説明

アセナフト[1,2−b]キノキサリンのスルホ誘導体、それに基づくリオトロピック液晶および異方性フィルム

本発明は、一連の新しい化学化合物、リオトロピック液晶系(system)、材料、配合物、混合物、すなわち一般構造式:
【化1】


[式中、nは1〜4の範囲の整数であり、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数、かつm+z+n≦10であり、XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、Mは対イオンであり、そしてjは分子中の対イオン数である]
のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2003年11月21日に出願された「Sulfoderivatives of Acenaphtho[1,2-b]quinoxaline, Lyotropic Liquid Crystals and Anisotropic Film on their Base(アセナフト[1,2-b]キノキサリンのスルホ誘導体、それに基づくリオトロピック液晶および異方性フィルム)」と題する米国仮特許出願第60/524,068号の利益および同出願に基づく優先権を主張し、同出願の開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は概して有機化学の分野に関し、特に光学異方性コーティングに関する。より具体的には、本発明は、複素環式スルホ誘導体化合物およびその光学異方性コーティングの生産に関する。
【背景技術】
【0003】
現代科学技術の進歩には特定の制御可能な性質を持つ新素材に基づく光学素子の開発が必要である。特に、現代の視覚表示システムに必要な光学素子は、個々の表示モジュールの光学的特性に最適化された光学異方性フィルムである。
【0004】
先行技術では光学異方性フィルムの製造に用いられる様々なポリマー材料が知られている。これらのポリマーに基づくフィルム(膜)は、一軸延伸および有機色素またはヨウ素による着色によって光学異方性を獲得する。ポリビニルアルコールはこの用途によく使用されるポリマーの一つである。しかし、ポリビニルアルコールに基づくフィルムは熱安定性が低いため、その応用例は限定される。ポリビニルアルコールに基づくフィルムは、B.Bahadur編「Liquid Cyrstals−Applications and Uses」第1巻(World Scientific,シンガポール,ニューヨーク,1990年7月)の101頁に詳述されている。
【0005】
有機二色性色素は、光学異方性フィルムの生産において現在注目を集めつつある新しい種類の材料であり、望ましい光学的特性および作業特性を持つ。これらの材料に基づくフィルムは、色素分子によって形成される超分子の液晶(LC)水溶液を基板表面にコーティングした後、水を蒸発させることによって形成される。製造されたフィルムには、米国特許第2,553,961号に記述されているように、基礎を成す基板表面の物理的秩序化を前もって行なうことによって、または米国特許第5,739,296号および第6,174,394号に記載されているように、液晶基板材料に外から機械的配向力、電磁気的配向力、または他の配向力を加えることによって、異方性が吹き込まれる。
【0006】
色素溶液の液晶的挙動は知られている。しかし、例えば液晶ディスプレイ(LCD)や、くすり掛けなどといった、工業的用途へのこれら色素系液晶の利用が、大いに関心を呼ぶようになった。
【0007】
超分子はリオトロピック液晶(LLC)を形成する。色素分子が柱状に起こす実質的な分子秩序化または分子組織化は、これらの超分子液晶中間相を使って高二色性配向膜を作り出すことを可能する。
【0008】
超分子液晶中間相を形成する色素分子はユニークである。これらの色素分子は外縁に配置された官能基を含有し、それがその色素分子に水溶性を付与する。有機色素中間相は、参照によりそのまま本明細書に組み込まれる「Handbook of Liquid Crystals」(Wiley VCH,ワインハイム,1998)第2B巻の981〜1007頁、J.Lydon著「Chromonics」に詳述されているように、特有の構造、状態図、光学的性質および溶解性を特徴とする。
【0009】
高い光学異方性を特徴とする異方性フィルムは、二色性色素に基づくLLC系(system)から形成されうる。そのようなフィルムは、超分子複合体が起こす光吸収によるE型偏光子の性質も、「Compensator for Liquid Crystal Display(液晶ディスプレイ用補償子)」と題する同時係属中の関連出願、2004年3月2日出願の米国仮特許出願第60/549,792号(その開示は全て参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、移相子(retarder)および補償子(compensator)の性質も示す。移相子および補償子は、吸収が起こらないスペクトル領域で位相遅延性を持つフィルムである。フィルムの位相遅延性または位相補償性は、異常波(ne)と正常波(no)の屈折率の差で表される複屈折(birefringence)(Δn):
Δn=|no−ne
として知られる、それらの複屈折(double refraction)性によって決まる。媒質中の分子の配向および伝播の方向に依存して、neおよびnoは変化する。例えば、伝播の方向が光学軸または結晶軸と一致する場合は、常偏光(ordinary polarization)が主として観察される。これに対して、光が光学軸に対して直交するか、直角ではない何らかの角度で伝播する場合は、媒質から現われる光は、その異常波成分と正常波成分とに分離、分解されるだろう。
【0010】
有用なことに、高強度色素を使用すれば、光学的性質だけでなく、高い熱安定性および光安定性も特徴とするフィルムを作製することもできる。
【0011】
色素に基づくフィルムの新しい作製方法を成膜条件の操作によって開発することを目指す包括的な研究が、米国特許第5,739,296号および第6,174,394号ならびに特許出願公開EP961138に記載されている。特に興味深いのは、既知の色素に改質剤、安定剤、界面活性剤および/または他の添加剤を使用し、その結果としてフィルム特性を改善することによる、リオトロピック液晶の新しい組成物の開発である。
【0012】
異なる波長範囲で改善された選択性を持つ異方性フィルムの製造に対する需要は増え続けている。赤外領域から紫外領域まで及ぶ広いスペクトル波長にわたって異なる吸収極大を持つフィルムが、様々な技術領域で必要とされている。
【0013】
したがって、最近の多くの研究は、例えば参照によりそのまま本明細書に組み込まれるP.Yeh「Optical Waves in Layered Media」(ニューヨーク,John Wiley & Sons,Inc,1998)ならびにP.YehおよびC.Gu「Optics of Liquid Crystal Displays」(ニューヨーク,John Wiley & Sons,Inc.,1999)に記載されているものなど(ただしそれらに限定されるわけではない)、LCディスプレイ用および遠距離通信用途用の、等方性および/または異方性複屈折フィルム、偏光子、移相子または補償子(本明細書ではこれらを光学材料または光学フィルムと総称する)の生産に用いられる材料に向けられている。既知の方法および技術を使って複屈折超薄膜を作製することにより、有機色素LLC系(system)で構成される光学異方性フィルムを製造できることが見いだされている。赤色色素Vat Red 14のジスルホ酸に基づく結晶性光学異方性薄膜の生産に関する最近の報告が、Lazarev,P.およびPaukshto,M.「Thin Crystal Film Retarders(結晶薄膜移相子)」2000,Proceeding of the 7th International Display Workshops, Materials and Components(日本,神戸,11月29日〜12月1日)の1159〜1160頁により、ナフタレンテトラカルボン酸ジベンゾイミダゾールのシスおよびトランス異性体混合物:
【化1】

として、記載されている。この技術では、ガラス板などの基板上でのLC分子のコーティングおよび結晶化中に、フィルムの結晶軸の方向を制御することが可能である。成膜されたフィルムは組成が均一で、高い分子秩序および/または結晶秩序を持ち、二色比Kdは約28であるため、例えば偏光子、移相子、複屈折材料(例えば複屈折膜)または補償子など(ただしこれらに限定されるわけではない)の光学材料または光学フィルムとして有用である。
【0014】
ここで図1を参照して説明すると、分子配向された赤色色素に基づくフィルムは、通例、約500〜700nmの範囲の波長で0.4から0.9まで変化する大きな屈折率差、すなわちΔn=no−neを特徴とする高い異方性を示す。しかし、これらのフィルムは、色素が有意な吸収を示さない可視スペクトルの狭い領域、すなわち緑スペクトル領域で作動するので、その応用は限定される。
【0015】
クロモグリク酸ナトリウム(DSCG):
【化2】

に基づいて、可視領域で透明な複屈折薄膜が調製されている。DSCGで得られる配向膜の異方性はあまり高くない。屈折率の差Δnは約0.1〜0.13の範囲にある。しかしDSCGに基づくフィルムの厚さは広範にわたって変化させることができるので、膜の低い異方性特性にもかかわらず、所望の位相遅延効果を持つ膜を調製することが可能になる。これらの膜は、参照によりそのまま本明細書に組み込まれるT.Fiskeら「Molecular Alignment in Crystal Polarizers and Retarders(結晶偏光子および結晶移相子における分子配向)」Society for Information Display, Int. Symp. Digest of Technical Papers,マサチューセッツ州ボストン,5月19日〜24日,566〜569頁,2002に、詳細に議論されている。これらの膜の多くが持つ主な欠点は、LC分子の漸進的再結晶化および異方性低下につながるそれらの動的不安定性にある。
【0016】
水溶性有機色素に基づき、上述の技術を使って、他の異方性材料も合成されている。例えば米国特許第5,739,296号および第6,174,394号ならびに欧州特許EP0961138などを参照されたい。これらの材料は可視スペクトル領域に高い吸収を示し、それが、多くの用途に有利である一方で、透明な複屈折膜の形成へのそれらの応用を制限している。
【0017】
したがって、光学異方性であり、かつそれらが作動する領域で十分に透明なフィルムが、広く必要とされている。可視領域で透明な光学用のフィルムが必要とされている。それゆえに、異方性フィルムを合成し、調製するための改良された方法を提供することは望ましい。また、温度変化に対して耐性がある光学用のフィルムを提供することも望ましい。
【発明の開示】
【0018】
概して本発明は、一連の新しい化学化合物、すなわち一般構造式:
【化3】

[式中、nは1〜4の範囲の整数であり、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数であり、m+z+n≦10であり、XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、Mは対イオンであり、そしてjは分子中の対イオン数である]
を持つアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を提供する。
【0019】
もう一つの実施形態では、
【化4】

[式中、nは1〜4の範囲の整数であり、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数であり、m+z+n≦10であり、XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、Mは対イオンであり、そしてjは分子中の対イオン数である]
のいずれか1つまたは組合せの構造を持つ少なくとも1つのアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含む、リオトロピック液晶系(system)が提供される。
【0020】
さらにもう一つの態様では、光学異方性フィルムを形成させる方法が提供される。
【0021】
後述する図面が単に例示を目的としていることは当業者には理解されるだろう。図面は決して本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
ある態様では、本発明は、光学材料を生成させるための化合物および方法に関する。特に、それらの光学材料は、可視スペクトル領域において非吸収性であるか、弱い吸収しか示さない。もう一つの態様では、光学材料が、図2に図示するように高い複屈折を持つ少なくとも部分結晶性の異方性フィルムを製造するための、強化された安定性を持つリオトロピック液晶(LLC)相を形成することができる。
【0023】
本発明者らは、本発明の水溶性化合物、例えばアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体が、本明細書で明らかにした課題に対処することを見いだした。本発明のスルホ誘導体を合成する方法については後述する。
【0024】
ここで図2を参照して説明すると、本発明の例示的実施形態の光学材料は、実際に、複屈折性である。すなわち、neの値とnoの値は明らかに異なる。所定の波長領域において、複屈折の大きさは0.2〜0.4である。
【0025】
さらに図2を参照して説明すると、この光学材料は可視領域のかなりの部分にわたって、十分に透明である。約430nm以上では、配向の方向に対して平行方向の吸収係数(ke)および直角方向の吸収係数(ko)は、せいぜいしるしばかりである。アセナフト[1,2-b]キノキサリンおよびその誘導体は、他の既知の二色性色素のような、よく発達したπ電子共役系を持っていない。それゆえに、これらはUVスペクトル領域でしか吸収せず、可視スペクトル領域では吸収しないか、弱く吸収するに過ぎない。したがって図3に示すように、アセナフト[1,2-b]キノキサリンのスルホン化誘導体は、一般に、およそλ≒245nmおよび320nm付近に吸収極大を示す。
【0026】
本発明の一態様では、アセナフト[1,2-b]キノキサリンのスルホ誘導体が、広範囲の濃度、温度およびpH範囲にわたって強化された安定性を持つリオトロピック液晶(LLC)相を与える。これらのLLC相は、フィルム形成過程を容易にすると共に標準的なコーティング用装置でコーティングすることができ、それゆえに、高価で複雑な機器を使わずに、再現性あるパラメータでのフィルムの製造を容易にする、有機化合物から形成される。
【0027】
もう一つの態様では、最適な親水性-疎水性バランスを持つ、少なくとも1つのスルホ誘導体を含む、本発明の有機化合物またはその混合物が提供される。これは、ひいては、結果として生じる超分子のサイズおよび形状、ならびに超分子そのものにおける分子秩序化速度に影響を及ぼし、よって所望の溶解性を持つ分子または超分子構造の獲得を可能にする。適切な溶解度値は、製造されるLLC相の高い安定性を助長する。その結果、フィルムの再現性が改善され、フィルム形成の異なる段階における技術的条件の選択および制御に関する要件を減らすことにより、生産を簡単にする。さらに、基板上でのアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体超分子の配向における均一性の増加により、製造されるフィルムの光学性能が改善される。
【0028】
本発明のさらにもう一つの実施形態では、例えばUV/VIS偏光子、移相子、補償子、または複屈折(birefringent/double-refraction)材料などとして使用することができる無色または弱吸収性の光学フィルムが提供される。有利なことに、フィルムの高い光学異方性(例えば可視スペクトル領域でΔn=0.6まで)および高い透明度(例えば10-3程度の吸光係数)は、効率の良い単層型および多層型反射偏光子の設計を可能にする。有用なことに、この反射偏光子は、複屈折層が延伸ポリマーフィルムでできている従来のものと比較して(例えばWortman D.L.「A Recent Advance in Reflective Polarizer Technology(反射偏光子技術における最近の進歩)」(1997)Research Conf. and International Workshops on LCD Tech. And Emissive Tech., SID,1997,M98-M106を参照されたい)、本発明がおよそ100nm程度の厚さを持つ高複屈折層を提供できることである。これにより、同じ数の層を持つ比較的低複屈折性のポリマーフィルムよりも高い反射率および二色比が確保される。
【0029】
ある実施形態では、本発明の水溶性化合物は、一般構造式:
【化5】

[式中、
m+z+n≦10という制約の下で、
nは1〜4の範囲の整数であり、
mは0〜4の範囲の整数であり、
zは0〜6の範囲の整数であり、
XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2から個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である]
によって表されるアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含む。
【0030】
1つの対イオンが数分子に属する場合、jは分数であってもよい。nが1より大きい場合、対イオン同士は異なりうる。対イオンは、有機陽イオン、例えばNR4+(式中、Rはアルキル、シクロアルキルまたはそれらの組合せである)など(ただしこれに限定されるわけではない)であるか、無機陽イオン、例えばH+、NH4+、K+、Li+、Na+、Cs+、Ca++、Sr++、Mg++、Ba++、Co++、Mn++、Zn++、Cu++、Pb++、Fe++、Ni++、Al+++、Ce+++、La+++など(ただしこれらに限るわけではない)、またはそれらの組合せ(その有機対イオンおよび/または無機対イオンの混合物を含む)であることができる。
【0031】
以下、上記の一般構造式を参照して説明すると、m個のXが、仮にAと呼ぶ環内のどこにでも、または任意の組合せで存在しうることは、Xmの表現から当業者には理解されるだろう。同様に、z個のYが、仮にDおよびEと呼ぶ環内のどこにでも、または任意の組合せで置換されうることは、Yzの表現から当業者には理解されるだろう。また、n個のSO3-基も、環A、DおよびE上に、任意の組合せで存在することができる。本明細書において、同様に行なわれる化学構造中のこれらの置換基および他の置換基の表現は、同様に解釈されるべきである。
【0032】
本発明の一実施形態は、一般構造式:
【化6】

[式中、
nは1〜4の範囲の整数であり、
mは0〜4の範囲の整数であり、
zは0〜6の範囲の整数、かつm+z+n≦10であり、
XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である。
ただし、n=1であり、かつSO3-が1位を占める場合は、m≠0またはz≠0であるものとする]
のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含む。
【0033】
一態様として、実質的に1個のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含む化合物、好適な例示的スルホ誘導体には、以下の構造式I、IIA〜VIIIの化合物などがあり(ただしこれらに限定されるわけではない)、これらの構造式はスルホ基、X基およびY基の数および位置が異なる:
【化7】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数である]
【化8】

[式中、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である。ただし、n=1であり、かつSO3-が1位を占める場合は、m≠0またはz≠0であるものとする]
【化9】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数である]
【化10】

[式中、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]
【化11】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化12】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]
【化13】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化14】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]。
【0034】
各構造I、IIA〜VIIIについて、X基およびY基は、CH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群よりそれぞれ独立して選択され、Mは対イオンであり、そしてjは分子中の対イオン数である。1つの対イオンが数分子に属しうる場合、jは分数であってもよい。スルホ基の数が1を越える場合は、対イオン同士は異なることができる。
【0035】
随意に、本発明のスルホ誘導体は、他の既知の二色性色素、紫外領域で吸収せずそして/または安定なLLC相を形成することができる有機化合物、界面活性剤、添加剤、安定剤、改質剤または可塑剤と、互いにそして/または任意の組合せで配合または混合して、液晶系(system)または液晶組成物を形成させることもできる。一定の実施形態では、スルホ誘導体の系(system)、組成物または混合物がLLC相を形成する。その結果生じるLLC相は、溶媒除去後に、好ましい光学特性および高い複屈折を持つ部分結晶性異方性フィルムを形成しうる。上記の構造I〜VIIIでは、様々な陽イオン、例えばH+、N+H4、K+、Li+、Na+、Cs+、Ca++、Sr++、Mg++、Ba++、Co++、Mn++、Zn++、Cu++、Pb++、Fe++、Ni++、Al+++、Ce+++、La+++などから選択されるものなど、ならびに陽イオンの混合物を、対イオンとして使用することができる。
【0036】
本発明のもう一つの態様では、少なくとも1つの、一般構造式:
【化15】

[式中、
nは1〜4の範囲の整数であり、
mは0〜4の範囲の整数であり、
zは0〜6の範囲の整数、かつm+z+n≦10であり、
XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である]
のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含むリオトロピック液晶系(system)が提供される。
【0037】
有利なことに本発明は、本明細書に記載の一般構造式を持つ個別のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体または同スルホ誘導体の混合物を含む水性組成物であるLLC系(system)を提供する。予期される本発明の一実施形態によれば、そのようなLLC系(system)は、水および水と任意の比率で混和できる有機化合物または水と限られた範囲で混和できる有機化合物の混合物である。もう一つの例示的実施形態では、LLC系(system)が、約3質量%〜約60質量%の範囲のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体またはそれらの混合物を含む。様々な例示的実施形態では、LCCが、約7質量%〜30質量%の範囲のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体またはそれらの混合物を含む。一定の例示的実施形態では、LLC系(system)が約30%までの界面活性剤および/または約30%までの可塑剤も含みうる。
【0038】
本LLC系(system)では、要求される性質に応じて、個々のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の含有量が、以下の基準に従って変動しうる:
1.上記一般構造式のモノスルホ誘導体は約0%〜99%の範囲の質量濃度を持ち、より好ましくは、それぞれが、または合計で、約50%〜99%の範囲の質量濃度を持ちうる;
2.上記一般構造式のジスルホ誘導体は、それぞれが、または合計で、約0〜99%の範囲の質量濃度を持ち、より好ましくは、それぞれが、または合計で、約50%〜99%の範囲の質量濃度を持ちうる;
3.上記一般構造式のトリスルホ誘導体は、それぞれが、または合計で、約0〜30%の範囲の質量濃度を持ち、より好ましくは、それぞれが、または合計で、約10%〜20%の範囲の質量濃度を持ちうる;
4.上記一般構造式のテトラスルホ誘導体は、約0〜20%の範囲の質量濃度を持ち、より好ましくは、約5%〜10%の範囲の質量濃度を持ちうる。
【0039】
本LLC系(system)は、LLC相形成に参加することができる少なくとも1つの水溶性無色有機化合物または有機色素を、さらに含んでもよい。あるいは、本LLC系(system)は、少なくとも2つの、本明細書に開示する一般構造式の化合物であって、少なくとも2つの異なる置換基Xおよび/またはYを持つか、少なくとも1種類の置換基を2つの異なる位置に持つものを、さらに含んでもよい。
【0040】
ここで再び図3を参照して説明すると、アセナフト[1,2-b]キノキサリンのスルホ誘導体は一般に、水溶液中、近UV領域で、およそλ≒245および320nmの波長に吸収極大を持つ。エチル、メチル、塩素、および臭素などの置換基の導入は、一般に、対応する置換基を持たない同じ分子と比較して、考慮すべき吸収バンドシフトを引き起こさない。しかし、アミノ置換基およびヒドロキシ置換基の導入は、吸収バンドの広幅化を引き起こし、長波長領域へのシフトを誘発する。
【0041】
有用なことに、アセナフト[1,2-b]キノキサリン中のスルホ基の数および/またはX置換基および/またはY置換基の数および特徴を変えることにより、親水性および疎水性ならびに液晶(LC)溶液の凝集傾向および総合的粘度を変えることができる。したがって本発明は、外縁置換基の数および選択を変更することによって適切な光学的性質を持つフィルムを作り出すための化合物および方法を提供する。
【0042】
ある態様では、本発明のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体が光学異方性フィルムを形成する。
【0043】
本発明のもう一つの態様では、一般式:
【化16】

[式中、
nは1〜4の範囲の整数であり、
mは0〜4の範囲の整数であり、
zは0〜6の範囲の整数、かつm+z+n≦10であり、
XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である]
のスルホ誘導体の混合物、組成物または系(system)を含む光学フィルムが提供される。
【0044】
もう一つの態様として、本発明のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体は、安定なLLC系(system)を形成することができる。これらのアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体は、光学等方性フィルムまたは光学異方性フィルムの生産に適している。さらにもう一つの態様では、本アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体が、少なくとも部分結晶性のフィルムおよび/またはUV/VIS偏光性および/または複屈折性(double-refraction/birefringent)のフィルムおよび材料の製造用である。
【0045】
有用なことに、本明細書に記載するアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体は、個別に、または系(system)、混合物もしくは組成物の形で、光学等方性または光学異方性の偏光性および/または位相遅延性のフィルムまたは材料として作用することができる。そのような光学等方性フィルムまたは光学異方性フィルムの例示的組成物は、例えば少なくとも2つの、本明細書に開示する一般構造式のスルホ誘導体であって、少なくとも2つの異なる置換基Xおよび/またはYを持つか、少なくとも1種類の置換基を2つの異なる位置に持つものを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0046】
上述の組合せは、特に、本明細書に開示する一般構造式(ただしこれに限定されるわけではない)に従う個々のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含む異方性フィルムもしくは異方性材料、またはこれらの構造式の化合物の混合物を例えば無色の有機化合物、有機色素、界面活性剤、安定剤、添加剤、改質剤、ポリマーおよび/または可塑剤など(ただしこれらに限定されるわけではない)の有機化合物と共に、またはそのような有機化合物を伴わずに含む系(system)を与えることにより、本発明の技術的目標のいくつかの態様を表している。
【0047】
特定の実施形態では、本発明のフィルム(膜)、LLC系(system)、材料、混合物、組合せおよび配合物が、少なくとも1つの、本明細書に開示する一般構造式のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を、有機色素、有機化合物、界面活性剤、添加物、改質剤、安定剤もしくは可塑剤と共に、またはそれらを伴わずに含む。別の実施形態では、本発明のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体が、本明細書に開示する一般構造式の任意の構造を、有機色素、有機化合物、界面活性剤、添加剤、改質剤、安定剤または可塑剤と共に、またはそれらを伴わずに包含する。
【0048】
(光学フィルムを形成させる方法)
もう一つの態様として、本発明は、本明細書に開示するものに相当するLLC系(system)を基板上に成膜することによって異方性フィルムを調製する方法を提供する。
【0049】
本発明のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体は、安定なリオトロピック液晶(LLC)系(system)を形成する能力を持っている。
【0050】
水または任意の適切な溶媒に溶解した場合、本明細書に開示する一般構造式のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の分子および/またはそれらの混合物は、一組のトランプのように分子が平行に充填された非等方性(ロッド状)の超分子を形成する。溶液中の超分子の濃度が増加するにつれて、非等方性超分子の自然な秩序化が進行して、系(system)が液晶性(コロイド系)になるので、ネマティックリオトロピック中間相をもたらす。超分子は系(system)の運動単位として機能する。LC状態への転移が起こる濃度は、アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の比に依存し、それは約3質量%〜約60質量%の範囲にある。LC状態は、標準的な方法、例えば偏光顕微鏡法などにより、容易に確立される。
【0051】
LCは系(system)の前秩序(pre-ordered)状態であり、そこから、超分子複合体の配向とそれに続く溶媒の除去中に、異方性フィルムが現われる。本明細書に開示する一般構造式の個々のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体およびそれらの混合物のLC溶液(系(system))は、例えば米国特許第5,739,296号、第6,174,394号および第6,563,640号(その開示は参照によりそのまま本明細書に組み込まれる)に開示されている方法など、任意の既知の方法によって、基板表面上に成膜させ、その上で配向させることができる。例えば、望ましい分子配向は、剪断応力を加えるか、重力場または電場または磁場を加えることによって得ることができる。より良い基板表面の濡れおよびLC溶液のレオロジー的性質の改善のために、溶液に、例えば可塑化水溶性ポリマーおよび/または陰イオン界面活性剤もしくは非イオン界面活性剤などの改質添加剤をドープしてもよい。もう一つの選択肢として、低分子量水溶性化合物を使用することもできる。そのような添加剤は、LC溶液の配向を破壊しない化合物から選択される。
【0052】
配向膜(フィルム)から溶媒を除去すると、約0.1〜1.2ミクロンの厚さを持つ異方性フィルムが形成される。得られた層内で、分子面は互いに平行であるので、層の少なくとも一部で三次元結晶を形成する。そのような層は高度の異方性および少なくとも一方向について高い屈折率を持つ。可視スペクトル領域における配向方向に沿った屈折率と配向方向と交差する方向の屈折率との差は、およそ0.1〜0.6の範囲である。そのような高い複屈折は既知のポリマー移相子では達成されなかった。したがって本発明に基づく複屈折膜の遅延値は、同じ厚さの広く使用されているポリマー材料で達成される値よりも約10〜100倍高い。
【0053】
一実施形態として、超分子によって形成されるLLCから異方性透明フィルムを得る方法は、以下のステップを含む:
・基板(またはLCDの機能層、または多層構造の層の1つ)上へのこのLLCの成膜;前記LLCは揺変性を持つので、LLCは一定の温度にあり、かつ一定濃度の分散相を持たなければならない;
・成膜したLLCを、系(system)の粘度を低下させる何らかの外的衝撃(これは加熱、剪断による変形などであることができる)により、流動性が増加した状態に変換すること;外的衝撃は、その後の全配向過程中ずっと継続してもよいし、LLCが配向中に粘度の増加した状態に緩和する時間を持たないように必要な持続時間を持っていてもよい;
・LLCへの外的配向作用(これは、機械的に実行することも、他の任意の方法で実行することもできる);この作用の度合いは、LLCの運動単位が必要な配向を受けて、形成しつつある層内で将来の結晶格子の基礎になる構造を形成するように、十分でなければならない;
・形成しつつフィルムの配向領域の、一次外的作用によって達成された低下した粘度を持つ状態から、その系(system)の元のまたはより高い粘度を持つ状態への変換;これは、形成しつつあるフィルム中で構造の非配向化(disorientation)が起こらないような方法で、層の表面に欠陥が出現しないように行なわれる;
・終結操作は、形成しつつあるフィルムから溶媒を除去する工程であり、この間に異方性フィルムが形成される。望ましくは、本発明の異方性フィルムは、少なくとも部分結晶性であるが、その必要があるわけではない。光学異方性フィルムは、結晶格子単位内で、光学軸に1つに沿って約3.1〜3.7Åの範囲の面間隔を示す。原子レベルで距離を決定する標準的な方法には、例えばX線回折があるが、これに限定されるわけではない。
【0054】
(アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の合成)
本発明は、構造I〜VIIIのアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を合成する方法を提供する。
【0055】
例えば、M=Hである上記一般構造式のスルホ誘導体(以下、Xという)は、当業者に知られる様々な方法を利用して形成させることができる。例えば、本発明のスルホ誘導体は、反応式1に従って様々な濃度および温度で、アセナフト[1,2-b]キノキサリンまたはその誘導体IXを、例えば硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、またはそれらの組合せなどでスルホン化することによって、合成することができる。
【化17】

[式中、nは1〜4の範囲の整数であり、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数であって、式m+z+n≦10を満たし、XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、およびNO2からなる群より個別に選択される]。
【0056】
以下、反応式1を参照して説明すると、アセナフト[1,2-b]キノキサリンまたはその誘導体IXのスルホン化に続いて、誘導体XIの加水分解により、一般式Xのスルホ誘導体を合成することができる。
【0057】
アセナフト[1,2-b]キノキサリンおよびその誘導体の典型的スルホン化反応では、反応を有機溶媒中で進行させるか、またはニートで、例えばスルホン化剤を溶媒として用いて進行させることができる。
【0058】
あるいは、反応式2に示すように、アセナフテンキノンまたはその誘導体、例えば構造式XII(ただしこれに限定されるわけではない)とo-フェニレンジアミンまたはその誘導体、例えば構造式XIII(ただしこれに限定されるわけではない)との縮合反応によって、予期される本発明の構造の一つ、例えば構造式XIVを得ることにより、本発明のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を製造することもできる。
【化18】

【0059】
さらに反応式2を参照して説明すると、構造XII上には1個のスルホネート基しか存在しないが、構造XIIと構造XIIIとの縮合の前に、構造XII上には1以上のスルホネート基および/またはX基およびY基が存在しうるだろう。随意に、1以上のスルホネート基および/またはX基およびY基が、構造XIIの代わりにXIII上に存在してもよいだろう。あるいは、XIIおよびXIIIの両方が、1以上のスルホネート基、X基、Y基、またはそれらの組合せで置換されていてもよい。
【0060】
アセナフト[1,2-b]キノキサリンおよびその誘導体の合成に関するこれらの実施形態および他の実施形態を、以下に詳述する。
【0061】
例えば、本発明の一態様として、適切なスルホン化済みアセナフテンキノンと適切なスルホン化済みオルト-フェニレンジアミンとの縮合から、反応式3に従って、アセナフト[1,2-b]キノキサリンおよびその誘導体を得ることができる。
【化19】

【0062】
縮合反応は、例えば鉱酸、無機酸または有機酸など(ただしこれらに限定されるわけではない)の触媒の添加、熱、乾燥剤、脱水剤、水捕捉剤、水吸収剤、またはそれらの組合せなどによって、加速または促進することができる。
【0063】
縮合生成物は、当業者に知られる種々のスルホン化反応、例えばSO3ガス、発煙硫酸(oleium)、塩化チオニル、塩化スルホニル、発煙H2SO4、またはそれらの組合せを使った求電子芳香族置換反応、金属支援求核反応、フリーデルクラフト反応など(ただしこれらに限定されるわけではない)によって、さらにスルホン化することができる(ただしその必要があるわけではない)。
【0064】
第2の態様として、反応式4に示すように、非スルホン化フェニレンジアミンをスルホン化済みアセナフテンキノンと縮合させることによって、アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を合成することもできる。
【化20】

随意に、当業者に知られる種々のスルホン化反応、例えばSO3ガス、発煙硫酸、塩化チオニル、塩化スルホニル、発煙H2SO4、またはそれらの組合せを使った求電子芳香族置換反応、金属支援求核反応、フリーデルクラフト反応など(ただしこれらに限定されるわけではない)によって、縮合生成物をさらにスルホン化することもできる。
【0065】
第3の態様として、反応式5に示すように、スルホン化済みフェニレンジアミンを非スルホン化アセナフテンキノンと縮合させることによって、アセナフト[1,2-b]キノキサリンの誘導体を合成することができる。
【化21】

随意に、当業者に知られる種々のスルホン化反応、例えばSO3ガス、発煙硫酸、塩化チオニル、塩化スルホニル、発煙H2SO4、またはそれらの組合せを使った求電子芳香族置換反応、金属支援求核反応、フリーデルクラフト反応など(ただしこれらに限定されるわけではない)によって、縮合生成物をさらにスルホン化することもできる。
【0066】
もう一つの選択肢として、以下に反応式6を参照して説明すると、非スルホン化フェニレンジアミンと非スルホン化アセナフテンキノンとを縮合し、次に、例えばSO3ガス、発煙硫酸、塩化チオニル、塩化スルホニル、発煙H2SO4、またはそれらの組合せを使った求電子芳香族置換反応、金属支援求核反応、フリーデルクラフト反応など(ただしこれらに限定されるわけではない)によるスルホン化反応を行なう2段階法によって、アセナフト[1,2-b]キノキサリンが合成される。例えば
【化22】

【0067】
適切なフェニレンジアミン類はSigma-Aldrich(ウィスコンシン州ミルウォーキー,www.sigmaaldrich.com)またはDynamic Synthesis(ニュージャージー,ニューヨーク,www.dynamic-synthesis.com)から購入することができる。あるいは、AldrichまたはDynamic Synthesisから入手したフェニレンジアミン類を化学的に操作して、所望の置換フェニレンジアミン誘導体を得ることもできる。同様に、アセナフテンキノンはSigma Aldrich(ウィスコンシン州ミルウォーキー,www.sigmaaldrich.com)から購入するか、化学的に操作して所望の置換アセナフテンキノンを得ることができる。フェニレンジアミンおよびアセナフテンキノンを化学的に操作する方法は、例えば、参照によりそのまま本明細書に組み込まれるLarockら「Comprehensive Organic Transformations」第2版,Wiley,ニューヨーク州ニューヨーク(1999)などに記載されている。
【0068】
個々のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の分離および/または精製は、溶液状態にあるそれらの混合物からの分別結晶/沈殿によって行なうことができる。随意に、イオン交換カラム、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、選択的結晶化、誘導体化-分離、ゲル電気泳動、遠心分離、またはそれらの組合せによって、個々のスルホ誘導体を分離および/または精製することもできる。
【実施例】
【0069】
本発明の方法およびシステムに従っていくつかの実験を行なった。これらの実験は例示を目的とするに過ぎず、決して本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0070】
〔実施例1〕
アセナフト[1,2-b]キノキサリンのスルホン化によってアセナフト[1,2-b]キノキサリン-2-スルホン酸を合成した。アセナフト[1,2-b]キノキサリン(10g)を10%発煙硫酸(70ml)に投入し、室温で15時間撹拌した。反応マスを水(203ml)で希釈した。最終硫酸濃度は40%だった。沈殿物を濾過し、酢酸(約30ml)で洗浄した。濾過した沈殿物を120℃で風乾した。この方法により、アセナフト[1,2-b]キノキサリン-2-スルホ酸10.1gを得た。
1H NMR(Bruker AMX-400, DMSO-d6, d, ppm); 7.77 (q, 2H, 3 Hz); 7.89 (t, 1H, 8 Hz); 8.1-8.15 (m, 2H); 8.30 (dd, 2H, 7 Hz); 8.58 (s, 1H); 8.66 (s, 1H)。電子エネルギースペクトル(スペクトロメータUV/VIS Ocean PC 2000,水溶液):lmax1=245nmおよびlmax2=320nm。C18H10N2O3Sについての元素分析理論値: C 64.66; H 3.01; N 8.38;実測値: C 64.19; H 2.88; N 8.45。
【0071】
〔実施例2〕
アセナフト[1,2-b]キノキサリンのスルホン化によってアセナフト[1,2-b]キノキサリン-2,5-ジスルホン酸を合成した。アセナフト[1,2-b]キノキサリン(10g)を10%発煙硫酸(49ml)に投入し、30分間撹拌し、180〜190℃で30時間加熱した。次に、反応混合物を水(95ml)で希釈し、形成された沈殿物を濾過し、酢酸(約30ml)で洗浄した。濾過ケーキを120℃で風乾することにより、アセナフト[1,2-b]キノキサリン-2,5-ジスルホン酸8.2gを得た。
1H NMR (Bruker AMX-400, DMSO-d6, d, ppm): 7.82 (q, 2H, 3 Hz); 8.18 (q, 2H, 3 Hz); 8.24-8.36 (broad s, 2H); 8.62 (s, 4H)。C18H10N2O6S2についての元素分析理論値: C52.17;H2.43;N6.76;実測値:C52.02;H2.35;N6.56。
【0072】
〔実施例3〕
(3,4-ジアミノベンゼンスルホン酸とアセナフテンキノンとの縮合によって合成されたアセナフト[1,2-b]キノキサリン-9-スルホン酸)
3,4-ジアミノベンゼン-4-スルホン酸(15g)を酢酸(150ml)に懸濁したアセナフテンキノン(15.9g)に加えた。反応混合物を12.5時間還流した。固形物を分離し、酢酸(30ml)で洗浄し、120℃で3時間風乾することにより、所期の化合物(19.2g)を得た。
1H NMR (Bruker AMX-400, DMSO-d6, d, ppm): 7.81 (broad t, 2H); 8.07 (broad s, 2H); 8.14 (d, 2H, 8 Hz); 8.26 (q, 2H); 8.39 (broad s, 1H).
酸性プロトンは観察されなかった。
【0073】
〔実施例4〕
本発明に従って組成物およびフィルムを製造し、それを解析してフィルムの光学的特性を決定した。脱イオン水65gに、アセナフト[1,2-b]キノキサリンのスルホ誘導体の混合物(12g)を撹拌しながら20℃で加えた。次に、25%アンモニア水溶液5.3mlを加え、その混合物を完全に溶解するまで撹拌した。その溶液をロータリーエバポレーターで最初の体積の30%だけ濃縮し、メイヤーロッド#2.5を使って、20℃、線速度15mm・s-1、相対湿度65%でガラス板表面にコーティングした。フィルムを20℃、湿度65%で乾燥した。
【0074】
以下、図4を参照して説明すると、フィルムの光学的特性を決定するために、Cary-500分光光度計を使って400〜800nmの波長範囲の偏光で透過スペクトルを測定した。直線偏光で測定したフィルムの光学的透過により、コーティング方向に対して平行方向(Tpar)および直角方向(Tper)の透過スペクトルをグラフ化する。さらに図4を参照して説明すると、フィルムは可視スペクトル領域、特に430nmより上の領域では、極めてわずかな吸光度しか示さない。
【0075】
以下、再び図2を参照して説明すると、同様に、配向方向に対してそれぞれ平行方向(ne)および直角方向(no)の屈折率ならびに水平方向(ke)および直角方向(ko)の吸収係数を計算した。製造されるフィルムは光学異方性であり、可視スペクトル領域で0.25から0.55まで増加する高い遅延特性Δnを示す。低い吸収係数値koおよびkeは、フィルムの高い透明度を裏付けている。
【0076】
以下、図5を参照して説明すると、平行な偏光子の間に置かれた光学異方性フィルムに関して、様々な波長(例えば450nm、575nm、および700nm)における透過スペクトル対回転角が示されている。配向方向は角度0°に相当する。これらの測定により、偏光がフィルムを通過する時の偏光面の回転を観察することができる。
【0077】
本発明の実施態様に関する上記の説明は、例示と説明を目的として記載されている。これらは網羅的ではないし、開示された形態そのものに本発明を限定するものでもなく、上記の教示に照らして多くの変更態様、実施形態、および変形が可能であることは明らかである。また、本発明の範囲は、本願特許請求の範囲ならびに実施例およびそれらの等価物によって定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】先行技術に示されているようにスルホン化ナフタレンテトラカルボン酸ジベンゾイミダゾールから形成させたフィルムについて、遅延または複屈折(Δn)と波長との関係を表す図。
【図2】本発明のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホネート系(system)に関する吸収係数(ke,ko)のプロットを、同じ波長範囲における異常屈折率(配向方向に対して平行方向に測定)および正常屈折率(配向方向に対して直角方向に測定)の変化を表すプロットに重ね合わせた図。
【図3】予期される本発明のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホネート系(system)の1つの水溶液(濃度25mg/L)に関する吸収スペクトル。
【図4】予期される本発明のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホネート系(system)の1つから作製されたフィルムに関して、特定波長範囲における透過係数(Tpar,Tper)の変化を表す透過スペクトル。
【図5】平行な偏光子の間に置いた光学異方性フィルムに関して、波長450nm、575nm、および700nmにおける回転角に対する透過の関係を表す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般構造式:
【化1】

[式中、
nは1〜4の範囲の整数であり、
mは0〜4の範囲の整数であり、
zは0〜6の範囲の整数、かつm+z+n≦10であり、
XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である。
ただし、n=1であり、かつSO3-が1位を占める場合は、m≠0またはz≠0であるものとする]
のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体。
【請求項2】
構造式が、以下の構造I、IIA〜VIIIからなる群より選択される、請求項1のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体:
【化2】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数である]
【化3】

[式中、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である。ただし、n=1であり、かつSO3-が1位を占める場合は、m≠0またはz≠0であるものとする]
【化4】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数である]
【化5】

[式中、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]
【化6】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化7】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]
【化8】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化9】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である。
また、構造I、IIA〜VIIIのそれぞれについて、
XおよびYは、CH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である]。
【請求項3】
リオトロピック液晶系(system)を形成することができる、請求項1または2のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体。
【請求項4】
光学等方性フィルムまたは光学異方性フィルムを形成することができる、請求項1または2のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体。
【請求項5】
少なくとも1つの、一般構造式:
【化10】

[式中、
nは1〜4の範囲の整数であり、
mは0〜4の範囲の整数であり、
zは0〜6の範囲の整数、かつm+z+n≦10であり、
XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である]
のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含むリオトロピック液晶系(system)。
【請求項6】
前記アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の混合物を含む、請求項5のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項7】
アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の混合物を含み、
請求項5の構造であってn=1のモノスルホ誘導体が、約0質量%〜99質量%の濃度範囲で存在し、
請求項5の構造であってn=2のジスルホ誘導体が、約0質量%〜99質量%の濃度範囲で存在し、
請求項5の構造であってn=3のトリスルホ誘導体が、約0質量%〜30質量%の濃度範囲で存在し、そして
請求項5の構造であってn=4のテトラスルホ誘導体が、約0質量%〜20質量%の濃度範囲で存在する、請求項6のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項8】
水および水と混和できる有機溶媒の混合物に基づく、請求項5のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項9】
アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の含有量が約3質量%〜60質量%の範囲にある、請求項5のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項10】
アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の含有量が約7質量%〜30質量%の範囲にある、請求項9のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項11】
約30質量%までの界面活性剤をさらに含む、請求項5〜10のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項12】
約30質量%までの可塑剤をさらに含む、請求項5〜11のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項13】
前記請求項5の少なくとも1つのアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体と共に共通のリオトロピック液晶系(system)を形成することができる少なくとも1つの水溶性有機化合物をさらに含む、請求項5〜12のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項14】
少なくとも2つの異なる置換基Xmおよび/またはYzを持つか少なくとも1種類の置換基を2つの異なる位置に持つ少なくとも2つのスルホ誘導体を含む、請求項6〜13のリオトロピック液晶系(system)。
【請求項15】
少なくとも1つの、一般構造式:
【化11】

[式中、
nは1〜4の範囲の整数であり、
mは0〜4の範囲の整数であり、
zは0〜6の範囲の整数、かつm+z+n≦10であり、
XおよびYはCH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である]
のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含む光学異方性フィルム。
【請求項16】
前記アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体の混合物を含有する、請求項15の光学異方性フィルム。
【請求項17】
少なくとも1つの追加有機化合物をさらに含む、請求項15または16の光学異方性フィルム。
【請求項18】
異方性透明フィルムを形成させる方法であって、
超分子のリオトロピック液晶系(system)を作り出すために請求項5のアセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を適切な溶媒に溶解するステップ、
超分子によるリオトロピック液晶の層を基板上に塗布(成膜)するステップ、
塗布した層の粘度を低下させるためにリオトロピック液晶系(system)に外的衝撃を加えるステップ、
超分子を優先配向させるためにリオトロピック液晶系(system)に外的配向作用を加えるステップ、
超分子の優先配向を持つ成膜したリオトロピック液晶系(system)を少なくともその初期粘性値に戻らせるステップ、
前記リオトロピック液晶系(system)を乾燥するステップ、
を含む方法。
【請求項19】
外的配向作用が液晶の層の塗布と同時に適用される、請求項18の方法。
【請求項20】
偏光子を水不溶性にするために、乾燥した成膜層をさらに二価または三価金属塩の溶液で処理する、請求項18または19の方法。
【請求項21】
少なくとも部分結晶性である、請求項15〜17の光学異方性フィルム。
【請求項22】
面間隔が光学軸の1つに沿っておよそ3.1〜3.7Å程度の範囲にある、請求項21の光学異方性フィルム。
【請求項23】
少なくとも2つの異なる置換基を持つ少なくとも2つの前記アセナフト[1,2-b]キノキサリンスルホ誘導体を含む、請求項15〜17の異方性フィルム。
【請求項24】
複屈折性である、請求項21〜23の異方性フィルム。
【請求項25】
偏光性である、請求項21〜24の異方性フィルム。
【請求項26】
構造式が、以下の構造I、IIA〜VIIIおよびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項5のリオトロピック液晶系(system):
【化12】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数である]
【化13】

[式中、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化14】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数である]
【化15】

[式中、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]
【化16】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化17】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]
【化18】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化19】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である。
また、構造I、IIA〜VIIIのそれぞれについて、
XおよびYは、CH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である]。
【請求項27】
構造式が、以下の構造I、IIA〜VIIIおよびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項15の光学異方性フィルム:
【化20】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数である]
【化21】

[式中、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化22】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜6の範囲の整数である]
【化23】

[式中、mは0〜4の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]
【化24】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化25】

[式中、mは0〜3の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である]
【化26】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である]
【化27】

[式中、mは0〜2の範囲の整数であり、zは0〜4の範囲の整数である。
また、構造I、IIA〜VIIIのそれぞれについて、
XおよびYは、CH3、C2H5、OCH3、OC2H5、Cl、Br、OH、OCOCH3、NH2、NHCOCH3、NO2、F、CF3、CN、OCN、SCN、COOH、およびCONH2からなる群より個別に選択され、
Mは対イオンであり、そして
jは分子中の対イオン数である]。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−512236(P2007−512236A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536946(P2006−536946)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/038952
【国際公開番号】WO2005/051926
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】