説明

アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法

【課題】微細加工用の化学増幅型フォトレジスト樹脂やLED封止剤などの高機能性ポリマー原料として有用なアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸とアダマンタノール類を反応させてアダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、反応溶液の晶析操作をラジカル重合禁止剤および酸素含有ガスの存在下で、(1)反応溶液と冷媒の温度差を10℃以下、且つ(2)降温速度を1.0℃/分以下の条件で行うことを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細加工用の化学増幅型フォトレジスト樹脂やLED封止剤などの高機能性ポリマー原料として有用なアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アダマンチル(メタ)アクリレート類は微細加工用の化学増幅型フォトレジスト樹脂のモノマーとして使用されているが、微細化が進むに従い益々モノマーの高純度化および品質の安定性が求められている。中でもモノマー中に含まれるポリマーやオリゴマーは歩留まりの低下や品質のバラツキの原因となるため厳密に管理する必要がある。
【0003】
アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法としては、安価に入手可能な(メタ)アクリル酸とアダマンタノール類を酸触媒存在下に脱水エステル化する方法が有用である(特許文献1〜6参照)。一方、他の製造方法として、(メタ)アクリル酸クロライド類や無水(メタ)アクリル酸類とアダマンタノール類を用いて製造する方法、ジハロゲン化アダマンタンを精製し、エステル化を行う際の重合物生成を抑制する方法など多くの製造方法が開示されている(特許文献7〜8参照)。上記反応においては、(メタ)アクリル酸類や生成したアダマンチル(メタ)アクリレート類の重合物が副生するため、重合禁止剤の存在下にて反応を行うのが一般的である。本出願人は、重合成分の生成の抑制に関し、晶析時にニトロソ系重合禁止剤を添加する方法を提案しているが(特許文献9参照)、さらに重合成分の生成を抑制した、重合物の少ない製品が求められている。
【特許文献1】特開2001−106650号公報
【特許文献2】特開2001−354619号公報
【特許文献3】特公平7−61980号公報
【特許文献4】特開2000−119220号公報
【特許文献5】特許第3507024号公報
【特許文献6】特開2002−226436号公報
【特許文献7】特開2005−75798号公報
【特許文献8】特開2005−104964号公報
【特許文献9】特開2007−70255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述したような事情を鑑みてなされたものであり、重合物量を含む有機不純物が少なく安定した品質のアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題について鋭意検討を重ねた結果、晶析工程において、アダマンチ(メタ)アクリレート類を反応溶液から析出させる工程においても重合物が生成すること、また反応溶液温度と冷媒温度との差が原因となり局所的な温度降下によって重合物を含む有機不純物が結晶中へ取り込まれることが純度低下の原因であることを見出し、特定の重合禁止剤を添加し、且つ酸素含有ガス存在下で、ある一定の温度差ならびに降温速度で晶析操作を行うことで重合物量が少なく安定した品質が得られるアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法を確立し、本発明に到達した。また本発明では驚くべきことに析出による晶析装置伝熱部への固着も抑制することが出来、アダマンチ(メタ)アクリレート類の収率も大幅に向上させることができる。
【0006】
すなわち、本発明は、有機溶媒中、(メタ)アクリル酸とアダマンタノール類を反応させてアダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、反応溶液の晶析操作をラジカル重合禁止剤および酸素含有ガスの存在下で、(1)反応溶液と冷媒の温度差を10℃以下、且つ(2)降温速度を1.0℃/分以下の条件で行うことを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、重合物を低減させた高純度のアダマンチル(メタ)アクリレート類が得られ、フォトレジスト樹脂やLED封止剤などの高機能性ポリマー原料用途に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、有機溶媒中、(メタ)アクリル酸とアダマンタノール類を反応させて製造するアダマンチル(メタ)アクリレート類に適用されるが、そのアダマンタノール類は下記一般式(1)で表されるものである。
【0009】
【化1】

(式中、R1〜R3は、同一または異なって、水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、ハロゲン基を示し、R4は水素原子、水酸基、ハロゲン基、カルボニル基を示す。)
【0010】
上記のアダマンタノール類の例として、1−アダマンタノール、2−アダマンタノール、1,3−アダマンタンジオール、1,3,5−アダマンタントリオール、1,3,5,7−アダマンタンテトラオール、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール、5,7−ジメチルアダマンタンジオール、5−メトキシ−1,3−アダマンタンジオール、5−エトキシ−1,3−アダマンタンジオール、1,3−アダマンタンジメタノール等が挙げられ、これらは置換基を有していても良い。
【0011】
本発明において反応工程にて使用する(メタ)アクリル酸は、アダマンタノール類の水酸基1当量に対して1.0〜10倍当量、好ましくは1.2〜6倍当量使用する。使用量がこの範囲より少ないと未反応のアダマンタノール類が残り、逆に多いと釜効率が低下するとともにジエステルやオリゴマーを含む重合物の副生が促進される。
【0012】
また、本発明では酸触媒により脱水エステル化反応を促進させる。用いる酸としては脱水反応を進行させる強酸であれば特に制限は無いが、一般的に濃硫酸、p−トルエンスルホン酸等が使用される。その酸触媒量は、原料であるアダマンタノール類1モルに対して0.005〜1.0モル、好ましくは0.01〜0.1モルの割合で使用する。使用量をこの範囲より少なくすれば反応速度が低下し、逆に多くすればアダマンチル(メタ)アクリレート類の選択率が低下する。
【0013】
本発明においては、反応の進行と共に生成する水を反応溶媒とともに留去することにより反応を促進させることができる。留去された反応溶媒は、Dean−Stark水分離器などにより共に留去された水と分離した後、再び反応器に戻す方法が例示できる。また、反応器に蒸留塔を設置し反応溶媒と水との分離効率を上げることもできる。
【0014】
使用される反応溶媒は、水との相溶性が悪く、且つアダマンタノール類およびアダマンチル(メタ)アクリレート類との相溶性が良く、反応に対し不活性な有機溶媒が好ましい。これらの条件を満たす溶媒の中でも、反応中に副生する水を除去するため、水と共沸する溶媒を用いることが好ましい。そのような有機溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の炭素数6〜10の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は2種以上の溶媒を混合した系でも使用できる。溶媒は、原料として用いるアダマンタノール類1重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で使用する。
【0015】
反応温度については60〜150℃が好ましい。反応温度が60℃よりも低いと反応速度が著しく低下し、150℃よりも高いとアダマンチル(メタ)アクリレート類の選択率が低下する。反応温度は、基本的に使用する有機溶媒と水との常圧での共沸温度で決定されるが、反応圧力を陰圧あるいは加圧とすることにより調節することが可能である。
【0016】
反応工程では、アダマンチル(メタ)アクリレート類の重合を抑制するため、重合禁止剤を使用しても良い。重合禁止剤とは、反応、洗浄、濃縮、乾燥等において、目的物質の重合を抑制するために少量添加する物質の総称であり、本発明で使用される重合禁止剤として、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、テトラメチルピペリジン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ニトロソベンゼン、m−ジニトロベンゼン、ニトロソフェノール、フェノチアジン、ピクリン酸、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、p−フェニルジアミンヒドロキノンなどを使用することができ、好ましくはヒドロキノン、メチルヒドロキノンなどのヒドロキノン類やp−メトキシフェノールなどのフェノール類である。また、この重合禁止剤は1種又は2種以上併用して用いることができる。重合禁止剤はガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーなどの簡便な分析手段で濃度の定量ができる化合物を選択することが工程管理の点で望ましい。
【0017】
反応時に使用する重合禁止剤の量は特に限定はしないが、(メタ)アクリル酸類に対して0.005〜1.5モル%、好ましくは0.01〜0.5モル%を使用する。使用量がこの範囲より少ないと反応中に重合が起こり、逆に多い場合は、製品中への残留による純度低下や着色といった問題を発生させるので好ましくない。
また重合禁止剤を使用する際にその使用条件により重合禁止効果を向上させるために酸素の存在下で使用することも可能である。
【0018】
反応終了後は、反応溶液をアルカリで洗浄することにより酸触媒および未反応の(メタ)アクリル酸を除去する。アルカリで洗浄する場合の洗浄液は反応溶液と相溶しない水溶液を使用するのが好ましく、アルカリの種類は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのようなテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド類の水溶液が例示できる。アルカリ洗浄は1回あるいは2回以上おこなうことができ、アルカリ洗浄後に反応溶液中に含まれる酸触媒量が100ppm以下、未反応の(メタ)アクリル酸濃度が1%以下となるように混合時の接触時間、温度、洗浄回数を決めるのが好ましい。
【0019】
アルカリ洗浄後は、水洗を1回あるいは2回以上行うことにより反応溶液中に残存するアルカリ分を除去することができる。この場合水洗に使用する水はイオン性不純物を極力除くことが好ましく、具体的には電気伝導度が10mS/m以下の水を使うことが好ましい。水洗後に反応溶液中に含まれるアルカリ量が100ppm以下となるように混合時の接触時間、温度、洗浄回数を決めるのが好ましい。
【0020】
アルカリ洗浄後あるいはアルカリ洗後の水洗後、金属性不純物を除く目的で水溶液による酸洗浄をおこなうこともできる。加える酸としては、水溶性の酸であるギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸が例示される。酸洗浄は1回あるいは2回以上行うことができ、酸洗浄後に反応溶液中に含まれる金属イオンが100ppm以下となるように混合時の接触時間、温度、洗浄回数を決めるのが好ましい。
【0021】
酸洗浄後は、水洗を1回あるいは2回以上行うことにより反応溶液中に残存する酸分を除去することができる。この場合水洗に使用する水はイオン性不純物を極力除くことが好ましく、具体的には電気伝導度が10mS/m以下の水を使うことが好ましく例示される。水洗後に反応溶液中に含まれる酸量が100ppm以下となるように混合時の接触時間、温度、洗浄回数を決めるのが好ましい。
【0022】
洗浄後反応溶液は冷却されアダマンチル(メタ)アクリレート類を晶析させるが、晶析を実施する前に反応溶液を濃縮しアダマンチル(メタ)アクリレート類濃度を上げることができる。濃縮では溶媒が除去できれば良く、特に条件に制限は設けないが、減圧系での濃縮が効率よく実施でき好適である。濃縮後の反応溶液に含まれるアダマンチル(メタ)アクリレート類の濃度は10〜70重量%、さらには30〜65重量%の範囲にすることが好ましい。
【0023】
濃縮を行うか行わないかに関わらず、晶析前のアダマンチル(メタ)アクリレート類を含む反応溶液に貧溶媒を添加し晶析効率を向上させることができる。ここで貧溶媒とは晶析温度にてアダマンチル(メタ)アクリレート類の溶解度が5%以下の溶媒であり、かつ反応溶媒と均一溶媒となる溶液であれば特に限定はしないが、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類等を例示することができる。貧溶媒の添加量に特に制限はないが、晶析終了時のスラリーの取扱いやすさを考慮し、貧溶媒添加後のアダマンチル(メタ)アクリレート類濃度は10〜70重量%、さらには30〜65重量%の範囲にすることが好ましい。
【0024】
晶析時の温度は、(1)反応溶液と冷媒の温度差を10℃以下、且つ(2)反応溶液の降温速度を1.0℃/分以下とすることが必要である。冷媒と反応溶液との温度差が10℃より大きい場合、晶析装置の伝熱部分が局所的に冷却され、選択的に結晶化が起こり結晶中に重合物やモノマー型不純物が取り込まれてしまう。ここで冷媒温度とは晶析装置へ導入される冷媒の入口温度を指す。また、反応溶液の降温速度が1.0℃/分より速い場合、重合物やモノマー型不純物を含む有機不純物の結晶中への取り込みが顕著になり、高純度のアダマンチル(メタ)アクリレート類を製造することが出来ない。
【0025】
晶析に用いる装置は特に限定はしないが、ジャケット、内部コイル、外部熱交換器のうち1種あるいは2種以上の冷却装置の組み合わせが設置された攪拌機付きの槽を例示することができる。溶液の攪拌は溶液温度が均一になれば翼形状、回転数等特に制限はしない。晶析装置の材質は、目的物と接触する部分においてステンレススチール、ハステロイ、グラスライニング、テフロン(登録商標)ライニングなどの材質であることが好ましい。特に金属材質を用いる場合、金属不純物の汚染を抑制する目的で、バフ研磨や電解研磨などの研磨処理や酸処理などの表面処理を施こすことが好適である。冷媒の種類は、目的とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の晶析温度まで冷却可能なものであればその種類は問わない。
【0026】
晶析の開始温度は、溶液濃度、使用する溶媒への溶解度に応じ任意に決める必要がある。晶析の終点については、液温が0〜40℃、さらに好ましくは0〜25℃の範囲である。温度が規定範囲よりも高い場合、晶析後に行う固液分離時にろ液側に製品がロスし、経済的に好ましくなく、規定範囲より低い場合は、重合物やモノマー型不純物も同時に析出し、結晶の純度低下へとつながる。また種結晶を添加する方法を本晶析工程に行うことは、本発明の効果を阻害することは無く、過度の過冷却状態からの結晶析出を抑制する観点から好ましい。種結晶とはすでに固形化されたアダマンチル(メタ)アクリレート類であり、晶析工程で晶析するアダマンチル(メタ)アクリレート類と同じ化合物である。
【0027】
種結晶の添加方法は、固形化された状態での添加、あるいは貧溶媒に縣濁させた状態での添加等のいずれの方法でもよい。これら種結晶の添加により液温が設定する降温速度を超えないようにすることに注意する必要があり、ゆっくりと少量ずつ添加する方法、後述の析出開始温度に予備加温しておく方法等が挙げられる。添加量については析出のきっかけとなれば良いが、溶液中に含まれるアダマンチル(メタ)アクリレート類の0.5重量%以上5.0重量%以下とするのが好ましい。種結晶中に含まれる不純物に関しては注意を払わなければ、製品の不純物量増加を招くため、製品で目標とする純度と同等あるいは同等以上の純度の種結晶を用いるのが好ましい。また種結晶の添加時期は、アダマンチル(メタ)アクリレート類析出開始温度の−5℃〜+5℃以内、さらに好ましくは−3℃〜+3℃以内である。ここで析出開始温度とは溶解度が析出開始するアダマンチル(メタ)アクリレート類の濃度と同じになる温度を指す。
【0028】
晶析は重合禁止剤濃度が、アダマンチル(メタ)アクリレート類に対して0.005〜5.0モル%範囲で実施するのが好ましい。使用量が上記範囲より少ないと晶析中に重合が起こり、逆に多い場合は、製品中への残留による純度低下や着色といった問題を発生させるので好ましくない。重合禁止剤はラジカルをトラップし重合を防止する機能を持つ化合物であり、且つ晶析工程でのアダマンチル(メタ)アクリレート類溶解溶媒に溶解すれば特に制限はなく、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、テトラメチルピペリジン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ニトロソベンゼン、m−ジニトロベンゼン、ニトロソフェノール、フェノチアジン、ピクリン酸、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、p−フェニルジアミンヒドロキノンなどが例示でき、好ましくはヒドロキノン、メチルヒドロキノンなどのヒドロキノン類やp−メトキシフェノールなどのフェノール類が例示される。また、この重合禁止剤は1種又は2種以上併用して用いることができ、前述の反応工程で用いた重合禁止剤と同一であっても違っていてもかまわない。重合禁止剤の添加方法は特に制限はしないが、直接添加、アダマンチル(メタ)アクリレート類と予め混合したマスターバッチ添加、溶液での添加等が挙げられる。添加時期についてはアルカリ洗浄後に実施する各工程中であればどの工程で添加してもかまわない。
【0029】
本発明で重合禁止剤の効果を高める為に重合禁止剤と共に酸素含有ガスが存在している必要がある。酸素含有ガス中の酸素濃度は0.5〜10.0容量%の範囲であることが好ましく、酸素含有濃度がこれよりも低いと重合禁止効果が十分ではなく、また高いと本発明で使用可能な有機溶媒の爆発下限界を越えるため危険性が増す。酸素ガス以外の成分は、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが好ましい。酸素含有ガスは、バッチ式あるいは連続式で晶析される反応溶液に供給することができるが、連続で供給する形式が常時系内含有酸素濃度をコントロールすることができるので好ましい。連続で供給する場合の供給量は、重合禁止剤が極微量の酸素の存在下でその効力を発揮することから下限については流量0L/分より多ければ特に設定する必要は無いが、アダマンチル(メタ)アクリレート類1モルに対し0.005〜0.2L/分、好ましくは0.01〜0.1L/分とするのが好ましい。酸素含有ガスの吹き込み方法については特に制限は無く、上部鏡より吹き込み管を液外部あるいは液中に導入し吹き込む方法、槽の側面から吹き込む方法、あるいは槽の下部から吹き込む方法等が例示できる。酸素含有ガス中の酸素濃度は、導入する酸素含有ガスあるいは/および排出される酸素含有ガスの酸素濃度を、常時あるいは適宜酸素濃度計で測定し濃度管理することが好ましい。
【0030】
晶析後のスラリーは、固液分離によりアダマンチル(メタ)アクリレート類と晶析溶媒とを分離する。固液分離後は必要に応じ、貧溶媒あるいは貧溶媒とその他溶媒の混合溶媒によってリンスを行い湿結晶に含まれる不純物を含む晶析溶媒等の不要成分を除去し結晶の純度を上げることが好ましい。さらに目的物の用途に応じ、晶析で得られたアダマンチル(メタ)アクリレート類を再度溶媒に溶解し、酸洗浄、水洗浄、濃縮および/あるいは晶析を繰り返す再結晶を行ってもよい。再結晶を繰り返すことにアダマンチル(メタ)アクリレート類の純度は向上する。最終的に得られるアダマンチル(メタ)アクリレート類の純度は90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上である。
また、晶析後のアダマンチル(メタ)アクリレート類を乾燥して結晶に含まれる溶剤類および水を除去することができる。乾燥方法は特に限定はしないが、乾燥時の加温により生成する重合物を抑制するために粗結晶の温度を20〜40℃の範囲で行うことが望ましい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例において、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの純度の評価は液体クロマトグラフィーにて、重合禁止剤の定量はガスクロマトグラフィーにて、重合物の評価はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)および目的物をメタノール/ヘキサン重量比10:1の混合溶媒に完全溶解させ、目視により透明性を判断する溶解性試験にて評価を行った。
【0032】
参考例1
攪拌機、温度計、スパイラル型熱交換器、水分離器、ガス吹込み管を備えた100Lのグラスライニング製ジャケット付き反応槽に1,3−アダマンタンジオール4.2Kg、メタクリル酸6.2Kg、p−メトキシフェノール19g、濃硫酸60g、溶媒としてトルエン37.5Lを仕込み、少量の空気を流しながら還流下(110℃)で6hr反応を行い、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液42.5Kgを得た。この反応溶液に水22.5Kgと25重量%NaOH水溶液5.3Kgを液温35〜45℃の範囲でpH10.5まで攪拌しながら添加した。静置後、下層のアルカリを分離した。上層に残った反応溶液に純水40Kgを添加し、30分間攪拌後30分間静置の後、下層の水層を分離除去した。この水洗浄を洗浄水のpHが7になるまで3回繰り返した。反応時に添加したp−メトキシフェノールについてはアルカリ洗浄により水層側に抽出され、分析の結果、反応溶液側では検出されなかった。本操作により得た反応溶液38Kgを適宜分割し、各種スケールにより以下実施例記載の晶析を行った。
【0033】
実施例1
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液800gについて、ガス吹込み管を備えた2Lの撹拌器およびジャケット付き槽に仕込み、p−メトキシフェノールを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.05モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、反応溶液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。
【0034】
酸素含有ガスについてはガス吹き込み管をフラスコ上部より液中に挿入し、連続的に窒素40mL/分、空気10mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度4.2容量%に調整したガスを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したp−メトキシフェノールが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.05モル%存在した。温度条件については、反応溶液と冷媒の温度差を5℃、反応溶液の降温速度を0.5℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度99.5%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.06重量%であり、メタノール/ヘキサン重量比10:1の混合溶媒による溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった。
【0035】
実施例2
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液800gについて、実施例1と同一のガス吹込み管を備えた2Lの撹拌器およびジャケット付き槽に仕込み、p−メトキシフェノールを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.05モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、濃宿液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。
【0036】
酸素含有ガスについては実施例1と同様に、連続的に窒素40mL/分、空気10mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度4.2容量%に調整したガスを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したp−メトキシフェノールが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.05モル%存在した。温度条件については、反応溶液と冷媒の温度差を10℃、反応溶液の降温速度を1.0℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度99.4%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.08重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった。
【0037】
実施例3
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液800gについて、実施例1と同一のガス吹込み管を備えた2Lの撹拌器およびジャケット付き槽に仕込み、p−メトキシフェノールを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.05モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、濃宿液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。
【0038】
酸素含有ガスについては、連続的に窒素48.8mL/分、空気1.2mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度0.5容量%に調整したガスを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したp−メトキシフェノールが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.05モル%存在した。温度条件については、反応溶液と冷媒の温度差を5℃、反応溶液の降温速度を0.5℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度99.0%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.10重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった。
【0039】
実施例4
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液800gについて、実施例1と同一のガス吹込み管を備えた2Lの撹拌器およびジャケット付き槽に仕込み、p−メトキシフェノールを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.005モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、濃宿液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。
【0040】
酸素含有ガスについては実施例1と同様に、連続的に窒素40mL/分、空気10mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度4.2容量%に調整したガスを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したp−メトキシフェノールが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.005モル%存在した。温度条件については、反応溶液と冷媒の温度差を5℃、反応溶液の降温速度を0.5℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度98.8%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.11重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった。
【0041】
実施例5
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液800gについて、実施例1と同一のガス吹込み管を備えた2Lの撹拌器およびジャケット付き槽に仕込み、メチルヒドロキノンを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.05モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、濃宿液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。
【0042】
酸素含有ガスについては実施例1と同様に、連続的に窒素40mL/分、空気10mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度4.2容量%に調整したガスを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したメチルヒドロキノンが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.05モル%存在した。温度条件については、反応溶液と冷媒の温度差を5℃、反応溶液の降温速度を0.5℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度99.5%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.06重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった。実施例1〜5の結果を表1にまとめた。
【0043】
比較例1
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液800gについて、実施例1と同一のガス吹込み管を備えた2Lの撹拌器およびジャケット付き槽に仕込み、p−メトキシフェノールを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.05モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、濃宿液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。
【0044】
酸素含有ガスについては実施例1と同様に、連続的に窒素40mL/分、空気10mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度4.2容量%に調整したガスを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したp−メトキシフェノールが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.05モル%存在した。温度条件については、反応溶液と冷媒の温度差を15℃、反応溶液の降温速度を2.0℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度98.1%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.15重量%であり、メタノール/ヘキサン重量比10:1の混合溶媒による溶解性試験の結果、溶液は白濁した。
【0045】
比較例2
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液800gについて、実施例1と同一のガス吹込み管を備えた2Lの撹拌器およびジャケット付き槽に仕込み、p−メトキシフェノールを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.05モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、濃宿液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。
【0046】
ガスについては連続的に窒素50mL/分のみを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したp−メトキシフェノールが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.05モル%存在した。温度条件については、反応溶液と冷媒の温度差を5℃、反応溶液の降温速度を0.5℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度98.5%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.18重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は白濁した。
【0047】
比較例3
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液400gについて、1Lの撹拌器付き槽に仕込み、p−メトキシフェノールを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.05モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、濃宿液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。濃縮時の加温および晶析時の冷却は、上記槽を湯浴中にセットし湯浴温度にて液温を適宜コントロールした。
【0048】
酸素含有ガスについては比較例1と同様に、連続的に窒素20mL/分、空気5mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度4.2容量%に調整したガスを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したp−メトキシフェノールが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.05モル%存在した。温度条件については、反応溶液と浴の温度差を5℃、反応溶液の降温速度を2.0℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度98.3%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.15重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は白濁した。
【0049】
比較例4
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応溶液の内上記検討に使用した重量を差し引いた残り32Kgについて、そのまま実施例1で使用した100L槽にて、p−メトキシフェノールを3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対して0.05モル%となるようにトルエンのマスターバッチで添加し、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート濃度が60%となるように液温55℃、減圧度10.6kPaにて減圧濃縮を行った。濃縮後、濃宿液中のトルエンに対し2.5重量倍のノルマルヘキサンを貧溶媒として添加し、53℃より晶析を開始した。
【0050】
酸素含有ガスについては比較例1と同様に、連続的に窒素40mL/分、空気10mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度4.2容量%に調整したガスを吹き込みながら晶析を行った。晶析前の重合禁止剤の分析では、濃縮前に添加したp−メトキシフェノールが3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートに対し0.05モル%存在した。温度条件については、反応溶液と冷媒の温度差を15℃、反応溶液の降温速度を0.5℃/分とし、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対して、そのまま室温で24時間風乾し、純度98.3%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.15重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は白濁した。比較例1〜4の結果を表2にまとめた。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸またはアクリル類と、一般式(1)で表されるアダマンタノール類とを反応させて、アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、反応溶液の晶析操作をラジカル重合禁止剤および酸素含有ガスの存在下で、(1)反応溶液と冷媒の温度差を10℃以下、且つ(2)降温速度を1.0℃/分以下の条件で行うことを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。
【化1】

(式中、R1〜R3は、同一または異なって、水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、またはハロゲン基を示し、R4は水素原子、水酸基、ハロゲン基、またはカルボニル基を示す。)
【請求項2】
反応溶液をアルカリ洗浄した後、晶析操作を行う請求項1記載のアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。
【請求項3】
酸素含有ガス中の酸素濃度が0.5〜10.0容量%であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
重合禁止剤がアダマンチル(メタ)アクリレート類に対し、0.005〜5.0モル%含まれる請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
重合禁止剤がフェノール類又はヒドロキノン類から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−143827(P2009−143827A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320865(P2007−320865)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】