダ装置からタグIDが送られてくると、自装置が保持するIDテーブルに含まれるタグIDのいずれかと一致するか否かを判断し、一致する場合に外部装置170に信号線を介して指令(例えば、電気錠の解錠指令)を送るものとすることができる。また、リーダ装置から送られてきたタグIDと、自装置が保持するタグIDのいずれかが一致した場合に、リーダ装置に当該タグIDは応答対象である旨の信号を送るものとすることができる。さらに、一のゲートユニットを、複数のリーダ装置とLANを介して接続し、複数の外部装置170と信号線(あるいはLAN等の通信手段)を介して接続してもよい。
【0133】
サーバは、複数のタグIDを含むIDテーブルを記憶し、管理者によってIDテーブルが更新された場合に、更新後のIDテーブルをゲートユニットに送信し、ゲートユニットが保持するタグIDを更新することができる。
【0134】
(r)以下に、本実施形態に係る各種の携帯情報端末における構成及び効果について説明する。
(1)本実施形態に係るアクティブタグ装置は、複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0135】
本項のアクティブタグ装置は、アンテナを切換える処理を開始した後、最初に有効信号を捕捉した時点で切換えを停止することで、複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得る。
【0136】
アクティブタグ装置が受信する信号は、リーダ装置が送信する質問信号とすることができる。リーダ装置は、アクティブタグ装置と無線通信することで、アクティブタグ装置の識別情報、コマンド等を取得するものである。リーダ装置は、識別情報等の取得により、例えば、ドアの電気錠に解錠指令を送信する等の所定の動作を行う。
【0137】
複数のアンテナは、例えば、指向性や偏波特性が異なる等、互いに異なる受信特性を発揮するように設けることができる。複数のアンテナの指向性を異ならせる場合、複数のアンテナを、受信効率が最大となる方向を互いに異ならせて設置することができる。
【0138】
(2)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記受信部は、前記信号の受信強度を検出する受信強度検出部を備え、前記制御部は、前記信号の送信期間内に、前記受信部が各アンテナによって少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換え、かつ、前記受信強度検出部によって検出された受信信号の強度が閾値以上になったことをもって前記有効信号が捕捉されたと判断し、アンテナの切換えを停止する制御を行う、こととしてもよい。
【0139】
アクティブタグ装置が受信する信号は、通常、リーダ装置によって間欠的に送信される。つまり、一の信号が送信されている送信期間と、信号が送信されていない休止期間とが交互に繰り返される。この場合、一の送信期間内に、各アンテナによって1回ずつ受信を行うことで、素早く有効信号を捕捉し得る。
【0140】
(3)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記信号は、送信データを含むデータ部と、前記データ部の前に送信される前置部とを含み、前記制御部は、前記前置部が送信される期間と同じ長さの期間内に、前記受信部が各アンテナから少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換える制御を行う、こととしてもよい。
【0141】
本項のアクティブタグ装置は、前置部を受信する期間内に、受信に用いるアンテナを選択することができる。その結果、前置部の後に送信されるデータ部を最初から受信することができる。この場合、信号の送信期間内にアンテナを選択し、次の信号を受信する場合と比較して、より早いタイミングで信号を受信できる。
【0142】
本項のアクティブタグ装置は、前置部において、各アンテナで1回ずつの受信を行うため、データ部の受信強度に左右されないという利点がある。よって、振幅変調(ASK)方式に好適である。
【0143】
前置部は、ある程度の受信強度が得られる電波とすることができ、例えば、無変調の搬送波、ビット列(1と0とが交互に並べられる等、所定の順序に並べられたもの)等とすることができる。なお、振幅変調(ASK)が用いられている場合、無変調の搬送波は、ビット列に比して受信強度を大きくできる点で有利である。なお、実施形態におけるCW(Continuous Wave)部は、無変調の搬送波からなる前置部の具体例である。
【0144】
(4)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記制御部は、前記アンテナを切換える処理において、前記複数のアンテナを巡回的に選択する処理を行い、かつ、一のアンテナを選択している期間の長さが、前記前置部が送信される期間を前記複数のアンテナの個数に1を加算した数で除した期間以下である、こととしてもよい。
【0145】
前置部において、各アンテナで1回ずつの受信を行うためには、一のアンテナを選択している期間の長さを、信号の送信期間をアンテナの数に1を加算した数で除した期間以下にすることが簡明である。
【0146】
なお、一のアンテナを選択している期間の長さを、信号の送信期間をアンテナの数で除した期間にした場合、確実に各アンテナで1回ずつの受信を行うことができない。それは、アンテナを切換えるタイミングと前置部が送信されるタイミングとが一致しているとは限らないからである。
【0147】
(5)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記信号は、当該アクティブタグ装置と通信を行うリーダ装置によって送信されており、リーダ装置に対して応答信号を送信する送信部を備え、前記制御部は、有効信号が捕捉されて前記受信部によって信号が受信された後、前記送信部を制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信し、かつ、前記セレクタを制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信した後、前記質問信号を受信したアンテナを選択した状態で、前記応答信号を受信したリーダ装置によって送信される通信完了信号を前記受信部によって受信し、かつ、前記通信完了信号が受信された後、前記アンテナを切換える処理を再開させる制御を行う、こととしてもよい。
【0148】
本項のアクティブタグ装置は、リーダ装置との1回の通信において、最後に通信完了信号を受信する。上記1回の通信は、短時間(例えば0.5秒前後)で行われるため、アンテナの選択を切換えずに行うことができる。しかし、1回の通信が終了した後は、同じアンテナで有効信号が捕捉されるとは限らないため、アンテナを切換える処理が再開させられる。
【0149】
(6)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記複数のアンテナは、互いに異なる方向で受信効率が最大となる向きに設置されている、こととしてもよい。
本項のアクティブタグ装置では、複数のアンテナを互いに異なる向きに設置することで、信号を検知し易くなる。よって、リーダ装置との位置関係の変化に適応し易くなる。
【0150】
(7)本実施形態に係る無線タグシステムは、質問信号を送信するリーダ装置と、質問信号を受信するアクティブタグ装置とを含む無線タグシステムであって、前記アクティブタグ装置は、複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0151】
本実施形態に係る無線タグシステムでは、アクティブタグ装置が備えている複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得る。
【符号の説明】
【0152】
100a,b リーダ装置
200 ICタグ
221x,y,z LFアンテナ
222 セレクタ
224 LF受信回路
250 制御部
400a,b 質問信号
410 CW部
420 データ部
440 応答信号
450 切換え受信処理
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを備えたアクティブタグ装置等に関し、特に、受信に用いるアンテナを選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグシステムは、例えば、セキュリティ管理された部屋へのユーザの入室を管理するために用いられる。その無線タグシステムは、質問信号を送信するリーダ装置と、質問信号を受信して応答信号を送信するアクティブタグ装置とを備えている。そして、リーダ装置とアクティブタグ装置との間で上述の信号の送受信を行うことによって認証が行われ、例えば、セキュリティ管理されたドアに設けられた電気錠の解錠などが行われる。
【0003】
アクティブタグ装置には、特許文献1、2に記載されているように、互いに異なる向きに配置された複数の指向性アンテナを備えているものがある。特許文献1に記載のアクティブタグ装置では、複数のアンテナの指向性の違いを利用して、入室時か退室時かを判別可能にしている。特許文献2に記載のアクティブタグ装置は、複数のアンテナのうち、受信強度が最も大きいアンテナを選択して受信を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−009474号公報
【特許文献2】特開2005−316742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のアクティブタグ装置には、複数のアンテナの受信強度を比較するため、アンテナの選択に時間がかかるという問題がある。
上記の課題に鑑み、本発明は、複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得るアクティブタグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るアクティブタグ装置は、複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記受信部は、前記信号の受信強度を検出する受信強度検出部を備え、前記制御部は、前記信号の送信期間内に、前記受信部が各アンテナによって少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換え、かつ、前記受信強度検出部によって検出された受信信号の強度が閾値以上になったことをもって前記有効信号が捕捉されたと判断し、アンテナの切換えを停止する制御を行う、こととしてもよい。
【0008】
さらに、前記信号は、送信データを含むデータ部と、前記データ部の前に送信される前置部とを含み、前記制御部は、前記前置部が送信される期間と同じ長さの期間内に、前記受信部が各アンテナから少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換える制御を行う、こととしてもよい。
【0009】
さらに、前記制御部は、前記アンテナを切換える処理において、前記複数のアンテナを巡回的に選択する処理を行い、かつ、一のアンテナを選択している期間の長さが、前記前置部が送信される期間を前記複数のアンテナの個数に1を加算した数で除した期間以下である、こととしてもよい。
【0010】
さらに、前記信号は、当該アクティブタグ装置と通信を行うリーダ装置によって送信されており、リーダ装置に対して応答信号を送信する送信部を備え、前記制御部は、有効信号が捕捉されて前記受信部によって信号が受信された後、前記送信部を制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信し、かつ、前記セレクタを制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信した後、前記質問信号を受信したアンテナを選択した状態で、前記応答信号を受信したリーダ装置によって送信される通信完了信号を前記受信部によって受信し、かつ、前記通信完了信号が受信された後、前記アンテナを切換える処理を再開させる制御を行う、こととしてもよい。
【0011】
さらに、前記複数のアンテナは、互いに異なる方向で受信効率が最大となる向きに設置されている、こととしてもよい。
本発明に係る無線タグシステムは、質問信号を送信するリーダ装置と、質問信号を受信するアクティブタグ装置とを含む無線タグシステムであって、前記アクティブタグ装置は、複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアクティブタグ装置は、複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る無線タグシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】リーダ装置100の記憶部130に格納されたIDテーブル131と、ICタグ200の記憶部230に格納されたIDテーブル231とを示す図である。
【図3】ICタグ200のLF受信回路224の構成を示すブロック図である。
【図4】質問信号400および応答信号440等を模式的に示す図である。
【図5】切換え受信処理における短期受信処理460x、y、zを模式的に示す図である。
【図6】ICタグ200によって行われるタグ制御処理を示すフローチャートである。
【図7】タグ制御処理における切換え受信処理を示すフローチャートである。
【図8】タグ制御処理における認証処理を示すフローチャートである。
【図9】無線タグシステムが用いられる情報端末操作室500を模式的に示す平面図である。
【図10】変形例1における短期受信処理660を模式的に示す図である。
【図11】変形例1における受信強度の変化を模式的に示す図である。
【図12】変形例2における短期受信処理760を模式的に示す図である。
【図13】その他の例における短期受信処理860を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態および変形例について、図面を参照しながら説明する。
[実施形態]
<<1.無線タグシステムの構成>>
図1は、実施形態に係るICタグ200(アクティブタグ装置)およびリーダ装置100を備えた無線タグシステムの構成を模式的に示すブロック図である。
【0015】
<1.1> リーダ装置
リーダ装置100は、送信系ブロック110、受信系ブロック120、記憶部130、インタフェース140、およびそれらと接続された制御部150とを備えている。
【0016】
送信系ブロック110は、送信用のLF(Low Frequency)アンテナ111と、LF送信回路112とを備えている。LF送信回路112は、制御部150から送られた送信データを変調(例えば、振幅変調(ASK))および増幅し、LFアンテナ111に出力する。LFアンテナ111は、増幅された送信信号をLF帯の電波(例えば、130kHz)に変換して放射する。
【0017】
受信系ブロック120には、受信用のUHF(Ultra High Frequency)アンテナ121と、UHF受信回路122とが設けられている。UHFアンテナ121は、UHF帯の電波を高周波の電気信号(以後、受信信号)に変換し、UHF受信回路122に出力する。UHF受信回路122は、受信信号を増幅および復調し、制御部150に送る。
【0018】
記憶部130は、フラッシュメモリ等の不揮発メモリを備えている。図2(a)に示すように、記憶部130には、識別情報を格納するIDテーブル131が記憶されている。IDテーブル131には、リーダ装置100(自装置)の識別情報であるリーダID、および、通信対象となるICタグ200の識別情報であるタグIDが含まれている。
【0019】
インタフェース140は、外部装置170(後述する施錠装置、電源スイッチ切換え装置等)と接続される。
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read-Only Memory),RAM(Random-Access Memory)等)、バス等からなるコンピュータを備えている。その制御部150は、LF送信回路112、UHF受信回路122等を制御してICタグと通信を行い、通信結果に基づいて、例えば、外部装置170を制御する(後述する電気錠の解錠、情報端末の操作許可等)。
【0020】
<1.2> ICタグ
ICタグ200は、電池を備えたアクティブタグとして構成されている。ICタグ200は、送信系ブロック210、受信系ブロック220、記憶部230、電源部240、およびそれらと接続された制御部250とを備えている。
【0021】
送信系ブロック210には、送信用のUHFアンテナ211と、UHF送信回路212とが設けられている。UHF送信回路212は、制御部250から送られた送信データを変調および増幅し、UHFアンテナ211に出力し、電波を放射させる。
【0022】
受信系ブロック220は、受信用の3つのLFアンテナ221x,y,zと、アンテナを選択するセレクタ222と、LF受信回路224(「受信部」の具体例である)とを備えている。LFアンテナ221は、LF帯の電波を受信信号に変換し、LF受信回路224に出力する。LF受信回路224は、受信信号を増幅および復調し、制御部250に送る。
【0023】
ここで、3つのLFアンテナ221は、それぞれコイルによって構成されており、コイルの中心線が互いに異なる方向に向けて配置されている。すなわち、3つのLFアンテナ221は指向性を有し、互いに異なる方向で受信効率(あるいは放射効率、利得等)が最大となる向きに配置されている。具体的には、図1の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、紙面を裏側から表側に貫く方向をZ軸方向とすると、3つのLFアンテナ221x,y,zのコイルの中心線は、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に平行にされている。これにより、全方向における受信効率を平均化することができる。
【0024】
記憶部230は、フラッシュメモリ等の不揮発メモリを備えている。図2(b)に示すように、記憶部230には、識別情報を格納するIDテーブル231が記憶されている。IDテーブル231には、ICタグ200(自装置)の識別情報であるタグID、および、通信対象となるリーダ装置100の識別情報であるリーダIDが含まれている。
【0025】
電源部240は、電池を備えており、給電路を介して、送信系ブロック210、受信系ブロック220、制御部250等に給電する。
制御部250は、CPU,メモリ(ROM,RAM等)、バス等からなるコンピュータを備えている。その制御部250は、制御プログラムを実行することにより、送信系ブロック210、受信系ブロック220、及び電源部240を制御してリーダ装置100と通信を行う。
【0026】
図3は、LF受信回路224の構成を模式的に示すブロック図である。
LF受信回路224は、受信信号を増幅する増幅回路2241、増幅後の受信信号を復調する復調回路2242、および受信信号の強度を検出する受信強度検出部2243を備えている。
【0027】
増幅回路2241は、受信信号を多段増幅する複数の差動増幅回路を有している。復調回路2242は、増幅回路2241の出力信号を、例えば、振幅変調された信号を復調し、デジタル信号を出力する。受信強度検出部2243は、増幅回路2241から出力される整流信号を電圧信号に変換し、受信強度信号として出力する。なお、受信強度信号は、RSSI(Received Signal Strength Indication)と称することができ、受信強度検出部2243をRSSI回路と称することができる。
【0028】
<1.3> 質問信号、応答信号
図4(a),(b)に、リーダ装置100が送信する質問信号400と、ICタグ200が送信する応答信号(Res)440とを模式的に示す。この図において、左から右へ向かって時間が経過している。また、図4(a)と(b)とでは、時間経過が一致しており、左右方向の位置が同じ場合、互いに同じ時刻になる。なお、図4(a)では、繰り返し送信される複数の質問信号400のうち、2つの質問信号400a,bを示している。
【0029】
質問信号400は、CW(Continuous Wave)部410と、データ部420とからなる。CW部410では、LF帯(例えば、130kHz)の無変調の搬送波のみが一定の振幅で送信される。このCW部410の送信により、ICタグ200は質問信号400の存在を検知することができ、データ部420の受信に備えることができる。
【0030】
データ部420では、送信データに基づいて変調された搬送波が送信される。データ部420には、同期信号部421(図では「sync」)、コマンド部422、CRC(Cyclic Redundancy Check)部423が含まれている。同期信号部421は、受信側でデータ開始位置を認識するための固有識別情報を示す信号である。ICタグ200は、上記同期信号部421を受信しないと、フレーム同期を行うことができず、コマンド部422及びCRC部423の信号を正常に読み取れなくなる。
【0031】
コマンド部422は、ICタグ200に送信する実体的な情報を含む部分であり、例えば、コマンド部422には、リーダID(自装置ID)が含まれる。また、特定のICタグ200に対してAck(Acknowledgement)信号を送信する場合、コマンド部422に特定のICタグ200のタグIDが挿入される。Ack信号とは、ICタグ200が送信した信号を正常に受信できたことを示すものであり、通信完了信号として用いられる。CRC部423は、データの誤り検出のため、巡回冗長検査の結果が設定されている部分である。
【0032】
ここで、CW部410の送信時間はTc(例えば、6msec)、データ部420送信時間はTd(例えば、80msec)である。質問信号400は、所定の時間間隔で送信されており、2つの質問信号400の間には、休止期間Tw(例えば、100msec)が設けられている。このように、質問信号400は、休止期間Twを挟んで間欠的に繰り返し送信される。
【0033】
図4(b)に示す応答信号440は、図示を省略するが、プリアンブル部と、データ部(質問信号400と同様)とを有している。プリアンブル部には、リーダ装置100がビット同期を行うための信号が含まれている。このビット同期用の信号は、例えば、101010・・・というように、所定の信号列が繰り返し並べられている。データ部は、同期信号部、コマンド部、及びCRC部(図示省略)を有している。その応答信号440のコマンド部には、質問信号400を送信したリーダ装置100のリーダIDと、応答信号440を送信したICタグ200のタグIDが含まれている。なお、応答信号440は、UHF帯の搬送波を用いて送信される。
【0034】
<<2.動作>>
<2.1> 概要
まず、ICタグ200の動作の概要を説明する。
【0035】
図4(b)には、ICタグ200の受信状態の変化の例が模式的に示されている。
(i)質問信号400の有無が不明である場合、複数のLFアンテナ(以後、アンテナ)221x、y、zからの一のアンテナの選択をセレクタ222によって切り換えて、順に受信強度を検出する切換え受信処理450が行われる。
【0036】
(ii)次に、いずれかの一のアンテナ221によって質問信号400を受信することで、受信強度が閾値を超えると、アンテナの切換えが停止され、アンテナの選択を固定して受信する固定受信処理451が行われる。
【0037】
(iii)一の質問信号400aを受信した後、次の質問信号400bが送信されるまでの間、LF受信回路(以後、受信回路)224が停止させられ(受信回路停止状態452)、電力消費が低減される。
【0038】
(iv)質問信号400aと質問信号400bとの間の期間には質問信号400の送信が休止される休止期間Twが設けられている。その休止期間Twの長さは記憶部230に記憶されており、休止期間Tw後に受信回路224が起動され、固定受信処理453によって質問信号400bが受信される。なお、アンテナ221は、質問信号400aを受信したものが選択されている。ここで、質問信号400bには、応答信号440を正常に受け付けたことを示すAck信号(タグID等)が含まれている。
【0039】
<2.2> アンテナの切換え間隔について
図5(a)に、アンテナの切換え間隔と、質問信号400の長さとの関係を模式的に示す。なお、切換え受信処理450において、選択されたアンテナ221によって短期的に受信を行う短期受信処理460が行われる。図において、アンテナ221x,y,zが選択された状態で行われる短期受信処理460を、それぞれ記号X,Y,Zで示した。
【0040】
ここで、各短期受信処理460が行われる期間である短期受信期間Taは、CW部410が送信される期間Tcの4分の1以下の長さにされている。これにより、図5(b)に示すように、アンテナ221の切換えタイミングと、CW部410を受信するタイミングとがずれていても、残りの期間内で確実に3回分の短期受信を行うことができる。つまり、CW部410が送信される期間内に、各アンテナ221につき、少なくとも1回ずつ受信を行うことができる。なお、短期受信処理460を行いやすくするため、短期受信期間Taを、期間Tcの20分の1以上の長さにすることができる。
【0041】
図5(b)では、右端の短期受信処理460dで最初に有効信号が捕捉され、その後に固定受信処理451が行われる例を示している。なお、固定受信処理451では、有効信号が捕捉された時点のアンテナ221xが引き続き選択されている。以下、具体的に説明する。
【0042】
中央の短期受信処理460aでは、その処理期間が半ば終了した時点でCW部410が到達している。この場合、上記短期受信処理460aでは、受信強度を検出できず、有効信号を捕捉できないものとする。その後、短期受信処理460b,cでは受信強度が閾値以上にならず、右端の短期受信処理460dで受信強度が閾値以上になり、その後に固定受信処理451が行われる例を示している。なお、短期受信処理460b,cで受信強度が閾値以上になった場合には、その時点から固定受信処理451が行われる。
【0043】
このように、連続する3回分の短期受信処理460のいずれかで有効信号が捕捉されると、その時点からアンテナ221の選択を固定してデータ部420の先頭から受信を行うことができる。なお、図5(b)では、有効信号が捕捉された時点の短期受信処理460dと固定受信処理451とを区画する線が描かれているが、短期受信処理460dと固定受信処理451との間で受信信号が途切れるわけではない。すなわち、短期受信処理460dで有効信号が捕捉された後は、連続的に、固定受信処理451で有効信号が捕捉された時点のアンテナ221によって受信が行われる。
【0044】
前述のように、データ部420の先頭には同期信号部421が送信されており、この同期信号部421を受信することで、コマンド部422等の読み取りが可能である。なお、有効信号が捕捉された直後の同期信号部421を受信できなかった場合は、次の質問信号400の送信を待つこととなる。
【0045】
ところで、前述のように、各短期受信処理460の期間の長さTaは、CW部410が送信される期間内に、各アンテナ221につき、少なくとも1回ずつ受信を行うことができる長さとされている。これにより、上述のように、CW部410の送信期間に有効信号を捕捉したアンテナ221を選択し、CW部410の直後に送信されるデータ部420を受信することができる。この場合は、質問信号400aの送信期間にアンテナ221を選択し、2つ目の質問信号400bを受信する場合と比較して、より早いタイミングで質問信号400を受信できる。また、本実施形態のように、質問信号400が振幅変調されている場合、搬送波が変調されたデータ部420の受信強度に比べて、無変調の搬送波によって構成されるCW部410の受信強度は強いため、検出し易いこともある。
【0046】
<2.3> タグシステムの動作の詳細説明
図6〜図8に、ICタグ200が行う処理をフローチャートに示す。なお、ICタグ200は、制御部250によって、記憶部230に記憶された制御プログラムを実行することにより、送信系ブロック210、受信系ブロック220等の制御を行い、各処理を実施する。
【0047】
<2.3.1>
図6は、メインのフローチャートである。
ステップS11において、初期設定が行われる。この初期設定において、アンテナの初期選択の設定や、各種フラグの初期化等の処理が行われる。この初期設定は、電源投入後、あるいは電池が交換された場合等に実行される。
【0048】
ステップS12の切換え受信処理(図4(b)における切換え受信処理450)では、図5で説明したように、有効信号が捕捉されるまで3つのアンテナ221x,y,zを順次切換えつつ前述の短期受信処理460を繰り返し実行する処理が行われる。なお、切換え受信処理の1回の実行時間が設定時間C(後述する)を超えた場合、切換え受信処理は終了する。このような場合は、近くにリーダ装置100が存在しないものと判断できるからである。なお、詳細は後述する。
【0049】
有効信号が捕捉されたか否かは、後述する「有効信号フラグ」に設定される(図7参照)。
S13の判定により、有効信号フラグが参照され、切換え受信処理において有効信号が捕捉された場合、S14の認証処理が実行される。一方、有効信号が捕捉されない場合は、認証処理は行われない。
【0050】
S14の認証処理は、リーダ装置100と通信することで、認証を行う処理である。この認証処理は、具体的には、ICタグ200とリーダ装置100の間で識別情報を交換し、リーダ装置100に対して当該ICタグ200が応答対象であると認識させる処理である。この認証処理により、リーダ装置100によって当該ICタグ200が応答対象であると認識された場合、所定の結果が得られる。所定の結果は、例えば、後述するように、リーダ装置100の制御によってドア502の電気錠を解錠すること、PC520の操作を許可にすること等である。
【0051】
S15の判定において、上記認証処理において、受信が正常になされていたか否かが判定される。受信が正常になされていたか否かは、上記認証処理において、後述する「通信正常フラグ」に設定される(図8参照)。
【0052】
受信が正常になされていると、ICタグ200がリーダ装置100から完了信号(後述するAck信号)を受信し、上記認証処理は終了する。その後、S16の休止処理が実行され、ICタグ200は省電力状態となる。
【0053】
一方、ICタグ200がリーダ装置100からAck信号(通信完了信号)を受信できなかった場合は、受信が正常になされていないと判断され、再度S11に戻り、切換え受信処理が実行される。
【0054】
ここで、受信が正常になされないのは、例えば、稀ではあるが、ICタグ200の向きや位置の変化により、認証処理の途中で受信強度が低下して受信不良となるといった場合である。このような場合、例えば、ICタグ200が、一旦、有効信号を捕捉した後、リーダ装置100との通信を開始したものの、最終的にリーダ装置100からAck信号を受信できなくなる。
【0055】
なお、後述のように、リーダ装置の有効信号を捕捉したが、ICタグ200の応答対象のリーダ装置ではなかった場合は、受信が正常になされていると判断される。
S16の休止処理では、制御部250によって受信回路224が停止状態にされ、受信回路224による電力消費が低減される。また、この休止処理では、受信回路224の停止後から所定時間Tb(例えば、10秒前後、1分前後)経過後に、制御部250によって受信回路224が作動状態にされ、その後、休止処理が終了する。
休止処理の終了後には、再びS12の処理が行われる。この休止処理により、ICタグ200の電力消費を低減し、電池の寿命を延ばすことができる。
【0056】
<2.3.2> 切換え受信処理(S12)
図7は、S12の切換え受信処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップS21において、タイマによる時間の計測が開始される。
【0057】
S22において、現時点で選択されているアンテナ(例えば、アンテナ221x)によって、短期受信期間Ta(前述のTc/4)の間、受信を行い、受信強度検出部2243によって検出された受信強度を取得する。ここで、受信強度は、短期受信期間Ta内に複数回検出され、複数回分の受信強度の平均値(平均受信強度と称することができる)が取得される。
【0058】
S23の判定処理において、受信強度(正確には、受信強度の平均値である)が閾値以上である場合は、S24において、有効信号が捕捉されたことを示す有効信号フラグがONにされる。一方、受信強度が閾値未満である場合は、S25の判定処理が実行される。
【0059】
上記閾値は、例えば、受信エラーが生じない程度の受信強度の値とすることができる。
S25では、タイマによる計測時間が設定時間Cを超えたか否かが判断される。計測時間が設定時間C以下の場合は、後述するS26において、アンテナ221の切換えが行われた後、再度、受信強度取得等の処理が行われる(S22,23,25)。一方、計測時間が設定時間Cを超えた場合は、S27において有効信号フラグがOFFにされる。この場合、ICタグ200の近くにリーダ装置100が存在しておらず、有効信号を捕捉できない状態であると判断することができるからである。
【0060】
ここで、設定時間Cは、一の質問信号400が送信される期間Te(Tc+Td)と、一の休止期間Twと、一のCW部410が送信される期間Tcと、を合計した期間(2Tc+Td+Tw)の長さ以上にされている。この期間(2Tc+Td+Tw)は、CW部410が少なくとも1回送信されることとなる長さであるので、信号探知期間と呼ぶことができる。また、設定時間Cは、信号探知期間に1つのCW部410が送信される期間(Tc)を加えた期間(3Tc+Td+Tw)以下にされている。
【0061】
上記の時間設定により、ICタグ200の電力消費を低減しつつ、ICタグ200の近辺にリーダ装置100が存在している場合に、迅速に有効信号を捕捉することができる。
ステップS26のアンテナ切換え処理において、制御部250からセレクタ222に切換え指示がなされ、アンテナ221の選択が切換えられる。なお、アンテナ221の選択を切換えることを、単に「アンテナ221の切換え」と表現することがある。
【0062】
アンテナ221の切換えにより、例えば、現時点でアンテナ221xが選択されていた場合は、アンテナ221yが選択される。このS26の切換え処理が1回実行される毎に、アンテナ221の選択が1回切り換えられる。また、有効信号が捕捉されず、S26の処理が複数回実行された場合、アンテナ221x、y、z、x、y、・・・の順序で、巡回的にアンテナ221が繰り返し選択される。なお、S26の切換え処理において、切換え後にどのアンテナ221が選択されたかが、制御部250のメモリに記憶される。
【0063】
S24あるいはS27で有効信号フラグが設定された後、S28においてタイマが停止させられ、「0」にリセットされる。
以上の処理により、質問信号400が送信されている場合に、3つのアンテナ221x,y,zのうち、有効信号を捕捉できるアンテナ221を迅速に選択することができる。
【0064】
<2.3.3> 認証処理
図8は、S14の認証処理の詳細を示すフローチャートである。
認証処理は、切換え受信処理において有効信号が捕捉されたと判定された直後に実行される。そのため、図5(b)に示したように、一の質問信号400のCW部410の送信期間内においてアンテナ221を選択し、そのアンテナ221が選択されたままの状態で固定受信処理451を行い、データ部420を受信することができる。
【0065】
ステップS31において、質問信号400の受信が行われる(固定受信処理451)。受信回路224は、前述の同期信号部421を用いたフレーム同期を行った後、コマンド部422、CRC部423を復調して制御部250に送信する。制御部250では、コマンド部422、CRC部423に含まれるデータが読み取られると、CRC部423のデータに基づいて誤り検出が行われる。誤りが検出されなかった場合は、コマンド部422に含まれるリーダIDが抽出される。
【0066】
なお、S31の処理は、所定時間Dが経過しても質問信号400が受信できない場合(いわゆるタイムアウト)は、処理がS32に進む。このような場合、ICタグ200の応答対象の質問信号400とは異なる形式の質問信号を捕捉したと判断することができる。
【0067】
上記所定時間Dは、2つの質問信号400の送信期間Te(Tc+Td)と休止期間Twとを合わせた期間(2Tc+2Td+Tw)よりも長くされている。また、上記所定時間Dは、3つの質問信号400の送信期間(Tc+Td)と2つの休止期間(Tw)とを合わせた期間(3Tc+3Td+2Tw)よりも短くされている。
【0068】
なお、誤りが検出された場合や、質問信号400が受信できなかった旨が、所定のフラグに設定されるが、図示を省略している。
S32において、質問信号400の受信結果に応じて、次に行われる処理が決定される。
【0069】
(i)質問信号400が応答対象である場合、S33以下の処理が実行される。質問信号400が、応答対象であるのは、コマンド部422から抽出されたリーダIDが、IDテーブル231に格納されているものと一致する場合である。
【0070】
(ii)質問信号400が応答対象でない場合、S33〜S37以下の処理がスキップされ、後述するS38の処理が行われる。なお、質問信号400が応答対象でない場合とは、例えば、前述のように質問信号400が受信できなかった場合や、抽出されたリーダIDと同一のIDがIDテーブル231にない場合である。
【0071】
(iii)上記CRC部423に基づいて誤りが検出された場合は、S33〜S37以下の処理がスキップされ、後述するS39の処理が行われる。
上記(i)の場合、S33において、制御部250によって受信回路224が停止状態にされ、タイマによる休止期間Twの計時が開始される。
【0072】
S34において、制御部250により、送信回路212が作動状態にされ、送信系ブロック210からリーダ装置100にUHF帯の応答信号440が送信される。また、応答信号440の送信後に送信回路212は停止状態にされる。
【0073】
なお、応答信号440は、質問信号400と同様に、同期信号部、コマンド部、CRC部を含んでいる。応答信号440のコマンド部には、ICタグ200の自装置ID(タグID)と、質問信号400から抽出されたリーダIDとが含まれている。
【0074】
ここで、応答信号440を受信したリーダ装置100の動作について簡単に説明する。
リーダ装置100は、リーダIDに基づいて自装置への応答信号であることを判断し、タグIDに基づいて所定の処理(ドア502の解錠、PC520を使用可能にする等)を行うか否かを判断する。具体的には、リーダ装置100は、応答信号440から抽出したリーダIDがIDテーブル131の自装置IDと一致するか否かによって自装置への応答信号であるか否かを判断する。自装置への応答信号である場合、応答信号440から抽出したタグIDがIDテーブル131のいずれかのタグIDと一致するか否かを判断する。
【0075】
タグIDが一致した場合、リーダ装置100は外部装置170(後に示す具体例である電気錠530、接続切換え装置540等)に制御信号を送る。その結果、例えば、ドアのロックが解錠される。
【0076】
また、タグIDが一致した場合、リーダ装置100は通信が正常に完了したことを示す通信完了信号であるAck信号を送信する。ここで、Ack信号は、質問信号400のコマンド部422に、自装置IDと応答信号440から抽出したタグIDとを挿入して生成される。なお、質問信号400は、所定の時間間隔で送信されているので、図4に示したように、応答信号440を受けた後に送信される質問信号400bがAck信号を兼ねることとなる。
【0077】
以上で、リーダ装置100の動作の説明を終了し、認証処理の説明に戻る。
S35の判定により、S33において計測が開始された受信回路224の停止時間が、設定時間W以上であるか否かが判断される。ここで、上記設定時間Wは、前述の2つの質問信号400間の休止期間Twと同程度の値にされる。これにより、リーダ装置100から質問信号400bが送信されない期間に受信回路224を停止し、消費電力を低減することができる。なお、設定時間Wが休止期間Twと同程度の値であると、質問信号400bのCW部410の少なくとも一部が受信されない可能性があるが、同期信号部421を最初から受信できれば問題ない。
【0078】
タイマの計測時間が設定時間W以上になるとS36が実行される。S36において、受信回路224が作動状態にされ、質問信号400bの受信が行われる(図9(b)の固定受信処理453)。また、タイマによる計時が停止されるとともに、タイマが0にリセットされる。なお、前述のS31と同様に、質問信号400bが受信されなくとも、タイムアウトにより、処理がS37に進む。タイムアウトまでの時間は、例えば、前述の所定時間Dとすることができる。
【0079】
ここで、S36において、セレクタ222によって選択されているアンテナ221は、S31において選択されているアンテナ221と同じである。それは、質問信号400aが送信された後、質問信号400bの送信期間が終了するまでの時間は、例えば、0.2秒程度であり、当該選択されているアンテナ221の受信状態は大きく変わらないと考えられるからである。
【0080】
しかしながら、例えば、休止期間Twが比較的長い場合(例えば1秒以上)は、ICタグ200を身に付けたユーザの動きによっては受信状態が変わる可能性がある。このような場合、後述するようにS39の処理によって対処される。
【0081】
S37において、質問信号400bのコマンド部422から抽出されたタグID及びリーダIDが、それぞれ自装置ID、応答信号440に挿入したリーダIDと一致するか否かが判断される。タグID及びリーダIDの両方が一致した場合は、Ack信号が受信されており、S38において、通信が正常に行われていたことを示す通信正常フラグがONにされる。なお、この通信正常フラグは、図6のS15の判定において用いられる。
【0082】
一方、タグID及びリーダIDの両方が一致しない場合は、質問信号400bはAck信号ではないため、S37の判定がNOとなる。よって、通信が正常に行われなかったため、S38において通信正常フラグがOFFにされる。また、ステップ36において所定時間が経過しても質問信号400が受信されなかった場合(いわゆるタイムアウト)は、Ack信号が受信されなかったとして処理される(S37の判定がNOとなる)。
【0083】
S39では、その後にS12の切換え受信処理が行われるように、上記通信正常フラグがOFFにされる。その結果、図6に示したように、通信正常フラグがOFFは、S16の判定により、休止処理を経ずに、即座にS12の切換え受信処理が実行される。そして、再度、有効信号を捕捉し得るアンテナ221が選択された後、認証処理が行われる。
【0084】
最後にS40の終了処理において、受信結果がリセットされ、認証処理の1回の実行が終了する。
<2.3.4.> まとめ
以上に述べた処理により、質問信号400を探知する場合に、CW部410が送信される期間内に受信可能なアンテナ221を選択することが可能になる。つまり、複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得る。
【0085】
その結果、CW部410の後に送信されるデータ部420を最初から受信することができる。よって、質問信号400aの送信期間にアンテナ221を選択し、2つ目の質問信号400bを受信する場合と比較して、より早いタイミングで質問信号400を受信できる。
【0086】
また、認証処理が正常に行われなかった場合でも、即座に切換え受信処理を行うことによって有効信号を捕捉し得るアンテナ221を選択してから、再度認証処理を行うことができる。
【0087】
<3> 無線タグシステムの使用例
図9に、上述の無線タグシステムの使用例を示す。図9は、セキュリティ管理された情報端末の操作室500を示す平面図である。
【0088】
操作室500は、壁501と、ドア502とからなる。操作室500には、机510、椅子511、情報端末たるPC(パーソナルコンピュータ)520、ディスプレイ521、入力装置522等が設置されている。
【0089】
また、操作室500の外壁には、ドア502付近に第1のリーダ装置100aが設けられている。このリーダ装置100aは、ドア502の解錠に用いられ、ドア502の中に埋設された電気錠530と信号線531によって接続されている。
【0090】
上記電気錠530は、ホテルのドアのごとく、ドア502が閉まると自動的に施錠を行う。そして、リーダ装置100aから解錠指令(制御信号)を受けた時に解錠する。また、操作室500の内側からは、ドアノブを回す等の操作によってドア502を開けることができる。
【0091】
このような構成により、所定のICタグ200を所持しているユーザがリーダ装置100aに近づくと、ドア502の解錠が行われてユーザが入室可能になる。
また、操作室500の内壁には、机510の付近に第2のリーダ装置100bが設置されている。このリーダ装置100bは、PC520の使用を許可するために用いられる。机510の上には、接続切換え装置540が設置され、リーダ装置100bと信号線541によって接続されている。また、接続切換え装置540は、ディスプレイ521の電源線、入力装置522、PC520と接続されている。この接続切換え装置540は、リーダ装置100bからの許可信号(制御信号)を受けた場合に、各接続を導通状態にしてPC520の使用を許可する。一方、許可信号がない場合(あるいは許可信号を受けてから所定時間が経過した場合)に各接続を遮断してPC520の使用を禁止する。
【0092】
このような構成により、所定のICタグ200を所持しているユーザが、椅子511に着席している等、リーダ装置100bの近辺に位置している場合に、PC520の使用が許可される。具体的には、ディスプレイ521の表示が行われるとともに、入力装置522によるPC520への入力操作が可能になる。なお、ICタグ200は設定された時間間隔で繰り返しリーダ装置100bと通信を行うことで、PC520の使用時間が延長される。そして、ユーザが操作室500を退室すると、所定時間後に前述の接続が遮断され、PC520の使用が禁止された状態になる。
【0093】
以上に述べたように、ICタグ200とリーダ装置100との通信は、ドア502の解錠のように1回で済む場合もあれば、PC520の使用許可のように繰り返し行われる場合もある。
【0094】
本実施形態のICタグ200は、素早く質問信号400を受信することで、素早くドア502の解錠を行うことができる。また、本実施形態のICタグ200は、リーダ装置100bとの通信処理において、ユーザの姿勢変化等によってアンテナ221の向きが変わった場合に、質問信号400を受信し得るアンテナ221を素早く選択することができる。
【0095】
[変形例1]
上記実施形態において、短期受信処理460の長さが、それぞれCW部410の送信期間Tcの4分の1以下の長さとされていた。それに対して、本変形例では、上記と同様の無線タグシステムにおいて、短期受信処理460の長さを、送信期間Tcの4分の1よりも長くされている。なお、本変形例は、前記実施形態と同様の構成を備えており、以下に異なる部分を中心に説明する。
【0096】
図10に、質問信号400と、短期受信処理660とを模式的に示す。ここで、短期受信処理660の長さである短期受信期間Tsの4倍はCW部410の送信期間Tcよりも長くなっている。
【0097】
図11に、短期受信処理660における受信強度の変化を模式的に示す。この図において、2回分の短期受信処理660を示しており、1回目の短期受信処理660における受信強度661と、2回目の短期受信処理660における受信強度662との間でアンテナの切換えが行われている。
【0098】
本変形例において、受信強度は、受信強度検出部2243の出力の移動平均値を用いている。
移動平均を行う期間Tvは、短期受信期間Tsよりも短く設定されている。なお、移動平均値は、アンテナの切換え後に0にリセットされる。
【0099】
図11の例では、受信強度661は閾値未満であり、受信強度662はTpで示す時点で閾値と等しくなっている。よって、Tpの時点で有効信号が捕捉されたと判断し、それ以後のアンテナの切換えを停止して固定受信が行われる。具体的には、移動平均を行う期間Tv内に設定数のサンプリングを行い、それらの平均値を受信強度とする。また、サンプリングを行う毎に移動平均値を算出し、閾値以上となった時点で、有効信号が捕捉されたと判断する(S23の判定がYESとなる)。
【0100】
このように、本変形例では、短期受信期間Tsの途中であっても、有効信号を捕捉し得る。
ここで、期間Tvの短期受信によって有効信号を捕捉できる場合について、CW部410の送信期間Tc、短期受信期間Ts、及び期間Tvとの関係を次式に示す。
【0101】
2Ts+2Tv≦Tc ・・・(1)
上式は、図10(a)に示したように、一の短期受信期間Ts内に、2回の短期受信期間Tsと、2回の期間Tvとが収まっている。
【0102】
図10(b)は、短期受信処理660とCW部410の送信期間との関係を模式的に示す図である。図10(b)では、CW部410の受信開始時点に選択されていたアンテナ221xからの短期受信処理660aにおいて、受信期間が不足することによって有効信号を捕捉できなかったものとする。また、その後の短期受信処理660b,cでは、アンテナ221の指向性により受信強度が閾値を超えないものとする。
【0103】
このような場合でも、上記式(1)が充足されていれば、CW部410の送信期間Tc内に、再度アンテナ221xが選択され、短期受信処理660dにおいて有効信号が捕捉される。つまり、式(1)を充足させることで、3つのアンテナ221x,y,zによって少なくとも1回ずつの短期受信を行うことができる。
【0104】
なお、短期受信処理660dは、受信強度が閾値以上となった符号665で示す時点で終了する。その後は、前述の認証処理において質問信号400の受信(S31)が行われる。
【0105】
見方を変えると、図10(c)に示すようになる。短期受信処理660の期間Tvの4倍が送信期間Tc未満であれば、上式(1)を満たす範囲で短期受信処理660の長さを増やすことができる。つまり、図10(a)に示す態様は、原理的に図5(a)に示す態様と同様である。
【0106】
なお、期間Tvは、質問信号400の電波強度、リーダ装置100との位置関係(例えば、距離や方向)等の条件を考慮し、閾値以上の受信強度が得られ、正常に受信できる値を予め決定しておくことができる。
【0107】
[変形例2]
前記実施形態では、CW部410の送信期間Tcにおいて質問信号400を受信し得るアンテナ221を選択していたが、質問信号400の送信期間においてアンテナ221を選択してもよい。この場合、質問信号400bの受信が行われる。なお、本変形例は、前記実施形態と同様の構成を備えており、以下に異なる部分を中心に説明する。
【0108】
図12は、短期受信処理660の長さである短期受信期間Tuを、質問信号400の送信期間(Tc+Td)の4分の1以下にした例を模式的に示している。
本変形例において、質問信号400の変調方式をPSK(位相変調),FSK(周波数変調)方式とすることができる。その場合、CW部410と、データ部420とにおける受信強度の違いが少なくなる。
【0109】
[その他]
前記実施形態および変形例では、切換え受信処理において有効信号が捕捉された時点で、アンテナの切換えを停止していた。それに対して、有効信号が捕捉された後もアンテナの切換えを行い、3つのアンテナ221x,y,zの全てで短期受信処理を行うこともできる。これにより、アンテナ221x,y,zのうちの受信強度が最も強いものを選択することが可能になる。この態様は、前記実施形態等と同様の構成を備えており、以下に異なる部分を中心に説明する。
【0110】
図13に、短期受信処理860と、CW部410の送信期間Tcとの関係を模式的に示す。図13の例では、短期受信処理860a,b,cでは有効信号を捕捉できず、短期受信処理860dにおいて有効信号が捕捉されたものとする。その後、短期受信処理860e,fを行い、比較処理870において短期受信処理860d,e,fのうちで受信強度が最も強いときに選択されていたアンテナ221が選択される。よって、受信強度が最も高くなるアンテナ221を選択した状態で、固定受信処理851を行うことができる。
【0111】
この場合、短期受信期間Tmと、CW部410の送信期間Tcとの関係は、次式によって示される。
6Tm+Ty≦Tc ・・・(2)
上記Tyは、比較処理870に要する時間である。なお、Tyは、短期受信期間Tmに比して非常に短い。
【0112】
ここで、短期受信処理860dの後に、短期受信処理860e,fを行うのは、短期受信処理860b,cを行っている際に、既にCW部410が送信されていることを知ることができないためである。
【0113】
上記態様においても、前記変形例2と同様に、式(2)のTcを、質問信号400の送信期間Te(Tc+Td)に代えてもよい。
[補足]
(a)前記実施形態および変形例の説明は本発明の例示にすぎず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。
【0114】
(b)前記実施形態等において、3つのLFアンテナ221x,y,zは、互いに受信効率が最大となる方向の角度差が90度にされていたが、70度以上、あるいは80度以上にすることもできる。この場合も、概ね全方向における受信効率を平均化することができる。
【0115】
3つのLFアンテナ221x,y,zは、コイルの径が互いに同じものであったが、コイルの径が互いに異なるものでもよい。
LFアンテナ221は、ダイポールアンテナ等、ループアンテナ以外のものを用いてもよい。
【0116】
(c)前記実施形態等のS22において、短期受信期間Taにおける受信強度の平均値が取得されていた。これに対して、平均値をとらずに、受信強度が閾値以上になる回数が1回以上(例えば、2回)になった時点で、S24の判定処理がYESとなるようにしてもよい。これにより、素早く判断がなされる。一方、受信強度の平均値を用いる場合、ノイズなどの影響を受けにくくなり、判定の精度が向上する。
【0117】
(d)S22の設定時間C(信号探知期間)は、例えば、2つの質問信号400が送信される期間(2Tc+2Td)と、2回の休止期間(2Tw)と、1つのCW部410が送信される期間(Tc)と、を合わせた期間(3Tc+2Td+2Tw)以上にしてもよい。これにより、ICタグ200の電力消費の増大を抑制しつつ、一回の切換え受信処理において、より確実に質問信号400を捕捉することができる。
【0118】
(e)前記実施形態等のS16の休止処理の期間は一定であった。これに対して、S12の切換え受信処理の結果や、S14の認証処理の結果に応じて、休止処理の期間を変えてもよい。
【0119】
例えば、有効信号が捕捉されなかった場合(S13の判定がNO)の休止期間を長くし、通信が正常に行われた場合(S15の判定がYES)の休止期間を短くする、又は、その逆にすることができる。さらに、認証を行ったリーダ装置100の種類(ドアの解錠用、機器操作の許可用等)によって、休止期間を変えることもできる。
【0120】
(f)前記実施形態等において、リーダ装置100との1回の通信において、ICタグ200は応答信号440を1回だけ送信していた。これに対して、1回の通信において、ICタグ200とリーダ装置100との間で、複数回の信号の授受を行ってもよい。この場合でも、1回の通信において、一のアンテナを選択した状態を保つことができる。
【0121】
(g)前記実施形態等において、質問信号400a,bの送信期間Teは同じ長さにされていたが、異なる長さであってもよい。この場合、設定時間C(信号探知期間)や所定時間Dを、質問信号400a,bのうち長い方の送信期間に基づいて定めることができる。一方、変形例2の場合は、短期受信期間Tuを、質問信号400a,bのうち短い方の送信期間に基づいて定めることができる。
【0122】
(h)前記実施形態等において、質問信号400の変調方式は振幅変調に限られず、位相変調、周波数変調等の方式を用いることができる。
(j)前記実施形態等において、受信強度検出部2243は増幅回路2241から出力される整流信号を用いて受信強度を検出していたが、これに限られない。例えば、受信強度検出部を、増幅前の受信信号を整流する整流回路と、整流された信号(電流)を電圧に変換する変換部とを含むものとしてもよい。
【0123】
(k)図2の例では、IDテーブル131に2つのタグIDが記憶されているが、多数のタグIDをIDテーブル131に記憶することもできる。また、リーダIDとタグIDとを別個のテーブルで管理してもよい。IDテーブル231も同様である。
【0124】
(m)前記実施形態等において、切換え受信処理(図6のS12)は、設定時間C経過しても有効信号が捕捉されなかった場合、休止処理(S16)が行われていた。それに対して、有効信号が捕捉されなくとも、連続的に切換え受信処理を実行することとしてもよい。前記実施形態等において、質問信号400には、低い周波数の電波(LF帯)が用いられており、受信回路224の消費電力は少ないからである。
【0125】
なお、切換え受信処理を休止させない態様では、図7において、S25,S27の処理を省略し、S23の判定がNOとなった場合に、S26を実行することができる。また、図6のS13の処理を省略することができる。
【0126】
(n)前記実施形態等において、切換え受信処理(図6のS12)で受信強度の検出が行われていた。このとき、復調回路2242(図3)を作動させなくともよい。切換え受信処理時に復調回路2242を停止状態にすることで、消費電力を低減し得る。
【0127】
この場合、LF受信回路224は、制御部250からの指令によって、増幅回路2241および受信強度検出部2243とは別個に、復調回路2242の作動と停止を切換えることができるものとすることができる。
【0128】
また、上記の場合、S16の休止処理で制御部250によってLF受信回路224を作動状態にする指令を行うことに代えて、S21(図7)の前または後に、復調回路2242を停止状態にしたまま、増幅回路2241と受信強度検出部2243とを作動状態にさせる指令を送ることができる。
【0129】
さらに、切換え受信処理において復調回路2242が停止状態にされている場合、S31の質問信号受信処理(図8)において、あるいはその前に、制御部250からLF受信回路224に、復調回路2242を作動状態にさせる指令を送ることができる。
【0130】
(p)前記実施形態等において、ICタグ200のIDテーブル231は、自装置のタグIDと、リーダ装置100のリーダIDとを含んでいたが、リーダIDを含まないものとしてもよい。すなわち、ICタグ200の記憶部230にリーダIDが記憶されていなくともよい。
【0131】
この場合、ICタグ200が送信する応答信号440を、自装置のタグIDを含み、リーダIDを含まないものとすることができる。
(q)前記実施形態等において、リーダ装置100の記憶部130にタグIDを含むIDテーブル131が記憶されるとともに、リーダ装置100は外部装置170への指令を行っていた。それに対して、無線タグシステムに、タグIDを管理するサーバと、外部装置170(電気錠530、接続切換え装置540等)への指令を行うゲートユニットとを設けてもよい。なお、ゲートユニットは、例えば、LAN(Local Area Network)を介してリーダ装置に接続することができる。また、サーバとゲートユニットとを、例えば、LANを介して接続することができる。
【0132】
ゲートユニットは、リーダ装置からタグIDが送られてくると、自装置が保持するIDテーブルに含まれるタグIDのいずれかと一致するか否かを判断し、一致する場合に外部装置170に信号線を介して指令(例えば、電気錠の解錠指令)を送るものとすることができる。また、リーダ装置から送られてきたタグIDと、自装置が保持するタグIDのいずれかが一致した場合に、リーダ装置に当該タグIDは応答対象である旨の信号を送るものとすることができる。さらに、一のゲートユニットを、複数のリーダ装置とLANを介して接続し、複数の外部装置170と信号線(あるいはLAN等の通信手段)を介して接続してもよい。
【0133】
サーバは、複数のタグIDを含むIDテーブルを記憶し、管理者によってIDテーブルが更新された場合に、更新後のIDテーブルをゲートユニットに送信し、ゲートユニットが保持するタグIDを更新することができる。
【0134】
(r)以下に、本実施形態に係る各種の携帯情報端末における構成及び効果について説明する。
(1)本実施形態に係るアクティブタグ装置は、複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0135】
本項のアクティブタグ装置は、アンテナを切換える処理を開始した後、最初に有効信号を捕捉した時点で切換えを停止することで、複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得る。
【0136】
アクティブタグ装置が受信する信号は、リーダ装置が送信する質問信号とすることができる。リーダ装置は、アクティブタグ装置と無線通信することで、アクティブタグ装置の識別情報、コマンド等を取得するものである。リーダ装置は、識別情報等の取得により、例えば、ドアの電気錠に解錠指令を送信する等の所定の動作を行う。
【0137】
複数のアンテナは、例えば、指向性や偏波特性が異なる等、互いに異なる受信特性を発揮するように設けることができる。複数のアンテナの指向性を異ならせる場合、複数のアンテナを、受信効率が最大となる方向を互いに異ならせて設置することができる。
【0138】
(2)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記受信部は、前記信号の受信強度を検出する受信強度検出部を備え、前記制御部は、前記信号の送信期間内に、前記受信部が各アンテナによって少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換え、かつ、前記受信強度検出部によって検出された受信信号の強度が閾値以上になったことをもって前記有効信号が捕捉されたと判断し、アンテナの切換えを停止する制御を行う、こととしてもよい。
【0139】
アクティブタグ装置が受信する信号は、通常、リーダ装置によって間欠的に送信される。つまり、一の信号が送信されている送信期間と、信号が送信されていない休止期間とが交互に繰り返される。この場合、一の送信期間内に、各アンテナによって1回ずつ受信を行うことで、素早く有効信号を捕捉し得る。
【0140】
(3)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記信号は、送信データを含むデータ部と、前記データ部の前に送信される前置部とを含み、前記制御部は、前記前置部が送信される期間と同じ長さの期間内に、前記受信部が各アンテナから少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換える制御を行う、こととしてもよい。
【0141】
本項のアクティブタグ装置は、前置部を受信する期間内に、受信に用いるアンテナを選択することができる。その結果、前置部の後に送信されるデータ部を最初から受信することができる。この場合、信号の送信期間内にアンテナを選択し、次の信号を受信する場合と比較して、より早いタイミングで信号を受信できる。
【0142】
本項のアクティブタグ装置は、前置部において、各アンテナで1回ずつの受信を行うため、データ部の受信強度に左右されないという利点がある。よって、振幅変調(ASK)方式に好適である。
【0143】
前置部は、ある程度の受信強度が得られる電波とすることができ、例えば、無変調の搬送波、ビット列(1と0とが交互に並べられる等、所定の順序に並べられたもの)等とすることができる。なお、振幅変調(ASK)が用いられている場合、無変調の搬送波は、ビット列に比して受信強度を大きくできる点で有利である。なお、実施形態におけるCW(Continuous Wave)部は、無変調の搬送波からなる前置部の具体例である。
【0144】
(4)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記制御部は、前記アンテナを切換える処理において、前記複数のアンテナを巡回的に選択する処理を行い、かつ、一のアンテナを選択している期間の長さが、前記前置部が送信される期間を前記複数のアンテナの個数に1を加算した数で除した期間以下である、こととしてもよい。
【0145】
前置部において、各アンテナで1回ずつの受信を行うためには、一のアンテナを選択している期間の長さを、信号の送信期間をアンテナの数に1を加算した数で除した期間以下にすることが簡明である。
【0146】
なお、一のアンテナを選択している期間の長さを、信号の送信期間をアンテナの数で除した期間にした場合、確実に各アンテナで1回ずつの受信を行うことができない。それは、アンテナを切換えるタイミングと前置部が送信されるタイミングとが一致しているとは限らないからである。
【0147】
(5)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記信号は、当該アクティブタグ装置と通信を行うリーダ装置によって送信されており、リーダ装置に対して応答信号を送信する送信部を備え、前記制御部は、有効信号が捕捉されて前記受信部によって信号が受信された後、前記送信部を制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信し、かつ、前記セレクタを制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信した後、前記質問信号を受信したアンテナを選択した状態で、前記応答信号を受信したリーダ装置によって送信される通信完了信号を前記受信部によって受信し、かつ、前記通信完了信号が受信された後、前記アンテナを切換える処理を再開させる制御を行う、こととしてもよい。
【0148】
本項のアクティブタグ装置は、リーダ装置との1回の通信において、最後に通信完了信号を受信する。上記1回の通信は、短時間(例えば0.5秒前後)で行われるため、アンテナの選択を切換えずに行うことができる。しかし、1回の通信が終了した後は、同じアンテナで有効信号が捕捉されるとは限らないため、アンテナを切換える処理が再開させられる。
【0149】
(6)本実施形態に係るアクティブタグ装置を、前記複数のアンテナは、互いに異なる方向で受信効率が最大となる向きに設置されている、こととしてもよい。
本項のアクティブタグ装置では、複数のアンテナを互いに異なる向きに設置することで、信号を検知し易くなる。よって、リーダ装置との位置関係の変化に適応し易くなる。
【0150】
(7)本実施形態に係る無線タグシステムは、質問信号を送信するリーダ装置と、質問信号を受信するアクティブタグ装置とを含む無線タグシステムであって、前記アクティブタグ装置は、複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0151】
本実施形態に係る無線タグシステムでは、アクティブタグ装置が備えている複数のアンテナのうち、受信に用いるアンテナを迅速に選択し得る。
【符号の説明】
【0152】
100a,b リーダ装置
200 ICタグ
221x,y,z LFアンテナ
222 セレクタ
224 LF受信回路
250 制御部
400a,b 質問信号
410 CW部
420 データ部
440 応答信号
450 切換え受信処理
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とするアクティブタグ装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記信号の受信強度を検出する受信強度検出部を備え、
前記制御部は、
前記信号の送信期間内に、前記受信部が各アンテナによって少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換え、かつ、
前記受信強度検出部によって検出された受信信号の強度が閾値以上になったことをもって前記有効信号が捕捉されたと判断し、アンテナの切換えを停止する制御を行う
請求項1に記載のアクティブタグ装置。
【請求項3】
前記信号は、送信データを含むデータ部と、前記データ部の前に送信される前置部とを含み、
前記制御部は、前記前置部が送信される期間と同じ長さの期間内に、前記受信部が各アンテナから少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換える制御を行う
請求項2に記載のアクティブタグ装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記アンテナを切換える処理において、前記複数のアンテナを巡回的に選択する処理を行い、かつ、
一のアンテナを選択している期間の長さが、前記前置部が送信される期間を前記複数のアンテナの個数に1を加算した数で除した期間以下である
請求項3に記載のアクティブタグ装置。
【請求項5】
前記信号は、当該アクティブタグ装置と通信を行うリーダ装置によって送信されており、
リーダ装置に対して応答信号を送信する送信部を備え、
前記制御部は、
有効信号が捕捉されて前記受信部によって信号が受信された後、前記送信部を制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信し、かつ、
前記セレクタを制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信した後、前記質問信号を受信したアンテナを選択した状態で、前記応答信号を受信したリーダ装置によって送信される通信完了信号を前記受信部によって受信し、かつ、
前記通信完了信号が受信された後、前記アンテナを切換える処理を再開させる制御を行う
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアクティブタグ装置。
【請求項6】
前記複数のアンテナは、互いに異なる方向で受信効率が最大となる向きに設置されている
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアクティブタグ装置。
【請求項7】
質問信号を送信するリーダ装置と、質問信号を受信するアクティブタグ装置とを含む無線タグシステムであって、
前記アクティブタグ装置は、
複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えている
ことを特徴とする無線タグシステム。
【請求項1】
複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えていることを特徴とするアクティブタグ装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記信号の受信強度を検出する受信強度検出部を備え、
前記制御部は、
前記信号の送信期間内に、前記受信部が各アンテナによって少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換え、かつ、
前記受信強度検出部によって検出された受信信号の強度が閾値以上になったことをもって前記有効信号が捕捉されたと判断し、アンテナの切換えを停止する制御を行う
請求項1に記載のアクティブタグ装置。
【請求項3】
前記信号は、送信データを含むデータ部と、前記データ部の前に送信される前置部とを含み、
前記制御部は、前記前置部が送信される期間と同じ長さの期間内に、前記受信部が各アンテナから少なくとも1回ずつ受信を行うようにアンテナを切換える制御を行う
請求項2に記載のアクティブタグ装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記アンテナを切換える処理において、前記複数のアンテナを巡回的に選択する処理を行い、かつ、
一のアンテナを選択している期間の長さが、前記前置部が送信される期間を前記複数のアンテナの個数に1を加算した数で除した期間以下である
請求項3に記載のアクティブタグ装置。
【請求項5】
前記信号は、当該アクティブタグ装置と通信を行うリーダ装置によって送信されており、
リーダ装置に対して応答信号を送信する送信部を備え、
前記制御部は、
有効信号が捕捉されて前記受信部によって信号が受信された後、前記送信部を制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信し、かつ、
前記セレクタを制御することにより、前記送信部によって応答信号を送信した後、前記質問信号を受信したアンテナを選択した状態で、前記応答信号を受信したリーダ装置によって送信される通信完了信号を前記受信部によって受信し、かつ、
前記通信完了信号が受信された後、前記アンテナを切換える処理を再開させる制御を行う
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアクティブタグ装置。
【請求項6】
前記複数のアンテナは、互いに異なる方向で受信効率が最大となる向きに設置されている
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアクティブタグ装置。
【請求項7】
質問信号を送信するリーダ装置と、質問信号を受信するアクティブタグ装置とを含む無線タグシステムであって、
前記アクティブタグ装置は、
複数のアンテナと、それらの1つを選択するセレクタと、選択されたアンテナによって信号を受信する受信部と、前記セレクタを制御し、アンテナを切換える処理を行い、前記受信部によって最初に有効信号が捕捉された時点でアンテナの切換えを停止する制御部とを備えている
ことを特徴とする無線タグシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−160046(P2012−160046A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19556(P2011−19556)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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