説明

アクリル系粘着剤組成物

本発明はアクリル系粘着剤組成物に関する。特に、アクリル系共重合体、金属イオンと結合を形成しうるキレート剤、及びアルカリ類金属塩を含み、耐湿熱条件で白化現象がないだけでなく、同時に耐久信頼性、透明性、接着力などを変えることなく、静電気発生を十分に抑制し、帯電防止能が向上されたアクリル系粘着剤組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系粘着剤組成物に関する。特に、耐湿熱条件で、白化現象がないだけでなく、同時に耐久信頼性、透明性、接着力などを変えることなく、静電気発生を十分に抑制し、帯電防止能が向上されたアクリル系粘着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、静電気は二つの異なる物体を摩擦させるときに発生する摩擦帯電、互いに密着された物体が離されるときに発生する剥離帯電などがある。発生した静電気によって、ホコリなどの異物吸引、ディバイスの静電破壊、測定機器の誤作動、火災などを引き起こすおそれがある。特に、近来はモバイルタイプのコンピュータの普及、液晶TV、携帯電話の多機能化による市場の拡大など液晶表示の需要は顕著な成長を見せており、各付属装置が集積化され、静電気に脆弱になり、静電気発生の抑制が重要視されてきている。
【0003】
液晶表示装置の需要増加につれて、偏光板などの光学特性を有するフィルムの需要が急増し、これにより、液晶表示生産工程速度の高速化が求められている。また、主要液晶表示製造メーカは今まで20インチ型以下の小型パネル生産に力を注いできたが、最近は、新技術を積極的に活用して製品範囲を20インチ型以上の大型サイズへと急激に拡大している実情である。
【0004】
特に、液晶表示が大型化するにつれて、液晶表示装置製造時、使用される偏光板の大きさも、また拡大され、工程の高速化が進みながら、偏光板の離型フィルム剥離時、静電気が過度に発生し、液晶表示装置内部の液晶配向に影響を与えて画像欠陥を引き起こしている。
【0005】
近来は、偏光板の表面処理を様々な方式で実施している。偏光板の表面処理には防眩層、低屈折層及び/又は高屈折層、防汚層などがあり、それぞれは互いに異なる表面粗度と表面エネルギーを有している。特に、防眩層はトリアセチルセルロース層より表面粗度が粗く、表面エネルギーが低いため、保護フィルム接着時、粘着剤の濡れ性が重要である。また、偏光板製造工程が高速化するにつれて、偏光板保護フィルム剥離時、既存工程では発生しなかった静電気によるTFT IC素子の破壊現象が生じ、液晶表示パネルの不具合が引き起こされた。
【0006】
上記のような静電気発生を防ぐために、偏光板の外面又は保護フィルム基材層の外面に帯電防止層を形成する方法があるが、その効果は十分でなく、静電気の発生を根本的に抑制することはできなかった。従って、静電気発生を根本的に抑制するためには、粘着剤に帯電防止機能が求められるようになった。
【0007】
このように粘着剤に帯電防止機能を付与するための従来技術には、導電性金属粉末や炭素粒子のような伝導性成分を有する物質を加える方法、界面活性剤形態のイオン性又は非イオン性物質を加える方法などがある。しかし、上記導電性金属粉末または炭素粒子を添加する方法は、帯電防止機能を付与するために過量の導電性金属粉末または炭素粒子を使用しなければならないため、透明性が低下するという問題があった。また、界面活性剤形態のイオン性または非イオン性物質を添加する方法は、湿度の影響を受けやすく、粘着剤表面への移行性によって粘着物性が低下するという問題があった。
【0008】
また、静電気発生工程中に除電装置を設けて静電気を除去できるが、除電能力の限界と工程速度が低くなり、生産性を低下させる問題があった。
【0009】
一方、 日本特開平5−140519号公報には、粘着剤内部にエチレンオキサイド変性フタル酸ジオクチル系可塑剤を加え、柔軟性を持たせて静電気発生を抑制する方法に対して開示している。しかし、上記方法は偏光板表面への転写問題が生じ、初期に発生する静電気を抑制することは難しいという問題があった。
【0010】
韓国公開特許公報第2004−0030919号は、5重量%以上の有機塩を添加して感圧性接着剤を製造し、1013Ω/□ 以下の接着剤の表面抵抗を得る方式によって帯電防止効果を与えようとした。
【0011】
しかし、この方法は、高価な有機塩を使用するという不利があり、かつこの方法は表面抵抗しか低減しないので、剥離時に発生する静電気による定電圧変化を予測できないという問題がある。
【0012】
日本特開2004−287199号公報には、水酸基を有するイオン導電性ポリマーを添加し、帯電防止性能を与えようとしたが、一般的な架橋剤(イソシアネート)と反応し、粘着特性とレオロジー特性が変わり、これにより、帯電防止能及び粘着力を制御することが難しいという問題がある。
【0013】
また、 日本特開平6−128539号公報は、ポリエーテルポリオール化合物と1種以上のアルカリ金属塩とを配合し、帯電防止性能を与えようとしたが、この方法は、架橋剤がイソシアネートのとき、ポリエーテルポリオール化合物を使用すれば、架橋度に影響を与えるだけでなく、エーテル結合、即ち、エチレンオキサイドの親水性のため、表面移行して粘着特性を低下させうるという問題がある。
【特許文献1】特開平5−140519号公報
【特許文献2】韓国公開特許公報第2004−0030919号
【特許文献3】特開2004−287199号公報
【特許文献4】特開平6−128539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は耐湿熱条件で白化現象がないだけでなく、同時に耐久信頼性、透明性、接着力などを変えることなく、静電気発生を十分に抑制し、帯電防止能が向上されたアクリル系粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の別の目的は、相溶性に優れながら耐久信頼性、透明性、接着力等の物性を変えることなく、帯電防止性能に優れた上記アクリル系粘着剤組成物が適用された偏光板、保護フィルム、及び液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、
アクリル系粘着剤組成物であって、
a)アクリル系共重合体;
b)金属イオンと結合を形成しうるキレート剤;及び
c)アルカリ類金属塩;
を含むことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は上記アクリル系粘着剤組成物を偏光フィルムの一面または両面に粘着剤層として含むことを特徴とする偏光板を提供する。
【0018】
また、本発明は上記アクリル系粘着剤組成物を基材層の一面または両面の粘着剤層に含むことを特徴とする保護フィルムを提供する。
【0019】
さらに、本発明は上記偏光板及び/又は保護フィルムが接合された偏光板を液晶セルの一面または両面に接合した液晶パネルを含むことを特徴とする液晶表示素子を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明者らは粘着剤と相溶性に優れ、金属イオンに対して一個のリガンドが2個以上の結合を形成しうるキレート剤と、上記キレートと結合してキレート錯体化合物を形成することができるアルカリ類金属塩とを同時にアクリル系粘着剤に使用した結果、静電気発生を十分に抑制できることを確認し、これを基に、本発明を完成することができた。
【0022】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、a)アクリル系共重合体 100重量部、b)金属イオンと結合を形成しうるキレート剤 0.01〜25重量部、及びc)アルカリ類金属塩 0.001〜25重量部を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明に使用される上記a)のアクリル系共重合体は、当業界で通常粘着剤として使用されるものであれば、特に制限されず、その例としては、i)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体 90〜99.9重量%とii)架橋可能な官能基を有するビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体 0.1〜10重量%を共重合した共重合体が挙げられる。
【0024】
上記i)の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体は、アクリル酸(又はメタアクリル酸)の炭素数が1〜12のアルキルエステルであってもよく、具体的には、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、またはその混合物であってもよい。
【0025】
上記のような炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体は、アクリル系共重合体に粘着力と凝集力を付与するために高いガラス転移温度を有する共単量体(co-monomer)と共重合して使用することもできる。
【0026】
上記共単量体としては、通常の共重合可能なビニル基を有する単量体、特に、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ビニルアセテート、スチレン、またはアクリロニトリルなどの単量体が用いられる。上記共単量体は、架橋しない状態でのアクリル粘着樹脂のガラス転移温度が−130〜50℃であれば、全て使用することができる。
【0027】
上記ii)の架橋可能な官能基を有するビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体は、架橋剤と反応し、高温または高湿条件で粘着剤の凝集力破壊が生じないように化学結合による凝集力または接着強度を付与する作用を行う。
【0028】
上記架橋可能な官能基を有するビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、及び一つ以上のカルボン酸または窒素原子を含むエチレン性不飽和単量体よりなる郡から選択された1種以上を使用することが好ましい。特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、または2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を含有する単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、またはフマル酸などのカルボキシル基を含有する単量体;またはN−ビニルカプロラクタム、アクリルアミド、またはN−ビニルピロリドンなどの窒素を含有する単量体などを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0029】
上記架橋可能な官能基を有するビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体は、アクリル系共重合体に0.1〜10重量%で含まれることが好ましく、その含量が0.1重量%未満の場合には、高温または高湿条件で凝集破壊が起こりやすいという問題があり、10重量%を超える場合には、相溶性が減少され、流動特性を低減させるという問題がある。
【0030】
上記のような成分からなるアクリル系共重合体は溶液重合法、光重合法、バルク重合法、サスペンション重合法、またはエマルジョン重合法などの常法で製造できるが、特に溶液重合法で製造することが好ましい。このとき、上記重合温度は50〜140℃であり、単量体が均一に混合された状態で開始剤を混合することが好ましい。
【0031】
本発明に使用される上記b)の金属イオンと結合を形成しうるキレート剤とc)のアルカリ類金属塩は静電気発生を低減する作用をする。
【0032】
本発明に使用される上記b)のキレート剤は、分子構造中に金属イオンと結合を形成しうる官能基を有する化合物であり、上記キレート剤はカチオンとアニオンに解離された金属塩のカチオンと結合し、安定化されたキレート錯体化合物を形成する。従って、粘着剤内部で金属塩のアニオン濃度が増加し、これにより、粘着剤組成物内にイオン伝導性を有する。このようなイオン伝導性は粘着剤組成物に導電性を付与し、粘着剤層を保護する離型フィルムの剥離及び被着体に接着した後、保護フィルム剥離時に発生する静電気を低減させ、剥離帯電圧を低くする。
【0033】
上記キレート剤は通常の有機溶媒、即ち、エチルアセテート、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、またはアルコール類等に溶解度が高く、アクリル系感圧性粘着剤と相溶性に優れていることが好ましい。具体的には、上記キレート剤はオキサレート基、ジアミン基、ポリカルボキシル基、またはβ−ケトン基などを有する化合物を単独または2種以上混合して使用することができ、特にオキサレート基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0034】
上記オキサレート基を有する好ましい化合物は下記一般式(1)で表わされる化合物であって、
【化1】

式中、
及びRは、それぞれ、独立して、水素、ハロゲン、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖または分枝状の炭素数2〜20のアルケニル基、 炭素数6〜30のアリール基、 炭素数6〜30のアリールアルキル基、 炭素数6〜30のアリールオキシ基、または炭素数5〜20のシクロアルキル基である。
【0035】
上記一般式(1)で表わされる化合物の具体的な例は、ジエチルオキサレート、ジメチルオキサレート、ジブチルオキサレート、ジ−tert−ブチルオキサレート、またはビス(4−メチルベンジル)オキサレートである。
【0036】
上記アミン基を有する好ましい化合物は下記一般式(2)で表わされる化合物であって、
【化2】

式中、
は直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルキレン基、または直鎖または分枝状の炭素数2〜20のアルケニレン基である。
【0037】
上記一般式(2)で表わされる化合物の具体的な例は、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、またはジアミノブタンであってもよい。
【0038】
上記ポリカルボキシル基を有する化合物は、ポリカルボン酸またはカルボキシレート基を有する化合物であり、下記一般式(3a)、(3b)または(3c)で表わされる官能基を含む化合物である。
【化3】

【0039】
上記一般式(3a)または(3b)で表わされる官能基を含む化合物の具体的な例は、エチレンジアミン−N,N,N',N'−テトラ酢酸(EDTA)、N,N,N',N'',N''−ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N',N'',N'''−テトラ酢酸(DOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N',N''−トリ酢酸(DO3A)、トランス(1,2)−シクロヘキサノ−ジエチレントリアミンペンタ酢酸、またはN,N−ビスカルボキシメチルグリシンであってもよい。
【0040】
上記一般式(3c)で表わされる官能基を含む化合物の具体的な例は、下記一般式(3c−1)〜(3c−5)であってもよい。
【化4】

【0041】
上記好ましいβ−ケトン基を有する化合物は下記一般式(4)で表わされる化合物であって、
【化5】

式中、
及びRは、それぞれ、独立して、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖または分枝状の炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、または炭素数5〜20のシクロアルキル基であり、
は水素、または直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖または分枝状の炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、または炭素数5〜20のシクロアルキル基である。
【0042】
上記一般式(4)で表わされる化合物の具体的な例は、2,4−ペンタジオン、1−ベンゾイルアセトン、またはエチルアセトアセテートであってもよい。
【0043】
上記のような金属イオンと結合を形成しうるキレート剤は、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.01〜25重量部で含まれることが好ましい。その含量が0.01重量部未満の場合には、アルカリ類金属塩と十分に結合することができず、帯電防止性能が低下するという問題がある。また、25重量部を超える場合には、凝集力低下によって耐久信頼性が脆弱になるという問題がある。
【0044】
本発明に使用される上記c)のアルカリ類金属塩はキレート剤と結合しうる金属カチオンを含む。
【0045】
上記アルカリ類金属塩は、溶媒またはキレート剤との混合時、金属イオンが塩から解離されやすい化合物が好ましい。このとき、解離される金属イオンはイオン半径が小さく、解離エネルギーが低いものがさらに好ましい。
【0046】
具体的には、上記アルカリ類金属塩のカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、またはセシウムであってもよい。また、金属塩のアニオンとしては、 Cl、Br、I、BF、PF、AsF、ClO、NO、CO、N(CFSO、N(CFCO)、N(CSO)、N(CCO)、N(CSO、C(CFSO、及びCFSOなどが挙げられる。
【0047】
上記アルカリ類金属塩は、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.001〜25重量部で含まれることが好ましい。その含量が0.001重量部未満の場合には、キレート剤と十分に結合することができず、帯電防止性能が低下するという問題があり、25重量部を超える場合には結晶化が生じ、透明性が低下し、耐久信頼性が脆弱になる問題がある。
【0048】
上記のようにアクリル系共重合体、金属イオンと結合を形成しうるキレート剤、及びアルカリ類金属塩を含む本発明のアクリル系粘着剤組成物は、架橋剤をさらに含んでいてもよい。
【0049】
上記架橋剤は、使用量によって、粘着剤の粘着特性を調節することができ、カルボキシル基、水酸基などと反応して粘着剤の凝集力を向上させる作用をする。
【0050】
上記架橋剤は、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、または金属キレート系化合物などから選択することができ、特にイソシアネート系化合物が好ましい。
【0051】
具体的には、上記イソシアネート系架橋剤は、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、またはこれらのトリメチルオールプロパンなどのポリオールとの反応物であってもよい。
【0052】
上記エポキシ系化合物は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N',N'−テトラグリシジルエチレンジアミン、またはグリセリンジグリシジルエーテルであってもよい。
【0053】
上記アジリジン系架橋剤は、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N'−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル(bisisoprotaloyl)−1−(2−メチルアジリジン)、またはトリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイドなどが用いられる。
【0054】
また、上記金属キレート系化合物は、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム、バナジウムなどの多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルに配位した化合物などを使用することができる。
【0055】
上記架橋剤の含量は、アクリル系共重合体 100重量部に対して、0.01〜10重量部で含まれることが好ましく、その含量が0.01重量部未満の場合には、不十分な凝集力によって耐久信頼性が脆弱になる問題があり、また、10重量部を超える場合には粘・接着性が低下して、被着体への濡れ性が著しく低下する問題がある。
【0056】
本発明の粘着剤はガラス基板上で、粘着剤安定性を改善することによって、耐熱/耐湿を強化しうるシラン系カップリング剤をさらに、含んでいても良い。
【0057】
上記シラン系カップリング剤は高温高湿下で長時間放置された場合、接着信頼性を向上させる機能を有している。
【0058】
上記シラン系カップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、またはγ-アセトアセテートプロピルトリメトキシシランなどを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0059】
上記シラン系カップリング剤は、耐久信頼性及び接着信頼性向上のために、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.005〜5重量部で含まれることが好ましい。
【0060】
また、本発明のアクリル系粘着剤組成物は必要に応じて、粘着付与樹脂、アクリル系低分子量物質、エポキシレジン、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、可塑剤、発泡剤、及び有機塩などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0061】
上記のような成分を有する本発明のアクリル系粘着剤組成物の製造方法は特に限定されない。このとき、多官能性架橋剤は、粘着層の形成のために実施する配合過程で、均一なコーティングのために架橋剤の官能基架橋反応が発生してはならない。このようなコーティング作業後、乾燥及び熟成過程を経て、架橋構造が形成され、弾性があり、凝集力の強い粘着層を得ることができる。このとき、粘着剤の強い凝集力によって、粘着製品の耐久信頼性などの粘着物性及び切断性が向上する。
【0062】
上記のような本発明のアクリル系粘着剤組成物は、架橋密度が10〜99%のものが好ましく、架橋密度が10%未満の場合には接着剤の凝集力が低くなるという問題があり、99%を超える場合には安定した耐久信頼性が低下するという問題がある。
【0063】
さらに、本発明は、上記のようなアクリル系粘着剤組成物を偏光フィルムの粘着剤層として含む偏光板をさらに提供する。本発明の上記偏光板は、偏光フィルムの一面または両面に上記粘着剤組成物から形成される粘着剤層からなる。
【0064】
上記偏光板を構成する偏光フィルムまたは偏光素子は特に制限されない。例えば、上記偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨードまたは二色性染料などの偏光成分を加え、延伸して製造されたフィルムなどを使用することができる。また、これらの偏光フィルムの膜厚は特に制限されず、通常の膜厚を形成することができる。このとき、上記ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール及びエチレン、酢酸ビニル共重合体の鹸化物などが用いられる。
【0065】
上記偏光フィルムの両面には、トリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタルレートなどのポリエステル系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系やノルボルネン構造を有するポリオレフィン系、エチレンプロピレン共重合体のようなポリオレフィン系などの保護フィルムが積層された多層フィルムなどが形成されていてもよい。このとき、これらの保護フィルムの膜厚は特に制限されず、通常の膜厚を形成することができる。
【0066】
上記のような本発明の偏光板には、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム、または輝度向上フィルムなどの追加機能を提供する層が1種以上積層され得る。
【0067】
さらに、本発明は、上記アクリル系粘着剤組成物を基材層の粘着層として含む保護フィルムを提供する。
【0068】
上記保護フィルムは、光学フィルム、特に偏光板の最外層を保護する層であり、透明基材と粘着剤層で構成される。上記保護フィルム製造時に、粘着剤組成物から形成される粘着剤層が基材の一方または両方にコーティングされていてもよく、使用される透明基材フィルムは特に制限されない。
【0069】
上記透明基材フィルムは単層または2層以上の積層を有していてもよく、その膜厚は用途に応じて適宜選択して使用することができるが、特に5〜500μmのものが好ましく、より好ましくは、15〜100μm である。
【0070】
また、上記透明基材フィルムには、粘着剤との基材密着性を向上させるために、一面または両面に表面処理を施すか、プライマー処理されていてもよく、帯電防止層または防汚層をさらに含むことができる。
【0071】
上記のような偏光フィルムに粘着剤層を形成する方法は特に制限されない。例えば、基材フィルムまたは偏光フィルム表面に直接バーコーターなどを使用して粘着剤を塗布、乾燥する方法、粘着剤を剥離性基材表面に塗布し、乾燥した後、上記剥離性基材表面に形成された粘着剤層を偏光フィルム表面に転写して熟成させる方法などを適用することができる。このとき、好ましい粘着剤の積層膜厚は2〜100μmであり、より好ましくは、5〜50μmである。その膜厚が上記範囲を超える場合には、均一な粘着層を得ることが難しく、粘着フィルムの物性が不均一になるという問題がある。
【0072】
本発明の粘着剤が適用された偏光板及び/又は保護フィルムは、通常の液晶表示素子に全て適用可能であり、その液晶パネルの種類は特に限定されない。好ましくは、上記粘着剤が適用された偏光板及び/又は保護フィルムを液晶セルの一面または両面に接合した液晶パネルを含む液晶表示素子を構成することができる。
【0073】
上記のような本発明のアクリル系粘着剤組成物は、産業用シート、特に保護フィルム、反射シート、構造用粘着シート、写真用粘着シート、車線表示用粘着シート、光学用粘着剤品、または電子部品用粘着剤などに広く使用できる。また、多層構造のラミネート製品、即ち、一般商業用粘着シート製品、医療用パッチ、または加熱活性粘着剤などと同じ応用分野にも適用することができる。
【0074】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0075】
[実施例1]
(アクリル系共重合体の製造)
窒素ガス還流下に温度調節が容易な冷却装置を設けた1Lの反応器に、n−ブチルアクリレート(BA)98.0重量部、アクリル酸(A)0.5重量部、ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)1.5重量部からなる単量体混合物を投入した後、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を加えた。その後、酸素を除去するために窒素ガスを1時間、パージした後、55℃に保持した。上記混合物に反応開始剤としてエチルアセテートに50%濃度で希釈したアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を加え、混合物を8時間、反応してアクリル系共重合体を製造した。
【0076】
(配合及びコーティング過程)
上記製造されたアクリル系共重合体 100重量部に、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(TMP−TDI)0.5重量部、キレート剤としてジブチルオキサレート(DBOX)2.0重量部、及びアルカリ類金属塩としてNaClO 0.5重量部を添加した。混合物を適正の濃度に希釈し、均一に混合した後、離型フィルムに塗布し、乾燥して25μmの均一な粘着層を製造した。
【0077】
(偏光板用粘着剤の積層過程)
上記離型フィルムに塗布した粘着層を、185μmの膜厚のヨード系偏光板に粘着加工した後、十分な熟成過程のために、23℃の温度かつ55%の湿度条件で4日間、放置した。上記のように製造された偏光板は適切なサイズに切断して評価に用いた。
【0078】
[実施例2〜8及び比較例1〜5]
表1に示した成分と組成比を用いたことを除いては、上記実施例1と同様にしてアクリル系共重合体を製造した。このとき、表1の単位は重量部である。
【0079】
【表1】

【0080】
上記実施例1〜8及び比較例1〜5で製造した偏光板を下記方法により、耐久信頼性、ヘイズ、表面抵抗、及び剥離強度を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0081】
A)耐久信頼性
上記実施例1〜8及び比較例1〜5で製造した粘着剤が塗布された偏光板(90mm×170mm)をガラス基板(110mm×190×mm×0.7mm)に、両面に光学吸収軸がクロスする状態で接着した。このとき、加えられた圧力は略5kg/cmであり、気泡や異物の生成を防ぐためにクリーンルームで実施した。その後、上記試料を高温(80℃、1000時間)と高温高湿(60℃、90%の相対湿度、1000時間)条件下で、気泡や剥離が発生するか否かを観察し、下記評価基準によって耐久信頼性を測定した。
【0082】
評価基準
○;気泡や剥離現象無し
△;気泡や剥離現象が多少あり
×;気泡や剥離現象あり
【0083】
B)ヘイズ
上記実施例1〜8及び比較例1〜5で製造した偏光板をそれぞれ40mm×70mmのサイズに切断し、JIS K7150及びASTM D1003−95に従って、積分公式光線透過率測定装置を使用して拡散透過率Td及び全光線透過率Tiを測定した。このとき、ヘイズはTiに対するTdの百分率により定義した。その後、測定サンプルを60℃の温度と相対湿度90%下で1000時間、放置した後、同じ手順でヘイズを測定し、放置前後のヘイズを比較評価して白化現象を評価した。
【0084】
C)表面抵抗
上記実施例1〜8及び比較例1〜5で製造した偏光板から離型フィルムを除去した後、粘着面の表面抵抗を測定した。このとき、表面抵抗は、23℃の温度と50%の相対湿度下で500Vの電圧を1分間、印加した後、測定された値を観察した。
【0085】
D)剥離強度
剥離強度は測定角度と剥離速度によって変わるが、本発明では180゜の角度及び300mm/分の剥離速度で引張り試験機を使用して測定した。
【0086】
上記実施例1〜8及び比較例1〜5で製造した偏光板を25mm×150mmに切断し、23℃の温度と65%の相対湿度条件で、2kgのゴムローラで1回往復してガラス基板に接着した後、4時間後に測定した。
【0087】
【表2】

【0088】
上記表2に示されるように、本発明によってキレート剤とアルカリ類金属塩とを含む実施例1〜8のアクリル系粘着剤を用いた偏光板の場合、比較例1〜5と比較して、粘着剤表面抵抗が低く、離型フィルム剥離時に発生する静電気を素早く除去でき、耐久信頼性、透明性、耐湿性などの優れた粘着物性を有していた。
【0089】
[実施例9]
(アクリル系共重合体の製造)
窒素ガス還流下に温度調節が容易な冷却装置を設けた1Lの反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)50.0重量部、n−ブチルアクリレート 46.0重量部、ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)4.0重量部からなる単量体混合物を投入した後、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。その後、酸素を除去するために窒素ガスを1時間、パージした後、55℃に保持した。上記混合物に反応開始剤としてエチルアセテートに50%濃度で希釈したアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、混合物を8時間、反応させてアクリル系共重合体を製造した。
【0090】
(配合及びコーティング過程)
上記製造されたアクリル系共重合体 100重量部に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのプレポリマー(HDI)3.0重量部、キレート剤としてジブチルオキサレート(DBOX)2.0重量部、及びアルカリ類金属塩としてNaClO 0.5重量部を添加し、適正の濃度に希釈して均一に混合した後、膜厚38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一面にコーティングして、乾燥した後、20μmの均一な粘着層を製造した。
【0091】
(保護フィルム用粘着剤の積層過程)
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの一面に塗布した粘着層に、離型フィルムを積層し、十分な熟成過程のために23℃の温度かつ55%の湿度条件で、4日間、放置した。
【0092】
上記のようにして製造された保護フィルムは適当なサイズに切断し、偏光板のトリアセチルセルロースの面(TACフィルム、日本富士フィルム社)と防眩層の面(AG TAC、日本DNP社)にそれぞれ接着し、評価に用いた。
【0093】
[実施例10〜16及び比較例6〜10]
表3に示した成分と組成比を用いたことを除いては、上記実施例9と同様にしてアクリル系共重合体を製造した。このとき、表3の単位は重量部である。
【0094】
【表3】

【0095】
上記実施例9〜16及び比較例6〜10で製造した保護フィルムを下記の方法により剥離帯電圧及び剥離強度を測定し、その結果を下記表4に示した。このとき、ヘイズは上記記載と同様の方法で測定した。
【0096】
E)剥離帯電圧
上記実施例9〜16及び比較例6〜10で製造した保護フィルムを偏光板のトリアセチルセルロース(TACフィルム、日本富士フィルム社製)面と防眩層(AG TAC、日本DNP社製)面に2kgのローラで接着した後、23℃の温度と50%の相対湿度条件で、24時間、放置した。このとき、試料の大きさは15インチであり、40mm/分の速度で剥離する間、偏光板の表面から1cmの高さで定電圧測定機(STATIRON−M2)を使用して偏光板表面で発生する定電圧を測定し、正確度のために10回ずつ測定して平均値を示した。
【0097】
F)180゜剥離強度
上記実施例9〜16及び比較例6〜10で製造した保護フィルム偏光板のトリアセチルセルロース(TACフィルム、日本富士フィルム社製)面と防眩層(AG TAC、日本DNP社製)面に2kgのローラで接着した後、23℃の温度と65%の相対湿度条件で、24時間、放置した後、180゜角度及び0.3mm/分の剥離速度で引張り試験機を使用して測定した。
【0098】
【表4】

【0099】
上記表4に示されるように、本発明によってキレート剤とアルカリ類金属塩とを含有する実施例9〜16のアクリル系粘着剤を用いた保護フィルムの場合、比較例6〜10と比較して保護フィルム剥離時に偏光板表面で発生する剥離帯電圧が低く、液晶表示装置に不具合を生じず、同時に透明性など粘着物性に優れていることを確認することができた。
【0100】
以上、本発明に記載された具体例についてのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想範囲内で、多様な変形及び修飾が可能なことは、当業者にとって自明なことであり、このような変形及び修飾が、添付された特許請求範囲に属していることは明らかである。
【0101】
[産業上の利用可能性]
本発明に係るアクリル系粘着剤組成物、この組成物が適用された偏光板、保護フィルム、及び液晶表示素子は耐湿熱条件で白化現象がないだけでなく、同時に耐久信頼性、透明性、接着力などを変えることなく、静電気発生を十分に抑制して帯電防止能に優れるという効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系粘着剤組成物であって、
a)アクリル系共重合体;
b)金属イオンと結合を形成しうるキレート剤;及び
c)アルカリ類金属塩;
を含むことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
【請求項2】
a)アクリル系共重合体100重量部;
b)金属イオンと結合を形成しうるキレート剤 0.01〜25重量部;及び
c)アルカリ類金属塩 0.001〜25重量部;
を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項3】
上記a)のアクリル系共重合体が、i)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体 90〜99.9重量%と、ii)架橋可能な官能基を有するビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体 0.1〜10重量%を共重合して製造されることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項4】
上記i)の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、及び2−エチルブチル(メタ)アクリレートよりなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項3に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項5】
上記i)の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ビニルアセテート、スチレン、及びアクリロニトリルよりなる群から選択される1種以上の共単量体(co-monomer)と混合して使用されることを特徴とする請求項3に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項6】
上記ii)の架橋可能な官能基を有するビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラクタムよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項3に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項7】
上記b)の金属イオンと結合を形成しうるキレート剤が、オキサレート基を有する化合物、ジアミン基を有する化合物、ポリカルボキシル基を含有する化合物、及びβ−ケトン基を有する化合物よりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項8】
上記オキサレート基を有する化合物が下記一般式(1)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項7に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【化1】

式中、
及びRは、それぞれ、独立して、水素、ハロゲン、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖または分枝状の炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、または炭素数5〜20のシクロアルキル基である。
【請求項9】
上記オキサレート基を有する化合物が、ジエチルオキサレート、ジメチルオキサレート、ジブチルオキサレート、ジ−tert−ブチルオキサレート、及びビス(4−メチルベンジル)オキサレートよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項10】
上記ジアミン基を有する化合物が下記一般式(2)で表わされる化合物であることを特徴と請求項7に記載のするアクリル系粘着剤組成物。
【化2】

式中、
は直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルキレン基、または直鎖または分枝状の炭素数2〜20のアルケニレン基である。
【請求項11】
上記ジアミン基を有する化合物が、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、及びジアミノブタンよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項12】
上記ポリカルボキシル基を有する化合物が下記一般式(3a)、(3b)または(3c)で表わされる官能基を含む化合物であることを特徴とする請求項7に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【化3】

【請求項13】
上記ポリカルボキシル基を有する化合物が、ジエチレントリアミン5酢酸、エチレンジアミン四酢酸、及びN,N−ビスカルボキシメチルグリシンよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項14】
上記β−ケトン基を有する化合物が、下記一般式(4)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項7に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【化4】

式中、
及びRは、それぞれ、独立して、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖または分枝状の炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、または炭素数5〜20のシクロアルキル基であり、
は水素、または直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖または分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖または分枝状の炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、または炭素数5〜20のシクロアルキル基である。
【請求項15】
上記β−ケトン基を有する化合物が、2,4−ペンタジオン、1−ベンゾイルアセトン、及びエチルアセトアセテートよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項16】
上記c)のアルカリ類金属塩が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、及びセシウムよりなる群より選択される金属カチオンと、Cl、Br、I、BF、PF、AsF、ClO、NO、CO、N(CFSO、N(CFCO)、N(CSO)、N(CCO)、N(CSO、C(CFSO、及びCFSOよりなる群から選択されるアニオンからなることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項17】
上記アクリル系粘着剤組成物が多官能性架橋剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項18】
上記多官能性架橋剤が、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、及び金属キレート系化合物よりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項17に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項19】
前記多官能性架橋剤が、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.01〜10重量部で含まれることを特徴とする請求項17に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤組成物を、偏光フィルムの一面または両面に粘着剤層として含むことを特徴とする偏光板。
【請求項21】
前記偏光板が、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム、及び輝度向上フィルムよりなる群から1種以上選択される層をさらに、含むことを特徴とする請求項20に記載の偏光板。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤組成物を、基材層の一面または両面の粘着剤層に含むことを特徴とする保護フィルム。
【請求項23】
請求項20に記載の偏光板または請求項22に記載の保護フィルムが接合された偏光板を液晶セルの一面または両面に接合した液晶パネルを含むことを特徴とする液晶表示素子。

【公表番号】特表2008−517137(P2008−517137A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537816(P2007−537816)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002163
【国際公開番号】WO2006/132488
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】