説明

アセトニトリルの精製方法

【課題】フッ素系化合物及び水を含む汚染アセトニトリルからアセトニトリルを精製する方法を提供する
【解決手段】フッ素系化合物及び水を含む汚染アセトニトリルからアセトニトリルを精製する方法であって、
a)前記汚染アセトニトリルと塩基とを混合し、得られた混合液からアセトニトリル層を分離する工程、
b)前記工程a)で得られたアセトニトリル層と固体吸着剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、
c)前記工程b)で得られたアセトニトリルと固体脱水剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、及び
d)前記工程c)で得られたアセトニトリルを蒸留する工程
を有するアセトニトリルの精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアセトニトリルの精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アセトニトリルは、化学反応用の溶媒、精製の溶媒、高速液体クロマトグラフィーの移動層溶媒等に用いられている。従来、これらの溶媒として使用され、反応基質等によって汚染されたアセトニトリルは、反応溶液等から減圧回収された後、主に廃棄されていた。しかしながら、近年、環境保全等の問題から、回収された汚染アセトニトリルを再利用することが要望されつつある。
【0003】
合成反応等に使用されたアセトニトリルには、多くの不純物(反応基質、他の溶媒、副生成物、水、着色成分等)が含まれており、また、これを単蒸留して得られるアセトニトリルにも多くの水が含まれるため、再利用には適しないという問題を有している。
【0004】
例えば、フッ素系界面活性剤の合成用の溶媒として使用されたアセトニトリルを、当該合成反応の溶媒として再利用した場合、アセトニトリルに不純物として含まれるフッ素系化合物等によって合成反応の制御が困難となる。また、水が当該合成反応を阻害することから、所望のフッ素系界面活性剤の調製は困難である。そのため、水及びフッ素系化合物の除去はアセトニトリルの再利用には必須の要件となる。
【0005】
不純物を含むアセトニトリルの精製には、これまで多段階の蒸留や複雑なプロセスを必要としていた。アセトニトリルの精製法としては、例えば、特公昭61−54022号公報(特許文献1)、特表2004−504293号公報(特許文献2)、特開2008−247893号公報(特許文献3)等、多数の方法が知られている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、単純なプロセスではあるが、連続精留が必要である。また、特許文献2においても、2段階の蒸留を必要としている。さらに、特許文献3においても、複数の蒸留工程に続く処理を必要としている。さらに、これらの文献には、フッ素系化合物を不純物として含むアセトニトリルから、高純度のアセトニトリルを得る方法は開示されていない。
【0007】
フッ素系界面活性剤の合成用溶媒として使用されたアセトニトリルの精製においては、ヘキサフルオロプロペン二量体や三量体から副生される低沸点のフッ素系不純物が水と同様にアセトニトリルと共沸してしまうため、単蒸留による精製では高純度のアセトニトリルを得ることは困難である。また、多段階蒸留や理論段数の高い精留塔を用いた精密蒸留を実施することで精製は可能であるが、設備の面から見て簡便な精製方法とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭61−54022号公報
【特許文献2】特表2004−504293号公報
【特許文献3】特開2008−247893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、フッ素系化合物及び水を含む汚染アセトニトリルから簡便な方法により高純度のアセトニトリルを得る方法を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フッ素系化合物及び水を含む汚染アセトニトリル溶液に、a)前記汚染アセトニトリルと塩基とを混合し、得られた混合液からアセトニトリル層を分離する工程、b)前記工程a)で得られたアセトニトリル層と固体吸着剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、c)前記工程b)で得られたアセトニトリルと固体脱水剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、及びd)前記工程c)で得られたアセトニトリルを蒸留する工程を施すことにより、フッ素系化合物、水等の不純物をほとんど含まない高純度のアセトニトリルが得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、更に鋭意検討して完成されたものである。すなわち、本発明は、下記項1〜5に示す精製方法を提供する。
【0011】
項1. フッ素系化合物及び水を含む汚染アセトニトリルからアセトニトリルを精製する方法であって、
a)前記汚染アセトニトリルと塩基とを混合し、得られた混合液からアセトニトリル層を分離する工程、
b)前記工程a)で得られたアセトニトリル層と固体吸着剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、
c)前記工程b)で得られたアセトニトリルと固体脱水剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、及び
d)前記工程c)で得られたアセトニトリルを蒸留する工程
を有するアセトニトリルの精製方法。
【0012】
項2. 前記工程a)の塩基が、式:M(OH)及び式:MCO[式中、MはLi、Na又はK]からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の水溶液である項1に記載のアセトニトリルの精製方法。
【0013】
項3. 前記工程b)の固体吸着剤が、金属酸化物、無機の合成吸着剤、シリカゲル及びCa化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である項1又は2に記載のアセトニトリルの精製方法。
【0014】
項4. 前記工程c)の固体脱水剤が、モレキュラーシーブス、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び水素化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である項1〜3のいずれかに記載のアセトニトリルの精製方法。
【0015】
項5. 前記工程d)の蒸留が単蒸留である項1〜4のいずれかに記載のアセトニトリルの精製方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアセトニトリルの精製方法によれば、蒸留工程の前に、フッ素系化合物、水及びその他の不純物で汚染されたアセトニトリルに特定の前処理を特定の順番で施すことにより、フッ素系化合物、水、その他の不純物を殆ど含まない高純度の精製アセトニトリルが得られる。また、本発明の精製方法によって得られたアセトニトリルは、高純度であるため、合成反応用の溶剤等、様々の用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のアセトニトリルの精製方法について、詳述する。
【0018】
本発明のアセトニトリルの精製方法は、フッ素系化合物及び水を含む汚染アセトニトリルからアセトニトリルを精製する方法であって、
a)前記汚染アセトニトリルと塩基とを混合し、得られた混合液からアセトニトリル層を分離する工程、
b)前記工程a)で得られたアセトニトリル層と固体吸着剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、
c)前記工程b)で得られたアセトニトリルと固体脱水剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、及び
d)前記工程c)で得られたアセトニトリルを蒸留する工程
を有することを特徴とする。
【0019】
工程a)について
本発明の工程a)は、フッ素系化合物及び水を含む汚染アセトニトリルと塩基とを混合し、得られた混合液からアセトニトリル層を分離する工程である。
【0020】
本発明者は、工程a)において、汚染アセトニトリルと塩基とを混合することにより、汚染アセトニトリルに含まれる、副生された不純物であるフッ素系化合物からフッ化物塩に一部遊離することを見出した。遊離したフッ化物塩は塩基水溶液中にも溶け込む。このフッ化物塩を含む塩基水溶液層とアセトニトリルの層とを分離することにより、汚染アセトニトリルからフッ化物塩を一部分離除去することができる。
【0021】
また、工程a)で塩基処理を施すことにより、汚染アセトニトリルに含まれるフッ化物塩量が減少し、さらに工程a)で得られたアセトニトリル層に含まれる残りのフッ素系化合物は、工程b)における固体吸着剤に吸着されやすくなる。
【0022】
汚染アセトニトリルに含まれる該フッ素系化合物は特に限定されず、種々のフッ素系化合物が含まれていてもよい。不純物として含まれるフッ素系化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤の製造工程で副生するフッ素系化合物が挙げられる。
【0023】
また、汚染アセトニトリルには、フッ素系化合物、水の他に、他の不純物が含まれていてもよい。他の不純物としては、塩基性化合物、アルキレンオキサイド化合物、界面活性剤、フッ素系界面活性剤の製造工程で生じる化合物、その他の分析不能な不純物等が挙げられる。
【0024】
当該塩基性化合物は、芳香族、脂肪族、脂環式の有機塩基、一般的な無機塩基であり、これらのいずれもが不純物として含まれていてもよい。有機塩基としては、トリエチルアミン等が挙げられる。また、無機塩基としては、水酸化カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。また、不純物として含まれ得るアルキレンオキサイド化合物としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ビスフェノールA誘導体等が挙げられる。さらに、フッ素系界面活性剤の製造工程で生じる化合物としては、ヘキサフルオロプロピレン由来の含フッ素低沸点化合物等が挙げられる。
【0025】
汚染アセトニトリルに含まれるフッ素系化合物の量は、精製に供される汚染アセトニトリル全体量中、通常15〜50000ppm程度、好ましくは15〜10000ppm程度である。
【0026】
また、汚染アセトニトリルに含まれる水の量は、精製に供される汚染アセトニトリル全体量中、通常0.1〜10重量%程度、好ましくは0.1〜5重量%程度である。
【0027】
本発明においては、例えば、フッ素系界面活性剤の合成工程において減圧下で回収して得られた汚染アセトニトリルをそのまま工程a)に供することができる。汚染アセトニトリルに含まれる他の不純物の合計量は、精製に供される汚染アセトニトリル全体量中、通常0.1〜20重量%程度、好ましくは0.1〜10重量%程度である。
【0028】
また、工程a)で使用される塩基は、前記フッ素系化合物をアセトニトリルから遊離できる化合物であれば特に限定されない。塩基としては、塩基性水溶液が好ましい。例えば、式:M(OH)で表される化合物、式:MCOで表される化合物の水溶液等が好ましく使用できる。式中、MはLi、Na又はKである。これらの中でも、KOH、NaOH、KCO、NaCOの水溶液が特に好ましい。工程a)で使用される塩基は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
また、塩基が水溶液である場合、塩基性水溶液の濃度は、通常20〜80重量%程度、好ましくは40〜60重量%程度である。
【0030】
塩基の使用量は、汚染アセトニトリル100重量部に対して、通常、1〜30重量部程度、好ましくは5〜15重量部程度である。
【0031】
工程a)の混合温度は、通常10℃から工程a)の混合溶液が還流する温度程度、好ましくは50〜70℃程度である。
【0032】
工程a)において、前記汚染アセトニトリルと塩基との混合液からアセトニトリル層を分離する方法は、特に限定されないが、例えば、ろ過、分液等の方法により、アセトニトリル層を分離することができる。
【0033】
工程b)について
工程b)は、前記工程a)で得られたアセトニトリル層と固体吸着剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリル層を分離する工程である。
【0034】
工程b)により、前記工程a)で得られたアセトニトリル層に残存するフッ素系化合物が固体吸着剤により吸着され、アセトニトリル層に含まれるフッ素化合物がかなりの程度除去される。
【0035】
工程b)で使用される固体吸着剤は、通常、多量の正吸着を生じさせるような界面を提供する物質であり、フッ素系化合物を固定させるものであれば、特に限定されない。このような固体吸着剤としては、例えば、金属酸化物、無機の合成吸着剤、シリカゲル、Ca化合物等が挙げられる。
【0036】
金属酸化物としては、活性アルミナ、水酸化アルミニウム等のAl元素を含む酸化物、酸化マグネシウム等のMg元素を含む酸化物が挙げられる。無機の合成吸着剤としては、例えば、キョーワード300、500、1000、2000(協和化学工業株式会社製)等が挙げられる。Ca化合物としては、例えば、塩化カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0037】
固体吸着剤としては、金属酸化物が好ましい。また、固体吸着剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0038】
固体吸着剤の使用量は、工程a)で得られたアセトニトリル層100重量部に対して、通常、1〜30重量部程度、好ましくは10〜20重量部程度である。
【0039】
工程b)の温度は、通常10℃から工程b)の混合溶液が還流する温度程度、好ましくは50℃から工程b)の混合溶液が還流する温度程度である。工程b)は、加熱還流下に行うことが好ましい。
【0040】
前記工程a)で得られたアセトニトリル層と固体吸着剤との混合物からアセトニトリルを分離する方法は、特に限定されず、濾過等の方法により、固体と液体を分離すればよい。
【0041】
工程c)について
工程c)は、前記工程b)で得られたアセトニトリル層と固体脱水剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程である。
【0042】
当該脱水工程により、前記工程b)で得られたアセトニトリル層に含まれる水をアセトニトリルから分離除去することができる。
【0043】
工程c)で使用される固体脱水剤は、水を分離除去できるものであれば特に限定されず、例えば、モレキュラーシーブス、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、水素化カルシウム、固体塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等)等の一般的に使用される固体脱水剤を使用することができる。
【0044】
工程c)の温度は、通常10℃〜50℃程度、好ましくは10〜30℃程度である。これは、温度が高すぎても低すぎても固体脱水剤の脱水能力が低下するためである。
【0045】
前記工程b)で得られたアセトニトリルと固体脱水剤との混合物からアセトニトリルを分離する方法は、特に限定されず、濾過等の方法により固体と液体を分離する方法、又は分液等の方法により、アセトニトリル層を分離する方法を採用すればよい。
【0046】
工程d)について
工程d)は、前記工程c)で得られたアセトニトリルを蒸留する工程である。
【0047】
工程d)により、フッ素系化合物や水といった不純物をほとんど含まないアセトニトリルを留出させることができると共に、その他の不純物も缶出させることができる。かかる蒸留工程により、着色成分等の不純物も缶出され、留出したアセトニトリル中に含まれる不純物の量も低減される。従って、工程d)を経たアセトニトリルは、アセトニトリル以外の成分をほとんど含まない。
【0048】
なお、工程c)と工程d)においては、工程c)におけるアセトニトリルと脱水剤との混合物をろ過等により分離せず、そのまま工程d)の蒸留工程に供してもよいが、ろ過してから蒸留工程に供することがより好ましい。
【0049】
アセトニトリルの蒸留工程では、一般に精留が行われるが、本発明の精製方法によれば、工程a)〜c)の後に蒸留工程d)を設けることにより、アセトニトリルとの分離が難しいフッ素系化合物や水の除去を容易に行うことができ、高純度のアセトニトリルを得ることができる。すなわち、本発明の工程d)の蒸留工程は、多段階蒸留等により精留を行っても良いが、単蒸留であってもほとんど不純物を含まない高純度のアセトニトリルが得られる。本発明の精製方法によれば、単蒸留によっても十分にフッ素系化合物等の不純物を除去できるため、蒸留工程の設備やコストの点で優れている。
【0050】
単蒸留の方法は、例えば次のように行うことができる。工程c)で得られたアセトニトリル及び必要に応じて沸石を容器(ナスフラスコ等)に入れ、油浴等で容器を85〜120℃程度、好ましくは90〜105℃程度に加熱する。初留を1割程度とり、その後本留として精製されたアセトニトリルを8〜9割程度得る。後留及び釜残としては、通常0.5〜1割程度である。蒸留収率は、通常、80〜85%程度である。
【0051】
以上の工程a)〜d)を含む精製方法によって得られる精製アセトニトリルの純度は、ガスクロマトグラフィーによる純度測定で、通常99.80〜99.99area%程度、好ましくは99.90area%以上程度である。
【0052】
また、該精製アセトニトリルに含まれるフッ素系化合物の濃度は15ppm以下、好ましくは10ppm以下である。該精製アセトニトリルに含まれる水の濃度は1000ppm以下、好ましくは500ppm以下である。なお、本発明において、精製アセトニトリルに含まれるフッ素系化合物の濃度は、イオンクロマト測定により行って得られたフッ素イオン濃度の値である。また、精製アセトニトリルに含まれる水の濃度は、カールフィッシャー法によって得られた水分量の値である。
【0053】
本発明の精製方法により得られた精製アセトニトリルは、純度が高いため、種々の用途に再利用することができる。特に、フッ素系界面活性剤の合成用の溶媒として使用して得られた汚染アセトニトリルを本発明の精製方法に供することにより、得られた精製アセトニトリルはフッ素系化合物や水等の不純物をほとんど含まず、フッ素系界面活性剤の合成用の溶媒として再利用することができる。
【0054】
本発明の精製アセトニトリルを用いて製造できるフッ素系界面活性剤としては、例えば、ネオス社製のフタージェント250、251、FTX−218等が挙げられる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、フッ素化合物量の定量はフッ素イオン濃度測定により実施した。
【0056】
実施例1
表1に記載の濃度のフッ素イオン(フッ素系化合物)、水、その他不純物を含む汚染アセトニトリル(フッ素形界面活性剤の合成溶媒として使用した後に減圧蒸留で回収されたアセトニトリル)1000gに、水酸化カリウム水溶液(50%)を50g添加した。その後、分液でアセトニトリル層のみを995g取り出し、このアセトニトリルに活性アルミナを100g添加してフッ素系化合物を吸着させた。これを濾過後、得られた混合液924gをモレキュラーシーブス3Aにより脱水した。これを濾過して得られたアセトニトリル856gを単蒸留に供し、不純物を缶出させ、アセトニトリル715gを留出させた。得られた精製アセトニトリルは、フッ素系化合物15ppm以下、水分量1000ppm以下、純度99.8area%(ガスクロマトグラフィー測定値)以上のものであった。結果を表1に示す。
【0057】
実施例2
実施例1と同様の手順で、汚染度合いの異なるアセトニトリルの再生を実施した。結果を表1に示す。
【0058】
実施例3
実施例1と同様の手順で、汚染度合いの異なるアセトニトリルの再生を実施した。結果を表1に示す。
【0059】
比較例1
工程b)以降を省いた実施例1の手順で、汚染アセトニトリルからアセトニトリルを精製した。吸着工程b)以降を省くと、フッ素系化合物の固定化がされず、フッ素化合物が多く残存したアセトニトリルが得られた。結果を表1に示す。
【0060】
比較例2
工程c)以降を省いた実施例1の手順で、アセトニトリルの再生を実施した。脱水工程を省くと、水の除去がされず、含水のアセトニトリルが得られた。結果を表1に示す。
【0061】
比較例3
工程d)を省いた実施例1の手順で、アセトニトリルの再生を実施した。蒸留工程を省くと不純物の除去が出来ず、純度の低いアセトニトリルが得られた。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素系化合物及び水を含む汚染アセトニトリルからアセトニトリルを精製する方法であって、
a)前記汚染アセトニトリルと塩基とを混合し、得られた混合液からアセトニトリル層を分離する工程、
b)前記工程a)で得られたアセトニトリル層と固体吸着剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、
c)前記工程b)で得られたアセトニトリルと固体脱水剤とを混合し、得られた混合物からアセトニトリルを分離する工程、及び
d)前記工程c)で得られたアセトニトリルを蒸留する工程
を有するアセトニトリルの精製方法。
【請求項2】
前記工程a)の塩基が、式:M(OH)及び式:MCO[式中、MはLi、Na又はK]からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の水溶液である請求項1に記載のアセトニトリルの精製方法。
【請求項3】
前記工程b)の固体吸着剤が、金属酸化物、無機の合成吸着剤、シリカゲル及びCa化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のアセトニトリルの精製方法。
【請求項4】
前記工程c)の固体脱水剤が、モレキュラーシーブス、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び水素化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のアセトニトリルの精製方法。
【請求項5】
前記工程d)の蒸留が単蒸留である請求項1〜4のいずれかに記載のアセトニトリルの精製方法。