説明

アクリドン系化合物

【課題】ヒスタミン、ロイコトリエンなどが関与する疾患の予防治療に有効な新規アクリドン誘導体を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるアクリドン誘導体またはその塩

(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は互いに同一または相異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、低級アルコキシ基等、Yは式A−Z{式中、Aは式−(CH2)t−(B)m−(CH2)n−[mは0または1、t及びnは0〜6の整数、Bは低級アルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基等、Zはシアノ基、保護基を有していてもよいカルボキシル基、アシル基、式−NR78(式中、R7及びR8は互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基等を意味する。)で示される基等を意味する。]で示される基を意味する。}で示される基、Dは酸素原子または硫黄原子を示す)

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規アクリドン誘導体に関する。更に詳しくは、IgEレセプターγ鎖と72kDaのタイロシンキナーゼとの結合阻害作用が有効な疾患に対する医薬として有用な新規アクリドン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒトの気管支喘息やアトピー性疾患は複雑に絡み合った生体反応の結果として現れるが、その多くは抗原抗体反応がトリガーとなって、肥満細胞や好塩基球から遊離される種々の化学伝達物質が、気管支筋、肺血管などの平滑筋を収縮したり、末梢血管の透過性を亢進するなどして生体に傷害を引き起こすことに起因すると考えられている。肥満細胞や好塩基球から遊離される化学伝達物質としては、ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジン、TNF等が知られてる。このうちヒスタミンがヒトのアレルギー性鼻炎や蕁麻疹における最も重要な化学伝達物質であることはよく知られている。また、ロイコトリエンにはロイコトリエンB4、C4及びロイコトリエンD4等が含まれ喘息発作との関連が注目されてきた。従来、アレルギー疾患の症状を予防または軽減もしくは除去するための薬剤の開発は、これらの化学伝達物質の産生抑制・遊離抑制または化学伝達物質の作用に拮抗することを目標に展開されてきた。その代表的な薬剤としては、1969年以来発売されているクロモグリク酸ナトリウム(商品名インタール)がある。しかしながら、インタール(商品名)に代表される従来の抗アレルギー剤は、インビトロの化学伝達物質遊離抑制濃度とインビボの遊離抑制濃度の間に解離がみられるとともに、患者によって感受性差が大きく、作用機序の点で不明な部分も多い。
【0003】アレルギー疾患に深く関わりを持つ肥満細胞及び好塩基球は細胞膜上にIgE抗体に対する高親和性受容体Fce RIを持ち、この受容体に結合したIgE抗体は対応する多価抗原とのクロスリンクの結果、初めて細胞内のシグナル伝達機構を活性化する。細胞内シグナル伝達機構の活性化によりヒスタミンの遊離あるいはロイコトリエン類やプロスタグランジン類などのプロスタノイドが生成遊離して、いわゆるアレルギー症状の発現へと結びついていくと考えられている。また産生されたTNF、インターロイキン類などのサイトカインは、他の細胞との相互作用を介して疾患の慢性化などに関与していると考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはこのような状況に鑑み、肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の遊離に際し、細胞内シグナル伝達機構活性化の初期段階に位置する非受容体タイプ72kDaのタイロシンキナーゼの活性化に着目した。このタイロシンキナーゼはIgEレセプターγ鎖上のタイロシンがリン酸化された活性化モチーフ(TAM)領域と結合することにより活性化することが知られている。この結合を阻害することにより72kDaのタイロキシンキナーゼの活性化を阻害すれば、IgE抗体依存性の肥満細胞及び好塩基球の細胞内シグナル伝達機構の活性化ひいては上記化学伝達物質の遊離を阻害することができる。発明者は下記一般式(I)で示されるアクリドン誘導体がIgEレセプターγ鎖とタイロシンキナーゼとの結合阻害作用を有していることを見出し、本発明を完成させた。本発明の目的は喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、枯れ草熱、消化管アレルギー、食品アレルギーなどの予防または治療として有効な新規アクリドン誘導体及びその薬理学的に許容される塩を提供することであり、更にもう一つの目的は該化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は下記一般式(I)で示されるアクリドン誘導体及びその薬理学的に許容される塩である。
【0006】
【化2】


【0007】{式中R1、R2、R3、R4、R5及びR6は互いに同一または相異なり、水素原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、保護基を有してもよいカルボキシル基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、アシル基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、式−S(O)p−R9(式中R9は水素原子、低級アルキル基またはシクロアルキル基を意味する。pは0〜2の整数を意味する。)で示される基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、保護基を有してもよく、また置換基を有していてもよいカルボキシアルキル基、置換基を有してもよいカルバモイルアルキル基、置換基を有してもよいスルファモイルアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、シアノアルキル基、アシルアルキル基、アシルアミノアルキル基、低級アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基、アルコキシアルケニル基、保護基を有してもよいカルボキシアルケニル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルケニル基、シアノアルケニル基、アシルアルケニル基、アシルアミノアルケニル基、低級アルキニル基、ヒドロキシアルキニル基、アルコキシアルキニル基、保護基を有してもよいカルボキシアルキニル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキニル基、シアノアルキニル基、アシルアルキニル基、式−W−S(O)q−R10(式中R10は水素原子、低級アルキル基またはシクロアルキル基を意味する。Wはアルキレン鎖、アルケニレン鎖またはアルキニレン鎖を意味する。qは0〜2の整数を意味する。)で示される基、アシルアミノアルキニル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、保護基を有してもよいカルボキシアルコキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルコキシ基、シアノアルコキシ基、アシルアルコキシ基、アシルアミノアルコキシ基、式−V−S(O)r−R11(式中R11は水素原子、低級アルキル基またはシクロアルキル基を意味する。rは0〜2の整数を意味する。Vはアルキレンオキシ鎖を意味する。)で示される基を意味する。あるいは、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちの互いに隣り合う2つの置換基が一緒になって、それらが結合している炭素と共に、環を形成してもよく、その環は環構成原子として、さらに、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも1つの原子を有していてもよく、また置換基を有していてもよい。
【0008】Yは式−A−Z[Aは式−(CH2)t−(B)m−(CH2)n−(式中mは0または1の整数を意味する。t及びnは0から6までの整数を意味し、Bは低級アルキレン基、低級アルケニレン基、低級アルキニレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいヘテロアリーレン基を意味する)。Zはシアノ基、保護基を有してもよいカルボキシル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、アシル基、アシルアルキル基または式−NR78[式中R7及びR8は互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアリールアルコキシ基、置換基を有してもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルコキシ基、保護基を有してもよいカルボキシアルキル基、アシル基、置換基を有してもよいアシルアミノ基、置換基を有してもよいアシルアミノアルキル基、式−S(O)s−(X)u−R12(式中R12は水素原子、低級アルキル基またはシクロアルキル基を意味する。Xはアルキレン鎖を意味する。sは0〜2の整数を、uは0または1を意味する。)で示される基、アミノアルキル基、シアノアルキル基、アシルアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基またはN位が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノ基を意味する。あるいは、R7及びR8はそれらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、その環は環構成要素として、さらに、窒素原子、硫黄原子、酸素原子及び式−NR9−(式中R9は水素原子、低級アルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を意味する。)で示される基からなる群から選ばれた少なくとも一種を有していてもよく、また、置換基を有していてもよい。]で示される基を意味する。Dは酸素原子または硫黄原子を意味する。
【0009】但し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6が互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子であり、Aにおいてm及びnが0でtが1〜6の整数であり、Zにおける式−NR78において、R7及びR8は互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、無置換のアリール基、無置換のアリールアルキル基、無置換のヘテロアリール基または無置換のヘテロアリールアルキル基であるか、あるいは、R7及びR8はそれらが結合している窒素原子と一緒になって員数が5または6である環を形成し、且つその環内には環構成原子として、さらに、酸素原子もしくは硫黄原子、または式−NR9−(式中R9は前記定義の通りである。)を有する基であり、且つDが酸素原子である場合を除く。}
【0010】一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを意味する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の定義にみられる低級アルキル基とは炭素数1〜6の直鎖あるいは分岐状のアルキル基を意味する。例を挙げれば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−2−エチルプロピル基等をあげることができる。更にこれらアルキル基は1〜3個のフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。即ち、トリフルオロメチル基や1,1,1−トリフロロエチル基なども一般式(I)における低級アルキル基に包含される。
【0011】Bの定義にみられる低級アルキレン基とは、炭素数1〜6の直鎖あるいは分岐状のアルキレン基を意味する。たとえば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、エイルメチレン基などが挙げられる。これらのアルキレン基中の水素原子は1〜3個のフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0012】R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる低級アルケニル基とは炭素数2〜6の直鎖あるいは分岐状のアルケニル基、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、3−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、3−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、などを意味する。更に、これらアルケニルが1〜3個のハロゲン原子で置換されているものも、本発明の低級アルケニル基に包含される。
【0013】Bの定義にみられる低級アルケニレン基とは、炭素数2〜6の直鎖あるいは分岐状のアルケニレン基を意味する。たとえば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1−メチルビニレン基、1−メチルプロペニレン基、2−メチルプロペニレン基、1−メチルペンテニレン基、3−メチルペンテニレン基、1−エチルビニレン基、1−エチルプロペニレン基、1−エチルブテニレン基、3−エチルブテニレン基等を挙げることができる。これらのアルケニレン基中の水素原子は1〜3個のフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0014】R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる低級アルキニル基とは炭素数1〜6の直鎖あるいはもしくは分岐状のアルキニル基、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−メチル−1−プロピニル基、2−メチル−3−プロピニル基などを意味する。更に、これらアルキニルが1〜3個のハロゲン原子で置換されたものも本発明の低級アルキニル基に包含される。
【0015】Bの定義にみられる低級アルキニレン基とは、炭素数2〜6の直鎖あるいは分岐状のアルキニレン基を意味する。たとえば、エチニレン基、1−プロピニレン基、1−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ブチニレン基、2−ペンチニレン基、1−メチルエチニレン基、3−メチル−1−プロピニレン基、3−メチル−1−ブチニレン基等を挙げることができる。これらのアルキニレン基中の水素原子は1〜3個のフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0016】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の定義にみられるシクロアルキル基とはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基またはシクロオクチル基などの炭素数3〜8のものを意味する。
【0017】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられるシクロアルキルアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子に上記シクロアルキル基が結合しているものを意味する。
【0018】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられる低級アルコキシ基とは、炭素数1〜6の直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基を意味する。例を挙げれば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロピルオキシ基、1,1−ジメチルプロピルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、2−エチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチル−2−メチルプロピルオキシ基、1−メチル−2−エチルプロピルオキシ基等をあげることができる。更に、これらのアルコキシ基は1〜3個のフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。即ち、モノフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基なども一般式(I)における低級アルコキシ基に包含される。
【0019】R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるシクロアルキルオキシ基とは、酸素原子に炭素数3〜8のシクロアルキル基が結合しているものを意味する。たとえば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0020】R7及びR8の定義にみられるアミノアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子にアミノ基が結合しているものを意味する。アミノエチル基、1−アミノプロピル基、2−アミノプロピル基、1−アミノブチル基、2−アミノブチル基、3−アミノブチル基、2−アミノメチルプロピル基、1−アミノメチルプロピル基等をあげることができる。
【0021】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びZの定義にみられるアシル基とは、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基などの脂肪族飽和モノカルボン酸から誘導される基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基などの脂肪族不飽和カルボン酸から誘導される基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基などの炭素環式カルボン酸から誘導される基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基などの複素環式カルボン酸から誘導される基、グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ピペロニロイル基、ガロイル基等のヒドロキシカルボン酸若しくはアルコキシカルボン酸から誘導される基または各種アミノ酸から誘導される基などを意味する。
【0022】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びZの定義にみられるアシルアルキル基とは、上記定義の低級アルキル基のいずれかの炭素原子に、上記定義のアシル基が結合しているものを意味する。たとえば、アセチルメチル基、プロピオニルメチル基、ベンゾイルエチル基、ナフトイルプロピル基、シンナモイルプロピル基、サリチロイルブチル基、ニコチノイルペンチル基、グリセロイルヘキシル基などを挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0023】R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の定義にみられるアシルアルケニル基とは、上記低級アルケニル基のいずれかの炭素原子に、アシル基が結合しているものを意味する。ベンゾイル−1−エチレニル基、2−ニコチノイル−2−プロピレニル基などを意味するが、これらに限定されないことはいうまでもない。
【0024】R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアシルアルキニル基とは、上記低級アルキニル基のいずれかの炭素原子にアシル基が結合しているものを意味する。
【0025】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられるヒドロキシアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子に水酸基が結合したものを意味する。例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基等を意味する。もちろんこれらに限定されるものではない。
【0026】R1、R2、R3、R4、R5、R6の定義にみられるヒドロキシアルケニル基とは、上記低級アルケニル基のいずれかの炭素原子に水酸基が結合したものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5、R6の定義にみられるヒドロキシアルキニル基とは、上記低級アルキルニル基のいずれかの炭素原子に水酸基が結合したものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられるアルコキシアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子に上記低級アルコキシ基が結合したものを意味する。メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、2−エトキシプロピル基等を意味するがこれらに限定されない。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアルコキシアルケニル基とは、上記低級アルケニル基のいずれかの炭素原子に上記低級アルコキシ基が結合したものを意味する。メトキシエチレニル基、エトキシプロピレニル基等を意味するが、これに限定されることはない。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアルコキシアルキニル基とは、上記低級アルキニル基のいずれかの炭素原子に上記低級アルコキシ基が結合してものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるシアノアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子にシアノ基が結合しているものを意味する。たとえば、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、1−シアノプロピル基、2−シアノプロピル基等を挙げることができる。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるシアノアルケニル基とは、上記低級アルケニル基のいずれかの炭素原子にシアノ基が結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられるシアノアルキニル基とは、上記低級アルキニル基のいずれかの炭素原子にシアノ基が結合しているものを意味する。
【0027】R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるヒドロキシアルコキシ基とは、上記低級アルコキシ基のいずれかの炭素原子に水酸基が結合しているものを意味する。たとえば、ヒドロキシメトキシ基、1−ヒドロキシエトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、1−ヒドロキシプロポキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基、3−ヒドロキシプロポキシ基等が挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアルコキシアルコキシ基とは、上記低級アルコキシ基のいずれかの炭素原子に上記低級アルコキシ基が結合しているものを意味する。たとえば、メトキシメトキシ基、1−メトキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基、1−エトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、1−メトキシプロポキシ基、2−メトキシプロポキシ基等が挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるシアノアルコキシ基とは、上記低級アルコキシ基のいずれかの炭素原子にシアノ基が結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアシルアルコキシ基とは、上記低級アルコキシ基のいずれかの炭素原子に上記アシル基が結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアシルアミノ基、及びR7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいアシルアミノ基において、アシルとは、上記アシル基と同様の意味を有する。また、アシルアミノ基とはアミノ基の窒素原子に上記アシル基が結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアシルアミノアルキル基、及びR7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいアシルアミノアルキル基において、アシルアミノアルキル基とは上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子に上記アシルアミノ基が結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアシルアミノアルケニル基とは、上記低級アルケニル基のいずれかの炭素原子に上記アシルアミノ基が結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアシルアミノアルキニル基とは、上記低級アルキニル基のいずれかの炭素原子に上記アシルアミノ基が結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられるアシルアミノアルコキシ基とは、上記低級アルコキシ基のいずれかの炭素原子に上記アシルアミノ基が結合しているものを意味する。R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいアリール基において、アリール基とはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基やアントラセニル基などを意味する。また、Bの定義にみられる置換基を有していてもよいアリーレン基において、アリーレン基とはフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等を意味する。R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいアリールアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子上に上記アリール基が結合しているものを意味する。
【0028】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいヘテロアリール基とは硫黄原子、酸素原子または窒素原子からなる群から選ばれた少なくとも1種が1〜4個含まれている単環または縮合環から誘導される基を意味する。たとえば、チェニル基、フリル基、ベンゾチェニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、イソインドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジル基、キノキサリル基、ナフチリジル基、キナゾリル基、アクリジニル基、イミダゾピリジル基などを意味する。また、Bの定義にみられる置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基とは、硫黄原子、酸素原子または窒素原子からなる群から選ばれた少なくとも1種が1〜4個含まれている単環または縮合環から誘導される基を意味する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基とは、上記へテロアリール基が上記低級アルキルのいずれかの炭素原子に結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいへテロアリールアルケニル基とは、上記へテロアリールが上記低級アルケニルのいずれかの炭素原子に結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキニル基とは、上記へテロアリールが上記低級アルキニルのいずれかの炭素原子に結合しているものを意味する。R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいアリールオキシ基において、アリールとは上記アリール基と同様の意味を有する。R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基において、ヘテロアリールとは上記へテロアリール基と同様の意味を有する。R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基とは、上記アリール基が上記低級アルコキシ基のいずれかの炭素原子に結合しているものを意味する。
【0029】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられる置換基を有していてもよいヘテロアリールアルコキシ基とは、上記ヘテロアリール基が上記低級アルコキシ基のいずれかの炭素原子に結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びZの定義にみられる置換基を有していてもよいカルバモイル基とは、窒素原子上に1個または2個の置換基を有するか、または、有さないカルバモイル基を意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる置換基を有していてもよいカルバモイルアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子に、置換基を有していてもよいカルバモイル基が結合しているものを意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる置換基を有していてもよいスルファモイル基とは、窒素原子上に1個または2個の置換基を有するか、または、有さないスルファモイル基を意味する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる置換基を有していてもよいスルファモイルアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子に置換基を有していてもよいスルファモイル基が結合しているものを意味する。置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノアルキル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイルアルキル基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいスルファモイルアルキル基、及び保護基を有していてもよく、また置換基を有していてもよいカルボキシアルキル基において置換基とは、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などの低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基などの低級アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、シアノ基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基、アミノ基、ニトロ基、保護基を有していてもよいカルボキシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノスルホニル基、シアノアルキル基、ヘテロアリール基、カルボキシアルキル基、カルボキシアルコキシ基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルコキシ基を意味する。
【0030】R7及びR8の定義にみられるN位が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノ基において、置換基である低級アルキル基とは上記低級アルキル基と同様の意味を有する。
【0031】R1、R2、R3、R4、R5、R6及びZの定義にみられる保護基を有していてもよいカルボキシル基において、保護基とは例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、フェネチル基等の置換基を有していてもよいフェニル基で置換された低級アルキル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−ヨードエチル基などのハロゲン化低級アルキル基、ピバロイルオキシメチル基、アセトキシメチル基、プオピオニルオキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、バレリルオキシメチル基、1−アセトキシエチル基、2−アセトキシエチル基、1−ピバロイルオキシエチル基、2−ピバロイルオキシエチル基などの低級アルカノイルオキシ低級アルキル基、パルミトイルオキシエチル基、ヘプタデカノイルオキシメチル基、1−パルミトイルオキシエチル基などの高級アルカノイルオキシ低級アルキル基、メトキシカルボニルオキシメチル基、1−ブトキシカルボニルオキシエチル基、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル基等の低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基などのカルボキシ低級アルキル基、3−フタリジル基等のヘテロアリール基、4−グリシルオキシベンゾイルオキシメチル基などの置換基を有していてもよいベンゾイルオキシ低級アルキル基、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基などの(置換ジオキソレン)低級アルキル基、1−シクロヘキシルアセチルオキシエチル基などのシクロアルキル置換低級アルカノイルオキシ低級アルキル基、1−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチル基などのシクロアルキルオキシカルボニルオキシ低級アルキル基などをあげることができる。更に種々の酸アミドも本発明における保護基を有しているカルボキシル基に含まれる。要するに生体内で何らかの手段で分解されて、カルボン酸となりうるものであれば、いかなるものもカルボキシル基の保護基となり得る。
【0032】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の定義にみられる保護基を有していてもよく、また置換基を有していてもよいカルボキシルアルキル基とは、上記低級アルキル基のいずれかの炭素原子にカルボキシル基が結合しているものを意味する。またこの場合のカルボキシルは、上記保護基を有していてもよく、またアルキル基はカルボキシル基以外の置換基を有していてもよい。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる保護基を有していてもよいカルボキシアルコキシ基とは、上記低級アルコキシ基のいずれかの炭素子に保護基を有していてもよいカルボキシ基が結合しているものを意味する。この場合の保護基とは上記保護基と同様の意味を有する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる保護基を有していてもよいカルボキシアルケニル基とは、上記低級アルケニル基のいずれかの炭素原子に保護基を有していてもよいカルボキシ基が結合しているものを意味する。この場合の保護基とは上記保護基と同様の意味を有する。R1、R2、R3、R4、R5及びR6の定義にみられる保護基を有していてもよいカルボキシアルキニル基とは、上記低級アルキニル基のいずれかの炭素原子に保護基を有していてもよいカルボキシ基が結合しているものを意味する。この場合の保護基とは上記保護基と同様の意味を有する。
【0033】本発明における薬理学的に許容される塩とは例えば、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの無機酸塩、酢酸炎、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの有機酸塩、または、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸との塩などを挙げることができる。本発明のアクリドン酸誘導体およびその薬理学的に許容される塩は水和物の形であってもよい。
【0034】本発明に係る化合物を疾患に対して用いる場合には、経口投与でも非経口投与でもよい。錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤(点滴用のものも含む)、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤等の製剤として投与することができる。投与量は患者、疾患の種類、症状の程度、患者の年齢、性差、薬剤に対する感受性差などにより著しく異なるが、通常成人として1日あたり、約0.03〜1000mg、好ましくは0.1〜500mg、さらに好ましくは1〜300mgを1日1〜数回に分けて投与する。注射剤の場合は、通常約1μg/kg〜3000μg/kgであり、好ましくは約3μg/kg〜1000μg/kgである。
【0035】本発明の化合物を製剤化するには、通常の製剤用担体を用い、常法により行うことができる。すなわち、経口用固形製剤を調製する場合は、主薬の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、抗酸化剤などを加えた後、常法により、錠剤、被服錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などとする。上記賦形剤としては、例えば、乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素などが用いられる。また結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、セラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチンなどが用いられ、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油などが用いられる。また着色剤としては、医薬品に添加することが許可されているものであればよく、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香酸、ハッカ油、龍脳、桂皮末等が用いられる。抗酸化剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール等医薬品に添加することが許可されているものであればよい。また、錠剤及び顆粒剤には、糖衣、ゼラチン衣、その他必要に応じ適宜コーティングすることはもちろん差し支えない。
【0036】一方、注射剤、点眼剤等を製造する場合は主薬に、必要に応じてpH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、抗酸化剤、保存剤などを添加し常法により製造することができる。この際、必要に応じ、凍結乾燥物とすることも可能である。該注射剤は静脈、皮下、筋肉内に投与することができる。上記懸濁化剤としての例を挙げれば、例えば、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを挙げることができる。また、溶解補助剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを挙げることができる。安定化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、エーテルなどが用いられ、保存剤としては、例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。本発明化合物群は一般に知られている方法を組み合わせることによって、合成することができる。以下に本発明化合物群の主な製造方法を掲げる。
【0037】製造方法1一般式(I)においてR7、R8 が水素原子の場合は、例えば工程1〜5により製造できる。
【0038】
【化3】


【0039】工程1 必要なカルボキシジフェニルアミンはウルマン反応により得ることができる。即ち、アニリン誘導体とハロゲノベンゼン誘導体の混合物をジメチルホルムアミドに溶解し、炭酸カリウム、触媒量の銅粉を加え100℃以上の高温で反応させる。触媒としてはこの他にヨウ化第一銅を用いることができ、溶媒としてはこの他にアミルアルコール、ニトロベンゼンなどを用いることができる。
工程2 カルボキシジフェニルアミン誘導体からアクリドンへの環化反応は、ポリリン酸、硫酸により室温から80℃で行う。
工程3 化合物(a)の窒素原子をメタル化し、ついで両端に脱離基F、Gを有するアルキル化合物またはアラルキル化合物、あるいは一端に脱離基Fを有し、一端にQにより保護されたアルコールを持つアルキル化合物あるいはアラルキル化合物と縮合させる。メタル化はブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミドなどを用いることができ、溶媒はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン等の反応に関与しない溶媒を適宜選択できる。保護基Qとしては、アセチル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基などから適宜選ぶことができる。反応温度は通常−20℃〜溶媒の還流温度までである。脱離基F、Gとしてはハロゲン原子、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基及びトリフルオロメタンスルホニル基等を適宜選択できる。
工程4、5 工程3により得られた(b)にガブリエル反応により窒素原子を導入する。即ち、(b)とフタルイミドカリウムを反応させ、付加体(c)を得る。反応は通常0℃〜溶媒の還流温度で行い、溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、メタノール等の反応に関与しない溶媒を適宜選択できる。また、脱離基の代わりに保護された水酸基を有する化合物(b*)の場合には保護基を適切な条件により脱保護した後、光延反応により、つまりフタルイミドとトリフェニルホスフィンを使用する事により付加体(c)を得る。得られた付加体(c)を含水ヒドラジンで処理することにより、目的とする化合物(d)に導くことができる。反応温度は0℃〜溶媒の還流温度で行い、溶媒としてはメタノール、エタノール、ジオキサン等を用いることができる。
【0040】製造方法27、R8のうち少なくとも一方は水素原子でない場合は、以下の方法により製造できる。
【0041】
【化4】


【0042】工程6 工程3により合成した(b)と1級アミンまたは2級アミンを溶媒存在下、または無溶媒で室温から溶媒の還流温度で反応させる。溶媒はメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等の反応に関与しない溶媒を適宜用いることができる。
工程7 工程5により合成した(d)とアルデヒドを無溶媒、または溶媒存在下脱水縮合させシッフ塩基を合成する。溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、エタノールなどが使用でき、ベンゼン、トルエン、キシレンを用いた場合には水分離装置を用いることができ、反応温度は室温から溶媒の還流温度までである。得られたシッフ塩基を水素化ホウ素ナトリウムにより還元しアミン体を得ることができる。この場合溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノールを用い、0度から50℃の反応温度で行われる。
【0043】次に本発明に係るアクリドン酸誘導体およびその薬理学的に許容される塩の有用性を説明するために、薬理実験例を掲げる。
薬理実験例(1)ラット好塩基球性白血病細胞株(RBL−2H3)からの各種メディエーターの遊離抑制作用i)実験方法ラット細胞由来のセルラインであるRBL−2H3細胞は、IgE抗体の特異的抗原によりヒスタミン、セロトニンの遊離はもとより炎症性メディエーターであるTNFα等のサイトカイン類およびプロスタグランディン類を産生遊離する。本実験系ではセロトニンを指標として各種メディエーター遊離抑制作用を検討した。細胞をあらかじめ[3H]ラベルされたセロトニンで標識すると同時にIgE抗体で感作し、本発明化合物群とインキュベート後、特異的抗原で刺激した。この刺激によりメディウムに遊離する[3H]ラベルされたセロトニン量と、本発明化合物群を加えない時に遊離するラベルされたセロトニン量から化合物の抑制活性を算出した。
ii)実験結果表1及び表2に結果を示した。
【0044】
【表1】


【0045】
【表2】


【0046】なお、表中の化合物番号は、後記実施例中の化合物番号を示す(以下同様)。
(2)ヒト好塩基球からの各種メディエーター遊離抑制作用i)実験方法ヘパリン処理した血液20mlに、6%デキストラン(白血球分離用、高分子量)6mlを加え、よく攪拌して37℃で30分間放置して赤血球を沈殿させた。この上層を分取し、リン酸緩衝生理的食塩水を加え、185gで8分間遠心して粗精製の白血球画分を得た。この細胞を低張溶血処理した後、0.1%−BSAを含むD−PBS(+)に浮遊させて、これを好塩基球を含む白血球画分として実験に用いた。この細胞浮遊液0.4mlをあらかじめ37℃で5分間加温してから検体溶液0.05mlを加え、37℃で15分間前処置した。これにダニ抗原溶液0.05mlを加えて抗原抗体反応を惹起し、10分後に氷冷して反応を停止させた。さらに185gで10分間遠心して反応上清を得、上清中のヒスタミン及びペプチドロイコトリエンを酵素免疫測定キットで測定した。それらの結果から、アクリドン誘導体のヒスタミンおよびペプチドロイコトリエンの遊離抑制活性を求めた。
ii)実験結果表3に結果を示した。表中ロイコトリエンとはペプチドロイコトリエンを示す。
【0047】
【表3】


【0048】(3)IgEレセプターγ鎖と72kDaのタイロシンキナーゼとの結合阻害i)実験方法肥満細胞あるいは好塩基球のIgEレセプター間の情報伝達を研究するために、一般的に使用されているセルラインであるRBL−2H3細胞を、また、ヒト型IgEレセプターγ鎖のリン酸化されたタイロシン活性化モチーフ(TAM)領域のペプチドは(株)ペプチド研究所で合成されたものを使用した。実験には、1×107〜5×107個の細胞を各種プロテアーゼ阻害剤及び可溶化剤として1%のNP−40を含んだ溶液で可溶化した細胞のlysateと、ダウンスのホモゲナイザーで細胞を破壊した後、50,000rpmで1時間遠心分離した上清を細胞のcytosol画分として使用した。その後、細胞のlysate及びcytosolは1mg protein/mlとなるように等張の緩衝液で調整した。これらlysateあるいはcytosolに存在している72kDaのタイロシンキナーゼのリン酸化実験は以下のように行った。10mg protein量のlysateあるいはcytosolを含む試験用緩衝液(150mM NaCl、10mM KCl、20mM Tris(pH7.5)、0.6mM MnCl2、0.5mM EGTA、5mM NaF、1mM sodiumpyrophosphate、1mM sodium orthovanadate)と化合物101を30℃で3分間インキュベートし、これにタイロシンがリン酸化したTAM領域のペプチドを50mM、さらにATPを50mM添加し30℃で15分間インキュベートした。反応終了後、試料を10%アガロースエルで電気泳動を行い、72kDaのタイロシンキナーゼを分離した。このキナーゼの活性化はキナーゼ自身のタイロシンのリン酸化を抗タイロシンリン酸化抗体を用いたwestern blottingで確認し、イメージアナライザーを用いてそのタイロシンのリン酸化の度合いを数値化し、それにより化合物101のタイロシンキナーゼリン酸化抑制率を求めた。
ii)実験結果実験結果を表4に示した。
【0049】
【表4】


【0050】即ち、本発明化合物群はIgEレセプターγ鎖と72kDaのタイロシンキナーゼの結合を阻害して、セロトニン、ヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学物質の遊離を抑制する。この結果より、本発明化合物群はIgEレセプターγ鎖と72kDaのタイロシンキナーゼとの結合阻害作用を有することが明らかとなった。
【0051】したがって、本発明化合物群はIgEレセプターγ鎖と72kDaのタイロシンキナーゼの結合阻害作用が有効な疾患の予防・治療剤として用いることができる。さらに言えば、本発明化合物群はセロトニン、ヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質の遊離に起因する疾患の予防治療剤として用いることができる。さらに具体的には、アレルギー性疾患、例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、枯草熱、消化管アレルギー、食品アレルギーなどの予防・治療に有用である。また、本発明化合物群は毒性が低く、安全性が高いという点からも有用であるといえる。
【0052】
【発明の実施の形態】次に本発明の理解を容易にするために実施例を掲げるが、本発明がこれに限定されるわけではないことは言うまでもない。なお、本発明化合物の実施例に先立って、原料化合物の製造例を示した。表にはすべての実施例化合物を記載した。表中の構造式左下の数字は実施例番号ではなく化合物番号を意味する。
製造例12−(3−カルボキシメチルフェニル)アミノ−3,4−ジメチル安息香酸
【0053】
【化5】


【0054】3,4−ジメチル−2−ヨ−ド−安息香酸(J. Med. Chem., 34, 217-222, 1991)20g、3−アミノフェニル酢酸10.9g、炭酸カリウム20g、銅粉500mgをN,N−ジメチルホルムアミド500ml中に懸濁させ2時間攪拌還流した。混合物を室温まで冷却し、1規定塩酸により中和後酢酸エチルにより抽出した。有機層を飽和食塩水により水洗後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣21gは精製せずに次の反応に用いた。
製造例28−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9(10H)アクリドン
【0055】
【化6】


【0056】製造例1で得られた2−(3−カルボキシメチルフェニル)アミノ−3,4−ジメチル安息香酸5.4gとポリリン酸70gの混合物を70℃から80℃で30分間攪拌した。混合物を室温まで冷却後、氷水を加え析出した黄色結晶を濾別し水洗した。得られた結晶をジクロロメタンに懸濁し30分還流、攪拌後不溶物を濾別し濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物を1.8g得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ;10.31(s,1H),7.92(d,J=8,1H),7.82(d,J=8,1H),7.55(m,1H),7.06(d,J=8,1H),6.97(d,J=8,1H),4.13(s,2H),2.45(s,3H),2.40(s,3H)また、ジクロロメタンに不溶な結晶から6−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9(10H)アクリドンを2.1g得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ;10.43(s,1H),8.10(d,J=8,1H),7.99(d,J=8,1H),7.81(s,1H),7.11(d,J=8,1H),6.99(d,J=8,1H),3.71(s,2H),2.46(s,3H),2.41(s,3H)製造例38−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9(10H)アクリドン n−へプチルエステル
【0057】
【化7】


【0058】8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9(10H)アクリドン5.1g、炭酸セシウム4.5g、臭化n−ヘプタン3.5gを100mlのジメチルスルホキシドに溶解し60℃で20分間攪拌した。混合物を室温まで冷却し水を加え酢酸エチルにより抽出し、有機層を水洗後無水硫酸マグネシウムにより乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物を4.0g得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ;8.27(s,1H),7.95(d,J=8,1H),7.06(t,J=8,1H),6.99(d,J=8,1H),6.85(d,J=8,1H),6.75(d,J=8,1H),4.30(s,2H),4.25(t,J=7,2H),2.35(s,3H),2.25(s,3H),1.74(m,2H),1.60(m,2H),1.40(m,6H),0.89(t,J=7,3H)製造例410−(3−ブロモプロピル)−8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9−アクリドン n−へプチルエステル
【0059】
【化8】


【0060】製造例3の8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9(10H)−アクリドン n−ヘプチルエステル4.0gを無水テトラヒドロフラン200mlに溶解し60%水素化ナトリウム550mgを加え室温で15分間攪拌した。トリフルオロメタンスルホン酸3−ブロモプロピルエステル3.6gを加え室温で更に1時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルにより抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物を3.1g得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ;8.05(d,J=8,1H),7.54(m,2H),7.13(d,J=8,1H),7.00(m,1H),4.42(t,J=7,2H),4.22(s,2H),4.10(t,J=7,2H),2.94(t,J=7,2H),2.46(s,3H),2.40(s,3H),1.80(m,2H),1.60(m,2H),1.40(m,8H),0.86(t,J=7,3H)製造例5トリフルオロメタンスルホン酸 3−ブロモプロピルエステル
【0061】
【化9】


【0062】3−ブロモ−1−プロパノール6.2gとピリジン3.8gのジクロロメタン100ml溶液に攪拌下0℃で無水トリフルオロメタンスルホン酸7.8mlを加えた。0℃で10分間攪拌後水を加え有機層を水洗し無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を減圧留去し標記化合物を4.8g得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ;4.71(t,J=6,2H),3.51(t,J=6,2H),2.36(m,2H)製造例68−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−10−(3−フタルイミドプロピル)−9−アクリドン n−ヘプチルエステル
【0063】
【化10】


【0064】製造例4の10−(3−ブロモプロピル)−8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9−アクリドン n−ヘプチルエステル1.2gとフタルイミドカリウム670mgをN,N-ジメチルホルムアミド30mlに溶解し70℃で20分間攪拌した。混合物を室温まで冷却し水を加え酢酸エチルにより抽出した。有機層を水洗し無水硫酸マグネシウムにより乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物を420mg得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ;7.98(d,J=8,1H),7.76(m,2H),7.68(m,2H),7.48(m,2H),7.05(d,J=8,1H),6.96(m,1H),4.29(t,J=7,2H),4.22(s,2H),4.09(t,J=7,2H),3.42(t,J=7,2H),2.49(s,3H),2.43(s,3H),1.60(m,4H),1.40(m,8H),0.84(t,J=7,3H)製造例73,4−ジメチル−10−(5−ヒドロキシメチル−フラン−2−イルメチル)−9−アクリドン
【0065】
【化11】


【0066】製造例4と同様の操作により3,4−ジメチル−9−10(H)アクリドンと2−アセトキシメチル−5−メタンスルホニルオキシメチル−フランから得られた10−(5−アセトキシメチル−フラン−2−イルメチル)−3,4−ジメチル−9−アクリドン0.32gをテトラヒドロフラン10mlとメタノ−ル2mlの混合溶液に溶解し1規定水酸化ナトリウム水溶液3mlを加え室温で12時間攪拌した。反応液を水に注ぎ酢酸エチルにより抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物を310mg得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ;8.29(d,J=8,1H),8.18(d,J=8,1H),7.50-7.61(m,2H),7.13-7.21(m,2H),5.98(d,J=4,1H),5.75(d,J=4,1H),5.27(s,2H),4.33(m,2H),2.52(s,3H),2.41(s,3H)製造例83,4−ジメチル−10−(5−フタルイミドメチル−フラン−2−イルメチル)−9−アクリドン
【0067】
【化12】


【0068】製造例7の3,4−ジメチル−10−(5−ヒドロキシメチル−フラン−2−イルメチル)−9−アクリドン0.31g、トリフェニルホスフィン0.25g、フタルイミド0.14gのテトラヒドロフラン(5ml)溶液に0℃でジエチルアゾジカルボキシラート(0.15ml)を加え室温で12時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物を120mg得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ;8.18(d,J=8,1H),8.09(d,J=8,1H),7.85(m,2H),7.78(m,2H),7.44(m,2H),7.02-7.12(m,2H),6.08(d,J=4,1H),5.65(d,J=4,1H),5.23(s,2H),4.60(s,2H),2.42(s,3H),2.40(s,3H)製造例910−(3−ブロモプロピル)−8−(1−カルボキシエチル)−3,4−ジメチル−9−アクリドン n−ヘプチルエステル
【0069】
【化13】


【0070】製造例4の10−(3−ブロモプロピル)−8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9−アクリドン n−ヘプチルエステル1.0gとヨードメタン1.4gをジメチルホルムアミド20ml中に溶解し、水素化ナトリウム400mgを加え60℃で4時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、水を加え酢酸エチルにより抽出した。有機層を水洗後無水硫酸マグネシウムにより乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物を610mg得た。
【0071】実施例110−(3−アミノプロピル)−8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9−アクリドン n−ヘプチルエステル
【0072】
【化14】


【0073】製造例4の8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−10−(3−フタルイミドプロピル)−9−アクリドン n−ヘプチルエステル420mgとヒドラジン水和物1.0gのメタノール溶液50mlを室温で30分間攪拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにより抽出し有機層を水洗後無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を減圧留去後残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物を210mg得た。
実施例210−(3−アミノプロピル)−8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9−アクリドン
【0074】
【化15】


【0075】10−(3−アミノプロピル)−8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9−アクリドン n−ヘプチルエステル210mgと水酸化カリウム200mgの10%含水メタノール溶液を室温で1時間攪拌した。反応液に水を加え酒石酸により中和し、溶液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物を150mg得た。
実施例310−(3−ベンジルアミノプロピル)−8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9−アクリドン
【0076】
【化16】


【0077】10−(3−アミノプロピル)−8−カルボキシメチル−3,4−ジメチル−9−アクリドン120mgとベンズアルデヒド30mgのエタノール溶液20mlを1時間還流、攪拌した。混合物を室温まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム20mgを加え20分間室温で攪拌後、水を加え酒石酸により中和し逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物を120mg得た。製造例1から6及び実施例1から3と同様にの操作を行い、以下の化合物を合成した。
【0078】
【表5】


【0079】
【表6】


【0080】製造例1から6、実施例1及び2と同様にして以下の化合物を得た。
【0081】
【表7】


【0082】製造例1から6、実施例1及びと同様にして以下の化合物を得た。
【0083】
【表8】


【0084】製造例1から6、実施例1、3及び2の操作を順に行い、以下の化合物を得た。尚、脱エステル化後、ナトリウム塩のまま精製を行った。
【0085】
【表9】


【0086】
【表10】


【0087】製造例1、2、4、5及び6、実施例1及び3と同様にして以下の化合物を得た。
【0088】
【表11】


【0089】
【表12】


【0090】
【表13】


【0091】
【表14】


【0092】実施例43,4−ジメチル−10−[3−(4−メトキシベンジルアミノ)プロピル]−9−アクリドン
【0093】
【化17】


【0094】10−(3−ブロモプロピル)−3,4−ジメチル−9−アクリドン500mgと4−メトキシベンジルアミン360mgのエタノ−ル溶液50mlを1.5時間攪拌還流した。溶液を室温まで冷却後1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルにより抽出した。有機層を水洗後無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物を280mg得た。製造例1、2、4及び5、または実施例4と同様にして以下の化合物を合成した。
【0095】
【表15】


【0096】
【表16】


【0097】
【表17】


【0098】
【表18】


【0099】
【表19】


【0100】製造例1から5、実施例4及び2の操作を順に行うことにより、以下の化合物を得た。尚、脱エステル化後、ナトリウム塩のまま精製を行った。
【0101】
【表20】


【0102】
【表21】


【0103】
【表22】


【0104】製造例1、2、4及び6、または実施例1と同様にして以下の化合物を得た。
【0105】
【表23】


製造例1、2、4及び6、実施例1及び3と同様な操作を順に行うことにより、以下の化合物を合成した。
【0106】
【表24】


【0107】実施例510−(3−アミノプロピル)−3,4−ジメチル−9−チオアクリドン10−(3−アミノプロピル)−3,4−ジメチル−アクリドン800mgと五硫化リン2.9gをピリジン(50ml)中に溶解し100℃で30分間攪拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え酢酸エチルにより抽出した。有機層を水洗し無水硫酸マグネシウムにより乾燥後溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物を210mg得た。
【0108】
【表25】


【0109】実施例5で得られた10−(3−アミノプロピル)−3,4−ジメチル−9−チオアクリドンに実施例3と同様な操作を施すことによって、以下の表に記載した化合物を合成した。
【0110】
【表26】


【0111】実施例6製造例8で得られた3,4−ジメチル−10−(5−フタルイミドメチル−フラン−2−イルメチル)−9−アクリドンを用いて、実施例1の方法に準じて、以下の表に記載した化合物を得た。
【0112】
【表27】


【0113】実施例7化合物130を用いて、実施例3の方法に準じて、以下の表に記載した化合物を得た。
【0114】
【表28】


【0115】実施例88−アミノカルボニルメチル−3,4−ジメチル−10−(3−N−メチルベンジルアミノプロピル)−9−アクリドン
【0116】
【化18】


【0117】製造例1、2、3、4及び5、実施例4及び2と同様な操作を順に実施することにより得られた3,4−ジメチル−8−カルボキシメチル−10−(N−メチルベンジルアミノプロピル)−9−アクリドン210mgと1,1’−カルボニルジイミダゾール90mgをテトラヒドロフラン30mlに溶解し室温で2時間攪拌した。28%アンモニア水2mlを加え室温で1時間攪拌後、水を加え酢酸エチルにより抽出した。有機層を水洗後溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物を25mg得た。実施例8と同様の操作により以下の化合物を合成した。
【0118】
【表29】


【0119】実施例98−シアノメチル−3,4−ジメチル−10−(3−N−メチルベンジルアミノプロピル)−9−アクリドン実施例8で得られた8−アミノカルボニルメチル−3,4−ジメチル−10−(N−メチルベンジルアミノプロピル)−9−アクリドン72mgとピリジン80mlをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸70mlを加え室温で30分間攪拌後、反応液に水を加え酢酸エチルにより抽出した。有機層を水洗後溶媒を減圧留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物を38mg得た。
【0120】
【表30】


【0121】実施例10製造例9により得られた10−(3−ブロモプロピル)−8−(1−カルボキシエチル)−3,4−ジメチル−9−アクリドン n−ヘプチルエステルに実施例4と実施例2の操作を行うことにより以下の化合物を合成した。尚、脱エステル化後、ナトリウム塩のまま精製を行った。
【0122】
【表31】


【0123】実施例11製造例9で10−(3−ブロモプロピル)−8−(1−カルボキシエチル)−3,4−ジメチル−9−アクリドン n−ヘプチルエステルに製造例6、実施例1、3及び2の操作を順に行うことにより以下の化合物を合成した。
【0124】
【表32】


【0125】実施例128−(1−カルボキシ−1−メチルエチル)−3,4−ジメチル−10−(3−N−メチルベンジルアミノプロピル)−9−アクリドン n−ヘプチルエステル製造例9と実施例4と同様な操作を順に実施して得られた8−(1−カルボキシエチル)−3,4−ジメチル−10−(3−N−メチルベンジルアミノプロピル)−9−アクリドン n−ヘプチルエステル1.3gを1.5当量のリチウムジイソプロピルアミドの無水テトラヒドロフラン溶液50ml中に-70℃で溶解し-40℃で30分間攪拌した。ヨードメタン2mlを加え、-40℃で30分間攪拌後、反応液に飽和塩化アンモニウム水を加え酢酸エチルにより抽出した。有機層を水洗後無水硫酸マグネシウムにより乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標記化合物を1.2g得た。
【0126】
【表33】


【0127】実施例13実施例12により得られた8−(1−カルボキシ−1−メチルエチル)−3,4−ジメチル−10−(3−N−メチルベンジルアミノプロピル)−9−アクリドン n−ヘプチルエステルに実施例2の操作を行うことにより以下の化合物を合成した。尚、脱エステル化後、ナトリウム塩のまま精製を行った。
【0128】
【表34】


【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式(I)
【化1】


{式中R1、R2、R3、R4、R5及びR6は互いに同一または相異なり、水素原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、保護基を有してもよいカルボキシル基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、アシル基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、式−S(O)p−R9(式中R9は水素原子、低級アルキル基またはシクロアルキル基を意味する。pは0〜2の整数を意味する。)で示される基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、保護基を有してもよく、また置換基を有していてもよいカルボキシアルキル基、置換基を有してもよいカルバモイルアルキル基、置換基を有してもよいスルファモイルアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基、シアノアルキル基、アシルアルキル基、アシルアミノアルキル基、低級アルケニル基、ヒドロキシアルケニル基、アルコキシアルケニル基、保護基を有してもよいカルボキシアルケニル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルケニル基、シアノアルケニル基、アシルアルケニル基、アシルアミノアルケニル基、低級アルキニル基、ヒドロキシアルキニル基、アルコキシアルキニル基、保護基を有してもよいカルボキシアルキニル基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキニル基、シアノアルキニル基、アシルアルキニル基、式−W−S(O)q−R10(式中R10は水素原子、低級アルキル基またはシクロアルキル基を意味する。Wはアルキレン鎖、アルケニレン鎖またはアルキニレン鎖を意味する。qは0〜2の整数を意味する。)で示される基、アシルアミノアルキニル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、保護基を有してもよいカルボキシアルコキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールアルコキシ基、シアノアルコキシ基、アシルアルコキシ基、アシルアミノアルコキシ基、式−V−S(O)r−R11(式中R11は水素原子、低級アルキル基またはシクロアルキル基を意味する。rは0〜2の整数を意味する。Vはアルキレンオキシ鎖を意味する。)で示される基を意味する。あるいは、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちの互いに隣り合う2つの置換基が一緒になって、それらが結合している炭素と共に、環を形成してもよく、その環は環構成原子として、さらに、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも1つの原子を有していてもよく、また置換基を有していてもよい。Yは式−A−Z[Aは式−(CH2)t−(B)m−(CH2)n−(式中mは0または1の整数を意味する。t及びnは0から6までの整数を意味し、Bは低級アルキレン基、低級アルケニレン基、低級アルキニレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいヘテロアリーレン基を意味する)。Zはシアノ基、保護基を有してもよいカルボキシル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、アシル基、アシルアルキル基または式−NR78[式中R7及びR8は互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアリールアルコキシ基、置換基を有してもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルコキシ基、保護基を有してもよいカルボキシアルキル基、アシル基、置換基を有してもよいアシルアミノ基、置換基を有してもよいアシルアミノアルキル基、式−S(O)s−(X)u−R12(式中R12は水素原子、低級アルキル基またはシクロアルキル基を意味する。Xはアルキレン鎖を意味する。sは0〜2の整数を、uは0または1を意味する。)で示される基、アミノアルキル基、シアノアルキル基、アシルアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基またはN位が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノ基を意味する。あるいは、R7及びR8はそれらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、その環は環構成要素として、さらに、窒素原子、硫黄原子、酸素原子及び式−NR9−(式中R9は水素原子、低級アルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を意味する。)で示される基からなる群から選ばれた少なくとも一種を有していてもよく、また、置換基を有していてもよい。]で示される基を意味する。Dは酸素原子または硫黄原子を意味する。但し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6が互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子であり、Aにおいてm及びnが0でtが1〜6の整数であり、Zは式−NR78で表される基であり、且つ、R7及びR8は互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、無置換のアリール基、無置換のアリールアルキル基、無置換のヘテロアリール基または無置換のヘテロアリールアルキル基であるか、あるいは、R7及びR8はそれらが結合している窒素原子と一緒になって員数が5または6である環を形成し、且つその環内には環構成原子として、さらに、酸素原子もしくは硫黄原子、または式−NR9−(式中R9は前記定義の通りである。)を有する基であり、且つDが酸素原子である場合を除く。}で表されるアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】一般式(I)で表され、式中R1、R2、R3、R4、R5及びR6は互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子であり、Yが式−(CH2)t−Z{式中tは1〜6の整数であり、且つZは式−NR78[式中R7及びR8は互いに同一または相異なり、水素原子、低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基であるか、あるいはR7及びR8はそれらが結合している窒素原子と一緒になって員数が5または6である環を形成し、且つその環内には環構成原子として、さらに、酸素原子もしくは硫黄原子、または式−NR9−(式中R9は前記定義の通りである。)で示される基を有していてもよい。]で示される基である。}で示される基であり、且つDが酸素原子である化合物及びその薬理学的に許容される塩以外のものである、請求項1記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】R1及びR2は互いに同一または相異なり、低級アルキル基を意味するか、あるいは、R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成しており、その環はさらに、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも1つの原子を有していてもよく、置換基を有していてもよい環である請求項1記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】R1及びR2は低級アルキル基であり、その一方または両方が共にメチル基である請求項1または2に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】Dが酸素原子である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】Dが硫黄原子である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】R1及びR2が共にメチル基であり、m=n=0でtが1〜3の整数であり、Zが式−NR78(式中R7及びR8は前記の意味を有する。)である請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項8】R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは保護基を有していてもよいカルボキシル基、保護基を有していてもよく、また置換機を有していてもよいカルボキシアルキル基、保護基を有していてもよいカルボキシアルケニル基、または、保護基を有していてもよいカルボキシアルキニル基である請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】R4、R5、R6のうち少なくとも一つは保護基を有していてもよいカルボキシル基、または保護基を有していてもよく置換基を有していてもよいカルボキシアルキル基である請求項1〜8のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】R7またはR8が置換基を有していてもよいアリールアルキル基であり、その置換基が水酸基である請求項1〜9のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項11】R1及びR2が共にメチル基であり、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは保護基を有していてもよいカルボキシル基、または保護基を有していてもよく置換基を有していてもよいカルボキシアルキル基である請求項1〜10のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項12】R1及びR2が共にメチル基であり、R4が保護基を有していてもよいカルボキシル基、または保護基を有していてもよく置換基を有していてもよいカルボキシアルキル基である請求項1〜11記載のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項13】R1及びR2が共にメチル基であり、R4が保護基を有していてもよいカルボキシル基、または保護基を有していてもよく置換基を有していてもよいカルボキシアルキル基であり、m=n=0でtが2または3であり、Zが式−NR78(式中R7は水素原子またはメチル基を示し、R8は置換基を有していてもよいアリールアルキル基または置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基を示す。)である請求項1〜12のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】R1及びR2が共にメチル基であり、R4が保護基を有していてもよく、また置換基を有していてもよいカルボキシルアルキル基であり、m=n=0でtが3であり、Zが式−NR78(式中R7は水素原子またはメチル基を示し、R8は置換基を有していてもよいアリールアルキル基または置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基である。)である請求項1〜13のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】R1及びR2が共にメチル基であり、R3、R5及びR6が水素原子であり、R4が保護基を有していてもよく、また置換基を有していてもよいカルボキシルアルキル基であり、m=n=0でtが3であり、Zが式−NR78(式中R7は水素原子またはメチル基であり、且つ、R8は置換基を有していてもよいアリールアルキル基または置換基を有していてもよいヘテロアリールアルキル基である。)である請求項1〜14のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項16】請求項1〜15のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするIgEレセプターγ鎖と72kDaのタイロキシンキナーゼとの結合阻害剤。
【請求項17】請求項1〜15のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするIgEレセプターγ鎖と72kDaのタイロシンキナーゼとの結合阻害作用が有効な疾患の予防・治療剤。
【請求項18】請求項1〜15のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする抗アレルギー作用が有効な疾患の予防・治療剤。
【請求項19】請求項1〜15のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするアレルギー性疾患の予防・治療剤。
【請求項20】請求項1〜15のいずれか1項に記載のアクリドン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、枯草熱、消化管アレルギー、食品アレルギーまたは喘息の予防・治療剤。