説明

アタッチメント、これが取り付けられたインクジェットヘッド、及びインクジェットプリンタ

【課題】インク供給口及びインク排出口に加わる負荷を低減する
【解決手段】供給流路28及び排出流路29が形成された本体部21の下面に、インクジェットヘッドに取り付けられた際に、供給流路28をインク供給口に接続する供給弁開放部24、及び排出流路29をインク排出口に接続する排出弁開放部25を突設する。供給流路28を、本体部21の上面及び下面にそれぞれに形成された環状突起11、12及びフィルム15、16で構成する。排出流路29は、本体部21の上面及び下面にそれぞれ形成された環状突起13、14及びフィルム17、18で構成する。接続側ピッチ方向に関して、排出流路29における環状突起13で画定された部分の両側に沿ってスリット23aを形成する。排出弁開放部25は、排出流路29のスリット23aで画定された梁状流路部23に結合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドに取り付けるアタッチメント、これが取り付けられたインクジェットヘッド、及びインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタが有するインクジェットヘッドとしては、共通インク室、及び共通インク室からノズルに至る複数の個別インク流路が形成された流路ユニットと、共通インク室に連通するリザーバ、及びリザーバにインクを供給するインク供給口が形成されているリザーバユニットとを備えたものが知られている。かかるインクジェットヘッドにおいては、インク供給口に接続されておりインク供給流路として機能するインク管を介してリザーバユニットのリザーバにインクが供給される。このとき、インクと共にインク管及びインクを送出するためのポンプ内に残留している空気が、インク供給口を介してリザーバに流れ込むことがある。リザーバに流れ込んだ空気は微細なノズルを目詰まりさせる原因となる。ノズルが目詰まりするとインク滴の吐出性能が悪化する。そこで、特許文献1には、インク排出流路として機能するインク管が接続されており、リザーバに流れ込んだ空気を外部に排出するインク排出口が形成されているインクジェットヘッドが開示されている。
【特許文献1】特開2007−268868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、上述の特許文献1に開示されているインクジェットヘッドのインク供給口及びインク排出口にそれぞれ接続されるインク供給流路及びインク排出流路の2つの流路を、インクジェットヘッドに着脱可能なアタッチメントに形成すると、一度の操作で2つの流路をインクジェットヘッドに接続することが可能となる。しかしながら、インクジェットヘッドに形成されているインク供給口及びインク排出口のピッチと、アタッチメントに形成されているインク供給口及びインク排出口との接続部のピッチとの間にばらつきがある場合には、両者の接続を正常に行うことができない。すなわち、このような場合には、インク供給口及びインク排出口に負荷が加わり、インク漏れが生じる虞がある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、インク供給口及びインク排出口に加わる負荷を低減することができるアタッチメント、これが取り付けられたインクジェットヘッド、及びインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のアタッチメントは、記録媒体にインク滴を吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルに至る複数の個別インク流路を含むインク流路、前記インク流路にインクを供給するインク供給口、及びインクを前記インク流路から排出するインク排出口を有するインクジェットヘッドに取り付けられるアタッチメントである。そして、可撓性を有する材料で形成されており、前記インク供給口に供給するインクが流れる供給流路と、前記インク排出口から排出されるインクが流れる排出流路とが内部に形成された本体部と、前記本体部の一表面に突設された流路部材であって、前記アタッチメントが前記インクジェットヘッドに取り付けられた際に、一方が前記供給流路を前記インク供給口に接続し、他方が前記排出流路を前記インク排出口に接続する2つの接続部とを備えている。また、前記本体部は、前記一表面における2つの前記接続部を結ぶピッチ方向に関して、前記供給流路及び前記排出流路のうちのいずれかの両側に沿って形成されたスリットによって画定された梁状流路部を有し、2つの前記接続部のうちの対応する前記接続部が、前記ピッチ方向に変位可能に前記梁状流路部に結合されている。
【0006】
この構成によると、インクジェットヘッドのインク供給口及びインク排出口のピッチと、2つの接続部のピッチとの間にばらつきがある場合でも、梁状流路部をそれに結合されている接続部と共にピッチ方向に変位させることで、インク供給口及びインク排出口に加わる負荷を低減させることができる。
【0007】
本発明のアタッチメントでは、前記梁状流路部の両側に形成された前記スリット同士が当該梁状流路部の一端において互いに繋がっていることによって、前記ピッチ方向に変位可能な前記梁状流路部が前記本体部に対して片持ち梁として結合されていてもよい。この構成によると、梁状流路部の変位可能な量を大きくすることができる。したがって、インク供給口及びインク排出口に加わる負荷を確実に低減させることができる。
【0008】
本発明のアタッチメントでは、前記ピッチ方向に変位可能な前記梁状流路部が、前記本体部に対して両持ち梁として結合されていてもよい。この構成によると、インクジェットヘッドへの取り付け方向に関する梁状流路部の変位を規制することができる。したがって、インクジェットヘッドに取り付けた際に、梁状流路部に結合されている接続部が浮き上がって接続不良となるのを防ぐことができる。
【0009】
本発明のアタッチメントでは、前記排出流路の少なくとも一部は、前記梁状流路部によって構成され、前記供給流路の少なくとも一部は、前記一表面及び当該一表面と反対側の他表面のいずれかの表面において当該表面と直交する方向に突出した環状の環状突起と、前記環状突起の先端に固定された可撓性のダンパフィルムとから構成されていてもよい。この構成によると、ダンパ部が、変位可能な梁状流路部ではなく、本体部の供給流路に形成されているので、常に安定したダンパ効果が期待できる。
【0010】
本発明のアタッチメントでは、前記環状突起及び前記ダンパフィルムは、前記本体部の一表面側に配置されていてもよい。この構成によると、ダンパ部が、本体部の接続部が形成されている側と同じ側に形成される。すなわち、インクジェットヘッドに取り付けられた際に、ダンパ部が、インクジェットヘッドと本体部とに挟まれる関係となるので、外部から不用な力が直接およびにくい。
【0011】
また、本発明のインクジェットヘッドは、上述のアタッチメントのいずれかが取り付けられる。さらに、本発明のインクジェットプリンタは、上述のインクジェットヘッドを備えている。
【発明の効果】
【0012】
上述のように、本発明のアタッチメント、これが取り付けられたインクジェットヘッド、及びインクジェットプリンタは、インクジェットヘッドのインク供給口及びインク排出口のピッチと、アタッチメント2つの接続部のピッチとの間にばらつきがある場合でも、梁状流路部をそれに結合されている接続部と共にピッチ方向に変位させることで、インク供給口及びインク排出口に加わる負荷を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
本実施の形態のアタッチメントは、インクジェットプリンタに備えられるインクジェットヘッドに取り付けられるものである。図1は、本発明の実施の形態にかかるアタッチメントが取り付けられた状態のインクジェットヘッドの概観斜視図である。図2は、図1に示すインクジェットヘッドの分解斜視図である。図3は、図1に示すインクジェットヘッドが設置されたプリンタを示す図である。
【0015】
図3に示すように、インクジェットヘッド100は、アタッチメント1が取り付けられた状態で、プリンタ内のフレーム7に固定される。フレーム7は、用紙を図3の紙面に垂直な方向に搬送する搬送機構90の上方に設けられている。搬送機構90は、回転軸が互いに平行な一対のローラ91、92、及びローラ91、92に巻回されたエンドレスの搬送ベルト93からなる。インクジェットヘッド100は、搬送ベルト93の上面と対向し、搬送機構90によって搬送される用紙に対してインクを吐出して画像を形成する。
【0016】
アタッチメント1は、フレーム7上に固定された支柱7aに架け渡された支持プレート7bに支持されている。これにより、万一アタッチメント1に力が加わっても、アタッチメント1とインクジェットヘッド100との連結部には無理な力が加わることがなく、アタッチメント1とインクジェットヘッド100との接続状態を良好に保つことができる。また、フレーム7の下には、インクタンク4が配置されている。インクタンク4内のインクは、アタッチメント1に接続された供給チューブ4a、及びアタッチメント1を介してインクジェットヘッド100へと送られる。また、アタッチメント1には、インクジェットヘッド100内のインクを外部に排出する排出チューブ4bが接続されている。
【0017】
ここで、インクジェットヘッド100について詳細に説明する。図1に示すように、インクジェットヘッド100は、全体として平面視において一方向に長尺な形状を有している。なお、本実施の形態において、インクジェットヘッド100の平面視において長尺な方向が主走査方向であり、平面視において主走査方向と直交する方向が副走査方向である。また、主走査方向及び副走査方向に直交しており、インクジェットヘッド100から吐出されるインクの吐出方向を下方向とし、下方向とは反対の方向を上方向とする。
【0018】
図2に示すように、インクジェットヘッド100は、インクを一時的に貯留するリザーバ41(図4参照)が形成されたリザーバユニット3と、複数のノズル61に連通する個別インク流路65(図8参照)が形成されており、上方に位置するリザーバユニット3からインクが供給される流路ユニット5とを主に備えている。リザーバユニット3には、後で詳述するように、リザーバ41にインクを供給するインク供給口42と、リザーバ41のインクを排出するインク排出口43とが形成されている(図4参照)。そして、インク供給口42及びインク排出口43には、供給弁機構70及び排出弁機構80がそれぞれ取り付けられている。
【0019】
後で詳述するように、流路ユニット5の上面には、4つのアクチュエータユニット6が固定されている(図7参照)。そして、アクチュエータユニット6上には、配線部材であるFPC(Flexible Printed Circuit)8が貼り付けされている。また、リザーバユニット3の上方には、コネクタ9a及びコンデンサ9bなどの電子部品が実装された基板9が配置されている。FPC8は、流路ユニット5とリザーバユニット3との間からリザーバユニット3の側面に沿って上方に引き出され、基板9のコネクタ9aと接続される。なお、FPC8には、アクチュエータユニット6から基板9に至る途中で、ドライバIC8aが実装されている。
【0020】
また、基板9は、図1に示すフレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable:FFC)10を介して、インクジェットヘッド100が備え付けられたプリンタ全体の制御を司る図示しない制御装置と電気的に接続されている。これにより、制御装置からの信号は、基板9で中継された後FPC8を介してドライバIC8aに伝達され、ドライバIC8aから出力された駆動信号がアクチュエータユニット6に供給される。なお、基板9及びFPC8は、サイドカバー2a及びヘッドカバー2bによって覆われている。
【0021】
次に、図4を参照しつつ、リザーバユニット3についてより詳細に説明する。図4は、リザーバユニット3の主走査方向に沿う断面図である。なお、図4では説明の都合上、上下方向の縮尺を拡大し、且つ同一線に沿った断面図では通常描かれない流路も適宜に示している。図4に示すように、リザーバユニット3は、主走査方向に延在する上部リザーバ形成体30と、主走査方向に延在する3枚のプレート37〜39とが積層された積層構造となっている。なお、互いに積層されたプレート37〜39によって下部リザーバ形成体35が構成されている。
【0022】
ここで、リザーバユニット3について、リザーバユニット3を構成する各部材の平面図である図5をさらに参照しつつ説明する。なお、図5(a)は、上部リザーバ形成体30の上方から見た平面図であり、図5(b)は、上部リザーバ形成体30の下方から見た平面図である。また、図5(c)〜(e)は、それぞれプレート37〜39の上方から見た平面図である。
【0023】
上部リザーバ形成体30は、例えば、ポリエチレンテレフタラート樹脂やポリプロピレン樹脂のような合成樹脂からなる。上部リザーバ形成体30の長手方向両端部近傍には、後述するように下部リザーバ形成体35の最上層のプレート37に形成された開口37bと係合する爪部32が2つずつ形成されている。これにより、上部リザーバ形成体30は、下部リザーバ形成体35の上面に固定される。
【0024】
上部リザーバ形成体30の内部には、上部リザーバ31が形成されている。上部リザーバ31は、上部リザーバ形成体30の長手方向に関して中央部(以降、単に「中央部」とする)から一端部(図4、図5中左側端部:以降、単に「一端」とする)までの間にのみ形成されており、流入流路32a、流出流路32b、及び接続流路32cの3つの流路で構成されている。上部リザーバ形成体30の一端部近傍における上面には、流入流路32a及び流出流路32bの延在方向の端部にそれぞれ連通していると共に、上方に向かって突出した筒状のジョイント部33、34が互いに近接して形成されている。そして、ジョイント部33、34の上端によって画定される開口が、上述のインク供給口42及びインク排出口43となっている。また、図4及び図5(b)に示すように、上部リザーバ形成体30の中央部には、下方の流路と連通する接続口31aが形成されている。
【0025】
流入流路32aは、上部リザーバ形成体30の厚み方向(上下方向)関する下部(以降、単に「下部」とする)において、上部リザーバ形成体30の一端部から中央部付近まで延在するように形成されている。流出流路32bは、上部リザーバ形成体30の一端部から中央部付近まで細長く延在している。より詳細には、流出流路32bにおける一端部側の半分は、上部リザーバ形成体30の下部に形成されている。一方、流出流路32bの残りの半分は、上部リザーバ形成体30の厚み方向に関する上部(以降、単に「上部」とする)に形成されていると共に、中央部近傍において下方に延びて流入流路32aに合流している。接続流路32cは、流入流路32a及び流出流路32bの合流部分に繋がっていると共に、上部リザーバ形成体30の上部において中央部まで延在した後、下方に向かって接続口31aまで延在する。
【0026】
流入流路32aの中央部側の半分は、平面視において略平行四辺形形状を有している。この流入流路32aの略平行四辺形形状部分は、通過するインクの異物を捕らえるフィルタ44がその厚み方向に関する略中央に配置されている。つまり、フィルタ44を挟む両側の空間部がフィルタ室である。すなわち、流入流路32aのフィルタ室は、フィルタ44によって、インク供給口42側の上流部と接続流路32c側の下流部とに分割されている。そして、流出流路32bは、流入流路32aのフィルタ室の上流部末端に連通する。ここで、フィルタ室、特にその上流部には、気泡が残留しやすい。本実施の形態では、この気泡が残留しやすいフィルタ室の上流部に流出流路32bが接続されていることにより、確実に残留気泡を排出することができる。
【0027】
また、上部リザーバ形成体30の下面に溶着された可撓性を有するフィルム45が、流入流路32aの下面の流路壁となっている。言い換えれば、流入流路32aは、フィルム45を介して大気と接している。ここで、上部リザーバ形成体30の下面と下部リザーバ形成体35の上面との間には、僅かな隙間が形成されている。したがって、上部リザーバ31内において急激な圧力変動があったとき、フィルム45が変形することでこの圧力変動を吸収する。すなわち、フィルム45はダンパとして機能する。さらに、上部リザーバ形成体30の下面に溶着されたフィルム46が、流出流路32bの下面の流路壁となっている。また、上部リザーバ形成体30の上面に溶着されたフィルム47及びフィルム48が、それぞれ流出流路32b及び接続流路32cの上面の流路壁となっている。いずれのフィルム46、47、48も、フィルム45と同様に、圧力変動の吸収に寄与している。
【0028】
プレート37〜39は、例えば、ステンレス鋼等の金属プレートからなる。図4に示すように、互いに積層されたプレート37〜39で構成される下部リザーバ形成体35の内部には、上部リザーバ31内のインクを流路ユニット5に分配する流路となる下部リザーバ36が形成されている。
【0029】
図5に示すように、プレート37〜39のうち、最上層のプレート37には、接続口31aを介して上部リザーバ31と連通する貫(落込流路37a)通孔が形成されている。また、プレート37の長手方向両端部近傍には、上述の上部リザーバ形成体30に形成された爪部32と係合する開口37bが2つずつ形成されている。さらに、最下層のプレート39には、後述するように流路ユニット5に形成されたインク流入口5a(図7参照)に連通する10個の貫通孔(連通流路39a)が形成されている。そして、プレート37とプレート39との間に位置するプレート38には、落込流路37aと10個の連通流路39aとを連通させる孔(接続流路38a)が形成されている。これら落込流路37a、接続流路38a及び連通流路39aにより、下部リザーバ36(図4参照)が形成されている。
【0030】
なお、最上層のプレート37の長手方向における長さは、その他のプレート38、39の長手方向における長さよりも長い。したがって、プレート37〜39を積層し下部リザーバ形成体35を構成した状態では、プレート37の両端が、プレート38、39の両端よりも外側に突出する。このプレート37の突出した部分には、貫通孔37cがそれぞれ形成されている。貫通孔37cは、図3に示すように、インクジェットヘッド100をプリンタのフレーム7に取り付ける際に使用される。
【0031】
上述のように、リザーバユニット3内には、上部リザーバ形成体30に形成された上部リザーバ31及び下部リザーバ形成体35に形成された下部リザーバ36からなるリザーバ41が形成されている。リザーバユニット3は、流路ユニット5にインクを供給する機能に加え、外部から供給されるインクを浄化するフィルタ機能及びインク内の圧力変動を吸収するダンパ機能を有する多機能部材である。
【0032】
ここで、図2及びインクジェットヘッド100のインク供給口42近傍の部分拡大断面図である図6を参照しつつ、供給弁機構70についてより詳細に説明する。供給弁機構70は、上述のように互いに近接して形成されたジョイント部33、34のうち、流入流路32aに連通するジョイント部33の上端によって画定されるインク供給口42に取り付けられる。供給弁機構70は、連通部材71と、固定部材73と、可動部材76と、付勢バネ79とを有している。
【0033】
連通部材71は、インク供給口42を介してジョイント部33の内部から外部に延びる連通路72が形成されており、その下端側の外径がジョイント部33の内径よりも小さく、上端側の外径がジョイント部33の内径よりも大きい部材である。そして、連通部材71は、固定部材73によって、その下端側がジョイント部33内に挿入され、上端側がジョイント部33からはみ出した状態でジョイント部33に固定される。固定部材73は、筒状の部材であり、ジョイント部33の外径よりも若干大きな内径を有する大径部74と、ジョイント部33の外径よりも小さな内径を有する小径部75と、大径部74及び小径部75を繋ぐ接続部73aとからなる。そして、固定部材73は、大径部74内にジョイント部33が挿入されるように、上部リザーバ形成体30に取り付けられる。
【0034】
このとき、図6に示すように、連通部材71のジョイント部33からはみ出た部分が、ジョイント部33の上端と、固定部材73の接続部73aとの間に挟まれた状態となる。ここで、ジョイント部33の外周面には、突起33aが形成されている。また、固定部材73の大径部74には、突起33aに係合する開口74aが形成されている。したがって、ジョイント部33の突起33aと固定部材73の開口74aが係合することによって、固定部材73を上部リザーバ形成体30に固定することができる。よって、固定された固定部材73によって連通部材71をジョイント部33に固定することができる。
【0035】
ここで、図6に示すように、ジョイント部33の下方側部分の内径は、上方側部分の内径に比べて小さくなっている。また、ジョイント部33内には、ジョイント部33の伸延方向に延びるガイドピン33bが配置されている。可動部材76は、ジョイント部33の下方側部分の内径よりも小さな外径を有する円柱状部材であると共に、その一端にジョイント部33の下方側部分の内径及び連通部材71の下端の内径よりも大きな径を有する鍔部77が形成されている。そして、可動部材76は、鍔部77が上になるようにジョイント部33内に配置されている。さらに、可動部材76内には、孔が可動部材76の伸延方向の軸に沿って形成されており、ガイドピン33bが挿通されている。なお、この孔は鍔部77を残して、可動部材76のほぼ全長に亘って延びている。したがって、可動部材76は、ガイドピン33bに沿って、ジョイント部33の伸延方向に上下に移動可能となっている。より詳細には、可動部材76は、その鍔部77が連通部材71の下端と当接して連通路72を封止する封止位置と、連通部材71から離隔して連通路72を開放する開放位置とを取り得る。すなわち、可動部材76が封止位置にある際には、インク供給口42は鍔部77によって封止され、開放位置にある際には、インク供給口42が開放される。
【0036】
付勢バネ79は、ジョイント部33内の比較的内径が大きい上方側部分に配置されており、可動部材76の鍔部77を下側から上方の封止位置に向けて付勢している。これにより、供給弁機構70は、可動部材76が付勢バネ79による付勢方向とは反対方向に押圧されない限り、インク供給口42を封止状態に保つことができる。
【0037】
排出弁機構80は、供給弁機構70と同様に、連通部材81、固定部材83、可動部材86、及び付勢バネ89を有しており、ジョイント部34の上端によって画定されるインク排出口43に取り付けられる。ここでは、排出弁機構80の説明は省略する。なお、図2に示すように、本実施の形態においては、供給弁機構70の連通部材71と、排出弁機構80の連通部材81とは、一体の部材で構成されている。より詳細には、連通部材71のジョイント部33からはみ出す上端側部分と、連通部材81のジョイント部34からはみ出す上端側部分とが繋がっている。同様に、供給弁機構70の固定部材73と、排出弁機構80の固定部材83とについても一体の部材で構成されている。より詳細には、固定部材73の大径部74と、固定部材83の大径部84とが繋がっている。
【0038】
次に、流路ユニット5の詳細について図7及び図8を用いて説明する。図7は、流路ユニット5の平面図である。図8は、流路ユニット5の部分断面図である。流路ユニット5は、平面視矩形状を有しており、その上面に台形形状を有する4つのアクチュエータユニット6が千鳥状に配置されている。
【0039】
流路ユニット5の下面おけるアクチュエータユニット6に対応する部分は、多数のノズル61が形成されたインク吐出領域となっている。また、流路ユニット5の上面には各ノズル61に連通する圧力室62が多数形成されている。そして、1つのアクチュエータユニット6は多数の圧力室62を覆うように配置されている。
【0040】
流路ユニット5の内部には、流路ユニット5の上面に形成されたインク流入口5aに連通するマニホールド流路63、及びマニホールド流路63が分岐した副マニホールド流路63a、そして図8に示すように、副マニホールド流路63aの出口から圧力室62を経てノズル61に至る個別インク流路65が形成されている。これにより、リザーバユニット3からのインクは、インク流入口5aを介してマニホールド流路63に供給され、さらに各圧力室62に分配される。そして、アクチュエータユニット6により圧力室62に選択的に圧力が付与されると、圧力室62内のインクの圧力が上昇し、この圧力室62に連通するノズル61からインクが吐出される。
【0041】
流路ユニット5は、図8に示すように、上から、キャビティプレート51、ベースプレート52、アパーチャプレート53、サプライプレート54、マニホールドプレート55、56、57、カバープレート58及びノズルプレート59が積層された積層構造を有している。すなわち、ノズルプレート59の下面にインク吐出領域が形成される。なお、各プレート51〜59は、ステンレス鋼等の金属プレートからなる。
【0042】
これらプレート51〜59は、マニホールド流路63、副マニホールド流路63a、及び副マニホールド流路63aの出口から、絞りとして機能するアパーチャ64及び圧力室62を経てノズル61に至る、図8に示すような多数の個別インク流路65が形成されるように、互いに位置合わせしつつ積層される。
【0043】
続いて、図9及び図10をさらに参照しつつ、アタッチメント1について説明する。図9(a)は、アタッチメント1を上面図であり、図9(b)は、アタッチメント1の下面図である。また、図10(a)は、図9(a)のXa-Xa線に沿う断面図であり、図10(b)は、図9(a)のXb-Xb線に沿う断面図である。
【0044】
アタッチメント1は、平面視で矩形の外形形状を有する板状の本体部21と、いずれも本体部21の下面に突設されており略筒状である供給弁開放部24及び排出弁開放部25とを主に有している。また、供給弁開放部24及び排出弁開放部25は、インクジェットヘッド100に接続する接続部であって、図10(b)に示すように、本体部21の下面からの突出長さが互いに等しくなっている。
【0045】
本体部21には、リザーバユニット3のインク供給口42に送られるインクが通過する供給流路28、及びインク排出口43から排出されたインクが通過する排出流路29が形成されている。そして、供給弁開放部24の内部は、供給流路28と繋がっている。一方、排出弁開放部25の内部は、排出流路29に繋がっている。また、本体部21には、供給流路28に繋がっているインク入口21a及び排出流路29に繋がっているインク出口21bが形成されている。インク入口21a及びインク出口21bは、いずれも上方の空間と連通している。すなわち、供給流路28は、本体部21において、供給弁開放部24が接続されている部分からインク入口21aまで延びている。一方、排出流路29は、排出弁開放部25が接続されている部分からインク出口21bまで延びている。
【0046】
本体部21の上面には、上方に向かって突出した筒状のジョイント部27a、27bが形成されている。ジョイント部27aはインク入口21aと連通し、ジョイント部27bはインク出口21bと連通している。図3に示すように、ジョイント部27aには、インクタンク4に接続された供給チューブ4aの端部が接続される。一方、ジョイント部27bには、インクタンク4に接続された排出チューブ4bの端部が接続される。
【0047】
ここで、供給弁開放部24及び排出弁開放部25は、本体部21の長手方向の一端部(図9、10中左側端部)近傍において、本体部21の幅方向に互いに離隔するように本体部21に接続されている。また、インク入口21a及びインク出口21bは、本体部21の供給弁開放部24及び排出弁開放部25が接続されている側とは反対側の他端部(図9、10中右側端部)近傍において、本体部21の幅方向に互いに離隔する位置に形成されている。より詳細には、インク入口21aは、供給弁開放部24が接続されている本体部21の幅方向一端(図9(b)中上方端)側とは反対側の他端(図9(b)中下方端)側に形成されており、インク出口21bは、排出弁開放部25が接続されている本体部21の幅方向他端側とは反対側の一端側に形成されている。
【0048】
本体部21の上面には、この上面に直交する方向に突出している2つの環状突起11、13が形成されている。一方、本体部21の下面には、この下面に直交する方向に突出している2つの環状突起12、14が形成されている。また、これら環状突起11〜14の先端(図9において網掛けで示す部分)には、可撓性を有するフィルム15〜18がそれぞれ溶着されている。
【0049】
環状突起11及びそれに溶着されたフィルム15、並びに環状突起12及びそれに溶着されたフィルム16は、供給流路28を構成する。なお、以降の説明において、供給流路28の環状突起11及びフィルム15で画定された部分を「上部供給流路」と称する。一方、環状突起13及びそれに溶着されたフィルム17、並びに環状突起14及びそれに溶着されたフィルム18は、排出流路29を構成する。なお、以降の説明において、環状突起14及びフィルム18で画定された部分を「下部排出流路」と称する。
【0050】
フィルム15〜18は、いずれも一方の面が大気と接し他方の面がインクと接することで、大気とインクとを分離する。そして、フィルム15、16は、供給流路28内において急激な圧力変動があったとき、かかる圧力変動を吸収するダンパとして機能する。一方、フィルム17、18は、排出流路29内において急激な圧力変動があったとき、かかる圧力変動を吸収するダンパとして機能する。なお、環状突起11は、平面視で平行四辺形形状を有しており、その一対の辺が本体部21の幅方向両縁部に沿うように形成されている。すなわち、供給流路28は上部供給流路で拡幅されている。したがって、上部供給流路では、大きなダンパ効果を発揮することができる
【0051】
供給流路28の一部を画定する環状突起11は、本体部21の上面における平面視で供給弁開放部24が接続されている部分から、インク入口21aの近傍までの範囲に形成されている。また、環状突起12は、本体部21の下面における平面視でインク入口21aの近傍からインク入口21aが形成された部分まで延びている。図9に示すように、環状突起12は、本体部21の端縁部に沿って形成されている。環状突起11及び環状突起12は、それらによって囲まれる領域が、平面視でインク入口21aの近傍において重なっており、それらによって囲まれる空間が互いに連通している。また、環状突起11で囲まれた空間は、供給弁開放部24内に繋がっており、環状突起12で囲まれた空間は、インク入口21aと繋がっている。
【0052】
排出流路29は、平面視において排出弁開放部25が接続されている部分から、インク出口21bが形成されている部分まで、直線的に延びている。排出流路29の一部を画定する環状突起13は、本体部21の上面において、平面視で排出弁開放部25が接続されている部分から、インク出口21bが形成されている部分に向けて、環状突起11の近傍まで延びている。また、環状突起14は、平面視で環状突起13の排出弁開放部25が接続されている部分とは反対側の端部から、インク出口21bが形成されている部分まで延在する。環状突起13及び環状突起14は、それらによって囲まれる領域が、平面視においてその端部で互いに重なっており、それらによって囲まれる空間が互いに連通している。また、環状突起13で囲まれた空間は、排出弁開放部25内と繋がっており、環状突起14で囲まれた空間は、インク出口21bに繋がっている。
【0053】
そして、図9(a)、(b)に示すように、供給流路28の上部供給流路と、排出流路29の下部排出流路とは、平面視で互いに重なり合っている。したがって、供給流路28及び排出流路29を平面視で重ならないように形成する場合に比べて、本体部21の平面視に関するサイズを小さくすることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、本体部21の上面は、環状突起11によってその大部分が囲まれており、インク流路となっている。ここで、リブを部材の面に直交する方向に突設することによって、部材の剛性を確保することができる。しかし、流路内にリブを配置することはできないので、部材表面のほとんどを流路が占める場合、部材の剛性低下が心配される。しかし、ここでは、本体部21の下面に、環状突起14が平面視で環状突起11の拡幅部のほぼ中央をクロスするように横切って配置されている。この構成によって、本体部21の全体的な剛性が保たれている。
【0055】
また、本体部21には、排出流路29の環状突起13で画定された部分の縁に沿って略U字形のスリット23aが形成されている。これにより、排出流路29の環状突起13で画定された部分は、片持ち梁状の梁状流路部23となっている。すなわち、スリット23aは、平面視で供給弁開放部24及び排出弁開放部25を結ぶピッチ方向(以降、単に「接続側ピッチ方向」と称する)に関して、梁状流路部23の一方側から他方側に亘って延びている。そして、排出弁開放部25は、この梁状流路部23に結合されている。したがって、排出弁開放部25は、梁状流路部23と一体となって、接続側ピッチ方向に変位可能となっている。
【0056】
図10に示すように、供給弁開放部24及び排出弁開放部25は、いずれも先端部分を残して先細りの形状を有している。また、供給弁開放部24及び排出弁開放部25の先端には、複数のスリット24a、25aがそれぞれ形成されている。そして、供給弁開放部24は、アタッチメント1がインクジェットヘッド100に取り付けられた際に、供給弁機構70の可動部材76を付勢バネ79による付勢方向とは反対の下方に向かって押圧する。可動部材76は、開放位置まで移動され、供給弁機構70が開放される。一方、排出弁開放部25は、排出弁機構80の可動部材86を付勢バネ89による付勢方向とは反対の下方に向かって押圧する。可動部材86は、開放位置まで移動され、排出弁機構80が開放される。このとき、アタッチメント1の供給流路28が、スリット24aを介して上部リザーバ形成体30の流入路32aと連通し、排出流路29がスリット24bを介して流出流路32bと連通することになる。
【0057】
ここで、図11を参照しつつ、アタッチメント1をインクジェットヘッド100に取り付ける際の動作について説明する。図11(a)は、供給弁機構70が開放される前の状態を表しており、図11(b)は、供給弁機構70が開放された状態を表している。なお、排出弁機構80の開閉動作は、供給弁機構70の開閉動作と同様であるので、ここでは供給弁機構70の開閉動作についてのみ説明する。
【0058】
まず、図11(a)に示すように、アタッチメント1をインクジェットヘッド100に取り付ける際には、アタッチメント1の供給弁開放部24及び排出弁開放部25が、供給弁機構70及び排出弁機構80の内部にそれぞれ挿通される。このとき、平面視において供給弁機構70及び排出弁機構80を結ぶピッチ方向(以降、「被接続側ピッチ方向」と称する)と、アタッチメント1の接続側ピッチ方向との間にずれがあれば、排出弁開放部25を適宜接続側ピッチ方向に変位させる。
【0059】
なお、このとき、排出弁開放部24は、より詳細には、供給弁機構70における固定部材73の小径部75内及び連通部材71の連通路72に挿通され、その先端が、供給弁機構70の可動部材76に当接する。その後、アタッチメント1を下方に押し込むことによって、供給弁開放部24の先端が、供給弁機構70の可動部材76を付勢バネ79による付勢方向とは反対の下方に向かって押圧する。これによって、可動部材76が、11図(a)に示す封止位置から、図11(b)に示す開放位置まで移動し、供給弁機構70は開放状態となる。すなわち、アタッチメント1の供給流路28内のインクが、供給弁開放部24の先端のスリット24aからジョイント部33内に流れ出る。
【0060】
ここで、連通部材71は、図6に示すように、連通路72の途中部に内壁から内側に張り出した環状凸部71aが形成されている。環状凸部71aは、上述の供給弁開放部24の先端が可動部材76に当接した段階で、供給弁開放部24の外周面に接触する。連通部材71は、ゴムのような樹脂製の可撓性部材であり、供給弁開放部24と水密に接触する。供給弁開放部24がさらに押し込まれて、仮に、連通部材71と可動部材76との間の隙間からインクが逆流することがあっても、インクが外部に漏れることはない。
【0061】
以上のように、本実施の形態のアタッチメント1は、本体部21が、排出流路29の環状突起13で画定された部分の縁に沿って形成されたスリット23aで画定された梁状流路部23を有している。そして、排出弁開放部25が、接続側ピッチ方向に変位可能に梁状流路部23に結合されている。したがって、アタッチメント1の接続側ピッチ方向と、インクジェットヘッド100の被接続側ピッチ方向との間にばらつきがある場合でも、梁状流路部23をそれに結合されている排出弁開放部25と共に接続側ピッチ方向に変位させることで、インク供給口42及びインク排出口43に加わる負荷を低減させることができる。
【0062】
また、本実施の形態のアタッチメント1では、スリット23aは、梁状流路部23の接続側ピッチ方向に関して一方側から他方側に亘って略U字形に延びており、梁状流路部23は本体部21に対して片持ち梁として結合されている。したがって、梁状流路部が両持ち梁状である場合に比べて、梁状流路部23の変位可能な量を大きくすることができる。よって、インク供給口42及びインク排出口43に加わる負荷を確実に低減させることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態のアタッチメント1では、排出流路29の一部が、梁状流路部23によって構成されている。また、供給流路28は、環状突起11及びフィルム15で構成される上部供給流路で拡幅されている。したがって、大きなダンパ効果を発揮する上部供給流路が、変位可能な梁状流路部23ではなく、本体部21の供給流路28に形成されているので、常に安定したダンパ効果が期待できる。
【0064】
加えて、上述の供給弁機構70は、インクジェットヘッド100にアタッチメント1が取り付けられていない場合には、インク供給口42を塞いだ状態となり、アタッチメント1が取り付けられると、インク供給口42を開放する状態となる。したがって、本実施の形態では、別部材を必要とすることなく、アタッチメント1を外しておくだけでインク供給口42を塞いだ状態に保つことができる。また、アタッチメント1を取り付けるだけでインクをインクジェットヘッド100に供給可能な状態にすることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、リザーバユニット3に、その内部のリザーバ41のインクを排出するインク排出口43が形成されており、アタッチメント1に、インク排出口43から排出されたインクが通過する排出流路29が形成されている。また、インクジェットヘッド100には、インク排出口43を封止する状態と開放する状態とを取り得る排出弁機構80が取り付けられている。そして、排出弁機構80は、アタッチメント1がインクジェットヘッド100に取り付けられていない場合には、インク排出口43を塞いだ状態となり、アタッチメント1がインクジェットヘッド100に取り付けられると、インク排出口43を開放する状態となる。
【0066】
したがって、本実施の形態では、インク排出口43から、リザーバ41内の気泡をインクと共に排出することができる。また、アタッチメント1を外しておくだけでインク排出口43を封止状態に保つことがで、且つアタッチメント1を取り付けるだけでインクを排出可能な状態にすることができる。
【0067】
さらに、上述の供給弁機構70は、インク供給口42を介しリザーバユニット3の内部から外部に延びる連通路72が形成されリザーバユニット3に固定された連通部材71と、連通路72を封止する封止位置と連通路72を開放する開放位置との間で移動可能な可動部材76と、可動部材76を封止位置に向けて付勢する付勢バネ79とを有している。一方、排出弁機構80についても、供給弁機構70と同様に、連通部材81、可動部材86、及び付勢バネ89を有している。そして、アタッチメント1は、インクジェットヘッド100に取り付けられた状態において、連通路72、82にそれぞれ挿通される供給弁開放部24及び排出弁開放部25を有している。供給弁開放部24及び排出弁開放部25は、可動部材76、86を付勢バネ79、89による付勢方向とは反対方向にそれぞれ押圧することによって開放位置に移動させることができる。
【0068】
したがって、本実施の形態では、例えばアクチュエータ等の複雑な機器や煩雑な操作を必要とすることなく、インク供給口42及びインク排出口43の封止及び開放を容易に行うことができる。
【0069】
加えて、本実施の形態では、供給弁機構70の固定部材73と排出弁機構80の固定部材83とが一体に形成されている。また、供給弁機構70の連通部材71と排出弁機構80の連通部材81とについても一体に形成されている。したがって、部品点数を削減することができる。
【0070】
<第1の変形例>
ここで、図12を参照しつつ、上述の第1の実施の形態にかかる第1の変形例について説明する。図12は、本変形例のアタッチメント101の上面図である。本変形例のアタッチメント101は、上述の実施の形態におけるスリット23aの構成を変更したものであり、その他の構成は上述の実施の形態の構成と同様である。なお、上述の実施の形態と同様の構成を有するものには、同一の符号を付している。
【0071】
本変形例のアタッチメント101の本体部121には、排出流路29の環状突起13で画定された部分のピッチ方向に関する両側に沿ってそれぞれ延びる2つのスリット123aが形成されている。これにより、排出流路29の環状突起13で画定された部分は、その伸延方向の両端において本体部121に接続された両持ち持ち梁状の梁状流路部123となっている。そして、排出弁開放部25は、この梁状流路部123に結合されており、梁状流路部123と一体となって接続側ピッチ方向に変位可能となっている。
【0072】
本変形例のアタッチメント101は、上述の実施の形態のアタッチメント1と同様に、インクジェットヘッド100のインク供給口42及びインク排出口43に加わる負荷を低減させることができる。
【0073】
また、本変形例のアタッチメント101は、梁状流路部123が両持ち梁状であるので、インクジェットヘッド100への取り付け方向(すなわち、上下方向)に関する梁状流路部123の変位を規制することができる。したがって、インクジェットヘッド100に取り付けた際に、梁状流路部123に結合されている排出弁開放部25が浮き上がって接続不良となるのを防ぐことができる。
【0074】
<第2の変形例>
次に、図13を参照しつつ、上述の第1の実施の形態にかかる第2の変形例について説明する。図13は、本変形例のアタッチメント201の上面図(図13(a))、及び図13(a)におけるb-b線に沿う断面図(図13(b))を示すものである。本変形例のアタッチメント201は、上述の実施の形態における本体部21に形成される供給流路28及び排出流路29の流路構成を変更したものであり、その他の構成は上述の実施の形態の構成と同様である。なお、上述の実施の形態と同様の構成を有するものには、同一の符号を付している。
【0075】
本変形例のアタッチメント201に形成される供給流路228は、本体部221の上面に形成される環状突起211、本体部221の下面に形成される環状突起212、及びこれらの先端にそれぞれ溶着される可撓性のフィルム215、216で構成される。環状突起211は、平面視で本体部221の長手方向一端部(図13中左側端部)近傍の供給弁開放部24が接続される部分から、他端部(図13中右側端部)に向かって若干延びている。環状突起212は、平面視で平行四辺形形状を有しており、本体部221の供給弁開放部24が接続されている部分の近傍と、インク入口21aとの間に形成されている。環状突起211及び環状突起212は、それらによって囲まれる領域が、平面視で供給弁開放部24が接続されている部分の近傍において重なっており、それらによって囲まれる空間が互いに連通している。また、環状突起211で囲まれた空間は、供給弁開放部24内に繋がっており、環状突起212で囲まれた空間は、インク入口21aと繋がっている。
【0076】
上述のように、本変形例の供給流路228においては、本体部221の下面に形成された環状突起212及びフィルム116で画定された部分で流路が拡幅されており、この部分で大きなダンパ効果を有する。すなわち、大きなダンパ効果を発揮する部分が、本体部の下面に形成されている。
【0077】
一方、排出流路229は、本体部221の上面に形成される環状突起213、本体部221の下面に形成される環状突起214、及びこれらの先端にそれぞれ溶着される可撓性のフィルム117、118で構成される。環状突起213は、平面視で排出弁開放部25が接続される部分から、インク出口21bの近傍まで直線的に延びている。環状突起214は、平面視でインク出口21bの近傍から、インク出口21bまで延びている。環状突起213及び環状突起214は、それらによって囲まれる領域が、平面視でインク出口21bの近傍において重なっており、それらによって囲まれる空間が互いに連通している。また、環状突起213で囲まれた空間は、排出弁開放部25内に繋がっており、環状突起214で囲まれた空間は、インク出口21bと繋がっている。
【0078】
図13に示すように、本変形例では、供給流路228の一部を画定する環状突起212と、排出流路229の一部を画定する環状突起213とが平面視で部分的に重なり合っている。そして、スリット223aは、排出流路229の環状突起213で画定された部分の縁に沿って略U字形に形成されている。より詳細には、スリット223aは、排出流路229における平面視で供給流路228と重ならない部分であって、排出弁開放部25が接続されている部分の縁に沿って形成されている。そして、排出流路229のスリット223aで画定された片持ち梁状の部分が、梁状流路部223となっている。
【0079】
本変形例のアタッチメント201は、上述の実施の形態のアタッチメント1と同様に、インクジェットヘッド100のインク供給口42及びインク排出口43に加わる負荷を低減させることができる。
【0080】
また、本変形例のアタッチメント201では、供給流路228の比較的大きなダンパ効果を発揮する部分が、本体部221の下面に形成されており、インクジェットヘッド100に取り付けられた際に、インクジェットヘッド100と本体部221とに挟まれる関係になっている。したがって、かかるダンパ部に外部から不用な力が加わるのを防ぐことができる。
【0081】
<第2の実施の形態>
次に、図14を参照しつつ、第2の実施の形態について説明する。図14は、本実施の形態のアタッチメント301の上面図(図14(a))、図14のb-b線に沿う断面図(図14(b))、及びアタッチメント301の下面図(図14(c))をそれぞれ示している。本実施の形態にかかるアタッチメント301の構成が、第1の実施の形態にかかるアタッチメント1の構成と主に異なる点は、上述のように、第1の実施の形態では供給流路28の及び排出流路29が平面視で部分的に重なるように形成されているが、本実施の形態では、これらが平面視で重ならないように形成されている点である。なお、本実施の形態のアタッチメント301が取り付けられるインクジェットヘッドの構成は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。また、本実施の形態のアタッチメント301の流路構成以外の構成については、第1の実施の形態のアタッチメント1とほぼ同様である。したがって、第1の実施の形態と同じ構成のものについては、同様の符号を付して説明を省略する。
【0082】
図14に示すように、本実施の形態のアタッチメント301では、供給弁開放部24及び排出弁開放部25は、第1の実施の形態と同様に、本体部321の長手方向の一端部(図14中左側端部)近傍において、本体部321の幅方向に互いに離隔するように本体部321に接続されている。一方、インク入口321aは、本体部321の長手方向の他端部(図14中右側端部)近傍において、本体部321の幅方向に関して供給弁開放部24が接続されている側(図14(c)中上側)と同じ側に形成されている。また、インク出口321bは、本体部321の長手方向の他端部近傍において、本体部321の幅方向に関して排出弁開放部25が接続されている側(図14(c)中下側)と同じ側に形成されている。
【0083】
そして、供給流路328は、本体部321において、供給弁開放部24が接続されている部分からインク入口321aまで、直線的に延びている。一方、排出流路329は、排出弁開放部25が接続されている部分からインク出口321bまで、直線的に延びている。供給流路328及び排出流路329は、平面視で本体部321の長手方向に沿って互いに平行に延びている。また、供給流路328は、以下で述べる環状突起311、312及びそれらの先端に溶着される可撓性のフィルム315、316で構成される。排出流路329は、環状突起313、314及びそれらの先端に溶着される可撓性のフィルム317、318で構成される。
【0084】
本体部321の上面に形成される環状突起311は、平面視で供給弁開放部24が接続されている部分から、インク入口321aの近傍まで、直線的に延びている。また、本体部321の下面に形成される環状突起312は、平面視でインク入口321aの近傍からインク入口321aが形成された部分まで、直線的に延びている。環状突起311及び環状突起312は、それらによって囲まれる領域が、平面視でインク入口321aの近傍において重なっており、それらによって囲まれる空間が互いに連通している。また、環状突起311で囲まれた空間は、供給弁開放部24内に繋がっており、環状突起312で囲まれた空間は、インク入口321aと繋がっている。
【0085】
本体部321の上面に形成される環状突起313は、平面視で排出弁開放部25が接続されている部分から、インク出口321bの近傍まで、直線的に延びている。また、本体部321の下面に形成される環状突起314は、平面視でインク出口321bの近傍からインク出口321bが形成された部分まで、直線的に延びている。環状突起313及び環状突起314は、それらによって囲まれる領域が、平面視でインク出口321bの近傍において重なっており、それらによって囲まれる空間が互いに連通している。また、環状突起313で囲まれた空間は、排出弁開放部25内に繋がっており、環状突起314で囲まれた空間は、インク出口321bと繋がっている。
【0086】
また、本体部321には、排出流路329の環状突起313で画定された部分の縁に沿って略U字形のスリット323aが形成されている。これにより、排出流路329の環状突起313で画定された部分は、片持ち梁状の梁状流路部323となっている。すなわち、スリット323aは、平面視で接続側ピッチ方向に関して、梁状流路部323の一方側から他方側に亘って延びている。そして、排出弁開放部25は、この梁状流路部323に結合されている。したがって、排出弁開放部25は、梁状流路部323と一体となって、接続側ピッチ方向に変位可能となっている。
【0087】
本実施の形態のアタッチメント301は、上述の実施の形態のアタッチメント1と同様に、インクジェットヘッド100のインク供給口42及びインク排出口43に加わる負荷を低減させることができる。
【0088】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の第1及び第2の実施の形態では、排出弁開放部25が、スリット23a、(323a)によって画定された梁状流路部23、(323)と共に接続側ピッチ方向に変位可能な場合について説明したが、これには限定されない。スリットが、供給流路28の一部に沿って形成されており、供給弁開放部24が、かかるスリットによって画定された梁状流路部と共に接続側ピッチ方向に変位可能であってもよい。
【0089】
また、上述の第1の実施の形態では、排出流路29の一部が、梁状流路部23によって構成されていると共に、供給流路28が環状突起11で画定される部分において拡幅されており、比較的おおきなダンパ効果を有している場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、比較的大きなダンパ効果を有するダンパ部が、梁状流路部に形成されていてもよい。
【0090】
さらに、上述の第1及び第2の実施の形態では、供給弁開放部24及び排出弁開放部25の本体部21、(321)の下面からの突出長さが等しい場合について説明したが、これらの長さは異なっていてもよい。なお、これらの長さが異なっている場合には、アタッチメントを誤った方向でインクジェットヘッド100に取り付けるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるアタッチメントが取り付けられた状態のインクジェットヘッドの概略斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1に示すインクジェットヘッドが設置されたプリンタを示す図である。
【図4】図2に示すリザーバユニットの主走査方向に沿う断面図である。
【図5】図2に示すリザーバユニットを構成する各部材の平面図である。
【図6】図2に示す本体ブロックのインク供給口近傍の部分拡大断面図である。
【図7】図2に示す流路ユニットの平面図である。
【図8】図7に示す流路ユニットの部分断面図である。
【図9】図1に示すアタッチメントの平面図であり、(a)は上面図、(b)は下面図をそれぞれ示している。
【図10】図9(a)に示すアタッチメントの断面図であり、(a)はXa-Xa線に沿う断面図、(b)はXb-Xb線に沿う断面図をそれぞれ示している。
【図11】図2に示す供給弁機構の開閉動作を説明するための図である。
【図12】第1の実施の形態の第1の変形例にかかるアタッチメントを示す図である。
【図13】第1の実施の形態の第2の変形例にかかるアタッチメントを示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態にかかるアタッチメントを示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1 アタッチメント
11 環状突起
15 フィルム(ダンパフィルム)
21 本体部
23、123 梁状流路部
23a、123a スリット
24 供給弁開放部(接続部)
25 排出弁開放部(接続部)
28 供給流路
29 排出流路
42 インク供給口
43 インク排出口
61 ノズル
65 個別インク流路
100 インクジェットヘッド
212 環状突起
216 フィルム(ダンパフィルム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインク滴を吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルに至る複数の個別インク流路を含むインク流路、前記インク流路にインクを供給するインク供給口、及びインクを前記インク流路から排出するインク排出口を有するインクジェットヘッドに取り付けられるアタッチメントであって、
可撓性を有する材料で形成されており、
前記インク供給口に供給するインクが流れる供給流路と、前記インク排出口から排出されるインクが流れる排出流路とが内部に形成された本体部と、
前記本体部の一表面に突設された流路部材であって、前記アタッチメントが前記インクジェットヘッドに取り付けられた際に、一方が前記供給流路を前記インク供給口に接続し、他方が前記排出流路を前記インク排出口に接続する2つの接続部とを備え、
前記本体部は、
前記一表面における2つの前記接続部を結ぶピッチ方向に関して、前記供給流路及び前記排出流路のうちのいずれかの両側に沿って形成されたスリットによって画定された梁状流路部を有し、
2つの前記接続部のうちの対応する前記接続部が、前記ピッチ方向に変位可能に前記梁状流路部に結合されていることを特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
前記梁状流路部の両側に形成された前記スリット同士が当該梁状流路部の一端において互いに繋がっていることによって、前記ピッチ方向に変位可能な前記梁状流路部が前記本体部に対して片持ち梁として結合されていることを特徴とする請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記ピッチ方向に変位可能な前記梁状流路部が、前記本体部に対して両持ち梁として結合されていることを特徴とする請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記排出流路の少なくとも一部は、前記梁状流路部によって構成され、
前記供給流路の少なくとも一部は、前記一表面及び当該一表面と反対側の他表面のいずれかの表面において当該表面と直交する方向に突出した環状の環状突起と、前記環状突起の先端に固定された可撓性のダンパフィルムとから構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアタッチメント。
【請求項5】
前記環状突起及び前記ダンパフィルムは、前記本体部の一表面側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のアタッチメント。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のアタッチメントが取り付けられたことを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項7】
請求項6に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−226740(P2009−226740A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75063(P2008−75063)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】