説明

アジテータミル

【課題】一般タイプのアジテータミルを改良し、特に極めて小さい直径を有する補助粉砕体を使用するとき、粉砕材料がアジテータミルを一度しか通過しない場合でも、狭い粒子分布を有する粉砕・分散効果を得る一方で、特に保護スクリーンに当たる補助粉砕体により生じる操作ミスの恐れを回避する。
【解決手段】自由に流れる粉砕材料を処理するアジテータミルは、粉砕容器2とそこに配置された内側ステータ22を有する。回転駆動可能な輪状円筒ロータ35が、内側ステータ22と容器壁9の間に配置され、粉砕室8が当該ロータ35と容器壁9の間に画定される。粉砕材料排出管路47が、ロータ35と内側ステータ22の間に形成され、偏向管路50を介して粉砕室8に連結している。補助粉砕体43が粉砕室8から粉砕材料排出管路47にキャリーオーバーするのを防止するための装置が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブル部分に従うアジテータミル(撹拌粉砕機)に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなアジテータミルは特許文献1から知られている。このアジテータミルでは、補助粉砕体が、補助粉砕体戻し管路を介して粉砕材料(粉砕ストック)及び補助粉砕体の流れから遠心分離され、その後当該流れは保護スクリーンに達する。保護スクリーンの基本的機能は、軽すぎて補助粉砕体戻し管路を介して取り除けない使い切られた補助粉砕体を収集することであり、従って、粉砕材料の流れに反作用する反対圧力を生じさせるためのスロットル装置として機能する。アジテータは、外側粉砕室に突出するアジテータ器具を具備している。極めて小さい補助粉砕体を使用するとき、補助粉砕体が結局保護スクリーンに達しないことが保証されず、従って、保護スクリーンに次第に詰まってくる。特に、極めて小さい補助粉砕体を使用するとき、今度は非常に容易に損傷するかもしれないそれに対応して細かい保護スクリーンを使用する必要があり、それらは補助粉砕体に当たる。しかしながら、通常サイズの補助粉砕体を用いて、比較的粘性のある補助ストックが処理されなければならない場合、部分的に詰まった保護スクリーンによりアジテータミル内で実質的な圧力の上昇が生じ、これにより粉砕プロセスの障害も生じる。
【0003】
円筒ハウジング内に配置されたカップ型ロータを有するアジテータミルが特許文献2から知られている。当該ロータは、その長さに沿って通路溝を具備している。保護スクリーンを有する内側ステータがロータ内に配置されている。外側粉砕室は、ロータと、粉砕室を画定する壁の両方に固定された器具を具備している。このアジテータミルは、極めて小さい補助粉砕体の使用に適さない。さらに、当該ミルは前述した同じ問題を受けやすい。
【0004】
1つのアジテータミルが特許文献3から知られており、当該アジテータミルはロータを有し、ロータはその外側に配置されたパドル型器具を備えている。保護スクリーンはロータ内に配置されている。ロータは、パドル型器具が締結された、軸に平行なバーからなる。粉砕材料は半径方向に供給される。アジテータ器具のパドル型デザインのために、このアジテータミルは、補助粉砕体の集中が容器壁の領域で得られるのを保証する。しかしながら、特に、極めて小さい補助粉砕体による確定された粉砕も、操作ミスの恐れのない補助粉砕体の確実な分離も実現できない。粉砕材料は補助粉砕体のパッキングを介して半径方向に流れるので、粉砕材料は非常に短い距離にわたって粉砕プロセスを受けるだけである。従って、粉砕材料がアジテータミルを一度だけ通る場合、わずかな粉砕プロセスが得られるだけである。
【0005】
一般タイプのアジテータミルが特許文献4から知られている。当該アジテータミルは、機械的シールにより内側ステータに対してシールされたカップ型ロータに固定された保護スクリーンを有する。従って、保護スクリーンはロータと共に回転し、そのためフィルターに到達する補助粉砕体がより効率的に取り除かれるのを保証する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP0370022B1(US5062577)
【特許文献2】EP0504836B1
【特許文献3】DE3437866A1(US5011089)
【特許文献4】DE19638354A1(US5894998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、一般タイプのアジテータミルを改良し、特に極めて小さい直径を有する補助粉砕体を使用するとき、粉砕材料がアジテータミルを一度しか通過しない場合でも、狭い粒子分布を有する粉砕・分散効果を得る一方で、特に保護スクリーンに当たる補助粉砕体により生じる操作ミスの恐れを回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴部分の構成で達成される。本発明の核心は、補助粉砕体がロータと容器壁の間の粉砕室にのみ配置され、当該粉砕室に集められることである。当該粉砕室における補助粉砕体の集中は、当該補助粉砕体が粉砕材料排出管路に入らないことを保証する。器具はロータに固定され、容器壁の近傍まで延在し、それにより、補助粉砕体が外側に加速され、一緒に集められることが保証される。粉砕材料は、密集した粉砕材料の中を軸方向に流れ、一様な粉砕及び分散が得られる。輪状外側粉砕室に補助粉砕体を集めるための手段に加えて、補助粉砕体が保護スクリーンに達するのを効果的に防止する装置が設けられる。粉砕材料排出管路がロータ内に設置され、ロータと内側ステータにより確定され、補助粉砕体を含まず又はほんの少量しか含まず、それにより前述の欠陥を効果的に排除することができる。
【0009】
請求項2〜4に従う手段は、粉砕室における補助粉砕体の集中に寄与する。
【0010】
請求項5〜7に従う手段は、補助粉砕体が偏向管路に入るのを防止することをさらに助長する。
【0011】
請求項8に従う発展形態は、粉砕材料排出管路に達する少量の補助粉砕体が堆積するのを防止し、それにより、これらが粉砕室の始めに再供給される補助粉砕体戻し管路に向かう流れに残るのを防止する。請求項9に従う手段は、補助粉砕体が補助粉砕体戻し管路の方向にさらに加速されるのを保証する。
【0012】
請求項10に従う発展形態は、粉砕材料と補助粉砕体の層がロータの内側に形成するのを防止する。これは、もはや粉砕プロセスで生じない。
【0013】
請求項11に従う発展形態は、付加的なエネルギー供給を必要とせず粉砕材料排出管路における特に温度に敏感な粉砕材料の特に集中的な冷却のために、請求項8〜10に従う手段に関連して特に有利である。当該粉砕材料は従って粉砕室における実際の粉砕プロセスの間のみ高いエネルギー受ける。
【0014】
請求項12に従う実施形態により、粉砕材料排出管路に存在する補助粉砕体は直接外側に投げられ粉砕室に至る。この効果は請求項13に従う発展形態により促進される。
【0015】
極めて小さい補助粉砕体の適切な直径範囲は請求項14に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】アジテータミルの概略側面図を示す。
【図2】アジテータミルの第1実施形態を通る垂直縦断面図である。
【図3】図2に従うアジテータミルのロータの外側の実際の長さを示す。
【図4】図2,3に従うアジテータミルの内側ステータの側面図である。
【図5】アジテータミルの第2実施形態を通る垂直縦断面図である。
【図6】図5に従うアジテータミルのロータの内側の実際の長さを示す。
【図7】アジテータミルの第3実施形態を通る垂直縦断面図である。
【図8】アジテータミルの第4実施形態を通る垂直縦断面図である。
【図9】アジテータミルの第5実施形態を通る縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
更なる構成、利点及び詳細は、図面に関連した本発明の実施形態の以下の記載から明らかになる。
図1に示されたアジテータは、円筒粉砕容器2が固定される通常のスタンド1を有する。このスタンド1は電動モータ3を収容し、電動モータは、ベルト車7を回転駆動させるためのVベルト車4を具備する。Vベルト車は、Vベルト5により回転しないようにドライブシャフト6に連結している。
【0018】
特に図2,3から分かるように、粉砕容器2は、粉砕室8を取り囲む円筒容器壁9を有する。当該容器壁9は実質的に円筒の冷却ケーシング10で囲まれている。容器壁9及び冷却ケーシング10は互いの間に冷却室11を画定する。粉砕室8の下側閉要素が、ねじ13により粉砕容器2に固定された円形ボトムプレート12で形成される。
【0019】
粉砕容器2は上側輪状フランジ14を有し、それを介してねじ16により支持ハウジング15の下面に固定されている。当該支持ハウジング15はアジテータミルのスタンド1に固定されている。粉砕室8は蓋17で閉じられている。支持ハウジング15は、粉砕容器2の中央縦軸19と同軸に位置合わせされた中央ベアリング・シーリングハウジング18を有する。このベアリング・シーリングハウジング18にドライブシャフト6が貫通し、これは軸19と同軸に延在し、アジテータ(粉砕機)20を有する。
【0020】
粉砕材料供給ライン21が、粉砕室8に隣接するベアリング・シーリングハウジング18の領域に突出する。
【0021】
粉砕室2に突出するほぼカップ型の円筒内側ステータ22がボトムプレート12に配置される。当該内側ステータ22は、軸19と同軸に位置合わせされた外側壁23と、当該外側壁23内の円筒内側ケーシング24を有する。外側壁23と内側ケーシング24は、互いの間で、内側ステータ22の冷却室25を画定する。冷却室25は、冷却水供給コネクタ26を介して冷却水を供給される。当該冷却水は冷却水排出コネクタ27を介して排出される。粉砕容器2の冷却室11は、冷却水供給コネクタ28を介して冷却水を供給される。当該冷却水は冷却水排出コネクタ29を介して排出される。
【0022】
図に示されるように、保護スクリーン30が内側ステータ22の上端に配置されている。当該保護スクリーン30は、粉砕材料排出ライン31に連結している。ボトムプレート12の領域では、排出ライン31は、ねじ33を介してボトムプレート12に取り外し可能に連結したハンドル32を具備している。
【0023】
保護スクリーン30は、シール34により内側ステータ22に対してシールされ、排出ライン31と共に、ねじを弛めた後内側ステータ22の外側に下方に引っ張ることができる。
【0024】
アジテータ20はカップ型の基本構造を有し、従って実質的に輪状の円筒ロータ35を有する。アジテータ20は、その上端にロータ35の蓋型閉部材36を有する。補助粉砕体戻し装置37がアジテータ20内に、厳密に言えば蓋型閉要素36と、輪状円筒ロータ、すなわち管状35の間の遷移領域に配置される。
【0025】
粉砕室8の半径幅に次の式、a=(D9−D35)/2が当てはまる。D9は容器壁9の直径、すなわち粉砕室8の外径であり、D35はロータ35の外径、すなわち粉砕室の内径である。次の式が成り立つ。0.6≦D35/D9≦0.95、好ましくは、0.7≦D35/D9≦0.85。
【0026】
容器壁9の内側は円筒のように滑らかであり、輪状粉砕室8に突出する器具がない。他方で、同様に円筒のロータ35の外側は、中央縦軸19に関して粉砕室8に半径方向に突出する杭型器具38を具備している。当該器具38は、ほとんど容器壁9にまで延在し、構造により決定されるギャップ幅bを有するギャップ39を残すだけである。図3から分かるように、器具38はロータ表面に沿って螺旋状に配置されている。器具38は、閉部材38に割り当てられる第1領域40に配置され、第1螺旋カーブ41に沿って配置される。このカーブは、アジテータミル20、ゆえにロータ35が回転方向42に回転すると、器具38が、粉砕室8に存在し直径cを有する補助粉砕体43を粉砕材料の流れ方向44に下方に、すなわちボトムプレート12に向かって輸送する効果を有するように形成される。第1螺旋カーブ41に沿って配置された器具38を有するこの第1領域40は、図3から分かるように、ほぼ戻し装置37の下側面まで延在する。
【0027】
第1領域40の下の第2領域では、器具38は反対方向に延在する第2螺旋カーブ46に沿って配置される。従って、補助粉砕体43に与えられる運動量は、アジテータ20が回転方向42に駆動したとき粉砕材料の流れ方向44と反対に向く。図3から分かるように、ロータ35の円周方向に互いに隣接して配置された器具38は、中央縦軸19の方向に互いに重なるように第1螺旋カーブ41と第2螺旋カーブ46の両方に沿って配置され、従って容器壁9はロータ35の回転毎に器具38により完全に摺擦されることが保証される。
【0028】
輪状円筒型の粉砕材料排出管路47は、ロータ35と内側ステータ22の外側壁23の間に形成される。内側ステータ22の外側壁23は、外側に排出管路47まで半径方向に突出する杭型のワイパー要素48を具備している。図4から分かるように、内側ステータ22の円周方向に互いに隣接して配置されたワイパー要素48は、互いに重なるように中央縦軸19の方向に配置される。従って、ロータ35の全ての回転のために、その壁は当該要素48により完全にワイプされることが保証される。当該要素48は螺旋カーブに沿って配置される。当該カーブは、ロータ35が回転方向42に駆動すると、これにより、排出管路47に入った補助粉砕体43に流れ方向44に運動量を与えるように延在する。ワイパー要素48は、内側ステータ22に関してギャップ49を有する。そのギャップ幅eは、構造により必要とされる最小の幅を超えない。
【0029】
ギャップ39のギャップ幅bと補助粉砕体43の直径cに、次の式、4c≦b≦6cが成り立つ。特に小さい補助粉砕体43の使用のために、1.0mm≦b≦2.0mmの最小限界条件が定められる。対応して、ギャップ49のギャップ幅eと補助粉砕体43の直径cに、4c≦e≦6cが成り立つ。同様に、1.0mm≦b≦2.0mmの最小限界条件が極めて小さい補助粉砕体43の使用に適用される。このデザインにより、器具38は粉砕室8の補助粉砕体の束を一定に回転させることができる。ロータ35は駆動すると、小さいギャップ幅eのためにワイパー要素48により一様にワイプされる。極小の直径cの補助粉砕体43、すなわち微小補助粉砕体を使用するとき、その直径cに20μm≦c≦100μmが当てはまる。
【0030】
排出管路47は半径方向の幅fを有し、これにf=(d35−d23)/2が成り立つ。d35は、ロータ35の内径、すなわち排出管路47の外径であり、d23は内側ステータ22の外径、すなわち排出管路47の内径である。次の式、0.8≦d23/d35≦0.98、好ましくは、0.9≦d23/d35≦0.98が成り立つ。図2から分かるように、粉砕室8は偏向管路50により排出管路47に連結し、その幅は排出管路47のそれにほぼ等しい。従って、当該偏向管路50は、ロータ35の自由下端を取り囲む。偏向管路50に隣接して、粉砕室8は軸19に向かって半径方向に延びる底面51により実質的に閉じられている。最も下の、すなわち隣接する器具38は、ギャップ幅b,cの距離にほぼ等しい距離gを置いて当該底面51に近接して回転する。よって、この領域では、補助粉砕体43は偏向管路50に入る直前に外側半径方向に加速され、偏向管路50から外に輸送される。
【0031】
図2に示されるように、円筒形保護スクリーン30は積み重なった輪状ディスク52からなる。当該ディスクは互いから離れて位置し、2つのディスクの間に分離ギャップ53を形成する。その幅は、使用される最小の補助粉砕体43の直径cより小さい。積み重なった輪状ディスク52のフロントサイド、すなわちシャフト6に面するサイドは、閉プレート54で閉じられている。保護スクリーン30は戻し装置37内に配置される。
【0032】
図2,3から分かるように、補助粉砕体戻し管路55は戻し装置37内に形成される。そのそれぞれの入口56は戻し管路47及び保護スクリーン30にすぐ隣接する。そのそれぞれの出口57は粉砕室8の開始領域に、厳密に言えば螺旋状に配置された器具38の第1領域40に突出する。図3から分かるように、それぞれの出口57は、回転方向42に見て1又は複数の器具38のすぐ前に配置される。それにより、粉砕体が出口57を介して排出されるとすぐに流れ方向44に排出管路47を介して戻る補助粉砕体43に運動量が与えられる。
【0033】
粉砕室8を通って流れ方向44に流れるとき、粉砕材料は、アジテータ20の閉部材36と蓋17の間に配置された粉砕材料供給室58を通って粉砕材料供給ライン21から下方に流れ、粉砕室8の第1領域40及び第2領域45を通り、その後偏向管路50を通って半径方向内側に流れ、そこから粉砕材料供給管路47を通って排出管路59まで上方に流れる。当該排出管路59は、閉部材36と内側ステータ22の間に形成され、実質的に保護スクリーン30に向かって半径方向内側に延在する。その後、粉砕材料は保護スクリーン30を通過し、粉砕材料排出ライン31に入り、これを介してアジテータミルから排出される。
【0034】
粉砕室8を通過するとき、粉砕材料は補助粉砕体43との協働により回転するアジテータ20によってすりつぶされる。接線方向の運動量が器具38により補助駆動体に与えられ、それによりそれらは容器壁9の方向に移動する。図面に示されるように、これにより補助粉砕体43は粉砕室8の半径方向外側の領域に集中させられる。器具38と容器壁9の間のギャップ39の小さい幅bは、補助粉砕体43が容器壁9に堆積するのを防止する。そこに移動した補助粉砕体43も活性化され、何度も繰り返して連行される。前述した2つの螺旋カーブ41,46に沿う器具38の装置は、上側の第1領域40の補助粉砕体43が粉砕材料供給室58を通って粉砕材料供給ライン21に流れ戻るのを防止する。第2領域45のアジテータ器具の装置は、補助粉砕体43又は少なくともそれらのほとんどが、偏向管路50を通って排出管路47に入るのを防止する。これは、粉砕室8を流れるとき、粉砕材料内で強く相互作用する渦を特徴とする粉砕室8内の乱流を生じさせ、それにより、その直線的な運動が防がれる。これは、個々の粉砕材料粒子をロータ35から容器壁9に又はその逆に交互に流れさせる。流れ方向44にアジテータミルの流量(スループット)がこの半径方向に往復運動する流れに重なり、流れ方向44の速度成分の大きさが、単位時間当たりの粉砕材料の体積流量と、粉砕室8の自由断面、厳密に言えば、粉砕室8の断面から利用可能な補助粉砕体43の断面を引いたものから得られる。
【0035】
補助粉砕体43が、前述の手段にも関わらず粉砕材料排出管路47に何とかして入った場合、これらはワイパー要素48によって粉砕材料と共に排出管路47全体を通って輸送され、その後戻し装置37を介して粉砕室8の第1領域40に戻る。
【0036】
図5に従う実施形態は、穴の形式のさらなる小さい補助粉砕体戻し管路60がロータ35’の軸方向長さに沿って形成される点で図2に従うそれと異なる。当該管路はその周囲に沿って分配され、5.0〜30.0mmの直径hを有する。輪状円筒型の粉砕材料排出管路47から、当該戻し管路60は粉砕室8の第2領域45に直接突出する。それにより、前述の手段にも関わらず粉砕材料排出管路47に入った補助粉砕体43が粉砕室8に戻され、上側の戻し装置37に到達することが保証される。
【0037】
図6に示されたロータ35’の内側の実際の長さから分かるように、小さい補助粉砕体戻し管路60は螺旋カーブに沿って配置され、当該管路60は、円周方向に次々に互いに隣接して配置されている。それにより、補助ストック排出管路47に何とか入り、ロータ35から遠心分離された補助粉砕体43が、強制的に少なくとも1つの当該管路60によって流され、当該管路を通って外側粉砕室9に戻ることが保証される。
【0038】
図7に従う実施形態は、補助スクリーン30’が公知の態様で内側ステータ22に接続した支持体61を有し、当該支持体61がスロット状開口62を具備している点で、図2に従うそれと異なる。非常に薄い一枚のシートメタル又はフィルム63がそれぞれ、当該支持体61の外側に配置され、当該フィルム63は非常に細かい分離スロット64を具備している。その実際の幅は図には示されないが、最小の補助粉砕体43の直径cより明らかに小さい。
【0039】
図8に従うアジテータミルは、ロータ35’が図5の実施形態に従う補助粉砕体戻し管路60と、図7の実施形態に従う保護スクリーン30’を具備している点で、図2に従うそれと異なる。
【0040】
図9に従う実施形態は、図5,7に従うそれと基本的に一致し、ロータ35’は補助粉砕体戻し管路60を具備している。しかし、保護スクリーン30’’は内側ステータ22に固定されておらず、保護スクリーン30,30’,30’’のすべてをそれぞれ囲む又は有する円筒凹部65が形成されたロータ35’の閉部材36内に配置されている。保護スクリーン30’’は、ねじ67によりロータ35’の閉部材36に固定された支持体66を有する。支持体66はスロット状開口62を具備し、その円筒外周は、それぞれ分離スロット64を有した一枚のフォイル又はシートメタル63で覆われる。排出部68が支持体66に形成され、当該排出部68は、内側ステータ22’に面するサイドに軸19と同軸の排出開口69を有する。粉砕材料排出ライン31’は、シールされて内側ステータ22’’の別な閉じた上側前壁70を通って、保護スリーブフィルタ30’’の対向閉壁71の近傍まで延びる。狭いギャップ72が粉砕材料排出ライン31’と当該閉壁71の間に形成される。当該ギャップ72は、補助粉砕体43の最小の直径cより小さい幅iを通常有する。ギャップ72の幅iは、粉砕された粉砕材料が排出される際十分高い圧力損失が生じるように十分小さくなければならず、それにより、粉砕材料は保護スクリーン30’’を介して排出される。
【0041】
当該保護スクリーン30’’の閉壁71は切頭円錐の形状の前壁70に開口しており、それで前壁70に面するその半径方向外側の領域で輪状ギャップ73を画定する。当該輪状ギャップ73は、アジテータミルが使用される際補助粉砕体43を実質的に入れない。停止の間にこの領域に入った補助粉砕体43は、輪状ギャップ73を介して再び外側に投げられ、補助粉砕体戻し管路55に入る。
【0042】
この実施形態では、保護スクリーン30’’は、そのフォイル又はシートメタル63と共にそれぞれ軸方向に補助粉砕体戻し管路55と完全に一列に並べられる。補助粉砕体43が保護スクリーン30’’の領域に何とかして入った場合、これらは、それぞれその円筒円周を形成するフォイル又はシートメタル63によって戻し管路55に投げられる。
【0043】
先に説明した実施形態のそれぞれは垂直の中央縦軸19を有するアジテータミルを示すが、前述の実施形態は水平位置又は中間位置にも容易に当てはまる。
【0044】
極めて小さい直径cの補助粉砕体43、すなわち微小補助粉砕体を使用する場合、粉砕材料は1〜100mPas程度の非常に低い粘度を有する。
【符号の説明】
【0045】
2 粉砕容器
8 粉砕室
9 容器壁
20 アジテータ
30 保護スクリーン
35 ロータ
38 器具
43 補助粉砕体
47 粉砕材料排出管路
50 偏向管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由に流れる粉砕材料を処理するアジテータミルであって、
容器壁(9)により実質的に閉じられた粉砕室(8)を画定する粉砕容器(2)と、
粉砕容器(2)内に回転方向(42)に回転駆動するように配置され、共通の中央縦軸(19)に関してカップ型に形成されたアジテータであって、容器壁(9)の近傍まで延在する器具(38)を具備した輪状円筒ロータ(35,35’)を有するアジテータ(20)と、
ロータ(35,35’)内に配置され、粉砕容器(2)に結合され、閉じた外壁(23)を有する内側ステータ(22,22’)とを有し、
輪状円筒型の粉砕室(8)が容器壁(9)とロータ(35,35’)の間に形成され、直径cを有する補助粉砕体を受容し、
輪状ギャップの形状の輪状円筒内側室が、ロータ(35,35’)と内側ステータ(22,22’)の外壁(23)との間に形成され、当該内側室は粉砕室(8)内に同軸に配置され、偏向管路(50)を介して粉砕室に連結し、
粉砕室(8)は補助粉砕体(43)で少なくとも部分的に満たされ、
粉砕室(8)の上流に配置され、流れ方向(44)に粉砕室に開口した補助ストック供給室(58)と、流れ方向(44)に内側室(8)の下流に配置された保護スクリーン(30,30’’)とが、粉砕材料を通過させるために、粉砕容器(2)のほぼ同じサイドに配置され、
補助粉砕体(43)を保護スクリーン(30,30’’)の近傍から粉砕室(8)に戻すために、補助粉砕体戻し管路(55)がアジテータ(20)内に設置され、当該戻し管路(55)は、内側室の端部を粉砕室(8)の始めに連結するアジテータミルにおいて、
内側室は粉砕材料排出管路(47)であり、
補助粉砕体(43)が粉砕室(8)から粉砕材料排出管路(47)に移るのを防止するための装置が設けられることを特徴とするアジテータミル。
【請求項2】
容器壁(9)は器具がなく、
ロータ(35,35’)に固定された器具(38)は容器壁(9)に対して狭いギャップ(39)しか残さないことを特徴とする請求項1に記載のアジテータミル。
【請求項3】
器具(38)と容器壁(9)の間のギャップ(39)はギャップ幅bを有し、これに補助粉砕体(43)の直径cに対して4c≦b≦6cが当てはまり、最小ギャップ幅bは1.0mm≦b≦2.0mmとして定められることを特徴とする請求項2に記載のアジテータミル。
【請求項4】
ロータ(35,35’)の円周方向に見て、器具(38)は、互いに重なるように、補助粉砕体戻し管路(55)と偏向管路(50)の間の第2領域(45)の第2螺旋カーブ(46)に沿って配置され、それにより、ロータ(35,35’)が回転方向(42)に駆動したとき、流れ方向(44)と反対に向いた運動量が補助粉砕体(43)に与えられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアジテータミル。
【請求項5】
粉砕室(8)は、偏向管路(50)の上流に底面(51)を有し、当該底面(51)は、距離gだけ置いて、最も近い器具(38)によってワイプされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアジテータミル。
【請求項6】
底面(51)と最も近い器具(38)の間の距離gと補助粉砕体(43)の直径cに、4c≦g≦6cが当てはまり、最小の距離gは1.0mm≦g≦2.0mmとして定められることを特徴とする請求項5に記載のアジテータミル。
【請求項7】
偏向管路(50)はロータ(35,35’)のすぐ隣の粉砕室(8)から突出し、
底面(51)は、半径方向に偏向管路を越えて配置されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアジテータミル。
【請求項8】
ロータ(35,35’)に向かって延在するワイパー要素(48)が、内側ステータ(22,22’)に沿って配置され、
ロータ(35,35’)は、粉砕材料排出管路(47)を画定するその内側に器具を有しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のアジテータミル。
【請求項9】
内側ステータ(22,22’)に沿って配置されたワイパー要素(48)は、中央縦軸(19)の方向に互いに重なり、内側ステータ(22,22’)の円周方向に螺旋カーブに沿って配置され、ロータ(35,35’)が回転方向(42)に駆動したとき、流れ方向(44)の運動量が補助粉砕体(43)に与えられることを特徴とする請求項8に記載のアジテータミル。
【請求項10】
ワイパー要素(48)はロータ(35,35’)に対してギャップ(49)を残し、そのギャップ幅eと補助粉砕体(43)の直径cに、4c≦e≦6cが当てはまり、最小のギャップ幅eは1.0mm≦e≦2.0mmとして定められることを特徴とする請求項8又は9に記載のアジテータミル。
【請求項11】
内側ステータ(22,22’)は冷却室(25)を具備することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のアジテータミル。
【請求項12】
粉砕材料排出管路(47)を粉砕室(8)に連結する狭い補助粉砕体戻し管路(60)がロータ(35’)内に形成され、その直径hは、5.0mm≦h≦30.0mmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のアジテータミル。
【請求項13】
補助粉砕体戻し管路(60)は、偏向管路(15)から保護スクリーン(30,30’,30’’)に向かって回転方向(42)に上昇する螺旋カーブに沿って、中央縦軸(19)の方向に互いに重なるように配置されることを特徴とする請求項12に記載のアジテータミル。
【請求項14】
補助粉砕体(43)の直径cに、c≦0.3mm、好ましくは0.02mm≦c≦0.1mmが当てはまることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のアジテータミル。
【請求項15】
保護スクリーン(30’’)は回転しないようにアジテータ(20)に結合され、
保護スクリーン(30’’)の排出部(68)は、粉砕容器(2)に対して固定した粉砕材料排出管路(31’)に直接突出することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のアジテータミル。
【請求項16】
粉砕室(8)の内径D35と粉砕室(8)の外径D9の間に、0.6≦D35/D9≦0.95、好ましくは、0.7≦D35/D9≦0.85の関係が成り立つことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のアジテータミル。
【請求項17】
排出管路(47)の内径d23と排出管路(47)の外径d35の間に、0.8≦d23/d35≦0.98、好ましくは、0.9≦d23/d35≦0.98の関係が成り立つことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のアジテータミル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−188348(P2010−188348A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129844(P2010−129844)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【分割の表示】特願2008−534872(P2008−534872)の分割
【原出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(508111419)ビューラー アーゲー (2)
【Fターム(参考)】