説明

アザカリックス[3]ピリジニウム塩、その製造方法、及びそれを用いてなるポリアルキレングリコールの製造方法

【課題】有機塩基触媒として各種反応の反応剤、特にポリウレタンエラストマー、接着剤、塗料、発泡体等として用いられるポリウレタンの原料として有用なポリアルキレングリコールを効率よく製造することが可能となるポリウレタン製造用触媒として期待される新規なアザカリックス[3]ピリジニウム塩を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種反応の反応剤として有用性が期待される新規なアザカリックス[3]ピリジニウム塩、その製造方法、及びそれを用いるポリアルキレングリコールの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、活性水素化合物と、ベンゼン環及びピリジン環のそれぞれの環上に特定の置換基を有するアザカリックス[3]ピリジンとから得られる新規なアザカリックス[3]ピリジニウム塩、該アザカリックス[3]ピリジニウム塩からなる各種反応剤、特にポリアルキレングリコール製造用触媒として利用し、アルキレンオキシドの開環重合反応を行い簡便かつ高活性にポリアルキレングリコールを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環状シクロファンであるN’,N’’,N’’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)ピリジンは、強い塩基性(pKa=23.1)を有し、強いプロトン捕捉能を有することからヘキサフルオロリン酸との反応によりピリジニウム塩が生成することが報告されている(例えば非特許文献1参照。)。また、N’,N’’,N’’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)ピリジンのピリジン環上に電子供与性の置換基を導入可能であれば、塩基性が更に高くなるとの化学計算を用いた試算結果が報告されている(例えば非特許文献2参照。)。これら化合物は、強い塩基性を有することから新規な有機塩基触媒としての応用が期待されるものである。
【0003】
そして、有機塩基触媒を用いた反応としては、例えば2級アミンのアルキル化、フェニルアセトニトリルのアルキル化、アルデヒドとα−ハロエステルとの縮合反応によるα、β−エポキシエステルの生成反応、アルキレンオキシドの開環(重合)反応等が知られており、特にアルキレンオキシドの開環重合反応においては、ポリウレタンエラストマー、接着剤、塗料、ポリウレタンフォーム等として用いられるポリウレタンの原料であるポリアルキレングリコールの製造が行われている。
【0004】
このアルキレンオキシドの開環重合反応に用いられる代表的な重合触媒としては、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ホスファゼン化合物などのアニオン重合触媒;リン酸、ルイス酸、およびその有機配位子化合物、トリフルオロメチルスルホン酸塩、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート塩などのカチオン重合触媒;複合金属シアン化物などの配位重合触媒が知られている。また、バーケード触媒として知られるプロアザホスファトラン塩基も強い塩基性化合物であり、ポリアルキレングリコールの製造触媒とすることが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Eur. J. Org. Chem.,2006年、pp.3314〜3316
【非特許文献2】ORGANIC LETTERS,2007年,9巻,6号,pp.1101〜1104
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−232377号公報(特許請求の範囲参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、非特許文献1に提案されたN’,N’’,N’’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)ピリジンは、強い塩基性を有するものではあったが、その塩基性は不十分であることから活性水素化合物から活性水素を引き抜くことが出来ず、N’,N’’,N’’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)ピリジニウム塩を生成することが出来ないために、ポリアルキレングリコール製造用触媒として用いることが出来なかった。
【0008】
また、非特許文献2に提案された化合物については、実際に合成された例もその塩基性についても全く知られていないのが現状である。
【0009】
そして、アルキレンオキシドの開環重合反応の際に用いられるカチオン重合触媒には、分子量1000以上の分子量分布の狭いポリアルキレングリコールを製造することが困難である上に、副反応により環状化合物が生成するという課題があった。また、配位重合触媒には、ポリアルキレングリコールの末端に対して、均一にエチレンオキシドを付加重合させることが困難である上に、結晶性ポリエチレンオキシドが副生成しやすいという課題があった。さらにアニオン重合触媒には、水やアルコールが副生するために、これら副生物の除去を行った後に開環重合反応を行う必要があった。
【0010】
特許文献1に提案のプロアザホスファトラン塩基においては、アルキレンオキシドの開環重合反応が可能で効率的であるものの、ポリアルキレングリコール製造用触媒としての熱安定性が低く、触媒活性が低いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、ベンゼン環及びピリジン環のそれぞれの環上に特定の置換基を有する新規なアザカリックス[3]ピリジニウム塩が各種反応に有用な反応剤、特にポリアルキレングリコール製造用触媒となり、アルキレンオキシドの開環重合反応に対しても高い活性を有し、ポリアルキレングリコールを効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されることを特徴とするアザカリックス[3]ピリジニウム塩及びその製造方法、それを用いてなるポリアルキレングリコールの製造方法に関するものである。
【0013】
【化1】

【0014】
(ただし、Rは水素原子,炭素数1〜10のアルキル基または電子供与性基を表し、RはRと同一または異なっても良い電子供与性基を表し、nは1〜8の実数を示し、Yn−はヒドロキシアニオン;炭素数1〜20のアルコール類、2〜8個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価アルコール類、糖類又はその誘導体、末端に1〜8個の水酸基を有する数平均分子量200〜50000のポリアルキレンオキシド類、から導かれるアルコキシアニオン又は1〜6個のカルボキシル基を有する炭素数1〜20のカルボン酸類から導かれるカルボキシアニオンを示す。)
【発明の効果】
【0015】
本発明の新規なアザカリックス[3]ピリジニウム塩は、有機塩基触媒として各種反応の反応剤、特にポリウレタンエラストマー、接着剤、塗料、発泡体等として用いられるポリウレタンの原料として有用なポリアルキレングリコールを効率よく製造することが可能となるポリアルキレングリコール製造用触媒としてその価値は極めて高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に関し詳細に説明する。
【0017】
本発明の新規なアザカリックス[3]ピリジニウム塩は、上記一般式(1)で示される構造を有するアザカリックス[3]ピリジニウム塩である。
【0018】
そして、Rは、ベンゼン環上の置換基を示すものであり、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基または電子供与性基を表すものである。そして、該炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができ、その中でも、原料の入手が容易であるとともに、反応剤として活性が高く各種反応への応用が期待されることから水素またはメチル基であることが好ましい。ここで、Rが炭素数10を越えるアルキル基である場合、アザカリックス[3]ピリジニウム塩を得ること自体が困難となる。
【0019】
また、電子供与性基としては、例えばそれぞれ独立して炭素数1〜6の脂肪族または芳香族のアルコキシ基、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、炭素数4〜7の無置換またはアルキル置換された環状アミノ基、1,1,3,3−テトラメチルグアニジノ基、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラニル基を挙げることができ、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、フェノキシ基など例示することができ、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(イソブチル)アミノ基、ジ(2−ブチル)アミノ基、ジ(n−ペンチル)アミノ基、ジ(n−ヘキシル)アミノ基、ジ(n−ヘプチル)アミノ基、ジ(n−オクチル)アミノ基、ジ(n−ノニル)アミノ基、ジ(n−デシル)アミノ基などを挙げることができ、炭素数4〜7の無置換またはアルキル置換された環状アミノ基としては、例えばピロリジニル基、2,5−ジメチルピロリジニル基、ピペリジニル基、2,6−ジメチルピペリジニル基などを挙げることができる。
【0020】
は、ピリジン環上の置換基を示すものであり、それぞれ独立してRと同一または異なっても良い電子供与性の置換基を表し、その具体例としては上記Rと同様のものを挙げることができる。そして、その中でも、原料の入手が容易であるとともに、反応剤としての活性が高く各種反応への応用が期待されることからジメチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基であることが好ましい。
【0021】
nは、1〜8の実数を示す。ここで、nが1未満である場合又はnが8を越える、アザカリックス[3]ピリジニウム塩とすることは現実的には困難である。
【0022】
n−は、ヒドロキシアニオン、炭素数1〜20のアルコール類,2〜8個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価アルコール類,糖類,糖類の誘導体若しくは末端に1〜8個の水酸基を有する数平均分子量200〜50000のポリアルキレンオキシド類から導かれるアルコキシアニオン又は1〜8個のカルボキシル基を有する炭素数1〜20のカルボン酸類から導かれるカルボキシアニオンを示す。ここで、Yn−が、これら以外である場合アザカリックス[3]ピリジニウム塩は、反応剤として期待できないものとなる。また、上述のようにnは1〜8の実数であることから、Yn−は、官能基の総てがアルコキシアニオン、カルボキシアニオンとなっていることを必須とするものではなく、一部の官能基がアルコキシアニオン、カルボキシアニオンとなっていればよく、例えばn=1である場合には、Yn−としてはヒドロキシアニオン、一価のアルコキシアニオン、一価のカルボキシアニオンはもとより、1つの官能基がアルコキシアニオン化した二価のアルコール、1つの官能基がアルコキシアニオン化した水酸基3個を有するポリプロピレングリコール等であってもよい。
【0023】
そして、該炭素数1〜20のアルコール類から導かれるアルコキシアニオンとしては、例えばメトキシアニオン、エトキシアニオン、n−プロポキシアニオン、イソプロポキシアニオン、n−ブトキシアニオン、sec−ブトキシアニオン、tert−ブトキシアニオン、イソペンチルオキシアニオン、tert−ペンチルオキシアニオン、n−オクチルオキシアニオン、ラウリルオキシアニオン、セチルオキシアニオン、シクロペンチルオキシアニオン、シクロヘキシルオキシアニオン、アリルオキシアニオン、クロチルオキシアニオン、メチルビニルカルビルオキシアニオン、ベンジルオキシアニオン、1−フェニルエチルオキシアニオン、トリフェニルカルビルオキシアニオン、シンナミルオキシアニオン等を挙げることができ、2〜8個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価アルコールから導かれるアルコキシアニオンとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等から誘導される多価アルコールのアルコキシアニオンを挙げることができ、糖類又はその誘導体から導かれるアルコキシアニオンとしては、例えばグルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース又はスクロース等から誘導されるアルコキシアニオンを挙げることができ、末端に1〜8個の水酸基を有する数平均分子量200〜50000のポリアルキレンオキシド類から導かれるアルコキシアニオンとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール又はそれらのコポリマー等から誘導されるアルコキシアニオンを挙げることができる。
【0024】
また、1〜8個のカルボキシル基を有する炭素数1〜20のカルボン酸類から導かれるカルボキシアニオンとしては、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、フェニル酢酸、ジヒドロ桂皮酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、パラメチル安息香酸、2−カルボキシナフタレン、蓚酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸、ブタンテトラカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、N,N−ジエチルカルバミン酸、N−カルボキシピロリドン、N−カルボキシアニリン、N,N’−ジカルボキシ−2,4−トルエンジアミン等から誘導されるカルボキシアニオンを挙げることができる。
【0025】
そして、この中でも特にアルキレンオキシドの開環反応性に優れることから、ポリアルキレングリコール製造用触媒として優れるアザカリックス[3]ピリジニウム塩となることから、Yn−としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの多価アルコール類から誘導されるアルコキシアニオン;グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、スクロースの糖類又はその誘導体から誘導されるアルコキシアニオン;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はそれらのコポリマー等であって2〜6個の末端を有しその末端に2〜6個の水酸基を有する数平均分子量200〜10000のポリアルキレンオキシドから誘導されるアルコキシアニオンであることが好ましい。
【0026】
本発明の新規なアザカリックス[3]ピリジニウム塩は、下記一般式(2)で示されるアザカリックス[3]ピリジンと活性水素化合物とを反応することにより製造することが可能である。
【0027】
【化2】

【0028】
(ただし、R及びRは、上記一般式(1)と同様である。)
そして、該アザカリックス[3]ピリジンとしては、例えばN,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)(4−ジメチルアミノピリジン)、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)(4−ジエチルアミノピリジン)、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−プロピル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)(4−ジイソプロピルアミノピリジン)、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ブチル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)(4−ジイソブチルアミノピリジン)、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ペンチル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ヘキシル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ヘプチル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−オクチル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ノニル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−デシル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)、N,N’,N”−トリス(フェニル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピペリジニルピリジン)、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ジメチルアミノピリジン)、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ジエチルアミノピリジン)、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−プロピル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ジイソプロピルアミノピリジン)、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ブチル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ペンチル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ヘキシル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ヘプチル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−オクチル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−ノニル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)[4−ジ(n−デシル)アミノピリジン]、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピペリジニルピリジン)等を挙げることができ、特にアルキレンオキシドの開環反応性に優れることから、ポリアルキレングリコール製造用触媒として優れるアザカリックス[3]ピリジニウム塩が得られることから、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ジメチルアミノピリジン)、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)、N,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピペリジニルピリジン)が好ましく、更にN,N’,N”−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)が好ましい。
【0029】
また、活性水素化合物としては、分子内に活性水素を有する化合物であれば如何なるものであってもよく、例えば水;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、フェニル酢酸、ジヒドロ桂皮酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、パラメチル安息香酸、2−カルボキシナフタレン等の炭素数1〜20個のカルボン酸類;蓚酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸、ブタンテトラカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜20の2〜8個のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類;N,N−ジエチルカルバミン酸、N−カルボキシピロリドン、N−カルボキシアニリン、N,N’−ジカルボキシ−2,4−トルエンジアミン等のカルバミン酸類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、n−オクチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、ベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、トリフェニルカルビノール、シンナミルアルコール等の炭素数1〜20のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の炭素数2〜20の2〜8個の水酸基を有する多価アルコール類;グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース又はスクロース等の糖類又はその誘導体;フェノール、2−ナフトール、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA等の炭素数6〜20の1〜3個の水酸基を有する芳香族化合物類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール又はそれらのコポリマー等であって1〜8個の末端を有しその末端に1〜8個の水酸基を有する数平均分子量200〜50000のポリアルキレンオキシド類等が挙げられる。
【0030】
そして、その中でも、特にアルキレンオキシドの開環反応性に優れることから、ポリアルキレングリコール製造用触媒として優れるアザカリックス[3]ピリジニウム塩が得られることからエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の炭素数2〜20の2〜8個の水酸基を有する多価アルコール類;グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、スクロース等の糖類又はその誘導体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はそれらのコポリマー等であって2〜6個の末端を有しその末端に2〜6個の水酸基を有する数平均分子量200〜10000のポリアルキレンオキシド類であることが好ましい。
【0031】
また、該アザカリックス[3]ピリジンと活性水素化合物より、アザカリックス[3]ピリジニウム塩を製造する際のアザカリックス[3]ピリジンと活性水素化合物の反応割合は任意であり、その中でも反応剤、特にポリアルキレングリコール製造用触媒として優れた特性を有するアザカリックス[3]ピリジニウム塩が得られることから、アザカリックス[3]ピリジン1モルに対し、活性水素化合物0.2〜1000モルの範囲、更に1〜500モルの範囲、特に10〜300モルの範囲で反応を行うことが好ましい。この際、本発明のアザカリックス[3]ピリジニウム塩は一般式(1)に示す通り、nは1〜8の実数であること、アザカリックス[3]ピリジンと活性水素化合物の活性水素との反応は可逆反応であることから、アザカリックス[3]ピリジンと活性水素化合物の活性水素数は当量であることを要しない。
【0032】
上記一般式(2)で示されるアザカリックス[3]ピリジンと活性水素化合物との反応により本発明の一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩を製造する際には、非プロトン性極性溶媒を用いてもよく、該非プロトン性極性溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができ、その中でも活性水素化合物、アザカリックス[3]ピリジンの溶解性に優れ、反応が効率的に進行すると共に、溶媒の除去が容易であることからジメチルスルホキシドが好ましい。また、その際の非プロトン性極性溶媒の使用量は、適宜選択して用いればよく、通常、アザカリックス[3]ピリジン1モルに対して5〜50リットルの範囲、更に10〜30リットルの範囲であることが好ましい。
【0033】
アザカリックス[3]ピリジニウム塩を製造する際の雰囲気としては、アザカリックス[3]ピリジン、活性水素化合物、生成するアザカリックス[3]ピリジニウム塩が空気中の水分と接触することを防止することを目的として、例えば窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下で実施することが望ましい。
【0034】
また、アザカリックス[3]ピリジンと活性水素化合物とから本発明のアザカリックス[3]ピリジニウム塩を製造する際の反応温度としては、アザカリックス[3]ピリジニウム塩の生成が可能であれば如何なる温度であってもよく、例えば20〜160℃の範囲、更に50〜150℃の範囲、特に80〜130℃の範囲とすることが好ましい。また、その際の反応時間としては、通常30時間以下であり、更に0.1〜24時間の範囲であることが好ましい。
【0035】
本発明の一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩をポリアルキレングリコール製造用触媒として用いポリアルキレングリコールの製造を行う際には、アニオン重合触媒のように触媒製造時に副生する水やアルコールなどの除去操作を必要とせず、活性水素化合物とアザカリックス[3]ピリジンを混合しアザカリックス[3]ピリジニウム塩とすることのみで簡便に触媒を製造し、アルキレンオキシドの開環重合反応を行いポリアルキレングリコールの製造を行うことができる。
【0036】
以下に本発明の一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩をポリアルキレングリコール製造用触媒として用い、アルキレンオキシドの開環重合を行いポリアルキレングリコールの製造を行う方法に関して詳細に述べる。
【0037】
ここで、アルキレンオキシドとしては、アルキレンオキシドの範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド又はシクロヘキセンオキシド等のエポキシ化合物を挙げることができ、その中でも特にポリウレタンの原料として優れた特性を有するポリアルキレングリコールとなることから、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド又はスチレンオキシドが好ましく、特にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドであることが好ましい。また、上記アルキレンオキシドは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。併用する場合には、複数のアルキレンオキシドを同時に添加する方法、順次に添加する方法、又は順次を繰り返して添加する方法等をとることができる。
【0038】
ポリアルキレングリコールを製造する際の開環重合を行う反応温度としては、開環重合が進行する温度であれば良く、例えば20〜160℃であり、その中でも効率よく開環重合を行い副反応を抑制し、優れた特性を有するポリアルキレングリコールを製造することが可能となることから50〜150℃が好ましく、特に80〜130℃の範囲であることが好ましい。また、反応圧力としては、開環重合が進行すれば良く、例えば0.001〜1.5MPaの範囲であり、更には0.01〜1.0MPaであることが好ましく、特に0.1〜0.5MPaの範囲であることが好ましい。反応時間は、触媒量又は重合温度や圧力により適宜選択すればよく、通常0.1〜30時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。
【0039】
ポリアルキレンオキシドを製造する際の雰囲気としては、必要であれば窒素又はアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で実施することもできる。
【0040】
アルキレンオキシドの開環重合反応を行う際には、必要に応じて溶媒を使用することも可能であり、その際の溶媒としては、開環重合反応を阻害しない限りにおいて制限を受けることはなく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、1,3−ジオキサン、アニソール等のエーテル類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。
【0041】
また、本発明の一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩を用いポリアルキレングリコールを製造する際には、重合後の開始剤除去の負担を軽減する等の目的で、従来公知の開始剤を併用して用いても良い。
【0042】
また、本発明の一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩をポリアルキレングリコール製造用触媒として用い、ポリアルキレングリコールの製造を行う際には、一般式(2)で示されるアザカリックス[3]ピリジンと活性水素である水酸基、カルボキシル基との反応が可逆反応であることから効率的な開環重合反応活性種の生成が可能となり、触媒効率に優れたポリアルキレングリコールの製造が可能となることから、一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩と活性水素化合物とを併用してポリアルキレングリコールの製造を行うことが好ましい。その際の活性水素化合物としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の炭素数2〜20の2〜8個の水酸基を有する多価アルコール類;グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、スクロース等の糖類又はその誘導体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はそれらのコポリマー等であって2〜6個の末端を有しその末端に2〜6個の水酸基を有する数平均分子量200〜10000のポリアルキレンオキシド類を挙げることができる。その際の活性水素化合物の配合割合としては、特にポリアルキレングリコールの製造効率に優れることから、一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩1モルに対して、0.1〜10000モルであることが好ましく、特に10〜500モルであることが好ましい。また、活性水素化合物の配合時期としては、開環重合反応時又はそれ以前にアザカリックス[3]ピリジニウム塩に配合してもよいし、アザカリックス[3]ピリジニウム塩を調製する際に大過剰の活性水素化合物を用い未反応の活性水素化合物の共存する状態として調製することも可能である。
【0043】
得られたポリアルキレングリコールは、酸や二酸化炭素又は酸型イオン交換樹脂等での処理や水、有機溶媒又はそれらの混合物で洗浄する等の常用の精製方法により精製することもできる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、実施例において用いた評価・測定方法を示す。
【0045】
〜NMRスペクトル測定〜
核磁気共鳴スペクトル測定装置(270MHz−NMR:日本電子製、(商品名)EX−270)を用い、重溶媒にDMSO−d6(Aldrich製)を用い測定した。
【0046】
〜水酸基価の測定〜
JIS K 1557に記載の測定法に従い測定した。
【0047】
〜分子量分布の測定〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、(商品名)HLC8020GPC)を用い、テトラヒドロフランを溶媒として40℃で測定した溶出曲線より標準ポリスチレン換算値として数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0048】
〜有機元素分析〜
元素分析装置(Perkin−Elmer製、(商品名)2400 CHN Elemental Analyzer)を用いて測定を行った。
【0049】
〜ポリアルキレングリコール製造用触媒の活性〜
得られたアザカリックス[3]ピリジニウム塩をポリアルキレングリコール製造用触媒とした際の触媒活性は以下の式により算出した。
触媒活性=A/(B×C)
(ここでAは、開環重合反応を行ったアルキレンオキシド量(g)であり、A=(得られたポリアルキレングリコール重量)−(活性水素化合物重量+触媒重量)より算出した。Bは、ポリアルキレングリコール製造用触媒量(mol)であり、Cは反応時間(min)である。)
【0050】
〜活性水素化合物〜
ポリオールとして、ポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)、ポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−400:水酸基数=3、分子量=400)を用いた。
【0051】
合成例1(2,6−ジブロモ−4−ピロリジニルピリジンの合成)
【0052】
J.Med.Chem.,2003年,46巻,pp.1273〜1276に記載の方法に従い、2,6−ジブロモピリジン1.3g(5.5mmol)から3ステップで2,6−ジブロモ−4−ニトロピリジン1.5g(5.1mmol、収率93%)を白色固体として得た。
磁気回転子を付した25mlのシュレンク管に、水素化ナトリウム0.12g(5mmol)と脱水ジメチルホルムアミド3.5mlを仕込んだ。得られた混合液は淡青色を示した。この溶液にピロリジン0.42g(5mmol)を添加した後、合成した2,6−ジブロモ−4−ニトロピリジン1.41g(5mmol)を加えて、室温で2時間撹拌しながら反応を行った。反応終了後、水を加えて反応をクエンチした後、酢酸エチルにより抽出した。有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥後、減圧条件下で濃縮した。濃縮残渣をヘキサン/酢酸エチル=10/1から5/1を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離した。純度99%以上の白色固体1.1g(収率73%)を得た。
得られた化合物は分析の結果、2,6−ジブロモ−4−ピロリジニルピリジンであった。
270MHz H−NMRの測定結果;δ(CDCl):2.04(t,4H)、3.27(t,4H)、6.48(s,2H)
【0053】
合成例2(N,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)ピリジンの合成)
【0054】
SYNLETT、2005年、第2号、pp.263〜266に記載の方法に従い合成し、薄黄色の固体を1.34g(収率82%)得た。
この薄黄色の固体は分析の結果、N,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)ピリジンであった。
270MHz H−NMRの測定結果;δ(CDCl):2.42(s,9H)、6.08(d,6H)、7.17(t,3H)、7.28〜7.36(m,12H)
FAB−MS:547(M)
【0055】
合成例3(N,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)の合成)
【0056】
磁気回転子を付した200mlの四つ口フラスコに、炭酸カリウム8.3g(10.2mmol)、臭化第一銅180mg(12.5mmol)、合成例1で得られた4−ピロリジニル−2,6−ジブロモピリジンとトルイジンから合成したN,N−ビス(6−ブロモ−4−ピロリジニルピリジル)トルイジン557mg(1.0mmol)、及びN,N’−ジ(p−トルイル)−2,6−ジアミノ−4−ピロリジニルピリジン358mg(1.0mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気とした。ニトロベンゼン100mlを加え、還流管を付設した。還流管内も窒素雰囲気とした後、オイルバスを昇温し240℃とした。240℃で加熱攪拌して3時間反応を継続した。3時間後、薄層クロマトグラフィー(プロピルアミン修飾シリカゲル)により原料のN,N’−ジ(p−トルイル)−2,6−ジアミノ−4−ピロリジニルピリジン及びN,N−ビス(6−ブロモ−4−ピロリジニルピリジル)トルイジンの消失を確認した。その後、オイルバスを外し室温(23℃)まで放冷した。1トールの減圧下60〜90℃の範囲でニトロベンゼンを除去した。得られた黒茶色の粘性液体をカラムクロマトグラフィー(プロピルアミン修飾シリカゲル、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=7/3、クロロホルム、アセトニトリルの順で使用)で分離精製後、溶媒除去により得られた粉体をジエチルエーテルで洗浄し、薄黄色の固体を442mg(収率53%)得た。
得られた薄黄色の固体は、NMR測定の結果、N,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)のプロトン付加体(カウンターアニオンはBrアニオン)であることを確認した。
270MHz H−NMRの測定結果;δ(CDCl);1.84(s,9H)、2.50(s,12H)、2.89(s,12H)、4.89(s,6H)、7.25(d,6H)、7.41(d,6H)、21.03(s,1H)
ESI−MS;Positive:754(m/z)
上記の環化反応にて得られたN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)のプロトン付加体150mgを磁気回転子を付した二口ナスフラスコに加え、窒素雰囲気とした。クロロホルム100mlと2.5wt%水酸化ナトリウム水溶液(pH:13.8)150mlを加え、室温で反応させた。その後、水層を取り除き、再び2.5wt%水酸化ナトリウム水溶液150mlを加えて反応させる操作を5回繰り返した。最後に水層を取り除いた後、クロロホルム溶液を1トールの減圧下で除去した。得られた赤褐色の固体はNMR分析の結果、脱プロトン化したN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)であることを確認した。
270MHz H−NMRの測定結果;δ(DMSO−d6):1.80(s,9H)、2.27(s,12H)、2.98(s,9H)、5.66(s,6H)、7.05(d,6H)、7.125(d,6H)
【0057】
実施例1
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)0.2g(0.2mmol)を加熱乾燥、窒素置換した50mlシュレンク管に仕込んだ。そして、合成例3と同様の方法により得られたN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)300mg(0.4mmol)をジメチルスルホキシド4mlに溶解して得られた溶液をポリテトラフルオロエチレン製チューブを用いて窒素圧でシュレンク管に圧入した。この混合物を25℃で24時間撹拌した。24時間後、混合物のNMRを測定したところ、N,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)は、全てがプロトン付加体に変化していることを確認し、アザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが2、Yn−が3個の水酸基の内2個はアルコキシアニオンである分子量1000のポリプロピレングリコールのアルコキシアニオンである。)を得た。
270MHz H−NMRの測定結果;δ(CDCl);1.84(s,9H)、2.50(s,12H)、2.89(s,12H)、4.89(s,6H)、7.25(d,6H)、7.41(d,6H)、21.03(s,1H)
【0058】
実施例2
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:官能基数=3、分子量=1000)0.2g(0.2mmol)の代わりに酢酸24mg(0.4mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。0.5時間後、混合物を室温まで放冷した後、NMRを測定したところ、N,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)は、全てプロトン付加体に変化していることを確認し、アザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、n=1、Yn−がアセトキシアニオンである。)を得た。
【0059】
実施例3
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)1.0g(1mmol)を200mlガラス製オートクレーブに採り、圧力0.1MPaの窒素ガスを用いてオートクレーブ内部を窒素置換した。合成例3と同様の方法により得られたN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)0.75g(1mmol)をジメチルスルホキシド10mlに溶解させ、該ジメチルスルホキシド溶液を窒素によりオートクレーブ内に圧入し、ポリプロピレングリコールとN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)の均一な混合溶液とし、室温で24時間撹拌し反応を行いアザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが1、Yn−が3個の水酸基の内1個はアルコキシアニオンである分子量1000のポリプロピレングリコールのアルコキシアニオンである。)を得た。
その後、オートクレーブ内の温度を110℃まで昇温し、プロピレンオキシド7g(0.12mol)を内部圧力が0.3MPa以下となるように1時間かけて逐次的に添加した。プロピレンオキシドの供給停止後1時間熟成し、110℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去し、5.7gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量4900、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は41g/(mol・min)であった。
【0060】
実施例4
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)1.0g(1mmol)の代わりにグリセリン0.092g(1mmol)とした以外は、実施例3と同様の操作を行った。室温で24時間撹拌し反応を行いアザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが1、Yn−がグリセリンのアルコキシアニオンである。)を得た。
その後、オートクレーブ内の温度を110℃まで昇温し、プロピレンオキシド7g(0.58mol)を内部圧力が0.3MPa以下となるように1時間かけて逐次的に添加した。プロピレンオキシドの供給停止後1時間熟成し、110℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去し、4.1gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量3600、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は28g/(mol・min)であった。
【0061】
実施例5
プロピレンオキシドの重合反応温度を110℃から120℃とした以外は、実施例3と同様の操作を行った。120℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去して、6.5gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量5700、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は48g/(mol・min)であった。
【0062】
実施例6
プロピレンオキシドの重合反応温度を110℃から90℃とした以外は、実施例3と同様の操作を行った。90℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去して、3.9gのポリアルキレンオキシドを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量3000、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は26g/(mol・min)であった。
【0063】
実施例7
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:官能基数=3、分子量=1000)1.0g(1mmol)の代わりに活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−400:官能基数=3、分子量=400)0.4g(1mmol)とした以外は、実施例3と同様に操作を行い、アザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが1、Yn−が3個の水酸基数の内1個がアルコキシ基である分子量=400のポリプロピレングリコールのアルコキシアニオンである。)を得た。
その後、プロピレンオキシド5.8g(0.1mol)を内部圧力が0.3MPa以下となるように1時間かけて逐次的に添加した。プロピレンオキシドの供給停止後1時間熟成した。110℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去して、4.8gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量4500、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は33g/(mol・min)であった。
【0064】
実施例8
実施例7と同様に操作を行った後、温度を50℃まで下げ、プロピレンオキシドを減圧条件下で除去した。その後、再度110℃に昇温し、エチレンオキシド5gを圧力が0.4MPa以下となるように1時間かけて逐次的に供給した。エチレンオキシド供給後、110℃で2時間熟成した。110℃のまま、エチレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去して、6.3gのポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコール共重合体を得た。得られたポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールは、分子量5500、分子量分布(Mw/Mn)1.06であった。
【0065】
実施例9
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)180mg(0.18mmol)を200mlガラス製オートクレーブに採り、圧力0.1MPaの窒素ガスを用いてオートクレーブ内部を窒素置換した。合成例3と同様の方法により得られたN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)135mg(0.18mmol)をジメチルスルホキシド4mlに溶解させ、該ジメチルスルホキシド溶液を窒素によりオートクレーブ内に圧入し、ポリプロピレングリコールとN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)の均一な混合溶液とし、室温で24時間撹拌し反応を行いアザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが1、Yn−が3個の水酸基の内1個はアルコキシアニオンである分子量1000のポリプロピレングリコールのアルコキシアニオンである。)を得た。
その後、ポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)0.82g(0.82mmol)をオートクレーブ内に入れた後、温度を110℃まで昇温し、プロピレンオキシド7g(0.12mol)を内部圧力が0.3MPa以下となるように3時間かけて逐次的に添加した。プロピレンオキシドの供給停止後1時間熟成し、110℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去し、4.9gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量4900、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は90g/(mol・min)であった。
【0066】
実施例10
実施例9と同様に操作を行い、アザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが1、Yn−が3個の水酸基の内1個はアルコキシアニオンである分子量1000のポリプロピレングリコールのアルコキシアニオンである。)を得た。
その後、ポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)4.82g(4.82mmol)をオートクレーブ内に入れた後、温度を110℃まで昇温し、プロピレンオキシド33g(0.58mol)を内部圧力が0.3MPa以下となるように7時間かけて逐次的に添加した。プロピレンオキシドの供給停止後3時間熟成し、110℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去し、23.8gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量4900、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は176g/(mol・min)であった。
【0067】
実施例11
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)180mg(0.18mmol)の代わりにグリセリン17mg(0.18mmol)とした以外は、実施例9と同様の操作を行った。室温で24時間撹拌し反応を行いアザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが1、Yn−がグリセリンのアルコキシアニオンである。)を得た。
その後、グリセリン0.442(4.82mmol)をオートクレーブ内に入れた後、温度を110℃まで昇温し、プロピレンオキシド33g(0.58mol)を内部圧力が0.3MPa以下となるように7時間かけて逐次的に添加した。プロピレンオキシドの供給停止後3時間熟成し、110℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去し、16.8gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量3600、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は151g/(mol・min)であった。
【0068】
実施例12
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)5.0g(5mmol)を200mlガラス製オートクレーブに採り、圧力0.1MPaの窒素ガスを用いてオートクレーブ内部を窒素置換した。合成例3と同様の方法により得られたN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)135mg(0.18mmol)をジメチルスルホキシド4mlに溶解させ、該ジメチルスルホキシド溶液を窒素によりオートクレーブ内に圧入し、ポリプロピレングリコールとN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)の均一な混合溶液とし、室温で24時間撹拌し反応を行いアザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが1、Yn−がポリプロピレングリコールのアルコキシアニオンである。)を得た。
その後、オートクレーブ内の温度を110℃まで昇温し、プロピレンオキシド33g(0.58mol)を内部圧力が0.3MPa以下となるように7時間かけて逐次的に添加した。プロピレンオキシドの供給停止後3時間熟成し、110℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去し、23.8gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量4900、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は176g/(mol・min)であった。
【0069】
実施例13
活性水素化合物としてポリプロピレングリコール(三洋化成製、(商品名)サンニックスGP−1000:水酸基数=3、分子量=1000)5.0g(5mmol)の代わりにグリセリン0.46g(5mmol)とした以外は、実施例12と同様の操作を行った。室温で24時間撹拌し反応を行いアザカリックス[3]ピリジニウム塩(一般式(1)で示されるRがメチル基、Rがピロリジニル基、nが1、Yn−がグリセリンのアルコキシアニオンである。)を得た。
その後、オートクレーブ内の温度を110℃まで昇温し、プロピレンオキシド33g(0.58mol)を内部圧力が0.3MPa以下となるように7時間かけて逐次的に添加した。プロピレンオキシドの供給停止後3時間熟成し、110℃のまま、プロピレンオキシド及びジメチルスルホキシドを減圧下で除去し、16.8gのポリプロピレングリコールを得た。得られたポリプロピレングリコールは、分子量3600、分子量分布(Mw/Mn)1.05であり、この際の該アザカリックス[3]ピリジニウム塩のポリアルキレングリコール製造用触媒としての触媒活性は151g/(mol・min)であった。
【0070】
比較例1
N,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)1mmolの代わりに、合成例2で得られたN,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)ピリジン7mmolを用いた以外は、実施例3と同様の操作を行い、ポリプロピレングリコールの製造を試みた。
得られたポリポリプロピレングリコールは、5.1gであり、プロピレンオキシドの開環重合反応は進行しなかった。
【0071】
比較例2
N,N’,N’’−トリス(p−トリル)アザカリックス[3](2,6)(4−ピロリジニルピリジン)(1mmol)の代わりに、2,8,9−トリイソプロピル2,5,8,9−テトラアザ−1−フォスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン(Ardrich社製)0.75g(2.5mmol)を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行い、ポリプロピレングリコール3.1g得た。
得られたポリプロピレングリコールは、分子量2400、分子量分布(Mw/Mn)1.06であり、本触媒の活性はわずか7g/(mol・min)であった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の新規なアザカリックス[3]ピリジニウム塩は、有機塩基触媒として各種反応の反応剤、特にポリウレタンエラストマー、接着剤、塗料、発泡体等のポリウレタンの原料として有用なポリアルキレングリコールを効率よく製造することが可能となるポリウレタン製造用触媒として期待されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されることを特徴とするアザカリックス[3]ピリジジウム塩。
【化1】

(ただし、Rは水素原子,炭素数1〜10のアルキル基または電子供与性基を表し、RはRと同一または異なっても良い電子供与性基を表し、nは1〜8の実数を示し、Yn−はヒドロキシアニオン;炭素数1〜20のアルコール類、2〜8個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価アルコール類、糖類又はその誘導体、末端に1〜8個の水酸基を有する数平均分子量200〜50000のポリアルキレンオキシド類、から導かれるアルコキシアニオン又は1〜8個のカルボキシル基を有する炭素数1〜20のカルボン酸類から導かれるカルボキシアニオンを示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で示されるアザカリックス[3]ピリジンと活性水素化合物を反応することを特徴とする下記一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩の製造方法。
【化2】

(ただし、Rは水素原子,炭素数1〜10のアルキル基または電子供与性基を表し、RはRと同一または異なっても良い電子供与性基を表す。)
【化3】

(ただし、R及びRは、上記一般式(2)と同様であり、nは1〜8の実数を示し、Yn−はヒドロキシアニオン;炭素数1〜20のアルコール類、2〜8個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価アルコール類、糖類又はその誘導体、末端に1〜8個の水酸基を有する数平均分子量200〜50000のポリアルキレンオキシド類、から導かれるアルコキシアニオン又は1〜8個のカルボキシル基を有する炭素数1〜20のカルボン酸類から導かれるカルボキシアニオンを示す。)
【請求項3】
非プロトン性極性溶媒中、20〜160℃で反応を行うことを特徴とする請求項2に記載のアザカリックス[3]ピリジニウム塩の製造方法。
【請求項4】
非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシドであることを特徴とする請求項3に記載のアザカリックス[3]ピリジニウム塩の製造方法。
【請求項5】
下記一般式(1)で示されるアザカリックス[3]ピリジニウム塩からなることを特徴とするポリアルキレングリコール製造用触媒。
【化4】

(ただし、Rは水素原子,炭素数1〜10のアルキル基または電子供与性基を表し、RはRと同一または異なっても良い電子供与性基を表し、nは1〜8の実数を示し、Yn−はヒドロキシアニオン;炭素数1〜20のアルコール類、2〜8個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価アルコール類、糖類又はその誘導体、末端に1〜8個の水酸基を有する数平均分子量200〜50000のポリアルキレンオキシド類、から導かれるアルコキシアニオン又は1〜8個のカルボキシル基を有する炭素数1〜20のカルボン酸類から導かれるカルボキシアニオンを示す。)
【請求項6】
上記一般式(1)において、Rが、水素原子又はメチル基であり、Rがピロリジニル基であるアザカリックス[3]ピリジニウム塩からなることを特徴とする請求項5に記載のポリアルキレングリコール製造用触媒。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のポリアルキレングリコール製造用触媒の存在下、少なくとも1種のアルキレンオキシドを開環重合することを特徴とするポリアルキレングリコールの製造方法。
【請求項8】
請求項5又は6に記載のポリアルキレングリコール製造用触媒及び活性水素化合物の存在下、少なくとも1種のアルキレンオキシドを開環重合することを特徴とする請求項7に記載のポリアルキレングリコールの製造方法。

【公開番号】特開2012−56882(P2012−56882A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201562(P2010−201562)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】