説明

アクリル共重合体の製造方法

【課題】工業的な見地に立った攪拌、除熱を含む製造上の課題を解決し、最重要課題である安全、防災上の懸念を払拭するアクリル共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】α−メチルスチレンダイマー1.0モルに対し、重合開始剤を0.02〜1.0モル使用し、アクリル単量体をラジカル共重合したアクリルプレポリマーの存在下に、アクリル単量体


を含むアクリル単量体をラジカル共重合するアクリル共重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル共重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクリル樹脂は、その原料となるアクリル単量体の種類が豊富で付着性、接着性、硬度、透明性、耐光性、耐候性、耐薬品性等の物理的性質、化学的性質を随意にコントロールできることから、ディスプレイ、レンズなどの光学用塗、光学フィルム用途、これらに使用する粘・接着剤用途、塗料、シーリング材、紙力増強剤、歯科材料、航空機や自動車部材の接着剤等、幅広く応用され、用いられている。
【0003】
アクリル樹脂は、一般に重合時の発熱が大きく、また重合が進むにつれ高粘度となるため、工業的には水や有機溶媒を媒体とする溶液重合や乳化重合、懸濁重合などの除熱が比較的容易な方法で製造されることが多い。また、鋳込み等特殊な用途で使用される場合には部分重合したシロップとして使用されることもある。
【0004】
アクリル単量体を無溶剤下に、熱によるラジカル重合の場合でも、反応系内の除熱を容易に制御できるアクリル部分重合体の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。無溶剤下にラジカル重合を行うといいながらも、特許文献1に提案されている技術は、アクリル単量体と相溶し、かつ重合阻害性の少ない、例えば、アルコール変性ジシクロペンタジエン樹脂の水素化物、テトラヒドロアビエチン酸型骨格を持つロジン成分を40重量%以上含有するロジン、当該ロジンの誘導体、粘着付与樹脂の存在下にアクリル単量体を重合するものであり、純粋なアクリル樹脂、部分重合アクリル樹脂を得るという目的にはふさわしくない技術である。したがって、製造されたアクリル樹脂も粘着剤等に用途が限定される。
【0005】
また、特許文献1では、アクリル単量体の種類は特に限定せずとしているが、実質上は前記粘着付与樹脂との相溶性で制約を受けるのは必至であり、かつ製造されるアクリル樹脂も物理的性質、化学的性質をよりレベルアップしていく段階では同様に粘着付与樹脂の存在がブレーキをかけることは容易に推察される。
【0006】
フラットパネルディスプレイ(FPD)用粘着剤、および周辺部材を含めたフラットパネルディスプレイ(FPD)用光学フィルタが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に提案されている粘着剤は部分重合アクリル樹脂であり、かつ提案されている部分重合アクリル樹脂は、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル等の柔軟な成分を主とするアクリル共重合体と未反応で残るこれらのアクリル単量体、反応性希釈剤としてのその他のアクリル単量体とを含む、アクリル共重合体そのものは少なくとも紫外線照射、加熱などの処理により化学反応、架橋反応を起こさないものである。特許文献2で提案されている技術は、アクリル共重合体の分子量を適切な大きさに設定すれば粘着作業を行った当初は間違いなく粘着性、リワーク粘着性は発揮されるものと推察される。一方で、粘着性を優先させるあまり、柔軟なアクリル単量体を主成分とし、かつアクリル共重合体を非架橋ポリマーとしているために、耐光性が劣悪であり、耐湿熱性、経時での粘着力保持性が実用に満たないことが同時に、容易に推察される。
【特許文献1】特開2003−128714号公報
【特許文献2】特開2007−94191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
工業的な見地に立った攪拌、除熱を含む製造上の課題を解決し、最重要課題である安全、防災上の懸念を払拭するアクリル共重合体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記構造式のα−メチルスチレンダイマー
【0009】
【化1】

【0010】
1.0モルに対し、重合開始剤を0.02〜1.0モル使用し、下記構造式のアクリル単量体
【0011】
【化2】

【0012】
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は、水素原子、炭素原子数2〜8個のアルキル基、炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基、または下記構造式で示される
【0013】
【化3】

【0014】
(ここで、R3は炭素原子数2〜3個のアルキル基、R4は水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基、R5は水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
アミノアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体をラジカル共重合したアクリルプレポリマーの存在下に、下記構造式のアクリル単量体
【0015】
【化4】

【0016】
(ここで、R6は水素原子またはメチル基、R7は、R2と異なる炭素原子数1〜12個のアルキル基、または、下記構造式で示される
【0017】
【化5】

【0018】
(ここで、nは0または1〜3の整数を表す。)
ジシクロペンテニル環含有基を表す。)
含むアクリル単量体をラジカル共重合するアクリル共重合体の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のアクリル共重合体の製造方法は、新規なコンセプトに基づき、比較的短時間の製造工程、単純な製造方法で製造されるアクリルプレポリマーを、効率的な高分子反応により変性し機能性アクリル共重合体を製造することができる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーの製造工程でも、機能性アクリル共重合体の製造工程でも、急激な重合反応の進行と暴走反応に至る過程の回避とこれの制御、攪拌、除熱を含む安全、防災上の課題を解決できる。
【0020】
本発明のアクリル共重合体の製造方法は、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウイスカー等の繊維で強化されるポリプロピレンアロイ(PPアロイ)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、ポリカーボネート等の各種熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に相溶し、よりいっそうの強度向上を可能とする機能性アクリル共重合体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、下記構造式のα−メチルスチレンダイマー
【0022】
【化6】

【0023】
1.0モルに対し、重合開始剤を0.02〜1.0モル使用し、下記構造式のアクリル単量体
【0024】
【化7】

【0025】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、水素原子、炭素原子数2〜8個のアルキル基、炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基、または下記構造式で示される
【0026】
【化8】

【0027】
(ここで、R3は、炭素原子数2〜3個のアルキル基、R4は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基、R5は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
アミノアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体をラジカル共重合したアクリルプレポリマーの存在下に、下記構造式のアクリル単量体
【0028】
【化9】

【0029】
(ここで、R6は水素原子またはメチル基、R7は、R2と異なる炭素原子数1〜12個のアルキル基、または、下記構造式で示される
【0030】
【化10】

【0031】
(ここで、nは0または1〜3の整数を表す。)
ジシクロペンテニル環含有基を表す。)
含むアクリル単量体をラジカル共重合するアクリル共重合体の製造方法である。
【0032】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、下記構造式のα−メチルスチレンダイマー
【0033】
【化11】

【0034】
1.0モルに対し重合開始剤を0.02〜1.0モル使用し、下記構造式のアクリル単量体
【0035】
【化12】

【0036】
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、
R2は水素原子、炭素原子数2〜8個のアルキル基、炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基、または下記構造式で示される
【0037】
【化13】

【0038】
(ここで、R3は炭素原子数2〜3個のアルキル基、R4は水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基、R5は水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
アミノアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体をラジカル共重合しアクリルプレポリマーを製造した後、製造されたプレポリマーの存在下で、下記構造式のアクリル単量体
【0039】
【化14】

【0040】
(ここで、R6は水素原子またはメチル基、R7は、R2と異なる炭素原子数1〜12個のアルキル基、または、下記構造式で示される
【0041】
【化15】

【0042】
(ここで、nは0または1〜3の整数を表す。)
ジシクロペンテニル環含有基を表す。)
含むアクリル単量体をラジカル共重合し、アクリル共重合体を製造する。
【0043】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、下記構造式のα−メチルスチレンダイマー、
【0044】
【化16】

【0045】
すなわち、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを用いる。
【0046】
α−メチルスチレンダイマー、すなわち、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンとしては、例えば、五井化成(株)、本州化学工業(株)、旭化成ファインケム(株)などで製造され、上市されているものを任意に選択し、使用することができる。
【0047】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、α−メチルスチレンダイマー1.0モルに対し、重合開始剤を0.02〜1.0モル使用する。
【0048】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、重合開始剤として、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等の有機アゾ系重合開始剤等が例示できる。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、これらの重合開始剤は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用しても良い。
【0049】
本発明のアクリル共重合体では、これらの重合開始剤のなかでは、好ましくは、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等の有機アゾ系重合開始剤が好ましく推奨され、アクリルプレポリマー製造時の安全性と、アクリルプレポリマーの安定性が両立できる。
【0050】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、α−メチルスチレンダイマーの1モルに対して、重合開始剤は、0.02〜1.0モル使用する。重合開始剤は、好ましくは、α−メチルスチレンダイマーの1モルに対して、0.1〜1.0モル、より好ましくは、0.2〜0.95モル使用されるのが望ましい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、重合開始剤の使用量が0.02モル未満の場合には重合率が上がらず、工業的な観点から現実的な手法ではない。重合開始剤の使用量が1.0モルを超える場合には、アクリルプレポリマー製造時の発熱が大きく、暴走反応が起こりやすいので、安全上問題である。
【0051】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、下記構造式のアクリル単量体
【0052】
【化17】

【0053】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、水素原子、炭素原子数2〜8個のアルキル基、炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基、または下記構造式で示される
【0054】
【化18】

【0055】
(ここで、R3は、炭素原子数2〜3個のアルキル基、R4は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基、R5は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
アミノアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体をラジカル共重合し、アクリルプレポリマーを製造する。
【0056】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーの製造に好ましく使用されるアクリル単量体としては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有アクリル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有アクリル単量体、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸4−メトキシブチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシプロピル、メタクリル酸4−メトキシブチル等のメトキシアルキル基含有アクリル単量体、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のアミノアルキル基含有アクリル単量体等が例示される。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、これらのアクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0057】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、これらのアクリル単量体のなかでは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のアクリル酸ヒドロキシアルキル単量体、アクリル酸2−メトキシエチル等のアクリル酸メトキシアルキル単量体、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸アミノアルキル単量体が、好ましく使用される。
【0058】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、α−メチルスチレンダイマーは、好ましくは、下記構造式のアクリル単量体
【0059】
【化19】

【0060】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、水素原子、炭素原子数2〜8個のアルキル基、炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基、または下記構造式で示される
【0061】
【化20】

【0062】
(ここで、R3は、炭素原子数2〜3個のアルキル基、R4は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基、R5は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
アミノアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体の総量100重量部に対して、好ましくは、0.002〜20重量部、より好ましくは0.2〜18重量部、さらに好ましくは、0.3〜12重量部使用されるのが推奨される。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、α−メチルスチレンダイマーの使用量が本発明のアクリルプレポリマーを構成するアクリル単量体の総量100重量部に対して、好ましくは、0.02〜20重量部使用されるとき、アクリルプレポリマー製造時の重合速度と発熱にバランスがとれ、安全にかつ効率的にアクリルプレポリマーを製造できる。
【0063】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーは、好ましくは塊状ラジカル共重合により製造される。
【0064】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、塊状ラジカル共重合とは、アクリル単量体やスチレンモノマー等のビニル基を有するモノマーのラジカル共重合を行う際に用いられる方法の一つである。溶媒を使用しないで、アクリル単量体やスチレンモノマー等のビニル基を有するモノマーだけをそのまま、あるいはアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を加えて、加熱して重合を行う方法である。
【0065】
塊状ラジカル共重合の特徴は、重合速度が大きく、比較的純粋なポリマーが塊状で製造されることである。周知の通り、製造スケールに係わらず、塊状ラジカル共重合では、重合熱を取り除くことが難しく(除熱が困難)、局部加熱が生じる(局部的に暴走反応が起こる)など重合温度の制御がはなはだ困難である。
【0066】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、α−メチルスチレンダイマーの1モルに対して、重合開始剤を0.02〜1.0モル使用することにより、アクリルプレポリマーの製造を塊状ラジカル共重合で行う場合でも、製造時の攪拌、除熱が容易であり、重合温度の制御が工業的見地から見て十分に可能となる。
【0067】
また、本発明のアクリル共重合体の製造方法では、本発明に従い製造されるアクリルプレポリマーおよびアクリル共重合体が、特に、塊状ラジカル共重合で製造される場合には、不活性ガス置換された気相部の酸素濃度が、好ましくは、0.5vol%≦気相部酸素濃度≦8.0vol%、より好ましくは、2.0vol%≦気相部酸素濃度≦7.0vol%、さらにより好ましくは3.0vol%≦気相部酸素濃度≦6.0vol%の雰囲気下に実施されるのが望ましい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、気相部酸素濃度が0.5vol%≦気相部酸素濃度≦8.0vol%であれば、気相部でアクリル単量体が重合反応を起こすことがなく、安全に、効率よくアクリルプレポリマーおよびアクリル共重合体を製造することができる。
【0068】
ここで、本発明のアクリル共重合体の製造方法では、重合系中の酸素濃度は、「デジタル酸素濃度計 XO−326ALB」(新コスモス電機(株)の酸素濃度測定器)を使用し測定した。また、本発明のアクリル共重合体の製造方法では、本発明で使用される不活性ガスは、窒素ガス、ヘリウムガスなど市販されているもののなかから任意に選択することができる。
【0069】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、本発明で製造されるアクリルプレポリマーの重量平均分子量は、好ましくは、2000〜20万、より好ましくは、2000〜16万、さらにより好ましくは、3000〜15万であることが望ましい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーの重量平均分子量が、2000〜20万の場合、アクリルプレポリマーおよびアクリル共重合体製造時の攪拌、除熱が十分に制御範囲となり、安全で効率的な製造を行う上で望ましい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーの分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)HLC−8220GPC(東ソー(株)の試験装置)を使用し、キャリアーをテトラヒドロフラン、標準ポリマーをPMMAとして測定した。
【0070】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリル共重合体は、本発明で製造されるアクリルプレポリマーの存在下に、下記構造式のアクリル単量体
【0071】
【化21】

【0072】
(ここで、R6は、水素原子またはメチル基、R7は、R2と異なる炭素原子数1〜12個のアルキル基、または、下記構造式で示される
【0073】
【化22】

【0074】
(ここで、nは0または1〜3の整数を表す。)
ジシクロペンテニル環含有基を表す。)
含むアクリル単量体をラジカル共重合し製造される。ここで、R7は、R2と異なる炭素原子数1〜12個のアルキル基とは、例えば、R2がエチル基の場合は、R7は、エチル基以外の炭素原子数1〜12個のアルキル基であることを示す。
【0075】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、下記構造式のアクリル単量体
【0076】
【化23】

【0077】
(ここで、R6は、水素原子またはメチル基、R7は、R2と異なる炭素原子数1〜12個のアルキル基、または、下記構造式で示される
【0078】
【化24】

【0079】
(ここで、nは0または1〜3の整数を表す。)
ジシクロペンテニル環含有基を表す。)
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ステアリル、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートなどが例示される。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、これらのアクリル単量体は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0080】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリル共重合体中に占めるアクリルプレポリマーの割合は、アクリル共重合体総量を100重量%として、好ましくは、0.5〜99.8重量%、より好ましくは、1.0〜99.8重量%、さらに好ましくは、5.0〜95重量%であるのが望ましい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリル共重合体中に占めるアクリルプレポリマーの割合が、0.5〜99.8重量%のとき、アクリル共重合体を製造する際の攪拌、除熱が容易となり、同時に製造時間も短縮される傾向が見られ望ましい。
【0081】
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマー、アクリル共重合体は溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の通常行われるラジカル重合方法のいずれで製造されてもよい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリル共重合体の溶媒からの分離、取り出し、相溶化ポリマー他への適用を考慮した場合、塊状ラジカル重合で製造されるのが望ましい。また、この後、アクリル共重合体を粘性液体〜固体で取り出されるアクリル共重合体を、そのままでアクリル共重合体を粘性液体〜固体、有機溶媒他に溶解した溶液状、水に乳化、分散したエマルジョン状にした状態等、用途に応じ用途に適した種々形態で使用することができる。
【0082】
次に、本発明のアクリル共重合体の製造方法を、塊状ラジカル共重合の例をとり、紹介する。
【0083】
(1)アクリルプレポリマーの製造例
2L四つ口フラスコに、例えば、アクリル酸n−ブチル、α−メチルスチレンダイマーの所定量を計りとり、フラスコに窒素ガスを吹き込んでフラスコ内を窒素ガス置換した後、酸素濃度が3vol%に調節された窒素ガス/酸素の混合気体を吹き込み、フラスコ内の気相部の酸素濃度を3〜5vol%となるよう調節する。以後、アクリルプレポリマーの製造中は酸素濃度が3vol%に調節された窒素ガス/酸素の混合気体の吹き込みを継続する。
【0084】
90℃に昇温を行い、所定量のアクリル酸n−ブチルと例えば、所定量のα,α´−アゾビスイソブチロニトリル等の有機アゾ系重合開始剤の混合溶液をフラスコ内に所定時間で滴下し、滴下終了後、所定時間、重合率が98%以上になるまで熟成反応を行ってアクリルプレポリマーを製造する。
【0085】
(2)アクリル共重合体の製造例
2L四つ口フラスコに、アクリルプレポリマーの所定量と、例えばメタクリル酸イソボルニルの所定量を仕込み、フラスコに窒素ガスを吹き込んでフラスコ内を窒素ガス置換した後、酸素濃度が3vol%に調節された窒素ガス/酸素の混合気体を吹き込み、フラスコ内の気相部の酸素濃度を3〜5vol%となるよう調節する。以後、アクリル共重合体の製造中は酸素濃度が3vol%に調節された窒素ガス/酸素の混合気体の吹き込みを継続する。
【0086】
105℃に昇温を行い、重合率が98%以上になるまで重合反応を行ってアクリル共重合体の製造を行う。
【実施例】
【0087】
以下に実施例で本発明の詳細を説明する。なお、以下の実施例では、評価方法、測定方法等を次の通りとした。
【0088】
1)酸素濃度(vol%)
デジタル酸素濃度計XO−326ALB(新コスモス電機(株)の測定装置)を使用して測定した。
【0089】
2)重量平均分子量(Mwとも言う)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)HLC−8220GPC(東ソー(株)の試験装置)を使用し、キャリアーをテトラヒドロフラン、標準ポリマーをPMMAとして測定した。
【0090】
3)重合率(%)
JIS K 5407:1997にしたがって加熱残分(%)を測定し、これを重合率(%)とした。ただし、測定温度は140℃、測定時間は60分とした。
【0091】
4)酸価
JIS K 5407:1997にしたがって測定した。
また、実施例中、特にことわりがない限り組成比は重量比とした。
【0092】
実施例1
(アクリルプレポリマーP−1の製造)
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、容器内の雰囲気が酸素濃度≦8.0vol%になるまで窒素ガスを吹き込み、さらにアクリルプレポリマーの製造中は酸素濃度を5.0vol%に調節した窒素ガス/酸素混合気の吹き込みを継続した。
【0093】
フラスコに、アクリル酸n−ブチル300g、α−メチルスチレンダイマー30g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき3重量部)を仕込み、92℃に昇温した。
【0094】
アクリル酸n−ブチルの残り700g(アクリル酸n−ブチルの総量は1000g)、2,2´−アゾビスイソブトロニトリル14.6g(重合開始剤、α−メチルスチレンダイマーを1モルとしたとき0.700モル)の混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
【0095】
滴下終了後、92℃で2時間熟成反応を行い、105℃に昇温してさらに2時間熟成反応を行ってアクリルプレポリマーP−1を製造した。
【0096】
アクリルプレポリマーP−1は、重合率99.8%、重量平均分子量98000、酸価は0.0であった。表1に、アクリルプレポリマーの組成一覧、特性値等を示した。
【0097】
アクリルプレポリマーP−1製造中は、急激な発熱は見られず、攪拌も容易であった。
【0098】
(アクリル共重合体の製造)
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、容器内の雰囲気が酸素濃度≦8.0vol%になるまで窒素ガスを吹き込み、さらにアクリル共重合体の製造中は酸素濃度を5.0vol%に調節した窒素ガス/酸素混合気の吹き込みを継続した。
【0099】
アクリルプレポリマーP−1の500g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート500gをフラスコに仕込み、120℃に昇温した。5時間重合反応を行った後、t−ブチルパーオキシベンゾエート2gを30分ごとに2回添加し、添加終了後さらに2時間重合反応を行ってアクリル共重合体AC−1を製造した。
【0100】
アクリル共重合体AC−1は重合率98.0%、重量平均分子量320000、酸価0.0mgKOHであった。AC−1の外観は白濁状であった。アクリル共重合体組成等を表2に示した。23℃で1ヶ月放置しても分離、分子量変化はなく安定であった。
【0101】
アクリル共重合体AC−1製造中は急激な発熱は見られなかった。高分子量であるため攪拌に高動力を要したが、問題なく製造できた。
【0102】
実施例2
表2の通り組成を変える以外は、実施例1と同様にして、実施例2のアクリル共重合体AC−2を製造した。AC−2の外観は白濁状であった。23℃で1ヶ月放置しても分離、分子量変化はなく安定であった。
【0103】
AC−2は、AC−1と同様、製造中は急激な発熱は見られなかった。高分子量であるため攪拌に高動力を要したが、問題なく製造できた。
【0104】
アクリル共重合体組成等を表2に示した。
【0105】
実施例3
表2の通り組成を変える以外は、実施例1と同様にして、実施例3のアクリル共重合体AC−3を製造した。AC−3の外観は白濁状であった。23℃で1ヶ月放置しても分離、分子量変化はなく安定であった。
【0106】
AC−3は、AC−1と同様、製造中は急激な発熱は見られなかった。高分子量であるため攪拌に高動力を要したが、問題なく製造できた。アクリル共重合体組成等を表2に示した。
【0107】
実施例4
(アクリルプレポリマーP−2の製造)
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、容器内の雰囲気が、酸素濃度≦8.0vol%になるまで窒素ガスを吹き込み、さらにアクリルプレポリマーの製造中は酸素濃度を5.0vol%に調節した窒素ガス/酸素混合気の吹き込みを継続した。
【0108】
フラスコに、アクリル酸n−ブチル790g、アクリル酸2−メトキシエチル100g、メタクリル酸10g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル100g(アクリル単量体の総量は1000g)のアクリル単量体混合物のうち300g、α−メチルスチレンダイマー50g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき5重量部)を仕込み、92℃に昇温した。
【0109】
アクリル単量体混合物の残り700g、2,2´−アゾビスイソブトロニトリル27.8g(重合開始剤、α−メチルスチレンダイマーを1モルとしたとき0.800モル)の混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
【0110】
滴下終了後、92℃で2時間熟成反応を行い、105℃に昇温してさらに2時間熟成反応を行ってアクリルプレポリマーP−2を製造した。
【0111】
アクリルプレポリマーP−2は重合率99.5%、重量平均分子量63000、酸価は6.5であった。
【0112】
アクリルプレポリマーP−2製造中は急激な発熱は見られず、攪拌も容易であった。表1に、アクリルプレポリマーの組成一覧、特性値等を示した。
【0113】
表2の通り組成を変える以外は、実施例1と同様にして、実施例4のアクリル共重合体AC−4を製造した。AC−4の外観は白濁状であった。23℃で1ヶ月放置しても分離、分子量変化はなく安定であった。
【0114】
AC−4は、AC−1と同様、製造中は急激な発熱は見られなかった。高分子量であるため攪拌に高動力を要したが、問題なく製造できた。アクリル共重合体組成等を表2に示した。
【0115】
(製造されたアクリル共重合体の機能確認)
製造されたアクリル共重合体の相溶化ポリマーとしての機能確認を行った。アクリル共重合体AC−4と、一般にアクリル樹脂とは相溶性の乏しい塩素化ポリプロピレン樹脂「ハードレン14LLB」(東洋化成工業の塩素化ポリプロピレン樹脂、トルエンを溶媒とする加熱残分30%のもの)とを100:333(樹脂組成比で1:1)で混合し、24時間、23℃で静置した。分離、沈降等不具合は起こらず、アクリル共重合体AC−4の混合により相溶化、安定化されていた。また、混合液を用いガラス板上に膜厚10μmの塗膜を作製したところ、無色透明な塗膜が得られた。このことから、アクリル共重合体AC−4によりアクリル樹脂と塩素化ポリプロピレンとが相溶化されていることが判明した。
【0116】
比較例1
比較のため、アクリル共重合体AC−4に変え、アクリルプレポリマーP−2を使用したところ、アクリルプレポリマーP−2と「ハードレン14LLB」を混合する段階でゲル状となり、混合することができなかった。
【0117】
実施例5
(アクリルプレポリマーP−3の製造)
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、容器内の雰囲気が、酸素濃度≦8.0vol%になるまで窒素ガスを吹き込み、さらにアクリルプレポリマーの製造中は酸素濃度を5.0vol%に調節した窒素ガス/酸素混合気の吹き込みを継続した。
【0118】
フラスコに、アクリル酸n−ブチル800g、アクリル酸2−メトキシエチル100g、メタクリル酸70g、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル30g(アクリル単量体の総量は1000g)のアクリル単量体混合物のうち300g、α−メチルスチレンダイマー50g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき5重量部)を仕込み、92℃に昇温した。
【0119】
アクリル単量体混合物の残り700g、2,2´−アゾビスイソブトロニトリル27.8g(重合開始剤、α−メチルスチレンダイマーを1モルとしたとき0.800モル)の混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
【0120】
滴下終了後、92℃で2時間熟成反応を行い、105℃に昇温してさらに2時間熟成反応を行ってアクリルプレポリマーP−3を製造した。
【0121】
アクリルプレポリマーP−3は、重合率98.2%、重量平均分子量48000、酸価は45.6であった。表1に、アクリルプレポリマーの組成一覧、特性値等を示した。
【0122】
アクリルプレポリマーP−3製造中は急激な発熱は見られず、攪拌も容易であった。
【0123】
表5の通り組成を変える以外は、実施例1と同様にして、実施例5のアクリル共重合体AC−5を製造した。AC−5の外観は白濁状であった。23℃で1ヶ月放置しても分離、分子量変化はなく安定であった。
【0124】
AC−5は、AC−1と同様、製造中は急激な発熱は見られなかった。高分子量であるため攪拌に高動力を要したが、問題なく製造できた。アクリル共重合体組成等を表2に示した。
【0125】
比較例2
(アクリルプレポリマーP−4の製造)
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、容器内の雰囲気が、酸素濃度≦8.0vol%になるまで窒素ガスを吹き込み、さらにアクリルプレポリマーの製造中は酸素濃度を5.0vol%に調節した窒素ガス/酸素混合気の吹き込みを継続した。
【0126】
フラスコに、アクリル酸n−ブチル300g、α−メチルスチレンダイマー30g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき3重量部)を仕込み、92℃に昇温した。
【0127】
アクリル酸n−ブチルの残り700g(アクリル酸n−ブチルの総量は1000g)、2,2´−アゾビスイソブトロニトリル31.3g(重合開始剤、α−メチルスチレンダイマーを1モルとしたとき1.5モル)の混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
【0128】
アクリル単量体の滴下中に急激な発熱が起こり、暴走反応となって、アクリルプレポリマーP−4を製造することができなかった。
【0129】
比較例3
(アクリルプレポリマーP−5の製造)
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、容器内の雰囲気が、酸素濃度≦8.0vol%になるまで窒素ガスを吹き込み、さらにアクリルプレポリマーの製造中は酸素濃度を5.0vol%に調節した窒素ガス/酸素混合気の吹き込みを継続した。
【0130】
フラスコに、アクリル酸n−ブチル790g、アクリル酸2−メトキシエチル100g、メタクリル酸10g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル100g(アクリル単量体の総量は1000g)のアクリル単量体混合物のうち300g、α−メチルスチレンダイマー50g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき5重量部)を仕込み、92℃に昇温した。
【0131】
アクリル単量体混合物の残り700g、2,2´−アゾビスイソブトロニトリル41.7g(重合開始剤、α−メチルスチレンダイマーを1モルとしたとき1.200モル)の混合溶液を3時間でフラスコ内に滴下した。
【0132】
アクリル単量体の滴下中に急激な発熱が起こり、暴走反応となって、アクリルプレポリマーP−5を製造することができなかった。
【0133】
表1に、アクリルプレポリマーの組成一覧、特性値等を示した。
【0134】
比較例4
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、容器内の雰囲気が酸素濃度≦8.0vol%になるまで窒素ガスを吹き込み、さらにアクリル共重合体の製造中は、酸素濃度を5.0vol%に調節した窒素ガス/酸素混合気の吹き込みを継続した。
【0135】
「ARUFON UH−2000」(東亞合成社の無溶剤アクリル樹脂、重量平均分子量11000、ガラス転移温度−55℃、水酸基価20mgKOH、酸価0.0mgKOH)、
イソボルニルメタクリレート300gをフラスコに仕込み、90℃に昇温した。
【0136】
イソボルニルメタクリレート300g、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル4gの混合物をフラスコ内に3時間で滴下した。滴下終了後、30分ごとに3回、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.5gを添加し、添加終了後さらに3時間重合反応を行いアクリル共重合体AC−6を製造した。
【0137】
23℃で1週間放置したところ、アクリル共重合体AC−6は二相に分離した。
【0138】
【表1】

【0139】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式のα−メチルスチレンダイマー
【化1】

1.0モルに対し、重合開始剤を0.02〜1.0モル使用し、下記構造式のアクリル単量体
【化2】

(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、水素原子、炭素原子数2〜8個のアルキル基、炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基、または、下記構造式で示される
【化3】

(ここで、R3は、炭素原子数2〜3個のアルキル基、R4は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基、R5は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
アミノアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体が、ラジカル共重合したアクリルプレポリマーの存在下に、下記構造式のアクリル単量体
【化4】

(ここで、R6は、水素原子またはメチル基、R7は、R2と異なる炭素原子数1〜12個のアルキル基、または、下記構造式で示される
【化5】

(ここで、nは、0または1〜3の整数を表す。)
ジシクロペンテニル環含有基を表す。)
含むアクリル単量体をラジカル共重合するアクリル共重合体の製造方法。
【請求項2】
重合開始剤が、有機アゾ系重合開始剤である請求項1に記載のアクリル共重合体の製造方法。
【請求項3】
アクリルプレポリマーが、塊状ラジカル共重合により製造される請求項1または2のいずれかに記載のアクリル共重合体の製造方法。
【請求項4】
不活性ガス置換された気相部の酸素濃度が、0.5vol%≦酸素濃度≦8.0vol%の雰囲気下で、アクリル単量体をラジカル共重合する請求項1〜32のいずれかに記載のアクリル共重合体の製造方法。
【請求項5】
アクリルプレポリマーの重量平均分子量が2000〜20万である請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2009−235307(P2009−235307A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85676(P2008−85676)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)
【Fターム(参考)】