説明

アゾメチン化合物を含有する添加剤

本発明は、オリゴマーのブロック化アミノシラン(アゾメチン構造)およびモノマーのブロック化第一級アミン(アゾメチン構造)とからの混合物に関する。この混合物は、殊に硬化剤、架橋剤および接着促進剤として適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性添加剤、この流動性添加剤の製造法および該流動性添加剤の使用に関する。
【0002】
硬化もしくは固化されるべき基材上、例えばポリマー表面上に補助剤の形で施与される多数の硬化剤、架橋剤および接着促進剤が公知である。実際には、硬化剤、架橋剤および接着促進剤として、ポリウレタン、シリコーン、アクリレート、ポリスルフィド、シリル化ポリマー(MS Polymer(R)、XMAP(R)、SPUR(R)等)およびエポキシド含有配合物、例えばエポキシド樹脂、エポキシド化ポリスルフィド等のために使用される補助剤が殊に要求される。このような補助剤の重要な一群は、DE−A−19849308に記載されているシロキサン−オリゴマー、例えばアミノプロピル−官能性−シロキサン−オリゴマーである。さらにまた、JP−B−7247295の中で説明されているように、ケチミン構造を有するモノマーの有機ケイ素化合物もこのような補助剤のベースを形成しうる。
【0003】
本発明の課題は、ハンドリング(特性決定(Kennzeichnung)、増感(Sensibilisierung)、揮発性有機化合物の含量=VOC、引火点等)に関して、および作用(反応性、皮膜形成等)の点で、硬化剤、架橋剤および/または接着促進剤として働く有機ケイ素化合物を含有する公知の補助剤に対して利点を提供する添加剤を準備することである。
【0004】
この課題の達成は、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とを100:0.1〜1:1のモル比において計>5質量%の割合で含有する流動性添加剤にあって、その際
Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)は、一般式
(I) RSi−(CH−(CR)−(CH−NH−R
[式中、
n=0または1;
およびRそれぞれ互いに無関係に=HまたはC〜Cn−アルキル(殊にメチル、エチル);
およびRそれぞれ互いに無関係に=Cl、OR、C〜C18n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)またはC〜C18分岐状アルキル(殊にイソプロピル);
=ClまたはOR
=C〜Cn−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜C分岐状アルキル(殊にイソプロピル)またはフェニル;
=H、CH−CH−NHまたはCH−CH−NH−CH−CH−NH]
の(例えば、式(CHO)Si−(CH−NHの化合物として存在する)アミノシランc)と、一般式
(II) R11−CO−R12
[式中、
11=C〜C30n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜C30分岐状アルキル(殊にイソプロピル)、C〜Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)、C〜C18アリール(殊にフェニル)、C〜C30アルキルアリール(殊にトルイル)またはH;
12=C〜C30n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜C30分岐状アルキル(殊にイソプロピル)、Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)、C〜C18アリール(殊にフェニル)またはC〜C30アルキルアリール(殊にトルイル);
またはR11およびR12を結合するC原子と一緒になったこのR11およびR12によって共に形成された環状C〜Cアルキル基(殊にシクロペンチル基またはシクロヘキシル基)]
の(例えば、s−ブチルメチルケトン、エチルメチルケトンまたはアセトンとして存在する)カルボニル化合物d)との、水およびSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分の中間生成物としての(現場での)形成下における反応によって、ただし、使用されるアミノシランc)1モル当たりにつき0.6〜1.2モル(通常0.6〜1モル)の中間生成物として形成された水が、水を反応成分として消費する、中間生成物として生じたこのSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分のオリゴマー化に利用でき、かつ
(例えば、式(CHC=N−(CH−)N=C(CHの化合物として存在する)アゾメチン成分B)が、以下の一般式
(III) X−N=CR2122
[式中、
21=C〜C30n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜C30分岐状アルキル(殊にイソプピル)、C〜Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)、C〜C18アリール(殊にフェニル)、C〜C30アルキルアリール(殊にトルイル)またはH;
22=C〜C30n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜C30分岐状アルキル(殊にイソプロピル)、C〜C−シクロアルキル(殊にシクロヘキシル)、C〜C18アリール(殊にフェニル)またはC〜C30アルキルアリール(殊にトルイル);
またはR21およびR22を結合するC原子と一緒になったこのR21およびR22によって共に形成された環状C〜Cアルキル基(殊にシクロペンチル基またはシクロヘキシル基);
X=それぞれ0〜3個の同じ種類のまたは異なった種類の−N=CR2122置換基を有するC〜C18n−アルキル基(殊にC〜Cn−アルキル、例えばn−ヘキシル)、C〜Cシクロアルキル基(殊にシクロヘキシル)またはC〜C18分岐状アルキル基(有利には、C〜Cアルキル基、例えばイソプロピル基)、Oおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜C18n−アルキル(殊にCH−CH−NH−CH−CH、CH−CH−O−CH−CH)、Oおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜Cシクロアルキル(殊にピロリジン基、ピペリジン基)またはOおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜C18分岐状アルキル基(有利には−CH−NH−CH(CH、−CH−O−CH(CH)]
によって記載されるという条件下で製造可能である。
【0005】
流動性添加剤とは、非常に幅広い意味において、添加剤が表面上に塗布可能である十分に低い粘度を有する全ての添加剤と理解されるべきである。
【0006】
Si−活性化可能とは、それぞれの化合物が、水分子によって攻撃されうる少なくとも1個のケイ素原子を有することを意味し、それによってオリゴマー化がSi−O−Si橋を介して生じる。通常、ケイ素原子の塩素置換基および/またはアルコキシ置換基は、"Si−活性化能"を保証する。上位概念の"アゾメチン成分"には、"ケチミン化合物"および"アルジミン化合物"が含まれる。
【0007】
使用されるアミノシランは、殊に以下のように製造されうる:製造変法i)
塩化アリル(Cl−CH−CH=CH)を、第一の工程においてトリクロロシラン(HSiCl)と反応させ、3−クロロプロピルトリクロロシラン(Cl−CH−CH−CH−SiCl)を得る。その後、この3−クロロプロピルトリクロロシランをエステル化し、3−クロロプロピルトリアルコキシシラン(Cl−CH−CH−CH−Si(OR))を得て、それを最後にアンモニアと反応させ(求核置換)、それによってアミノシランHN−(CH−Si(OR)を得る。
【0008】
製造変法ii)
アクリロニトリル(NC−CH=CH)をトリクロロシランと反応させ、NC−CH−CH−SiClを得る。得られた生成物をエステル化し、NC−CH−CH−Si(OR)を得る。続く水素化によって、最後にHN−(CH−Si(OR)を得る。
【0009】
アミノシランc)(例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン−Dynasylan(R)AMEO(Degussa AG)もしくはSilquest(R)A−1100(GE)の商品名で市販されている)とカルボニル化合物d)との反応に際して、第一の反応工程において、水の脱離下でケイ素−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分(ブロック化アミノシラン)が生じる。該シラン成分は一種の(現場での)中間生成物として、第一の反応工程において脱離した水と、Si−O−Si橋を形成するオリゴマー化の下で反応する。基礎となる反応メカニズムは、以下の例を基にして説明される。
【0010】
工程1−アミン基のブロック化
【化1】

【0011】
工程2−オリゴマー化
【化2】

→場合によっては、工程1において中間生成物として形成された水との反応によって進行するオリゴマー化
オリゴマー化(もしくは重合)の度合いは、利用できる水量に直接に依存する−一般には以下のことが当てはまる:準備される水が多ければ多いほど、それだけオリゴマー化度(もしくは重合度)は高い。本発明により、オリゴマー化度は、使用されるアミノシランc)1モル当たりにつき0.6〜1.2モル(通常0.6〜1モル)の中間生成物として形成された水が、水を反応成分として消費する、中間生成物として生じたSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分のオリゴマー化のために準備されるように調節される。次いで、結果的に生じるオリゴマーは、典型的に約2〜100(有利には約2〜20)の平均オリゴマー化度(数平均)を有する。(有利でない一実施態様において)、使用されるアミノシランc)1モル当たりにつき相応して1モルを上回る(1.2モルまで)水が準備される場合、これは通常、(中間生成物として形成された水の他に)付加的になお水が準備されなければならないことを意味し、このことは例えば(付加的な)水の添加によって達成される。当然のことながら、オリゴマー化度はまた、そのつど使用されるアミノシランc)が何個の脱離基(つまり、Siに結合したアルコキシ基および/またはクロロ基)を有するかにも依存する(Siに結合したアルキル基は、脱離基として働かない)。そのつど違った脱離基の数(つまり1〜3個)を有する異なった種のアミノシランc)の目的に合わせた/計量された使用によって、それゆえオリゴマー化度は同様に制御された形で影響を及ぼされうる。異なった種類のアミノシランc)を使用することが一般的に可能である。
【0012】
またカルボニル化合物c)として、異なった種の混合物が使用されうる。カルボニル化合物c)としてのホルムアルデヒドの使用は、環境および有毒性の理由に基づき考慮されていない。
【0013】
本発明による流動性添加剤は、相応する基材をとりわけ良好に濡らし、それによって相応に処理された表面上への効果的な皮膜形成が保証される。かなり高い割合のオリゴマーに基づき、流動性添加剤は比較的揮発性が低い成分を含有する。該添加剤は非増感性と見なされうることが前提とされるべきである。Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)(一般的に:オリゴマーのブロック化アミノシラン)はポリマーのOECD定義を満たすことから、従って相応する登録簿(ELINCS)に後からリストアップされる必要がない。かなり高いオリゴマー割合のさらなる一利点は、本発明による添加剤が比較的高い沸点(一般に140〜280℃)およびかなり高い引火点(たいてい90〜140℃)を有することにある。接着促進性、濡れ性および硬化性の特性に関しても、本発明による流動性添加剤は良好な結果を示す。架橋に際して、アゾメチン成分B)(ブロック化アミン)は、比較して、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)より素早く非ブロック化され(添加される水の影響下で)、それによって、流動性添加剤で処理される、架橋されるべき表面の一種の"前架橋"が達成される。異なった種のアゾメチン成分Bの混合物の使用によって、架橋特性に変更が加えられうる。多数のケースにおいて、上述の前架橋によって、架橋された基材の機械的特性が改善される。アゾメチン成分B)もしくはこのまだブロック化されていないアミン前駆生成物は、たいていの場合、かなり安価であり、かつそれゆえ本発明による添加剤の良好な経済性に寄与する。原則的に使用可能であるが、しかしながら本発明により考慮されていないのは、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)は含有するが、しかしながらアゾメチン成分Bは含有しない相応する添加剤である。
【0014】
本発明の有利な一実施態様において、流動性添加剤は付加的になお(例えば、式(CHSi−CH−N=C(CHの化合物として存在する)Si−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)を、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)に対して1:99〜1:3のモル比において含有し、その際、Si−不活性のモノマーのアゾメチンシラン化合物E)は、以下の一般式
(IV) R313233Si−(CH)m−(CR3435)−(CH−(Y−)N=CR4142
[式中、
m=0または1
34およびR35それぞれ互いに無関係に=HまたはC〜Cn−アルキル(殊にメチル、エチル);
31、32およびR33それぞれ互いに無関係に=C〜C18n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)またはC〜C18分岐状アルキル(殊にイソプロピル);
l=0〜2;
Y=NH−CH−CH
41=C〜C30n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜C30分岐状アルキル(殊にイソプロピル)、C〜Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)、C〜C18アリール(殊にフェニル)、C〜C30アルキルアリール(殊にトルイル)またはH;
42=C〜C30n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜C30分岐状アルキル(殊にイソプロピル)、C〜Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)、C〜C18アリール(殊にフェニル)またはC〜C30アルキルアリール(殊にトルイル);
またはR41およびR42を結合するC原子と一緒になったこのR41およびR42によって共に形成された環状C〜Cアルキル基(殊にシクロペンチル基またはシクロヘキシル基)]
によって記載される。
【0015】
このSi−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)は、Siに結合した脱離基を有さず、かつそれゆえオリゴマー化しえない。これらのSi−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)の混合物も使用されうる。
【0016】
本発明による流動性添加剤中でのモノマーのアゾメチンシラン成分E)(例えば、トリメチルシリルニトリル(例えば、Degussa AGのDynasylan(R)TMSCN)の水素化およびケトンおよび/またはアルデヒドとの引き続く反応によって製造可能)の存在により、該添加剤で処理された表面の疎水化が起こる。表面皮膜の耐水性が改善される。
【0017】
通常、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とは、20:1〜4:1のモル比において存在する。
【0018】
たいていの場合、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とは、流動性添加剤中で計70質量%を上回る割合で存在する。流動性添加剤がSi−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)を含有しない場合、該流動性添加剤はまた全体がまたはほぼ全体(すなわち、98質量%を超えて)が、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とから成る。
【0019】
Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)は、本発明による添加剤の重要な成分として、その性質に関連して、その製造の方法技術的な詳細に大いに依存する。それゆえ一般に、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)の製造に際して、アミノシランc)を、カルボニル化合物d)と1:0.9〜0.9:1.0のモル比において、有利には、しかしながら等モルで使用することが目的に適っている。
【0020】
使用されるアミノシランc)1モル当たりにつき0.7〜0.9モル(とりわけ有利には約0.8モル)の中間生成物として形成された水が、水を反応成分として消費する、中間生成物として生じたSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分のオリゴマー化に利用できる場合、有利であることが判明した。実際に、通常これは、水を反応成分として消費する、中間生成物として形成するSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分のオリゴマー化に利用されるべきでない、中間生成物として反応に際して生じる水の部分量が、これらが反応成分としてオリゴマー化に関与しないように除去されることによって達成される。例えばこれは、塩(例えば硫酸マグネシウム)、ゼオライト(例えば分子篩)等の脱水剤の、目的に合わせられ、計量された添加によって達成される。追加的にまたは代替的に、過剰の水も共沸蒸留により反応混合物から留去されうる。Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)が有する有利なオリゴマー化度(数平均)は、約2〜20のSi−単位(例えば、鎖および/または環)である。
【0021】
アミノシランc)とカルボニル化合物d)との反応は、一般に10〜200℃での、有利には80〜150℃での加熱によって行われる。
【0022】
本発明による流動性添加剤は、個々の成分、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)、場合によってはまた付加的にSi−不活性のモノマーアゾメチンシラン成分E)が一緒に添加されることで製造されえ、その際、これらの成分は前もってそれぞれ互いに別個に製造されている。しかしながら、アミノシランc)および一般式
(V) Z−NH
[式中、Z=それぞれ0〜3個の第一級アミノ基で置換されたC〜C18n−アルキル基(殊にC〜Cn−アルキル、例えばn−ヘキシル)、C〜Cシクロアルキル基(殊にシクロヘキシル)またはC〜C18分岐状アルキル基(有利には、C〜Cアルキル基、例えばイソプロピル基)、Oおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜C18n−アルキル基(殊にCH−CH−NH−CH−CH、CH−CH−O−CH−CH)、Oおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜Cシクロアルキル基(殊にピロリジン基、ピペリジン基)またはOおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜C18分岐状アルキル基(有利には−CH−NH−CH(CH、−CH−O−CH(CH)]
の(例えば、式NH−(CH−)NHの化合物として存在する)アミン成分とを装入し、かつカルボニル化合物d)と反応させることによって、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とを一緒に反応器中で製造することが有利である。
【0023】
一般式(V)の異なった種類の種のアミン成分も同時に使用されうる。場合によっては、Si−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)も、これが本発明による流動性添加剤中に含有されるべき場合は、相応する形で、前で挙げられた両成分A)およびB)と一緒に製造されうる。これは、相応する(まだ)ブロック化されていないSi−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)のアミノシラン−前駆生成物を開始時に上述の他の(まだ)ブロック化されていないアミン基を含有する成分A)およびB)の出発物質と一緒に装入し、引き続きこれらの("遊離")アミン基を含有するA)、B)およびC)の出発物質を相応してカルボニル化合物d)と反応させることによって達成される。
【0024】
Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)、ならびに場合によっては付加的にSi−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)が一緒に反応器中で製造される場合、実際に、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)の別個の製造に基づく、上で説明されたものと同じ方法技術的な原則および規定(殊に、温度管理、ならびに制御された水除去に関して)が適用される。
【0025】
さらに他の成分として、本発明による流動性添加剤はなお、一般式(VI)(例えばn−プロピルトリメトキシシラン)
(VI) R515253Si−R54
[式中、
51およびR52それぞれ互いに無関係に=Cl、OR55、C〜C18n−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)またはC〜C18分岐状アルキル(殊にイソプロピル);
53=ClまたはOR55
55=C〜Cn−アルキル(殊にメチル、エチル)、C〜C分岐状アルキル(殊にイソプロピル)またはフェニル;
54=C〜C30n−アルキル(有利にはC〜C10n−アルキル−殊にメチル、エチルn−プロピル)、C〜C30分岐状アルキル(有利にはC〜C10分岐状アルキル−殊に殊にイソプロピル)、C〜Cシクロアルキル(殊にシクロヘキシル)、C〜C18アリール(殊にフェニル)またはC〜C30アルキルアリール(有利にはC〜C10アルキルアリール−殊にトルイル)]
のSi−活性化可能なアルキルシランまたはアリールシランF)を含有してよい。
【0026】
これらのSi−活性化可能なアルキルシランまたはアリールシランF)は、これらが水の存在下で、上述の反応原則("工程2−オリゴマー化")に従ってオリゴマー化することにより脱水剤として実際に作用する。
【0027】
それゆえ、通常、Si−活性化可能なアルキルシランまたはアリールシランF)は(Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)のように)、本発明による添加剤中でオリゴマーとして−ホモオリゴマーとしてか、または有利には、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)のみならずまたSi−活性化可能なアルキルシランまたはアリールシランF)も有するコオリゴマーとして存在する。Si−活性化可能なアルキルシランまたはアリールシランF)は安価であり、それゆえ殊に該添加剤の経済性を改善する。
【0028】
上で記載された本発明による流動性添加剤は、接着剤およびシーラント中の接着促進剤および架橋剤として、有機樹脂の変性および架橋のために、塗料およびラッカー中のバインダーとして、ガラス繊維および炭素繊維のコーティングのために、充填された熱可塑性コンパウンド中の接着促進剤として、鉱物表面、有機物表面および金属表面の処理のために、表面の疎水化のために、粉状物質の表面変性のためにならびに充填剤および顔料のシラン化のために適している。
【0029】
以下で、本発明は例に基づいて詳細に説明される。
【0030】
比較例1(アゾメチン成分B)不在):
真空装置、計量供給装置および蒸留装置を有するガラス製の1Lの攪拌反応器中で、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(R)AMEO−Degussa AG)221gを20分以内に、水不含の硫酸マグネシウム24gと混合した4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン)200g中に滴下し、引き続き還流および保護ガス(窒素)下で180分のあいだ120℃で沸騰するまで加熱する。冷却後にろ過し、低沸点物を排出する。
【0031】
比較例2(アゾメチン成分B)不在):
真空装置、計量供給装置および蒸留装置を有するガラス製の1Lの攪拌反応器中で、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest(R)A−1110−GE)179gおよびn−プロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(R)PTMO−Degussa AG)15.2gを20分以内に、4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン)200g中に滴下し、引き続き還流および保護ガス(窒素)下で180分のあいだ120℃で沸騰するまで加熱した冷却後にろ過し、低沸点物を排出する。
【0032】
実施例1(本発明による):
真空装置、計量供給装置および蒸留装置を有するガラス製の1Lの攪拌反応器中で、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(R)AMEO−Degussa AG)221gおよびエチレンジアミン(Aldrich)3gを20分以内に、水不含の硫酸マグネシウム26gと混合した4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン)205g中に滴下し、引き続き還流および保護ガス(窒素)下で180分のあいだ120℃で沸騰するまで加熱する。冷却後にろ過し、低沸点物を排出する。
【0033】
使用例1:
D.E.R.331(Dow Chemicalの液体のビスフェノール A エポキシド樹脂)10g、ST−67(Hanse−Chemie)液体のシリル化ポリウレタン90gおよびHeloxy(R)Modifier 8(Hexion)液体の脂肪族モノグリシジルエーテル5gを、室温でHausschild社のSpeedmixer(R)中で約30秒間混合し、かつ比較例1および2ならびに実施例1からの添加剤10gずつと湿度排除下で混合する。最後に約30秒間混合する。
【0034】
製造した混合物の200μmの厚さの皮膜をガラス板上にナイフ塗布し、かつ23℃/相対湿度50%で架橋させる。
【0035】
3つの全ての皮膜は架橋する−しかしながら、実施例1による皮膜は比較例1および2によるそれぞれの皮膜より素早く架橋する。表面はそれぞれほぼ不粘着性である。
【0036】
使用例2:
D.E.R.331(Dow Chemical)5質量%、Polypox R 24(UPPC AG)1質量%およびST−67(Hanse−Chemie)20質量%を、PPG 3000(Dow Chemicalのポリプロピレングリコール)10質量%およびメチルイソブチルケトン0.7質量%と真空下で30分間遊星形ミキサー中で混合する。引き続き、Socal U1S2(Solvay Chemicals GmbHの沈殿チョーク)20質量%、Omyacarb 2T−AV(Omya International AGの粉砕チョーク)31.95質量%およびDynasylan VTMO(Degussa AGのビニルトリメトキシシラン)0.8質量%を120分間真空下で分散させる。最後に、湿度排除下で比較例1および2ならびに実施例1からの添加剤9.25質量%、Dynasylan(R)GLYMO(Degussa AGの3−グリシジルプロピルトリメトキシシラン)0.8質量%およびBNT−CAT 440(BNT Chemicals GmbHのジブチル−スズ−ジケトネート)0.5質量%を添加し、かつ30分間分散させる。
【0037】
製造した混合物の約4mmの厚さの接着剤層をテフロン鋳型に注ぎ、かつ標準雰囲気:23℃/相対湿度50%で硬化する。
【0038】
そのつど0.2mmの厚さの皮膜をナイフ塗布する。
【0039】
3つの全ての皮膜は架橋する−しかしながら、実施例1による皮膜は比較例1および2によるそれぞれの皮膜より素早く架橋する。表面はそれぞれほぼ不粘着性である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とを100:0.1〜1:1のモル比において計>5質量%の割合で含有する流動性添加剤であって、その際
Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)が、一般式
(I) RSi−(CH−(CR)−(CH−NH−R
[式中、
n=0または1;
およびRそれぞれ互いに無関係に=HまたはC〜Cn−アルキル;
およびRそれぞれ互いに無関係に=Cl、OR、C〜C18n−アルキル、C〜CシクロアルキルまたはC〜C18分岐状アルキル;
=ClまたはOR
=C〜Cn−アルキル、C〜C分岐状アルキルまたはフェニル;
=H、CH−CH−NHまたはCH−CH−NH−CH−CH−NH]
のアミノシランc)と、一般式
(II) R11−CO−R12
[式中、
11=C〜C30n−アルキル、C〜C30分岐状アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C18アリール、C〜C30アルキルアリールまたはH;
12=C〜C30n−アルキル、C〜C30分岐状アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C18アリールまたはC〜C30アルキルアリール;
またはR11およびR12を結合するC原子と一緒になったこのR11およびR12によって共に形成された環状C〜Cアルキル基]
のカルボニル化合物d)との、水およびSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分の中間生成物としての形成下における反応によって、ただし、使用されるアミノシランc)1モル当たりにつき0.6〜1.2モルの中間生成物として形成された水が、水を反応成分として消費する、中間生成物として生じたSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分のオリゴマー化に利用でき、かつ
アゾメチン成分B)が、以下の一般式
(III) X−N=CR2122
[式中、
21=C〜C30n−アルキル、C〜C30分岐状アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C18アリール、C〜C30アルキルアリールまたはH;
22=C〜C30n−アルキル、C〜C30分岐状アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C18アリールまたはC〜C30アルキルアリール;
またはR21およびR22を結合するC原子と一緒になったこのR21およびR22によって共に形成された環状C〜Cアルキル基;
X=それぞれ0〜3個の同じ種類のまたは異なった種類の−N=CR2122置換基を有するC〜C18n−アルキル基、C〜Cシクロアルキル基またはC〜C18分岐状アルキル基、Oおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜C18n−アルキル基、Oおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜Cシクロアルキル基またはOおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜C18分岐状アルキル基]
によって記載されるという条件下で製造可能である、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とを100:0.1〜1:1のモル比において計>5質量%の割合で含有する流動性添加剤。
【請求項2】
Si−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)を、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)に対して1:99〜1:3のモル比において含有する、請求項1記載の流動性添加剤であって、その際、Si−不活性のモノマーのアゾメチンシラン化合物E)が、以下の一般式
(IV) R313233Si−(CH−(CR3435)−(CH−(Y−)N=CR4142
[式中、
m=0または1
34およびR35それぞれ互いに無関係に=HまたはC〜Cn−アルキル;
31、32およびR33それぞれ互いに無関係に=C〜C18n−アルキル、C〜CシクロアルキルまたはC〜C18分岐状アルキル;
l=0〜2;
Y=NH−CH−CH
41=C〜C30n−アルキル、C〜C30分岐状アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C18アリール、C〜C30アルキルアリールまたはH;
42=C〜C30n−アルキル、C〜C30分岐状アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C18アリールまたはC〜C30アルキルアリール;
またはR41およびR42を結合するC原子と一緒になったこのR41およびR42によって共に形成された環状C〜Cアルキル基]
によって記載される、Si−不活性のモノマーのアゾメチンシラン成分E)を、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)に対して1:99〜1:3のモル比において含有する、請求項1記載の流動性添加剤。
【請求項3】
アミノシランc)を、カルボニル化合物d)と1:0.9〜0.9:1のモル比において、有利には等モル比で反応させることを特徴とする、請求項1または2記載の流動性添加剤。
【請求項4】
Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とが、20:1〜4:1のモル比において存在することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の流動性添加剤。
【請求項5】
Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とが、計>70質量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の流動性添加剤。
【請求項6】
使用されるアミノシランc)1モル当たりにつき0.7〜0.9モルの中間生成物として形成された水が、水を反応成分として消費する、中間生成物として生じたSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分のオリゴマー化に利用できることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の流動性添加剤。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の流動性添加剤の製造法において、
アミノシランc)および一般式
(V) Z−NH
[式中、Z=それぞれ0〜3個の第一級アミノ基で置換されたC〜C18n−アルキル基、C〜Cシクロアルキル基またはC〜C18分岐状アルキル基、Oおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜C18n−アルキル基、Oおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜Cシクロアルキル基またはOおよび/またはNをヘテロ原子として有するC〜C18分岐状アルキル基]
のアミン成分とを装入し、かつカルボニル化合物d)と反応させることによって、Si−活性化可能なオリゴマーのアゾメチンシラン成分A)およびアゾメチン成分B)とを一緒に反応器中で製造することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の流動性添加剤の製造法。
【請求項8】
反応を10〜200℃での、有利には80〜150℃での加熱下で実施することを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
水を反応成分として消費する、中間生成物として形成するSi−活性化可能なモノマーのアゾメチンシラン成分のオリゴマー化に利用されるべきでない、中間生成物として反応に際して生じる水の部分量を、この部分量が反応成分としてオリゴマー化に関与しないように取り除くことを特徴とする、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項記載の流動性添加剤の使用であって、接着剤およびシーラント中の接着促進剤および架橋剤として、有機樹脂の変性および架橋のための、塗料およびラッカー中のバインダーとして、ガラス繊維および炭素繊維のコーティングのための、充填された熱可塑性コンパウンド中の接着促進剤として、鉱物表面、有機物表面および金属表面の処理のための、表面の疎水化のための、粉状物質の表面変性のためのならびに充填剤および顔料のシラン化のための、請求項1から6までのいずれか1項記載の流動性添加剤の使用。

【公表番号】特表2009−530451(P2009−530451A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500721(P2009−500721)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001304
【国際公開番号】WO2007/107216
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】